JP6368270B2 - モニエロサイドa及びその誘導体、又はそれを有効成分として含有する医薬用組成物、健康食品又は化粧品 - Google Patents

モニエロサイドa及びその誘導体、又はそれを有効成分として含有する医薬用組成物、健康食品又は化粧品 Download PDF

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本発明は、モニエロサイドA及びその誘導体、又はそれを有効成分として含有する医薬用組成物、健康食品又は化粧品に関する。
ゴマノハグサ科オトメアゼナ (Bacopa monniera) はヨーロッパ、北アフリカ、 アジア、南北アメリカに広く分布する湿性の多年草である。 日本では観賞用の水草として使用されており、 インドでは伝統医学 (アーユルヴェーダ) で利用されてきたハーブのひとつである。 オトメアゼナは、特に、「記憶力が改善する」、「不安が軽減する」等の効果(特許文献1)があるとされ, 脳の強壮剤として古くから用いられている他、老化防止食品剤への応用も検討されている(特許文献2)。含有成分として、ダンマラン型トリテルペン配糖体成分やククルビタン型トリテルペン配糖体成分等が報告されている。
特表2005−73504号公報 特開平3−58939号公報
オトメアゼナの薬理活性については、エキスに神経保護作用、 抗うつ作用および抗酸化作用(特許文献1)等が報告されている。この度、本発明者らによって初めてインド産オトメアゼナ全草の抽出エキスからモニエロサイドAが単離された。本発明者らは更に種々鋭意検討を重ねた結果、モニエロサイドAがアセチルコリンエステラーゼ阻害作用を有すること、アルツハイマー病の予防治療に有用であること、食欲調節剤として有用であること、老化予防又は治療に有用であること、化粧品として有用であること、更に医薬用組成物、健康食品、食品添加剤、サプリメント等として有用であること等、種々の思いがけない新知見を得、更に検討を重ねて本発明を完成するに至った。
このモニエロサイドAは上記したオトメアゼナの種々の薬理活性に何らかの寄与をしているものと考えられるが、モニエロサイドA自体及びその誘導体を有効成分として含有する医薬用組成物、化粧料および化粧品に関しては全く知られていない。即ち、本発明の課題は、モニエロサイドA及びその特定の誘導体を提供すること、及びモニエロサイドA及びその特定の誘導体を含有する有用な医薬用組成物、健康食品、食品添加剤、サプリメント等を提供することにある。
すなわち、本発明は、以下の発明に関する。
[1] 下記構造式(1)
で表される化合物、又は、その薬理学的に許容し得る塩、エステル若しくはエーテル化物。
[2] エステル化物が構造式(1)における1または2以上の水酸基がアシル化されていることを特徴とする[1]に記載の化合物。
[3] エーテル化物が構造式(1)における1または2以上の水酸基がエーテル化されていることを特徴とする[1]に記載の化合物。
[4] [1]乃至[3]のいずれかに記載の化合物を含有することを特徴とする疾病の予防又は治療用の医薬組成物。
[5] アセチルコリンエステラーゼ阻害剤であることを特徴とする[4]に記載の医薬組成物。
[6] 疾病がアルツハイマー病であることを特徴とする請求項4記載の医薬組成物。
[7] [1]乃至[3]のいずれかに記載の化合物を含有することを特徴とする食品添加物、サプリメント又は健康食品。
[8] 食欲調整剤である[7]に記載の食品添加物、サプリメント又は健康食品。
[9] [1]乃至[3]のいずれかに記載の化合物を含有することを特徴とする化粧品。
[10] AGEs(advanced glycation end products:以下、「終末糖化産物」ともいう。)生成抑制剤であることを特徴とする[9]に記載の化粧品。
本発明によれば、優れた生理活性を有する医薬用組成物、健康食品、食品添加剤、サプリメント、化粧品等を提供することができる。また、医薬用組成物、健康食品、食品添加剤、サプリメント、化粧品等の製造原料として有用なモニエロサイドA及びその誘導体を提供することができる。上記医薬用組成物、健康食品、食品添加剤、サプリメント、化粧品等、並びにその製造原料として有用なモニエロサイドA及びその誘導体の製造方法を提供することができる。なお、生理活性とは、アセチルコリンエステラーゼ阻害作用、食欲調節作用、AGEs生成抑制作用等である。
モニエロサイドAの構造決定の工程の概略を示す図である。
モニエロサイドAは、ゴマノハグサ科オトメアゼナから取得される。オトメアゼナに限定されることなく、モニエロサイドAを含む植物であればどのような植物であっても製造原料として使用されうる。産地は、ヨーロッパ、 北アフリカ、 アジア、 南北アメリカ等、どのような産地から入手されたものであってもよいが、インド産オトメアゼナが便宜に使用される。
モニエロサイドAは、上記植物から溶媒抽出され、抽出物からモニエロサイドAを取得し、所望により、精製手段に付して単離する。抽出に用いられるオトメアゼナは、全草であってもよく、その部分若しくは、その処理物であってもよい。被抽出物としては花、実、葉、茎、根等が例示され、当該植物の裁断物であってもよいが、好ましくは、その乾燥物である。
溶媒抽出に用いられる溶媒としては、モニエロサイドAを溶解する溶媒であればどのようなものでもよく、優れた抽出溶媒としては、例えば、水の他、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール等のアルコール類、例えば、ジオキサン、メチルエチルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル類、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の極性溶媒等が例示される。
抽出操作は、例えば、上記被抽出物と抽出溶媒とを混合し、好ましくは攪拌し、抽出液と抽出残渣を分離する。抽出温度は、一概には言えないが、好ましくは、15℃〜150℃であり、抽出時間は、一概には言えないが、好ましくは、30分〜1週間程度である。抽出液と抽出残渣の分離は、特に限定されるべきものではなく、例えば、濾過、遠心分離等の手段により行なわれるのが好ましい。抽出液から抽出溶媒を除去することにより、オトメアゼナ抽出エキスが得られる。抽出溶媒除去は、常圧下、又は減圧下に行なわれ、減圧下が好ましい。
オトメアゼナ抽出エキスはモニエロサイドAを含有する。オトメアゼナ抽出エキスを精製手段に付することにより、モニエロサイドAを取得することができる。そのような精製手段は、例えば、分配抽出、濃縮、クロマトグラフィ、結晶化、再結晶等から適宜に選択又は組み合わされてよい。このような精製手段は、従来、当該技術分野で充分に発達しており、本発明においてもそれらに従ってよい。分配抽出のための溶媒の組み合わせとしては、酢酸エチルエステルと水との組み合わせ又は、n-ブタノールと水との組み合わせが好ましい。クロマトグラフィとしては、順相シリカゲル, 逆相ODSカラムクロマトグラフィーおよび逆相HPLCが挙げられるがこれらを適宜組み合わせて繰り返し行なうのがよい。
このようにして、モニエロサイドAを取得することができるが、取得の確認は、例えば、旋光度、又は、MSスペクトルによって行なうことができる。
モニエロサイドAの塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩が例示される。塩の製法は、当業者に自明である。モニエロサイドAのエステル類は、モニエロサイドAのフェノール性水酸基をカルボン酸、スルホン酸、又はホスホン酸でエステル化することにより得られる。エステル化は、自体公知の手段によって行なわれて良く、例えば、モニエロサイドAと上記酸の酸クロリドとを反応させることにより行なわれる。エステル残基としては、アルキルカルボニル、アルキルスルホニル、アルキルフォスフォリル等が挙げられ、アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル等のC1〜C4の低級アルキルが好ましい。
モニエロサイドAのエーテル類は、例えば、モニエロサイドA又はその薬理学的に許容される塩とハロゲン化物(例えば、ハロゲン化アルキル)とを反応させることにより得られる。上記エーテル化反応は従来充分確立されているので、本発明においてもそれに従ってよい。この場合におけるアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル等のC1〜C4の低級アルキルが好ましい。
上記反応及び反応混合物からの上記エステル類又はエーテル類の取得は、自体公知の手段によって行なわれて良く、例えば、モニエロサイドAと上記ハロゲン化物とを反応させ、分配抽出、濃縮、クロマトグラフィ、結晶化、再結晶等から適宜に選択又は組み合わせて目的物質を取得することができる。
〔医薬〕
本発明は、モニエロサイドA及びその誘導体を含有する医薬を提供する。モニエロサイドAは、アセチルコリンエステラーゼ阻害活性を有するため、食欲調節用の医薬、或いは、アルツハイマー型痴呆症用の医薬として使用することができる。また、モニエロサイドAは、AGEs生成抑制作用を有するため、老化肌防御、改善用の内服剤又は外用剤等の医薬として使用することができる。
本発明の医薬は、モニエロサイドA及びその誘導体を有効成分とし、医薬製剤の製造法として公知の方法(例えば、日本薬局方に記載の方法等)に従って、薬学的に許容される担体または添加剤を適宜配合して製剤化することができる。具体的には、例えば錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠、舌下錠、口腔内崩壊錠、バッカル錠等を含む)、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤(ソフトカプセル剤、マイクロカプセル剤を含む)、トローチ剤、シロップ剤、液剤、乳剤、懸濁剤、放出制御製剤(例、速放性製剤、徐放性製剤、徐放性マイクロカプセル剤)、エアゾール剤、フィルム剤(例、口腔内崩壊フィルム、口腔粘膜貼付フィルム)、注射剤(例、皮下注射剤、静脈内注射剤、筋肉内注射剤、腹腔内注射剤)、点滴剤、経皮吸収型製剤、軟膏剤、ローション剤、貼付剤、坐剤(例、肛門坐剤、膣坐剤)、ペレット、経鼻剤、経肺剤(吸入剤)、点眼剤等の経口剤または非経口剤が挙げられる。担体または添加剤の配合割合については、医薬分野において通常採用されている範囲に基づいて適宜設定すればよい。配合できる担体または添加剤は特に制限されないが、例えば、水、生理食塩水、その他の水性溶媒、水性または油性基剤等の各種担体;賦形剤、結合剤、pH調整剤、崩壊剤、吸収促進剤、滑沢剤、着色剤、矯味剤、香料等の各種添加剤が挙げられる。
錠剤、カプセル剤などに混和することができる添加剤としては、例えば、ゼラチン、コーンスターチ、トラガント、アラビアゴムのような結合剤、結晶性セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチェリーのような香味剤などが用いられる。調剤単位形態がカプセルである場合には、上記タイプの材料にさらに油脂のような液状担体を含有することができる。注射のための無菌組成物は通常の製剤業務(例えば有効成分を注射用水、天然植物油等の溶媒に溶解または懸濁させる等)に従って調製することができる。注射用の水性液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩化ナトリウムなど)などが用いられ、適当な溶解補助剤、例えば、アルコール(例、エタノール)、ポリアルコール(例、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤(例、ポリソルベート80TM、HCO−50)などと併用してもよい。油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが用いられ、溶解補助剤である安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどと併用してもよい。また、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤(例えば、ベンジルアルコール、フェノールなど)、酸化防止剤などと配合してもよい。
このようにして得られる製剤は安全で低毒性であるので、例えば、ヒトや他の哺乳動物(例えば、ラット、マウス、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して投与することができる。
本発明の医薬は、剤型、投与方法、担体等により異なるが、モニエロサイドA又はその誘導体を製剤全量に対して通常0.01〜100%(w/w)、好ましくは0.1〜95%(w/w)の割合で添加することにより、常法に従って製造することができる。
投与量は、投与対象、症状、投与ルートなどにより差異はあるが、経口投与の場合、一般的に例えば、体重約60kgのヒトにおいては、1日当たり約0.01〜1000mg、好ましくは約0.1〜100mg、より好ましくは約0.5〜50mgである。1日当たりの総投与量は、単一投与量であっても分割投与量であってもよい。
本発明の医薬は、他のアルツハイマー型痴呆症用の医薬、或いは、他の老化肌防御、改善用の内服剤又は外用剤等の医薬と組み合わせて使用することにより、相加的または相乗的な効果の向上が期待できる。
〔飲食品〕
本発明は、モニエロサイドA及びその誘導体を含有する飲食品を提供する。本発明の飲食品はモニエロサイドAが、アセチルコリンエステラーゼ阻害活性を有するため食欲調節用飲食品として好適であり、またモニエロサイドAが、AGEs生成抑制作用を有するため、老化肌防御、改善用飲食品として好適であり、飲食品には、健康食品、機能性食品、特定保健用食品、病者用食品が含まれる。飲食品の形態は特に限定されない。例えば茶飲料、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料等の飲料、そば、うどん、中華麺、即席麺等の麺類、飴、キャンディー、ガム、チョコレート、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、ジャム、クリーム、焼き菓子、パン等の菓子およびパン類、かまぼこ、ハム、ソーセージ等の水産・畜産加工食品、加工乳、発酵乳等の乳製品、サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂および油脂加工食品、ソース、たれ等の調味料、カレー、シチュー、丼、お粥、雑炊等のレトルトパウチ食品、アイスクリーム、シャーベット、かき氷等の冷菓などを挙げることができる。
本発明は、モニエロサイドA及びその誘導体を含有するサプリメントを提供する。本発明のサプリメントは、特に、食欲調節用サプリメント、或いは、老化肌防御、改善用サプリメントとして好適である。サプリメントは、例えば錠剤、顆粒剤、散剤、ドリンク剤等の形態で提供することができる。
本発明は、モニエロサイドA及びその誘導体を含有する食品添加物を提供する。本発明の食品添加物は、食欲調節用食品添加物、或いは、老化肌防御、改善用食品添加物として好適である。本発明の食品添加物の形態は特に限定されないが、例えば、液状、ペースト状、粉末状、フレーク状、顆粒状等が挙げられる。本発明の食品添加物は、一般的な食品添加物の製造方法に準じて製造することができる。さらに、モニエロサイドA及びその誘導体を含有する飼料または飼料添加物としても実施することができる。
本発明は、モニエロサイドA及びその誘導体を含有する化粧品を提供する。本発明の化粧品は、特に老化肌防御、改善用化粧品として好適である。化粧品には、いわゆる薬用化粧品(医薬部外品)が含まれる。化粧品としては、例えば、洗浄剤、シャンプー、リンス、ヘアートニック、ヘアーローション、アフターシェーブローション、ボディーローション、化粧ローション、クレンジングクリーム、マッサージクリーム、エモリエントクリーム、エアゾール製品、消臭剤、芳香剤、脱臭剤または入浴剤などを挙げることができる。本発明の化粧品は、本発明のレシチン以外に化粧品として一般に使用されている成分、例えば、界面活性剤、保湿剤、動植物由来油脂、シリコーン類、高級アルコール、低級アルコール、動植物由来抽出エキス、紫外線吸収剤、消炎剤、金属封鎖剤、ビタミン類、酸化防止剤、増粘剤、防腐剤、殺菌剤、pH調整剤、着色剤、各種香料などを目的に応じて適宜配合することができる。
<抽出、精製操作>
インド産オトメアゼナ (Bacopa monniera) の乾燥した全草(2.0kg)をメタノールで熱時(80℃)抽出した。抽出液を濾過し、残渣にメタノールを加え、同様の抽出操作を3回行った。メタノール抽出液を合わせて減圧下溶媒留去し、メタノール抽出エキス(608.82g、収率30.4%)を得た。
上記メタノール抽出エキス(608.82g)を酢酸エチル、n−ブタノール、及び水にて溶媒分配を行った。その結果、酢酸エチル画分(31.8g、収率4.8%)、n−ブタノール画分(57.94g、収率8.8%)、水画分(110.3g、収率16.8%)を得た。
そこで、酢酸エチル画分を順相シリカゲル、逆相ODSカラムクロマトグラフィー及び逆相HPLCで繰り返し分離精製し、その結果、新規化合物モニエロサイドA(Monieroside A)を得た.
なお、これらの化合物は,H−NMR及び13C−NMRスペクトルデータ、旋光度及びMSスペクトルにより同定した。
<モニエロサイドAの構造解析>
モニエロサイドAは負の旋光性([α]D 27 ‐3.9°、メタノール)を示す非結晶性粉末として得られた。IRスペクトルから水酸基(3415cm−1)、エステル(1705cm−1)及び芳香族(1609cm−1)の存在が示唆された。さらにpositive-ion FAB−MSにおいて擬似分子イオンピークがm/z 473 (M + Na)+ に観測され、高分解能FAB−MSから分子式C212211を有する化合物であることが判明した。
モニエロサイドAを5重量%水酸化カリウム水溶液で加水分解することにより、p−ヒドロキシ安息香酸を得、HPLCにて同定を行った、また、モニエロサイドAをさらに5重量%含水硫酸‐1,4‐ジオキサン(1:1)で酸加水分解したところ、D‐グルコ−スが確認された。構成糖の絶対立体配置を含めた同定は、トリチオカルバモイルチアゾリジン(tolylthiocarbamoyl thiazolidine)へと誘導し、HPLC分析することで行った[Tanaka T., Nakashima T., Ueda T., Tomii K., Kouno I., Chem. Pharm. Bull., 55, 899‐901 (2007)]。HMBC相関から、アグリコンの8位にグルコース、その2位にp−ヒドロキシ安息香酸が結合した構造であることが確認された。
以上の結果から、モニエロサイドAの上記化学構造[構造式(1)]を決定した。
<アセチルコリンエステラーゼ阻害活性評価>
アセチルコリンエステラーゼ阻害剤は、一般的にアルツハイマー症状に対する対症薬として用いられているが、中枢におけるコリンエステラーゼ阻害薬の主な副作用として、食欲不振、吐き気、嘔吐など消化器系の症状が共通しており、食欲の抑制傾向に働くことが一般的に知られている、一方、消化管付近では、分泌の少なくなったアセチルコリンの分泌を促進させ、消化管運動を亢進させることにより、食欲不振を改善する薬剤も知られており、アセチルコリン量を調節することにより、患者の容態によって食欲を調節できると考えられる。
モニエロサイドAについて、アセチルコリンエステラーゼ阻害作用を検討したところ、表1に示すような結果が得られ、有意な抑制作用が認められた。このことから、モニエロサイドAは食欲を有意に調節すると考えられ、食欲調節用の医薬等への有用性が支持されている。また、この作用から、上記のアルツハイマー治療薬としての有用性も支持されている。
<AGEs生成抑制作用>
近年、「抗老化」を目的とした新たな化粧品原料の開発が行われており、特に、タンパク質の糖化反応の反応生成物であるAGEsが老化に関与する物質として注目されており、この生成反応を抑える物質の探索が広くおこなわれている。今回、オトメアゼナのエキスおよび新規成分モニエロサイドAのAGEs生成抑制作用について検討を試みた。具体的な実験手順は、以下の通りである。
BSA溶液[牛血清アルブミン(ナカライテスク製)20mg/mL、アジ化ナトリウム(Sigma Ardrich製)2mg/mL]100μLと、D−グルコース溶液(濃度:250mg/mL)80μL及び調整したサンプル20μLを混和した。これを60℃で72時間反応させた後、96ウェルマイクロブラックプレート(Nunc)に移し、蛍光強度を測定した(Ex:355nm、Em:440nm)。同時に作成しておいた反応生成物にサンプルを加えた後、 蛍光強度を測定し、サンプルによる蛍光クエンチ能力も測定し、反応阻害率の補正を行った。表2はメタノールエキス及び各画分のAGEs阻害活性、表3はモニエロサイドAのAGEs阻害活性を示すものである。
一方、AGEsの生成を抑制する物質として広く知られている塩酸アミノグアニジンを対照物質として同様の試験を実施したところ、同一の実験条件における100μg/mLでの生成阻害率は29%であった。このことから、オトメアゼナのメタノール抽出エキスおよび各抽出エキス、及び新規成分モニエロサイドAはAGEsの生成を強力に抑制し、様々な生体内老化現象の抑制に寄与し得ることが判った。
ゴマノハグサ科オトメアゼナ (Bacopa monniera)より取得したモニエロサイドA及びその誘導体はアセチルコリンエステラーゼ阻害活性やAGEs生成抑制活性等の生理活性を有するため、化粧品や食品添加物、サプリメント又は健康食品、医薬品分野等への産業分野への広範な利用が可能である。

Claims (1)

  1. 下記構造式(1)
    で表される化合物、又は、その薬理学的に許容し得る塩、その1または2以上の水酸基がアシル化されているエステル化物若しくはその1または2以上の水酸基がエーテル化されているC1〜C4アルキルエーテル化物。
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