JP5699475B2 - コニフェリルアルコール重合化合物又は薬学的に許容可能な塩の製造方法 - Google Patents

コニフェリルアルコール重合化合物又は薬学的に許容可能な塩の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、コニフェリルアルコール重合化合物又は薬学的に許容可能な塩の製造方法に関するものである。また、該コニフェリルアルコール重合化合物又は薬学的に許容可能な塩を含む抗癌剤、食品又は医薬品に関するものである。
コニフェリルアルコールは植物の二次代謝産物の一つであり、例えば樹木の主成分であるリグニンやリグナンの前駆体となる。また他の多くの植物成分の前駆体にもなっており、天然界に比較的多く存在する成分である。松樹皮や安息香に含有することが知られており、食経験があり人に対する安全性も比較的高い成分である。コニフェリルアルコール自体には優れた薬理作用等の特筆すべき有用性はないものの、コニフェリルアルコールを原料として、食品原料や香粧品原料等多種の有用成分が作り出されている。例えば、香料として多用されているバニリンをコニフェリルアルコールから効率的に製造する方法(特許文献1、特許文献2)、コニフェリルアルコールをペルオキシダーゼと過酸化水素を含有する水溶液と接触せしめて得られる突然変異抑制剤(特許文献3)、トウガラシ類に含まれる交感神経の活性化剤であるコニフェリル誘導体をコニフェリルアルコールから製造する方法(特許文献4)等が開示されている。
このように、原料としてのコニフェリルアルコールの用途は広いため、植物から得るだけではなく人工的に効率的に製造する技術も知られている。例えば、新規酵素を用いたコニフェリルアルコール等のp−ヒドロキシベンズアルデヒド誘導体等の製造方法(特許文献5)、バニリルアルコールオキシダーゼをコードする遺伝子を含んだ酵母によりコニフェリルアルコール等を産生する方法(特許文献6)等が挙げられる。
すなわち、原料としてのコニフェリルアルコールの価値の高さから、効率的なコニフェリルアルコールの製造方法は進歩しており、このような現状ではコニフェリルアルコールを用いた新規素材の開発やコニフェリルアルコールを用いた素材の更なる用途拡大が望まれている。
一方、フェルラ酸コニフェリルエステルから、白金や鉛を触媒とした脱炭酸反応により、コニフェリルアルコールどうしを重合した化合物(コニフェリルアルコール重合化合物)を化学的に合成する方法が知られている(非特許文献1)。しかしながら、コニフェリルアルコールから製造する技術やその可能性については一切の記述が無く、単に有機化学分野での反応機構面での新知見として紹介されているのみである。また、前記のようにコニフェリルアルコール重合化合物については、非特許文献1以降の文献等には示されたものはなく、さらなる知見は長らく不明であった。
特開平5−244965号公報 特開2000−290215号公報 特許第2559679号 特開2007−210969号公報 特開平10−234363号公報 特表2009−528041号公報
CHEMISTRY LETTERS,659−662(1977)
本発明者らは、コニフェリルアルコールやコニフェリルアルコール重合化合物に関する前記の状況を鑑みて、新規な生理活性を有するコニフェリルアルコール関連化合物の探索と、その製造方法を確立すべく鋭意検討した結果、驚くべきことにコニフェリルアルコールをアルカリ条件下で加熱処理することで、前記式(1)で示したコニフェリルアルコール重合化合物を生成できることを初めて見出し、さらに該前記式(1)で示したコニフェリルアルコール重合化合物が原料であるコニフェリルアルコールには認められない優れた抗癌活性を有することを明らかにし、本発明を完成するに至った。
したがって、本発明は、優れた抗癌活性を有する前記式(1)で示したコニフェリルアルコール重合化合物又は薬学的に許容可能な塩を効率よく製造する方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、前記前記式(1)で示したコニフェリルアルコール重合化合物又はその薬学的に許容可能な塩を含有する抗癌剤、さらには前記前記式(1)で示したコニフェリルアルコール重合化合物又はその薬学的に許容可能な塩を含有する食品又は医薬品を提供することを目的とする。
本発明の要旨は、
〔1〕コニフェリルアルコールをアルカリ条件下で加熱処理することにより下記式(1)で表されるコニフェリルアルコール重合化合物を生成することを特徴とする式(1)で表されるコニフェリルアルコール重合化合物又は薬学的に許容可能な塩の製造方法、
〔2〕前記式(1)で表されるコニフェリルアルコール重合化合物又はその薬学的に許容可能な塩からなる抗癌剤、
〔2〕前記式(1)で表されるコニフェリルアルコール重合化合物又はその薬学的に許容可能な塩を含有することを特徴とする食品又は医薬品、
に関する。
本発明により、前記のように生理活性に優れたコニフェリルアルコール重合化合物及びその薬学的に許容可能な塩を効率よく安全に製造することができる。
本発明に用いられるコニフェリルアルコール重合化合物及びその薬学的に許容可能な塩は、コニフェリルアルコールと比べて、抗癌活性が高いことから、優れた抗癌剤を提供することができる。
また、本発明のコニフェリルアルコール重合化合物及びその薬学的に許容可能な塩は、前記のような生理活性に優れることに加えて、安全性にも優れることから、食品又は医薬品に配合することができる。
図1は、実施例1で行ったHPLCの分析結果を示すクロマトグラムである。上図が加熱後溶液、下図が加熱前溶液の結果であり、「※」がコニフェリルアルコール重合化合物のピークを示す。 図2は実施例3の細胞増殖抑制試験より得られた結果を示すグラフである。 図2の縦軸は細胞生存率を、横軸は各試料の濃度を示している。 図3は実施例4のDNAラダー法より得られた電気泳動の結果であり、アポトーシス誘導能を示したものである。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の抗癌剤における有効成分であるコニフェリルアルコール重合化合物は、式(1):
で表される構造式を有する。
本発明では、前記式(1)で表されるコニフェリルアルコール重合化合物は、薬学的に許容可能な塩でもよい。薬学的に許容可能な塩としては、例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩; マグネシウム塩、カルシウム塩、バリウム塩等のアルカリ土類金属塩; アルミニウム塩;アルミニウムヒドロキシド塩等の金属ヒドロキシド塩; アルキルアミン塩、ジアルキルアミン塩、トリアルキルアミン塩、アルキレンジアミン塩、シクロアルキルアミン塩、アリールアミン塩、アラルキルアミン塩、複素環式アミン塩等のアミン塩;α−アミノ酸塩、ω−アミノ酸塩等のアミノ酸塩;ペプチド塩又はそれらから誘導される第1級、第2級、第3級若しくは第4級アミン塩等が挙げられる。これらの薬理的に許容し得る塩は、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
前記式(1)で表されるコニフェリルアルコール重合化合物又は薬学的に許容可能な塩(以下、本発明品中の有効成分であるコニフェリルアルコール重合化合物と略する)は、前駆体であるコニフェリルアルコールには認められない強い抗癌活性を有する化合物である。
本発明品中の有効成分であるコニフェリルアルコール重合化合物は、コニフェリルアルコールを含有する組成物を、アルカリ条件下で加熱処理することで、生成することができる。
本発明品中の有効成分であるコニフェリルアルコール重合化合物は、コニフェリルアルコール以外の原料を用いて化学合成することも可能である。例えば、非特許文献1で示されているように、フェルラ酸コニフェリルエステルから白金や鉛を触媒として脱炭酸反応により化学的に合成することができる。しかし、この化学合成法では反応には白金や鉛からなる触媒が不可欠であり、食可能な素材を製造する方法としては決定的な欠点がある。また、前駆体として比較的入手が困難なフェルラ酸コニフェリルエステルが必要であり、産業化するには大きな制約がある。仮に本化学合成手法でコニフェリルアルコール重合化合物を製造する場合には、有害な触媒や溶媒、反応副産物等の不純物を除去するための徹底した精製工程が必要であり、産業化する上でコスト面において大きな障害がある。これに対して、本発明の製造方法は、フェルラ酸コニフェリルエステルよりも安価に入手できるコニフェリルアルコールをアルカリ条件下で加熱処理する工程を有するものであり、有害な試薬や、危険な工程を必要としない効率的で安全な製造方法である。
本発明の製造方法では、コニフェリルアルコール重合化合物の前駆体としてコニフェリルアルコールが必要である。コニフェリルアルコールは、天然由来のものであっても、化学合成された純度の高い化成品であっても良い。天然由来のコニフェリルアルコールを用いる場合は、完全に精製されたものである必要はなく、その後の所望の反応が進み最終的にコニフェリルアルコール重合化合物が得られるから、混合物であっても問題ない。ただし、回収量の観点からは、コニフェリルアルコールが5重量%以上含有された混合物が原料として望ましい。このような原料としては、機能性原料としても使用される松樹皮エキスや、廃棄されるような樹皮の抽出液や樹皮の分解処理物等の樹木由来エキス、安息香、あるいは先行技術に示されるような微生物発酵による培養液等が挙げられる。
コニフェリルアルコールの純品、あるいはコニフェリルアルコール含有混合物を、適切な溶媒に溶解させる。この際、溶媒が水のみであればコニフェリルアルコールの溶解度が著しく低いために、水と有機溶媒の混液や、有機溶媒のみに溶解させればよい。水と有機溶媒の配合比や、有機溶媒の種類に特に制限はなく、コニフェリルアルコールが十分に溶解すれば良い。望ましくは、メタノールやエタノールのみか、水とメタノール、水とエタノールの混液を使用することが、安全性やコスト面から望ましい。最終的な精製を十分に適用せずに食品に使用する場合には、安全性や法規面からエタノールや含水エタノールの使用が望ましい。
上記で得られたコニフェリルアルコール含有溶液を、アルカリ性に調整する。例えば、コニフェリルアルコール含有溶液を調製した後に試薬を添加しpHを調整しても良いし、前述のコニフェリルアルコール含有溶液の調製時に前もって溶媒のpHを調整しておいても良い。pHは最終的に8.0以上であれば反応が進むが、pH13.0を越えると反応と同時に、他の反応や目的化合物の分解も一方で生じるために最終的な回収量が低下する。したがって、反応開始時のpHは8.0〜13.0が望ましい。コニフェリルアルコールの濃度に制限はなく、反応前に十分に溶解していなくとも反応時に溶解することがある。コニフェリルアルコールの濃度が高いほど、溶媒使用量が少ない等のメリットもあるため、前記濃度は各々の溶媒に対しコニフェリルアルコールが飽和する濃度近辺が好ましい。
コニフェリルアルコール含有溶液をアルカリ性に調整するために使用できるアルカリに特に制限はないが、安全性、効率及びコスト面からは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム等が望ましい。反応時のpH変化を極力抑える場合が生じた際には、緩衝溶液を用いても良いが、必ずしも必要な手法ではない。
アルカリ性に調整されたコニフェリルアルコール含有溶液は、加熱される。所望の反応を効率的に進ませるために、加熱温度は70℃以上が必要である。溶媒の沸点から考え、加圧加温が望ましい。開放容器にコニフェリルアルコール含有溶液を入れ高温で容器を加温する、密閉容器にコニフェリルアルコール含有溶液を入れ加温する、レトルト装置やオートクレーブを用いて加圧加温する等、少なくとも部分的に溶液温度が70℃以上に達することが必要である。回収効率面から、溶液温度が均一に80℃〜150℃になることが、さらに好ましい。150℃を越えると回収効率が低く適さない。加熱時間も加熱温度と同様に限られたものではなく、効率的に目的の反応が進行する時間条件とすればよい。特に、加熱時間は加熱温度との兼ね合いによるものであり、加熱温度に応じた加熱時間にすることが望ましい。例えば、110℃付近で加熱する場合は、5分〜60分の加熱時間が望ましい。また、加熱反応は、一度でも良いし、複数回に分けて繰り返し加熱しても良い。効率面から判断すればよい。
前記のアルカリ条件で加熱処理することでコニフェリルアルコールがアルカリ処理されて、前記式(1)で表されるコニフェリルアルコール重合化合物又は薬学的に許容可能な塩を含有した混合物が得られる。安全な原料のみを用いた工程で得られた場合には、混合物の状態で使用することが可能である。例えば、天然由来のコニフェリルアルコールを含水エタノール溶媒に溶解し、水酸化ナトリウムや炭酸水素ナトリウムでpH調整を行い、加熱反応させた場合には、混合物として食品原料の一つとして使用が可能である。
風味面での改良やさらなる高機能化を望む場合は、前記式(1)で表されるコニフェリルアルコール重合化合物又は薬学的に許容可能な塩を濃縮して濃度を高める、あるいは精製し純品を得ることができる。濃縮、精製は、公知の方法で実施可能である。クロロホルム、酢酸エチル、エタノール、メタノール等の溶媒抽出法や炭酸ガスによる超臨界抽出法等で抽出して濃縮できる。カラムクロマトグラフィーを利用して濃縮や精製を施すことも可能である。再結晶法や限外ろ過膜等の膜処理法も適用可能である。最後に減圧乾燥や凍結乾燥により溶媒除去すると、粉末状の前記式(1)で表されるコニフェリルアルコール重合化合物又は薬学的に許容可能な塩の純品を得ることができる。
前記式(1)で表されるコニフェリルアルコール重合化合物又は薬学的に許容可能な塩は、後述のように、優れた抗癌活性を有するために、本化合物を有効成分として含有する抗癌剤を提供することができる。また、前記抗癌剤では、他の有効成分を含有しても良い。
また、前記式(1)で表されるコニフェリルアルコール重合化合物又は薬学的に許容可能な塩は、前記抗癌効果を目的として、液状、ペースト状、ゲル状、及び固形状の食品又は医薬品等として使用することができる。
例えば、食品の場合には、水、アルコール、澱粉質、蛋白質、繊維質、糖質、脂質、ビタミン、ミネラル、着香料、着色料、甘味料、調味料、安定剤、防腐剤のような食品に通常配合される原料又は素材と組み合わせて、また医薬品の場合には、担体、賦形剤、希釈剤、安定剤と組み合わせて、前記式(1)で表されるコニフェリルアルコール重合化合物又は薬学的に許容可能な塩を使用することが出来る。特に、本化合物の生理活性分野を考慮すると、癌予防・癌治療等の健康維持増進、さらには疾病治癒分野において用いることが好ましい。
前記式(1)で表されるコニフェリルアルコール重合化合物又は薬学的に許容可能な塩が持つさらなる効果効能は、得られた生理活性データより類推できる範囲で使用できる。
前記式(1)で表されるコニフェリルアルコール重合化合物又は薬学的に許容可能な塩を医薬用途で使用する場合、例えば、本化合物の摂取量は、所望の改善、治療又は予防効果が得られるような量であれば特に制限されず、通常その態様、患者の年齢、性別、体質その他の条件、疾患の種類並びにその程度等に応じて適宜選択される。1日当たり約0.1mg〜1,000mg程度とするのがよく、これを1日に1〜4回に分けて摂取することができる。
前記式(1)で表されるコニフェリルアルコール重合化合物又は薬学的に許容可能な塩は、機能性食品、健康食品、健康志向食品等の食品に使用することができる。食品の形態としては、例えば、飲料、アルコール飲料、ゼリー、菓子等、どのような形態でもよく、例えば、菓子類の中でも、その容量等から保存や携帯に優れた、ハードキャンディ、ソフトキャンディ、グミキャンディ、タブレット等が挙げられるが、特に限定はない。
また、前記式(1)で表されるコニフェリルアルコール重合化合物又は薬学的に許容可能な塩を医薬品又は食品として経口から投与又は摂取する場合には、常法に基づいて、錠剤、丸剤、カプセル剤、細粒剤、顆粒剤等としてもよい。錠剤、丸剤、顆粒剤、顆粒を含有するカプセル剤の顆粒は、必要により、ショ糖等の糖類、マルチトール等の糖アルコールで糖衣を施したり、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等でコーティングを施したりすることもできる。又は胃溶性もしくは腸溶性物質のフィルムで被覆してもよい。また、製剤の溶解性を向上させるために、公知の可溶化処理を施すこともできる。常法に基づいて、注射剤、点滴剤に配合して使用してもよい。
前記の医薬品又は食品は、安全性に優れたものであるので、ヒトに対してだけでなく、例えば、非ヒト動物、例えば、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、サル、チンパンジー等の哺乳類、鳥類、両生類、爬虫類等の治療剤又は飼料に配合してもよい。
次に、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はかかる実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例1:コニフェリルアルコール重合化合物の生成)
コニフェリルアルコール(和光純薬)500mgを10mlのエタノールに溶解し、5%NaHCO3水溶液10mlを加えて得られた混合液(pH9.4)をオートクレーブ(SANYO LABO AUTOCLAVE)にて110℃、20分間加熱した。得られた反応後組成物1mlをメタノールにて50mlにメスアップし、このうちの10μlをHPLCにより分析した。
HPLC分析は以下条件にて行った。
カラム:逆相用カラム「Develosil(登録商標)C−30−UG−5」(4.6mmi.d.×250mm)
移動相:A・・・H2O(0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)), B・・・アセトニトリル(0.1%TFA)
流速:1ml/min
注入:10μl
検出:254nm
勾配(容量%):80%A/20%Bから20%A/80%Bまで30分間、20%A/80%Bから100%Bまで5分間、100%Bで10分間(全て直線)
得られたクロマトグラムを図1に示す。図1の上図が示すように、上記の反応後溶液中に、増大したピークがいくつか確認されたことから、複数の化合物が生成されていることが確認された。中でも、※のピークで示された化合物は、図1の下図が示すように反応前溶液には存在が見られないことから、上記の反応により多量に生成されていることがわかる。
(実施例2:コニフェリルアルコール重合化合物の単離・構造決定)
実施例1で得られた反応物における図1の※で示したピークに含まれる化合物1を分取HPLCにより単離した。常法に従って、乾燥したところ、赤色粉末状の化合物1が30mg得られた。
次いで、前記化合物1の分子量を高分解能電子イオン化質量分析法(Electron Ionization−Mass Spectrometry)にて測定したところ、測定値は312.3593であり、理論値との比較から、以下の分子式を得た。
理論値C19H20O4(M+): 312.3597
分子式C19204
次に、前記化合物1を核磁気共鳴(NMR)測定に供し、1H−NMR、13C−NMR及び各種2次元NMRデータの解析から、化合物1が前記式(1)で表される構造を有することを確認した。このことから、式(1)で表されるコニフェリルアルコール重合化合物は本発明の方法で効率的に生成できることが示された。
なお、NMR測定値について、式(1)で表される化合物1の各部位を
とし、1H核磁気共鳴スペクトル、13C核磁気共鳴スペクトルをそれぞれ表1で示す。
値はδ、ppmで、Methanol−d3で測定した値である。
また、化合物1の物理化学的性状は、以下のようになった。
(性状)
赤色粉末
(溶解性)
水: 不溶
メタノール: 可溶
エタノール: 可溶
DMSO: 可溶
クロロホルム: 可溶
酢酸エチル: 可溶
(実施例3:化合物1の抗癌作用)
次に癌細胞に対する各化合物の効果を見るため、HL−60細胞(Human promyelocytic leokemiacells:ヒト骨髄球性白血病細胞)を用いた癌細胞増殖抑制作用について試験した。
HL−60細胞の培養には、4mMグルタミン(L−Glutamine SIGMA)、10%FBS(Foetal Bovine Serum Biological industries)を含む高栄養培地RPMI−1690(SIGMA)を使用した。試験には細胞培養用96ウェルプレート(Corning)を用い、5×105cells/mlとなるように細胞数を調整したHL−60細胞を1ウェルあたり100μlずつ播種した。
試料は、コニフェリルアルコール(和光純薬)と、本発明品である化合物1との2種類を用いた。試料調製については、各々の化合物をDMSO(ジメチルスルホキシド、和光純薬)にて溶解し、HL−60細胞培養液中の最終濃度がそれぞれ6.3μM、12.5μM、25μM、50μM、及び100μMとなるように調整し、試験を開始した。
生存細胞数の定量はCell counting kit−8(DOJINDO)を用いたMTT法にて行った。試験開始より24時間後、各ウェルにCell counting kit−8溶液を10μl添加し、よく攪拌した。1時間の遮光反応後にプレートリーダー(BIO−RAD Model 680)を用いて測定波長450nmの吸光度測定を行い、得られたデータをもとに細胞生存率を算出した(図2)。細胞生存率とは、溶媒であるDMSOのみを添加した培養液の生存細胞数を100%とし、各化合物の濃度下における細胞の生存細胞数を相対値として算出した値である。各化合物濃度と細胞生存率の関係から、細胞増殖を50%抑制する濃度IC50(50%阻害濃度:half maximal inhibitory concentration)を算出した(表2)。これらの結果から、化合物1には、強い癌細胞増殖抑制能が認められた。この効果は、コニフェリルアルコールには全く認められず、コニフェリルアルコールをコニフェリルアルコール重合化合物に変換する有意性が強く示唆された。
(実施例4:化合物1の抗癌作用)
次いで、抗癌作用の試験を、HL−60細胞を用いて実施した。HL−60細胞を5.0×105cells/mlとなるように100mmスタンダードディッシュ(BD Falcon)に播種し、DMSOにて調整したコニフェリルアルコールとコニフェリルアルコール重合化合物をそれぞれ25μM、50μM、100μMとなるように添加した。24時間培養を行い、回収した細胞をPBS(Dulbecco's PBS(−) Wako)にて洗浄し、既知のDN
A抽出法を用いて細胞からDNAを抽出した。得られたDNAサンプルを1%アガロースゲル(Takara agarose)に200ng/wellとなるようにアプライした。電気泳動を行い、染色反応はエチジウムブロマイド(Ethidium Bromide Solution BIO−RAD)を用いて行った。
得られた結果を図3に示す。
図3は、各試料のDNA抽出物の電気泳動写真であり、電流は上から下に流されている。レーン左より、通常培養細胞(第1レーン)、DMSO処理(第2レーン)、コニフェリルアルコール25μM処理(第3レーン)、同50μM処理(第4レーン)、同100μM処理(第5レーン)、化合物1 25μM処理(第6レーン)、同50μM処理(第7レーン)、同100μM処理(第8レーン)、DNA分子量マーカーλ/Pst(第9レーン)を流した。無添加の培養細胞(第1レーン)及びDMSO処理細胞(第2レーン)ではDNAラダーが確認されないことから、本実験の信頼性が確認できる。
また、化合物1を50μM以上で処理した細胞(第7、第8レーン)にてDNAのラダー化が観察できるのに対して、同濃度のコニフェリルアルコールではDNAのラダー化は観察されなかった(第4、第5レーン)。これより、化合物1はアポトーシスを誘導する高い効果を有し、その効力はコニフェリルアルコールよりも顕著に高いことが示された。
したがって、化合物1は優れた抗癌作用を奏することから、抗癌剤としら、さらには癌予防剤として有用であると考えられる。
(実施例5:加熱温度による化合物1の生成量の違い)
コニフェリルアルコール100mg、エタノール1ml、5%NaHCO3水溶液1mlの混合溶液(pH9.4)を、オートクレーブにて70℃、90℃、110℃、130℃の各温度条件で20分間加熱した。それぞれの温度条件で得られた反応後組成物1mlをメタノールにて50mlにメスアップし、実施例1と同様にHPLCにより分析した。
その結果、いずれの条件下においても化合物1の生成は確認できた。コニフェリルアルコールから化合物1の生成比率は70℃でごく僅か、90℃で1重量%、110℃で6重量%、130℃で3重量%であった。すなわち、110℃での加熱が最も効率的であった。
(実施例6:化合物1含有エキスの調製)
松樹皮エキス10g、エタノール10ml、5%NaHCO3水溶液を10ml加えて調製した混合溶液(pH9.0)をオートクレーブにて110℃、20分間加熱した。得られた反応溶液を減圧加熱させて乾固し、エキスを6g得た。得られたエキス(以下「化合物1含有エキス」という)6g中には、実施例5と同様に定量したところ、化合物1が0.025g含有されていた。必要に応じてこの作業を繰り返した。
(実施例7:化合物1を含有する食品)
実施例6で得た化合物1含有エキス1gをあらかじめ100mLのエタノールに溶解させ、これに砂糖500g、水飴400gを混合溶解し、生クリーム100g、バター20g、練乳70g、乳化剤1.0gを混合した後、真空釜にて−550mmHg減圧させ、115℃の条件下で濃縮し、水分値3.0重量%のミルクハードキャンディを得た。本品は、菓子として食べ易いものであることはもちろん、癌患者における癌の拡散のリスクを低減したり、癌の発症のリスクを低減したり、癌の予防を期待した機能性食品としても利用できる。
(実施例8:化合物1を含有する医薬品)
実施例1及び2と同様の方法で得た化合物1をエタノールに溶解し、これを微結晶セルロースに吸着させた後に、減圧乾燥させた。これを常法に従い、打錠品を得た。処方は、化合物1を10重量部、コーンスターチ23重量部、乳糖12重量部、カルボキシメチルセルロース8重量部、微結晶セルロース32重量部、ポリビニルピロリドン4重量部、ステアリン酸マグネシウム3重量部、タルク8重量部の通りである。本打錠品は、癌の治癒を目的とする医薬品として有効に利用できる。

Claims (3)

  1. コニフェリルアルコールをアルカリ条件下で加熱処理することにより下記式(1)で表されるコニフェリルアルコール重合化合物を生成することを特徴とする式(1)で表されるコニフェリルアルコール重合化合物又は薬学的に許容可能な塩の製造方法。
  2. 下記式(1)で表されるコニフェリルアルコール重合化合物又はその薬学的に許容可能な塩からなる抗癌剤。
  3. 下記式(1)で表されるコニフェリルアルコール重合化合物又はその薬学的に許容可能な塩を含有することを特徴とする食品又は医薬品。
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