JP6365272B2 - 画像形成方法 - Google Patents

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本発明は、画像形成方法に関する。
インクジェット記録方法は、簡易かつ安価に画像を形成できることから、各種印刷分野で用いられている。インクジェット記録方法の一つとして、活性エネルギー線の照射によって硬化する特性を有するインクジェットインク組成物(以下、単に「インクジェットインク」ともいう。)の液滴を記録媒体に着弾させた後、活性エネルギー線を照射してインクジェットインクを硬化させて画像を形成する方法がある。活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物を用いると、インク吸収性のない非吸収性の記録媒体においても、高い耐擦過性および密着性を有する画像を形成することができる。
近年では、非吸収性の記録媒体へのインクの密着性をより高めるため、記録媒体およびインクジェットインクの両方に対して密着性を有し、かつエネルギー線を照射されて硬化する特性を有するプライマー組成物(以下、単に「プライマー」ともいう。)をインクジェットインクの吐出前に記録媒体に塗布してプライマー層を形成し、その上にインクジェットインクを塗布してインク層を形成する、画像形成方法が開発されている。
たとえば、特許文献1には、ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類を含有するプライマーを記録媒体に付着させて硬化させてなるプライマー層を形成し、プライマー層の上に、プライマーよりも表面張力が小さいインクジェットインクを重ね塗りすることで、インクジェットインクの濡れ広がり性が良好になり、形成した画像の画質がよくなると記載されている。
特開2013−177530号公報
本発明者らの検討によると、引用文献1に記載の方法では、硬化したプライマー層の上でのインクジェットインクの濡れ広がり性を向上させることはできるものの、記録媒体へのプライマー層の密着性が乏しかった。そのため、良好な画質の画像を形成しても、硬化したプライマーおよびインクジェットインクが記録媒体から剥がれ落ちやすく、画像の耐久性に問題があった。
上記の問題に鑑み、本発明は、プライマー層の上にインクジェットインクを着弾させて画像を形成する方法において、プライマー層上でのインクジェットインクの濡れ広がり性が良好であり、かつ形成された画像の記録媒体への密着性も高い画像を形成することができる方法を提供することをその目的とする。
本発明は、以下の画像形成方法に関する。
[1]記録媒体を構成する非吸収性の記録部分に活性光線を照射されて硬化するインク組成物を付着させる工程、記録媒体上に付着させた前記インク組成物に活性エネルギー線を照射してプライマー層を形成する工程、活性光線を照射されて硬化するインクジェットインク組成物の液滴をインクジェットヘッドから吐出して前記プライマー層の上に着弾させる工程、および前記着弾した前記インクジェットインク組成物に活性エネルギー線を照射してインク層を形成し、前記インクジェットインク組成物が硬化してなる画像を形成する工程、を含む画像形成方法であって、
前記インク組成物は、第1のラジカル重合性化合物、ビニルエーテル化合物および第1の光ラジカル重合開始剤を含有するインク組成物であり、前記インクジェットインク組成物は、第2のラジカル重合性化合物および第2の光ラジカル重合開始剤を含有するインクジェットインク組成物であり、
前記第1のラジカル重合性化合物のlogP値は2.5以上であり、
前記ビニルエーテル化合物は複数のビニルエーテル基を有し、
前記インク組成物は、前記インク組成物の全質量に対して、10質量%以上70質量%の前記第1のラジカル重合性化合物、および3質量%以上40%質量以下の前記ビニルエーテル化合物、を含有することを特徴とする画像形成方法。
[2]前記インク組成物は、前記インク組成物の全質量に対して10質量%以上50質量%以下の3官能以上の(メタ)アクリレートを含有することを特徴とする[1]に記載の画像形成方法。
[3]前記ビニルエーテル化合物はエチレンオキサイド変性物であり、
前記第2のラジカル重合性化合物は、前記インクジェットインク組成物の全質量に対して30質量%以上70%質量%以下の、エチレンオキサイド構造を3〜14個有する化合物を含むことを特徴とする[1]または[2]に記載の画像形成方法。
[4]前記インクジェットインク組成物は、前記インクジェットインク組成物の全質量に対して0.5質量%以上10質量%の、炭素数14以上の直鎖状または分岐状の炭素鎖を有する疎水性化合物をさらに含有することを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の画像形成方法。
[5]前記疎水性化合物は、脂肪族ケトン化合物、脂肪族エステル化合物、高級脂肪酸、高級アルコールおよびアミド化合物からなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする[4]に記載の画像形成方法。
[6]前記インクジェットインク組成物の液滴を前記プライマー層に着弾させる工程と同時にまたはその前に、前記形成されたプライマー層の表面温度を30℃以上70℃以下に制御する工程をさらに含むことを特徴とする、[4]または[5]に記載の画像形成方法。
本発明によれば、プライマー層上でのインクジェットインクの濡れ広がり性が良好であり、かつ形成された画像の記録媒体への密着性も高くなるような、画像形成方法が提供される。
本発明の画像形成方法は、記録媒体を構成する非吸収性の記録部分にインク組成物(以下、単に「第1のインク」ともいう。)を付着させる工程、記録媒体上に付着させた第1のインクに活性エネルギー線を照射してプライマー層を形成する工程、インクジェットインク組成物(以下、単に「第2のインク」ともいう。)の液滴をインクジェットヘッドから吐出して前記プライマー層の上に着弾させる工程、および前記着弾した第2のインクに活性エネルギー線を照射してインク層を形成し、前記第2のインクが硬化してなる画像を形成する工程、を含む。
第1のインクは、第1のラジカル重合性化合物、ビニルエーテル化合物および第1の光ラジカル重合開始剤を含有し、第2のインクは、第2のラジカル重合性化合物および第2の光ラジカル重合開始剤を含有する。第1のインクは、インクの全質量に対して10質量%以上70質量%以下の前記第1のラジカル重合性化合物、およびインクの全質量に対して3質量%以上40質量%以下の前記ビニルエーテル化合物を含有する。
第1のインクはプライマーであり、例えば、第1のインクを記録媒体上に付着させ、付着した第1のインクに活性エネルギー線を照射して硬化または半硬化させることで、プライマー層を形成することができる。第2のインクはインクジェットインクであり、第2のインクをプライマー層の上に着弾させ、着弾した第2のインクに活性エネルギー線を照射して硬化させることで、インク層を形成することができる。
1.記録媒体を構成する非吸収性の記録部分に第1のインクを付着させる工程
この工程では、記録媒体を構成する非吸収性の記録部分に第1のインクを付着させる。第1のインクは、バーコート、スプレーコート、カーテンコート、ロールコート、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、凸版および凹版等の版を用いる方法ならびにインクジェット等の版を用いない方法等により、記録部分に付着させることができる。これらのうち、作業が容易であることおよび均一な付着が可能になることから、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、バーコートまたはロールコートによってプライマーを付着させることが好ましい。
付着される第1のインクの量は、次の工程で形成されるプライマー層の膜厚が、プライマー層およびインク層が記録媒体から剥がれ落ちにくい範囲、たとえば、1〜7μm、になるように調整することが好ましい。
1−1.第1のインク
第1のインクは、第1のラジカル重合性化合物、ビニルエーテル化合物および第1の光ラジカル重合開始剤を含有する。第1のインクは、本発明の効果が得られる範囲において、その他の成分を含んでもよい。
1−1−1.第1のラジカル重合性化合物
第1のラジカル重合性化合物は、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する、logP値が2.5以上である化合物である。第1のラジカル重合性化合物は、モノマー、オリゴマー、ポリマーあるいはこれらの混合物のいずれであってもよい。第1のラジカル重合性化合物は、第1のインク中に、1種のみが含有されていてもよく、2種類以上が含有されていてもよい。
第1のラジカル重合性化合物のlogP値は、2.5以上であり、かつ、後述するビニルエーテル化合物が溶解できる範囲であればよい。
LogP値は、1−オクタノール/水の分配係数の対数値であり、一般に有機化合物の親水性/疎水性の相対的評価に用いられる数値である。LogP値は、化合物の構造から精度よく推定することができる。本発明におけるLogP値は、それぞれの化合物の構造を米国のEnvironmental Protection Agencyが提供するEcosar v1.00aに入力することで算出される値を採用する。ClogP値は、Chem 3D Ultra 7.0を市販のパーソナルコンピュータにインストールして、化合物の構造を代入することにより、上記ClogP値を十分高速に算出させることができる。
第1のラジカル重合性化合物はlogP値が2.5以上であり、疎水性の傾向を示す化合物である。そのため、第1のラジカル重合性化合物は、同じく疎水性である記録媒体、特にはプラスチックで構成される非吸収性の記録媒体(以下、単に「プラスチック基材」ともいう。)、への第1のインクの親和性を高めることができると考えられる。
第1のラジカル重合性化合物の含有量は、第1のインクの全質量に対して10質量%以上70質量%以下である。第1のラジカル重合性化合物の含有量を、第1のインクの全質量に対して10質量%以上とすることにより、第1のインクと記録媒体との密着性をより高めることができる。第1のラジカル重合性化合物の含有量を、第1のインクの全質量に対して70質量%以下とすることにより、親水性の成分を多く含む第2のインクと第1のインクとの間の密着性をより高めることができる。第1のラジカル重合性化合物の含有量は、上記の観点から、第1のインクの全質量に対して20質量%以上50質量%以下であることが好ましく、25質量%以上40質量%以下であることがより好ましい。
ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物の例には、不飽和カルボン酸およびその塩、不飽和カルボン酸エステル化合物、不飽和カルボン酸ウレタン化合物、不飽和カルボン酸アミド化合物およびその無水物、アクリロニトリル、スチレン、不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、ならびに不飽和ウレタン等が含まれる。不飽和カルボン酸の例には、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸およびマレイン酸等が含まれる。なお、本発明において、「(メタ)アクリル」は「アクリル」、「メタクリル」の双方またはいずれかを意味し、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」、「メタクリレート」の双方またはいずれかを意味する。
なかでも、第1のラジカル重合性化合物は、不飽和カルボン酸エステル化合物であることが好ましく、(メタ)アクリレートであることがより好ましい。(メタ)アクリレートは、後述するモノマーだけでなく、オリゴマー、モノマーとオリゴマーの混合物、変性物、または重合性官能基を有するオリゴマー等であってもよい。
上記(メタ)アクリレートの例には、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ステアリルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、トリメチルシクロヘキシルアクリレート、EO変性フェニルフェノールアクリレートおよびEO変性ノニルフェニルアクリレート等の単官能のアクリレート、
PO変性#700ジアクリレート、ポリテトラエチレングリコールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、3メチル−1,5−ペンタンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、2メチル−1,8−オクタンジオールジアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート、シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、PO変性ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジオキサングリコールジアクリレート、EO変性ビスフェノールAジアクリレート、PO変性ビスフェノールAジアクリレートおよびフルオレンジアクリレート等の2官能のアクリレート、ならびに
トリメチロールプロパントリアクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレートおよびジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の3官能以上のアクリレートが含まれる。なお、本発明において、「EO変性」とはエチレンオキサイド変性物であることを意味し、「PO変性」とはプロピレンオキサイド変性物であることを意味する。
1−1−2.ビニルエーテル化合物
ビニルエーテル化合物は、前記第1のラジカル重合性化合物に含まれるラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合と反応する重合性基として、複数のビニルエーテル基を有する化合物である。ビニルエーテル化合物による以下の効果が得られる範囲において、ビニルエーテル化合物は、ビニルエーテル基以外のラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する官能基を分子内に含んでいてもよい。たとえば、ビニルエーテル化合物が分子内に3個以上のビニルエーテル基を有する場合、ビニルエーテル基の数に対して1/3程度以下の数の、ビニルエーテル基以外のラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する官能基が分子内に存在していてもよい。好ましくは、ビニルエーテル化合物は、ビニルエーテル基以外のラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する官能基を分子内に含まない。ビニルエーテル化合物は、第1のインク中に、1種のみが含有されていてもよく、2種類以上が含有されていてもよい。
ビニルエーテル化合物は、プライマー層とインク層との密着性を高め、かつ記録媒体のカールを抑制する。これは、以下の理由によるものと考えられる。つまり、ビニルエーテル基の反応性は比較的高いものの、(メタ)アクリロイル基の反応性よりは低いため、ビニルエーテル化合物が有する2個以上のビニルエーテル基のうち、一方のビニルエーテル基が重合に用いられにくく、硬化後も未反応のまま残存することがある。ビニルエーテル基は極性を有するため、この未反応のビニルエーテル基は非極性であるプライマー層内から排斥されやすく、硬化または半硬化した第1のインクの硬化膜の近傍、つまり後に第2のインクと接する側の表面近傍に存在しやすい。この、表面近傍に集まったビニルエーテル基により、プライマー層の表面近傍の極性がより高まるため、第2のインクに含まれる化合物の極性を有する官能基とプライマー層の表面近傍との間で、水素結合またはファンデルワールス結合等の比較的ゆるやかな結合が生じ、その状態で第2のインクが硬化することで、プライマー層とインク層との密着性が高まる。
また、ビニルエーテル基の反応性は比較的高いものの、(メタ)アクリロイル基の反応性よりは低い。そのため、第1のインクを硬化または半硬化させる際に、未反応のビニルエーテル基が残存すると、第1のラジカル重合性化合物または後述する3官能以上の(メタ)アクリレート等が有する(メタ)アクリロイル基による過剰な重合または架橋の形成を、この未反応のビニルエーテル基によって阻害することができる。そのため、(メタ)アクリロイル基による過剰な架橋形成によりプライマー層が収縮し、記録媒体にカールが発生することが、抑制される。
ビニルエーテル化合物の含有量は、第1のインクの全質量に対して3質量%以上40質量%以下である。ビニルエーテル化合物の含有量が第1のインクの全質量に対して3質量%以上であると、プライマー層と記録媒体との間、およびプライマー層とインク層との間の密着性を低下させずに、記録媒体のカールを抑制することができる。また、ビニルエーテル化合物の含有量が第1のインクの全質量に対して40質量%以下であると、第1のラジカル重合性化合物または3官能以上の(メタ)アクリレート等の重合または架橋が十分に生じるため、第1のインクの硬化性が十分なものになる。ビニルエーテル化合物の含有量は、上記の観点から、第1のインクの全質量に対して10質量%以上35質量%以下であることが好ましく、20質量%以上35質量%以下であることがより好ましい。
ビニルエーテル化合物の例には、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブチレングリコールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ビスフェノールAアルキレンオキサイドジビニルエーテルおよびビスフェノールFアルキレンオキサイドジビニルエーテル等のジビニルエーテル類、ならびに
トリメチロールエタントリビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、グリセリントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ジペンタエリスリトールペンタビニルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、エチレンオキサイド付加トリメチロールプロパントリビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加トリメチロールプロパントリビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテルおよびプロピレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル等の3官能以上のビニルエーテル類が含まれる。
これらのうち、ビニルエーテル化合物がトリメチロールエタン構造、トリメチロールプロパン構造、ペンタエリスリトール構造またはジペンタエリスリトール構造を有すると、記録媒体へのプライマー層の密着性がより高まると考えられる。これは、以下の理由によるものと考えられる。つまり、これらの構造を有する化合物は、化合物全体の極性が低いため、極性の低いプラスチック基材への親和性が高い。そのため、プライマー層における記録媒体側に存在する上記極性が低いビニルエーテル化合物とプラスチック基材との間でも、前述したような水素結合またはファンデルワールス結合等の比較的ゆるやかな結合が生じ、記録媒体へのプライマー層の密着性がより高まると考えられる。
また、ビニルエーテル化合物がエチレンオキサイド構造およびプロピレンオキサイド構造およびエステル構造等の、極性を有する構造を有すると、プライマー層とインク層との間の密着性がより高まると考えられる。これは、以下の理由によると考えられる。つまり、これらの化合物の極性を有する構造は、プライマー層の硬化膜の近傍に排斥されやすい。この極性を有する構造と第2のインクに含まれる化合物中の極性を有する官能基とプライマー層の表面近傍との間で、水素結合またはファンデルワールス結合等の比較的ゆるやかな結合が生じることで、プライマー層とインク層との間の密着性がより高まる。そのため、プライマー層とインク層との間の密着性をより高めることができる。特に、後述する第2の光ラジカル重合性化合物が、分子内にエチレンオキサイド基を3個以上14個以下有する化合物を含む場合に、上記ゆるやなか結合が生じやすく、プライマー層とインク層との間の密着性がより高まりやすい。上記観点から、ビニルエーテル化合物は、エチレンオキサイド構造を有するエチレンオキサイド変性物であることがより好ましい。
上記効果を奏する観点からは、エチレンオキサイド構造、プロピレンオキサイド構造またはエステル構造を有するビニルエーテル化合物の含有量は、第1のインクの全質量に対して10質量%以上35質量%以下とすることが好ましく、15質量%以上35質量%以下であることがより好ましい。
エチレンオキサイド構造を有するビニルエーテル化合物の例には、エチレンオキサイド付加トリメチロールプロパントリビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ペンタエリスリトールテトラビニルエーテルおよびエチレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル等が含まれる。
プロピレンオキサイド構造を有するビニルエーテル化合物の例には、プロピレンオキサイド付加トリメチロールプロパントリビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ペンタエリスリトールテトラビニルエーテルおよびプロピレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、ポリプロピレングリコールジビニルエーテル等が含まれる。
エステル基を有する2個以上のビニルエーテル基を有するビニルエーテル化合物はモノマーでもオリゴマーでもよい。上記モノマーの例には、以下に示す化合物esterVE−1〜8が含まれる。esterVE−1〜5は、それぞれVEctomer4010、VEctomer4020、VEctomer4040、VEctomer4060、VEctomer5015としてシグマ アルドリッジ社から市販されている。上記オリゴマーの例には、クロスマーUシリーズとして日本カーバイド社から市販されているオリゴマーが含まれる。
Figure 0006365272
1−1−3.第1の光ラジカル重合開始剤
第1の光ラジカル重合開始剤としては、分子内結合開裂型および分子内水素引き抜き型のいずれの光ラジカル重合開始剤を用いてもよい。第1の光ラジカル重合開始剤は、第1のインク中に、1種のみが含有されていてもよく、2種類以上が含有されていてもよい。分子内結合開裂型の光ラジカル重合開始剤の例には、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オンおよび2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等のアセトフェノン系、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテルおよびベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾイン類、2,4,6−トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキシド等のアシルホスフィンオキシド系、ベンジルならびにメチルフェニルグリオキシエステル等が含まれる。
分子内水素引き抜き型の光ラジカル重合開始剤の例には、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル−4−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノンおよび3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントンおよび2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン系、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)および4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等のアミノベンゾフェノン系、10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、9,10−フェナンスレンキノン、ならびにカンファーキノン等が含まれる。
第1のインクにおける第1の光ラジカル重合開始剤の含有量は、活性光線や光重合性化合物の種類等にもよるが、第1のインクの全質量に対して0.01質量%以上10質量%以下であることが好ましい。
1−1−4.3官能以上の(メタ)アクリレート
第1のインクは、3官能以上の(メタ)アクリレートを含有してもよい。3官能以上の(メタ)アクリレートとは、分子内に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を意味する。3官能以上の(メタ)アクリレートは、前記第1のラジカル重合性化合物であってもよく、前記第1のラジカル重合性化合物以外の化合物であってもよい。つまり、3官能以上の(メタ)アクリレートは、logP値が2.5以上であってもよく、logP値が2.5未満であってもよい。3官能以上の(メタ)アクリレートは、第1のインク中に、1種のみが含有されていてもよく、2種類以上が含有されていてもよい。
3官能以上の(メタ)アクリレートは極性が低いため、同じく極性が低い記録媒体、特にはプラスチック基材等への親和性が高い。そのため、3官能以上の(メタ)アクリレートは記録媒体とプライマー層との密着性を高めることができると考えられる。また、3官能以上の(メタ)アクリレートは、多官能であるため光硬化性に優れる。また、3官能以上の(メタ)アクリレートを用いると硬化した際に架橋部位が生じやすいため、プライマー層の硬度をより高め、記録媒体へプライマー層をより強固に密着させることができる。
3官能以上の(メタ)アクリレートの含有量は、第1のインクの全質量に対して10質量%以上50質量%以下とすることができる。3官能以上の(メタ)アクリレートの含有量が、第1のインクの全質量に対して10質量%以上であると、記録媒体への第1のインクの密着性および第1のインクの硬化性がより高まる。また、3官能以上の(メタ)アクリレートの含有量が、第1のインクの全質量に対して50質量%以下であると、3官能以上の(メタ)アクリレートが過剰に架橋形成してプライマー層が収縮することによる記録媒体のカールが生じにくい。密着性をより高める観点からは、第1のインクにおける3官能以上の(メタ)アクリレートの含有量は、第1のインクの全質量に対して20質量%以上40質量%以下であることが好ましく、20質量%以上40質量%以下であることがより好ましい。
前記第1のラジカル重合性化合物である3官能以上のアクリレートの例には、トリメチロールプロパントリアクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレートおよびジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等が含まれる。
前記第1のラジカル重合性化合物以外の化合物である3官能以上の(メタ)アクリレートの例には、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートおよび4EO変性ペンタエリスリトールテトラアクリレートが含まれる。
これらの、トリメチロールエタン構造、トリメチロールプロパン構造、ペンタエリスリトール構造またはジペンタエリスリトール構造を有する化合物は、化合物全体の極性が低いため、極性の低いプラスチック基材への親和性が高い。そのため、3官能以上の(メタ)アクリレートがトリメチロールエタン構造、トリメチロールプロパン構造、ペンタエリスリトール構造またはジペンタエリスリトール構造を有する化合物を含むと、プラスチック基材へのプライマー層の密着性がより高まる。
トリメチロールエタン構造、トリメチロールプロパン構造、ペンタエリスリトール構造またはジペンタエリスリトール構造を有する3官能以上の(メタ)アクリレートの例には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートおよびジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が含まれる。
1−1−5.その他の光重合性化合物
第1のインクは、本発明の効果が得られる範囲において、上記以外の光重合性化合物を含有していてもよい。第1のインクは、上記以外の光重合性化合物として、logP値が2.5未満のラジカル重合性化合物、分子内にビニルエーテル基を1つのみ有するビニルエーテル化合物もしくはそれ以外のラジカル重合性の化合物、またはエポキシ化合物もしくはオキセタン化合物等のカチオン重合性の化合物を含有することができる。これらの化合物は、モノマー、オリゴマー、ポリマーまたはこれらの混合物でもよい。上記以外の光重合性化合物は、第1のインク中に、1種のみが含有されていてもよく、2種類以上が含有されていてもよい。
1−1−6.その他の成分
第1のインクは、本発明の効果が得られる範囲において、その他の成分として、増感剤、ラジカル重合禁止剤、カチオン重合禁止剤、色材、顔料分散剤、有機溶剤、界面活性剤、滑剤、充填剤、消泡剤、ゲル化剤、増粘剤、比抵抗調整剤、皮膜形成剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、防ばい剤および防錆剤等を含有してもよい。
増感剤の例にはトリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p−ジエチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、N,N−ジメチルベンジルアミンおよび4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等の、光重合性化合物と付加反応を起こさないアミン類が含まれる。
ラジカル重合禁止剤の例には、フェノール系水酸基含有化合物、キノンまたはハイドロキノン類、フェノチアジン、N−オキシル類、芳香族アミンまたはフェニレンジアミン、イミン、スルホンアミド、オキシム、ヒドロキシルアミン、尿素誘導体(例えば、尿素またはチオ尿素)、燐含有化合物(例えば、トリフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィット、次亜燐酸、トリノニルホスフィット、トリエチルホスフィットまたはジフェニルイソプロピルホスフィン)、硫黄含有化合物(例えば、ジフェニルスルフィド、フェノチアジン)および硫黄含有天然物質(例えば、システイン)等が含まれる。
カチオン重合禁止剤の例には、アルカノールアミン類、N,N−ジメチルアルキルアミン類、N,N−ジメチルアケニルアミン類およびN,N−ジメチルアルキニルアミン類等のアミンが含まれる。
色材は、染料または顔料でありうる。これらのうち、第1のインクの構成成分に対して良好な分散性を有し、かつ耐候性に優れることから、顔料が好ましい。
界面活性剤の例には、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類および脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類およびポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類および第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤、ならびにシリコーン系やフッ素系の界面活性剤が含まれる。
これらのうち、第1のインクがシリコーン系もしくはフッ素系の界面活性剤を含有すると、塩化ビニルシート等の疎水性樹脂からなる記録媒体や、印刷本紙等の吸収が遅い記録媒体に印字する際に、プライマーの混じりを抑えることができ、高画質な印字が可能となる。
シリコーン系の界面活性剤の例には、ポリエーテル変性ポリシロキサン化合物、具体的には、信越化学工業製のKF−351A、KF−642およびX−22−4272、ビッグケミー社製のBYK307、BYK345、BYK347およびBYK348(BYKはビッグケミー社の登録商標)、ならびに、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製のTSF4452等が含まれる。
フッ素系の界面活性剤は、通常の界面活性剤の疎水性基の炭素に結合した水素の代わりに、その一部または全部をフッ素で置換したものを意味する。フッ素系の界面活性剤の例には、DIC社製のメガファック(Megafac)(メガファックはDIC社の登録商標)F、AGC セイミケミカル社製のサーフロン(Surflon)(サーフロンはAGC セイミケミカル社の登録商標)、3M社製のフルオラッド(Fluorad)(フルオラッドは3M社の登録商標)FC、インペリアル・ケミカル・インダストリー社製のモンフロール(Monflor)、イー・アイ・デュポン・ネメラス・アンド・カンパニー社製のゾニルス(Zonyls)、ルベベルケ・ヘキスト社製のリコベット(Licowet)VPF、およびネオス社製のフタージェント(フタージェントはネオス社の登録商標)等が含まれる。
界面活性剤の含有量は、濡れ広がりの度合いを高め、かつ本発明の効果を阻害しない観点から、プライマーの全質量に対して、0.001質量%以上1.0質量%未満であることが好ましい。
1−1−7.物性
第1のインクは、25℃における粘度が10m・pas以上500m・pas以下であると、バーコーダー等で塗布する際に塗り広げやすさ等のハンドリングをより向上させることができる。第1のインクの粘度は、市販の回転粘度計(例えば、東機産業社製、R500回転粘度計)を用いて測定した値を用いることができる。第1のインクの粘度は、光重合性化合物の選択または配合比率の変更によって調整することができる。
1−1−8.調製方法
第1のインクは、第1のラジカル重合性化合物、ビニルエーテル化合物、第1の光重合開始剤およびその他の成分等を加熱しながら攪拌溶解することで、調製することができる。具体的には、第1のインクは、これらの材料をステンレスビーカーに入れ、65℃のホットプレート上で加熱しながら1時間攪拌溶解させることによって調製することができる。
2.記録媒体上に付着させた第1のインクに活性エネルギー線を照射してプライマー層を形成する工程
この工程では、前の工程で記録媒体上に付着させた第1のインクに活性エネルギー線を照射して、プライマーが含有する光重合性化合物を重合、共重合および架橋させる。この工程により、プライマーが硬化または半硬化して、記録媒体上にプライマー層が形成される。たとえば、活性エネルギー線の照射によってプライマーを完全に硬化または半硬化させることでプライマー層を形成してもよい。プライマーを半硬化させることでプライマー層を形成することは、後の工程で印字する第2のインクとプライマー層との密着性および濡れ性をより高める観点から好ましい。なお、プライマーが半硬化した状態とは、プライマーが完全には硬化しきらず、プライマー層の膜表面にベタ付きが残る状態をいう。
プライマーに照射する活性エネルギー線は、例えば電子線、紫外線、α線、γ線、およびエックス線等から選択することができるが、これらのうち紫外線を照射することが好ましい。活性エネルギー線は、30mJ/cm以上1000mJ/cm以下のエネルギー量が付与されるように調節して照射される。第1のインクを半硬化状態にするために必要なエネルギー量は、重合開始剤の種類または含有量等によって設定することができる。
3.第2のインクの液滴をインクジェットヘッドから吐出してプライマー層の上に着弾させる工程
この工程では、第2のインクの液滴をインクジェットヘッドから吐出して、前の工程で形成したプライマー層の上に着弾させる。この工程では、第2のインクを、形成すべき画像の各画素に応じた位置に着弾させる。異なる色を呈する複数の第2のインクを着弾させて画像を形成する場合は、本工程を複数回行ってすべての色のインクを着弾させてから次の工程を行ってもよいし、本工程によるインク液滴の着弾および次の工程における活性エネルギー線の照射を繰り返し連続して行ってもよい。
インクジェットヘッドからの吐出方式は、オンデマンド方式およびコンティニュアス方式のいずれでもよい。オンデマンド方式のインクジェットヘッドは、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型およびシェアードウォール型等の電気−機械変換方式、ならびにサーマルインクジェット型およびバブルジェット(バブルジェットはキヤノン社の登録商標)型等の電気−熱変換方式等のいずれでもよい。
第2のインクの液滴は、加熱した状態でインクジェットヘッドから吐出することで、吐出安定性を高めることができる。吐出される際の第2のインクの温度は、35℃以上100℃以下であるが好ましく、吐出安定性をより高めるためには、35℃以上90℃以下であることがより好ましい。特には、第2のインクの粘度が7mPa・s以上15mPa・s以下、より好ましくは8mPa・s以上13mPa・s以下となるようなインク温度において出射を行うことが好ましい。
第2のインクを所定の温度に加熱する方法は特に制限されない。たとえば、ヘッドキャリッジを構成するインクタンク、供給パイプおよびヘッド直前の前室インクタンク等のインク供給系、フィルター付き配管ならびにピエゾヘッド等の少なくともいずれかを、パネルヒーター、リボンヒーターおよび保温水等のうちいずれかによって所定の温度に加熱することができる。
吐出される際の第2のインクの液滴量は、記録速度および画質の面から、2pL以上20pL以下であることが好ましい。
また、記録媒体のカールおよび皺の発生ならびに記録媒体の質感変化等をより効率的に防ぐ観点からは、記録媒体上に着弾した第1のインクおよび第2のインクに活性エネルギー線を照射して硬化した後の総インク膜厚が、2μm以上20μm以下となるように、第2のインクの液滴量を調整することが好ましい。なお、「総インク膜厚」とは、記録媒体上に塗布または印字されたプライマー層およびすべてのインク層の膜厚の合計値を意味する。
3−1.第2のインク
第2のインクは、第2のラジカル重合性化合物および第2の光ラジカル重合開始剤を含有する。第2のインクは、その他の成分を含んでもよい。
3−1−1.第2のラジカル重合性化合物
第2のラジカル重合性化合物は、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物である。第2のラジカル重合性化合物は、モノマー、オリゴマー、ポリマーあるいはこれらの混合物のいずれであってもよい。第1のラジカル重合性化合物と第2のラジカル重合性化合物とは同じ化合物でもよいし、異なる化合物でもよい。第2のラジカル重合性化合物は、第2のインク中に、1種のみが含有されていてもよく、2種類以上が含有されていてもよい。
第2のラジカル重合性化合物の含有量はインクジェット方式でプライマー層の上に画像を形成できる範囲であればよく、第2のインクの全質量に対して60質量%以上95質量%以下であることが好ましい。
ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物の例には、不飽和カルボン酸およびその塩、不飽和カルボン酸エステル化合物、不飽和カルボン酸ウレタン化合物、不飽和カルボン酸アミド化合物およびその無水物、アクリロニトリル、スチレン、不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、ならびに不飽和ウレタン等が含まれる。不飽和カルボン酸の例には、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸およびマレイン酸等が含まれる。
なかでも、第2のラジカル重合性化合物は、不飽和カルボン酸エステル化合物であることが好ましく、(メタ)アクリレートであることがより好ましい。(メタ)アクリレートは、後述するモノマーだけでなく、オリゴマー、モノマーとオリゴマーの混合物、変性物、重合性官能基を有するオリゴマー等であってよい。
(メタ)アクリレートの例には、イソアミル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソミスチリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル−ジグリコール(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチル−フタル酸およびt-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート等の単官能モノマー、
トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのPO付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレートおよびトリプロピレングリコールジアクリレート等の二官能モノマー、ならびに
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレートおよびペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート等の三官能以上の多官能モノマー等が含まれる。
(メタ)アクリレートは、重合性オリゴマーであってもよい。重合性オリゴマーの例には、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、芳香族ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、および直鎖(メタ)アクリルオリゴマー等が含まれる。
(メタ)アクリレートは、変性物であってもよい。変性物の例には、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートおよびEO変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート等のEO変性(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等のカプロラクトン変性(メタ)アクリレート、ならびにカプロラクタム変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のカプロラクタム変性(メタ)アクリレート等が含まれる。
(メタ)アクリレートは、第2のインクの硬化性をより高める観点から、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートおよびEO変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート等のEO変性(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートおよびPO変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート等のPO変性(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等のカプロラクトン変性(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレートなどのEO変性ジアクリレートならびにジプロピレングリコールジアクリレート及びトリプロピレングリコールジアクリレート等のPO変性ジアクリレートであることが好ましい。
第2のラジカル重合性化合物が、その少なくとも一部が分子内にエチレンオキサイド構造を3個以上14個以下有する化合物(以下、単に「EO変性された第2のラジカル重合性化合物」ともいう。)であると、印刷物のカールを防止することができる。これは、以下の理由によるものと考えられる。つまり、EO変性された第2のラジカル重合性化合物は、アクリル当量が大きいため硬化しても収縮しにくいことから、印刷物のカールもより生じさせにくくすると考えられる。また、EO変性された第2のラジカル重合性化合物を含有する第2のインクを、エチレンオキサイド変性物であるビニルエーテル化合物を含有する第1のインクと組みあわせて用いると、プライマー層とインク層との密着性が高まる。これは、以下の理由によるものと考えられる。つまり、プライマー層とインク層との間で、エチレンオキサイド構造同士による水素結合またはファンデルワールス結合等の比較的ゆるやかな結合が生じることで、プライマー層とインク層との密着性が高まると考えられる。
EO変性された第2のラジカル重合性化合物の含有量は、第2のインクの全質量に対して10質量%以上70質量%以とすることができる。EO変性された第2のラジカル重合性化合物の含有量が、第2のインクの全質量に対して10質量%以上であると、印刷物のカールがより生じにくくなる。また、EO変性された第2のラジカル重合性化合物の含有量が、第2のインクの全質量に対して70質量%以下であると、第2のインクの硬化性が不足することによる耐擦過性の低下が生じにくい。カール防止と耐擦過性とを両立する観点からは、EO変性された第2のラジカル重合性化合物の含有量は、第2のインクの全質量に対して20質量%以上50質量%以下であることが好ましい。
EO変性された第2のラジカル重合性化合物の例には、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、4EO変性ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、3EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、6EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、9EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、4EO変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、およびその他のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等が含まれる。
3−1−2.第2の光ラジカル重合開始剤
第2の光ラジカル重合開始剤としては、前記第1の光ラジカル重合開始剤と同様の化合物を用いることができる。第1の光ラジカル重合開始剤と第2の光ラジカル重合開始剤とは同じ化合物でもよいし、異なる化合物でもよい。第2の光ラジカル重合開始剤は、第2のインク中に、1種のみが含有されていてもよく、2種類以上が含有されていてもよい。
第2のインクにおける第2の光ラジカル重合開始剤の含有量は、活性光線や光重合性化合物の種類等にもよるが、第2のインクの全質量に対して0.01質量%〜10質量%であることが好ましい。
3−1−3.疎水性化合物
第2のインクは、炭素数14以上の直鎖または分岐の炭素鎖を有する疎水性化合物(以下、単に「疎水性化合物」ともいう。)をさらに含有していてもよい。前記炭素数14以上の直鎖または分岐の炭素鎖は、二重結合を含んでいてもよい。疎水性化合物は、第2のインク中に、1種のみが含有されていてもよく、2種類以上が含有されていてもよい。
上述したように、第1のインクは、第1のラジカル重合性化合物として、LogP値が2.5以上である疎水性の化合物を含有する。そのため、第2のインクが疎水性化合物を含有すると、プライマー層と第2のインクとの間の極性の差が少なくなり、親和性が高まるため、プライマー層に対する第2のインクの濡れ性がより高まると考えられる。
疎水性化合物の含有量は、第2のインクの全質量に対して0.5質量%以上10質量%以下であることが好ましい。疎水性化合物の含有量を第2のインクの全質量に対して0.5質量%以上とすることにより、記録媒体に塗布または印字された際の、プライマー層との間の濡れ性を高めることができる。疎水性化合物の含有量を第2のインクの全質量に対して10質量%以下とすることにより、第2のインク全体が疎水性になりすぎることによる、プライマー層と第2のインクとの密着性の低下を防ぐことができる。第2のインクにおける疎水性化合物の含有量は、上記の観点から、第2のインクの全質量に対して0.5質量%以上5質量%以下であることが好ましく、1質量%以上4質量%以下であることがより好ましい。
疎水性化合物は、脂肪族ケトン化合物、脂肪族エステル化合物、高級脂肪酸、高級アルコールおよびアミド化合物から選択される少なくとも一種の化合物であることが好ましい。
脂肪族ケトン化合物の例には、ジベヘニルケトン(炭素数:21−22)、ジステアリルケトン(炭素数:17−18)、ジパルミチルケトン(炭素数:15−16)、ジミリスチルケトン(炭素数:13−14)、パルミチルステアリルケトン(炭素数:15−18)、ステアリルベヘニルケトン(炭素数:17−22)等がが含まれる。なお、上記括弧内の炭素数は、カルボニル基で分断される2つの炭化水素基それぞれの炭素数を表す。
脂肪族エステル化合物の例には、ベヘニン酸ベヘニル(炭素数:21−22)、ステアリン酸ステアリル(炭素数:17−18)、パルミチン酸セチル(炭素数:15−15)、ステアリン酸パルミチル(炭素数:17−16)、ミリスチン酸ミリスチル(炭素数:13−14)、セロチン酸ミリシル(炭素数:25−30)およびモンタン酸ベヘニル(炭素数:24−22)等が含まれる。なお、上記括弧内の炭素数は、エステル基で分断される2つの炭化水素基それぞれの炭素数を表す。
高級脂肪酸の例には、ベヘン酸(炭素数:21)、アラキジン酸(炭素数:19)、ステアリン酸(炭素数:17)、パルミチン酸(炭素数:15)、オレイン酸(炭素数:17)、およびエルカ酸(炭素数:21)等が含まれる。
高級アルコールの例には、ステアリルアルコール(炭素数:17)およびベヘニルアルコール(炭素数:21)等が含まれる。
アミド化合物の例にはステアリン酸アミド(炭素数:17)、ベヘン酸アミド(炭素数:21)、オレイン酸アミド(炭素数:17)、エルカ酸アミド(炭素数:21)およびリシノール酸アミド(炭素数:17)等の脂肪酸アミド等が含まれる。
3−1−4.色材
第2のインクは、色材をさらに含有していてもよい。色材は、染料または顔料でありうる。色材は、第2のインク中に、1種のみが含有されていてもよく、2種類以上が含有されていてもよい。色材は、インクの構成成分に対して良好な分散性を有し、かつ耐候性に優れることから、顔料がより好ましい。また、第2のインクは、顔料に加えて、顔料分散剤および有機溶剤をさらに含有していてもよい。色材、顔料分散剤および有機溶剤は、第2のインク中に、1種のみが含有されていてもよく、2種類以上が含有されていてもよい。
色材の含有量は、第2のインクの全質量に対して0.1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、0.4質量%以上10質量%以下であることがより好ましい。色材の含有量を第2のインクの全質量に対して0.1質量%以上とすることは、形成された画像の発色を十分なものにする観点から好ましい。色材の含有量を第2のインクの全質量に対して20質量%以下とすることは、第2のインクの粘度が高まることを防ぎ、インクジェットヘッドからの吐出性を十分なものにする観点から好ましい。
染料は、油溶性の染料でありうる。油溶性マゼンタ染料の例には、MS Magenta VP、MS Magenta HM−1450、MS Magenta HSo−147(以上、三井東圧社製)、AIZENSOT Red−1、AIZEN SOT Red−2、AIZEN SOTRed−3、AIZEN SOT Pink−1、SPIRON Red GEH SPECIAL(以上、保土谷化学社製)、RESOLIN Red FB 200%、MACROLEX Red Violet R、MACROLEX ROT5B(以上、バイエルジャパン社製)、KAYASET Red B、KAYASET Red 130、KAYASET Red 802(以上、日本化薬社製)、PHLOXIN、ROSE BENGAL、ACID Red(以上、ダイワ化成社製)、HSR−31、DIARESIN Red K(以上、三菱化成社製)、Oil Red(BASFジャパン社製)が含まれる。
油溶性シアン染料の例には、MS Cyan HM−1238、MS Cyan HSo−16、Cyan HSo−144、MS Cyan VPG(以上、三井東圧社製)、AIZEN SOT Blue−4(保土谷化学社製)、RESOLIN BR.Blue BGLN 200%、MACROLEX Blue RR、CERES Blue GN、SIRIUS SUPRATURQ.Blue Z−BGL、SIRIUS SUPRA TURQ.Blue FB−LL 330%(以上、バイエルジャパン社製)、KAYASET Blue FR、KAYASET Blue N、KAYASET Blue 814、Turq.Blue GL−5 200、Light Blue BGL−5 200(以上、日本化薬社製)、DAIWA Blue 7000、Oleosol Fast Blue GL(以上、ダイワ化成社製)、DIARESIN Blue P(三菱化成社製)、SUDAN Blue 670、NEOPEN Blue 808、ZAPON Blue 806(以上、BASFジャパン社製)等が含まれる。
油溶性イエロー染料の例には、MS Yellow HSm−41、Yellow KX−7、Yellow EX−27(以上、三井東圧社製)、AIZEN SOT Yellow−1、AIZEN SOT YelloW−3、AIZEN SOT Yellow−6(以上、保土谷化学社製)、MACROLEX Yellow 6G、MACROLEX FLUOR.Yellow 10GN(以上、バイエルジャパン社製)、KAYASET Yellow SF−G、KAYASET Yellow2G、KAYASET Yellow A−G、KAYASET Yellow E−G(以上、日本化薬社製)、DAIWA Yellow 330HB(ダイワ化成社製)、HSY−68(三菱化成社製)、SUDAN Yellow 146、NEOPEN Yellow 075(以上、BASFジャパン社製)等が含まれる。
油溶性ブラック染料の例には、MS Black VPC(三井東圧社製)、AIZEN SOT Black−1、AIZEN SOT Black−5(以上、保土谷化学社製)、RESORIN Black GSN 200%、RESOLIN BlackBS(以上、バイエルジャパン社製)、KAYASET Black A−N(日本化薬社製)、DAIWA Black MSC(ダイワ化成社製)、HSB−202(三菱化成社製)、NEPTUNE Black X60、NEOPEN Black X58(以上、BASFジャパン社製)等が含まれる。
赤あるいはマゼンタ顔料の例には、Pigment Red 3、5、19、22、31、38、43、48:1、48:2、48:3、48:4、48:5、49:1、53:1、57:1、57:2、58:4、63:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、88、104、108、112、122、123、144、146、149、166、168、169、170、177、178、179、184、185、208、216、226、257、Pigment Violet 3、19、23、29、30、37、50、88、Pigment Orange 13、16、20、36等が含まれる。
青またはシアン顔料の例には、Pigment Blue 1、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17−1、22、27、28、29、36、60等が含まれる。
緑顔料の例には、Pigment Green 7、26、36、50が含まれる。
黄顔料の例には、Pigment Yellow 1、3、12、13、14、17、34、35、37、55、74、81、83、93、94,95、97、108、109、110、137、138、139、153、154、155、157、166、167、168、180、185、193等が含まれる。
黒顔料の例には、Pigment Black 7、28、26等が含まれる。
また、白色顔料として、酸化チタン(特にルチル型の二酸化チタン)を第2のインクに含有させてもよい。
顔料の体積平均粒子径は0.08μm以上0.5μm以下であることが好ましい。顔料の最大粒子径は0.3μm以上10μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.3μm以上3μm以下である。顔料の体積平均粒子径および最大粒子径が上記範囲にあると、インクジェットヘッドのノズルの詰まりを抑制し、インクの保存安定性、インク透明性および硬化感度を維持することができる。顔料の体積平均粒子径および最大粒子径は、ゼータサイザー1000(マルバーン社製)を用いて測定することができる。
顔料は、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、およびペイントシェーカー等により分散させることができる。顔料の分散は、顔料粒子の体積平均粒子径が、好ましくは0.08μm以上0.5μm以下、最大粒子径が好ましくは0.3μm以上10μm以下、より好ましくは0.3μm以上3μm以下となるように行われることが好ましい。顔料の分散は、顔料、顔料分散剤、分散媒体、分散条件、およびろ過条件等の選択によって、調整することができる。
顔料分散剤の例には、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキル燐酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ステアリルアミンアセテートおよび顔料誘導体等が含まれる。
有機溶剤の例には、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、エーテルエステル系溶剤、ケトン系溶剤、芳香族炭化水素溶剤、含窒素系有機溶剤等が含まれる。
3−1−5.その他の成分
第2のインクには、必要に応じて他の成分がさらに含有されていてもよい。第2のインクに含有されることができるその他の成分の例には、第1のインクが含有することができる上記その他の成分が含まれる。第2のインクが好ましく含有することができるその他の成分の例には、架橋促進剤、ラジカル重合禁止剤、カチオン重合禁止剤、上記疎水性化合物以外のゲル化剤等が含まれる。
第2のインクが含有することができる上記以外の光重合性化合物、光開始剤、色材およびその他の成分の例には、インクジェットインクとしての利用が可能な範囲において、上記第1のインクに用いることができるものとして例示した化合物または商品が含まれる。
3−1−6.物性
第2のインクの表面張力は、15mN/m以上35mN/m未満であることが好ましい。第2のインクの表面張力が15mN/m以上であれば、インクジェットヘッドのノズル周りが濡れることによる吐出能力の低下が生じにくい。また、第2のインクの表面張力が35mN/m未満であれば、表面エネルギーが通常の紙よりも低いコート紙や樹脂製の記録媒体によく濡れるため、白ぬけが発生しにくい。第2のインクの表面張力は、市販の表面張力計(例えば、協和界面科学(株)製、表面張力計FACE SURFACE TENSIOMETER CBVB−A3等)を用いて、Wilhelmy法(プレート法)で液温25℃、60%RHにて測定した値を用いることができる。第2のインクの表面張力は、光硬化性化合物の選択、各成分の配合比率の変更、または界面活性剤の添加によって調整することができる。
第2のインクの粘度は、出射時のインク温度である20℃以上100℃未満の温度範囲において、インク粘度が7mPa・s以上15mPa・s以下、より好ましくは8mPa・s以上13mPa・s以下であることがより好ましい。第2のインクの粘度は、市販の回転粘度計(例えば、東機産業社製、R500回転粘度計)を用いて測定した値を用いることができる。第2のインクの粘度は、光重合性化合物の選択または配合比率の変更によって調整することができる。
第2のインクは、低粘性で流動性が高く液体状の性質を示すゾル(sol)状態と、粘性が高く固体又は半固体状の性質を示すゲル(gel)状態とを、温度変化により可逆的に転移してもよい。ゾル状態からゲル状態に転移する温度をゾルゲル転移温度いう。
第2のインクのゾルゲル転移温度は、任意に設定されるが、インクの出射性を安定させ、かつ、高温加熱に伴うインク劣化を防ぐ観点から、30℃以上100℃以下であることが好ましい。また、ゾルゲル転移温度は、インクを吐出する際のインクジェット記録ヘッド内でのインク温度と記録材料の温度との間の温度であることが好ましい。
前記ゾルゲル転移温度は、たとえば、ヒートプレート上にゲル状の試験片を置き、試験片の温度を測定しながらヒートプレートを加熱していったときに、試験片の形状が崩れる温度とすることができるほか、市販の粘弾性測定装置(例えば、Physica社製粘弾性測定装置 MCR300)を用いて測定できる。
ゾルゲル転移温度は、前記光重合性化合物の種類もしくは量、前記疎水性化合物の種類もしくは量、またはその他の添加剤(特にはゲル化剤)の種類もしくは量により調整することができる。
色材として顔料を用いる場合には、第2のインクは顔料粒子以外に平均粒径が1.0μmを超えるようなゲル状物質を含有しないことが好ましい。
第2のインクは、インクの電導度が10μS/cm以下であり、ヘッド内部を電気的に腐食しないインクであることが好ましい。コンティニュアスタイプのインクジェット装置においては、電解質による電導度の調整をする観点から、インクの電導度を0.5mS/cm以上に調整してもよい。第2のインクの電導度は、一定の距離の離れた2つの電極をインクに浸漬し、両電極間に一定の電圧をかけて、電極間に流れる電流値を測定することによって求めることができる。第2のインクの電導度は、第2のラジカル重合性化合物等の光重合性化合物、第2の光ラジカル重合開始剤等の重合開始剤もしくは増感剤の選択もしくは配合比率の変更、または第2のインクの含水率の調整によって調整することができる。
第2のインクは、毎分5℃の降下速度で25℃から−25℃までの範囲でインクのDSC(示差走査熱量)測定を行ったときに、単位質量あたりの発熱量が10mJ/mg以上の発熱ピークを示さないことが好ましい。このような構成とすることにより、インクを低温で保存した際の、ゲルの発生または析出物の発生を抑えることができる。
3−1−7.調製方法
第2のインクは、第2のラジカル重合性化合物および第2の光ラジカル重合開始剤と、任意の各成分とを、加熱下において混合することにより得ることができる。得られた混合液を所定のフィルターで濾過することが好ましい。第2のインクが顔料を含有するときは、顔料および顔料分散剤を含む分散体をあらかじめ調製しておき、これに残りの成分を添加して加熱しながら混合してもよい。
4.着弾させた第2のインクに活性エネルギー線を照射してインク層を形成し、第2のインクが硬化してなる画像を形成する工程
この工程では、前の工程で着弾させた第2のインクに活性エネルギー線を照射してインク層を形成し、第2のインクが硬化してなる画像を形成する。活性エネルギー線は、インク着弾後0.001秒以上1.0秒以下の間に照射されることが好ましく、高精細な画像を形成するためには、0.001秒以上0.5秒以下の間に照射されることがより好ましい。
第2のインクに照射する活性エネルギー線は、例えば電子線、紫外線、α線、γ線、およびエックス線等から選択することができるが、これらのうち紫外線を照射することが好ましい。紫外線は、Phoseon Technology社製 395nm、水冷LED等によって照射することができる。LEDを光源とすることで、光源の輻射熱によって第2のインクが溶けることによる、インクの硬化不良の発生を抑制することができる。
LED光源は、370〜410nmの紫外線を画像表面におけるピーク照度が0.5〜10W/cmとなるように設置されることが好ましく、1〜5W/cmとなるように設置することがより好ましい。輻射熱が第2のインクに照射されることを抑制するという観点からは、画像に照射される光量としては、350mJ/cm未満となるようにすることが好ましい。
また、活性エネルギー線の照射を2段階に分け、まず第2のインクが着弾した後0.001秒以上2.0秒以下の間に前述の方法で活性エネルギー線を照射して第2のインクを仮硬化させ、全印字終了後にさらに活性エネルギー線を照射して第2のインクを本硬化させてもよい。活性エネルギー線の照射を2段階に分けることで、インク硬化の際に起こる記録材料の収縮をより効率的に抑えることができる。
なお、記録媒体の広い範囲に記録する場合は、記録媒体を複数の領域に分けて、領域ごとに本発明の画像形成方法を独立して行ってもよいし、記録媒体の全域に一括して本発明の画像形成方法を行ってもよい。記録媒体を複数の領域に分けて、領域ごとに本発明の画像形成方法を独立して行うことで、プライマーが乾燥することによる第2のインクとの間の密着性の低下を防ぐことができる。一方で、記録媒体の全域に一括して本発明の画像形成方法を行うことで、工程を簡略化して効率よく画像を形成することができる。
5.プライマー層の表面温度を30℃以上70℃以下に制御する工程
第2のインクが疎水性化合物を含有する場合、第1のインクを硬化または半硬化させてプライマー層を形成した後、第2のインクをプライマー層に着弾する工程と同時、またはその前に、プライマー層の表面温度を30℃以上70℃以下に制御することができる。
このようにした状態で第2のインクを印字することで、第2のインクのプライマー層への濡れ性をより高めることができる。これは、以下の理由によると考えられる。つまり、第1のインクを硬化または半硬化してプライマー層を形成すると、プライマー層の硬化膜の近傍は、親水性のビニルエーテル化合物が多く存在する一方で、第1のラジカル重合性化合物等の疎水性の成分も同時にいくらかは存在する。そのため、少量含まれる第1のラジカル重合性化合物等の疎水性の成分と、第2のインクの疎水性成分が相互作用することで、濡れ性が向上する。そこで、プライマー層の表面温度を30℃以上とすることにより、プライマー層の硬化膜の近傍の分子運動が活発になり、第1のラジカル重合性化合物等の疎水性の成分と第2のインクが含有する疎水性化合物と、の間の疎水性相互作用が生じやすくなり、プライマー層と第2のインクとの間の濡れ性がより高まると考えられる。また、プライマー層の表面温度を70℃以下とすることにより、熱で記録媒体が変形することや、記録媒体の変形により応力が集中することによる、記録媒体とプライマー層との間、またはプライマー層とインク層との間の密着性の低下を、防ぐことができる。
プライマー層の表面温度の調整方法は特に限定されることはなく、公知の方法を用いることができる。例えば、記録媒体の搬送部材に冷却装置や加熱装置を配設し、記録媒体の裏面(非記録面)側から調温してもよいし、記録媒体の搬送路に冷媒やヒーター、IRレーザー等を配設し、記録媒体の表面(記録面)側から調温してもよい。これらのうち、第2のインクを着弾させる時にも記録媒体を調温可能であるとの観点から、記録媒体の裏面側から調温することが好ましい。
6.搬送工程
プライマー層の形成とインク層の形成とを異なる機械で行う場合、上記プライマー層を形成する工程と第2のインクの液滴を着弾させる工程との間に、プライマー層が形成された記録媒体を搬送する工程を含んでいてもよい。
7.記録媒体
本発明の画像形成方法に用いる記録媒体の例には、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレートおよびポリブタジエンテレフタレート等のプラスチックで構成される非吸収性の記録媒体(プラスチック基材)、金属類およびガラス等の非吸収性の無機記録媒体、ならびに紙類等(例えば印刷用コート紙および印刷用コート紙B等)等が含まれる。特に第1のインクは、他のプライマーと比較して、プラスチック基材に対してより高い密着性を有する。好ましいプラスチック基材の例には、ポリプロピレン、ポリエチレンおよびポリエチレンテレフタレート、ならびにこれらを延伸した基材が含まれる。なお、記録媒体を構成する記録部分のすべてが非吸収性であってもよいが、本発明の画像形成方法によって画像を形成すべき部分が非吸収性であり、その他の部分は、水溶性樹脂等からなるインク受容層を設ける等により吸収性とされていてもよい。
記録媒体が非吸収性であるとは、ブリストー法によって測定される接触開始から30msec1/2までの記録媒体の水吸収量が0.3g/m2以下であることを意味する。
従来のプライマーは、プラスチック基材に対する密着性が低い。これに対し、第1のインクを記録媒体上で硬化させる工程を含む画像形成方法によれば、プラスチック基材への密着性が高いプライマー層を形成することができ、プライマー層の上に形成した第2のインクによる画像と記録媒体との密着性も高くなる。また、第1のインクを記録媒体上で硬化させる工程を含む画像形成方法によれば、プライマー層を形成する際に記録媒体のカールを生じさせにくい。
以下に本発明について、実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明は実施例に記載の範囲に限定されるものではない。また、以下の実施例における各成分の配合量は、特にことわりがない限り、質量部または質量%を表す。
以降の実施例において、LogP値は、それぞれの化合物の構造を米国のEnvironmental Protection Agencyが提供するEcosar v1.00aに入力することで算出された値を採用する。
1.第1のインクの調製
表1に記載の第1のラジカル重合性化合物(A)〜(D)およびその他のラジカル重合性化合物(E)〜(I)、表2に記載のビニルエーテル化合物(A)〜(E)およびその他のビニルエーテル化合物(F)〜(G)、下記の第1の光ラジカル開始剤ならびに下記の添加剤を、表3および表4に記載の組成に応じた量で、65℃のホットプレート上で加熱攪拌しながら溶解させて、第1のインク1〜17を調製した。
Figure 0006365272
Figure 0006365272
[第1の光ラジカル開始剤]
TPO:DAROCUR(DAROCURはBASF社の登録商標) TPO(BASF社製)
ITX:SPEEDCURE ITX(DKSH社製)
[添加剤]
IRGASTAB(IRGASTABはBASF社の登録商標) UV10 (ラジカル重合禁止剤、BASF社製)
Figure 0006365272
Figure 0006365272
2.第2のインクの調製
[顔料分散液の調製]
以下二種の化合物をステンレスビーカーに入れ、65℃のホットプレート上で加熱しながら1時間加熱攪拌溶解して、顔料分散液を調製した。
顔料分散剤:味の素ファインテクノ社製 アジスパー(アジスパーは味の素社の登録商標) PB824 9部
第2のラジカル重合性化合物: ジプロピレングリコールジアクリレート 71部
室温まで冷却した後、これに下記顔料20部を加えて、直径0.5mmのジルコニアビーズ200gと共にガラス瓶に入れ密栓し、ペイントシェーカーにて5時間分散処理した後、ジルコニアビーズを除去した。
顔料:Pigment Black 7 (三菱化学社製、#52)
[第2のインクの調製]
表5に記載の第2のラジカル重合性化合物(A)〜(M)、表6に記載の疎水性化合物(A)〜(G)およびその他の疎水性化合物(H)、下記の第2の光ラジカル開始剤および下記の添加剤を、表7および表8に記載の量に応じた量で、65℃のホットプレート上で加熱攪拌しながら溶解させた後に、上記の顔料分散液を添加して撹拌した。得られたインクをADVATEC社製テフロン(テフロンはイー アイ デュポン社の登録商標)3μmメンブランフィルターで濾過を行い、第2のインク1〜16とした。なお、表中の「EO構造」とは、分子内のエチレンオキサイド構造の数を意味する。
Figure 0006365272
Figure 0006365272
[第2の光ラジカル開始剤]
TPO:DAROCUR TPO(BASF社製)
ITX:SPEEDCURE ITX(DKSH社製)
[添加剤]
IRGASTAB UV10 (ラジカル重合禁止剤、BASF社製)
Figure 0006365272
Figure 0006365272
3.第1のインクの付着および活性エネルギー光線の照射
上記調製した第1のインク1〜17のそれぞれを、#3バーコーターにて、巾75mm、長さ130mmのポリプロピレンフィルム(オカモト株式会社)へ厚みが3μmになるように均一に塗布した。塗布後、高圧水銀ランプにより、150mJ/cmで紫外線を照射してインクを硬化し、第1のインク1〜17のそれぞれからなるプライマー層を形成した。
4.プライマー層の表面温度の制御
ヒーターによって、プライマー層の表面温度を70℃(実施例1〜22、比較例1〜6)または表10に記載の温度(実施例23〜31)に制御した。
5.第2のインクの着弾
ピエゾ型インクジェットノズルを備えたインクジェットヘッドを有するインクジェット記録装置に、上記調製した第2のインク1〜16を装填した。
インク供給系は、インクタンク、供給パイプ、ヘッド直前のサブインクタンク、フィルター付き配管、ピエゾヘッドからなり、全室タンクからヘッド部分まで加熱して100℃の加温を行った。ピエゾヘッドから、2plの液滴になるように電圧を印加し360dpiの解像度のヘッドを各色四個ずつ用い吐出し、1440×1440dpiのKの単色ベタ画像となるように第2のインクをプライマー層の上に着弾させた。
このとき、第1のインクと第2のインクとが、表9および表10に記載の組み合わせとなるように、吐出する第2のインク1〜16の種類を変更した。また、表10に記載の組みあわせについては、プライマー層の表面温度を表10に記載の温度にして第2のインクを吐出した。
5.第2のインクへの活性エネルギー光線の照射
着弾した第2のインクに、Phoseon Technology社製LEDランプ(8W/cm、water cooled unit)で硬化した。管面から5mmの距離で照射した(搬送方向の照射幅20mm)。
6.評価
[密着性1]:記録媒体へのプライマー層の密着性
表面温度を制御する前のプライマー層について、碁盤目テープ剥離残留付着試験(JIS K 5400の碁盤目試験)で得た硬化組成物試料に粘着テープ(スコッチ#250、住友スリーエム製)を張り合わせて2kgのローラーで一往復圧着した後、一気に剥がし、残留している碁盤目状の試料の数を調査し、付着率を下記ランクで評価し、密着性1(記録媒体へのプライマー層の密着性)の指標とした。△以上が実用上良好な範囲である。
◎:付着残留率100%
○:付着残留率80%以上100%未満
△:付着残留率60%以上80%未満
×:付着残留率60%未満
[密着性2]:プライマー層とインク層との間の密着性
プライマー層上に第2のインクを印字、硬化後に、碁盤目テープ剥離残留付着試験(JIS K 5400の碁盤目試験)で得た硬化組成物試料に粘着テープ(スコッチ#250、住友スリーエム製)を張り合わせて2kgのローラーで一往復圧着した後、一気に剥がし、第2のインクがプライマー層上に残留している碁盤目状の試料の数を調査し、付着率を下記ランクで評価し、密着性2(プライマー層とインク層との間の密着性)の指標とした。△以上が実用上良好な範囲である。
◎:付着残留率100%
○:付着残留率80%以上100%未満
△:付着残留率60%以上80%未満
×:付着残留率60%未満
[濡れ性]
ポリプロピレンフィルム(オカモト株式会社)に形成された第1のインク硬化膜上に、第2のインクを印刷したときの、塗布ムラを目視評価した。評価は以下の基準で行った。
◎・・・第2のインクが均一に濡れ広がりムラがまったくみられない。
○・・・第2のインクが濡れ広がりムラがみられない。
△・・・第2のインクが濡れ広がっているが部分的にムラがみられる。
×・・・第2のインクが濡れ広がっているが多くの場所でムラがみられる
[カール評価]
上記画像形成方法で記録した実施例1〜22および比較例1〜10の各画像について、硬化収縮によるカールの発生度合いを目視にて観察し、下記の基準で評価した。
○:硬化物に反りなし
△:硬化物に反りが見られるが、許容範囲内
×:硬化物に反りが大きく、NGレベル
[耐擦過性]
印刷用コート紙A(OK金藤 米坪量104.7g/m 王子製紙社製)に印刷した自然画を「JIS規格 K5701−1 6.2.3 耐摩擦性試験」に記載の方法に準じ、4cm2となる大きさに切り取った印刷用コート紙Aを画像上に設置し、500gの荷重をかけて擦り合わせた。その後、画像濃度低下の程度を目視観察し、下記の基準に従って耐擦過性を評価した。
○:30回以上擦っても、画像の変化はまったく認められない
△:30回擦った段階で画像濃度の低下が認められるが、実用上許容範囲にある
×:30回未満の擦りで、明らかな画像濃度低下が認められ、実用に耐えない品質である
[基材の状態]
ポリプロピレンフィルム(オカモト株式会社)に形成された第1のインク硬化膜上に、温度制御を行いながら第2のインクを印刷したときに、フィルムに反りを目視評価した。
○・・・変形無し
×・・・変形あり
得られた結果を表9および表10に示す。
Figure 0006365272
Figure 0006365272
本発明の第1のインクおよび第2のインクを用いて画像を形成すると、記録媒体とプライマー層との密着性、プライマー層とインク層との密着性、プライマー層への第2のインクの濡れ性のいずれにおいても、良好な評価が得られた。特に、第1のインクが10質量%以上50質量%以下の3官能以上のアクリレートを含有すると、記録媒体とプライマー層との間の密着性が向上した(第1のインクNo.4〜10、実施例5〜22)。また、第1のインクがビニルエーテル化合物を含有し(第1のインクNo.9、10)、第2のインクが30質量%以上70%質量%以下のエチレンオキサイド構造を3個以上14個以下有するラジカル重合性化合物を含有する(第2のインクNo.5〜13)と、プライマー層とインク層との間の密着性が向上し、画像の耐擦過性もよかった(実施例10〜18)。また、第2のインクが0.5質量%以上10質量%以下の疎水性化合物を含有する(第2のインクNo.7〜13)と、プライマー層への第2のインクの濡れ性が向上した(実施例12〜18)。また、第1のインクが含有する3官能以上のアクリレートの量が第1のインクの全質量に対して10質量%以上50質量%以下であると、記録媒体のカールが生じなかった(第1のインクNo.1〜15、実施例1〜21)。
一方で、第2のインクが含有する疎水性のラジカル重合性化合物の量が10質量%より少ないと、記録媒体とプライマー層との間の密着性が低下した(第1のインクNo.11、比較例1)。これは、プライマー層内の疎水性成分の量が少ないため、疎水性の記録媒体との間の密着性が不足したためと思われる。逆に、第2のインクが含有する疎水性のラジカル重合性化合物の量が70質量%より多いと、プライマー層とインク層との間の密着性が低下した(第1のインクNo.12、比較例2)。これは、プライマー層内の疎水性成分の量が多いため、親水性のインク層との間の密着性が不足したためと思われる。
また、第2のインクが含有するビニルエーテル化合物の量が5質量%よりも少ないと、プライマー層とインク層との間の密着性、およびプライマー層への第2のインクの濡れ性が低下した(第1のインクNo.13、15、16、比較例3、5、6)。これは、ビニルエーテル基がプライマー層の硬化膜の近傍に十分に存在せず、第2のインクとの相互作用が生じにくかったためと考えられる。逆に、第2のインクが含有するビニルエーテル化合物の量が40質量%よりも多いと、記録媒体とプライマー層との間の密着性が低下した(第1のインクNo.14、比較例4)。これは、ビニルエーテル化合物が多いことによりプライマー層の硬化性が不足したためと思われる。また、第2のインクが、ビニルエーテル化合物のかわりに、ビニルエーテル基とビニルエーテル基以外の官能基との比率が1:1の化合物を含有している化合物を含有していると、プライマー層とインク層との密着性、およびプライマー層への第2のインクの濡れ性が低下した(第1のインクNo.16、比較例6)。これは、ビニルエーテル基がプライマー層の硬化膜の近傍に存在しにくく、第2のインクとの相互作用が生じにくかったためと思われる。
第2のインクが疎水性化合物を含有する(第2のインクNo.7〜13)場合、第2のインクを印字する際のプライマー層の表面温度を70℃よりも低くすると、記録媒体の変形による、プライマー層とインク層との間の密着性の低下が生じにくかった(実施例23〜29)。
本発明の方法は、記録媒体、特に非吸収性の記録媒体への画像形成に好適に使用することができる。

Claims (5)

  1. 記録媒体を構成する非吸収性の記録部分に活性光線を照射されて硬化するインク組成物を付着させる工程、記録媒体上に付着させた前記インク組成物に活性エネルギー線を照射してプライマー層を形成する工程、活性光線を照射されて硬化するインクジェットインク組成物の液滴をインクジェットヘッドから吐出して前記プライマー層の上に着弾させる工程、および前記着弾した前記インクジェットインク組成物に活性エネルギー線を照射してインク層を形成し、前記インクジェットインク組成物が硬化してなる画像を形成する工程、を含む画像形成方法であって、
    前記インク組成物は、第1のラジカル重合性化合物、ビニルエーテル化合物、3官能以上の(メタ)アクリレートおよび第1の光ラジカル重合開始剤を含有するインク組成物であり、前記インクジェットインク組成物は、第2のラジカル重合性化合物および第2の光ラジカル重合開始剤を含有するインクジェットインク組成物であり、
    前記第1のラジカル重合性化合物のlogP値は2.5以上であり、
    前記ビニルエーテル化合物は複数のビニルエーテル基を有し、
    前記インク組成物は、前記インク組成物の全質量に対して、10質量%以上70質量%の前記第1のラジカル重合性化合物、3質量%以上40%質量以下の前記ビニルエーテル化合物、および10質量%以上50質量%以下の前記3官能以上の(メタ)アクリレートを含有することを特徴とする画像形成方法。
  2. 前記ビニルエーテル化合物はエチレンオキサイド変性物であり、
    前記第2のラジカル重合性化合物は、前記インクジェットインク組成物の全質量に対して30質量%以上70%質量%以下の、エチレンオキサイド構造を3〜14個有する化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
  3. 前記インクジェットインク組成物は、前記インクジェットインク組成物の全質量に対して0.5質量%以上10質量%の、炭素数14以上の直鎖状または分岐状の炭素鎖を有する疎水性化合物をさらに含有することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成方法。
  4. 前記疎水性化合物は、脂肪族ケトン化合物、脂肪族エステル化合物、高級脂肪酸、高級アルコールおよびアミド化合物からなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする請求項に記載の画像形成方法。
  5. 前記インクジェットインク組成物の液滴を前記プライマー層に着弾させる工程と同時にまたはその前に、前記形成されたプライマー層の表面温度を30℃以上70℃以下に制御する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項3または4に記載の画像形成方法。

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