JP6398813B2 - 活性光線硬化型インクジェットインク、画像形成方法およびインクセット - Google Patents

活性光線硬化型インクジェットインク、画像形成方法およびインクセット Download PDF

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Description

本発明は、活性光線硬化型インクジェットインク、画像形成方法およびインクセットに関する。
インクジェット記録方法は、簡易かつ安価に画像を形成できることから、各種印刷分野で用いられている。インクジェット記録方法の一つとして、活性光線の照射によって硬化する特性を有するインクジェットインク組成物(以下、単に「インクジェットインク」ともいう。)の液滴を記録媒体に着弾させた後、活性光線を照射してインクジェットインクを硬化させて画像を形成する方法がある。このようなインクジェットインクを用いると、インク吸収性のない非吸収性の記録媒体においても、高い耐擦過性および密着性を有する画像を形成できる。
インクジェットインクがゲル化剤を含有すると、記録媒体に着弾して冷却したときに、ゲル化剤の結晶化によってインクがゲル化するため、インクのピニング性が高くなり、隣り合うドットの合一が生じにくい。また、ゲル化剤を含有するインクは、低い温度でも粘度が高くなるため、形成した画像の室温での擦過性を高めることもできる。
ゲル化剤を含有するインクジェットインクでは、活性光線の照射によりインクが硬化する際に、ゲル化剤の結晶が硬化物の表面に析出することが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1では、インクジェットインク中に非重合性の液体成分を含有させ、この液体成分にゲル化剤を溶解させることで、ゲル化剤の析出を抑えている。
また、インクジェットインクの保存安定性、吐出性および記録媒体への密着性を高めるため、インクジェットインクにポリオキシエチレンアルキル化合物を含有させる技術が知られている(たとえば、特許文献2参照)。
また、印刷された画像に光沢を持たせたり、外部からの衝撃への耐性を持たせたりする目的で、活性光線硬化型インクに活性光線を照射して形成した画像の上に、さらにオーバーコート液を付与し、コーティングする技術が知られている。その一例として、ゲル化剤、硬化性モノマー、硬化性ワックスおよび光開始剤を含むオーバーコート液によって、画像の光沢を制御する技術が知られている(たとえば、特許文献3参照)。
特開2013−221048号公報 特開2006−299212号公報 特開2010−792号公報
画像上にオーバーコート液を付与するとき、形成した画像へのオーバーコート液との密着性および濡れ性が低く、オーバーコート液がはじかれて、その付着力が弱くなることがある。
オーバーコート液の表面張力を弱めれば、オーバーコート液のはじきを低減させることができる。しかし、ゲル化剤を含有するインクジェットインクに活性光線を照射して形成した画像にオーバーコート液を付与するときは、オーバーコート液の表面張力を弱くしても、はじきが抑制できないことがある。
コロナ処理によって画像を形成する硬化物の表面エネルギーを高めても、オーバーコート液のはじきを低減させることができる。しかし、コロナ処理には専用の装置が必要であるため、画像形成のコストが高くなり、印刷システムが大型化し、かつ、画像形成速度も遅くなる。そのため、より簡便な方法で硬化物の表面エネルギーを高くする方法が望まれている。
上記の課題に鑑み、本発明は、ゲル化剤を含有する活性光線硬化型インクジェットインクにおいて、より簡便に、画像を形成する硬化物の表面エネルギーをより高めて、オーバーコート液のはじきを抑制できるインク、そのような活性光線硬化型インクジェットインクを用いた画像形成方法およびそのような活性光線硬化型インクジェットインクを含むインクセットを提供することを、その目的とする。
上記の課題に鑑み、本発明の第1は、以下の活性光線硬化型インクジェットインクに関する。
[1]光重合性化合物、直鎖アルキル基を有する非重合性ポリオキシエチレンアルキル化合物、ゲル化剤および光開始剤を含有する活性光線硬化型インクジェットインクであって、
前記光重合性化合物は、分子内に(−CH−CH−O−)(mは3以上14以下の整数)で表される構造を有する、分子量が300以上1500以下の(メタ)アクリレートを含み、
前記非重合性ポリオキシエチレンアルキル化合物のHLB値は6以上であり、
前記インクは、インクの全質量に対して30質量%以上70質量%以下の前記(メタ)アクリレートを含有し、
前記インクは、インクの全質量に対して0.01質量%以上10.0質量%以下の前記非重合性ポリオキシエチレンアルキル化合物を含有することを特徴とする、インク。
[2]前記ゲル化剤は、一般式(G1)〜一般式(G5)からなる群から選択される少なくとも1種であり、前記インクは、インクの全質量に対して2質量%以上10質量%以下の、前記一般式(G1)〜一般式(G5)で表されるゲル化剤を含有することを特徴とする、[1]に記載の活性光線硬化型インクジェットインク。
一般式(G1): R1a−CO−R1b
一般式(G2): R1a−COO−R1b
一般式(G3): R1a−COOH
一般式(G4): R1a−OH
一般式(G5): R2a−(CHCHO)n−R2b
(R1aおよびR1bは独立して、炭素数12以上24以下の直鎖部分を有するアルキル基を表し、R2aおよびR2bは独立して、炭素数12以上24以下の直鎖部分を有するアルキルケトン基またはアルキルエステル基を表し、nは1または2を表す。)
[3]前記ゲル化剤のR1a、R1b、R2aまたはR2bが有する直鎖部分の炭素原子の数と、前記非重合性ポリオキシエチレンアルキル化合物が有する前記直鎖アルキル基の炭素原子の数と、の差は3以内であることを特徴とする、[2]に記載の活性光線硬化型インクジェットインク。
[4]前記非重合性ポリオキシエチレンアルキル化合物は、一般式(A1)で表され、かつ、HLB値が10以上18以下の化合物であることを特徴とする、[1]〜[3]のいずれかに記載の活性光線硬化型インクジェットインク。
一般式(A1): R3−X−((CHCHO)−H)
(R3は炭素数12以上24以下の直鎖部分を有するアルキル基を表し、XはC、Nおよび糖構造からなる群から選択される1つの構造を表し、pおよびqは独立して2以上の整数を表し、rは(Xの価数−q−1)を表す。)
[5]前記インクは、インクの全質量に対して2.0質量%以上6.0質量%以下の前記非重合性ポリオキシエチレンアルキル化合物を含有することを特徴とする、[1]〜[4]のいずれかに記載の活性光線硬化型インクジェットインク。
また、本発明の第2は、以下の画像形成方法に関する。
[6][1]〜[5]のいずれかに記載の活性光線硬化型インクジェットインクの液滴をインクジェット法により記録媒体上に着弾させる工程、前記記録媒体上に着弾した液滴に活性光線を照射して画像を構成する下層を形成する工程、およびオーバーコート液を前記下層の上に付与する工程、を含む画像形成方法。
[7]前記オーバーコート液は、HLB値が6以上である非重合性ポリオキシエチレンアルキル化合物を含有することを特徴とする、[6]に記載の画像形成方法。
[8]前記オーバーコート液は、一般式(G1)〜一般式(G5)からなる群から選択される少なくとも1種のゲル化剤を含有し、前記オーバーコート液は、オーバーコート液の全質量に対して2質量%以上10質量%以下の前記ゲル化剤を含有することを特徴とする、[7]に記載の方法。
一般式(G1): R1a−CO−R1b
一般式(G2): R1a−COO−R1b
一般式(G3): R1a−COOH
一般式(G4): R1a−OH
一般式(G5): R2a−(CHCHO)n−R2b
(R1aおよびR1bは独立して、炭素数12以上24以下の直鎖部分を有するアルキル基を表し、R2aおよびR2bは独立して、炭素数12以上24以下の直鎖部分を有するアルキルケトン基またはアルキルエステル基を表し、nは1または2を表す。)
[9]前記非重合性ポリオキシエチレンアルキル化合物が有する直鎖アルキル基の炭素原子数と、前記ゲル化剤が有するR1a、R1b、R2a及びR2bの直鎖部分の炭素数との差は、3以内であることを特徴とする、[8]に記載の方法。
[10]前記非重合性ポリオキシエチレンアルキル化合物は、一般式(A1)で表され、かつ、HLB値が10以上18以下の化合物であることを特徴とする、[7]〜[9]のいずれかに記載の方法。
一般式(A1): R3−X−((CHCHO)−H)
(R3は炭素数12以上24以下の直鎖部分を有するアルキル基を表し、XはC、Nおよび糖構造からなる群から選択される1つの構造を表し、pおよびqは独立して2以上の整数を表し、rは(Xの価数−q−1)を表す。)
[11]前記オーバーコート液は、オーバーコート液の全質量に対して0.01質量%以上10.0質量%以下の前記非重合性ポリオキシエチレンアルキル化合物を含有することを特徴とする、[6]〜[10]のいずれか1項に記載の方法。
[12]前記オーバーコート液は、活性光線硬化型インクであることを特徴とする、[6]〜[11]のいずれかに記載の方法。
また、本発明の第3は、以下のインクセットに関する。
[13][1]〜[5]のいずれかに記載の活性光線硬化型インクジェットインクと、インクジェット吐出用オーバーコート液とを含むことを特徴とする、インクセット。
[14]前記インクジェット吐出用オーバーコート液は、HLB値が6以上である非重合性ポリオキシエチレンアルキル化合物を含有することを特徴とする、[13]に記載のインクセット。
本発明によれば、ゲル化剤を含有する活性光線硬化型インクジェットインクにおいて、より簡便に、画像を形成する硬化物の表面エネルギーをより高めて、オーバーコート液のはじきを抑制できるインク、そのような活性光線硬化型インクジェットインクを用いた画像形成方法およびそのような活性光線硬化型インクジェットインクを含むインクセットが提供される。
本発明者は、鋭意検討の結果、ゲル化剤を含有する活性光線硬化型インクを用いて形成した画像では、硬化物の表面に析出したゲル化剤の結晶によって、オーバーコート液のはじきが生じていることを見いだした。つまり、ゲル化剤は疎水性であるため、ゲル化剤の結晶が析出することにより、硬化物の表面エネルギーが低くなる。表面エネルギーが低いと、硬化物の表面へのオーバーコート液の濡れ性が低くなり、オーバーコート液が密着しにいため、はじきが生じやすいと考えられる。
これに対し、本発明は、以下の組成を有することで、ゲル化剤を含有するにもかかわらず、活性光線を照射してなる硬化物の表面エネルギーが高く、硬化物上に付与するオーバーコート液の濡れ性および密着性が高くなるインクの組成を見出し、このようなインクを画像形成方法およびインクセットにも応用できることを見出したものである。
また、本発明は、コロナ処理等の特殊な工程を含めずに硬化物の表面エネルギーを高めることができるので、画像形成コストの増大、印刷システムシステムの大型化および画像形成速度の低下を含む問題が生じにくい。
1.活性光線硬化型インクジェットインク
本発明の活性光線硬化型インクジェットインク(以下、単に「本発明のインク」ともいう。)は、光重合性化合物、直鎖アルキル基を有する非重合性ポリオキシエチレンアルキル化合物、ゲル化剤および光開始剤を含有する。上記光重合性化合物は、分子量が300以上1500以下であり、分子内に(−CH−CH−O−)(mは3以上14以下の整数)で表される構造を有する、分子量が300以上1500以下の(メタ)アクリレート(以下、単に「EO(メタ)アクリレート」ともいう。)を含む。前記非重合性ポリオキシエチレンアルキル化合物は、HLB値が6以上の化合物(以下、単に「EOアルキル化合物」ともいう)である。本発明のインクは、インクの全質量に対して30質量%以上70質量%以下の前記EO(メタ)アクリレートを含有し、インクの全質量に対して0.01質量%以上10質量%以下の前記非重合性ポリオキシエチレンアルキル化合物を含有する。なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」および「メタクリレート」の一方または双方を意味する。
本発明のインクは、ゲル化剤を含有するにもかかわらず、活性光線を照射してなる硬化物の表面エネルギーが高く、硬化物上に付与するオーバーコート液の濡れ性および密着性が高くなる。この理由は明らかではないが、本発明者らは以下のように考えている。つまり、上記EO(メタ)アクリレートおよび上記EOアルキル化合物はいずれも極性の高いEO基を有するため、互いの親和性が低い。そのため、活性光線の照射によって上記EO(メタ)アクリレートが重合して炭化水素鎖を形成するとき(インクを硬化するとき)、上記EOアルキル化合物は炭化水素鎖中に取り込まれにくく、インクの外側(表面)近傍に移動しやすい。これにより、本発明のインクが硬化した硬化物の表面近傍には、EO基を有するEOアルキル化合物が多く存在するため、硬化物の表面エネルギーが高まる。硬化物の表面エネルギーが高まると、オーバーコート液の組成物との間で水素結合またはファンデルワールス力などの分子間力が作用して、オーバーコート液の濡れ性および密着性が高まる。
また、アルキル基を有するゲル化剤の、アルキル基を構成する炭素原子の数と、EOアルキル化合物が有するアルキル基を構成する炭素原子の数との差が、絶対値で3以内であると、オーバーコート液の濡れ性および密着性がより高くなる。本発明者らは、これは、ゲル化剤とEOアルキル化合物との間の親和性が高まり、ゲル化剤とともにEOアルキル化合物が硬化中のインクの表面近傍に移動しやすくするためであると考えている。
1−1.光重合性化合物
1−1−1.EO(メタ)アクリレート
EO(メタ)アクリレートは、3個以上14個以下のEO基を有する、分子量が300以上1500以下の(メタ)アクリレートである。3個以上14個以下のEO基は、連結した1つのセグメントとして存在してもよいし、2以上のセグメントに分かれて存在してもよい。ただし、インクを硬化するときにEOアルキル化合物を炭化水素鎖中により取り込まれにくくする観点からは、EO基が2以上のセグメントに分かれて存在するときは、3個以上のEO基を有するセグメントが分子内に2個以上あることが好ましい。本発明のインクは、EO(メタ)アクリレートを1種のみ含有しても、2種以上含有してもよい。
EO(メタ)アクリレートは、3個以上のEO基を有するため、インクを硬化するときに、EOアルキル化合物を炭化水素鎖中に取り込みにくく、EOアルキル化合物を硬化物の表面近傍に移動させやすい。また、EO(メタ)アクリレートは、3個以上のEO基を有するため、硬化収縮による印刷物のカールをより少なくすることができると考えられる。EO(メタ)アクリレートは、EO基の数が14個以下であるため、EO(メタ)アクリレートの分子量を上記範囲に調整し、吐出安定性を高めることができる。また、EO(メタ)アクリレートは、EO基の数が14個以下であるため、ゲル化剤をインク中に十分に溶解させることができ、吐出安定性を高めることができると考えられる。
EO(メタ)アクリレートは、分子量が300以上であるため、吐出温度付近でのインク粘度の変化量が大きくなりすぎず、安定したインク吐出ができる温度範囲を広くすることができ、インク吐出時の温度調整を容易にできると考えられる。また、EO(メタ)アクリレートは、分子量が300以上であるため、インクそのものの臭気やインクを用いて形成した印刷物からの臭気を抑制できると考えられる。
本発明のインクは、インクの全質量に対して30質量%以上70質量%以下のEO(メタ)アクリレートを含有する。EO(メタ)アクリレートの量が30質量%以上であると、EO基同士の反発が十分に生じるため、硬化物の表面近傍に多くの上記EOアルキル化合物を存在させることができる。また、EO(メタ)アクリレートの量が30質量%以上であると、硬化収縮による印刷物のカールをより少なくすることができると考えられる。EO(メタ)アクリレートの量が70質量%以下であると、ゲル化剤をインク中に十分に溶解させることができ、吐出安定性を高めることができると考えられる。上記観点から、EO(メタ)アクリレートの量は、35質量%以上60質量%以下であることがより好ましく、40質量%以上50質量%以下であることがさらに好ましい。
EO(メタ)アクリレートの例には、4EO変性ヘキサンジオールジアクリレート(分子量358)、3EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート(分子量429)、6EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート(分子量560)、4EO変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート(分子量528)、5EO変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート(分子量572)、EO基数が4以上14以下のポリエチレングリコールジアクリレート(分子量302〜742)およびEO基数が4以上14以下のポリエチレングリコールジメタクリレート(分子量332〜772)が含まれる。
1−1−2.その他の光重合性化合物
光重合性化合物は、本発明の効果が得られる範囲において、EO(メタ)アクリレート以外の光重合性化合物を含んでいてもよい。EO(メタ)アクリレート以外の光重合性化合物の例には、EO基の数が2個以下の(メタ)アクリレートを含むラジカル重合性の化合物、ならびにエポキシ化合物およびビニルエーテル化合物を含むカチオン重合性の化合物が含まれる。上記以外の光重合性化合物は、モノマー、オリゴマー、ポリマーまたはこれらの混合物でもよい。本発明のインクは、EO(メタ)アクリレート以外の以外の光重合性化合物を1種のみ含有しても、2種以上含有してもよい。
EO基の数が2個以下の(メタ)アクリレートの例には、イソアミル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソミルスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル−ジグリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−アクリロイロキシエチルコハク酸、2−アクリロイロキシエチルフタル酸、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチル−フタル酸、ラクトン変性可とう性(メタ)アクリレートおよびt−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレートを含む単官能(メタ)アクリレート、ならびに1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのPO付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートおよびポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレートを含む二官能(メタ)アクリレートが含まれる。
エポキシ化合物の例には、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェノール(ポリエチレンオキシ)5−グリシジルエーテル、ブチルフェニルグリシジルエーテル、ヘキサヒドロフタル酸グリシジルエステル、ラウリルグリシジルエーテル、1,2−エポキシシクロヘキサン、1,4−エポキシシクロヘキサン、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサンおよびノルボルネンオキシドを含む単官能エポキシ化合物、ならびにネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリグリセロールトリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテルおよびペンタエリスリトールポリグリシジルエーテルを含む多官能エポキシ化合物が含まれる。
ビニルエーテル化合物の例には、ブチルビニルエーテル、ブチルプロペニルエーテル、ブチルブテニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、エチルエトキシビニルエーテル、アセチルエトキシエトキシビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテルおよびアダマンチルビニルエーテルを含む単官能ビニルエーテル化合物、ならびにエチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールビニルエーテル、ブチレンジビニルエーテル、ジブチレングリコールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ノルボルニルジメタノールジビニルエーテル、イソバイニルジビニルエーテル、ジビニルレゾルシン、ジビニルハイドロキノン、グリセリントリビニルエーテル、グリセリンエチレンオキシド付加物トリビニルエーテル(エチレンオキシドの付加モル数6)、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、トリビニルエーテルエチレンオキシド付加物トリビニルエーテル(エチレンオキシドの付加モル数3)、ペンタエリスリトールトリビニルエーテルおよびジトリメチロールプロパンヘキサビニルエーテルならびにそれらのオキシエチレン付加物を含む多官能ビニルエーテル化合物が含まれる。
1−2.EOアルキル化合物
EOアルキル化合物は、分子内にEO基を有し、HLB値が6以上であり、直鎖アルキル基を有する、非重合性ポリオキシエチレンアルキル化合物である。本発明のインクは、EOアルキル化合物を1種のみ含有しても、2種以上含有してもよい。
EOアルキル化合物は、分子内にEO基を有するため、EO(メタ)アクリレートとの親和性が低く、EO(メタ)アクリレートが重合する際に炭化水素鎖中に取り込まれにくく、硬化中のインクの表面近傍に移動しやすい。そのため、硬化物の表面近傍のEO基数を多くして、硬化物の表面エネルギーを高め、オーバーコート液の濡れ性および密着性を高めることができる。
また、EOアルキル化合物は、HLB値が6以上であり、親油性の程度がさほど高くないため、EO(メタ)アクリレートが重合してなる炭化水素鎖に取り込まれにくく、硬化中のインクの表面近傍に移動しやすい。そのため、硬化物の表面近傍のEO基数を多くして、硬化物の表面エネルギーを高め、オーバーコート液の濡れ性および密着性を高めることができる。上記観点から、EOアルキル化合物のHLB値は、10以上であることがより好ましく、12以上であることがさらに好ましい。
HLB値を上記範囲にする観点からは、EOアルキル化合物が有するEO基の数は8個以上であることが好ましい。
また、EOアルキル化合物は、非重合性であるため、EO(メタ)アクリレートが重合する際にEO(メタ)アクリレートと反応しにくく、炭化水素鎖中に取り込まれにくい。これにより、EOアルキル化合物は、硬化中のインクの表面近傍に移動しやすい。そのため、硬化物の表面近傍のEO基数を多くして、硬化物の表面エネルギーを高め、オーバーコート液の濡れ性および密着性を高めることができる。「非重合性」とは、EOアルキル化合物1モルあたりに含まれるラジカル重合性の官能基の量が、0.1モル当量以下であることを意味する。
EOアルキル化合物が有する重合性の官能基のモル当量は、EOアルキル化合物が有する重合性の官能基の量を、EOアルキル化合物の重量平均分子量で除算することで、求めることができる。重合性の官能基の量は、核磁気共鳴法(NMR)、フーリエ変換型赤外分光法(FT−IR)、質量分析法(MS)を含む通常の分析法を利用して推定することができる。EOアルキル化合物の重量平均分子量は、溶媒をo−ジクロロベンゼンとしたカラムを用いてゲル浸透クロマトグラフ(GPC)を行い、得られた値をポリスチレンによる検量線に代入することによって測定することができる。
また、EOアルキル化合物は、直鎖アルキル基を有するため、ゲル化剤とEOアルキル化合物との間の親和性が高まり、ゲル化剤とともにEOアルキル化合物が硬化中のインクの表面近傍に移動しやすくなると考えられる。
本発明のインクは、インクの全質量に対して0.01質量%以上10.0質量%以下のEOアルキル化合物を含有する。EOアルキル化合物の量が0.01質量%以上であると、硬化物の表面近傍に存在するEOアルキル化合物の量が多くなるため、硬化物の表面エネルギーが高まり、オーバーコート液の濡れ性および密着性が高まる。EOアルキル化合物の量が10.0質量%以下であると、硬化物の膜硬度が高まる。オーバーコート液の濡れ性および密着性と硬化物の膜硬度とをより高い程度で両立させる観点から、本発明のインク中のEOアルキル化合物の量は、2.0質量%以上6.0質量%以下であることがより好ましく、3.0質量%以上5.0質量%以下であることがさらに好ましい。
EOアルキル化合物の例には、ナイミーンS−204(HLB値:8)、日油株式会社製(「ナイミーン」は同社の登録商標)、ならびにEMALEX CWS−3(HLB値:3)およびEMALEX LWS−3(HLB値:3)、日本エマルジョン株式会社製(「EMALEX」は同社の登録商標)が含まれる。
ゲル化剤とEOアルキル化合物との間の親和性を高め、ゲル化剤とともにEOアルキル化合物を硬化中のインクの表面近傍に移動しやすくする観点から、EOアルキル化合物は、下記一般式(A1)で表される化合物であることがより好ましい。
一般式(A1): R3−X−((CHCHO)−H)
一般式(A1)において、R3は炭素数12以上24以下の直鎖部分を有するアルキル基を表し、XはC、Nおよび糖構造からなる群から選択される1つの構造を表し、pおよびqは独立して2以上の整数を表し、rは(Xの価数−q−1)を表す。
なお、本発明における上記糖構造は、1個以上3個以下の糖を含む単糖類、二糖類および三糖類、ならびに脱水物を含むこれらの誘導体に由来する、2価以上の構造を意味する。
糖構造の例には、ソルビタンおよびショ糖が含まれる。
EOアルキル化合物を硬化中のインクの表面近傍により移動させやすくする観点から、上記一般式(A1)で表されるEOアルキル化合物のHLB値は、10以上であることが好ましい。18以下であることが好ましい。EOアルキル化合物のインクへの溶解性をより高める観点から、上記一般式(A1)で表されるEOアルキル化合物のHLB値は、17以下であることが好ましい。
HLB値が10以上18以下である、一般式(A1)で表されるEOアルキル化合物の市販品の例には、ナイミーンS−210(X=N)、ナイミーンS−215(X=N)、ナイミーンS−220(X=N)、日油株式会社製、エマルゲン109P(X=C)、エマルゲン120(X=C)、エマルゲン147(X=C)、エマルゲン210P(X=C)、エマルゲン320P(X=C)、花王株式会社製(「エマルゲン」は同社の登録商標)、EMALEX BHA−10(X=C)、日本エマルジョン株式会社製、Tween20(X=糖構造)、Tween40(X=糖構造)、Tween60(X=糖構造)およびTween80(X=糖構造)が含まれる。なお、括弧内の記載は、それぞれの市販品におけるXの種類(C、Nおよび糖構造のいずれか)を示す。
1−3.ゲル化剤
ゲル化剤は、インクの使用温度範囲内でも温度変化により可逆的にゾルゲル相転移する化合物である。ゲル化剤は、記録媒体に着弾した本発明のインクの液滴をゲル状態にして仮固定(ピニング)することができる。インクがゲル状態でピニングされると、インクの濡れ広がりが抑えられて隣り合うドットが同一しにくくなるため、より高精細な画像を形成することができる。また、インクがゲル状態になると、インク液滴中への環境中の酸素の入り込みが抑えられて酸素による硬化阻害が生じにくくなるため、高精細な画像をより高速で形成することができる。ゲル化剤は、本発明のインク中に、一種のみが含まれていてもよく、二種類以上が含まれていてもよい。
本発明のインク中が含有するゲル化剤の量は、インクを十分にピニングでき、かつ、硬化物の表面に析出したゲル化剤によって画像の光沢が過剰にならない範囲であればよく、たとえば、インクの全質量に対して1.0質量%以上10.0質量%以下とすることができる。ゲル化剤の量が1.0質量%以上であると、インクのピニング性が十分に高まり、より高精細な画像を形成することが可能になる。ゲル化剤の量が10.0質量%以下であると、形成した画像の表面へ析出するゲル化剤の量が少なくなるため、過剰な光沢の発生を抑制することができる。上記観点から、本発明のインク中が含有するゲル化剤の量は、2.0質量%以上10.0質量%以下であることがより好ましく、2.0質量%以上5.0質量%以下であることがさらに好ましく、2.0質量%以上3.5質量%以下であることがさらに好ましい。
以下の観点から、ゲル化剤は、インクのゲル化温度以下の温度で、インク中で結晶化することが好ましい。ゲル化温度とは、加熱によりゾル化または液体化したインクを冷却していったときに、ゲル化剤がゾルからゲルに相転移し、インクの粘度が急変する温度をいう。具体的には、ゾル化または液体化したインクを、粘弾性測定装置(たとえば、MCR300、Physica社製)で粘度を測定しながら冷却していき、粘度が急激に上昇した温度を、そのインクのゲル化温度とすることができる。
ゲル化剤がインク中で結晶化すると、板状に結晶化したゲル化剤によって形成された三次元空間に光重合性化合物が内包される構造が形成されることがある(このような構造を、以下「カードハウス構造」という。)。カードハウス構造が形成されると、液体の光重合性化合物が前記空間内に保持されるため、インク液滴がより濡れ広がりにくくなり、インクのピニング性がより高まる。インクのピニング性が高まると、記録媒体に着弾したインク液滴同士が合一しにくくなり、より高精細な画像を形成することができる。
カードハウス構造を形成するには、インク中で溶解している光重合性化合物とゲル化剤とが相溶していることが好ましい。これに対して、インク中で溶解している光重合性化合物とゲル化剤とが相分離していると、カードハウス構造を形成しにくい場合がある。
結晶化によるカードハウス構造の形成に好適なゲル化剤の例には、
ジリグノセリルケトン、ジベヘニルケトン、ジステアリルケトン、ジエイコシルケトン、ジパルミチルケトン、ジラウリルケトン、ジミリスチルケトン、ミリスチルパルミチルケトンおよびパルミチルステアリルケトンを含むケトンワックス;
ベヘニン酸ベヘニル、イコサン酸イコシル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸パルミチル、パルミチン酸セチル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、セロチン酸ミリシル、ステアリン酸ステアリル、パルミチン酸オレイル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、エチレングリコール脂肪酸エステルおよびポリオキシエチレン脂肪酸エステルを含むエステルワックス;
パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスおよびペトロラクタムを含む石油系ワックス;
キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ロウ、ホホバ油、ホホバ固体ロウおよびホホバエステルを含む植物系ワックス;
ミツロウ、ラノリンおよび鯨ロウを含む動物系ワックス;
モンタンワックスおよび水素化ワックスを含む鉱物系ワックス;
硬化ヒマシ油;
硬化ヒマシ油誘導体、モンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体、12−ヒドロキシステアリン酸誘導体およびポリエチレンワックス誘導体を含む変性ワックス;
ステアリルアルコールおよびベヘニルアルコールを含む高級アルコール;
12−ヒドロキシステアリン酸を含むヒドロキシステアリン酸;
ラウリン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミドおよび12−ヒドロキシステアリン酸アミドを含む脂肪酸アミド;
N−ステアリルステアリン酸アミドおよびN−オレイルパルミチン酸アミドを含むN−置換脂肪酸アミド;
N,N’−エチレンビスステアリルアミド、N,N’−エチレンビス−12−ヒドロキシステアリルアミドおよびN,N’−キシリレンビスステアリルアミドを含む特殊脂肪酸アミド;
ドデシルアミン、テトラデシルアミンおよびオクタデシルアミンを含む高級アミン;
ショ糖ステアリン酸およびショ糖パルミチン酸を含むショ糖脂肪酸のエステル;
ポリエチレンワックスおよびα−オレフィン無水マレイン酸共重合体ワックスを含む合成ワックス;
ダイマー酸;ならびに
ダイマージオールが含まれる。
脂肪酸アミドの市販品の例には、ニッカアマイドシリーズ、日本化成社製(「ニッカアマイド」は同社の登録商標)、ITOWAXシリーズ、伊藤製油社製、およびFATTYAMIDシリーズ、花王社製が含まれる。
脂肪酸エステル化合物の市販品の例には、EMALLEXシリーズ、日本エマルジョン社製 リケマールシリーズおよびポエムシリーズ、理研ビタミン社製(「リケマール」および「ポエム」はいずれも同社の登録商標)が含まれる。
ショ糖脂肪酸のエステルの市販品の例には、リョートーシュガーエステルシリーズ、三菱化学フーズ社製(「リョートー」は同社の登録商標)が含まれる。
合成ワックスの市販品の例には、UNILINシリーズ、Baker−Petrolite社製(「UNILIN」は同社の登録商標)が含まれる。
ダイマージオールの市販品の例には、PRIPORシリーズ、CRODA社製(「PRIPOR」は同社の登録商標)が含まれる。
これらのゲル化剤のうち、よりピニング性を高める観点から、ケトンワックス、エステルワックス、高級脂肪酸および高級アルコールが好ましく、ケトンワックスおよびエステルワックスは、EO基を有していてもよい。上記観点から、ゲル化剤は、下記一般式(G1)〜一般式(G5)で表される化合物のうち少なくとも1種であることがさらに好ましい。下記一般式(G1)〜一般式(G5)で表される化合物のうち少なくとも1種は、本発明のインク中に、一種類のみが含まれていてもよく、二種類以上が含まれていてもよい。
一般式(G1): R1a−CO−R1b
一般式(G2): R1a−COO−R1b
一般式(G3): R1a−COOH
一般式(G4): R1a−OH
一般式(G5): R2a−(CHCHO)n−R2b
一般式(G1)〜一般式(G5)において、R1aおよびR1bは独立して、炭素数12以上24以下の直鎖部分を有するアルキル基を表し、R2aおよびR2bは独立して、炭素数12以上24以下の直鎖部分を有するアルキルケトン基またはアルキルエステル基を表し、nは1または2を表す。
上記一般式(G1)〜一般式(G5)で表されるゲル化剤は、炭素数が12以上である直鎖アルキル構造を含むため、結晶性が高く、かつ、上記カードハウス構造において十分な空間を生じさせる。そのため、光重合性化合物が上記空間内に十分に内包されやすくなり、インクのピニング性がより高くなる。また、上記一般式(G1)〜一般式(G5)で表されるゲル化剤は、直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基の炭素数が24以下であるため、ゲル化剤の融点が過度に高まらず、インクを出射するときにインクを過度に加熱する必要がない。
上記一般式(G1)で表されるケトンワックスの例には、25−ノナテトラコンタノン(炭素数:24−24)、22−トリテトラコンタノン(炭素数:21−21)、19−ヘプタトリアコンタノン(炭素数:18−18)、18−ペンタトリアコンタノン(炭素数:17−17)、21−ヘンテトラコンタノン(炭素数:20−20)、16−ヘントリアコンタノン(炭素数:15−15)、14−ヘプタコサノン(炭素数:13−13)、13−ヘプタコサノン(炭素数:12−14)、13−ノナコサノン(炭素数:12−16)、13−ヘントリアコンタノン(炭素数:12−18)、13−ペンタトリアコンタノン(炭素数:12−22)、15−ヘントリアコンタノン(炭素数:14−16)、15−プロパトリアコンタノン(炭素数:14−18)、15−ヘプタトリアコンタノン(炭素数:14−22)、17−ヘプタトリアコンタノン(炭素数:16−18)、17−ノナトリアコンタノン(炭素数:16−22)および19−ヘンテトラコンタノン(炭素数:18−22)が含まれる。なお、上記括弧内の炭素数は、それぞれ、カルボニル基で分断されるR1aおよびR1bの炭素数を表す。
一般式(G1)で表されるケトンワックスの市販品の例には、18−Pentatriacontanon、Alfa Aeser社製、Hentriacontan−16−on、Alfa Aeser社製およびカオーワックスT1、花王社製が含まれる。
一般式(G2)で表されるエステルワックスの例には、ベヘニン酸ベヘニル(炭素数:21−22)、イコサン酸イコシル(炭素数:19−20)、ステアリン酸ステアリル(炭素数:17−18)、ステアリン酸パルミチル(炭素数:17−16)、ステアリン酸ラウリル(炭素数:17−12)、パルミチン酸セチル(炭素数:15−16)、パルミチン酸ステアリル(炭素数:15−18)、ミリスチン酸ミリスチル(炭素数:13−14)、ミリスチン酸セチル(炭素数:13−16)、ミリスチン酸オクチルドデシル(炭素数:13−20)、オレイン酸ステアリル(炭素数:17−18)、エルカ酸ステアリル(炭素数:21−18)、リノール酸ステアリル(炭素数:17−18)、パルミチン酸イソステアリル(炭素数:15−18)が含まれる。なお、上記括弧内の炭素数は、それぞれ、エステル基で分断されるR1aおよびR1bの炭素数を表す。
一般式(G2)で表されるエステルワックスの市販品の例には、ユニスターM−2222SLおよびスパームアセチ、日油社製(「ユニスター」は同社の登録商標)、エキセパールSSおよびエキセパールMY−M、花王社製(「エキセパール」は同社の登録商標)、EMALEX CC−18およびEMALEX CC−10、日本エマルジョン社製(「EMALEX」は同社の登録商標)ならびにアムレプスPC、高級アルコール工業社製(「アムレプス」は同社の登録商標)が含まれる。これらの市販品は、二種類以上の混合物であることが多いため、必要に応じて分離・精製してインクに含有させてもよい。
一般式(G3)で表される高級脂肪酸の例には、ベヘン酸(炭素数:22)が含まれる。
一般式(G4)で表される高級アルコールの例には、ベヘニルアルコール(炭素数:22)が含まれる。
一般式(G5)で表されるEO基を有するケトンワックスおよびエステルワックスの例には、ジラウリン酸ジエチレングリコール(炭素数:12−12、n=2)、ジステアリン酸ジエチレングリコール(炭素数:17−17、n=2)およびジイソステアリン酸ジエチレングリコール(炭素数:17−17、n=2)が含まれる。なお、上記括弧内の炭素数は、EO基で分断される2つのR2それぞれの炭素数を表す。
一般式(G5)で表されるEO基を有するケトンワックスおよびエステルワックスの市販品の例には、EMALEX DEG−di−L、EMALEX DEG−di−S、EMALEX EG−di−L、EMALEX EG−di−SおよびEMALEX DEG−di−IS、日本エマルジョン社製が含まれる。これらの市販品は、二種類以上の混合物であることが多いため、必要に応じて分離・精製してインクに含有させてもよい。
インクのピニング性を十分に高め、かつ、硬化物の表面に析出したゲル化剤による過剰な光沢を抑制する観点から、上記一般式(G1)〜一般式(G5)で表されるゲル化剤の量は、インクの全質量に対して2.0質量%以上10.0質量%以下であることが好ましく、2.0質量%以上5.0質量%以下であることがより好ましく、2.0質量%以上3.5質量%以下であることがさらに好ましい。
ゲル化剤とEOアルキル化合物との間の親和性を高め、ゲル化剤とともにEOアルキル化合物を硬化中のインクの表面近傍に移動しやすくする観点から、上記一般式(G1)〜一般式(G5)で表されるゲル化剤が有するアルキル基R1a、R1b、R2aおよびR2bの少なくともいずれかの炭素数と、上記EOアルキル化合物が有する少なくともいずれかの直鎖アルキル基の炭素数と、の差は、絶対値で3以内であることが好ましい。
1−4.光開始剤
[光開始剤]
光開始剤(光重合開始剤)は、活性光線の照射により光重合性化合物の重合を開始し得るものである。光開始剤としては、ラジカル重合開始剤であることが好ましいが、さらにカチオン重合開始剤が含有されていてもよい。本発明のインクは、光開始剤を1種のみ含有しても、2種以上含有してもよい。
本発明のインクが含有するラジカル重合開始剤は、分子開裂型の重合開始剤および水素引き抜き型の重合開始剤のいずれであってもよい。
分子開裂型のラジカル重合開始剤の例には、ベンゾインイソブチルエーテル、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ベンジル、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オンおよび1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オンが含まれる。
水素引き抜き型のラジカル重合開始剤の例には、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、イソフタルフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルスルフィド、メタロセンタイプの重合開始剤であるビス(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、オキシムエステルタイプの重合開始剤である1,2−オクタンジオン、1−(4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム))、エタノンおよび1−(9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル)−1−(O−アセチルオキシム)が含まれる。
カチオン重合開始剤の例には、ジアゾニウム、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウムおよびホスホニウム等の芳香族オニウム化合物のB(C4−、PF6−、AsF6−、SbF6−またはCFSO3−塩、スルホン酸を発生するスルホン化物、ハロゲン化水素を光発生するハロゲン化物、ならびに鉄アレン錯体が含まれる。
光開始剤の量は、本発明の効果が得られる範囲において、任意に設定することができる。たとえば、インクの全質量に対して、0.1質量%以上20質量%以下、好ましくは1.0質量%以上12質量%以下とすることができる。
1−5.その他の成分
本発明のインクは、本発明の効果が得られる範囲において、上記以外の成分を含有してもよい。本発明のインクが含有しうる上記以外の化合物の例には、上記EOアルキル化合物以外の非重合性ポリオキシエチレンアルキル化合物、増感剤、色材および界面活性剤が含まれる。これらの成分は、本発明のインク中に、一種のみが含まれていてもよく、二種類以上が含まれていてもよい。
上記EOアルキル化合物以外の非重合性ポリオキシエチレンアルキル化合物の例には、 ナイミーンS−202、日油株式会社製、ならびにEMALEX CWS−3およびEMALEX LWS−3、日本エマルジョン株式会社製が含まれる。
増感剤の例にはトリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p−ジエチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、N,N−ジメチルベンジルアミンおよび4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等の、光重合性化合物と付加反応を起こさないアミン類が含まれる。
色材は、染料または顔料でありうる。
顔料の例には、トルイジンレッド、トルイジンマルーン、ハンザイエロー、ベンジジンイエローおよびピラゾロンレッド等の不溶性アゾ顔料、リトールレッド、ヘリオボルドー、ピグメントスカーレットおよびパーマネントレッド2B等の溶性アゾ顔料、アリザリン、インダントロンおよびチオインジゴマルーン等の建染染料からの誘導体、フタロシアニンブルーおよびフタロシアニングリーン等のフタロシアニン系有機顔料、キナクリドンレッドおよびキナクリドンマゼンタ等のキナクリドン系有機顔料、ペリレンレッドおよびペリレンスカーレット等のペリレン系有機顔料、イソインドリノンイエローおよびイソインドリノンオレンジ等のイソインドリノン系有機顔料、ピランスロンレッドおよびピランスロンオレンジ等のピランスロン系有機顔料、チオインジゴ系有機顔料、縮合アゾ系有機顔料、ベンズイミダゾロン系有機顔料、キノフタロンイエロー等のキノフタロン系有機顔料ならびにイソインドリンイエローなどのイソインドリン系有機顔料等の有機顔料、ならびにフラバンスロンイエロー、アシルアミドイエロー、ニッケルアゾイエロー、銅アゾメチンイエロー、ペリノンオレンジ、アンスロンオレンジ、ジアンスラキノニルレッド、ジオキサジンバイオレット、カーボンブラック、酸化チタンおよび炭酸カルシウム等の無機顔料が含まれる。
染料の例には、MS Magenta VP、MS MagentaHM−1450およびMS MagentaHSo−147、三井東圧社製、AIZENSOT Red−1、AIZEN SOT Red−2、AIZEN SOTRed−3、AIZENSOT Pink−1およびSPIRONRed GEH SPECIAL、保土谷化学社製、RESOLIN Red FB 200%、MACROLEX Red Violet RおよびMACROLEXROT5B、ランクセス社製(「MACROLEX」は同社の登録商標)、KAYASETRed B、KAYASET Red 130、およびKAYASET Red 802、日本化薬社製(「カヤセット」は同社の登録商標)、PHLOXIN、ROSEBENGALおよびACID Red、ダイワ化成社製、HSR−31およびDIARESINRed K、三菱化成社製(「DIARESIN」は同社の登録商標)、ならびにOilRed、BASFジャパン社製を含むマゼンタ染料、
MS Cyan HM−1238、MS Cyan HSo−16、CyanHSo−144およびMS CyanVPG、三井東圧社製、AIZEN SOTBlue−4、保土谷化学社製、RESOLIN BR.Blue BGLN 200%、MACROLEXBlue RR、CERES Blue GN、SIRIUS SUPRATURQ.BlueZ−BGLおよびSIRIUS SUPRATURQ.Blue FB−LL 330%、ランクセス社製、KAYASET Blue FR、KAYASET Blue N、KAYASETBlue 814、Turq.BlueGL−5 200およびLightBlue BGL−5 200、日本化薬社製、DAIWA Blue 7000およびOleosol Fast Blue GL、ダイワ化成社製、DIARESIN Blue P、三菱化成社製ならびにSUDAN Blue 670、NEOPEN Blue 808およびZAPON Blue 806、BASFジャパン社製を含むシアン染料、
MS Yellow HSm−41、Yellow KX−7およびYellowEX−27、三井東圧社製、AIZEN SOT Yellow−1、AIZEN SOT YelloW−3およびAIZEN SOT Yellow−6、保土谷化学社製MACROLEX Yellow 6GおよびMACROLEX FLUOR.Yellow 10GN、バイエルジャパン社製、KAYASETYellow SF−G、KAYASETYellow2G、KAYASET YellowA−GおよびKAYASET YellowE−G、日本化薬社製、DAIWA Yellow330HB、ダイワ化成社製、HSY−68、三菱化成社製ならびにSUDAN Yellow 146およびNEOPEN Yellow 075、BASFジャパン社製を含むイエロー染料、ならびに
MS Black VPC、三井東圧社製、AIZEN SOT Black−1およびAIZEN SOT Black−5、保土谷化学社製、RESORIN Black GSN 200%およびRESOLIN BlackBS、ランクセス社製、KAYASET Black A−N、日本化薬社製、DAIWA Black MSC、ダイワ化成社製、HSB−202、三菱化成社製、NEPTUNE BlackX60およびNEOPEN BlackX58、BASFジャパン社製を含む油溶性染料が含まれる。
色材の量は、本発明の効果が得られる範囲において、任意に設定することができる。色材は、本発明のインクには実質的に含有されていなくてもよく、たとえば、インクの全質量に対して、0.1質量%未満とすることができる。
界面活性剤の例には、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類および脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類およびポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類および第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤、ならびにシリコーン系やフッ素系の界面活性剤が含まれる。
これらのうち、本発明のインクがシリコーン系もしくはフッ素系の界面活性剤を含有すると、塩化ビニルシート等の疎水性樹脂からなる記録媒体や、印刷本紙等の吸収が遅い記録媒体に印字する際に、インクの混じりを抑えることができ、高画質な印字が可能となる。
シリコーン系の界面活性剤の例には、ポリエーテル変性ポリシロキサン化合物、具体的には、KF−351A、KF−352A、KF−642およびX−22−4272、信越化学工業製、BYK307、BYK345、BYK347およびBYK348、ビッグケミー製(「BYK」は同社の登録商標)、ならびにTSF4452、東芝シリコーン社製が含まれる。
フッ素系の界面活性剤は、通常の界面活性剤の疎水性基の炭素に結合した水素の代わりに、その一部または全部をフッ素で置換したものを意味する。フッ素系の界面活性剤の例には、Megafac F、DIC社製(「Megafac」は同社の登録商標)、Surflon、AGCセイケミカル社製(「Surflon」は同社の登録商標)、Fluorad FC、3M社製(「Fluorad」は同社の登録商標)、Monflor、インペリアル・ケミカル・インダストリー社製、Zonyls、イー・アイ・デュポン・ネメラス・アンド・カンパニー社製、Licowet VPF、ルベベルケ・ヘキスト社製、およびFTERGENT、ネオス社製(「FTERGENT」は同社の登録商標)が含まれる。
界面活性剤の量は、本発明の効果が得られる範囲において、任意に設定することができる。たとえば、界面活性剤の量は、インクの全質量に対して、0.001質量%以上1.0質量%未満とすることができる。
1−6.物性
本発明のインクの表面張力は、15mN/m以上35mN/m未満であることが好ましい。インクの表面張力が15mN/m以上であれば、インクジェットヘッドのノズル周りが濡れることによる吐出能力の低下が生じにくい。また、インクの表面張力が35mN/m未満であれば、表面エネルギーが通常の紙よりも低いコート紙や樹脂製の記録媒体によく濡れるため、白ぬけが発生しにくい。インクの表面張力は、市販の表面張力計(例えば、協和界面科学(株)製、表面張力計FACE SURFACE TENSIOMETER CBVB−A3など)を用いて、Wilhelmy法(プレート法)で液温25℃、60%RHにて測定した値を用いることができる。インクの表面張力は、光硬化性化合物の選択、各成分の配合比率の変更、または界面活性剤の添加によって調整することができる。
本発明のインクの粘度は、25℃において2mPa・s以上50mPa・s以下であることが好ましく、インクジェットヘッドから吐出する際のインク温度である20℃以上100℃未満の温度範囲において、7mPa・s以上15mPa・s以下、より好ましくは8mPa・s以上13mPa・s以下となりうることがより好ましい。インクの粘度は、市販の回転粘度計(例えば、R500回転粘度計、東機産業社製)を用いた測定した値を用いることができる。インクの粘度は、光重合性化合物の選択または配合比率の変更によって調整することができる。
色材として顔料を用いる場合には、本発明のインクは顔料粒子以外には平均粒径が1.0μmを超えるようなゲル状物質を含有しないことが好ましい。
インクジェットヘッド内部をインクが電気的に劣化させることを抑制するため、本発明のインクの電導度は10μS/cm以下であることが好ましい。コンティニュアスタイプのインクジェット装置においては、電解質による電導度の調整が必要であり、この場合には必要に応じて本発明のインクの電導度は0.5mS/cm以上であることが好ましい。インクの電導度は、一定の距離の離れた2つの電極をインクに浸漬し、両電極間に一定の電圧をかけて、電極間に流れる電流値を測定することによって求めることができる。インクの電導度は、光重合性化合物、重合開始剤もしくは増感剤の選択もしくは配合比率の変更、またはインクの含水率の調整によって調整することができる。
本発明のインクの、毎分5℃の降下速度で25℃から−25℃までの範囲でインクのDSC(示差走査熱量)測定を行ったときの単位質量あたりの発熱量は、10mJ/mg以上の発熱ピークを示さないことが好ましい。このような構成とすることにより、インクを低温で保存した際の、ゲルの発生または析出物の発生を抑えることができる。
1−7.調製方法
本発明のインクは、各種材料を混合し、サンドミル等の通常の分散機を用いてよく分散させることにより製造することができる。色材として顔料を用いる場合は、高濃度の顔料を含有する濃縮液を予め調製しておき、濃縮液を光重合性化合物で希釈してもよい。サンドミル等の通常の分散機でも、材料の十分な分散が可能であり、かつ、過剰な分散エネルギーがかからず、長い分散時間も必要としないので、インク成分が分散時に変質しにくく、安定性に優れたインクが調製できる。調製されたインクは、孔径3μm以下、好ましくは1μm以下のフィルターで濾過することが好ましい。
2.画像形成方法
本発明の画像形成方法は、前述した本発明のインクを用いる以外は、インクジェットインクを用いて画像を形成し、その上にオーバーコート液を付与する公知の画像形成方法と同様に行い得る。
たとえば、本発明の画像形成方法は、インクジェットインクの液滴をインクジェット法により記録媒体上に着弾させる工程、記録媒体上に着弾したインクジェットインクに活性光線を照射して画像を構成する下層を形成する工程、およびオーバーコート液を前記下層の上に付与する工程、を含む画像形成方法において、上記インクジェットインクが、上記した本発明のインクである方法、とすることができる。
2−1.インクジェットインクの液滴を記録媒体上に着弾させる工程
この工程では、インクジェットインクの液滴をインクジェットヘッドから吐出して、記録媒体上に着弾させる。インクジェットインクの液滴は、記録媒体上の形成すべき画像に応じた位置に着弾させることが好ましい。
インクジェットヘッドからの吐出方式は、オンデマンド方式およびコンティニュアス方式のいずれでもよい。オンデマンド方式のインクジェットヘッドの例は、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型およびシェアードウォール型を含む電気−機械変換方式、ならびにサーマルインクジェット型およびバブルジェット(バブルジェットはキヤノン社の登録商標)型を含む電気−熱変換方式等が含まれる。
インクジェットインクの液滴は、加熱した状態でインクジェットヘッドから吐出することで、吐出安定性を高めることができる。吐出される際のインクジェットインクの温度は、35℃以上100℃以下であるが好ましく、吐出安定性をより高める観点からは、35℃以上80℃以下であることがより好ましい。吐出安定性をさらに高める観点からは、インクジェットインクの粘度が7mPa・s以上15mPa・s以下、より好ましくは8mPa・s以上13mPa・s以下となるようなインク温度において出射を行うことが好ましい。
インクジェットインクを所定の温度に加熱する方法の例には、ヘッドキャリッジを構成するインクタンク、供給パイプおよびヘッド直前の前室インクタンク等のインク供給系、フィルター付き配管ならびにピエゾヘッド等の少なくともいずれかを、パネルヒーター、リボンヒーターおよび保温水等のうちいずれかによって所定の温度に加熱する方法が含まれる。
記録速度を速くし、かつ、画質を高める観点から、吐出される際のインクジェットインクの液滴量は2pL以上20pL以下であることが好ましい。
2−2.記録媒体上に着弾したインクジェットインクに活性光線を照射して画像を構成する下層を形成する工程
この工程では、前の工程で着弾させたインクジェットインクに活性光線を照射して、画像を構成する下層を形成する。インクジェットインクに活性光線を照射することで、インクジェットインクが硬化し、下層が形成される。
インクジェットインクの硬化性を高める観点から、活性光線は、インク着弾後0.001秒以上1.0秒以下の間に照射されることが好ましく、より高精細な画像を形成する観点から、0.001秒以上0.5秒以下の間に照射されることがより好ましい。
インクジェットインクに照射できる活性光線の例には、電子線、紫外線、α線、γ線、およびエックス線が含まれる。これらのうち、取り扱いの容易さおよび人体への影響の少なさの観点から、紫外線を照射することが好ましい。光源の輻射熱によってインクジェットインクが溶けることによるインクの硬化不良の発生を抑制する観点から、光源は発光ダイオード(LED)であることが好ましい。下層を形成するための紫外線を照射することができるLED光源の例には、395nm、水冷LED、Phoseon Technology社製が含まれる。
インクジェットインクへの輻射熱の照射をより抑制する観点から、LED光源は、370〜410nmの紫外線を画像表面におけるピーク照度が0.5〜10W/cmとなるように設置され、1〜5W/cmとなるように設置されることがより好ましく、または、画像に照射される光量が350mJ/cm未満となるように設置されることが好ましい。
インク硬化の際に起こる記録材料の収縮をより効率的に抑える観点から、活性光線の照射を2段階に分けることが好ましい。たとえば、まずインクジェットインクが着弾した後0.001秒以上2.0秒以下の間に前述の方法で活性光線を照射してインクジェットインクを仮硬化させ、全印字終了後にさらに活性光線を照射してインクジェットインクを本硬化させることができる。
2−3.オーバーコート液を下層の上に付与する工程
この工程では、オーバーコート液を前記下層の上に付与する。オーバーコート液には、前記インクジェット吐出用オーバーコート液およびインクジェット吐出以外の方法で付与するオーバーコート液(以下、単に「非インクジェット吐出用オーバーコート液」ともいう。)が含まれる。下層の上に付与するとは、前記形成した下層の、記録媒体とは反対側の面に接するようにオーバーコート液を付与することを意味する。
2−3−1.オーバーコート液
本工程では、印刷された画像に、光沢を持たせたり、外部からの衝撃への耐性を持たせたりするなどの目的に応じて、適宜公知のオーバーコート液を用いることができる。オーバーコート液は、色材を含有する色インク(たとえば、白色顔料を含有するホワイトインク)でもよいし、色材を実質的に含有しないクリアインクでもよい。
このとき、本発明のインクをオーバーコート液として用いると、インクジェット吐出用オーバーコートの濡れ性および密着性もより高まる。これは、画像を形成する硬化膜の表面近傍に存在するEO基とオーバーコート液が含有するEO基との間の水素結合またはファンデルワールス力などの相互作用により、形成された画像とオーバーコート液との間の親和性がより高まるためと考えられる。
たとえば、インクジェット吐出用オーバーコート液は、以下のEOアルキル化合物を含有してもよく、さらに、以下のゲル化剤を含有してもよい。
上記EOアルキル化合物は、HLB値が6以上である、直鎖アルキル基を有する非重合性ポリオキシエチレンアルキル化合物である。
インクジェット吐出用オーバーコート液の濡れ性および密着性をより高める観点から、インクジェット吐出用オーバーコート液が含有するEOアルキル化合物が有するEO基の数を、12個以上、または15個以上とすることができる。
インクジェット吐出用オーバーコート液の濡れ性および密着性をより高める観点から、インクジェット吐出用オーバーコート液が含有するEOアルキル化合物のHLB値を、10以上、または12以上とすることができる。
インクジェット吐出用オーバーコート液は、濡れ性および密着性をより高める観点から、インクジェット吐出用オーバーコート液の全質量に対して0.01質量%以上10.0質量%以下、2.0質量%以上6.0質量%以下、または3.0質量%以上5.0質量%以下のEOアルキル化合物を含有することができる。
ゲル化剤とEOアルキル化合物との間の親和性を高め、ゲル化剤とともにEOアルキル化合物を硬化中のインクの表面近傍に移動しやすくする観点から、インクジェット吐出用オーバーコート液が含有するEOアルキル化合物を、上記一般式(A1)で表される化合物とすることができる。
EOアルキル化合物を硬化中のインクの表面近傍により移動させやすくする観点から、インクジェット吐出用オーバーコート液が含有する上記一般式(A1)で表されるEOアルキル化合物のHLB値を、10以上18以下とすることができる。
上記ゲル化剤は、吐出後の過剰な濡れ広がりを抑制することができれば特にその種類は限定されないが、たとえば、上記一般式(G1)〜一般式(G5)で表されるいずれかまたは複数のゲル化剤とすることができ、これらのゲル化剤の量は、インクジェット吐出用オーバーコート液の全質量に対して2質量%以上10質量%以下とすることができる。
外部からの衝撃への耐性を高める観点から、インクジェット吐出用オーバーコート液は、光または熱によって硬化する硬化性インクであることが好ましく、さらに取扱いの容易性を高める観点からは、上記EO(メタ)アクリレートまたはその他の光重合性化合物を含有し、活性光線を照射されて硬化する活性光線硬化型インクであることが好ましい。本発明のインクとの親和性をより高め、濡れ性および密着性をより高める観点から、インクジェット吐出用オーバーコート液は、30質量%以上70質量%以下のEO(メタ)アクリレートを含有することが好ましい。
オーバーコート液は、インクジェット法によって付与することができるインクジェット吐出用オーバーコート液でもよく、インクジェット法以外の方法によって付与することができる非インクジェット吐出用オーバーコート液でもよい。非インクジェット吐出用オーバーコート液は、バーコート、スプレーコート、カーテンコート、ロールコート、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、凸版および凹版等の版を用いる方法ならびにその他の版を用いない方法等によって付与することができる。非インクジェット吐出用オーバーコート液を用いる場合は、作業の容易さおよび均一な付与性の観点から、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビア印刷またはバーコートによって付与することがが好ましい。
装置構成をより単純にして画像形成のコストを低減させる観点からは、オーバーコート液は、インクジェット吐出用オーバーコート液であることが好ましい。
2−4.オーバーコート液に活性光線を照射してオーバーコート液を硬化させる工程
オーバーコート液が活性光線硬化型インクである場合は、前記オーバーコート液を下層の上に付与する工程の後に、オーバーコート液に活性光線を照射してオーバーコート液を硬化させてもよい。装置の設定を容易にして、効率的に画像を形成する観点から、オーバーコート液に活性光線を照射する条件は、前記インクジェットインクに活性光線を照射する条件と同一の条件とすることが好ましい。
2−5.搬送工程
下層の形成とオーバーコート液の付与とを異なる機械で行う場合、またはこれらの工程を同一の機械の異なる場所で行う場合は、上記下層を形成する工程とオーバーコート液を付与する工程との間に、下層が形成された記録媒体を搬送する工程を含んでいてもよい。
2−6.記録媒体
本発明の画像形成方法に用いる記録媒体は、本発明のインクによって画像を形成することができればよく、例えば、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレートおよびポリブタジエンテレフタレートを含むプラスチックで構成される非吸収性の記録媒体、金属類およびガラス等の非吸収性の無機記録媒体、ならびに紙類等(例えば印刷用コート紙および印刷用コート紙B等)とすることができる。
3.インクセット
本発明のインクは、上記インクジェット吐出用オーバーコート液と組みあわせて、インクセットとすることができる。インクセットとは、インクジェット記録装置に設置して画像を形成することができるように構成された、本発明のインクとインクジェット吐出用オーバーコート液との組み合わせを意味する。インクセットの例には、本発明のインクおよびインクジェット吐出用オーバーコート液を複数のインクカートリッジにそれぞれ独立に収容したもの、または複数のインク収容部を一体的に構成して、それぞれのインク収容部に本発明のインクまたはインクジェット吐出用オーバーコート液を収容したインクカートリッジが含まれる。本発明のインクセットは、形成しようとする画像の種類に応じて、異なる色を塗布または印字することができる複数のインクを組み合わせて含んでいてもよい。
[実施例1]
1.インクの調製
表1に記載の光重合性化合物、表2に記載のゲル化剤、表3に記載の非重合性ポリオキシエチレンアルキル化合物、および以下の成分を用いて、インク1〜20を調製した。
なお、表1中の「EO数」は、それぞれの(メタ)アクリレートが有する連続したEO基数を表す。また、表2および表3に記載の直鎖炭素数、ならびに表3に記載のHLB値は、カタログに記載の値である。
Figure 0006398813
Figure 0006398813
Figure 0006398813
[光開始剤]
TPO: DAROCUR TPO、BASF社製(DAROCURはBASF社の登録商標)
ITX: ITX、BASF社製
[光重合禁止剤]
UV−10: Irgastab UV−10、BASF社製 (「Irgastab」は同社の登録商標)
1−1.顔料分散液1の調製
以下に示す二種の化合物をステンレスビーカーに入れ、65℃のホットプレート上で加熱しながら1時間加熱攪拌溶解した。
アジスパーPB824 9部
ジエチレングリコールジアクリレート 71部
室温まで冷却した後、上記溶解液に下記の顔料20部を加えて、直径0.5mmのジルコニアビーズ200gと共にガラス瓶に入れ密栓し、ペイントシェーカーにて5時間分散処理した後、ジルコニアビーズを除去して、顔料分散液1を得た。
Pigment Blue 15:4(クロモファインブルー6332JC、大日精化工業株式会社製)
1−2.インク1〜24の調製
表4〜6に記載のゲル化剤、EOアルキル化合物、光重合性化合物、重合禁止剤および光開始剤を、表4〜6に記載の量で、65℃のホットプレート上で加熱攪拌しながら溶解させた後に、上記の顔料分散液1を添加して撹拌した。得られたインクをADVATEC社製テフロン(テフロンはイー アイ デュポン社の登録商標)3μmメンブランフィルターで濾過を行い、インク1〜24とした。
Figure 0006398813
Figure 0006398813
Figure 0006398813
2.画像形成
ピエゾ型インクジェットノズルを備えたインクジェット記録ヘッド(各色42pL、360dpi)を有するライン方式のインクジェット記録装置に装填した。インク供給系は、インクタンク、インク流路、インクジェット記録ヘッド直前のサブインクタンク、フィルター付き配管およびピエゾヘッドからなり、インクが100℃となるように加温した。また、基材の搬送台は、40℃になるように加温した。
基材として、幅300mm、厚さ50μmの透明なポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムのロールを準備した。このPETフィルムの波長350〜400nmの光に対する透過率は、80%以上である。基材の上に、インク1〜20を用いて50×200mmのサイズの100%ベタ画像(解像度:360×360dpi)を形成した。
印字後、LEDランプ(4W/cm、water cooled unit、Phoseon Technology社製)で600mJ/cmのエネルギー量を付与して画像面を完全に硬化した。管面から5mmの距離で照射した(搬送方向の照射幅20mm)。積算光量を、紫外線積算光量計(C9536−2およびH9958−2;浜松ホトニクス株式会社)を用いて測定し、基材の搬送速度を調整した。
3.評価
[表面エネルギー]
上記形成した画像を構成するインク硬化物上に、γ 、γ およびγ が既知の3種類の液体を滴下し、そのときの接触角を接触角計測定装置「接触角計CA−V、協和界面科学株式会社製」によって常温常湿(20℃、50%RH)で5回測定し、その平均値を接触角θとした。上記3種類の液体のγ 、γ 、γ およびθを式(1)に代入して連立方程式を解いてγ 、γ およびγ を求め、得られたγ 、γ およびγ を式(2)に代入して硬化物の表面エネルギーγを算出した。、γ は上記液体の表面エネルギー(分散力成分)、γ は上記液体の表面エネルギー(双極子成分)、γ は上記液体の表面エネルギー(水素結合成分)、γ はインク硬化物の表面エネルギー(分散力成分)、γ はインク硬化物の表面エネルギー(双極子成分)、γ はインク硬化物の表面エネルギー(水素結合成分)をそれぞれ表す。
式(1) γ(1+cosθ)=2(γ γ 1/2 + 2(γ γ 1/2 + 2(γ γ 1/2
式(2) γ =γ +γ +γ
[濡れ性]
上記形成した画像上に上層液を塗布した際に、ハジキが発生するまでの時間と、白ヌケ(弾きによる未印字部分)の度合いを目視で確認した。評価は下記の基準で行った。
上層液は、EOアルキル化合物を含有しない汎用ニスであるUV VECTAコートニス PC−3KW2、株式会社T&K TOKA製を用いた。上層液は、それぞれのインク硬化物上に、バーコーターを用いて均一に塗布した。塗布後、GSユアサ社製のメタルハライドランプランプ120W/cmを用いて画像表面での最高照度280mW/cm2の光を照射し硬化させた。記録媒体の搬送速度は30m/minとした。照射した光量は、350mJ/cm2であった。
1: 塗布直後にハジキが発生し、実用上問題あり。
2: 塗布後5秒以降にハジキが発生し、白ヌケが数か所ある。
3: 塗布後10秒以降にハジキが発生し、白ヌケが数か所ある。
4: 塗布後15秒以降にハジキが発生し、白ヌケが数か所ある。
5: 塗布後20秒までハジキ発生せず、白ヌケはほとんどない。
6: 塗布後にハジキ発生せず、白ヌケは全くない。
[密着性]
上記形成した画像の表面を25マスにクロスカットし、セロテープ、3M社製(「セロテープ」は同社の登録商標)を貼り付け、垂直方向に引きはがし、剥がれたマスの数をカウントし、基材への画像の密着性を評価した。
1: 全部剥がれる。
2: 1〜15マス残る。
3: 16〜20マス残る。
4: 21〜24マス残る。
5: 全部残る。
[膜硬度]
上記形成した画像を、25℃・60%RHの環境下に24時間放置した。その後、JIS−K−5400に準じて画像表面の鉛筆硬度を測定した。評価は下記の基準で行った。
1: 鉛筆硬度は2B以下だった。
2: 鉛筆硬度がB、FまたはHだった。
3: 鉛筆硬度が2H以上だった。
得られた結果を表7に示す。
Figure 0006398813
本発明の組成を有するインクによって形成した画像は、表面エネルギーおよび膜硬度が高く(35mN/m以上)、オーバーコート液の濡れ性および密着性も高かった(インクNo.1〜15)。
一方、インクがEOアルキル化合物を含有しないか、またはEOアルキル化合物の量が0.1質量%未満であると、表面エネルギーが低く(35mN/m未満)、オーバーコート液の濡れ性および密着性が低かった(インクNo.16、17、19〜24)。
また、EOアルキル化合物の量が10.0質量%より多いインクは、表面エネルギーが高く、オーバーコート液の濡れ性および密着性も高かったが、膜硬度が低かった(インクNo.18)。
(メタ)アクリレートの量が30質量%より少ないインクは、表面エネルギーが低く、オーバーコート液の濡れ性および密着性も低かった(インクNo.22〜24)。
ゲル化剤が一般式(G1)〜一般式(G5)で表される化合物のうち少なくとも1種であると、濡れ性および密着性がより高くなった(インクNo.4〜15とインクNo.1〜3との比較による)。
EOアルキル化合物が有する直鎖アルキル基の炭素原子数と、一般式(G1)〜一般式(G5)で表されるゲル化剤が有するR1a、R1b、R2aまたはR2bの直鎖部分の炭素数との差が、3以内であると、オーバーコート液の濡れ性および密着性がより高くなった(インクNo.9〜15とインクNo.1〜8との比較による)。
EOアルキル化合物が一般式(A1)で表され、かつ、HLB値が10以上18以下の化合物る化合物であると、オーバーコート液の濡れ性および密着性がより高くなった(インクNo.10〜15とインクNo.1〜9との比較による)。
EOアルキル化合物の量が2質量%以上であると、画像の表面エネルギーがより高くなった(インクNo.2〜12とインクNo.1との比較による)。EOアルキル化合物の量が6質量%以下であると、画像の膜硬度がより高くなった(インクNo.1、2、4〜9、12とインクNo.3、10、11との比較による)。
[実施例2]
1.オーバーコート液の調製
1−1.ホワイト顔料分散液1の調製
以下に示す二種の化合物をステンレスビーカーに入れ、65℃のホットプレート上で加熱しながら1時間加熱攪拌溶解した。
アジスパーPB824 9部
3PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート 71部
室温まで冷却した後、上記溶解液に下記の顔料60部を加えて、直径0.5mmのジルコニアビーズ200gと共にガラス瓶に入れ密栓し、ペイントシェーカーにて5時間分散処理した後、ジルコニアビーズを除去して、ホワイト顔料分散液1を得た。
酸化チタン(TCR−52、堺化学工業社製)
1−2.ホワイト顔料分散液2の調製
アジスパーPB824を,3級アミンを有するブロック子ポリマーであるBYKJET−9151、BYK社製(「BYKJET」は同社の登録商標)に変更した以外はホワイト顔料分散液1と同様にして、ホワイト顔料分散液2を調製した。
1−3.オーバーコート液1〜15の調製
顔料分散液1をホワイト顔料分散液1、ホワイト顔料分散液2またはジエチレングリコールジアクリレート(DEGDA)に変更した以外はそれぞれインクNo.1、2、4、5、9、10および13〜15とそれぞれ同様にして、オーバーコート液1、2、4、5、9、10および13〜15を得た。オーバーコート液3、7、8、11および12は、EOアルキル化合物を含有するニスであるUV VECTAコートニス PC−3KW2、株式会社T&K TOKA製をオーバーコート液とした。
Figure 0006398813
2.画像形成
実施例1においてインク1〜15により形成した画像の上に、オーバーコート液1〜15を付与した。
オーバーコート液1、2、4〜6、9〜12および14は、画像形成に用いたものと同種のピエゾヘッドを用いて、画像形成と同じ条件でオーバーコート液を付与し、画像形成と同じ条件で活性光線を照射した。
オーバーコート液3、7、8、13および15は、バーコーターを用いて、均一に塗布した。塗布後、GSユアサ社製のメタルハライドランプランプ120W/cmを用いて画像表面での最高照度280mW/cm2の光を照射し硬化させた。記録媒体の搬送速度は30m/minとした。照射した光量は、350mJ/cmであった。
3.評価
形成されたオーバーコート層の表面エネルギー、濡れ性、密着性および膜硬度を、実施例1と同様の手段で評価した。
得られた結果を表9に示す。
Figure 0006398813
オーバーコート液がEOアルキル化合物を含有すると、画像の濡れ性および密着性がより高くなった。
本発明のインクを用いて形成した画像は、その上に付与したオーバーコート液の濡れ性および密着性が高いため、美観および高い耐久性が求められる画像の形成に用いることができる。

Claims (12)

  1. 光重合性化合物、直鎖アルキル基を有する非重合性ポリオキシエチレンアルキル化合物、ゲル化剤および光開始剤を含有する活性光線硬化型インクジェットインクであって、
    前記光重合性化合物は、分子内に(−CH−CH−O−)(mは3以上14以下の整数)で表される構造を有する、分子量が300以上1500以下の(メタ)アクリレートを含み、
    前記非重合性ポリオキシエチレンアルキル化合物は、一般式(A1)で表され、かつ、HLB値が10以上18以下の化合物であり、
    一般式(A1): R3−X−((CH CH O) −H)
    R3は炭素数12以上24以下の直鎖部分を有するアルキル基を表し、XはC、Nおよび糖構造からなる群から選択される1つの構造を表し、pおよびqは独立して2以上の整数を表し、rは(Xの価数−q−1)を表す。)
    前記インクは、インクの全質量に対して30質量%以上70質量%以下の前記(メタ)アクリレートを含有し、
    前記インクは、インクの全質量に対して0.01質量%以上10.0質量%以下の前記非重合性ポリオキシエチレンアルキル化合物を含有することを特徴とする、インク。
  2. 前記ゲル化剤は、一般式(G1)〜一般式(G5)からなる群から選択される少なくとも1種を含み、前記インクは、インクの全質量に対して2質量%以上10質量%以下の、前記一般式(G1)〜一般式(G5)で表されるゲル化剤を含有することを特徴とする、請求項1に記載の活性光線硬化型インクジェットインク。
    一般式(G1): R1a−CO−R1b
    一般式(G2): R1a−COO−R1b
    一般式(G3): R1a−COOH
    一般式(G4): R1a−OH
    一般式(G5): R2a−(CHCHO)n−R2b
    (R1aおよびR1bは独立して、炭素数12以上24以下の直鎖部分を有するアルキル基を表し、R2aおよびR2bは独立して、炭素数12以上24以下の直鎖部分を有するアルキルケトン基またはアルキルエステル基を表し、nは1または2を表す。)
  3. 前記ゲル化剤のR1a、R1b、R2aまたはR2bが有する直鎖部分の炭素原子の数と、前記非重合性ポリオキシエチレンアルキル化合物が有する前記直鎖アルキル基の炭素原子の数と、の差は3以内であることを特徴とする、請求項2に記載の活性光線硬化型インクジェットインク。
  4. 前記インクは、インクの全質量に対して2.0質量%以上6.0質量%以下の前記非重合性ポリオキシエチレンアルキル化合物を含有することを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インクジェットインク。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インクジェットインクの液滴をインクジェット法により記録媒体上に着弾させる工程、前記記録媒体上に着弾した液滴に活性光線を照射して画像を構成する下層を形成する工程、およびオーバーコート液を前記下層の上に付与する工程、を含む画像形成方法。
  6. 前記オーバーコート液は、HLB値が6以上である非重合性ポリオキシエチレンアルキル化合物を含有することを特徴とする、請求項に記載の画像形成方法。
  7. 前記オーバーコート液は、一般式(G1)〜一般式(G5)からなる群から選択される少なくとも1種のゲル化剤を含有し、前記オーバーコート液は、オーバーコート液の全質量に対して2質量%以上10質量%以下の前記ゲル化剤を含有することを特徴とする、請求項に記載の画像形成方法。
    一般式(G1): R1a−CO−R1b
    一般式(G2): R1a−COO−R1b
    一般式(G3): R1a−COOH
    一般式(G4): R1a−OH
    一般式(G5): R2a−(CHCHO)n−R2b
    (R1aおよびR1bは独立して、炭素数12以上24以下の直鎖部分を有するアルキル基を表し、R2aおよびR2bは独立して、炭素数12以上24以下の直鎖部分を有するアルキルケトン基またはアルキルエステル基を表し、nは1または2を表す。)
  8. 前記非重合性ポリオキシエチレンアルキル化合物が有する直鎖アルキル基の炭素原子数と、前記ゲル化剤が有するR1a、R1b、R2a及びR2bの直鎖部分の炭素数との差は、3以内であることを特徴とする、請求項に記載の画像形成方法。
  9. 前記オーバーコート液は、オーバーコート液の全質量に対して0.01質量%以上10.0質量%以下の前記非重合性ポリオキシエチレンアルキル化合物を含有することを特徴とする、請求項のいずれか1項に記載の画像形成方法。
  10. 前記オーバーコート液は、活性光線硬化型インクであることを特徴とする、請求項のいずれか1項に記載の画像形成方法。
  11. 請求項1〜のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インクジェットインクと、インクジェット吐出用オーバーコート液とを含むことを特徴とする、インクセット。
  12. 前記インクジェット吐出用オーバーコート液は、HLB値が6以上である非重合性ポリオキシエチレンアルキル化合物を含有することを特徴とする、請求項11に記載のインクセット。
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