JP6364755B2 - 衝撃吸収特性に優れた高強度鋼材 - Google Patents

衝撃吸収特性に優れた高強度鋼材 Download PDF

Info

Publication number
JP6364755B2
JP6364755B2 JP2013246213A JP2013246213A JP6364755B2 JP 6364755 B2 JP6364755 B2 JP 6364755B2 JP 2013246213 A JP2013246213 A JP 2013246213A JP 2013246213 A JP2013246213 A JP 2013246213A JP 6364755 B2 JP6364755 B2 JP 6364755B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
temperature range
steel sheet
less
rolling
hot
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013246213A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015105383A (ja
Inventor
河野 佳織
佳織 河野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP2013246213A priority Critical patent/JP6364755B2/ja
Publication of JP2015105383A publication Critical patent/JP2015105383A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6364755B2 publication Critical patent/JP6364755B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)

Description

本発明は、鋼材に関し、具体的には、衝撃荷重負荷時における割れの発生が抑制され、さらに有効流動応力の高い衝撃吸収部材の素材として好適な980MPa超級の高強度鋼材に関する。
近年、地球環境保護の観点から、自動車からのCO排出量の低減の一環として、自動車車体の軽量化が求められており、自動車用鋼材の高強度化が指向されている。これは、鋼材の強度を向上させることにより、自動車用鋼材の薄肉化が可能となるためである。一方、自動車の衝突安全性向上に対する社会的要求もいっそう高くなっており、単に鋼材の高強度化のみだけでなく、走行中に衝突した場合の耐衝撃性に優れた鋼材の開発も望まれている。
ここで、衝突時の自動車用鋼材の各部位は、数10(s−1)以上の高いひずみ速度で変形を受けるため、動的強度特性に優れた高強度鋼材が要求される。
このような高強度鋼材として、静動差(静的強度と動的強度との差)が高い低合金TRIP鋼や、マルテンサイトを主体とする第2相を有する複相組織鋼といった高強度複相組織鋼材が知られている。
低合金TRIP鋼に関しては、例えば、特許文献1に、動的変形特性に優れた自動車衝突エネルギー吸収用加工誘起変態型高強度鋼板(TRIP鋼板)が開示されている。
また、マルテンサイトを主体とする第2相を有する複相組織鋼板に関しては、下記のような発明が開示されている。
特許文献2には、微細なフェライト粒からなり、結晶粒径が1.2μm以下のナノ結晶粒の平均粒径dsと、結晶粒径が1.2μmを超えるミクロ結晶粒の平均結晶粒径dLとがdL/ds≧3の関係を満足する、強度と延性バランスとが優れ、かつ、静動差が170MPa以上である高強度鋼板が開示されている。
特許文献3には、平均粒径が3μm以下のマルテンサイトと平均粒径が5μm以下のフェライトの2相組織からなり、静動比が高い鋼板が開示されている。
特許文献4には、平均粒径が3.5μm以下のフェライト相を75%以上含有し、残部が焼き戻しマルテンサイトからなる衝撃吸収特性に優れる冷延鋼板が開示されている。
特許文献5には、予歪を加えてフェライトとマルテンサイトから構成される2相組織とし、5×10〜5×10/sの歪速度における静動差が60MPa以上を満足する冷延鋼板が開示されている。
さらに、特許文献6には、85%以上のベイナイトとマルテンサイトなどの硬質相のみからなる耐衝撃特性に優れた高強度熱延鋼板が開示されている。
特開平11−80879号公報 特開2006−161077号公報 特開2004−84074号公報 特開2004−277858号公報 特開2000−17385号公報 特開平11−269606号公報
しかしながら、従来の衝撃吸収部材の素材である鋼材には、以下のような課題がある。すなわち、衝撃吸収部材(以下、単に「部材」ともいう。)の衝撃吸収エネルギーを向上するには、衝撃吸収部材の素材である鋼材(以下、単に「鋼材」ともいう。)の高強度化が必須である。
しかしながら、「塑性と加工」第46巻 第534号 641〜645頁に、衝撃吸収エネルギーを決定づける平均荷重(Fave)が、
ave∝(σY・t)/4
σY:有効流動応力
t:板厚
として与えられることが開示されているように、衝撃吸収エネルギーは鋼材の板厚に大きく依存する。したがって、単に鋼材を高強度化することだけでは、衝撃吸収部材について薄肉化と高衝撃吸収性能とを両立させることには限界がある。
ところで、例えば、国際公開第2005/010396号パンフレット、国際公開第2005/010397号パンフレット、さらには国際公開第2005/010398号パンフレットにも開示されるように、衝撃吸収部材の衝撃吸収エネルギーはその形状にも大きく依存する。
すなわち、塑性変形仕事量を増大させるように衝撃吸収部材の形状を最適化することによって、単に鋼材を高強度化することだけでは達成し得ないレベルまで、衝撃吸収部材の衝撃吸収エネルギーを飛躍的に高めることができる可能性がある。
しかしながら、塑性変形仕事量を増大させるように衝撃吸収部材の形状を最適化したとしても、鋼材がその塑性変形仕事量に耐え得る変形能を有していなければ、想定していた塑性変形が完了する前に、衝撃吸収部材に早期に割れが生じてしまい、結果的に塑性変形仕事量を増大させることができず、衝撃吸収エネルギーを飛躍的に高めることができない。また、割れが早期に衝撃吸収部材に生じると、この衝撃吸収部材に隣接して配置された他の部材を損傷する等の予期せぬ事態を招きかねない。
従来は、衝撃吸収部材の衝撃吸収エネルギーが鋼材の動的強度に依存するとの技術思想に基づいて、鋼材の動的強度を高めることが指向されてきたが、単に鋼材の動的強度を高めることを指向するのでは顕著な変形能の低下を招く場合がある。このため、塑性変形仕事量を増大させるように衝撃吸収部材の形状を最適化したとしても、衝撃吸収部材の衝撃吸収エネルギーを飛躍的に高めることができるとは限らなかった。
また、そもそも上記技術思想に基づいて製造された鋼材の使用を前提として衝撃吸収部材の形状が検討されてきたため、衝撃吸収部材の形状の最適化は、当初から既存の鋼材の変形能を前提として検討されており、塑性変形仕事量を増大させるように、鋼材の変形能を高め、かつ衝撃吸収部材の形状を最適化するという検討自体が、これまで十分になされていなかった。
さらには、鉄鋼材料の変形能は、強度の上昇に伴い著しく低下する。したがって、980MPa以上の高強度材の衝撃吸収部材への適用は、これまでに前例がない。
上述したように、衝撃吸収部材の衝撃吸収エネルギーを高めるには、塑性変形仕事量を増大させるように、鋼材の特性とともに、衝撃吸収部材の形状を最適化することが重要である。
鋼材に関しては、衝撃荷重負荷時における割れの発生を抑制しつつ、塑性変形仕事量を増大させるように有効流動応力を高めることが重要である。
本発明者らは、耐割れ性に優れた高衝撃吸収鋼を提案するため、衝撃吸収エネルギーを高めつつ衝撃割れの発生を抑制する方法を鋭意検討し、以下に列記する新たな知見を得た。
[衝撃吸収エネルギーの向上]
(A)鋼材の衝撃吸収エネルギーを高めるには、降伏強度と低ひずみ域での加工硬化係数を高めて有効流動応力を向上させることが有効である。
(B)降伏強度の向上には、ベイナイト相または焼戻しマルテンサイト相を主相とすることが有効である。
(C)ベイナイト主相鋼の低ひずみ域での加工硬化係数の向上には、炭素含有量を高めることが有効である。
[衝撃割れの抑制]
(D)衝撃吸収材において、衝撃荷重負荷時に割れが発生すると、エネルギー吸収能が低下するばかりでなく、エンジン内の他の部分の損傷原因となる。
(E)しかしながら、材料強度、特に、降伏強度の上昇に伴い、衝撃過重負荷時における割れに対する感受性(以下、「衝撃割れ感受性」ともいう。)が高くなる。
(F)衝撃荷重負荷時における脆化割れの発生を抑制するには、旧オーステナイト粒を微細にし、破壊靭性を向上させることが有効である。
(G)さらに、衝撃荷重負荷時における座屈変形部の割れを抑制するには、一様伸びおよび局部延性(穴拡げ性)を向上させることが有効である。
(H)一様伸びを向上させるためには、オーステナイト相を混在させることが有効である。
(I)一方、フレッシュマルテンサイト相は、局部延性に悪影響を及ぼすので、極力低減する必要がある。
(J)鋼中のMn量が多いと、Mnミクロ偏析に起因した硬質のマルテンサイト相が生成し、局部延性に悪影響を及ぼす。したがって、Mn含有量は極力低減する必要がある。
本発明は上記の新たな知見に基づいてなされたものであり、その要旨は以下のとおりである。
(1)質量%で、C:0.3%超0.6%以下、Mn:0.4%以上1.2%未満、Si:0.6%超1.8%以下、Ti:0.001%以上0.01%未満、Al:0.01〜0.5%、N:0.001〜0.015%を含有し、残部Feおよび不純物からなる化学組成を有し、
旧オーステナイト粒の平均粒径が10μm以下の複相組織を有し、
前記複相組織が、ナノ硬さが9GPa以下のベイナイト相および/または焼き戻しマルテンサイト相を主相とし、主相の総量が面積率で80%以上であり、残部がフェライト、オーステナイトおよびセメンタイトからなる、引張強度が980MPa以上の鋼板。

本発明において、「面積率」とは任意の断面においてナノインデンテーション法を用いた二次元画像から得られた各金属組織の面積率を表す。
(2)質量%で、Cr:0.05〜0.25%、Mo:0.1〜0.35%、B:0.001〜0.005%の1種または2種以上を含有することを特徴とする、上記(1)に記載の鋼板。
(3)前記残部のうち、前記フェライトの面積率が最も高く、前記セメンタイトの面積率が最も小さい、上記(1)または(2)に記載の鋼板。
(4)面積率で、前記フェライトが5〜10%、前記オーステナイトが3〜7%、前記セメンタイトが0.5〜2.5%である、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の鋼板。
(5)次の工程を備えることを特徴とする、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の鋼板の製造方法。
上記(1)または(2)に記載された化学組成を有するスラブを、1200℃以上の温度域で加熱した後、800〜900℃の温度域で、総圧下率が50%以上の仕上熱間圧延を行い、当該圧延後0.4秒以内に、500℃/秒以上の平均冷却速度で600〜700℃の温度域まで冷却した後、室温で巻き取って熱延鋼板とする熱間圧延工程。
(6)次の工程を備えることを特徴とする、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の鋼板の製造方法。
上記(1)または(2)に記載された化学組成を有するスラブを、1200℃以上の温度域で加熱した後、800〜900℃の温度域で、総圧下率が50%以上の仕上熱間圧延を行い、当該圧延後0.4秒以内に、500℃/秒以上の平均冷却速度で600〜700℃の温度域まで冷却した後、室温で巻き取りを行い、500℃以下の温度域に保持して熱延鋼板とする熱間圧延工程。
(7)次の工程を備えることを特徴とする、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の鋼板の製造方法。
上記(1)または(2)に記載された化学組成を有するスラブを、1200℃以上の温度域で加熱した後、800〜900℃の温度域で、総圧下率が50%以上の仕上熱間圧延を行い、50℃/秒以上500℃/秒未満の平均冷却速度で冷却し、300〜600℃の温度域で巻き取りを行って熱延鋼板とする熱間圧延工程;
前記熱間圧延工程で得られた熱延鋼板に、総圧下率が30〜70%の冷間圧延を施して冷延鋼板とする冷間圧延工程;および
前記冷間圧延工程で得られた冷延鋼板に、平均昇温速度10〜100℃/秒で800〜950℃の温度域まで昇温し100〜500秒保持した後、平均冷却速度10〜50℃/秒で400〜560℃の温度域まで冷却し、該温度域で50〜300秒保持する熱処理を施す熱処理工程。
(8)次の工程を備えることを特徴とする、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の鋼板の製造方法。
上記(1)または(2)に記載された化学組成を有するスラブを、1200℃以上の温度域で加熱した後、800〜900℃の温度域で、総圧下率が50%以上の仕上熱間圧延を行い、50℃/秒以上500℃/秒未満の平均冷却速度で冷却し、300〜600℃の温度域で巻き取りを行って熱延鋼板とする熱間圧延工程;
前記熱間圧延工程で得られた熱延鋼板に、総圧下率が30〜70%の冷間圧延を施して冷延鋼板とする冷間圧延工程;および
前記冷間圧延工程で得られた冷延鋼板に、平均昇温速度10〜100℃/秒で800〜950℃の温度域まで昇温し100〜500秒保持した後、平均冷却速度10〜50℃秒で200〜330℃の温度域まで冷却し、該温度域で50〜200秒保持し、5〜20℃/秒の昇温速度で400〜560℃の温度域まで再加熱し、該温度域で50〜200秒保持する熱処理を施す熱処理工程。
本発明に係る鋼板は、衝撃吸収部材、特に自動車用の衝撃吸収部材の素材として好適であり、自動車用の衝撃吸収部材としては、サイドメンバー、センターピラー、ロッカー、等の素材として用いることが特に好ましい。
本発明によれば、衝撃荷重が負荷された時における衝撃吸収部材の割れの発生を抑制または解消でき、さらに有効流動応力の高い衝撃吸収部材を得ることが可能となるので、衝撃吸収部材の衝撃吸収エネルギーを飛躍的に高めることが可能となる。斯かる衝撃吸収部材を適用することにより、製品の衝突安全性を一層向上させることが可能になるので、産業上極めて有益である。
図1は、本発明に係る製造方法で規定する焼鈍サイクルを示す図である。
以下、本発明を説明する。
1.化学組成
(1)C:0.3%超0.6%以下
Cは鉄鋼材料の強度を向上させる基本的な元素である。Cは固溶強化によりフェライト相の高強度化に寄与する。さらに、C量の増加により、低温変態相であるベイナイト相、マルテンサイト相は著しく高強度化する。また、残留オーステナイト相を安定化させるため、均一延性の向上に寄与する。さらに、微細なセメンタイトにより結晶粒の粗大化を抑制し、局部延性を向上させる。加えて、主相の加工硬化係数を向上させる。しかしながら、C含有量が0.3%以下では、上記作用による効果を得ることが困難な場合がある。したがって、C含有量は0.3%超とする。一方、C含有量が0.6%を超えると、上記効果が飽和するだけでなく、セメンタイト、マルテンサイト、オーステナイトが過剰に生成して、衝撃荷重負荷時における割れの発生を促進する。したがって、C含有量は0.3%超0.6%以下とする。望ましくは0.40〜0.57%である。より望ましくは0.45〜0.55%である。
(2)Mn:0.4%以上1.2%未満
Mnは、焼き入れ性を向上させ、ベイナイト相の相率を増加させる。また、固溶強化により鋼を強化し、降伏強度および引張強度を向上させる作用を有する。しかしながら、Mn含有量が0.4%未満では、上記作用による効果を得ることが困難な場合がある。したがって、Mn含有量は0.4%以上とする。一方、Mn含有量が1.2%以上では、マルテンサイトやオーステナイトが過剰に生成して、局部延性の著しい低下を招く場合がある。したがって、Mn含有量は1.2%未満とする。好ましくは1.0%以下である。
(3)Si:0.6%超1.8%以下
Siは、ベイナイトやマルテンサイト相中の炭化物の生成を抑制し、オーステナイトを安定化させることにより均一延性を向上させる作用を有する。また、固溶強化により鋼を強化し、降伏強度および引張強度を向上させる作用を有する。Siの含有量が0.6%以下では上記作用による効果を得ることが困難である。したがって、Si量は0.6%超とする。一方、Si含有量が1.8%を超えると、過剰のオーステナイトが残留し、衝撃割れ感受性を高める。したがって、Si含有量は1.8%以下とする。望ましいSi量の範囲は0.8〜1.5%である。
(4)Ti:0.001%以上0.01%未満
Tiは凝固組織を微細化し、その後の加工熱処理後のオーステナイト粒の微細化をもたらす。しかしながら、Tiの含有量は0.001%未満では上記の効果を得ることが困難である。したがって、Tiの含有量は0.001%以上とする。一方、Tiの含有量が0.01%以上になると、TiCなどの析出物が増加し、靭性が低下することで衝突時に割れが発生しやすくなる。したがって、Tiの含有量は0.001%以上0.01%未満とする。望ましくは、0.006%以下である。
(5)Al:0.01〜0.5%
Alは脱酸効果により鋼中の介在物を抑制し、衝撃割れを防止する効果がある。しかしながら、Al含有量が0.01%未満では上記作用による効果を得ることが困難である。一方、Al含有量が0.5%を超えると、酸化物や窒化物を粗大化させ、かえって衝撃割れを助長する。したがって、Al含有量は0.01〜0.5%とする。
(6)N:0.001〜0.015%
Nは窒化物を生成することにより、オーステナイトやフェライトの粒成長を抑制し、衝撃割れを抑制する効果がある。しかしながら、N含有量が0.001%未満では上記作用による効果を得ることが困難である。一方、N含有量が0.015%を超えると窒化物が粗大化し、かえって衝撃割れを助長する。したがって、N含有量は0.001〜0.015%とする。
(7)Cr:0.05〜0.25%
Crは、焼き入れ性を高め、ベイナイト相率を増加させる。また、固溶強化により鋼を強化し、降伏強度および引張強度を向上させる作用を有する。したがって、必要に応じて含有させることができる。
しかしながら、Cr含有量が0.05%未満では上記作用による効果を得ることが困難である。したがって、Cr量は0.05%以上とする。一方、Cr含有量が0.25%を超えると、マルテンサイト相が過剰に生成し、衝撃割れ感受性を高める。したがって、Cr含有量は、0.05〜0.25%とする。
(8)Mo:0.1%〜0.35%
MoはCrと同様に焼き入れ性を高め、ベイナイト相率を増加させる。また、固溶強化により鋼を強化し、降伏強度および引張強度を向上させる作用を有する。したがって、必要に応じて含有させることができる。
しかしながら、Mo含有量が0.1%未満では上記作用による効果を得ることが困難である。一方、Mo含有量が0.35%を超えると、マルテンサイト相が過剰に生成し、衝撃割れ感受性を高める。したがって、Mo含有量は、0.1〜0.35%とする。
(9)B:0.001〜0.005%
Bは焼き入れ性を高めるとともに、微量のTiを含む材料では、結晶粒の微細化をもたらす。したがって、必要に応じて含有させることができる。
しかしながら、B含有量が0.001%未満では上記作用による効果を得ることが困難である。一方、Bの含有量が0.005%を超えると、粒界炭化物が粗大化し、延性を低下させる。したがって、Bの含有量は0.001〜0.005%とする。
(10)P:0.02%以下
不純物としてのPは、粒界を脆弱にし、熱間加工性の悪化を招く。そこで、Pの含有量は0.02%以下とする。P含有量は少なければ少ないほど望ましいが、現実的な製造工程と製造コストの範囲内で脱Pすることを前提にすれば、Pの上限は0.02%である。望ましくは0.015%以下である。
(11)S:0.005%以下
不純物としてのSは、粒界を脆弱にし、熱間加工性や延性の劣化を招く。そこで、Sの含有量は0.005%以下とする。S含有量は少なければ少ないほど望ましいが、現実的な製造工程と製造コストの範囲内で脱Sすることを前提にすれば、Sの上限は0.005%である。望ましくは0.002%以下である。
2.鋼組織
本発明に係る鋼組織は、高い降伏強度と低ひずみ域の加工硬化係数を得て有効流動応力を高めるため、旧オーステナイト粒の平均粒径が10μm以下の複相組織であり、その組織を構成するベイナイト相、および/または焼き戻しマルテンサイト相の総量が面積比で80%以上、残部がフェライト、オーステナイト、およびセメンタイトからなる。
(1)ナノ硬さが9GPa以下のベイナイト相および/または焼き戻しマルテンサイト相の総量が面積比で80%以上
ベイナイト相および/または焼き戻しマルテンサイト相は降伏応力と低ひずみ域での加工硬化係数を高める。しかしながら、ベイナイト相と焼き戻しマルテンサイト相の総量が面積比で80%未満の場合には、降伏応力および低ひずみ域での加工硬化係数が低く、所定の衝撃吸収特性を満たさない。よって、ベイナイト相と焼き戻しマルテンサイト相の総量は面積比で80%以上とする。望ましくは、80〜95%である。
また、ナノ硬さが9GPaを超える相は、焼き戻しが不十分な硬質マルテンサイトであり、延性や靭性を阻害する。したがって、ナノ硬さは9GPa以下とする。したがって、硬質マルテンサイト相を含む鋼材は発明の対象外である。
ここでセメンタイトを除く各相は、ナノインデンテーション法によるナノ硬さとナノヤング率測定で峻別できる。すなわち、ナノ硬さが4.5GPa未満の相がフェライト相、4.5〜9GPaの相がベイナイト相または焼き戻しマルテンサイト相、ナノヤング率が190GPa以下の相がオーステナイトである。下限値としては、ナノ硬さが4.5GPa未満の相がフェライト相であると考えられるため、4.5GPaであることが望ましい。パーライトは特有のラメラ組織を有するため、SEM、光学顕微鏡観察により峻別可能であり、任意の断面の中でラメラ組織の領域を算出することで、その面積率が求められる。セメンタイト相は、SEM観察による濃淡コントラストにより容易に他の相と峻別できる。
(2)残部がフェライト、オーステナイトおよびセメンタイ
均一延性を向上させるため、残部はフェライト、オーステナイト、およびセメンタイトから構成される。ただし、局部延性を兼備させるため、フェライトとオーステナイトの平均結晶粒径は1.5μm以下であることが望ましく、セメンタイト粒径は200nm以下であることが望ましい。
(3)旧オーステナイト粒の平均粒径が10μm以下の複相組織
また、ベイナイトや焼き戻しマルテンサイトを主相とする場合、旧オーステナイト粒が脆性破壊の破面単位になる場合が多い。旧オーステナイト粒の平均粒径が10μmを超えると衝突時に旧オーステナイト粒界を起点とする脆性破壊が起こりやすくなる。したがって、旧オーステナイト粒の平均粒径は10μm以下とする。
なお、旧オーステナイト粒界は、ベイナイト相または焼き戻しマルテンサイト相のバリアント逆解析により特定され、旧オーステナイト粒径が求められる。ただし、ベイナイト相や焼き戻しマルテンサイト相が主相でない鋼では、旧オーステナイト粒径の算出は困難である。
パーライト相が生成すると強度が低下する上に靭性を低下させるため、極力生成させないようにする必要がある。パーライトの面積率は5%以下であることが望ましい。
焼戻しが不十分な硬質マルテンサイト相(フレッシュマルテンサイト相)は局部延性を低下させることから、極力低下させる必要がある。ただし、高炭素鋼においてベイナイト相、焼戻しマルテンサイト相、硬質マルテンサイト相の峻別は困難であることから、ナノインデンテーション法によるナノ硬さが10GPaを超える相を硬質マルテンサイト相と定義すると、マルテンサイトの面積率は5%以下であることが望ましい。
複相組織の残部を構成するフェライト、オーステナイトおよびセメンタイトの面積率は、局部延性を高めるため、各々5〜10%、3〜7%および0.5〜2.5%であることが望ましい。局部延性をさらに高めるため、各々の面積率は、フェライト>オーステナイト>セメンタイトの関係を満たすことがより望ましい。
3.特性
本発明に係る鋼で形成した鋼は、有効流動応力が高く、衝撃吸収エネルギーが高いと同時に、衝撃荷重負荷時における割れの発生が抑制されている点に特徴を有する。この特徴は、後述する実施例に示すように、5%流動応力が高いこと、穴拡げ率が高いこと、および軸圧潰特性に優れることにより実証される。
他の機械的特性として、引張強度は980MPa以上であり、一様伸びは7%以上であり、高強度で延性に優れていることが挙げられる。
4.製造方法
(1)熱間圧延工程
前述の化学組成を有し、予め1200℃以上に加熱処理が施されたスラブに熱間圧延を施すことにより熱延鋼板が得られる。熱延鋼板をそのまま熱処理工程の母材として使用する場合、熱間圧延工程において1200℃以上の温度域で1回以上再加熱したのち、所定の粗圧延を経て、最終の仕上圧延を800〜900℃の温度域で、総圧下率50%以上の多段圧延により実施し、その後0.4秒以内に、500℃/秒以上の平均冷却速度で600〜700℃の範囲内に冷却した後、室温で巻き取りを行う。
スラブ加熱温度は、1200℃以上にする必要がある。スラブ加熱温度が1200℃未満であると、鋳造中又はスラブ冷却中に析出したTi、V系析出物が、十分な量固溶せず、析出強化が不十分となり引張強度980MPa以上を確保することができない。
固溶したTi,Vはフェライト変態を遅延させるため、その後の熱間圧延後の冷却において、ベイナイト相80%以上の組織が容易に得られる。
800〜900℃の温度域における総圧下率を50%以上とする熱間圧延を施すことにより、オーステナイト中に大量の加工歪を蓄積する。熱間圧延完了後0.4秒間以内に500℃/秒以上の平均冷却速度で600〜700℃まで冷却することにより、上記加工歪の解放を抑制しつつ、フェライト変態が生ずる。ただし、本発明鋼のごとく、炭素を多量に含む鋼では、フェライト変態界面で炭素と合金元素が濃化し、フェライトの成長が抑制される。すなわち、600〜700℃の温度域で0.4秒間以上保持することにより、微細なフェライトが生成し、その後の冷却過程で、フェライト界面と旧オーステナイト界面の両者を核生成サイトとして、ベイナイト変態を進行させることができる。
上記の熱間圧延により、ベイナイト相を含む相が80面積%以上であり、旧オーステナイト粒径が10μm以下の所定の複相組織が得られる。しかしながら、上記の熱間圧延条件を満たさない場合には、旧オーステナイト粒が10μmを超え、且つ、所望の複相組織が得られないため、強度、延性、および衝突吸収特性を満足しない。
冷却後の熱延鋼板がマルテンサイト相を含む場合には、必要に応じて焼戻しを行い、焼き戻しマルテンサイトを形成する。ただし、焼き戻し温度が500℃を超えると、強度、延性が低下する場合があるため、焼き戻しは500℃以下で熱処理を行う必要がある。保持時間は5分以上であることが望ましい。保持時間が5分未満の場合には、変態歪が解放せず、延性が著しく低下する。一方、保持時間は30分以内が望ましい。保持時間が30分を超えると粒界に炭化物が生成し、いわゆる、焼戻し脆化により延性が低下する場合がある。
熱延鋼板を冷間圧延の母材として使用する場合、熱延母材はフェライト主相であることが望ましい。そのため、その熱間圧延工程において1200℃以上の温度域で1回以上再加熱したのち、所定の粗圧延を経て、最終の仕上圧延を800〜900℃の温度域で、総圧下率50%以上の多段圧延により実施し、その後、50℃/秒以上の500℃/秒未満の平均冷却速度で冷却し、その後、300〜600℃で巻き取りを行う必要がある。熱延鋼鈑を冷間圧延の母材として使用する場合に冷却速度をこの範囲とするのは、冷延母材を軟質にするためである。また、巻き取り温度をこの温度域とするのは、ベイナイトやマルテンサイト相などを軟質化し、その後の冷間圧延時の割れを防止するためである。
(2)冷間圧延工程
その後の冷間圧延と焼鈍により、旧オーステナイト粒径が10μm以下の複相組織とするため、上記の熱延鋼板に冷間圧延および連続焼鈍を施して冷延鋼板とする場合には、冷間圧延における圧下率を30〜70%とする。冷間圧延における圧下率を30〜70%とすることにより加工歪を蓄積し、平均昇温速度が10〜100℃/秒で、800℃〜950℃の温度域まで昇温し、100〜500秒保持することで、再結晶させることにより、微細な鋼組織を得ることができる。
(3)熱処理工程(焼鈍熱処理工程)
本発明の製造方法で採用する熱処理工程は図1に記載のような熱サイクルにより行われる。熱間圧延後または冷間圧延後の焼鈍熱処理は、平均昇温速度10〜100℃/秒で800〜950℃の温度域まで昇温し100〜500秒保持したのち、所定の冷却制御を選択する必要がある。冷間圧延および焼鈍熱処理条件が上記を満たさなければ、旧オーステナイト粒が粗大になり、延性、靭性が低下する。さらに、ベイナイト相および/または焼き戻しマルテンサイト相の総量が面積比で80%以上、残部がフェライト、オーステナイトおよびセメンタイトから構成される複相組織とするためには、上記の焼鈍後、平均冷却速度10〜50℃/秒で400〜560℃の温度まで冷却し、400〜560℃の範囲の一定温度で50〜300秒の熱履歴を与えて焼鈍処理する必要がある。特に、10〜50℃/秒以上の平均冷却速度でベイナイト生成域である400〜560℃以下の温度域まで冷却することにより、ベイナイト主相の組織を生成することができる。
さらに、1180MPaを超える高強度化を図るためには、オーステナイトから低温で変態させることにより緻密なラス組織からなるベイナイト相および焼き戻しマルテンサイト相を主相とする必要がある。そのためには、焼鈍後、平均冷却速度10〜50℃/秒で200〜330℃の温度まで冷却し、50〜200秒の熱履歴を与えて変態処理した後、5〜20℃/秒の昇温速度で400〜560℃の温度域まで再加熱し、50〜200秒の熱履歴を与えて再加熱処理する必要がある。
熱処理条件が、上記の条件範囲外にある場合には、所望の複相組織が得られず、所定の延性、および衝撃特性が得られない。
表1に示す化学組成を有するスラブ(厚さ35mm、幅160〜250mm、長さ70〜140mm)を用いて実験を行った。いずれも150Kgの溶鋼を真空溶製して鋳造した後、炉内温度1250℃で加熱し、950℃以上の温度で熱間鍛造を行いスラブとしたものである。
Figure 0006364755
上記スラブを1250℃で1時間再加熱した後、熱間圧延試験機を用いて、4パスの粗熱間圧延を施し、さらに3パスの仕上熱間圧延を施して熱延鋼板とした。熱間圧延条件を表2に示す。
Figure 0006364755
さらに、一部の熱延鋼板については、冷間圧延を施した後、連続焼鈍シミュレータを用いて、連続焼鈍熱処理を施した。これらの条件を表3に示す。
Figure 0006364755
表3中、再加熱を行う場合には、変態処理温度から5〜20℃/秒の昇温速度で再加熱温度まで昇温した。
このようにして得られた熱延鋼板および冷延鋼板について、以下の調査を行った。
すなわち、JIS5号引張試験片を採取して引張試験を行うことにより、5%流動応力、最大引張強さ(TS)、一様伸び(U−El)を求めた。穴広げ性は、端面ダメージの影響を除去するため、機械加工穴はリーマー加工を行い評価した。
鋼板の圧延方向に平行な断面の板厚1/4t部についてEBSD解析を行い、ベイナイトおよびマルテンサイトのバリアント解析から、旧オーステナイト粒径を算出した。
ベイナイトおよび焼き戻しマルテンサイト相の硬さはナノインデンテーション法によって求めた。板厚1/4t部をエメリー紙で研磨後、コロイダルシリカにてメカノケミカル研磨を行い、さらに電解研磨により加工層を除去して試験に供した。ナノインデンテーションはキューブコーナー圧子を用い、押し込み荷重500μNで行った。この時の圧痕サイズは、直径0.5μm以下である。ベイナイト相と焼き戻しマルテンサイト相の総面積率は、ナノインデンテーション装置に併設の原子間力顕微鏡による2次元画像から求めた。
ナノ硬さ測定は、フェライト相の峻別にも用いた。すなわち、ナノ硬さが4.5GPa未満の相がフェライト相とした。さらに、ナノインデンテーション法によるナノヤング率の測定により残留オーステナイトを分離区別した。すなわち、ナノヤング率が190GPa以下の相がオーステナイトである。このようにして、フェライト、オーステナイトの面積率およびフェライトの平均粒径を求めた。パーライトは特有のラメラ組織を有するため、SEM、光学顕微鏡観察により峻別可能である。任意の断面の中でラメラ組織の領域を算出することで、パーライトの面積率を求めた。セメンタイト相はSEM観察による濃淡コントラストにより峻別可能である。任意の断面の中でセメンタイト相の領域を算出することで、セメンタイトの面積率を求めた。
さらに、上記鋼板を用いて八角形の筒状部材を作製し、軸方向の衝突速度64km/hで軸圧潰試験を実施し、衝突吸収性能を評価した。熱延鋼板については表層の脱炭層を除去するため、両面研削し、1.6mm厚さとした。冷延鋼板についてはそのまま試験に供した。角筒部材の軸方向に垂直な断面の形状は正八角形とした。平面部幅Wpは25.6mmおよび32.0mmの2種類の部材に成形した。
表4には発明鋼と比較鋼の組織と評価結果を示す。
Figure 0006364755
ここで、衝突吸収エネルギー指数(Epa)は、座屈時に上記角筒部材にかかる平均応力を求め、鋼板の引張強度で規格化したパラメータであり、下記式(1)で規定されるものである。
Figure 0006364755
ここで、Load Faveは部材にかかる平均荷重であり、Lは上記正多角形の周長であり、tは鋼板の板厚であり、TSは前述の引張試験で測定した最大引張強さである。
また、安定座屈数は、軸圧潰試験により割れが生じなかった試験体の個数であり、表4では全試験体数と割れが発生しなかった試験体数とを(割れが発生しなかった試験体数)/(全試験体数)で表す。
一般に、衝突エネルギーが高くなると圧潰途中で割れが生じる可能性が高まり、結果的に塑性変形仕事量を増大させることはできず、衝撃吸収エネルギーを高めることができない場合がある。
本発明に係る鋼材は、軸圧潰による平均荷重が0.38kJ/mm以上と高い。さらに、安定座屈数が2/2と良好な軸圧潰特性を示す。したがって、サイドメンバー、センターピラー、ロッカー、等の衝撃吸収部材の素材として用いるのに好適である。

Claims (8)

  1. 質量%で、C:0.3%超0.6%以下、Mn:0.4%以上1.2%未満、Si:0.6%超1.8%以下、Ti:0.001%以上0.01%未満、Al:0.01〜0.5%、N:0.001〜0.015%を含有し、残部Feおよび不純物からなる化学組成を有し、
    旧オーステナイト粒の平均粒径が10μm以下の複相組織を有し、
    前記複相組織が、ナノ硬さが9GPa以下のベイナイト相および/または焼き戻しマルテンサイト相を主相とし、主相の総量が面積率で80%以上であり、残部がフェライト、オーステナイトおよびセメンタイトからなる、引張強度が980MPa以上の鋼板。
  2. 質量%で、Cr:0.05〜0.25%、Mo:0.1〜0.35%、B:0.001〜0.005%の1種または2種以上を含有することを特徴とする、請求項1に記載の鋼板。
  3. 前記残部のうち、前記フェライトの面積率が最も高く、前記セメンタイトの面積率が最も小さい、請求項1または2に記載の鋼板。
  4. 面積率で、前記フェライトが5〜10%、前記オーステナイトが3〜7%、前記セメンタイトが0.5〜2.5%である、請求項1から3までのいずれかに記載の鋼板。
  5. 次の工程を備えることを特徴とする、請求項1から4までのいずれかに記載の鋼板の製造方法。
    請求項1または2に記載された化学組成を有するスラブを、1200℃以上の温度域で加熱した後、800〜900℃の温度域で、総圧下率が50%以上の仕上熱間圧延を行い、当該圧延後0.4秒以内に、500℃/秒以上の平均冷却速度で600〜700℃の温度域まで冷却した後、室温で巻き取って熱延鋼板とする熱間圧延工程。
  6. 次の工程を備えることを特徴とする、請求項1から4までのいずれかに記載の鋼板の製造方法。
    請求項1または2に記載された化学組成を有するスラブを、1200℃以上の温度域で加熱した後、800〜900℃の温度域で、総圧下率が50%以上の仕上熱間圧延を行い、当該圧延後0.4秒以内に、500℃/秒以上の平均冷却速度で600〜700℃の温度域まで冷却した後、室温で巻き取りを行い、500℃以下の温度域に保持して熱延鋼板とする熱間圧延工程。
  7. 次の工程を備えることを特徴とする、請求項1から4までのいずれかに記載の鋼板の製造方法。
    請求項1または2に記載された化学組成を有するスラブを、1200℃以上の温度域で加熱した後、800〜900℃の温度域で、総圧下率が50%以上の仕上熱間圧延を行い、50℃/秒以上500℃/秒未満の平均冷却速度で冷却し、300〜600℃の温度域で巻き取りを行って熱延鋼板とする熱間圧延工程;
    前記熱間圧延工程で得られた熱延鋼板に、総圧下率が30〜70%の冷間圧延を施して冷延鋼板とする冷間圧延工程;および
    前記冷間圧延工程で得られた冷延鋼板に、平均昇温速度10〜100℃/秒で800〜950℃の温度域まで昇温し100〜500秒保持した後、平均冷却速度10〜50℃/秒で400〜560℃の温度域まで冷却し、該温度域で50〜300秒保持する熱処理を施す熱処理工程。
  8. 次の工程を備えることを特徴とする、請求項1から4までのいずれかに記載の鋼板の製造方法。
    請求項1または2に記載された化学組成を有するスラブを、1200℃以上の温度域で加熱した後、800〜900℃の温度域で、総圧下率が50%以上の仕上熱間圧延を行い、50℃/秒以上500℃/秒未満の平均冷却速度で冷却し、300〜600℃の温度域で巻き取りを行って熱延鋼板とする熱間圧延工程;
    前記熱間圧延工程で得られた熱延鋼板に、総圧下率が30〜70%の冷間圧延を施して冷延鋼板とする冷間圧延工程;および
    前記冷間圧延工程で得られた冷延鋼板に、平均昇温速度10〜100℃/秒で800〜950℃の温度域まで昇温し100〜500秒保持した後、平均冷却速度10〜50℃/秒で200〜330℃の温度域まで冷却し、該温度域で50〜200秒保持し、5〜20℃/秒の昇温速度で400〜560℃の温度域まで再加熱し、該温度域で50〜200秒保持する熱処理を施す熱処理工程。
JP2013246213A 2013-11-28 2013-11-28 衝撃吸収特性に優れた高強度鋼材 Active JP6364755B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013246213A JP6364755B2 (ja) 2013-11-28 2013-11-28 衝撃吸収特性に優れた高強度鋼材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013246213A JP6364755B2 (ja) 2013-11-28 2013-11-28 衝撃吸収特性に優れた高強度鋼材

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015105383A JP2015105383A (ja) 2015-06-08
JP6364755B2 true JP6364755B2 (ja) 2018-08-01

Family

ID=53435711

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013246213A Active JP6364755B2 (ja) 2013-11-28 2013-11-28 衝撃吸収特性に優れた高強度鋼材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6364755B2 (ja)

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20200384321A1 (en) * 2017-03-02 2020-12-10 Nippon Steel Nisshin Co., Ltd. Golf club shaft and method for producing same
CN107675077B (zh) * 2017-09-21 2019-01-29 燕山大学 一种中碳纳米贝氏体超高强度钢、钢棒及其制备方法
JP2020059919A (ja) * 2018-10-09 2020-04-16 日本製鉄株式会社 鋼材およびその製造方法
KR102321288B1 (ko) * 2019-12-18 2021-11-03 주식회사 포스코 가공성이 우수한 고강도 강판 및 그 제조방법
KR102348527B1 (ko) * 2019-12-18 2022-01-07 주식회사 포스코 가공성이 우수한 고강도 강판 및 그 제조방법
KR102321295B1 (ko) * 2019-12-18 2021-11-03 주식회사 포스코 가공성이 우수한 고강도 강판 및 그 제조방법
KR102321285B1 (ko) * 2019-12-18 2021-11-03 주식회사 포스코 가공성이 우수한 고강도 강판 및 그 제조방법
EP4339307A1 (en) * 2021-05-13 2024-03-20 Nippon Steel Corporation Steel sheet for hot stamping and hot-stamped molded item

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007177317A (ja) * 2005-11-30 2007-07-12 Jfe Steel Kk 強度、延性、靭性、耐磨耗性に優れた機械構造用鋼およびその製造方法およびこれを用いた金属ベルト
JP5703608B2 (ja) * 2009-07-30 2015-04-22 Jfeスチール株式会社 高強度鋼板およびその製造方法
JP5699764B2 (ja) * 2011-04-11 2015-04-15 新日鐵住金株式会社 合金化溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法
JP5648597B2 (ja) * 2011-07-06 2015-01-07 新日鐵住金株式会社 冷延鋼板の製造方法
JP5648596B2 (ja) * 2011-07-06 2015-01-07 新日鐵住金株式会社 冷延鋼板の製造方法
JP5699889B2 (ja) * 2011-09-30 2015-04-15 新日鐵住金株式会社 引張強度980MPa以上の成形性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板とその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015105383A (ja) 2015-06-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5660250B2 (ja) 鋼材
JP6364755B2 (ja) 衝撃吸収特性に優れた高強度鋼材
WO2013154071A1 (ja) 衝撃吸収部材に適した鋼板とその製造方法
JP5605310B2 (ja) 鋼材および衝撃吸収部材
JP5610102B2 (ja) 鋼材
JP5880235B2 (ja) 鋼板の製造方法
JP2010168624A (ja) 高周波焼入れ用圧延鋼材およびその製造方法
WO2014087511A1 (ja) 鋼材および衝撃吸収部材
JP2010144226A (ja) 高周波焼入れ用圧延鋼材およびその製造方法
JP2013216945A (ja) 鋼板および衝撃吸収部材
JP5871085B2 (ja) 冷間鍛造性および結晶粒粗大化抑制能に優れた肌焼鋼
JP5459064B2 (ja) 高周波焼入れ用圧延鋼材およびその製造方法
JP2003253385A (ja) 高速変形特性および曲げ特性に優れた冷延鋼板およびその製造方法
JP5459065B2 (ja) 高周波焼入れ用圧延鋼材およびその製造方法
JP7192819B2 (ja) 高強度鋼板およびその製造方法
JP6322973B2 (ja) 衝撃吸収特性に優れた高強度鋼
JP5240407B2 (ja) 動的強度に優れた複相熱延鋼板およびその製造方法
JP6379731B2 (ja) 高強度鋼材およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20151016

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160706

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170322

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170509

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170606

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20171205

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180109

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180605

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180618

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6364755

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350