JP5240407B2 - 動的強度に優れた複相熱延鋼板およびその製造方法 - Google Patents
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Description
一方、第2相がマルテンサイトを主体とする複相鋼板の一例として、特許文献2には、微細なフェライト粒からなり、結晶粒径が1.2μm以下のナノ結晶粒の平均粒径dsと、結晶粒径が1.2μmを超えるミクロ結晶粒の平均結晶粒径dLをdL/ds≧3を満足する、強度と延性バランスが優れ、且つ、静動差が170MPa以上である高強度鋼板が開示されている。当該文献において、静動差とは、歪速度0.01/sで得られる静的変形応力と歪速度1000/sで引張試験を実施して得られる動的変形応力の差で定義されている。しかしながら、歪速度が0.01/s超1000/s未満の中間歪速度域での変形応力について、特許文献2は何も開示していない。
フェライトを主相とし、第2相がマルテンサイトである高強度複相鋼板では、成形性と衝撃吸収特性の両立は困難である。
(1)中歪速度域強度を高めるためには、静的強度および静動差の両者を向上させる必要がある。
(3)フェライトの面積分率を増加させれば静動差は向上する。しかしながら、フェライトの面積分率が増加すると、静的強度は低下するので、所望の動的強度は得られない。
(6)低温変態相の中で、ベイニティックフェライトおよびベイナイトは動的強度および静動差の向上に有効である。
(8)SiおよびCrの微量添加によりベイニティックフェライトおよびベイナイトそれぞれに含有される炭化物に生成が抑制される。
これらの知見に基づき、フェライトの面積分率を高めて静動差を高めつつ、フェライトの固溶強化や結晶粒の微細化により静的強度を向上させ、さらに、第2相として、静的強度を高めることが可能なマルテンサイトのみならず、化学組成の制御により炭化物の生成が抑制されたベイナイトおよび/またはベイニティックフェライトをも存在させることで、静的強度および静動差が高度に向上された鋼板を得ることが可能であることを知得した。
最終仕上圧延において、800℃以上900℃以下の温度で、パス間時間0.15秒間以上2.7秒間以下で前記スラブを圧延して鋼板とすることを備える仕上圧延工程;
仕上圧延工程により得られた鋼板を、600℃/秒以上の冷却速度で0.4秒間以内に700℃以下まで冷却することを備える第1の冷却工程;
冷却工程を経た鋼板を570℃以上700℃以下の温度範囲で0.4秒間以上保持することを備える保持工程;および
保持工程を経た鋼板を20℃/秒以上120℃/秒以下の冷却速度で430℃以下まで冷却することを備える第2の冷却工程。
1.金属組織
(1)フェライトの含有量
フェライトは静動差を大きくする。さらに、複相組織鋼においては延性を向上させる。フェライトが面積分率で7%未満では所望の静動差が得られない。一方、フェライト量が面積分率で35%を超えると静的強度が低下する。したがって、フェライトの含有量は、面積分率で7%以上35%以下とする。フェライトは初析フェライトであることが好ましい。
静的強度を高めるためには、フェライト結晶粒の微細化が必要である。フェライト粒径が3.0μmを超えると所望の強度が得られない。したがって、フェライト粒径の上限は3.0μmとする。フェライト粒径はできるだけ微細であることが望ましい。しかしながら、現実的にはフェライトの粒径を安定的に0.5μm未満にすることは困難であり、工業的レベルでは実質的に不可能である。したがって、フェライト粒径の下限は0.5μmとする。
高強度化の観点から、フェライトの固溶強化が必要である。本発明において、フェライトの硬さはナノインデンテーション法を用いて評価し、バーコビッチ型圧子で、荷重500μNを付加したときに得られるナノ硬さを指標とする。フェライトのナノ硬さが3.5GPa以下では十分な強度が得られない。一方、フェライトのナノ硬さは高ければ高いほどいいが、合金元素の固溶限があるため、ナノ硬さが4.5GPaを超えることはない。したがって、フェライトのナノ硬さは3.5GPa以上、4.5GPa以下とする。
フェライト以外の残部の相、すなわち第2相は硬質相からなる。硬質相として、ベイニティックフェライト、マルテンサイト、オーステナイトなどが一般に例示される。本発明に係る鋼板の第2相は、ベイニティックフェライトおよびベイナイトから選ばれた少なくとも一つ(以下、「ベイニティックフェライトおよび/またはベイナイト」という。)と、マルテンサイトとを含む。
第2相における主成分がベイネティックフェライトおよび/またはベイナイトであること、すなわち第2相全体に対するベイネティックフェライトおよび/またはベイナイトの面積分率が50%超となることが好ましく、70%以上となることがさらに好ましい。第2相にはこの他に残留オーステナイトが含まれていてもよい。
硬質相からなる第2相において硬度が相対的に高い相(高硬質相)は静的強度の向上に寄与する。特にナノ硬さが8GPa以上12GPa以下の相は静的強度の向上に大きく寄与する。そこで、本発明では、第2相においてナノ硬さが8GPa以上12GPa以下の相を高硬質相と定義する。この高硬質相の含有量が組織全体に対する面積分率で5%未満では高強度が得られない。一方、この高硬質相は静動差を低下させ、組織全体に対する面積分率で35%を超えて含有させると、所望の動的強度が得られない。よって、高硬質相の含有量は組織全体に対する面積分率で5%以上35%以下とする。なお、第2相においてナノ硬さが8GPa以上12GPa以下の相は主としてマルテンサイトからなる。また、第2相においてナノ硬さが4.5GPa超、8GPa未満の相は主としてベイニティックフェライトからなる。
(1)C:0.07%以上0.2%以下
C含有量を適正な範囲に制御することにより、フェライト、マルテンサイト、ベイニティックフェライト、およびベイナイトの含有量が適切に調整される。これらの調整が適切に行われることにより、鋼板における静的強度および静動差が適切な範囲に確保される。すなわち、C含有量が0.07%未満では、フェライトの固溶強化が不十分であるうえに、ベイニティックフェライト、マルテンサイトおよびベイナイトが得られないので所定の強度が得られない。一方、C含有量が0.2%を超えると高硬質相が過剰に生成して、静動差を低下させる。よって、C含有量の範囲は、0.07%以上0.2%以下とする。C含有量の下限は0.10%以上が好ましく、0.12%以上がより好ましい。C含有量の上限は0.18%以下が好ましく、0.16%以下がより好ましい。
Si含有量およびAl含有量の総和(本発明において「Si+Al」と表示する場合もある。)は、熱延および熱延後の冷却過程で生成する変態相の量や硬さに影響を及ぼす。具体的には、Si、Alは、ベイネティックフェライトおよび/またはベイナイトに含有される炭化物の生成を抑制して静動差を向上させる。また、Siは固溶強化作用も有する。上記観点から、Si+Alは0.3%以上とする。ただし、過度に添加しても上記効果は飽和し、かえって鋼を脆化させる。このため、Si+Alは1.5%以下とする。Si+Alは1.0%未満とすることが好ましい。また、Si含有量の下限は0.3%以上が好ましく、Si含有量の上限は0.7%以下が好ましい。Al含有量の下限は0.03%以上が好ましく、Al含有量の上限は0.7%以下が好ましい。
Mnは鋼の変態挙動に影響を及ぼす。したがって、Mn含有量を制御することにより、熱延および熱延後の冷却過程で生成する変態相の量や硬さが制御される。すなわち、Mn含有量が1.0%未満では、ベイニティックフェライト相やマルテンサイト相の生成量が少なく、所望の強度と静動差が得られない。3.0%を超えて添加すると、マルテンサイト相の量が過剰になり、かえって動的強度が低下する。よって、Mn含有量の範囲は、1.0%以上、3.0%以下とする。Mn含有量の下限は1.5%以上が好ましい。Mn含有量の上限は2.5%以下が好ましい。
P、Sは不可避的不純物として鋼中に存在する。P含有量およびS含有量が多いと高速変形下で脆性破壊が生じ得る。これを抑制するため、P含有量を0.02%以下に、S含有量を0.005%以下に制限する。
Cr含有量は熱延および熱延後の冷却過程で生成する変態相の量や硬さに影響を及ぼす。具体的には、Crは、ベイニティックフェライト量を確保するのに有効な作用がある。また、ベイニティックフェライト中の炭化物の析出を抑制する。また、Cr自体、固溶強化作用を有する。このため、Crの含有量が0.1%未満では、所望の強度が得られない。一方、0.5%を超えて含有させても上記効果は飽和し、かえってフェライト変態を抑制する。したがって、Cr含有量は0.1%以上0.5%以下とする。
NはTiおよびNbと窒化物を生成し、結晶粒の粗大化を抑制する。Nの含有量が0.001%未満では、スラブ加熱時に結晶粒の粗大化が生じ、熱間圧延後の組織も粗大化する。一方、Nの含有量が0.008%を超えると、粗大な窒化物が生成するため、延性に悪影響を及ぼす。よって、N量の含有量は、0.001%以上0.008%以下とする。
Tiは窒化物および炭化物を形成する。後述するNbも同様に窒化物および炭化物を形成する。このため、NbおよびTiからなる群から選ばれる少なくとも一種を含有させる。生成したTiNは、結晶粒の粗大化防止に有効である。またTiCは静的強度を向上させる。しかしながら、Tiの含有量が0.002%未満では上記の効果が得られない。一方、0.05%を超えてTiを含有させると粗大な窒化物が生成して延性が低下する上に、フェライト変態を抑制する。よって、Tiを含有させる場合には、その含有量は0.002%以上0.05%以下とする。
NbはTiと同様に窒化物および炭化物を形成する。形成された窒化物はTi窒化物と同様に、オーステナイト相の結晶粒の粗大化防止に有効である。さらに、Nb炭化物は、フェライト相の結晶粒の粗大化防止や静的強度の向上に寄与する。さらには、固溶したNbも静的強度の向上に寄与する。しかし、0.002%未満では上記の効果は得られない。0.05%を超えて添加するとフェライト変態を抑制する。よって、Nbを添加する場合には、その含有量は0.002%以上0.05%以下とする。Nbを添加する場合のNb含有量の下限は0.004%以上が好ましい。Nb含有量の上限は0.02%以下が好ましい。
Vの炭窒化物は、低温オーステナイト域でオーステナイト相の結晶粒の粗大化防止に有効である。さらに、Vの炭窒化物は、フェライト相の結晶粒の粗大化防止に寄与する。したがって、本発明に係る鋼板は、Vを必要に応じて含有する。しかしながら、含有量が0.01%未満では上記の効果を安定的に得られない。一方、0.2%を超えて添加すると、析出物が増加し、静動差が小さくなる。よって、Vを添加する場合には、その含有量は0.01%以上0.2%以下とすることが好ましく、0.02%以上0.1%以下とすることがさらに好ましい。V含有量の下限は0.02%以上がより好ましい。V含有量の上限は0.1%以下がより好ましい。
Cuは、析出強化や固溶強化により鋼板の強度を一層向上させる作用を有する。したがって、本発明に係る鋼板はCuを必要に応じて含有してもよい。しかしながら、0.2%を超えてCuを添加すると加工性の低下が著しくなる。また、上記の効果を安定的に得る観点からCu含有量を0.02%以上とすることが好ましい。よって、Cuを添加する場合にはその含有量を0.2%以下とするべきであり、0.02%以上0.2%以下とすることが好ましい。
Niも析出強化や固溶強化により鋼板の強度を一層向上させる作用を有する。したがって、本発明に係る鋼板は、Niを必要に応じて含有してもよい。しかしながら、0.2%を超えてNiを添加すると加工性の低下が著しくなる。また、上記の効果を安定的に得る観点からNi含有量を0.02%以上とすることが好ましい。よって、Niを添加する場合にはその含有量を0.2%以下とするべきであり、0.02%以上0.2%以下とすることが好ましい。
Moは、炭化物または窒化物として析出し、鋼板の強度を高める作用を有する。また、これらの析出物は、オーステナイトやフェライトの粗大化を抑制し、フェライト結晶粒の微細化を促進する作用も有する。さらに、高温の熱処理を施す場合には粒成長を抑制する作用も有する。したがって、本発明に係る鋼板は、Moを必要に応じて含有してもよい。しかしながら、0.5%を超えてMoを添加すると、熱間圧延に供する前の段階において粗大な炭化物または窒化物が鋼中に多量に析出してしまい、熱延鋼板の加工性の劣化を招く。また、多量の炭化物や窒化物の析出により歪時効硬化特性が低下する。さらに、上記の効果を安定的に得る観点からMo含有量を0.02%以上とすることが好ましい。よって、Moを添加する場合にはその含有量を0.5%以下とするべきであり、0.02%以上0.5%以下とすることが好ましい。
本発明に係る熱延鋼板は、上記の金属組織と化学組成とを有していることにより、高い静的強度のみならず優れた静動差を広い範囲の歪速度領域にわたって安定的に得ることが可能である。本発明に係る熱延鋼板の製造方法は特に限定されないが、以下の圧延条件を有する熱間圧延工程を備える製造方法を採用することにより、本発明に係る熱延鋼板を安定的に製造することが達成される。
最終仕上圧延において、800℃以上900℃以下の温度で、パス間時間0.15秒間以上2.7秒間以下で前記スラブを圧延して鋼板とすることを備える仕上圧延工程、
仕上圧延工程により得られた鋼板を、600℃/秒以上の冷却速度で0.4秒間以内に700℃以下まで冷却することを備える第1の冷却工程、
冷却工程を経た鋼板を570℃以上700℃以下の温度範囲で0.4秒間以上保持することを備える保持工程、および
保持工程を経た鋼板を20℃/秒以上120℃/秒以下の冷却速度で430℃以下まで冷却することを備える第2の冷却工程。
以上のように得られた熱延鋼板は、優れた動的強度特性を有する。具体的には歪速度が30/秒以上の歪速度域で優れた動的強度特性を有する。一部の熱延鋼板では10/秒以上の歪速度域で優れた動的強度特性を有する。
試験番号10の鋼板の製造方法では、圧延終了後700℃以下に冷却されるまでの時間および第2の冷却工程が本発明に係る条件では実施されなかった。
上記の製造方法により得られたサンプル鋼板の金属組織の評価結果ならびに静的引張強度および静動比の評価結果を表3に示す。各評価方法は以下のとおりである。
各相の含有比率およびナノ硬さの評価は、サンプル鋼板の圧延方向に平行な断面における、1/4板厚部について、それぞれ下記の測定を行うことにより実施した。
任意に抽出した10μm×10μmの範囲内をナノインデンテーション装置が持つ原子間力顕微鏡で観察し、2次元画像を得た。得られた2次元画像において見られる結晶のコントラストの相違によりその結晶がフェライトであるか第2相であるかは識別可能であるから、得られた画像に基づき、第2相である結晶を特定した。第2相であると特定されたすべての結晶について、ナノインデンテーションで硬さを測定した。測定された結晶のうち、ナノ硬さが8〜12GPaであるものを高硬質相であると判定した。高硬質相であると判定された結晶の面積の総和から高硬質相の面積分率を求めた。
試験番号3、4、10および11の鋼板では30/s以上の歪速度域で(1)式を満足しない。したがって、これらの鋼板は優れた動的強度特性を有しないと判定された。
Claims (6)
- 質量%で、
C:0.07%以上0.2%以下、
Si+Al:0.3%以上1.5%以下、
Mn:1.0%以上3.0%以下、
P:0.02%以下、
S:0.005%以下、
Cr:0.1%以上0.5%以下、
N:0.001%以上0.008%以下
を含有し、
さらに、Ti:0.002%以上0.05%以下およびNb:0.002%以上0.05%以下の1種または2種を含有し、
残部がFeおよび不純物からなる化学組成を有し、
フェライトの面積分率が7%以上35%以下、フェライトの粒径が0.5μm以上3.0μm以下の範囲、およびフェライトのナノ硬さが3.5GPa以上4.5GPa以下の範囲にあり、
フェライト以外の残部である第2相がベイニティックフェライトおよびベイナイトから選ばれた少なくとも一つとマルテンサイトとを含み、第2相の平均ナノ硬さは5GPa以上12GPa以下であり、
第2相は8GPa以上12GPa以下の高硬質相を組織全体に対する面積分率として5%以上35%以下含有する
ことを特徴とする複相熱延鋼板。 - 前記化学組成が、さらに、質量%で、
V:0.2%以下
を含有することを特徴とする請求項1に記載の複相熱延鋼板。 - 前記化学組成が、さらに、質量%で、Cu:0.2%以下、Ni:0.2%以下およびMo:0.5%以下からなる群から選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の複相熱延鋼板。
- 質量%で、
C:0.07%以上0.2%以下、
Si+Al:0.3%以上1.5%以下、
Mn:1.0%以上3.0%以下、
P:0.02%以下、
S:0.005%以下、
Cr:0.1%以上0.5%以下、
N:0.001%以上0.008%以下
を含有し、
さらに、Ti:0.002%以上0.05%以下およびNb:0.002%以上0.05%以下の1種または2種を含有し、残部がFeおよび不純物からなる化学組成を有するスラブを熱間連続圧延して熱延鋼板を製造する、フェライトの面積分率が7%以上35%以下、フェライトの粒径が0.5μm以上3.0μm以下の範囲、およびフェライトのナノ硬さが3.5GPa以上4.5GPa以下の範囲にあり、フェライト以外の残部である第2相がベイニティックフェライトおよびベイナイトから選ばれた少なくとも一つとマルテンサイトとを含み、第2相の平均ナノ硬さは5GPa以上12GPa以下であり、第2相は8GPa以上12GPa以下の高硬質相を組織全体に対する面積分率として5%以上35%以下含有する複相熱延鋼板の製造方法であって、次の工程を備える:
最終仕上圧延において、800℃以上900℃以下の温度で、パス間時間0.15秒間以上2.7秒間以下で前記スラブを圧延して鋼板とすることを備える仕上圧延工程;
仕上圧延工程により得られた鋼板を、600℃/秒以上の冷却速度で0.4秒間以内に700℃以下まで冷却することを備える第1の冷却工程;
冷却工程を経た鋼板を570℃以上700℃以下の温度範囲で0.4秒間以上保持することを備える保持工程;および
保持工程を経た鋼板を20℃/秒以上120℃/秒以下の冷却速度で430℃以下まで冷却することを備える第2の冷却工程。 - 前記化学組成が、さらに、質量%で、
V:0.2%以下
を含有することを特徴とすることを特徴とする請求項4に記載の複相熱延鋼板の製造方法。 - 前記化学組成が、さらに、質量%で、Cu:0.2%以下、Ni:0.2%以下およびMo:0.5%以下からなる群から選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項4または5に記載の複相熱延鋼板の製造方法。
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