JP2008189984A - 熱延鋼板及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】Ti、Nb、Mo、Vのうちの1種又は2種以上を合計で0.05%以下含有し、フェライトを主相とする炭素鋼または低合金鋼からなる鋼板であって、鋼板表面から板厚の1/4の深さ位置におけるフェライトの平均結晶粒径D(μm)が下記の(1)式及び(2)式を満足し、降伏比YRが0.8以上であって、平均塑性接線勾配H'が下記の(3)式を満足する熱延鋼板。 1.2≦D≦7・・(1)式 D≦2.7+5000/(5+350・C+40・Mn)2・・・(2)式 0.1≦H'/TS≦−2×YR+3.1・・・(3)式ここで、CおよびMnは鋼中の各元素の含有量(単位:質量%)、H'は平均塑性接線勾配、TSは引張強度(MPa)、YRは降伏比を示す。
【選択図】なし
Description
フェライトの結晶粒径は小さくなるほど強度が増加するので、衝撃吸収特性をその分高めることができるが、結晶粒径が小さくなりすぎると粒界エネルギーによる粒成長の駆動力が増加するため、熱間圧延時に粒成長が促進されてしまうことが分かった。
D≦2.7+5000/(5+350・C+40・Mn)2・・・(2)式
ここで、Dは鋼板表面から板厚の1/4の深さ位置におけるフェライトの平均結晶粒径(μm)を、そして、CおよびMnは鋼中の各元素の含有量(質量%)を示す。
高衝撃吸収材料は、同一の引張強度TSで比較すると高いYR値を有し、その機械特性は高い降伏強度YSを有することになるので、衝撃吸収時の変形によって塑性仕事量が増大する。よって十分な衝突吸収性能を得るために、降伏比YRを0.8以上とする必要がある。なお、降伏比YRは0.85以上とするのが好ましい。
本発明者らは、曲げ変形を熱延鋼板に負荷したときに生じる歪みを局所化することができれば、形状凍結性に優れた熱延鋼板を得ることができるのではないかとの着想の下に、曲げ成形におけるスプリングバックを低減する手法について、種々検討したところ、次の知見を得た。
ここで、H'は引張試験において降伏後の塑性歪み0.005から一様伸びの65%の歪みまでの範囲における平均塑性接線勾配を、TSは引張強度(MPa)を、そして、YRは降伏比を示す。
鋼の降伏強度を上昇させる手段として、Ti、Nb、V、Moといった析出強化元素を含有させることが有効であることが知られている。これらの元素は鋼中で微細な炭窒化物を形成し、転位運動を阻害するからである。これまで、実用的な構造用熱延鋼板に対して高い降伏比YRを付与するに当たって、これらの析出強化元素が積極的に使用されてきている。したがって、本発明においても、Ti、Nb、V及びMoの含有量の降伏強度及び形状凍結性に及ぼす影響について、詳細な検討を行った。
さらに鋼板の熱的安定性を高めるためには、フェライトの結晶粒径の分布を一定の範囲にとどめるのが好ましい。高温での粒成長が生じる一因は、粒界のエネルギーに基づく駆動力であり、微細なフェライト組織の中に比較的大きなフェライト結晶粒が混在していると、大きなフェライト結晶粒が粒界を駆動力として周囲の微細なフェライト結晶粒と容易に一体化し、粒成長が急速に進展する。このため、高温でのフェライト結晶粒の粒成長速度を抑制するためには、フェライト結晶粒を微細化してその平均結晶粒径D(μm)を前記の(1)式及び(2)式を満足する一定の範囲にとどめることに加えて、鋼板表面から板厚の1/4の深さ位置におけるフェライトのうち、面積割合でフェライト結晶粒の80%以上が、平均結晶粒径D(μm)の1/3から3倍の範囲に収まるような粒径分布となることが好ましい。すなわち、結晶粒径d(μm)が下記の(4)式を満足する結晶粒の占める面積割合が80%以上であることが好ましい。
D/3≦d≦3D・・・・・・・・・・・・・・・・(4)式
ここで、dはフェライトの結晶粒径(μm)を、そして、Dは鋼板表面から板厚の1/4の深さ位置におけるフェライトの平均結晶粒径(μm)を示す。
高温におけるフェライト結晶粒の粒成長速度は、温度の上昇と共に増加する。一般に、溶接工程や溶融めっき工程でフェライトの粒成長という問題が生じる温度域は、A1点(730℃近傍)直下からA3点近傍までの温度域であり、この温度範囲でフェライトの粒成長速度は大きく変化する。しかし、前記(a)に示したとおり、フェライトの平均結晶粒径が特定の範囲内にある鋼板、すなわち、鋼板表面から板厚の1/4の深さ位置におけるフェライトの平均結晶粒径D(μm)が(1)式及び(2)式の両方を満足する鋼板の粒成長速度の温度特性は、700℃近傍の温度におけるフェライトの粒成長速度によって決定されることが分かったので、700℃近傍の温度におけるフェライトの粒成長速度、すなわち、フェライトの平均結晶粒径の増加速度X(μm/min)と平均結晶粒径D(μm)の積D・X(μm2/min)に、上限を設ければ、溶接工程や溶融めっき工程でより高い温度に加熱された場合においても、問題が発生しないことを見出した。そして、実験の結果、積D・Xを0.1μm2/min以下に設定することが必要であることも判明した。なお、積D・Xは0.07μm2/min以下が好ましく、0.05μm2/min以下がさらに好ましい。
ここで、Dは鋼板表面から板厚の1/4の深さ位置におけるフェライトの平均結晶粒径(μm)を、そして、Xは当該フェライトの平均結晶粒径D(μm)の700℃における増加速度(μm/min)を示す。
板厚方向への緩やかな結晶粒径の変化は、鋼板の機械特性の向上に寄与する。たとえば、板表面側でより細粒となっているため、鋼板表面近傍が大きく変形される曲げ性が向上する。また、表面近傍から発生する亀裂の伝搬を、より細粒化した表面の組織が効果的に押さえることができるので、疲労特性も向上する。
d≦0.9dc・・・・・・・・・・・・・・・・(7)式
ここで、dsは鋼板表面から100μmの深さ位置における結晶粒径(μm)を、dは鋼板表面から板厚の1/4の深さ位置における結晶粒径(μm)を、そして、dcは板厚の中心部分における結晶粒径(μm)を示す。
高温域での圧延を採用することで、圧延が容易かつ高生産性の工業的方法を提供することができる。
D≦2.7+5000/(5+350・C+40・Mn)2・・・(2)式
0.10.1≦H'/TS≦−2×YR+3.1・・・・・・・・・・・・(3)式
ここで、Dは鋼板表面から板厚の1/4の深さ位置におけるフェライトの平均結晶粒径(μm)を、CおよびMnは鋼中の各元素の含有量(質量%)を、H'は引張試験において降伏後の塑性歪み0.005から一様伸びの65%の歪みまでの範囲における平均塑性接線勾配を、TSは引張強度(MPa)を、そして、YRは降伏比を示す。
ここで、dはフェライトの結晶粒径(μm)を、そして、Dは鋼板表面から板厚の1/4の深さ位置におけるフェライトの平均結晶粒径(μm)を示す。
ここで、Dは鋼板表面から板厚の1/4の深さ位置におけるフェライトの平均結晶粒径(μm)を、そして、Xは当該フェライトの平均結晶粒径D(μm)の700℃における増加速度(μm/min)を示す。
C:
Cは、オーステナイトからフェライトへの変態温度を低下させて、熱延の仕上げ温度を低下させることができるので、フェライト結晶粒の微細化を促進するのに有用な元素である。また、強度を確保するための元素である。このため、0.01%以上含有させることが好ましい。また、フェライト結晶粒の微細化をより促進するためには、0.03%以上含有させるのが好ましい。ただし、過度に含有させると、熱延後のフェライト変態が遅延し、フェライトの体積率が低下するため、また溶接性が劣化するため0.25%以下とすることが好ましい。溶接部の加工性を向上させるためには、C含有量を0.17%以下にするのが好ましく、0.15%以下とするのがより好ましい。
Siは、強度向上を目的として含有させることが好ましい。ただし、過剰に含有させると、延性の劣化が著しくなるうえに、熱間圧延時の表面酸化の問題が生じるので、含有量を3%以下とすることが好ましい。好ましくは2%以下、より好ましくは1.8%以下である。下限は不純物レベルでもよい。通常、製鋼段階で0.01%程度混入する。
Mnは、強度確保のため、含有させることが好ましい。また、オーステナイトからフェライトへの変態温度を低下させて、熱間圧延における仕上温度を低下させることを可能にするので、フェライト結晶粒の微細化を促進するため、含有させることが好ましい。ただし、過度に含有させると、熱間圧延後のフェライト変態が遅延し、フェライトの体積率が低下するため、含有量を3%以下とすることが好ましい。より好ましくは2.7%以下である。下限は不純物レベルでもよいが、強度向上を目的として含有させる場合には、0.5%以上含有させることが好ましい。
Alは、延性を向上させるため含有させてもよい。しかし、過度に含有させると、高温でのオーステナイトが不安定化し熱間圧延における仕上温度を過度に上昇させる必要が生じること、また、安定した連続鋳造を困難にすることから、含有量を3%以下とすることが好ましい。下限は不純物レベルでもよい。通常脱酸過程により0.01%程度混入する。
Pは、強度を増加させるため、含有させても良い。しかし、過度に含有させると、粒界偏析による脆化が生じるので、含有させる場合には、含有量を0.5%以下とすることが好ましい。より好ましくは0.2%以下、さらに好ましくは、0.1%以下である。下限は不純物レベルでもよい。通常、製鋼段階で0.01%程度混入してくる。
Tiは、炭化物又は窒化物として析出し強度を増加させるため、また、この析出物がオーステナイトやフェライトの粗大化を抑制して、熱延時の結晶粒の微細化を促進し、熱処理の際には粒成長を抑制するため、含有させても良い。ただし、過度に含有させると、Ti系炭窒化物を形成し、成形性あるいは形状凍結性を損ねる傾向にあるため、Ti+Nb+Mo+Vの総量で0.05%以下とする必要がある。好ましくは0.03%以下、より好ましくは0.01%以下である。なお、下限は不純物レベルでもよい。製鋼上、一般に0.001%程度は混入する。
Nbは、炭化物又は窒化物として析出し強度を増加させるため、また、この析出物がオーステナイトやフェライトの粗大化を抑制して、熱延時の結晶粒の微細化を促進し、熱処理の際には粒成長を抑制するため、含有させても良い。ただし、過度に含有させると、Nb系炭窒化物を形成し、成形性あるいは形状凍結性を損ねる傾向にあるため、Ti+Nb+Mo+Vの総量で0.05%以下とする必要がある。好ましくは0.03%以下、より好ましくは0.01%以下である。なお、下限は不純物レベルでもよい。製鋼上、一般に0.001%程度は混入する。
Vは炭化物として析出し強度を増加させるため、また、この析出物がフェライトの粗大化を抑制して、結晶粒の微細化を促進するため、含有させても良い。ただし、過度に含有させると、Ti、Nbと同様な理由で、延性や加工性を阻害するので、Ti+Nb+Mo+Vの総量で0.05%以下とする必要がある。好ましくは0.03%以下、より好ましくは0.01%以下である。なお、下限は不純物レベルでもよい。製鋼上、一般に0.001%程度は混入する。
Moは、MoCを析出し強度を増加させるため、また、この析出物がフェライトの粗大化を抑制して、結晶粒の微細化を促進するため、含有させても良い。また、Moは、Ti、Nbと複合含有させることで炭窒化物の粗大化を抑制する効果があり、成形性の製造安定性を向上する効果があるため、含有させても良い。ただし、過度に含有させると、Ti、Nb、Vと同様な理由で、延性や加工性を阻害するので、Ti+Nb+Mo+Vの総量で0.05%以下とする必要がある。好ましくは0.03%以下、より好ましくは0.01%以下である。なお、下限は不純物レベルでもよい。製鋼上、一般に0.001%程度は混入する。
Crは、焼き入れ性を増加させ、フェライト組織中にマルテンサイトやベイナイトを生成させる作用を有するため、これらの作用を目的として含有させても良い。ただし、多量に含有させるとフェライトの生成が抑制されるため、含有量を1%以下とすることが好ましい。なお、下限は不純物レベルでもよい。製鋼上、一般に0.02%程度は混入する。
Cuは、低温で析出して強度を増加させる作用を有するため、これらの作用を目的として含有させても良い。ただし、スラブの粒界割れなどを引き起こすおそれがあるため、含有量を3%以下とすることが好ましい。より好ましくは2%以下である。なお、含有させる場合は、含有量0.1%以上とすることが好ましい。なお、下限は不純物レベルでもよい。製鋼上、一般に0.02%程度は混入する。
Niは、高温でのオーステナイトの安定度を増加する目的で含有させても良い。また、Cuを含有させる場合はスラブの粒界脆化を防止するために含有させても良い。ただし、過度に含有させると、フェライトの生成が抑制されるため、含有量を1%以下とすることが好ましい。なお、下限は不純物レベルでもよい。製鋼上、一般に0.02%程度は混入する。
Ca、希土類元素(REM)やBは凝固中に析出する酸化物や窒化物を微細化して、鋳片の健全性を保つため、その1種又は2種以上を含有させても良い。ただし、高価であるため、総含有量で0.005%以下とすることが好ましい。下限は不純物レベルでもよい。ここで、希土類元素(REM)とは、ランタニドの15元素とYおよびScを合わせた17元素を意味する。
Sは硫化物系介在物を形成して加工性を低下させる不純物元素であるため、その含有量は0.05%以下に抑えるのが望ましい。そして、一段と優れた加工性を確保したい場合には、0.008%以下とすることが好ましい。より好ましくは0.003%以下である。
Nは加工性を低下させる不純物元素であり、その含有量は0.01%以下に抑えることが望ましい。より好ましくは、0.006%以下である。
本発明に係る熱延鋼板は、フェライトを主相とし、主相とフェライト以外の第2相とからなる組織を有する鋼板である。ここで「主相」とは組織を構成する相のうち該組織に占める割合が最大となる相であるという意味である。主相のフェライトは、体積率で少なくとも50%以上であることが好ましく、より好ましくは60%以上である。フェライトの体積率が50%未満では、鋼板の延性や加工性が損なわれる場合がある。
D≦2.7+5000/(5+350・C+40・Mn)2・・・(2)式
ここで、Dは鋼板表面から板厚の1/4の深さ位置におけるフェライトの平均結晶粒径(μm)を、そして、CおよびMnは鋼中の各元素の含有量(質量%)を示す。
ここで、H'は引張試験において降伏後の塑性歪み0.005から一様伸びの65%の歪みまでの範囲における平均塑性接線勾配を、TSは引張強度(MPa)を、そして、YRは降伏比を示す。
D/3≦d≦3D・・・・・・・・・・・・・・・・(4)式
ここで、dはフェライトの結晶粒径(μm)を、そして、Dは鋼板表面から板厚の1/4の深さ位置におけるフェライトの平均結晶粒径(μm)を示す。
d≦0.9dc・・・・・・・・・・・・・・・・(7)式
ここで、dsは鋼板表面から100μmの深さ位置における結晶粒径(μm)を、dは鋼板表面から板厚の1/4の深さ位置における結晶粒径(μm)を、そして、dcは板厚の中心部分における結晶粒径(μm)を示す。
(C)高温での粒成長速度について
フェライトの平均結晶粒径が上記の(1)式及び(2)式を満足する一定の範囲内にある鋼板の粒成長速度の温度特性は、700℃近傍の温度におけるフェライトの粒成長速度によって決定される。
ここで、Dは鋼板表面から板厚の1/4の深さ位置におけるフェライトの平均結晶粒径(μm)を、そして、Xは当該フェライトの平均結晶粒径D(μm)の700℃における増加速度(μm/min)を示す。
圧延は、1000℃を超える温度から、レバースミルもしくはタンデムミルを用いて、オーステナイト温度域で行う。工業的生産性の観点からは、少なくとも最終の数段はタンデムミルを用いるのが好ましい。
圧延を終了後、オーステナイトに導入された加工歪みを解放することなく、これを駆動力としてオーステナイトからフェライトへと変態させ、微細なフェライト結晶粒組織を生成させるために、圧延終了から0.4秒以内に720℃以下の温度まで冷却する。好ましくは圧延終了から0.2秒以内に720℃以下の温度まで冷却する。冷却は、水冷を用いるのが望ましく、そして、その冷却速度は、空冷期間を除外し強制冷却を行っている期間の平均冷却速度として、400℃/秒以上とするのが、好ましい。
本発明において、上記の冷却を行う設備は限定されない。工業的には、水量密度の高い水スプレー装置を用いることが好適である。例えば、圧延板搬送ローラーの間に水スプレーヘッダーを配置し、板の上下から十分な水量密度の高圧水を噴射することで冷却することができる。
得られた熱延鋼帯について、調質圧延を施すことによって、本発明を効果的に発現することができる。
上述の組織とその熱的安定性を具備した微細粒熱延鋼板は、溶融めっきラインを用いてZn、Zn−Al合金、Al−Si合金、Fe−Zn合金等の被覆を鋼板表面に施すことが可能である。
従来の低温圧延により作成した微細粒組織を有する鋼板では、熱的安定性に劣り、HAZ部が軟化するため、溶接部の特性が低下する。これに対して、本発明に係る鋼板の熱的安定性は、鋼板そのものや上述の表面被膜を施した鋼板を溶接により接合した場合においても、良好であり、レーザ、スポット、アーク等の溶接を用いた溶接後の溶接部の成形性を向上させる。
ここで、ρは転位密度(cm−2)を、Nは転位線との交切点のNを、Lは任意の線分の長さ(cm)を、そして、tは膜厚(cm)を示す
フェライト結晶粒の熱的安定性については、700℃の塩浴に10、30又は60分浸した後、急冷し、前記したのと同じ方法で粒径を測定し、焼鈍前粒径d0(μm)と焼鈍後粒径d1(μm)の差を、焼鈍時間(min)で割り算をすることによって、平均結晶粒径の増加速度X(μm/min)算出した。
○:スプリングバック良好、
△:スプリングバックは良好だが降伏比YRが低い(衝撃吸収性能に劣る)、
×:スプリングバック不良。
b ダイス
c パッド
d 材料
Claims (6)
- Ti、Nb、Mo、Vのうちの1種又は2種以上を合計で0.05%以下含有し、フェライトを主相とする炭素鋼または低合金鋼からなる鋼板であって、鋼板表面から板厚の1/4の深さ位置におけるフェライトの平均結晶粒径D(μm)が下記の(1)式及び(2)式を満足し、降伏比YRが0.8以上であって、JIS5号引張試験における降伏後の塑性歪み0.005から一様伸びの65%の歪みまでの範囲における平均塑性接線勾配H'が下記の(3)式を満足することを特徴とする熱延鋼板。
1.2≦D≦7・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1)式
D≦2.7+5000/(5+350・C+40・Mn)2・・・(2)式
0.1≦H'/TS≦−2×YR+3.1・・・・・・・・・・・(3)式
ここで、Dは鋼板表面から板厚の1/4の深さ位置におけるフェライトの平均結晶粒径(μm)を、CおよびMnは鋼中の各元素の含有量(質量%)を、H'は引張試験において降伏後の塑性歪み0.005から一様伸びの65%の歪みまでの範囲における平均塑性接線勾配を、TSは引張強度(MPa)を、そして、YRは降伏比を示す。 - 鋼板表面から板厚の1/4の深さ位置において、フェライトの結晶粒径d(μm)が下記の(4)式を満足するフェライト結晶粒のフェライトに占める面積割合が80%以上であることを特徴とする請求項1に記載の熱延鋼板。
D/3≦d≦3D・・・・・・・・・・・・・・・・(4)式
ここで、dはフェライトの結晶粒径(μm)を、そして、Dは鋼板表面から板厚の1/4の深さ位置におけるフェライトの平均結晶粒径(μm)を示す。 - 鋼板表面から板厚の1/4の深さ位置におけるフェライトの平均結晶粒径D(μm)の700℃における増加速度X(μm/min)と当該平均結晶粒径D(μm)が下記の(5)式を満足することを特徴とする請求項1又は2に記載の熱延鋼板。
D・X≦0.1・・・・・・・・・・・・・・・・(5)式
ここで、Dは鋼板表面から板厚の1/4の深さ位置におけるフェライトの平均結晶粒径(μm)を、そして、Xは当該フェライトの平均結晶粒径D(μm)の700℃における増加速度(μm/min)を示す。 - 請求項1から3までのいずれかに記載の熱延鋼板の表面に、Zn、Al、Zn−Al合金またはFe−Zn合金の被覆層を備えることを特徴とする溶融めっき熱延鋼板。
- 炭素鋼又は低合金鋼からなるスラブを多パス熱間圧延して熱延鋼板を製造する方法であって、最終の圧延パスをAr3点以上かつ780℃以上の温度で終了し、その後400℃/秒以上の冷却速度で0.4秒以内に720℃以下まで冷却した後、600〜720℃の温度域で2秒以上保持した後、0.1〜1.0%の調質圧延を施すことを特徴とする、請求項1から3までのいずれかに記載の熱延鋼板の製造方法。
- 請求項5に記載の方法により得られた熱延鋼板を酸洗後、連続溶融めっきラインにて溶融めっきを施すことを特徴とする、溶融めっき熱延鋼板の製造方法。
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