JP2007224408A - 歪時効硬化特性に優れた熱延鋼板およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】自動車用鋼板として好適な、優れたプレス成形性を有し、かつプレス成形後に、従来の焼き付け塗装温度と同程度の熱処理によって引張強さが極めて大きく上昇する、歪時効硬化特性に優れた熱延鋼板、および、歪時効硬化特性に加えて疲労特性も格段に向上する熱延鋼板、ならびに、このような熱延鋼板を安定して生産することができる製造方法を提供すること。
【解決手段】 質量%で、C:0.01〜0.2%、Si:2.0%以下、Mn:3.0%以下、P:0.1%以下、S:0.02%以下、Al:0.1%以下、N:0.02%以下を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなり、焼戻ししていないマルテンサイト相を主相とし、第2相としてフェライト相が面積率で1%以上30%以下の範囲で含まれ、かつ、該フェライト相の平均粒径が20μm以下である。
【選択図】なし

Description

本発明は、主として自動車用の熱延鋼板に関し、特に、曲げ加工性、伸びフランジ加工性等のプレス成形性が良好で、しかもプレス成形後の熱処理により引張強さが顕著に増加する、歪時効硬化特性に優れた熱延鋼板およびさらに疲労特性にも優れた熱延鋼板、ならびにそのような熱延鋼板の製造方法に関する。
本発明において、「歪時効硬化特性に優れた」とは、ΔTSが100MPa以上になる歪時効硬化特性を有することを意味する。また、ΔTSとは、塑性歪量2%以上の予変形処理後、150〜200℃の範囲の温度で保持時間30s以上の熱処理を施したときの、予変形および熱処理前後の引張強さ増加量{=(熱処理後の引張強さ)−(予変形処理前の引張強さ)}を意味する。
近年、地球環境の保全の見地からの排出ガス規制に関連して、自動車の車体重量の軽減が極めて重要な課題となっている。このため、自動車車体に使用する鋼板を高強度化して鋼板板厚を低減し、車体重量を軽減することが検討されている。
このような高強度鋼板が適用される自動車の車体構造部品は、主にプレス成形と穴拡げ成形が用いられるため、素材である鋼板にはプレス成形性に加え、高い穴拡げ性を有することが必要となる。
しかしながら、一般に、鋼板を高強度化すると伸びが低下するためプレス成形性が低下し、また降伏強さも増加するためプレス後の形状凍結性に劣るという問題がある。加えて、マルテンサイト組織を主体とした高強度鋼板では、プレス成形性を重視し伸びを高めると穴拡げ性が低下し、また穴拡げ性を高めると、伸びが低下する。このように、単に鋼板を高強度化したのでは自動車の車体構造部品のプレス成形性と穴拡げ性を両立させることは困難である。
一方、環境保全の問題に加え、最近では、衝突時に乗員を保護するため、自動車車体の安全性が重視され、そのために衝突時における安全性の目安となる耐衝撃特性の向上が要求されている。耐衝撃特性の向上には、完成車での強度が高いほど有利になる。したがって、自動車部品の成形時には強度が低く、プレス成形性および穴拡げ性に優れ、完成品となった時点では、強度が高くて耐衝撃特性に優れる熱延鋼板が最も強く望まれていた。
このような要望に対する従来技術として、高強度鋼板でありながら優れたプレス成形性を有する鋼板を得ることを目的に開発されたのが、プレス加工後に100〜200℃の恒温保持を含む塗装焼き付け処理を施すと降伏応力が上昇する塗装焼付硬化型鋼板である。この鋼板では、フェライトを主相とする組織とし、最終的に固溶状態で存在するC量(固溶C量)を適正範囲に制御し、プレス成形時には軟質で、プレス成形後に行われる塗装焼付処理時に、残存する固溶Cがプレス成形時に導入された転位に固着して転位の移動を妨げる結果、歪時効硬化により降伏応力を上昇させる。しかしながら、この技術で得られる歪時効硬化性を利用した塗装焼付硬化型鋼板では、降伏応力は上昇させることができるものの、引張強さは上昇させることができず、その耐衝撃性に対する効果は十分とはいえない。
特許文献1には、C:0.08〜0.2%、Mn:1.5〜3.5%を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、かつ組織が5%以下のフェライト相とベイナイトもしくは一部マルテンサイトを含む複合組織形態とすることにより、歪時効硬化性と耐時効性に優れた高張力熱延鋼板が開示されている。この特許文献1に記載された熱延鋼板の歪時効硬化性は、塗装焼付後に降伏応力が上昇し、それ以前に存在しなかった高い硬化量が得られるとともに耐時効性にも優れるものであるが、ベイナイト相は炭化物を含むため依然として引張強さまでは上昇させることができず、耐衝撃特性の向上の効果は不十分である。
また、特許文献2には、C:0.02〜0.13%、Si:2%以下、Mn:0.6〜2.5%を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、組織がフェライトとマルテンサイトを主体とする複合組織形態とすることにより、歪時効硬化性と耐時効性に優れた高張力熱延鋼板が開示されている。この特許文献2に記載された熱延鋼板の歪時効性も特許文献1と同じく、塗装焼付後に降伏応力が上昇し、高い焼付硬化量が得られ耐時効性に優れるものの、依然として引張強さまでは上昇させることができず、やはり耐衝撃特性の向上の効果は不十分である。また、硬度差の大きいマルテンサイトとフェライトよりなる複合組織であり、穴拡げ性にも劣る。
さらに、特許文献3には、熱延板、あるいは熱延板をめっき鋼板原板とし、成形後の熱処理により強度上昇が期待できる合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法が提案されている。この技術は、C:0.01〜0.08%を含み、Si、Mn、P、S、Al、Nを適正量とした上で、Cr、W、Moの1種または2種以上を合計で0.05〜3.0%含有する鋼を熱間圧延した後、あるいはさらに冷間圧延またはそれに加えて調質圧延し、焼鈍した後、溶融亜鉛めっきを行い、その後、加熱合金化処理を施すというものである。この特許文献3では、このようにして得られた鋼板を成形後、200〜450℃の温度域で加熱することにより、引張強さの上昇が得られるとされている。しかしながら、得られた鋼板は、ミクロ組織が、フェライト単相、フェライト+パーライト、またはフェライト+ベイナイト組織であるため、高い延性と低い降伏強さが得られず、プレス成形性が低下するという問題がある。
一方、自動車車体を構成する部品によっては繰り返し応力がかかるため、このような部品の場合には上記特性に加えて疲労特性にも優れていることが要求される。特に、高強度化により板厚を低減させた場合にはその要求が大きい。
疲労特性の向上を目的とした技術として特許文献4には、C:0.03〜0.20%を含み、Si、Mn、P、S、Alを適正量としたうえで、Cu:0.2〜2.0%とB:0.0002〜0.002%を含み、ミクロ組織が、フェライトを主相とし、マルテンサイトを第2相とする複合組織であり、フェライト相におけるCuの存在状態を2nm以下の固溶状態および/または析出状態とした、疲労特性に優れた加工用熱延鋼板が提案されている。しかしながら、特許文献4に記載された鋼板は、疲労特性は考慮されているものの、プレス性および穴拡げ性と耐衝撃性を兼備することについては記載されていない。また、Cuの添加が必要であるため、スクラップしてリサイクルすることが困難であるという問題もある。
特開昭62−74051号公報 特開平4−74824号公報 特開平10−310824号公報 特開平11−199975号公報
以上のように、自動車部品の成形時には強度が低く、プレス成形性や穴拡げ性に優れ、完成品となった時点では、強度が高くて耐衝撃特性に優れた熱延鋼板および、これに加えて疲労特性に優れた熱延鋼板に対して強い要求があるにもかかわらず、これら特性を満足する鋼板を工業的に安定して製造する技術は未だ存在しない。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、自動車用鋼板として好適な、優れたプレス成形性および穴拡げ性を有し、かつプレス成形後に、従来の焼き付け塗装温度と同程度の熱処理によって引張強さが極めて大きく上昇する、歪時効硬化特性に優れた熱延鋼板、および、歪時効硬化特性に加えて疲労特性も格段に向上する熱延鋼板、ならびに、このような熱延鋼板を安定して生産することができる製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を達成するために、歪時効硬化特性におよぼす鋼板組織と合金元素の影響について鋭意研究を重ねた。
この研究においては、歪時効硬化による引張強度を測定するため、歪時効処理を施した後の引張強さ(熱処理後の引張強さに相当)TS′と、歪時効処理を施さない場合の引張強さ(予変形処理前の引張強さに相当)TSとの差ΔTSを用い評価した。
時効熱処理温度と、熱延条件とC量を変化させた各熱延鋼板の引張強さ(TS)および歪時効後の引張強さ(TS′)との関係を図1に示す。このときの予歪量は全て3%として行った。図1において、熱延仕上温度FT=900℃でC量が0.25質量%の場合の組織形態はマルテンサイト単相組織である。一方、FT=900℃でC量が0.10質量%の場合およびFT=750℃でC量が0.15質量%の場合の組織形態はいずれもマルテンサイトとフェライトからなる複合組織であり、そのフェライト量も同程度であるが、FT=750℃でC量が0.15質量%の場合は、析出処理により固溶C量を低下させている。
図1から明らかなように、マルテンサイト単相組織では歪時効後の強度が低下していくのに対し、マルテンサイトとフェライトよりなる複合組織鋼板では200℃で歪時効熱処理で200MPa以上の引張強度上昇(ΔTS)が得られる。また、析出処理をせず固溶C量の高いFT=900℃でC量が0.10質量%の場合は、フェライト量がほぼ同一であってもさらに高い歪時効硬化が得られる。
以上のように、マルテンサイトを主相とし、第2相としてフェライトを含む組織により、高い歪時効硬化が得られることが見出された。
このような新たな知見に基づきさらに研究を重ねた結果、このように高い歪時効硬化を得るためには、マルテンサイトを主相とし、第2相としてフェライトを含む組織において、固溶C量を0.01質量%以上にする必要があること、同時にフェライト分率およびフェライト平均粒径を規定する必要があることを見出した。このようなフェライト分率、フェライト平均粒径、および固溶C量のΔTSへの影響について詳細に調査した結果を図2に示す。まず、フェライト平均粒径が20μm以下で固溶C量が0.01質量%以上の場合には、そのフェライト分率が1〜30%の範囲にあると100MPa以上のΔTSが得られる。さらに、フェライト平均粒径が5μm以下で固溶C量が0.01質量%以上の場合には、そのフェライト分率が3〜25%の範囲にあると150MPa以上の大きなΔTSが得られる。これに対し、固溶C量が0.01質量%以上であってもフェライト平均粒径が20μmを超えるとフェライト分率によらず、50〜70MPa程度のΔTSしか得られない。さらに、フェライト平均粒径が20μm以下(例えば、図2の例では5μm以下)で、固溶C量が0.01質量%以上の鋼板に350℃×20minの熱処理を行い、鉄炭化物を形成させ固溶C量を0.01質量%未満とすると、ΔTSは50MPa以下と大きく減少する。すなわち、高い歪時効硬化を得るためには、マルテンサイト相を主相とし、第2相としてのフェライトの面積率および平均粒径を適切に調整し、さらに0.01質量%以上の固溶C量を確保することが必要である。また、マルテンサイトが焼戻ししていないものであれば、平均粒径20μm以下のフェライトが面積率で1%以上30%以下の範囲で含まれることにより、固溶C量を0.01質量%以上とすることができる。
このように、本発明では固溶Cが重要な役割を果たすため、マルテンサイト鋼等で靱性向上のために行われる350℃を超えるような高い温度での焼戻し処理は、炭化物を形成し、固溶Cが減少するため、行わないことが必要である。本発明でいう焼戻しとは、上記のような積極的に行う高温もしくは長時間の熱処理を意味するものであり、製造上回避困難な冷却中の自己焼戻しや、低温短時間の焼戻しは、この歪硬化特性を何ら損なうものではなく、本発明の焼戻しには含まれない。
本発明の歪時効硬化の機構について、全てが明確になっているわけではないが、本発明者らは、従来の焼付硬化型(BH)鋼板と同様に、C原子と転位の相互作用によるものと考えており、そのメカニズムは以下のように考えられる。
すなわち、本発明による鋼板の組織形態は、マルテンサイトを主相とし、軟質なフェライトを取り囲んでいるため、予歪みを加えた変形時に、硬質なマルテンサイトは変形せず、軟質なフェライトに応力が集中する結果、多量の歪みが導入され、硬化する。さらに、その後の時効熱処理により、マルテンサイトが焼戻されることで、マルテンサイト中に過飽和に存在する炭素(C)が、フェライト中の転位・歪を通じて拡散・析出する。その結果、フェライト中の転位は、Cの析出物にピン止めされ、それによりTS(引張強さ)がさらに上昇する。ここで、予歪がない場合、フェライト中の転位・歪が少量であるためCは拡散することができず、強度上昇効果が生じないと考えられる。この強化に寄与するCの析出形態について、詳細は明らかではないが、200℃以下の温度域で時効硬化することから、準安定な鉄炭化物と推定される。
また、本発明者らは歪時効処理後の鋼板の組織と疲労特性について、研究を重ねた。この研究においては、歪時効硬化による鋼板組織変化を測定するため、歪時効処理後の硬度(Hv)測定を行った。また、疲労特性は、引張疲労試験により評価した。引張疲労試験は、歪時効処理を施した鋼板を用いて行い、疲労耐久限(FL)と歪時効処理前の引張強度(TS)との比である疲労限度比(FL/TS)で評価した。図3に、疲労特性に及ぼす歪時効処理後のフェライトの硬度Hv(α)とマルテンサイトの硬度Hv(M)との硬度比Hv(α)/Hv(M)の影響を示す。この図に示すように、高フェライト分率の鋼では、歪時効処理後のフェライトとマルテンサイトの硬度比Hv(α)/Hv(M)が0.6未満であり、この時に得られる疲労限度比(FL/TS)も0.7程度と低い。一方、低フェライト分率の鋼では、この複合組織鋼を200℃で歪時効熱処理することにより、フェライトとマルテンサイトの硬度比Hv(α)/Hv(M)が0.6を超える高い値を示すとともに、この時に得られる疲労限度比(FL/TS)も0.8以上と格段に向上するという知見が得られた。
本発明は、以上のような知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものであり、以下の(1)〜(8)を提供するものである。
(1)質量%で、C:0.01〜0.2%、Si:2.0%以下、Mn:3.0%以下、P:0.1%以下、S:0.02%以下、Al:0.1%以下、N:0.02%以下を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなり、焼戻ししていないマルテンサイト相を主相とし、第2相としてフェライト相が面積率で1%以上30%以下の範囲で含まれ、かつ、該フェライト相の平均粒径が20μm以下であることを特徴とする歪時効硬化特性に優れた熱延鋼板。
(2)質量%で、C:0.01〜0.2%、Si:2.0%以下、Mn:3.0%以下、P:0.1%以下、S:0.02%以下、Al:0.1%以下、N:0.02%以下を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなり、マルテンサイト相を主相とし、第2相としてフェライト相が面積率で1%以上30%以下の範囲で含まれ、かつ、該フェライトの平均粒径が20μm以下であり、固溶C量が0.01質量%以上であることを特徴とする歪時効硬化特性に優れた熱延鋼板。
(3)上記(1)または(2)において、質量%で、Nb、Ti、V、Moのうち1種または2種以上を合計で0.2%以下さらに含有することを特徴とする歪時効硬化特性に優れた熱延鋼板。
(4)質量%で、C:0.01〜0.2%、Si:2.0%以下、Mn:3.0%以下、P:0.1%以下、S:0.02%以下、Al:0.1%以下、N:0.02%以下を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなり、焼戻ししていないマルテンサイト相を主相とし、第2相としてフェライト相が面積率で1%以上30%以下の範囲で含まれ、かつ、該フェライト相の平均粒径が15μm以下であり、歪時効処理後のマルテンサイト相の硬度Hv(M)とフェライト相の硬度Hv(α)がHv(α)/Hv(M)≧0.6となることを特徴とする疲労特性と歪時効硬化特性に優れた熱延鋼板。
(5)質量%で、C:0.01〜0.2%、Si:2.0%以下、Mn:3.0%以下、P:0.1%以下、S:0.02%以下、Al:0.1%以下、N:0.02%以下を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなり、マルテンサイト相を主相とし、第2相としてフェライト相が面積率で1%以上30%以下の範囲で含まれ、かつ、該フェライト相の平均粒径が15μm以下であり、固溶C量が0.01質量%以上であり、歪時効処理後のマルテンサイト相の硬度Hv(M)とフェライト相の硬度Hv(α)がHv(α)/Hv(M)≧0.6であることを特徴とする疲労特性と歪時効硬化特性に優れた熱延鋼板。
(6)上記(4)または(5)において、質量%で、Nb、Ti、V、Moのうち1種または2種以上を合計で0.2%以下さらに含有することを特徴とする疲労特性と歪時効硬化特性に優れた熱延鋼板。
(7)質量%で、C:0.01〜0.2%、Si:2.0%以下、Mn:3.0%以下、P:0.1%以下、S:0.02%以下、Al:0.1%以下、N:0.02%以下を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼スラブに対し、仕上圧延終了温度がAr変態点以上である熱間圧延を施し、仕上圧延終了後、マルテンサイト変態温度(Ms点)以下まで20℃/sec以上の平均冷却速度で冷却し、300℃以下の温度で巻き取り、その後350℃以上の焼戻熱処理を経ないことを特徴とする歪時効硬化特性に優れた熱延鋼板の製造方法。
(8)上記(7)において、前記鋼スラブは、質量%で、Nb、Ti、V、Moのうち1種または2種以上を合計で0.2%以下さらに含有することを特徴とする歪時効硬化特性に優れた熱延鋼板の製造方法。
なお、歪時効硬化性を示す鋼板では時効性が問題となる。これは鋼板を室温において、長期間保管することで、強度の上昇等が生じる現象であり、部品成形時に大きな問題となる。本発明に係る鋼板について、この時効性を調査する目的で、予変形なし(0%)での熱処理(200℃、20min)後の引張試験を行ったところ、強度(TS、YP)の上昇は認められず、高い耐時効性をも有することが確認された。
本発明によれば、マルテンサイト相を主相とし、第2相として所定のフェライトを含む組織形態とすることにより優れたプレス成形性を有するため、プレス成形による製造性を維持し、かつプレス成形後に、従来の焼き付け塗装温度と同程度の熱処理によって引張強さが極めて大きく上昇する歪時効硬化特性に優れた熱延鋼板を得ることができる。また、このような熱延鋼板を安定して製造することが可能となる。また、上記特性に加え、歪時効処理後のマルテンサイト相の硬度とフェライト相の硬度との硬度比の関係を満たすことにより、疲労限度比が格段に向上するため、疲労特性および歪時効硬化特性に優れた熱延鋼板が得られる。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明は、引張強さTSが450MPa以上、特に600MPa以上の高張力熱延鋼板を対象としており、プレス成形後の比較的低い温度での熱処理により引張強さが顕著に上昇し、その強度変化ΔTSが100MPa以上になる歪時効硬化特性に優れた鋼板、およびこれに加えて疲労特性に優れた鋼板であり、特定の組織と特定の組成を有する。
まず、鋼板の組織について説明する。
本発明における鋼板の組織は、主相である焼戻ししていないマルテンサイト相と、面積率で1%以上30%以下の平均粒径が20μm以下のフェライト相を第2相として含む複合組織形態を有する。
フェライトの平均粒径を20μm以下としたのは、予変形時にフェライト中にCの析出サイトとなる転位を多量に導入することができるからである。特に平均粒径が5μm以下とすることで、顕著な歪時効硬化が得られる。また、フェライト相の面積率を1%以上、30%以下としたのは、フェライト相の面積率が1%未満では、マルテンサイトの焼戻し軟化が大きく、30%を超える場合では、歪時効硬化に有効な固溶C量が0.01質量%以上であっても、高い強度上昇効果(ΔTS)を得ることができないからである。
本発明の鋼板は、主相としてのマルテンサイト、第2相としてのフェライトの他、第3相として、残留オーステナイト、ベイナイト、パーライトを第2相未満の分率(面積率)で含有してもよい。なお、より高い強度上昇効果を得る観点から、第3相は第2相の1/2以下の分率とするのが好ましい。
歪時効硬化特性に加えて疲労特性をも向上するためには、第2相であるフェライト相の平均粒径を15μm以下とする。なお、フェライト平均粒径の微細化のためには、後述する熱延終了後の平均冷却速度を大きくし、また熱延終了後の冷却開始時間を短くすることが有効であるが、これらは設備仕様により制約され、過度に大きい冷却速度、短時間での冷却開始は設備負担が大きいため、現実的にはフェライト相の平均粒径は0.5μm以上とすることが好ましい。
疲労特性を向上させるためには、歪時効処理後のマルテンサイト相の硬度とフェライト相の硬度の差が小さいことが有効である。マルテンサイトを主相としフェライトを第2相とする組織形態の鋼板に歪を加えるとマルテンサイトに比較して、軟質なフェライトが大きな加工硬化を起し、さらに200℃以下の熱処理を加えることでフェライトはさらに硬質化する。この硬質化はフェライト粒径が小さくなるほど顕著となり、特に平均粒径を15μm以下とすることで疲労特性が著しく向上する。
次に、本発明の熱延鋼板の成分組成の限定理由について説明する。以下において%は質量%を意味する。
C:0.01〜0.2%
Cは、鋼板の強度を増加させ、さらにマルテンサイトとフェライトの複合組織の形成を促進する元素である。しかし、0.01%未満では所望のマルテンサイトとフェライトの複合組織が形成され難く、また、本発明の目的とする高い歪時効硬化性を得るためには、0.01%以上の固溶C量が必要である。一方、C量が0.2%を超えるとマルテンサイトおよび第3相の分率が増加し、フェライトの分率は著しく低下するため延性が低下する。フェライト分率が低い場合、固溶Cが作用(固着)するフェライト中の転位が不十分となり、本発明が目的とする歪時効硬化性が低下する。したがって、C含有量を0.01〜0.2%とする。なお、スポット溶接性を良好にする観点からは0.15%以下が好ましい。
Si:2.0%以下
Siは、鋼板の延性を顕著に低下させることなく鋼板を高強度化させることができる有用な強化元素であり、フェライトの生成を促進する効果を有する。フェライトの生成を促進するためには0.005%以上を添加することが好ましいが、その含有量が2.0%を超えると、フェライトが過剰に生成し、プレス成形性の劣化、強度上昇効果の低下を招くとともに、表面性状が悪化する。このため、Si含有量を2.0%以下とする。
Mn:3.0%以下
Mnは、鋼を強化する作用があり、さらにマルテンサイトとフェライトの複合組織の形成を促進する作用を有している。また、Sによる熱間割れを防止するのに有効な元素であり、含有するS量に応じて含有させるのが好ましい。このような効果は、0.5%以上で顕著となるため、Mn含有量は0.5%以上とすることが好ましい。一方、3.0%を超えるとプレス成形性および溶接性が劣化し、またフェライトの生成が抑制される。このため、Mn含有量を3.0%以下とする。フェライト生成の観点からは、2.0%以下が好ましい。
P:0.1%以下
Pは鋼を強化する作用があり、所望の強度に応じて必要量含有させることができる。この強化を活用する場合、0.005%以上とするのが好ましいが、過剰に含有するとプレス成形性が劣化する。このため、P含有量を0.1%以下とする。
S:0.02%以下
Sは、鋼板中では介在物として存在し、鋼板の延性、成形性、特に伸びフランジ成形性の劣化をもたらす元素であり、できるだけ低減するのが好ましいが、0.02%以下に低減するとさほど悪影響を及ぼさなくなるため、本発明ではSの含有量を0.02%以下とする。より優れた伸びフランジ成形性を要求される場合には、0.01%以下とすることが好ましい。なお、脱硫のための製鋼コストの観点からは、Sは0.001%以上とすることが好ましい。
Al:0.1%以下
Alは、鋼の脱酸元素として添加され、鋼の清浄度を向上させるのに有用な元素であるが、0.1%を超えて含有しても、より一層の脱酸効果は得られず、逆にプレス成形性が劣化する。このため、Al含有量を0.1%以下とする。なお、脱酸元素としてその効果を得るためには、Alは0.01%以上添加することが好ましい。
N:0.02%以下
Nは、固溶強化や歪時効硬化でCと同様に鋼板の強度を増加させる元素であるが、0.02%を超えて含有すると、鋼板中に窒化物が増加し、それにより鋼板の延性、さらにはプレス成形性が顕著に劣化する。このため、N含有量を0.02%以下にする。なお、よりプレス成形性の向上が要求される場合には0.01%以下とするのが好適である。なお、Nは雰囲気中から混入しやすい元素であり、製造性の観点から、Nは0.002%以上が好ましい。
Nb,Ti,V,Moのうち1種または2種以上:合計で0.2%以下
Nb,Ti,Vは、いずれも炭化物形成元素であり、炭化物の微細分散により高強度化に有効に作用するため、必要に応じて選択して含有させることができる。また、Moは強化元素の一つであり、かつ焼き入れ性を高める作用を有するため、必要に応じて含有させることができる。これら元素を強化に用いる場合、十分な効果を得るためには、合計で0.005%以上含有させることが好ましい。しかし、これらを合計で0.2%超えて含有すると、プレス成形性の劣化、化成処理性の劣化などの問題が生じる。さらに、これらの元素は炭化物形成元素であるため、本発明の強度上昇効果を得るのに必要となる固溶C量を減少させ、ΔTSの向上が妨げられる。このため、これらを含有させる場合には、Nb,Ti,V,Moのうち1種または2種以上を合計で0.2%以下とする。
上記した元素以外に、Ca:0.1%以下、REM:0.1%以下のうちの1種または2種を含有してもよい。これらはいずれも介在物の形態制御を通して伸びフランジ性の向上に寄与する元素である。しかし、これらがそれぞれ0.1%を超えると鋼の清浄度を低下させ、延性をかえって低下させる。また、マルテンサイト形成の観点から、B:0.1%以下、Zr:0.1%以下のうちの1種または2種を含有してもよい。
なお、以上の元素および残部のFeの他、製造過程で各種不純物元素および製造過程で必須な微量添加元素等が不可避的に混入するが、このような不可避的な不純物は本発明の効果に特に影響を及ぼすものではなく、許容される。不可避的不純物としては、Sb:0.01%以下、Sn:0.1%以下、Zn:0.01%以下、Co:0.1%以下が例示される。
このような組織および組成の熱延鋼板は、優れたプレス成形性を有し、歪時効硬化特性に優れている。
本発明でいう、「歪時効硬化特性に優れた」とは、上述したように、塑性歪量2%以上、例えば3%の予変形処理後、150〜200℃の範囲の温度で保持時間30s以上の熱処理を施したとき、この熱処理前後の引張強さ増加量ΔTS{=(熱処理後の引張強さ)−(予変形処理前の引張強さ)}が100MPa以上となることを意味する。なお、望ましくはΔTSは150MPa以上である。この熱処理により降伏応力も上昇し、熱処理前後の降伏応力増加量ΔYS{=(熱処理後の降伏応力)−(予変形処理前の降伏応力)}も100MPa以上となる。
従来の塗装焼付硬化量試験方法では、170℃、20minが熱処理条件として採用されており、本発明においても熱処理温度は150℃以上、200℃以下であれば十分であり、現状の部品製造工程にて十分な効果が得られる。
なお、各成分の限定理由において、Alを脱酸元素として記載したが、本発明では、Al以外の脱酸方法による溶製方法を排除するものではなく、例えばTi脱酸やSi脱酸を行ってもよく、その際にCaやREMを溶鋼に添加してもよい。
歪時効硬化特性に加えて疲労特性をも向上させるためには、以上の要件の他、歪時効処理後のマルテンサイト相の硬度Hv(M)とフェライト相の硬度Hv(α)がHv(α)/Hv(M)≧0.6を満足することが必要である。すなわち、マルテンサイト相の硬度Hv(M)とフェライト相の硬度Hv(α)がHv(α)/Hv(M)<0.6では、マルテンサイトとフェライトの硬度差が大きいため、繰り返し疲労試験時に、マルテンサイトとフェライトの界面より疲労亀裂が発生するとともに発生した亀裂が伝播するため、疲労特性が劣る。一方、マルテンサイト相の硬度Hv(M)とフェライト相の硬度Hv(α)がHv(α)/Hv(M)≧0.6では、疲労試験時の亀裂の発生が抑制されるとともに、発生した亀裂の伝播も抑制されるため、疲労特性が向上する。
次に、本発明の熱延鋼板の製造方法について説明する。
本発明の熱延鋼板は、上述した範囲内の成分組成を有する鋼スラブを素材とし、その素材を所定条件で熱間圧延し、巻取ることにより、上記組織を有する熱延鋼板を得る。
使用する鋼スラブは、成分のマクロ偏析を防止するために連続鋳造法で製造するのが好ましいが、造塊法、薄スラブ鋳造法で製造してもよい。また、鋼スラブを製造した後、一旦室温まで冷却し、その後再加熱する従来法に加え、一旦冷却しないで、温片のままで加熱炉に装入する、あるいはわずかの保熱を行った後に直ちに圧延する直送圧延・直接圧延などの省エネルギープロセスも問題なく適用できる。
鋼スラブの加熱温度を特に限定する必要はないが、900℃未満では、圧延荷重が増大し、熱間圧延時のトラブル発生の危険が増大する。なお、酸化重量の増加にともなうスケールロスの増大などから、スラブ加熱温度は1300℃以下とすることが望ましい。
その後、熱間圧延、冷却、巻取り等の工程を経るが、これらの工程は、以下のように規定される。
熱間圧延の仕上温度:Ar変態点以上
仕上圧延終了温度FTをAr変態点以上とすることにより、均一な熱延母板組織を得ることができ、本発明の要件であるマルテンサイトとフェライトとの複合組織を容易に得ることができる。仕上圧延終了温度がAr変態点未満では、熱間圧延時の圧延負荷が高くなり、熱間圧延時のトラブルが発生する危険性が増大する。さらに、圧延中にフェライトが生成し、その分率が本発明の範囲を超えて大きくなるため、本発明が目的とする大きな強度上昇効果が得られない。
冷却条件:仕上圧延終了後、マルテンサイト変態温度(Ms点)以下まで、20℃/sec以上の平均冷却速度で冷却
仕上圧延終了後にMs点以下まで冷却することにより、未変態のオーステナイトがマルテンサイトに変態する。Ms点温度以下まで冷却しない場合にはパーライトまたはベイナイトに変態し、本発明の要件であるマルテンサイトは得られない。したがって、仕上圧延後の冷却停止温度はMs点以下とする。また、マルテンサイト、フェライト等の分率およびフェライト粒径は、冷却速度に依存して変化し、20℃/sec未満の平均冷却速度では目的とする分率またはフェライト粒径とはならないので、平均冷却速度は20℃/sec以上とする。固溶C量の確保の観点より、より好ましい平均冷却速度は50℃/sec以上、さらに好ましくは100℃/sec以上である。本発明の鋼組成で、上記の冷却条件により製造することにより、目的とするフェライト分率と粒径の組織形態が得られる。
歪時効硬化特性に加えて疲労特性をも向上させるためには、仕上圧延終了後、マルテンサイト変態温度(Ms点)以下まで40℃/sec以上の平均冷却速度で冷却する。疲労特性を向上させるためには歪時効処理後のマルテンサイトとフェライトの硬度差を小さくすることが有効であり、フェライトの粒径を微細化、分率を低下させることで硬度差を小さくすることが可能となる。冷却速度に依存してフェライトの粒径、分率は変化し、40℃/sec未満の平均冷却速度では歪時効後の硬度差が大きく、疲労特性に劣る。よって、疲労特性に優れる本発明範囲内のフェライトの粒径、分率とするため平均冷却速度は40℃/sec以上とする。安定して優れた疲労特性を得るためには平均冷却速度は50℃/sec以上、さらに高い疲労特性を得るためには100℃/sec以上が好ましい。
なお、仕上圧延終了後から冷却開始までの時間は特に規定していないが、冷却開始までの時間が短すぎると、フェライトの分率および平均粒径が本発明の範囲を超えてマルテンサイト単相の組織となるため、本発明で規定される組織形態とし、高い強度上昇効果を得るためには、熱延終了後0.3secを超えてから冷却を開始することが望ましい。また、歪時効処理前の母材強度(引張強さ)を低下させる目的では、仕上圧延後に即冷却を開始せず、1sec以上の時間をおいて冷却することでフェライト分率が高まり軟質化するため有効である。一方、あまり時間が空きすぎると、鋼板の温度低下によりフェライト単相の温度域となりマルテンサイトが得られなくなるので、その前に冷却を開始することが望ましい。また、疲労特性を高めるためには、フェライト粒径を微細化およびフェライト分率を低減するよう、仕上圧延後の3sec以内に冷却を開始するのが望ましい。
巻取温度:300℃以下
巻取温度CTは本発明の組織を得るために重要である。巻取温度が300℃よりも高いと、未変態のオーステナイトがパーライトまたはベイナイトに変態し、マルテンサイトが形成されないため、本発明の要件であるマルテンサイトを主相とする組織とならない。巻取温度のより好ましい範囲は、炭化物形成を抑制し固溶C量を確保する観点から200℃以下である。
350℃以上の焼戻熱処理を経ない
マルテンサイト鋼等で靱性向上のために行われる350℃以上の高い温度での焼戻処理は、炭化物を形成し、固溶Cが減少するため、行わないことが必要である。
なお、本発明の熱延鋼板は、加工用としてのみならず、表面処理用原板としても適用することができる。表面処理としては、電気めっき等、高温熱処理を伴わないものが可能である。また、本発明の熱延鋼板には、めっき後に特殊な処理を施して化成処理性、溶接性、プレス成形性および耐食性の改善を行ってもよい。
(第1の実施例)
まず、歪時効硬化特性について検討した第1の実施例について説明する。
表1に示す組成の溶鋼を溶製し、鋼スラブとした後、これら鋼スラブを加熱し、表2に示す条件で熱間圧延して、板厚3.0mmの熱延鋼帯(熱延板)にした。得られた熱延鋼帯(熱延板)について、微視組織、固溶C量、引張特性、歪時効硬化特性を求めた。
(1)微視組織
得られた鋼帯から試験片を採取し、圧延方向と平行な断面(L断面)について、光学顕微鏡あるいは走査型電子顕微鏡を用いて微視組織を撮像し、画像解析装置を用いて第2相であるフェライト組織分率を求めた。また、フェライト相の粒径は、画像解析により得られたフェライト相の面積および結晶粒の個数より平均面積を算出し、さらに円近似による直径を平均粒径とした。
(2)固溶C量
得られた熱延鋼板より、分析用試験片を採取した後、鋼中C量と析出C量を湿式分析法により求め、鋼中C量と析出C量の差を固溶C量とした。なお、微視組織用試料を用いた観察により、その炭化物のサイズ、密度から析出C量を求めてもよい。
(3)引張特性
得られた鋼帯から、JIS5号ハーフ引張試験片を採取し、JIS Z 2241の規定に準拠して引張試験を行い、降伏応力YS、引張強さTS、伸び(全伸びT.EL、局部伸びL.EL)を求めた。
(4)歪時効硬化特性
得られた鋼帯(熱延鋼板)から、JIS5号ハーフ引張試験片を圧延方向に採取し、予変形(引張予歪)として3%の塑性変形を与えて、次いで150〜200℃で20minの熱処理を施した後、引張試験を実施し、熱処理後の引張特性強さTS′を求め、ΔTS=TS′−TSを算出した。なお、YS、TSは鋼帯(熱延鋼板)の降伏応力、引張強さである。
これらの結果を表2に併記する。
表2に併記するように、本発明例である試料記号A、D、E、H、K、L、N、O、S、T、Uは、いずれも極めて大きなΔTSを示し、歪時効硬化特性に優れた鋼板となっていることが確認された。一方、本発明の成分範囲を外れる試料記号G、I、Pでは、マルテンサイト単相組織となっているため、ΔTSが小さい鋼板となっている。またSiが過剰である試料記号Cはフェライト分率が高く、やはりΔTSは低い値となる。さらに、Tiが過剰である試料記号Mは、固溶C量が0.01質量%未満であるため、やはりΔTSが小さい値となっている。
また、組成が本発明の範囲内であっても、熱延仕上温度が低くフェライトが生成する温度域となっている試料記号Fではフェライト分率が外れてフェライトが主相となり、巻取温度が外れた試料記号Jではフェライト分率は満たすものの固溶C量が範囲外となり、ΔTSは小さい値となっている。また、平均冷却速度が小さい場合、試料記号Bではフェライト分率が高く、また試料記号Q、Rではフェライト分率は満たすものの平均粒径が外れるため、やはりΔTSは小さい値となっている。このように、本発明の範囲外の比較例では、いずれもΔTSが小さい鋼板となっている。
また、本発明の鋼の成形性に関して、全伸び(T.EL)は、マルテンサイト組織型鋼板と同程度であり、さらに穴拡げ性の指標となる局部伸び(L.EL)は、本発明例では、いずれも10%以上である。この値は、強度レベルが同等の従来材と比較した場合、同等もしくはより高い値を有しており、穴拡げ性が従来材と同等もしくは優れることがわかる。
Figure 2007224408
Figure 2007224408
(第2の実施例)
次に第2の実施例について説明する。ここでは歪時効硬化特性に加え、疲労特性にも着目している。
表3に示す組成の溶鋼を溶製し、鋼スラブとした後、これら鋼スラブを加熱し、表4に示す条件で熱間圧延して、板厚3.0mmの熱延鋼帯(熱延板)にした。得られた熱延鋼帯(熱延板)について、微視組織、固溶C量、引張特性、歪時効硬化特性、疲労特性を求めた。(1)微視組織、(2)固溶C量、(3)引張特性、(4)歪時効硬化特性については第1の実施例と同様に求めた。疲労特性については以下のように求めた。
(5)疲労特性
得られた鋼帯(熱延焼鈍板)から、JIS5号引張試験片を圧延方向に採取し、予変形(引張予歪)として1.5%の塑性変形を与えて、ついで200℃×20minの熱処理を施した後、引張疲労試験を実施し、歪時効処理後の疲労限:FLを求め、疲労限度比:FL/TS(TSは鋼帯の歪時効処理なしでの引張強さ)を算出した。
これらの結果を表4に併記する。
表4に併記するように、本発明例である試料記号a、c、d、f、g、i、jは、いずれも極めて大きなΔTSを示し、歪時効硬化特性に優れた鋼板となっていることが確認された。
一方、Tiが本発明の成分範囲を外れる試料記号hでは、マルテンサイト単相組織となっているため、ΔTSが小さい鋼板となっている。またMnが本発明の成分範囲を外れる試料記号kでは、熱延後の平均冷却速度が小さくマルテンサイト相が得られ難いにも関わらずマルテンサイト単相組織となっているため、ΔTSが小さい鋼板となっている。
また、組成が本発明の範囲内であっても、熱延仕上後の平均冷却速度が小さい試料記号bでは、フェライト分率が外れてフェライト主相となり、巻取温度が外れた試料記号eでは、フェライト分率は満たすものの固溶C量が範囲外となり、ΔTSが小さい値となっている。このように、本発明の範囲外の比較例では、いずれもΔTSが小さい鋼板となっている。
さらに疲労特性についても表4に併記するように、本発明例である試料記号a、c、d、f、g、i、jは、いずれも0.8以上の高いFL/TSを示し、疲労特性に優れた鋼板となっていることが確認された。それに対し試料記号bでは、フェライト分率、平均粒径が本発明の範囲外であるためHv(α)/Hv(M)≦0.5となっており、疲労限度比FL/TSが0.8以下と本発明例と比較して、疲労特性が劣ることがわかる。
また試料記号eでは、フェライト分率、平均粒径が本発明の範囲内であるが、固溶C量は本発明の範囲外であり、Hv(α)/Hv(M)≦0.5であるため、疲労限度比FL/TSが0.8以下となり、本発明例と比較して、疲労特性が劣ることがわかる。
一方、Tiが本発明の成分範囲を外れる試料記号hおよびMnが本発明の成分範囲を外れる試料記号kでは、軟質なフェライトを含まないマルテンサイト単相組織となっているため、疲労特性にすぐれるものの、上述のように歪時効硬化特性(ΔTS)が小さい鋼板となっている。
以上のように、本発明例である試料記号a、c、d、f、g、i、jは、いずれも極めて大きなΔTSとFL/TSを示し、歪時効硬化特性と疲労特性に優れた鋼板となっていることが確認された。
Figure 2007224408
Figure 2007224408
(第3の実施例)
次に第3の実施例について説明する。ここでは製造条件である熱延終了後の冷却開始時間と低温焼戻しについて、また第3相(ベイナイト)が強度上昇効果(ΔTS)と疲労特性に及ぼす影響に着目している。
質量%で、C:0.1%、Si:0.01%、Mn:2.2%、P:0.012%、S:0.005%、Al:0.045%、N:0.003%を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成の溶鋼を溶製し、鋼スラブとした後、この鋼スラブを1250℃に加熱し、仕上圧延終了温度が800℃で熱間圧延して、板厚2.0mmの熱延鋼帯(熱延板)にした。ここで、この鋼のAr変態点は701℃、すなわち前記仕上圧延終了温度はAr変態点+約100℃である。また、冷却停止温度および巻取温度は180℃(Ms点は429℃)とし、熱延終了から冷却を開始するまでの時間および平均冷却速度は表5に示す条件として、試料記号3A〜3Fを得た。なお、試料記号3Eは、コイル巻取り後、表5の条件で低温焼戻し処理を施した。また試料記号3Fは意図的にベイナイトノーズ域(約500℃)で短時間除冷してベイナイトを表5に示すように少量発生させた。
第1および第2の実施例と同様に求めた微視組織、固溶C量の結果を表5に併記し、また、引張特性、歪時効硬化特性、疲労特性の結果を表6に示す。
表5および表6に示すように試料記号3A〜3Fいずれの例も本発明例に該当し、良好な歪時効硬化特性、プレス成形性を有する。
試料記号3A〜3Cに示すように、冷却開始までの時間が長いほど、フェライト相は高分率となり、軟質化(低TS)に有効であることが確認される。また、同様に3A〜3Cから、本発明の目的であるΔTSは、冷却開始時間が短くフェライト相が低分率となる場合、その平均粒径も微細となり、著しく増大することがわかる。試料記号3Cに注目すると、冷却開始までの時間が5secと比較的長いが、平均冷却速度が十分大きい(150℃/sec)ため高いΔTSが得られている。また、試料記号3Fは、比較的平均冷却速度が小さいが、冷却開始までの時間が3sec以下であるため、十分に高いΔTSが得られている。
さらに冷却開始までの時間が近い試料記号3Aと3Dとを比較すると、平均冷却速度の大きい3Dのほうがフェライト相が微細化し、かつ低分率となっており、ΔTSが高い。このようなΔTSの増加傾向はフェライト相の平均粒径が10μm以下で特に顕著に現れる。
また、試料記号3Eは、200℃,20分の低温短時間で焼戻しを行ったもののであるが、歪時効硬化特性や疲労特性は劣化しておらず、低温短時間の焼戻しは歪時効硬化特性や疲労特性を劣化させないことが確認された。さらに、試料記号3Fより、マルテンサイト相、フェライト相以外の第3相(ベイナイト相)を含む組織形態であっても本発明の歪時効硬化特性や疲労特性を劣化させないことがわかる。
Figure 2007224408
Figure 2007224408
本発明によれば、優れたプレス成形性を有し、歪時効硬化特性に優れ、またはこれに加え疲労特性も格段に向上するため、自動車用部品の素材として適しており、自動車車体の軽量化に十分に寄与することができる。
時効熱処理温度と、熱延条件とC量を変化させた各熱延鋼板の引張強さ(TS)および歪時効後の引張強さ(TS′)との関係を示す図。 フェライト分率、フェライト平均粒径、および固溶C量のΔTSへの影響について詳細に調査した結果を示す図。 疲労特性に及ぼす歪時効処理後のフェライトの硬度Hv(α)とマルテンサイトの硬度Hv(M)との硬度比Hv(α)/Hv(M)の関係を示す図。

Claims (8)

  1. 質量%で、C:0.01〜0.2%、Si:2.0%以下、Mn:3.0%以下、P:0.1%以下、S:0.02%以下、Al:0.1%以下、N:0.02%以下を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなり、焼戻ししていないマルテンサイト相を主相とし、第2相としてフェライト相が面積率で1%以上30%以下の範囲で含まれ、かつ、該フェライト相の平均粒径が20μm以下であることを特徴とする歪時効硬化特性に優れた熱延鋼板。
  2. 質量%で、C:0.01〜0.2%、Si:2.0%以下、Mn:3.0%以下、P:0.1%以下、S:0.02%以下、Al:0.1%以下、N:0.02%以下を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなり、マルテンサイト相を主相とし、第2相としてフェライト相が面積率で1%以上30%以下の範囲で含まれ、かつ、該フェライト相の平均粒径が20μm以下であり、固溶C量が0.01質量%以上であることを特徴とする歪時効硬化特性に優れた熱延鋼板。
  3. 質量%で、Nb、Ti、V、Moのうち1種または2種以上を合計で0.2%以下さらに含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の歪時効硬化特性に優れた熱延鋼板。
  4. 質量%で、C:0.01〜0.2%、Si:2.0%以下、Mn:3.0%以下、P:0.1%以下、S:0.02%以下、Al:0.1%以下、N:0.02%以下を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなり、焼戻ししていないマルテンサイト相を主相とし、第2相としてフェライト相が面積率で1%以上30%以下の範囲で含まれ、かつ、該フェライト相の平均粒径が15μm以下であり、歪時効処理後のマルテンサイト相の硬度Hv(M)とフェライト相の硬度Hv(α)が
    Hv(α)/Hv(M)≧0.6
    となることを特徴とする疲労特性と歪時効硬化特性に優れた熱延鋼板。
  5. 質量%で、C:0.01〜0.2%、Si:2.0%以下、Mn:3.0%以下、P:0.1%以下、S:0.02%以下、Al:0.1%以下、N:0.02%以下を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなり、マルテンサイト相を主相とし、第2相としてフェライト相が面積率で1%以上30%以下の範囲で含まれ、かつ、該フェライト相の平均粒径が15μm以下であり、固溶C量が0.01質量%以上であり、歪時効処理後のマルテンサイト相の硬度Hv(M)とフェライト相の硬度Hv(α)が
    Hv(α)/Hv(M)≧0.6
    であることを特徴とする疲労特性と歪時効硬化特性に優れた熱延鋼板。
  6. 質量%で、Nb、Ti、V、Moのうち1種または2種以上を合計で0.2%以下さらに含有することを特徴とする請求項4または請求項5に記載の疲労特性と歪時効硬化特性に優れた熱延鋼板。
  7. 質量%で、C:0.01〜0.2%、Si:2.0%以下、Mn:3.0%以下、P:0.1%以下、S:0.02%以下、Al:0.1%以下、N:0.02%以下を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼スラブに対し、仕上圧延終了温度がAr変態点以上である熱間圧延を施し、仕上圧延終了後、マルテンサイト変態温度(Ms点)以下まで20℃/sec以上の平均冷却速度で冷却し、300℃以下の温度で巻き取り、その後350℃以上の焼戻熱処理を経ないことを特徴とする歪時効硬化特性に優れた熱延鋼板の製造方法。
  8. 前記鋼スラブは、質量%で、Nb、Ti、V、Moのうち1種または2種以上を合計で0.2%以下さらに含有することを特徴とする請求項7に記載の歪時効硬化特性に優れた熱延鋼板の製造方法。
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