WO2022172540A1 - 高強度鋼板およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

980MPa以上のTSを有し、かつ、優れた延性、穴広げ性、曲げ性と耐水素曲げ脆化特性とを有する、高強度鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。 所定の成分組成を有し、面積率で、フェライトが1%以上40%以下、フレッシュマルテンサイトが1.0%未満であり、ベイナイトと焼戻しマルテンサイトの和が40%以上90%以下であり、残留オーステナイトが6%以上である鋼組織を有し、残留オーステナイト中の平均Mn量(質量%)をフェライト中の平均Mn量(質量%)で除した値が1.1以上であり、かつ、アスペクト比2.0以上の残留オーステナイト中の平均C量(質量%)をフェライト中の平均C量(質量%)で除した値が3.0以上であり、鋼中拡散性水素量が0.3質量ppm以下である、高強度鋼板。

Description

高強度鋼板およびその製造方法
 本発明は、自動車、電気等の産業分野で使用される部材として好適な、成形性に優れた高強度鋼板および製造方法に関して、特に、980MPa以上のTS(引張強さ)を有し、鋼中に内在する水素量の少ない耐水素曲げ脆化特性に優れた高強度鋼板を得ようとするものである。
 近年、地球環境の保全の見地から、自動車の燃費向上が重要な課題となっている。このため、車体材料の高強度化により薄肉化を図り、車体そのものを軽量化しようとする動きが活発となってきている。その一方、鋼板の高強度化が成形性の低下を招く。さらに水素を含む還元性雰囲気下での焼鈍に伴い、鋼板中に水素が侵入し、この鋼板に内在する水素が曲げ性などの成形性を低下させる。そのため、高強度と高成形性、さらには耐水素脆化特性を併せ持つ材料の開発が望まれている。
 高強度かつ高延性に優れた鋼板として、残留オーステナイトの加工誘起変態を利用した高強度鋼板が提案されている。このような鋼板は、残留オーステナイトを有した組織を呈し、鋼板の成形時には残留オーステナイトによって成形が容易である一方、成形後には残留オーステナイトがマルテンサイト化するため高強度を備えたものになる。
 例えば、特許文献1では、引張強さが1000MPa以上で、全伸び(EL)が30%以上の残留オーステナイトの加工誘起変態を利用した非常に高い延性を有する高強度鋼板が提案されている。このような鋼板は、C、Si、Mnを基本成分とする鋼板をオーステナイト化した後に、ベイナイト変態温度域に焼入れて等温保持する、いわゆるオーステンパー処理を行うことにより製造される。このオーステンパー処理によるオーステナイトへのCの濃化により残留オーステナイトが生成されるが、多量の残留オーステナイトを得るためには0.3%を超える多量のC添加が必要となる。しかし、鋼中のC濃度が高くなるとスポット溶接性が低下し、とくに0.3%を超えるようなC濃度ではその低下が顕著であり、自動車用鋼板としては実用化が困難となっている。また、上記特許文献では、高強度薄鋼板の延性を向上させることを主目的としているため、穴広げ性については考慮されていない。
 また特許文献2では、3.0質量%以上7.0質量%以下のMnを含有する鋼を用いて、フェライトとオーステナイトの二相域での熱処理を施すことを開示している。この結果、未変態オーステナイト中へとMnを濃化させることで、安定な残留オーステナイトを形成させ全伸びを向上させている。しかしながら、熱処理時間が短く、Mnの拡散速度は遅いため、伸びの他、穴広げ性や曲げ性を両立させるためには、Mnの濃化が不十分であると推察される。
 さらに特許文献3では、0.50質量%以上12.00質量%以下のMnを含有する鋼を用いて、熱延板にフェライトとオーステナイトの二相域で長時間熱処理を施すことを開示している。この結果、未変態オーステナイト中へのMn濃化を促進させたアスペクト比の大きな残留オーステナイトを形成させ均一伸びを向上させている。しかしながら、穴広げ性の向上や曲げ性、及び、伸びの両立については検討されていない。
 また、特許文献4には、焼鈍後の鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、又は合金化溶融亜鉛めっき鋼板を、50℃以上300℃以下の温度域内で1800秒以上43200以下保持することによって、鋼中水素量を低減させる方法が開示されている。しかし、鋼中水素量の低減による曲げ性の向上については検討されていない。
特開昭61-157625号公報 特開2003-138345号公報 特許第6123966号公報 国際公開第2019/188642号
 本発明は、上記の様な現状に鑑みなされたものであり、その目的は、980MPa以上のTS(引張強さ)を有し、かつ、優れた成形性と鋼中に内在する水素量の少ない耐水素曲げ脆化特性を有する高強度鋼板およびその製造方法を提供することにある。ここで云う成形性とは、延性と穴広げ性、および曲げ性を示す。
 本発明者らは、上記した課題を解決するべく、優れた成形性を有する高強度鋼板を製造するため、鋼板の成分組成および製造方法の観点から鋭意研究を重ねたところ、以下のことを見出した。
 すなわち、2.00質量%以上8.00質量%以下のMnを含有し、Tiなどのその他の合金元素の成分組成を適正に調整して、熱間圧延後、必要に応じて、Ac変態点以下の温度域で1800s超保持し、必要に応じて、酸洗処理を施し、冷間圧延する。その後、Ac変態点-50℃以上の温度域で20s以上1800s以下保持後、マルテンサイト変態開始温度以下の冷却停止温度まで冷却し、120℃以上450℃以下の範囲内の再加熱温度まで再加熱する。その後、前記再加熱温度で2s以上1800s以下保持後、室温まで冷却することで、続く焼鈍工程において、アスペクト比が大きく、かつMnとCが著しく濃化した微細な残留オーステナイトの核となるCが濃化したフィルム状オーステナイトが生成せしめることが重要であることを見出した。
 また、前記冷却後、Ac変態点-20℃以上の温度域で20s以上600s以下保持後、マルテンサイト変態開始温度以下の冷却停止温度まで冷却し、120℃以上480℃以下の範囲内の再加熱温度まで再加熱する。その後、前記再加熱温度で2s以上600s以下保持後、必要に応じてめっき処理を施し、室温以上マルテンサイト変態開始温度以下まで冷却する。その後、さらに50℃以上400℃以下の温度域内で2s以上保持することで、水素を効率よく脱離させ耐水素曲げ脆化特性が向上することを見出した。前記のように製造された鋼板は、面積率で、フェライトが1%以上40%以下、フレッシュマルテンサイトが1.0%未満であり、ベイナイトと焼戻しマルテンサイトの和が40%以上90%以下であり、残留オーステナイトが6%以上の鋼組織を有する。さらに当該鋼組織が、残留オーステナイト中の平均Mn量(質量%)をフェライト中の平均Mn量(質量%)で除した値が1.1以上であり、かつ、アスペクト比2.0以上の残留オーステナイト中の平均C量(質量%)をフェライト中の平均C量(質量%)で除した値が3.0以上であり、鋼中拡散性水素量が0.3質量ppm以下であることを特徴とする優れた成形性と耐水素曲げ脆化特性を有する高強度鋼板の製造が可能となることがわかった。
本発明は、以上の知見に基づいてなされたものであり、その要旨は以下のとおりである。
 本発明は、以上の知見に基づいてなされたものであり、その要旨は以下のとおりである。
[1] 質量%で、C:0.030%以上0.250%以下、Si:0.01%以上3.00%以下、Mn:2.00%以上8.00%以下、P:0.100%以下、S:0.0200%以下、N:0.0100%以下、Al:0.001%以上2.000%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成と、面積率で、フェライトが1%以上40%以下、フレッシュマルテンサイトが1.0%未満であり、ベイナイトと焼戻しマルテンサイトの和が40%以上90%以下であり、残留オーステナイトが6%以上である鋼組織と、を有し、残留オーステナイト中の平均Mn量(質量%)をフェライト中の平均Mn量(質量%)で除した値が1.1以上であり、かつ、アスペクト比2.0以上の残留オーステナイト中の平均C量(質量%)をフェライト中の平均C量(質量%)で除した値が3.0以上であり、鋼中拡散性水素量が0.3質量ppm以下である、高強度鋼板。
[2] 前記成分組成が、質量%で、Ti:0.200%以下、Nb:0.200%以下、V:0.500%以下、W:0.500%以下、B:0.0050%以下、Ni:1.000%以下、Cr:1.000%以下、Mo:1.000%以下、Cu:1.000%以下、Sn:0.200%以下、Sb:0.200%以下、Ta:0.100%以下、Zr:0.200%以下、Ca:0.0050%以下、Mg:0.0050%以下、REM:0.0050%以下のうちから選ばれる少なくとも1種の元素をさらに含有する、[1]に記載の高強度鋼板。
[3] 塊状残留オーステナイトの面積率を全残留オーステナイトと塊状フレッシュマルテンサイトの面積率で除した値が0.5以下である、[1]又は[2]に記載の高強度鋼板。
[4] 表面に、さらに亜鉛めっき層を有する、[1]~[3]のいずれかに記載の高強度鋼板。
[5] 前記亜鉛めっき層が、合金化亜鉛めっき層である、[4]に記載の高強度鋼板。
[6] [1]~[3]のいずれかに記載の高強度鋼板の製造方法であって、[1]、または[2]に記載の成分組成を有する鋼スラブを、加熱し、仕上げ圧延出側温度を750℃以上1000℃以下で熱間圧延し、300℃以上750℃以下で巻き取り、冷間圧延を施し、その後、Ac変態点-50℃以上の温度域で20s以上1800s以下保持後、マルテンサイト変態開始温度以下の冷却停止温度まで冷却し、120℃以上450℃以下の範囲内の再加熱温度まで再加熱後、前記再加熱温度で2s以上1800s以下保持後、室温まで冷却し、その後、Ac1変態点-20℃以上の温度域で20s以上600s以下保持後、マルテンサイト変態開始温度以下の冷却停止温度まで冷却し、120℃以上480℃以下の範囲内の再加熱温度まで再加熱後、前記再加熱温度で2s以上600s以下保持後、室温以上マルテンサイト変態開始温度以下まで冷却し、さらに50℃以上400℃以下の温度域内で2s以上保持する、高強度鋼板の製造方法。
[7] 前記120℃以上480℃以下の範囲内の再加熱温度まで再加熱後、前記再加熱温度で2s以上600s以下保持した後、且つ、前記室温以上マルテンサイト変態開始温度以下まで冷却する前に、さらにめっき処理を施す、[6]に記載の高強度鋼板の製造方法。
[8] 前記めっき処理において、亜鉛めっき処理を施す、[7]に記載の高強度鋼板の製造方法。
[9] 前記亜鉛めっき処理に続いて、450℃以上600℃以下で合金化処理を施す、[8]に記載の高強度鋼板の製造方法。
[10] 前記巻き取り後、冷間圧延前に、Ac変態点以下の温度域で1800s超保持する、[6]~[9]のいずれかに記載の高強度鋼板の製造方法。
 本発明によれば、980MPa以上のTS(引張強さ)を有し、めっき処理後の成形性、特に延性のみならず穴広げ性と曲げ性に優れた高強度鋼板が得られる。本発明の製造方法によって得られた高強度鋼板を、例えば、自動車構造部材に適用することにより車体軽量化による燃費改善を図ることができ、産業上の利用価値は極めて大きい。
 以下、本発明を具体的に説明する。なお、成分元素の含有量を表す「%」は、特に断らない限り「質量%」を意味する。
 (1)本発明において鋼の成分組成を上記の範囲に限定した理由について説明する。
 C:0.030%以上0.250%以下
 Cは、マルテンサイトなどの低温変態相を生成させて、強度を上昇させるために必要な元素である。また、残留オーステナイトの安定性を向上させ、鋼の延性を向上させるのに有効な元素である。C量が0.030%未満ではフェライトが過剰に生成し、所望の強度が得られない。
また、十分な残留オーステナイトの面積率を確保することが難しく、良好な延性が得られない。一方、Cを、0.250%を超えて過剰に含有すると、硬質なマルテンサイトの面積率が過大となり、穴広げ試験時に、マルテンサイトの結晶粒界でのマイクロボイドが増加し、さらに、亀裂の伝播が進行してしまい、穴広げ性が低下する。また、溶接部および熱影響部の硬化が著しく、溶接部の機械的特性が低下するため、スポット溶接性、アーク溶接性などが劣化する。こうした観点からC量を、0.030%以上0.250%以下とする。好ましい下限値は、0.080%以上である。また、好ましい上限値は0.200%以下である。
 Si:0.01%以上3.00%以下
 Siは、フェライトの加工硬化能を向上させるため、良好な延性の確保に有効である。Si量が0.01%に満たないとその含有効果が乏しくなるため、下限を0.01%とした。しかしながら、3.00%を超えるSiの過剰な含有は、鋼の脆化を引き起こし、延性を確保することが困難になるばかりか赤スケールなどの発生による表面性状の劣化を引き起こす。さらに、めっき品質の低下を招く。そのため、Siは0.01%以上3.00%以下とする。好ましい下限値は、0.20%以上である。また、好ましい上限値は2.00%以下であり、より好ましくは、1.20%未満である。
 Mn:2.00%以上8.00%以下
 Mnは、本発明において極めて重要な元素である。Mnは、残留オーステナイトを安定化させる元素で、良好な延性の確保に有効であり、さらに、固溶強化により鋼の強度を上昇させる元素である。このような作用は、鋼のMn量が2.00%以上で認められる。ただし、Mn量が8.00%を超える過剰な含有は、Mn偏析に起因した不均一なバンド状組織を形成し、曲げ性を劣化させる。こうした観点からMn量を、2.00%以上8.00%以下とする。好ましい下限値は、2.30%%以上、より好ましくは2.50%以上である。また、好ましい上限値は、6.00%以下であり、より好ましくは、4.20%以下である。
 P:0.100%以下
 Pは、固溶強化の作用を有し、所望の強度に応じて含有できる元素である。P量が0.100%を超えると、溶接性の劣化を招くとともに、亜鉛めっきを合金化処理する場合には、合金化速度を低下させ、亜鉛めっきの品質を損なう。下限値は0%であっても良いが、生産費用の面から0.001%以上が好ましい。したがって、P量は0.100%以下とする。より好ましい下限値は0.005%以上である。また、好ましい上限値は0.050%以下とする。
 S:0.0200%以下
 Sは、粒界に偏析して熱間加工時に鋼を脆化させるとともに、硫化物として存在して局部変形能を低下させる。そのため、その量は0.0200%以下、好ましくは0.0100%以下、より好ましくは0.0050%以下とする必要がある。下限値は0%であっても良いが、生産費用の面から0.0001%以上が好ましい。したがって、S量は0.0200%以下とする。好ましい上限値は0.0100%以下、より好ましくは0.0050%以下とする。
 N:0.0100%以下
 Nは、鋼の耐時効性を劣化させる元素である。特に、N量が0.0100%を超えると、耐時効性の劣化が顕著となる。その量は少ないほど好ましく、下限値は0%であっても良いが、生産費用の面から、N量は0.0005%以上が好ましい。したがって、N量は0.0100%以下とする。より好ましい下限値は0.0010%以上とする。好ましい上限値は、0.0070%以下とする。
 Al:0.001%以上2.000%以下
 Alは、フェライトとオーステナイトの二相域を拡大させ、機械的特性の焼鈍温度依存性の低減、つまり、材質安定性に有効な元素である。Alの含有量が0.001%に満たないとその含有効果に乏しくなるので、下限を0.001%とした。また、Alは、脱酸剤として作用し、鋼の清浄度に有効な元素であり、脱酸工程で添加することが好ましい。しかし、2.000%を超える多量の含有は、連続鋳造時の鋼片割れ発生の危険性が高まり、製造性を低下させる。こうした観点からAl量を、0.001%以上2.000%以下とする。好ましい下限値は、0.200%以上である。また、好ましい上限値は、1.200%以下である。
 また、上記の成分に加えて、質量%でTi:0.200%以下、Nb:0.200%以下、V:0.500%以下、W:0.500%以下、B:0.0050%以下、Ni:1.000%以下、Cr:1.000%以下、Mo:1.000%以下、Cu:1.000%以下、Sn:0.200%以下、Sb:0.200%以下、Ta:0.1000%以下、Zr:0.200%以下、Ca:0.0050%以下、Mg:0.0050%以下、REM:0.0050%以下のうちから選ばれる少なくとも1種の元素を含有させることができる。
 Ti:0.200%以下
 Tiは、鋼の析出強化に有効であり、フェライトの強度を向上させることで硬質第2相(マルテンサイトもしくは残留オーステナイト)との硬度差を低減でき、より良好な穴広げ性を確保可能であるので、必要に応じて含有してもよい。しかし、0.200%を超えると、硬質なマルテンサイトの面積率が過大となり、穴広げ試験時に、マルテンサイトの結晶粒界でのマイクロボイドが増加し、さらに、亀裂の伝播が進行してしまい、穴広げ性が低下する場合がある。従って、Tiを含有する場合には、その含有量を0.200%以下とする。好ましい下限値は0.005%以上、より好ましくは0.010%以上とする。好ましい上限値は0.100%以下とする。
 Nb:0.200%以下、V:0.500%以下、W:0.500%以下
 Nb、V、Wは、鋼の析出強化に有効で、Ti含有の効果と同様に、フェライトの強度を向上させることで、硬質第2相(マルテンサイトもしくは残留オーステナイト)との硬度差を低減でき、より良好な穴広げ性を確保可能であるので、必要に応じて含有してもよい。しかし、Nbは0.200%、V、Wは0.500%を超えると、硬質なマルテンサイトの面積率が過大となり、穴広げ試験時に、マルテンサイトの結晶粒界でのマイクロボイドが増加し、さらに、亀裂の伝播が進行してしまい、穴広げ性が低下する場合がある。従って、Nbを含有する場合には、その含有量は0.200%以下とし、好ましい下限値は0.005%以上、より好ましくは0.010%以上とする。好ましい上限値は、0.100%以下とする。V、Wを含有する場合は、その含有量はそれぞれ0.500%以下とし、好ましい下限値それぞれは0.005%以上、より好ましくはそれぞれ0.010%以上とする。好ましい上限値は、それぞれ0.300%以下とする。
 B:0.0050%以下
 Bは、オーステナイト粒界からのフェライトの生成および成長を抑制する作用を有し、フェライトの強度を向上させることで、硬質第2相(マルテンサイトもしくは残留オーステナイト)との硬度差を低減でき、より良好な穴広げ性を確保可能であるので、必要に応じて含有してもよい。しかし、0.0050%を超えると成形性が低下する場合がある。従って、Bを含有する場合には、その含有量は、0.0050%以下とする。好ましい下限値は0.0003%以上、より好ましくは0.0005%以上とする。また、好ましい上限値は、0.0030%以下とする。
 Ni:1.000%以下
 Niは、残留オーステナイトを安定化させる元素で、より良好な延性の確保に有効であり、さらに、固溶強化により鋼の強度を、より上昇させる元素であるので、必要に応じて含有してもよい。一方、1.000%を超えて含有すると、硬質なマルテンサイトの面積率が過大となり、穴広げ試験時に、マルテンサイトの結晶粒界でのマイクロボイドが増加し、さらに、亀裂の伝播が進行してしまい、穴広げ性が低下する。従って、Niを含有する場合には、その含有量は、1.000%以下とし、好ましくは0.005%以上1.000%以下とする。
 Cr:1.000%以下、Mo:1.000%以下
 Cr、Moは、強度と延性のバランスを向上させる作用を有するので必要に応じて含有することができる。しかしながら、それぞれCr:1.000%、Mo:1.000%を超えて過剰に含有すると、硬質なマルテンサイトの面積率が過大となり、穴広げ試験時に、マルテンサイトの結晶粒界でのマイクロボイドが増加し、さらに、亀裂の伝播が進行してしまい、穴広げ性が低下する場合がある。従って、これらの元素を含有する場合には、その量をそれぞれCr:1.000%以下、Mo:1.000%以下とし、好ましくはCr:0.005%以上1.000%以下、Mo:0.005%以上1.000%以下とする。
 Cu:1.000%以下
 Cuは、鋼の強化に有効な元素であり、本発明で規定した範囲内であれば必要に応じて鋼の強化に使用してもよい。一方、1.000%を超えて含有すると、硬質なマルテンサイトの面積率が過大となり、穴広げ試験時に、マルテンサイトの結晶粒界でのマイクロボイドが増加し、さらに、亀裂の伝播が進行してしまい、穴広げ性が低下する。従って、Cuを含有する場合には、その量を1.000%以下とし、好ましくは0.005%以上1.000%以下とする。
 Sn:0.200%以下、Sb:0.200%以下
 SnおよびSbは、鋼板表面の窒化や酸化によって生じる鋼板表層の数十μm程度の領域の脱炭を抑制する観点から、必要に応じて含有する。このような窒化や酸化を抑制し、鋼板表面においてマルテンサイトの面積率が減少するのを防止し、強度や材質安定性の確保に有効であるので、必要に応じて含有してもよい。一方で、これらいずれの元素についても、0.200%を超えて過剰に含有すると靭性の低下を招く。従って、SnおよびSbを含有する場合には、その含有量は、それぞれ0.200%以下とし、好ましくは0.002%以上0.200%以下とする。
 Ta:0.100%以下
 Taは、TiやNbと同様に、合金炭化物や合金炭窒化物を生成して高強度化に寄与する。加えて、Nb炭化物やNb炭窒化物に一部固溶し、(Nb、Ta)(C、N)のような複合析出物を生成することで析出物の粗大化を著しく抑制し、析出強化による強度への寄与を安定化させる効果があると考えられる。このため、必要に応じてTaを含有してもよい。一方で、Taを過剰に添加しても析出物安定化効果が飽和する上、合金コストも増加する。従って、Taを含有する場合には、その含有量は、0.100%以下とし、好ましくは0.001%以上0.100%以下とする。
 Zr:0.200%以下
 Zrは、硫化物の形状を球状化し、曲げ性への硫化物の悪影響を改善するために有効な元素であるので、必要に応じて含有してもよい。しかしながら、0.200%を超える過剰な含有は、介在物等の増加を引き起こし表面および内部欠陥などを引き起こす。従って、Zrを含有する場合は、その含有量は0.200%以下とし、好ましくは0.0005%以上0.0050%以下とする。
 Ca:0.0050%以下、Mg:0.0050%以下、REM:0.0050%以下
 Ca、Mg、およびREMは、硫化物の形状を球状化し、穴広げ性への硫化物の悪影響を改善するために有効な元素であるので、必要に応じて含有してもよい。しかしながら、それぞれ0.0050%を超える過剰な含有は、介在物等の増加を引き起こし表面および内部欠陥などを引き起こす。従って、Ca、Mg、およびREMを含有する場合は、その含有量はそれぞれ0.0050%以下とし、好ましくは0.0005%以上0.0050%以下とする。
 上記成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物である。
 (2)次に、鋼組織について説明する。
 フェライトの面積率:1%以上40%以下
 十分な延性を確保するため、フェライトの面積率を1%以上にする必要がある。また、980MPa以上のTS確保のため、軟質なフェライトの面積率を40%以下にする必要がある。なお、ここで云うフェライトとは、ポリゴナルフェライトやグラニュラーフェライトやアシキュラーフェライトを指し、比較的軟質で延性に富むフェライトのことである。好ましくは、3%以上30%以下である。
 フレッシュマルテンサイトの面積率:1.0%未満
 フレッシュマルテンサイトは、軟質なフェライト相との硬度差が大きく、そのため打ち抜き時にその硬度差に起因して穴広げ性を劣化させる。したがって、良好な穴広げ性の確保のため、フレッシュマルテンサイトの面積率を1.0%未満にする必要がある。
 ベイナイトと焼戻しマルテンサイトの面積率の和が40%~90%
 ベイナイトと焼戻しマルテンサイトは、穴広げ性を高めるのに有効な組織である。ベイナイトと焼戻しマルテンサイトの面積率の和が40%未満では、良好な穴広げ性が得られない。このため、ベイナイトと焼戻しマルテンサイトの面積率の和は40%以上である必要がある。一方、ベイナイトと焼戻しマルテンサイトの面積率の和が90%を超えると、延性を担う所望の残留オーステナイトが得られないため、良好な延性が得られない。したがって、ベイナイトと焼戻しマルテンサイトの面積率の和は90%以下である必要がある。好ましくは50%以上85%以下である。
 なお、フェライト、フレッシュマルテンサイト、焼戻しマルテンサイトおよびベイナイトの面積率は、鋼板の圧延方向に平行な板厚断面(L断面)を研磨後、3vol.%ナイタールで腐食し、板厚1/4位置(鋼板表面から深さ方向で板厚の1/4に相当する位置)について、SEM(走査型電子顕微鏡)を用いて2000倍の倍率で10視野観察し、得られた組織画像を用いて、Media Cybernetics社のImage-Proを用いて各組織(フェライト、フレッシュマルテンサイト、焼戻しマルテンサイト、ベイナイト)の面積率を10視野分算出し、それらの値を平均して求めることが出来る。また、上記の組織画像において、フェライトは灰色の組織(下地組織)、マルテンサイトは白色の組織、焼戻しマルテンサイトは白色のマルテンサイトの内部に灰色の内部構造、ベイナイトは直線的な粒界を多く有する暗灰色を有する組織を呈している。
 残留オーステナイトの面積率:6%以上
 十分な延性を確保するため、残留オーステナイトの面積率を6%以上にする必要がある。好ましくは8%以上である。より好ましくは10%以上である。
 なお、残留オーステナイトの面積率は、鋼板を板厚1/4位置から0.1mmの面まで研磨後、化学研磨によりさらに0.1mm研磨して得られた板厚1/4位置の研磨面について、X線回折装置でCoKα線を用いて、fcc鉄の{200}、{220}、{311}面および、bcc鉄の{200}、{211}、{220}面の回折ピークの各々の積分強度比を測定し、得られた9つの積分強度比を平均化して求めた。
 残留オーステナイト中の平均Mn量(質量%)をフェライト中の平均Mn量(質量%)で除した値:1.1以上
 残留オーステナイト中の平均Mn量(質量%)をフェライト中の平均Mn量(質量%)で除した値が1.1以上であることは、本発明において極めて重要な構成案件である。良好な延性を確保するためには、Mnが濃化した安定な残留オーステナイトの面積率が高い必要がある。好ましくは1.2以上である。
 アスペクト比が2.0以上の残留オーステナイト中の平均C量(質量%)をフェライト中の平均C量(質量%)で除した値が3.0以上
 アスペクト比(長軸/短軸)が2.0以上の残留オーステナイト中の平均C量(質量%)をフェライト中の平均C量(質量%)で除した値が3.0以上であることは本発明において重要な構成案件である。良好な曲げ性を確保するためには、Cが濃化した安定な残留オーステナイトの面積率が高い必要がある。好ましくは5.0以上である。なお、残留オーステナイトのアスペクト比の上限値は特に規定しないが、好適には20.0以下であってもよい。
 残留オーステナイトおよびフェライト中のCおよびMn量は、FE-EPMA(Field Emission-Electron Probe Micro Analyzer:電界放出型電子プローブマイクロアナライザ)を用いて、板厚1/4位置における圧延方向断面の各相へのMnの分布状態を定量化し、30個の残留オーステナイト粒および30個のフェライト粒の量分析結果の平均値により求めることができる。
 残留オーステナイトとマルテンサイトから残留オーステナイトを識別するために、SEM(Scanning Electron Microscope)とEBSD(Electron Backscattered Diffraction)で同一視野を観察した。次いで、EBSDのPhase Map識別により、SEM像における残留オーステナイトを特定した。なお、残留オーステナイトのアスペクト比は、Photoshop elements 13を用いて、残留オーステナイト粒に外接する楕円を描画し、その長軸長さを短軸長さで除することで算出した。
 鋼中拡散性水素量が0.3質量ppm以下
 良好な耐水素曲げ脆化特性を確保するためには、鋼中拡散性水素量は0.3質量ppm以下とすることが重要である。好ましくは0.20質量ppm以下である。なお、鋼中拡散性水素量の下限は特に規定しないが、生産技術上の制約から、鋼中拡散性水素量は0.01質量ppm以上となりうる。
ここで、鋼中拡散性水素量の測定方法は、以下のとおりである。製品コイルから、長さが30mm、幅が5mmの試験片を採取する。溶融亜鉛めっき鋼板又は合金化溶融亜鉛めっき鋼板の場合、試験片の溶融亜鉛めっき層又は合金化溶融亜鉛めっき層を研削又はアルカリにより除去する。その後、試験片から放出される水素量を昇温脱離分析法(Thermal Desorption Spectrometry:TDS)によって測定する。具体的には、試験片を室温から300℃まで昇温速度200℃/hで連続加熱した後、室温まで冷却し、室温から210℃までに試験片から放出された積算水素量を測定して、鋼中拡散性水素量とする。
 塊状残留オーステナイトの面積率を全残留オーステナイトと塊状フレッシュマルテンサイトの面積率で除した値が0.5以下
 塊状残留オーステナイトは、周囲の結晶粒からの拘束により安定性が高く、そのため打ち抜き時にマルテンサイト変態が高ひずみ域で生じ、周囲の粒との硬度差が増大して、穴広げ性が劣化する場合がある。したがって、塊状残留オーステナイトの面積率を全残留オーステナイトと塊状フレッシュマルテンサイトの面積率で除した値が0.5以下であることが好ましい。より好ましくは0.4以下である。なお、塊状残留オーステナイトは、アスペクト比2.0未満のオーステナイトのことである。塊状残留オーステナイトの平均結晶粒径について制限はないが、例えば3μm以下の平均結晶粒径が考えられる。この平均結晶粒径については従来公知の方法で、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)にて撮像された塊状残留オーステナイトの組織画像に対し、画像解析を行うことによって求めることができる。
 この他、残留オーステナイト中の平均Mn量(質量%)をフェライト中の平均Mn量(質量%)で除した値に残留オーステナイトの平均アスペクト比を乗じた値が3.0以上であることが好ましい。良好な延性を確保するためには、アスペクト比が大きく、かつMnが濃化した安定な残留オーステナイトの面積率が高い必要がある。好ましくは4.0以上である。また、好適な上限値は20.0以下である。
 本発明の鋼組織には、フェライト、フレッシュマルテンサイト、ベイナイト、焼戻しマルテンサイトおよび残留オーステナイト以外に、パーライト、セメンタイト等の炭化物が、面積率で10%以下の範囲で含まれても、本発明の効果が損なわれることはない。
 上記高強度鋼板は、さらに亜鉛めっき層を有していても良い。亜鉛めっき層は、合金化処理が施された合金化亜鉛めっき層であっても良い。
 (3)次に製造条件について説明する。
 鋼スラブの加熱温度
 特に限定はしないが、スラブの加熱温度は1100℃以上1300℃以下にすることが好ましい。鋼スラブの加熱段階で存在している析出物は、最終的にえられる鋼板内では粗大な析出物として存在し、強度に寄与しないため、鋳造時に析出したTi、Nb系析出物を再溶解させることが好ましい。そのため、鋼スラブの加熱温度は1100℃以上にすることが好ましい。また、スラブ表層の気泡、偏析などの欠陥をスケールオフし、鋼板表面の亀裂、凹凸を減少し、平滑な鋼板表面を達成する観点からも鋼スラブの加熱温度は1100℃以上にすることが好ましい。一方、鋼スラブの加熱温度が1300℃超では、酸化量の増加に伴いスケールロスが増大する場合があるため、鋼スラブの加熱温度は1300℃以下にすることが好ましい。より好ましくは、1150℃以上1250℃以下とする。
 鋼スラブは、マクロ偏析を防止するため、連続鋳造法で製造するのが好ましいが、造塊法や薄スラブ鋳造法などにより製造することも可能である。また、鋼スラブを製造した後、一旦室温まで冷却し、その後再度加熱する従来法に加え、室温まで冷却しないで、温片のままで加熱炉に装入する、あるいはわずかの保熱を行った後に直ちに圧延する直送圧延などの省エネルギープロセスも問題なく適用できる。また、スラブは通常の条件で粗圧延によりシートバーとされるが、加熱温度を低目にした場合は、熱間圧延時のトラブルを防止する観点から、仕上げ圧延前にバーヒーターなどを用いてシートバーを加熱することが好ましい。
 熱間圧延の仕上げ圧延出側温度:750℃以上1000℃以下
 加熱後の鋼スラブは、粗圧延および仕上げ圧延により熱間圧延され熱延鋼板となる。このとき、仕上げ温度が1000℃を超えると、酸化物(スケール)の生成量が急激に増大し、地鉄と酸化物の界面が荒れ、酸洗、冷間圧延後の表面品質が劣化する傾向にある。また、酸洗後に熱延スケールの取れ残りなどが一部に存在すると、延性や穴広げ性に悪影響を及ぼす。さらに、結晶粒径が過度に粗大となり、加工時にプレス品表面荒れを生じる場合がある。一方、仕上げ温度が750℃未満では圧延荷重が増大し、圧延負荷が大きくなることや、オーステナイトが未再結晶状態での圧下率が高くなり、異常な集合組織が発達し、最終製品における面内異方性が顕著となり、材質の均一性(材質安定性)が損なわれるだけでなく、延性そのものも低下する。従って、熱間圧延の仕上げ圧延出側温度を750℃以上1000℃以下にする必要がある。好ましくは800℃以上950℃以下とする。
 熱間圧延後の巻き取り温度:300℃以上750℃以下
 熱間圧延後の巻き取り温度が750℃を超えると、熱延板組織のフェライトの結晶粒径が大きくなり、最終焼鈍板の所望の強度確保が困難となる。一方、熱間圧延後の巻き取り温度が300℃未満では、熱延板強度が上昇し、冷間圧延における圧延負荷が増大したり、板形状の不良が発生したりするため、生産性が低下する。従って、熱間圧延後の巻き取り温度を300℃以上750℃以下にする必要がある。好ましくは400℃以上650℃以下とする。
 なお、熱延時に粗圧延板同士を接合して連続的に仕上げ圧延を行っても良い。また、粗圧延板を一旦巻き取っても構わない。また、熱間圧延時の圧延荷重を低減するために仕上げ圧延の一部または全部を潤滑圧延としてもよい。潤滑圧延を行うことは、鋼板形状の均一化、材質の均一化の観点からも有効である。なお、潤滑圧延時の摩擦係数は、0.10以上0.25以下とすることが好ましい。
 このようにして製造した熱延鋼板に、必要に応じて酸洗を行う。酸洗は鋼板表面の酸化物の除去が可能であることから、最終製品の高強度鋼板の良好な化成処理性やめっき品質の確保のために行うことが好ましい。また酸洗を行う場合には、一回の酸洗を行っても良いし、複数回に分けて酸洗を行っても良い。
 冷間圧延
 巻き取った後、必要に応じて酸洗を施した後、冷間圧延を行う。冷延圧下率は特に制限はないが、5%~60%が好ましい。
 Ac変態点以下の温度域で1800s超保持
 Ac変態点以下の温度域で、1800s超保持することは、続く冷間圧延を施すための鋼板を軟質化させることができるので、必要に応じて実施する。Ac変態点以上の温度域で保持する場合、オーステナイト中にMnが濃化し、冷却後、硬質なマルテンサイトと残留オーステナイトが生成し、鋼板の軟質化がなされない場合がある。また、1800s以下で保持する場合、熱間圧延後のひずみが除去できず、鋼板の軟質化がなされない場合がある。
 なお、熱処理方法は連続焼鈍やバッチ焼鈍のいずれの焼鈍方法でも構わない。また、前記の熱処理後、室温まで冷却するが、その冷却方法および冷却速度は特に規定せず、バッチ焼鈍における炉冷、空冷および連続焼鈍におけるガスジェット冷却、ミスト冷却、水冷などのいずれの冷却でも構わない。また、酸洗処理を施す場合は常法でよい。
 Ac変態点-50℃以上の温度域で20s以上1800s以下保持(実施例の冷延板1回目焼鈍処理に対応)
 Ac変態点-50℃未満の温度域で保持する場合、オーステナイト中にMnが濃化し、冷却中にマルテンサイト変態が生じず、アスペクト比の大きな残留オーステナイトの核を得ることが出来ない。その結果、その後の焼鈍工程(実施例の冷延板2回目焼鈍処理に対応)において、残留オーステナイトが粒界から形成されてしまい、アスペクト比の小さな残留オーステナイトが増加し、所望の組織が得られない。20s未満で保持する場合、十分な再結晶が行われず、所望の組織が得られないため、穴広げ性が低下する。また、その後のめっき品質確保のためのMn表面濃化が十分に行われない。一方、1800sを超えて保持する場合、Mn表面濃化が過剰となりめっき品質が劣化するだけでなく、焼鈍中のオーステナイト粒が粗大化することで、その後の冷却過程において、アスペクト比の小さな残留オーステナイトの核が残ってしまい、所望の組織が得られず、延性、穴広げ性と曲げ性が低下する。
 マルテンサイト変態開始温度以下の冷却停止温度まで冷却
 マルテンサイト変態開始温度超の冷却停止温度の場合、変態するマルテンサイト量が少ないと、未変態オーステナイトが最終冷却で全てマルテンサイト変態してしまい、アスペクト比の大きな残留オーステナイトの核を得ることが出来ない。その結果、その後の焼鈍工程(実施例の冷延板2回目焼鈍処理に対応)において、残留オーステナイトが粒界から形成されてしまい、アスペクト比の小さな残留オーステナイトが増加し、所望の組織が得られない。好ましくは、マルテンサイト変態開始温度-250℃以上マルテンサイト変態開始温度-50℃以下である。
 120℃以上450℃以下の範囲内の再加熱温度まで再加熱後、前記再加熱温度で2s以上1800s以下保持後、室温まで冷却
 120℃未満の再加熱温度の場合、その後の焼鈍工程で形成される残留オーステナイト中にCが濃化せず所望の組織が得られない。450℃超の再加熱温度の場合、アスペクト比の大きな残留オーステナイトの核が分解し、アスペクト比の小さな残留オーステナイトが増加し、所望の組織が得られない。また、2s未満で保持する場合も同じく、アスペクト比の大きな残留オーステナイトの核を得ることが出来ず、所望の組織が得られない。
さらに1800sを超えて保持する場合、アスペクト比の大きな残留オーステナイトの核が分解し、アスペクト比の小さな残留オーステナイトが増加し、残留オーステナイト中にMnが濃化せず所望の組織が得られない。
 当該再加熱後に所定の時間保持した後、一旦室温まで冷却する。冷却方法は特に制限されず、公知の方法で良い。
 Ac変態点-20℃以上の温度域で20s以上600s以下保持(実施例の冷延板2回目焼鈍処理に対応)
 Ac変態点-20℃以上の温度域で20以上600s以下保持することは、本発明において、極めて重要な発明構成要件である。Ac変態点-20℃未満の温度域および20s未満で保持する場合、焼鈍中のオーステナイトの量が少なく、フェライトの面積率が多くなり、TSの確保が困難となる。また、昇温中に形成される炭化物が溶け残り、十分な面積率の残留オーステナイトの確保が困難となり、延性が低下する。
好ましくは、Ac変態点以上である。より好ましくはAc変態点+20℃以上Ac変態点+50℃以下である。さらに、600sを超えて保持する場合、焼鈍中にオーステナイトが粗大化するために、オーステナイト中へのMn拡散が不十分となり、濃化せず、延性確保のための十分な面積率の残留オーステナイトを得ることができない。
 マルテンサイト変態開始温度以下の冷却停止温度まで冷却
 マルテンサイト変態温度温度超の冷却停止温度の場合、変態するマルテンサイト量が少なく、その後の再加熱で焼戻すマルテンサイトの量が少なく、所望の焼戻しマルテンサイト量が得られない。好ましくはマルテンサイト変態開始温度-250℃以上マルテンサイト変態開始温度-30℃以下である。
 120℃以上480℃以下の範囲内の再加熱温度まで再加熱後、前記再加熱温度で2s以上600s以下保持
 120℃未満の再加熱の場合、フレッシュマルテンサイトが焼戻されず、所望の組織が得られない。480℃超の再加熱温度の場合、ベイナイト変態が遅延し、所望の組織が得られないだけでなく、炭化物が析出しオーステナイトの安定化が低下し、所望の残留オーステナイト量が得られない。
また、2s未満で保持する場合、フレッシュマルテンサイトが焼戻されないだけでなく、アスペクト比の大きなγ中にCが濃化せず、所望の組織が得られない。一方、600s超の保持の場合、ベイナイト変態時に炭化物が析出し、残留オーステナイト中のC量が低下し、所望の組織が得られない。
 めっき処理
 得られた高強度鋼板に対し、必要に応じてめっき処理を施す。溶融亜鉛めっき処理を施す場合には、前記焼鈍処理を施した鋼板を440℃以上500℃以下の亜鉛めっき浴中に浸漬し、溶融亜鉛めっき処理を施し、その後、ガスワイピング等によって、めっき付着量を調整する。なお、溶融亜鉛めっきはAl量が0.08%以上0.30%以下である亜鉛めっき浴を用いることが好ましい。
 溶融亜鉛めっきの合金化処理を施すときは、溶融亜鉛めっき処理後に、450℃以上600℃以下の温度域で亜鉛めっきの合金化処理を施す。600℃を超える温度で合金化処理を行うと、未変態オーステナイトがパーライトへ変態し、所望の残留オーステナイトの面積率を確保できず、延性が低下する場合がある。したがって、亜鉛めっきの合金化処理を行うときは、450℃以上600℃以下の温度域で亜鉛めっきの合金化処理を施すことが好ましい。
 室温以上マルテンサイト変態開始温度以下の冷却停止温度まで冷却
 マルテンサイト変態温度温度超の冷却停止温度の場合、その後の再加熱時に水素の拡散が遅いオーステナイトが多くなり、十分に鋼中拡散性水素量が低下しない。そのため、マルテンサイト変態開始温度以下まで冷却する必要がある。好ましくは50℃以上マルテンサイト変態開始温度-30℃以下である。
 50℃以上400℃以下の温度域内で2s以上保持
 最後の熱処理として、50℃以上400℃以下の温度域内で2s以上保持することは、本発明において重要な発明構成要件である。50℃未満の温度域内または2s未満で保持する場合、フレッシュマルテンサイト量が過剰に生成され、さらに鋼中拡散性水素が鋼板から放出されないため、耐水素曲げ脆化特性が低下する。一方、400℃超の温度域で保持する場合、残留オーステナイトの分解により、十分な体積率の残留オーステナイトが得られず鋼の延性が低下する。保持時間の上限は特に規定しないが、生産技術上の制約から、43200s以下となりうる。
 その他の製造方法の条件は、特に限定しないが、生産性の観点から、上記の焼鈍は、連続焼鈍設備で行うことが好ましい。また、焼鈍、溶融亜鉛めっき、亜鉛めっきの合金化処理などの一連の処理は、溶融亜鉛めっきラインであるCGL(Continuous Galvanizing Line)で行うのが好ましい。
 なお、上記の「高強度鋼板」、「高強度溶融亜鉛めっき鋼板」に、形状矯正や表面粗度の調整等を目的にスキンパス圧延を行うことができる。スキンパス圧延の圧下率は、0.1%以上2.0%以下の範囲が好ましい。0.1%未満では効果が小さく、制御も困難であることから、これが良好範囲の下限となる。また、2.0%を超えると、生産性が著しく低下するので、これを良好範囲の上限とする。なお、スキンパス圧延は、オンラインで行っても良いし、オフラインで行っても良い。また、一度に目的の圧下率のスキンパスを行っても良いし、数回に分けて行っても構わない。また、樹脂や油脂コーティングなどの各種塗装処理を施すこともできる。
 表1に示す成分組成を有し、残部がFeおよび不可避的不純物よりなる鋼を転炉にて溶製し、連続鋳造法にてスラブとした。得られたスラブを1250℃まで再加熱した後、表2、3に示す条件で高強度冷延鋼板(CR)を得て、さらに、亜鉛めっき処理を施し、溶融亜鉛めっき鋼板(GI)、合金化溶融亜鉛めっき鋼板(GA)を得た。なお、CR、GI、GAの板厚は1.0mm以上1.8mm以下であった。溶融亜鉛めっき浴は、溶融亜鉛めっき鋼板(GI)では、Al:0.19質量%含有亜鉛浴を使用し、合金化溶融亜鉛めっき鋼板(GA)では、Al:0.14質量%含有亜鉛浴を使用し、浴温は465℃とした。めっき付着量は片面あたり45g/m(両面めっき)とし、GAは、めっき層中のFe濃度を9質量%以上12質量%以下になるように調整した。得られた鋼板の断面の鋼組織を上述の方法で観察し、引張特性、穴広げ性、曲げ性について調査を行い、その結果を表4~6に示した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 マルテンサイト変態開始温度および、Ac変態点とAc変態点は以下の式を用いて求めた。
マルテンサイト変態開始温度(℃)
=550-350×(%C)-40×(%Mn)-10×(%Cu)-17×(%Ni)-20×(%Cr)-10×(%Mo)-35×(%V)-5×(%W)+30×(%Al)
Ac変態点(℃)
=751-16×(%C)+11×(%Si)-28×(%Mn)-5.5×(%Cu)-16×(%Ni)+13×(%Cr)+3.4×(%Mo)
Ac変態点(℃)
=910-203√(%C)+45×(%Si)-30×(%Mn)-20×(%Cu)-15×(%Ni)+11×(%Cr)+32×(%Mo)+104×(%V)+400×(%Ti)+200×(%Al)
ここで、(%C)、(%Si)、(%Mn)、(%Ni)、(%Cu)、(%Cr)、(%Mo)、(%V)、(%Ti)、(%W)、(%Al)は、それぞれの元素の含有量(質量%)であり、含有しない場合にはゼロとする。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000004
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000005
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000006
 引張試験は、引張方向が鋼板の圧延方向と直角方向となるようにサンプルを採取したJIS5号試験片を用いて、JIS Z 2241(2011年)に準拠して行い、TS(引張強さ)、EL(全伸び)を測定した。機械的特性は下記の場合を良好と判断した。
TS:980MPa以上1180MPa未満の場合、EL≧20%
TS:1180MPa以上の場合、EL≧12%
 穴広げ性は、JIS Z 2256(2010年)に準拠して行った。得られた各鋼板を100mm×100mmに切断後、クリアランス12%±1%で直径10mmの穴を打ち抜いた後、内径75mmのダイスを用いてしわ押さえ力9tonで抑えた状態で、60°円錐のポンチを穴に押し込んで亀裂発生限界における穴直径を測定し、下記の式から、限界穴広げ率λ(%)を求め、この限界穴広げ率の値から穴広げ性を評価した。
限界穴広げ率λ(%)={(D-D)/D}×100
ただし、Dは亀裂発生時の穴径(mm)、Dは初期穴径(mm)である。なお、本発明では、TS範囲ごとに下記の場合を良好と判断した。
TS:980MPa以上1180MPa未満の場合、λ≧15%
TS:1180MPa以上の場合、λ≧25%
 曲げ試験は、各焼鈍鋼板から、圧延方向が曲げ軸(Bending direction)となるように幅30mm、長さ100mmの曲げ試験片を採取し、JIS Z 2248(1996年)のVブロック法に基づき測定を実施した。押し込み速度100mm/秒、各曲げ半径でn=3の試験を実施し、曲げ部外側について実体顕微鏡で亀裂の有無を判定し、亀裂が発生していない最小の曲げ半径を限界曲げ半径Rとした。なお、本発明では、90°V曲げでの限界曲げR/t≦2.5(t:鋼板の板厚)を満足する場合を、鋼板の曲げ性が良好と判定した。
 耐水素曲げ脆化特性は上記の曲げ試験から次のように評価した。上記で測定した鋼板におけるR/tを、同一鋼板の鋼中水素量が0.00質量ppmのときの(R/t)’で除した値が1.4未満のとき、本発明では耐水素脆化特性が良好と判定した。なお、(R/t)’は、同一鋼板を大気中に長時間放置することで内部の鋼中水素を低減させ、その後、TDS(Thermal Desorption Spectrometry)により鋼中水素量が0.00質量ppmになったことを確認してから、曲げ試験を行うことで測定した。
 本発明例の高強度鋼板は、いずれも980MPa以上のTSを有し、成形性に優れた高強度鋼板が得られている。一方、比較例では、TS、EL、λ、曲げ性、耐水素曲げ脆化特性の少なくとも一つの特性が劣っている。
 本発明によれば、980MPa以上のTS(引張強さ)を有する成形性と耐水素曲げ脆化特性に優れた高強度鋼板が得られる。本発明の高強度鋼板を、例えば、自動車構造部材に適用することにより車体軽量化による燃費改善を図ることができ、産業上の利用価値は非常に大きい。

Claims (10)

  1.  質量%で、
    C:0.030%以上0.250%以下、
    Si:0.01%以上3.00%以下、
    Mn:2.00%以上8.00%以下、
    P:0.100%以下、
    S:0.0200%以下、
    N:0.0100%以下、
    Al:0.001%以上2.000%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成と、
     面積率で、フェライトが1%以上40%以下、フレッシュマルテンサイトが1.0%未満であり、ベイナイトと焼戻しマルテンサイトの和が40%以上90%以下であり、残留オーステナイトが6%以上である鋼組織と、を有し、
     残留オーステナイト中の平均Mn量(質量%)をフェライト中の平均Mn量(質量%)で除した値が1.1以上であり、かつ、アスペクト比2.0以上の残留オーステナイト中の平均C量(質量%)をフェライト中の平均C量(質量%)で除した値が3.0以上であり、
     鋼中拡散性水素量が0.3質量ppm以下である、高強度鋼板。
  2.  前記成分組成が、質量%で、
    Ti:0.200%以下、Nb:0.200%以下、
    V:0.500%以下、W:0.500%以下、
    B:0.0050%以下、Ni:1.000%以下、
    Cr:1.000%以下、Mo:1.000%以下、
    Cu:1.000%以下、Sn:0.200%以下、
    Sb:0.200%以下、Ta:0.100%以下、
    Zr:0.200%以下、Ca:0.0050%以下、
    Mg:0.0050%以下、REM:0.0050%以下
    のうちから選ばれる少なくとも1種の元素をさらに含有する、請求項1に記載の高強度鋼板。
  3.  塊状残留オーステナイトの面積率を全残留オーステナイトと塊状フレッシュマルテンサイトの面積率で除した値が0.5以下である、請求項1又は2に記載の高強度鋼板。
  4.  表面に、さらに亜鉛めっき層を有する、請求項1~3のいずれかに記載の高強度鋼板。
  5.  前記亜鉛めっき層が、合金化亜鉛めっき層である、請求項4に記載の高強度鋼板。
  6.  請求項1~3のいずれかに記載の高強度鋼板の製造方法であって、請求項1、または2に記載の成分組成を有する鋼スラブを、加熱し、仕上げ圧延出側温度を750℃以上1000℃以下で熱間圧延し、300℃以上750℃以下で巻き取り、冷間圧延を施し、その後、Ac変態点-50℃以上の温度域で20s以上1800s以下保持後、マルテンサイト変態開始温度以下の冷却停止温度まで冷却し、120℃以上450℃以下の範囲内の再加熱温度まで再加熱後、前記再加熱温度で2s以上1800s以下保持後、室温まで冷却し、その後、Ac1変態点-20℃以上の温度域で20s以上600s以下保持後、マルテンサイト変態開始温度以下の冷却停止温度まで冷却し、120℃以上480℃以下の範囲内の再加熱温度まで再加熱後、前記再加熱温度で2s以上600s以下保持後、室温以上マルテンサイト変態開始温度以下まで冷却し、さらに50℃以上400℃以下の温度域内で2s以上保持する、高強度鋼板の製造方法。
  7.  前記120℃以上480℃以下の範囲内の再加熱温度まで再加熱後、前記再加熱温度で2s以上600s以下保持した後、且つ、前記室温以上マルテンサイト変態開始温度以下まで冷却する前に、さらにめっき処理を施す、請求項6に記載の高強度鋼板の製造方法。
  8.  前記めっき処理において、亜鉛めっき処理を施す、請求項7に記載の高強度鋼板の製造方法。
  9.  前記亜鉛めっき処理に続いて、450℃以上600℃以下で合金化処理を施す、請求項8に記載の高強度鋼板の製造方法。
  10.  前記巻き取り後、冷間圧延前に、Ac変態点以下の温度域で1800s超保持する、請求項6~9のいずれかに記載の高強度鋼板の製造方法。
     
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