JP2018178248A - 高強度冷延鋼板およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】1320MPa以上の引張強さを有し、延性に優れ、延性の異方性が小さい高強度冷延鋼板を提供する。【解決手段】質量%で、C:0.18%超0.45%以下、Si:0.50%以上2.50%以下、Mn:2.50%超4.00%以下、P:0.050%以下、S:0.0100%以下、Al:0.010%以上0.100%以下、N:0.0100%以下を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、式(1):7.5×C+Mn≧5.0を満足し、フェライトおよびベイニティックフェライトの総和が10%以上50%以下、残留オーステナイトが15%超50%以下、マルテンサイトが15%超60%以下、残留オーステナイトのうちアスペクト比0.6以下の割合が70%以上、アスペクト比0.6以下の残留オーステナイトのうちBainグループ境界に存在する割合が50%以上である、高強度冷延鋼板。【選択図】なし

Description

本発明は、高強度冷延鋼板およびその製造方法に関する。より詳細には、本発明は、自動車を初めとする輸送機械類の部品に適した、引張強さ(TS):1320MPa以上の高強度を有する高強度冷延鋼板およびその製造方法に関する。
従来、車体部品等に、高強度冷延鋼板が適用されている(例えば、特許文献1〜2)。
近年、地球環境の保全という観点から、自動車の燃費向上が要望されており、引張強さが1320MPa以上である高強度冷延鋼板を適用することが促進されている。
さらに、最近では、自動車の衝突安全性の向上に対する要求が高まり、衝突時の乗員の安全性確保という観点から、車体の骨格部分等の構造部材用として、引張強さが1460MPa以上である極めて高い強度を有する高強度冷延鋼板の適用も検討されている。
国際公開第2016/132680号 国際公開第2016/021193号
鋼板が高強度化するにつれ延性が低下する。延性の低い鋼板は、プレス成型時に割れを生じるため、高強度鋼板を自動車部品として加工するためには、高強度としながらも高い延性を兼備する必要がある。
また、鋼板の機械特性は一般に異方性を持ち、試験方向によって特性値が異なる。鋼板の延性が大きな異方性を有する場合、延性の低い方向に伸長する加工を受けたときに割れを生じやすくなる。
このため、引張強さ1320MPa以上の高強度を有し、かつ、優れた延性を維持し、さらに、延性の異方性を可能な限り小さく抑えた鋼板が求められている。
しかし、従来の冷延鋼板は、上記特性のいずれかが不十分である場合があった。
そこで、本発明は、1320MPa以上の引張強さを有し、かつ、延性に優れ、さらに、延性の異方性が小さい高強度冷延鋼板、および、その製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を行なった。その結果、通常、高強度と高延性とを両立するためには、残留オーステナイトの加工誘起変態に伴うTRIP(Transformation Induced Plasticity)現象を活用することが有効であるが、残留オーステナイトのなかでも、アスペクト比が0.6以下である針状の残留オーステナイトが面積率で多量に存在する場合において、特に優れた延性を示すことを知見するに至った。
本発明者らは、上記知見をもとに、さらに延性の異方性を低減できる方法について鋭意調査を行なった。その結果、アスペクト比が0.6以下である針状の残留オーステナイトが面積率で多量に存在し、かつ、このような残留オーステナイトの存在位置が、主としてBainグループ境界であるミクロ組織を有する鋼板においては、延性の異方性が顕著に低減されることを知見した。
本発明者らはさらに検討を重ねた。その結果、鋼板の熱処理(焼鈍工程)を2回行ない、特に1回目の焼鈍工程における熱履歴を適正化することにより、安定的に鋼板のミクロ組織を上記ミクロ組織にできることを知見するに至った。
本発明らは、上記の知見に基づき、さらに検討を加えた末、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[5]を提供する。
[1]質量%で、C:0.18%超0.45%以下、Si:0.50%以上2.50%以下、Mn:2.50%超4.00%以下、P:0.050%以下、S:0.0100%以下、Al:0.010%以上0.100%以下、および、N:0.0100%以下を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、上記組成のCおよびMnが、質量%で、下記式(1)を満足し、ミクロ組織において、フェライトおよびベイニティックフェライトの面積率の総和が10%以上50%以下であり、残留オーステナイトの面積率が15%超50%以下であり、かつ、マルテンサイトの面積率が15%超60%以下であり、残留オーステナイトのうち、アスペクト比が0.6以下であるものの割合が、面積率で70%以上であり、アスペクト比が0.6以下である残留オーステナイトのうち、Bainグループ境界に存在するものの割合が、面積率で50%以上である、高強度冷延鋼板。
7.5×C+Mn≧5.0 ・・・ (1)
ただし、式(1)中、CおよびMnは、各元素の含有量を示す。
[2]上記組成が、さらに、質量%で、Ti:0.005%以上0.035%以下、Nb:0.005%以上0.035%以下、V:0.005%以上0.035%以下、Mo:0.005%以上0.035%以下、B:0.0003%以上0.0100%以下、Cr:0.05%以上1.00%以下、Ni:0.05%以上1.00%以下、Cu:0.05%以上1.00%以下、Sb:0.002%以上0.050%以下、Sn:0.002%以上0.050%以下、Ca:0.0005%以上0.0050%以下、Mg:0.0005%以上0.0050%以下、および、REM:0.0005%以上0.0050%以下からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む、上記[1]に記載の高強度冷延鋼板。
[3]表面にめっき層を有する、上記[1]または[2]に記載の高強度冷延鋼板。
[4]上記[1]〜[3]のいずれかに記載の高強度冷延鋼板を製造する方法であって、上記[1]または[2]に記載の組成を有する鋼素材に、熱間圧延を施すことにより、熱延板を得る熱間圧延工程と、上記熱延板に酸洗を施す酸洗工程と、上記酸洗が施された上記熱延板に、圧下率30%以上の冷間圧延を施すことにより、冷延板を得る冷間圧延工程と、上記冷延板を、Ac点以上950℃以下の焼鈍温度Tで加熱し、上記焼鈍温度Tから、10℃/s超の平均冷却速度で、250℃以上350℃未満の冷却停止温度Tまで冷却し、上記冷却停止温度Tで10s以上保持することにより、第1段冷延焼鈍板を得る第1段焼鈍工程と、上記第1段冷延焼鈍板を、680℃以上820℃以下の焼鈍温度Tで加熱し、上記焼鈍温度Tから、300℃以上500℃以下の冷却停止温度Tまで冷却することにより、第2段冷延焼鈍板を得る第2段焼鈍工程と、を備える高強度冷延鋼板の製造方法。
[5]上記第2段冷延焼鈍板に、溶融亜鉛めっき処理、溶融亜鉛めっき処理および合金化処理、または、電気亜鉛めっき処理を施すめっき工程をさらに備える、上記[4]に記載の高強度冷延鋼板の製造方法。
本発明によれば、1320MPa以上の引張強さを有し、かつ、延性に優れ、さらに、延性の異方性が小さい高強度冷延鋼板、および、その製造方法を提供できる。
本発明の高強度冷延鋼板は、自動車をはじめとする輸送機械類の部品、建築用鋼材などの構造用鋼材に適している。本発明によれば、輸送機器部材を従来以上に高強度薄肉化でき、高強度冷延鋼板のより一層の用途展開が可能となり、産業上格段の効果を奏する。
鋼板のミクロ組織の一部(1つの旧オーステナイト粒から生成したと考えられる領域)を示す模式図である。 残留オーステナイトのうち、アスペクト比が0.6以下であるものの割合と、アスペクト比が0.6以下である残留オーステナイトのうち、Bainグループ境界に存在するものの割合とが、伸びの異方性に及ぼす影響を示すグラフである。
[高強度冷延鋼板]
本発明の高強度冷延鋼板は、質量%で、C:0.18%超0.45%以下、Si:0.50%以上2.50%以下、Mn:2.50%超4.00%以下、P:0.050%以下、S:0.0100%以下、Al:0.010%以上0.100%以下、および、N:0.0100%以下を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、上記組成のCおよびMnが、質量%で、下記式(1)を満足し、ミクロ組織において、フェライトおよびベイニティックフェライトの面積率の総和が10%以上50%以下であり、残留オーステナイトの面積率が15%超50%以下であり、かつ、マルテンサイトの面積率が15%超60%以下であり、残留オーステナイトのうち、アスペクト比が0.6以下であるものの割合が、面積率で70%以上であり、アスペクト比が0.6以下である残留オーステナイトのうち、Bainグループ境界に存在するものの割合が、面積率で50%以上である、高強度冷延鋼板である。
7.5×C+Mn≧5.0 ・・・ (1)
ただし、式(1)中、CおよびMnは、各元素の含有量を示す。
なお、本発明の高強度冷延鋼板の板厚は、例えば、5mm以下である。
〈組成〉
以下では、まず、本発明の高強度冷延鋼板が有する組成(成分組成)について説明する。成分組成における元素の含有量の単位はいずれも「質量%」であるが、以下、特に断らない限り単に「%」で示す。
《C:0.18%超0.45%以下》
Cは、オーステナイトを安定化させ、所望の面積率の残留オーステナイトを確保し、延性の向上に有効に寄与するとともに、マルテンサイトの硬度を上昇させ、強度の増加に寄与する。このような効果を十分に得るためには、Cは、0.18%超の含有を必要とする。
一方、0.45%を超える多量の含有は、靭性、溶接性および耐遅れ破壊特性の劣化を招くとともにマルテンサイトの生成量を過剰とし延性を低下させる。
このため、Cの含有量は、0.18%超0.45%以下であり、0.19%以上0.43%以下が好ましく、0.20%以上0.42%以下がより好ましい。
《Si:0.50%以上2.50%以下》
Siは、炭化物(セメンタイト)の生成を抑制し、オーステナイトへのCの濃化を促進することによりオーステナイトを安定化させ、鋼板の延性向上に寄与する。フェライトに固溶したSiは、加工硬化能を向上させ、フェライト自身の延性向上に寄与する。このような効果を十分に得るためには、Siは、0.50%以上の含有を必要とする。
一方、Siが2.50%を超えると、炭化物(セメンタイト)の生成を抑制し、残留オーステナイトの安定化に寄与する効果は飽和するだけでなく、フェライト中に固溶するSi量が過度となるため延性が低下する。
このため、Siの含有量は、0.50%以上2.50%以下であり、0.80%以上2.40%以下が好ましく、1.00%以上2.30%以下がより好ましい。
《Mn:2.50%超4.00%以下》
Mnは、オーステナイト安定化元素であり、オーステナイトを安定化させることによって延性の向上に寄与するとともに、焼入れ性を高めることによりマルテンサイトの生成を促進し鋼板の高強度化に寄与する。このような効果を十分に得るために、Mnは、2.50%超の含有を必要とする。
一方、Mnが4.00%を超えると、マルテンサイトが過剰に生成して延性を劣化させる。
このため、Mnの含有量は、2.50%超4.00%以下であり、2.70%以上3.50%以下が好ましい。
《P:0.050%以下》
Pは、粒界に偏析して伸びを低下させ、加工時に割れを誘発し、さらには耐衝撃性を劣化させる有害な元素である。したがって、P含有量を0.050%以下とする。好ましくは0.010%以下である。
ただし、過度の脱Pは、精錬時間の増加およびコストの上昇などを招くため、P含有量は、0.002%以上とすることが好ましい。
《S:0.0100%以下》
Sは、鋼中にMnSとして存在して打抜き加工時にボイドの発生を助長し、さらには、加工中にもボイドの発生の起点となるために伸びフランジ性を低下させる。そのため、S量は、極力低減することが好ましく、0.0100%以下とする。好ましくは0.0050%以下である。
ただし、過度の脱Sは、精錬時間の増加およびコストの上昇などを招くため、S含有量は、0.0002%以上とすることが好ましい。
《Al:0.010%以上0.100%以下》
Alは、脱酸剤として作用する元素である。このような効果を得るためには、Alを0.010%以上含有させる。
しかしながら、Al含有量が過剰になると、鋼板中にAl酸化物として残存し、Al酸化物が凝集して粗大化し易くなり、局部延性を劣化させる原因となる。したがって、Al含有量を0.100%以下とする。
《N:0.0100%以下》
Nは、鋼中にAlNとして存在して打抜き加工時に粗大なボイドの発生を助長し、さらには、加工中にも粗大なボイドの発生の起点となるために局部延性を低下させる。このため、N量は、極力低減することが好ましく、N含有量を0.0100%以下とする。好ましくは0.0060%以下である。
ただし、過度の脱Nは、精錬時間の増加およびコストの上昇を招くため、N含有量は、0.0005%以上とすることが好ましい。
《7.5×C+Mn:5.0以上》
CおよびMnは、いずれも鋼板の高強度化に寄与する元素であるが、個々の元素の含有量がそれぞれ単独に上記範囲内である場合においても、7.5×C+Mnが5.0未満の場合には所望の鋼板強度を達成できない。これはCおよびMnがそれぞれ単独に鋼板強度の上昇に寄与するのではなく、相互に影響をおよぼし合い、マルテンサイトおよび残留オーステナイトを形成した結果、鋼板強度が上昇するためである。
特に、鋼板強度に強い影響を及ぼすマルテンサイトは、その面積率、C濃度、Mn濃度に応じて鋼板強度への寄与が変化するため、マルテンサイトの面積率のみで鋼板強度を制御することは困難であるが、7.5×C+Mnが5.0以上であれば所望の鋼板強度を達成する。
このため、CおよびMnは、質量%で、下記式(1)を満足する必要がある。
7.5×C+Mn≧5.0 ・・・ (1)
(ただし、式(1)中、CおよびMnは、各元素の含有量を示す。)
7.5×C+Mnは、好ましくは、5.1以上である。
《その他の成分(元素)》
本発明の高強度冷延鋼板において、上記組成は、必要に応じて、さらに、質量%で、Ti:0.005%以上0.035%以下、Nb:0.005%以上0.035%以下、V:0.005%以上0.035%以下、Mo:0.005%以上0.035%以下、B:0.0003%以上0.0100%以下、Cr:0.05%以上1.00%以下、Ni:0.05%以上1.00%以下、Cu:0.05%以上1.00%以下、Sb:0.002%以上0.050%以下、Sn:0.002%以上0.050%以下、Ca:0.0005%以上0.0050%以下、Mg:0.0005%以上0.0050%以下、および、REM:0.0005%以上0.0050%以下からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含むことができる。
(Ti:0.005%以上0.035%以下)
Tiは、炭窒化物を形成し、析出強化作用により鋼の強度を上昇させる。Tiを添加する場合、上記作用を有効に発揮させるために、Ti含有量を0.005%以上にすることが好ましい。一方、Tiが過剰であると、析出物が過度に生成し、延性が低下する場合がある。
このため、Tiの含有量は、0.005%以上0.035%以下が好ましく、0.005%以上0.020%以下がより好ましい。
(Nb:0.005%以上0.035%以下)
Nbは、炭窒化物を形成し、析出強化作用により鋼の強度を上昇させる。Nbを添加する場合、上記作用を有効に発揮させるために、Nb含有量を0.005%以上にすることが好ましい。一方、Nbが過剰であると、析出物が過度に生成し、延性が低下する場合がある。
このため、Nbの含有量は、0.005%以上0.035%以下が好ましく、0.005%以上0.030%以下がより好ましい。
(V:0.005%以上0.035%以下)
Vは、炭窒化物を形成し、析出強化作用により鋼の強度を上昇させる。Vを添加する場合、上記作用を有効に発揮させるために、V含有量を0.005%以上にすることが好ましい。一方、Vが過剰であると、析出物が過度に生成し、延性が低下する場合がある。
このため、Vの含有量は、0.005%以上0.035%以下が好ましく、0.005%以上0.030%以下がより好ましい。
(Mo:0.005%以上0.035%以下)
Moは、炭窒化物を形成し、析出強化作用により鋼の強度を上昇させる。Moを添加する場合、上記作用を有効に発揮させるために、Mo含有量を0.005%以上にすることが好ましい。一方、Moが過剰であると、析出物が過度に生成し、延性が低下する場合がある。
このため、Moの含有量は、0.005%以上0.035%以下が好ましく、0.005%以上0.030%以下がより好ましい。
(B:0.0003%以上0.0100%以下)
Bは、焼入れ性を高め、マルテンサイトの生成を促進する作用を有するため、鋼の強化元素として有用である。上記作用を有効に発揮させるために、B含有量を0.0003%以上にすることが好ましい。一方、Bが過剰であると、マルテンサイトが過剰に生成し、延性が低下する場合がある。
このため、Bの含有量は、0.0003%以上0.0100%以下が好ましい。
(Cr:0.05%以上1.00%以下)
Crは、焼入れ性を高め、マルテンサイトの生成を促進する作用を有するため、鋼の強化元素として有用である。上記作用を有効に発揮させるために、Cr含有量を0.05%以上にすることが好ましい。一方、Crが過剰であると、マルテンサイトが過剰に生成し、延性が低下する場合がある。
このため、Crの含有量は、0.05%以上1.00%以下が好ましい。
(Ni:0.05%以上1.00%以下)
Niは、焼入れ性を高め、マルテンサイトの生成を促進する作用を有するため、鋼の強化元素として有用である。上記作用を有効に発揮させるために、Ni含有量を0.05%以上にすることが好ましい。一方、Niが過剰であると、マルテンサイトが過剰に生成し、延性が低下する場合がある。
このため、Niの含有量は、0.05%以上1.00%以下が好ましい。
(Cu:0.05%以上1.00%以下)
Cuは、焼入れ性を高め、マルテンサイトの生成を促進する作用を有するため、鋼の強化元素として有用である。上記作用を有効に発揮させるために、Cu含有量を0.05%以上にすることが好ましい。一方、Cuが過剰であると、マルテンサイトが過剰に生成し、延性が低下する場合がある。
このため、Cuの含有量は、0.05%以上1.00%以下が好ましい。
(Sb:0.002%以上0.050%以下)
Sbは、鋼板表面の窒化および酸化によって生じる、鋼板表層(数十μm程度の領域)の脱炭を抑制する作用を有する。これにより、鋼板表面においてオーステナイトの生成量が減少するのを防止でき、所望の延性の確保に有効である。上記作用を有効に発揮させるために、Sb含有量を0.002%以上にすることが好ましい。一方、Sbが過剰であると、靱性の低下を招く場合がある。
このため、Sbの含有量は、0.002%以上0.050%以下が好ましい。
(Sn:0.002%以上0.050%以下)
Snは、鋼板表面の窒化および酸化によって生じる、鋼板表層(数十μm程度の領域)の脱炭を抑制する作用を有する。これにより、鋼板表面においてオーステナイトの生成量が減少するのを防止でき、所望の延性の確保に有効である。上記作用を有効に発揮させるために、Sn含有量を0.002%以上にすることが好ましい。一方、Snが過剰であると、靱性の低下を招く場合がある。
このため、Snの含有量は、0.002%以上0.050%以下が好ましい。
(Ca:0.0005%以上0.0050%以下)
Caは、硫化物系介在物の形態を制御する作用を有し、局部延性の低下抑制に有効である。Caを添加する場合、上記効果を得るために、Ca含有量を0.0005%以上にすることが好ましい。一方、Ca含有量が過剰であると、その効果が飽和する場合がある。
このため、Caの含有量は、0.0005%以上0.0050%以下が好ましい。
(Mg:0.0005%以上0.0050%以下)
Mgは、硫化物系介在物の形態を制御する作用を有し、局部延性の低下抑制に有効である。Mgを添加する場合、上記効果を得るために、Mg含有量を0.0005%以上にすることが好ましい。一方、Mg含有量が過剰であると、その効果が飽和する場合がある。
このため、Mgの含有量は、0.0005%以上0.0050%以下が好ましい。
(REM:0.0005%以上0.0050%以下)
REM(希土類元素)は、硫化物系介在物の形態を制御する作用を有し、局部延性の低下抑制に有効である。REMを添加する場合、上記効果を得るために、REM含有量を0.0005%以上にすることが好ましい。一方、REM含有量が過剰であると、その効果が飽和する場合がある。
このため、REMの含有量は、0.0005%以上0.0050%以下が好ましい。
《残部Feおよび不可避的不純物》
上記組成において、上記成分以外の残部は、Fe(残部Fe)および不可避的不純物からなる。
〈鋼板のミクロ組織〉
次に、本発明の高強度冷延鋼板におけるミクロ組織について説明する。
《フェライト+ベイニティックフェライトの面積率の総和:10%以上50%以下》
フェライトおよびベイニティックフェライトは、軟質な組織であり鋼板の延性の向上に寄与する。これらの組織には炭素があまり固溶しないため、オーステナイト中にCを排出することにより、オーステナイトの安定性を上昇させ、延性の向上に寄与する。
鋼板に必要な延性を付与するためには、フェライトおよびベイニティックフェライトの面積率の総和として10%以上が必要である。
一方で、フェライトおよびベイニティックフェライトの面積率の総和が50%を超えると、1320MPa以上の引張強さを確保することが困難になる。
このため、フェライトおよびベイニティックフェライトの面積率の総和は、10%以上50%以下である。
《残留オーステナイトの面積率:15%超50%以下》
残留オーステナイトは、それ自体、延性に富む組織であるが、歪誘起変態してさらに延性の向上に寄与する組織である。このような効果を得るためには、残留オーステナイトは、面積率で15%超とする必要がある。
一方、残留オーステナイトが面積率で50%を超えて多くなると、残留オーステナイトの安定性が低下するため、歪誘起変態が早期に起こるようになるため、延性が低下する。
このため、残留オーステナイトの面積率は、15%超50%以下である。
本明細書においては、後述する方法により残留オーステナイトの体積率を算出し、これを面積率として扱うものとする。
《マルテンサイトの面積率:15%超60%以下》
ここでいう「マルテンサイト」とは、フレッシュマルテンサイト、および、焼戻しマルテンサイトを含むものとする。
マルテンサイトは、非常に硬質な組織であり、鋼板の高強度化に寄与する。マルテンサイトの含有量が面積率で15%以下である場合には、所望の鋼板強度が得られない。
一方で、面積率で60%を超えて含有すると、所望の延性を確保できなくなる。
このため、マルテンサイトの面積率の総和は、15%超60%以下である。好ましくは20%以上55%以下である。
本発明の高強度冷延鋼板のミクロ組織は、上記のフェライトおよびベイニティックフェライト、残留オーステナイト、ならびに、マルテンサイトのそれぞれの面積率の合計が100%となる場合のほか、上記の他にパーライト等の面積率を入れて100%となる場合もある。
《残留オーステナイトのうち、アスペクト比が0.6以下であるものの割合:面積率で70%以上》
残留オーステナイトは鋼板の延性を向上させるが、その形状により延性向上への寄与が異なる。アスペクト比が0.6以下である残留オーステナイトは、アスペクト比が0.6超である残留オーステナイトと比較して、より加工に対して安定であり、歪誘起変態による延性向上効果が大きい。
加工安定性の低い、アスペクト比が0.6超である残留オーステナイトは、引張試験の早期に硬質なマルテンサイトとなるため、周囲に粗大なボイドを形成しやすい。引張試験後期において粗大ボイドが容易に連結するため、延性を低下させる。
一方、アスペクト比が0.6以下である残留オーステナイトは、ミクロ組織の流れに沿うように変形し、周囲にボイドを形成しにくい。
これらの延性向上効果に加えて、後述するBainグループ境界に存在するアスペクト比が0.6以下である残留オーステナイトによる伸びの異方性低減効果を十分に享受するためには、残留オーステナイトのうち、アスペクト比が0.6以下である残留オーステナイトの割合が、面積率で、70%以上であればよい。好ましくは75%以上である。
この割合の上限は、特に限定されず、100%であってもよい。
《アスペクト比が0.6以下である残留オーステナイトのうち、Bainグループ境界に存在するものの割合:面積率で50%以上》
まず、Bainグループ境界に存在する残留オーステナイトについて説明する。
マルテンサイトやベイナイトにおいては、1つの旧オーステナイト粒からKurdjumov−Sachs(K−S)関係をもった24のバリアントが生成し得る。1つの旧オーステナイト粒から生じるバリアントは、3つのBainグループに区分される(例えば、『宮本吾郎、外3名、「鉄鋼のマルテンサイト/ベイナイト変態における結晶学的拘束」、日本金属学会誌、公益社団法人日本金属学会、2015年7月、第79巻、第7号、p.339−347』を参照)。
本発明の高強度冷延鋼板は、後述するように複数回の焼鈍工程を経て得られるため、鋼板のミクロ組織はオーステナイト単相から変態したマルテンサイトやベイナイトとは異なるが、bcc相と判別される部分について上記と同様のグループ分けを行なうことができる。
図1は、鋼板のミクロ組織の一部(1つの旧オーステナイト粒から生成したと考えられる領域)を示す模式図である。図1に示す鋼板のミクロ組織は、3つのBainグループ(B1〜B3)から構成されている。同一のBainグループは、同じハッチングが付されている。
図1に示す鋼板のミクロ組織中には、残留オーステナイトも存在している。符号「RA」で示す残留オーステナイトは、1つのBainグループB2の内部に存在している。これに対して、符号「RA」で示す残留オーステナイトは、BainグループB1と、これとは別のBainグループB3との境界に存在している。
符号「RA」で示す残留オーステナイトが、Bainグループ境界に存在する残留オーステナイトに該当する。
アスペクト比が0.6以下である残留オーステナイトがBainグループ境界に存在すると、伸びの異方性が顕著に低減する。
この理由は必ずしも明らかではないが、本発明者らは、次のように考えている。すなわち、通常、残留オーステナイトの歪誘起マルテンサイト変態挙動は、外部応力の方向に依存して変動するが、Bainグループ境界は方位差が大きく、外力方向のみならず様々な方向の応力が局所的に集中する。このため、Bainグループ境界に存在する残留オーステナイトは、外力方向を変えた場合にも、同じような歪誘起マルテンサイト変態挙動を起こして延性の向上に寄与し、その結果、伸びの異方性が低減する。
伸びに大きく影響するのは、引張試験後期における歪誘起マルテンサイト変態である。このため、このような効果を得るには、引張試験後期まで安定に存在しうるアスペクト比が0.6以下である残留オーステナイトがBainグループ境界に存在する必要がある。
伸びの異方性(延性の異方性)を十分に低減するためには、アスペクト比が0.6以下である残留オーステナイトのうち、Bainグループ境界に存在するものの割合が、面積率で50%以上であればよく、好ましくは65%以上である。
この割合の上限は、特に限定されないが、例えば、面積率で、95%以下である。
〈めっき層〉
本発明の高強度冷延鋼板は、耐食性などを向上させる観点から、その表面に、さらに、めっき層を有していてもよい。めっき層としては、溶融亜鉛めっき層、合金化溶融亜鉛めっき層、または、電気亜鉛めっき層が好ましい。
溶融亜鉛めっき層、合金化溶融亜鉛めっき層、および、電気亜鉛めっき層としては、特に限定されず、それぞれ、従来公知の溶融亜鉛めっき層、従来公知の合金化溶融亜鉛めっき層、および、従来公知の電気亜鉛めっき層が好適に用いられる。
電気亜鉛めっき層は、Znに、例えば、Fe、Cr、Ni、Mn、Co、Sn、Pb、または、Moなどの元素をその目的に応じて適宜量添加した亜鉛合金めっき層であってもよい。
[高強度冷延鋼板の製造方法]
次に、本発明の高強度冷延鋼板の製造方法(以下、単に「本発明の製造方法」ともいう)の好適態様を説明する。
本発明の製造方法は、概略的には、上記組成を有する鋼素材に、熱間圧延、酸洗、冷間圧延、および、焼鈍を順次施すことにより、上述した本発明の高強度冷延鋼板を得る方法である。そして、本発明の製造方法においては、焼鈍を行なう工程が、2つの工程に分かれている。
〈鋼素材〉
鋼素材は、上記組成を有する鋼素材であれば、特に限定されない。
鋼素材の溶製方法は、特に限定されず、転炉または電気炉等を用いた公知の溶製方法を採用できる。生産性等の問題から、溶製後に、連続鋳造法によりスラブ(鋼素材)とすることが好ましいが、造塊−分塊圧延法または薄スラブ連鋳法等の公知の鋳造方法によりスラブとしてもよい。
〈熱間圧延工程〉
熱間圧延工程は、上記組成を有する鋼素材に、熱間圧延を施すことにより、熱延板を得る工程である。
熱間圧延工程は、上記組成を有する鋼素材を加熱し、熱間圧延を施して、所定寸法の熱延板が得られる工程であれば、特に限定されず、常用の熱間圧延工程を適用できる。
常用の熱間圧延工程としては、例えば、鋼素材を、1100℃以上1300℃以下の加熱温度に加熱し、加熱した鋼素材に、850℃以上950℃以下の仕上圧延出側温度で熱間圧延を施し、熱間圧延が終了した後、適正な圧延後冷却(具体的には、例えば、450℃以上950℃以下の温度域を、20℃/s以上100℃/s以下の平均冷却速度で冷却する、圧延後冷却)を施して、400℃以上700℃以下の巻取温度で巻き取り、所定寸法形状の熱延板とする、熱間圧延工程を例示できる。
〈酸洗工程〉
酸洗工程は、熱間圧延工程を経て得られた熱延板に、酸洗を施す工程である。
酸洗工程は、熱延板に冷間圧延を施すことができる程度に酸洗できる工程であれば、特に限定されず、例えば塩酸または硫酸等を使用する常用の酸洗工程を適用できる。
〈冷間圧延工程〉
冷間圧延工程は、酸洗工程を経た熱延板に、冷間圧延を施す工程である。より詳細には、冷間圧延工程は、酸洗が施された熱延板に、圧下率30%以上の冷間圧延を施すことにより、所定板厚の冷延板を得る工程である。
《冷間圧延の圧下率:30%以上》
冷間圧延の圧下率は、30%以上とする。圧下率が30%未満では、加工量が不足し、オーステナイトの核生成サイトが少なくなる。このため、次工程の第1段焼鈍工程においてオーステナイトが粗大で不均一となり、続く第1段焼鈍工程の保持過程における下部ベイナイト変態が抑制されて、マルテンサイトが過剰に生成する。その結果、第1段焼鈍工程後の鋼板のミクロ組織を、下部ベイナイトを主体とするミクロ組織にすることができない。第1段焼鈍工程後にマルテンサイトである部分は、続く第2段焼鈍工程において、アスペクト比が0.6超の残留オーステナイトを生成しやすい。
一方、圧下率の上限は、冷間圧延機の能力で決定されるが、圧下率が高すぎると、圧延荷重が高くなり、生産性が低下する場合がある。このため、圧下率は、70%以下が好ましい。
圧延パスの回数およびパス毎の圧下率は、特に限定されない。
〈焼鈍工程〉
焼鈍工程は、冷間圧延工程を経て得られた冷延板に焼鈍を施す工程であり、より詳細には、後述する第1段焼鈍工程および第2段焼鈍工程を含む工程である。
《第1段焼鈍工程》
第1段焼鈍工程は、冷間圧延工程を経て得られた冷延板を、Ac点以上950℃以下の焼鈍温度Tで加熱し、焼鈍温度Tから、10℃/s超の平均冷却速度で、250℃以上350℃未満の冷却停止温度Tまで冷却し、冷却停止温度Tで10s以上保持することにより、第1段冷延焼鈍板を得る工程である。
この工程の目的は、第1段焼鈍工程完了時の鋼板のミクロ組織を下部ベイナイトにすることである。特に、第1段焼鈍工程後にマルテンサイトである部分は、続く第2段焼鈍工程において、アスペクト比が0.6超の残留オーステナイトを生成しやすいため、第1段焼鈍工程においてマルテンサイトが過剰に生成した場合は、所望の鋼板のミクロ組織を得ることが困難となる。
製造条件を上記範囲に制御することにより、下部ベイナイトを主体とするミクロ組織を有する鋼板が得られ、第2段焼鈍工程後の鋼板のミクロ組織を所望のミクロ組織にすることができる。
(Ac点)
Ac点(単位:℃)は、以下に示すAndrewsらの式より求めることができる。
Ac=910−203[C]1/2+45[Si]−30[Mn]−20[Cu]−15[Ni]+11[Cr]+32[Mo]+104[V]+400[Ti]+460[Al]
上記式中の括弧は、鋼板中における括弧内の元素の含有量(単位:質量%)を表す。元素を含有しない場合は、0として計算する。
(焼鈍温度T:Ac点以上950℃以下)
焼鈍温度TがAc点未満であると、焼鈍中にフェライトが残存してしまい、続く冷却過程において焼鈍中に残存したフェライトを核にフェライトが成長してしまう。これにより、Cがオーステナイト中に分配するため、後の保持過程において下部ベイナイト変態が抑制されて、マルテンサイトが過剰に生成し、第1段焼鈍工程後の鋼板のミクロ組織を、下部ベイナイトを主体とするミクロ組織にすることができない。
一方、焼鈍温度Tが950℃を超えるとオーステナイト粒が過度に粗大化し、冷却後の保持過程における下部ベイナイトの生成が抑制されるため、マルテンサイトが過剰に生成するため、第1段焼鈍工程後の鋼板のミクロ組織を、下部ベイナイトを主体とするミクロ組織にすることができない。
第1段焼鈍工程後にマルテンサイトである部分は、続く第2段焼鈍工程において、アスペクト比が0.6超の残留オーステナイトを生成しやすい。
このため、焼鈍温度Tは、Ac点以上950℃以下である。
焼鈍温度Tでの保持時間は、特に限定されず、例えば、10s以上1000s以下である。
(焼鈍温度Tから冷却停止温度Tまでの平均冷却速度:10℃/s超)
焼鈍温度Tから冷却停止温度Tまでの平均冷却速度が10℃/s以下であると、冷却中にフェライトが生成する。これにより、Cがオーステナイト中に分配するため、後の保持過程において下部ベイナイト変態が抑制されて、マルテンサイトが過剰に生成し、第1段焼鈍工程後の鋼板のミクロ組織を、下部ベイナイトを主体とするミクロ組織にすることができない。第1段焼鈍工程後にマルテンサイトである部分は、続く第2段焼鈍工程において、アスペクト比が0.6超の残留オーステナイトを生成しやすい。
このため、焼鈍温度Tから冷却停止温度Tまでの平均冷却速度は、10℃/s超であり、好ましくは15℃/s以上である。
平均冷却速度の上限は、特に限定されないが、過度に速い冷却速度を確保するためには、過大な冷却装置が必要となるから、生産技術および設備投資等の観点から、平均冷却速度は、50℃/s以下が好ましい。
冷却は、ガス冷却が好ましいが、炉冷およびミスト冷却などを組み合わせて行なうこともできる。
(冷却停止温度T:250℃以上350℃未満)
冷却停止温度Tが250℃未満では、鋼板のミクロ組織にマルテンサイトが過剰に生成する。第1段焼鈍工程後にマルテンサイトである部分は、続く第2段焼鈍工程において、アスペクト比が0.6超の残留オーステナイトを生成しやすい。
一方、冷却停止温度Tが350℃以上では、下部ベイナイトの代わりに上部ベイナイトが生成する。上部ベイナイトは下部ベイナイトに比較して同一Bainグループサイズが顕著に粗大であるために、続く第2段焼鈍工程後に同一Bainグループの内部にアスペクト比が0.6以下の残留オーステナイトを多数生成し、第2段焼鈍工程後の鋼板のミクロ組織が所望のミクロ組織とならない。
このため、冷却停止温度Tは、250℃以上350℃未満である。より好ましくは、270℃以上340℃以下である。
(冷却停止温度Tでの保持時間:10s以上)
冷却停止温度Tでの保持時間が10s(秒)未満では、下部ベイナイト変態が十分に完了しない。このため、マルテンサイトが過剰に生成してしまい、続く第2段焼鈍工程において所望のミクロ組織が得られない。第1段焼鈍工程後にマルテンサイトである部分は、続く第2段焼鈍工程において、アスペクト比が0.6超の残留オーステナイトを生成しやすい。
このため、冷却停止温度Tでの保持時間は、10s以上である。好ましくは30s以上である。
冷却停止温度Tでの保持時間の上限は、特に限定されないが、過度に長時間保持した場合には、長大な生産設備が必要であるとともに、鋼板の生産性が著しく低下するため、1800s以下が好ましい。
冷却停止温度Tでの保持後、次工程の第2段焼鈍工程までは、例えば室温まで冷却してもよいし、冷却を行なわず引き続き加熱し第2段焼鈍工程を行なってもよい。第1段焼鈍工程から第2段焼鈍工程の間で室温まで冷却しないで連続で行なうには、1つのラインに通常の連続焼鈍設備(CAL)の加熱炉が2機必要であるため、実際にはCALで第1段焼鈍工程を実施した後、もう1度CALを通板して第2段焼鈍工程を実施する。
《第2段焼鈍工程》
第2段焼鈍工程は、第1段焼鈍工程を経て得られた第1段冷延焼鈍板を、680℃以上820℃以下の焼鈍温度Tで加熱(再加熱)し、焼鈍温度Tから、300℃以上500℃以下の冷却停止温度Tまで冷却することにより、第2段冷延焼鈍板を得る工程である。
(焼鈍温度T:680℃以上820℃以下)
焼鈍温度Tが680℃未満であると、焼鈍時に十分な量のオーステナイトが生成しないため、第2段焼鈍工程後の鋼板のミクロ組織に所望量の残留オーステナイトを確保できず、フェライトが過剰となる。
一方、焼鈍温度Tが820℃を超えると、オーステナイトが過度に生成し、第2段焼鈍前のミクロ組織制御の効果が初期化されてしまう。このため、アスペクト比が0.6以下である残留オーステナイトの割合、および、アスペクト比が0.6以下である残留オーステナイトのうち、Bainグループ境界に存在するものの割合を、所望の値とすることが困難となる。
このため、焼鈍温度Tは、680℃以上820℃以下であり、700℃以上800℃以下が好ましい。
焼鈍温度Tでの保持時間は、特に限定されず、例えば、10s以上1000s以下である。
焼鈍温度Tから冷却停止温度Tまでの平均冷却速度は、特に限定されず、例えば、5℃/s以上50℃/s以下である。
(冷却停止温度T:300℃以上500℃以下)
冷却停止温度Tが300℃未満であると、オーステナイトへのCの濃化が不十分となり、残留オーステナイト量が減少するとともに多量のマルテンサイトが生成し、所望の鋼板のミクロ組織が得られない。
一方、冷却停止温度Tが500℃を超えると、オーステナイトからパーライトが生成するため、残留オーステナイト量が減少し、所望の鋼板のミクロ組織が得られない。
冷却停止温度Tでの保持時間は、特に限定されず、例えば、10s以上1800s以下である。
冷却停止温度Tでの保持後における第2段冷延焼鈍板は、冷却することが好ましい。この冷却は、特に限定されず、放冷等の任意の方法で、室温等の所望の温度まで冷却することができる。
後述するめっき工程を行なわない場合、第2段焼鈍工程を経て得られる第2段冷延焼鈍板が、本発明の高強度冷延鋼板となる。
〈めっき工程〉
第2段焼鈍工程を経て得られる第2段冷延焼鈍板に、さらに、めっき処理を施して、その表面にめっき層を形成してもよい。この場合、表面にめっき層が形成された第2段冷延焼鈍板が、本発明の高強度冷延鋼板となる。
めっき処理としては、溶融亜鉛めっき処理、溶融亜鉛めっき処理および合金化処理、または、電気亜鉛めっき処理が好ましい。溶融亜鉛めっき処理、溶融亜鉛めっき処理および合金化処理、ならびに、電気亜鉛めっき処理としては、特に限定されず、それぞれ、従来公知の溶融亜鉛めっき処理、従来公知の溶融亜鉛めっき処理および合金化処理、ならびに、従来公知の電気亜鉛めっき処理が好適に用いられる。
めっき処理の前には、脱脂およびリン酸塩処理等の前処理を施してもよい。
溶融亜鉛めっき処理としては、例えば、常用の連続溶融亜鉛めっきラインを用いて、第2段冷延焼鈍板を、溶融亜鉛めっき浴に浸漬し、表面に所定量の溶融亜鉛めっき層を形成する処理であることが好ましい。
溶融亜鉛めっき浴に浸漬する際には、再加熱または冷却により、第2段冷延焼鈍板の温度を、溶融亜鉛めっき浴温度−50℃の温度以上、溶融亜鉛めっき浴温度+80℃の温度以下の範囲内に調整することが好ましい。
溶融亜鉛めっき浴の温度は、440℃以上500℃以下が好ましい。
溶融亜鉛めっき浴には、純亜鉛に加えて、Al、Fe、MgまたはSi等を含有させてもよい。
溶融亜鉛めっき層の付着量は、ガスワイピング等を調整して所望の付着量とすることができ、片面あたり45g/m程度とすることが好ましい。
溶融亜鉛めっき処理により形成されためっき層(溶融亜鉛めっき層)は、必要に応じて、常用の合金化処理を施すことにより、合金化溶融亜鉛めっき層としてもよい。
合金化処理の温度は、460℃以上600℃以下が好ましい。
合金化溶融亜鉛めっき層とする場合、溶融亜鉛めっき浴中の有効Al濃度を、0.10質量%以上0.22質量%以下の範囲に調整することが、所望のめっき外観を確保する観点から好ましい。
電気亜鉛めっき処理としては、例えば、常用の電気亜鉛めっきラインを用いて、第2段冷延焼鈍板の表面に、所定量の電気亜鉛めっき層を形成する処理であることが好ましい。
電気亜鉛めっき層の付着量は、通板速度または電流値等を調整して所定の付着量とすることができ、片面あたり30g/m程度とすることが好ましい。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されない。
〈冷延鋼板の製造〉
下記表1に示す組成の溶鋼を、通常公知の手法により溶製し、連続鋳造して肉厚300mmのスラブ(鋼素材)とした。得られたスラブに、熱間圧延を施すことにより、熱延板を得た。得られた熱延板に、通常公知の手法により酸洗を施し、次いで、下記表2〜表3に示す圧下率で冷間圧延を施し、冷延板(板厚:1.4mm)を得た。
得られた冷延板に、下記表2〜表3に示す条件で焼鈍を施し、第2段冷延焼鈍板を得た。
焼鈍工程は、第1段焼鈍工程と第2段焼鈍工程とからなる2段階の工程とした。
第1段焼鈍工程と第2段焼鈍工程との間で、室温まで冷却した。
第1段焼鈍工程における焼鈍温度Tでの保持時間は100sとした。
第2段焼鈍工程における、焼鈍温度Tでの保持時間は100sとし、焼鈍温度Tから冷却停止温度Tへの平均冷却速度は20℃/sとし、冷却停止温度Tでの保持時間は250sとした。
一部の第2段冷延焼鈍板については、焼鈍の終了後、さらに、溶融亜鉛めっき処理を施すことにより、表面に溶融亜鉛めっき層を形成し、溶融亜鉛めっき鋼板とした。
溶融亜鉛めっき処理は、第2段冷延焼鈍板を、連続溶融亜鉛めっきラインを用いて、必要に応じて430℃以上480℃以下の範囲の温度に再加熱し、溶融亜鉛めっき浴(浴温:470℃)に浸漬し、めっき層の付着量が片面あたり45g/mとなるように調整した。浴組成はZn−0.18質量%Alとした。
このとき、一部の溶融亜鉛めっき鋼板においては、浴組成をZn−0.14質量%Alとし、めっき処理後、520℃で合金化処理を施し、合金化溶融亜鉛めっき鋼板とした。
めっき層中のFe濃度は、9質量%以上12質量%以下とした。
別の一部の第2段冷延焼鈍板については、焼鈍の終了後、さらに、電気亜鉛めっきラインを用いて、めっき付着量が片面あたり30g/mとなるように、電気亜鉛めっき処理を施し、電気亜鉛めっき鋼板とした。
下記表4〜表5においては、めっき層を形成しない第2段冷延焼鈍板を「CR」、溶融亜鉛めっき鋼板を「GI」、合金化溶融亜鉛めっき鋼板を「GA」、電気亜鉛めっき鋼板を「EG」と表記した。
以下、めっき層を形成しない第2段冷延焼鈍板、および、めっき層を形成した第2段冷延焼鈍板(溶融亜鉛めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板、および、電気亜鉛めっき鋼板)を、まとめて、「冷延鋼板」と呼ぶ。
以上のようにして、冷延鋼板を製造した。
〈評価〉
得られた冷延鋼板から、試験片を採取し、ミクロ組織観察、残留オーステナイト面積率の測定、および、引張試験を行なった。試験方法は、次のとおりとした。
《ミクロ組織観察》
まず、冷延鋼板から、ミクロ組織観察用の試験片を採取した。
次いで、採取した試験片を、圧延方向断面(L断面)で板厚の1/4に相当する位置が観察面となるように、研磨した。観察面を、腐食(1体積%ナイタール液腐食)させてから、走査型電子顕微鏡(SEM、倍率:3000倍)を用いて、30μm×35μmの視野範囲で10視野の観察を行ない、撮像してSEM画像を得た。
得られたSEM画像を用いて、画像解析により、各組織の面積率を求めた。面積率は、10視野の平均値とした。SEM画像において、フェライトおよびベイニティックフェライトは灰色、マルテンサイトおよび残留オーステナイトは白色を呈するため、その色調から、各組織を判断した。フェライトとベイニティックフェライトとを正確に区別することは難しいが、ここではこれらの組織の総和が重要であるため、特に各組織を区別せず、フェライトおよびベイニティックフェライトの総和の面積率を求めた。
白色を呈する組織の面積率から、別途X線回折により求めた残留オーステナイトの面積率を差し引き、マルテンサイトの面積率とした。X線回折により求めたオーステナイトの体積率は、面積率と等しいものとして扱った。
さらに、試験片を、圧延方向断面(L断面)で板厚の1/4に相当する位置が観察面となるように、コロイダルシリカ振動研磨により研磨した。観察面は鏡面とした。次いで、極低加速イオンミリングにより、研磨歪による観察面の加工変態相を除去した後、電子線後方散乱回折(EBSD)測定を実施し、局所結晶方位データを得た。このとき、SEM倍率は1500倍、ステップサイズは0.04μm、測定領域は40μm平方、WDは15mmとした。解析ソフト:OIM Analysis 7を用いて、得られた局所方位データの解析を行なった。解析は、3視野について行ない、その平均値を用いた。
データ解析に先立ち、解析ソフトのGrain Dilation機能(Grain Tolerance Angle:5°、Minimum Grain Size:5、Single Iteration:ON)、および、Grain CI Standarization機能(Grain Tolerance Angle:5°、Minimum Grain Size:5)によるクリーンアップ処理を順に1回ずつ施した。その後、CI値>0.1の測定点のみを用いて解析に使用した。
fcc相のデータについて、Grain Shape Aspect RatioチャートのArea Fractionを用いて解析を行ない、残留オーステナイトのうち、アスペクト比が0.5以下である残留オーステナイトの割合(面積率)を求めた。以上の解析において、Grain shape calculation methodは、Method 2を用いた。
さらに、bcc相のデータについて、ハイライト機能を用いて、同一Bainグループに属する領域を同じ色で着色した後、先に求めたアスペクト比が0.5以下である残留オーステナイトのうち、異なる色で着色された領域の境界、すなわち、Bainグループ境界(旧オーステナイト粒界を含む)に存在するものの割合を、面積率で求めた。
《残留オーステナイト面積率の測定》
冷延鋼板から、X線回折用の試験片を採取し、板厚の1/4に相当する位置が測定面となるように、研削および研磨を行ない、X線回折法により、回折X線強度から残留オーステナイトの体積率を求めた。入射X線は、CoKα線を用いた。
残留オーステナイトの体積率の計算に際しては、fcc相(残留オーステナイト)の{111}、{200}、{220}および{311}面、ならびに、bcc相の{110}、{200}および{211}面のピークの積分強度の全ての組み合わせについて強度比を計算し、それらの平均値を求め、残留オーステナイトの体積率を算出した。
このようにして求めたオーステナイトの体積率を、面積率とした。
《引張試験》
冷延鋼板から、圧延方向に対して垂直な方向(C方向)を引張方向とするJIS5号引張試験片(JIS Z 2001)を採取し、JIS Z 2241の規定に準拠した引張試験を行ない、引張強さ(TS)および伸び(El)を測定した。合計5回の引張試験を行ない、その測定結果の平均値をTSおよびElの値とした。
(強度)
TSが1320MPa以上である場合を、高強度と評価した。
(延性)
TSが1320MPa以上1460MPa未満であるときはElが15%以上の場合、TSが1460MPa以上であるときはElが13%以上の場合、高延性(延性が良好である)と評価した。
(延性の異方性)
さらに、冷延鋼板から、圧延方向と平行な方向(L方向)を引張方向とするJIS5号引張試験片(JIS Z 2001)、および、圧延方向に対して45°の方向(D方向)を引張方向とするJIS5号引張試験片(JIS Z 2001)を採取し、JIS Z 2241の規定に準拠した引張試験を行ない、伸び(El)を測定した。合計5回の引張試験を行ない、その測定結果の平均値をElの値とした。
得られた伸び(El)から、下記式(X)で定義されるΔElを算出し、伸びの異方性を評価した。
ΔEl=|(El+El−2El)/2| ・・・ (X)
(式(X)中、ΔEl:伸びの異方性(単位:%)、El:L方向の伸び(単位:%)、El:C方向の伸び(単位:%)、El:D方向の伸び(単位:%))
TSが1320MPa以上1460MPa未満であるときはΔElが7%以下の場合、TSが1460MPa以上であるときはΔElが5%以下の場合、延性の異方性が小さいと評価した。
図2は、表4〜表5の結果の一部をプロットしたグラフである。より詳細には、図2は、残留オーステナイトのうち、アスペクト比が0.6以下であるものの割合と、アスペクト比が0.6以下である残留オーステナイトのうち、Bainグループ境界に存在するものの割合とが、伸びの異方性に及ぼす影響を示すグラフである。
図2のグラフから分かるように、アスペクト比が0.6以下である残留オーステナイトの割合が70%以上であり、かつ、アスペクト比が0.6以下である残留オーステナイトのうちBainグループ境界に存在するものの割合が50%以上である場合においてのみ、伸びの異方性が低い鋼板が得られている。
表1〜表5および図2から明らかなように、本発明例の冷延鋼板は、いずれも、引張強さ(TS)が1320MPa以上の高強度を有し、かつ、高延性を兼備し、さらに、延性の異方性が小さい。
これに対して、比較例においては、上記特性のいずれかが不十分であった。
B1、B2、B3:Bainグループ
RA、RA:残留オーステナイト

Claims (5)

  1. 質量%で、
    C:0.18%超0.45%以下、
    Si:0.50%以上2.50%以下、
    Mn:2.50%超4.00%以下、
    P:0.050%以下、
    S:0.0100%以下、
    Al:0.010%以上0.100%以下、および、
    N:0.0100%以下を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、
    前記組成のCおよびMnが、質量%で、下記式(1)を満足し、
    ミクロ組織において、フェライトおよびベイニティックフェライトの面積率の総和が10%以上50%以下であり、残留オーステナイトの面積率が15%超50%以下であり、かつ、マルテンサイトの面積率が15%超60%以下であり、
    残留オーステナイトのうち、アスペクト比が0.6以下であるものの割合が、面積率で70%以上であり、
    アスペクト比が0.6以下である残留オーステナイトのうち、Bainグループ境界に存在するものの割合が、面積率で50%以上である、高強度冷延鋼板。
    7.5×C+Mn≧5.0 ・・・ (1)
    ただし、式(1)中、CおよびMnは、各元素の含有量を示す。
  2. 前記組成が、さらに、質量%で、
    Ti:0.005%以上0.035%以下、
    Nb:0.005%以上0.035%以下、
    V:0.005%以上0.035%以下、
    Mo:0.005%以上0.035%以下、
    B:0.0003%以上0.0100%以下、
    Cr:0.05%以上1.00%以下、
    Ni:0.05%以上1.00%以下、
    Cu:0.05%以上1.00%以下、
    Sb:0.002%以上0.050%以下、
    Sn:0.002%以上0.050%以下、
    Ca:0.0005%以上0.0050%以下、
    Mg:0.0005%以上0.0050%以下、および、
    REM:0.0005%以上0.0050%以下からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む、請求項1に記載の高強度冷延鋼板。
  3. 表面にめっき層を有する、請求項1または2に記載の高強度冷延鋼板。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の高強度冷延鋼板を製造する方法であって、
    請求項1または2に記載の組成を有する鋼素材に、熱間圧延を施すことにより、熱延板を得る熱間圧延工程と、
    前記熱延板に酸洗を施す酸洗工程と、
    前記酸洗が施された前記熱延板に、圧下率30%以上の冷間圧延を施すことにより、冷延板を得る冷間圧延工程と、
    前記冷延板を、Ac点以上950℃以下の焼鈍温度Tで加熱し、前記焼鈍温度Tから、10℃/s超の平均冷却速度で、250℃以上350℃未満の冷却停止温度Tまで冷却し、前記冷却停止温度Tで10s以上保持することにより、第1段冷延焼鈍板を得る第1段焼鈍工程と、
    前記第1段冷延焼鈍板を、680℃以上820℃以下の焼鈍温度Tで加熱し、前記焼鈍温度Tから、300℃以上500℃以下の冷却停止温度Tまで冷却することにより、第2段冷延焼鈍板を得る第2段焼鈍工程と、
    を備える高強度冷延鋼板の製造方法。
  5. 前記第2段冷延焼鈍板に、溶融亜鉛めっき処理、溶融亜鉛めっき処理および合金化処理、または、電気亜鉛めっき処理を施すめっき工程をさらに備える、請求項4に記載の高強度冷延鋼板の製造方法。
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