JPWO2011135997A1 - 動的強度に優れた複相熱延鋼板およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は中歪速度域強度が向上された複相熱延鋼板及びその製造方法に関する。本発明に係る複相熱延鋼板は,質量%で,C:0.07〜0.2%,Si+Al:0.3〜1.5%,Mn:1.0〜3.0%,P:0.02%以下,S:0.005%以下,Cr:0.1〜0.5%及びN:0.001〜0.008%を含有し,さらに,Ti:0.002〜0.05%及びNb:0.002〜0.05%以下の1種又は2種を含有し,残部がFe及び不純物からなる化学組成を有し,フェライトの面積分率が7〜35%,フェライトの粒径が0.5〜3.0μmの範囲及びフェライトのナノ硬さが3.5〜4.5GPaの範囲にあり,フェライト以外の残部である第2相がベイニティックフェライト及び/又はベイナイトとマルテンサイトとを含み,第2相の平均ナノ硬さは5〜12GPaであり,第2相は8〜12GPaの高硬質相を組織全体に対する面積分率として5〜35%含有する。

Description

本発明は、動的強度、特に歪速度が30/s以上500/s以下の歪速度域での動的強度(以下、「中歪速度域強度」ともいう。)が向上された複相熱延鋼板およびその製造方法に関する。
近年、地球環境保護の観点から、自動車からのCO排出量の低減の一環として、自動車の車体の軽量化が求められている。軽量化によって車体に求められる強度が低下することは許されないため、自動車用鋼板の高強度化が進んでいる。
一方、自動車の衝突安全性確保に対する社会的要求も高くなっている。このため、自動車用鋼板に求められる特性は、単に強度が高いだけでなく、走行中に万一衝突した場合において耐衝撃性に優れること、すなわち高歪速度で変形した場合に高い変形抵抗をも有することが望まれており、これらの要望を満たす鋼板の開発が検討されてきている。
一般に、鋼板の動的応力の静的応力に対する差(以下、本発明において、「静動差」ともいう。)は軟鋼による鋼板で大きく、鋼板強度の上昇とともに減少することが知られている。高強度を有しつつ静動差が大きい複相組織鋼板として、低合金TRIP鋼板が例示される。
そのような鋼板の具体例として、特許文献1には、質量%にて、Cを0.04〜0.15%、SiとAlの一方または双方を合計で0.3〜3.0%含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、主相であるフェライトと、3体積%以上のオーステナイトを含む第2相からなる複合組織を有し、オーステナイト相の初期体積率V(0)と、相当ひずみにして10%の変形を加えたときのオーステナイト相の体積率V(10)の比V(10)/V(0)が0.3以上となる性質を有する鋼板に対し、調質圧延とテンションレベラの一方又は双方による予変形を、塑性変形量Tを下記式(A)に従って加えたのちの鋼板であって、(A)式による予変形を加えたのち、5×10−4〜5×10−3(s−1)のひずみ速度で変形したときの準静的変形強度σsと、5×10〜5×10(s−1)のひずみ速度で変形したときの動的変形強度σdとの差(σd−σs)が60MPa以上であることを特徴とする動的変形特性に優れた加工誘起変態型高強度鋼板(TRIP鋼板)が開示されている。
0.5[{(V(10)/V(0))/C}-3]+15≧T≧0.5[{(V(10)/V(0))/C}-3]・・・(A)。
一方、第2相がマルテンサイトを主体とする複相鋼板の一例として、特許文献2には、微細なフェライト粒からなり、結晶粒径が1.2μm以下のナノ結晶粒の平均粒径dsと、結晶粒径が1.2μmを超えるミクロ結晶粒の平均結晶粒径dLをdL/ds≧3を満足する、強度と延性バランスが優れ、且つ、静動差が170MPa以上である高強度鋼板が開示されている。当該文献において、静動差とは、歪速度0.01/sで得られる静的変形応力と歪速度1000/sで引張試験を実施して得られる動的変形応力の差で定義されている。しかしながら、歪速度が0.01/s超1000/s未満の中間歪速度域での変形応力について、特許文献2は何も開示していない。
特許文献3には、平均粒径が3μm以下のマルテンサイトと平均粒径が5μm以下のフェライトの2相組織からなり、静動比が高い鋼板が開示されている。当該文献において、静動比は歪速度10−3/sで得られる静的降伏応力に対する歪速度10/sで得られる動的降伏応力の比で定義されている。しかしながら、歪速度が0.01/s超1000/s未満の歪速度域における静動差については開示されていない。また、特許文献3に開示される鋼板の静的降伏応力は、31.9kgf/mm〜34.7kgf/mmと低い。
特許第3958842号公報 特開平2006−161077号公報 特開2004−84074号公報
上記のような従来技術に係る鋼板には下記のような問題点がある。
フェライトを主相とし、第2相がマルテンサイトである高強度複相鋼板では、成形性と衝撃吸収特性の両立は困難である。
自動車用衝突部材として使用される場合、歪速度が30/s以上500/s以下の歪速度域での動的強度、すなわち中歪速度域強度での向上が要求される。しかしながら、従来技術開発では、静動差や静動比は、歪速度≧500/sの高歪速度域で得られる動的降伏応力や動的引張強度などの動的応力を、準静的な降伏応力や引張強度などにより規定される静的応力と対比することで評価されてきた。これは、従来、中歪速度域強度を高めるための手段は提供されていなかったためである。
そこで、動的強度、特に中歪速度域強度が向上された複相熱延鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、高強度複相鋼板の動的強度、特に中歪速度域強度を高めるための方法について種々検討を行った。その結果、以下の知見が得られた。
(1)中歪速度域強度を高めるためには、静的強度および静動差の両者を向上させる必要がある。
(2)硬質マルテンサイトは静的強度の向上に有効である。しかしながら、硬質マルテンサイトの面積分率が増すと所望の静動差は得られない。
(3)フェライトの面積分率を増加させれば静動差は向上する。しかしながら、フェライトの面積分率が増加すると、静的強度は低下するので、所望の動的強度は得られない。
(4)フェライトの静的強度を強化する手段の一つが固溶強化である。比較的高温で生ずるフェライトには合金元素(たとえば、C、Si、MnおよびCr)が固溶して、フェライト自体の静的強度を強化することが可能である。
(5)結晶粒の微細化によって静的強度は向上する。
(6)低温変態相の中で、ベイニティックフェライトおよびベイナイトは動的強度および静動差の向上に有効である。
(7)ベイニティックフェライト中またはベイナイト中の炭化物の生成を抑制することにより、静動差が更に向上する。
(8)SiおよびCrの微量添加によりベイニティックフェライトおよびベイナイトそれぞれに含有される炭化物に生成が抑制される。
(9)熱延プロセスにおいて、仕上圧延のパス間時間を制御し、仕上圧延後の冷却条件を最適化することによりフェライトの微細化が可能となる。
これらの知見に基づき、フェライトの面積分率を高めて静動差を高めつつ、フェライトの固溶強化や結晶粒の微細化により静的強度を向上させ、さらに、第2相として、静的強度を高めることが可能なマルテンサイトのみならず、化学組成の制御により炭化物の生成が抑制されたベイナイトおよび/またはベイニティックフェライトをも存在させることで、静的強度および静動差が高度に向上された鋼板を得ることが可能であることを知得した。
上記の知見に基づき提供される本発明の一態様は、質量%で、C: 0.07%以上0.2%以下、Si+Al:0.3%以上1.5%以下、Mn:1.0%以上3.0%以下、P:0.02%以下、S:0.005%以下、Cr:0.1%以上0.5%以下、N:0.001%以上0.008%以下を含有し、さらに、Ti:0.002%以上0.05%以下およびNb:0.002%以上0.05%以下の1種または2種を含有し、残部がFeおよび不純物からなる化学組成を有し、フェライトの面積分率が7%以上35%以下、フェライトの粒径が0.5μm以上3.0μm以下の範囲、およびフェライトのナノ硬さが3.5GPa以上4.5GPa以下の範囲にあり、フェライト以外の残部である第2相がベイニティックフェライトおよびベイナイトから選ばれた少なくとも一つとマルテンサイトとを含み、第2相の平均ナノ硬さは5GPa以上12GPa以下であり、第2相は8GPa以上12GPa以下の高硬質相を組織全体に対する面積分率として5%以上35%以下含有することを特徴とする複相熱延鋼板である。
上記の化学組成が、さらに、質量%で、V:0.2%以下、Cu:0.2%以下、Ni:0.2%以下およびMo:0.5%以下からなる群から選ばれる1種または2種以上を含有していてもよい。
本発明の他の一態様は、質量%で、C: 0.07%以上0.2%以下、Si+Al:0.3%以上1.5%以下、Mn:1.0%以上3.0%以下、P:0.02%以下、S:0.005%以下、Cr:0.1%以上0.5%以下、N:0.001%以上0.008%以下を含有し、さらに、Ti:0.002%以上0.05%以下およびNb:0.002%以上0.05%以下の1種または2種を含有し、残部がFeおよび不純物からなる化学組成を有するスラブを熱間連続圧延して熱延鋼板を製造する複相熱延鋼板の製造方法であって、次の工程を備える:
最終仕上圧延において、800℃以上900℃以下の温度で、パス間時間0.15秒間以上2.7秒間以下で前記スラブを圧延して鋼板とすることを備える仕上圧延工程;
仕上圧延工程により得られた鋼板を、600℃/秒以上の冷却速度で0.4秒間以内に700℃以下まで冷却することを備える第1の冷却工程;
冷却工程を経た鋼板を570℃以上700℃以下の温度範囲で0.4秒間以上保持することを備える保持工程;および
保持工程を経た鋼板を20℃/秒以上120℃/秒以下の冷却速度で430℃以下まで冷却することを備える第2の冷却工程。
上記の化学組成が、さらに、質量%で、V:0.2%以下、Cu:0.2%以下、Ni:0.2%以下およびMo:0.5%以下からなる群から選ばれる1種または2種以上を含有していてもよい。
本発明によれば、30/s以上500/s以下の歪速度域の領域においても静動差が大きい高張力熱延鋼板を安定して提供することができ、自動車用部材等に適用すればそれらの製品の衝突安全性を一段と改善することが期待されるなど、産業上、極めて有効な効果がもたらされる。
静動比指数の歪み速度依存性を示すグラフである。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において、鋼の化学組成における元素の含有量を示す「%」は特に断りがない限り「質量%」を意味する。
1.金属組織
(1)フェライトの含有量
フェライトは静動差を大きくする。さらに、複相組織鋼においては延性を向上させる。フェライトが面積分率で7%未満では所望の静動差が得られない。一方、フェライト量が面積分率で35%を超えると静的強度が低下する。したがって、フェライトの含有量は、面積分率で7%以上35%以下とする。フェライトは初析フェライトであることが好ましい。
なお、面積分率の測定は次のように行うことが好ましい。対象となる熱延鋼板を圧延方向と平行な方向に切断し、圧延面から板厚方向に板厚の1/4の深さ中心側の部分(以下、「1/4板厚部」)における切断面を公知の方法により研摩して評価試料を得る。得られた評価試料をSEM(走査電子顕微鏡)などにより観察して、視野内のフェライトを特定する。特定されたフェライトの面積の総和を視野面積で除してフェライトの面積分率を求める。得られた面積分率の数値の信頼性を確保する観点から、複数の評価試料で同様の測定を行って面積分率を求め、得られた面積分率の平均値をその鋼板のフェライトの含有量とすることが好ましい。
(2)フェライトの粒径
静的強度を高めるためには、フェライト結晶粒の微細化が必要である。フェライト粒径が3.0μmを超えると所望の強度が得られない。したがって、フェライト粒径の上限は3.0μmとする。フェライト粒径はできるだけ微細であることが望ましい。しかしながら、現実的にはフェライトの粒径を安定的に0.5μm未満にすることは困難であり、工業的レベルでは実質的に不可能である。したがって、フェライト粒径の下限は0.5μmとする。
なお、フェライトの粒径の測定は次のように行うことが好ましい。上記の要領で得られた評価試料をSEMなどで観察する。観察視野における複数のフェライトを任意に選択し、これらの粒径を円換算直径として求め、その平均値をフェライトの粒径とする。得られたフェライトの粒径の数値(円換算直径の平均値)の信頼性を確保する観点から、一視野内における測定数は可能な限り多いことが好ましい。また、複数の評価試料で同様の測定を行い、得られた複数の円換算直径の平均値を平均して、その鋼板のフェライトの粒径とすることが好ましい。
(3)フェライトのナノ硬さ
高強度化の観点から、フェライトの固溶強化が必要である。本発明において、フェライトの硬さはナノインデンテーション法を用いて評価し、バーコビッチ型圧子で、荷重500μNを付加したときに得られるナノ硬さを指標とする。フェライトのナノ硬さが3.5GPa以下では十分な強度が得られない。一方、フェライトのナノ硬さは高ければ高いほどいいが、合金元素の固溶限があるため、ナノ硬さが4.5GPaを超えることはない。したがって、フェライトのナノ硬さは3.5GPa以上、4.5GPa以下とする。
なお、ナノ硬さの測定をナノインデンテーション法にて行うに当たり、試料の作製は次のようにして行えばよい。測定対象となる熱延鋼板を圧延方向と平行な方向に切断する。得られた切断面を公知の方法により加工層が除去されるように研摩して評価試料を得る。研摩は機械研摩、メカノケミカル研摩、および電解研摩を組み合わせることが好ましい。
(4)フェライト以外の相
フェライト以外の残部の相、すなわち第2相は硬質相からなる。硬質相として、ベイニティックフェライト、マルテンサイト、オーステナイトなどが一般に例示される。本発明に係る鋼板の第2相は、ベイニティックフェライトおよびベイナイトから選ばれた少なくとも一つ(以下、「ベイニティックフェライトおよび/またはベイナイト」という。)と、マルテンサイトとを含む。
マルテンサイトは静的強度の向上に大きく寄与する。また、ベイニティックフェライトおよび/またはベイナイトは動的強度ならびに静動差の向上に大きく寄与する。マルテンサイトはベイニティックフェライトおよびベイナイトのいずれよりも硬度が高い。第2相の平均硬度はこれらの相の割合で決まる。これを利用して、第2相の平均ナノ硬さを調節する。第2相の平均ナノ硬さを5GPa以上12GPa以下とする。第2相の平均ナノ硬さが5GPa未満では高強度化に寄与しない。一方、12GPa超になると静動差が低下する。
第2相における主成分がベイネティックフェライトおよび/またはベイナイトであること、すなわち第2相全体に対するベイネティックフェライトおよび/またはベイナイトの面積分率が50%超となることが好ましく、70%以上となることがさらに好ましい。第2相にはこの他に残留オーステナイトが含まれていてもよい。
(5)高硬質相の含有量およびナノ硬さ
硬質相からなる第2相において硬度が相対的に高い相(高硬質相)は静的強度の向上に寄与する。特にナノ硬さが8GPa以上12GPa以下の相は静的強度の向上に大きく寄与する。そこで、本発明では、第2相においてナノ硬さが8GPa以上12GPa以下の相を高硬質相と定義する。この高硬質相の含有量が組織全体に対する面積分率で5%未満では高強度が得られない。一方、この高硬質相は静動差を低下させ、組織全体に対する面積分率で35%を超えて含有させると、所望の動的強度が得られない。よって、高硬質相の含有量は組織全体に対する面積分率で5%以上35%以下とする。なお、第2相においてナノ硬さが8GPa以上12GPa以下の相は主としてマルテンサイトからなる。また、第2相においてナノ硬さが4.5GPa超、8GPa未満の相は主としてベイニティックフェライトからなる。
2.鋼の化学組成
(1)C:0.07%以上0.2%以下
C含有量を適正な範囲に制御することにより、フェライト、マルテンサイト、ベイニティックフェライト、およびベイナイトの含有量が適切に調整される。これらの調整が適切に行われることにより、鋼板における静的強度および静動差が適切な範囲に確保される。すなわち、C含有量が0.07%未満では、フェライトの固溶強化が不十分であるうえに、ベイニティックフェライト、マルテンサイトおよびベイナイトが得られないので所定の強度が得られない。一方、C含有量が0.2%を超えると高硬質相が過剰に生成して、静動差を低下させる。よって、C含有量の範囲は、0.07%以上0.2%以下とする。C含有量の下限は0.10%以上が好ましく、0.12%以上がより好ましい。C含有量の上限は0.18%以下が好ましく、0.16%以下がより好ましい。
(2)Si含有量およびAl含有量の総和:0.3%以上1.5%以下
Si含有量およびAl含有量の総和(本発明において「Si+Al」と表示する場合もある。)は、熱延および熱延後の冷却過程で生成する変態相の量や硬さに影響を及ぼす。具体的には、Si、Alは、ベイネティックフェライトおよび/またはベイナイトに含有される炭化物の生成を抑制して静動差を向上させる。また、Siは固溶強化作用も有する。上記観点から、Si+Alは0.3%以上とする。ただし、過度に添加しても上記効果は飽和し、かえって鋼を脆化させる。このため、Si+Alは1.5%以下とする。Si+Alは1.0%未満とすることが好ましい。また、Si含有量の下限は0.3%以上が好ましく、Si含有量の上限は0.7%以下が好ましい。Al含有量の下限は0.03%以上が好ましく、Al含有量の上限は0.7%以下が好ましい。
(3)Mn:1.0%以上3.0%以下
Mnは鋼の変態挙動に影響を及ぼす。したがって、Mn含有量を制御することにより、熱延および熱延後の冷却過程で生成する変態相の量や硬さが制御される。すなわち、Mn含有量が1.0%未満では、ベイニティックフェライト相やマルテンサイト相の生成量が少なく、所望の強度と静動差が得られない。3.0%を超えて添加すると、マルテンサイト相の量が過剰になり、かえって動的強度が低下する。よって、Mn含有量の範囲は、1.0%以上、3.0%以下とする。Mn含有量の下限は1.5%以上が好ましい。Mn含有量の上限は2.5%以下が好ましい。
(4)P:0.02%以下、S:0.005%以下
P、Sは不可避的不純物として鋼中に存在する。P含有量およびS含有量が多いと高速変形下で脆性破壊が生じ得る。これを抑制するため、P含有量を0.02%以下に、S含有量を0.005%以下に制限する。
(5)Cr:0.1%以上0.5%以下
Cr含有量は熱延および熱延後の冷却過程で生成する変態相の量や硬さに影響を及ぼす。具体的には、Crは、ベイニティックフェライト量を確保するのに有効な作用がある。また、ベイニティックフェライト中の炭化物の析出を抑制する。また、Cr自体、固溶強化作用を有する。このため、Crの含有量が0.1%未満では、所望の強度が得られない。一方、0.5%を超えて含有させても上記効果は飽和し、かえってフェライト変態を抑制する。したがって、Cr含有量は0.1%以上0.5%以下とする。
(6)N:0.001%以上0.008%以下
NはTiおよびNbと窒化物を生成し、結晶粒の粗大化を抑制する。Nの含有量が0.001%未満では、スラブ加熱時に結晶粒の粗大化が生じ、熱間圧延後の組織も粗大化する。一方、Nの含有量が0.008%を超えると、粗大な窒化物が生成するため、延性に悪影響を及ぼす。よって、N量の含有量は、0.001%以上0.008%以下とする。
(7)Ti:0.002%以上0.05%以下
Tiは窒化物および炭化物を形成する。後述するNbも同様に窒化物および炭化物を形成する。このため、NbおよびTiからなる群から選ばれる少なくとも一種を含有させる。生成したTiNは、結晶粒の粗大化防止に有効である。またTiCは静的強度を向上させる。しかしながら、Tiの含有量が0.002%未満では上記の効果が得られない。一方、0.05%を超えてTiを含有させると粗大な窒化物が生成して延性が低下する上に、フェライト変態を抑制する。よって、Tiを含有させる場合には、その含有量は0.002%以上0.05%以下とする。
(8)Nb:0.002%以上0.05%以下
NbはTiと同様に窒化物および炭化物を形成する。形成された窒化物はTi窒化物と同様に、オーステナイト相の結晶粒の粗大化防止に有効である。さらに、Nb炭化物は、フェライト相の結晶粒の粗大化防止や静的強度の向上に寄与する。さらには、固溶したNbも静的強度の向上に寄与する。しかし、0.002%未満では上記の効果は得られない。0.05%を超えて添加するとフェライト変態を抑制する。よって、Nbを添加する場合には、その含有量は0.002%以上0.05%以下とする。Nbを添加する場合のNb含有量の下限は0.004%以上が好ましい。Nb含有量の上限は0.02%以下が好ましい。
(9)V:0.2%以下
Vの炭窒化物は、低温オーステナイト域でオーステナイト相の結晶粒の粗大化防止に有効である。さらに、Vの炭窒化物は、フェライト相の結晶粒の粗大化防止に寄与する。したがって、本発明に係る鋼板は、Vを必要に応じて含有する。しかしながら、含有量が0.01%未満では上記の効果を安定的に得られない。一方、0.2%を超えて添加すると、析出物が増加し、静動差が小さくなる。よって、Vを添加する場合には、その含有量は0.01%以上0.2%以下とすることが好ましく、0.02%以上0.1%以下とすることがさらに好ましい。V含有量の下限は0.02%以上がより好ましい。V含有量の上限は0.1%以下がより好ましい。
(10)Cu:0.2%以下
Cuは、析出強化や固溶強化により鋼板の強度を一層向上させる作用を有する。したがって、本発明に係る鋼板はCuを必要に応じて含有してもよい。しかしながら、0.2%を超えてCuを添加すると加工性の低下が著しくなる。また、上記の効果を安定的に得る観点からCu含有量を0.02%以上とすることが好ましい。よって、Cuを添加する場合にはその含有量を0.2%以下とするべきであり、0.02%以上0.2%以下とすることが好ましい。
(11)Ni:0.2%以下
Niも析出強化や固溶強化により鋼板の強度を一層向上させる作用を有する。したがって、本発明に係る鋼板は、Niを必要に応じて含有してもよい。しかしながら、0.2%を超えてNiを添加すると加工性の低下が著しくなる。また、上記の効果を安定的に得る観点からNi含有量を0.02%以上とすることが好ましい。よって、Niを添加する場合にはその含有量を0.2%以下とするべきであり、0.02%以上0.2%以下とすることが好ましい。
(12)Mo:0.5%以下
Moは、炭化物または窒化物として析出し、鋼板の強度を高める作用を有する。また、これらの析出物は、オーステナイトやフェライトの粗大化を抑制し、フェライト結晶粒の微細化を促進する作用も有する。さらに、高温の熱処理を施す場合には粒成長を抑制する作用も有する。したがって、本発明に係る鋼板は、Moを必要に応じて含有してもよい。しかしながら、0.5%を超えてMoを添加すると、熱間圧延に供する前の段階において粗大な炭化物または窒化物が鋼中に多量に析出してしまい、熱延鋼板の加工性の劣化を招く。また、多量の炭化物や窒化物の析出により歪時効硬化特性が低下する。さらに、上記の効果を安定的に得る観点からMo含有量を0.02%以上とすることが好ましい。よって、Moを添加する場合にはその含有量を0.5%以下とするべきであり、0.02%以上0.5%以下とすることが好ましい。
3.製造方法
本発明に係る熱延鋼板は、上記の金属組織と化学組成とを有していることにより、高い静的強度のみならず優れた静動差を広い範囲の歪速度領域にわたって安定的に得ることが可能である。本発明に係る熱延鋼板の製造方法は特に限定されないが、以下の圧延条件を有する熱間圧延工程を備える製造方法を採用することにより、本発明に係る熱延鋼板を安定的に製造することが達成される。
本発明に係る製造方法は次の工程を備える:
最終仕上圧延において、800℃以上900℃以下の温度で、パス間時間0.15秒間以上2.7秒間以下で前記スラブを圧延して鋼板とすることを備える仕上圧延工程、
仕上圧延工程により得られた鋼板を、600℃/秒以上の冷却速度で0.4秒間以内に700℃以下まで冷却することを備える第1の冷却工程、
冷却工程を経た鋼板を570℃以上700℃以下の温度範囲で0.4秒間以上保持することを備える保持工程、および
保持工程を経た鋼板を20℃/秒以上120℃/秒以下の冷却速度で430℃以下まで冷却することを備える第2の冷却工程。
本発明に係る熱延鋼板の製造方法は、熱間での多パス圧延時の加工熱処理により細粒組織を得る。仕上圧延工程での最終仕上げ圧延の温度・パス間時間を調整し、第1の冷却工程において、0.4秒間以内に600℃/秒以上の冷却速度で急速急冷することでオーステナイトの再結晶を抑制しフェライト粒径が3.0μm以下となる細粒組織を得られる。
保持工程ではフェライト変態温度域での保持が行われるため、上記の工程により生成された加工オーステナイトからフェライト変態が行われる。フェライト変態に必要な温度は570〜700℃であり、その時間は0.4秒間以上である。
その後、第2の冷却工程を実施することにより、フェライト変態しなかった残部をベイニティックフェライトおよび/またはベイナイトとマルテンサイトとからなる複相に変態させる。具体的には、20℃/秒以上120℃/秒以下の冷却速度で430℃以下まで冷却する。好ましくは50℃/秒以上100℃/秒未満の冷却速度で300℃以下まで冷却する。
4.機械特性
以上のように得られた熱延鋼板は、優れた動的強度特性を有する。具体的には歪速度が30/秒以上の歪速度域で優れた動的強度特性を有する。一部の熱延鋼板では10/秒以上の歪速度域で優れた動的強度特性を有する。
本発明では、動的強度は、下記(1)式に示す鋼板の静動比と歪速度の関係から評価される。
なお、(1)式は材料強度の歪速度依存性を考慮するための代表的なモデルであるCowper−Symondsモデルの構成式((2)式)に対し、動的引張強度および静的引張強度に対しても(3)式に類似する関係が成立することを知見し、(3)式のように(2)式を整理した上で定数を決定したものである。
(1)式左辺は静動比(σ/σ0)を指数化したもの(以下、「静動比指数」という。)であり、静動比(σ/σ0)が大きいほど、静動比指数も大きくなる。一般に歪速度が大きくなると静動比は高くなり、静動比の増大に伴い静動比指数も大きくなる。静動比指数と歪速度の関係を調査したところ、静動比の高い鋼板は歪速度の増加に対して静動比指数の増加率が大きいことが判明した。
そこで発明者らはこれに着目し両者の関係を詳細に調査した。その結果、(1)式を満足する鋼板は、自動車の走行中の衝突を仮想した場合に対応する歪速度30/秒以上の歪速度域、あるいは一部の熱延鋼板ではさらに低歪速度側を含む歪速度10/秒以上の歪速度域で高い静動比を有する鋼板であると判別できることが分かった。
上記の知見に基づき、本発明において、静動差が大きい熱延鋼板か否かの判別は、(1)式を用いて行った。即ち、本発明に係る熱延鋼板は(1)式を歪速度が30/秒以上の歪速度域において満足する熱延鋼板である。
表1に示す化学成分を有する鋼種A〜Jからなるスラブ(厚さ35mm、幅160〜250mm、長さ70〜90mm)を用いて実験を行った。鋼種A〜C,E,F,H〜Jは本発明に係る上記の化学組成の範囲内にある化学組成を有する鋼である。鋼D,Gは本発明に係る上記の化学組成の範囲外にある化学組成を有する鋼である。
いずれの鋼も150kgを真空溶製後、炉内温度1250℃で加熱した後、900℃以上の温度で熱間鍛造を行いスラブとした。いずれのスラブも1250℃で1時間以内の再加熱後、4パスの粗圧延を経た後、3パスの仕上圧延を施した。熱間圧延後のサンプル鋼板の厚さは1.6〜2.0mmであった。熱間圧延および冷却条件は表2に示す。
試験番号1,2,5〜9,12〜14の鋼板は本発明に係る製造方法により製造したものである。試験番号3の鋼板の製造方法では、仕上圧延工程ならびに第1および第2の冷却工程が本発明に係る条件では実施されなかった。
試験番号4の鋼板の製造方法では、圧延終了後700℃以下に冷却されるまでの時間および第2の冷却工程が本発明に係る条件では実施されなかった。
試験番号10の鋼板の製造方法では、圧延終了後700℃以下に冷却されるまでの時間および第2の冷却工程が本発明に係る条件では実施されなかった。
試験番号11の鋼板の製造方法では、圧延終了後700℃以下に冷却されるまでの時間および第1の冷却工程以降の工程が本発明に係る条件では実施されなかった。
上記の製造方法により得られたサンプル鋼板の金属組織の評価結果ならびに静的引張強度および静動比の評価結果を表3に示す。各評価方法は以下のとおりである。
なお、表1から3における下線を付した数値および第2相の組織構成は、本発明の範囲外であることを示している。
各相の含有比率およびナノ硬さの評価は、サンプル鋼板の圧延方向に平行な断面における、1/4板厚部について、それぞれ下記の測定を行うことにより実施した。
フェライトおよび硬質相のナノ硬さは、ナノインデンテーション法によって求めた。用いたナノインデンテーション装置はHysitron社製[Triboscope]であった。サンプル鋼板の1/4板厚部の断面をエメリー紙で研磨後、コロイダルシリカにてメカノケミカル研磨を行い、さらに電解研磨することにより加工層が除去された断面を得た。この断面を試験に供した。ナノインデンテーションは先端角度が90°のBerkovich(バーコビッチ)型圧子を用い、室温、大気雰囲気下で、押し込み荷重500μNで行った。各相について、ランダムに20点測定し、それぞれ最小ナノ硬さ、最大ナノ硬さ、および平均値を求めた。
フェライトの面積分率および粒径は、走査電子顕微鏡を用いて1/4板厚部の断面を倍率3000倍で観察し、得られた2次元画像から求めた。具体的には、得られた画像内におけるフェライトを特定し、それらの面積を測定し、フェライトによる面積の総和を画像全体の面積で除して面積分率とした。また、特定されたフェライトは個別に画像解析を行い、円換算直径を求め、それらの平均値をフェライトの粒径とした。
ナノ硬さが8〜12GPaの高硬質相の面積分率は以下のようにして求めた。
任意に抽出した10μm×10μmの範囲内をナノインデンテーション装置が持つ原子間力顕微鏡で観察し、2次元画像を得た。得られた2次元画像において見られる結晶のコントラストの相違によりその結晶がフェライトであるか第2相であるかは識別可能であるから、得られた画像に基づき、第2相である結晶を特定した。第2相であると特定されたすべての結晶について、ナノインデンテーションで硬さを測定した。測定された結晶のうち、ナノ硬さが8〜12GPaであるものを高硬質相であると判定した。高硬質相であると判定された結晶の面積の総和から高硬質相の面積分率を求めた。
静的引張強度および動的強度は検力ブロック式材料試験機を用いて測定した。試験片のサイズは、ゲージ幅2mm、ゲージ長4.8mmである。静的引張強度は、歪速度0.001/sのときの引張強度、すなわち準静的強度から求めた。さらに歪速度を0.001/s〜1000/sの範囲で変化させて引張試験を行い、静動比指数の歪速度依存性を求める、動的強度を評価した。判断基準は次のとおりである。すなわち、30/s以上の歪速度域で上記式(1)を満足する場合に動的強度特性に優れると判定し、10/s以上の歪速度域で上記式(1)を満足する場合には動的強度特性に特に優れると判定した。
図1に各サンプル鋼板で得られた静動比指数と歪速度との関係を示す。
試験番号3、4、10および11の鋼板では30/s以上の歪速度域で(1)式を満足しない。したがって、これらの鋼板は優れた動的強度特性を有しないと判定された。
一方、一方、1、2、5〜9、12〜14の鋼板は、極低歪速度側で静動比指数が(1)式を満たさないものの、10〜30/sの歪速度域に変局点を有し、静動比指数は急激に増加する。これらの鋼板はいずれも30/s以上の歪速度域で(1)式を満足するので、優れた動的強度特性を有すると判定された。このような鋼板は自動車用衝突部材として好適に使用される。特に試験番号1、5および9の鋼板はより低い歪速度である10/s以上の歪速度でも(1)式を満足するので、特に優れた動的強度特性を有すると判定された。このような鋼板は自動車用衝突部材として特に好適に使用される。
本発明の他の一態様は、質量%で、C: 0.07%以上0.2%以下、Si+Al:0.3%以上1.5%以下、Mn:1.0%以上3.0%以下、P:0.02%以下、S:0.005%以下、Cr:0.1%以上0.5%以下、N:0.001%以上0.008%以下を含有し、さらに、Ti:0.002%以上0.05%以下およびNb:0.002%以上0.05%以下の1種または2種を含有し、残部がFeおよび不純物からなる化学組成を有するスラブを熱間連続圧延して熱延鋼板を製造する、フェライトの面積分率が7%以上35%以下、フェライトの粒径が0.5μm以上3.0μm以下の範囲、およびフェライトのナノ硬さが3.5GPa以上4.5GPa以下の範囲にあり、フェライト以外の残部である第2相がベイニティックフェライトおよびベイナイトから選ばれた少なくとも一つとマルテンサイトとを含み、第2相の平均ナノ硬さは5GPa以上12GPa以下であり、第2相は8GPa以上12GPa以下の高硬質相を組織全体に対する面積分率として5%以上35%以下含有する複相熱延鋼板の製造方法であって、次の工程を備える:
最終仕上圧延において、800℃以上900℃以下の温度で、パス間時間0.15秒間以上2.7秒間以下で前記スラブを圧延して鋼板とすることを備える仕上圧延工程;
仕上圧延工程により得られた鋼板を、600℃/秒以上の冷却速度で0.4秒間以内に700℃以下まで冷却することを備える第1の冷却工程;
冷却工程を経た鋼板を570℃以上700℃以下の温度範囲で0.4秒間以上保持することを備える保持工程;および
保持工程を経た鋼板を20℃/秒以上120℃/秒以下の冷却速度で430℃以下まで冷却することを備える第2の冷却工程。

Claims (6)

  1. 質量%で、
    C:0.07%以上0.2%以下、
    Si+Al:0.3%以上1.5%以下、
    Mn:1.0%以上3.0%以下、
    P:0.02%以下、
    S:0.005%以下、
    Cr:0.1%以上0.5%以下、
    N:0.001%以上0.008%以下
    を含有し、
    さらに、Ti:0.002%以上0.05%以下およびNb:0.002%以上0.05%以下の1種または2種を含有し、
    残部がFeおよび不純物からなる化学組成を有し、
    フェライトの面積分率が7%以上35%以下、フェライトの粒径が0.5μm以上3.0μm以下の範囲、およびフェライトのナノ硬さが3.5GPa以上4.5GPa以下の範囲にあり、
    フェライト以外の残部である第2相がベイニティックフェライトおよびベイナイトから選ばれた少なくとも一つとマルテンサイトとを含み、第2相の平均ナノ硬さは5GPa以上12GPa以下であり、
    第2相は8GPa以上12GPa以下の高硬質相を組織全体に対する面積分率として5%以上35%以下含有する
    ことを特徴とする複相熱延鋼板。
  2. 前記化学組成が、さらに、質量%で、
    V:0.2%以下
    を含有することを特徴とする請求項1に記載の複相熱延鋼板。
  3. 前記化学組成が、さらに、質量%で、Cu:0.2%以下、Ni:0.2%以下およびMo:0.5%以下からなる群から選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の複相熱延鋼板。
  4. 質量%で、
    C:0.07%以上0.2%以下、
    Si+Al:0.3%以上1.5%以下、
    Mn:1.0%以上3.0%以下、
    P:0.02%以下、
    S:0.005%以下、
    Cr:0.1%以上0.5%以下、
    N:0.001%以上0.008%以下
    を含有し、
    さらに、Ti:0.002%以上0.05%以下およびNb:0.002%以上0.05%以下の1種または2種を含有し、残部がFeおよび不純物からなる化学組成を有するスラブを熱間連続圧延して熱延鋼板を製造する複相熱延鋼板の製造方法であって、次の工程を備える:
    最終仕上圧延において、800℃以上900℃以下の温度で、パス間時間0.15秒間以上2.7秒間以下で前記スラブを圧延して鋼板とすることを備える仕上圧延工程;
    仕上圧延工程により得られた鋼板を、600℃/秒以上の冷却速度で0.4秒間以内に700℃以下まで冷却することを備える第1の冷却工程;
    冷却工程を経た鋼板を570℃以上700℃以下の温度範囲で0.4秒間以上保持することを備える保持工程;および
    保持工程を経た鋼板を20℃/秒以上120℃/秒以下の冷却速度で430℃以下まで冷却することを備える第2の冷却工程。
  5. 前記化学組成が、さらに、質量%で、
    V:0.2%以下
    を含有することを特徴とすることを特徴とする請求項3に記載の複相熱延鋼板の製造方法。
  6. 前記化学組成が、さらに、質量%で、Cu:0.2%以下、Ni:0.2%以下およびMo:0.5%以下からなる群から選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項4または5に記載の複相熱延鋼板の製造方法。
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