JP6362877B2 - 半導体発光素子を含む発光装置、発光装置の設計方法、発光装置の駆動方法、および照明方法 - Google Patents

半導体発光素子を含む発光装置、発光装置の設計方法、発光装置の駆動方法、および照明方法 Download PDF

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本発明は発光領域が複数内在する発光装置であって、各発光領域から出射される光束量かつ/または放射束量を変化させることができる発光装置に関する。また、このような発光装置の設計方法、発光装置の駆動方法、および照明方法に関する。
近年、GaN系半導体発光素子の高出力化、高効率化は目覚ましく進展している。また、半導体発光素子、もしくは、電子線を励起源とした各種蛍光体の高効率化も盛んに研究されている。これらの結果、旧来のものに比較して、現在の光源、光源を含む光源モジュール、光源モジュールを含む器具、器具を含むシステム等の発光装置は急速に省電力化している。
たとえば、GaN系青色発光素子を黄色蛍光体の励起光源として内在させ、かつ、当該GaN系青色発光素子のスペクトルと当該黄色蛍光体のスペクトルから、いわゆる擬似白色光源を作り、照明用光源、または、これを内在させた照明用器具、さらには、空間内で当該器具を複数配置させた照明システムとすることが広く行われている(特許文献1参照)。
これら形態に内在しうる照明用光源の一種であるパッケージ化されたLED(たとえばパッケージ材中に、当該GaN系青色発光素子、黄色蛍光体、封止剤等を含む)は、6000K程度の相関色温度(Correlated Color Temperature/CCT)領域で、パッケージLEDとしての光源効率が150lm/Wを超える商品もある(非特許文献2参照)。
さらに、液晶バックライト用光源等も同様に高効率化、省電力化が進展している。
しかし、これらの高効率化を目指した発光装置は、色の見えに対する配慮は不十分であることが各方面から指摘されている。特に照明用途として用いた場合には、光源/器具/システム等の発光装置の高効率化とともに、物体を照らした際の「色の見え(Color
appearance)」は非常に重要である。
これらに配慮する試みとしては、国際照明委員会(Commission Internationale de I’Eclairage/CIE)で確立された演色評価数(Colour Rendering Index/CRI)(CIE(13.3))のスコアを向上させるべく、青色発光素子のスペクトルと黄色蛍光体のスペクトルに対して赤色蛍光体や赤色半導体発光素子のスペクトルを重畳させる試み等がなされている。例えば、赤色源を含まない場合の典型的なスペクトル(CCT=6800K程度)では、平均演色評価数(R)と、鮮やかな赤色の色票に対する特殊演色評価数(R)はそれぞれR=81、R=24であるが、赤色源を含む場合にはR=98、R=95と演色評価数のスコアを上げることができる(特許文献2参照)。
また、別の試みとしては、特に特殊照明用途において、発光装置から発せられるスペクトルを調整し、物体の色の見えを所望の色を基調とすることもなされている。例えば、非特許文献1には赤色基調となる照明光源が記載されている。
特許第3503139号公報 WO2011/024818号パンフレット
"一般蛍光灯 ミートくん"、[online]、プリンス電機株式会社、[平成23年5月16日検索]、インターネット<URL:http://www.prince-d.co.jp/pdct/docs/pdf/catalog_pdf/fl_nrb_ca2011.pdf> "LEDs MAGAZINE"、[平成23年8月22日検索]、インターネット<URL:http://www.ledsmagazine.com/news/8/8/2>
演色評価数は、評価対象となる発光装置の光(試験光)が有するCCTに対応させて選択される「基準の光」で照明した色の見えに対して、試験光で照明した場合の色の見えがいかに近接しているかを示す指標である。すなわち、演色評価数は評価対象となる発光装置の忠実度を示す指標である。しかし、近年の研究から平均演色評価数(R)や特殊演色評価数(R(iは1から14、日本においてはJISの規定によりiは1から15))が高いことは、必ずしも人間に対して良好な色の知覚を誘発する訳ではないことが明らかになりつつある。すなわち、演色評価数のスコアを向上させるこれらの手法は、必ずしも良好な色の見えを実現する訳ではないという問題がある。
さらに、色の見えが照明される物体の照度によって変化する効果は、現在の種々の演色評価指標(color rendition metric)には含まれていない。通常10000lx程度以上の照度である屋外で見た鮮やかな花の色が、500lx程度の室内に持ち込むと、本来同じ色であるにも関わらず、色がくすんで彩度が下がった別物のように見えることは通常経験される。一般には、物体の色の見えに関する飽和度は照度に依存し、たとえ照明している分光分布が同一であったとしても、照度が下がると飽和度は下がる。すなわち、色の見えはくすむ。これはハント効果(Hunt effect)として知られている。
ハント効果は演色性に大きく影響を与えるものの、現状の光源、器具、システム等の発光装置全般の評価には積極的には考慮されない。また、最も単純なハント効果の補償方法は、室内照度を極端に上げていくことであるが、これはエネルギー消費量を不要に増大させてしまう。また、具体的にどのようにすれば、室内照明環境程度の照度で、屋外で見たような、自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えを実現できるかは、明らかとされていない。
一方、飲食店用、食品照明用等の特殊照明用に、例えば赤色の彩度を上げる方向にスペクトルを調整した光においては、基準光と比較して、黄色が赤みかかって見える、青色が緑かかって見えるなどの色相(角)ずれが大きくなる等の問題があった。すなわち、照明対象として限定されたもの以外の色の見えは自然でなくなってしまう。また、このような光で白色の物体を照らした場合には、白色物体そのものが着色し、白色に見えないという問題もあった。
本発明者は、上記のような課題を解決するために、特願2011−223472などにおいて、細かな作業をするような場合も含め5000lx程度以下、あるいは一般的には1500lx程度以下である室内照度環境下において、人間の知覚する色の見えが、様々な演色評価指標(color rendition metric)のスコアによらず、屋外の高照度環境下で見たような、自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えを実現できる照明方法、及び、照明光源、照明器具、照明システム等
の発光装置全般の発明に到達している。また、本発明者は、同時に快適な照明環境を高効率で実現する照明方法にも到達している。さらに本発明者はそのような好ましい発光装置の設計指針にも到達している。
上記、本発明者がすでに見出している要件を満たす光源は、室内照明環境程度の照度で、屋外で見たような、自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えを実現できる。
しかし、年齢、性別、国などによって、最適と考えられる照明の嗜好は少しずつ異なっており、また、どのような空間をどのような目的で照明するかによっても最適な照明は異なる。さらに、生まれ育った生活環境、文化の異なる被験者間では、最適と考える照明の嗜好差も大きくなる場合もある。
本発明は、屋外で見たような、自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えを実現可能な発光装置であって、さらには各種照明に対する要請を満たすべく、照明された対象物の色の見えを変化させうる発光装置、この設計方法を提供することを目的とする。さらに、本発明においては、当該発光装置の駆動方法、当該装置による照明方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の第一の実施態様は以下の発光装置に関する。
[1]
M個(Mは2以上の自然数)の発光領域が内在し、少なくとも一つの前記発光領域内に半導体発光素子を発光要素として備える発光装置であって、
当該発光装置の主たる放射方向に各発光領域から出射される光の分光分布をφSSLN(λ)(Nは1からM)とし、前記発光装置から当該放射方向に出射されるすべての光の分光分布φSSL(λ)が、
のときに、
前記φSSL(λ)を、以下の条件1−2を満たすように出来る発光領域が内在する発光装置。
条件1:
前記発光装置から出射される光は、ANSI C78.377で定義される黒体放射軌跡からの距離DuvSSLが、−0.0350 ≦ DuvSSL ≦ −0.0040となる光を主たる放射方向に含む。
条件2:
前記発光装置から当該放射方向に出射される光の分光分布をφSSL(λ)、前記発光装置から当該放射方向に出射される光の相関色温度TSSL(K)に応じて選択される基準の光の分光分布をφref(λ)、前記発光装置から当該放射方向に出射される光の三刺激値を(XSSL、YSSL、ZSSL)、前記発光装置から当該放射方向に出射される光の相関色温度TSSL(K)に応じて選択される基準の光の三刺激値を(Xref、Yref、Zref)とし、
前記発光装置から当該放射方向に出射される光の規格化分光分布SSSL(λ)と、前記発光装置から当該放射方向に出射される光の相関色温度TSSL(K)に応じて選択される基準の光の規格化分光分布Sref(λ)と、これら規格化分光分布の差ΔS(λ)をそれぞれ、
SSL(λ)=φSSL(λ)/YSSL
ref(λ)=φref(λ)/Yref
ΔS(λ)=Sref(λ)−SSSL(λ)
と定義し、
波長380nm以上780nm以内の範囲で、SSSL(λ)の最長波長極大値を与える波長をλ(nm)とした際に、λよりも長波長側にSSSL(λ)/2となる波長Λ4が存在する場合において、
下記数式(1)で表される指標Acgが、−360 ≦ Acg ≦ −10を満たし、
波長380nm以上780nm以内の範囲で、SSSL(λ)の最長波長極大値を与える波長をλ(nm)とした際に、λよりも長波長側にSSSL(λ)/2となる波長Λ4が存在しない場合において、
下記数式(2)で表される指標Acgが、−360 ≦ Acg ≦ −10を満たす。
[2]
[1]記載の発光装置であって、すべてのφSSLN(λ)(Nは1からM)が、前記条件1と条件2を満たす発光装置。
[3]
[1]または[2]に記載の発光装置であって、前記M個の発光領域中の、少なくとも1つの発光領域が、他の発光領域に対して電気的に独立に駆動しうる配線となっている発光装置。
[4]
[3]記載の発光装置であって、M個の発光領域すべてが、他の発光領域に対して電気的に独立に駆動しうる配線となっている発光装置。
[5]
[1]〜[4]のいずれかに記載の発光装置であって、前記数式(1)又は(2)で表される指標Acg、相関色温度TSSL(K)、及び黒体放射軌跡からの距離DuvSSLからなる群から選択される少なくとも1つが変化し得る発光装置。
[6]
[5]記載の発光装置であって、前記数式(1)又は(2)で表される指標Acg、相関色温度TSSL(K)、及び黒体放射軌跡からの距離DuvSSLからなる群から選択される少なくとも1つが変化した際に、発光装置から主たる放射方向に出射される光束かつ/または放射束を独立に制御しうることを特徴とする発光装置。
[7]
[1]〜[6]のいずれかに記載の発光装置であって、最近接している異なる発光領域全体を包絡する仮想外周上にある任意の2点がつくる最大距離Lが、0.4mm以上200mm以下である発光装置。
[8]
[1]〜[7]のいずれかに記載の発光装置であって、
前記発光領域から出射される光束量かつ/または放射束量を変化させることで、φSSL(λ)が以下の条件3−4を更に満たすように出来る発光領域が内在する発光装置。
条件3:
当該放射方向に出射される光による照明を数学的に仮定した場合の#01から#15の下記15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L色空間におけるa値、b値をそれぞれa nSSL、b nSSL(ただしnは1から15の自然数)とし、
当該放射方向に出射される光の相関色温度TSSL(K)に応じて選択される基準の光での照明を数学的に仮定した場合の当該15種類の修正マンセル色票のCIE 1976
色空間におけるa値、b値をそれぞれa nref、b nref(ただしnは1から15の自然数)とした場合に、飽和度差ΔC
−3.8 ≦ ΔC≦ 18.6 (nは1から15の自然数)
を満たし、下記式(3)で表される飽和度差の平均が下記式(4)を満たし、
かつ飽和度差の最大値をΔCmax、飽和度差の最小値をΔCminとした場合に、飽和度差の最大値と、飽和度差の最小値との間の差|ΔCmax−ΔCmin|が
2.8 ≦ |ΔCmax−ΔCmin| ≦ 19.6
を満たす。
ただし、ΔC=√{(a nSSL+(b nSSL}−√{(a nref+(b nref}とする。
15種類の修正マンセル色票
#01 7.5 P 4 /10
#02 10 PB 4 /10
#03 5 PB 4 /12
#04 7.5 B 5 /10
#05 10 BG 6 / 8
#06 2.5 BG 6 /10
#07 2.5 G 6 /12
#08 7.5 GY 7 /10
#09 2.5 GY 8 /10
#10 5 Y 8.5/12
#11 10 YR 7 /12
#12 5 YR 7 /12
#13 10 R 6 /12
#14 5 R 4 /14
#15 7.5 RP 4 /12
条件4:
当該放射方向に出射される光による照明を数学的に仮定した場合の上記15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L色空間における色相角をθnSSL(度)(ただしnは1から15の自然数)とし、
当該放射方向に出射される光の相関色温度TSSL(K)に応じて選択される基準の光での照明を数学的に仮定した場合の当該15種類の修正マンセル色票のCIE 1976
色空間における色相角をθnref(度)(ただしnは1から15の自然数)とした場合に、色相角差の絶対値|Δh|が
0 ≦ |Δh| ≦ 9.0(度)(nは1から15の自然数)
を満たす。
ただし、Δh=θnSSL−θnrefとする。
[9]
[1]〜[8]のいずれかに記載の発光装置であって、
前記発光装置から当該放射方向に出射される光は、分光分布φSSL(λ)から導出される波長380nm以上780nm以下の範囲の放射効率K(lm/W)が
180(lm/W) ≦ K(lm/W) ≦ 320(lm/W)
を満たすように出来ることを特徴とする発光装置。
[10]
[1]〜[9]のいずれかに記載の発光装置であって、
前記発光装置から当該放射方向に出射される光は、相関色温度TSSL(K)が
2550(K) ≦ TSSL(K) ≦ 5650(K)
を満たすように出来ることを特徴とする発光装置。
[11]
[1]〜[10]のいずれかに記載の発光装置であって、
前記発光領域から出射される光束量かつ/または放射束量を変化させることで、前記φSSL(λ)を、前記条件1−2を満たすように出来る発光領域が内在することを特徴とする発光装置。
また、上記目的を達成するため、本発明の第二の実施態様は以下の発光装置の設計方法に関する。
[12]
M個(Mは2以上の自然数)の発光領域が内在し、少なくとも一つの前記発光領域内に半導体発光素子を発光要素として備える発光装置の設計方法であって、
当該発光装置の主たる放射方向に各発光領域から出射される光の分光分布をφSSLN(λ)(Nは1からM)とし、前記発光装置から当該放射方向に出射されるすべての光の分光分布φSSL(λ)が、
のときに、
前記φSSL(λ)を、以下の条件1−2を満たすようにできる構成となるように発光領域を設計する、発光装置の設計方法。
条件1:
前記発光装置から出射される光は、ANSI C78.377で定義される黒体放射軌跡からの距離DuvSSLが、−0.0350 ≦ DuvSSL ≦ −0.0040となる光を主たる放射方向に含む。
条件2:
前記発光装置から当該放射方向に出射される光の分光分布をφSSL(λ)、前記発光装置から当該放射方向に出射される光の相関色温度TSSL(K)に応じて選択される基準の光の分光分布をφref(λ)、前記発光装置から当該放射方向に出射される光の三刺激値を(XSSL、YSSL、ZSSL)、前記発光装置から当該放射方向に出射される光の相関色温度TSSL(K)に応じて選択される基準の光の三刺激値を(Xref、Yref、Zref)とし、
前記発光装置から当該放射方向に出射される光の規格化分光分布SSSL(λ)と、前
記発光装置から当該放射方向に出射される光の相関色温度TSSL(K)に応じて選択される基準の光の規格化分光分布Sref(λ)と、これら規格化分光分布の差ΔS(λ)をそれぞれ、
SSL(λ)=φSSL(λ)/YSSL
ref(λ)=φref(λ)/Yref
ΔS(λ)=Sref(λ)−SSSL(λ)
と定義し、
波長380nm以上780nm以内の範囲で、SSSL(λ)の最長波長極大値を与える波長をλ(nm)とした際に、λよりも長波長側にSSSL(λ)/2となる波長Λ4が存在する場合において、
下記数式(1)で表される指標Acgが、−360 ≦ Acg ≦ −10を満たし、
波長380nm以上780nm以内の範囲で、SSSL(λ)の最長波長極大値を与える波長をλ(nm)とした際に、λよりも長波長側にSSSL(λ)/2となる波長Λ4が存在しない場合において、
下記数式(2)で表される指標Acgが、−360 ≦ Acg ≦ −10を満たす。
[13]
[12]記載の発光装置の設計方法であって、すべてのφSSLN(λ)(Nは1からM)が、前記条件1と条件2を満たす発光装置の設計方法。
[14]
[12]または[13]に記載の発光装置の設計方法であって、前記M個の発光領域中の、少なくとも1つの発光領域が、他の発光領域に対して電気的に独立に駆動しうる配線となっている発光装置の設計方法。
[15]
[14]記載の発光装置の設計方法であって、M個の発光領域すべてが、他の発光領域に対して電気的に独立に駆動しうる配線となっている発光装置の設計方法。
[16]
[12]〜[15]のいずれかに記載の発光装置の設計方法であって、前記数式(1)又は(2)で表される指標Acg、相関色温度TSSL(K)、及び黒体放射軌跡からの距離DuvSSLからなる群から選択される少なくとも1つが変化し得る発光装置の設計方法。
[17]
[16]記載の発光装置の設計方法であって、前記数式(1)又は(2)で表される指標Acg、相関色温度TSSL(K)、及び黒体放射軌跡からの距離DuvSSLからなる群から選択される少なくとも1つが変化した際に、発光装置から主たる放射方向に出射される光束かつ/または放射束を独立に制御しうることを特徴とする発光装置の設計方法。
[18]
[12]〜[17]のいずれかに記載の発光装置の設計方法であって、最近接している
異なる発光領域全体を包絡する仮想外周上にある任意の2点がつくる最大距離Lが、0.4mm以上200mm以下である発光装置の設計方法。
[19]
[12]〜[18]のいずれかに記載の発光装置の設計方法であって、
前記発光領域から出射される光束量かつ/または放射束量を変化させることでφSSL(λ)を、更に以下の条件3−4を満たすようにできる発光装置の設計方法。
条件3:
当該放射方向に出射される光による照明を数学的に仮定した場合の#01から#15の下記15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L色空間におけるa値、b値をそれぞれa nSSL、b nSSL(ただしnは1から15の自然数)とし、
当該放射方向に出射される光の相関色温度T(K)に応じて選択される基準の光での照明を数学的に仮定した場合の当該15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L色空間におけるa値、b値をそれぞれa nref、b nref(ただしnは1から15の自然数)とした場合に、飽和度差ΔC
−3.8 ≦ ΔC≦ 18.6 (nは1から15の自然数)
を満たし、下記式(3)で表される飽和度差の平均が下記式(4)を満たし、
かつ飽和度差の最大値をΔCmax、飽和度差の最小値をΔCminとした場合に、飽和度差の最大値と、飽和度差の最小値との間の差|ΔCmax−ΔCmin|が
2.8 ≦ |ΔCmax−ΔCmin| ≦ 19.6
を満たす。
ただし、ΔC=√{(a nSSL+(b nSSL}−√{(a nref+(b nref}とする。
15種類の修正マンセル色票
#01 7.5 P 4 /10
#02 10 PB 4 /10
#03 5 PB 4 /12
#04 7.5 B 5 /10
#05 10 BG 6 / 8
#06 2.5 BG 6 /10
#07 2.5 G 6 /12
#08 7.5 GY 7 /10
#09 2.5 GY 8 /10
#10 5 Y 8.5/12
#11 10 YR 7 /12
#12 5 YR 7 /12
#13 10 R 6 /12
#14 5 R 4 /14
#15 7.5 RP 4 /12
条件4:
当該放射方向に出射される光による照明を数学的に仮定した場合の上記15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L色空間における色相角をθnSSL(度)(ただしnは1から15の自然数)とし、
当該放射方向に出射される光の相関色温度TSSL(K)に応じて選択される基準の光での照明を数学的に仮定した場合の当該15種類の修正マンセル色票のCIE 1976
色空間における色相角をθnref(度)(ただしnは1から15の自然数)とした場合に、色相角差の絶対値|Δh|が
0 ≦ |Δh| ≦ 9.0(度)(nは1から15の自然数)
を満たす。
ただし、Δh=θnSSL−θnrefとする。
[20]
[12]〜[19]のいずれかに記載の発光装置の設計方法であって、
前記発光装置から当該放射方向に出射される光は、分光分布φSSL(λ)から導出される波長380nm以上780nm以下の範囲の放射効率K(lm/W)が
180(lm/W) ≦ K(lm/W) ≦ 320(lm/W)
を満たすように出来ることを特徴とする発光装置の設計方法。
[21]
[12]〜[20]のいずれかに記載の発光装置の設計方法であって、
前記発光装置から当該放射方向に出射される光は、相関色温度TSSL(K)が
2550(K) ≦ TSSL(K) ≦ 5650(K)
を満たすように出来ることを特徴とする発光装置の設計方法。
[22]
[12]〜[21]のいずれかに記載の発光装置の設計方法であって、
前記発光領域から出射される光束量かつ/または放射束量を変化させることで、前記φSSL(λ)を、前記条件1−2を満たすようにできる構成となるように発光領域を設計することを特徴とする発光装置の設計方法。
また、上記目的を達成するため、本発明の第三の実施態様は以下の発光装置の駆動方法に関する。
[23]
M個(Mは2以上の自然数)の発光領域が内在し、少なくとも一つの前記発光領域内に半導体発光素子を発光要素として備える発光装置の駆動方法であって、
当該発光装置の主たる放射方向に各発光領域から出射される光の分光分布をφSSLN(λ)(Nは1からM)とし、前記発光装置から当該放射方向に出射されるすべての光の分光分布φSSL(λ)が、
のときに、
φSSL(λ)を、以下の条件1−2を満たすものとなるように、前記各発光領域に給電する発光装置の駆動方法。
条件1:
前記発光装置から出射される光は、ANSI C78.377で定義される黒体放射軌跡からの距離DuvSSLが、−0.0350 ≦ DuvSSL ≦ −0.0040となる光を主たる放射方向に含む。
条件2:
前記発光装置から当該放射方向に出射される光の分光分布をφSSL(λ)、前記発光装置から当該放射方向に出射される光の相関色温度TSSL(K)に応じて選択される基準の光の分光分布をφref(λ)、前記発光装置から当該放射方向に出射される光の三刺激値を(XSSL、YSSL、ZSSL)、前記発光装置から当該放射方向に出射される光の相関色温度TSSL(K)に応じて選択される基準の光の三刺激値を(Xref、Yref、Zref)とし、
前記発光装置から当該放射方向に出射される光の規格化分光分布SSSL(λ)と、前記発光装置から当該放射方向に出射される光の相関色温度TSSL(K)に応じて選択される基準の光の規格化分光分布Sref(λ)と、これら規格化分光分布の差ΔS(λ)をそれぞれ、
SSL(λ)=φSSL(λ)/YSSL
ref(λ)=φref(λ)/Yref
ΔS(λ)=Sref(λ)−SSSL(λ)
と定義し、
波長380nm以上780nm以内の範囲で、SSSL(λ)の最長波長極大値を与える波長をλ(nm)とした際に、λよりも長波長側にSSSL(λ)/2となる波長Λ4が存在する場合において、
下記数式(1)で表される指標Acgが、−360 ≦ Acg ≦ −10を満たし、
波長380nm以上780nm以内の範囲で、SSSL(λ)の最長波長極大値を与える波長をλ(nm)とした際に、λよりも長波長側にSSSL(λ)/2となる波長Λ4が存在しない場合において、
下記数式(2)で表される指標Acgが、−360 ≦ Acg ≦ −10を満たす。
[24]
[23]記載の発光装置の駆動方法であって、すべてのφSSLN(λ)(Nは1からM)を、前記条件1と条件2を満たすものとなるように発光領域に給電する発光装置の駆動方法。
[25]
[23]または[24]に記載の発光装置の駆動方法であって、M個の発光領域中の、少なくとも1つの発光領域を、他の発光領域に対して電気的に独立に駆動する発光装置の駆動方法。
[26]
[23]〜[25]のいずれかに記載の発光装置の駆動方法であって、M個の発光領域すべてを、他の発光領域に対して電気的に独立に駆動する発光装置の駆動方法。
[27]
[23]〜[26]のいずれかに記載の発光装置の駆動方法であって、前記数式(1)又は(2)で表される指標Acg、相関色温度TSSL(K)、及び黒体放射軌跡からの距離DuvSSLからなる群から選択される少なくとも1つを変化させる発光装置の駆動方法。
[28]
[27]に記載の発光装置の駆動方法であって、前記数式(1)又は(2)で表される指標Acg、相関色温度TSSL(K)、及び黒体放射軌跡からの距離DuvSSLからなる群から選択される少なくとも1つを変化させた際に、発光装置から主たる放射方向に出射される光束かつ/または放射束を不変とする発光装置の駆動方法。
[29]
[27]に記載の発光装置の駆動方法であって、前記数式(1)又は(2)で表される指標Acgを減少させた際に、発光装置から主たる放射方向に出射される光束かつ/または放射束を低減させる発光装置の駆動方法。
[30]
[27]に記載の発光装置の駆動方法であって相関色温度TSSL(K)を増加させた際に、発光装置から主たる放射方向に出射される光束かつ/または放射束を増加させる発光装置の駆動方法。
[31]
[27]に記載の発光装置の駆動方法であって黒体放射軌跡からの距離DuvSSLを減少させた際に、発光装置から主たる放射方向に出射される光束かつ/または放射束を減少させる発光装置の駆動方法。
[32]
[23]〜[31]のいずれかに記載の発光装置の駆動方法であって、
φSSL(λ)を、更に以下の条件3−4を満たすものとなるように給電する、発光装置の駆動方法。
条件3:
当該放射方向に出射される光による照明を数学的に仮定した場合の#01から#15の下記15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L色空間におけるa値、b値をそれぞれa nSSL、b nSSL(ただしnは1から15の自然数)とし、
当該放射方向に出射される光の相関色温度TSSL(K)に応じて選択される基準の光での照明を数学的に仮定した場合の当該15種類の修正マンセル色票のCIE 1976
色空間におけるa値、b値をそれぞれa nref、b nref(ただしnは1から15の自然数)とした場合に、飽和度差ΔC
−3.8 ≦ ΔC≦ 18.6 (nは1から15の自然数)
を満たし、下記式(3)で表される飽和度差の平均が下記式(4)を満たし、
かつ飽和度差の最大値をΔCmax、飽和度差の最小値をΔCminとした場合に、飽和度差の最大値と、飽和度差の最小値との間の差|ΔCmax−ΔCmin|が
2.8 ≦ |ΔCmax−ΔCmin| ≦ 19.6
を満たす。
ただし、ΔC=√{(a nSSL+(b nSSL}−√{(a nref+(b nref}とする。
15種類の修正マンセル色票
#01 7.5 P 4 /10
#02 10 PB 4 /10
#03 5 PB 4 /12
#04 7.5 B 5 /10
#05 10 BG 6 / 8
#06 2.5 BG 6 /10
#07 2.5 G 6 /12
#08 7.5 GY 7 /10
#09 2.5 GY 8 /10
#10 5 Y 8.5/12
#11 10 YR 7 /12
#12 5 YR 7 /12
#13 10 R 6 /12
#14 5 R 4 /14
#15 7.5 RP 4 /12
条件4:
当該放射方向に出射される光による照明を数学的に仮定した場合の上記15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L色空間における色相角をθnSSL(度)(ただしnは1から15の自然数)とし、
当該放射方向に出射される光の相関色温度TSSL(K)に応じて選択される基準の光での照明を数学的に仮定した場合の当該15種類の修正マンセル色票のCIE 1976
色空間における色相角をθnref(度)(ただしnは1から15の自然数)とした場合に、色相角差の絶対値|Δh|が
0 ≦ |Δh| ≦ 9.0(度)(nは1から15の自然数)
を満たす。
ただし、Δh=θnSSL−θnrefとする。
また、上記目的を達成するため、本発明の第四の実施態様は以下の照明方法に関する。[33]
対象物を準備する照明対象物準備工程、および、M個(Mは2以上の自然数)の発光領域が内在し、少なくとも一つの発光領域内に半導体発光素子を発光要素として備える発光装置から出射される光により対象物を照明する照明工程、を含む照明方法であって、
前記照明工程において、前記発光装置から出射される光が対象物を照明した際に、前記対象物の位置で測定した光が以下の<1>、<2>及び<3>を満たすように照明する照明方法。
<1>前記対象物の位置で測定した光のANSI C78.377で定義される黒体放射軌跡からの距離DuvSSLが、−0.0350 ≦ DuvSSL ≦ −0.0040である。
<2>前記対象物の位置で測定した光による照明を数学的に仮定した場合の#01から#15の下記15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L色空間におけるa値、b値をそれぞれa nSSL、b nSSL(ただしnは1から15の自然数)とし、
前記対象物の位置で測定した光の相関色温度TSSL(K)に応じて選択される基準の光による照明を数学的に仮定した場合の当該15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L色空間におけるa値、b値をそれぞれa nref、b nref(ただしnは1から15の自然数)とした場合に、飽和度差ΔC
−3.8 ≦ ΔC≦ 18.6 (nは1から15の自然数)
を満たし、
下記式(3)で表される飽和度差の平均が下記式(4)を満たし、
かつ、飽和度差の最大値をΔCmax、飽和度差の最小値をΔCminとした場合に、飽和度差の最大値と、飽和度差の最小値との間の差|ΔCmax−ΔCmin|が
2.8 ≦ |ΔCmax−ΔCmin| ≦ 19.6
を満たす。
ただし、ΔC=√{(a nSSL+(b nSSL}−√{(a nref+(b nref}とする。
15種類の修正マンセル色票
#01 7.5 P 4 /10
#02 10 PB 4 /10
#03 5 PB 4 /12
#04 7.5 B 5 /10
#05 10 BG 6 / 8
#06 2.5 BG 6 /10
#07 2.5 G 6 /12
#08 7.5 GY 7 /10
#09 2.5 GY 8 /10
#10 5 Y 8.5/12
#11 10 YR 7 /12
#12 5 YR 7 /12
#13 10 R 6 /12
#14 5 R 4 /14
#15 7.5 RP 4 /12
<3>前記対象物の位置で測定した光による照明を数学的に仮定した場合の上記15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L色空間における色相角をθnSSL(度)(ただしnは1から15の自然数)とし、
前記対象物の位置で測定した光の相関色温度TSSL(K)に応じて選択される基準の光による照明を数学的に仮定した場合の当該15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L色空間における色相角をθnref(度)(ただしnは1から15の自然数)とした場合に、色相角差の絶対値|Δh|が
0 ≦ |Δh| ≦ 9.0(度)(nは1から15の自然数)
を満たす。
ただし、Δh=θnSSL−θnrefとする。
[34]
[33]記載の照明方法であって、前記対象物の位置に到達している各発光要素から出射された光の分光分布をφSSLN(λ)(Nは1からM)、前記対象物の位置で測定した光の分光分布φSSL(λ)が、
のときに、
すべてのφSSLN(λ)(Nは1からM)を、前記<1><2><3>を満たすようにできる照明方法。
[35]
[33]または[34]に記載の照明方法であって、M個の発光領域中の、少なくとも1つの発光領域を、他の発光領域に対して電気的に独立駆動し照明する照明方法。
[36]
[35]に記載の照明方法であって、M個の発光領域すべてを、他の発光領域に対して電気的に独立駆動し照明する照明方法。
[37]
[33]〜[36]のいずれかに記載の照明方法であって、前記式(3)で表される飽和度差の平均
、相関色温度TSSL(K)、及び黒体放射軌跡からの距離DuvSSLからなる群から選択される少なくとも1つを変化させることを特徴とする照明方法。
[38]
[37]に記載の照明方法であって、前記式(3)で表される飽和度差の平均
、相関色温度TSSL(K)、及び黒体放射軌跡からの距離DuvSSLからなる群から選択される少なくとも1つを変化させた際に、当該対象物における照度を独立に制御することを特徴とする照明方法。
[39]
[38]に記載の照明方法であって、前記式(3)で表される飽和度差の平均
、相関色温度TSSL(K)、及び黒体放射軌跡からの距離DuvSSLからなる群から選択される少なくとも1つを変化させた際に、当該対象物における照度を不変とする照明方法。
[40]
[38]に記載の照明方法であって、前記式(3)で表される飽和度差の平均
を増加させた際に、当該対象物における照度を低減する照明方法。
[41]
[38]に記載の照明方法であって、相関色温度TSSL(K)を増加させた際に、当該対象物における照度を増加する照明方法。
[42]
[38]に記載の照明方法であって、黒体放射軌跡からの距離DuvSSLを減少させた際に、当該対象物における照度を減少する照明方法。
[43]
[33]〜[42]のいずれかに記載の照明方法であって、最近接している異なる発光領域全体を包絡する仮想外周上にある任意の2点がつくる最大距離をL、発光装置と照明対象物の距離をHとした際に、
5×L≦H≦500×L
となるように距離Hを設定する照明方法。
本発明によれば、基準の光(実験用基準光と記載する場合がある)で照明された場合や、また、基準の光に近接した色の見えとなり高Rかつ高Rである光(実験用疑似基準光と記載する場合がある)を放射する発光装置で照明した場合等に比較して、ほぼ同様のCCT、ほぼ同様の照度であっても、統計的に多数の被験者がより良いと判断する真に良好な物体の色の見えを実現可能な発光装置及び照明方法が実現される。
特に本発明では、屋外で見たような、自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えを実現しつつ、照明する空間、使用する目的に応じて、光源の色度点(換言すると相関色温度と、ANSI C78.377で定義される黒体放射からの距離Duv)を可変とすることができる。さらに、色の見えに大きな影響を与えるAcgを変化させることで、当該発光装置で照明された照明対象物の飽和度(彩度)も可変することができるようになる。さらに、光源の色度点の変化に対して、光源の光束かつ/または放射束、あるいは照明対象物における照度を可変とすることで、照明対象物の彩度(飽和度)相関色温度、Duv、等に対する照度を最適に制御することも可能となる。
物体の色の見えについてより具体的に例示すれば、本発明により実現する物の見えに関する効果は、以下の通りである。
第一に、本発明による光源、器具、システム等の発光装置で照明した場合、又は、本発明の照明方法により照明した場合には、実験用基準光や実験用擬似基準光で照明した場合等に比較して、ほぼ同様のCCT、ほぼ同様の照度であっても、白色はより白く、自然に、心地よく見える。さらに、白、灰色、黒等の無彩色間の明度差も視認しやすくなる。このために、例えば、一般の白色紙上の黒文字等が読みやすくなる。なお、詳細は後述するが、このような効果はこれまでの常識に照らして全く予想外の効果である。
第二に、本発明による発光装置で実現された照度は、又は、本発明の照明方法により照明した場合の照度は、数千Lxから数百Lx程度の通常室内環境程度であったとしても、紫色、青紫色、青色、青緑色、緑色、黄緑色、黄色、黄赤色、赤色、赤紫色などの大半の色、場合によってはすべての色について、たとえば晴れた日の屋外照度下のような数万lx程度の下で見たような真に自然な色の見えが実現される。また、中間的な彩度を有する、被験者(日本人)の肌色、各種食品、衣料品、木材色等も、多くの被験者がより好ましいと感じる、自然な色の見えとなる。
第三に、実験用基準光や実験用擬似基準光で照明した場合等に比較して、ほぼ同様のC
CT、ほぼ同様の照度であっても、本発明による発光装置で照明した場合、又は、本発明の照明方法により照明した場合には、近接した色相における色識別が容易になり、あたかも高照度環境下の様な快適な作業等が可能となる。さらに具体的には、たとえば類似した赤色を有する複数の口紅などをより容易に識別可能となる。
第四に、実験用基準光や実験用擬似基準光で照明した場合等に比較して、ほぼ同様のCCT、ほぼ同様の照度であっても、本発明による光源、器具、システムで照明した場合、又は、本発明の照明方法により照明した場合には、あたかも高照度環境下で見たように、物体がよりはっきりと、容易に、視認できるようになる。
また、本発明により実現する利便さは、以下の通りである。
すなわち、年齢、性別、国などによって、また、どのような空間をどのような目的で照明するかによって、最適な照明は異なるが、本発明の発光装置、また本発明の発光装置の駆動方法を用いると、より最適と考えられる照明条件を、可変範囲から容易に選択することができる。
ピーク波長459nmの半導体発光素子が内在し、緑色蛍光体と赤色蛍光体を備えたパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である。 ピーク波長475nmの半導体発光素子が内在し、緑色蛍光体と赤色蛍光体を備えたパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である。 ピーク波長425nmの半導体発光素子が内在し、緑色蛍光体と赤色蛍光体を備えたパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である。 ピーク波長459nmの半導体発光素子が内在し、緑色蛍光体と赤色蛍光体を備えたパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(Duv=0.0000)。 ピーク波長459nmの半導体発光素子が内在し、緑色蛍光体と赤色蛍光体を備えたパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(Duv=0.0100)。 ピーク波長459nmの半導体発光素子が内在し、緑色蛍光体と赤色蛍光体を備えたパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(Duv=0.0150)。 ピーク波長459nmの半導体発光素子が内在し、緑色蛍光体と赤色蛍光体を備えたパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(Duv=−0.0100)。 ピーク波長459nmの半導体発光素子が内在し、緑色蛍光体と赤色蛍光体を備えたパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(Duv=−0.0200)。 ピーク波長459nmの半導体発光素子が内在し、緑色蛍光体と赤色蛍光体を備えたパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(Duv=−0.0300)。 ピーク波長459nmの半導体発光素子が内在し、緑色蛍光体と赤色蛍光体を備えたパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(Duv=−0.0400)。 ピーク波長459nmの半導体発光素子が内在し、緑色蛍光体と赤色蛍光体を備えたパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(Duv=−0.0500)。 4種類の半導体発光素子が内在するパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(Duv=0.0000)。 4種類の半導体発光素子が内在するパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(Duv=0.0100)。 4種類の半導体発光素子が内在するパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(Duv=0.0200)。 4種類の半導体発光素子が内在するパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(Duv=0.0300)。 4種類の半導体発光素子が内在するパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(Duv=0.0400)。 4種類の半導体発光素子が内在するパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(Duv=−0.0100)。 4種類の半導体発光素子が内在するパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(Duv=−0.0200)。 4種類の半導体発光素子が内在するパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(Duv=−0.0300)。 4種類の半導体発光素子が内在するパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(Duv=−0.0400)。 4種類の半導体発光素子が内在するパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(Duv=−0.0500)。 ピーク波長405nmの半導体発光素子が内在し、青色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体を備えたパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(Duv=0.0001)。 ピーク波長405nmの半導体発光素子が内在し、青色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体を備えたパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(Duv=0.0100)。 ピーク波長405nmの半導体発光素子が内在し、青色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体を備えたパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(Duv=0.0194)。 ピーク波長405nmの半導体発光素子が内在し、青色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体を備えたパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(Duv=0.0303)。 ピーク波長405nmの半導体発光素子が内在し、青色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体を備えたパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(Duv=0.0401)。 ピーク波長405nmの半導体発光素子が内在し、青色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体を備えたパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(Duv=0.0496)。 ピーク波長405nmの半導体発光素子が内在し、青色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体を備えたパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(Duv=−0.0100)。 ピーク波長405nmの半導体発光素子が内在し、青色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体を備えたパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(Duv=−0.0200)。 ピーク波長405nmの半導体発光素子が内在し、青色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体を備えたパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(Duv=−0.0303)。 ピーク波長405nmの半導体発光素子が内在し、青色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体を備えたパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(Duv=−0.0403)。 ピーク波長405nmの半導体発光素子が内在し、青色蛍光体、赤色蛍光体を備えたパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(Duv=−0.0448)。 パラメータAcgの積分範囲を示す図である(CCTが5000K以上の場合)。 パラメータAcgの積分範囲を示す図である(CCTが5000K未満の場合)。 試験光5の規格化試験光分光分布(実線)と試験光5に対応する計算用基準光の規格化基準光分光分布(点線)を示す図である。 試験光5で対象物を照明した場合(実線)と、試験光5に対応する計算用基準光で照明した場合をそれぞれ仮定した、当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である。 試験光15の規格化試験光分光分布(実線)と試験光15に対応する計算用基準光の規格化基準光分光分布(点線)を示す図である。 試験光15で対象物を照明した場合(実線)と、試験光15に対応する計算用基準光で照明した場合をそれぞれ仮定した、当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である。 試験光19の規格化試験光分光分布(実線)と試験光19に対応する計算用基準光の規格化基準光分光分布(点線)を示す図である。 試験光19で対象物を照明した場合(実線)と、試験光19に対応する計算用基準光で照明した場合をそれぞれ仮定した、当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である。 比較試験光14の規格化試験光分光分布(実線)と比較試験光14に対応する計算用基準光の規格化基準光分光分布(点線)を示す図である。 比較試験光14で対象物を照明した場合(実線)と、比較試験光14に対応する計算用基準光で照明した場合をそれぞれ仮定した、当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である。 実施例1で用いるパッケージLEDの発光領域の配置を示す図である。 実施例1において、発光領域1と発光領域2の放射束比を3:0にした場合の分光分布、及び当該分光分布で照明した場合(実線)と、当該分光分布に対応する計算用基準光で照明した場合(点線)をそれぞれ仮定した、当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(駆動点A)。 実施例1において、発光領域1と発光領域2の放射束比を2:1にした場合の分光分布、及び当該分光分布で照明した場合(実線)と、当該分光分布に対応する計算用基準光で照明した場合(点線)をそれぞれ仮定した、当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(駆動点B)。 実施例1において、発光領域1と発光領域2の放射束比を1.5:1.5にした場合の分光分布、及び当該分光分布で照明した場合(実線)と、当該分光分布に対応する計算用基準光で照明した場合(点線)をそれぞれ仮定した、当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(駆動点C)。 実施例1において、発光領域1と発光領域2の放射束比を1:2にした場合の分光分布、及び当該分光分布で照明した場合(実線)と、当該分光分布に対応する計算用基準光で照明した場合(点線)をそれぞれ仮定した、当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(駆動点D)。 実施例1において、発光領域1と発光領域2の放射束比を0:3にした場合の分光分布、及び当該分光分布で照明した場合(実線)と、当該分光分布に対応する計算用基準光で照明した場合(点線)をそれぞれ仮定した、当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(駆動点E)。 実施例1における駆動点AからEまでの色度をCIE1976u’v’色度図上に示したものである。なお、図面上の二点鎖線は、本発明における条件1を満たすDuvの範囲である。 実施例2で用いるパッケージLEDの発光領域の配置を示す図である。 実施例2において、発光領域1と発光領域2の放射束比を3:0にした場合の分光分布、及び当該分光分布で照明した場合(実線)と、当該分光分布に対応する計算用基準光で照明した場合(点線)をそれぞれ仮定した、当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(駆動点A)。 実施例2において、発光領域1と発光領域2の放射束比を2:1にした場合の分光分布、及び当該分光分布で照明した場合(実線)と、当該分光分布に対応する計算用基準光で照明した場合(点線)をそれぞれ仮定した、当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(駆動点B)。 実施例2において、発光領域1と発光領域2の放射束比を1.5:1.5にした場合の分光分布、及び当該分光分布で照明した場合(実線)と、当該分光分布に対応する計算用基準光で照明した場合(点線)をそれぞれ仮定した、当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(駆動点C)。 実施例2において、発光領域1と発光領域2の放射束比を1:2にした場合の分光分布、及び当該分光分布で照明した場合(実線)と、当該分光分布に対応する計算用基準光で照明した場合(点線)をそれぞれ仮定した、当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(駆動点D)。 実施例2において、発光領域1と発光領域2の放射束比を0:3にした場合の分光分布、及び当該分光分布で照明した場合(実線)と、当該分光分布に対応する計算用基準光で照明した場合(点線)をそれぞれ仮定した、当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(駆動点E)。 実施例2における駆動点AからEまでの色度をCIE1976u’v’色度図上に示したものである。なお、図面上の二点鎖線は、本発明における条件1を満たすDuvの範囲である。 実施例3で用いる照明システムの発光領域の配置を示す図である。 実施例3において、発光領域1と発光領域2の放射束比を3:0にした場合の分光分布、及び当該分光分布で照明した場合(実線)と、当該分光分布に対応する計算用基準光で照明した場合(点線)をそれぞれ仮定した、当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(駆動点A)。 実施例3において、発光領域1と発光領域2の放射束比を2:1にした場合の分光分布、及び当該分光分布で照明した場合(実線)と、当該分光分布に対応する計算用基準光で照明した場合(点線)をそれぞれ仮定した、当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(駆動点B)。 実施例3において、発光領域1と発光領域2の放射束比を1.5:1.5にした場合の分光分布、及び当該分光分布で照明した場合(実線)と、当該分光分布に対応する計算用基準光で照明した場合(点線)をそれぞれ仮定した、当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(駆動点C)。 実施例3において、発光領域1と発光領域2の放射束比を1:2にした場合の分光分布、及び当該分光分布で照明した場合(実線)と、当該分光分布に対応する計算用基準光で照明した場合(点線)をそれぞれ仮定した、当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(駆動点D)。 実施例3において、発光領域1と発光領域2の放射束比を0:3にした場合の分光分布、及び当該分光分布で照明した場合(実線)と、当該分光分布に対応する計算用基準光で照明した場合(点線)をそれぞれ仮定した、当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(駆動点E)。 実施例3における駆動点AからEまでの色度をCIE1976u’v’色度図上に示したものである。なお、図面上の二点鎖線は、本発明における条件1を満たすDuvの範囲である。 実施例4で用いる発光装置(1対のパッケージLED)の発光領域の配置を示す図である。 実施例4において、発光領域1と発光領域2の放射束比を9:0にした場合の分光分布、及び当該分光分布で照明した場合(実線)と、当該分光分布に対応する計算用基準光で照明した場合(点線)をそれぞれ仮定した、当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(駆動点A)。 実施例4において、発光領域1と発光領域2の放射束比を6:3にした場合の分光分布、及び当該分光分布で照明した場合(実線)と、当該分光分布に対応する計算用基準光で照明した場合(点線)をそれぞれ仮定した、当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(駆動点B)。 実施例4において、発光領域1と発光領域2の放射束比を4.5:4.5にした場合の分光分布、及び当該分光分布で照明した場合(実線)と、当該分光分布に対応する計算用基準光で照明した場合(点線)をそれぞれ仮定した、当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(駆動点C)。 実施例4において、発光領域1と発光領域2の放射束比を1:8にした場合の分光分布、及び当該分光分布で照明した場合(実線)と、当該分光分布に対応する計算用基準光で照明した場合(点線)をそれぞれ仮定した、当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(駆動点D)。 実施例4において、発光領域1と発光領域2の放射束比を0:9にした場合の分光分布、及び当該分光分布で照明した場合(実線)と、当該分光分布に対応する計算用基準光で照明した場合(点線)をそれぞれ仮定した、当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(駆動点E)。 実施例4における駆動点AからEまでの色度をCIE1976u’v’色度図上に示したものである。なお、図面上の二点鎖線は、本発明における条件1を満たすDuvの範囲である。 比較例1において、発光領域1と発光領域2の放射束比を3:0にした場合の分光分布、及び当該分光分布で照明した場合(実線)と、当該分光分布に対応する計算用基準光で照明した場合(点線)をそれぞれ仮定した、当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(駆動点A)。 比較例1において、発光領域1と発光領域2の放射束比を2:1にした場合の分光分布、及び当該分光分布で照明した場合(実線)と、当該分光分布に対応する計算用基準光で照明した場合(点線)をそれぞれ仮定した、当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(駆動点B)。 比較例1において、発光領域1と発光領域2の放射束比を1.5:1.5にした場合の分光分布、及び当該分光分布で照明した場合(実線)と、当該分光分布に対応する計算用基準光で照明した場合(点線)をそれぞれ仮定した、当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(駆動点C)。 比較例1において、発光領域1と発光領域2の放射束比を1:2にした場合の分光分布、及び当該分光分布で照明した場合(実線)と、当該分光分布に対応する計算用基準光で照明した場合(点線)をそれぞれ仮定した、当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(駆動点D)。 比較例1において、発光領域1と発光領域2の放射束比を0:3にした場合の分光分布、及び当該分光分布で照明した場合(実線)と、当該分光分布に対応する計算用基準光で照明した場合(点線)をそれぞれ仮定した、当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(駆動点E)。 比較例1における駆動点AからEまでの色度をCIE1976u’v’色度図上に示したものである。なお、図面上の二点鎖線は、本発明における条件1を満たすDuvの範囲である。 実施例5において、発光領域1と発光領域2の放射束比を3:0にした場合、の分光分布、及び当該分光分布で照明した場合(実線)と、当該分光分布に対応する計算用基準光で照明した場合(点線)をそれぞれ仮定した、当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(駆動点A)。 実施例5において、発光領域1と発光領域2の放射束比を2:1にした場合の分光分布、及び当該分光分布で照明した場合(実線)と、当該分光分布に対応する計算用基準光で照明した場合(点線)をそれぞれ仮定した、当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(駆動点B)。 実施例5において、発光領域1と発光領域2の放射束比を1.5:1.5にした場合の分光分布、及び当該分光分布で照明した場合(実線)と、当該分光分布に対応する計算用基準光で照明した場合(点線)をそれぞれ仮定した、当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(駆動点C)。 実施例5において、発光領域1と発光領域2の放射束比を1:2にした場合の分光分布、及び当該分光分布で照明した場合(実線)と、当該分光分布に対応する計算用基準光で照明した場合(点線)をそれぞれ仮定した、当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(駆動点D)。 実施例5において、発光領域1と発光領域2の放射束比を0:3にした場合の分光分布、及び当該分光分布で照明した場合(実線)と、当該分光分布に対応する計算用基準光で照明した場合(点線)をそれぞれ仮定した、当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(駆動点E)。 実施例5における駆動点AからEまでの色度をCIE1976u’v’色度図上に示したものである。なお、図面上の二点鎖線は、本発明における条件1を満たすDuvの範囲である。 実施例6において、発光領域1と発光領域2の放射束比を3:0にした場合の分光分布、及び当該分光分布で照明した場合(実線)と、当該分光分布に対応する計算用基準光で照明した場合(点線)をそれぞれ仮定した、当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(駆動点A)。 実施例6において、発光領域1と発光領域2の放射束比を2:1にした場合の分光分布、及び当該分光分布で照明した場合(実線)と、当該分光分布に対応する計算用基準光で照明した場合(点線)をそれぞれ仮定した、当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(駆動点B)。 実施例6において、発光領域1と発光領域2の放射束比を1.5:1.5にした場合の分光分布、及び当該分光分布で照明した場合(実線)と、当該分光分布に対応する計算用基準光で照明した場合(点線)をそれぞれ仮定した、当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(駆動点C)。 実施例6において、発光領域1と発光領域2の放射束比を1:2にした場合の分光分布、及び当該分光分布で照明した場合(実線)と、当該分光分布に対応する計算用基準光で照明した場合(点線)をそれぞれ仮定した、当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(駆動点D)。 実施例6において、発光領域1と発光領域2の放射束比を0:3にした場合の分光分布、及び当該分光分布で照明した場合(実線)と、当該分光分布に対応する計算用基準光で照明した場合(点線)をそれぞれ仮定した、当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(駆動点E)。 実施例6における駆動点AからEまでの色度をCIE1976u’v’色度図上に示したものである。なお、図面上の二点鎖線は、本発明における条件1を満たすDuvの範囲である。 実施例7において、発光領域1と発光領域2の放射束比を5:0にした場合の分光分布、及び当該分光分布で照明した場合(実線)と、当該分光分布に対応する計算用基準光で照明した場合(点線)をそれぞれ仮定した、当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(駆動点A)。 実施例7において、発光領域1と発光領域2の放射束比を4:1にした場合の分光分布、及び当該分光分布で照明した場合(実線)と、当該分光分布に対応する計算用基準光で照明した場合(点線)をそれぞれ仮定した、当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(駆動点B)。 実施例7において、発光領域1と発光領域2の放射束比を2.5:2.5にした場合の分光分布、及び当該分光分布で照明した場合(実線)と、当該分光分布に対応する計算用基準光で照明した場合(点線)をそれぞれ仮定した、当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(駆動点C)。 実施例7において、発光領域1と発光領域2の放射束比を1:4にした場合の分光分布、及び当該分光分布で照明した場合(実線)と、当該分光分布に対応する計算用基準光で照明した場合(点線)をそれぞれ仮定した、当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(駆動点D)。 実施例7において、発光領域1と発光領域2の放射束比を0:5にした場合の分光分布、及び当該分光分布で照明した場合(実線)と、当該分光分布に対応する計算用基準光で照明した場合(点線)をそれぞれ仮定した、当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(駆動点E)。 実施例7における駆動点AからEまでの色度をCIE1976u’v’色度図上に示したものである。なお、図面上の二点鎖線は、本発明における条件1を満たすDuvの範囲である。 実施例8において、発光領域1と発光領域2と発光領域3の放射束比を3:0:0にした場合の分光分布、及び当該分光分布で照明した場合(実線)と、当該分光分布に対応する計算用基準光で照明した場合(点線)をそれぞれ仮定した、当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(駆動点A)。 実施例8において、発光領域1と発光領域2と発光領域3の放射束比を0:3:0にした場合の分光分布、及び当該分光分布で照明した場合(実線)と、当該分光分布に対応する計算用基準光で照明した場合(点線)をそれぞれ仮定した、当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(駆動点B)。 実施例8おいて、発光領域1と発光領域2と発光領域3の放射束比を0:0:3にした場合の分光分布、及び当該分光分布で照明した場合(実線)と、当該分光分布に対応する計算用基準光で照明した場合(点線)をそれぞれ仮定した、当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(駆動点C)。 実施例8において、発光領域1と発光領域2と発光領域3の放射束比を1:1:1にした場合の分光分布、及び当該分光分布で照明した場合(実線)と、当該分光分布に対応する計算用基準光で照明した場合(点線)をそれぞれ仮定した、当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(駆動点D)。 実施例8における駆動点AからDまでの色度をCIE1976u’v’色度図上に示したものである。なお、図面上の二点鎖線は、本発明における条件1を満たすDuvの範囲である。 実施例8で用いるパッケージLEDの発光領域の配置を示す図である。 本発明の発光装置が備える発光領域を示す図である。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内であれば種々に変更して実施することができる。
なお、本発明の第一乃至第三の実施態様では、発光装置が放射する光のうち「主たる放射方向」の光により発明を特定するものである。そのため、本発明の要件を満たす「主たる放射方向」の光を含む放射を行うことができる発光装置は、本発明の範囲に属するもの
である。
また、本発明の第四の実施態様における照明方法は、該照明方法に用いる発光装置から出射された光が対象物を照明した場合において、当該対象物が照明されている位置における光により、発明を特定するものである。そのため、本発明の要件を満たす「対象物が照明されている位置」における光を出射できる発光装置による照明方法は、本発明の範囲に属するものである。
ここで、本発明の第一乃至第三の実施態様における「主たる放射方向(radiant direction)」とは、発光装置の使用状況に即して、適した範囲を有し、かつ、適した向きへ光が放射されている方向を示す。
例えば、発光装置の光度(luminous intensity)もしくは輝度(luminance)が最大もしくは極大となる方向でありうる。
また、発光装置の光度もしくは輝度が最大もしくは極大となる方向を含む有限の範囲を持った方向でありうる。
また、発光装置の放射強度(radiant intensity)あるいは放射輝度(radiance)が最大もしくは極大となる方向でありうる。
また、発光装置の放射強度あるいは放射輝度が最大もしくは極大となる方向を含む有限の範囲を持った方向でありうる。
以下、具体的に例示する。
発光装置が単体発光ダイオード(LED)、単体パッケージLED,単体LEDモジュール、単体LED電球、蛍光ランプと半導体発光素子の単体複合ランプ、白熱電球と半導体発光素子の単体複合ランプ等である場合には、主たる放射方向は各発光装置の鉛直方向、鉛直方向を含む有限の立体角内、例えば最大でπ(sr)、最小でπ/100(sr)でありうる。
発光装置が前記パッケージLED等にレンズ、反射機構等を付与したLED照明器具、蛍光ランプと半導体発光素子が内在する照明器具であって、いわゆる、直接型照明用途、半直接型照明用途、全般拡散照明用途、直接/間接型照明用途、半間接型照明用途、間接型照明用途に応用可能な配光特性を有する場合には、主たる放射方向は、各発光装置の鉛直方向、鉛直方向を含む有限の立体角内、例えば最大でπ(sr)、最小でπ/100(sr)でありうる。また、発光装置の光度もしくは輝度が最大もしくは極大となる方向でありうる。また、発光装置の光度もしくは輝度が最大もしくは極大となる方向を含む有限の立体角内、例えば最大でπ(sr)、最小でπ/100(sr)でありうる。また、発光装置の放射強度あるいは放射輝度が最大もしくは極大となる方向でありうる。また、発光装置の放射強度あるいは放射輝度が最大もしくは極大となる方向を含む有限の立体角内、例えば最大でπ(sr)、最小でπ/100(sr)でありうる。
発光装置が、前記LED照明器具や蛍光ランプが内在する照明器具を複数搭載した照明システムである場合は、主たる放射方向は、各発光装置の平面的中心の鉛直方向、当該鉛直方向を含む有限の立体角内、例えば最大でπ(sr)、最小でπ/100(sr)でありうる。また、発光装置の光度もしくは輝度が最大もしくは極大となる方向でありうる。また、発光装置の光度もしくは輝度が最大もしくは極大となる方向を含む有限の立体角内、例えば最大でπ(sr)、最小でπ/100(sr)でありうる。また、発光装置の放射強度あるいは放射輝度が最大もしくは極大となる方向でありうる。また、発光装置の放射強度あるいは放射輝度が最大もしくは極大となる方向を含む有限の立体角内、例えば最大でπ(sr)、最小でπ/100(sr)でありうる。
発光装置から当該主たる放射方向に出射された光の分光分布を計測するためには、計測点における照度が実用上の照度(後述の通り150lx以上5000lx以下)となる距離で計測することが好ましい。
本明細書においては、数学的な色の見えを予想する際に計算上用いるCIEで定義され
た基準の光を、基準の光、計算用基準の光、計算用基準光などと記載する場合がある。一方、視覚的な実比較で用いる実験用の基準の光、すなわちタングステンフィラメントが内在する白熱電球光などは、基準の光、実験用基準の光、実験用基準光と記載する場合がある。また、基準の光に近接した色の見えとなると予想される高Rかつ高Rである光、たとえばLED光源であって、比較視覚実験で実験用基準光の代替光として用いる光は、基準の光、実験用疑似基準の光、実験用擬似基準光と記載する場合がある。また、数学的にまた実験的に検討対象とした光を、基準の光に対して、試験光と記載する場合がある。
本発明の第一の実施態様に係る発光装置は、M個(Mは2以上の自然数)の発光領域が内在する。本明細書においては、製造工程上の一般的ばらつきを許容した上で等価な分光分布の光を出射する発光領域を、同種の発光領域と表現する。すなわち、発光領域が物理的に分離し、離間して配置されていても、製造工程上の一般的ばらつきを許容した上で等価な分光分布の光を出射する場合には同種の発光領域である。つまりは、本発明の第一の実施態様に係る発光装置は、分光分布がそれぞれ異なる光を出射する、2種以上の発光領域が内在するものである。
また、複数種類の発光領域のうち少なくとも一つの発光領域に、半導体発光素子を発光要素として備える。少なくとも一つの発光領域に半導体発光素子を発光要素として備えていれば、各発光領域が備える発光要素に制限はない。半導体発光素子以外の発光要素としては、投入された種々のエネルギーを電磁放射のエネルギーに変換し、その電磁放射エネルギー中に380nmから780nmの可視光を含むものであればよい。例えば、電気エネルギーを変換しうる熱フィラメント、蛍光管、高圧ナトリウムランプ、レーザ、二次高調波発生(SHG)源等を例示することができる。また、光エネルギーを変換しうる蛍光体なども例示できる。
本発明の第一の実施態様に係る発光装置は、発光要素である半導体発光素子を備える発光領域を含め、複数の発光領域が内在すれば、それ以外の構成は特段限定されない。発光領域としては、単体の半導体発光素子に通電機構としてのリード線等を付与したものでも、放熱機構等をさらに付与し蛍光体等と一体にしたパッケージ化LED等でもよい。
また、発光装置としては、1以上のパッケージ化LEDにさらに堅牢な放熱機構を付与し、一般的には複数のパッケージLEDを搭載したLEDモジュールでもよい。さらには、パッケージLED等にレンズ、光反射機構等を付与したLED照明器具であってもよい。さらに、LED照明器具等を多数支持し、対象物を照明できるように仕上げた照明システムであってもよい。本実施態様に係る発光装置とは、これらをすべて含んだものである。
本発明の第一の実施態様に係る発光装置では、各発光領域から出射される光の分光分布をφSSLN(λ)(Nは1からM)とし、前記発光装置から当該放射方向に出射されるすべての光の分光分布φSSL(λ)を、
とする。このことを図101により説明する。
図101に記載の発光装置100は、本発明の第一の実施態様に係る発光装置の一態様である。発光装置100は、上記式においてM=5の場合を示しており、発光領域1〜発光領域5の、5つの(すなわち5種類の)発光領域が内在する。各発光領域は半導体発光素子6を発光要素として備える。
発光領域1から出射される光の分光分布をφSSL1(λ)、発光領域2から出射される光の分光分布をφSSL2(λ)、発光領域3から出射される光の分光分布をφSSL3(λ)、発光領域4から出射される光の分光分布をφSSL4(λ)、発光領域5から
出射される光の分光分布をφSSL5(λ)と表すと、発光装置から当該放射方向に出射されるすべての光の分光分布φSSL(λ)は、
と表される。すなわちNが1からMの場合、
と表すことができる。
本発明では、屋外で見たような、自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えを実現しつつ、色の見えを可変とすることができる。具体的には、上記φSSL(λ)が、各発光領域から出射される光束量かつ/または放射束量を変化させることで、特定の条件を満し得る発光領域が内在する発光装置に関する。
以下、本発明に関して詳細に説明をする。
本発明者は、一般の室内照度環境下にあっても、屋外の高照度環境下で見たように、自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えを実現できるスペクトルあるいは分光分布に共通する放射計測学的特性(radiometric property)、測光学的特性(photometric property)を見出した。さらに、当該スペクトルあるいは分光分布を有する光による照明を仮定した場合の特定の分光反射特性を有する色票の色の見えが、計算用基準光による照明を仮定した場合と比較して、どのように変化する場合(あるいは変化しない場合)に前記目的が実現可能かを、測色学(colorimetry)的観点から見出し、その全体として本発明に到達した。加えて、複数の発光領域が内在する場合に、色の見えを可変とすることができることをも見出した。なお、本発明はこれまでの常識を覆す実験事実に立脚してなされたものでもある。
具体的な発明到達までの概要は以下の通りであった。
[発明到達までの概要]
第一ステップとして、分光分布設定の自由度が高い、A)半導体発光素子と蛍光体が共に内在するパッケージLED光源、B)蛍光体を含まず、半導体発光素子のみが発光要素として内在するパッケージLED光源を想定し、数学的な基礎検討を行った。
この際に、計算用基準光による照明を仮定した場合と、検討対象とする試験光による照明を仮定した場合とで、特定の分光反射特性を有する色票の色の見えに関する数学的変化を指針としつつ、色相、飽和度(彩度)等が変化する試験光に関して詳細な検討を行った。特に屋外に対して1/10から1/1000程度に照度が下がる通常の屋内環境下でのハント効果を意識し、照明された物体の色の見えの飽和度が変化するような光を中心に数学的に検討した。
第二ステップとして、前記数学的に検討した試験光を元にパッケージLED光源、これを内在させた照明器具を試作した。また、第三ステップで行う比較視覚実験のために、タングステンフィラメントを有する白熱電球を実験用基準光として準備した。また、計算用基準の光に近接した色の見えとなる高Rかつ高Rである光(実験用擬似基準光)とし
得る光源、これを内在させた照明器具も試作した。さらに、これらを用いた視覚実験のために、実験用基準光もしくは実験用擬似基準光で対象物を照明した場合の色の見えと、パッケージLED光源を内在させた照明器具の光(試験光)で対象物を照明した場合の色の見えを、被験者に評価してもらうために、多数の観察対象物に対して異なる照明光を照射可能な照明実験システムを作成した。
第三ステップとして比較視覚実験を行った。観察対象物の色は、紫色、青紫色、青色、青緑色、緑色、黄緑色、黄色、黄赤色、赤色、赤紫色等の全色相に渡る有彩色対象物を準備するように配慮した。さらに、白色物、黒色物などの無彩色の対象物も準備した。これらは静物、生花、食品、衣料品、印刷物等多数多種類なものを準備した。ここで、実験用基準光もしくは実験用擬似基準光で対象物を照明した場合の色の見えと、試験光で対象物を照明した場合の色の見えを、被験者に評価してもらった。前者と後者の比較は、類似したCCTと類似した照度で行った。評価は、いずれの光が、屋外で見たような、自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えを相対的に実現できているかの観点で行ってもらった。また、この際に優劣の判断理由も尋ねた。
第四ステップとして、実験用基準光/実験用擬似基準光と試験光が有する放射計測学的特性、測光学的特性を実測値から抽出した。さらに、上記観察対象物とは異なる、特定の分光反射特性を有する色票の色の見えに関する測色学的特性に関し、計算用基準光の分光分布での照明を計算上仮定した場合と、実測した実験用基準光/実験用擬似基準光/試験光の分光分布光での照明を計算上仮定した場合との差を、視覚実験での被験者評価と照らし合わせ、真に快適と判断される照明方法又は発光装置の特徴を抽出した。
さらに第五ステップとして、複数の発光領域を有する発光装置において、各発光領域の光束量かつ/または放射束量を調節することで、色の見えがどのように変化するか、検討を行った。
なお、第五ステップの内容は、本発明の第一乃至第四の実施態様に係る実施例/比較例でもあり、第三ステップ、第四ステップの内容は、本発明の第四の実施態様に係る照明方法の参考実施例/参考比較例でもあり、第二ステップ、第三ステップ、第四ステップの内容は、本発明の第一乃至第三の実施態様に係る参考実施例/参考比較例でもある。
[色票選択と色の見えの定量化手法]
第一ステップにおいて、本発明の照明方法において主として検討した発光装置から出射された光が対象物を照明した位置における分光分布、又は、本発明の発光装置から出射される主たる放射方向の光が有する分光分布は、ハント効果を意識して、飽和度が基準の光で照明した場合から変化するものとした。ここで、色の見えやその変化を定量化するために、以下の選択を行った。
上記分光分布から色の見えを定量的に評価するには、数学的な分光反射特性が明らかな色票を定義し、計算用基準光での照明を仮定した場合と、試験光での照明を仮定した場合を比較し、当該色票の色の見えの差を指標とするのが良いと考えた。
一般には、CRIで使用される試験色が選択肢となりうるが、平均演色評価数等を導出する際に使用しているRからRの色票は中彩度な色票であって、高彩度な色の飽和度を議論するには適さないと考えた。また、RからR12は高彩度な色票であるが、全色相角範囲の詳細な議論にはサンプル数が足りない。
そこで、修正マンセル表色系におけるマンセル色相環の中で、最も高彩度な最外周に位置する色票から、色相別に15種類の色票を選択することとした。なお、これらは、米国NIST(National Institute of Standards and
Technology)から提案されている新たな演色評価指標のひとつであるCQS
(Color Quality Scale)(バージョン7.4及び7.5)で用いる色票と同じである。以下に本発明で用いた15種類の色票を列記する。また冒頭には、便宜上色票に与えた、番号を記載した。なお、本明細書中においては、これら番号をnと代表させる場合があり、たとえばn=3は、「5PB 4/12」の意味である。nは1から15の自然数である。
#01 7.5 P 4 /10
#02 10 PB 4 /10
#03 5 PB 4 /12
#04 7.5 B 5 /10
#05 10 BG 6 / 8
#06 2.5 BG 6 /10
#07 2.5 G 6 /12
#08 7.5 GY 7 /10
#09 2.5 GY 8 /10
#10 5 Y 8.5/12
#11 10 YR 7 /12
#12 5 YR 7 /12
#13 10 R 6 /12
#14 5 R 4 /14
#15 7.5 RP 4 /12
本発明においては、各種指標の導出の観点では、計算用基準光での照明を仮定した場合と試験光での照明を仮定した場合との間で、これら15種類の色票の色の見えが、どのように変化した場合(あるいは変化しなかった場合)に、一般の室内照度環境下にあっても、屋外の高照度環境下で見たように、自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えとなるかを定量化し、発光装置が有すべき演色性として抽出することを試みた。
なお、上記分光分布から数学的に導出される色の見えを定量評価するためには、色空間の選択、色順応式の選択も重要である。本発明では、現在CIEによって推奨されている均等色空間であるCIE 1976 L(CIELAB)を用いた。さらに、色順応計算には、CMCCAT2000(Colour Measurement Comittee’s Chromatic Adaptation Transform
of 2000)を採用した。
[対象物が照明された位置における分光分布から、又は、発光装置から出射された主たる放射方向の光が有する分光分布から、導出される色度点]
第一ステップにおいて、パッケージLED光源を各種試作するためには、光源の色度点選択も重要である。光源、光源からの光で対象物が照明された位置における分光分布、又は、発光装置から出射された主たる放射方向の光が有する分光分布から、導出される色度は、例えばCIE 1931(x、y)色度図でも定義できるが、より均等な色度図であるCIE 1976(u’、v’)色度図で議論することが好ましい。また、色度図上の位置をCCTとDuvで記述する際には特に(u’、(2/3)v’)色度図(CIE 1960(u、v)色度図と同義)が用いられる。なお、本明細書中で記載するDuvは、ANSI C78.377で定義されている量であって、(u’、(2/3)v’)色度図における黒体放射軌跡に対して最近接となる距離をその絶対値として示している。また、正符号は発光装置の色度点が黒体放射軌跡の上方(v’が大きい側)に位置し、負符号は発光装置の色度点が黒体放射軌跡の下方(v’が小さい側)に位置することを意味する。
[飽和度とDuv値に関する計算検討]
同一の色度点にあっても、物体の色の見えは変えることができる。例えば、図1、図2、図3に示した3種類の分光分布(試験光)は、ピーク波長が425−475nmの半導体発光素子を内在させ、これを、緑色蛍光体と赤色蛍光体の励起光源としたパッケージLEDを仮定して、同一の色度(CCTは5500K、Duvは0.0000)において、照明された物体の色の見えが異なるようにした例である。それぞれの分光分布を構成する緑色蛍光体と赤色蛍光体は同一材料を仮定しているが、青色半導体発光素子のピーク波長は、飽和度を変化させるべく、図1は459nm、図2は475nm、図3は425nmとした。それぞれの分光分布での照明と、その分光分布に対応する計算用基準光での照明を仮定すると、当該15色票の予想される色の見えは、図1から図3のCIELAB色空間に示したようになる。ここで、図中点線で結んだ点は計算用基準光での照明を仮定した場合であって、実線はそれぞれの試験光での照明を仮定した場合である。なお、紙面垂直方向は明度であるが、ここでは簡便のためにa、b軸のみをプロットした。
図1に示した分光分布に関しては以下のことが分かった。計算用基準光での照明を仮定した計算と、図中の試験光での照明を仮定した計算からは、当該15種類の色票の色の見えは近接することが予想された。また、当該分光分布から計算したRaは95と高かった。図2に示した試験光で照明したと仮定した場合では、計算用基準光で照明したと仮定した場合と比較して、赤色と青色は鮮やかに見えるものの、紫色と緑色はくすむことが予想された。当該分光分布から計算したRaは76と相対的に低かった。逆に、図3に示した試験光で照明したと仮定した場合では、計算用基準光で照明したと仮定した場合と比較して、紫色と緑色は鮮やかに見えるものの、赤色と青色はくすむことが予想された。当該分光分布から計算したRaは76と相対的に低かった。
このように同一色度点において色の見えは変化させ得ることが理解できる。
しかし、本発明者の詳細検討によれば、黒体放射の軌跡近傍にある光、すなわちDuvが0近傍の光では、分光分布を変化させ、飽和度の高い当該15色票の色の見えを変化させるには、その自由度が低いことが分かった。具体的には以下の通りであった。
例えば図2、図3に示されるように、赤色/青色の飽和度変化と、紫色/緑色の飽和度変化は、傾向が逆と予想された。つまり、ある色相の飽和度が向上すると、別の色相の飽和度は低下してしまうと予想された。また、別の検討からは、簡便で実現可能な方法で、大多数の色相の飽和度を一度に変化させることも困難であった。よって、黒体放射軌跡近傍の光、あるいはDuv=0近傍の光で照明した場合には、高彩度な当該15色票の大多数の色相の飽和度を一度に変化させる、あるいは、多数の色相において比較的均等に飽和度を向上させる、低下させるなどのことは困難であった。
そこで、本発明者は、複数の分光分布に対して異なるDuv値を与えた場合の当該15色票の色の見えを、計算用基準光での照明を仮定した場合と比較しつつ数学的に検討した。一般に、Duvが正に偏ると白色は緑かかって見え、Duvが負の場合には白色は赤みかかって見えるとされ、Duvが0近傍から離れると色の見えは全体に不自然に見えるとされている。特に白色の着色がそのような知覚を誘発すると考えられている。しかし、本発明者は、飽和度の制御性を高めるべく、以下の検討を行った。
図4から図11に示した8つの分光分布は、ピーク波長459nmの青色半導体発光素子を内在させ、これを、緑色蛍光体と赤色蛍光体の励起光源としたパッケージLEDを仮定して、同一CCT(2700K)においてDuvを−0.0500から+0.0150まで変化させた計算結果である。それぞれの分光分布(試験光)での照明を仮定した場合と、それぞれの試験光に対する計算用基準光での照明を仮定した場合に予想される当該15色票の色の見えは、図4から図11のCIELAB色空間の通りであった。ここで、図
中点線で結んだ点は計算用基準光の結果であって、実線はそれぞれの試験光の結果である。なお、紙面垂直方向は明度であるが、ここでは簡便のためにa、b軸のみをプロットした。
図4に示したDuv=0.0000の試験光では、計算用基準光での照明を仮定した場合と、図中の試験光での照明を仮定した場合では、当該15種類の色票の色の見えは近接していることが予想された。当該分光分布から計算したRaは95と高かった。
図5、図6の試験光は、Duvを+0.0100から+0.0150まで正方向にシフトした例である。ここに見られるように、Duvを正方向にシフトさせると、Duv=0.0000の試験光の場合と比較して、より広範な色相域において当該15種類の色票の飽和度を変化させ得ることが予想された。また、Duv=0.0000の試験光の場合と比較すると、比較的均等に当該15種類の色票の飽和度を変化させ得ることも分かった。なお、計算用基準光の場合と、図中の試験光の場合とでは、当該15種類の色票の色の見えはDuvを正方向にシフトさせた場合、青から青緑領域を除いて、ほぼすべての色がくすんで見えることが予想された。さらにDuvを正にすればするほど、飽和度が低下する傾向も予想された。図5、図6の分光分布から計算されるRaは、それぞれ94と89であった。
一方、図7から図11の試験光は、Duvを−0.0100から−0.0500まで負方向にシフトした例である。ここに見られるように、Duvを負方向にシフトさせると、Duv=0.0000の試験光の場合と比較して、より広範な色相域において当該15種類の色票の飽和度を変化させ得ることが分かった。また、Duv=0.0000の試験光の場合と比較すると、比較的均等に当該15種類の色票の飽和度を変化させ得ることも分かった。なお、計算用基準光での照明を仮定した場合と、図中の試験光での照明を仮定した場合では、当該15種類の色票の色の見えは、Duvを負方向にシフトさせた場合、青から青緑領域と、紫領域を除いて、ほぼすべての色が鮮やかに見えることが予想された。さらにDuvを負にすればするほど、飽和度が上昇する傾向も予想された。図7から図11の分光分布から計算されるRaは、それぞれ92、88、83、77、71であって、現在一般に広がっている理解に従えば、Duvの値を負にすればするほど、色の見えは基準光で照明した場合から離れ、悪化すると予想された。
加えて、本発明者は、スペクトルを形成する発光要素(発光材料)が異なる試験光に、種々のDuv値を与えた場合、修正マンセル表色系の最外周にある最も鮮やかな15色票がどのような色の見えになると予想されるかを、計算用基準光との比較をしつつ、数学的に検討した。
図12から図21に示した10種類の分光分布は、4種類の半導体発光素子が内在するパッケージLEDを仮定し同一CCT(4000K)においてDuvを−0.0500から+0.0400まで変化させた結果である。4種類の半導体発光素子のピーク波長は459nm、528nm、591nm、662nmとした。10種類それぞれの試験光での照明を仮定した場合と、それぞれの試験光に対応する計算用基準光での照明を仮定した場合とで、予想される当該15色票の色の見えを、図12から図21のCIELAB色空間に示した。ここで、図中点線で結んだ点は計算用基準光での結果であって、実線はそれぞれの試験光の結果である。なお、紙面垂直方向は明度であるが、ここでは簡便のためにa、b軸のみをプロットした。
図12に示したDuv=0.0000の試験光では、計算用基準光での照明を仮定した場合と、図中の試験光での照明を仮定した場合とでは、当該15種類の色票の色の見えは近接していることが予想された。当該分光分布から計算したRaは98と高かった。
図13から図16の試験光は、Duvを+0.0100から+0.0400まで正方向にシフトした例である。ここに見られるように、Duvを正方向にシフトさせると、Duv=0.0000の試験光の場合と比較して、より広範な色相域において当該15種類の色票の飽和度を変化させ得ることが分かった。また、Duv=0.0000の試験光の場合と比較すると、比較的均等に当該15種類の色票の飽和度を変化させ得ることも分かった。なお、計算用基準光での照明を仮定した場合と、図中の試験光での照明を仮定した場合とでは、当該15種類の色票の色の見えはDuvを正方向にシフトさせた場合、青から青緑領域と、赤色領域を除いて、ほぼすべての色がくすんで見えると予想された。さらにDuvを正にすればするほど、飽和度が低下する傾向も予想された。図13から図16の分光分布から計算されるRaは、それぞれ95、91、86、77と、現在一般に広がっている理解に従えば、Duvの値を正にすればするほど、色の見えは基準光で照明した場合から離れ、悪化すると予想された。
一方、図17から図21の試験光は、Duvを−0.0100から−0.0500まで負方向にシフトした例である。ここに見られるように、Duvを負方向にシフトさせると、Duv=0.0000の試験光の場合と比較して、より広範な色相域において当該15種類の色票の飽和度を変化させ得ることが分かった。また、Duv=0.0000の試験光の場合と比較すると、比較的均等に当該15種類の色票の飽和度を変化させ得ることも分かった。なお、計算用基準光での照明を仮定した場合と、図中の試験光での照明を仮定した場合では、当該15種類の色票の色の見えは、Duvを負方向にシフトさせた場合、青から青緑領域と、赤領域を除いて、ほぼすべての色が鮮やかに見えると予想された。さらにDuvを負にすればするほど、飽和度が上昇する傾向も予想された。図17から図21の分光分布から計算されるRaは、それぞれ95、91、86、81、75であって、現在一般に広がっている理解に従えば、Duvの値を負にすればするほど、色の見えは基準光で照明した場合から離れ、悪化すると予想された。
加えて、本発明者は、スペクトルを形成する発光要素(発光材料)がさらに異なる試験光に、種々のDuv値を与えた場合、修正マンセル表色系の最外周にある最も鮮やかな15色票がどのような色の見えになると予想されるかを、計算用基準光との比較をしつつ、数学的に検討した。
図22から図32に示した11種類の分光分布は、紫色半導体発光素子を内在させ、これを、青色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体の励起光源としたパッケージLEDを仮定し、近接したCCT(約5500K)においてDuvを−0.0448から+0.0496まで変化させた計算結果である。内在させた半導体発光素子のピーク波長は405nmとした。なお、図32の結果は、Duvを極端に負値にすべく、緑色蛍光体を含まずに実現した結果である。11種類それぞれ試験光での照明を仮定した場合と、その試験光に対する計算用基準光での照明を仮定した場合の、数学的に予想される当該15色票の色の見えは、図22から図32のCIELAB色空間に示した通りである。ここで、図中点線で結んだ点は計算用基準光の結果であって、実線はそれぞれの試験光の結果である。なお、紙面垂直方向は明度であるが、ここでは簡便のためにa、b軸のみをプロットした。
図22に示したDuv=0.0001の試験光では、計算用基準光の場合と、図中の試験光の場合では、当該15種類の色票の色の見えは近接していると予想された。当該分光分布から計算したRaは96と高かった。
図23から図27の試験光は、Duvを+0.0100から+0.0496まで正方向にシフトした例である。ここに見られるように、Duvを正方向にシフトさせると、Duv=0.0001の試験光の場合と比較して、より広範な色相域において当該15種類の
色票の飽和度を変化させ得ることが分かった。また、Duv=0.0001の試験光の場合と比較すると、比較的均等に当該15種類の色票の飽和度を変化させ得ることも分かった。なお、計算用基準光での照明を仮定した場合と、図中の試験光での照明を仮定した場合では、当該15種類の色票の色の見えは、Duvを正方向にシフトさせた場合、青領域を除いて、ほぼすべての色がくすんで見えることが予想された。さらにDuvを正にすればするほど、飽和度が低下する傾向も予想された。図23から図27の分光分布から計算されるRaは、それぞれ92、85、76、69、62と、現在一般に広がっている理解に従えば、Duvの値を正にすればするほど、色の見えは基準光で照明した場合から離れ、悪化すると予想された。
一方、図28から図32の試験光は、Duvを−0.0100から−0.0448まで負方向にシフトした例である。前述の通りDuv=−0.0448は緑色蛍光体を含まない系として実現したものである。ここに見られるように、Duvを負方向にシフトさせると、Duv=0.0001の試験光の場合と比較して、より広範な色相域において当該15種類の色票の飽和度を変化させ得ることが分かった。また、Duv=0.0001の試験光の場合と比較すると、比較的均等に当該15種類の色票の飽和度を変化させ得ることも分かった。なお、計算用基準光での照明を仮定した場合と、図中の試験光での照明を仮定した場合では、当該15種類の色票の色の見えは、Duvを負方向にシフトさせた場合、青領域を除いて、ほぼすべての色が鮮やかに見えることが予想された。さらにDuvを負にすればするほど、飽和度が上昇する傾向も予想された。図28から図32の分光分布から計算されるRaは、それぞれ89、80、71、61、56であって、現在一般に広がっている理解に従えば、Duvの値を負にすればするほど、色の見えは基準光で照明した場合から離れ、悪化すると予想された。
[飽和度制御とDuv値に関する計算検討まとめ]
ここまでの計算検討から、「現在広く信じられている常識に従えば」以下のことが予想された。
(1)Duv=0.0000近傍の色度点を有する試験光で、当該15色票の飽和度を変化させる自由度は低い。具体的には高彩度な当該15色票の大多数の色相の飽和度を一度に変化させる、あるいは、多数の色相において比較的均等に飽和度を向上させる、低下させるなどのことは困難である。
(2)試験光のDuvを正にすると、当該15色票の飽和度を比較的容易に低下できる。Duv=0.0000の試験光の場合と比較して、より広範な色相域において、かつ、比較的均等に当該15種類の色票の飽和度を低下させ得る。さらにDuvを正にすればするほど、飽和度がより低下する。また、Raがより低下することから、視覚実験等では、Duvを正にすればするほど、実験用基準光や実験用疑似基準光で実際の照明対象物等を照明した場合と、試験光で照明した場合の色の見えは差が大きくなり、また、それは悪化したものとなってしまうと予想された。特に白色は黄色(緑色)かかり、色の見えは全体に不自然に見えると予想された。
(3)Duvを負にすると、当該15色票の飽和度を比較的容易に上昇できる。Duv=0.0000の試験光の場合と比較して、より広範な色相域において、かつ、比較的均等に当該15種類の色票の飽和度を向上させ得る。さらにDuvを負にすればするほど、飽和度がより上昇する。また、Rがより低下することから、Duvを負にすればするほど、実験用基準光や実験用疑似基準光で実際の照明対象物等を照明した場合と、試験光で照明した場合の色の見えは差が大きくなり、また、それは悪化したものとなってしまうと予想された。特に白色は赤色(桃色)かかり、色の見えは全体に不自然に見えると予想された。
ここまでの計算検討から、以上のことが「現在広く信じられている常識に照らして」予想されたことである。
[定量指標の導入]
色の見えや、分光分布そのものが有する特徴、放射効率などを詳細に議論する準備として、また、色の見えを詳細に議論する準備として、本発明では、以下の定量指標を導入した。
[色の見えに関わる定量指標の導入]
先ず、当該試験光で対象物を照明した場合における対象物の位置で測定した試験光(本発明の照明方法に係る)、及び、発光装置が試験光を主たる放射方向に出射する場合における当該試験光(本発明の発光装置に係る)のCIE 1976 L色空間における当該15種類の色票のa値、b値をそれぞれa nSSL、b nSSL(ただしnは1から15の自然数)、当該15種類の色票の色相角をそれぞれθnSSL(度)(ただしnは1から15の自然数)とし、上記試験光のCCTに応じて選択される計算用基準の光(5000K未満は黒体放射の光、5000K以上においてはCIE昼光)による照明を数学的に仮定した場合のCIE 1976 L色空間における当該15種類の色票のa値、b値をそれぞれa nref、b nref(ただしnは1から15の自然数)、当該15種類の色票の色相角をそれぞれθnref(度)(ただしnは1から15の自然数)とし、当該2つの光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のそれぞれの色相角差Δh(度)(ただしnは1から15の自然数)の絶対値を
|Δh|=|θnSSL−θnref
と定義した。
これは試験光と実験用基準光あるいは実験用擬似基準光を用いて視覚実験を行うに当たり、さまざまな物体、あるいは物体の色の見えを全体として評価し、自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えを実現する手段として、本発明で特別に選択した当該15種類の修正マンセル色票に関わる数学的に予想される色相角差は重要な指標になると考えたからである。
加えて、試験光と計算用基準光の2つの光で照明された場合を仮定した当該15種類の修正マンセル色票の飽和度差ΔC(ただしnは1から15の自然数)をそれぞれ
ΔC=√{(a nSSL+(b nSSL}−√{(a nref+(b nref
と定義した。また、当該15種類の修正マンセル色票の飽和度差の平均値(以下、SATavと称する場合がある。)である下記式(3)も重要な指標と考えた。
さらに、当該15種類の修正マンセル色票の飽和度差の最大値をΔCmax、飽和度差の最小値をΔCminとした場合に、最大飽和度差と最小飽和度差の間の差(最大最小飽和度差間差)である
|ΔCmax−ΔCmin
も重要な指標と考えた。これは試験光と実験用基準光あるいは実験用擬似基準光を用いて視覚実験を行うに当たり、さまざまな物体、あるいは物体の色の見えを全体として評価し、自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えを実現する手段として、本発明で特別に選択した当該15種類の修正マンセル色票の飽和度差に関わる種々の特性は重要な指標になると考えたからである。
[分光分布に関する定量指標の導入]
本発明では、分光分布の放射計測学的特性、測光学的特性も議論するために、以下の2つの定量指標を導入した。ひとつは指標Acgであって、もうひとつの指標は放射効率K(lm/W)である。
指標Acgは、実験用基準光もしくは実験用擬似基準光による色の見えと、試験光による色の見えの差を、分光分布あるいはスペクトル形状が有する放射計測学的特性と測光学的特性としても記述することを試みたものである。種々の検討の結果、指標Acgを本発明では以下のように定義した。
発光装置からの主たる放射方向に出射される光を測定した場合における(本発明の発光装置に係る)、又は、照明対象物の位置で測定した場合における(本発明の照明方法に係る)、異なる色刺激となる計算用基準光と試験光の分光分布をそれぞれφref(λ)、φSSL(λ)とし、等色関数をx(λ)、y(λ)、z(λ)、計算用基準光と試験光に対応する三刺激値をそれぞれ(Xref、Yref、Zref)、(XSSL、YSSL、ZSSL)とする。ここで、計算用基準光と試験光に関して、kを定数として、以下が成立する。
ref=k∫φref(λ)・y(λ)dλ
SSL=k∫φSSL(λ)・y(λ)dλ
ここで、計算用基準光と試験光の分光分布をそれぞれのYで規格化した規格化分光分布を
ref(λ)=φref(λ)/Yref
SSL(λ)=φSSL(λ)/YSSL
と定義し、これら規格化基準光分光分布と規格化試験光分光分布の差を
ΔS(λ)=Sref(λ)−SSSL(λ)
とした。さらに、ここで、指標Acgを以下のように定義した。
なお、ここで各積分の上下限波長は、それぞれ
Λ1=380nm
Λ2=495nm
Λ3=590nm
とした。
また、Λ4は、以下の2つの場合に分けて定義をした。まず、規格化試験光分光分SSSL(λ)において、380nmから780nm内で、最長波長極大値を与える波長をλ(nm)、その分光強度をSSSL(λ)とした際に、λよりも長波長側にあり、強度がSSSL(λ)/2となる波長をΛ4とした。もし、そのような波長が780nmまでの範囲内に存在しない場合は、Λ4は780nmとした。
指標Acgは色刺激となる放射に関わる可視域を大きく短波長領域(あるいは紫等も含む青領域)、中間波長領域(黄色等も含む緑色領域)、長波長領域(橙色等も含む赤領域)に分割し、数学的な規格化基準光分光分布に比較して、規格化試験光分光分布内の適切な位置に、適切な強度で、スペクトルの凹凸が存在するかどうかを判断する指標である。図33、図34に例示するように、長波長積分範囲は、最長波長極大値の位置によって異なる。また、試験光のCCTによって計算用基準光の選択は異なる。図33の場合は図中実線で示された試験光のCCTが5000K以上なので、基準の光は図中点線で示される
ようにCIE昼光(CIE daylight)が選択されている。図34の場合は図中実線で示された試験光のCCTが5000K未満なので、基準の光は図中点線で示されるように黒体放射の光が選択されている。なお、図中網掛け部分は短波長領域、中間波長領域、長波長領域の積分範囲を模式的に示したものである。
短波長領域においては、数学的な規格化基準光分光分布よりも規格化試験光分光分布のスペクトル強度が強い場合に、指標Acgの第一項(ΔS(λ)の積分)はマイナスの値をとりやすい。中間波長領域においては、逆に、規格化基準光分光分布よりも規格化試験光分光分布のスペクトル強度が弱い場合に、指標Acgの第二項(−ΔS(λ)の積分)はマイナスの値をとりやすい。さらに、長波長領域においては、規格化基準光分光分布よりも規格化試験光分光分布のスペクトル強度が強い場合に、指標Acgの第三項(ΔS(λ)の積分)はマイナスの値をとりやすい指標となっている。
また、前記のように、計算用基準光は試験光のCCTによって変えられる。すなわち、計算用基準光は試験光のCCTが5000K未満の際には黒体放射の光が用いられ、試験光のCCTが5000K以上の際には定義されているCIE昼光(CIE daylight)が用いられる。指標Acgの値の導出においては、φref(λ)は、数学的に定義されている黒体放射の光かCIE昼光を用い、一方、φSSL(λ)はシミュレーションに用いた関数、あるいは実験で実測した値を用いた。
さらに、発光装置から出射された主たる放射方向の光を測定した場合における(本発明の発光装置に係る)、又は、照明対象物の位置で測定した場合における(本発明の照明方法に係る)試験光分光分布φSSL(λ)を評価するに当たり、放射効率 K (Luminous Efficacy of radiation)(lm/W)は、広く使用されている以下の定義を踏襲した。
上記式において、
:最大視感度(lm/W)
V(λ):分光視感効率
λ:波長(nm)
である。
発光装置から出射された主たる放射方向の光を測定した場合における(本発明の発光装置に係る)、又は、照明対象物の位置で測定した場合における(本発明の照明方法に係る)、試験光分光分布φSSL(λ)の放射効率K(lm/W)は、分光分布がその形状として有する効率であって、発光装置を構成するすべての材料特性に関する効率(例えば半導体発光素子の内部量子効率、光取り出し効率、蛍光体の内部量子効率、外部量子効率、封止剤の透光特性等々の効率)が100%であった際に、光源効率η(lm/W)となる量である。
[第二ステップ詳細]
前述の通り、第二ステップとしては、数学的に検討したスペクトル(試験光)を元に、パッケージLED光源、照明器具を試作した。また、計算用基準光に近接した色の見えとなる高Rかつ高Rである光(実験用擬似基準光)用の光源、これを内在させた照明器具も試作した。
具体的には、青色半導体発光素子で緑色蛍光体、赤色蛍光体を励起した光源、青色半導
体発光素子で黄色蛍光体、赤色蛍光体を励起した光源、紫色半導体発光素子で青色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体を励起した光源を試作し、器具化した。
青色蛍光体としてはBAMまたはSBCAを用いた。緑色蛍光体としては、BSS、β−SiAlON、またはBSONを用いた。黄色蛍光体としてはYAGを用いた。赤色蛍光体としてはCASONまたはSCASNを用いた。
パッケージLEDを試作する際には、通常行われている方法を用いた。具体的には、電気的に導通可能な金属配線を内在させたセラミックパッケージ上に半導体発光素子(チップ)をフリップチップマウントした。次に、用いる蛍光体とバインダー樹脂を混合したスラリーを、蛍光体層として配置した。
パッケージLEDを準備した後には、これらを用いてMR16 Gu10、MR16 Gu5.3のLEDバルブなどに仕上げた。このLEDバルブ中には駆動用回路を内蔵させ、また、反射ミラー、レンズ等も搭載し、1種の照明器具に仕上げた。また、市販のLEDバルブも一部準備した。かつ、実験用基準光とすべくタングステンフィラメントが内在する白熱電球も準備した。
さらに、これらLEDバルブを多数配置し、比較視覚実験を行うための照明システムを製作した。ここでは、3種類のバルブを瞬時に切り替えて照明できるシステムをくみ上げた。駆動用電源線の一種は、タングステンフィラメントを有する白熱電球(実験用基準光)専用とし、その後段には可変トランスを配置し、100Vの入力電圧に対して、駆動電圧を110Vから130Vまで昇圧させることで、CCTを変化させられるようにした。また、駆動用電源線の残り2系統はLEDバルブ用とし、この中の1系統は実験用擬似基準光(LED光源)用、残り1系統は試験光用とした。
[第三ステップ詳細]
第三ステップとしては、実験用基準光(あるいは実験用擬似基準光)と試験光を切り替えて、多数の観察対象物の色の見えを被験者に評価してもらう比較視覚実験を行った。当該照明システムは暗室中に設置し外乱を排除した。また、観察対象物の位置における照度は、照明システムに搭載した実験用基準光(あるいは実験用擬似基準光)、試験光の器具数を変化させて、ほぼ一致させた。照度は約150lxから約5000lxの範囲で実験を行った。
実際に照明対象物、観察物としたものを以下に例示する。ここでは、紫色、青紫色、青色、青緑色、緑色、黄緑色、黄色、黄赤色、赤色、赤紫色等の全色相に渡る有彩色対象物を準備するように配慮した。さらに、白色物、黒色物などの無彩色の対象物も準備した。色を有する照明対象物を準備した。また、静物、生花、食品、衣料品、印刷物等、多数多種類なものを準備した。また、実験においては被験者(日本人)自身の肌も観察対象とした。なお、以下の物体名称前に一部付記した色名称は、通常の環境下でそのように見えるという意味で、厳密な色の表現ではない。
白色セラミック皿、ホワイトアスパラ、ホワイトマッシュルーム、白ガーベラ、白色ハンカチ、白Yシャツ、米飯、塩ゴマ、塩せんべい
紫色生花
青紫布製ハンカチ、ブルージーンズ、青緑タオル
緑色パプリカ、レタス、千切りキャベツ、ブロッコリー、緑ライム、緑色りんご
黄色バナナ、黄色パプリカ、黄緑色レモン、黄色ガーベラ、卵焼き
橙色オレンジ、橙色パプリカ、にんじん
赤色トマト、赤色りんご、赤色パプリカ、赤色ウインナー、梅干
ピンク色ネクタイ、ピンクガーベラ、しゃけ塩焼き
小豆色ネクタイ、ベージュ作業着、コロッケ、とんかつ、ごぼう、クッキー、チョコレー
ト、落花生、木製器
被験者(日本人)自身の肌
新聞紙、白背景上の黒文字を含むカラー印刷物(多色ずり)、文庫本、週刊誌
外壁材色見本(三菱樹脂社製 アルポリック 白、青、緑、黄色、赤)
カラーチェッカー(X―rite社製 Color checker classic 18色の有彩色と6種類の無彩色(白1、灰色4、黒1)を含む計24色の色票)
なお、カラーチェッカー中の各色票の名称とマンセル表記は、以下の通りである。
Name Munsell Notation
Dark skin 3.05 YR 3.69/3.20
Light skin 2.2 YR 6.47/4.10
Blue sky 4.3 PB 4.95/5.55
Foliage 6.65 GY 4.19/4.15
Blue flower 9.65 PB 5.47/6.70
Bluish green 2.5 BG 7/6
Orange 5 YR 6/11
Purplish blue 7.5 PB 4/10.7
Moderate red 2.5 R 5/10
Purple 5 P 3/7
Yellow green 5 GY 7.08/9.1
Orange yellow 10 YR 7/10.5
Blue 7.5 PB 2.90/12.75
Green 0.1 G 5.38/9.65
Red 5 R 4/12
Yellow 5 Y 8/11.1
Magenta 2.5 RP 5/12
Cyan 5 B 5/8
White N 9.5/
Neutral 8 N 8/
Neutral 6.5 N 6.5/
Neutral 5 N 5/
Neutral 3.5 N 3.5/
Black N 2/
なお、比較視覚実験で用いた各種照明対象物の色の見えと、計算で使用した15種類のマンセル色票の色の見えに関わる各種数学的指標との間に、相関があることは必ずしも自明ではない。これは視覚実験を通じて明らかとすることである。
視覚実験は、以下のような手順で行った。
準備した実験用基準光、実験用擬似基準光、試験光を、照明対象物の位置で測定したCCT毎に(本発明の照明方法に係る)、又は、準備した実験用基準光、実験用擬似基準光、試験光の、主たる放射方向に出射された光を計測し、それぞれをCCT毎に(本発明の発光装置に係る)、6実験用に分類をした。すなわち、以下の通りである。
1つの視覚実験では、同一対象物を、実験用基準光(あるいは実験用擬似基準光)と試験光とを切り替えて照明し、いずれの光が屋外で見たような、自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えを実現できるかを、被験者に相対的に判断してもらった。この際に優劣の判断理由も尋ねた。
[第四ステップ詳細 実験結果]
第四ステップでは、第二ステップで試作したLED光源/器具/システムを用いて、第三ステップで行った比較視覚実験の結果をまとめた。表2は実験Aに対応し、表3は実験Bに対応する結果である。以下同様に、表7は実験Fに対応する結果である。表2〜7において、基準光に対する試験光の総合評価は、同程度の見えを表す「0」を中心に、試験光が若干好ましいとの評価は「1」、試験光が好ましいとの評価は「2」、試験光がより好ましいとの評価は「3」、試験光が非常に好ましいとの評価は「4」、試験光が格段に好ましいとの評価は「5」とした。一方、試験光が若干好ましくないとの評価を「−1」、試験光が好ましくないとの評価を「−2」、試験光がより好ましくないとの評価を「−3」、試験光が非常に好ましくないとの評価を「−4」、試験光が格段に好ましくないとの評価を「−5」とした。
第四ステップでは、特に、視覚実験において、実験用基準光あるいは実験用擬似基準光で照明した場合よりも、試験光で照明した場合の照明対象物の色の見えが良好であったと判断された場合について、試験光に共通する分光分布の放射計測学的特性、測光学的特性を実測スペクトルから抽出することを試みた。すなわち、Acg、放射効率K(lm/W)、CCT(K)、Duvなどの数値に関して、発光装置から主たる放射方向に出射された光(本発明の発光装置に係る)と、照明対象物の位置(本発明の照明方法に係る)との特徴を抽出した。同時に、計算用基準光で照明した場合を仮定した当該15色票の色の見えと、発光装置から主たる放射方向に出射された光を実測した試験光分光分布(本発明の発光装置に係る)、又は、照明対象物の位置で実測した試験光分光分布(本発明の照明方法に係る)で照明した場合を仮定した当該15色票の色の見えの間の差に関しても、|Δh|、SATav、ΔC、|ΔCmax−ΔCmin|を指標としてまとめた。なお、|Δh|、ΔCは、nを選択すると値が変化するが、ここでは最大値と最小値を示した。これらの値も表2から表7に合わせて記載した。なお、照明対象物の色の見えに関して、被験者の総合的評価結果が発光装置から出射された主たる放射方向の試験光(本発明の発光装置に係る)、又は、照明対象物の位置における試験光(本発明の照明方法に係る)のDuv値に比較的依存していたので、表2から表7は、Duvの値が低下する順に並べた。
全体としては、本実験によって、Duvが適切な値で負の値をとり、かつ、指標Acg等が適切な範囲にある場合に、又は、|Δh|、SATav、ΔC、|ΔCmax−ΔCmin|等が適切な範囲にある場合に、試験光で照明していた実観察物の物体の見え
、色の見えは、実験用基準光で照明した場合よりも好ましいと判断された。これはステップ1で「現在広く信じられている常識に照らした結果」に対して予想外であった。
[第四ステップ詳細 考察]
以下実験結果を考察する。なお、表中の試験光及び比較試験光を総称して「試験光」と称する場合がある。
1)試験光のDuvが、実験用基準光(あるいは実験用疑似基準光)よりも正側であった場合
表4、表5、表7には、試験光のDuvが、実験用基準光(あるいは実験用疑似基準光
)よりも正側の結果が含まれている。ここから、試験光のDuvが正になればなるほど、照明対象物の色の見えや物体の見えに関し、被験者は好ましくなくなったとの判断をしたことが分かる。具体的には、以下の通りであった。
照明された白色物の見えは、Duvが正になればなるほどより黄色み(緑色み)かかって見え、違和感がより増大したと被験者は判断した。照明されたカラーチェッカーの灰色部分の見えは、明度差がより視認しにくくなったと被験者は判断した。さらに、照明された印刷物の文字もより見にくくなったと被験者は指摘した。さらに、照明された各種有彩色の色の見えは、実験用基準光(あるいは実験用疑似基準光)で照明した場合と比較して、試験光のDuvが正になればなるほど、より不自然で、くすんで見えたと被験者は判断した。照明された各種外壁材色見本は屋外で見た色の見えと非常に異なって知覚され、自身の肌色も、不自然に、不健康に見えたと被験者は指摘した。また、同種類似色の生花花弁の色差は、実験用基準光で照明した場合と比較して、識別しにくく、輪郭が見にくくなったと被験者は指摘した。
また、これらの結果は、表4、表5、表7に記載した試験光のCCTにはあまり依存せず、また、発光装置の発光要素(発光材料)の構成にもあまり依存しないこともわかった。
試験光のDuvが正になればなるほど、全体的傾向としてRaが低下することから、これらの結果のいくつかは、ステップ1の数学的な詳細検討から予想可能な範囲であったと言える。
2)試験光のDuvが、実験用基準光(あるいは実験用疑似基準光)よりも負側であった場合
表2から表7のすべてに、試験光のDuvが、実験用基準光(あるいは実験用疑似基準光)よりも負側の結果が含まれている。これらによれば、試験光のDuvが適正範囲で負であって、かつ、表中の各種指標が適正範囲に入っていれば、照明対象物の色の見えや物体の見えに関し、被験者は若干好ましい、好ましい、より好ましい、非常に好ましい、また、格段に好ましいと判断したことが分かる。一方、試験光のDuvが同様の範囲で負であっても、表中の各種指標が適正範囲になかった場合においては、表5に示されるように、試験光による色の見えや物体の見えが好ましくないと判断されたことも分かる。
ここで、試験光のDuvが適正範囲で負であって、かつ、表中の各種指標が適正範囲内の場合において、試験光で照明した場合の対象物の色の見えが、実験用基準光(あるいは実験用疑似基準光)で照明した場合のそれに比較して、自然で好ましい色の見え、好ましい物体の見えとなることは全く予想外であった。被験者が指摘した特長の詳細は以下の通りであった。
白色物は、試験光のDuvが適正範囲で負で、かつ、表中の各種指標が適正範囲内の場合では、実験用基準光(あるいは実験用疑似基準光)で照明した場合と比較して、黄色み(緑色み)が低減し、若干白く見えた、白く見えた、より白く見えた、非常に白く見えた、また、格段に白く見えたと被験者は判断した。また、最適範囲に近接するにつれ、より自然でより良好な見えになっていったことを指摘した。これは全く予想外の結果であった。
さらに、カラーチェッカーの灰色部分は、試験光のDuvが適正範囲で負で、かつ、表中の各種指標が適正範囲内の場合では、実験用基準光(あるいは実験用疑似基準光)で照明した場合と比較して、それぞれの明度差が、若干増したように見えた、増したように見えた、より増したように見えた、非常に増したように見えた、格段に増したように見えたと被験者は判断した。また、被験者は、最適範囲に近接するにつれ、より自然でより視認性の高い見えになっていったことを指摘した。これは全く予想外の結果であった。
さらに、それぞれの無彩色色票の輪郭も、試験光のDuvが適正範囲で負で、かつ、表中の各種指標が適正範囲内の場合では、実験用基準光(あるいは実験用疑似基準光)で照明した場合と比較して、若干はっきり見えた、はっきり見えた、よりはっきり見えた、非常にはっきり見えた、格段にはっきり見えたと被験者は判断した。また、被験者は、最適範囲に近接するにつれ、より自然でより視認性の高い見えになっていったことを指摘した。これは全く予想外の結果であった。
さらに、印刷物の文字は、試験光のDuvが適正範囲で負で、かつ、表中の各種指標が適正範囲内の場合では、実験用基準光(あるいは実験用疑似基準光)で照明した場合と比較して、若干見やすくなった、見やすくなった、より見やすくなった、非常に見やすくなった、格段に見やすくなったと被験者は判断した。また、被験者は、最適範囲に近接するにつれ、より自然でより視認性の高い文字の見えになっていったことを指摘した。これは全く予想外の結果であった。
さらに、各種有彩色の照明対象物の色の見えは、試験光のDuvが適正範囲で負で、かつ、表中の各種指標が適正範囲内の場合では、実験用基準光(あるいは実験用疑似基準光)で照明した場合と比較して、若干ではあるが自然な鮮やかさであった、自然な鮮やかさであった、より自然な鮮やかさであった、非常に自然な鮮やかさであった、また、格段に自然な鮮やかさであったと被験者は判断した。また、被験者は、最適範囲に近接するにつれ、より自然で、好ましい色の見えになっていったことを指摘した。これは全く予想外の結果であった。
さらに、各種外壁材色見本の色の見えは、試験光のDuvが適正範囲で負で、かつ、表中の各種指標が適正範囲内の場合では、実験用基準光(あるいは実験用疑似基準光)で照明した場合と比較して、屋外で見た際の記憶と、若干近接していた、近接していた、より近接していた、非常に近接していた、また、格段に近接していたと被験者は判断した。また、被験者は、最適範囲に近接するにつれ、より自然で、屋外で見た際の記憶と近接した好ましい色の見えになっていったことを指摘した。これは全く予想外の結果であった。
さらに、被験者自身(日本人)の肌の色の見えは、試験光のDuvが適正範囲で負で、かつ、表中の各種指標が適正範囲内の場合では、実験用基準光(あるいは実験用疑似基準光)で照明した場合と比較して、若干自然に見えた、自然に見えた、より自然に見えた、非常に自然に見えた、また、格段に自然に見えたと被験者は判断した。また、被験者は、最適範囲に近接するにつれ、より自然で、健康的な好ましい色の見えになっていったことを指摘している。これは全く予想外の結果であった。
さらに、同種類似色の生花花弁の色差は、試験光のDuvが適正範囲で負で、かつ、表中の各種指標が適正範囲内の場合では、実験用基準光(あるいは実験用疑似基準光)で照明した場合と比較して、若干識別しやすかった、識別しやすかった、より識別しやすかった、非常に識別しやすかった、また、格段に識別しやすかったと被験者は判断した。また、被験者は、Duvが実験した範囲内で適正上限よりも負になればなるほど、より識別しやすかったことを指摘した。これは全く予想外の結果であった。
さらに、各種照明対象物は、試験光のDuvが適正範囲で負で、かつ、表中の各種指標が適正範囲内の場合では、実験用基準光(あるいは実験用疑似基準光)で照明した場合と比較して、若干輪郭がはっきり見えた、輪郭がはっきり見えた、より輪郭がはっきり見えた、非常に輪郭がはっきり見えた、また、格段に輪郭がはっきり見えたと被験者は判断した。また、被験者は、Duvが実験した範囲内で適正上限よりも負になればなるほど、より輪郭がはっきり見えたことを指摘した。これは全く予想外の結果であった。
試験光のDuvが負になればなるほど、全体的傾向としてRaが低下することからも、これらの結果は、ステップ1の数学的な詳細検討からは、全く予想外であったと言える。
表2から表7にある通り、Raの値のみに注目すれば、Raが95以上である試験光も多数あったにも関わらず、たとえば、総合的に「格段に良好」とされた試験光のRaは82から91程度であった。また、今回の比較視覚実験は、ANSI C78.377−2008に記載されているDuvの範囲を超えて行っている。よって上記の結果は、現在の常識的推奨色度範囲の外に、照明された物体の色の見えに関する知覚良好領域があることを新たに見出したものと言える。
また、本発明の第一の実施態様に係る発光装置において、このような知覚を得るためにはDuv以外にも、表2から表7に記載の指標Acgが適正範囲にある必要があった。また、各種指標、すなわち、放射効率K(lm/W)、|Δh|、SATav、ΔC、|ΔCmax−ΔCmin|が適正範囲にあることが好ましいことが解った。当該要件は、本発明の第二の実施態様に係る発光装置の設計方法、第三の実施態様に係る発光装置の駆動方法についても、同様である。
第一に、視覚実験で良好と判断された試験光の結果から、Duvと、指標Acgに関しては、以下のようであった。
先ず、Duv値は、−0.0040以下であって、若干好ましくは−0.0042以下であって、好ましくは、−0.0070以下であって、より好ましくは−0.0100以下であって、非常に好ましくは−0.0120以下であって、格段に好ましくは−0.0160以下であった。
また、本発明におけるDuvは、−0.0350以上であって、若干好ましくは−0.0340以上であって、好ましくは、−0.0290以上であって、より好ましくは−0.0250以上であって、非常に好ましくは−0.0230以上であって、格段に好ましくは−0.0200以上であった。
さらに、表2から表7の結果より、本発明の第一の実施態様に係る発光装置において分光分布はAcgが−10以下であって−360以上であった。正確な定義は前述の通りであるが、この物理的なおおよその意味、見通しの良い解釈は、以下の通りである。Acgが適切な範囲で負の値を取るとの意味は、規格化試験光分光分布に適切な凹凸があり、380nmから495nm間の短波長領域では、数学的な規格化基準光分光分布よりも規格化試験光分光分布の放射束強度が強い傾向にあり、および/または、495nmから590nmの中間波長領域では、数学的な規格化基準光分光分布よりも規格化試験光分光分布の放射束強度が弱い傾向にあり、および/または、590nmからΛ4までの長波長領域では、数学的な規格化基準光分光分布よりも規格化試験光分光分布の放射束強度が強い傾向にあることを意味している。そのうえで、Acgが定量的に−10以下−360以上の場合に、良好な色の見え、良好な物体の見えとなったと理解できる。
本発明の第一の実施態様に係る発光装置から主たる放射方向に出射される光の分光分布から導出されるAcgは、−10以下であって、若干好ましくは−11以下であって、より好ましくは−28以下であって、非常に好ましくは−41以下であって、格段に好ましくは−114以下であった。
また、本発明の第一の実施態様に係る発光装置から主たる放射方向に出射される光の分光分布から導出されるAcgは−360以上であって、若干好ましくは−330以上であって、好ましくは−260以上であって、非常に好ましくは−181以上であって、格段に好ましくは−178以上であった。
なお、視覚実験で実試験光を用いた検討がなされ、当該検討中の好ましい実験結果の内側にあるAcgの好ましい範囲は、−322以上、−12以下であった。
第二に、本発明は色の見えが良く効率も高い試験光の実現を目指したが、放射効率Kに
関しては、以下の通りであった。
本発明の第一の実施態様に係る発光装置による分光分布が有する放射効率は、好適には180(lm/W)から320(lm/W)の範囲であって、通常の白熱電球等の値である150(lm/W)よりも最低でも20%以上高かった。これは半導体発光素子からの放射や蛍光体からの放射が内在しており、かつ、V(λ)との関係において、分光分布の適切な位置に適切な凹凸があったためであると考えられる。色の見えとの両立との観点では、本発明の第一の実施態様に係る発光装置から主たる放射方向に出射される光が有する分光分布から求められる放射効率は、以下の範囲が好ましかった。
本発明の第一の実施態様に係る発光装置による放射効率Kは、好適には180(lm/W)以上であったが、若干好ましくは205(lm/W)以上であって、好ましくは208(lm/W)以上であって、非常に好ましくは215(lm/W)以上であった。一方、放射効率Kは理想的には高い方が良いが、本発明においては、好適には320(lm/W)以下であって、色の見えとのバランスから、282(lm/W)以下が若干好ましく、232(lm/W)以下が好ましく、231(lm/W)以下が格段に好ましかった。
なお、視覚実験で実試験光を用いた検討がなされ、当該検討中の好ましい実験結果の内側にあるKの好ましい範囲は、206(lm/W)以上、288(lm/W)以下であった。
第三に、|Δh|、SATav、ΔC、|ΔCmax−ΔCmin|の特性を考えると、以下の傾向であったことが分かる。すなわち、良好な色の見え、物体の見えとなる試験光は、計算用基準光で照明した場合を仮定した当該15色票の色の見えと、実測した試験光分光分布で照明した場合を仮定した当該15色票の色の見えに関して、以下の特性を有していた。
試験光による照明と計算用基準光による照明の当該15色票の色相角差(|Δh|)は比較的少なく、かつ、試験光による照明の当該15色票の平均的飽和度SATavが、計算用基準光による照明のそれと比較して適正な範囲で上がっていた。かつ、当該平均値だけでなく、15色票の飽和度(ΔC)を個別に見ても、試験光による照明の当該15色票の各ΔCが、計算用基準光による照明のそれらと比較して、極端に低下しているものも極端に向上しているものもなく、すべてが適正範囲にあり、この結果として最大最小飽和度差間差|ΔCmax−ΔCmin|が適正な範囲で狭かった。さらに、簡略化すれば、当該15色票に対して基準光での照明を仮定した場合に比較して、試験光での照明を仮定した場合は、当該15色票すべての色相において、色相角差が少なく、かつ、適正な範囲で15色票の飽和度が比較的均等に向上している場合が理想的であると推察できる。
図35の実線は、表3にあって、総合判断として「格段に好ましい」と判断された試験光5の規格化試験光分光分布である。また、同図中点線は、当該試験光のCCTから算出された計算用基準光(黒体放射の光)の規格化分光分布である。一方、図36は、当該試験光5で照明した場合(実線)と、計算用基準光(黒体放射の光)で照明した場合(点線)を仮定した、当該15色票の色の見えに関するCIELABプロットである。なお、紙面垂直方向は明度であるが、ここでは簡便のためにa、b軸のみをプロットした。
さらに図37と図38は、表5の中で、総合判断として「格段に好ましい」と判断された試験光15の結果を上記と同様にまとめたもので、図39と図40は、表6中で、総合判断として「格段に好ましい」と判断された試験光19の結果を上記と同様にまとめたものである。
この様に視覚実験で好ましい色の見え、物体の見えとなった場合は、当該15色票に対する基準光での照明を仮定した場合に比較して、試験光での照明を仮定した場合に、当該15色票すべての色相において、色相角差が少なく、かつ、適正な範囲で15色票の飽和
度が比較的均等に向上していることが分かる。また、この観点で4000K近傍のCCTは、好ましいことも分かる。
一方、Duvが適正な範囲で負の値を有する場合であっても、たとえば表5中のDuv≒−0.01831である比較試験光14の場合には、視覚実験において試験光による見えが好ましくないと判断されている。これは、指標Acgの特性が適正でなかったと考えられる。図41、図42は比較試験光14について、図35、図36等と同様に規格化分光分布と15色票の色の見えに関するCIELABプロットを行った結果である。この図からも明らかなように、当該15色票に対して基準光での照明を仮定した場合と、試験光での照明を仮定した場合とを比較すると、当該15色票のいくつかの色相において、色相角差が大きく、また、15色票の飽和度が非常に不均等に変化していることが分かる。
視覚実験結果と考察から、各定量指標は、以下の範囲が好ましいことが分かる。
本発明の第一の実施態様に係る発光装置におけるDuvは、前述の通り、−0.0040以下であって、若干好ましくは−0.0042以下であって、好ましくは、−0.0070以下であって、より好ましくは−0.0100以下であって、非常に好ましくは−0.0120以下であって、格段に好ましくは−0.0160以下であった。
また、本発明の第一の実施態様に係る発光装置におけるDuvは、−0.0350以上であって、若干好ましくは−0.0340以上であって、好ましくは、−0.0290以上であって、より好ましくは−0.0250以上であって、非常に好ましくは−0.0230以上であって、格段に好ましくは−0.0200以上であった。
本発明の第一の実施態様に係る発光装置における|Δh|は9.0以下が好適であり、非常に好ましくは8.4以下であって、格段に好ましくは7.3以下であった。また|Δh|は、さらに小さいことがより好ましいと考えられ、6.0以下がより格段に好ましく、5.0以下が更に格段に好ましく、4.0以下が特に格段に好ましいと考えられる。
なお、本発明の第一の実施態様に係る発光装置における|Δh|は0以上が好適であり、視覚実験時の最小値は0.0029であった。さらに、視覚実験で実試験光を用いた検討がなされ、当該検討中の好ましい実験結果の内側にある|Δh|の好ましい範囲は、8.3以下、0.003以上であった。
本発明の第一の実施態様に係る発光装置におけるSATavは、1.0以上が好適であり、若干好ましくは1.1以上であって、好ましくは、1.9以上であって、非常に好ましくは2.3以上であって、格段に好ましくは2.6以上であった。
また、7.0以下であることが好適であり、好ましくは6.4以下であって、非常に好ましくは、5.1以下であって、格段に好ましくは4.7以下であった。
なお、視覚実験で実試験光を用いた検討がなされ、当該検討中の好ましい実験結果の内側にある上記指標の好ましい範囲は、1.2以上、6.3以下であった。
本発明の第一の実施態様に係る発光装置におけるΔCは、−3.8以上であることが好適であり、若干好ましくは−3.5以上であって、非常に好ましくは−2.5以上であって、格段に好ましくは−0.7以上であった。
また、本発明の第一の実施態様に係る発光装置におけるΔCは、18.6以下であることが好適であり、非常に好ましくは17.0以下であって、格段に好適には15.0以下であった。
なお、視覚実験で実試験光を用いた検討がなされ、当該検討中の好ましい実験結果の内側にあるΔCの好ましい範囲は、−3.4以上、16.8以下であった。
本発明の第一の実施態様に係る発光装置における|ΔCmax−ΔCmin|は、19
.6以下であることが好適であり、17.9以下であることが非常に好ましく、15.2以下であることが格段に好ましかった。加えて、|ΔCmax−ΔCmin|は小さいことがより好ましいと考えられ、14.0以下がさらに格段に好ましく、13.0以下が非常に格段に好ましいと考えられる。
また、本発明の第一の実施態様に係る発光装置における|ΔCmax−ΔCmin|は2.8以上であることが好適であり、視覚実験時の最小値は3.16であった。さらに、視覚実験で実試験光を用いた検討がなされ、当該検討中の好ましい実験結果の内側にある|ΔCmax−ΔCmin|の好ましい範囲は、3.2以上、17.8以下であった。
第四に、本発明の第一の実施態様に係る発光装置におけるCCTに関しては、以下のようなことが分かった。比較視覚実験によって、好ましいと判断された各種指標すなわち|Δh|、SATav、ΔC、|ΔCmax−ΔCmin|をより適切な値とするためには、本発明の第一の実施態様に係る発光装置において、CCTは4000Kに近い値をとることが好ましかった。これは4000K付近の光は基準の光を見てもその分光分布が波長にあまり依存せずに等エネルギー的であって、基準の光に対して容易に凹凸を形成した試験光分光分布が実現できるためと考えられる。換言すると、他のCCTの場合と比較しても、|Δh|と|ΔCmax−ΔCmin|を比較的小さく保持したまま、SATavを増加させ、大多数の色票に対するΔCを所望の値に容易に制御可能である。
よって、本発明の第一の実施態様に係る発光装置におけるCCTは1800Kから15000Kであることが若干好ましく、2000Kから10000Kであることが好ましく、2300Kから7000Kであることがより好ましく、2600Kから6600Kであることが非常に好ましく、2900Kから5800Kであることが格段に好ましく、3400Kから5100Kであることが最も好ましい。
なお、視覚実験で実試験光を用いた検討がなされ、当該検討中の好ましい実験結果の内側にあるCCTの好ましい範囲は、2550(K)以上、5650(K)以下であった。
本発明の第二の実施態様に係る発光装置の設計方法、及び第三の実施態様に係る発光装置の駆動方法に係る上記各パラメータについても、上記第一の実施態様に係る発光装置と同様である。
また、本発明の第四の実施態様に係る照明方法において、このような知覚を得るためにはDuv以外にも、表2から表7に記載の各種指標、すなわち、|Δh|、SATav、ΔC、|ΔCmax−ΔCmin|が適正範囲にある必要があった。また、指標Acg、放射効率K(lm/W)が適正範囲にあることが好ましいことが解った。
特に、視覚実験で良好と判断された試験光の結果から、|Δh|、SATav、ΔC、|ΔCmax−ΔCmin|の特性を考えると、以下の傾向であったことが分かる。すなわち、良好な色の見え、物体の見えとなる試験光は、計算用基準光で照明した場合を仮定した当該15色票の色の見えと、実測した試験光分光分布で照明した場合を仮定した当該15色票の色の見えに関して、以下の特性を有していた。
試験光による照明と計算用基準光による照明の当該15色票の色相角差(|Δh|)は比較的少なく、かつ、試験光による照明の当該15色票の平均的飽和度SATavが、計算用基準光による照明のそれと比較して適正な範囲で上がっていた。かつ、当該平均値だけでなく、15色票の飽和度(ΔC)を個別に見ても、試験光による照明の当該15色票の各ΔCが、計算用基準光による照明のそれらと比較して、極端に低下しているものも極端に向上しているものもなく、すべてが適正範囲にあり、この結果として最大最小飽和度差間差|ΔCmax−ΔCmin|が適正な範囲で狭かった。さらに、簡略化すれば、当該15色票に対して基準光での照明を仮定した場合に比較して、試験光での照明を仮定した場合は、当該15色票すべての色相において、色相角差が少なく、かつ、適正な
範囲で15色票の飽和度が比較的均等に向上している場合が理想的であると推察できる。
図35の実線は、表3にあって、総合判断として「格段に好ましい」と判断された試験光5の規格化試験光分光分布である。また、同図中点線は、当該試験光のCCTから算出された計算用基準光(黒体放射の光)の規格化分光分布である。一方、図36は、当該試験光5で照明した場合(実線)と、計算用基準光(黒体放射の光)で照明した場合(点線)を仮定した、当該15色票の色の見えに関するCIELABプロットである。なお、紙面垂直方向は明度であるが、ここでは簡便のためにa、b軸のみをプロットした。
さらに図37と図38は、表5の中で、総合判断として「格段に好ましい」と判断された試験光15の結果を上記と同様にまとめたもので、図39と図40は、表6中で、総合判断として「格段に好ましい」と判断された試験光19の結果を上記と同様にまとめたものである。
この様に視覚実験で好ましい色の見え、物体の見えとなった場合は、当該15色票に対する基準光での照明を仮定した場合に比較して、試験光での照明を仮定した場合に、当該15色票すべての色相において、色相角差が少なく、かつ、適正な範囲で15色票の飽和度が比較的均等に向上していることが分かる。また、この観点で4000K近傍のCCTは、好ましいことも分かる。
一方、Duvが適正な範囲で負の値を有する場合であっても、たとえば表5中のDuv≒−0.01831である比較試験光14の場合には、視覚実験において試験光による見えが好ましくないと判断されている。これは、|Δh|、SATav、ΔC、|ΔCmax−ΔCmin|の特性のうちいくつかが適正でなかったと考えられる。図41、図42は比較試験光14について、図35、図36等と同様に規格化分光分布と15色票の色の見えに関するCIELABプロットを行った結果である。この図からも明らかなように、当該15色票に対して基準光での照明を仮定した場合と、試験光での照明を仮定した場合とを比較すると、当該15色票のいくつかの色相において、色相角差がおおきく、また、15色票の飽和度が非常に不均等に変化していることが分かる。
視覚実験結果と考察から、各定量指標は、以下の範囲が好ましいことが分かる。
本発明の第四の実施態様に係る照明方法におけるDuvは、−0.0040以下であって、若干好ましくは−0.0042以下であって、好ましくは、−0.0070以下であって、より好ましくは−0.0100以下であって、非常に好ましくは−0.0120以下であって、格段に好ましくは−0.0160以下であった。
また、本発明の第四の実施態様に係る照明方法におけるDuvは、−0.0350以上であって、若干好ましくは−0.0340以上であって、好ましくは、−0.0290以上であって、より好ましくは−0.0250以上であって、非常に好ましくは−0.0230以上であって、格段に好ましくは−0.0200以上であった。
本発明の第四の実施態様に係る照明方法における|Δh|は9.0以下であって、非常に好ましくは8.4以下であって、格段に好ましくは7.3以下であった。また|Δh|は、さらに小さいことがより好ましいと考えられ、6.0以下がより格段に好ましく、5.0以下が更に格段に好ましく、4.0以下が特に格段に好ましいと考えられる。
なお、本発明の第四の実施態様に係る照明方法における|Δh|は0以上で、視覚実験時の最小値は0.0029であった。さらに、視覚実験で実試験光を用いた検討がなされ、当該検討中の好ましい実験結果の内側にある|Δh|の好ましい範囲は、8.3以下、0.003以上であった。
本発明の第四の実施態様に係る照明方法におけるSATavは、1.0以上であって、若干好ましくは1.1以上であって、好ましくは、1.9以上であって、非常に好ましく
は2.3以上であって、格段に好ましくは2.6以上であった。
また、7.0以下であって、好ましくは6.4以下であって、非常に好ましくは、5.1以下であって、格段に好ましくは4.7以下であった。
なお、視覚実験で実試験光を用いた検討がなされ、当該検討中の好ましい実験結果の内側にある上記指標の好ましい範囲は、1.2以上、6.3以下であった。
本発明の第四の実施態様に係る照明方法におけるΔCは、−3.8以上であって、若干好ましくは−3.5以上であって、非常に好ましくは−2.5以上であって、格段に好ましくは−0.7以上であった。
また、本発明の第四の実施態様に係る照明方法におけるΔCは、18.6以下であって、非常に好ましくは17.0以下であって、格段に好ましくは15.0以下であった。さらに、視覚実験で実試験光を用いた検討がなされ、当該検討中の好ましい実験結果の内側にあるΔCの好ましい範囲は、−3.4以上、16.8以下であった。
本発明の第四の実施態様に係る照明方法における|ΔCmax−ΔCmin|は、19.6以下であるが、17.9以下であることが非常に好ましく、15.2以下であることが格段に好ましかった。加えて、|ΔCmax−ΔCmin|は小さいことがより好ましいと考えられ、14.0以下がさらに格段に好ましく、13.0以下が非常に格段に好ましいと考えられる。
また、本発明の第四の実施態様に係る照明方法における|ΔCmax−ΔCmin|は2.8以上で、視覚実験時の最小値は3.16であった。さらに、視覚実験で実試験光を用いた検討がなされ、当該検討中の好ましい実験結果の内側にある|ΔCmax−ΔCmin|の好ましい範囲は、3.2以上、17.8以下であった。
一方、表2から表7を用いて、視覚実験で好ましい特性と総合的に判断された試験光に付随する特性を、試験光分光分布が有する放射計測学的特性と測光学的特性とで代表させることも試みた。
この場合もDuv値は、これまで考察してきたとおりであって、−0.0040以下であって、若干好ましくは−0.0042以下であって、好ましくは、−0.0070以下であって、より好ましくは−0.0100以下であって、非常に好ましくは−0.0120以下であって、格段に好ましくは−0.0160以下であった。
また、本発明におけるDuvは、−0.0350以上であって、若干好ましくは−0.0340以上であって、好ましくは、−0.0290以上であって、より好ましくは−0.0250以上であって、非常に好ましくは−0.0230以上であって、格段に好ましくは−0.0200以上であった。
一方、指標Acgに関しては、以下の様であった。
表2から表7の結果より、本発明の第四の実施態様に係る照明方法の好適な分光分布はAcgが−10以下であって−360以上であった。正確な定義は前述の通りであるが、この物理的なおおよその意味、見通しの良い解釈は、以下の通りである。Acgが適切な範囲で負の値を取るとの意味は、規格化試験光分光分布に適切な凹凸があり、380nmから495nm間の短波長領域では、数学的な規格化基準光分光分布よりも規格化試験光分光分布の放射束強度が強い傾向にあり、および/または、495nmから590nmの中間波長領域では、数学的な規格化基準光分光分布よりも規格化試験光分光分布の放射束強度が弱い傾向にあり、および/または、590nmからΛ4までの長波長領域では、数学的な規格化基準光分光分布よりも規格化試験光分光分布の放射束強度が強い傾向にあることを意味している。Acgは短波長領域、中間波長領域、長波長領域におけるそれぞれの要素の総和なので、各個別の要素は、必ずしも上記傾向でない場合もあり得る。そのうえで、Acgが定量的に−10以下−360以上の場合に、良好な色の見え、良好な物体
の見えとなったと理解できる。
本発明の第四の実施態様に係る照明方法におけるAcgは、好適には−10以下であって、若干好ましくは−11以下であって、より好ましくは−28以下であって、非常に好ましくは−41以下であって、格段に好ましくは−114以下であった。
また、本発明の第四の実施態様に係る照明方法においては、Acgは好適には−360以上であって、若干好ましくは−330以上であって、好ましくは−260以上であって、非常に好ましくは−181以上であって、格段に好ましくは−178以上であった。
なお、視覚実験で実試験光を用いた検討がなされ、当該検討中の好ましい実験結果の内側にあるAcgの好ましい範囲は、−322以上、−12以下であった。
さらに、本発明の第四の実施態様に係る照明方法においては、色の見えが良く効率も高い試験光の実現を目指したが、放射効率Kに関しては、以下の通りであった。
本発明の第四の実施態様に係る照明方法による分光分布が有する放射効率は、好適には180(lm/W)から320(lm/W)の範囲であって、通常の白熱電球等の値である150(lm/W)よりも最低でも20%以上高かった。これは半導体発光素子からの放射や蛍光体からの放射が内在しており、かつ、V(λ)との関係において、分光分布の適切な位置に適切な凹凸があったためであると考えられる。色の見えとの両立との観点では、本発明の照明方法の放射効率は、以下の範囲が好ましかった。
本発明の第四の実施態様に係る照明方法による放射効率Kは、好適には180(lm/W)以上であったが、若干好ましくは205(lm/W)以上であって、好ましくは208(lm/W)以上であって、非常に好ましくは215(lm/W)以上であった。一方、放射効率Kは理想的には高い方が良いが、本発明においては、好適には320(lm/W)以下であって、色の見えとのバランスから、282(lm/W)以下が若干好ましく、232(lm/W)以下が好ましく、231(lm/W)以下が格段に好ましかった。
なお、視覚実験で実試験光を用いた検討がなされ、当該検討中の好ましい実験結果の内側にあるKの好ましい範囲は、206(lm/W)以上、288(lm/W)以下であった。
さらに本発明の第四の実施態様に係る照明方法におけるCCTに関しては、以下のようなことが分かった。比較視覚実験によって、好ましいと判断された各種指標すなわち|Δh|、SATav、ΔC、|ΔCmax−ΔCmin|をより適切な値とするためには、本発明の照明方法において、CCTは4000Kに近い値をとることが好ましかった。これは4000K付近の光は基準の光を見てもその分光分布が波長にあまり依存せずに等エネルギー的であって、基準の光に対して容易に凹凸を形成した試験光分光分布が実現できるためと考えられる。換言すると、他のCCTの場合と比較しても、|Δh|と|ΔCmax−ΔCmin|を比較的小さく保持したまま、SATavを増加させ、大多数の色票に対するΔCを所望の値に容易に制御可能である。
よって、本発明の第四の実施態様に係る照明方法におけるCCTは1800Kから15000Kであることが若干好ましく、2000Kから10000Kであることが好ましく、2300Kから7000Kであることがより好ましく、2600Kから6600Kであることが非常に好ましく、2900Kから5800Kであることが格段に好ましく、3400Kから5100Kであることが最も好ましい。
なお、視覚実験で実試験光を用いた検討がなされ、当該検討中の好ましい実験結果の内側にあるCCTの好ましい範囲は、2550(K)以上、5650(K)以下であった。
[第五ステップ詳細 複数の発光領域を有する発光装置での検討]
第五ステップでは、複数の発光領域を有する発光装置を想定し、各発光領域の放射束量
(光束量)を調節することで、発光装置の色の見えがどのように変化するかの検討を行った。すなわち、各発光領域及び発光装置から主たる放射方向に出射された光の指標Acg、CCT(K)、DuvSSL、放射効率K(lm/W)などの数値の特徴を抽出した。同時に、計算用基準光で照明した場合を仮定した当該15色票の色の見えと、実測した試験光分光分布で照明した場合を仮定した当該15色票の色の見えの間の差に関しても、|Δh|、SATav、ΔC、|ΔCmax−ΔCmin|を指標としてまとめた。なお、|Δh|、ΔCは、nを選択すると値が変化するが、ここでは最大値と最小値を示した。これらの値も表8〜12に合わせて記載した。なお、第五ステップにおける検討は、本発明に係る実施例、比較例をも表すものである。
具体的には、各発光領域から主たる放射方向に出射される光束量かつ/または放射束量を変化させることで、各発光領域から主たる放射方向に出射される光の分光分布の和であるφSSL(λ)がどのように変化するかの実験を行った。
以下、本発明に係る実験について説明する。
実施例1
図43に記載のように、計2個の発光部が存在する5mm直径の樹脂パッケージを準備する。ここで発光領域1中には、青色半導体発光素子、緑色蛍光体、赤色蛍光体を搭載し、封止する。また、発光領域1の青色半導体発光素子は、1つの独立した回路構成となるようにパッケージLEDの配線を構成し、電源に結合する。一方、発光領域2中には、紫色半導体発光素子、青色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体を搭載し、封止する。また、発光領域2の紫色半導体発光素子は、1つの独立した回路構成となるようにパッケージLEDの配線を構成し、別の独立した電源に結合する。このように、発光領域1と発光領域2は、それぞれ独立に電流注入できるようにする。
次に、発光領域1と発光領域2を有する当該パッケージLED10の各発光領域に注入する電流値を適宜調整すると、例えば、当該パッケージLEDの軸上に放射される図44〜図48に示す5種類の分光分布が実現される。図44は発光領域1のみに電流を注入し、発光領域1と発光領域2の放射束比を3:0にする場合であって、図48は、逆に、発光領域2のみに電流を注入し、発光領域1と発光領域2の放射束比を0:3にする場合である。さらに、発光領域1と発光領域2の放射束比を、2:1にする場合を図45に、1.5:1.5にする場合を図46に、1:2にする場合を図47に示す。このように、パッケージLED10の各領域に注入する電流を変化させることで、パッケージLED本体から軸上に放射される放射束を変化させることができる。また各図に示したCIELABプロットは、#01から#15の15種類の修正マンセル色票を照明対象物とした場合を数学的に仮定し、当該パッケージLEDで照明した場合と、当該パッケージLEDの相関色温度から導出される基準の光で照明した場合のa値、b値をそれぞれプロットしたものである。なお、ここでは、発光装置としての放射束に対して、発光領域1の放射束寄与が大きい順に駆動点Aから駆動点Eまでの駆動点名を与えてある。図49はこれら駆動点AからEまでの色度点をCIE 1976 u’v’色度図上に示したものである。一方、それぞれの駆動点において、予想される測光学的特性、測色学的特性は、表8にまとめる。
これら図44から図48の分光分布、図44から図48のCIELABプロット、図49のCIE 1976 u’v’色度図、さらに表8から、以下のことが分かる。
駆動点Aから駆動点Eとさらにはその間においては、屋外で見たような、自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えを実現可能と考えられる。よって、たとえば、駆動点Aと駆動点Eの間では、このような色の見えを実現しつつ、パッケージLEDとしての相関色温度を2700Kから5505Kまで可変でき、DuvSSLも−0.00997から−0.01420まで可変できる。さらに当該15種類の修正マンセル色票の平均飽和度も2.80から2.17まで可変となる。このようにすると、好ましい色の見えを実現可能な領域において、発光装置の利用者の年齢、性別などによって、また、照明する空間、目的等に合わせて、より最適と考えられる照明条件を、可変範囲から容易に選択することができる。
この際には、さらに、次のような駆動制御をすることも可能である。
第一に、指標Acg、相関色温度TSSL(K)、及び黒体放射軌跡からの距離DuvSSLの少なくとも1つを変化させた際に、発光装置から主たる放射方向に出射される光束かつ/または放射束を不変とすることもできる。このような制御を行うと照明対象物の照度に依存せずに、分光分布の形状変化に由来する色の見えの差を容易に調べることができるため、好ましい。
第二に、指標Acgを適切な範囲で減少させる際に、発光装置としての光束かつ/または放射束を下げて、照明対象物の照度を低下させる制御を行うこともできる。また、第三に、DuvSSLを適切な範囲で下げる場合にも、発光装置としての光束かつ/または放射束を下げて、照明対象物の照度を下げる制御もできる。これら第二、第三の場合は、一般に明るさ感が増す場合が多いので、照度を下げてエネルギー消費を抑制することも可能であって、好ましい。
第四に、当該相関色温度を上げる際には、発光装置としての光束かつ/または放射束を上げて、照明対象物の照度を上げるような制御もできる。一般の照明環境下では、低色温度領域では相対的に低照度環境において心地良いと判断されることが多く、また、高色温度領域では、相対的に高照度環境において心地良いと判断されることが多い。このような心理的効果は、クルーゾフ効果として知られているが、この様な効果を取り込んだ制御を行うことも可能であって、相関色温度を上げる際には、発光装置としての光束かつ/または放射束を上げて、照明対象物の照度を上げるような制御が好ましい。
実施例2
図50に記載のように、計6個の発光部が存在する縦6mm、横9mmのセラミックパッケージを準備する。ここで発光領域1−1、発光領域1−2、発光領域1−3中には、青色半導体発光素子、緑色蛍光体、赤色蛍光体を搭載、封止し、等価な発光領域を形成する。また、発光領域1−1、発光領域1−2、発光領域1−3の半導体発光素子は直列に接続され1つの独立した電源に結合する。一方、発光領域2−1、発光領域2−2、発光領域2−3中には、紫色半導体発光素子、青色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体を搭載、封止し、等価な発光領域を形成する。また、発光領域2−1、発光領域2−2、発光領域2−3の半導体発光素子は直列に接続され別の独立した電源に結合する。発光領域1と発光領域2は、それぞれ独立に電流注入できるようにする。
次に、発光領域1と発光領域2を有する当該パッケージLEDの各発光領域に注入する電流値を適宜調整すると、例えば、当該パッケージLEDの軸上に放射される図51〜図55に示す5種類の分光分布が実現される。図51は発光領域1のみに電流を注入し、発光領域1と発光領域2の放射束比を3:0にする場合であって、図55は、逆に、発光領域2のみに電流を注入し、発光領域1と発光領域2の放射束比を0:3にする場合である。さらに、発光領域1と発光領域2の放射束比を、2:1にする場合を図52に、1.5:1.5にする場合を図53に、1:2にする場合を図54に示す。このように、パッケージLED20の各領域に注入する電流を変化させることで、パッケージLED本体から軸上に放射される放射束を変化させることができる。また各図に示したCIELABプロットは、#01から#15の15種類の修正マンセル色票を照明対象物とした場合を数学的に仮定し、当該パッケージLEDで照明した場合と、当該パッケージLEDの相関色温
度から導出される基準の光で照明した場合のa値、b値をそれぞれプロットしたものである。なお、ここでは、発光装置としての放射束に対して、発光領域1の放射束寄与が大きい順に駆動点Aから駆動点Eまでの駆動点名を与えてある。図56はこれら駆動点AからEまでの色度点をCIE 1976 u’v’色度図上に示したものである。一方、それぞれの駆動点において、予想される測光学的特性、測色学的特性は、表9にまとめる。
これら図51から図55の分光分布、図51から図55のCIELABプロット、図56のCIE 1976 u’v’色度図、さらに表9から、以下のことが分かる。
駆動点A、駆動点D,駆動点EにおいてはDuvSSL、Acgのいずれか、あるいは両方が本発明の適切な範囲に入らないが、駆動点B、駆動点Cさらにはその間並びに近傍においては、屋外で見たような、自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えを実現可能と考えられる。よって、たとえば、駆動点Bと駆動点Cの間では、このような色の見えを実現しつつ、パッケージLEDとしての相関色温度を3475Kから3931Kまで可変でき、DuvSSLも−0.00642から−0.00585まで可変できる。さらに当該15種類の修正マンセル色票の平均飽和度も1.42から1.26まで可変となる。このようにすると、好ましい色の見えを実現可能な領域において、発光装置の利用者の年齢、性別などによって、また、照明する空間、目的等に合わせて、より最適と考えられる照明条件を、可変範囲から容易に選択することができる。
この際には、さらに、次のような駆動制御をすることも可能である。
第一に、指標Acg、相関色温度TSSL(K)、及び黒体放射軌跡からの距離DuvSSLの少なくとも1つを変化させた際に、発光装置から主たる放射方向に出射される光束かつ/または放射束を不変とすることもできる。このような制御を行うと照明対象物の照度に依存せずに、分光分布の形状変化に由来する色の見えの差を容易に調べることができるため、好ましい。
第二に、指標Acgを適切な範囲で減少させる際に、発光装置としての光束かつ/または放射束を下げて、照明対象物の照度を低下させる制御を行うこともできる。また、第三に、DuvSSLを適切な範囲で下げる場合にも、発光装置としての光束かつ/または放射束を下げて、照明対象物の照度を下げる制御もできる。これら第二、第三の場合は、一般に明るさ感が増す場合が多いので、照度を下げてエネルギー消費を抑制することも可能であって、好ましい。
第四に、当該相関色温度を上げる際には、発光装置としての光束かつ/または放射束を上げて、照明対象物の照度を上げるような制御もできる。一般の照明環境下では、低色温度領域では相対的に低照度環境において心地良いと判断されることが多く、また、高色温度領域では、相対的に高照度環境において心地良いと判断されることが多い。このような心理的効果は、クルーゾフ効果として知られているが、この様な効果を取り込んだ制御を行うことも可能であって、相関色温度を上げる際には、発光装置としての光束かつ/または放射束を上げて、照明対象物の照度を上げるような制御が好ましい。
実施例3
図57に記載のように、計16個の発光部であるLED電球が存在する縦60cm、横120cmの天井に埋め込まれた照明システムである発光装置を準備する。ここで図中実線斜線部分は発光領域1として同等のLEDバルブを搭載し、等価な発光領域を形成する。また、図中点線斜線部分は発光領域2として同等のLEDバルブを搭載し、等価な発光領域を形成する。ここで複数の発光領域1に搭載されたLED電球は並列に接続され1つの独立した電源に結合する。一方、複数の発光領域2に搭載されたLED電球は並列に接続され別の独立した電源に結合する。発光領域1と発光領域2は、それぞれ独立に駆動できるようにする。なお、発光領域1を形成するLED電球は青色半導体発光素子、緑色蛍光体、赤色蛍光体を含み、発光領域2を形成するLED電球は、異なる調整をした青色半導体発光素子、緑色蛍光体、赤色蛍光体を含むものとできる。
次に、発光領域1と発光領域2を構成するLED電球の放射束をそれぞれ独立した電源に搭載されている調光コントローラーを用いて適宜調整すると、例えば、照明システム中心軸上に放射される図58〜図62に示す5種類の分光分布が実現される。図58は発光領域1を構成するLED電球のみを駆動し、発光領域1と発光領域2の放射束比を3:0にする場合であって、図62は、逆に、発光領域2を構成するLED電球のみを駆動し、発光領域1と発光領域2の放射束比を0:3にする場合である。さらに、発光領域1を構成するLED電球と発光領域2を構成するLED電球の放射束比を、2:1にする場合を図59に、1.5:1.5にする場合を図60に、1:2にする場合を図61に示す。このように、各発光領域を構成するLED電球の駆動条件を変化させることで、照明システ
ム中心軸上に放射される放射束を変化させることができる。
また各図に示したCIELABプロットは、#01から#15の15種類の修正マンセル色票を照明対象物とした場合を数学的に仮定し、当該照明システムである発光装置で照明した場合と、当該照明システムである発光装置の相関色温度から導出される基準の光で照明した場合のa値、b値をそれぞれプロットしたものである。なお、ここでは、照明システム(発光装置)としての放射束に対して、発光領域1を構成するLED電球の放射束寄与が大きい順に駆動点Aから駆動点Eまでの駆動点名を与えてある。図63はこれら駆動点AからEまでの色度点をCIE 1976 u’v’色度図上に示したものである。一方、それぞれの駆動点において、予想される測光学的特性、測色学的特性は、表10にまとめる。
これら図58から図62の分光分布、図58から図62のCIELABプロット、図63のCIE 1976 u’v’色度図、さらに表10から、以下のことが分かる。
駆動点D、駆動点EにおいてはDuvSSL、Acgのいずれも本発明の適切な範囲に入らないが、駆動点A、駆動点B、駆動点Cさらにはその間並びに近傍においては、屋外で見たような、自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えを実現可能と考えられる。よって、たとえば、駆動点Aと駆動点Cの間では、このような色の見えを実現しつつ、照明システムとしての相関色温度を2700Kから2806Kまで可変でき、DuvSSLも−0.03000から−0.00942まで可変できる。さらに当該15種類の修正マンセル色票の平均飽和度も5.78から2.14まで可変となる。このようにすると、好ましい色の見えを実現可能な領域において、発光装置の利用者の年齢、性別などによって、また、照明する空間、目的等に合わせて、より最適と考えられる照明条件を、可変範囲から容易に選択することができる。
この際には、さらに、次のような駆動制御をすることも可能である。
第一に、指標Acg、相関色温度TSSL(K)、及び黒体放射軌跡からの距離DuvSSLの少なくとも1つを変化させた際に、発光装置から主たる放射方向に出射される光束かつ/または放射束を不変とすることもできる。このような制御を行うと照明対象物の照度に依存せずに、分光分布の形状変化に由来する色の見えの差を容易に調べることができるため、好ましい。
第二に、指標Acgを適切な範囲で減少させる際に、発光装置としての光束かつ/または放射束を下げて、照明対象物の照度を低下させる制御を行うこともできる。また、第三に、DuvSSLを適切な範囲で下げる場合にも、発光装置としての光束かつ/または放射束を下げて、照明対象物の照度を下げる制御もできる。これら第二、第三の場合は、一般に明るさ感が増す場合が多いので、照度を下げてエネルギー消費を抑制することも可能であって、好ましい。
第四に、当該相関色温度を上げる際には、発光装置としての光束かつ/または放射束を上げて、照明対象物の照度を上げるような制御もできる。一般の照明環境下では、低色温度領域では相対的に低照度環境において心地良いと判断されることが多く、また、高色温度領域では、相対的に高照度環境において心地良いと判断されることが多い。このような心理的効果は、クルーゾフ効果として知られているが、この様な効果を取り込んだ制御を行うことも可能であって、相関色温度を上げる際には、発光装置としての光束かつ/または放射束を上げて、照明対象物の照度を上げるような制御が好ましい。
実施例4
図64に記載のように、1個の発光領域が存在する縦5mm、横5mmのセラミックパッケージを2個近接させて、一対のセラミックパッケージ対を準備する。ここで一方を発光領域1、もう一方を発光領域2とすべく、以下のようにする。発光領域1には、紫色半導体発光素子、青色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体を搭載、封止する。また、発光領域1は1つの独立した電源に結合する。一方、発光領域2には、青色半導体発光素子、黄色蛍光体を搭載、封止する。また、発光領域2は別の独立した電源に結合する。このようにして、発光領域1と発光領域2は、それぞれ独立に電流注入できるようにする。
次に、発光領域1と発光領域2である当該1対のパッケージLED40の各発光領域に注入する電流値を適宜調整すると、例えば、当該1対のパッケージLEDの軸上に放射される図65〜図69に示す5種類の分光分布が実現される。図65は発光領域1のみに電流を注入し、発光領域1と発光領域2の放射束比を9:0にする場合であって、図69は、逆に、発光領域2のみに電流を注入し、発光領域1と発光領域2の放射束比を0:9にする場合である。さらに、発光領域1と発光領域2の放射束比を、6:3にする場合を図66に、4.5:4.5にする場合を図67に、1:8にする場合を図68に示す。このように、1対のパッケージLED40の各領域に注入する電流を変化させることで、1対のパッケージLED本体から中心軸上に放射される放射束を変化させることができる。また各図に示したCIELABプロットは、#01から#15の15種類の修正マンセル色票を照明対象物とした場合を数学的に仮定し、当該1対のパッケージLEDで照明した場合と、当該1対のパッケージLEDの相関色温度から導出される基準の光で照明した場合
のa値、b値をそれぞれプロットしたものである。なお、ここでは、発光装置としての放射束に対して、発光領域1の放射束寄与が大きい順に駆動点Aから駆動点Eまでの駆動点名を与えてある。図70はこれら駆動点AからEまでの色度点をCIE 1976 u’v’色度図上に示したものである。一方、それぞれの駆動点において、予想される測光学的特性、測色学的特性は、表11にまとめる。
これら図65から図69の分光分布、図65から図69のCIELABプロット、図70のCIE 1976 u’v’色度図、さらに表11から、以下のことが分かる。
駆動点A、駆動点D,駆動点EにおいてはDuvSSL、Acgのいずれか、あるいは両方が本発明の適切な範囲に入らないが、駆動点B、駆動点Cさらにはその間並びに近傍においては、屋外で見たような、自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えを実現可能と考えられる。よって、たとえば、駆動点Bと駆動点Cの間では、このような色の見えを実現しつつ、パッケージLEDとしての相関色温度を5889Kから6100Kまで可変でき、DuvSSLも−0.02163から−0.01646まで可変できる。さらに当該15種類の修正マンセル色票の平均飽和度も2.57から1.43まで可変となる。このようにすると、好ましい色の見えを実現可能な領域において、発光装置の利用者の年齢、性別などによって、また、照明する空間、目的等に合わせて、より最適と考えられる照明条件を、可変範囲から容易に選択することができる。
この際には、さらに、次のような駆動制御をすることも可能である。
第一に、指標Acg、相関色温度TSSL(K)、及び黒体放射軌跡からの距離DuvSSLの少なくとも1つを変化させた際に、発光装置から主たる放射方向に出射される光束かつ/または放射束を不変とすることもできる。このような制御を行うと照明対象物の照度に依存せずに、分光分布の形状変化に由来する色の見えの差を容易に調べることができるため、好ましい。
第二に、指標Acgを適切な範囲で減少させる際に、発光装置としての光束かつ/または放射束を下げて、照明対象物の照度を低下させる制御を行うこともできる。また、第三に、DuvSSLを適切な範囲で下げる場合にも、発光装置としての光束かつ/または放射束を下げて、照明対象物の照度を下げる制御もできる。これら第二、第三の場合は、一般に明るさ感が増す場合が多いので、照度を下げてエネルギー消費を抑制することも可能であって、好ましい。
第四に、当該相関色温度を上げる際には、発光装置としての光束かつ/または放射束を上げて、照明対象物の照度を上げるような制御もできる。一般の照明環境下では、低色温度領域では相対的に低照度環境において心地良いと判断されることが多く、また、高色温度領域では、相対的に高照度環境において心地良いと判断されることが多い。このような心理的効果は、クルーゾフ効果として知られているが、この様な効果を取り込んだ制御を行うことも可能であって、相関色温度を上げる際には、発光装置としての光束かつ/または放射束を上げて、照明対象物の照度を上げるような制御が好ましい。
比較例1
以下を除いて、実施例1と同様の樹脂パッケージLEDを準備する。発光領域1中には、青色半導体発光素子、緑色蛍光体、赤色蛍光体を搭載、封止するが、実施例1の場合とは異なり、その調合を変化させ、発光領域1のみに通電した場合の分光分布を実施例3の駆動点Eと同様にする。また、発光領域2中には、実施例1と異なり、青色半導体発光素子、黄色蛍光体を搭載、封止し、発光領域2のみに通電した場合の分光分布を実施例4の駆動点Eと同様にする。
次に、発光領域1と発光領域2を有する当該パッケージLEDの各発光領域に注入する電流値を適宜調整すると、例えば、当該パッケージLEDの軸上に放射される図71〜図75に示す5種類の分光分布が実現される。図71は発光領域1のみに電流を注入し、発光領域1と発光領域2の放射束比を3:0にする場合であって、図75は、逆に、発光領域2のみに電流を注入し、発光領域1と発光領域2の放射束比を0:3にする場合である。さらに、発光領域1と発光領域2の放射束比を、2:1にする場合を図72に、1.5:1.5にする場合を図73に、1:2にする場合を図74に示す。このように、パッケージLEDの各領域に注入する電流を変化させることで、パッケージLED本体から軸上に放射される放射束を変化させることができる。また各図に示したCIELABプロットは、#01から#15の15種類の修正マンセル色票を照明対象物とした場合を数学的に仮定し、当該パッケージLEDで照明した場合と、当該パッケージLEDの相関色温度から導出される基準の光で照明した場合のa値、b値をそれぞれプロットしたものである。なお、ここでは、発光装置としての放射束に対して、発光領域1の放射束寄与が大き
い順に駆動点Aから駆動点Eまでの駆動点名を与えてある。図76はこれら駆動点AからEまでの色度点をCIE 1976 u’v’色度図上に示したものである。一方、それぞれの駆動点において、予想される測光学的特性、測色学的特性は、表12にまとめる。
これら図71から図75の分光分布、図71から図75のCIELABプロット、図76のCIE 1976 u’v’色度図、さらに表12から、以下のことが分かる。
駆動点Aから駆動点Eのいずれにおいても、DuvSSL、Acgのいずれか、あるいは両方が本発明の適切な範囲に入らない。このため、パッケージLEDとしての可変範囲に、屋外で見たような、自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えを実現可能な駆動点は存在しない。
実施例5
図50に記載のように、計6個の発光部が存在する縦6mm、横9mmのセラミックパッケージを準備する。ここで発光領域1−1、発光領域1−2、発光領域1−3中には、青色半導体発光素子、緑色蛍光体、赤色蛍光体を搭載、封止し、等価な発光領域を形成する。また、発光領域1−1、発光領域1−2、発光領域1−3の半導体発光素子は直列に接続され1つの独立した電源に結合する。一方、発光領域2−1、発光領域2−2、発光領域2−3中にも、異なる調整をした青色半導体発光素子、緑色蛍光体、赤色蛍光体を搭載、封止し、等価な発光領域を形成する。また、発光領域2−1、発光領域2−2、発光領域2−3の半導体発光素子は直列に接続され別の独立した電源に結合する。発光領域1と発光領域2は、それぞれ独立に電流注入できるようにする。
次に、発光領域1と発光領域2を有する当該パッケージLEDの各発光領域に注入する電流値を適宜調整すると、例えば、当該パッケージLEDの軸上に放射される分光分布は、図77〜図81に示す5種類が実現される。図77は発光領域1のみに電流を注入し、発光領域1と発光領域2の放射束比を3:0にする場合であって、図81は、逆に、発光領域2のみに電流を注入し、発光領域1と発光領域2の放射束比を0:3にする場合である。さらに、発光領域1と発光領域2の放射束比を、2:1にする場合を図78に、1.5:1.5にする場合を図79に、1:2にする場合を図80に示す。このように、パッケージLED20の各領域に注入する電流を変化させることで、パッケージLED本体から軸上に放射される放射束を変化させることができる。また各図に示したCIELABプロットは、#01から#15の15種類の修正マンセル色票を照明対象物とした場合を数学的に仮定し、当該パッケージLEDで照明した場合と、当該パッケージLEDの相関色温度から導出される基準の光で照明した場合のa値、b値をそれぞれプロットしたものである。なお、ここでは、発光装置としての放射束に対して、発光領域1の放射束寄与が大きい順に駆動点Aから駆動点Eまでの駆動点名を与えてある。図82はこれら駆動点AからEまでの色度点をCIE 1976 u’v’色度図上に示したものである。一方、それぞれの駆動点において、予想される測光学的特性、測色学的特性は、表13にまとめる。
これら図77〜図81の分光分布、図77〜図81のCIELABプロット、図82のCIE 1976 u’v’色度図、さらに表13から、以下のことが分かる。
駆動点A、駆動点C、駆動点D,駆動点EにおいてはDuvSSL、Acgのいずれか、あるいは両方が本発明の適切な範囲に入らないが、駆動点Bの近傍においては、屋外で見たような、自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えを実現可能と考えられる。よって、たとえば、駆動点B近傍では、このような色の見えを実現しつつ、パッケージLEDとしての相関色温度を3542K近傍で可変でき、DuvSSLも−0.00625近傍で可変できる。さらに当該15種類の修正マンセル色票の平均飽和度も1.72近傍で可変となる。このようにすると、好ましい色の見えを実現可能な領域において、発光装置の利用者の年齢、性別などによって、また、照明する空間、目的等に合わせて、より最適と考えられる照明条件を、可変範囲から容易に選択することができる。
この際には、さらに、次のような駆動制御をすることも可能である。
第一に、指標Acg、相関色温度TSSL(K)、及び黒体放射軌跡からの距離DuvSSLの少なくとも1つを変化させた際に、発光装置から主たる放射方向に出射される光束かつ/または放射束を不変とすることもできる。このような制御を行うと照明対象物の照度に依存せずに、分光分布の形状変化に由来する色の見えの差を容易に調べることができるため、好ましい。
第二に、指標Acgを適切な範囲で減少させる際に、発光装置としての光束かつ/または放射束を下げて、照明対象物の照度を低下させる制御を行うこともできる。また、第三に、DuvSSLを適切な範囲で下げる場合にも、発光装置としての光束かつ/または放射束を下げて、照明対象物の照度を下げる制御もできる。これら第二、第三の場合は、一般に明るさ感が増す場合が多いので、照度を下げてエネルギー消費を抑制することも可能であって、好ましい。
第四に、当該相関色温度を上げる際には、発光装置としての光束かつ/または放射束を上げて、照明対象物の照度を上げるような制御もできる。一般の照明環境下では、低色温度領域では相対的に低照度環境において心地良いと判断されることが多く、また、高色温度領域では、相対的に高照度環境において心地良いと判断されることが多い。このような心理的効果は、クルーゾフ効果として知られているが、この様な効果を取り込んだ制御を行うことも可能であって、相関色温度を上げる際には、発光装置としての光束かつ/または放射束を上げて、照明対象物の照度を上げるような制御が好ましい。
実施例6
図43に記載のように、計2個の発光部が存在する5mm直径の樹脂パッケージを準備する。ここで発光領域1中には、青色半導体発光素子、緑色蛍光体、赤色蛍光体を搭載し、封止する。また、発光領域1の青色半導体発光素子は、1つの独立した回路構成となるようにパッケージLEDの配線を構成し、電源に結合する。一方、発光領域2中にも、異なる調整をした青色半導体発光素子、緑色蛍光体、赤色蛍光体を搭載し、封止する。また、発光領域2の青色半導体発光素子は、1つの独立した回路構成となるようにパッケージLEDの配線を構成し、別の独立した電源に結合する。このように、発光領域1と発光領域2は、それぞれ独立に電流注入できるようにする。
次に、発光領域1と発光領域2を有する当該パッケージLED10の各発光領域に注入する電流値を適宜調整すると、例えば、当該パッケージLEDの軸上に放射される図83〜図87に示す5種類の分光分布が実現される。図83は発光領域1のみに電流を注入し、発光領域1と発光領域2の放射束比を3:0にする場合であって、図87は、逆に、発光領域2のみに電流を注入し、発光領域1と発光領域2の放射束比を0:3にする場合である。さらに、発光領域1と発光領域2の放射束比を、2:1にする場合を図84に、1.5:1.5にする場合を図85に、1:2にする場合を図86に示す。このように、パッケージLED10の各領域に注入する電流を変化させることで、パッケージLED本体から軸上に放射される放射束を変化させることができる。また各図に示したCIELABプロットは、#01から#15の15種類の修正マンセル色票を照明対象物とした場合を数学的に仮定し、当該パッケージLEDで照明した場合と、当該パッケージLEDの相関
色温度から導出される基準の光で照明した場合のa値、b値をそれぞれプロットしたものである。なお、ここでは、発光装置としての放射束に対して、発光領域1の放射束寄与が大きい順に駆動点Aから駆動点Eまでの駆動点名を与えてある。図88はこれら駆動点AからEまでの色度点をCIE 1976 u’v’色度図上に示したものである。一方、それぞれの駆動点において、予想される測光学的特性、測色学的特性は、表14にまとめる。
これら図83から図87の分光分布、図83から図87のCIELABプロット、図88のCIE 1976 u’v’色度図、さらに表14から、以下のことが分かる。
駆動点Aから駆動点Eとさらにはその間においては、屋外で見たような、自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えを実現可能と考えられる。よって、たとえば、駆動点Aと駆動点Eの間では、このような色の見えを実現しつつ、パッケージLEDとしての相関色温度を3160Kから5328Kまで可変でき、DuvSSLも−0.01365から−0.01629まで可変できる。さらに当該15種類の修正マンセル色票の平均飽和度も3.79から3.40まで可変となる。このようにすると、好ましい色の見えを実現可能な領域において、発光装置の利用者の年齢、性別などによって、また、照明する空間、目的等に合わせて、より最適と考えられる照明条件を、可変範囲から容易に選択することができる。
この際には、さらに、次のような駆動制御をすることも可能である。
第一に、指標Acg、相関色温度TSSL(K)、及び黒体放射軌跡からの距離DuvSSLの少なくとも1つを変化させた際に、発光装置から主たる放射方向に出射される光束かつ/または放射束を不変とすることもできる。このような制御を行うと照明対象物の照度に依存せずに、分光分布の形状変化に由来する色の見えの差を容易に調べることができるため、好ましい。
第二に、指標Acgを適切な範囲で減少させる際に、発光装置としての光束かつ/または放射束を下げて、照明対象物の照度を低下させる制御を行うこともできる。また、第三に、DuvSSLを適切な範囲で下げる場合にも、発光装置としての光束かつ/または放射束を下げて、照明対象物の照度を下げる制御もできる。これら第二、第三の場合は、一般に明るさ感が増す場合が多いので、照度を下げてエネルギー消費を抑制することも可能であって、好ましい。
第四に、当該相関色温度を上げる際には、発光装置としての光束かつ/または放射束を上げて、照明対象物の照度を上げるような制御もできる。一般の照明環境下では、低色温度領域では相対的に低照度環境において心地良いと判断されることが多く、また、高色温度領域では、相対的に高照度環境において心地良いと判断されることが多い。このような心理的効果は、クルーゾフ効果として知られているが、この様な効果を取り込んだ制御を行うことも可能であって、相関色温度を上げる際には、発光装置としての光束かつ/または放射束を上げて、照明対象物の照度を上げるような制御が好ましい。
実施例7
図57に記載のように、計16個の発光部であるLED電球が存在する縦60cm、横120cmの天井に埋め込まれた照明システムである発光装置を準備する。ここで図中実線斜線部分は発光領域1として同等のLEDバルブを搭載し、等価な発光領域を形成する。また、図中点線斜線部分は発光領域2として同等のLEDバルブを搭載し、等価な発光領域を形成する。ここで複数の発光領域1に搭載されたLED電球は並列に接続され1つの独立した電源に結合する。一方、複数の発光領域2に搭載されたLED電球は並列に接続され別の独立した電源に結合する。発光領域1と発光領域2は、それぞれ独立に駆動できるようにする。なお、発光領域1を形成するLED電球は青色半導体発光素子、緑色蛍光体、赤色蛍光体を含み、発光領域2を形成するLED電球は、異なる調整をした色半導体発光素子、青色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体を含むものとできる。
次に、発光領域1と発光領域2を構成するLED電球の放射束をそれぞれ独立した電源
に搭載されている調光コントローラーを用いて適宜調整すると、例えば、照明システム中心軸上に放射される図89〜図93に示す5種類の分光分布が実現される。図89は発光領域1を構成するLED電球のみを駆動し、発光領域1と発光領域2の放射束比を5:0にする場合であって、図93は、逆に、発光領域2を構成するLED電球のみを駆動し、発光領域1と発光領域2の放射束比を0:5にする場合である。さらに、発光領域1を構成するLED電球と発光領域2を構成するLED電球の放射束比を、4:1にする場合を図90に、2.5:2.5にする場合を図91に、1:4にする場合を図92に示す。このように、各発光領域を構成するLED電球の駆動条件を変化させることで、照明システム中心軸上に放射される放射束を変化させることができる。
また各図に示したCIELABプロットは、#01から#15の15種類の修正マンセル色票を照明対象物とした場合を数学的に仮定し、当該照明システムである発光装置で照明した場合と、当該照明システムである発光装置の相関色温度から導出される基準の光で照明した場合のa値、b値をそれぞれプロットしたものである。なお、ここでは、照明システム(発光装置)としての放射束に対して、発光領域1を構成するLED電球の放射束寄与が大きい順に駆動点Aから駆動点Eまでの駆動点名を与えてある。図94はこれら駆動点AからEまでの色度点をCIE 1976 u’v’色度図上に示したものである。一方、それぞれの駆動点において、予想される測光学的特性、測色学的特性は、表15にまとめる。
これら図89から図93の分光分布、図89から図93のCIELABプロット、図94のCIE 1976 u’v’色度図、さらに表15から、以下のことが分かる。
駆動点D、駆動点EにおいてはDuvSSL、Acgのいずれも本発明の適切な範囲に入らないが、駆動点A、駆動点B、駆動点Cさらにはその間並びに近傍においては、屋外で見たような、自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えを実現可能と考えられる。よって、たとえば、駆動点Aと駆動点Cの間では、このような色の見えを実現しつつ、照明システムとしての相関色温度を3327Kから3243Kまで可変でき、DuvSSLも−0.01546から−0.00660まで可変できる。さらに当該15種類の修正マンセル色票の平均飽和度も4.06から2.09まで可変となる。このようにすると、好ましい色の見えを実現可能な領域において、発光装置の利用者の年齢、性別などによって、また、照明する空間、目的等に合わせて、より最適と考えられる照明条件を、可変範囲から容易に選択することができる。
この際には、さらに、次のような駆動制御をすることも可能である。
第一に、指標Acg、相関色温度TSSL(K)、及び黒体放射軌跡からの距離DuvSSLの少なくとも1つを変化させた際に、発光装置から主たる放射方向に出射される光束かつ/または放射束を不変とすることもできる。このような制御を行うと照明対象物の照度に依存せずに、分光分布の形状変化に由来する色の見えの差を容易に調べることができるため、好ましい。
第二に、指標Acgを適切な範囲で減少させる際に、発光装置としての光束かつ/または放射束を下げて、照明対象物の照度を低下させる制御を行うこともできる。また、第三に、DuvSSLを適切な範囲で下げる場合にも、発光装置としての光束かつ/または放射束を下げて、照明対象物の照度を下げる制御もできる。これら第二、第三の場合は、一般に明るさ感が増す場合が多いので、照度を下げてエネルギー消費を抑制することも可能であって、好ましい。
第四に、当該相関色温度を上げる際には、発光装置としての光束かつ/または放射束を上げて、照明対象物の照度を上げるような制御もできる。一般の照明環境下では、低色温度領域では相対的に低照度環境において心地良いと判断されることが多く、また、高色温度領域では、相対的に高照度環境において心地良いと判断されることが多い。このような心理的効果は、クルーゾフ効果として知られているが、この様な効果を取り込んだ制御を行うことも可能であって、相関色温度を上げる際には、発光装置としての光束かつ/または放射束を上げて、照明対象物の照度を上げるような制御が好ましい。
実施例8
図100に記載のように、直径7mmの発光部が計6個の小発光部に分割されているセラミックパッケージを準備する。ここで発光領域1−1、発光領域1−2中には、青色半導体発光素子、緑色蛍光体、赤色蛍光体を搭載、封止し、等価な発光領域を形成する。また、発光領域1−1、発光領域1−2の半導体発光素子は直列に接続され1つの独立した電源に結合する。一方、発光領域2−1、発光領域2−2には、異なる調整をした青色半導体発光素子、緑色蛍光体、赤色蛍光体を搭載、封止し、等価な発光領域を形成する。また、発光領域2−1、発光領域2−2の半導体発光素子は直列に接続され別の独立した電源に結合する。さらに、発光領域3−1、発光領域3−2には、発光領域1、発光領域2のいずれとも異なる調整をした青色半導体発光素子、緑色蛍光体、赤色蛍光体を搭載、封止し、等価な発光領域を形成する。また、発光領域3−1、発光領域3−2の半導体発光素子は直列に接続され別の独立した電源に結合する。ここで、発光領域1、発光領域2、発光領域3は、それぞれ独立に電流注入できるようにする。
次に、発光領域1、発光領域2、発光領域3を有する当該パッケージLEDの各発光領域に注入する電流値を適宜調整すると、例えば、当該パッケージLEDの軸上に放射される図95〜図98に示す4種類の分光分布が実現される。図95は、発光領域1(図77と同じ調整をしたもの)のみに電流を注入し、発光領域1、発光領域2、発光領域3の放射束比を3:0:0にする場合である。図96は、発光領域2(図81と同じ調整をしたもの)のみに電流を注入し、発光領域1、発光領域2、発光領域3の放射束比を0:3:0にする場合である。図97は、発光領域3(図83と同じ調整をしたもの)のみに電流
を注入し、発光領域1、発光領域2、発光領域3の放射束比を0:0:3にする場合である。最後に、図98は、発光領域1、発光領域2、発光領域3の全ての発光領域に電流を注入し、それぞれの放射束比を1:1:1にする場合である。このように、図100に示したパッケージLED25の各領域に注入する電流を変化させることで、パッケージLED本体から軸上に放射される放射束を変化させることができる。また各図に示したCIELABプロットは、#01から#15の15種類の修正マンセル色票を照明対象物とした場合を数学的に仮定し、当該パッケージLEDで照明した場合と、当該パッケージLEDの相関色温度から導出される基準の光で照明した場合のa値、b値をそれぞれプロットしたものである。なお、ここでは、発光装置としての放射束に対して、駆動点Aから駆動点Dまでの駆動点名を与えてある。図99はこれら駆動点AからDまでの色度点をCIE 1976 u’v’色度図上に示したものである。一方、それぞれの駆動点において、予想される測光学的特性、測色学的特性は、表16にまとめる。
これら図95から図98の分光分布、図95から図98のCIELABプロット、図99のCIE 1976 u’v’色度図、さらに表16から、以下のことが分かる。
駆動点A、駆動点BにおいてはDuvSSL、Acgの両方が本発明の適切な範囲に入らないが、駆動点C、駆動点Dの近傍、さらにはその間の近傍においては、屋外で見たような、自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えを実現可能と考えられる。よって、たとえば、駆動点C,駆動点Dの近傍、さらにはその間の近傍では、このような色の見えを実現しつつ、パッケージLEDとしての相関色温度を3160Kから3749Kまで可変でき、DuvSSLも−0.01365から−0.00902まで可変できる。さらに当該15種類の修正マンセル色票の平均飽和度も3.79から2.27まで可変となる。このようにすると、好ましい色の見えを実現可能な領域において、発光装置の利用者の年齢、性別などによって、また、照明する空間、目的等に合わせて、より最適と考えられる照明条件を、可変範囲から容易に選択することができる。
特に、本実施例においては、異なる色調整をされた3種発光領域が1つの発光装置内にあるため、異なる色調整をされた2種発光領域が1つの発光装置内にある場合と比較して、その可変範囲を広く確保可能なため、好ましい。
この際には、さらに、次のような駆動制御をすることも可能である。
第一に、指標Acg、相関色温度TSSL(K)、及び黒体放射軌跡からの距離DuvSSLの少なくとも1つを変化させた際に、発光装置から主たる放射方向に出射される光束かつ/または放射束を不変とすることもできる。このような制御を行うと照明対象物の照度に依存せずに、分光分布の形状変化に由来する色の見えの差を容易に調べることができるため、好ましい。
第二に、指標Acgを適切な範囲で減少させる際に、発光装置としての光束かつ/または放射束を下げて、照明対象物の照度を低下させる制御を行うこともできる。また、第三に、DuvSSLを適切な範囲で下げる場合にも、発光装置としての光束かつ/または放射束を下げて、照明対象物の照度を下げる制御もできる。これら第二、第三の場合は、一般に明るさ感が増す場合が多いので、照度を下げてエネルギー消費を抑制することも可能であって、好ましい。
第四に、当該相関色温度を上げる際には、発光装置としての光束かつ/または放射束を上げて、照明対象物の照度を上げるような制御もできる。一般の照明環境下では、低色温度領域では相対的に低照度環境において心地良いと判断されることが多く、また、高色温度領域では、相対的に高照度環境において心地良いと判断されることが多い。このような心理的効果は、クルーゾフ効果として知られているが、この様な効果を取り込んだ制御を行うことも可能であって、相関色温度を上げる際には、発光装置としての光束かつ/または放射束を上げて、照明対象物の照度を上げるような制御が好ましい。
[考察]
以上の実験結果から、以下に示す発明事項を導き出すことができる。
すなわち、発光装置の主たる放射方向に各発光領域から出射される光の分光分布をφSSLN(λ)(Nは1からM)とし、前記発光装置から当該放射方向に出射されるすべての光の分光分布φSSL(λ)が、
のときに、前記発光領域から出射される光束量かつ/または放射束量を変化させることでφSSL(λ)を、以下の条件を満たすように出来る発光領域である場合に、本発明の効果が得られる。なお、以下の条件は、本発明の第二の実施態様に係る発光装置の設計方法、及び本発明の第三の実施態様に係る発光装置の駆動方法に対しても、同様に適応できる。
条件1:
前記発光装置から出射される光は、ANSI C78.377で定義される黒体放射軌
跡からの距離DuvSSLが、−0.0350 ≦ DuvSSL ≦ −0.0040となる光を主たる放射方向に含む。
条件2:
前記発光装置から当該放射方向に出射される光の分光分布をφSSL(λ)、前記発光装置から当該放射方向に出射される光の相関色温度TSSL(K)に応じて選択される基準の光の分光分布をφref(λ)、前記発光装置から当該放射方向に出射される光の三刺激値を(XSSL、YSSL、ZSSL)、前記発光装置から当該放射方向に出射される光の相関色温度TSSL(K)に応じて選択される基準の光の三刺激値を(Xref、Yref、Zref)とし、
前記発光装置から当該放射方向に出射される光の規格化分光分布SSSL(λ)と、前記発光装置から当該放射方向に出射される光の相関色温度TSSL(K)に応じて選択される基準の光の規格化分光分布Sref(λ)と、これら規格化分光分布の差ΔS(λ)をそれぞれ、
SSL(λ)=φSSL(λ)/YSSL
ref(λ)=φref(λ)/Yref
ΔS(λ)=Sref(λ)−SSSL(λ)
と定義し、
波長380nm以上780nm以内の範囲で、SSSL(λ)の最長波長極大値を与える波長をλ(nm)とした際に、λよりも長波長側にSSSL(λ)/2となる波長Λ4が存在する場合において、
下記数式(1)で表される指標Acgが、−360 ≦ Acg ≦ −10を満たし、
波長380nm以上780nm以内の範囲で、SSSL(λ)の最長波長極大値を与える波長をλ(nm)とした際に、λよりも長波長側にSSSL(λ)/2となる波長Λ4が存在しない場合において、
下記数式(2)で表される指標Acgが、−360 ≦ Acg ≦ −10を満たす。
なお、実施例では2種類、あるいは3種類の発光領域が内在する発光装置としたが、発光領域は2種類、3種類に限られるものではない。
発光領域が2種類の場合には、発光装置としての制御が容易であるため好ましい態様である。
発光領域が3種類の場合には、制御領域が色度座標上で、線状ではなく面状となるため、広い範囲で色の見えを調整することが可能となり好ましい。
発光領域が4種類以上の場合には、上記のとおり、色度座標上で面状の制御となることに加え、相関色温度、DuvSSL、色の見えを独立に制御できるため好ましい。また、色度を変更することなく色の見えを調整することも可能となるため好ましい。
一方、発光領域は過剰に存在すると現実の発光装置においては制御が煩雑となるため、10以下であることが好ましく、8以下であることがより好ましい。
また、複数種類の発光領域を有する本発明の発光装置においては、各種の発光領域の光
束量、あるいは放射束量を変化させるには、以下のような方法を採用することが可能である。第一に各発光領域に供給する電力を変化させる方法がある。また、この際には、電流を変化させる方法が簡便であって好ましい。さらに、各発光領域に光学的なNDフィルターを設置可能としておき、フィルターを物理的に交換することで、また、電気的に偏光フィルター等の透過率を変化させることで発光領域から出射される光束量かつ/または放射束量を変化させてもよい。
また、色の見えが良好になる観点から、以下の条件3−4を満たすことが好ましい。
条件3:
当該放射方向に出射される光による照明を数学的に仮定した場合の#01から#15の下記15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L色空間におけるa値、b値をそれぞれa nSSL、b nSSL(ただしnは1から15の自然数)とし、
当該放射方向に出射される光の相関色温度TSSL(K)に応じて選択される基準の光での照明を数学的に仮定した場合の当該15種類の修正マンセル色票のCIE 1976
色空間におけるa値、b値をそれぞれa nref、b nref(ただしnは1から15の自然数)とした場合に、飽和度差ΔC
−3.8 ≦ ΔC≦ 18.6 (nは1から15の自然数)
を満たし、上記式(3)で表される飽和度差の平均SATavが下記式(4)を満たし、
1.0 ≦ SATav ≦ 7.0 (4)
かつ飽和度差の最大値をΔCmax、飽和度差の最小値をΔCminとした場合に、飽和度差の最大値と、飽和度差の最小値との間の差|ΔCmax−ΔCmin|が
2.8 ≦ |ΔCmax−ΔCmin| ≦ 19.6
を満たす。
ただし、ΔC=√{(a nSSL+(b nSSL}−√{(a nref+(b nref}とする。
15種類の修正マンセル色票
#01 7.5 P 4 /10
#02 10 PB 4 /10
#03 5 PB 4 /12
#04 7.5 B 5 /10
#05 10 BG 6 / 8
#06 2.5 BG 6 /10
#07 2.5 G 6 /12
#08 7.5 GY 7 /10
#09 2.5 GY 8 /10
#10 5 Y 8.5/12
#11 10 YR 7 /12
#12 5 YR 7 /12
#13 10 R 6 /12
#14 5 R 4 /14
#15 7.5 RP 4 /12
条件4:
当該放射方向に出射される光による照明を数学的に仮定した場合の上記15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L色空間における色相角をθnSSL(度)(ただしnは1から15の自然数)とし、
当該放射方向に出射される光の相関色温度TSSL(K)に応じて選択される基準の光での照明を数学的に仮定した場合の当該15種類の修正マンセル色票のCIE 1976
色空間における色相角をθnref(度)(ただしnは1から15の自然数)とした場合に、色相角差の絶対値|Δh|が
0 ≦ |Δh| ≦ 9.0(度)(nは1から15の自然数)
を満たす。
ただし、Δh=θnSSL−θnrefとする。
また、実施例1、実施例6で示したような、すべてのφSSLN(λ)(Nは1からM)が、前記条件1と条件2を満たす発光装置であることも好ましい態様である。このような態様である場合には、発光領域から出射される光をどのような割合で供給する場合にも、屋外で見たような、自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えを実現可能となる。なお、φSSLN(λ)が前記条件1及び2を満たすか否かの判断をする際には、当該φSSLN(λ)のみが発光装置から出射されると仮定する。
一方、実施例2、実施例5で示したような、単独の発光領域から出射される光のみでは、屋外で見たような、自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えを実現できない場合も存在する。そのような場合であっても、発光領域の組合せや光束かつ/または放射束の割合の調整により、屋外で見たような、自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えを実現できるものも存在する。このような発光装置についても、本発明の範囲に属することは言うまでもない。
本発明の一つの特徴は、例えば実施例2、実施例5で示したように、「屋外で見たような、自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えを実現できない光源同士」を組み合わせたとしても、「屋外で見たような、自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えを実現しうる」点にある。また、実施例3、実施例4、実施例7、実施例8で示したように、単体としてみた場合に、「屋外で見たような、自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えを実現できない光源」と、「屋外で見たような、自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えを実現できる光源」との組み合わせであっても、「屋外で見たような、自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えを実現しうる」点にある。このように、「屋外で見たような、自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えを実現しうる」発光装置を実現するうえで、「屋外で見たような、自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えを実現できない光源を含む組み合わせの場合」、特に、「屋外で見たような、自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えを実現できない光源同士」の組み合わせの場合に、本発明の発光装置を実施するための指針は、例えば、以下が列挙可能である。
(あ):各種色度図上の色度座標が大きく離れた発光領域を組み合わせた発光装置とする。
(い):相関色温度が定義できる場合には、これが大きく離れた複数の発光領域を組み合わせた発光装置とする。
(う):黒体放射軌跡からの距離Duvが定義できる場合には、これが大きく離れた複数の発光領域を組み合わせた発光装置とする。
以下この点をさらに詳細に説明する。屋外で見たような、自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えを実現するための要件については既に説明したとおりであり、発光装置においては、光の分光分布に関するいくつかのパラメータが特定の値を満たすことが必要である。そのうち、重要なパラメータとしては黒体放射軌跡からの距離Duvがあげられるので、良好な色の見えが実現できない光源同士を組み合わせることで、本発明の屋外で見たような、自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えが実現できる理由について、Duvを例示し、説明する。
図56はCIE1976u’v’色度図上であり、図面上の二点鎖線は、本発明における条件1を満たすDuvの範囲を示している。
当該範囲を外れる光源である図中Aの光源と図中Eの光源は、単独では良好な色の見えを達成できない。しかしながら、図中Aの光源と図中Eの光源を組合せる場合には、その
放射束割合、あるいは光束割合を変化させることで、A点とE点とを結ぶ直線上を動き得ることとなる。そうすると、Duvの本発明に従った適正な範囲は直線に伸びる帯状ではなく弧を描くように存在するため、特定の割合で両光源からの光を組み合わせたB点やC点は、良好な色の見えを達成し得る領域に存在することとなる。
このような組合せは無数に存在し、図56では相関色温度が低い(2700K)光源Aと、相関色温度が高い(5506K)との組合せで達成している。図82の色度図もこれと類似のものである。また、Duvの値が極めて低く、良好な色の見えを達成し得るDuvの範囲を外れる光源と、Duvの値が極めて高く、良好な色の見えを達成し得るDuvの範囲を外れる光源とを組み合わせることでも可能となる。
よって、これら(あ)、(い)、(う)においては、特に、本発明の開示するDuv範囲である−0.0350以上−0.004以下の範囲と、発光領域の組み合わせによって実現できる色度範囲が、少なくとも一部で重なるようにすることが好ましく、3つ以上の発光領域を用いて色度図上で面上に重なるようにすることがさらに好ましい。
さらに、条件(い)に関しては、発光装置を構成する複数の発光領域中で、最も異なる相関色温度を有する2発光領域間の相関色温度差が2000K以上である事が好ましく、2500K以上である事がより好ましく、3000K以上である事が非常に好ましく、3500K以上である事が格段に好ましく、4000K以上である事が最も好ましい。また、条件(う)に関しては、発光装置を構成する複数の発光領域中で、最も異なる相関色温度を有する2発光領域間のDuv差の絶対値が、0.005以上である事が好ましく、0.010以上である事がより好ましく、0.015以上である事が非常に好ましく、0.020以上である事が格段に好ましい。
さらに、「屋外で見たような、自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えを実現しうる」発光装置を実現するうえで、「屋外で見たような、自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えを実現できない光源を含む組み合わせの場合」、特に、「屋外で見たような、自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えを実現できない光源同士」の組み合わせの場合に、本発明の発光装置を実施するための指針は、以下も列挙可能である。
(え):Acgが大きく離れた色の見えとなる複数の発光領域を組み合わせた発光装置とする。
(お):飽和度差ΔCが大きく離れた色の見えとなる複数の発光領域を組み合わせた発光装置とする。
(か):飽和度差の平均SATavが大きく離れた色の見えとなる複数の発光領域を組み合わせた発光装置とする。
これら(え)、(お)、(か)においても、特に、本発明の開示するそれぞれの範囲と、発光領域の組み合わせによって実現できる各パラメータの範囲が、少なくとも一部で重なるようにすることが好ましく、3つ以上の発光領域を用いて色度図上で、面上に重なるようにすることがさらに好ましい。
さらには、4つ以上の発光領域を用いると、たとえすべての発光領域が「屋外で見たような、自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えを実現できない光源同士」であっても、比較的容易に(あ)から(か)のすべての項目を本発明の開示する範囲に調整することが可能であって、好ましい。
また、本発明においては、発光領域中の少なくとも1つの発光領域が、他の発光領域に対して電気的に独立に駆動しうる配線となっている発光装置であることも好ましい態様であり、すべての発光領域が、他の発光領域に対して電気的に独立に駆動しうる配線となっている発光装置であることがより好ましい態様である。また、このように発光装置を駆動することが好ましい態様である。このような態様である場合には、それぞれの発光領域に供給する電力の制御が容易となり、使用者の嗜好に合わせた色の見えが実現可能となる。
なお、本発明においては、ある発光領域が、他の発光領域に対して電気的に従属するように駆動しても構わない。例えば、2つの発光領域に電流を注入する際に、1つの発光領域に注入する電流を増やす際に、もう一方の発光領域に注入する電流を減らすように、一方に対して他方を電気的に従属されることも可能である。このような回路は、たとえば可変抵抗等を用いた構成で容易に実現でき、かつ、電源を複数必要としないので、好ましい。
また、前記数式(1)又は(2)で表される指標Acg、相関色温度TSSL(K)、及び黒体放射軌跡からの距離DuvSSLからなる群から選択される少なくとも1つが変化し得る発光装置であることも好ましい態様であり、前記数式(1)又は(2)で表される指標Acg、相関色温度TSSL(K)、及び黒体放射軌跡からの距離DuvSSLからなる群から選択される少なくとも1つが変化した際に、発光装置から主たる放射方向に出射される光束かつ/または放射束を独立に制御しうる発光装置であることも好ましい態様である。また、このように発光装置を駆動することが好ましい態様である。このような態様では、色の見えを実現し得るパラメータが可変となり、使用者の嗜好に合わせた色の見えの実現が容易に可能となる。
また、最近接している異なる発光領域全体を包絡する仮想外周上にある任意の2点がつくる最大距離Lが、0.4mm以上200mm以下である発光装置であることが好ましい態様である。このような態様では、複数の発光領域から出射される光の色分離が視認されにくくなり、発光装置そのものを見た際の違和感が低減可能である。また、照明光としてみた際にも、空間的加法混色が十分に機能し、照明対象物に照射した際に、照明された領域の色ムラも低減可能であって、好ましい。
発光領域全体を包絡する仮想外周上にある任意の2点がつくる最大距離Lについて、図を用いて説明する。
図50は実施例2で用いたパッケージLED20を示すが、発光領域22に最近接する発光領域は発光領域11、12及び13である。このうち発光領域12を包絡する仮想外周7が最も大きい仮想外周となり、当該外周上にある任意の二点71が最大距離Lとなる。すなわち最大距離Lは2点間の距離72で表され、0.4mm以上200mm以下である場合が好ましい態様である。
図57に示す実施例3で用いた照明システム30、及び図64に示す実施例4で用いた1対のパッケージLED40も同様である。
最近接している異なる発光領域全体を包絡する仮想外周上にある任意の2点がつくる最大距離Lは、0.4mm以上が好ましく、2mm以上がより好ましく、5mm以上が非常に好ましく、10mm以上が格段に好ましい。これらは1つの発光領域を包絡する仮想外周が大きいほど、基本的に高放射束(かつ/または高光束)を出射できる構造にしやすいからである。また、最近接している異なる発光領域全体を包絡する仮想外周上にある任意の2点がつくる最大距離Lは、200mm以下であることが好ましく、150mm以下であることがより好ましく、100mm以下であることが非常に好ましく、50mm以下であることが格段に好ましい。これらは、照明された領域の空間的な色ムラの発生を抑制する観点で重要で、好ましい。
一方、本発明の駆動方法であって、指標Acg、相関色温度TSSL(K)、及び黒体放射軌跡からの距離DuvSSLの少なくとも1つを変化させた際に、発光装置から主たる放射方向に出射される光束かつ/または放射束を不変とすることもできる。このような制御を行うと照明対象物の照度に依存せずに、分光分布の形状変化に由来する色の見えの差を容易に調べることができるため、好ましい。
また、当該発光装置の駆動方法であって、前記数式(1)又は(2)で表される指標A
cgを適切な範囲で低減させた際に、発光装置から主たる放射方向に出射される光束かつ/または放射束を低減させる駆動方法、相関色温度TSSL(K)を増加させた際に、発光装置から主たる放射方向に出射される光束かつ/または放射束を増加させる駆動方法、黒体放射軌跡からの距離DuvSSLを適切な範囲で低減させた際に、発光装置から主たる放射方向に出射される光束かつ/または放射束を低減させる駆動方法が好ましい。また、これらは同時に、前記数式(1)又は(2)で表される指標Acgを適切な範囲で増加させた際に、発光装置から主たる放射方向に出射される光束かつ/または放射束を増加させる駆動方法、相関色温度TSSL(K)を低減させた際に、発光装置から主たる放射方向に出射される光束かつ/または放射束を低減させる駆動方法、黒体放射軌跡からの距離DuvSSLを適切な範囲で増加させた際に、発光装置から主たる放射方向に出射される光束かつ/または放射束を増加させる駆動方法が好ましいことを意味している。
前記数式(1)又は(2)で表される指標Acgを適切な範囲で低減させる場合は、屋外で見たような、自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えを実現可能となる。各種視覚実験によれば、このように指標Acgを低減させると、明るさ感が向上するので、たとえ計測される光束かつ/または放射束、あるいは照度を低減させても、照明対象物は良好な色の見えを維持可能であって、このようにすると発光装置のエネルギー消費を抑制可能なため好ましい。同様に、指標Acgを適切な範囲で増加させる場合には、計測される光束かつ/または放射束、あるいは照度を増加させて、照明対象物の良好な色の見えを維持することも好ましい。
また、相関色温度TSSL(K)を増加させる場合に光束かつ/または放射束を増加させるように駆動することで、クルーゾフ効果により、快適な照明が実現できる。また、逆に、当該色温度を下げる際には、発光装置としての光束かつ/または放射束を下げて、照明対象物の照度を下げる制御もできる。これらは前述のクルーゾフ効果を取り込んだ制御であって、好ましい。
また、黒体放射軌跡からの距離DuvSSLを適切な範囲で低減させる場合には、屋外で見たような、自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えを実現可能となる。各種視覚実験によれば、このように黒体放射軌跡からの距離DuvSSLを適切な範囲で低減させると、明るさ感が向上するので、たとえ計測される光束かつ/または放射束、あるいは照度を低減させても、照明対象物は良好な色の見えを維持可能であって、このようにすると発光装置のエネルギー消費を抑制可能なため好ましい。同様に、黒体放射軌跡からの距離DuvSSLを適切な範囲で増加させる場合には、計測される光束かつ/または放射束、あるいは照度を増加させて、照明対象物の良好な色の見えを維持することも好ましい。
なお、本発明においては、前述と逆の制御を行うことも可能であって、照明対象物、照明環境、目的等によって、制御方法は適宜選択可能であることは言うまでもない。
一方で、実験結果から、以下に示す発明事項をも導き出すことができる。
すなわち、対象物を準備する照明対象物準備工程、および、M個(Mは2以上の自然数)の発光領域が内在し、少なくとも一つの発光領域内に半導体発光素子を発光要素として備える発光装置から出射される光により対象物を照明する照明工程、を含む照明方法であって、
前記照明工程において、前記発光装置から出射される光が対象物を照明した際に、前記対象物の位置で測定した光が以下の<1>、<2>及び<3>を満たすように照明する照明方法である場合に、本発明の効果が得られる。
<1>前記対象物の位置で測定した光のANSI C78.377で定義される黒体放射軌跡からの距離DuvSSLが、−0.0350 ≦ DuvSSL ≦ −0.0040である。
<2>前記対象物の位置で測定した光による照明を数学的に仮定した場合の#01から#
15の下記15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L色空間におけるa値、b値をそれぞれa nSSL、b nSSL(ただしnは1から15の自然数)とし、
前記対象物の位置で測定した光の相関色温度TSSL(K)に応じて選択される基準の光による照明を数学的に仮定した場合の当該15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L色空間におけるa値、b値をそれぞれa nref、b nref(ただしnは1から15の自然数)とした場合に、飽和度差ΔC
−3.8 ≦ ΔC≦ 18.6 (nは1から15の自然数)
を満たし、
上記式(3)で表される飽和度差の平均SATavが下記式(4)を満たし、
1.0 ≦ SATav ≦ 7.0 (4)
かつ、飽和度差の最大値をΔCmax、飽和度差の最小値をΔCminとした場合に、飽和度差の最大値と、飽和度差の最小値との間の差|ΔCmax−ΔCmin|が
2.8 ≦ |ΔCmax−ΔCmin| ≦ 19.6
を満たす。
ただし、ΔC=√{(a nSSL+(b nSSL}−√{(a nref+(b nref}とする。
15種類の修正マンセル色票
#01 7.5 P 4 /10
#02 10 PB 4 /10
#03 5 PB 4 /12
#04 7.5 B 5 /10
#05 10 BG 6 / 8
#06 2.5 BG 6 /10
#07 2.5 G 6 /12
#08 7.5 GY 7 /10
#09 2.5 GY 8 /10
#10 5 Y 8.5/12
#11 10 YR 7 /12
#12 5 YR 7 /12
#13 10 R 6 /12
#14 5 R 4 /14
#15 7.5 RP 4 /12
<3>前記対象物の位置で測定した光による照明を数学的に仮定した場合の上記15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L色空間における色相角をθnSSL(度)(ただしnは1から15の自然数)とし、
前記対象物の位置で測定した光の相関色温度TSSL(K)に応じて選択される基準の光による照明を数学的に仮定した場合の当該15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L色空間における色相角をθnref(度)(ただしnは1から15の自然数)とした場合に、色相角差の絶対値|Δh|が
0 ≦ |Δh| ≦ 9.0(度)(nは1から15の自然数)
を満たす。
ただし、Δh=θnSSL−θnrefとする。
また、対象物の位置に到達している各発光要素から出射された光の分光分布をφSSLN(λ)(Nは1からM)、前記対象物の位置で測定した光の分光分布φSSL(λ)が、
のときに、すべてのφSSLN(λ)が、前記<1><2><3>を満たすようにできる照明方法であることが好ましい。
また、M個の発光領域中の、少なくとも1つの発光領域を、他の発光領域に対して電気的に独立駆動し照明する照明方法であることが好ましく、M個の発光領域すべてを、他の発光領域に対して電気的に独立駆動し照明する照明方法であることがより好ましい。
また、指標SATav、相関色温度TSSL(K)、黒体放射軌跡からの距離DuvSSLの少なくとも1つを変化させる照明方法であることが好ましく、上記指標の少なくとも1つを変化させた際に、当該対象物における照度を独立に制御する照明方法が好ましく、上記指標の少なくとも1つを変化させた際に、当該対象物における照度を不変とする照明方法であることが好ましい。
照度を不変とするとは、実質的に照度が変更しないことを意味するものであり、照度の変化が±20%以下であることが好ましく、±15%以下であることがより好ましく、±10%以下であることが更に好ましく、±5%以下であることが特に好ましく、±3%以下であることが最も好ましい。このようにすると、照明対象物の照度に依存せずに、分光分布の形状変化に由来する色の見えの差を容易に調べることができ、照明環境、対象物、目的等によって最適な分光分布を比較的容易に見いだせるため、好ましい。
また、指標SATavを増加させた際に、当該対象物における照度を低減する照明方法であることが好ましい。上記指標を増加させると、より生き生きとした見えが実現できることとなり、このような状況下では一般的に明るさ感が増すので、照度を低減させることでエネルギー消費を抑制することができる。これは同時に、指標SATavを減少させた際に、当該対象物における照度を増加する照明方法が好ましいことを意味している。
また、相関色温度TSSL(K)を増加させた際には、当該対象物における照度を増加する照明方法が好ましい。相関色温度TSSL(K)を増加させる場合に照度を増加させるように駆動することで、クルーゾフ効果により、快適な照明が実現できる。また、逆に、当該色温度を下げる際には、照明対象物の照度を下げる制御もできる。これらは前述のクルーゾフ効果を取り込んだ制御であって、好ましい。
また、黒体放射軌跡からの距離DuvSSLを低減させる際に、当該対象物における照度を低減する照明方法が好ましい。各種視覚実験によれば、このように黒体放射軌跡からの距離DuvSSLを適切な範囲で低減させると、明るさ感が向上するので、照度を低減させても、照明対象物は良好な色の見えを維持可能であって、このようにすると発光装置のエネルギー消費を抑制可能なため好ましい。同様に、黒体放射軌跡からの距離DuvSSLを適切な範囲で増加させる場合には、照度を増加させて照明対象物の良好な色の見えを維持することも好ましい。
また、最近接している異なる発光領域全体を包絡する仮想外周上にある任意の2点がつくる最大距離をL、発光装置と照明対象物の距離をHとした際に、5×L≦H≦500×Lとなるように距離Hを設定する照明方法であることが好ましい。
この際、距離を測定する発光装置の基点は、発光装置の照射口である。
このような照明方法により、発光装置を照明対象物の位置から観測した際に、光源としての色分離が視認し難く、照明対象物に対して空間的に色ムラが発生しにくくなるため好ましい。
最近接している異なる発光領域全体を包絡する仮想外周上にある任意の2点がつくる最大距離L、発光装置と照明対象物の距離Hにおいて、Hは、5×L以上が好ましく、10×L以上がより好ましく、15×L以上が非常に好ましく、20×L以上が格段に好ましい。これらはHが適切な範囲で大きい方が、すなわち、異なる発光領域を包絡する仮想外周上にある任意の2点の最大距離Lよりも十分に離れていれば、異なる発光領域から出射される光が空間的に十分に混色するために好ましい。一方、Hは、500×L以下であることが好ましく、250×L以下であることがより好ましく、100×L以下であることが非常に好ましく、50×L以下であることが格段に好ましい。これらは、Hが必要以上に離れると照明対象物に対して十分な照度が確保されなくなるためであって、適切な範囲の駆動電力で好ましい照度環境を実現するために重要である。
以下には、本発明の屋外で見たような、自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えとなる発光装置及び照明方法を実施するための好ましい実施形態を以下に説明するが、本発明の発光装置及び照明方法を実施するための態様は、以下の説明で用いたものに限定されない。
本発明の照明方法は、照明対象物に対して照射され、色刺激となる試験光の測光学的特性が適切な範囲にあり、かつ、計算用基準光で照明した場合を仮定した当該15色票の色の見えと、実測した試験光分光分布で照明した場合を仮定した当該15色票の色の見えの差が適切な範囲にあれば、発光装置の構成、材料等に制約はない。
本発明の発光装置は、発光装置から主たる放射方向に出射され、照明対象物に対して色刺激となる試験光の放射計測学的特性、測光学的特性が適切な範囲にあれば、発光装置の構成、材料等に制約はない。
本発明の照明方法又は発光装置を実施するための照明光源、当該照明光源を含む照明器具、当該照明光源や照明器具を含む照明システム等の発光装置は、少なくとも1つの発光要素である半導体発光素子を含んでいる。半導体発光素子を含む照明光源は、たとえば青色、緑色、赤色の種類の異なる複数の半導体発光素子が1つの照明光源中に内在していてもよく、また、1つの照明光源の中には青色半導体発光素子を含み、異なる1つの照明光源中に緑色半導体発光素子を含み、さらに異なる1つの照明光源中に赤色半導体発光素子を含み、これらが照明器具の中でレンズ、反射鏡、駆動回路等とともに一体とされて照明システムに提供されてもよい。さらに、1つの照明器具中に1つの照明光源があり、この中に単体の半導体発光素子が内在しているような場合であって、単体の照明光源、照明器具としては本発明の照明方法又は発光装置を実施できないものの、照明システム中に存在する異なる照明器具からの光との加法混色によって、照明システムとして放射される光が、照明対象物の位置で所望の特性を満足するようにしてもかまわないし、照明システムとして放射される光のうち主たる放射方向の光が、所望の特性を満足するようにしてもかまわない。いずれのような形態であっても、照明対象物に最終的に照射される色刺激としての光が、又は、発光装置から出射される光のうち主たる放射方向の光が、本発明の適切な条件を満たせばよい。
以下は、前記の適切な条件を満たしたうえで、本発明の実施態様に係る、屋外で見たような、自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えを達成できる発光装置が好ましく有すべき特性に関して記載する。
本発明の実施態様に係る発光装置は、Λ1(380nm)からΛ2(495nm)の短波長領域内にピークを有する発光要素(発光材料)を有し、かつ、Λ2(495nm)からΛ3(590nm)の中間波長領域内にピークを有する別の発光要素(発光材料)を有し、さらに、Λ3(590nm)から780nmまでの長波長領域内にピークを有するさ
らに別な発光要素(発光材料)を有することが好ましい。これはそれぞれの発光要素を独立して強度設定あるいは強度制御することが、好ましい色の見えを容易に実現し得るからである。
よって、本発明の実施態様に係る発光装置は、上記それぞれの3波長領域中に発光ピークを有する発光要素(発光材料)を少なくとも1種類ずつ有することが好ましく、また、当該3波長領域の中の2領域には1種類ずつ、他の1領域は複数の発光要素(発光材料)を有することがより好ましく、さらに、当該3波長領域中の1領域には1種類の、他の2領域は複数の発光要素(発光材料)を有することが非常に好ましく、当該3波長領域のすべてにおいて、複数の発光要素を有することが格段に好ましい。これは1領域中に2つ以上のピーク波長を有するように発光要素を内在させることで分光分布の制御性が格段に向上し、数学的には、照明された対象物の色の見えを所望のように制御しやすくなるからである。
よって、半導体発光素子を蛍光体用励起光源として使用した現実の発光装置においては、1発光装置中の蛍光体種類は2種類とし、半導体発光素子の波長と合わせて当該3波長領域それぞれにピーク波長を有するのが好ましい。さらに、蛍光体種類は3種類とし、半導体発光素子の波長と合わせて当該3波長領域の中の少なくとも1領域は2種類の発光要素が内在するようにすることがより好ましい。このような考えから、蛍光体種類は4種類以上が非常に好ましく、5種類が格段に好ましい。特に6種類以上の蛍光体が1光源内に存在すると、蛍光体間の相互吸収等でスペクトルの制御性は逆に低下してしまうため好ましくなくなっていく。また、これとは別の観点で、簡便な発光装置実現との観点では、蛍光体種類は1種類とし、半導体発光素子の発光ピークと合わせて2種類の発光要素で発光装置を構成しても構わない。
また、異なるピーク波長を有する半導体発光素子のみで実際の発光装置を構成した場合もこれと同様である。すなわち、好ましい分光分布を実現する観点では、1光源中の半導体発光素子の種類は、3種類以上が好ましく、4種類以上がより好ましく、5種類以上が非常に好ましく、6種類が格段に好ましい。7種類以上の場合には光源中への搭載の煩雑さ等が発生するために好ましくなくなってしまう。また、これとは別の、簡便な発光装置実現との観点では、半導体発光素子は2種類で発光装置を構成しても構わない。
なお、半導体発光素子と蛍光体を自在に混合搭載することも可能であって、青色発光素子と2種類(緑色、赤色)の蛍光体を1光源内に搭載しても良く、また、青色発光素子と3種類(緑色、赤色1、赤色2)の蛍光体を1光源内に搭載してもよい。さらに、紫色発光素子と4種類の蛍光体(青色、緑色、赤色1、赤色2)を1光源内に搭載してもよい。さらには、1つの光源の中に、青色発光素子と2種類(緑色、赤色)の蛍光体搭載している部分と、紫色発光素子と3種類の蛍光体(青色、緑色、赤色)を搭載している部分を内在させてもよい。
各3波長領域内の発光要素(発光材料)は、ピーク部分の強度やピーク間の谷の強度を制御する観点から、すなわち適切な凹凸を分光分布に形成する観点から、少なくとも1つは比較的狭帯域な発光要素を含んでいることが好ましい。逆に各3波長領域の幅と同程度の幅を有する発光要素だけでは、分光分布に適切な凹凸を形成することは難しい。よって、本発明においては、少なくとも1つは比較的狭帯域な発光要素を含んでいることが好ましいが、さらに、各3波長領域中の2領域に比較的狭帯域な発光要素を含んでいることはよりこのましく、3波長領域全ての領域に比較的狭帯域な発光要素を含んでいることはよりこのましい。この際に、比較的狭帯域な発光要素はそれ単体だけがある波長領域内の発光要素となっていてもよいが、比較的狭帯域な発光要素が当該波長領域内に複数種類存在していることはより好ましく、さらに、比較的狭帯域な発光要素と比較的広帯域な発光要
素が当該波長領域内にともに存在していることもより好ましい。
なお、ここで言う比較的狭帯域とは、発光要素(発光材料)の半値全幅が、短波長領域(380nmから495nm)、中間波長領域(495nmから590nm)、長波長領域(590nmから780nm)のそれぞれの領域幅である115nm、95nm、190nmに対して、2/3以下であるものをいう。また、比較的狭帯域の発光要素の中でも、その半値全幅は、それぞれの領域幅に対して1/2以下であることが好ましく、1/3以下であることがより好ましく、1/4以下であることが非常に好ましく、1/5以下であることが格段に好ましい。また、過度に極端な狭帯域スペクトルは、多種類の発光要素を発光装置内に搭載しなければ所望の特性を実現できない場合もあることから、当該半値全幅は、2nm以上が好ましく、4nm以上がより好ましく、6nm以上が非常に好ましく、8nm以上が格段に好ましい。
これらは、所望の分光分布実現の観点から記載すれば、比較的狭帯域の発光要素(発光材料)の組み合わせとすると、分光分布に凹凸形状が形成しやすく、視覚実験で適切な範囲が明らかとなった指標Acg、放射効率K(lm/W)等を、所望の値にしやすくなるため、好ましい。また、当該光を色刺激としてとらえ、当該発光装置での照明を仮定した場合の当該15色票の色の見えと、計算用基準光での照明を仮定した場合の色の見えとの差も、発光要素の中に比較的狭帯域なそれを内在させることで、飽和度制御、特に視覚実験で適切な範囲が明らかとなった|Δh|、SATav、ΔC、|ΔCmax−ΔCmin|等を適切な数値範囲にしやすくなるために好ましい。さらに、比較的狭帯域の蛍光体を用いると、広帯域蛍光体を用いる場合よりもDuv制御も容易になるために好ましい。
本発明の実施態様に係る発光装置においては以下の発光材料、蛍光体材料、半導体発光素子が発光要素として発光装置に内在することが好ましい。
まず、当該3波長領域の中のΛ1(380nm)からΛ2(495nm)の短波長領域においては、熱フィラメント等からの熱放射光、蛍光管、高圧ナトリウムランプ等からの放電放射光、レーザ等からの誘導放出光、半導体発光素子からの自然放出光、蛍光体からの自然放出光等あらゆる光源から出る光を含むことが可能である。この中でも特に光励起された蛍光体からの発光、半導体発光素子からの発光、半導体レーザからの発光は、小型で、エネルギー効率が高く、比較的狭帯域発光も可能であることから、好ましい。
具体的には、以下が好ましい。
半導体発光素子としては、サファイア基板上やGaN基板上に形成されたIn(Al)GaN系材料を活性層構造中に含む紫色発光素子(ピーク波長が395nmから420nm程度)、青紫色発光素子(ピーク波長が420nmから455nm程度)、青色発光素子(ピーク波長が455nmから485nm程度)が好ましい。さらに、GaAs基板上に形成されたZn(Cd)(S)Se系材料を活性層構造中に含む青色発光素子(ピーク波長が455nmから485nm程度)も好ましい。
なお、半導体発光素子や蛍光体等の発光要素(発光材料)の呈する放射束の分光分布や、そのピーク波長は、周辺温度、パッケージや灯具等の発光装置の放熱環境、注入電流、回路構成、あるいは場合によっては劣化等によって、若干変動するのが常である。よって、ある駆動条件でのピーク波長が418nmの半導体発光素子は、周辺環境の温度が上昇するとたとえば421nmのピーク波長を呈する場合などもある。
以下に述べる半導体発光素子や蛍光体等の発光要素(発光材料)の呈する放射束の分光分布やそのピーク波長についても、同様のことが言える。
活性層構造は、量子井戸層とバリア層を積層した多重量子井戸構造でも、あるいは比較的厚い活性層とバリア層(あるいはクラッド層)を含む一重あるいは二重ヘテロ構造でも、1つのpn接合からなるホモ接合であってもよい。
特に、活性層がIn(Al)GaN系材料含む場合には、青色発光素子と比較すると、活性層構造内でIn濃度が低くなる青紫色発光素子、紫色発光素子は、Inの偏析による発光波長ゆらぎが小さくなり発光スペクトルの半値全幅が狭くなるために、好ましい。さらに、青紫色発光素子、紫色発光素子は、波長が本波長領域である380nmから495nmの比較的外側(短波長側)寄りに位置し、Duvの制御が容易となるために、好ましい。すなわち、本発明においてΛ1(380nm)からΛ2(495nm)の短波長領域に発光ピークを有する半導体発光素子は、青色発光素子(ピーク波長が455nmから485nm程度)が好ましく、これより波長の短い青紫色発光素子(ピーク波長が420nmから455nm程度)がより好ましく、紫色発光素子(ピーク波長が395nmから420nm程度)が非常に好ましい。また、これらの発光素子を複数種類使用することも好ましい。
また、発光要素として半導体レーザを用いることも好ましく、上記と同様の理由で、青色半導体レーザ(発振波長が455nmから485nm程度)が好ましく、これより波長の長い青紫色半導体レーザ(発振波長が420nmから455nm程度)がより好ましく、紫色半導体レーザ(発振波長が395nmから420nm程度)が非常に好ましい。
本発明の実施態様に係る発光装置で用いる短波長領域の半導体発光素子は、その発光スペクトルの半値全幅が狭いことが好ましい。この観点で、短波長領域で用いる半導体発光素子の半値全幅は、45nm以下が好ましく、40nm以下がより好ましく、35nm以下が非常に好ましく、30nm以下は格段に好ましい。また、極端な狭帯域スペクトルは、多種類の発光要素を発光装置内に搭載しなければ所望の特性を実現できない場合もあることから、短波長領域で用いる半導体発光素子の半値全幅は、2nm以上が好ましく、4nm以上がより好ましく、6nm以上が非常に好ましく、8nm以上が格段に好ましい。
本発明の実施態様に係る発光装置で用いる短波長領域の半導体発光素子は、In(Al)GaN系材料を活性層構造中に含むことが好ましいことから、サファイア基板上またはGaN基板上に形成された発光素子であることが好ましい。特にGaN基板上に形成された発光素子の活性層中のIn偏析度合は、サファイア基板上に形成された場合よりも良好である。これは基板と活性層構造材料との格子整合性に依っている。このため、GaN基板上のIn(Al)GaN発光スペクトルの半値全幅はより狭くできるために、本発明との格段の相乗効果が期待でき、非常に好ましい。さらには、GaN基板上の発光素子であっても、特に半極性面、無極性面上に形成された素子が好ましい。これは結晶成長方向に対する圧電分極効果が低減されるため、量子井戸層内の空間的な電子と正孔の波動関数の空間的な重なりが大きくなり、原理的に発光効率の向上とスペクトルの狭帯域化が実現できるからである。よって半極性あるいは無極性GaN基板上の半導体発光素子を用いることは、本発明との格段の相乗効果が期待できるため、非常に好ましい。
また、基板の厚みは厚い場合か、半導体発光素子から完全に剥離されている場合のいずれかが好ましい。特にGaN基板上に短波長領域の半導体発光素子を作成した場合においては、GaN基板側壁からの光取り出しを助長するように、基板は厚いことが好ましく、100μm以上が好ましく、200μm以上がより好ましく、400μm以上が非常に好ましく、600μm以上が格段に好ましい。一方で素子作成上の便から基板厚みは2mm以下が好ましく、1.8mm以下がより好ましく、1.6mm以下が非常に好ましく、1.4mm以下が格段に好ましい。
一方サファイア基板上等に発光素子を作成した場合においては、レーザリフトオフ等の方法で基板を剥離しておくことが好ましい。このようにすると基板との極端な格子不整合のために広帯域化を助長してしまう量子井戸層にかかる応力が低減し、結果として発光素子のスペクトルの狭帯域化が実現できる。よって、サファイア基板等を剥離した発光素子は本発明との格段の相乗効果を期待でき、非常に好ましい。
本発明の実施態様に係る発光装置に用いる短波長領域の蛍光体材料としては、その半値全幅が狭いことが好ましい。この観点で、短波長領域で用いる蛍光体材料の、室温で光励起された場合の発光スペクトルの半値全幅は、90nm以下が好ましく、80nm以下がより好ましく、70nm以下が非常に好ましく、60nm以下は格段に好ましい。また、極端な狭帯域スペクトルは、多種類の発光要素を発光装置内に搭載しなければ所望の特性を実現できない場合もあることから、短波長領域で用いる蛍光体材料の半値全幅は、2nm以上が好ましく、4nm以上がより好ましく、6nm以上が非常に好ましく、8nm以上が格段に好ましい。
短波長領域の蛍光体材料においては、当該蛍光体材料を励起する都合とDuvの制御性を考慮し、以下の範囲にピーク波長を有することが好ましい。光励起する場合には、ピーク波長が455nmから485nmであることが好ましく、これより波長の短い420nmから455nmであることがより好ましい。一方、電子線励起する場合には、ピーク波長が455nmから485nmであることが好ましく、これより波長の短い420nmから455nmであることがより好ましく、ピーク波長が395nmから420nmであることが非常に好ましい。
本発明の実施態様に係る発光装置に用いる短波長領域の蛍光体材料の具体例としては、上記半値全幅を満たすものであれば好ましく用いることができるが、Eu2+を付活剤としアルカリ土類アルミン酸塩またはアルカリ土類ハロリン酸塩からなる結晶を母体とする青色蛍光体がある。より具体的には下記一般式(5)で表される蛍光体、下記一般式(5)´で表される蛍光体、(Sr,Ba)MgSi:Eu2+、および(Ba,Sr,Ca,Mg)Si:Euが挙げられる。
(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Mn,Eu (5)
(一般式(5)で表されるアルカリ土類アルミン酸塩蛍光体をBAM蛍光体と呼ぶ。)
SrBaEu(PO (5)´
(一般式(5)´において、XはClである。また、c、d及びxは、2.7≦c≦3.3、0.9≦d≦1.1、0.3≦x≦1.2を満足する数である。さらに、a及びbは、a+b=5−xかつ0≦b/(a+b)≦0.6の条件を満足する。)(一般式(5)´で表されるアルカリ土類ハロリン酸塩蛍光体のうちBaを含有するものをSBCA蛍光体と呼び、Baを含有しないものをSCA蛍光体と呼ぶ。)
これらの蛍光体である、BAM蛍光体、SBCA蛍光体、SCA蛍光体、およびBa−SION蛍光体((Ba,Sr,Ca,Mg)Si:Eu)、(Sr,Ba)MgSi:Eu2+蛍光体などが好ましく例示できる。
次いで、当該3波長領域の中のΛ2(495nm)からΛ3(590nm)の中間波長領域においては、熱フィラメント等からの熱放射光、蛍光管、高圧ナトリウムランプ等からの放電放射光、非線形光学効果を用いた二次高調波発生(SHG)等を含むレーザ等からの誘導放出光、半導体発光素子からの自然放出光、蛍光体からの自然放出光等あらゆる光源から出る光を含むことが可能である。この中でも特に光励起された蛍光体からの発光、半導体発光素子からの発光、半導体レーザ、SHGレーザからの発光は、小型で、エネルギー効率が高く、比較的狭帯域発光も可能であることから、好ましい。
具体的には、以下が好ましい。
半導体発光素子としては、サファイア基板上あるいはGaN基板上のIn(Al)GaN系材料を活性層構造中に含む青緑発光素子(ピーク波長が495nmから500nm程度)、緑色発光素子(ピーク波長が500nmから530nm程度)、黄緑色発光素子(ピーク波長が530nmから570nm程度)、黄色発光素子(ピーク波長が570nmから580nm程度)が好ましい。また、GaP基板上のGaPによる黄緑色発光素子(ピーク波長が530nmから570nm程度)、GaP基板上のGaAsPによる黄色発光素子(ピーク波長が570nmから580nm程度)も好ましい。さらに、GaAs基板上のAlInGaPによる黄色発光素子(ピーク波長が570nmから580nm程度)も好ましい。
活性層構造は、量子井戸層とバリア層を積層した多重量子井戸構造でも、あるいは比較的厚い活性層とバリア層(あるいはクラッド層)を含む一重あるいは二重ヘテロ構造でも、1つのpn接合からなるホモ接合であってもよい。
特に、In(Al)GaN系材料を用いた場合には、黄色発光素子と比較すると活性層構造内でIn濃度が低くなる黄緑色発光素子、緑色発光素子、青緑色発光素子は、Inの偏析による発光波長ゆらぎが小さくなり発光スペクトルの半値全幅が狭くなるために、好ましい。すなわち、本発明においてΛ2(495nm)からΛ3(590nm)の中間波長領域に発光ピークを有する半導体発光素子は、黄色発光素子(ピーク波長が570nmから580nm程度)が好ましく、これより波長の短い黄緑色発光素子(ピーク波長が530nmから570nm程度)がより好ましくこれより波長の短い緑色発光素子(ピーク波長が500nmから530nm程度)が非常に好ましく、青緑色発光素子(ピーク波長が495nmから500nm程度)が格段に好ましい。
また、発光要素として半導体レーザや、半導体レーザの発振波長を非線形光学効果によって波長変換したSHGレーザ等を用いることも好ましい。発振波長としては、上記と同様の理由で、黄色(ピーク波長が570nmから580nm程度)領域内であることが好ましく、これより波長の短い黄緑色(ピーク波長が530nmから570nm程度)領域内であることがより好ましく、これより波長の短い緑色(ピーク波長が500nmから530nm程度)領域内であることが非常に好ましく、さらに、青緑色(ピーク波長が495nmから500nm程度)領域内であることが格段に好ましい。
本発明の実施態様に係る発光装置で用いる中間波長領域の半導体発光素子は、その発光スペクトルの半値全幅が狭いことが好ましい。この観点で、中間波長領域で用いる半導体発光素子の半値全幅は、75nm以下が好ましく、60nm以下がより好ましく、50nm以下が非常に好ましく、40nm以下は格段に好ましい。また、極端な狭帯域スペクトルは、多種類の発光要素を発光装置内に搭載しなければ所望の特性を実現できない場合もあることから、中間波長領域で用いる半導体発光素子の半値全幅は、2nm以上が好ましく、4nm以上がより好ましく、6nm以上が非常に好ましく、8nm以上が格段に好ましい。
本発明の実施態様に係る発光装置で用いる中間波長領域の半導体発光素子は、In(Al)GaN系材料を活性層構造中に含む場合には、サファイア基板上かGaN基板上に形成された発光素子であることが好ましい。また、特にGaN基板上形成された発光素子であることがより好ましい。これは、中間波長領域のInAlGaN系素子を作成するには、Inを比較的多量に活性層構造中に導入する必要があるが、GaN基板上に形成した場合には、サファイア基板上に形成した場合と比較して、基板との格子定数差に起因する圧電効果が低減し、量子井戸層内にキャリアを注入した場合の電子/正孔の空間的分離を抑制できるからである。この結果、発光波長の半値全幅は狭帯域化可能である。よって本発明においては、GaN基板上の中間波長領域の発光素子では、格段の相乗効果が期待されるため、好ましい。さらにはGaN基板上の発光素子であっても、特に半極性面、無極性
面上に形成された素子が好ましい。これは結晶成長方向に対する圧電分極効果が低減されるため、量子井戸層内の空間的な電子と正孔の波動関数の空間的な重なりが大きくなり、原理的に発光効率の向上とスペクトルの狭帯域化が実現できるからである。よって半極性あるいは無極性GaN基板上の半導体発光素子を用いることは、本発明との格段の相乗効果が期待できるため、非常に好ましい。
いずれの基板上に形成されたいずれの半導体発光素子であっても、基板の厚みは厚い場合か完全に除去されている場合のいずれかが好ましい。
特にGaN基板上に中間波長領域の半導体発光素子を作成した場合においては、GaN基板側壁からの光取り出しを助長するように、基板は厚いことが好ましく、100μm以上が好ましく、200μm以上がより好ましく、400μm以上が非常に好ましく、600μm以上が格段に好ましい。一方で素子作成上の便から基板厚みは2mm以下が好ましく、1.8mm以下がより好ましく、1.6mm以下が非常に好ましく、1.4mm以下が格段に好ましい。
また、GaP基板上に中間波長領域の半導体発光素子を作成した場合においても同様で、GaP基板側壁からの光取り出しを助長するように、基板は厚いことが好ましく、100μm以上が好ましく、200μm以上がより好ましく、400μm以上が非常に好ましく、600μm以上が格段に好ましい。一方で素子作成上の便から基板厚みは2mm以下が好ましく、1.8mm以下がより好ましく、1.6mm以下が非常に好ましく、1.4mm以下が格段に好ましい。
一方、GaAs基板上に形成されたAlInGaP系材料の場合には、基板のバンドギャップが活性層構造を形成する材料のバンドギャップよりも小さいために、発光波長領域の光を吸収してしまう。このために、基板の厚みは薄い場合が好ましく、半導体発光素子から完全に剥離されている場合が好ましい。
さらに、サファイア基板上等に半導体発光素子を作成した場合においては、レーザリフトオフ等の方法で基板を剥離しておくことが好ましい。このようにすると基板との極端な格子不整合のために広帯域化してしまう量子井戸層にかかる応力が低減し、結果として発光素子のスペクトルの狭帯域化が実現できる。よって、サファイア基板等を剥離した半導体発光素子は本発明との格段の相乗効果を期待でき、非常に好ましい。
本発明の実施態様に係る発光装置に用いる中間波長領域の蛍光体材料としては、以下の様な場合が好ましい。
例えば、特定の発光領域において紫色半導体発光素子のような紫色光を発する発光要素を用い、かつ、同じ発光領域内に青色蛍光体を同時に用いる場合は、前述の青色蛍光体と中間波長領域の蛍光体材料との分光分布の重なりから、中間波長領域で発光する蛍光体は狭帯域発光する事が好ましい。これは中間波長領域の蛍光体材料の半値全幅が狭い方が、特に465nm以上525nm以下の範囲に適切なくぼみ(相対分光強度の低い部分)を形成できるからであって、この適切なくぼみ部分は「自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見え」を実現する上で、重要であるからである。
この場合には、中間波長領域の蛍光体材料のピーク波長は、Duvの制御性をも考慮し、495nmから500nmであることが好ましく、ピーク波長が500nmから530nmである場合と、ピーク波長が570nmから580nmである場合が同程度により好ましく、ピーク波長が530nmから570nmであることが非常に好ましい。
また、特定の発光領域において紫色半導体発光素子のような紫色光を発する発光要素を用い、かつ、同じ発光領域内に青色蛍光体を同時に用いる場合は、中間波長領域で用いる蛍光体材料の、室温で光励起された場合の発光スペクトルの半値全幅は、130nm以下が好ましく、110nm以下がより好ましく、90nm以下が非常に好ましく、70nm
以下は格段に好ましい。また、極端な狭帯域スペクトルは、多種類の発光要素を発光装置内に搭載しなければ所望の特性を実現できない場合もあることから、紫色の光を発する発光要素を用いる場合においては、中間波長領域で用いる蛍光体材料の半値全幅は、2nm以上が好ましく、4nm以上がより好ましく、6nm以上が非常に好ましく、8nm以上が格段に好ましい。
一方、例えば、特定の発光領域において青色半導体発光素子のような青色光を発する発光要素を用いる場合には、中間波長領域で発光する蛍光体は広帯域発光する事が好ましい。これは以下の理由による。一般に青色半導体発光素子の半値全幅は比較的狭いために、中間波長領域で発光する蛍光体が狭帯域発光する場合には、「自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見え」を実現する上で重要な465nm以上525nm以下に形成される分光分布中のくぼみが過剰な大きさ(相対分光強度が低下しすぎる)となってしまい、所望の特性を実現しにくくなるからである。
この場合には、中間波長領域の蛍光体材料のピーク波長は、Duvの制御性をも考慮し、511nmから543nmであることが好ましく、ピーク波長が514nmから540nmである場合がより好ましく、ピーク波長が520nmから540nmである場合が非常に好ましく、ピーク波長が520nmから530nmであること格段に好ましい。
また、特定の発光領域において青色半導体発光素子のような青色光を発する発光要素を用いる場合には、中間波長領域で用いる蛍光体材料の、室温で光励起された場合の発光スペクトルの半値全幅は、90nm以上が好ましく、96nm以上がより好ましく、97nm以上が非常に好ましい。また、極端な広帯域スペクトルは、「自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見え」を実現する上で重要な465nm以上525nm以下に形成される分光分布中のくぼみが過小(相対分光強度が高すぎる)となってしまい、所望の特性を実現しにくくなる場合もあることから、中間波長領域で用いる蛍光体材料の半値全幅は、110nm以下が好ましく、108nm以下がより好ましく、104nm以下が非常に好ましく、103nm以下が格段に好ましい。
本発明の実施態様に係る発光装置に用いる中間波長領域の蛍光体材料の具体例としては、上記半値全幅を満たすものであれば好ましく用いることができる。
例えば、特定の発光領域において紫色半導体発光素子のような紫色光を発する発光要素を用い、かつ、同じ発光領域内に青色蛍光体を同時に用いる場合の中間波長領域で発光する蛍光体具体例としては、Eu2+、Ce3+などを付活剤として含む緑色蛍光体が挙げられる。Eu2+を付活剤とする好適な緑色蛍光体は、アルカリ土類ケイ酸塩、アルカリ土類ケイ酸窒化物またはサイアロンからなる結晶を母体とする緑色蛍光体である。この種の緑色蛍光体は、通常、紫外〜青色半導体発光素子を用いて励起可能である。
アルカリ土類ケイ酸塩結晶を母体とするものの具体例には、下記一般式(6)で表される蛍光体、下記一般式(6)´で表される蛍光体が挙げられる。
BaCaSrMgEuSiO (6)
(一般式(6)においてa、b、c、dおよびxが、a+b+c+d+x=2、1.0 ≦ a ≦ 2.0、0 ≦ b < 0.2、0.2 ≦ c ≦ 1.0、0 ≦ d < 0.2および0 < x ≦ 0.5を満たす。)(一般式(6)で表されるアルカリ土類ケイ酸塩をBSS蛍光体と呼ぶ。)
Ba1−x−ySrEuMg1−zMnAl1017 (6)´
(一般式(6)´においてx、yおよびzはそれぞれ0.1≦x≦0.4、0.25≦y≦0.6及び0.05≦z≦0.5を満たす。)(一般式(6)´で表されるアルカリ土類アルミン酸塩蛍光体をG−BAM蛍光体と呼ぶ。)
サイアロン結晶を母体とするものの具体例には、Si6−zAl8−z:Eu
(ただし0<z<4.2)で表される蛍光体が挙げられる(これをβ−SiAlON蛍光体と呼ぶ)。Ce3+を付活剤とする好適な緑色蛍光体としては、ガーネット型酸化物結晶を母体とする緑色蛍光体、例えばCa3(Sc,Mg)2Si312:Ceや、アルカリ土類金属スカンジウム酸塩結晶を母体とする緑色蛍光体、例えばCaSc24:Ceがある。その他、SrGaS:Eu2+なども挙げられる。
さらにその他としては、(Ba,Ca,Sr,Mg,Zn,Eu)3Si6122 で表される酸窒化物蛍光体が挙げられる(これをBSON蛍光体と呼ぶ)。
その他、(Y1−uGd(Al1−vGa12:Ce,Eu(但し、u及びvはそれぞれ0≦u≦0.3、及び0≦v≦0.5を満たす。)で表されるイットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(これをYAG蛍光体と呼ぶ。)、Ca1.5xLa3−XSi11:Ce(但し、xは、0≦x≦1)で表されるランタン窒化ケイ素蛍光体(これをLSN蛍光体と呼ぶ。)があげられる。
これらの蛍光体のうち、BSS蛍光体、β−SiAlON蛍光体、BSON蛍光体、G−BAM蛍光体、YAG蛍光体、およびSrGaS:Eu2+蛍光体などが好ましく例示できる。
一方、例えば、特定の発光領域において青色半導体発光素子のような青色光を発する発光要素を用いる場合には、中間波長領域で発光する蛍光体具体例としては、Ce3+を付活剤としたアルミン酸塩、Ce3+を付活剤としたイットリウムアルミニウム酸化物、Eu2+付活アルカリ土類ケイ酸塩結晶、Eu2+付活アルカリ土類ケイ酸窒化物を母体とする緑色蛍光体がある。これらの緑色蛍光体は、通常、紫外〜青色半導体発光素子を用いて励起可能である。
Ce3+付活アルミン酸塩蛍光体の具体例には、下記一般式(8)で表される緑色蛍光体が挙げられる。
(Ce,Tb,Lu)(Ga,Sc)Al (8)
(一般式(8)において、a、b、c、d、eが、a+b=3、0≦b≦0.2、4.5≦c+d≦5.5、0.1≦c≦2.6、および10.8≦e≦13.4を満たす。)(一般式(8)で表されるCe3+付活アルミン酸塩蛍光体をG−YAG蛍光体と呼ぶ。)
特にG−YAG蛍光体においては、一般式(8)を満たす前記組成範囲を適宜選択可能である。さらに、蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長と半値全幅が、本実施態様において好ましくなるのは以下の範囲である。
0.01≦b≦0.05かつ0.1≦c≦2.6である事が好ましく、
0.01≦b≦0.05かつ0.3≦c≦2.6である事がより好ましく、
0.01≦b≦0.05かつ1.0≦c≦2.6である事が非常に好ましい。
また、
0.01≦b≦0.03かつ0.1≦c≦2.6である事も好ましく、
0.01≦b≦0.03かつ0.3≦c≦2.6である事がより好ましく、
0.01≦b≦0.03かつ1.0≦c≦2.6である事が非常に好ましい。
Ce3+付活イットリウムアルミニウム酸化物系蛍光体の具体例には、下記一般式(9)で表される緑色蛍光体が挙げられる。
Lu(Ce,Tb,Y)(Ga,Sc)Al (9)
(一般式(9)において、a、b、c、d、eが、a+b=3、0≦b≦0.2、4.5≦c+d≦5.5、0≦c≦2.6、および10.8≦e≦13.4を満たす。)(一般式(9)で表されるCe3+付活イットリウムアルミニウム酸化物系蛍光体をLuAG蛍光体と呼ぶ。)
特にLuAG蛍光体においては、一般式(9)を満たす前記組成範囲を適宜選択可能である。さらには、蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長と半値全幅が、本実施態様において好ましくなるのは以下の範囲である。
0.00≦b≦0.13である事が好ましく、
0.02≦b≦0.13である事がより好ましく、
0.02≦b≦0.10である事が非常に好ましい。
その他、下記一般式(10)および下記一般式(11)で表される緑色蛍光体が挙げられる。
(10)
(一般式(10)において、Mは2価の金属元素、Mは3価の金属元素、Mは4価の金属元素をそれぞれ示し、a、b、cおよびdが、2.7≦a≦3.3、1.8≦b≦2.2、2.7≦c≦3.3、11.0≦d≦13.0を満たす。)(一般式(10)で表される蛍光体をCSMS蛍光体と呼ぶ。)
なお、上記式(10)において、Mは2価の金属元素であるが、Mg、Ca、Zn、Sr、Cd、及びBaからなる群から選択された少なくとも1種であるのが好ましく、Mg、Ca、又はZnであるのが更に好ましく、Caが特に好ましい。この場合、Caは単独系でもよく、Mgとの複合系でもよい。また、Mは他の2価の金属元素を含んでいてもよい。
は3価の金属元素であるが、Al、Sc、Ga、Y、In、La、Gd、及びLuからなる群から選択された少なくとも1種であるのが好ましく、Al、Sc、Y、又はLuであるのが更に好ましく、Scが特に好ましい。この場合、Scは単独系でもよく、YまたはLuとの複合系でもよい。また、M2はCeを含むことを必須とし、Mは他の3価の金属元素を含んでいてもよい。
は4価の金属元素であるが、少なくともSiを含むことが好ましい。Si以外の4価の金属元素Mの具体例としては、Ti、Ge、Zr、Sn、及びHfからなる群から選択された少なくとも1種であるのが好ましく、Ti、Zr、Sn、及びHfからなる群から選択された少なくとも1種であるのがより好ましく、Snであることが特に好ましい。特に、MがSiであることが好ましい。また、Mは他の4価の金属元素を含んでいてもよい。
特にCSMS蛍光体においては、一般式(10)を満たす前記組成範囲を適宜選択可能である。さらには、蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長と半値全幅が、本実施態様において好ましい範囲となるためには、Mに含まれるCeのM全体に占める割合の下限は0.01以上であることが好ましく、0.02以上であることがより好ましい。また、Mに含まれるCeのM全体に占める割合の上限は、0.10以下であることが好ましく、0.06以下であることがより好ましい。更に、M元素に含まれるMgのM全体に占める割合の下限は0.01以上であることが好ましく、0.03以上であることがより好ましい。一方、上限は0.30以下であることが好ましく、0.10以下であることがより好ましい。
さらに、下記一般式(11)で表される蛍光体が挙げられる。
(11)
(一般式(11)において、Mは少なくともCeを含む付活剤元素、Mは2価の金属元素、Mは3価の金属元素をそれぞれ示し、a、b、cおよびdが、0.0001≦a≦0.2、0.8≦b≦1.2、1.6≦c≦2.4、および3.2≦d≦4.8を満たす。)(一般式(11)で表される蛍光体をCSO蛍光体と呼ぶ。)
なお、上記式(11)において、Mは、結晶母体中に含有される付活剤元素であり、
少なくともCeを含む。また、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、及びYbからなる群から選択された少なくとも1種の2〜4価の元素を含有させることができる。
は2価の金属元素であるが、Mg、Ca、Zn、Sr、Cd、及びBaからなる群から選択された少なくとも1種であるのが好ましく、Mg、Ca、又は、Srであるのが更に好ましく、Mの元素の50モル%以上がCaであることが特に好ましい。
は3価の金属元素であるが、Al、Sc、Ga、Y、In、La、Gd、Yb、及びLuからなる群から選択された少なくとも1種であるのが好ましく、Al、Sc、Yb、又はLuであるのが更に好ましく、Sc、又はScとAl、又はScとLuであるのがより一層好ましく、Mの元素の50モル%以上がScであることが特に好ましい。
及びMは、それぞれ2価及び3価の金属元素を表すが、M及び/又はMのごく一部を1価、4価、5価のいずれかの価数の金属元素としてもよく、さらに、微量の陰イオン、たとえば、ハロゲン元素(F、Cl、Br、I)、窒素、硫黄、セレンなどが、化合物の中に含まれていてもよい。
特にCSO蛍光体においては、一般式(11)を満たす前記組成範囲を適宜選択可能である。さらには、蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長と半値全幅が、本実施態様において好ましくなるのは以下の範囲である。
0.005≦a≦0.200である事が好ましく、
0.005≦a≦0.012である事がより好ましく、
0.007≦a≦0.012である事が非常に好ましい。
さらに、Eu2+付活アルカリ土類ケイ酸塩結晶を母体とする蛍光体の具体例には、下記一般式(12)で表される緑色蛍光体が挙げられる。
BaCaSrMgEuSiO (12)
(一般式(12)においてa、b、c、dおよびxが、a+b+c+d+x=2、1.0 ≦ a ≦ 2.0、0 ≦ b < 0.2、0.2 ≦ c ≦1,0、0 ≦ d < 0.2および0 < x ≦ 0.5を満たす。)(一般式(12)で表されるアルカリ土類ケイ酸塩蛍光体をBSS蛍光体と呼ぶ。)
BSS蛍光体においては、一般式(12)を満たす前記組成範囲を適宜選択可能である。さらには、蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長と半値全幅が、本実施態様において好ましくなるのは以下の範囲である。
0.20≦ c ≦1.00かつ0.25< x ≦ 0.50である事がより好ましく、
0.20≦ c ≦ 1.00かつ0.25< x ≦ 0.30である事が非常に好ましい。
さらに、
0.50≦ c ≦ 1.00かつ0.00< x ≦ 0.50である事が好ましく、
0.50≦ c ≦ 1.00かつ0.25< x ≦ 0.50である事がより好ましく、
0.50≦ c ≦ 1.00かつ0.25< x ≦ 0.30である事が非常に好ましい。
さらに、Eu2+付活アルカリ土類ケイ酸窒化物を母体とする蛍光体の具体例には、下記一般式(13)で表される緑色蛍光体が挙げられる。
(Ba,Ca,Sr,Mg,Zn,Eu)Si12 (13) (これをBSON蛍光体と呼ぶ)。
BSON蛍光体においては、一般式(13)を満たす前記組成範囲を適宜選択可能である。さらには、蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長と半値全幅が、本実施態様において好ましくなるのは以下の範囲である。
一般式(13)において選択できる2価金属元素(Ba,Ca,Sr,Mg,Zn,Eu)のうち、BaとSrとEuの組合せとすることが好ましく、さらには、Baに対する
Srの比率は10〜30%とすることがより好ましい。
次いで、当該3波長領域の中のΛ3(590nm)から780nmの長波長領域においては、熱フィラメント等からの熱放射光、蛍光管、高圧ナトリウムランプ等からの放電放射光、レーザ等からの誘導放出光、半導体発光素子からの自然放出光、蛍光体からの自然放出光等あらゆる光源から出る光を含むことが可能である。この中でも特に光励起された蛍光体からの発光、半導体発光素子からの発光、半導体レーザからの発光は、小型で、エネルギー効率が高く、比較的狭帯域発光も可能であることから、好ましい。
具体的には、以下が好ましい。
半導体発光素子としては、GaAs基板上に形成されたAlGaAs系材料、GaAs基板上に形成された(Al)InGaP系材料を活性層構造中に含む橙色発光素子(ピーク波長が590nmから600nm程度)、赤色発光素子(600nmから780nm)が好ましい。また、GaP基板上に形成されたGaAsP系材料を活性層構造中に含む赤色発光素子(600nmから780nm)が好ましい。
活性層構造は、量子井戸層とバリア層を積層した多重量子井戸構造でも、あるいは比較的厚い活性層とバリア層(あるいはクラッド層)を含む一重あるいは二重ヘテロ構造でも、1つのpn接合からなるホモ接合であってもよい。
特に、この波長領域においては、ピーク波長はDuv制御性と放射効率の両立を考慮し、630nm近傍に近接していることが好ましい。この観点では、橙色発光素子と比較すると赤色発光素子はより好ましい。すなわち、本発明においてΛ3(590nm)から780nmの長波長領域に発光ピークを有する半導体発光素子は、橙色発光素子(ピーク波長が590nmから600nm程度)が好ましく、赤色発光素子(ピーク波長が600nmから780nm程度)がより好ましく、ピーク波長が630nm程度に近接している赤色発光素子が非常に好ましい。特にピーク波長が615nmから645nmの赤色発光素子が非常に好ましい。
また、発光要素として半導体レーザを用いることも好ましい。発振波長としては、上記と同様の理由で、橙色(ピーク波長が590nmから600nm程度)領域内に発振波長を有することが好ましく、赤色(ピーク波長が600nmから780nm程度)領域内に発振波長を有することがより好ましく、さらに発振波長が630nm程度に近接した赤色領域にあることが非常に好ましい。特に発振波長が615nmから645nmの赤色半導体レーザが非常に好ましい。
本発明の実施態様に係る発光装置で用いる長波長領域の半導体発光素子は、その発光スペクトルの半値全幅が狭いことが好ましい。この観点で、長波長領域で用いる半導体発光素子の半値全幅は、30nm以下が好ましく、25nm以下がより好ましく、20nm以下が非常に好ましく、15nm以下は格段に好ましい。また、極端な狭帯域スペクトルは、多種類の発光要素を発光装置内に搭載しなければ所望の特性を実現できない場合もあることから、長波長領域で用いる半導体発光素子の半値全幅は、2nm以上が好ましく、4nm以上がより好ましく、6nm以上が非常に好ましく、8nm以上が格段に好ましい。
長波長領域においては、GaAs基板のバンドギャップが活性層構造を形成する材料のバンドギャップよりも小さいために、発光波長領域の光を吸収してしまう。このために、基板の厚みは薄い場合が好ましく、完全に除去されている場合が好ましい。
本発明の実施態様に係る発光装置に用いる長波長領域の蛍光体材料としては、その半値全幅が狭いことが好ましい。この観点で、長波長領域で用いる蛍光体材料の、室温で光励
起された場合の発光スペクトルの半値全幅は、130nm以下が好ましく、110nm以下がより好ましく、90nm以下が非常に好ましく、70nm以下は格段に好ましい。また、極端な狭帯域スペクトルは、多種類の発光要素を発光装置内に搭載しなければ所望の特性を実現できない場合もあることから、長波長領域で用いる蛍光体材料の半値全幅は、2nm以上が好ましく、4nm以上がより好ましく、6nm以上が非常に好ましく、8nm以上が格段に好ましい。
長波長領域の蛍光体材料においては、ピーク波長はDuv制御性と放射効率の両立を考慮し、他の材料と一体として発光装置を作成した際に、そのピーク波長が630nmに近接することが非常に好ましい。すなわち、本発明においてΛ3(590nm)から780nmの長波長領域に発光ピークを有する蛍光体材料は、590nmから600nmの間にピークを有するようになることが好ましく、600nmから780nm程度にピークを有するようになることがより好ましく、ピーク波長が630nmに近接することが非常に好ましい。特にピーク波長が620nmから655nmとなる蛍光体材料が非常に好ましい。
本発明の実施態様に係る発光装置に用いる長波長領域の蛍光体材料の具体例としては、上記半値全幅を満たすものであれば好ましく用いることができる。また、当該具体例としては、Eu2+を付活剤とし、アルカリ土類ケイ窒化物、αサイアロンまたはアルカリ土類ケイ酸塩からなる結晶を母体とする蛍光体が挙げられる。この種の赤色蛍光体は、通常、紫外〜青色半導体発光素子を用いて励起可能である。アルカリ土類ケイ窒化物結晶を母体とするものの具体例には、(Ca,Sr,Ba,Mg)AlSiN:Euおよび/または(Ca,Sr,Ba)AlSiN:Euで表される蛍光体(これをSCASN蛍光体と呼ぶ)、(CaAlSiN1−x(SiO):Eu(ただし、xは0<x<0.5)で表される蛍光体(これをCASON蛍光体と呼ぶ)、(Sr,Ca,Ba)AlSi5−x8−x:Eu(ただし0≦x≦2)で表される蛍光体、Eu(Sr,Ca,Ba)1−y:Al1+xSi4−x7−x(ただし0≦x<4、0≦y<0.2)で表される蛍光体が挙げられる。
その他、Mn4+付活フッ化物錯体蛍光体も挙げられる。Mn4+付活フッ化物錯体蛍光体は、Mn4+を付活剤とし、アルカリ金属、アミンまたはアルカリ土類金属のフッ化物錯体塩を母体結晶とする蛍光体である。母体結晶を形成するフッ化物錯体には、配位中心が3価金属(B、Al、Ga、In、Y、Sc、ランタノイド)のもの、4価金属(Si、Ge、Sn、Ti、Zr、Re、Hf)のもの、5価金属(V、P、Nb、Ta)のものがあり、その周りに配位するフッ素原子の数は5〜7である。
好ましいMn4+付活フッ化物錯体蛍光体は、アルカリ金属のヘキサフルオロ錯体塩を母体結晶とするA2+xMn(AはNaおよび/またはK;MはSiおよびAl;−1≦x≦1かつ0.9≦y+z≦1.1かつ0.001≦z≦0.4かつ5≦n≦7)である。中でも特に好ましいのは、AがK(カリウム)またはNa(ナトリウム)から選ばれる1種以上で、MがSi(ケイ素)またはTi(チタン)であるもの、例えば、KSiF:Mn(これをKSF蛍光体と呼ぶ)、この構成元素の一部(好ましくは10モル%以下)をAlとNaで置換したKSi1−xNaAl:Mn、KTiF:Mn(これをKSNAF蛍光体と呼ぶ)などである。
その他、下記一般式(7)で表される蛍光体、および下記一般式(7)´で表される蛍光体も挙げられる。
(La1−x−yEuLnS (7)
(一般式(7)において、x及びyはそれぞれ0.02≦x≦0.50及び0≦y≦0.50を満たす数を表し、LnはY、Gd、Lu、Sc、Sm及びErの少なくとも1種の3価希土類元素を表す。)(一般式(7)で表される酸硫化ランタン蛍光体をLOS蛍光
体と呼ぶ。)
(k−x)MgO・xAF・GeO:yMn4+ (7)´
(一般式(7)´において、k、x、yは、各々、2.8≦k≦5、0.1≦x≦0.7、0.005≦y≦0.015を満たす数を表し、Aはカルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、亜鉛(Zn)、またはこれらの混合物である。)(一般式(7)で表されるジャーマネート蛍光体をMGOF蛍光体と呼ぶ。)
これらの蛍光体のうち、LOS蛍光体、MGOF蛍光体、KSF蛍光体、KSNAF蛍光体、SCASN蛍光体、CASON蛍光体、(Sr,Ca,Ba)Si:Eu蛍光体、(Sr,Ca,Ba)AlSi蛍光体などが好ましく例示できる。
本発明の実施態様に係る発光装置においては、発光装置の分光分布を適切に制御するための材料に格段の制約はない。しかし、具現化される発光装置が以下の場合は非常に好ましい。
例えば、特定の発光領域において紫色半導体発光素子のような紫色光を発する発光要素を用い、かつ、同じ発光領域内に青色蛍光体を同時に用いる場合の中間波長領域で発光する蛍光体を有する場合は以下である。
紫色LED(ピーク波長が395nmから420nm程度)を、短波長領域の発光要素とし、さらに短波長領域における発光要素として比較的狭帯域な蛍光体であるSBCA、SCA、BAMの中から選択される少なくとも1以上を光源に内在させ、中間波長領域における発光要素として比較的狭帯域な蛍光体であるβ−SiAlON、BSS、BSON、G−BAMの中から選択される少なくとも1以上を光源に内在させ、長波長領域における発光要素としてCASON、SCASN、LOS、KSF、KSNAFの中から選択される少なくとも1以上を光源に内在させることは好ましい。
さらには、以下の通りである。
紫色LED(ピーク波長が395nmから420nm程度)を、短波長領域の第一発光要素とし、さらに短波長領域における第二発光要素として比較的狭帯域な蛍光体であるSBCAを光源に内在させ、中間波長領域における第一発光要素として比較的狭帯域な蛍光体であるβ−SiAlONを用い、長波長領域における第一発光要素としてCASONを用いることは非常に好ましい。
加えて、紫色LED(ピーク波長が395nmから420nm程度)を短波長領域の第一発光要素とし、さらに短波長領域における第二発光要素として比較的狭帯域な蛍光体であるSCAを光源に内在させ、中間波長領域における第一発光要素として比較的狭帯域な蛍光体であるβ−SiAlONを用い、長波長領域における第一発光要素としてCASONを用いることは非常に好ましい。
加えて、紫色LED(ピーク波長が395nmから420nm程度)を短波長領域の第一発光要素とし、さらに短波長領域における第二発光要素として比較的狭帯域な蛍光体であるBAMを光源に内在させ、中間波長領域における第一発光要素として比較的狭帯域な蛍光体であるBSSを用い、長波長領域における第一発光要素としてCASONを用いることは非常に好ましい。
一方、青紫色LED(ピーク波長が420nmから455nm程度)かつ/または青色LED(ピーク波長が455nmから485nm程度)を短波長領域の発光要素とし、中間波長領域における発光要素として比較的狭帯域な蛍光体であるβ−SiAlON、BSS、BSON、G−BAMの中から選択される少なくとも1以上を光源に内在させ、長波長領域における発光要素としてCASON、SCASN、LOS、KSF、KSNAFの中から選択される少なくとも1以上を光源に内在させることは好ましい。
さらには、以下の通りである。
青紫色LED(ピーク波長が420nmから455nm程度)かつ/または青色LED(ピーク波長が455nmから485nm程度)を短波長領域の発光要素とし、さらに中間波長領域における第一発光要素として比較的狭帯域な蛍光体であるBSONを用い、長波長領域における第一発光要素としてSCASNを用いることは非常に好ましい。
青紫色LED(ピーク波長が420nmから455nm程度)かつ/または青色LED(ピーク波長が455nmから485nm程度)を短波長領域の発光要素とし、さらに中間波長領域における第一発光要素として比較的狭帯域な蛍光体であるβ−SiAlONを用い、長波長領域における第一発光要素としてCASONを用いることは非常に好ましい。
青紫色LED(ピーク波長が420nmから455nm程度)かつ/または青色LED(ピーク波長が455nmから485nm程度)を短波長領域の発光要素とし、さらに中間波長領域における第一発光要素として比較的狭帯域な蛍光体であるβ−SiAlONを用い、長波長領域における第一発光要素としてCASONを用い、長波長領域における第二発光要素としてKSFもしくはKSNAFを用いることは非常に好ましい。
青紫色LED(ピーク波長が420nmから455nm程度)かつ/または青色LED(ピーク波長が455nmから485nm程度)を短波長領域の発光要素とし、さらに中間波長領域における第一発光要素として比較的狭帯域な蛍光体であるβ−SiAlONを用い、長波長領域における第一発光要素としてSCASNを用いることは非常に好ましい。
青紫色LED(ピーク波長が420nmから455nm程度)かつ/または青色LED(ピーク波長が455nmから485nm程度)を短波長領域の発光要素とし、さらに中間波長領域における第一発光要素として比較的狭帯域な蛍光体であるβ−SiAlONを用い、長波長領域における第一発光要素としてSCASNを用い、長波長領域における第二発光要素としてKSFもしくはKSNAFを用いることは非常に好ましい。
これらの発光要素の組み合わせは、それぞれの発光要素の有するピーク波長位置、半値全幅等が、視覚実験で被験者が好ましいとした色の見え、物体の見えを実現するうえで、非常に好都合である。
一方、例えば、特定の発光領域において青色半導体発光素子のような青色光を発する発光要素を用いる場合に好ましい発光要素の組み合わせは以下である。
特定の発光領域に、青色発光素子を含み、中間波長領域における蛍光体としてCa(Sc,Mg)Si12:Ce(CSMS蛍光体)、CaSc:Ce(CSO蛍光体)、LuAl12:Ce(LuAG蛍光体)、Y(Al,Ga)12:Ce(G−YAG蛍光体)から選択される少なくとも1つの緑色蛍光体を含み、さらに、(Sr,Ca)AlSiN:Eu(SCASN蛍光体)、CaAlSi(ON):Eu(CASON蛍光体)、またはCaAlSiN:Eu(CASN蛍光体)から選択される少なくとも1つの赤色蛍光体を含む事は好ましく、このような発光領域を含む発光装置とする事は好ましい。
本発明の実施態様に係る発光装置においては、これまで記載した発光要素(発光材料)を用いると、指標Acg、放射効率K(lm/W)、Duv等を所望の値に設定しやすくなるため、好ましい。また、当該光を色刺激としてとらえ、当該発光装置での照明を仮定した場合の当該15色票の色の見えと、計算用基準光での照明を仮定した場合の色の見えとの差に関する|Δh|、SATav、ΔC、|ΔCmax−ΔCmin|も、上記記載の発光要素を用いると所望の値に設定しやすくなるため、好ましい。
uvを0から低下させ、適切な負値にするには、種々の手段が考えられる。たとえば当該3波長領域それぞれにひとつの発光要素を有する発光装置を想定すれば、短波長領域内の発光要素の発光位置をさらに短波長側に移動させる、長波長領域内の発光要素の発光
位置をさらに長波長側に移動させる、中間波長領域内の発光要素の発光位置を555nmからずらすなどのことが可能である。さらに、短波長領域内の発光要素の相対的発光強度を上げる、長波長領域内の発光要素の相対的発光強度を上げる、中間波長領域内の発光要素の相対的発光強度を下げるなどのことが可能である。また、この際にCCTを変化させずにDuvを変化させるには、短波長領域内の発光要素の発光位置を短波長側に移動させ、かつ、長波長領域内の発光要素の発光位置を長波長側に移動させるなどのことを同時に行えばよい。さらに、Duvを正側に変化させるには、上記記載と逆の操作を行えばよい。
さらに、たとえば当該3波長領域それぞれに二つの発光要素を有する発光装置を想定し、Duvを低下させるには、たとえば、短波長領域内の2つの発光要素の中の相対的に短波長側にある発光要素の相対強度を上げる、超波長領域内の2つの発光要素の中の相対的に長波長側にある発光要素の相対強度を上げるなどのことも可能である。また、この際にCCTを変化させずにDuvを低下させるには、短波長領域内の2つの発光要素の中の相対的に短波長側にある発光要素の相対強度を上げ、かつ、長波長領域内の2つの発光要素の中の相対的に長波長側にある発光要素の相対強度を上げることを同時に行えばよい。さらに、Duvを正側に変化させるには、上記記載と逆の操作を行えばよい。
一方、当該発光装置での照明を仮定した場合の当該15色票の色の見えと、計算用基準光での照明を仮定した場合の色の見えとの差に関する|Δh|、SATav、ΔC、|ΔCmax−ΔCmin|を変化させるための手段としては、特にΔCを増加させるためには、Duvを所望の値となるように分光分布を全体を調整したうえで、以下のようなことが可能である。各発光要素の半値全幅を狭い材料に置換し、スペクトル形状として各発光要素間を適切に分離する、各発光要素のスペクトル中に凹凸を形成すべく、照明光源、照明器具等の中に所望の波長を吸収するフィルターを設置する、発光装置中にさらに狭帯域な発光をする発光要素を追加搭載する等のことを行えばよい。
このように、本発明は、視覚実験を行った約150lxから約5000lxの照度範囲で、種々の色相を有する多種多様な照明対象物を、屋外のような10000lxを超える高照度環境下で見たような、自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えとするための第一義的な発光装置又は照明方法を明らかにしている。特に各色相を自然な鮮やかさにできると同時に、白色物を実験用基準光と比較してより白く知覚させうる。
本発明の実施態様において、高照度環境下で見たような、自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えとするための手段は、照明対象物の位置における光のDuvを適切な範囲とすることであって、かつ、当該光での照明を仮定した当該15色票の色の見えと、計算用基準光での照明を仮定した当該15色票の色の見えとの差に関する|Δh|、SATav、ΔC、|ΔCmax−ΔCmin|等の指標を適切な範囲にすることである。
本発明の照明方法に用いる発光装置としては、このような照明が可能な装置であれば、どのような構成をとる装置であっても構わない。当該装置は、たとえば照明光源単体であっても、当該光源を放熱板等の上に少なくとも1以上搭載している照明用モジュールであっても、当該光源あるいはモジュールにレンズ、反射機構、駆動用電気回路等を付与した照明器具であってもよい。さらには、光源単体、モジュール単体、器具単体等を集合させ、少なくともこれらを支持する機構を有する照明システムであってもよい。
また、本発明の実施態様に係る発光装置における、高照度環境下で見たような、自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えとするための手段が、主たる放射方向に出射される光の分光分布から求められるDuvを適切な範囲とした発光
装置とすることであって、かつ、指標Acgを適切な範囲とした発光装置とすることである。
当該装置は、たとえば照明光源単体であっても、当該光源を放熱板等の上に少なくとも1以上搭載している照明用モジュールであっても、当該光源あるいはモジュールにレンズ、反射機構、駆動用電気回路等を付与した照明器具であってもよい。さらには、光源単体、モジュール単体、器具単体等を集合させ、少なくともこれらを支持する機構を有する照明システムであってもよい。
100 発光装置
1 発光領域1
11 発光領域1−1
12 発光領域1−2
13 発光領域1−3
2 発光領域2
21 発光領域2−1
22 発光領域2−2
23 発光領域2−3
3 発光領域3
31 発光領域3−1
32 発光領域3−2
4 発光領域4
5 発光領域5
6 半導体発光素子
7 仮想外周
71 仮想外周上の2点
72 仮想外周上の2点間の距離
10 パッケージLED
20 パッケージLED
25 パッケージLED
30 照明システム
301 LEDバルブ(発光領域1)
302 LEDバルブ(発光領域2)
303 天井
40 1対のパッケージLED
400 パッケージLED
401 発光領域1
402 発光領域2
本発明の照明光源、照明器具及び照明システム等の発光装置、当該発光装置の設計方法、発光装置の駆動方法、及び照明方法は、応用分野が非常に広く、特定の用途には限定されずに使用することが可能である。しかし、本発明の発光装置、発光装置の設計方法、発光装置の駆動方法、及び照明方法の特長に照らして、以下の分野への応用は好ましい。
例えば、本発明の発光装置又は照明方法により照明した場合には、従来の発光装置又は照明方法と比較して、ほぼ同様のCCT、ほぼ同様の照度であっても、白色はより白く、自然に、心地よく見える。さらに、白、灰色、黒等の無彩色間の明度差も視認しやすくなる。
このために、例えば、一般の白色紙上の黒文字等が読みやすくなる。このような特長を
生かし、読書灯、学習机用照明、事務用照明等の作業用照明に応用することは好ましい。さらに、作業内容によっては、工場等において、細かな部品の外観検査を行う、布地などにおいて近接した色の識別を行う、生肉の鮮度確認のための色確認を行う、限度見本に照らした製品検査を行う等も考えられるが、本発明の照明方法により照明した場合には、近接した色相における色識別が容易になり、あたかも高照度環境下の様な快適な作業環境を実現しうる。よってこのような観点でも作業用照明に適応することは好ましい。
さらには、色の識別能が上がるために、たとえば外科手術用光源、胃カメラ等に利用される光源等の医療用照明に応用することも好ましい。なぜなら、動脈血は酸素を多く含むため鮮紅色であるが、静脈血はに二酸化炭素を多く含むため暗赤色である。両者は同じ赤色であるが、その彩度が異なるため、良好な色の見え(彩度)を実現する本発明の照明方法又は装置により、動脈血と静脈血を用意に判別することが期待される。また、内視鏡のようなカラー画像情報では良好な色の表示が診断に大きな影響を持つことは明白であり、正常な部位と病変した部位を容易に見分けることなどが期待される。同様の理由から、製品の画像判定器などの工業用機器内の照明方法としても、好適に利用可能である。
本発明の発光装置又は照明方法により照明した場合には、照度が数千Lxから数百Lx程度であったとしても、紫色、青紫色、青色、青緑色、緑色、黄緑色、黄色、黄赤色、赤色、赤紫色などの大半の色、場合によってはすべての色について、たとえば晴れた日の屋外照度下のような数万lx程度の下で見たような真に自然な色の見えが実現される。また、中間的な彩度を有する、被験者(日本人)の肌色、各種食品、衣料品、木材色等も、多くの被験者がより好ましいと感じる、自然な色の見えとなる。
よって、本発明の発光装置又は照明方法を家庭用等の一般照明に応用したとすれば、食品は新鮮に、かつ、食欲をそそるように見え、新聞や雑誌等も見やすく、段差等の視認性も上がり家庭内の安全性向上にもつながると考えられる。よって、本発明を家庭用照明に応用することは好ましい。また、衣料品、食品、車、かばん、靴、装飾品、家具等の展示物用照明としても好ましく、周辺から際立って視認させうる照明が可能である。化粧品等の、色の微妙な差が購入の決め手となる物品の照明としても好ましい。白色のドレス等の展示物用照明として使用すると、同じ白色でも、青みがかった白、クリーム色に近い白などの、微妙な色の差が視認しやすくなるため、本人の希望通りの色を選択することが可能となる。さらには、結婚式場、劇場等での演出用照明としても好適で、純粋な白色のドレス等は純白に見え、歌舞伎等の着物、隈取等もはっきりと見えるようになる。さらに肌色も際立ち好ましい。また、美容室の照明として使用すると、毛髪をカラー処理する場合、屋外で見たときと齟齬がないような色にすることが可能となり、染めすぎや染め不足を防ぐことができる。
さらに、白色がより白色に見え、無彩色の識別が容易になり、かつ、有彩色も自然な鮮やかさになることから、限られた一定の空間において、多くの種類の活動がなされる場所における光源としても好適である。例えば、航空機内の客席では、読書もなされ、仕事もなされ、食事も行われる。さらに電車、長距離バス等においても事情は類似している。このような交通機関の内装用照明として、本発明は好適に利用可能である。
さらに、白色がより白色に見え、無彩色の識別が容易になり、かつ、有彩色も自然な鮮やかさになることから、美術館等における絵画等を屋外で視認したような自然な色調に照明することが可能であって、美術品用照明としても、本発明は好適に利用可能である。
一方で、本発明は高齢者用照明としても好適に利用可能である。すなわち、細かな文字が通常の照度下で見えにくい、段差等が見えにくい等の場合であっても、本発明の照明方法又は発光装置を適応することで、無彩色間、あるいは有彩色間の識別が容易になるため、これらの問題を解決可能である。よって、老人ホームや病院の待合室、書店や図書館等
の不特定多数の方が利用する公共施設等における照明にも好適に利用可能である。
さらに、各種の事情で比較的低照度になりがちな照明環境に適応して、視認性を確保する応用においても、本発明の照明方法又は発光装置は好適に利用可能である。
例えば、街灯、車のヘッドライト、足元灯に応用し、従来光源を用いた場合よりも各種の視認性を向上させることも好ましい。

Claims (14)

  1. M個(Mは2以上の自然数)の発光領域が内在し、少なくとも一つの前記発光領域内に半導体発光素子を発光要素として備える発光装置であって、
    当該発光装置の主たる放射方向に各発光領域から出射される光の分光分布をφ SSL N(λ)(Nは1からM)とし、前記発光装置から当該放射方向に出射されるすべての光の分光分布φ SSL (λ)が、
    のときに、
    前記φ SSL (λ)を、以下の条件1を満たすように出来る発光領域が内在し、
    前記発光領域から出射される光束量かつ/または放射束量を変化させることで、φ SSL (λ)が条件3´を更に満たすように出来る発光領域が内在する発光装置。
    条件1:
    前記発光装置から出射される光は、ANSI C78.377で定義される黒体放射軌跡からの距離D uvSSL が、−0.0350 ≦ D uvSSL < 0となる光を主たる放射方向に含む。
    条件3´:
    当該放射方向に出射される光による照明を数学的に仮定した場合の#01から#15の下記15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L 色空間におけるa 値、b 値をそれぞれa nSSL 、b nSSL (ただしnは1から15の自然数)とし、
    当該放射方向に出射される光の相関色温度T SSL (K)に応じて選択される基準の光での照明を数学的に仮定した場合の当該15種類の修正マンセル色票のCIE 1976
    色空間におけるa 値、b 値をそれぞれa nref 、b nref (ただしnは1から15の自然数)とした場合に、飽和度差ΔC
    −3.8 ≦ ΔC ≦ 18.6 (nは1から15の自然数)
    を満たす。
    ただし、ΔC =√{(a nSSL +(b nSSL }−√{(a nre
    +(b nref }とする。
    15種類の修正マンセル色票
    #01 7.5 P 4 /10
    #02 10 PB 4 /10
    #03 5 PB 4 /12
    #04 7.5 B 5 /10
    #05 10 BG 6 / 8
    #06 2.5 BG 6 /10
    #07 2.5 G 6 /12
    #08 7.5 GY 7 /10
    #09 2.5 GY 8 /10
    #10 5 Y 8.5/12
    #11 10 YR 7 /12
    #12 5 YR 7 /12
    #13 10 R 6 /12
    #14 5 R 4 /14
    #15 7.5 RP 4 /12
  2. M個(Mは2以上の自然数)の発光領域が内在し、少なくとも一つの前記発光領域内に半導体発光素子を発光要素として備える発光装置であって、
    当該発光装置の主たる放射方向に各発光領域から出射される光の分光分布をφSSLN(λ)(Nは1からM)とし、前記発光装置から当該放射方向に出射されるすべての光の分光分布φSSL(λ)が、
    のときに、
    前記φSSL(λ)を、以下の条件1−2を満たすように出来る発光領域が内在する発光装置。
    条件1:
    前記発光装置から出射される光は、ANSI C78.377で定義される黒体放射軌跡からの距離DuvSSLが、−0.0350 ≦ DuvSSL < 0となる光を主たる放射方向に含む。
    条件2:
    前記発光装置から当該放射方向に出射される光の分光分布をφSSL(λ)、前記発光装置から当該放射方向に出射される光の相関色温度TSSL(K)に応じて選択される基準の光の分光分布をφref(λ)、前記発光装置から当該放射方向に出射される光の三刺激値を(XSSL、YSSL、ZSSL)、前記発光装置から当該放射方向に出射される光の相関色温度TSSL(K)に応じて選択される基準の光の三刺激値を(Xref、Yref、Zref)とし、
    前記発光装置から当該放射方向に出射される光の規格化分光分布SSSL(λ)と、前記発光装置から当該放射方向に出射される光の相関色温度TSSL(K)に応じて選択される基準の光の規格化分光分布Sref(λ)と、これら規格化分光分布の差ΔS(λ)をそれぞれ、
    SSL(λ)=φSSL(λ)/YSSL
    ref(λ)=φref(λ)/Yref
    ΔS(λ)=Sref(λ)−SSSL(λ)
    と定義し、
    波長380nm以上780nm以内の範囲で、SSSL(λ)の最長波長極大値を与える波長をλ(nm)とした際に、λよりも長波長側にSSSL(λ)/2となる波長Λ4が存在する場合において、
    下記数式(1)で表される指標Acgが、−360 ≦ Acg ≦ −10を満たし、
    波長380nm以上780nm以内の範囲で、SSSL(λ)の最長波長極大値を与える波長をλ(nm)とした際に、λよりも長波長側にSSSL(λ)/2となる波長Λ4が存在しない場合において、
    下記数式(2)で表される指標Acgが、−360 ≦ Acg ≦ −10を満たす。
  3. 請求項2に記載の発光装置であって、
    前記発光領域から出射される光束量かつ/または放射束量を変化させることで、φ SSL (λ)が条件3´を更に満たすように出来る発光領域が内在する発光装置。
    条件3´:
    当該放射方向に出射される光による照明を数学的に仮定した場合の#01から#15の下記15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L 色空間におけるa 値、b 値をそれぞれa nSSL 、b nSSL (ただしnは1から15の自然数)とし、
    当該放射方向に出射される光の相関色温度T SSL (K)に応じて選択される基準の光での照明を数学的に仮定した場合の当該15種類の修正マンセル色票のCIE 1976
    色空間におけるa 値、b 値をそれぞれa nref 、b nref (ただしnは1から15の自然数)とした場合に、飽和度差ΔC
    −3.8 ≦ ΔC ≦ 18.6 (nは1から15の自然数)
    を満たす。
    ただし、ΔC =√{(a nSSL +(b nSSL }−√{(a nref +(b nref }とする。
    15種類の修正マンセル色票
    #01 7.5 P 4 /10
    #02 10 PB 4 /10
    #03 5 PB 4 /12
    #04 7.5 B 5 /10
    #05 10 BG 6 / 8
    #06 2.5 BG 6 /10
    #07 2.5 G 6 /12
    #08 7.5 GY 7 /10
    #09 2.5 GY 8 /10
    #10 5 Y 8.5/12
    #11 10 YR 7 /12
    #12 5 YR 7 /12
    #13 10 R 6 /12
    #14 5 R 4 /14
    #15 7.5 RP 4 /12
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の発光装置であって、
    前記発光領域から出射される光束量かつ/または放射束量を変化させることで、φ SSL (λ)が以下の条件3´´−4を更に満たすように出来る発光領域が内在する発光装置。
    条件3´´:
    飽和度差の最大値をΔC max 、飽和度差の最小値をΔC min とした場合に、飽和度差の最大値と、飽和度差の最小値との間の差|ΔC max −ΔC min |が
    2.8 ≦ |ΔC max −ΔC min | ≦ 19.6
    を満たす。
    条件4:
    当該放射方向に出射される光による照明を数学的に仮定した場合の上記15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L 色空間における色相角をθ nSSL (度)(ただしnは1から15の自然数)とし、
    当該放射方向に出射される光の相関色温度T SSL (K)に応じて選択される基準の光での照明を数学的に仮定した場合の当該15種類の修正マンセル色票のCIE 1976
    色空間における色相角をθ nref (度)(ただしnは1から15の自然数)とした場合に、色相角差の絶対値|Δh |が
    0 ≦ |Δh | ≦ 9.0(度)(nは1から15の自然数)
    を満たす。
    ただし、Δh =θ nSSL −θ nref とする。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の発光装置であって、
    前記発光領域から出射される光束量かつ/または放射束量を変化させることで、φ SSL (λ)が以下の条件3´´´を更に満たすように出来る発光領域が内在する発光装置。条件3´´´:
    下記式(3)で表される飽和度差の平均が下記式(4)を満たす。
  6. 請求項2〜5のいずれか1項に記載の発光装置であって、すべてのφSSLN(λ)(Nは1からM)が、前記条件1と条件2を満たす発光装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の発光装置であって、前記M個の発光領域中の、少なくとも1つの発光領域が、他の発光領域に対して電気的に独立に駆動しうる配線となっている発光装置。
  8. 請求項記載の発光装置であって、M個の発光領域すべてが、他の発光領域に対して電気的に独立に駆動しうる配線となっている発光装置。
  9. 請求項1〜のいずれか1項に記載の発光装置であって、前記数式(1)又は(2)で表される指標Acg、相関色温度TSSL(K)、及び黒体放射軌跡からの距離DuvSSLからなる群から選択される少なくとも1つが変化し得る発光装置。
  10. 請求項9に記載の発光装置であって、前記数式(1)又は(2)で表される指標Acg、相関色温度TSSL(K)、及び黒体放射軌跡からの距離DuvSSLからなる群から選択される少なくとも1つが変化した際に、発光装置から主たる放射方向に出射される光束かつ/または放射束を独立に制御しうることを特徴とする発光装置。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の発光装置であって、最近接している異なる発光領域全体を包絡する仮想外周上にある任意の2点がつくる最大距離Lが、0.4mm以上200mm以下である発光装置。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の発光装置であって、
    前記発光装置から当該放射方向に出射される光は、分光分布φSSL(λ)から導出される波長380nm以上780nm以下の範囲の放射効率K(lm/W)が
    180(lm/W) ≦ K(lm/W) ≦ 320(lm/W)
    を満たすように出来ることを特徴とする発光装置。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の発光装置であって、
    前記発光装置から当該放射方向に出射される光は、相関色温度TSSL(K)が
    2550(K) ≦ TSSL(K) ≦ 5650(K)
    を満たすように出来ることを特徴とする発光装置。
  14. 請求項13のいずれか1項に記載の発光装置であって、
    前記発光領域から出射される光束量かつ/または放射束量を変化させることで、前記φSSL(λ)を、前記条件1−2を満たすように出来る発光領域が内在することを特徴とする発光装置。
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