JP6584591B2 - 発光装置及び発光装置の設計方法 - Google Patents
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Description
e/CIE)で確立された演色評価数(Colour Rendering Index/CRI)(CIE(13.3))のスコアを向上させるべく、青色発光素子のスペクトルと黄色蛍光体のスペクトルに対して赤色蛍光体や赤色半導体発光素子のスペクトルを重畳させる試み等がなされている。例えば、赤色源を含まない場合の典型的なスペクトル(CCT=6800K程度)では、平均演色評価数(Ra)と、鮮やかな赤色の色票に対する特殊演色評価数(R9)はそれぞれRa=81、R9=24であるが、赤色源を含む場合にはRa=98、R9=95と演色評価数のスコアを上げることができる(特許文献2参照)。
Efficacy of Radiation)(lm/W)に関しては詳細開示があるものの、実光源としての効率、すなわち光源効率η(Luminous Efficacy of a Source)(lm/W)に関しては記載がない。実際のLED光源においては、前者同様に後者も重要であって、それぞれに独立した効率の指標として扱うのが普通である。前者(放射効率K)は分光視感効率V(λ)との関係における光源の分光分布の「形状のみ」に依存する効率であって、理想時の効率を考察するには非常に有用な指標である。一方、後者(光源効率η)は、発光装置に投入された電力がどの程度光束に変換されるかを示す量であって、放射効率とは異なる観点でも検討が必要である。
本発明は、本発明者が既に到達した「自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えを実現できる発光装置」において、色の見えの良好な特性は維持しつつ、従来知られていた分光分布とはまったく異なる形状とすることで、その光源効率を改善することを目的とした。
本発明の第一の実施態様は、
少なくとも、発光要素として、
青色半導体発光素子、
緑色蛍光体、および、
赤色蛍光体を有する発光装置であって、
前記発光装置から主たる放射方向に出射される光は、以下の条件1から条件4のすべてを満たすことを特徴とする発光装置、である。
条件1:
波長をλとし、前記発光装置から前記主たる放射方向に出射される光の分光分布をφSSL(λ)、
前記発光装置から前記主たる放射方向に出射される光の相関色温度TSSLに応じて選択される基準の光の分光分布をφref(λ)、
前記発光装置から前記主たる放射方向に出射される光の三刺激値を(XSSL、YSSL、ZSSL)、
前記発光装置から前記主たる放射方向に出射される光のTSSLに応じて選択される基準の光の三刺激値を(Xref、Yref、Zref)とし、
前記発光装置から前記主たる放射方向に出射される光の規格化分光分布SSSL(λ)と、前記発光装置から前記主たる放射方向に出射される光のTSSL(K)に応じて選択される基準の光の規格化分光分布Sref(λ)と、これら規格化分光分布の差ΔS(λ)をそれぞれ、
SSSL(λ)=φSSL(λ)/YSSL
Sref(λ)=φref(λ)/Yref
ΔS(λ)=Sref(λ)−SSSL(λ)
と定義し、
波長380nm以上780nm以下の範囲で、前記SSSL(λ)の最長波長極大値を与える波長をλSSL−RL−max(nm)とした際に、前記λSSL−RL−maxよりも長波長側にSSSL(λSSL−RL−max)/2となる波長Λ4が存在する場合においては、
下記数式(1)で表される指標Acgが、
−10.0 < Acg ≦ 120.0
であり、
一方、波長380nm以上780nm以下の範囲で、前記SSSL(λ)の最長波長極
大値を与える波長をλSSL−RL−max(nm)とした際に、前記λSSL−RL−maxよりも長波長側にSSSL(λSSL−RL−max)/2となる波長Λ4が存在しない場合においては、
下記数式(2)で表される指標Acgが、
−10.0 < Acg ≦ 120.0
である。
条件2:
前記光の分光分布φSSL(λ)は、ANSI C78.377で定義される黒体放射軌跡からの距離DuvSSLが、
−0.0220 ≦ DuvSSL ≦ −0.0070
である。
条件3:
前記光の分光分布φSSL(λ)は、430nm以上495nm以下の範囲における分光強度の最大値をφSSL−BM−max、465nm以上525nm以下の範囲における分光強度の最小値をφSSL−BG−minと定義した際に、
0.2250 ≦ φSSL−BG−min/φSSL−BM−max ≦ 0.7000
である。
条件4:
前記光の分光分布φSSL(λ)は、590nm以上780nm以下の範囲における分光強度の最大値をφSSL−RM−maxと定義した際に、前記φSSL−RM−maxを与える波長λSSL−RM−maxが、
605(nm) ≦ λSSL−RM−max ≦ 653(nm)
である。
前記条件2において、
−0.0184 ≦ DuvSSL ≦ −0.0084
であることが好ましい。
前記条件4において、
625(nm) ≦ λSSL−RM−max ≦ 647(nm)
であることが好ましい。
条件5:
前記光の分光分布φSSL(λ)において、前記φSSL−BM−maxを与える波長
λSSL−BM−maxが、
430(nm) ≦ λSSL−BM−max ≦ 480(nm)
である。
条件6:
0.1800 ≦ φSSL−BG−min/φSSL−RM−max ≦ 0.8500
である。
前記条件6において、
0.1917 ≦ φSSL−BG−min/φSSL−RM−max ≦ 0.7300
であることが好ましい。
条件7:
210.0 lm/W ≦ K ≦ 290.0 lm/W
である。
条件8:
2600 K ≦ TSSL ≦ 7700 K
である。
特徴とすることが好ましい。
前記緑色蛍光体が、前記緑色蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長λPHOS−GM−maxが515nm以上535nm以下で、その半値全幅WPHOS−GM−fwhmが90nm以上110nm以下であることを特徴とするCaSc2O4:Ce(CSO蛍光体)またはLu3Al5O12:Ce(LuAG蛍光体)であり、
前記赤色蛍光体が、前記赤色蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値λPHOS−RM−maxを与える波長が640nm以上663nm以下で、その半値全幅WPHOS−RM−fwhmが80nm以上105nm以下であることを特徴とするCaAlSi(ON)3:Eu(CASON蛍光体)またはCaAlSiN3:Eu(CASN蛍光体)であることを特徴とすることが好ましい。
条件I:
前記発光装置から前記主たる放射方向に出射される光による照明を数学的に仮定した場合の#01から#15の下記15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L*a*b*色空間におけるa*値、b*値をそれぞれa* nSSL、b* nSSL(ただしnは1から15の自然数)とし、
前記主たる放射方向に出射される光の相関色温度TSSL(K)に応じて選択される基準の光での照明を数学的に仮定した場合の前記15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L*a*b*色空間におけるa*値、b*値をそれぞれa* nref、b* nref(ただしnは1から15の自然数)とした場合に、飽和度差ΔCnが、
−4.00 ≦ ΔCn ≦ 8.00 (nは1から15の自然数)
である。
条件II:
下記式(3)で表される前記飽和度差の平均が、
である。
条件III:
前記飽和度差の最大値をΔCmax、前記飽和度差の最小値をΔCminとした場合に、前記飽和度差の最大値と、前記飽和度差の最小値との間の差|ΔCmax−ΔCmin|が、
2.00 ≦ |ΔCmax−ΔCmin| ≦ 10.00
である。
ただし、ΔCn=√{(a* nSSL)2+(b* nSSL)2}−√{(a* nref)2+(b* nref)2}とする。
15種類の修正マンセル色票
#01 7.5 P 4 /10
#02 10 PB 4 /10
#03 5 PB 4 /12
#04 7.5 B 5 /10
#05 10 BG 6 / 8
#06 2.5 BG 6 /10
#07 2.5 G 6 /12
#08 7.5 GY 7 /10
#09 2.5 GY 8 /10
#10 5 Y 8.5/12
#11 10 YR 7 /12
#12 5 YR 7 /12
#13 10 R 6 /12
#14 5 R 4 /14
#15 7.5 RP 4 /12
条件IV:
前記発光装置から前記主たる放射方向に出射される光による照明を数学的に仮定した場合の前記15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L*a*b*色空間における色相角をθnSSL(度)(ただしnは1から15の自然数)とし、
前記主たる放射方向に出射される光の相関色温度TSSLに応じて選択される基準の光での照明を数学的に仮定した場合の前記15種類の修正マンセル色票のCIE 1976
L*a*b*色空間における色相角をθnref(度)(ただしnは1から15の自然数)とした場合に、色相角差の絶対値|Δhn|が、
0.00 度 ≦ |Δhn| ≦ 12.50 度 (nは1から15の自然数)
である。
ただし、Δhn=θnSSL−θnrefとする。
少なくとも、発光要素として、
青色半導体発光素子、
緑色蛍光体、および、
赤色蛍光体を有する発光装置の設計方法であって、
前記発光装置から主たる放射方向に出射される光が、以下の条件1から条件4のすべてを満たすように設計することを特徴とする発光装置の設計方法、である。
条件1:
波長をλとし、前記発光装置から前記主たる放射方向に出射される光の分光分布をφSSL(λ)、
前記発光装置から前記主たる放射方向に出射される光の相関色温度TSSLに応じて選択される基準の光の分光分布をφref(λ)、
前記発光装置から前記主たる放射方向に出射される光の三刺激値を(XSSL、YSSL、ZSSL)、
前記発光装置から前記主たる放射方向に出射される光のTSSLに応じて選択される基準の光の三刺激値を(Xref、Yref、Zref)とし、
前記発光装置から前記主たる放射方向に出射される光の規格化分光分布SSSL(λ)と、前記発光装置から前記主たる放射方向に出射される光のTSSL(K)に応じて選択される基準の光の規格化分光分布Sref(λ)と、これら規格化分光分布の差ΔS(λ)をそれぞれ、
SSSL(λ)=φSSL(λ)/YSSL
Sref(λ)=φref(λ)/Yref
ΔS(λ)=Sref(λ)−SSSL(λ)
と定義し、
波長380nm以上780nm以下の範囲で、前記SSSL(λ)の最長波長極大値を与える波長をλSSL−RL−max(nm)とした際に、前記λSSL−RL−maxよりも長波長側にSSSL(λSSL−RL−max)/2となる波長Λ4が存在する場合においては、
下記数式(1)で表される指標Acgが、
−10.0 < Acg ≦ 120.0
であり、
一方、波長380nm以上780nm以下の範囲で、前記SSSL(λ)の最長波長極大値を与える波長をλSSL−RL−max(nm)とした際に、前記λSSL−RL−maxよりも長波長側にSSSL(λSSL−RL−max)/2となる波長Λ4が存在しない場合においては、
下記数式(2)で表される指標Acgが、
−10.0 < Acg ≦ 120.0
である。
条件2:
前記光の分光分布φSSL(λ)は、ANSI C78.377で定義される黒体放射軌跡からの距離DuvSSLが、
−0.0220 ≦ DuvSSL ≦ −0.0070
である。
条件3:
前記光の分光分布φSSL(λ)は、430nm以上495nm以下の範囲における分光強度の最大値をφSSL−BM−max、465nm以上525nm以下の範囲における分光強度の最小値をφSSL−BG−minと定義した際に、
0.2250 ≦ φSSL−BG−min/φSSL−BM−max ≦ 0.7000
である。
条件4:
前記光の分光分布φSSL(λ)は、590nm以上780nm以下の範囲における分光強度の最大値をφSSL−RM−maxと定義した際に、前記φSSL−RM−maxを与える波長λSSL−RM−maxが、
605(nm) ≦ λSSL−RM−max ≦ 653(nm)
である。
前記条件2において、
−0.0184 ≦ DuvSSL ≦ −0.0084
であることが好ましい。
前記条件4において、
625(nm) ≦ λSSL−RM−max ≦ 647(nm)
であることが好ましい。
条件5:
前記光の分光分布φSSL(λ)において、前記φSSL−BM−maxを与える波長λSSL−BM−maxが、
430(nm) ≦ λSSL−BM−max ≦ 480(nm)
である。
条件6:
0.1800 ≦ φSSL−BG−min/φSSL−RM−max ≦ 0.8500
である。
前記条件6において、
0.1917 ≦ φSSL−BG−min/φSSL−RM−max ≦ 0.7300
であることが好ましい。
また、本発明の第二の実施形態に係る発光装置の設計方法によれば、「自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えを実現できる発光装置」の設計指針を提供することができる。
味で用いる。
本発明の第一の実施態様に係る発光装置は、単体の半導体発光素子に通電機構としてのリード線等を付与したものでも、放熱機構等をさらに付与し蛍光体等と一体にしたパッケージ化LED、COB(Chip On Board)等でもよい。また1以上のパッケージ化LEDにさらに堅牢な放熱機構を付与し、一般的には複数のパッケージLEDを搭載したLEDモジュールでもよい。さらには、パッケージLED等にレンズ、光反射機構等を付与したLED電球、LED照明器具であってもよい。さらに、LED照明器具等を多数支持し、対象物を照明できるように仕上げた照明システムであってもよい。本実施態様に係る発光装置とは、これらをすべて含んだものである。
本実施態様では、発光装置が放射する光のうち「主たる放射方向」の光により発明を特定する。そのため、本実施態様の要件を満たす「主たる放射方向」の光を含む放射を行うことができる発光装置は、本実施態様の範囲に属するものである。
ここで、「主たる放射方向(radiant direction)」とは、本実施態様に係る発光装置
の使用状況に即して、適した範囲を有し、かつ、適した向きへ光が放射されている方向を示す。
例えば、本実施態様に係る発光装置の光度(luminous intensity)もしくは輝度(luminance)が最大もしくは極大となる方向でありうる。
また、本実施態様に係る発光装置の光度もしくは輝度が最大もしくは極大となる方向を含む有限の範囲を持った方向でありうる。
また、本実施態様に係る発光装置の放射強度(radiant intensity)あるいは放射輝度
(radiance)が最大もしくは極大となる方向でありうる。
また、本実施態様に係る発光装置の放射強度あるいは放射輝度が最大もしくは極大となる方向を含む有限の範囲を持った方向でありうる。
本実施態様に係る発光装置が単体発光ダイオード(LED)、単体パッケージLED、単体チップオンボード(COB)、単体LEDモジュール、単体LED電球、蛍光ランプと半導体発光素子の単体複合ランプ、白熱電球と半導体発光素子の単体複合ランプ等である場合には、主たる放射方向は各発光装置の鉛直方向、鉛直方向を含む有限の立体角内、例えば最大でπ(sr)、最小でπ/100(sr)でありうる。
直方向、当該鉛直方向を含む有限の立体角内、例えば最大でπ(sr)、最小でπ/100(sr)でありうる。また、本実施態様に係る発光装置の光度もしくは輝度が最大もしくは極大となる方向でありうる。また、本実施態様に係る発光装置の光度もしくは輝度が最大もしくは極大となる方向を含む有限の立体角内、例えば最大でπ(sr)、最小でπ/100(sr)でありうる。また、本実施態様に係る発光装置の放射強度あるいは放射輝度が最大もしくは極大となる方向でありうる。また、本実施態様に係る発光装置の放射強度あるいは放射輝度が最大もしくは極大となる方向を含む有限の立体角内、例えば最大でπ(sr)、最小でπ/100(sr)でありうる。
一般的な発光装置と同様に、本実施態様の発光装置においても、その駆動条件、例えば温度環境、注入電流レベル、間欠点灯/連続点灯等の駆動様式が異なると、発光装置から主たる放射方向に出射される光の分光分布は変化する。そのような観点から、ある発光装置が、その発光装置を現実的に発光させ得る、少なくとも1つの特定条件において本実施態様が開示する光を出射可能であれば、そのような発光装置は本実施態様開示範囲の発光装置である。
本実施態様に係る発光装置は、例えば半導体発光素子と蛍光体を内包するパッケージ化LED、あるいは、さらにパッケージ化LEDを内包するLED電球、さらにはこのような発光装置を集積化した発光モジュール、発光システム等でありうる。ここで、本実施態様に係る発光装置を構成し、自発光あるいは他から励起された結果として発光可能な部材/材料を発光要素と記載する。よって、本実施態様では、半導体発光素子、蛍光体等は発光要素であり得る。
さらに、広く用いられる発光要素単体での測定環境と、発光装置の一般的測定環境の「差」によって、発光要素の分光分布の重ね合わせから、発光装置の分光分布が単純には導出できないことも考慮する必要がある。
紫色半導体発光素子は、単体のパルス電流駆動時のピーク波長λCHIP−VM−maxで特徴付けた。
青色半導体発光素子は、発光素子単体のパルス電流駆動時のドミナント波長λCHIP−BM−domで特徴付けた。
蛍光体材料は、材料単体で光励起した際の発光ピーク波長(緑色蛍光体に対してはλPHOS−GM−max、赤色蛍光体に対してはλPHOS−RM−maxと記載)と、その発光分光分布の半値全幅(緑色蛍光体に対してはWPHOS−GM−fwhm、赤色蛍
光体に対してはWPHOS−RM−fwhmと記載)で特徴付けた。
具体的には、430nm以上495nm以下の範囲における分光強度の最大値φSSL−BM−max、これを与える波長λSSL−BM−max、
465nm以上525nm以下の範囲における分光強度の最小値φSSL−BG−min、これを与える波長λSSL−BG−min、
590nm以上780nm以下の範囲における分光強度の最大値λSSL−RM−max、これを与える波長λSSL−RM−max、
さらには後述する指標Acgの定義で用いられる380nm以上780nm以下の範囲で分光分布φSSL(λ)から導出される規格化分光分布SSSL(λ)の最長波長極大値φSSL−RL−maxを与えるλSSL−RL−max、によって特徴付けた。この関係を図1に示す。
よって、例えば、λCHIP−BM−domはλSSL−BM−maxと異なるのが一般的であり、λPHOS−RM−maxもλSSL−RM−maxと異なるのが一般的である。一方で、λSSL−RL−maxは、λSSL−RM−maxと同じ値をとることがしばしば発生する。
指標Acgは、特許第5252107号と特許第5257538号に開示されている通り、以下で定義される。
本実施態様に係る発光装置からの主たる放射方向に出射される光を測定した場合における異なる色刺激となる計算用基準光と試験光の分光分布をそれぞれφref(λ)、φSSL(λ)とし、等色関数をx(λ)、y(λ)、z(λ)、計算用基準光と試験光に対応する三刺激値をそれぞれ(Xref、Yref、Zref)、(XSSL、YSSL、ZSSL)とする。ここで、計算用基準光と試験光に関して、kを定数として、以下が成立する。
Yref=k∫φref(λ)・y(λ)dλ
YSSL=k∫φSSL(λ)・y(λ)dλ
ここで、計算用基準光と試験光の分光分布をそれぞれのYで規格化した規格化分光分布を
Sref(λ)=φref(λ)/Yref
SSSL(λ)=φSSL(λ)/YSSL
と定義し、これら規格化基準光分光分布と規格化試験光分光分布の差を
ΔS(λ)=Sref(λ)−SSSL(λ)
とする。ここで、指標Acgは以下で導出する。
Λ1=380nm
Λ2=495nm
Λ3=590nm
である。
本実施態様に係る狭帯域発光要素とは、特許第5252107号と特許第5257538号記載と同一の定義であって、発光要素の半値全幅が、短波長領域(380nmから495nm)、中間波長領域(495nmから590nm)、長波長領域(590nmから780nm)のそれぞれの領域幅である115nm、95nm、190nmに対して、2/3以下であるものをいう。
逆に、本実施態様に係る広帯域発光要素とは、発光要素の半値全幅が、短波長領域(380nmから495nm)、中間波長領域(495nmから590nm)、長波長領域(590nmから780nm)のそれぞれの領域幅である115nm、95nm、190nmに対して、2/3よりも広いものをいう。よって、おおよそ、短波長領域においては約77nm以上、中間波長領域においては約64nm以上、長波長領域においては約127nm以上の半値全幅を有する発光要素が広帯域発光要素である。
本実施態様に係る発光装置の色度点の明示は以下の通りとした。発光装置から主たる放射方向に出射された光が有する分光分布から導出される色度は、例えばCIE 1931(x、y)色度図やCIE 1976(u’、v’)色度図で議論可能である。しかし、色度図上の位置は相関色温度CCTと偏差Duvで記述すると見通しがよいため、本実施態様では特に(u’、(2/3)v’)色度図(CIE 1960(u、v)色度図と同義)を用いた。
ここで、本実施態様に係る偏差Duvは、ANSI C78.377で定義されている量であって、(u’、(2/3)v’)色度図における黒体放射軌跡に対して最近接となる距離を絶対値として示している。また、正符号は発光装置の色度点が黒体放射軌跡の上方(v’が大きい側)に位置し、負符号は発光装置の色度点が黒体放射軌跡の下方(v’が小さい側)に位置することを意味する。
φSSL−BG−minは、主として、青色半導体発光素子の発光に由来する分光放射束の長波長側テール(分光放射束強度が低下する裾野部分)と、中間波長領域を担う発光要素の発光に由来する分光放射束の短波長側テール(分光放射束強度が低下する裾野部分)とが重なる部分に現れる。換言すると、短波長領域と中間波長領域にまたがる465nm以上525nm以下の範囲にφSSL(λ)形状の凹部として発生しがちである。
後述する、数学的に導出される特定15修正マンセル色票の色の見えに関して、その飽和度を比較的均等に向上させようとすると、φSSL−BG−minを430nm以上495nm以下の範囲における分光強度の最大値で規格化したφSSL−BG−min/φSSL−BM−max、および、φSSL−BG−minを590nm以上780nm以下の範囲における分光強度の最大値で規格化したφSSL−BG−min/φSSL−RM−maxを慎重に制御する必要がある。すなわち、本実施態様の発光装置においては、φSSL−BG−min/φSSL−BM−maxおよびφSSL−BG−min/φSSL−RM−maxには、後述するように最適範囲が存在する。
本実施態様においては、数学的な色の見えを予想する際に計算上用いるCIEで定義された基準の光を、基準の光、計算用基準の光、計算用基準光などと記載した。一方、視覚的な実比較で用いる実験用の基準の光、すなわちタングステンフィラメントを有する白熱電球光などは、基準の光、実験用基準の光、実験用基準光と記載した。また、基準の光に近接した色の見えとなると予想される高Raかつ高Riである光、たとえば紫半導体発光素子を内包し、青色/緑色/赤色蛍光体を含むLED光源も、基準の光、実験用基準の光、実験用基準光と記載した。また、基準の光に対して、数学的にまた実験的に検討対象とした光を試験光と記載する場合がある。
分光分布から、その光で照明された物体の色の見えを定量評価するには、数学的な分光反射特性が明らかな色票を定義し、計算用基準光での照明を仮定した場合と、試験光での照明を仮定した場合を比較し、当該色票の「色の見えの差」を指標とするのがよい。
#02 10 PB 4 /10
#03 5 PB 4 /12
#04 7.5 B 5 /10
#05 10 BG 6 / 8
#06 2.5 BG 6 /10
#07 2.5 G 6 /12
#08 7.5 GY 7 /10
#09 2.5 GY 8 /10
#10 5 Y 8.5/12
#11 10 YR 7 /12
#12 5 YR 7 /12
#13 10 R 6 /12
#14 5 R 4 /14
#15 7.5 RP 4 /12
た。
of 2000)を採用した。
|Δhn|=|θnSSL−θnref|
である。
ΔCn=√{(a* nSSL)2+(b* nSSL)2}−√{(a* nref)2+(b* nref)2}
とした。また、当該15種類の修正マンセル色票の飽和度差の平均値は
とした(以下、SATaveということがある。)。さらに、当該15種類の修正マンセル色票の飽和度差の最大値をΔCmax、飽和度差の最小値をΔCminとした場合に、最大飽和度差と最小飽和度差の間の差(最大最小飽和度差間差)は
|ΔCmax−ΔCmin|
とした。
さらに、本実施態様に係る発光装置から出射された主たる放射方向の光を測定した場合における試験光分光分布φSSL(λ)を評価するに当たり、放射効率 K (Luminous Efficacy of radiation)(lm/W)は、広く使用されている以下の定義を踏襲した。
Km:最大視感度(lm/W)
V(λ):分光視感効率
λ:波長(nm)
である。
における試験光分光分布φSSL(λ)の放射効率K(lm/W)は、分光分布自体がその形状として有する効率であって、発光装置を構成するすべての材料特性に関する効率(例えば半導体発光素子の内部量子効率、光取り出し効率、蛍光体の内部量子効率、外部量子効率、封止剤の透光特性等々の効率)が100%であった際に、光源効率η(lm/W)と等しくなる量であるとも言える。
本発明者は、指標Acgが−360以上−10以下の範囲外、特に−10よりも大きな値を有する場合に、良好な色の見えと高い光源効率の両立が可能かどうかを、以下の通りに、数学的に、また実験的に検討した。
中間波長領域においては、逆に、規格化基準光分光分布よりも規格化試験光分光分布の分光強度が弱い場合に、指標Acgの第二項(−ΔS(λ)の積分)はマイナスの値をとりやすい。
さらに、長波長領域においては、規格化基準光分光分布よりも規格化試験光分光分布の分光強度が強い場合に、指標Acgの第三項(ΔS(λ)の積分)はマイナスの値をとりやすい指標となっている。
すなわち、このような傾向にある場合に「自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えを実現できる発光装置」が実現できる要件の中の一つが満たされると解することが出来る。
本実施態様に係る発光装置を完成させるための実験とそのまとめは以下の様に行った。
発光装置としては3.5mm×3.5mm角の小型パッケージ中に、各種半導体発光素子、各種蛍光体、封止材等を内包させたパッケージLEDを準備した。また当該パッケージLEDを内包させたLED灯具も試作した。
紫色プリザーブドフラワー
青紫布製ハンカチ、ブルージーンズ、青色プリザーブドフラワー、青緑タオル
緑色パプリカ、レタス、千切りキャベツ、ブロッコリー、緑ライム、緑色りんご
黄色バナナ、黄色パプリカ、黄緑色レモン、黄色プリザーブドフラワー、卵焼き
橙色オレンジ、橙色パプリカ、にんじん
赤色トマト、赤色りんご、赤色パプリカ、赤色ウインナー、赤プリザーブドフラワー
黒プリザーブドフラワー、
ピンク色ネクタイ、ピンクプリザーブドフラワー、
小豆色ネクタイ、コロッケ、とんかつ、ごぼう、クッキー、チョコレート、
落花生、木製器
被験者(日本人)自身の肌
新聞紙、白背景上の黒文字を含むカラー印刷物(多色ずり)、文庫本、週刊誌
シルバー(文字盤白)腕時計
カラーチェッカー(X―rite社製 Color checker classic 18色の有彩色と6種類の無彩色(白1、灰色4、黒1)を含む計24色の色票)
Name Munsell Notation
Dark skin 3.05 YR 3.69/3.20
Light skin 2.2 YR 6.47/4.10
Blue sky 4.3 PB 4.95/5.55
Foliage 6.65 GY 4.19/4.15
Blue flower 9.65 PB 5.47/6.70
Bluish green 2.5 BG 7/6
Orange 5 YR 6/11
Purplish blue 7.5 PB 4/10.7
Moderate red 2.5 R 5/10
Purple 5 P 3/7
Yellow green 5 GY 7.08/9.1
Orange yellow 10 YR 7/10.5
Blue 7.5 PB 2.90/12.75
Green 0.1 G 5.38/9.65
Red 5 R 4/12
Yellow 5 Y 8/11.1
Magenta 2.5 RP 5/12
Cyan 5 B 5/8
White N 9.5/
Neutral 8 N 8/
Neutral 6.5 N 6.5/
Neutral 5 N 5/
Neutral 3.5 N 3.5/
Black N 2/
先ず、表2に示す4種の発光装置を例に本実施態様の概要と効果を説明する。
なお、本明細書で記載するSBCA蛍光体、β−SiAlON蛍光体、CASON蛍光体の詳細は、特許第5252107号と特許第5257538号に開示されている材料と同じである。
比較例2の発光装置は、指標Acgが−44.9で、発光装置としての光源効率ηは45.9(lm/W)であった。また、数学的には、図5からも各色相の飽和度が比較的均等に向上することが分かり、実際に、比較視覚実験でも、色の見えは比較例1の発光装置よりも良好と判断され、ランク4であった。
次に、実施例/比較例をさらに例示して、本実施態様を詳細に説明する。
表3から表7は、本実施態様の実施例を示している。これらは、表番号順に、比較視覚
実験の総合的ランク分類でそれぞれランク+1からランク+5となった発光装置の結果である。また、1つのランクに分類された発光装置は、低TSSLから高TSSLの順に並べた。さらに、図8から図14は、それぞれのランクから例として抽出した発光装置が発する光の分光分布とCIELAB色空間を例示したものである。
条件α:青色半導体発光素子
条件β:広帯域緑色蛍光体
条件γ:赤色蛍光体
条件1: −10.0 < Acg ≦ 120.0
条件2: −0.0220 ≦ DuvSSL ≦ −0.0070
条件3: 0.2250 ≦ φSSL−BG−min/φSSL−BM−max ≦
0.7000
条件4: 605(nm) ≦ λSSL−RM−max ≦ 653(nm)
条件5: 430(nm) ≦ λSSL−BM−max ≦ 480(nm)
条件6: 0.1800 ≦ φSSL−BG−min/φSSL−RM−max ≦
0.8500
条件7: 210.0 lm/W ≦ K ≦ 290.0 lm/W
条件8: 2600 K ≦ TSSL ≦ 7700 K
条件I −4.00 ≦ ΔCn ≦ 8.00
条件II: 0.50 ≦ SATave ≦ 4.00
条件III: 2.00 ≦ |ΔCmax−ΔCmin| ≦ 10.00
条件IV: 0.00 度 ≦ |Δhn| ≦ 12.50 度
つ、(2)15種類いずれの色相においても飽和度は比較的均等に向上しており、かつ、(3)その飽和度向上の度合いが適切な範囲内にある、事が分かる。このような特徴がまさに実際に照明対象物を照明した場合には、「自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見え」を誘発すると考えられ、かつ、数学的には条件Iから条件IVに対応していると言える。
当該青色発光素子の、素子単体パルス駆動時のドミナント波長λCHIP−BM−domは、445nm以上475nm以下を選択可能であって、
実施例全体の結果より、447.5nm以上470nm以下を選択することが若干好ましく、
ランク+4から+5の結果より、452.5nm以上470nm以下を選択することが非常に好ましく、
ランク+5の結果より、457.5nm近傍を選択することが格段に好ましい。なお、近傍とは±2.5nmを意味する。
当該広帯域緑色蛍光体の、蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長λPHOS−GM−maxは511nm以上543nm以下であり、その半値全幅WPHOS−GM−fwhmは90nm以上110nm以下を選択可能であって、
実施例全体の結果より、蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長λPHOS−GM−maxは514nm以上540nm以下であり、その半値全幅WPHOS−GM−fwhmは96nm以上108nm以下を選択することが若干好ましく、
ランク+2から+5の結果より、蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長λPHOS−GM−maxは520nm以上540nm以下であり、その半値全幅WPHOS−GM−fwhmは96nm以上108nm以下を選択することが好ましく、
ランク+5の結果より、蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長λPHOS−GM−maxは520nm以上530nm以下であり、その半値全幅WPHOS−GM−fwhmは96nm以上104nm以下を選択することが格段に好ましい。
さらに、全体の傾向から、蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長λPHOS−GM−maxは521nm以上529nm以下であり、その半値全幅WPHOS−GM−fwhmは97nm以上103nm以下を選択することがさらに格段に好ましいと考えられる。これらの傾向は、本実施態様の発光装置においては、分光分布φSSL(λ)の適切な位置に適切な大きさの凹凸を有するようにするために必要と考えられる傾向である。
当該緑色蛍光体は、材料単体で光励起した際に緑色発光し、かつ、前記光学特性を満足するものであれば、特に限定されないが、LuAG蛍光体、CSO蛍光体、G−YAG蛍光体、CSMS蛍光体、BSS蛍光体、BSON蛍光体等を例示可能であって、
実施例全体の結果より、LuAG蛍光体、CSO蛍光体、G−YAG蛍光体、CSMS蛍光体を選択することが若干好ましく、
ランク+2から+5の結果より、LuAG蛍光体、CSO蛍光体、G−YAG蛍光体を選択することが好ましく、
ランク+5の結果より、LuAG蛍光体、CSO蛍光体を選択することが格段に好ましい。
当該赤色蛍光体の、蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長λPHOS−RM−maxは622nm以上663nm以下であり、その半値全幅WPHOS−RM−fwhmが80nm以上105nm以下を選択可能であって、
実施例全体の結果より、蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長λPHOS−RM−maxは625nm以上660nm以下であり、その半値全幅WPHOS−RM−fwhmが87nm以上99nm以下を選択することが若干好ましく、
ランク+4から+5の結果より、蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長λPHOS−RM−maxは645nm以上660nm以下であり、その半値全幅WPHOS−RM−fwhmが88nm以上99nm以下を選択することが非常に好ましく、
ランク+5の結果より、蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長λPHOS−RM−maxは645nm以上660nm以下であり、その半値全幅WPHOS−RM−fwhmが88nm以上89nm以下を選択することが格段に好ましい。
加えて、全体の傾向から、蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長λPHOS−RM−maxは、632nm以上660nm以下であり、その半値全幅WPHOS−RM−fwhmが88nm以上99nm以下を選択することは好ましいと考え得る。
当該赤色蛍光体は、材料単体で光励起した際に赤色発光し、かつ、前記光学特性を満足するものであれば、特に限定されないが、CASN蛍光体、CASON蛍光体、SCASN蛍光体を例示可能であって、
実施例全体の結果よりCASN蛍光体、CASON蛍光体、SCASN蛍光体を選択することが若干好ましく、
ランク+4から+5の結果よりCASN蛍光体、CASON蛍光体を選択することが非常に好ましく、
ランク+5の結果よりCASN蛍光体を選択することが格段に好ましい。
当該指標は、−10.0より大きく120.0以下を選択可能であって、
実施例全体の結果より、−4.6以上116.3以下を選択することが若干好ましく、
ランク+3から+5の結果より、−4.6以上87.7以下を選択することがより好ましく、
ランク+4から+5の結果より、−4.6以上70.9以下を選択することが非常に好ましく、
ランク+5の結果より、−1.5以上26.0以下を選択することが格段に好ましい。
当該距離DuvSSLは、−0.0220以上−0.0070以下を選択可能であって、
実施例全体の結果より、−0.0212以上−0.0071以下を選択することが若干好ましく、
ランク+3から+5の結果より、−0.0184以上−0.0084以下を選択することがより好ましく、
ランク+4から+5の結果より、−0.0161以上−0.0084以下を選択することが非常に好ましく、
ランク+5の結果より、−0.0145以上−0.0085以下を選択することが格段に好ましい。
なお、全体の傾向からDuvSSLは、−0.0145以上−0.0090以下を選択することがさらに格段に好ましく、−0.0140以上−0.0100未満を選択することがよりさらに格段に好ましく、−0.0135以上−0.0120未満を選択することがなおよりさらに格段に好ましいと考え得る。
当該値φSSL−BG−min/φSSL−BM−maxは、0.2250以上0.7000以下を選択可能であって、
実施例全体の結果より、0.2278以上0.6602以下を選択することが若干好ましく、
ランク+4から+5の結果より、0.2427以上0.6225以下を選択することが非常に好ましく、
ランク+5の結果より、0.2427以上0.5906以下を選択することが格段に好ましい。
当該波長λSSL−RM−maxは、605nm以上653nm以下を選択可能であって、
実施例全体の結果より、606nm以上652nm以下を選択することが若干好ましく、
ランク+3から+5の結果より、607nm以上647nm以下を選択することがより好ましく、
ランク+4から+5の結果より、622nm以上647nmを選択することが非常に好ましい。また、ここまでの傾向から、λSSL−RM−maxは625nm以上647nm以下を選択する事がさらに非常に好ましいと考え得る。
加えて、ランク+5の結果より、630nm以上647nm以下を選択することが格段に好ましい。
さらに、全体の傾向から、λSSL−RM−maxは631nm以上647nm以下を選択する事がさらに格段に好ましいと考え得る。
これらの傾向は、本実施態様の発光装置においては、分光分布φSSL(λ)の適切な位置に適切な大きさの凹凸を有するようにするために必要と考えられる傾向である。
当該波長λSSL−BM−maxは、430nm以上480nm以下を選択可能であって、
実施例全体の結果より、440nm以上460nm以下を選択することが若干好ましく、
ランク+4から+5の結果より、447nm以上460nmを選択することが非常に好ましく、
ランク+5の結果より、450nm以上457nm以下を選択することが格段に好ましい。
さらに、全体の傾向から、λSSL−BM−maxは451nm以上456nm以下を選択する事がさらに格段に好ましいと考え得る。
これらの傾向は、本実施態様の発光装置においては、分光分布φSSL(λ)の適切な位置に適切な大きさの凹凸を有するようにするために必要と考えられる傾向である。
当該値φSSL−BG−min/φSSL−RM−maxは、0.1800以上0.8500以下を選択可能であって、
実施例全体の結果より、0.1917以上0.8326以下を選択することが若干好ましく、
ランク+3から+5の結果より、0.1917以上0.6207以下を選択することがより好ましく、
ランク+4から+5の結果より、0.1917以上0.6202以下を選択することが非常に好ましく、
ランク+5の結果より、0.1917以上0.5840以下を選択することが格段に好ましい。
また、全体の傾向から、φSSL−BG−min/φSSL−RM−maxは、0.1917以上0.7300以下を選択することは好ましいと考え得る。
これらの傾向は、本実施態様の発光装置においては、分光分布φSSL(λ)の適切な
位置に適切な大きさの凹凸を有するようにするために必要と考えられる傾向である。
当該放射効率K(lm/W)は、210.0(lm/W)以上290.0(lm/W)以下を選択可能であって、
実施例全体の結果より、212.2(lm/W)以上286.9(lm/W)以下を選択することが若干好ましく、
ランク+2から+5の結果より、212.2(lm/W)以上282.3(lm/W)以下を選択することが好ましく、
ランク+4から+5の結果より、212.2(lm/W)以上261.1(lm/W)以下を選択することが非常に好ましく、
ランク+5の結果より、212.2(lm/W)以上256.4(lm/W)以下を選択することが格段に好ましい。
当該相関色温度TSSL(K)は、2600(K)以上7700(K)以下を選択可能であって、
実施例全体の結果より、2644(K)以上7613(K)以下を選択することが若干好ましく、
ランク+4から+5の結果より、2644(K)以上6797(K)以下を選択することが非常に好ましい。
当該飽和度差ΔCnは、−4.00以上8.00以下を選択可能であって、
実施例全体の結果より、−3.49以上7.11以下を選択することが若干好ましく、
ランク+2から+5の結果より、−3.33以上7.11以下を選択することが好ましく、
ランク+4から+5の結果より、−1.73以上6.74以下を選択することが非常に好ましく、
ランク+5の結果より、−0.93以上6.74以下を選択することが格段に好ましい。
当該SATaveは、0.50以上4.00以下を選択可能であって、
実施例全体の結果より、0.53以上3.76以下を選択することが若干好ましく、
ランク+2から+5の結果より、1.04以上3.76以下を選択することが好ましく、
ランク+3から+5の結果より、1.11以上3.76以下を選択することがより好ましく、
ランク+4から+5の結果より、1.40以上3.76以下を選択することが非常に好ましく、
ランク+5の結果より、1.66以上3.76以下を選択することが格段に好ましい。
当該差|ΔCmax−ΔCmin|は、2.00以上10.00以下を選択可能であって、
実施例全体の結果より、3.22以上9.52以下を選択することが若干好ましく、
ランク+4から+5の結果より、4.12以上7.20以下を選択することが非常に好ましく、
ランク+5の結果より、4.66以上7.10以下を選択することが格段に好ましい。
当該色相角差の絶対値|Δhn|は、0.00以上12.50以下を選択可能であって、
実施例全体の結果より、0.00以上12.43以下を選択することが若干好ましく、
ランク+2から+5の結果より、0.01以上12.43以下を選択することが好ましく、
ランク+3から+5の結果より、0.02以上12.43以下を選択することがより好ましく、
ランク+4から+5の結果より、0.02以上9.25以下を選択することが非常に好ましい。
0.00以上12.43以下を選択することがより好ましく、
0.00以上9.25以下を選択することが非常に好ましく、さらには、
0.00以上7.00以下を選択することがより非常に好ましく、
0.00以上5.00以下を選択することがさらに非常に好ましいと考えられる。
なお、実施例1から実施例52記載の発光装置から出射された光は、それぞれ実験用基準光を発する発光装置による色の見えよりも優れていることは比較視覚実験で確認された。同時に、光源効率ηが大幅に向上したことも以下の通り確認された。表8は、表2で示した比較例2、参考例1のAcg値と光源効率ηをまとめたものである。
表8に示した発光装置と、表9に示した発光装置では、平均的に見て照明対象物の色の見えの差異は大きくない。ここにおいて、表8に示した従来の発光装置に比較して、表9に示した本実施態様の発光装置の光源効率は、約39%増となった事が分かる。
表10から表15は本実施態様の比較例(ランク−1からランク−5)を、それぞれ次の観点でまとめたものである。さらに、図15から図27は、それぞれの表から分光分布とCIELAB色空間を例示したものである。
表10に示された「DuvSSLが−0.0220より小さく、かつ、Acgが−10以下である場合」に相当する比較例3、比較例4、比較例5においては、分光分布とCIELABプロットをそれぞれ図15、図16、図17に例示した。これらには、それぞれ以下の問題があった。
比較例3(図15参照)においては、比較視覚実験においては「過剰にけばけばしく見えて」しまった。これらは図15に示したCIELABプロットに示される飽和度向上度合いが過剰であったことに相当していると考えられる。さらに、この本質は、DuvSSLもAcgも過剰に負値であったためと考えられる。
比較例4(図16参照)、比較例5(図17参照)においては、比較視覚実験で、「一部の色は鮮やかに見えるものの、一部色はくすんで見えて」しまった。これらは、図16、図17に示したCIELABプロットの飽和度向上度合いが、各色票で比較的不均等で、一部色相においては基準の光よりも非飽和傾向となることと一致していると考えられる。また、一部色票においては、色相角が過剰に変化してしまい、色そのものの変化が大きすぎる事も、このような印象に含まれていると考えられる。
これらの比較視覚実験においては「一部色は過剰にけばけばしく、一部色は過剰にくすんで見え、その差によって色の見えにかなり違和感が生じて」しまった。これらは、図18と図19に示されたCLELABプロットと一致する傾向である。さらに、この本質は
、比較例7(図18参照)と比較例10(図19参照)の通り、青色半導体発光素子に由来する分光分布と、それぞれの中間波長領域における発光を担う蛍光体由来の分光分布との間に出来る「465nm以上525nm以下程度の分光強度が弱い領域」において、その分光強度の低さが過剰であったために、照明対象物の色相によっては、基準の光よりも飽和度が上がり、一方、別の色相では、飽和度が下がることが起きたためと考えられる。また、一部色票においては、色相角が過剰に変化してしまい、色そのものの変化が大きすぎる事も、このような印象に含まれていると考えられる。
逆に、広帯域緑色蛍光体を発光要素として用いると、これらの問題を容易に解決できる事から好ましいと考えられる。
先ず、青色半導体発光素子は、主にサファイア基板上、Si基板上、SiC基板上、GaN基板上にエピタキシャル成長されたAlGaInN系半導体発光素子であるが、これらの内部量子効率は量子井戸層のIn組成、すなわちλCHIP−BM−domに依存する。ここで、例えばInGaN量子井戸層を考える。465nm以上525nm以下に十分な分光強度を有する量子井戸層のIn組成は、最も内部量子効率が高くなる条件と比較すると、これを低減してしまうほどの高濃度となるため、「色の見えと発光装置の光源効率の両立」を図る観点から好ましくない。
さらに、色の見えに関して考えると、λCHIP−BM−domが過剰に長波長化し、φSSL(λ)の短波長領域の適切部分に発光要素由来の分光強度が存在しなくなると、
数学的に導出される特定15修正マンセル色票の色の見えは、一部が過剰な飽和傾向となり、また一部が過剰に非飽和傾向となってしまう。具体的には、φSSL−BG−min/φSSL−BM−maxが過剰に小さくなった場合とは異なる色票で、飽和/非飽和の傾向が発生してしまう。よって、φSSL−BG−min/φSSL−BM−maxを過剰に小さくしないために、λCHIP−BM−domを過剰に長波長化とするのは好ましくない。
しかしながら、本実施態様の発光装置においては、照明対象物の色の見えとともに光源効率の向上も重要であって、過度に発光要素を増やす事は、相互吸収、ストークス損失の増大など光源効率の低下につながる場合もある事から必ずしも好ましくない。この観点では、中間波長領域の発光要素としては、黄色蛍光体あるいは狭帯域緑色蛍光体等を使用して、さらに他の発光要素を加える事は好ましくない。すなわち、本実施態様の発光装置においては、黄色蛍光体あるいは狭帯域緑色蛍光体等を使用する事は可能ではあるが、必ずしも好ましくなく、中間波長領域の発光要素としては、広帯域緑色蛍光体を用いる事が好ましい。
比較例15(図20参照)と、比較例18(図22参照)においては、比較視覚実験においては「一部色は過剰にけばけばしく、一部色は過剰にくすんで見え、その差によって色の見えにかなり違和感が生じて」しまった。これらは図20と図22に示したCIELABプロットに示される飽和度変化の度合いが、照明対象物の色相によっては基準の光よりも飽和度が上がり、一方、別の色相では飽和度が下がることと一致していると考えられる。この本質は、φSSL−BG−min/φSSL−BM−maxが過剰に小さい値であったためと考えられる。
布とCIELABプロットをそれぞれ図23、図24、図25に例示した。これらには、それぞれ以下の問題があった。
なお、同様に、φSSL−BG−min/φSSL−RM−maxも十二分に制御する必要がある。これらφSSL−BG−min/φSSL−BM−maxとφSSL−BG−min/φSSL−RM−maxの適切な範囲は、総じて言えば、本実施態様の効果を発現するために、発光装置の分光分布φSSL(λ)内の適切な位置に、適切な大きさの凹凸を有するようにする事が肝要である事を示している。
なお、上述した諸条件を満たし、本実施態様の効果が得られる場合には、半導体発光素子を含む照明光源は、青色半導体発光素子のほかに、たとえば緑色、赤色の種類の異なる
複数の半導体発光素子を1つの照明光源中に内包していてもよく、また、1つの照明光源の中には青色半導体発光素子を含み、異なる1つの照明光源中に緑色半導体発光素子を含み、さらに異なる1つの照明光源中に赤色半導体発光素子を含み、これらが照明器具の中でレンズ、反射鏡、駆動回路等とともに一体とされて照明システムに提供されてもよい。さらに、1つの照明器具中に1つの照明光源があり、この中に単体の半導体発光素子が内包されているような場合であって、単体の照明光源、照明器具としては本実施態様に係る発光装置を実施できないものの、照明システム中に存在する異なる照明器具からの光との加法混色によって、照明システムとして放射される光が、照明対象物の位置で所望の特性を満足するようにしてもかまわないし、照明システムとして放射される光のうち主たる放射方向の光が、所望の特性を満足するようにしてもかまわない。いずれのような形態であっても、照明対象物に最終的に照射される色刺激としての光が、又は、発光装置から出射される光のうち主たる放射方向の光が、本実施態様の適切な条件を満たせばよい。
なお、上述した諸条件を満たし、本実施態様の効果が得られる場合には、当該3波長領域の中の2領域には1種類ずつ、他の1領域は複数の発光要素(発光材料)を有していてもよく、さらに、当該3波長領域中の1領域には1種類の、他の2領域は複数の発光要素(発光材料)を有していてもよく、当該3波長領域のすべてにおいて、複数の発光要素を有していてもよい。
半導体発光素子としては、サファイア基板上やGaN基板上に形成されたIn(Al)GaN系材料を活性層構造中に含む青色発光素子が好ましい。また、GaAs基板上に形成されたZn(Cd)(S)Se系材料を活性層構造中に含む青色発光素子も好ましい(好ましいピーク波長は、既に説明したとおりである。)。
以下に述べる半導体発光素子や蛍光体等の発光要素(発光材料)の呈する放射束の分光分布やそのピーク波長についても、同様のことが言える。
したがって、青色発光素子(例えば、発振波長が445nmから485nm程度の青色半導体レーザ等)等の青色発光要素を用いる本実施態様では、380nm以上405nm以下の範囲における発光要素由来の強度が上記相対強度の範囲内であれば、発光要素由来のノイズとして強度を有してもよい。
半導体発光素子としては、サファイア基板上あるいはGaN基板上のIn(Al)GaN系材料を活性層構造中に含む青緑発光素子(ピーク波長が495nmから500nm程度)、緑色発光素子(ピーク波長が500nmから530nm程度)、黄緑色発光素子(ピーク波長が530nmから570nm程度)、黄色発光素子(ピーク波長が570nmから580nm程度)などを挙げることができる。また、GaP基板上のGaPによる黄緑色発光素子(ピーク波長が530nmから570nm程度)、GaP基板上のGaAsPによる黄色発光素子(ピーク波長が570nmから580nm程度)などを挙げることができる。さらに、GaAs基板上のAlInGaPによる黄色発光素子(ピーク波長が570nmから580nm程度)などを挙げることができる。
Ya(Ce,Tb,Lu)b(Ga,Sc)cAldOe (4)
(一般式(4)において、a、b、c、d、eが、a+b=3、0≦b≦0.2、4.5≦c+d≦5.5、0.1≦c≦2.6、および10.8≦e≦13.4を満たす。)(一般式(4)で表されるCe3+付活アルミン酸塩蛍光体をG−YAG蛍光体と呼ぶ。)
特にG−YAG蛍光体においては、一般式(4)を満たす前記組成範囲を適宜選択可能である。さらに、蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長λPHOS−GM−maxと半値全幅WPHOS−GM−fwhmが、本実施態様の発光装置において好ましくなるのは以下の範囲である。
0.01≦b≦0.05かつ0.1≦c≦2.6である事が好ましく、
0.01≦b≦0.05かつ0.3≦c≦2.6である事がより好ましく、
0.01≦b≦0.05かつ1.0≦c≦2.6である事が非常に好ましい。
また、
0.01≦b≦0.03かつ0.1≦c≦2.6である事も好ましく、
0.01≦b≦0.03かつ0.3≦c≦2.6である事がより好ましく、
0.01≦b≦0.03かつ1.0≦c≦2.6である事が非常に好ましい。
Lua(Ce,Tb,Y)b(Ga,Sc)cAldOe (5)
(一般式(5)において、a、b、c、d、eが、a+b=3、0≦b≦0.2、4.5≦c+d≦5.5、0≦c≦2.6、および10.8≦e≦13.4を満たす。)(一般式(5)で表されるCe3+付活イットリウムアルミニウム酸化物系蛍光体をLuAG蛍光体と呼ぶ。)
特にLuAG蛍光体においては、一般式(5)を満たす前記組成範囲を適宜選択可能である。さらには、蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長λPHOS−GM−maxと半値全幅WPHOS−GM−fwhmが、本実施態様の発光装置において好ましくなるのは以下の範囲である。
0.00≦b≦0.13である事が好ましく、
0.02≦b≦0.13である事がより好ましく、
0.02≦b≦0.10である事が非常に好ましい。
M1 aM2 bM3 cOd (6)
(一般式(6)において、M1は2価の金属元素、M2は3価の金属元素、M3は4価の金属元素をそれぞれ示し、a、b、cおよびdが、2.7≦a≦3.3、1.8≦b≦2.2、2.7≦c≦3.3、11.0≦d≦13.0を満たす。)(一般式(6)で表される蛍光体をCSMS蛍光体と呼ぶ。)
M2は3価の金属元素であるが、Al、Sc、Ga、Y、In、La、Gd、及びLuからなる群から選択された少なくとも1種であるのが好ましく、Al、Sc、Y、又はLuであるのが更に好ましく、Scが特に好ましい。この場合、Scは単独系でもよく、YまたはLuとの複合系でもよい。また、M2はCeを含むことを必須とし、M2は他の3
価の金属元素を含んでいてもよい。
M3は4価の金属元素であるが、少なくともSiを含むことが好ましい。Si以外の4価の金属元素M3の具体例としては、Ti、Ge、Zr、Sn、及びHfからなる群から選択された少なくとも1種であるのが好ましく、Ti、Zr、Sn、及びHfからなる群から選択された少なくとも1種であるのがより好ましく、Snであることが特に好ましい。特に、M3がSiであることが好ましい。また、M3は他の4価の金属元素を含んでいてもよい。
−maxと半値全幅WPHOS−GM−fwhmが、本実施態様の発光装置において好ましい範囲となるためには、M2に含まれるCeのM2全体に占める割合の下限は0.01以上であることが好ましく、0.02以上であることがより好ましい。また、M2に含まれるCeのM2全体に占める割合の上限は、0.10以下であることが好ましく、0.06以下であることがより好ましい。更に、M1元素に含まれるMgのM1全体に占める割合の下限は0.01以上であることが好ましく、0.03以上であることがより好ましい。一方、上限は0.30以下であることが好ましく、0.10以下であることがより好ましい。
M1 aM2 bM3 cOd (7)
(一般式(7)において、M1は少なくともCeを含む付活剤元素、M2は2価の金属元素、M3は3価の金属元素をそれぞれ示し、a、b、cおよびdが、0.0001≦a≦0.2、0.8≦b≦1.2、1.6≦c≦2.4、および3.2≦d≦4.8を満たす。)(一般式(7)で表される蛍光体をCSO蛍光体と呼ぶ。)
M2は2価の金属元素であるが、Mg、Ca、Zn、Sr、Cd、及びBaからなる群から選択された少なくとも1種であるのが好ましく、Mg、Ca、又は、Srであるのが更に好ましく、M2の元素の50モル%以上がCaであることが特に好ましい。
M3は3価の金属元素であるが、Al、Sc、Ga、Y、In、La、Gd、Yb、及びLuからなる群から選択された少なくとも1種であるのが好ましく、Al、Sc、Yb、又はLuであるのが更に好ましく、Sc、又はScとAl、又はScとLuであるのがより一層好ましく、M3の元素の50モル%以上がScであることが特に好ましい。
M2及びM3は、それぞれ2価及び3価の金属元素を表すが、M2及び/又はM3のごく一部を1価、4価、5価のいずれかの価数の金属元素としてもよく、さらに、微量の陰イオン、たとえば、ハロゲン元素(F、Cl、Br、I)、窒素、硫黄、セレンなどが、化合物の中に含まれていてもよい。
0.005≦a≦0.200である事が好ましく、
0.005≦a≦0.012である事がより好ましく、
0.007≦a≦0.012である事が非常に好ましい。
BaaCabSrcMgdEu x SiO4 (8)
(一般式(8)においてa、b、c、dおよびxが、a+b+c+d+x=2、1.0
≦ a ≦ 2.0、0 ≦ b < 0.2、0.2 ≦ c ≦1,0、0 ≦ d < 0.2および0 < x ≦ 0.5を満たす。)(一般式(8)で表されるアルカリ土類ケイ酸塩蛍光体をBSS蛍光体と呼ぶ。)
BSS蛍光体においては、一般式(8)を満たす前記組成範囲を適宜選択可能である。さらには、蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長λPHOS−GM−maxと半値全幅WPHOS−GM−fwhmが、本実施態様の発光装置において好ましくなるのは以下の範囲である。
0.20≦ c ≦1.00かつ0.25< x ≦ 0.50である事がより好ましく、
0.20≦ c ≦ 1.00かつ0.25<x ≦ 0.30である事が非常に好ましい。
さらに、
0.50≦ c ≦ 1.00かつ0.00<x ≦ 0.50である事が好ましく、
0.50≦ c ≦ 1.00かつ0.25<x ≦ 0.50である事がより好ましく、
0.50≦ c ≦ 1.00かつ0.25<x ≦ 0.30である事が非常に好ましい。
(Ba,Ca,Sr,Mg,Zn,Eu)3Si6O12N2 (9)
(これをBSON蛍光体と呼ぶ)。
BSON蛍光体においては、一般式(9)を満たす前記組成範囲を適宜選択可能である。さらには、蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長λPHOS−GM−maxと半値全幅WPHOS−GM−fwhmが、本実施態様の発光装置において好ましくなるのは以下の範囲である。
一般式(9)において選択できる2価金属元素(Ba,Ca,Sr,Mg,Zn,Eu
)のうち、BaとSrとEuの組合せとすることが好ましく、さらには、Baに対するSrの比率は10〜30%とすることがより好ましい。
半導体発光素子としては、GaAs基板上に形成されたAlGaAs系材料、GaAs基板上に形成された(Al)InGaP系材料を活性層構造中に含む橙発光素子(ピーク波長が590nmから600nm程度)、赤色発光素子(600nmから780nm)などを挙げることができる。また、GaP基板上に形成されたGaAsP系材料を活性層構造中に含む赤色発光素子(600nmから780nm)などを挙げることができる。
(La1−x−y Eu x Lny)2O2S (10)
(一般式(10)において、x及びyはそれぞれ0.02≦x≦0.50及び0≦y≦0.50を満たす数を表し、LnはY、Gd、Lu、Sc、Sm及びErの少なくとも1種の3価希土類元素を表す。)(一般式(10)で表される酸硫化ランタン蛍光体をLOS蛍光体と呼ぶ。)
(k−x)MgO・xAF2・GeO2:yMn4+ (11)
(一般式(11)において、k、x、yは、各々、2.8≦k≦5、0.1≦x≦0.7、0.005≦y≦0.015を満たす数を表し、Aはカルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、亜鉛(Zn)、またはこれらの混合物である。)(一般式(11)で表されるジャーマネート蛍光体をMGOF蛍光体と呼ぶ。)
1種のみを発光装置に含む構成は、光源効率を向上させるうえで好ましい。
一方で、KSF蛍光体、KSNAF蛍光体、LOS蛍光体、MGOF蛍光体は、その半値幅がそれぞれ、6nm程度、6nm程度、4nm程度、16nm程度と極端に狭いが、これら蛍光体を、CASN蛍光体、CASON蛍光体、SCASN蛍光体等と組み合わせて使用する事は、発光装置の分光分布φSSL(λ)に適切な範囲で凹凸を形成し得る場合があり、好ましい。
このために、例えば、一般の白色紙上の黒文字等が読みやすくなる。このような特長を生かし、読書灯、学習机用照明、事務用照明等の作業用照明に応用することは好ましい。さらに、作業内容によっては、工場等において、細かな部品の外観検査を行う、布地などにおいて近接した色の識別を行う、生肉の鮮度確認のための色確認を行う、限度見本に照らした製品検査を行う等も考えられる。加えて、本発明の発光装置を用いて照明した場合には、近接した色相における色識別が容易になり、あたかも高照度環境下の様な快適な作業環境を実現しうる。よってこのような観点でも作業用照明に適応することは好ましい。
さらに、特許第5252107号と特許第5257538号開示の発光装置と比較すると、本発明の発光装置により照明した場合には、発光装置の光源効率が高く、同等の電力を投入したとしても出射される光束は大きくなる。このために、通常の高さよりも高い天井面から照明対象物を照明する発光装置とする事は好適であり、発光装置の適応範囲はさらに広くなる。
であるが、その彩度が異なるため、良好な色の見え(彩度)を実現する本発明の発光装置により、動脈血と静脈血を用意に判別することが期待される。また、内視鏡のようなカラー画像情報では良好な色の表示が診断に大きな影響を持つことは明白であり、正常な部位と病変した部位を容易に見分けることなどが期待される。同様の理由から、製品の画像判定器などの工業用機器内の照明方法としても、好適に利用可能である。
さらに、化粧品等の、色の微妙な差が購入の決め手となる物品の照明としても好ましい。白色のドレス等の展示物用照明として使用すると、同じ白色でも、青みがかった白、クリーム色に近い白などの、微妙な色の差が視認しやすくなるため、本人の希望通りの色を選択することが可能となる。さらには、結婚式場、劇場等での演出用照明としても好適で、純粋な白色のドレス等は純白に見え、歌舞伎等の着物、隈取等もはっきりと見えるようになる。さらに肌色も際立ち好ましい。このような照明とする際にも、光源効率の高い本発明の発光装置は、遠距離からの照明が可能であるため、本発明の発光装置を演出用照明に適応する事は特に好ましい。
また、美容室の照明として使用すると、毛髪をカラー処理する場合、屋外で見たときと齟齬がないような色にすることが可能となり、染めすぎや染め不足を防ぐことができる。
な照明とする際には、照度そのものを適切な範囲で高くする事も必要であるが、高光源効率な本発明の発光装置は、同等の投入電力であっても照明面の照度を高くする事が可能である。よって、本発明の発光装置を高齢者用照明に適応する事は特に好ましい。
例えば、街灯、車のヘッドライト、足元灯に応用し、従来光源を用いた場合よりも各種の視認性を向上させることも好ましい。
Claims (14)
- 少なくとも、発光要素として、
青色半導体発光素子、
緑色蛍光体、および、
赤色蛍光体を有する発光装置であって、
前記発光装置から主たる放射方向に出射される光は、以下の条件1、条件3、条件5、及び条件Iから条件IVのすべてを満たすことを特徴とする発光装置。
条件1:
波長をλとし、前記発光装置から前記主たる放射方向に出射される光の分光分布をφSSL(λ)、
前記発光装置から前記主たる放射方向に出射される光の相関色温度TSSLに応じて選択される基準の光の分光分布をφref(λ)、
前記発光装置から前記主たる放射方向に出射される光の三刺激値を(XSSL、YSSL、ZSSL)、
前記発光装置から前記主たる放射方向に出射される光のTSSLに応じて選択される基準の光の三刺激値を(Xref、Yref、Zref)とし、
前記発光装置から前記主たる放射方向に出射される光の規格化分光分布SSSL(λ)と、前記発光装置から前記主たる放射方向に出射される光のTSSL(K)に応じて選択される基準の光の規格化分光分布Sref(λ)と、これら規格化分光分布の差ΔS(λ)をそれぞれ、
SSSL(λ)=φSSL(λ)/YSSL
Sref(λ)=φref(λ)/Yref
ΔS(λ)=Sref(λ)−SSSL(λ)
と定義し、
波長380nm以上780nm以下の範囲で、前記SSSL(λ)の最長波長極大値を与える波長をλSSL−RL−max(nm)とした際に、前記λSSL−RL−maxよりも長波長側にSSSL(λSSL−RL−max)/2となる波長Λ4が存在する場合においては、
下記数式(1)で表される指標Acgが、
−10.0 < Acg ≦ 120.0
であり、
一方、波長380nm以上780nm以下の範囲で、前記SSSL(λ)の最長波長極大値を与える波長をλSSL−RL−max(nm)とした際に、前記λSSL−RL−maxよりも長波長側にSSSL(λSSL−RL−max)/2となる波長Λ4が存在しない場合においては、
下記数式(2)で表される指標Acgが、
−10.0 < Acg ≦ 120.0
である。
前記光の分光分布φSSL(λ)は、430nm以上495nm以下の範囲における分光強度の最大値をφSSL−BM−max、465nm以上525nm以下の範囲における分光強度の最小値をφSSL−BG−minと定義した際に、
0.2250 ≦ φSSL−BG−min/φSSL−BM−max ≦ 0.7000
である。
条件5:
前記光の分光分布φ SSL (λ)において、前記φ SSL−BM−max を与える波長λ SSL−BM−max が、
430(nm) ≦ λ SSL−BM−max ≦ 480(nm)
である。
条件I:
前記発光装置から前記主たる放射方向に出射される光による照明を数学的に仮定した場合の#01から#15の下記15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L*a*b*色空間におけるa*値、b*値をそれぞれa* nSSL、b* nSSL(ただしnは1から15の自然数)とし、
前記主たる放射方向に出射される光の相関色温度TSSL(K)に応じて選択される基準の光での照明を数学的に仮定した場合の前記15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L*a*b*色空間におけるa*値、b*値をそれぞれa* nref、b* nref(ただしnは1から15の自然数)とした場合に、飽和度差ΔCnが、
−4.00 ≦ ΔCn ≦ 8.00 (nは1から15の自然数)
である。
条件II:
下記式(3)で表される前記飽和度差の平均が、
条件III:
前記飽和度差の最大値をΔCmax、前記飽和度差の最小値をΔCminとした場合に、前記飽和度差の最大値と、前記飽和度差の最小値との間の差|ΔCmax−ΔCmin|が、
2.00 ≦ |ΔCmax−ΔCmin| ≦ 10.00
である。
ただし、ΔCn=√{(a* nSSL)2+(b* nSSL)2}−√{(a* nref)2+(b* nref)2}とする。
15種類の修正マンセル色票
#01 7.5 P 4 /10
#02 10 PB 4 /10
#03 5 PB 4 /12
#04 7.5 B 5 /10
#05 10 BG 6 / 8
#06 2.5 BG 6 /10
#07 2.5 G 6 /12
#08 7.5 GY 7 /10
#09 2.5 GY 8 /10
#10 5 Y 8.5/12
#11 10 YR 7 /12
#12 5 YR 7 /12
#13 10 R 6 /12
#14 5 R 4 /14
#15 7.5 RP 4 /12
条件IV:
前記発光装置から前記主たる放射方向に出射される光による照明を数学的に仮定した場合の前記15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L*a*b*色空間における色相角をθnSSL(度)(ただしnは1から15の自然数)とし、
前記主たる放射方向に出射される光の相関色温度TSSLに応じて選択される基準の光での照明を数学的に仮定した場合の前記15種類の修正マンセル色票のCIE 1976
L*a*b*色空間における色相角をθnref(度)(ただしnは1から15の自然数)とした場合に、色相角差の絶対値|Δhn|が、
0.00 度 ≦ |Δhn| ≦ 12.50 度 (nは1から15の自然数)
である。
ただし、Δhn=θnSSL−θnrefとする。 - 請求項1に記載の発光装置であって、
前記φ SSL (λ)から導出される波長380nm以上780nm以下の範囲の放射効率K(lm/W)が条件7を満たすことを特徴とする発光装置。
条件7:
210.0 lm/W ≦ K ≦ 290.0 lm/W
である。 - 請求項1又は2に記載の発光装置であって、
前記T SSL (K)が条件8を満たすことを特徴とする発光装置。
条件8:
2600 K ≦ T SSL ≦ 7700 K
である。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の発光装置であって、
前記φ SSL (λ)は380nm以上405nm以下の範囲において前記発光要素由来の実効強度を有さないことを特徴とする発光装置。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の発光装置であって、
前記青色半導体発光素子は、前記青色半導体発光素子単体のパルス駆動時のドミナント波長λ CHIP−BM−dom が445nm以上475nm以下であることを特徴とする発光装置。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載の発光装置であって、
前記緑色蛍光体は広帯域緑色蛍光体であることを特徴とする発光装置。 - 請求項1〜6のいずれか1項に記載の発光装置であって、
前記緑色蛍光体は、前記緑色蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長λ PHOS−GM−max が511nm以上543nm以下であり、
その半値全幅W PHOS−GM−fwhm が90nm以上110nm以下であることを特徴とする発光装置。 - 請求項1〜7のいずれか1項に記載の発光装置であって、
前記発光装置は、実質的に黄色蛍光体を含まないことを特徴とする発光装置。 - 請求項1〜8のいずれか1項に記載の発光装置であって、
前記赤色蛍光体は、前記赤色蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長λ PHOS−RM−max が622nm以上663nm以下であり、
その半値全幅W PHOS−RM−fwhm が80nm以上105nm以下であることを特徴とする発光装置。 - 請求項1〜9のいずれか1項に記載の発光装置であって、
前記青色半導体発光素子は、AlInGaN系発光素子であることを特徴とする発光装置。 - 請求項1〜10のいずれか1項に記載の発光装置であって、
前記緑色蛍光体は、Ca 3 (Sc,Mg) 2 Si 3 O 12 :Ce(CSMS蛍光体)、CaSc 2 O 4 :Ce(CSO蛍光体)、Lu 3 Al 5 O 12 :Ce(LuAG蛍光体)、またはY 3 (Al,Ga) 5 O 12 :Ce(G−YAG蛍光体)であることを特徴とする発光装置。 - 請求項1〜11のいずれか1項に記載の発光装置であって、
前記赤色蛍光体は(Sr,Ca)AlSiN 3 :Eu(SCASN蛍光体)、CaAlSi(ON) 3 :Eu(CASON蛍光体)、またはCaAlSiN 3 :Eu(CASN蛍光体)を含むことを特徴とする発光装置。 - 請求項1〜12のいずれか1項に記載の発光装置であって、
前記青色半導体発光素子は、前記青色半導体発光素子単体のパルス駆動時のドミナント
波長λ CHIP−BM−dom が452.5nm以上470nm以下であるAlInGaN系発光素子であり、
前記緑色蛍光体は、前記緑色蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長λ PHOS−GM−max が515nm以上535nm以下で、その半値全幅W PHOS−GM−fwhm が90nm以上110nm以下であることを特徴とするCaSc 2 O 4 :Ce(CSO蛍光体)またはLu 3 Al 5 O 12 :Ce(LuAG蛍光体)であり、
前記赤色蛍光体は、前記赤色蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値λ PHOS−RM−max を与える波長が640nm以上663nm以下で、その半値全幅W PHOS−RM−fwhm が80nm以上105nm以下であることを特徴とするCaAlSi(ON) 3 :Eu(CASON蛍光体)またはCaAlSiN 3 :Eu(CASN蛍光体)である
ことを特徴とする発光装置。 - 請求項1〜13のいずれか1項に記載の発光装置が、パッケージ化LED、チップオンボード型LED、LEDモジュール、LED電球、LED照明器具、またはLED照明システムであることを特徴とする発光装置。
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