JP6584591B2 - 発光装置及び発光装置の設計方法 - Google Patents

発光装置及び発光装置の設計方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6584591B2
JP6584591B2 JP2018112587A JP2018112587A JP6584591B2 JP 6584591 B2 JP6584591 B2 JP 6584591B2 JP 2018112587 A JP2018112587 A JP 2018112587A JP 2018112587 A JP2018112587 A JP 2018112587A JP 6584591 B2 JP6584591 B2 JP 6584591B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
light
ssl
emitting device
light emitting
phosphor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018112587A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018147895A (ja
Inventor
堀江 秀善
秀善 堀江
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Citizen Electronics Co Ltd
Original Assignee
Citizen Electronics Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Citizen Electronics Co Ltd filed Critical Citizen Electronics Co Ltd
Publication of JP2018147895A publication Critical patent/JP2018147895A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6584591B2 publication Critical patent/JP6584591B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明は青色半導体発光素子、緑色蛍光体、および赤色蛍光体を備える発光装置、ならびに発光装置の設計方法に関する。
近年、GaN系半導体発光素子の高出力化、高効率化は目覚ましく進展している。また、半導体発光素子、もしくは、電子線を励起源とする各種蛍光体の高効率化も盛んに研究されている。これらの結果、旧来のものに比較して、現在の光源、光源を含む光源モジュール、光源モジュールを含む器具、器具を含むシステム等の発光装置は急速に省電力化している。
たとえば、GaN系青色発光素子を黄色蛍光体の励起光源として有し、かつ、当該GaN系青色発光素子のスペクトルと当該黄色蛍光体のスペクトルから、いわゆる擬似白色光源を作り、照明用光源、または、これを内包させた照明用器具、さらには、空間内で当該器具を複数配置させた照明システムとすることが広く行われている(特許文献1参照)。
さらに、これらの高効率化を目指した発光装置の一部は、照明された物体の色の見えに対する配慮が不十分であることがあり、これらに配慮する試みとしては、国際照明委員会(Commission Internationale de I’Eclairag
e/CIE)で確立された演色評価数(Colour Rendering Index/CRI)(CIE(13.3))のスコアを向上させるべく、青色発光素子のスペクトルと黄色蛍光体のスペクトルに対して赤色蛍光体や赤色半導体発光素子のスペクトルを重畳させる試み等がなされている。例えば、赤色源を含まない場合の典型的なスペクトル(CCT=6800K程度)では、平均演色評価数(R)と、鮮やかな赤色の色票に対する特殊演色評価数(R)はそれぞれR=81、R=24であるが、赤色源を含む場合にはR=98、R=95と演色評価数のスコアを上げることができる(特許文献2参照)。
一方で、本願発明者は、照明対象物の色の見えに対する新たな実験事実を元に、人間の知覚する色の見えが、様々な演色評価指標(color rendition metric)のスコアによらず、屋外の高照度環境下で見たような、自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えを実現できる照明方法、及び、照明光源、照明器具、照明システム等の発光装置全般を開示している(特許文献3、4参照)。
特許文献3および4によれば、発光装置が発する光の分光分布に関する指標Acgが−360以上−10以下である範囲において、人間の知覚する色の見えが、自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えを実現できる発光装置が実現できることが記載されている。
特許第3503139号公報 WO2011/024818号パンフレット 特許第5252107号公報 特許第5257538号公報
しかし、当該2つの特許には、分光分布から導出される放射効率K(Luminous
Efficacy of Radiation)(lm/W)に関しては詳細開示があるものの、実光源としての効率、すなわち光源効率η(Luminous Efficacy of a Source)(lm/W)に関しては記載がない。実際のLED光源においては、前者同様に後者も重要であって、それぞれに独立した効率の指標として扱うのが普通である。前者(放射効率K)は分光視感効率V(λ)との関係における光源の分光分布の「形状のみ」に依存する効率であって、理想時の効率を考察するには非常に有用な指標である。一方、後者(光源効率η)は、発光装置に投入された電力がどの程度光束に変換されるかを示す量であって、放射効率とは異なる観点でも検討が必要である。
本発明は、本発明者が既に到達した「自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えを実現できる発光装置」において、色の見えの良好な特性は維持しつつ、従来知られていた分光分布とはまったく異なる形状とすることで、その光源効率を改善することを目的とした。
本発明者は、上記目的を達成する発光装置を見出すべく研究を重ね、以下の構成を有する発光装置に到達した。
本発明の第一の実施態様は、
少なくとも、発光要素として、
青色半導体発光素子、
緑色蛍光体、および、
赤色蛍光体を有する発光装置であって、
前記発光装置から主たる放射方向に出射される光は、以下の条件1から条件4のすべてを満たすことを特徴とする発光装置、である。
条件1:
波長をλとし、前記発光装置から前記主たる放射方向に出射される光の分光分布をφSSL(λ)、
前記発光装置から前記主たる放射方向に出射される光の相関色温度TSSLに応じて選択される基準の光の分光分布をφref(λ)、
前記発光装置から前記主たる放射方向に出射される光の三刺激値を(XSSL、YSSL、ZSSL)、
前記発光装置から前記主たる放射方向に出射される光のTSSLに応じて選択される基準の光の三刺激値を(Xref、Yref、Zref)とし、
前記発光装置から前記主たる放射方向に出射される光の規格化分光分布SSSL(λ)と、前記発光装置から前記主たる放射方向に出射される光のTSSL(K)に応じて選択される基準の光の規格化分光分布Sref(λ)と、これら規格化分光分布の差ΔS(λ)をそれぞれ、
SSL(λ)=φSSL(λ)/YSSL
ref(λ)=φref(λ)/Yref
ΔS(λ)=Sref(λ)−SSSL(λ)
と定義し、
波長380nm以上780nm以下の範囲で、前記SSSL(λ)の最長波長極大値を与える波長をλSSL−RL−max(nm)とした際に、前記λSSL−RL−maxよりも長波長側にSSSL(λSSL−RL−max)/2となる波長Λ4が存在する場合においては、
下記数式(1)で表される指標Acgが、
−10.0 < Acg ≦ 120.0
であり、
一方、波長380nm以上780nm以下の範囲で、前記SSSL(λ)の最長波長極
大値を与える波長をλSSL−RL−max(nm)とした際に、前記λSSL−RL−maxよりも長波長側にSSSL(λSSL−RL−max)/2となる波長Λ4が存在しない場合においては、
下記数式(2)で表される指標Acgが、
−10.0 < Acg ≦ 120.0
である。


条件2:
前記光の分光分布φSSL(λ)は、ANSI C78.377で定義される黒体放射軌跡からの距離DuvSSLが、
−0.0220 ≦ DuvSSL ≦ −0.0070
である。
条件3:
前記光の分光分布φSSL(λ)は、430nm以上495nm以下の範囲における分光強度の最大値をφSSL−BM−max、465nm以上525nm以下の範囲における分光強度の最小値をφSSL−BG−minと定義した際に、
0.2250 ≦ φSSL−BG−min/φSSL−BM−max ≦ 0.7000
である。
条件4:
前記光の分光分布φSSL(λ)は、590nm以上780nm以下の範囲における分光強度の最大値をφSSL−RM−maxと定義した際に、前記φSSL−RM−maxを与える波長λSSL−RM−maxが、
605(nm) ≦ λSSL−RM−max ≦ 653(nm)
である。
前記発光装置は、
前記条件2において、
−0.0184 ≦ DuvSSL ≦ −0.0084
であることが好ましい。
前記発光装置は、
前記条件4において、
625(nm) ≦ λSSL−RM−max ≦ 647(nm)
であることが好ましい。
前記発光装置は、以下の条件5を満たすことが好ましい。
条件5:
前記光の分光分布φSSL(λ)において、前記φSSL−BM−maxを与える波長
λSSL−BM−maxが、
430(nm) ≦ λSSL−BM−max ≦ 480(nm)
である。
前記発光装置は、以下の条件6を満たすことが好ましい。
条件6:
0.1800 ≦ φSSL−BG−min/φSSL−RM−max ≦ 0.8500
である。
また前記発光装置は、
前記条件6において、
0.1917 ≦ φSSL−BG−min/φSSL−RM−max ≦ 0.7300
であることが好ましい。
前記発光装置は、前記φSSL(λ)から導出される波長380nm以上780nm以下の範囲の放射効率K(lm/W)が条件7を満たすことが好ましい。
条件7:
210.0 lm/W ≦ K ≦ 290.0 lm/W
である。
前記発光装置は、前記TSSL(K)が条件8を満たすことが好ましい。
条件8:
2600 K ≦ TSSL ≦ 7700 K
である。
前記発光装置は、前記φSSL(λ)は380nm以上405nm以下の範囲において前記発光要素由来の実効強度を有さないことが好ましい。
前記発光装置は、前記青色半導体発光素子が、前記青色半導体発光素子単体のパルス駆動時のドミナント波長λCHIP−BM−domが445nm以上475nm以下であることが好ましい。
前記発光装置は、前記緑色蛍光体が、広帯域緑色蛍光体であることを特徴とすることが好ましい。
前記発光装置は、前記緑色蛍光体が、前記緑色蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長λPHOS−GM−maxが511nm以上543nm以下であり、その半値全幅WPHOS−GM−fwhmが90nm以上110nm以下であることを特徴とすることが好ましい。
前記発光装置は、実質的に黄色蛍光体を含まないことを特徴とすることが好ましい。
前記発光装置は、前記赤色蛍光体が、前記赤色蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長λPHOS−RM−maxが622nm以上663nm以下であり、その半値全幅WPHOS−RM−fwhmが80nm以上105nm以下であることを特徴とすることが好ましい。
前記発光装置は、前記青色半導体発光素子が、AlInGaN系発光素子であることを
特徴とすることが好ましい。
前記発光装置は、前記緑色蛍光体が、Ca(Sc,Mg)Si12:Ce(CSMS蛍光体)、CaSc:Ce(CSO蛍光体)、LuAl12:Ce(LuAG蛍光体)、またはY(Al,Ga)12:Ce(G−YAG蛍光体)であることを特徴とすることが好ましい。
前記発光装置は、前記赤色蛍光体が、(Sr,Ca)AlSiN:Eu(SCASN蛍光体)、CaAlSi(ON):Eu(CASON蛍光体)、またはCaAlSiN:Eu(CASN蛍光体)を含むことを特徴とすることが好ましい。
前記発光装置は、前記青色半導体発光素子が、前記青色半導体発光素子単体のパルス駆動時のドミナント波長λCHIP−BM−domが452.5nm以上470nm以下であるAlInGaN系発光素子であり、
前記緑色蛍光体が、前記緑色蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長λPHOS−GM−maxが515nm以上535nm以下で、その半値全幅WPHOS−GM−fwhmが90nm以上110nm以下であることを特徴とするCaSc:Ce(CSO蛍光体)またはLuAl12:Ce(LuAG蛍光体)であり、
前記赤色蛍光体が、前記赤色蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値λPHOS−RM−maxを与える波長が640nm以上663nm以下で、その半値全幅WPHOS−RM−fwhmが80nm以上105nm以下であることを特徴とするCaAlSi(ON):Eu(CASON蛍光体)またはCaAlSiN:Eu(CASN蛍光体)であることを特徴とすることが好ましい。
前記発光装置は、パッケージ化LED、チップオンボード型LED、LEDモジュール、LED電球、LED照明器具、またはLED照明システムであることを特徴とすることが好ましい。
前記発光装置は、前記発光装置から前記主たる放射方向に出射される光が以下の条件Iから条件IVを満たすことを特徴とすることが好ましい。
条件I:
前記発光装置から前記主たる放射方向に出射される光による照明を数学的に仮定した場合の#01から#15の下記15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L色空間におけるa値、b値をそれぞれa nSSL、b nSSL(ただしnは1から15の自然数)とし、
前記主たる放射方向に出射される光の相関色温度TSSL(K)に応じて選択される基準の光での照明を数学的に仮定した場合の前記15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L色空間におけるa値、b値をそれぞれa nref、b nref(ただしnは1から15の自然数)とした場合に、飽和度差ΔCが、
−4.00 ≦ ΔC≦ 8.00 (nは1から15の自然数)
である。
条件II:
下記式(3)で表される前記飽和度差の平均が、



である。
条件III:
前記飽和度差の最大値をΔCmax、前記飽和度差の最小値をΔCminとした場合に、前記飽和度差の最大値と、前記飽和度差の最小値との間の差|ΔCmax−ΔCmin|が、
2.00 ≦ |ΔCmax−ΔCmin| ≦ 10.00
である。
ただし、ΔC=√{(a nSSL+(b nSSL}−√{(a nref+(b nref}とする。
15種類の修正マンセル色票
#01 7.5 P 4 /10
#02 10 PB 4 /10
#03 5 PB 4 /12
#04 7.5 B 5 /10
#05 10 BG 6 / 8
#06 2.5 BG 6 /10
#07 2.5 G 6 /12
#08 7.5 GY 7 /10
#09 2.5 GY 8 /10
#10 5 Y 8.5/12
#11 10 YR 7 /12
#12 5 YR 7 /12
#13 10 R 6 /12
#14 5 R 4 /14
#15 7.5 RP 4 /12
条件IV:
前記発光装置から前記主たる放射方向に出射される光による照明を数学的に仮定した場合の前記15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L色空間における色相角をθnSSL(度)(ただしnは1から15の自然数)とし、
前記主たる放射方向に出射される光の相関色温度TSSLに応じて選択される基準の光での照明を数学的に仮定した場合の前記15種類の修正マンセル色票のCIE 1976
色空間における色相角をθnref(度)(ただしnは1から15の自然数)とした場合に、色相角差の絶対値|Δh|が、
0.00 度 ≦ |Δh| ≦ 12.50 度 (nは1から15の自然数)
である。
ただし、Δh=θnSSL−θnrefとする。
前記発光装置は、家庭用照明装置、展示物用照明装置、演出用照明装置、医療用照明装置、作業用照明装置、工業機器内用照明装置、交通機関内装用照明装置、美術品用照明装置、高齢者用照明装置として用いられることも好ましい。
本発明の第二の実施態様は、
少なくとも、発光要素として、
青色半導体発光素子、
緑色蛍光体、および、
赤色蛍光体を有する発光装置の設計方法であって、
前記発光装置から主たる放射方向に出射される光が、以下の条件1から条件4のすべてを満たすように設計することを特徴とする発光装置の設計方法、である。
条件1:
波長をλとし、前記発光装置から前記主たる放射方向に出射される光の分光分布をφSSL(λ)、
前記発光装置から前記主たる放射方向に出射される光の相関色温度TSSLに応じて選択される基準の光の分光分布をφref(λ)、
前記発光装置から前記主たる放射方向に出射される光の三刺激値を(XSSL、YSSL、ZSSL)、
前記発光装置から前記主たる放射方向に出射される光のTSSLに応じて選択される基準の光の三刺激値を(Xref、Yref、Zref)とし、
前記発光装置から前記主たる放射方向に出射される光の規格化分光分布SSSL(λ)と、前記発光装置から前記主たる放射方向に出射される光のTSSL(K)に応じて選択される基準の光の規格化分光分布Sref(λ)と、これら規格化分光分布の差ΔS(λ)をそれぞれ、
SSL(λ)=φSSL(λ)/YSSL
ref(λ)=φref(λ)/Yref
ΔS(λ)=Sref(λ)−SSSL(λ)
と定義し、
波長380nm以上780nm以下の範囲で、前記SSSL(λ)の最長波長極大値を与える波長をλSSL−RL−max(nm)とした際に、前記λSSL−RL−maxよりも長波長側にSSSL(λSSL−RL−max)/2となる波長Λ4が存在する場合においては、
下記数式(1)で表される指標Acgが、
−10.0 < Acg ≦ 120.0
であり、
一方、波長380nm以上780nm以下の範囲で、前記SSSL(λ)の最長波長極大値を与える波長をλSSL−RL−max(nm)とした際に、前記λSSL−RL−maxよりも長波長側にSSSL(λSSL−RL−max)/2となる波長Λ4が存在しない場合においては、
下記数式(2)で表される指標Acgが、
−10.0 < Acg ≦ 120.0
である。


条件2:
前記光の分光分布φSSL(λ)は、ANSI C78.377で定義される黒体放射軌跡からの距離DuvSSLが、
−0.0220 ≦ DuvSSL ≦ −0.0070
である。
条件3:
前記光の分光分布φSSL(λ)は、430nm以上495nm以下の範囲における分光強度の最大値をφSSL−BM−max、465nm以上525nm以下の範囲における分光強度の最小値をφSSL−BG−minと定義した際に、
0.2250 ≦ φSSL−BG−min/φSSL−BM−max ≦ 0.7000
である。
条件4:
前記光の分光分布φSSL(λ)は、590nm以上780nm以下の範囲における分光強度の最大値をφSSL−RM−maxと定義した際に、前記φSSL−RM−maxを与える波長λSSL−RM−maxが、
605(nm) ≦ λSSL−RM−max ≦ 653(nm)
である。
前記方法は、
前記条件2において、
−0.0184 ≦ DuvSSL ≦ −0.0084
であることが好ましい。
前記方法は、
前記条件4において、
625(nm) ≦ λSSL−RM−max ≦ 647(nm)
であることが好ましい。
前記方法は、以下の条件5を満たすことが好ましい。
条件5:
前記光の分光分布φSSL(λ)において、前記φSSL−BM−maxを与える波長λSSL−BM−maxが、
430(nm) ≦ λSSL−BM−max ≦ 480(nm)
である。
前記方法は、以下の条件6を満たすことが好ましい。
条件6:
0.1800 ≦ φSSL−BG−min/φSSL−RM−max ≦ 0.8500
である。
また前記方法は、
前記条件6において、
0.1917 ≦ φSSL−BG−min/φSSL−RM−max ≦ 0.7300
であることが好ましい。
本発明の第一の実施態様に係る発光装置によれば、「自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えを実現できる発光装置」において、色の見えの良好な特性は維持しつつ、その光源効率を改善することができる。
また、本発明の第二の実施形態に係る発光装置の設計方法によれば、「自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えを実現できる発光装置」の設計指針を提供することができる。
分光分布がφSSL(λ)である一実施態様において、パラメータφSSL−BM−max、λSSL−BM−max、φSSL−BG−min、λSSL−BG−min、φSSL−RM−max、λSSL−RM−max、φSSL−RL−max、およびλSSL−RL−maxの関係を表す図である。 パラメータAcgの積分範囲を示す図である(CCTが5000K以上の場合)。 パラメータAcgの積分範囲を示す図である(CCTが5000K未満の場合)。 ピーク波長410nmの半導体発光素子を内包し、狭帯域緑色蛍光体と赤色蛍光体を備えたパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb色とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(比較例1)。 ピーク波長410nmの半導体発光素子を内包し、狭帯域緑色蛍光体と赤色蛍光体を備えたパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb色とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(比較例2)。 ピーク波長457.5nmの半導体発光素子を内包し、広帯域緑色蛍光体と赤色蛍光体を備えたパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb色とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(参考例1)。 ピーク波長457.5nmの半導体発光素子を内包し、広帯域緑色蛍光体と赤色蛍光体を備えたパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb色とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(実施例1)。 ピーク波長460nmの半導体発光素子を内包し、広帯域緑色蛍光体と赤色蛍光体を備えたパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb色とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(実施例9)。 ピーク波長460nmの半導体発光素子を内包し、広帯域緑色蛍光体と赤色蛍光体を備えたパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb色とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(実施例18)。 ピーク波長452.5nmの半導体発光素子を内包し、広帯域緑色蛍光体と赤色蛍光体を備えたパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb色とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(実施例20)。 ピーク波長457.5nmの半導体発光素子を内包し、広帯域緑色蛍光体と赤色蛍光体を備えたパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb色とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(実施例40)。 ピーク波長452.5nmの半導体発光素子を内包し、広帯域緑色蛍光体と赤色蛍光体を備えたパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb色とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(実施例47)。 ピーク波長457.5nmの半導体発光素子を内包し、広帯域緑色蛍光体と赤色蛍光体を備えたパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb色とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(実施例49)。 ピーク波長457.5nmの半導体発光素子を内包し、広帯域緑色蛍光体と赤色蛍光体を備えたパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb色とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(実施例50)。 ピーク波長457.5nmの半導体発光素子を内包し、広帯域緑色蛍光体と赤色蛍光体を備えたパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb色とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(比較例3)。 ピーク波長457.5nmの半導体発光素子を内包し、広帯域緑色蛍光体と赤色蛍光体を備えたパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb色とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(比較例4)。 ピーク波長457.5nmの半導体発光素子を内包し、広帯域緑色蛍光体と赤色蛍光体を備えたパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb色とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(比較例5)。 ピーク波長457.5nmの半導体発光素子を内包し、黄色蛍光体と赤色蛍光体を備えたパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb色とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(比較例7)。 ピーク波長455nmの半導体発光素子を内包し、狭帯域緑色蛍光体と赤色蛍光体を備えたパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb色とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(比較例10)。 ピーク波長447.5nmの半導体発光素子を内包し、広帯域緑色蛍光体と赤色蛍光体を備えたパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb色とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(比較例15)。 ピーク波長457.5nmの半導体発光素子を内包し、広帯域緑色蛍光体と赤色蛍光体を備えたパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb色とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(比較例16)。 ピーク波長450nmの半導体発光素子を内包し、広帯域緑色蛍光体と赤色蛍光体を備えたパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb色とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(比較例18)。 ピーク波長457.5nmの半導体発光素子を内包し、広帯域緑色蛍光体と赤色蛍光体を備えたパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb色とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(比較例19)。 ピーク波長457.5nmの半導体発光素子を内包し、広帯域緑色蛍光体と赤色蛍光体を備えたパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb色とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(比較例22)。 ピーク波長457.5nmの半導体発光素子を内包し、広帯域緑色蛍光体と赤色蛍光体を備えたパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb色とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(比較例23)。 ピーク波長465nmの半導体発光素子を内包し、広帯域緑色蛍光体と赤色蛍光体を備えたパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb色とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(比較例26)。 ピーク波長465nmの半導体発光素子を内包し、広帯域緑色蛍光体と赤色蛍光体を備えたパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb色とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(比較例27)。
以下詳細に課題を解決する手段を記載するが、本明細書中記載の重要語句は、以下の意
味で用いる。
<発光装置>
本発明の第一の実施態様に係る発光装置は、単体の半導体発光素子に通電機構としてのリード線等を付与したものでも、放熱機構等をさらに付与し蛍光体等と一体にしたパッケージ化LED、COB(Chip On Board)等でもよい。また1以上のパッケージ化LEDにさらに堅牢な放熱機構を付与し、一般的には複数のパッケージLEDを搭載したLEDモジュールでもよい。さらには、パッケージLED等にレンズ、光反射機構等を付与したLED電球、LED照明器具であってもよい。さらに、LED照明器具等を多数支持し、対象物を照明できるように仕上げた照明システムであってもよい。本実施態様に係る発光装置とは、これらをすべて含んだものである。
<主たる放射方向>
本実施態様では、発光装置が放射する光のうち「主たる放射方向」の光により発明を特定する。そのため、本実施態様の要件を満たす「主たる放射方向」の光を含む放射を行うことができる発光装置は、本実施態様の範囲に属するものである。
ここで、「主たる放射方向(radiant direction)」とは、本実施態様に係る発光装置
の使用状況に即して、適した範囲を有し、かつ、適した向きへ光が放射されている方向を示す。
例えば、本実施態様に係る発光装置の光度(luminous intensity)もしくは輝度(luminance)が最大もしくは極大となる方向でありうる。
また、本実施態様に係る発光装置の光度もしくは輝度が最大もしくは極大となる方向を含む有限の範囲を持った方向でありうる。
また、本実施態様に係る発光装置の放射強度(radiant intensity)あるいは放射輝度
(radiance)が最大もしくは極大となる方向でありうる。
また、本実施態様に係る発光装置の放射強度あるいは放射輝度が最大もしくは極大となる方向を含む有限の範囲を持った方向でありうる。
以下、具体的に例示する。
本実施態様に係る発光装置が単体発光ダイオード(LED)、単体パッケージLED、単体チップオンボード(COB)、単体LEDモジュール、単体LED電球、蛍光ランプと半導体発光素子の単体複合ランプ、白熱電球と半導体発光素子の単体複合ランプ等である場合には、主たる放射方向は各発光装置の鉛直方向、鉛直方向を含む有限の立体角内、例えば最大でπ(sr)、最小でπ/100(sr)でありうる。
本実施態様に係る発光装置が前記パッケージLED等にレンズ、反射機構等を付与したLED照明器具、蛍光ランプと半導体発光素子を有する照明器具であって、いわゆる、直接型照明用途、半直接型照明用途、全般拡散照明用途、直接/間接型照明用途、半間接型照明用途、間接型照明用途に応用可能な配光特性を有する場合には、主たる放射方向は、各発光装置の鉛直方向、鉛直方向を含む有限の立体角内、例えば最大でπ(sr)、最小でπ/100(sr)でありうる。また、本実施態様に係る発光装置の光度もしくは輝度が最大もしくは極大となる方向でありうる。また、本実施態様に係る発光装置の光度もしくは輝度が最大もしくは極大となる方向を含む有限の立体角内、例えば最大でπ(sr)、最小でπ/100(sr)でありうる。また、本実施態様に係る発光装置の放射強度あるいは放射輝度が最大もしくは極大となる方向でありうる。また、本実施態様に係る発光装置の放射強度あるいは放射輝度が最大もしくは極大となる方向を含む有限の立体角内、例えば最大でπ(sr)、最小でπ/100(sr)でありうる。
本実施態様に係る発光装置が、前記LED照明器具や蛍光ランプを有する照明器具を複数搭載した照明システムである場合は、主たる放射方向は、各発光装置の平面的中心の鉛
直方向、当該鉛直方向を含む有限の立体角内、例えば最大でπ(sr)、最小でπ/100(sr)でありうる。また、本実施態様に係る発光装置の光度もしくは輝度が最大もしくは極大となる方向でありうる。また、本実施態様に係る発光装置の光度もしくは輝度が最大もしくは極大となる方向を含む有限の立体角内、例えば最大でπ(sr)、最小でπ/100(sr)でありうる。また、本実施態様に係る発光装置の放射強度あるいは放射輝度が最大もしくは極大となる方向でありうる。また、本実施態様に係る発光装置の放射強度あるいは放射輝度が最大もしくは極大となる方向を含む有限の立体角内、例えば最大でπ(sr)、最小でπ/100(sr)でありうる。
本実施態様に係る発光装置から当該主たる放射方向に出射された光の分光分布を計測するためには、計測点における照度が実用上の照度、例えば5lxから10000lxの間となる距離で計測することが好ましい。
<駆動環境>
一般的な発光装置と同様に、本実施態様の発光装置においても、その駆動条件、例えば温度環境、注入電流レベル、間欠点灯/連続点灯等の駆動様式が異なると、発光装置から主たる放射方向に出射される光の分光分布は変化する。そのような観点から、ある発光装置が、その発光装置を現実的に発光させ得る、少なくとも1つの特定条件において本実施態様が開示する光を出射可能であれば、そのような発光装置は本実施態様開示範囲の発光装置である。
<発光要素単体の発光と、発光装置の発光>
本実施態様に係る発光装置は、例えば半導体発光素子と蛍光体を内包するパッケージ化LED、あるいは、さらにパッケージ化LEDを内包するLED電球、さらにはこのような発光装置を集積化した発光モジュール、発光システム等でありうる。ここで、本実施態様に係る発光装置を構成し、自発光あるいは他から励起された結果として発光可能な部材/材料を発光要素と記載する。よって、本実施態様では、半導体発光素子、蛍光体等は発光要素であり得る。
さて、本実施態様に係る発光装置から主たる放射方向に出射される光は、発光要素の発光の重ね合わせが基礎になるものの、様々な要因によって、必ずしも単純な重ね合わせとはならない。例えば、発光要素間の光の相互吸収等は大きな要因である。また、本実施態様に係る発光装置に内包可能なレンズ/フィルター等が有する分光透過特性によって、単純な発光要素の分光分布の重ね合わせから発光装置の分光分布が大きく変化する場合もある。加えて、発光要素近傍にある発光装置構成部材、例えば反射膜等の分光反射特性によって、単純な発光要素の分光分布の重ね合わせから発光装置の分光分布が変化してしまう場合もある。
さらに、広く用いられる発光要素単体での測定環境と、発光装置の一般的測定環境の「差」によって、発光要素の分光分布の重ね合わせから、発光装置の分光分布が単純には導出できないことも考慮する必要がある。
そこで、本実施態様に係る発光装置内の発光要素を規定する場合には以下の通りとした。
紫色半導体発光素子は、単体のパルス電流駆動時のピーク波長λCHIP−VM−maxで特徴付けた。
青色半導体発光素子は、発光素子単体のパルス電流駆動時のドミナント波長λCHIP−BM−domで特徴付けた。
蛍光体材料は、材料単体で光励起した際の発光ピーク波長(緑色蛍光体に対してはλPHOS−GM−max、赤色蛍光体に対してはλPHOS−RM−maxと記載)と、その発光分光分布の半値全幅(緑色蛍光体に対してはWPHOS−GM−fwhm、赤色蛍
光体に対してはWPHOS−RM−fwhmと記載)で特徴付けた。
一方、本実施態様に係る発光装置そのものの分光分布φSSL(λ)を特徴付ける際には、連続通電時の特性を基礎とし以下の様な指標で特徴付けた。
具体的には、430nm以上495nm以下の範囲における分光強度の最大値φSSL−BM−max、これを与える波長λSSL−BM−max
465nm以上525nm以下の範囲における分光強度の最小値φSSL−BG−min、これを与える波長λSSL−BG−min
590nm以上780nm以下の範囲における分光強度の最大値λSSL−RM−max、これを与える波長λSSL−RM−max
さらには後述する指標Acgの定義で用いられる380nm以上780nm以下の範囲で分光分布φSSL(λ)から導出される規格化分光分布SSSL(λ)の最長波長極大値φSSL−RL−maxを与えるλSSL−RL−max、によって特徴付けた。この関係を図1に示す。
よって、例えば、λCHIP−BM−domはλSSL−BM−maxと異なるのが一般的であり、λPHOS−RM−maxもλSSL−RM−maxと異なるのが一般的である。一方で、λSSL−RL−maxは、λSSL−RM−maxと同じ値をとることがしばしば発生する。
<指標Acg
指標Acgは、特許第5252107号と特許第5257538号に開示されている通り、以下で定義される。
本実施態様に係る発光装置からの主たる放射方向に出射される光を測定した場合における異なる色刺激となる計算用基準光と試験光の分光分布をそれぞれφref(λ)、φSSL(λ)とし、等色関数をx(λ)、y(λ)、z(λ)、計算用基準光と試験光に対応する三刺激値をそれぞれ(Xref、Yref、Zref)、(XSSL、YSSL、ZSSL)とする。ここで、計算用基準光と試験光に関して、kを定数として、以下が成立する。
ref=k∫φref(λ)・y(λ)dλ
SSL=k∫φSSL(λ)・y(λ)dλ
ここで、計算用基準光と試験光の分光分布をそれぞれのYで規格化した規格化分光分布を
ref(λ)=φref(λ)/Yref
SSL(λ)=φSSL(λ)/YSSL
と定義し、これら規格化基準光分光分布と規格化試験光分光分布の差を
ΔS(λ)=Sref(λ)−SSSL(λ)
とする。ここで、指標Acgは以下で導出する。
なお、ここで各積分の上下限波長は、それぞれ
Λ1=380nm
Λ2=495nm
Λ3=590nm
である。
また、Λ4は、以下の2つの場合に分けて定義される。まず、規格化試験光分光分SSSL(λ)において、380nmから780nm内で、最長波長極大値を与える波長をλSSL−RL−max(nm)、その規格化分光強度をSSSL(λSSL−RL−max)とした際に、λSSL−RL−maxよりも長波長側にあり、強度がSSSL(λSSL−RL−max)/2となる波長がΛ4である。もし、そのような波長が780nmまでの範囲内に存在しない場合は、Λ4は780nmである。
<狭帯域/広帯域>
本実施態様に係る狭帯域発光要素とは、特許第5252107号と特許第5257538号記載と同一の定義であって、発光要素の半値全幅が、短波長領域(380nmから495nm)、中間波長領域(495nmから590nm)、長波長領域(590nmから780nm)のそれぞれの領域幅である115nm、95nm、190nmに対して、2/3以下であるものをいう。
逆に、本実施態様に係る広帯域発光要素とは、発光要素の半値全幅が、短波長領域(380nmから495nm)、中間波長領域(495nmから590nm)、長波長領域(590nmから780nm)のそれぞれの領域幅である115nm、95nm、190nmに対して、2/3よりも広いものをいう。よって、おおよそ、短波長領域においては約77nm以上、中間波長領域においては約64nm以上、長波長領域においては約127nm以上の半値全幅を有する発光要素が広帯域発光要素である。
<光源の色度表記>
本実施態様に係る発光装置の色度点の明示は以下の通りとした。発光装置から主たる放射方向に出射された光が有する分光分布から導出される色度は、例えばCIE 1931(x、y)色度図やCIE 1976(u’、v’)色度図で議論可能である。しかし、色度図上の位置は相関色温度CCTと偏差Duvで記述すると見通しがよいため、本実施態様では特に(u’、(2/3)v’)色度図(CIE 1960(u、v)色度図と同義)を用いた。
ここで、本実施態様に係る偏差Duvは、ANSI C78.377で定義されている量であって、(u’、(2/3)v’)色度図における黒体放射軌跡に対して最近接となる距離を絶対値として示している。また、正符号は発光装置の色度点が黒体放射軌跡の上方(v’が大きい側)に位置し、負符号は発光装置の色度点が黒体放射軌跡の下方(v’が小さい側)に位置することを意味する。
<φSSL−BG−min/φSSL−BM−maxおよびφSSL−BG−min/φSSL−RM−max
φSSL−BG−minは、主として、青色半導体発光素子の発光に由来する分光放射束の長波長側テール(分光放射束強度が低下する裾野部分)と、中間波長領域を担う発光要素の発光に由来する分光放射束の短波長側テール(分光放射束強度が低下する裾野部分)とが重なる部分に現れる。換言すると、短波長領域と中間波長領域にまたがる465nm以上525nm以下の範囲にφSSL(λ)形状の凹部として発生しがちである。
後述する、数学的に導出される特定15修正マンセル色票の色の見えに関して、その飽和度を比較的均等に向上させようとすると、φSSL−BG−minを430nm以上495nm以下の範囲における分光強度の最大値で規格化したφSSL−BG−min/φSSL−BM−max、および、φSSL−BG−minを590nm以上780nm以下の範囲における分光強度の最大値で規格化したφSSL−BG−min/φSSL−RM−maxを慎重に制御する必要がある。すなわち、本実施態様の発光装置においては、φSSL−BG−min/φSSL−BM−maxおよびφSSL−BG−min/φSSL−RM−maxには、後述するように最適範囲が存在する。
<基準の光、実験用基準の光、試験光>
本実施態様においては、数学的な色の見えを予想する際に計算上用いるCIEで定義された基準の光を、基準の光、計算用基準の光、計算用基準光などと記載した。一方、視覚的な実比較で用いる実験用の基準の光、すなわちタングステンフィラメントを有する白熱電球光などは、基準の光、実験用基準の光、実験用基準光と記載した。また、基準の光に近接した色の見えとなると予想される高Rかつ高Rである光、たとえば紫半導体発光素子を内包し、青色/緑色/赤色蛍光体を含むLED光源も、基準の光、実験用基準の光、実験用基準光と記載した。また、基準の光に対して、数学的にまた実験的に検討対象とした光を試験光と記載する場合がある。
<照明対象物の色の見えの定量化手法>
分光分布から、その光で照明された物体の色の見えを定量評価するには、数学的な分光反射特性が明らかな色票を定義し、計算用基準光での照明を仮定した場合と、試験光での照明を仮定した場合を比較し、当該色票の「色の見えの差」を指標とするのがよい。
一般には、CRIで使用される試験色が選択肢となりうるが、平均演色評価数等を導出する際に使用しているRからRの色票は中彩度な色票であって、高彩度な色の飽和度を議論するには適さない。また、RからR12は高彩度な色票であるが、全色相角範囲の詳細な議論にはサンプル数が足りない。
そこで、修正マンセル表色系におけるマンセル色相環の中で、最も高彩度な最外周に位置する色票から、色相別に15種類の色票を選択した。これらは、米国NIST(National Institute of Standards and Technology)から提案されている新たな演色評価指標のひとつであるCQS(Color Quality Scale)(バージョン7.4及び7.5)で用いる色票と同じである。以下に本実施態様で用いた15種類の色票を列記する。また冒頭には、便宜上色票に与えた、番号を記載した。なお、本明細書中においては、これら番号をnと代表させる場合があり、たとえばn=3は、「5PB 4/12」の意味である。nは1から15の自然数である。
#01 7.5 P 4 /10
#02 10 PB 4 /10
#03 5 PB 4 /12
#04 7.5 B 5 /10
#05 10 BG 6 / 8
#06 2.5 BG 6 /10
#07 2.5 G 6 /12
#08 7.5 GY 7 /10
#09 2.5 GY 8 /10
#10 5 Y 8.5/12
#11 10 YR 7 /12
#12 5 YR 7 /12
#13 10 R 6 /12
#14 5 R 4 /14
#15 7.5 RP 4 /12
本実施態様においては、各種指標の導出の観点では、計算用基準光での照明を仮定した場合と試験光での照明を仮定した場合とで、これら15種類の色票の色の見えが、どのように変化した場合(あるいは変化しなかった場合)に、一般の室内照度環境下にあっても、屋外の高照度環境下で見たように、自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えとなるかを定量化し、発光装置が有すべき真の演色性として抽出し
た。
また、分光分布から数学的に導出される色の見えを定量評価するためには、色空間の選択、色順応式の選択も重要である。本実施態様では、現在CIEによって推奨されている均等色空間であるCIE 1976 L(CIELAB)を用いた。さらに、色順応計算には、CMCCAT2000(Colour Measurement Comittee’s Chromatic Adaptation Transform
of 2000)を採用した。
なお、CIELAB色空間は三次元色空間であるが、本実施態様に係るCIELAB色空間においては、主に彩度と色相に注目した事から、明度を割愛し、a、b軸のみを二次元でプロットした。なお、本実施態様における実施例/比較例等の説明で用いるCIELAB色空間では、図中点線で結んだ点は計算用基準光での照明を仮定した結果であって、実線はそれぞれの試験光での照明を仮定した結果である。
さらに具体的には、以下のようにして色の見えに関わる定量化を行った。先ず、本実施態様に係る発光装置が試験光を主たる放射方向に出射する場合における当該試験光(本実施態様の発光装置に係る)のCIE 1976 L色空間における当該15種類の色票のa値、b値をそれぞれa nSSL、b nSSL(ただしnは1から15の自然数)、当該15種類の色票の色相角をそれぞれθnSSL(度)(ただしnは1から15の自然数)とした。さらに、上記試験光の相関色温度TSSLに応じて選択される計算用基準の光(5000K未満は黒体放射の光、5000K以上においてはCIE昼光)による照明を数学的に仮定した場合のCIE 1976 L色空間における当該15種類の色票のa値、b値をそれぞれa nref、b nref(ただしnは1から15の自然数)、当該15種類の色票の色相角をそれぞれθnref(度)(ただしnは1から15の自然数)とした。ここで、当該2つの光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のそれぞれの色相角差Δh(度)(ただしnは1から15の自然数)の絶対値|Δh|は
|Δh|=|θnSSL−θnref
である。
このように、本実施態様で特別に選択した当該15種類の修正マンセル色票に関わる数学的に予想される色相角差を定義するのは、試験光と実験用基準光あるいは実験用擬似基準光を用いて視覚実験を行うに当たり、さまざまな物体、あるいは物体の色の見えを全体として評価し、自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えを実現する手段として、これらが重要な指標になると考えたからである。
加えて、試験光と計算用基準光の2つの光で照明された場合を仮定した当該15種類の修正マンセル色票の飽和度差ΔC(ただしnは1から15の自然数)は
ΔC=√{(a nSSL+(b nSSL}−√{(a nref+(b nref
とした。また、当該15種類の修正マンセル色票の飽和度差の平均値は

とした(以下、SATaveということがある。)。さらに、当該15種類の修正マンセル色票の飽和度差の最大値をΔCmax、飽和度差の最小値をΔCminとした場合に、最大飽和度差と最小飽和度差の間の差(最大最小飽和度差間差)は
|ΔCmax−ΔCmin
とした。
このように、本実施態様で特別に選択した当該15種類の修正マンセル色票に関わる数学的に予想される飽和度差に関わる種々の特性を定義するのは、試験光と実験用基準光あるいは実験用擬似基準光を用いて視覚実験を行うに当たり、さまざまな物体、あるいは物体の色の見えを全体として評価し、自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えを実現する手段として、これらが重要な指標になると考えたからである。
<放射効率K(lm/W)と光源効率η(lm/W)>
さらに、本実施態様に係る発光装置から出射された主たる放射方向の光を測定した場合における試験光分光分布φSSL(λ)を評価するに当たり、放射効率 K (Luminous Efficacy of radiation)(lm/W)は、広く使用されている以下の定義を踏襲した。
上記式において、
:最大視感度(lm/W)
V(λ):分光視感効率
λ:波長(nm)
である。
よって、本実施態様に係る発光装置から出射された主たる放射方向の光を測定した場合における試験光分光分布φSSL(λ)の放射効率K(lm/W)は、分光分布がその形状として有する効率であると言える。
一方、光源効率η(lm/W)は、本実施態様に係る発光装置に投入された電力がどの程度光束に変換されるかを示す量である。
さらに換言/付記すれば、発光装置から出射された主たる放射方向の光を測定した場合
における試験光分光分布φSSL(λ)の放射効率K(lm/W)は、分光分布自体がその形状として有する効率であって、発光装置を構成するすべての材料特性に関する効率(例えば半導体発光素子の内部量子効率、光取り出し効率、蛍光体の内部量子効率、外部量子効率、封止剤の透光特性等々の効率)が100%であった際に、光源効率η(lm/W)と等しくなる量であるとも言える。
<発明の着想>
本発明者は、指標Acgが−360以上−10以下の範囲外、特に−10よりも大きな値を有する場合に、良好な色の見えと高い光源効率の両立が可能かどうかを、以下の通りに、数学的に、また実験的に検討した。
指標Acgは色刺激となる放射に関わる可視域を大きく短波長領域(紫等も含む青領域で380nm以上495nm未満)、中間波長領域(黄色等も含む緑色領域で495nm以上590nm未満)、長波長領域(橙色等も含む赤領域で590nm以上780nm以下)に分割し、数学的な規格化基準光分光分布に比較して、規格化試験光分光分布内の適切な位置に、適切な強度で、分光分布の凹凸が存在するかどうかを判断する指標である。図2と図3に例示するように、長波長領域の積分範囲は、最長波長極大値の位置によって異なる。また、試験光の相関色温度TSSLによって計算用基準光の選択は異なる。図2の場合は図中実線で示された試験光のCCTが5000K以上なので、基準の光は図中点線で示されるようにCIE昼光(CIE daylight)が選択されている。図3の場合は図中実線で示された試験光のCCTが5000K未満なので、基準の光は図中点線で示されるように黒体放射の光が選択されている。なお、図中網掛け部分は短波長領域、中間波長領域、長波長領域の積分範囲を模式的に示したものである。
さて、特許第5252107号と特許第5257538号に開示されている通り、「自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えを実現できる発光装置」が実現できる要件の一つは、指標Acgが−360以上−10以下の範囲にあることであって、これらは、次のような意味を有すると解することが出来る。
短波長領域においては、数学的な規格化基準光分光分布よりも規格化試験光分光分布の分光強度が強い場合に、指標Acgの第一項(ΔS(λ)の積分)はマイナスの値をとりやすい。
中間波長領域においては、逆に、規格化基準光分光分布よりも規格化試験光分光分布の分光強度が弱い場合に、指標Acgの第二項(−ΔS(λ)の積分)はマイナスの値をとりやすい。
さらに、長波長領域においては、規格化基準光分光分布よりも規格化試験光分光分布の分光強度が強い場合に、指標Acgの第三項(ΔS(λ)の積分)はマイナスの値をとりやすい指標となっている。
すなわち、このような傾向にある場合に「自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えを実現できる発光装置」が実現できる要件の中の一つが満たされると解することが出来る。
なお、前記のように、計算用基準光は試験光のCCTによって変わる。すなわち、計算用基準光は試験光のCCTが5000K未満の際には黒体放射の光が用いられ、試験光のCCTが5000K以上の際には定義されているCIE昼光(CIE daylight)が用いられる。指標Acgの値の導出においては、φref(λ)は、数学的に定義されている黒体放射の光かCIE昼光を用い、一方、φSSL(λ)はシミュレーションした関数、あるいは実験で発光装置を試作し、その主たる放射方向に出射された光を実測した値を用いた。
一方、光源として、光源効率を向上させようとすると、分光視感効率V(λ)の形状から考えても、特許第5252107号と特許第5257538号に開示の分光分布と本質的に異なる形状とすることが要請される。
指標Acgの第一項(380nmから495nmまでのΔS(λ)の波長積分)と第三項(590nmからΛ4あるいは780nmまでのΔS(λ)の波長積分)は、規格化基準光分光分布よりも規格化試験光分光分布の分光強度が過剰には強くない、換言すると、ΔS(λ)の波長積分が過剰なマイナス値を取らず、適切な範囲となることが望まれる。なぜならば、この領域のV(λ)は相対的に小さな値を有するため、過剰に強い放射が当該領域に存在しても、光束を向上させることへの寄与度が小さくなる。加えて、光源効率を向上させようとすると、指標Acgの第二項(495nmから590nmまでの−ΔS(λ)の波長積分)が、規格化基準光分光分布よりも規格化試験光分光分布のスペクトル強度が過剰に弱くない、換言すると−ΔS(λ)の波長積分が過剰なマイナス値を取らず、適切な範囲となることが望まれる。なぜならば、この領域のV(λ)は相対的に大きな値を有するため、過剰に弱い放射が当該領域に存在すると、光束を向上させることへの寄与度が小さくなるからである。
そこで、本発明者は、上記思想に基づいて、特許第5252107号と特許第5257538号開示の内容とまったく異なる分光分布によって、光源効率がより高く、かつ、照明対象物の色の見えに優れた光源が実現可能かどうかを検証し、本実施態様に係る発光装置に到達している。具体的な手法としては、以下である。
まず中間波長領域で発光する発光要素として、特許第5252107号と特許第5257538号に好ましい場合として開示されている狭帯域発光要素と異なる、広帯域発光要素を選択した。このようにすることによって、中間波長領域における「規格化基準光分光分布と比較した規格化試験光分光分布の過度の凹凸」が低減し、指標Acgの第二項(495nmから590nmまでの−ΔS(λ)の波長積分)において、規格化基準光分光分布よりも規格化試験光分光分布のスペクトル強度が過剰に弱くならないようにすることが出来ると考えた。
さらに、LED発光装置内の蛍光体励起光源の選択に際しても、短波長領域における「規格化基準光分光分布と比較した規格化試験光分光分布の過度の凹凸」を低減させ、指標Acgの第一項(380nmから495nmまでのΔS(λ)の波長積分)を過剰なマイナス値としないようにした。すなわち、規格化基準光分光分布よりも規格化試験光分光分布のスペクトル強度が過剰に強くないようにするために、規格化基準光分光分布の分光強度が相対的に高い領域に蛍光体励起光源の発光波長を有するようにした。具体的には、蛍光体励起光源としては紫色半導体発光素子ではなく、青色半導体発光素子を選択した。
<実験方法とそのまとめ>
本実施態様に係る発光装置を完成させるための実験とそのまとめは以下の様に行った。
発光装置としては3.5mm×3.5mm角の小型パッケージ中に、各種半導体発光素子、各種蛍光体、封止材等を内包させたパッケージLEDを準備した。また当該パッケージLEDを内包させたLED灯具も試作した。
試作した各種発光装置を公平に比較するために、装置毎に変更した各種半導体発光素子、各種蛍光体とその配合を除いて、当該小型パッケージ材質、半導体発光素子の搭載位置/方法、LED灯具形状/材質等は全光源で同種とした。また、LED灯具においては、内包するパッケージLEDの分光放射特性を極力保存すべく、搭載レンズは350nmから800nm程度まで透過特性が平坦な材質を用いた。
このような条件下で、各発光装置の放射計測学的特性(radiometric property)、測光学的特性(photometric property)を測定した。さらに、各発光装置の分光分布を有する光による照明を仮定した場合の前記15種類の修正マンセル色票の色の見えと、計算用基準光による照明を仮定した場合のそれを比較して、どのように変化するか(あるいは変化しないか)を、測色学(colorimetry)的観点から数学的に導出し、前述の様な指標で色の見えを定量評価した。
さらに、本実施態様の実験においては、被験者に色の見えの優劣を判断してもらう、比較視覚実験も行った。比較視覚実験においては、ANSI C78.377を参考に、表1に示した色温度グループ毎に実験用基準光を準備して、同一の照明対象物を試験光と実験用基準光とでそれぞれ独立に照明し、どちらの光で照明した場合の色の見えが優れているかをランク−5、ランク−4、ランク−3、ランク−2、ランク−1、ランク0、ランク+1、ランク+2、ランク+3、ランク+4、ランク+5の11ランクに分類してもらった。
ここで、実験用基準光としては、黒体軌跡の極力近傍に色度座標を有する発光装置を準備した。実験用基準光を発する発光装置は、例えば比較例1に示すように、単体の発光ピーク波長410nmmの紫色半導体発光素子、青色蛍光体としてSBCA蛍光体、狭帯域緑色蛍光体として光励起時のピーク波長545nm、半値全幅55nmのβ−SiAlON蛍光体、赤色蛍光体として光励起時のピーク波長645nm、半値全幅99nmのCASON蛍光体を用いて構成し、数学的な基準の光に近接した色の見えとなると考えられる高Rかつ高Rである光を準備した。例えば比較例1に示した分光放射特性は、比較視覚実時にCCT毎に分けたグループEの実験用基準光の例である。計算されたCCTは4116K、Duvは−0.0017、Rは98.0であった。なお、他のCCTグループにおいても、同様に、黒体軌跡の極力近傍に色度座標を有し、照明対象物を照明した際に、数学的な基準の光に近接した色の見えとなると予想される高Rかつ高Rである光を発する発光装置を準備した。
比較視覚実験を行う際には、発光装置を代えることによって発生する照度変化を抑制するために、照明対象物の位置における照度がほぼ等しくなるになるように、照明対象物と発光装置の距離を調整する、駆動用電源を変更しLED灯具への注入電流量を調整するなどした。 また、比較視覚実験時の照度は、約100lxから約7000lxの範囲とした。
また、比較視覚実験時には、以下の照明対象物などを準備した。ここでは、紫色、青紫色、青色、青緑色、緑色、黄緑色、黄色、黄赤色、赤色、赤紫色等の全色相に渡る有彩色対象物を準備するように配慮した。さらに、白色物、黒色物などの無彩色の対象物も準備した。また、静物、花、食品、衣料品、印刷物等、多数多種類なものを準備した。また、実験においては被験者(日本人)自身の肌も観察対象とした。なお、以下の物体名称前に一部付記した色名称は、通常の環境下でそのように見えるという意味で、厳密な色の表現ではない。
白色セラミック皿、ホワイトアスパラ、ホワイトマッシュルーム、白プリザーブドフラワー、白色ハンカチ、白Yシャツ、米飯
紫色プリザーブドフラワー
青紫布製ハンカチ、ブルージーンズ、青色プリザーブドフラワー、青緑タオル
緑色パプリカ、レタス、千切りキャベツ、ブロッコリー、緑ライム、緑色りんご
黄色バナナ、黄色パプリカ、黄緑色レモン、黄色プリザーブドフラワー、卵焼き
橙色オレンジ、橙色パプリカ、にんじん
赤色トマト、赤色りんご、赤色パプリカ、赤色ウインナー、赤プリザーブドフラワー
黒プリザーブドフラワー、
ピンク色ネクタイ、ピンクプリザーブドフラワー、
小豆色ネクタイ、コロッケ、とんかつ、ごぼう、クッキー、チョコレート、
落花生、木製器
被験者(日本人)自身の肌
新聞紙、白背景上の黒文字を含むカラー印刷物(多色ずり)、文庫本、週刊誌
シルバー(文字盤白)腕時計
カラーチェッカー(X―rite社製 Color checker classic 18色の有彩色と6種類の無彩色(白1、灰色4、黒1)を含む計24色の色票)
なお、カラーチェッカー中の各色票の名称とマンセル表記は、以下の通りである。
Name Munsell Notation
Dark skin 3.05 YR 3.69/3.20
Light skin 2.2 YR 6.47/4.10
Blue sky 4.3 PB 4.95/5.55
Foliage 6.65 GY 4.19/4.15
Blue flower 9.65 PB 5.47/6.70
Bluish green 2.5 BG 7/6
Orange 5 YR 6/11
Purplish blue 7.5 PB 4/10.7
Moderate red 2.5 R 5/10
Purple 5 P 3/7
Yellow green 5 GY 7.08/9.1
Orange yellow 10 YR 7/10.5
Blue 7.5 PB 2.90/12.75
Green 0.1 G 5.38/9.65
Red 5 R 4/12
Yellow 5 Y 8/11.1
Magenta 2.5 RP 5/12
Cyan 5 B 5/8
White N 9.5/
Neutral 8 N 8/
Neutral 6.5 N 6.5/
Neutral 5 N 5/
Neutral 3.5 N 3.5/
Black N 2/
比較視覚実験を行った際のランク分けは、被験者のランク分け結果を元に統計的に処理し、以下の通りとした。実験用基準の光と同一あるいは同程度か、変化が感じられない場合をランク0とした。また、「自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えが実現でき」、若干好ましい場合はランク+1、好ましい場合はランク+2、より好ましい場合はランク+3、非常に好ましい場合はランク+4、格段に好ましい場合はランク+5とした。逆に、「自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えが実現できない」場合は、その程度によって、若干好ましくない場合はランク−1、好ましくない場合はランク−2、より好ましくない場合はランク−3、非常に好ましくない場合はランク−4、格段に好ましくない場合はランク−5とした。
ランク判断をする上で、被験者に対しては、以下の観点で照明対象物を観察し、総合的に点数化するように指示した。すなわち、実験用基準光で照明した場合と比較して各発光装置で照明した場合に、A)白黒の様な「無彩色の見え」が好ましく知覚されるかどうか、B)白背景上の黒文字を含む印刷物、新聞等に記載されている文字が読みやすいかどうか、C)被験者自身の肌色等を含む、各種色相を有する「有彩色の色の見え」が好ましく知覚されるかどうか、D)近似した色相を有する対象物(例えば、2つの異なる個体としての赤パプリカ)の色を識別しやすいかどうか、E)同じ照度でありながら明るく感じられるかどうか(明るさ感が向上するか)である。
なお、以下示す表2から表15にまとめた各種指標において、「発光要素」と記載された欄は前述のとおりに発光要素単体の特性を示しており、「発光装置」と記載された欄は、パッケージLEDとして測定した結果である。「色の見え」と記載された欄は、パッケージLEDの分光分布より計算で求めた結果であって、「比較視覚実験結果」と記載された欄は、当該パッケージLEDを内包するLED灯具を用いた比較視覚実験時の照明対象物の色の見えに関するランク分けの結果である。
以下、実施例と比較例を用いて、本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲が実施例のみに限定されないことはいうまでもない。
<概要説明>
先ず、表2に示す4種の発光装置を例に本実施態様の概要と効果を説明する。
比較例1は、照明対象物を照明した際に、基準の光に近接した色の見えとなり、平均演色評価数(R)がきわめて高く、特殊演色評価数(R)も高い実験用基準光を放射する発光装置であって、Acgは+64.1であった。この光源は、蛍光体励起光源として紫色半導体発光素子を用い、かつ、緑色蛍光体として狭帯域のβ−SiAlON(蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長が545nmで、その半値全幅が55nm)を用いて実現したものである。
なお、本明細書で記載するSBCA蛍光体、β−SiAlON蛍光体、CASON蛍光体の詳細は、特許第5252107号と特許第5257538号に開示されている材料と同じである。
比較例2は、特許第5252107号と特許第5257538号に開示されている光を放射する発光装置であって、Acgは−44.9であった。この発光装置も、比較例1同様に、蛍光体励起光源として紫色半導体発光素子を用い、かつ、緑色蛍光体として狭帯域のβ−SiAlON(蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長が545nmで、その半値全幅が55nm)を用いて実現したものである。
参考例1も、特許第5252107号と特許第5257538号の範疇となる光を放射する発光装置であって、Acgは−58.7であった。しかし、この発光装置は、蛍光体励起光源として青色半導体発光素子を用い、かつ、緑色蛍光体として広帯域のCSMS(蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長が514nmで、その半値全幅が106nm)を用いて実現したものである。
一方、実施例1は、特許第5252107号と特許第5257538号にも開示されていない光を放射する新規な発光装置であって、Acgは+10.4であった。この光源は、蛍光体励起光源として青色半導体発光素子を用い、かつ、緑色蛍光体として広帯域のCSO(蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長が520nmで、その半値全幅が96nm)を用いて実現したものである。
なお、これら四発光装置は、比較のために、全て近接した相関色温度(約3800〜4200K)としている。また、実験用基準光として準備した比較例1の発光装置を除き、DuvSSLも近接した値(約−0.0100〜−0.0125)とした。
その他、各光源の詳細な構成材料、その特徴、発光装置としての特性は表2にまとめた。表2には、特定15種類の修正マンセル色票において、基準の光で照明した場合と、それぞれの試験光で照明した場合との色の見えの差を数学的に導出した結果も示している。さらに、実験用基準光として準備した比較例1の発光装置を基準にして、残り3種の発光装置によって、実際の色の見えがどのようになるか、比較視覚実験を行った結果も示している。
比較例1の発光装置、比較例2の発光装置、参考例1の発光装置、実施例1の発光装置それぞれの分光放射束特性は図4から図7に示した。また、図4から図7には、特定15種類の修正マンセル色票において、基準の光で照明した場合と、それぞれの試験光で照明した場合との色の見えをa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間も示した。なお、CIELAB色空間において基準の光で照明した場合は点線で、それぞれの試験光で照明した場合は実線で示した。
ここで、表2、図5から図7等から、以下のことが分かる。
比較例2の発光装置は、指標Acgが−44.9で、発光装置としての光源効率ηは45.9(lm/W)であった。また、数学的には、図5からも各色相の飽和度が比較的均等に向上することが分かり、実際に、比較視覚実験でも、色の見えは比較例1の発光装置よりも良好と判断され、ランク4であった。
さらに、参考例1の発光装置は指標Acgが−58.7で、発光装置としての光源効率ηは48.0(lm/W)であった。また、数学的には、図6からも各色相の飽和度が比較的均等に向上することが分かり、実際に、色の見えは比較例1の発光装置よりも良好と判断され、ランク4であった。
これに対して、実施例1に示した発光装置は、指標Acgが+10.4であった。発光装置としての光源効率ηは54.4(lm/W)と、いずれの発光装置よりも相対的に高かった。また、数学的には、図7からも各色相の飽和度が比較的均等に向上することが分かり、実際に、色の見えは比較例1の発光装置よりも良好であると判断され、ランク5であった。
すなわち、実施例1の発光装置の結果は、特許第5252107号と特許第5257538号記載の発光装置の範囲外、特に指標Acgが−10よりも大きな値を有する場合であっても、「自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えを実現できる発光装置」が実現可能な場合がある事を具体的に例示していると言える。さらに、そのような場合にこそ、発光装置の光源効率ηを向上させ得ることも分かる。
<詳細説明1>
次に、実施例/比較例をさらに例示して、本実施態様を詳細に説明する。
表3から表7は、本実施態様の実施例を示している。これらは、表番号順に、比較視覚
実験の総合的ランク分類でそれぞれランク+1からランク+5となった発光装置の結果である。また、1つのランクに分類された発光装置は、低TSSLから高TSSLの順に並べた。さらに、図8から図14は、それぞれのランクから例として抽出した発光装置が発する光の分光分布とCIELAB色空間を例示したものである。
これら実施例/比較例の結果を詳細に検討したところ、発光装置によって照明した色の見えが、比較視覚実験でランク+1以上と判断されるためには、発光装置は以下の発光要素を内包していたことが分かる。
条件α:青色半導体発光素子
条件β:広帯域緑色蛍光体
条件γ:赤色蛍光体
一方、発光装置によって照明した色の見えが、比較視覚実験でランク+1以上と判断されるためには、発光装置の分光分布φSSL(λ)から導出される各指標は、以下の特徴を全て有していたことが分かる。
条件1: −10.0 < Acg ≦ 120.0
条件2: −0.0220 ≦ DuvSSL ≦ −0.0070
条件3: 0.2250 ≦ φSSL−BG−min/φSSL−BM−max
0.7000
条件4: 605(nm) ≦ λSSL−RM−max ≦ 653(nm)
さらに、比較視覚実験でランク+1以上と判断された発光装置の分光分布φSSL(λ)は、以下の特徴も有し得ることが分かる。
条件5: 430(nm) ≦ λSSL−BM−max ≦ 480(nm)
条件6: 0.1800 ≦ φSSL−BG−min/φSSL−RM−max
0.8500
加えて、比較視覚実験でランク+1以上と判断された発光装置の分光分布φSSL(λ)から導出される放射効率K(lm/W)と相関色温度TSSL(K)は、以下の特徴を有し得ることも分かる。
条件7: 210.0 lm/W ≦ K ≦ 290.0 lm/W
条件8: 2600 K ≦ TSSL ≦ 7700 K
さらに加えて、比較視覚実験でランク+1以上と判断された発光装置のφSSL(λ)は380nm以上405nm以下の範囲において発光要素由来の実効強度を有さない特徴を有し得ることもわかる。
さらに、比較視覚実験でランク+1以上と判断された発光装置のφSSL(λ)は発光要素として、狭帯域緑色蛍光体、黄色蛍光体を含まないという特徴を有し得ることもわかる。
一方、発光装置によって照明した色の見えが、比較視覚実験でランク+1以上と判断された発光装置の分光分布φSSL(λ)から導出された「色の見え」に関する各指標は、nを1から15の自然数として、以下の特徴をすべて有していたことが分かる。
条件I −4.00 ≦ ΔC≦ 8.00
条件II: 0.50 ≦ SATave ≦ 4.00
条件III: 2.00 ≦ |ΔCmax−ΔCmin| ≦ 10.00
条件IV: 0.00 度 ≦ |Δh| ≦ 12.50 度
これらを満たした発光装置の分光分布φSSL(λ)による色の見えを計算した結果、すなわち、図7から図14を見ると以下が分かる。基準の光で当該15種類の修正マンセル色票を照明した場合を仮定した色の見えと、各発光装置の分光分布φSSL(λ)で照明した場合を比較すると、いずれの発光装置においても、(1)その色相角差が小さく、か
つ、(2)15種類いずれの色相においても飽和度は比較的均等に向上しており、かつ、(3)その飽和度向上の度合いが適切な範囲内にある、事が分かる。このような特徴がまさに実際に照明対象物を照明した場合には、「自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見え」を誘発すると考えられ、かつ、数学的には条件Iから条件IVに対応していると言える。
さらに具体的に色の見えの効果を記載すれば、本実施態様の発光装置を照明に用いた場合には、基準の光で照明した場合と比較して、A)白黒の様な「無彩色の見え」が好ましく知覚され、B)白背景上の黒文字を含む印刷物、新聞等に記載されている文字が読みやすく知覚され、C)被験者自身の肌色等を含む、各種色相を有する「有彩色の色の見え」が好ましく知覚され、D)近似した色相を有する対象物の色を識別しやすく知覚され、E)同じ照度でありながら明るく感じられる効果がある事が確認された。
さらに条件αに記載した青色半導体発光素子の選択に関して、ランク+1からランク+5に分類された結果に照らして、その特徴は以下であると考えられる。
当該青色発光素子の、素子単体パルス駆動時のドミナント波長λCHIP−BM−domは、445nm以上475nm以下を選択可能であって、
実施例全体の結果より、447.5nm以上470nm以下を選択することが若干好ましく、
ランク+4から+5の結果より、452.5nm以上470nm以下を選択することが非常に好ましく、
ランク+5の結果より、457.5nm近傍を選択することが格段に好ましい。なお、近傍とは±2.5nmを意味する。
さらに条件βに記載した広帯域緑色蛍光体の選択に関して、ランク+1からランク+5に分類された結果に照らして、その特徴は以下であると考えられる。
当該広帯域緑色蛍光体の、蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長λPHOS−GM−maxは511nm以上543nm以下であり、その半値全幅WPHOS−GM−fwhmは90nm以上110nm以下を選択可能であって、
実施例全体の結果より、蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長λPHOS−GM−maxは514nm以上540nm以下であり、その半値全幅WPHOS−GM−fwhmは96nm以上108nm以下を選択することが若干好ましく、
ランク+2から+5の結果より、蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長λPHOS−GM−maxは520nm以上540nm以下であり、その半値全幅WPHOS−GM−fwhmは96nm以上108nm以下を選択することが好ましく、
ランク+5の結果より、蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長λPHOS−GM−maxは520nm以上530nm以下であり、その半値全幅WPHOS−GM−fwhmは96nm以上104nm以下を選択することが格段に好ましい。
さらに、全体の傾向から、蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長λPHOS−GM−maxは521nm以上529nm以下であり、その半値全幅WPHOS−GM−fwhmは97nm以上103nm以下を選択することがさらに格段に好ましいと考えられる。これらの傾向は、本実施態様の発光装置においては、分光分布φSSL(λ)の適切な位置に適切な大きさの凹凸を有するようにするために必要と考えられる傾向である。
さらに、具体的な蛍光体材料としては、ランク+1からランク+5に分類された結果に照らして、その特徴は以下であると考えられる。
当該緑色蛍光体は、材料単体で光励起した際に緑色発光し、かつ、前記光学特性を満足するものであれば、特に限定されないが、LuAG蛍光体、CSO蛍光体、G−YAG蛍光体、CSMS蛍光体、BSS蛍光体、BSON蛍光体等を例示可能であって、
実施例全体の結果より、LuAG蛍光体、CSO蛍光体、G−YAG蛍光体、CSMS蛍光体を選択することが若干好ましく、
ランク+2から+5の結果より、LuAG蛍光体、CSO蛍光体、G−YAG蛍光体を選択することが好ましく、
ランク+5の結果より、LuAG蛍光体、CSO蛍光体を選択することが格段に好ましい。
さらに条件γに記載した赤色蛍光体の選択に関して、ランク+1からランク+5に分類された結果に照らして、その特徴は以下であると考えられる。
当該赤色蛍光体の、蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長λPHOS−RM−maxは622nm以上663nm以下であり、その半値全幅WPHOS−RM−fwhmが80nm以上105nm以下を選択可能であって、
実施例全体の結果より、蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長λPHOS−RM−maxは625nm以上660nm以下であり、その半値全幅WPHOS−RM−fwhmが87nm以上99nm以下を選択することが若干好ましく、
ランク+4から+5の結果より、蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長λPHOS−RM−maxは645nm以上660nm以下であり、その半値全幅WPHOS−RM−fwhmが88nm以上99nm以下を選択することが非常に好ましく、
ランク+5の結果より、蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長λPHOS−RM−maxは645nm以上660nm以下であり、その半値全幅WPHOS−RM−fwhmが88nm以上89nm以下を選択することが格段に好ましい。
加えて、全体の傾向から、蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長λPHOS−RM−maxは、632nm以上660nm以下であり、その半値全幅WPHOS−RM−fwhmが88nm以上99nm以下を選択することは好ましいと考え得る。
さらに、具体的な蛍光体材料としては、ランク+1からランク+5に分類された結果に照らして、その特徴は以下であると考えられる。
当該赤色蛍光体は、材料単体で光励起した際に赤色発光し、かつ、前記光学特性を満足するものであれば、特に限定されないが、CASN蛍光体、CASON蛍光体、SCASN蛍光体を例示可能であって、
実施例全体の結果よりCASN蛍光体、CASON蛍光体、SCASN蛍光体を選択することが若干好ましく、
ランク+4から+5の結果よりCASN蛍光体、CASON蛍光体を選択することが非常に好ましく、
ランク+5の結果よりCASN蛍光体を選択することが格段に好ましい。
さらに条件1に記載した指標Acgの選択に関して、ランク+1からランク+5に分類された結果に照らして、その特徴は以下であると考えられる。
当該指標は、−10.0より大きく120.0以下を選択可能であって、
実施例全体の結果より、−4.6以上116.3以下を選択することが若干好ましく、
ランク+3から+5の結果より、−4.6以上87.7以下を選択することがより好ましく、
ランク+4から+5の結果より、−4.6以上70.9以下を選択することが非常に好ましく、
ランク+5の結果より、−1.5以上26.0以下を選択することが格段に好ましい。
さらに条件2に記載したDuvSSLの選択に関して、ランク+1からランク+5に分類された結果に照らして、その特徴は以下であると考えられる。
当該距離DuvSSLは、−0.0220以上−0.0070以下を選択可能であって、
実施例全体の結果より、−0.0212以上−0.0071以下を選択することが若干好ましく、
ランク+3から+5の結果より、−0.0184以上−0.0084以下を選択することがより好ましく、
ランク+4から+5の結果より、−0.0161以上−0.0084以下を選択することが非常に好ましく、
ランク+5の結果より、−0.0145以上−0.0085以下を選択することが格段に好ましい。
なお、全体の傾向からDuvSSLは、−0.0145以上−0.0090以下を選択することがさらに格段に好ましく、−0.0140以上−0.0100未満を選択することがよりさらに格段に好ましく、−0.0135以上−0.0120未満を選択することがなおよりさらに格段に好ましいと考え得る。
さらに、条件3に記載した値φSSL−BG−min/φSSL−BM−maxの選択に関して、ランク+1からランク+5に分類された結果に照らして、その特徴は以下であると考えられる。
当該値φSSL−BG−min/φSSL−BM−maxは、0.2250以上0.7000以下を選択可能であって、
実施例全体の結果より、0.2278以上0.6602以下を選択することが若干好ましく、
ランク+4から+5の結果より、0.2427以上0.6225以下を選択することが非常に好ましく、
ランク+5の結果より、0.2427以上0.5906以下を選択することが格段に好ましい。
さらに、条件4に記載した波長λSSL−RM−maxの選択に関して、ランク+1からランク+5に分類された結果に照らして、その特徴は以下であると考えられる。
当該波長λSSL−RM−maxは、605nm以上653nm以下を選択可能であって、
実施例全体の結果より、606nm以上652nm以下を選択することが若干好ましく、
ランク+3から+5の結果より、607nm以上647nm以下を選択することがより好ましく、
ランク+4から+5の結果より、622nm以上647nmを選択することが非常に好ましい。また、ここまでの傾向から、λSSL−RM−maxは625nm以上647nm以下を選択する事がさらに非常に好ましいと考え得る。
加えて、ランク+5の結果より、630nm以上647nm以下を選択することが格段に好ましい。
さらに、全体の傾向から、λSSL−RM−maxは631nm以上647nm以下を選択する事がさらに格段に好ましいと考え得る。
これらの傾向は、本実施態様の発光装置においては、分光分布φSSL(λ)の適切な位置に適切な大きさの凹凸を有するようにするために必要と考えられる傾向である。
さらに、条件5に記載した波長λSSL−BM−maxの選択に関して、ランク+1からランク+5に分類された結果に照らして、その特徴は以下であると考えられる。
当該波長λSSL−BM−maxは、430nm以上480nm以下を選択可能であって、
実施例全体の結果より、440nm以上460nm以下を選択することが若干好ましく、
ランク+4から+5の結果より、447nm以上460nmを選択することが非常に好ましく、
ランク+5の結果より、450nm以上457nm以下を選択することが格段に好ましい。
さらに、全体の傾向から、λSSL−BM−maxは451nm以上456nm以下を選択する事がさらに格段に好ましいと考え得る。
これらの傾向は、本実施態様の発光装置においては、分光分布φSSL(λ)の適切な位置に適切な大きさの凹凸を有するようにするために必要と考えられる傾向である。
さらに、条件6に記載した値φSSL−BG−min/φSSL−RM−maxの選択に関して、ランク+1からランク+5に分類された結果に照らして、その特徴は以下であると考えられる。
当該値φSSL−BG−min/φSSL−RM−maxは、0.1800以上0.8500以下を選択可能であって、
実施例全体の結果より、0.1917以上0.8326以下を選択することが若干好ましく、
ランク+3から+5の結果より、0.1917以上0.6207以下を選択することがより好ましく、
ランク+4から+5の結果より、0.1917以上0.6202以下を選択することが非常に好ましく、
ランク+5の結果より、0.1917以上0.5840以下を選択することが格段に好ましい。
また、全体の傾向から、φSSL−BG−min/φSSL−RM−maxは、0.1917以上0.7300以下を選択することは好ましいと考え得る。
これらの傾向は、本実施態様の発光装置においては、分光分布φSSL(λ)の適切な
位置に適切な大きさの凹凸を有するようにするために必要と考えられる傾向である。
さらに、条件7に記載した放射効率K(lm/W)の選択に関して、ランク+1からランク+5に分類された結果に照らして、その特徴は以下であると考えられる。
当該放射効率K(lm/W)は、210.0(lm/W)以上290.0(lm/W)以下を選択可能であって、
実施例全体の結果より、212.2(lm/W)以上286.9(lm/W)以下を選択することが若干好ましく、
ランク+2から+5の結果より、212.2(lm/W)以上282.3(lm/W)以下を選択することが好ましく、
ランク+4から+5の結果より、212.2(lm/W)以上261.1(lm/W)以下を選択することが非常に好ましく、
ランク+5の結果より、212.2(lm/W)以上256.4(lm/W)以下を選択することが格段に好ましい。
さらに、条件8に記載した相関色温度TSSL(K)の選択に関して、ランク+1からランク+5に分類された結果に照らして、その特徴は以下であると考えられる。
当該相関色温度TSSL(K)は、2600(K)以上7700(K)以下を選択可能であって、
実施例全体の結果より、2644(K)以上7613(K)以下を選択することが若干好ましく、
ランク+4から+5の結果より、2644(K)以上6797(K)以下を選択することが非常に好ましい。
さらに、条件Iに記載した飽和度差ΔCの選択に関して、ランク+1からランク+5に分類された結果に照らして、その特徴は以下であると考えられる。
当該飽和度差ΔCは、−4.00以上8.00以下を選択可能であって、
実施例全体の結果より、−3.49以上7.11以下を選択することが若干好ましく、
ランク+2から+5の結果より、−3.33以上7.11以下を選択することが好ましく、
ランク+4から+5の結果より、−1.73以上6.74以下を選択することが非常に好ましく、
ランク+5の結果より、−0.93以上6.74以下を選択することが格段に好ましい。
さらに、条件IIに記載したSATaveの選択に関して、ランク+1からランク+5に分類された結果に照らして、その特徴は以下であると考えられる。
当該SATaveは、0.50以上4.00以下を選択可能であって、
実施例全体の結果より、0.53以上3.76以下を選択することが若干好ましく、
ランク+2から+5の結果より、1.04以上3.76以下を選択することが好ましく、
ランク+3から+5の結果より、1.11以上3.76以下を選択することがより好ましく、
ランク+4から+5の結果より、1.40以上3.76以下を選択することが非常に好ましく、
ランク+5の結果より、1.66以上3.76以下を選択することが格段に好ましい。
さらに、条件IIIに記載した、飽和度差の最大値と飽和度差の最小値との間の差|ΔCmax−ΔCmin|の選択に関して、ランク+1からランク+5に分類された結果に照らして、その特徴は以下であると考えられる。
当該差|ΔCmax−ΔCmin|は、2.00以上10.00以下を選択可能であって、
実施例全体の結果より、3.22以上9.52以下を選択することが若干好ましく、
ランク+4から+5の結果より、4.12以上7.20以下を選択することが非常に好ましく、
ランク+5の結果より、4.66以上7.10以下を選択することが格段に好ましい。
さらに、条件IVに記載した色相角差の絶対値|Δh|の選択に関して、ランク+1からランク+5に分類された結果に照らして、その特徴は以下であると考えられる。
当該色相角差の絶対値|Δh|は、0.00以上12.50以下を選択可能であって、
実施例全体の結果より、0.00以上12.43以下を選択することが若干好ましく、
ランク+2から+5の結果より、0.01以上12.43以下を選択することが好ましく、
ランク+3から+5の結果より、0.02以上12.43以下を選択することがより好ましく、
ランク+4から+5の結果より、0.02以上9.25以下を選択することが非常に好ましい。
なお、色相角差の絶対値|Δh|は0である事が望まれると考えられる事から、その値の下限を変えて、理想的には
0.00以上12.43以下を選択することがより好ましく、
0.00以上9.25以下を選択することが非常に好ましく、さらには、
0.00以上7.00以下を選択することがより非常に好ましく、
0.00以上5.00以下を選択することがさらに非常に好ましいと考えられる。
色の見えに関して、「自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えを実現できる」発光装置によって実現される色の見えは、以上の検討から、条件Iから条件IVを同時に満足していると定量化されることも分かる。
<詳細説明2>
なお、実施例1から実施例52記載の発光装置から出射された光は、それぞれ実験用基準光を発する発光装置による色の見えよりも優れていることは比較視覚実験で確認された。同時に、光源効率ηが大幅に向上したことも以下の通り確認された。表8は、表2で示した比較例2、参考例1のAcg値と光源効率ηをまとめたものである。
一方、表9は、表3から表7に示した実施例から、TSSLが3800Kから4200K、DuvSSLが−0.0125以上−0.0100以下に該当する発光装置を全て抽出し、極力公正に比較例2、参考例1と比較できるようにしたものである。表9には、実施例1、2、3、19、21,23、41、42から導出した値をまとめている。表8によれば、Acgの平均値は−51.8で、ηの平均値は47.0(lm/W)であったが、表9ではAcgの平均値+51.4で、ηの平均値は65.5(lm/W)であった。
表8に示した発光装置と、表9に示した発光装置では、平均的に見て照明対象物の色の見えの差異は大きくない。ここにおいて、表8に示した従来の発光装置に比較して、表9に示した本実施態様の発光装置の光源効率は、約39%増となった事が分かる。
<詳細説明3>
表10から表15は本実施態様の比較例(ランク−1からランク−5)を、それぞれ次の観点でまとめたものである。さらに、図15から図27は、それぞれの表から分光分布とCIELAB色空間を例示したものである。
表10は、適切な青色半導体発光素子、適切な広帯域緑色蛍光体、適切な赤色蛍光体を用いているものの、「DuvSSLが−0.0220より小さく、かつ、Acgが−10以下である場合」を例示している。
表11は、適切な青色半導体発光素子、適切な赤色蛍光体を用いており、Acgも適切な範囲であるものの、「中間波長領域の発光要素として黄色蛍光体を用いたために、その結果としてφSSL−BG−min/φSSL−BM−maxが0.225より小さくなってしまっている場合」を例示している。
表12は、適切な青色半導体発光素子、適切な赤色蛍光体を用いており、DuvSSLも、Acgも適切な範囲であるものの、「中間波長領域の発光要素として狭帯域緑色蛍光体を用いたために、その結果としてφSSL−BG−min/φSSL−BM−maxが0.225より小さくなってしまっている場合」を例示している。
表13は、適切な青色半導体発光素子、適切な広帯域緑色蛍光体、適切な赤色蛍光体を用いており、Acgも適切な範囲であるものの、「分光分布を特徴付けるDuvSSL、φSSL−BG−min/φSSL−BM−max、λSSL−RM−maxのいずいれかが適切でない場合」を例示している。
表14は、適切な青色半導体発光素子、適切な広帯域緑色蛍光体、適切な赤色蛍光体を用いているものの、「DuvSSLが−0.007より大きく、かつ、Acgが+120より大きい場合」を例示している。
表15は、適切な青色半導体発光素子、適切な広帯域緑色蛍光体、適切な赤色蛍光体を用いており、Acgも適切な範囲であるものの、「φSSL−BG−min/φSSL−BM−maxが0.7000より大きく、かつ、DuvSSLが−0.007より大きい場合」を例示している。
これらの結果を見ると発光装置としての分光分布φSSLは、条件1、条件2、条件3、条件4のすべてを満たさないと、「自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見え」と「光源効率向上」を両立した発光装置が実現出来ないことが分かる。さらに、その分光分布φSSLが条件1、条件2、条件3、条件4の少なくとも1つを満たさない発光装置は、色の見えに関する条件Iから条件IVの少なくとも1つを満たさず、同時に、比較視覚実験において、ランク−1からランク−5のいずれかに分類されたことも分かる。
さらに、発光装置を構成する発光要素に関しては、狭帯域緑色蛍光体、黄色蛍光体を用いた場合には、「自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見え」と「光源効率向上」を両立した発光装置が実現出来なかった。これらは、色の見えに関する条件Iから条件IVの少なくとも1つを満たさず、同時に、比較視覚実験において、ランク−4に分類されたことも分かる。
さらに、詳細にみると以下の通りである。
表10に示された「DuvSSLが−0.0220より小さく、かつ、Acgが−10以下である場合」に相当する比較例3、比較例4、比較例5においては、分光分布とCIELABプロットをそれぞれ図15、図16、図17に例示した。これらには、それぞれ以下の問題があった。
比較例3(図15参照)においては、比較視覚実験においては「過剰にけばけばしく見えて」しまった。これらは図15に示したCIELABプロットに示される飽和度向上度合いが過剰であったことに相当していると考えられる。さらに、この本質は、DuvSSLもAcgも過剰に負値であったためと考えられる。
比較例4(図16参照)、比較例5(図17参照)においては、比較視覚実験で、「一部の色は鮮やかに見えるものの、一部色はくすんで見えて」しまった。これらは、図16、図17に示したCIELABプロットの飽和度向上度合いが、各色票で比較的不均等で、一部色相においては基準の光よりも非飽和傾向となることと一致していると考えられる。また、一部色票においては、色相角が過剰に変化してしまい、色そのものの変化が大きすぎる事も、このような印象に含まれていると考えられる。
一方、表11に示された「中間波長領域の発光要素として黄色蛍光体を用いたために、その結果としてφSSL−BG−min/φSSL−BM−maxが0.225より小さくなってしまっている場合」と、表12示された「中間波長領域の発光要素として狭帯域緑色蛍光体を用いたために、その結果としてφSSL−BG−min/φSSL−BM−maxが0.225より小さくなってしまっている場合」に関しては、比較例7と比較例10の分光分布とCIELABプロットをそれぞれ図18と図19に示した。これらには、それぞれ以下の問題があった。
これらの比較視覚実験においては「一部色は過剰にけばけばしく、一部色は過剰にくすんで見え、その差によって色の見えにかなり違和感が生じて」しまった。これらは、図18と図19に示されたCLELABプロットと一致する傾向である。さらに、この本質は
、比較例7(図18参照)と比較例10(図19参照)の通り、青色半導体発光素子に由来する分光分布と、それぞれの中間波長領域における発光を担う蛍光体由来の分光分布との間に出来る「465nm以上525nm以下程度の分光強度が弱い領域」において、その分光強度の低さが過剰であったために、照明対象物の色相によっては、基準の光よりも飽和度が上がり、一方、別の色相では、飽和度が下がることが起きたためと考えられる。また、一部色票においては、色相角が過剰に変化してしまい、色そのものの変化が大きすぎる事も、このような印象に含まれていると考えられる。
逆に、広帯域緑色蛍光体を発光要素として用いると、これらの問題を容易に解決できる事から好ましいと考えられる。
「φSSL−BG−min/φSSL−BM−maxの値が0.2250よりも過剰に小さい場合」に相当する、表11に示された比較例6(図なし、φSSL−BG−min/φSSL−BM−max=0.1033)、表12に示された比較例10(図19、φSSL−BG−min/φSSL−BM−max=0.0978)、表13に示された比較例15(図20、φSSL−BG−min/φSSL−BM−max=0.1105)、および比較例18(図22、φSSL−BG−min/φSSL−BM−max=0.1761)においては、たとえ条件1(Acg値)、条件2(DuvSSL値)、条件4(λSSL−RM−max値)が満たされたとしても、数学的に導出される特定15修正マンセル色票の色の見えは、一部が過剰な飽和度傾向となり、また一部が過剰に非飽和傾向となってしまった。また、これらの発光装置を用いて比較視覚実験を行った際のランクは−4となってしまった。
なお、これらφSSL−BG−min/φSSL−BM−maxが過剰に小さい状況を回避するための手段としては、以下の様な方策が考えられる。まず、第一の手段としては、広帯域緑色蛍光体を使用することが可能である。広帯域緑色蛍光体を使用した場合、このようにすると比較例6、比較例10に示されるφSSL−BG−min/φSSL−BM−maxが過剰に小さい状況は回避可能である。
さらにφSSL−BG−min/φSSL−BM−maxが過剰に小さい状況を回避する第二の手段としては、広帯域緑色蛍光体を使用した上で、さらに、適切な波長を有する青色半導体発光素子を使用する事が考えられる。本実施態様においては、実施例から、445.0nm以上475.0nm以下のパルス駆動時ドミナント波長を有する青色半導体発光素子を選択可能であって、より好ましくは447.5nm以上470.0nm以下のパルス駆動時ドミナント波長を有する青色半導体発光素子を選択可能であって、格段に好ましくは457.5nm±2.5nmのパルス駆動時ドミナント波長を有する青色半導体発光素子を選択可能である。
なお、φSSL−BG−min/φSSL−BM−maxを過剰に小さくしないためには、λCHIP−BM−domは、さらに長波長化とするのが好ましいとも考え得るが、これは正しくない。λCHIP−BM−domの好ましい範囲は上記の通りである。これは以下の理由による。
先ず、青色半導体発光素子は、主にサファイア基板上、Si基板上、SiC基板上、GaN基板上にエピタキシャル成長されたAlGaInN系半導体発光素子であるが、これらの内部量子効率は量子井戸層のIn組成、すなわちλCHIP−BM−domに依存する。ここで、例えばInGaN量子井戸層を考える。465nm以上525nm以下に十分な分光強度を有する量子井戸層のIn組成は、最も内部量子効率が高くなる条件と比較すると、これを低減してしまうほどの高濃度となるため、「色の見えと発光装置の光源効率の両立」を図る観点から好ましくない。
さらに、色の見えに関して考えると、λCHIP−BM−domが過剰に長波長化し、φSSL(λ)の短波長領域の適切部分に発光要素由来の分光強度が存在しなくなると、
数学的に導出される特定15修正マンセル色票の色の見えは、一部が過剰な飽和傾向となり、また一部が過剰に非飽和傾向となってしまう。具体的には、φSSL−BG−min/φSSL−BM−maxが過剰に小さくなった場合とは異なる色票で、飽和/非飽和の傾向が発生してしまう。よって、φSSL−BG−min/φSSL−BM−maxを過剰に小さくしないために、λCHIP−BM−domを過剰に長波長化とするのは好ましくない。
さらにφSSL−BG−min/φSSL−BM−maxが過剰に小さな状況を回避する第三の手段としては、以下が考えられる。具体的には、445.0nm以上475.0nm以下のパルス駆動時ドミナント波長を有する青色半導体発光素子を用いて第一のλCHIP−BM−domを設定し、かつ、中間波長領域の発光要素として黄色蛍光体あるいは狭帯域緑色蛍光体等を使用した場合では、短波長領域と中間波長領域にまたがる465nm以上525nm以下の範囲で、発光要素をさらに追加する事が考えうる。このためには、465nm以上525nm以下の領域にその分光分布の中心が存在する第二のλCHIP−BM−domを有するAlGaInN系青色半導体発光素子、第二のλCHIP−BM−domを有するGaP基板上のGaPによる黄緑色発光素子(ピーク波長が530nmから570nm程度)などを選択し、追加可能である。さらに、ここに広帯域緑色蛍光体を混在させることも可能である。
しかしながら、本実施態様の発光装置においては、照明対象物の色の見えとともに光源効率の向上も重要であって、過度に発光要素を増やす事は、相互吸収、ストークス損失の増大など光源効率の低下につながる場合もある事から必ずしも好ましくない。この観点では、中間波長領域の発光要素としては、黄色蛍光体あるいは狭帯域緑色蛍光体等を使用して、さらに他の発光要素を加える事は好ましくない。すなわち、本実施態様の発光装置においては、黄色蛍光体あるいは狭帯域緑色蛍光体等を使用する事は可能ではあるが、必ずしも好ましくなく、中間波長領域の発光要素としては、広帯域緑色蛍光体を用いる事が好ましい。
表13に示された「分光分布を特徴付ける、DuvSSL、φSSL−BG−min/φSSL−BM−max、λSSL−RM−maxのいずいれかが適切でない場合」に相当する比較例15、比較例16、比較例18においては、分光分布とCIELABプロットをそれぞれ図20、図21、図22に例示した。これらには、それぞれ以下の問題があった。
比較例15(図20参照)と、比較例18(図22参照)においては、比較視覚実験においては「一部色は過剰にけばけばしく、一部色は過剰にくすんで見え、その差によって色の見えにかなり違和感が生じて」しまった。これらは図20と図22に示したCIELABプロットに示される飽和度変化の度合いが、照明対象物の色相によっては基準の光よりも飽和度が上がり、一方、別の色相では飽和度が下がることと一致していると考えられる。この本質は、φSSL−BG−min/φSSL−BM−maxが過剰に小さい値であったためと考えられる。
比較例16(図21参照)においては、比較視覚実験で、「一部の色は鮮やかに見えるものの、一部色はくすんで見えて」しまった。これらは、図21に示したCIELABプロットの飽和度向上度合いが比較的不均等で、一部色相においては基準の光よりも非飽和傾向となることと一致していると考えられる。この本質はλSSL−RM−maxが適切な範囲よりも短波長側となっていたためであると考えられる。また、一部色票においては、色相角が過剰に変化してしまい、色そのものの変化が大きすぎる事も、このような印象に含まれていると考えられる。
表14に示された、「DuvSSLが−0.007より大きく、かつ、Acgが+120より大きい場合」に相当する比較例19、比較例22、比較例23においては、分光分
布とCIELABプロットをそれぞれ図23、図24、図25に例示した。これらには、それぞれ以下の問題があった。
比較例19(図23参照)と、比較例22(図24参照)においては、比較視覚実験においては「全体にくすんで見えた」と判断された。これらは図23、図24に示したCIELABプロットに示される飽和度変化の度合いが、照明対象物の色相によらずに、全体に非飽和傾向となったことと一致していると考えられる。この本質は、DuvSSLとAcgが過剰に大きな値であったためと考えられる。一方、比較例23(図25参照)においては、比較視覚実験においては「色の見えの改善が感じられなかった。一部色では色の見えが劣っていた。」と判断された。これらは図25に示したCIELABプロットに示される飽和度変化の度合いが小さく、基準の光と同程度である事と一致していると考えられる。この本質は、DuvSSLとAcgが過剰に大きな値であったためと考えられる。
表15に示された、「φSSL−BG−min/φSSL−BM−maxが0.7000より大きく、かつ、DuvSSLが−0.007より大きい場合」に相当する比較例26、比較例27においては、分光分布とCIELABプロットをそれぞれ図26、図27に例示した。これらには、それぞれ以下の問題があった。
比較例26(図26参照)と、比較例27(図27参照)においては、比較視覚実験においては、それぞれ「全体にくすんで見えた」、「一部色は鮮やかに見えるものの、一部色はくすんで見えた」と判断された。これらは図26に示したCIELABプロットに示される飽和度変化の度合いが、照明対象物の色相によらずに、おおまかには非飽和傾向となったこと、図27においては、飽和度向上度合いが比較的不均等で、一部色相においては基準の光よりも非飽和傾向となったことと一致していると考えられる。この本質は、φSSL−BG−min/φSSL−BM−maxが過剰に大きく、かつ、DuvSSLが過剰に大きいかったためと考えられる。比較視覚実験上のランクは、比較例26、比較例27においては、それぞれ−5、−2と低くなってしまっている。よって、「色の見えと発光装置の光源効率の両立」を図る本実施態様の発光装置を実現するためには、φSSL−BG−min/φSSL−BM−maxを十二分に制御する必要がある。比較例26、比較例27では、分光分布内の465nm以上525nm以下の領域に適切な大きさの凹凸が形成されず、凹凸が小さすぎた事が問題であったと考えられる。
なお、同様に、φSSL−BG−min/φSSL−RM−maxも十二分に制御する必要がある。これらφSSL−BG−min/φSSL−BM−maxとφSSL−BG−min/φSSL−RM−maxの適切な範囲は、総じて言えば、本実施態様の効果を発現するために、発光装置の分光分布φSSL(λ)内の適切な位置に、適切な大きさの凹凸を有するようにする事が肝要である事を示している。
本実施態様に係る発光装置を実施するための好ましい実施形態を以下に説明するが、本実施態様に係る発光装置を実施するための態様は、以下の説明で用いたものに限定されない。
本実施態様に係る発光装置は、発光装置から主たる放射方向に出射され、照明対象物に対して照射された色刺激となる試験光の放射計測学的特性、測光学的特性が適切な範囲にあれば、発光装置の構成、材料等に制約はない。
本実施態様に係る発光装置を実施するための照明光源、当該照明光源を含む照明器具、当該照明光源や照明器具を含む照明システム等の発光装置は、青色半導体発光素子を含んでいる。
なお、上述した諸条件を満たし、本実施態様の効果が得られる場合には、半導体発光素子を含む照明光源は、青色半導体発光素子のほかに、たとえば緑色、赤色の種類の異なる
複数の半導体発光素子を1つの照明光源中に内包していてもよく、また、1つの照明光源の中には青色半導体発光素子を含み、異なる1つの照明光源中に緑色半導体発光素子を含み、さらに異なる1つの照明光源中に赤色半導体発光素子を含み、これらが照明器具の中でレンズ、反射鏡、駆動回路等とともに一体とされて照明システムに提供されてもよい。さらに、1つの照明器具中に1つの照明光源があり、この中に単体の半導体発光素子が内包されているような場合であって、単体の照明光源、照明器具としては本実施態様に係る発光装置を実施できないものの、照明システム中に存在する異なる照明器具からの光との加法混色によって、照明システムとして放射される光が、照明対象物の位置で所望の特性を満足するようにしてもかまわないし、照明システムとして放射される光のうち主たる放射方向の光が、所望の特性を満足するようにしてもかまわない。いずれのような形態であっても、照明対象物に最終的に照射される色刺激としての光が、又は、発光装置から出射される光のうち主たる放射方向の光が、本実施態様の適切な条件を満たせばよい。
以下は、前記の適切な条件を満たしたうえで、本実施態様に係る発光装置に関して記載する。
本実施態様に係る発光装置は、Λ1(380nm)からΛ2(495nm)の短波長領域内にピークを有する発光要素(発光材料)を有し、かつ、Λ2(495nm)からΛ3(590nm)の中間波長領域内にピークを有する別の発光要素(発光材料)を有し、さらに、Λ3(590nm)から780nmまでの長波長領域内にピークを有するさらに別な発光要素(発光材料)を有することが好ましい。これはそれぞれの発光要素を独立して強度設定あるいは強度制御することが、好ましい色の見えを容易に実現し得るからである。
よって、本実施態様に係る発光装置は、上記それぞれの3波長領域中に発光ピークを有する発光要素(発光材料)を少なくとも1種類ずつ有する。
なお、上述した諸条件を満たし、本実施態様の効果が得られる場合には、当該3波長領域の中の2領域には1種類ずつ、他の1領域は複数の発光要素(発光材料)を有していてもよく、さらに、当該3波長領域中の1領域には1種類の、他の2領域は複数の発光要素(発光材料)を有していてもよく、当該3波長領域のすべてにおいて、複数の発光要素を有していてもよい。
本実施態様では、半導体発光素子と蛍光体を自在に混合搭載することも可能であるが、少なくとも、青色発光素子と2種類(緑色、赤色)の蛍光体を1光源内に搭載する。また、上述した諸条件を満たし、本実施態様の効果が得られる場合には、青色発光素子と3種類(緑色、赤色1、赤色2)の蛍光体を1光源内に搭載してもよく、1つの光源の中に、青色発光素子と2種類(緑色、赤色)の蛍光体搭載している部分と、紫色発光素子と3種類の蛍光体(青色、緑色、赤色)を搭載している部分を内包させてもよい。
本実施態様に係る発光装置においては、各3波長領域内の発光要素(発光材料)は、ピーク部分の強度やピーク間の谷の強度を制御する観点から、すなわち適切な凹凸を分光分布に形成する観点から、以下の発光材料、蛍光体材料、半導体発光素子が発光要素として発光装置に内包することが好ましい。
まず、当該3波長領域の中のΛ1(380nm)からΛ2(495nm)の短波長領域においては、熱フィラメント等からの熱放射光、蛍光管、高圧ナトリウムランプ等からの放電放射光、レーザ等からの誘導放出光、半導体発光素子からの自然放出光、蛍光体からの自然放出光等あらゆる光源から出る光を含むことが可能である。この中でも半導体発光素子からの発光は、小型でエネルギー効率が高いことから、好ましい。
具体的には、以下を用いることができる。
半導体発光素子としては、サファイア基板上やGaN基板上に形成されたIn(Al)GaN系材料を活性層構造中に含む青色発光素子が好ましい。また、GaAs基板上に形成されたZn(Cd)(S)Se系材料を活性層構造中に含む青色発光素子も好ましい(好ましいピーク波長は、既に説明したとおりである。)。
なお、半導体発光素子や蛍光体等の発光要素(発光材料)の呈する放射束の分光分布や、そのピーク波長は、周辺温度、パッケージや灯具等の発光装置の放熱環境、注入電流、回路構成、あるいは場合によっては劣化等によって、若干変動するのが常である。
以下に述べる半導体発光素子や蛍光体等の発光要素(発光材料)の呈する放射束の分光分布やそのピーク波長についても、同様のことが言える。
活性層構造は、量子井戸層とバリア層を積層した多重量子井戸構造でも、あるいは比較的厚い活性層とバリア層(あるいはクラッド層)を含む一重あるいは二重ヘテロ構造でも、1つのpn接合からなるホモ接合であってもよい。
また、上述した諸条件を満たし、本実施態様の効果が得られる場合には、発光要素として、青色半導体レーザなどの半導体レーザを用いてもよい。
本実施態様に係る発光装置で用いる短波長領域の半導体発光素子は、その発光スペクトルの半値全幅が比較的広いことが好ましい。この観点で、短波長領域で用いる青色半導体発光素子の半値全幅は、5nm以上が好ましく、10nm以上がより好ましく、15nm以上が非常に好ましく、20nm以上が格段に好ましい。ただし、格段に広い発光スペクトルを有する場合もφSSL−BG−min/φSSL−BM−max、φSSL−BG−min/φSSL−RM−max等を制御しにくくなってしまい、分光分布φSSL(λ)の適切な位置に適切な大きさの凹凸を形成できなくなってしまう。このため、半値全幅は45nm以下が好ましく、40nm以下がより好ましく、35nm以下が非常に好ましく、30nm以下が格段に好ましい。
本実施態様に係る発光装置で用いる短波長領域の青色半導体発光素子は、In(Al)GaN系材料を活性層構造中に含むことが好ましいことから、サファイア基板上またはGaN基板上に形成された発光素子であることが好ましい。
また、基板の厚みは厚い場合か、青色半導体発光素子から完全に剥離されている場合のいずれかが好ましい。特にGaN基板上に短波長領域の青色半導体発光素子を作成した場合においては、GaN基板側壁からの光取り出しを助長するように、基板は厚いことが好ましく、100μm以上が好ましく、200μm以上がより好ましく、400μm以上が非常に好ましく、600μm以上が格段に好ましい。一方で素子作成上の便から基板厚みは2mm以下が好ましく、1.8mm以下がより好ましく、1.6mm以下が非常に好ましく、1.4mm以下が格段に好ましい。
一方サファイア基板上等に発光素子を作成した場合においては、レーザリフトオフ等の方法で基板を剥離しておくことが好ましい。このようにするとIn(Al)GaN系エピタキシャル層とサファイア基板の光学界面によって発生する内部反射がなくなり、光取り出し効率を向上させ得る。このため、このような発光素子を用いて本実施態様の発光装置を作製する事は、光源効率の向上につながるため、好ましい。
なお、上述した諸条件を満たし、本実施態様の効果が得られる場合には、本実施態様に係る発光装置は、短波長領域の蛍光体材料を含んでいてもよい。
なお、本実施態様においては、上述したφSSL(λ)は380nm以上405nm以下の範囲において発光要素由来の実効強度を有さないことが好ましい。ここで、「発光要素由来の実効強度を有さない」とは、φSSL(λ)が、当該範囲の波長λにおいて発光要素由来の強度を有する場合であっても、上述した諸条件を満たし本実施態様が奏効する場合をいう。さらに具体的には、φSSL(λ)の最大分光強度で規格化した当該波長範囲における発光要素由来の強度φSSL(λ)が、380nm以上405nm以下の任意の波長λにおいて、相対強度として、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下、非常に好ましくは3%以下、格段に好ましくは1%以下の場合をいう。
したがって、青色発光素子(例えば、発振波長が445nmから485nm程度の青色半導体レーザ等)等の青色発光要素を用いる本実施態様では、380nm以上405nm以下の範囲における発光要素由来の強度が上記相対強度の範囲内であれば、発光要素由来のノイズとして強度を有してもよい。
次いで、当該3波長領域の中のΛ2(495nm)からΛ3(590nm)の中間波長領域においては、熱フィラメント等からの熱放射光、蛍光管、高圧ナトリウムランプ等からの放電放射光、非線形光学効果を用いた二次高調波発生(SHG)等を含むレーザ等からの誘導放出光、半導体発光素子からの自然放出光、蛍光体からの自然放出光等あらゆる光源から出る光を含むことが可能である。この中でも特に光励起された蛍光体からの発光が好ましい。
なお、上述した諸条件を満たし、本実施態様の効果が得られる場合には、半導体発光素子からの発光、半導体レーザ、SHGレーザからの発光を含んでいてもよく、これらは小型で、エネルギー効率が高いことから、好ましい。
半導体発光素子としては、サファイア基板上あるいはGaN基板上のIn(Al)GaN系材料を活性層構造中に含む青緑発光素子(ピーク波長が495nmから500nm程度)、緑色発光素子(ピーク波長が500nmから530nm程度)、黄緑色発光素子(ピーク波長が530nmから570nm程度)、黄色発光素子(ピーク波長が570nmから580nm程度)などを挙げることができる。また、GaP基板上のGaPによる黄緑色発光素子(ピーク波長が530nmから570nm程度)、GaP基板上のGaAsPによる黄色発光素子(ピーク波長が570nmから580nm程度)などを挙げることができる。さらに、GaAs基板上のAlInGaPによる黄色発光素子(ピーク波長が570nmから580nm程度)などを挙げることができる。
本実施態様に係る発光装置に用いる中間波長領域の緑色蛍光体材料の具体例としては、Ce3+を付活剤としたアルミン酸塩、Ce3+を付活剤としたイットリウムアルミニウム酸化物、Eu2+付活アルカリ土類ケイ酸塩結晶、Eu2+付活アルカリ土類ケイ酸窒化物を母体とする緑色蛍光体がある。これらの緑色蛍光体は、通常、紫外〜青色半導体発光素子を用いて励起可能である。
Ce3+付活アルミン酸塩蛍光体の具体例には、下記一般式(4)で表される緑色蛍光体が挙げられる。
(Ce,Tb,Lu)(Ga,Sc)Al (4)
(一般式(4)において、a、b、c、d、eが、a+b=3、0≦b≦0.2、4.5≦c+d≦5.5、0.1≦c≦2.6、および10.8≦e≦13.4を満たす。)(一般式(4)で表されるCe3+付活アルミン酸塩蛍光体をG−YAG蛍光体と呼ぶ。)
特にG−YAG蛍光体においては、一般式(4)を満たす前記組成範囲を適宜選択可能である。さらに、蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長λPHOS−GM−maxと半値全幅WPHOS−GM−fwhmが、本実施態様の発光装置において好ましくなるのは以下の範囲である。
0.01≦b≦0.05かつ0.1≦c≦2.6である事が好ましく、
0.01≦b≦0.05かつ0.3≦c≦2.6である事がより好ましく、
0.01≦b≦0.05かつ1.0≦c≦2.6である事が非常に好ましい。
また、
0.01≦b≦0.03かつ0.1≦c≦2.6である事も好ましく、
0.01≦b≦0.03かつ0.3≦c≦2.6である事がより好ましく、
0.01≦b≦0.03かつ1.0≦c≦2.6である事が非常に好ましい。
Ce3+付活イットリウムアルミニウム酸化物系蛍光体の具体例には、下記一般式(5)で表される緑色蛍光体が挙げられる。
Lu(Ce,Tb,Y)(Ga,Sc)Al (5)
(一般式(5)において、a、b、c、d、eが、a+b=3、0≦b≦0.2、4.5≦c+d≦5.5、0≦c≦2.6、および10.8≦e≦13.4を満たす。)(一般式(5)で表されるCe3+付活イットリウムアルミニウム酸化物系蛍光体をLuAG蛍光体と呼ぶ。)
特にLuAG蛍光体においては、一般式(5)を満たす前記組成範囲を適宜選択可能である。さらには、蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長λPHOS−GM−maxと半値全幅WPHOS−GM−fwhmが、本実施態様の発光装置において好ましくなるのは以下の範囲である。
0.00≦b≦0.13である事が好ましく、
0.02≦b≦0.13である事がより好ましく、
0.02≦b≦0.10である事が非常に好ましい。
その他、下記一般式(6)および下記一般式(7)で表される緑色蛍光体が挙げられる。
(6)
(一般式(6)において、Mは2価の金属元素、Mは3価の金属元素、Mは4価の金属元素をそれぞれ示し、a、b、cおよびdが、2.7≦a≦3.3、1.8≦b≦2.2、2.7≦c≦3.3、11.0≦d≦13.0を満たす。)(一般式(6)で表される蛍光体をCSMS蛍光体と呼ぶ。)
なお、上記式(6)において、Mは2価の金属元素であるが、Mg、Ca、Zn、Sr、Cd、及びBaからなる群から選択された少なくとも1種であるのが好ましく、Mg、Ca、又はZnであるのが更に好ましく、Caが特に好ましい。この場合、Caは単独系でもよく、Mgとの複合系でもよい。また、Mは他の2価の金属元素を含んでいてもよい。
は3価の金属元素であるが、Al、Sc、Ga、Y、In、La、Gd、及びLuからなる群から選択された少なくとも1種であるのが好ましく、Al、Sc、Y、又はLuであるのが更に好ましく、Scが特に好ましい。この場合、Scは単独系でもよく、YまたはLuとの複合系でもよい。また、M2はCeを含むことを必須とし、Mは他の3
価の金属元素を含んでいてもよい。
は4価の金属元素であるが、少なくともSiを含むことが好ましい。Si以外の4価の金属元素Mの具体例としては、Ti、Ge、Zr、Sn、及びHfからなる群から選択された少なくとも1種であるのが好ましく、Ti、Zr、Sn、及びHfからなる群から選択された少なくとも1種であるのがより好ましく、Snであることが特に好ましい。特に、MがSiであることが好ましい。また、Mは他の4価の金属元素を含んでいてもよい。
特にCSMS蛍光体においては、一般式(6)を満たす前記組成範囲を適宜選択可能である。さらには、蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長λPHOS−GM
−maxと半値全幅WPHOS−GM−fwhmが、本実施態様の発光装置において好ましい範囲となるためには、Mに含まれるCeのM全体に占める割合の下限は0.01以上であることが好ましく、0.02以上であることがより好ましい。また、Mに含まれるCeのM全体に占める割合の上限は、0.10以下であることが好ましく、0.06以下であることがより好ましい。更に、M元素に含まれるMgのM全体に占める割合の下限は0.01以上であることが好ましく、0.03以上であることがより好ましい。一方、上限は0.30以下であることが好ましく、0.10以下であることがより好ましい。
さらに、下記一般式(7)で表される蛍光体が挙げられる。
(7)
(一般式(7)において、Mは少なくともCeを含む付活剤元素、Mは2価の金属元素、Mは3価の金属元素をそれぞれ示し、a、b、cおよびdが、0.0001≦a≦0.2、0.8≦b≦1.2、1.6≦c≦2.4、および3.2≦d≦4.8を満たす。)(一般式(7)で表される蛍光体をCSO蛍光体と呼ぶ。)
なお、上記式(7)において、Mは、結晶母体中に含有される付活剤元素であり、少なくともCeを含む。また、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、及びYbからなる群から選択された少なくとも1種の2〜4価の元素を含有させることができる。
は2価の金属元素であるが、Mg、Ca、Zn、Sr、Cd、及びBaからなる群から選択された少なくとも1種であるのが好ましく、Mg、Ca、又は、Srであるのが更に好ましく、Mの元素の50モル%以上がCaであることが特に好ましい。
は3価の金属元素であるが、Al、Sc、Ga、Y、In、La、Gd、Yb、及びLuからなる群から選択された少なくとも1種であるのが好ましく、Al、Sc、Yb、又はLuであるのが更に好ましく、Sc、又はScとAl、又はScとLuであるのがより一層好ましく、Mの元素の50モル%以上がScであることが特に好ましい。
及びMは、それぞれ2価及び3価の金属元素を表すが、M2及び/又はM3のごく一部を1価、4価、5価のいずれかの価数の金属元素としてもよく、さらに、微量の陰イオン、たとえば、ハロゲン元素(F、Cl、Br、I)、窒素、硫黄、セレンなどが、化合物の中に含まれていてもよい。
特にCSO蛍光体においては、一般式(7)を満たす前記組成範囲を適宜選択可能である。さらには、蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長λPHOS−GM−maxと半値全幅WPHOS−GM−fwhmが、本実施態様の発光装置において好ましくなるのは以下の範囲である。
0.005≦a≦0.200である事が好ましく、
0.005≦a≦0.012である事がより好ましく、
0.007≦a≦0.012である事が非常に好ましい。
さらに、Eu2+付活アルカリ土類ケイ酸塩結晶を母体とする蛍光体の具体例には、下記一般式(8)で表される緑色蛍光体が挙げられる。
CaSrMgEu iO (8)
(一般式(8)においてa、b、c、dおよびxが、a+b+c+d+x=2、1.0
≦ a ≦ 2.0、0 ≦ b < 0.2、0.2 ≦ c ≦1,0、0 ≦ d < 0.2および0 < x ≦ 0.5を満たす。)(一般式(8)で表されるアルカリ土類ケイ酸塩蛍光体をBSS蛍光体と呼ぶ。)
BSS蛍光体においては、一般式(8)を満たす前記組成範囲を適宜選択可能である。さらには、蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長λPHOS−GM−maxと半値全幅WPHOS−GM−fwhmが、本実施態様の発光装置において好ましくなるのは以下の範囲である。
0.20≦ c ≦1.00かつ0.25< x ≦ 0.50である事がより好ましく、
0.20≦ c ≦ 1.00かつ0.25<x ≦ 0.30である事が非常に好ましい。
さらに、
0.50≦ c ≦ 1.00かつ0.00<x ≦ 0.50である事が好ましく、
0.50≦ c ≦ 1.00かつ0.25<x ≦ 0.50である事がより好ましく、
0.50≦ c ≦ 1.00かつ0.25<x ≦ 0.30である事が非常に好ましい。
さらに、Eu2+付活アルカリ土類ケイ酸窒化物を母体とする蛍光体の具体例には、下記一般式(9)で表される緑色蛍光体が挙げられる。
(Ba,Ca,Sr,Mg,Zn,Eu)Si12 (9)
(これをBSON蛍光体と呼ぶ)。
BSON蛍光体においては、一般式(9)を満たす前記組成範囲を適宜選択可能である。さらには、蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長λPHOS−GM−maxと半値全幅WPHOS−GM−fwhmが、本実施態様の発光装置において好ましくなるのは以下の範囲である。
一般式(9)において選択できる2価金属元素(Ba,Ca,Sr,Mg,Zn,Eu
)のうち、BaとSrとEuの組合せとすることが好ましく、さらには、Baに対するSrの比率は10〜30%とすることがより好ましい。
また、上述した諸条件を満たし、本実施態様の効果が得られる場合には、その他、(Y1−uGd(Al1−vGa12:Ce,Eu(但し、u及びvはそれぞれ0≦u≦0.3、及び0≦v≦0.5を満たす。)で表されるイットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(これをYAG蛍光体と呼ぶ。)や、Ca1.5xLa3−XSi11:Ce(但し、xは、0≦x≦1)で表されるランタン窒化ケイ素蛍光体(これをLSN蛍光体と呼ぶ。)などの黄色蛍光体を含んでもよい。また、Eu2+付活サイアロン結晶を母体とするSi6−zAl8−z:Eu(ただし0<z<4.2)で表される狭帯域緑色蛍光体や(これをβ−SiAlON蛍光体と呼ぶ)を含んでもよい。ただし、前述のとおり、これら狭帯域緑色蛍光体、黄色蛍光体のみを中間波長領域の発光要素として発光装置を構成すると、照明対象物の所望の色の見えは実現困難となる。よって、本実施態様の発光装置においては、黄色蛍光体あるいは狭帯域緑色蛍光体等を、他の半導体発光素子、広帯域蛍光体等と組み合わせて使用する事は可能ではあるが、必ずしも好ましくない。中間波長領域の発光要素としては、広帯域緑色蛍光体を用いる事が好ましい。
したがって、本実施態様に係る発光装置では、実質的に黄色蛍光体を含まないことが好ましい。ここで、「実質的に黄色蛍光体を含まない」とは、黄色蛍光体を含む場合であっても、上述した諸条件を満たし、本実施態様が奏する効果が得られる場合をいい、蛍光体全重量に対する黄色蛍光体重量が、好ましくは7%以下、より好ましくは5%以下、非常に好ましくは3%以下、格段に好ましくは1%以下の場合をいう。
次いで、当該3波長領域の中のΛ3(590nm)から780nmの長波長領域においては、熱フィラメント等からの熱放射光、蛍光管、高圧ナトリウムランプ等からの放電放射光、レーザ等からの誘導放出光、半導体発光素子からの自然放出光、蛍光体からの自然放出光等あらゆる光源から出る光を含むことが可能である。この中でも特に光励起された蛍光体からの発光が好ましい。
なお、上述した諸条件を満たし、本実施態様の効果が得られる場合には、半導体発光素子からの発光、半導体レーザ、SHGレーザからの発光を含んでいてもよく、これらは小型で、エネルギー効率が高いことから、好ましい。
半導体発光素子としては、GaAs基板上に形成されたAlGaAs系材料、GaAs基板上に形成された(Al)InGaP系材料を活性層構造中に含む橙発光素子(ピーク波長が590nmから600nm程度)、赤色発光素子(600nmから780nm)などを挙げることができる。また、GaP基板上に形成されたGaAsP系材料を活性層構造中に含む赤色発光素子(600nmから780nm)などを挙げることができる。
本実施態様に係る発光装置に用いる長波長領域の蛍光体材料の具体例としては、Eu2+を付活剤とし、アルカリ土類ケイ窒化物、αサイアロンまたはアルカリ土類ケイ酸塩からなる結晶を母体とする蛍光体が挙げられる。この種の赤色蛍光体は、通常、紫外〜青色半導体発光素子を用いて励起可能である。
アルカリ土類ケイ窒化物結晶を母体とするものの具体例には、CaAlSiN:Euで表される蛍光体(これをCASN蛍光体と呼ぶ)、(Ca,Sr,Ba,Mg)AlSiN:Euおよび/または(Ca,Sr,Ba)AlSiN:Euで表される蛍光体(これをSCASN蛍光体と呼ぶ)、(CaAlSiN1−x(SiO):Eu(ただし、xは0<x<0.5)で表される蛍光体(これをCASON蛍光体と呼ぶ)、(Sr,Ca,Ba)AlSi5−x8−x:Eu(ただし0≦x≦2)で表される蛍光体、Eu(Sr,Ca,Ba)1−y:Al1+xSi4−x7−x(ただし0≦x<4、0≦y<0.2)で表される蛍光体が挙げられる。
その他、Mn4+付活フッ化物錯体蛍光体も挙げられる。Mn4+付活フッ化物錯体蛍光体は、Mn4+を付活剤とし、アルカリ金属、アミンまたはアルカリ土類金属のフッ化物錯体塩を母体結晶とする蛍光体である。母体結晶を形成するフッ化物錯体には、配位中心が3価金属(B、Al、Ga、In、Y、Sc、ランタノイド)のもの、4価金属(Si、Ge、Sn、Ti、Zr、Re、Hf)のもの、5価金属(V、P、Nb、Ta)のものがあり、その周りに配位するフッ素原子の数は5〜7である。
具体的には、Mn4+付活フッ化物錯体蛍光体は、アルカリ金属のヘキサフルオロ錯体塩を母体結晶とするA2+xMn(AはNaおよび/またはK;MはSiおよびAl;−1≦x≦1かつ0.9≦y+z≦1.1かつ0.001≦z≦0.4かつ5≦n≦7)などが挙げられる。この中でも、AがK(カリウム)またはNa(ナトリウム)から選ばれる1種以上で、MがSi(ケイ素)またはTi(チタン)であるもの、例えば、KSiF:Mn(これをKSF蛍光体と呼ぶ)、この構成元素の一部(好ましくは10モル%以下)をAlとNaで置換したKSi1−xNaAl:Mn、KTiF:Mn(これをKSNAF蛍光体と呼ぶ)などが挙げられる。
その他、下記一般式(10)で表される蛍光体、および下記一般式(11)で表される蛍光体も挙げられる。
(La1−x− S (10)
(一般式(10)において、x及びyはそれぞれ0.02≦x≦0.50及び0≦y≦0.50を満たす数を表し、LnはY、Gd、Lu、Sc、Sm及びErの少なくとも1種の3価希土類元素を表す。)(一般式(10)で表される酸硫化ランタン蛍光体をLOS蛍光体と呼ぶ。)
(k−x)MgO・xAF・GeO:yMn4+ (11)
(一般式(11)において、k、x、yは、各々、2.8≦k≦5、0.1≦x≦0.7、0.005≦y≦0.015を満たす数を表し、Aはカルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、亜鉛(Zn)、またはこれらの混合物である。)(一般式(11)で表されるジャーマネート蛍光体をMGOF蛍光体と呼ぶ。)
本実施態様においては、CASN蛍光体、CASON蛍光体、SCASN蛍光体のうち
1種のみを発光装置に含む構成は、光源効率を向上させるうえで好ましい。
一方で、KSF蛍光体、KSNAF蛍光体、LOS蛍光体、MGOF蛍光体は、その半値幅がそれぞれ、6nm程度、6nm程度、4nm程度、16nm程度と極端に狭いが、これら蛍光体を、CASN蛍光体、CASON蛍光体、SCASN蛍光体等と組み合わせて使用する事は、発光装置の分光分布φSSL(λ)に適切な範囲で凹凸を形成し得る場合があり、好ましい。
これらの発光要素の組み合わせは、それぞれの発光要素の有するピーク波長位置、半値全幅等が、視覚実験で被験者が好ましいとした色の見え、物体の見えを実現するうえで、非常に好都合である。
本実施態様に係る発光装置においては、これまで記載した発光要素(発光材料)を用いると、指標Acg、距離DuvSSL、値φSSL−BG−min/φSSL−BM−max、波長λSSL−RM−max等を所望の値に設定しやすくなるため、好ましい。また、当該光を色刺激としてとらえ、当該発光装置での照明を仮定した場合の当該15色票の色の見えと、計算用基準光での照明を仮定した場合の色の見えとの差に関するΔC、SATave、|ΔCmax−ΔCmin|、|Δh|も、上記記載の発光要素を用いると所望の値に設定しやすくなるため、好ましい。
本発明の第二の実施態様は、発光装置の設計方法である。本実施態様に係る設計方法によれば、「自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えを実現できる発光装置」の設計指針を提供することができる。すなわち、本発明の第一の実施態様の説明に沿って、発光装置を設計することで、「自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えを実現できる発光装置」が提供できる。すなわち、本発明の第二の実施態様については、第一の実施態様の説明がすべて援用され得る。
本発明の発光装置は、応用分野が非常に広く、特定の用途には限定されずに使用することが可能である。しかし、本発明の発光装置の特長に照らして、以下の分野への応用は好ましい。
例えば、本発明の発光装置により照明した場合には、旧来広く知られている発光装置と比較して、ほぼ同様のCCT、ほぼ同様の照度であっても、白色はより白く、自然に、心地よく見える。さらに、白、灰色、黒等の無彩色間の明度差も視認しやすくなる。
このために、例えば、一般の白色紙上の黒文字等が読みやすくなる。このような特長を生かし、読書灯、学習机用照明、事務用照明等の作業用照明に応用することは好ましい。さらに、作業内容によっては、工場等において、細かな部品の外観検査を行う、布地などにおいて近接した色の識別を行う、生肉の鮮度確認のための色確認を行う、限度見本に照らした製品検査を行う等も考えられる。加えて、本発明の発光装置を用いて照明した場合には、近接した色相における色識別が容易になり、あたかも高照度環境下の様な快適な作業環境を実現しうる。よってこのような観点でも作業用照明に適応することは好ましい。
さらに、特許第5252107号と特許第5257538号開示の発光装置と比較すると、本発明の発光装置により照明した場合には、発光装置の光源効率が高く、同等の電力を投入したとしても出射される光束は大きくなる。このために、通常の高さよりも高い天井面から照明対象物を照明する発光装置とする事は好適であり、発光装置の適応範囲はさらに広くなる。
さらには、色の識別能が上がるために、たとえば外科手術用光源、胃カメラ等に利用される光源等の医療用照明に応用することも好ましい。なぜなら、動脈血は酸素を多く含むため鮮紅色であるが、静脈血は二酸化炭素を多く含むため暗赤色である。両者は同じ赤色
であるが、その彩度が異なるため、良好な色の見え(彩度)を実現する本発明の発光装置により、動脈血と静脈血を用意に判別することが期待される。また、内視鏡のようなカラー画像情報では良好な色の表示が診断に大きな影響を持つことは明白であり、正常な部位と病変した部位を容易に見分けることなどが期待される。同様の理由から、製品の画像判定器などの工業用機器内の照明方法としても、好適に利用可能である。
本発明の発光装置により照明した場合には、照度が数千Lxから数百Lx程度であったとしても、紫色、青紫色、青色、青緑色、緑色、黄緑色、黄色、黄赤色、赤色、赤紫色などの大半の色、場合によってはすべての色について、たとえば晴れた日の屋外照度下のような数万lx程度の下で見たような真に自然な色の見えが実現される。また、中間的な彩度を有する、被験者(日本人)の肌色、各種食品、衣料品、木材色等も、多くの被験者がより好ましいと感じる、自然な色の見えとなる。
よって、本発明の発光装置を家庭用等の一般照明に応用したとすれば、食品は新鮮に、かつ、食欲をそそるように見え、新聞や雑誌等も見やすく、段差等の視認性も上がり家庭内の安全性向上にもつながると考えられる。よって、本発明の発光装置を家庭用照明に応用することは好ましい。また、衣料品、食品、車、かばん、靴、装飾品、家具等の展示物用照明としても好ましく、周辺から際立って視認させうる照明が可能である。前記の通り、特に特許第5252107号と特許第5257538号開示の発光装置と比較しても、本発明の発光装置により照明した場合には、発光装置の光源効率が高く、同等の電力を投入したとしても出射される光束は大きくなる。このため、通常の高さよりも高い天井面から照明対象物を照明する発光装置とする事は好適である。このような特性から本発明の発光装置を展示物用照明に適応する事は特に好ましい。
さらに、化粧品等の、色の微妙な差が購入の決め手となる物品の照明としても好ましい。白色のドレス等の展示物用照明として使用すると、同じ白色でも、青みがかった白、クリーム色に近い白などの、微妙な色の差が視認しやすくなるため、本人の希望通りの色を選択することが可能となる。さらには、結婚式場、劇場等での演出用照明としても好適で、純粋な白色のドレス等は純白に見え、歌舞伎等の着物、隈取等もはっきりと見えるようになる。さらに肌色も際立ち好ましい。このような照明とする際にも、光源効率の高い本発明の発光装置は、遠距離からの照明が可能であるため、本発明の発光装置を演出用照明に適応する事は特に好ましい。
また、美容室の照明として使用すると、毛髪をカラー処理する場合、屋外で見たときと齟齬がないような色にすることが可能となり、染めすぎや染め不足を防ぐことができる。
さらに、白色がより白色に見え、無彩色の識別が容易になり、かつ、有彩色も自然な鮮やかさになることから、限られた一定の空間において、多くの種類の活動がなされる場所における光源としても好適である。例えば、航空機内の客席では、読書もなされ、仕事もなされ、食事も行われる。さらに電車、長距離バス等においても事情は類似している。このような交通機関の内装用照明として、本発明の発光装置は好適に利用可能である。
さらに、白色がより白色に見え、無彩色の識別が容易になり、かつ、有彩色も自然な鮮やかさになることから、美術館等における絵画等を屋外で視認したような自然な色調に照明することが可能であって、美術品用照明としても、本発明の発光装置は好適に利用可能である。
一方で、本発明の発光装置は高齢者用照明としても好適に利用可能である。すなわち、細かな文字が通常の照度下で見えにくい、段差等が見えにくい等の場合であっても、本発明の発光装置を適用することで、無彩色間、あるいは有彩色間の識別が容易になるため、これらの問題を解決可能である。よって、老人ホームや病院の待合室、書店や図書館等の不特定多数の方が利用する公共施設等における照明にも好適に利用可能である。このよう
な照明とする際には、照度そのものを適切な範囲で高くする事も必要であるが、高光源効率な本発明の発光装置は、同等の投入電力であっても照明面の照度を高くする事が可能である。よって、本発明の発光装置を高齢者用照明に適応する事は特に好ましい。
さらに、各種の事情で比較的低照度になりがちな照明環境に適応して、視認性を確保する応用においても、本発明の発光装置は好適に利用可能である。
例えば、街灯、車のヘッドライト、足元灯に応用し、従来光源を用いた場合よりも各種の視認性を向上させることも好ましい。

Claims (14)

  1. 少なくとも、発光要素として、
    青色半導体発光素子、
    緑色蛍光体、および、
    赤色蛍光体を有する発光装置であって、
    前記発光装置から主たる放射方向に出射される光は、以下の条件1、条件3、条件、及び条件Iから条件IVのすべてを満たすことを特徴とする発光装置。
    条件1:
    波長をλとし、前記発光装置から前記主たる放射方向に出射される光の分光分布をφSSL(λ)、
    前記発光装置から前記主たる放射方向に出射される光の相関色温度TSSLに応じて選択される基準の光の分光分布をφref(λ)、
    前記発光装置から前記主たる放射方向に出射される光の三刺激値を(XSSL、YSSL、ZSSL)、
    前記発光装置から前記主たる放射方向に出射される光のTSSLに応じて選択される基準の光の三刺激値を(Xref、Yref、Zref)とし、
    前記発光装置から前記主たる放射方向に出射される光の規格化分光分布SSSL(λ)と、前記発光装置から前記主たる放射方向に出射される光のTSSL(K)に応じて選択される基準の光の規格化分光分布Sref(λ)と、これら規格化分光分布の差ΔS(λ)をそれぞれ、
    SSL(λ)=φSSL(λ)/YSSL
    ref(λ)=φref(λ)/Yref
    ΔS(λ)=Sref(λ)−SSSL(λ)
    と定義し、
    波長380nm以上780nm以下の範囲で、前記SSSL(λ)の最長波長極大値を与える波長をλSSL−RL−max(nm)とした際に、前記λSSL−RL−maxよりも長波長側にSSSL(λSSL−RL−max)/2となる波長Λ4が存在する場合においては、
    下記数式(1)で表される指標Acgが、
    −10.0 < Acg ≦ 120.0
    であり、
    一方、波長380nm以上780nm以下の範囲で、前記SSSL(λ)の最長波長極大値を与える波長をλSSL−RL−max(nm)とした際に、前記λSSL−RL−maxよりも長波長側にSSSL(λSSL−RL−max)/2となる波長Λ4が存在しない場合においては、
    下記数式(2)で表される指標Acgが、
    −10.0 < Acg ≦ 120.0
    である。
    条件3:
    前記光の分光分布φSSL(λ)は、430nm以上495nm以下の範囲における分光強度の最大値をφSSL−BM−max、465nm以上525nm以下の範囲における分光強度の最小値をφSSL−BG−minと定義した際に、
    0.2250 ≦ φSSL−BG−min/φSSL−BM−max ≦ 0.7000
    である。
    条件5:
    前記光の分光分布φ SSL (λ)において、前記φ SSL−BM−max を与える波長λ SSL−BM−max が、
    430(nm) ≦ λ SSL−BM−max ≦ 480(nm)
    である。
    条件I:
    前記発光装置から前記主たる放射方向に出射される光による照明を数学的に仮定した場合の#01から#15の下記15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L色空間におけるa値、b値をそれぞれa nSSL、b nSSL(ただしnは1から15の自然数)とし、
    前記主たる放射方向に出射される光の相関色温度TSSL(K)に応じて選択される基準の光での照明を数学的に仮定した場合の前記15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L色空間におけるa値、b値をそれぞれa nref、b nref(ただしnは1から15の自然数)とした場合に、飽和度差ΔCが、
    −4.00 ≦ ΔC≦ 8.00 (nは1から15の自然数)
    である。
    条件II:
    下記式(3)で表される前記飽和度差の平均が、
    である。
    条件III:
    前記飽和度差の最大値をΔCmax、前記飽和度差の最小値をΔCminとした場合に、前記飽和度差の最大値と、前記飽和度差の最小値との間の差|ΔCmax−ΔCmin|が、
    2.00 ≦ |ΔCmax−ΔCmin| ≦ 10.00
    である。
    ただし、ΔC=√{(a nSSL+(b nSSL}−√{(a nref+(b nref}とする。
    15種類の修正マンセル色票
    #01 7.5 P 4 /10
    #02 10 PB 4 /10
    #03 5 PB 4 /12
    #04 7.5 B 5 /10
    #05 10 BG 6 / 8
    #06 2.5 BG 6 /10
    #07 2.5 G 6 /12
    #08 7.5 GY 7 /10
    #09 2.5 GY 8 /10
    #10 5 Y 8.5/12
    #11 10 YR 7 /12
    #12 5 YR 7 /12
    #13 10 R 6 /12
    #14 5 R 4 /14
    #15 7.5 RP 4 /12
    条件IV:
    前記発光装置から前記主たる放射方向に出射される光による照明を数学的に仮定した場合の前記15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L色空間における色相角をθnSSL(度)(ただしnは1から15の自然数)とし、
    前記主たる放射方向に出射される光の相関色温度TSSLに応じて選択される基準の光での照明を数学的に仮定した場合の前記15種類の修正マンセル色票のCIE 1976
    色空間における色相角をθnref(度)(ただしnは1から15の自然数)とした場合に、色相角差の絶対値|Δh|が、
    0.00 度 ≦ |Δh| ≦ 12.50 度 (nは1から15の自然数)
    である。
    ただし、Δh=θnSSL−θnrefとする。
  2. 請求項1に記載の発光装置であって、
    前記φ SSL (λ)から導出される波長380nm以上780nm以下の範囲の放射効率K(lm/W)が条件7を満たすことを特徴とする発光装置。
    条件7:
    210.0 lm/W ≦ K ≦ 290.0 lm/W
    である。
  3. 請求項1又は2に記載の発光装置であって、
    前記T SSL (K)が条件8を満たすことを特徴とする発光装置。
    条件8:
    2600 K ≦ T SSL ≦ 7700 K
    である。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の発光装置であって、
    前記φ SSL (λ)は380nm以上405nm以下の範囲において前記発光要素由来の実効強度を有さないことを特徴とする発光装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の発光装置であって、
    前記青色半導体発光素子は、前記青色半導体発光素子単体のパルス駆動時のドミナント波長λ CHIP−BM−dom が445nm以上475nm以下であることを特徴とする発光装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の発光装置であって、
    前記緑色蛍光体は広帯域緑色蛍光体であることを特徴とする発光装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の発光装置であって、
    前記緑色蛍光体は、前記緑色蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長λ PHOS−GM−max が511nm以上543nm以下であり、
    その半値全幅W PHOS−GM−fwhm が90nm以上110nm以下であることを特徴とする発光装置。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の発光装置であって、
    前記発光装置は、実質的に黄色蛍光体を含まないことを特徴とする発光装置。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の発光装置であって、
    前記赤色蛍光体は、前記赤色蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長λ PHOS−RM−max が622nm以上663nm以下であり、
    その半値全幅W PHOS−RM−fwhm が80nm以上105nm以下であることを特徴とする発光装置。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の発光装置であって、
    前記青色半導体発光素子は、AlInGaN系発光素子であることを特徴とする発光装置。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の発光装置であって、
    前記緑色蛍光体は、Ca (Sc,Mg) Si 12 :Ce(CSMS蛍光体)、CaSc :Ce(CSO蛍光体)、Lu Al 12 :Ce(LuAG蛍光体)、またはY (Al,Ga) 12 :Ce(G−YAG蛍光体)であることを特徴とする発光装置。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の発光装置であって、
    前記赤色蛍光体は(Sr,Ca)AlSiN :Eu(SCASN蛍光体)、CaAlSi(ON) :Eu(CASON蛍光体)、またはCaAlSiN :Eu(CASN蛍光体)を含むことを特徴とする発光装置。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の発光装置であって、
    前記青色半導体発光素子は、前記青色半導体発光素子単体のパルス駆動時のドミナント
    波長λ CHIP−BM−dom が452.5nm以上470nm以下であるAlInGaN系発光素子であり、
    前記緑色蛍光体は、前記緑色蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長λ PHOS−GM−max が515nm以上535nm以下で、その半値全幅W PHOS−GM−fwhm が90nm以上110nm以下であることを特徴とするCaSc :Ce(CSO蛍光体)またはLu Al 12 :Ce(LuAG蛍光体)であり、
    前記赤色蛍光体は、前記赤色蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値λ PHOS−RM−max を与える波長が640nm以上663nm以下で、その半値全幅W PHOS−RM−fwhm が80nm以上105nm以下であることを特徴とするCaAlSi(ON) :Eu(CASON蛍光体)またはCaAlSiN :Eu(CASN蛍光体)である
    ことを特徴とする発光装置。
  14. 請求項1〜13のいずれか1項に記載の発光装置が、パッケージ化LED、チップオンボード型LED、LEDモジュール、LED電球、LED照明器具、またはLED照明システムであることを特徴とする発光装置。
JP2018112587A 2013-12-27 2018-06-13 発光装置及び発光装置の設計方法 Active JP6584591B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013272763 2013-12-27
JP2013272763 2013-12-27

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014159784A Division JP6356005B2 (ja) 2013-12-27 2014-08-05 発光装置及び発光装置の設計方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018147895A JP2018147895A (ja) 2018-09-20
JP6584591B2 true JP6584591B2 (ja) 2019-10-02

Family

ID=53889105

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014159784A Active JP6356005B2 (ja) 2013-12-27 2014-08-05 発光装置及び発光装置の設計方法
JP2018112587A Active JP6584591B2 (ja) 2013-12-27 2018-06-13 発光装置及び発光装置の設計方法

Family Applications Before (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014159784A Active JP6356005B2 (ja) 2013-12-27 2014-08-05 発光装置及び発光装置の設計方法

Country Status (1)

Country Link
JP (2) JP6356005B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6141948B2 (ja) * 2015-11-30 2017-06-07 大電株式会社 紫外線発光蛍光体、発光素子、及び発光装置
JP6929296B2 (ja) * 2016-10-17 2021-09-01 シチズン電子株式会社 モバイルデバイス
US10401682B2 (en) * 2017-01-25 2019-09-03 Innolux Corporation Display device capable of generating color of light close to or identical to blue primary color of DCI-P3 color gamut
WO2018155665A1 (ja) * 2017-02-27 2018-08-30 シチズン電子株式会社 半導体発光装置及び照明装置
US20200396815A1 (en) * 2017-04-20 2020-12-17 Citizen Electronics Co., Ltd. Lighting system for lighting space where display item is displayed, and lighting method

Family Cites Families (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6252254B1 (en) * 1998-02-06 2001-06-26 General Electric Company Light emitting device with phosphor composition
JP2008112811A (ja) * 2006-10-30 2008-05-15 Kyocera Corp 発光装置の製造方法
US8384092B2 (en) * 2007-08-30 2013-02-26 Nichia Corporation Light emitting device
JP2010232529A (ja) * 2009-03-27 2010-10-14 Toyoda Gosei Co Ltd 発光装置及びバックライト装置
JP2011181579A (ja) * 2010-02-26 2011-09-15 Panasonic Corp 発光装置、及びこれを用いた照明光源、表示装置ならびに電子機器
WO2011108053A1 (ja) * 2010-03-01 2011-09-09 パナソニック株式会社 Ledランプおよびled照明装置
JP2012060097A (ja) * 2010-06-25 2012-03-22 Mitsubishi Chemicals Corp 白色半導体発光装置
EP2629341B8 (en) * 2010-10-15 2020-04-08 Mitsubishi Chemical Corporation White light emitting device and lighting device
EP2672532B1 (en) * 2011-02-03 2019-05-22 Panasonic Intellectual Property Management Co., Ltd. Led module and illumination device
JP5252107B2 (ja) * 2011-09-02 2013-07-31 三菱化学株式会社 照明方法及び発光装置
JP5257538B2 (ja) * 2011-09-02 2013-08-07 三菱化学株式会社 照明方法及び発光装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018147895A (ja) 2018-09-20
JP6356005B2 (ja) 2018-07-11
JP2015144231A (ja) 2015-08-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6811804B2 (ja) 照明方法及び発光装置
JP6567112B2 (ja) 照明方法及び発光装置
JP6584591B2 (ja) 発光装置及び発光装置の設計方法
JP6584030B2 (ja) 照明方法及び発光装置
JP6820064B2 (ja) 半導体発光素子を含む発光装置、発光装置の設計方法、発光装置の駆動方法、および照明方法
JP2014197536A (ja) 発光装置及び発光装置の製造方法
WO2015099115A1 (ja) 発光装置及び発光装置の設計方法
JP6356018B2 (ja) 発光装置及び発光装置の製造方法
JP6666064B2 (ja) 半導体発光素子を含む発光装置、および照明方法
JP2014170853A (ja) 発光装置及び照明方法
JP6673983B2 (ja) 発光装置及び発光装置の製造方法
JP2014049319A (ja) 発光装置及び照明方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180712

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180712

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190726

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190806

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190903

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6584591

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250