JP2014170853A - 発光装置及び照明方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ピーク波長が390−425nm付近にある紫色LEDを含む発光装置において、色の見え、光源効率等を高い次元で最適化することを目的とする。
【解決手段】発光装置から主たる放射方向に出射される光の分光分布から求められるDuvを適切な範囲とし、かつ、φSSL(λ)/φSSL(λ)を適切な範囲とした発光装置とする。
【選択図】図51

Description

本発明は少なくとも395nm以上420nm未満の波長域に極大を有する半導体発光素子を発光要素として備える発光装置と、当該発光装置に関する設計方法、さらに当該発光装置による照明方法に関する。
近年、GaN系半導体発光素子の高出力化、高効率化は目覚ましく進展している。また、半導体発光素子、もしくは、電子線を励起源とした各種蛍光体の高効率化も盛んに研究されている。これらの結果、旧来のものに比較して、現在の光源、光源を含む光源モジュール、光源モジュールを含む器具、器具を含むシステム等の発光装置は急速に省電力化している。
たとえば、GaN系青色発光素子を黄色蛍光体の励起光源として内在させ、かつ、当該GaN系青色発光素子のスペクトルと当該黄色蛍光体のスペクトルから、いわゆる擬似白色光源を作り、照明用光源、または、これを内在させた照明用器具、さらには、空間内で当該器具を複数配置させた照明システムとすることが広く行われている。(特許文献1参照)
これら形態にしうる照明用光源の一種であるパッケージ化されたLED(たとえばパッケージ材中に、当該GaN系青色発光素子、黄色蛍光体、封止剤等を含む)は、6000K程度の相関色温度(Correlated Color Temperature/CCT)領域で、パッケージLEDとしての光源効率が150lm/Wを超える商品もある。(非特許文献2参照)
さらに、液晶バックライト用光源等も同様に高効率化、省電力化が進展している。
しかし、これらの高効率化を目指した発光装置は、色の見えに対する配慮は不十分であることが各方面から指摘されている。特に照明用途として用いた場合には、光源/器具/システム等の発光装置の高効率化とともに、物体を照らした際の「色の見え(Color
appearance)」は非常に重要である。
これらに配慮する試みとしては、国際照明委員会(Commission Internationale de I’Eclairage/CIE)で確立された演色評価数(Colour Rendering Index/CRI)(CIE(13.3))のスコアを向上させるべく、青色発光素子のスペクトルと黄色蛍光体のスペクトルに対して赤色蛍光体や赤色半導体発光素子のスペクトルを重畳させる試み等がなされている。例えば、赤色源を含まない場合の典型的なスペクトル(CCT=6800K程度)では、平均演色評価数(R)と、鮮やかな赤色の色票に対する特殊演色評価数(R)はそれぞれR=81、R=24であるが、赤色源を含む場合にはR=98、R=95と演色評価数のスコアを上げることができる。(特許文献2参照)
また、別の試みとしては、特に特殊照明用途において、発光装置から発せられるスペクトルを調整し、物体の色の見えを所望の色を基調とすることもなされている。例えば、非特許文献1には赤色基調となる照明光源が記載されている。
特許第3503139号公報 WO2011/024818号パンフレット
"一般蛍光灯 ミートくん"、[online]、プリンス電機株式会社、[平成23年5月16日検索]、インターネット<URL:http://www.prince-d.co.jp/pdct/docs/pdf/catalog_pdf/fl_nrb_ca2011.pdf> "LEDs MAGAZINE"、[平成23年8月22日検索]、インターネット<URL:<http://www.ledsmagazine.com/news/8/8/2>>
演色評価数は、評価対象となる発光装置の光(試験光)が有するCCTに対応させて選択される「基準の光」で照明した色の見えに対して、試験光で照明した場合の色の見えがいかに近接しているかを示す指標である。すなわち、演色評価数は評価対象となる発光装置の忠実度を示す指標である。しかし、近年の研究から平均演色評価数(R)や特殊演色評価数(R(iは1から14、日本においてはJISの規定によりiは1から15))が高いことは、必ずしも人間に対して良好な色の知覚を誘発する訳ではないことが明らかになりつつある。すなわち、演色評価数のスコアを向上させるこれらの手法は、必ずしも良好な色の見えを実現する訳ではないという問題がある。
さらに、色の見えが照明される物体の照度によって変化する効果は、現在の種々の演色評価指標(color rendition metric)には含まれていない。通常10000lx程度以上の照度である屋外で見た鮮やかな花の色が、500lx程度の室内に持ち込むと、本来同じ色であるにも関わらず、色がくすんで彩度が下がった別物のように見えることは通常経験される。一般には、物体の色の見えに関する飽和度は照度に依存し、たとえ照明している分光分布が同一であったとしても、照度が下がると飽和度は下がる。すなわち、色の見えはくすむ。これはハント効果(Hunt effect)として知られている。
ハント効果は演色性に大きく影響を与えるものの、現状の光源、器具、システム等の発光装置全般の評価には積極的には考慮されない。また、最も単純なハント効果の補償方法は、室内照度を極端に上げていくことであるが、これはエネルギー消費量を不要に増大させてしまう。また、具体的にどのようにすれば、室内照明環境程度の照度で、屋外で見たような、自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えを実現できるかは、明らかとされていない。
一方、飲食店用、食品照明用等の特殊照明用に、例えば赤色の彩度を上げる方向にスペクトルを調整した光においては、基準光と比較して、黄色が赤みかかって見える、青色が緑かかって見えるなどの色相(角)ずれが大きくなる等の問題があった。すなわち、照明対象として限定されたもの以外の色の見えは自然でなくなってしまう。また、このような光で白色の物体を照らした場合には、白色物体そのものが着色し、白色に見えないという問題もあった。
本発明者は、上記のような課題を解決するために、特願2011−223472などにおいて、細かな作業をするような場合も含め5000lx程度以下、あるいは一般的には1500lx程度以下である室内照度環境下において、人間の知覚する色の見えが、様々な演色評価指標(color rendition metric)のスコアによらず、屋外の高照度環境下で見たような、自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えを実現できる照明方法、及び、照明光源、照明器具、照明システム等の発光装置全般の発明に到達している。本発明者は、同時に快適な照明環境を高効率で実
現する照明方法にも到達している。さらに本発明者はそのような好ましい発光装置の設計指針にも到達している。
一方、前述のとおり、LEDを含む光源においては、青色LEDによって黄色蛍光体を励起して白色化すること、また、緑色蛍光体、赤色蛍光体を励起し白色化することが広く行われている。さらに、ピーク波長が390−425nm付近にある紫色LEDを用いて、青色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体を励起して白色化する方法も知られている。ここで、前者に対して後者は、その分光分布がより広いことから、色設計の自由度が高く、分光分布を十分に最適化することで、より自然で、より生き生きとした、より視認性の高い、より快適な、色の見え、物体の見えを実現できると考えられる。また、この際に光源効率を可能な限り高いものとすることも重要である。しかし、これらを両立するための指針は明らかとなっていない。
本発明は、上記本発明者が既に到達した発明に加えて、特に紫励起LEDを含む発光装置において、色の見え、光源効率等を高い次元で最適化することを主な課題とした。
上記目的を達成するため、本発明の第一の実施態様は以下の事項に関する。
[1]少なくとも、395nm以上420nm未満の波長域に極大を有する半導体発光素子を発光要素として備える発光装置であって、
波長をλ(nm)とし、
当該発光装置から主たる放射方向に出射される光の分光分布をφSSL(λ)、395nm以上420nm未満における当該発光装置の極大を与える波長をλ(nm)、380nm以上780nm以内の範囲で、φSSL(λ)の最長波長極大値を与える波長をλ(nm)とした際に、
前記発光装置から当該放射方向に出射される光は、ANSI C78.377で定義される黒体放射軌跡からの距離DuvSSLが、−0.0350 ≦ DuvSSL ≦ −0.0040となる光を含み、
0.30≦φSSL(λ)/φSSL(λ)≦1.40
を満たすことを特徴とする発光装置。
[2][1]に記載の発光装置であって、0.39≦φSSL(λ)/φSSL(λ)≦1.22を満たすことを特徴とする発光装置。
[3][1]または[2]に記載の発光装置であって、0.58≦φSSL(λ)/φSSL(λ)≦1.11を満たすことを特徴とする発光装置。
[4][1]から[3]のいずれかに記載の発光装置であって、
前記φSSL(λ)から導出される光の相関色温度TSSL(K)に応じて選択される基準の光の分光分布をφref(λ)、前記発光装置から当該放射方向に出射される光の三刺激値を(XSSL、YSSL、ZSSL)、前記発光装置から当該放射方向に出射される光の相関色温度TSSL(K)に応じて選択される基準の光の三刺激値を(Xref、Yref、Zref)とし、
前記発光装置から当該放射方向に出射される光の規格化分光分布SSSL(λ)と、前記発光装置から当該放射方向に出射される光の相関色温度TSSL(K)に応じて選択される基準の光の規格化分光分布Sref(λ)と、これら規格化分光分布の差ΔS(λ)をそれぞれ、
SSL(λ)=φSSL(λ)/YSSL
ref(λ)=φref(λ)/Yref
ΔS(λ)=Sref(λ)−SSSL(λ)
と定義し、
波長380nm以上780nm以内の範囲で、λよりも長波長側にSSSL(λ)/2となる波長Λ4が存在し、
下記数式(1)で表される指標Acgが、−360 ≦ Acg ≦ −10を満たす
ことを特徴とする発光装置。
[5][1]から[3]のいずれかに記載の発光装置であって、
前記φSSL(λ)から導出される光の相関色温度TSSL(K)に応じて選択される基準の光の分光分布をφref(λ)、前記発光装置から当該放射方向に出射される光の三刺激値を(XSSL、YSSL、ZSSL)、前記発光装置から当該放射方向に出射される光の相関色温度TSSL(K)に応じて選択される基準の光の三刺激値を(Xref、Yref、Zref)とし、
前記発光装置から当該放射方向に出射される光の規格化分光分布SSSL(λ)と、前記発光装置から当該放射方向に出射される光の相関色温度TSSL(K)に応じて選択される基準の光の規格化分光分布Sref(λ)と、これら規格化分光分布の差ΔS(λ)をそれぞれ、
SSL(λ)=φSSL(λ)/YSSL
ref(λ)=φref(λ)/Yref
ΔS(λ)=Sref(λ)−SSSL(λ)
と定義し、
波長380nm以上780nm以内の範囲で、λよりも長波長側にSSSL(λ)/2となる波長Λ4が存在せず、
下記数式(2)で表される指標Acgが、−360 ≦ Acg ≦ −10を満たすことを特徴とする発光装置。

[6][4]または[5]に記載の発光装置であって、
前記発光装置から当該放射方向に出射される光が以下の(1)及び(2)を満たすことを特徴とする発光装置。
(1)前記発光装置から当該放射方向に出射される光による照明を数学的に仮定した場合の#01から#15の下記15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L***色空間におけるa*値、b*値をそれぞれa* nSSL、b* nSSL(ただしnは1から15の自然数)とし、
当該放射方向に出射される光の相関色温度TSSL(K)に応じて選択される基準の光での照明を数学的に仮定した場合の当該15種類の修正マンセル色票のCIE 1976
***色空間におけるa*値、b*値をそれぞれa* nref、b* nref(ただしnは1から15の自然数)とした場合に、飽和度差ΔC
−3.8 ≦ ΔC≦ 18.6 (nは1から15の自然数)
を満たし、下記式(3)で表される飽和度差の平均が下記式(4)を満たし、
かつ飽和度差の最大値をΔCmax、飽和度差の最小値をΔCminとした場合に、飽和度差の最大値と、飽和度差の最小値との間の差ΔCmax−ΔCmin
2.8 ≦ (ΔCmax−ΔCmin) ≦ 19.6
を満たす。
ただし、ΔCn=√{(a* nSSL+(b* nSSL}−√{(a* nref+(b* nref}とする。
15種類の修正マンセル色票
#01 7.5 P 4 /10
#02 10 PB 4 /10
#03 5 PB 4 /12
#04 7.5 B 5 /10
#05 10 BG 6 / 8
#06 2.5 BG 6 /10
#07 2.5 G 6 /12
#08 7.5 GY 7 /10
#09 2.5 GY 8 /10
#10 5 Y 8.5/12
#11 10 YR 7 /12
#12 5 YR 7 /12
#13 10 R 6 /12
#14 5 R 4 /14
#15 7.5 RP 4 /12
(2)前記発光装置から当該放射方向に出射される光による照明を数学的に仮定した場合の上記15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L***色空間における色相角をθnSSL(度)(ただしnは1から15の自然数)とし、
当該放射方向に出射される光の相関色温度TSSL(K)に応じて選択される基準の光での照明を数学的に仮定した場合の当該15種類の修正マンセル色票のCIE 1976
***色空間における色相角をθnref(度)(ただしnは1から15の自然数)とした場合に、色相角差の絶対値|Δh|が
0 ≦ |Δh| ≦ 9.0(度)(nは1から15の自然数)
を満たす。
ただし、Δh=θnSSL−θnrefとする。
[7][1]〜[6]のいずれかに記載の発光装置であって、
前記発光装置から当該放射方向に出射される光は、分光分布φSSL(λ)から導出される波長380nm以上780nm以下の範囲の放射効率K(lm/W)が
180(lm/W) ≦ K(lm/W) ≦ 320(lm/W)
を満たすことを特徴とする発光装置。
[8][6]に記載の発光装置であって、前記色相角差の絶対値|Δh|が
0.0003 ≦ |Δh| ≦ 8.3(度)(nは1から15の自然数)
を満たすことを特徴とする発光装置。
[9][6]に記載の発光装置であって、前記一般式(3)で表される飽和度差の平均が下記式(4)´を満たすことを特徴とする発光装置。
(4)´
[10][6]に記載の発光装置であって、前記飽和度差ΔC
−3.4 ≦ ΔC ≦ 16.8 (nは1から15の自然数)
を満たすことを特徴とする発光装置。
[11][6]に記載の発光装置であって、前記飽和度差の最大値と、前記飽和度差の最小値との間の差ΔCmax−ΔCmin
3.2 ≦ (ΔCmax−ΔCmin) ≦ 17.8
を満たすことを特徴とする発光装置。
[12][1]〜[11]のいずれかに記載の発光装置であって、
前記発光装置から当該放射方向に出射される光は、黒体放射軌跡からの距離DuvSSL
−0.0250 ≦ DuvSSL ≦ −0.0100
を満たすことを特徴とする発光装置。
[13][4]〜[12]のいずれかに記載の発光装置であって、前記数式(1)または(2)で表される指標Acg
−322 ≦ Acg ≦ −12
を満たすことを特徴とする発光装置。
[14][1]〜[13]のいずれかに記載の発光装置であって、
前記発光装置から当該放射方向に出射される光は、分光分布φSSL(λ)から導出される波長380nm以上780nm以下の範囲の放射効率K(lm/W)が、
206(lm/W) ≦ K(lm/W) ≦ 288(lm/W)
を満たすことを特徴とする発光装置。
[15][1]〜[14]のいずれかに記載の発光装置であって、前記相関色温度TSSL(K)が
2550(K) ≦ TSSL(K) ≦ 5650(K)
を満たすことを特徴とする発光装置。
[16][1]〜[15]のいずれかに記載の発光装置であって、前記発光装置から当該放射方向に出射される光が対象物を照明する照度が150lx以上5000lx以下であることを特徴とする発光装置。
[17][1]〜[16]のいずれかに記載の発光装置であって、前記発光装置は1種類以上6種類以下の発光要素から出射される光を当該放射方向に発することを特徴とする発光装置。
[18][1]〜[17]のいずれかに記載の発光装置であって、前記発光装置は発光要素として複数種類の半導体発光素子を含み、前記半導体発光素子の発光スペクトルのピーク波長が380nm以上495nm未満であって、かつ、半値全幅が2nm以上45nm以下であることを特徴とする発光装置。
[19][18]に記載の発光装置であって、前記半導体発光素子の発光スペクトルのピーク波長が420nm以上455nm未満であることを特徴とする発光装置。
[20][18]に記載の発光装置であって、当該半導体発光素子の発光スペクトルのピーク波長が455nm以上485nm未満であることを特徴とする発光装置。
[21][1]〜[17]のいずれかに記載の発光装置であって、前記発光装置は発光要素として複数種類の半導体発光素子を含み、前記半導体発光素子の発光スペクトルのピーク波長が495nm以上590nm未満であって、かつ、半値全幅が2nm以上75nm以下であることを特徴とする発光装置。
[22][1]〜[17]のいずれかに記載の発光装置であって、前記発光装置は発光要素として複数種類の半導体発光素子を含み、前記半導体発光素子の発光スペクトルのピーク波長が590nm以上780nm未満であって、かつ、半値全幅が2nm以上30nm以下であることを特徴とする発光装置。
[23][1]〜[17]のいずれかに記載の発光装置であって、前記半導体発光素子はサファイア基板、GaN基板、GaAs基板、GaP基板からなる群から選択されるいずれかの基板上で作成されたことを特徴とする発光装置。
[24][1]〜[17]のいずれかに記載の発光装置であって、前記半導体発光素子はGaN基板、またはGaP基板上で作成され、かつ前記基板の厚みが100μm以上2mm以下であることを特徴とする発光装置。
[25][1]〜[18]のいずれかに記載の発光装置であって、前記半導体発光素子はサファイア基板、またはGaAs基板上で作成され、かつ半導体発光素子は基板から剥離されてなることを特徴とする発光装置。
[26][1]〜[20]のいずれかに記載の発光装置であって、発光要素として蛍光体を備えることを特徴とする発光装置。
[27][26]に記載の発光装置であって、前記蛍光体は、発光スペクトルの異なる蛍光体を1種類以上5種類以下含むことを特徴とする発光装置。
[28][26]または[27]に記載の発光装置であって、前記蛍光体は、室温で光励起した場合の単体発光スペクトルのピーク波長が380nm以上495nm未満であって、かつ、半値全幅が2nm以上90nm以下である蛍光体を含むことを特徴とする発光装置。
[29][28]に記載の発光装置であって、前記蛍光体が下記一般式(5)で表される蛍光体、下記一般式(5)´で表される蛍光体、(Sr,Ba)MgSi:Eu2+、および(Ba,Sr,Ca,Mg)Si:Euからなる群から選択される1種以上を含むことを特徴とする発光装置。
(Ba、Sr、Ca)MgAl1017:Mn,Eu (5)
SrBaEu(PO (5)´
(一般式(5)´において、XはClである。また、c、d及びxは、2.7≦c≦3.3、0.9≦d≦1.1、0.3≦x≦1.2を満足する数である。さらに、a及びbは、a+b=5−xかつ0≦b/(a+b)≦0.6の条件を満足する。)
[30][26]または[27]に記載の発光装置であって、前記蛍光体は、室温で光励起した場合の単体発光スペクトルのピーク波長が495nm以上590nm未満であって、かつ、半値全幅が2nm以上130nm以下である蛍光体を含むことを特徴とする発光装置。
[31][30]に記載の発光装置であって、前記蛍光体がSi6−zAl8−z:Eu(ただし0<z<4.2)、下記一般式(6)で表される蛍光体、下記一般式(6)´で表される蛍光体、およびSrGaS:Eu2+からなる群から選択される1種以上を含むことを特徴とする発光装置。
(BaCaSrMgEu)SiO (6)
(一般式(6)においてa、b、c、dおよびxが、a+b+c+d+x=2、1.0 ≦ a ≦ 2.0、0 ≦ b < 0.2、0.2 ≦ c ≦ 0.8、0 ≦ d < 0.2および0 < x ≦ 0.5を満たす。)
Ba1−x−y Sr Eu Mg1−z Mn Al1017 (6)´
(一般式(6)´においてx、yおよびzはそれぞれ0.1≦x≦0.4、0.25≦y≦0.6及び0.05≦z≦0.5を満たす。)
[32][26]または[27]に記載の発光装置であって、前記蛍光体は、室温で光励起した場合の単体発光スペクトルのピーク波長が590nm以上780nm未満であって、かつ、半値全幅が2nm以上130nm以下である蛍光体を含むことを特徴とする発光装置。
[33][32]に記載の発光装置であって、前記蛍光体が下記一般式(7)で表される蛍光体、下記一般式(7)´で表される蛍光体、(Sr,Ca,Ba)AlSi5−x8−x:Eu(ただし0≦x≦2)、Eu(Sr,Ca,Ba)1−y:Al1+xSi4−x7−x(ただし0≦x<4、0≦y<0.2)、KSiF:Mn4+、A2+xMn(AはNaおよび/またはK;MはSiおよびAl;−1≦x≦1かつ0.9≦y+z≦1.1かつ0.001≦z≦0.4かつ5≦n≦7)、(Ca,Sr,Ba,Mg)AlSiN:Euおよび/または(Ca,Sr,Ba)AlSiN:Eu、並びに(CaAlSiN1−x(SiO):Eu(ただし、xは0<x<0.5)からなる群から選択される1種以上を含むことを特徴とする発光装置。
(La1−x−y,Eu,LnS (7)
(一般式(7)において、x及びyはそれぞれ0.02≦x≦0.50及び0≦y≦0.50を満たす数を表し、LnはY、Gd、Lu、Sc、Sm及びErの少なくとも1種の3価希土類元素を表す。)
(k−x)MgO・xAF・GeO:yMn4+ (7)´
(一般式(7)´において、k、x、yは、各々、2.8≦k≦5、0.1≦x≦0.7、0.005≦y≦0.015を満たす数を表し、Aはカルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、亜鉛(Zn)、またはこれらの混合物である。)
[34][1]〜[17]のいずれかに記載の発光装置であって、発光要素として蛍光体を備え、前記蛍光体は、SBCA、β−SiAlON、およびCASONを含むことを特徴とする発光装置。
[35][1]〜[17]のいずれかに記載の発光装置であって、発光要素として蛍光体を備え、前記蛍光体は、SCA、β−SiAlON、およびCASONを含むことを特徴とする発光装置。
[36][1]〜[35]のいずれかに記載の発光装置であって、パッケージ化LED、LEDモジュール、LED照明器具、およびLED照明システムからなる群から選択されるいずれかであることを特徴とする発光装置。
[37]家庭用照明装置として用いられる、[1]〜[36]のいずれかに記載の発光装置。
[38]展示物用照明装置として用いられる、[1]〜[36]のいずれかに記載の発光装置。
[39]演出用照明装置として用いられる、[1]〜[36]のいずれかに記載の発光装置。
[40]医療用照明装置として用いられる、[1]〜[36]のいずれかに記載の発光装置。
[41]作業用照明装置として用いられる、[1]〜[36]のいずれかに記載の発光装置。
[42]工業機器内用照明装置として用いられる、[1]〜[36]のいずれかに記載の発光装置。
[43]交通機関内装用照明装置として用いられる、[1]〜[36]のいずれかに記載の発光装置。
[44]美術品用照明装置として用いられる、[1]〜[36]のいずれかに記載の発光装置。
[45]高齢者用照明装置として用いられる、[1]〜[36]のいずれかに記載の発光装置。
上記目的を達成するため、本発明の第二の実施態様は以下の事項に関する。
[46]少なくとも、395nm以上420nm未満の波長域に極大を有する半導体発光素子を発光要素として備える発光装置の設計方法であって、
波長をλ(nm)とし、
当該発光装置から主たる放射方向に出射される光の分光分布をφSSL(λ)、395nm以上420nm未満における当該発光装置の極大を与える波長をλ(nm)、380nm以上780nm以内の範囲で、φSSL(λ)の最長波長極大値を与える波長をλ(nm)とした際に、
前記発光装置から当該放射方向に出射される光は、ANSI C78.377で定義される黒体放射軌跡からの距離DuvSSLが、−0.0350 ≦ DuvSSL ≦ −0.0040となる光を含み、
0.30≦φSSL(λ)/φSSL(λ)≦1.40
を満たすように設計することを特徴とする発光装置の設計方法。
上記目的を達成するため、本発明の第三の実施態様は以下の事項に関する。
[47]少なくとも、395nm以上420nm未満の波長域に極大を有する半導体発光素子を発光要素として備える発光装置から出射される光により、対象物を照明する照明工程を含む照明方法であって、
波長をλ(nm)とし、
前記発光装置から出射される光が対象物を照明した際に、前記対象物の位置で測定した光の分光分布をφSSL(λ)、395nm以上420nm未満における当該分光分布の極大を与える波長をλ(nm)、380nm以上780nm以内の範囲で、φSSL(λ)の最長波長極大値を与える波長をλ(nm)とした際に、
φSSL(λ)の、ANSI C78.377で定義される黒体放射軌跡からの距離DuvSSLを、−0.0350 ≦ DuvSSL ≦ −0.0040とし、
0.30≦φSSL(λ)/φSSL(λ)≦1.40
を満たすように照明することを特徴とする照明方法。
本発明によれば、基準の光(実験用基準光と記載する場合がある)で照明された場合や、また、基準の光に近接した色の見えとなり高Rかつ高Rである光(実験用疑似基準光と記載する場合がある)を放射する発光装置で照明した場合等に比較して、ほぼ同様のCCT、ほぼ同様の照度であっても、統計的に多数の被験者がより良いと判断する真に良好な物体の色の見えを実現可能な発光装置及び照明方法が実現可能である。特に本発明においては、380nm以上780nm以下の可視領域における、分光放射束分布における最長波長極大値と、紫色半導体発光素子の分光放射束強度比を最適化することで、より自然で、より生き生きとした、より視認性の高い、より快適な、色の見え、物体の見えを実現でき、かつ、光源効率も相対的に高くすることが可能である。
より具体的に例示すれば、本発明により実現する効果は、以下の通りである。
第一に、本発明による光源、器具、システム等の発光装置で照明した場合、又は、本発明の照明方法により照明した場合には、実験用基準光や実験用擬似基準光で照明した場合等に比較して、ほぼ同様のCCT、ほぼ同様の照度であっても、白色はより白く、自然に、心地よく見える。さらに、白、灰色、黒等の無彩色間の明度差も視認しやすくなる。このために、例えば、一般の白色紙上の黒文字等が読みやすくなる。なお、詳細は後述するが、このような効果はこれまでの常識に照らして全く予想外の効果である。
第二に、本発明による発光装置で実現された照度、又は、本発明の照明方法により照明した場合の照度は、数千Lxから数百Lx程度の通常室内環境程度であったとしても、紫色、青紫色、青色、青緑色、緑色、黄緑色、黄色、黄赤色、赤色、赤紫色などの大半の色、
場合によってはすべての色について、たとえば晴れた日の屋外照度下のような数万lx程度の下で見たような真に自然な色の見えが実現される。また、中間的な彩度を有する、被験者(日本人)の肌色、各種食品、衣料品、木材色等も、多くの被験者がより好ましいと感じる、自然な色の見えとなる。
第三に、実験用基準光や実験用擬似基準光で照明した場合等に比較して、ほぼ同様のCCT、ほぼ同様の照度であっても、本発明による発光装置で照明した場合、又は、本発明の照明方法により照明した場合には、近接した色相における色識別が容易になり、あたかも高照度環境下の様な快適な作業等が可能となる。さらに具体的には、たとえば類似した赤色を有する複数の口紅などをより容易に識別可能となる。
第四に、実験用基準光や実験用擬似基準光で照明した場合等に比較して、ほぼ同様のCCT、ほぼ同様の照度であっても、本発明による光源、器具、システムで照明した場合、又は、本発明の照明方法により照明した場合には、あたかも高照度環境下で見たように、物体がよりはっきりと、容易に、視認できるようになる。
さらに、本発明においては、光源効率を比較的高くすることが可能となる。
ピーク波長459nmの半導体発光素子が内在し、緑色蛍光体と赤色蛍光体を備えたパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である。 ピーク波長475nmの半導体発光素子が内在し、緑色蛍光体と赤色蛍光体を備えたパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である。 ピーク波長425nmの半導体発光素子が内在し、緑色蛍光体と赤色蛍光体を備えたパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である。 ピーク波長459nmの半導体発光素子が内在し、緑色蛍光体と赤色蛍光体を備えたパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(Duv=0.0000)。 ピーク波長459nmの半導体発光素子が内在し、緑色蛍光体と赤色蛍光体を備えたパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(Duv=0.0100)。 ピーク波長459nmの半導体発光素子が内在し、緑色蛍光体と赤色蛍光体を備えたパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(Duv=0.0150)。 ピーク波長459nmの半導体発光素子が内在し、緑色蛍光体と赤色蛍光体を備えたパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(Duv=−0.0100)。 ピーク波長459nmの半導体発光素子が内在し、緑色蛍光体と赤色蛍光体を備えたパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(Duv=−0.0200)。 ピーク波長459nmの半導体発光素子が内在し、緑色蛍光体と赤色蛍光体を備えたパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(Duv=−0.0300)。 ピーク波長459nmの半導体発光素子が内在し、緑色蛍光体と赤色蛍光体を備えたパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(Duv=−0.0400)。 ピーク波長459nmの半導体発光素子が内在し、緑色蛍光体と赤色蛍光体を備えたパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(Duv=−0.0500)。 4種類の半導体発光素子が内在するパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(Duv=0.0000)。 4種類の半導体発光素子が内在するパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(Duv=0.0100)。 4種類の半導体発光素子が内在するパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(Duv=0.0200)。 4種類の半導体発光素子が内在するパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(Duv=0.0300)。 4種類の半導体発光素子が内在するパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(Duv=0.0400)。 4種類の半導体発光素子が内在するパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(Duv=−0.0100)。 4種類の半導体発光素子が内在するパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(Duv=−0.0200)。 4種類の半導体発光素子が内在するパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(Duv=−0.0300)。 4種類の半導体発光素子が内在するパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(Duv=−0.0400)。 4種類の半導体発光素子が内在するパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(Duv=−0.0500)。 ピーク波長405nmの半導体発光素子が内在し、青色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体を備えたパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(Duv=0.0001)。 ピーク波長405nmの半導体発光素子が内在し、青色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体を備えたパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(Duv=0.0100)。 ピーク波長405nmの半導体発光素子が内在し、青色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体を備えたパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(Duv=0.0194)。 ピーク波長405nmの半導体発光素子が内在し、青色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体を備えたパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(Duv=0.0303)。 ピーク波長405nmの半導体発光素子が内在し、青色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体を備えたパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(Duv=0.0401)。 ピーク波長405nmの半導体発光素子が内在し、青色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体を備えたパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(Duv=0.0496)。 ピーク波長405nmの半導体発光素子が内在し、青色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体を備えたパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(Duv=−0.0100)。 ピーク波長405nmの半導体発光素子が内在し、青色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体を備えたパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(Duv=−0.0200)。 ピーク波長405nmの半導体発光素子が内在し、青色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体を備えたパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(Duv=−0.0303)。 ピーク波長405nmの半導体発光素子が内在し、青色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体を備えたパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(Duv=−0.0403)。 ピーク波長405nmの半導体発光素子が内在し、青色蛍光体、赤色蛍光体を備えたパッケージLEDから出射され、15種類の修正マンセル色票を照明したと仮定した分光分布と、当該LEDで照明された場合と、基準の光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である(Duv=−0.0448)。 パラメータAcgの積分範囲を示す図である(CCTが5000K以上の場合) パラメータAcgの積分範囲を示す図である(CCTが5000K未満の場合) 試験光5の規格化試験光分光分布(実線)と試験光5に対応する計算用基準光の規格化基準光分光分布(点線)を示す図である。 試験光5で対象物を照明した場合(実線)と、試験光5に対応する計算用基準光で照明した場合をそれぞれ仮定した、当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である。 試験光15の規格化試験光分光分布(実線)と試験光15に対応する計算用基準光の規格化基準光分光分布(点線)を示す図である。 試験光15で対象物を照明した場合(実線)と、試験光15に対応する計算用基準光で照明した場合をそれぞれ仮定した、当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である。 試験光19の規格化試験光分光分布(実線)と試験光19に対応する計算用基準光の規格化基準光分光分布(点線)を示す図である。 試験光19で対象物を照明した場合(実線)と、試験光19に対応する計算用基準光で照明した場合をそれぞれ仮定した、当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である。 比較試験光14の規格化試験光分光分布(実線)と比較試験光14に対応する計算用基準光の規格化基準光分光分布(点線)を示す図である。 比較試験光14で対象物を照明した場合(実線)と、比較試験光14に対応する計算用基準光で照明した場合をそれぞれ仮定した、当該15種類の修正マンセル色票のa値とb値とを共にプロットしたCIELAB色空間を示す図である。 本実施態様に係る発光装置の一例を示す模式図である。 本実施態様に係る発光装置の一例を示す模式図である。 相関色温度を2950K、Duvを−0.0150と目標色度点を定めたパッケージLEDにおいてφSSL(λ)/φSSL(λ)が0.21、0.61、1.61の場合の規格化分光分布である。 相関色温度を2950K、Duvを−0.0150と目標色度点を定めたパッケージLEDにおいてφSSL(λ)/φSSL(λ)=1.61の場合で規格化した相対的な光源効率である。 相関色温度を4100K、Duvを−0.0120と目標色度点を定めたパッケージLEDにおいてφSSL(λ)/φSSL(λ)が0.58の場合の規格化分光分布である。 相関色温度を4100K、Duvを−0.0120と目標色度点を定めたパッケージLED(図中●)と、相関色温度を4100K、Duvを−0.0150と目標色度点を定めたパッケージLED(図中×)において、前者のφSSL(λ)/φSSL(λ)=1.41の場合で規格化した相対的な光源効率である。 相関色温度を4100K、Duvを−0.0150と目標色度点を定めたパッケージLEDにおいてφSSL(λ)/φSSL(λ)が0.39の場合の規格化分光分布である。 実施例2の発光装置から軸上に放射された相対分光分布と、これに対応するCCTを有する計算用基準光(黒体放射の光)とで、それぞれ照明した場合を仮定した、当該15色票のa値、b値を共にプロットしたCIELABプロットである。(図中点線が基準光の結果、図中実線が発光装置の結果)。 実施例5の発光装置から軸上に放射された相対分光分布と、これに対応するCCTを有する計算用基準光(黒体放射の光)とで、それぞれ照明した場合を仮定した、当該15色票のa値、b値を共にプロットしたCIELABプロットである。(図中点線が基準光の結果、図中実線が発光装置の結果)。 実施例8の発光装置から軸上に放射された相対分光分布と、これに対応するCCTを有する計算用基準光(黒体放射の光)とで、それぞれ照明した場合を仮定した、当該15色票のa値、b値を共にプロットしたCIELABプロットである。(図中点線が基準光の結果、図中実線が発光装置の結果)。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内であれば種々に変更して実施することができる。
本発明の発光装置は、少なくとも395nm以上420nm未満の波長域に極大を有する半導体発光素子を発光要素として備えている。
本発明の発光装置が内在する発光要素は、前記半導体発光装置に加えて、以下を有していてもよい。発光要素は、発光装置中に内在させ、投入された種々のエネルギーを電磁放射のエネルギーに変換し、その電磁放射エネルギー中に380nmから780nmの可視光を含むものであれば、特に制約されない。例えば、電気エネルギーを変換しうる熱フィラメント、蛍光管、高圧ナトリウムランプ、レーザ、半導体発光素子(あるいはLED)、二次高調波発生(SHG)源等を例示することができる。また、光エネルギーを変換しうる蛍光体なども例示できる。さらに、発光要素は単体の半導体発光素子に通電機構としてのリード線等を付与したものでも、放熱機構等をさらに付与し蛍光体等と一体にしたパッケージ化LED等でも良い。発光装置としては、このような1以上のパッケージ化LEDにさらに堅牢な放熱機構を付与し、一般的には複数のパッケージLEDを搭載したLEDモジュールでもよい。さらには、パッケージLED等にレンズ、フィルター、反射機構等を付与したLED照明器具であってもよい。さらに、LED照明器具等を多数支持し、対象物を照明できるように仕上げた照明システムであってもよい。さらに、例えば放電管を発光要素として含む場合においては、本実施態様に係る発光装置は、単体の放電管に高圧を印加しうる機構を付与したものでも、放電管内部あるいは周辺に蛍光体を配置したものでもよい。また1以上の蛍光体を内在させた蛍光管を複数配置した照明器具でもよい。さらには、レンズ、フィルター、反射機構等を付与した照明器具であってもよい。さらに、これを照明システムとして制御回路等を付与してもよい。本実施態様に係る発光装置とは、これらをすべて含んだものである。 なお、本発明において発光要素は、発光装置の態様であってもよい。すなわち、本発明の発光要素は、上記発光装置として説明したLEDモジュール、LED照明器具、照明システム、その他の機構を付与した照明器具であってもよい。
本発明の発光装置の概要を、さらに図43による例示で説明する。図43の例では、発光要素として紫色半導体発光素子であるLEDチップ2、蛍光体4が内在し、他の構成材
料である封止材5、パッケージ材3とともに加工度の低い発光装置であるパッケージLED10を構成している。さらにここでは、パッケージLED10を複数内在させて、全体として加工度の高い発光装置であるLED電球20を構成する。当該パッケージLED10も当該LED電球20も、本発明の発光装置でありうる。
さらに、本発明の発光装置概要を、さらに図44による例示で説明する。発光要素として半導体発光素子である紫色LEDチップ2a、青色LEDチップ2b、緑色LED2cチップ、赤色LEDチップ2dが内在し、他の構成材料である封止材5、パッケージ材3とともに低加工度の発光装置であるパッケージLED10を構成しているとする。この際に、パッケージLED10を複数搭載し、全体として加工度の高い発光装置であるLED電球20を構成している。当該パッケージLED10も当該LED電球20も本発明の発光装置でありうる。さらに、当該LED電球20をn個並べ、かつ、発光要素として熱フィラメント2eが内在する中加工度の発光装置として白熱電球11をm個並べ、さらに高加工度の発光装置として照明システム30を構成する。当該照明システムは、本発明の発光装置でありうる。
なお、本発明の第一および第二の実施態様では、発光装置が放射する光のうち「主たる放射方向」の光により発明を特定するものである。そのため、本発明の要件を満たす「主たる放射方向」の光を含む放射を行うことができる発光装置は、本発明の範囲に属するものである。また、本発明の第三の実施態様における照明方法は、該照明方法に用いる発光装置から出射された光が対象物を照明した場合において、当該対象物が照明されている位置における光により、発明を特定するものである。そのため、本発明の要件を満たす「対象物が照明されている位置」における光を出射できる発光装置による照明方法は、本発明の範囲に属するものである。
ここで、本発明の第一および第二の実施態様における「主たる放射方向(radiant direction)」とは、発光装置の使用状況に即して、適した範囲を有し、かつ、適した向きへ光が放射されている方向を示す。
例えば、発光装置の光度(luminous intensity)もしくは輝度(luminance)が最大もしくは極大となる方向でありうる。
また、発光装置の光度もしくは輝度が最大もしくは極大となる方向を含む有限の範囲を持った方向でありうる。
また、発光装置の放射強度(radiant intensity)あるいは放射輝度(radiance)が最大もしくは極大となる方向でありうる。
また、発光装置の放射強度あるいは放射輝度が最大もしくは極大となる方向を含む有限の範囲を持った方向でありうる。
以下、具体的に例示する。
発光装置が単体発光ダイオード(LED)、単体パッケージLED,単体LEDモジュール、単体LED電球、蛍光ランプと半導体発光素子の単体複合ランプ、白熱電球と半導体発光素子の単体複合ランプ等である場合には、主たる放射方向は各発光装置の鉛直方向、鉛直方向を含む有限の立体角内、例えば最大でπ(sr)、最小でπ/100(sr)でありうる。
発光装置が前記パッケージLED等にレンズ、反射機構等を付与したLED照明器具、蛍光ランプと半導体発光素子が内在する照明器具であって、いわゆる、直接型照明用途、半直接型照明用途、全般拡散照明用途、直接/間接型照明用途、半間接型照明用途、間接型照明用途に応用可能な配光特性を有する場合には、主たる放射方向は、各発光装置の鉛直方向、鉛直方向を含む有限の立体角内、例えば最大でπ(sr)、最小でπ/100(sr)でありうる。また、発光装置の光度もしくは輝度が最大もしくは極大となる方向でありうる。また、発光装置の光度もしくは輝度が最大もしくは極大となる方向を含む有限の立体角内、例えば最大でπ(sr)、最小でπ/100(sr)でありうる。また、発
光装置の放射強度あるいは放射輝度が最大もしくは極大となる方向でありうる。また、発光装置の放射強度あるいは放射輝度が最大もしくは極大となる方向を含む有限の立体角内、例えば最大でπ(sr)、最小でπ/100(sr)でありうる。
発光装置が、前記LED照明器具や蛍光ランプが内在する照明器具を複数搭載した照明システムである場合は、主たる放射方向は、各発光装置の平面的中心の鉛直方向、当該鉛直方向を含む有限の立体角内、例えば最大でπ(sr)、最小でπ/100(sr)でありうる。また、発光装置の光度もしくは輝度が最大もしくは極大となる方向でありうる。また、発光装置の光度もしくは輝度が最大もしくは極大となる方向を含む有限の立体角内、例えば最大でπ(sr)、最小でπ/100(sr)でありうる。また、発光装置の放射強度あるいは放射輝度が最大もしくは極大となる方向でありうる。また、発光装置の放射強度あるいは放射輝度が最大もしくは極大となる方向を含む有限の立体角内、例えば最大でπ(sr)、最小でπ/100(sr)でありうる。
発光装置から当該主たる放射方向に出射された光の分光分布を計測するためには、計測点における照度が実用上の照度(後述の通り150lx以上5000lx以下)となる距離で計測することが好ましい。
本明細書においては、数学的な色の見えを予想する際に計算上用いるCIEで定義された基準の光を、基準の光、計算用基準の光、計算用基準光などと記載する場合がある。一方、視覚的な実比較で用いる実験用の基準の光、すなわちタングステンフィラメントが内在する白熱電球光などは、基準の光、実験用基準の光、実験用基準光と記載する場合がある。また、基準の光に近接した色の見えとなると予想される高Rかつ高Rである光、たとえばLED光源であって、比較視覚実験で実験用基準光の代替光として用いる光は、基準の光、実験用疑似基準の光、実験用擬似基準光と記載する場合がある。また、数学的にまた実験的に検討対象とした光を、基準の光に対して、試験光と記載する場合がある。
以下、本発明に関してさらに詳細に説明をする。
本発明者は、一般の室内照度環境下にあっても、屋外の高照度環境下で見たように、自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えを実現できるスペクトルあるいは分光分布に共通する放射計測学的特性(radiometric property)、測光学的特性(photometric property)を見出した。さらに、当該スペクトルあるいは分光分布を有する光による照明を仮定した場合の特定の分光反射特性を有する色票の色の見えが、計算用基準光による照明を仮定した場合と比較して、どのように変化する場合(あるいは変化しない場合)に前記目的が実現可能かを、測色学(colorimetry)的観点から見出した。
さらに、例えば、美術品、生鮮食品等のように、光照射による副次的影響が懸念されるものが照明対象物であっても、自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えと、前記副次的影響の抑制を両立させうる発光装置の分光分布を検討し、その全体として本発明に到達した。
具体的な発明到達までの概要は以下の通りであった。
[発明到達までの概要]
第一ステップとして、分光分布設定の自由度が高い、A)半導体発光素子と蛍光体が共に内在するパッケージLED光源、B)蛍光体を含まず、半導体発光素子のみが発光要素として内在するパッケージLED光源を想定し、数学的な基礎検討を行った。
この際に、計算用基準光による照明を仮定した場合と、検討対象とする試験光による照明を仮定した場合とで、特定の分光反射特性を有する色票の色の見えに関する数学的変化を指針としつつ、色相、飽和度(彩度)等が変化する試験光に関して詳細な検討を行った。特に屋外に対して1/10から1/1000程度に照度が下がる通常の屋内環境下でのハント効果を意識し、照明された物体の色の見えの飽和度が変化するような光を中心に数学的に検討した。
第二ステップとして、前記数学的に検討した試験光を元にパッケージLED光源、これを内在させた照明器具を試作した。また、第三ステップで行う比較視覚実験のために、タングステンフィラメントを有する白熱電球を実験用基準光として準備した。また、計算用基準の光に近接した色の見えとなる高Rかつ高Rである光(実験用擬似基準光)とし得る光源、これを内在させた照明器具も試作した。さらに、これらを用いた視覚実験のために、実験用基準光もしくは実験用擬似基準光で対象物を照明した場合の色の見えと、パッケージLED光源を内在させた照明器具の光(試験光)で対象物を照明した場合の色の見えを、被験者に評価してもらうために、多数の観察対象物に対して異なる照明光を照射可能な照明実験システムを作成した。
第三ステップとして、照明器具、照明システムを用いて、比較視覚実験を行った。観察対象物の色は、紫色、青紫色、青色、青緑色、緑色、黄緑色、黄色、黄赤色、赤色、赤紫色等の全色相に渡る有彩色対象物を準備するように配慮した。さらに、白色物、黒色物などの無彩色の対象物も準備した。これらは静物、生花、食品、衣料品、印刷物等多数多種類なものを準備した。ここで、実験用基準光もしくは実験用擬似基準光で対象物を照明した場合の色の見えと、試験光で対象物を照明した場合の色の見えを、被験者に評価してもらった。前者と後者の比較は、類似したCCTと類似した照度で行った。評価は、いずれの光が、屋外で見たような、自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えを相対的に実現できているかの観点で行ってもらった。また、この際に優劣の判断理由も尋ねた。
第四ステップとして、実験用基準光/実験用擬似基準光と試験光が有する放射計測学的特性、測光学的特性を実測値から抽出した。さらに、上記観察対象物とは異なる、特定の分光反射特性を有する色票の色の見えに関する測色学的特性に関し、計算用基準光の分光分布での照明を計算上仮定した場合と、実測した実験用基準光/実験用擬似基準光/試験光の分光分布光での照明を計算上仮定した場合との差を、視覚実験での被験者評価と照らし合わせ、真に快適と判断される照明方法又は発光装置の特徴を抽出した。
さらに第五ステップとして、少なくとも395nm以上420nm未満の波長域に極大を有する半導体発光素子を発光要素として備える発光装置において、色の見えと光源効率のバランスを考慮して、主たる放射方向へ出射される光の分光分布の最適化検討を行った。
なお、第三ステップ、第四ステップの内容は、本発明の第一および第二の実施態様に係る参考実施例、参考比較例であり、第五ステップの内容は、本発明の第一および第二の実施態様に係る実施例、比較例でもある。また、第二ステップ、第三ステップ、第四ステップ、第五ステップの内容は、本発明の第三の実施態様に係る参考実施例、参考比較例であり、第五ステップの内容は、本発明の第三の実施態様に係る実施例、比較例でもある。
[色票選択と色の見えの定量化手法]
第一ステップにおいて、本発明の照明方法において主として検討した発光装置から出射された光が対象物を照明した位置における分光分布、又は、本発明の発光装置から出射される主たる放射方向の光が有する分光分布は、ハント効果を意識して、飽和度が基準の光で照明した場合から変化するものとした。ここで、色の見えやその変化を定量化するために、以下の選択を行った。
上記分光分布から色の見えを定量的に評価するには、数学的な分光反射特性が明らかな色票を定義し、計算用基準光での照明を仮定した場合と、試験光での照明を仮定した場合を比較し、当該色票の色の見えの差を指標とするのが良いと考えた。
一般には、CRIで使用される試験色が選択肢となりうるが、平均演色評価数等を導出
する際に使用しているRからRの色票は中彩度な色票であって、高彩度な色の飽和度を議論するには適さないと考えた。また、RからR12は高彩度な色票であるが、全色相角範囲の詳細な議論にはサンプル数が足りない。
そこで、修正マンセル表色系におけるマンセル色相環の中で、最も高彩度な最外周に位置する色票から、色相別に15種類の色票を選択することとした。なお、これらは、米国NIST(National Institute of Standards and
Technology)から提案されている新たな演色評価指標のひとつであるCQS(Color Quality Scale)(バージョン7.4及び7.5)で用いる色票と同じである。以下に本発明で用いた15種類の色票を列記する。また冒頭には、便宜上色票に与えた、番号を記載した。なお、本明細書中においては、これら番号をnと代表させる場合があり、たとえばn=3は、「5PB 4/12」の意味である。nは1から15の自然数である。
#01 7.5 P 4 /10
#02 10 PB 4 /10
#03 5 PB 4 /12
#04 7.5 B 5 /10
#05 10 BG 6 / 8
#06 2.5 BG 6 /10
#07 2.5 G 6 /12
#08 7.5 GY 7 /10
#09 2.5 GY 8 /10
#10 5 Y 8.5/12
#11 10 YR 7 /12
#12 5 YR 7 /12
#13 10 R 6 /12
#14 5 R 4 /14
#15 7.5 RP 4 /12
本発明においては、各種指標の導出の観点では、計算用基準光での照明を仮定した場合と試験光での照明を仮定した場合との間で、これら15種類の色票の色の見えが、どのように変化した場合(あるいは変化しなかった場合)に、一般の室内照度環境下にあっても、屋外の高照度環境下で見たように、自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えとなるかを定量化し、発光装置が有すべき演色性として抽出することを試みた。
なお、上記分光分布から数学的に導出される色の見えを定量評価するためには、色空間の選択、色順応式の選択も重要である。本発明では、現在CIEによって推奨されている均等色空間であるCIE 1976 L(CIELAB)を用いた。さらに、色順応計算には、CMCCAT2000(Colour Measurement Comittee’s Chromatic Adaptation Transform
of 2000)を採用した。
[発光装置から出射された主たる放射方向の光が有する分光分布から、又は、対象物が照明された位置における分光分布から、導出される色度点]
第一ステップにおいて、パッケージLED光源を各種試作するためには、光源の色度点選択も重要である。光源、光源からの光で対象物が照明された位置における分光分布、又は、発光装置から出射された主たる放射方向の光が有する分光分布から、導出される色度は、例えばCIE 1931(x、y)色度図でも定義できるが、より均等な色度図であるCIE 1976(u’、v’)色度図で議論することが好ましい。また、色度図上の
位置をCCTとDuvで記述する際には特に(u’、(2/3)v’)色度図(CIE 1960(u、v)色度図と同義)が用いられる。なお、本明細書中で記載するDuvは、ANSI C78.377で定義されている量であって、(u’、(2/3)v’)色度図における黒体放射軌跡に対して最近接となる距離をその絶対値として示している。また、正符号は発光装置の色度点が黒体放射軌跡の上方(v’が大きい側)に位置し、負符号は発光装置の色度点が黒体放射軌跡の下方(v’が小さい側)に位置することを意味する。
[飽和度とDuv値に関する計算検討]
同一の色度点にあっても、物体の色の見えは変えることができる。例えば、図1、図2、図3に示した3種類の分光分布(試験光)は、ピーク波長が425−475nmの半導体発光素子を内在させ、これを、緑色蛍光体と赤色蛍光体の励起光源としたパッケージLEDを仮定して、同一の色度(CCTは5500K、Duvは0.0000)において、照明された物体の色の見えが異なるようにした例である。それぞれの分光分布を構成する緑色蛍光体と赤色蛍光体は同一材料を仮定しているが、青色半導体発光素子のピーク波長は、飽和度を変化させるべく、図1は459nm、図2は475nm、図3は425nmとした。それぞれの分光分布での照明と、その分光分布に対応する計算用基準光での照明を仮定すると、当該15色票の予想される色の見えは、図1から図3のCIELAB色空間に示したようになる。ここで、図中点線で結んだ点は計算用基準光での照明を仮定した場合であって、実線はそれぞれの試験光での照明を仮定した場合である。なお、紙面垂直方向は明度であるが、ここでは簡便のためにa、b軸のみをプロットした。
図1に示した分光分布に関しては以下のことが分かった。計算用基準光での照明を仮定した計算と、図中の試験光での照明を仮定した計算からは、当該15種類の色票の色の見えは近接することが予想された。また、当該分光分布から計算したRaは95と高かった。図2に示した試験光で照明したと仮定した場合では、計算用基準光で照明したと仮定した場合と比較して、赤色と青色は鮮やかに見えるものの、紫色と緑色はくすむことが予想された。当該分光分布から計算したRaは76と相対的に低かった。逆に、図3に示した試験光で照明したと仮定した場合では、計算用基準光で照明したと仮定した場合と比較して、紫色と緑色は鮮やかに見えるものの、赤色と青色はくすむことが予想された。当該分光分布から計算したRaは76と相対的に低かった。
このように同一色度点において色の見えは変化させ得ることが理解できる。
しかし、本発明者の詳細検討によれば、黒体放射の軌跡近傍にある光、すなわちDuvが0近傍の光では、分光分布を変化させ、飽和度の高い当該15色票の色の見えを変化させるには、その自由度が低いことが分かった。具体的には以下の通りであった。
例えば図2、図3に示されるように、赤色/青色の飽和度変化と、紫色/緑色の飽和度変化は、傾向が逆と予想された。つまり、ある色相の飽和度が向上すると、別の色相の飽和度は低下してしまうと予想された。また、別の検討からは、簡便で実現可能な方法で、大多数の色相の飽和度を一度に変化させることも困難であった。よって、黒体放射軌跡近傍の光、あるいはDuv=0近傍の光で照明した場合には、高彩度な当該15色票の大多数の色相の飽和度を一度に変化させる、あるいは、多数の色相において比較的均等に飽和度を向上させる、低下させるなどのことは困難であった。
そこで、本発明者は、複数の分光分布に対して異なるDuv値を与えた場合の当該15色票の色の見えを、計算用基準光での照明を仮定した場合と比較しつつ数学的に検討した。一般に、Duvが正に偏ると白色は緑かかって見え、Duvが負の場合には白色は赤みかかって見えるとされ、Duvが0近傍から離れると色の見えは全体に不自然に見えるとされている。特に白色の着色がそのような知覚を誘発すると考えられている。しかし、本
発明者は、飽和度の制御性を高めるべく、以下の検討を行った。
図4から図11に示した8つの分光分布は、ピーク波長459nmの青色半導体発光素子が内在し、これを、緑色蛍光体と赤色蛍光体の励起光源としたパッケージLEDを仮定して、同一CCT(2700K)においてDuvを−0.0500から+0.0150まで変化させた計算結果である。それぞれの分光分布(試験光)での照明を仮定した場合と、それぞれの試験光に対する計算用基準光での照明を仮定した場合に予想される当該15色票の色の見えは、図4から図11のCIELAB色空間の通りであった。ここで、図中点線で結んだ点は計算用基準光の結果であって、実線はそれぞれの試験光の結果である。なお、紙面垂直方向は明度であるが、ここでは簡便のためにa、b軸のみをプロットした。
図4に示したDuv=0.0000の試験光では、計算用基準光での照明を仮定した場合と、図中の試験光での照明を仮定した場合では、当該15種類の色票の色の見えは近接していることが予想された。当該分光分布から計算したRaは95と高かった。
図5、図6の試験光は、Duvを+0.0100から+0.0150まで正方向にシフトした例である。ここに見られるように、Duvを正方向にシフトさせると、Duv=0.0000の試験光の場合と比較して、より広範な色相域において当該15種類の色票の飽和度を変化させ得ることが予想された。また、Duv=0.0000の試験光の場合と比較すると、比較的均等に当該15種類の色票の飽和度を変化させ得ることも分かった。なお、計算用基準光の場合と、図中の試験光の場合とでは、当該15種類の色票の色の見えはDuvを正方向にシフトさせた場合、青から青緑領域を除いて、ほぼすべての色がくすんで見えることが予想された。さらにDuvを正にすればするほど、飽和度が低下する傾向も予想された。図5、図6の分光分布から計算されるRaは、それぞれ94と89であった。
一方、図7から図11の試験光は、Duvを−0.0100から−0.0500まで負方向にシフトした例である。ここに見られるように、Duvを負方向にシフトさせると、Duv=0.0000の試験光の場合と比較して、より広範な色相域において当該15種類の色票の飽和度を変化させ得ることが分かった。また、Duv=0.0000の試験光の場合と比較すると、比較的均等に当該15種類の色票の飽和度を変化させ得ることも分かった。なお、計算用基準光での照明を仮定した場合と、図中の試験光での照明を仮定した場合では、当該15種類の色票の色の見えは、Duvを負方向にシフトさせた場合、青から青緑領域と、紫領域を除いて、ほぼすべての色が鮮やかに見えることが予想された。さらにDuvを負にすればするほど、飽和度が上昇する傾向も予想された。図7から図11の分光分布から計算されるRaは、それぞれ92、88、83、77、71であって、現在一般に広がっている理解に従えば、Duvの値を負にすればするほど、色の見えは基準光で照明した場合から離れ、悪化すると予想された。
加えて、本発明者は、スペクトルを形成する発光要素(発光材料)が異なる試験光に、種々のDuv値を与えた場合、修正マンセル表色系の最外周にある最も鮮やかな15色票がどのような色の見えになると予想されるかを、計算用基準光との比較をしつつ、数学的に検討した。
図12から図21に示した10種類の分光分布は、4種類の半導体発光素子が内在するパッケージLEDを仮定し同一CCT(4000K)においてDuvを−0.0500から+0.0400まで変化させた結果である。4種類の半導体発光素子のピーク波長は459nm、528nm、591nm、662nmとした。10種類それぞれの試験光での照明を仮定した場合と、それぞれの試験光に対応する計算用基準光での照明を仮定した場
合とで、予想される当該15色票の色の見えを、図12から図21のCIELAB色空間に示した。ここで、図中点線で結んだ点は計算用基準光での結果であって、実線はそれぞれの試験光の結果である。なお、紙面垂直方向は明度であるが、ここでは簡便のためにa、b軸のみをプロットした。
図12に示したDuv=0.0000の試験光では、計算用基準光での照明を仮定した場合と、図中の試験光での照明を仮定した場合とでは、当該15種類の色票の色の見えは近接していることが予想された。当該分光分布から計算したRaは98と高かった。
図13から図16の試験光は、Duvを+0.0100から+0.0400まで正方向にシフトした例である。ここに見られるように、Duvを正方向にシフトさせると、Duv=0.0000の試験光の場合と比較して、より広範な色相域において当該15種類の色票の飽和度を変化させ得ることが分かった。また、Duv=0.0000の試験光の場合と比較すると、比較的均等に当該15種類の色票の飽和度を変化させ得ることも分かった。なお、計算用基準光での照明を仮定した場合と、図中の試験光での照明を仮定した場合とでは、当該15種類の色票の色の見えはDuvを正方向にシフトさせた場合、青から青緑領域と、赤色領域を除いて、ほぼすべての色がくすんで見えると予想された。さらにDuvを正にすればするほど、飽和度が低下する傾向も予想された。図13から図16の分光分布から計算されるRaは、それぞれ95、91、86、77と、現在一般に広がっている理解に従えば、Duvの値を正にすればするほど、色の見えは基準光で照明した場合から離れ、悪化すると予想された。
一方、図17から図21の試験光は、Duvを−0.0100から−0.0500まで負方向にシフトした例である。ここに見られるように、Duvを負方向にシフトさせると、Duv=0.0000の試験光の場合と比較して、より広範な色相域において当該15種類の色票の飽和度を変化させ得ることが分かった。また、Duv=0.0000の試験光の場合と比較すると、比較的均等に当該15種類の色票の飽和度を変化させ得ることも分かった。なお、計算用基準光での照明を仮定した場合と、図中の試験光での照明を仮定した場合では、当該15種類の色票の色の見えは、Duvを負方向にシフトさせた場合、青から青緑領域と、赤領域を除いて、ほぼすべての色が鮮やかに見えると予想された。さらにDuvを負にすればするほど、飽和度が上昇する傾向も予想された。図17から図21の分光分布から計算されるRaは、それぞれ95、91、86、81、75であって、現在一般に広がっている理解に従えば、Duvの値を負にすればするほど、色の見えは基準光で照明した場合から離れ、悪化すると予想された。
加えて、本発明者は、スペクトルを形成する発光要素(発光材料)がさらに異なる試験光に、種々のDuv値を与えた場合、修正マンセル表色系の最外周にある最も鮮やかな15色票がどのような色の見えになると予想されるかを、計算用基準光との比較をしつつ、数学的に検討した。
図22から図32に示した11種類の分光分布は、紫色半導体発光素子を内在させ、これを、青色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体の励起光源としたパッケージLEDを仮定し、近接したCCT(約5500K)においてDuvを−0.0448から+0.0496まで変化させた計算結果である。内在させた半導体発光素子のピーク波長は405nmとした。なお、図32の結果は、Duvを極端に負値にすべく、緑色蛍光体を含まずに実現した結果である。11種類それぞれ試験光での照明を仮定した場合と、その試験光に対する計算用基準光での照明を仮定した場合の、数学的に予想される当該15色票の色の見えは、図22から図32のCIELAB色空間に示した通りである。ここで、図中点線で結んだ点は計算用基準光の結果であって、実線はそれぞれの試験光の結果である。なお、紙面垂直方向は明度であるが、ここでは簡便のためにa、b軸のみをプロットした。
図22に示したDuv=0.0001の試験光では、計算用基準光の場合と、図中の試験光の場合では、当該15種類の色票の色の見えは近接していると予想された。当該分光分布から計算したRaは96と高かった。
図23から図27の試験光は、Duvを+0.0100から+0.0496まで正方向にシフトした例である。ここに見られるように、Duvを正方向にシフトさせると、Duv=0.0001の試験光の場合と比較して、より広範な色相域において当該15種類の色票の飽和度を変化させ得ることが分かった。また、Duv=0.0001の試験光の場合と比較すると、比較的均等に当該15種類の色票の飽和度を変化させ得ることも分かった。なお、計算用基準光での照明を仮定した場合と、図中の試験光での照明を仮定した場合では、当該15種類の色票の色の見えは、Duvを正方向にシフトさせた場合、青領域を除いて、ほぼすべての色がくすんで見えることが予想された。さらにDuvを正にすればするほど、飽和度が低下する傾向も予想された。図23から図27の分光分布から計算されるRaは、それぞれ92、85、76、69、62と、現在一般に広がっている理解に従えば、Duvの値を正にすればするほど、色の見えは基準光で照明した場合から離れ、悪化すると予想された。
一方、図28から図32の試験光は、Duvを−0.0100から−0.0448まで負方向にシフトした例である。前述の通りDuv=−0.0448は緑色蛍光体を含まない系として実現したものである。ここに見られるように、Duvを負方向にシフトさせると、Duv=0.0001の試験光の場合と比較して、より広範な色相域において当該15種類の色票の飽和度を変化させ得ることが分かった。また、Duv=0.0001の試験光の場合と比較すると、比較的均等に当該15種類の色票の飽和度を変化させ得ることも分かった。なお、計算用基準光での照明を仮定した場合と、図中の試験光での照明を仮定した場合では、当該15種類の色票の色の見えは、Duvを負方向にシフトさせた場合、青領域を除いて、ほぼすべての色が鮮やかに見えることが予想された。さらにDuvを負にすればするほど、飽和度が上昇する傾向も予想された。図28から図32の分光分布から計算されるRaは、それぞれ89、80、71、61、56であって、現在一般に広がっている理解に従えば、Duvの値を負にすればするほど、色の見えは基準光で照明した場合から離れ、悪化すると予想された。
[飽和度制御とDuv値に関する計算検討まとめ]
ここまでの計算検討から、「現在広く信じられている常識に従えば」以下のことが予想された。
(1)Duv=0.0000近傍の色度点を有する試験光で、当該15色票の飽和度を変化させる自由度は低い。具体的には高彩度な当該15色票の大多数の色相の飽和度を一度に変化させる、あるいは、多数の色相において比較的均等に飽和度を向上させる、低下させるなどのことは困難である。
(2)試験光のDuvを正にすると、当該15色票の飽和度を比較的容易に低下できる。Duv=0.0000の試験光の場合と比較して、より広範な色相域において、かつ、比較的均等に当該15種類の色票の飽和度を低下させ得る。さらにDuvを正にすればするほど、飽和度がより低下する。また、Raがより低下することから、視覚実験等では、Duvを正にすればするほど、実験用基準光や実験用疑似基準光で実際の照明対象物等を照明した場合と、試験光で照明した場合の色の見えは差が大きくなり、また、それは悪化したものとなってしまうと予想された。特に白色は黄色(緑色)かかり、色の見えは全体に不自然に見えると予想された。
(3)Duvを負にすると、当該15色票の飽和度を比較的容易に上昇できる。Duv=0.0000の試験光の場合と比較して、より広範な色相域において、かつ、比較的均等に当該15種類の色票の飽和度を向上させ得る。さらにDuvを負にすればするほど、
飽和度がより上昇する。また、Rがより低下することから、Duvを負にすればするほど、実験用基準光や実験用疑似基準光で実際の照明対象物等を照明した場合と、試験光で照明した場合の色の見えは差が大きくなり、また、それは悪化したものとなってしまうと予想された。特に白色は赤色(桃色)かかり、色の見えは全体に不自然に見えると予想された。
ここまでの計算検討から、以上のことが「現在広く信じられている常識に照らして」予想されたことである。
[定量指標の導入]
色の見えや、分光分布そのものが有する特徴、放射効率などを詳細に議論する準備として、また、色の見えを詳細に議論する準備として、本発明では、以下の定量指標を導入した。
[色の見えに関わる定量指標の導入]
先ず、発光装置が試験光を主たる放射方向に出射する場合における当該試験光(本発明の発光装置に係る)、又は、当該試験光で対象物を照明した場合における対象物の位置で測定した試験光(本発明の照明方法に係る)のCIE 1976 L色空間における当該15種類の色票のa値、b値をそれぞれa nSSL、b nSSL(ただしnは1から15の自然数)、当該15種類の色票の色相角をそれぞれθnSSL(度)(ただしnは1から15の自然数)とし、上記試験光のCCTに応じて選択される計算用基準の光(5000K未満は黒体放射の光、5000K以上においてはCIE昼光)による照明を数学的に仮定した場合のCIE 1976 L色空間における当該15種類の色票のa値、b値をそれぞれa nref、b nref(ただしnは1から15の自然数)、当該15種類の色票の色相角をそれぞれθnref(度)(ただしnは1から15の自然数)とし、当該2つの光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のそれぞれの色相角差Δh(度)(ただしnは1から15の自然数)の絶対値を
|Δh|=|θnSSL−θnref
と定義した。
これは試験光と実験用基準光あるいは実験用擬似基準光を用いて視覚実験を行うに当たり、さまざまな物体、あるいは物体の色の見えを全体として評価し、自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えを実現する手段として、本発明で特別に選択した当該15種類の修正マンセル色票に関わる数学的に予想される色相角差は重要な指標になると考えたからである。
加えて、試験光と計算用基準光の2つの光で照明された場合を仮定した当該15種類の修正マンセル色票の飽和度差ΔC(ただしnは1から15の自然数)をそれぞれ
ΔC=√{(a nSSL+(b nSSL}−√{(a nref+(b nref
と定義した。また、当該15種類の修正マンセル色票の飽和度差の平均値である下記式(1)も重要な指標と考えた。
(1)
さらに、当該15種類の修正マンセル色票の飽和度差の最大値をΔCmax、飽和度差の最小値をΔCminとした場合に、最大飽和度差と最小飽和度差の間の差(最大最小飽和度差間差)である
(ΔCmax−ΔCmin
も重要な指標と考えた。これは試験光と実験用基準光あるいは実験用擬似基準光を用いて視覚実験を行うに当たり、さまざまな物体、あるいは物体の色の見えを全体として評価し、自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えを実現する手段として、本発明で特別に選択した当該15種類の修正マンセル色票の飽和度差に関わる種々の特性は重要な指標になると考えたからである。
[分光分布に関する定量指標の導入]
本発明では、分光分布の放射計測学的特性、測光学的特性も議論するために、以下の2つの定量指標を導入した。ひとつは指標Acgであって、もうひとつの指標は放射効率K(lm/W)である。
指標Acgは、実験用基準光もしくは実験用擬似基準光による色の見えと、試験光による色の見えの差を、分光分布あるいはスペクトル形状が有する放射計測学的特性と測光学的特性としても記述することを試みたものである。種々の検討の結果、指標Acgを本発明では以下のように定義した。
発光装置からの主たる放射方向に出射される光を測定した場合における(本発明の発光装置に係る)、又は、照明対象物の位置で測定した場合における(本発明の照明方法に係る)、異なる色刺激となる計算用基準光と試験光の分光分布をそれぞれφref(λ)、
φSSL(λ)とし、等色関数をx(λ)、y(λ)、z(λ)、計算用基準光と試験光に対応する三刺激値をそれぞれ(Xref、Yref、Zref)、(XSSL、YSSL、ZSSL)とする。ここで、計算用基準光と試験光に関して、kを定数として、以下が成立する。
ref=k∫φref(λ)・y(λ)dλ
SSL=k∫φSSL(λ)・y(λ)dλ
ここで、計算用基準光と試験光の分光分布をそれぞれのYで規格化した規格化分光分布を
ref(λ)=φref(λ)/Yref
SSL(λ)=φSSL(λ)/YSSL
と定義し、これら規格化基準光分光分布と規格化試験光分光分布の差を
ΔS(λ)=Sref(λ)−SSSL(λ)
とした。さらに、ここで、指標Acgを以下のように定義した。

なお、ここで各積分の上下限波長は、それぞれ
Λ1=380nm
Λ2=495nm
Λ3=590nm
とした。
また、Λ4は、以下の2つの場合に分けて定義をした。まず、規格化試験光分光分S
SL(λ)において、380nmから780nm内で、最長波長極大値を与える波長をλ(nm)、その分光強度をSSSL(λ)とした際に、λよりも長波長側にあり、強度がSSSL(λ)/2となる波長をΛ4とした。もし、そのような波長が780nmまでの範囲内に存在しない場合は、Λ4は780nmとした。
指標Acgは色刺激となる放射に関わる可視域を大きく短波長領域(あるいは紫等も含む青領域)、中間波長領域(黄色等も含む緑色領域)、長波長領域(橙色等も含む赤領域)に分割し、数学的な規格化基準光分光分布に比較して、規格化試験光分光分布内の適切な位置に、適切な強度で、スペクトルの凹凸が存在するかどうかを判断する指標である。図33、図34に例示するように、長波長積分範囲は、最長波長極大値の位置によって異なる。また、試験光のCCTによって計算用基準光の選択は異なる。図33の場合は図中実線で示された試験光のCCTが5000K以上なので、基準の光は図中点線で示されるようにCIE昼光(CIE daylight)が選択されている。図34の場合は図中実線で示された試験光のCCTが5000K未満なので、基準の光は図中点線で示されるように黒体放射の光が選択されている。なお、図中網掛け部分は短波長領域、中間波長領域、長波長領域の積分範囲を模式的に示したものである。
短波長領域においては、数学的な規格化基準光分光分布よりも規格化試験光分光分布のスペクトル強度が強い場合に、指標Acgの第一項(ΔS(λ)の積分)はマイナスの値をとりやすい。中間波長領域においては、逆に、規格化基準光分光分布よりも規格化試験光分光分布のスペクトル強度が弱い場合に、指標Acgの第二項(−ΔS(λ)の積分)はマイナスの値をとりやすい。さらに、長波長領域においては、規格化基準光分光分布よりも規格化試験光分光分布のスペクトル強度が強い場合に、指標Acgの第三項(ΔS(λ)の積分)はマイナスの値をとりやすい指標となっている。
また、前記のように、計算用基準光は試験光のCCTによって変えられる。すなわち、計算用基準光は試験光のCCTが5000K未満の際には黒体放射の光が用いられ、試験光のCCTが5000K以上の際には定義されているCIE昼光(CIE daylight)が用いられる。指標Acgの値の導出においては、φref(λ)は、数学的に定義されている黒体放射の光かCIE昼光を用い、一方、φSSL(λ)はシミュレーションに用いた関数、あるいは実験で実測した値を用いた。
さらに、発光装置から出射された主たる放射方向の光を測定した場合における(本発明の発光装置に係る)、又は、照明対象物の位置で測定した場合における(本発明の照明方法に係る)、試験光分光分布φSSL(λ)を評価するに当たり、放射効率 K (Luminous Efficacy of radiation)(lm/W)は、広く使用されている以下の定義を踏襲した。

上記式において、
:最大視感度(lm/W)
V(λ):分光視感効率
λ:波長(nm)
である。
発光装置から出射された主たる放射方向の光を測定した場合における(本発明の発光装
置に係る)、又は、照明対象物の位置で測定した場合における(本発明の照明方法に係る)、試験光分光分布φSSL(λ)の放射効率K(lm/W)は、分光分布がその形状として有する効率であって、発光装置を構成するすべての材料特性に関する効率(例えば半導体発光素子の内部量子効率、光取り出し効率、蛍光体の内部量子効率、外部量子効率、封止剤の透光特性等々の効率)が100%であった際に、光源効率η(lm/W)となる量である。
換言すると、一般には放射効率K(lm/W)は、光源効率η(lm/W)とは異なる量であって、それぞれに独立した効率の指標として扱うのが普通である。後述するように、光源効率ηは、発光装置に投入された電力がどの程度光束に変換されるかを示す量であって、放射効率とは異なる観点で最適化が必要である。
[第二ステップ詳細]
前述の通り、第二ステップとしては、数学的に検討したスペクトル(試験光)を元に、パッケージLED光源、照明器具を試作した。また、計算用基準光に近接した色の見えとなる高Rかつ高Rである光(実験用擬似基準光)用の光源、これを内在させた照明器具も試作した。
具体的には、青色半導体発光素子で緑色蛍光体、赤色蛍光体を励起した光源、青色半導体発光素子で黄色蛍光体、赤色蛍光体を励起した光源、紫色半導体発光素子で青色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体を励起した光源を試作し、器具化した。
青色蛍光体としてはBAMまたはSBCAを用いた。緑色蛍光体としては、BSS、β−SiAlON、またはBSONを用いた。黄色蛍光体としてはYAGを用いた。赤色蛍光体としてはCASONまたはSCASNを用いた。
パッケージLEDを試作する際には、通常行われている方法を用いた。具体的には、電気的に導通可能な金属配線を内在させたセラミックパッケージ上に半導体発光素子(チップ)をフリップチップマウントした。次に、用いる蛍光体とバインダー樹脂を混合したスラリーを、蛍光体層として配置した。
パッケージLEDを準備した後には、これらを用いてMR16 Gu10、MR16 Gu5.3のLEDバルブなどに仕上げた。このLEDバルブ中には駆動用回路を内蔵させ、また、発光波長に対する強度変調の影響がない反射ミラー、レンズ等も搭載し、1種の照明器具に仕上げた。また、市販のLEDバルブも一部準備した。かつ、実験用基準光とすべくタングステンフィラメントが内在する白熱電球も準備した。
さらに、これらLEDバルブを多数配置し、比較視覚実験を行うための照明システムを製作した。ここでは、3種類のバルブを瞬時に切り替えて照明できるシステムをくみ上げた。駆動用電源線の一種は、タングステンフィラメントを有する白熱電球(実験用基準光)専用とし、その後段には可変トランスを配置し、100Vの入力電圧に対して、駆動電圧を110Vから130Vまで昇圧させることで、CCTを変化させられるようにした。また、駆動用電源線の残り2系統はLEDバルブ用とし、この中の1系統は実験用擬似基準光(LED光源)用、残り1系統は試験光用とした。
[第三ステップ詳細]
第三ステップとしては、実験用基準光(あるいは実験用擬似基準光)と試験光を切り替えて、多数の観察対象物の色の見えを被験者に評価してもらう比較視覚実験を行った。当該照明システムは暗室中に設置し外乱を排除した。また、観察対象物の位置における照度は、照明システムに搭載した実験用基準光(あるいは実験用擬似基準光)、試験光の器具数を変化させて、ほぼ一致させた。照度は約150lxから約5000lxの範囲で実験を行った。
実際に照明対象物、観察物としたものを以下に例示する。ここでは、紫色、青紫色、青
色、青緑色、緑色、黄緑色、黄色、黄赤色、赤色、赤紫色等の全色相に渡る有彩色対象物を準備するように配慮した。さらに、白色物、黒色物などの無彩色の対象物も準備した。色を有する照明対象物を準備した。また、静物、生花、食品、衣料品、印刷物等、多数多種類なものを準備した。また、実験においては被験者(日本人)自身の肌も観察対象とした。なお、以下の物体名称前に一部付記した色名称は、通常の環境下でそのように見えるという意味で、厳密な色の表現ではない。
白色セラミック皿、ホワイトアスパラ、ホワイトマッシュルーム、白ガーベラ、白色ハンカチ、白Yシャツ、米飯、塩ゴマ、塩せんべい
紫色生花
青紫布製ハンカチ、ブルージーンズ、青緑タオル
緑色パプリカ、レタス、千切りキャベツ、ブロッコリー、緑ライム、緑色りんご
黄色バナナ、黄色パプリカ、黄緑色レモン、黄色ガーベラ、卵焼き
橙色オレンジ、橙色パプリカ、にんじん
赤色トマト、赤色りんご、赤色パプリカ、赤色ウインナー、梅干
ピンク色ネクタイ、ピンクガーベラ、しゃけ塩焼き
小豆色ネクタイ、ベージュ作業着、コロッケ、とんかつ、ごぼう、クッキー、チョコレート、
落花生、木製器
被験者(日本人)自身の肌
新聞紙、白背景上の黒文字を含むカラー印刷物(多色ずり)、文庫本、週刊誌
外壁材色見本(三菱樹脂社製 アルポリック 白、青、緑、黄色、赤)
カラーチェッカー(X―rite社製 Color checker classic 18色の有彩色と6種類の無彩色(白1、灰色4、黒1)を含む計24色の色票)
なお、カラーチェッカー中の各色票の名称とマンセル表記は、以下の通りである。
Name Munsell Notation
Dark skin 3.05 YR 3.69/3.20
Light skin 2.2 YR 6.47/4.10
Blue sky 4.3 PB 4.95/5.55
Foliage 6.65 GY 4.19/4.15
Blue flower 9.65 PB 5.47/6.70
Bluish green 2.5 BG 7/6
Orange 5 YR 6/11
Purplish blue 7.5 PB 4/10.7
Moderate red 2.5 R 5/10
Purple 5 P 3/7
Yellow green 5 GY 7.08/9.1
Orange yellow 10 YR 7/10.5
Blue 7.5 PB 2.90/12.75
Green 0.1 G 5.38/9.65
Red 5 R 4/12
Yellow 5 Y 8/11.1
Magenta 2.5 RP 5/12
Cyan 5 B 5/8
White N 9.5/
Neutral 8 N 8/
Neutral 6.5 N 6.5/
Neutral 5 N 5/
Neutral 3.5 N 3.5/
Black N 2/
なお、比較視覚実験で用いた各種照明対象物の色の見えと、計算で使用した15種類のマンセル色票の色の見えに関わる各種数学的指標との間に、相関があることは必ずしも自明ではない。これは視覚実験を通じて明らかとすることである。
視覚実験は、以下のような手順で行った。
準備した実験用基準光、実験用擬似基準光、試験光の、主たる放射方向に出射された光を計測し、それぞれをCCT毎に(本発明の発光装置に係る)、又は、準備した実験用基準光、実験用擬似基準光、試験光を、照明対象物の位置で測定したCCT毎に(本発明の照明方法に係る)、6実験用に分類をした。すなわち、以下の通りである。
1つの視覚実験では、同一対象物を、実験用基準光(あるいは実験用擬似基準光)と試験光とを切り替えて照明し、いずれの光が屋外で見たような、自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えを実現できるかを、被験者に相対的に判断してもらった。この際に優劣の判断理由も尋ねた。
[第四ステップ詳細 実験結果]
第四ステップでは、第二ステップで試作したLED光源/器具/システムを用いて、第三ステップで行った比較視覚実験の結果をまとめた。表2は実験Aに対応し、表3は実験Bに対応する結果である。以下同様に、表7は実験Fに対応する結果である。表2〜7において、基準光に対する試験光の総合評価は、同程度の見えを表す「0」を中心に、試験光が若干好ましいとの評価は「1」、試験光が好ましいとの評価は「2」、試験光がより好ましいとの評価は「3」、試験光が非常に好ましいとの評価は「4」、試験光が格段に好ましいとの評価は「5」とした。一方、試験光が若干好ましくないとの評価を「−1」、試験光が好ましくないとの評価を「−2」、試験光がより好ましくないとの評価を「−3」、試験光が非常に好ましくないとの評価を「−4」、試験光が格段に好ましくないとの評価を「−5」とした。
第四ステップでは、特に、視覚実験において、実験用基準光あるいは実験用擬似基準光で照明した場合よりも、試験光で照明した場合の照明対象物の色の見えが良好であったと判断された場合について、試験光に共通する分光分布の放射計測学的特性、測光学的特性を実測スペクトルから抽出することを試みた。すなわち、Acg、放射効率K(lm/W)、CCT(K)、Duvなどの数値に関して、発光装置から主たる放射方向に出射された光(本発明の発光装置に係る)と、照明対象物の位置(本発明の照明方法に係る)との特徴を抽出した。同時に、計算用基準光で照明した場合を仮定した当該15色票の色の見えと、発光装置から主たる放射方向に出射された光を実測した試験光分光分布(本発明の
発光装置に係る)、又は、照明対象物の位置で実測した試験光分光分布(本発明の照明方法に係る)で照明した場合を仮定した当該15色票の色の見えの間の差に関しても、|Δh|、

ΔC、(ΔCmax−ΔCmin)を指標としてまとめた。なお、|Δh|、ΔCは、nを選択すると値が変化するが、ここでは最大値と最小値を示した。これらの値も表2から表7に合わせて記載した。なお、照明対象物の色の見えに関して、発光装置から出射された主たる放射方向の試験光(本発明の発光装置に係る)、又は、被験者の総合的評価結果が照明対象物の位置における試験光(本発明の照明方法に係る)のDuv値に比較的依存していたので、表2から表7は、Duvの値が低下する順に並べた。
全体としては、本実験によって、Duvが適切な値で負の値をとり、かつ、指標Acg等が適切な範囲にある場合に、又は、|Δh|、

ΔC、(ΔCmax−ΔCmin)等が適切な範囲にある場合に、試験光で照明していた実観察物の物体の見え、色の見えは、実験用基準光で照明した場合よりも好ましいと判断された。これはステップ1で「現在広く信じられている常識に照らした結果」に対して予想外であった。

[第四ステップ詳細 考察]
以下実験結果を考察する。なお、表中の試験光及び比較試験光を総称して「試験光」と称する場合がある。
1)試験光のDuvが、実験用基準光(あるいは実験用疑似基準光)よりも正側であった場合
表4、表5、表7には、試験光のDuvが、実験用基準光(あるいは実験用疑似基準光)よりも正側の結果が含まれている。ここから、試験光のDuvが正になればなるほど、照明対象物の色の見えや物体の見えに関し、被験者は好ましくなくなったとの判断をしたことが分かる。具体的には、以下の通りであった。
照明された白色物の見えは、Duvが正になればなるほどより黄色み(緑色み)かかって見え、違和感がより増大したと被験者は判断した。照明されたカラーチェッカーの灰色部分の見えは、明度差がより視認しにくくなったと被験者は判断した。さらに、照明された印刷物の文字もより見にくくなったと被験者は指摘した。さらに、照明された各種有彩色の色の見えは、実験用基準光(あるいは実験用疑似基準光)で照明した場合と比較して、試験光のDuvが正になればなるほど、より不自然で、くすんで見えたと被験者は判断した。照明された各種外壁材色見本は屋外で見た色の見えと非常に異なって知覚され、自身の肌色も、不自然に、不健康に見えたと被験者は指摘した。また、同種類似色の生花花弁の色差は、実験用基準光で照明した場合と比較して、識別しにくく、輪郭が見にくくなったと被験者は指摘した。
また、これらの結果は、表4、表5、表7に記載した試験光のCCTにはあまり依存せず、また、発光装置の発光要素(発光材料)の構成にもあまり依存しないこともわかった。
試験光のDuvが正になればなるほど、全体的傾向としてRaが低下することから、これらの結果のいくつかは、ステップ1の数学的な詳細検討から予想可能な範囲であったと言える。
2)試験光のDuvが、実験用基準光(あるいは実験用疑似基準光)よりも負側であった場合
表2から表7のすべてに、試験光のDuvが、実験用基準光(あるいは実験用疑似基準光)よりも負側の結果が含まれている。これらによれば、試験光のDuvが適正範囲で負であって、かつ、表中の各種指標が適正範囲に入っていれば、照明対象物の色の見えや物体の見えに関し、被験者は若干好ましい、好ましい、より好ましい、非常に好ましい、また、格段に好ましいと判断したことが分かる。一方、試験光のDuvが同様の範囲で負であっても、表中の各種指標が適正範囲になかった場合においては、表5に示されるように、試験光による色の見えや物体の見えが好ましくないと判断されたことも分かる。
ここで、試験光のDuvが適正範囲で負であって、かつ、表中の各種指標が適正範囲内の場合において、試験光で照明した場合の対象物の色の見えが、実験用基準光(あるいは実験用疑似基準光)で照明した場合のそれに比較して、自然で好ましい色の見え、好ましい物体の見えとなることは全く予想外であった。被験者が指摘した特長の詳細は以下の通りであった。
白色物は、試験光のDuvが適正範囲で負で、かつ、表中の各種指標が適正範囲内の場合では、実験用基準光(あるいは実験用疑似基準光)で照明した場合と比較して、黄色み(緑色み)が低減し、若干白く見えた、白く見えた、より白く見えた、非常に白く見えた、また、格段に白く見えたと被験者は判断した。また、最適範囲に近接するにつれ、より自然でより良好な見えになっていったことを指摘した。これは全く予想外の結果であった。
さらに、カラーチェッカーの灰色部分は、試験光のDuvが適正範囲で負で、かつ、表中の各種指標が適正範囲内の場合では、実験用基準光(あるいは実験用疑似基準光)で照明した場合と比較して、それぞれの明度差が、若干増したように見えた、増したように見えた、より増したように見えた、非常に増したように見えた、格段に増したように見えたと被験者は判断した。また、被験者は、最適範囲に近接するにつれ、より自然でより視認性の高い見えになっていったことを指摘した。これは全く予想外の結果であった。
さらに、それぞれの無彩色色票の輪郭も、試験光のDuvが適正範囲で負で、かつ、表中の各種指標が適正範囲内の場合では、実験用基準光(あるいは実験用疑似基準光)で照明した場合と比較して、若干はっきり見えた、はっきり見えた、よりはっきり見えた、非
常にはっきり見えた、格段にはっきり見えたと被験者は判断した。また、被験者は、最適範囲に近接するにつれ、より自然でより視認性の高い見えになっていったことを指摘した。これは全く予想外の結果であった。
さらに、印刷物の文字は、試験光のDuvが適正範囲で負で、かつ、表中の各種指標が適正範囲内の場合では、実験用基準光(あるいは実験用疑似基準光)で照明した場合と比較して、若干見やすくなった、見やすくなった、より見やすくなった、非常に見やすくなった、格段に見やすくなったと被験者は判断した。また、被験者は、最適範囲に近接するにつれ、より自然でより視認性の高い文字の見えになっていったことを指摘した。これは全く予想外の結果であった。
さらに、各種有彩色の照明対象物の色の見えは、試験光のDuvが適正範囲で負で、かつ、表中の各種指標が適正範囲内の場合では、実験用基準光(あるいは実験用疑似基準光)で照明した場合と比較して、若干ではあるが自然な鮮やかさであった、自然な鮮やかさであった、より自然な鮮やかさであった、非常に自然な鮮やかさであった、また、格段に自然な鮮やかさであったと被験者は判断した。また、被験者は、最適範囲に近接するにつれ、より自然で、好ましい色の見えになっていったことを指摘した。これは全く予想外の結果であった。
さらに、各種外壁材色見本の色の見えは、試験光のDuvが適正範囲で負で、かつ、表中の各種指標が適正範囲内の場合では、実験用基準光(あるいは実験用疑似基準光)で照明した場合と比較して、屋外で見た際の記憶と、若干近接していた、近接していた、より近接していた、非常に近接していた、また、格段に近接していたと被験者は判断した。また、被験者は、最適範囲に近接するにつれ、より自然で、屋外で見た際の記憶と近接した好ましい色の見えになっていったことを指摘した。これは全く予想外の結果であった。
さらに、被験者自身(日本人)の肌の色の見えは、試験光のDuvが適正範囲で負で、かつ、表中の各種指標が適正範囲内の場合では、実験用基準光(あるいは実験用疑似基準光)で照明した場合と比較して、若干自然に見えた、自然に見えた、より自然に見えた、非常に自然に見えた、また、格段に自然に見えたと被験者は判断した。また、被験者は、最適範囲に近接するにつれ、より自然で、健康的な好ましい色の見えになっていったことを指摘している。これは全く予想外の結果であった。
さらに、同種類似色の生花花弁の色差は、試験光のDuvが適正範囲で負で、かつ、表中の各種指標が適正範囲内の場合では、実験用基準光(あるいは実験用疑似基準光)で照明した場合と比較して、若干識別しやすかった、識別しやすかった、より識別しやすかった、非常に識別しやすかった、また、格段に識別しやすかったと被験者は判断した。また、被験者は、Duvが実験した範囲内で適正上限よりも負になればなるほど、より識別しやすかったことを指摘した。これは全く予想外の結果であった。
さらに、各種照明対象物は、試験光のDuvが適正範囲で負で、かつ、表中の各種指標が適正範囲内の場合では、実験用基準光(あるいは実験用疑似基準光)で照明した場合と比較して、若干輪郭がはっきり見えた、輪郭がはっきり見えた、より輪郭がはっきり見えた、非常に輪郭がはっきり見えた、また、格段に輪郭がはっきり見えたと被験者は判断した。また、被験者は、Duvが実験した範囲内で適正上限よりも負になればなるほど、より輪郭がはっきり見えたことを指摘した。これは全く予想外の結果であった。
試験光のDuvが負になればなるほど、全体的傾向としてRaが低下することからも、これらの結果は、ステップ1の数学的な詳細検討からは、全く予想外であったと言える。表2から表7にある通り、Raの値のみに注目すれば、Raが95以上である試験光も多数あったにも関わらず、たとえば、総合的に「格段に良好」とされた試験光のRaは82から91程度であった。また、今回の比較視覚実験は、ANSI C78.377−2008に記載されているDuvの範囲を超えて行っている。よって上記の結果は、現在の常
識的推奨色度範囲の外に、照明された物体の色の見えに関する知覚良好領域があることを新たに見出したものと言える。
本発明の第一の実施態様に係る発光装置において、このような知覚を得るためにはDuv以外にも、表2から表7に記載の指標Acgが適正範囲にある必要があった。また、各種指標、すなわち、放射効率K(lm/W)、|Δh|、

ΔC、(ΔCmax−ΔCmin)、が適正範囲にあることが好ましいことが解った。
第一に、視覚実験で良好と判断された試験光の結果から、Duvと、指標Acgに関しては、以下のようであった。
先ず、Duv値は、−0.0040以下であって、若干好ましくは−0.0042以下であって、好ましくは、−0.0070以下であって、より好ましくは−0.0100以下であって、非常に好ましくは−0.0120以下であって、格段に好ましくは−0.0160以下であった。
また、本発明におけるDuvは、−0.0350以上であって、若干好ましくは−0.0340以上であって、好ましくは、−0.0290以上であって、より好ましくは−0.0250以上であって、非常に好ましくは−0.0230以上であって、格段に好ましくは−0.0200以上であった。
さらに、表2から表7の結果より、本発明の第一の実施態様に係る発光装置において分光分布はAcgが−10以下であって−360以上であった。正確な定義は前述の通りであるが、この物理的なおおよその意味、見通しの良い解釈は、以下の通りである。Acgが適切な範囲で負の値を取るとの意味は、規格化試験光分光分布に適切な凹凸があり、380nmから495nm間の短波長領域では、数学的な規格化基準光分光分布よりも規格化試験光分光分布の放射束強度が強い傾向にあり、および/または、495nmから590nmの中間波長領域では、数学的な規格化基準光分光分布よりも規格化試験光分光分布の放射束強度が弱い傾向にあり、および/または、590nmからΛ4までの長波長領域では、数学的な規格化基準光分光分布よりも規格化試験光分光分布の放射束強度が強い傾向にあることを意味している。そのうえで、Acgが定量的に−10以下−360以上の場合に、良好な色の見え、良好な物体の見えとなったと理解できる。
本発明の第一の実施態様に係る発光装置から主たる放射方向に出射される光の分光分布から導出されるAcgは、−10以下であって、若干好ましくは−11以下であって、より好ましくは−28以下であって、非常に好ましくは−41以下であって、格段に好ましくは−114以下であった。
また、本発明の第一の実施態様に係る発光装置から主たる放射方向に出射される光の分光分布から導出されるAcgは−360以上であって、若干好ましくは−330以上であって、好ましくは−260以上であって、非常に好ましくは−181以上であって、格段に好ましくは−178以上であった。
なお、視覚実験で実試験光を用いた検討がなされ、当該検討中の好ましい実験結果の内
側にあるAcgの好ましい範囲は、−322以上、−12以下であった。
第二に、本発明は色の見えが良く効率も高い試験光の実現を目指したが、放射効率Kに関しては、以下の通りであった。
本発明の第一の実施態様に係る発光装置による分光分布が有する放射効率は、好適には180(lm/W)から320(lm/W)の範囲であって、通常の白熱電球等の値である150(lm/W)よりも最低でも20%以上高かった。これは半導体発光素子からの放射や蛍光体からの放射が内在しており、かつ、V(λ)との関係において、分光分布の適切な位置に適切な凹凸があったためであると考えられる。色の見えとの両立との観点では、本発明の第一の実施態様に係る発光装置から主たる放射方向に出射される光が有する分光分布から求められる放射効率は、以下の範囲が好ましかった。
本発明の第一の実施態様に係る発光装置による放射効率Kは、好適には180(lm/W)以上であったが、若干好ましくは205(lm/W)以上であって、好ましくは208(lm/W)以上であって、非常に好ましくは215(lm/W)以上であった。一方、放射効率Kは理想的には高い方が良いが、本発明においては、好適には320(lm/W)以下であって、色の見えとのバランスから、282(lm/W)以下が若干好ましく、232(lm/W)以下が好ましく、231(lm/W)以下が格段に好ましかった。
なお、視覚実験で実試験光を用いた検討がなされ、当該検討中の好ましい実験結果の内側にあるKの好ましい範囲は、206(lm/W)以上、288(lm/W)以下であった。
第三に、|Δh|、

ΔC、(ΔCmax−ΔCmin)の特性を考えると、以下の傾向であったことが分かる。すなわち、良好な色の見え、物体の見えとなる試験光は、計算用基準光で照明した場合を仮定した当該15色票の色の見えと、実測した試験光分光分布で照明した場合を仮定した当該15色票の色の見えに関して、以下の特性を有していた。
試験光による照明と計算用基準光による照明の当該15色票の色相角差(|Δh|)は比較的少なく、かつ、試験光による照明の当該15色票の平均的飽和度

が、計算用基準光による照明のそれと比較して適正な範囲で上がっていた。かつ、当該平均値だけでなく、15色票の飽和度(ΔC)を個別に見ても、試験光による照明の当該
15色票の各ΔCが、計算用基準光による照明のそれらと比較して、極端に低下しているものも極端に向上しているものもなく、すべてが適正範囲にあり、この結果として最大最小飽和度差間差(ΔCmax−ΔCmin)が適正な範囲で狭かった。さらに、簡略化すれば、当該15色票に対して基準光での照明を仮定した場合に比較して、試験光での照明を仮定した場合は、当該15色票すべての色相において、色相角差が少なく、かつ、適正な範囲で15色票の飽和度が比較的均等に向上している場合が理想的であると推察できる。
図35の実線は、表3にあって、総合判断として「格段に好ましい」と判断された試験光5の規格化試験光分光分布である。また、同図中点線は、当該試験光のCCTから算出された計算用基準光(黒体放射の光)の規格化分光分布である。一方、図36は、当該試験光5で照明した場合(実線)と、計算用基準光(黒体放射の光)で照明した場合(点線)を仮定した、当該15色票の色の見えに関するCIELABプロットである。なお、紙面垂直方向は明度であるが、ここでは簡便のためにa、b軸のみをプロットした。
さらに図37と図38は、表5の中で、総合判断として「格段に好ましい」と判断された試験光15の結果を上記と同様にまとめたもので、図39と図40は、表6中で、総合判断として「格段に好ましい」と判断された試験光19の結果を上記と同様にまとめたものである。
この様に視覚実験で好ましい色の見え、物体の見えとなった場合は、当該15色票に対する基準光での照明を仮定した場合に比較して、試験光での照明を仮定した場合に、当該15色票すべての色相において、色相角差が少なく、かつ、適正な範囲で15色票の飽和度が比較的均等に向上していることが分かる。また、この観点で4000K近傍のCCTは、好ましいことも分かる。
一方、Duvが適正な範囲で負の値を有する場合であっても、たとえば表5中のDuv≒−0.01831である比較試験光14の場合には、視覚実験において試験光による見えが好ましくないと判断されている。これは、指標Acgの特性が適正でなかったと考えられる。図41、図42は比較試験光14について、図35、図36等と同様に規格化分光分布と15色票の色の見えに関するCIELABプロットを行った結果である。この図からも明らかなように、当該15色票に対して基準光での照明を仮定した場合と、試験光での照明を仮定した場合とを比較すると、当該15色票のいくつかの色相において、色相角差がおおきく、また、15色票の飽和度が非常に不均等に変化していることが分かる。
視覚実験結果と考察から、各定量指標は、以下の範囲が好ましいことが分かる。
本発明の第一の実施態様に係る発光装置におけるDuvは、前述の通り、−0.0040以下であって、若干好ましくは−0.0042以下であって、好ましくは、−0.0070以下であって、より好ましくは−0.0100以下であって、非常に好ましくは−0.0120以下であって、格段に好ましくは−0.0160以下であった。
また、本発明の第一の実施態様に係る発光装置におけるDuvは、−0.0350以上であって、若干好ましくは−0.0340以上であって、好ましくは、−0.0290以上であって、より好ましくは−0.0250以上であって、非常に好ましくは−0.0230以上であって、格段に好ましくは−0.0200以上であった。
本発明の第一の実施態様に係る発光装置における|Δh|は9.0以下が好適であり、非常に好ましくは8.4以下であって、格段に好ましくは7.3以下であった。また|Δh|は、さらに小さいことがより好ましいと考えられ、6.0以下がより格段に好ましく、5.0以下が更に格段に好ましく、4.0以下が特に格段に好ましいと考えられる。
なお、本発明の第一の実施態様に係る発光装置における|Δh|は0以上が好適であ
り、視覚実験時の最小値は0.0029であった。さらに、視覚実験で実試験光を用いた検討がなされ、当該検討中の好ましい実験結果の内側にある|Δh|の好ましい範囲は、8.3以下、0.003以上であった。
本発明の第一の実施態様に係る発光装置における

は、1.0以上が好適であり、若干好ましくは1.1以上であって、好ましくは、1.9以上であって、非常に好ましくは2.3以上であって、格段に好ましくは2.6以上であった。
また、7.0以下であることが好適であり、好ましくは6.4以下であって、非常に好ましくは、5.1以下であって、格段に好ましくは4.7以下であった。
なお、視覚実験で実試験光を用いた検討がなされ、当該検討中の好ましい実験結果の内側にある上記指標の好ましい範囲は、1.2以上、6.3以下であった。
本発明の第一の実施態様に係る発光装置におけるΔCは、−3.8以上であることが好適であり、若干好ましくはは−3.5以上であって、非常に好ましくは−2.5以上であって、格段に好ましくは−0.7以上であった。
また、本発明の第一の実施態様に係る発光装置におけるΔCは、18.6以下であることが好適であり、非常に好ましくは17.0以下であって、格段に好適には15.0以下であった。
なお、視覚実験で実試験光を用いた検討がなされ、当該検討中の好ましい実験結果の内側にあるΔCの好ましい範囲は、−3.4以上、16.8以下であった。
本発明の第一の実施態様に係る発光装置における(ΔCmax−ΔCmin)は、19.6以下であることが好適であり、17.9以下であることが非常に好ましく、15.2以下であることが格段に好ましかった。加えて、(ΔCmax−ΔCmin)は小さいことがより好ましいと考えられ、14.0以下がさらに格段に好ましく、13.0以下が非常に格段に好ましいと考えられる。
また、本発明の第一の実施態様に係る発光装置における(ΔCmax−ΔCmin)は2.8以上であることが好適であり、視覚実験時の最小値は3.16であった。さらに、視覚実験で実試験光を用いた検討がなされ、当該検討中の好ましい実験結果の内側にある(ΔCmax−ΔCmin)の好ましい範囲は、3.2以上、17.8以下であった。
第四に、本発明の第一の実施態様に係る発光装置におけるCCTに関しては、以下のようなことが分かった。比較視覚実験によって、好ましいと判断された各種指標すなわち|Δh|、

ΔC、(ΔCmax−ΔCmin)をより適切な値とするためには、本発明の第一の実施態様に係る発光装置において、CCTは4000Kに近い値をとることが好ましかった。これは4000K付近の光は基準の光を見てもその分光分布が波長にあまり依存せずに等エネルギー的であって、基準の光に対して容易に凹凸を形成した試験光分光分布が実現できるためと考えられる。換言すると、他のCCTの場合と比較しても、|Δh|と(ΔCmax−ΔCmin)を比較的小さく保持したまま、

を増加させ、大多数の色票に対するΔCを所望の値に容易に制御可能である。
よって、本発明の第一の実施態様に係る発光装置におけるCCTは1800Kから15000Kであることが若干好ましく、2000Kから10000Kであることが好ましく、2300Kから7000Kであることがより好ましく、2600Kから6600Kであることが非常に好ましく、2900Kから5800Kであることが格段に好ましく、3400Kから5100Kであることが最も好ましい。
なお、視覚実験で実試験光を用いた検討がなされ、当該検討中の好ましい実験結果の内側にあるCCTの好ましい範囲は、2550(K)以上、5650(K)以下であった。
また、本発明の第三の実施態様に係る照明方法において、このような知覚を得るためにはDuv以外にも、表2から表7に記載の各種指標、すなわち、|Δh|、

ΔC、(ΔCmax−ΔCmin)が適正範囲にある必要があった。また、指標Acg、放射効率K(lm/W)が適正範囲にあることが好ましいことが解った。
特に、視覚実験で良好と判断された試験光の結果から、|Δh|、

ΔC、(ΔCmax−ΔCmin)の特性を考えると、以下の傾向であったことが分かる。すなわち、良好な色の見え、物体の見えとなる試験光は、計算用基準光で照明した場合を仮定した当該15色票の色の見えと、実測した試験光分光分布で照明した場合を仮定した当該15色票の色の見えに関して、以下の特性を有していた。
試験光による照明と計算用基準光による照明の当該15色票の色相角差(|Δh|)は比較的少なく、かつ、試験光による照明の当該15色票の平均的飽和度

が、計算用基準光による照明のそれと比較して適正な範囲で上がっていた。かつ、当該平均値だけでなく、15色票の飽和度(ΔC)を個別に見ても、試験光による照明の当該15色票の各ΔCが、計算用基準光による照明のそれらと比較して、極端に低下しているものも極端に向上しているものもなく、すべてが適正範囲にあり、この結果として最大最小飽和度差間差(ΔCmax−ΔCmin)が適正な範囲で狭かった。さらに、簡略化すれば、当該15色票に対して基準光での照明を仮定した場合に比較して、試験光での照明を仮定した場合は、当該15色票すべての色相において、色相角差が少なく、かつ、適正な範囲で15色票の飽和度が比較的均等に向上している場合が理想的であると推察できる。
図35の実線は、表3にあって、総合判断として「格段に好ましい」と判断された試験光5の規格化試験光分光分布である。また、同図中点線は、当該試験光のCCTから算出された計算用基準光(黒体放射の光)の規格化分光分布である。一方、図36は、当該試験光5で照明した場合(実線)と、計算用基準光(黒体放射の光)で照明した場合(点線)を仮定した、当該15色票の色の見えに関するCIELABプロットである。なお、紙面垂直方向は明度であるが、ここでは簡便のためにa、b軸のみをプロットした。
さらに図37と図38は、表5の中で、総合判断として「格段に好ましい」と判断された試験光15の結果を上記と同様にまとめたもので、図39と図40は、表6中で、総合判断として「格段に好ましい」と判断された試験光19の結果を上記と同様にまとめたものである。
この様に視覚実験で好ましい色の見え、物体の見えとなった場合は、当該15色票に対する基準光での照明を仮定した場合に比較して、試験光での照明を仮定した場合に、当該15色票すべての色相において、色相角差が少なく、かつ、適正な範囲で15色票の飽和度が比較的均等に向上していることが分かる。また、この観点で4000K近傍のCCT
は、好ましいことも分かる。
一方、Duvが適正な範囲で負の値を有する場合であっても、たとえば表5中のDuv≒−0.01831である比較試験光14の場合には、視覚実験において試験光による見えが好ましくないと判断されている。これは、|Δh|、

ΔC、(ΔCmax−ΔCmin)の特性のうちいくつかが適正でなかったと考えられる。図41、図42は比較試験光14について、図35、図36等と同様に規格化分光分布と15色票の色の見えに関するCIELABプロットを行った結果である。この図からも明らかなように、当該15色票に対して基準光での照明を仮定した場合と、試験光での照明を仮定した場合とを比較すると、当該15色票のいくつかの色相において、色相角差がおおきく、また、15色票の飽和度が非常に不均等に変化していることが分かる。
視覚実験結果と考察から、各定量指標は、以下の範囲が好ましいことが分かる。
本発明の第三の実施態様に係る照明方法におけるDuvは、−0.0040以下であって、若干好ましくは−0.0042以下であって、好ましくは、−0.0070以下であって、より好ましくは−0.0100以下であって、非常に好ましくは−0.0120以下であって、格段に好ましくは−0.0160以下であった。
また、本発明の第三の実施態様に係る照明方法におけるDuvは、−0.0350以上であって、若干好ましくは−0.0340以上であって、好ましくは、−0.0290以上であって、より好ましくは−0.0250以上であって、非常に好ましくは−0.0230以上であって、格段に好ましくは−0.0200以上であった。
本発明の第三の実施態様に係る照明方法における|Δh|は9.0以下であって、非常に好ましくは8.4以下であって、格段に好ましくは7.3以下であった。また|Δh|は、さらに小さいことがより好ましいと考えられ、6.0以下がより格段に好ましく、5.0以下が更に格段に好ましく、4.0以下が特に格段に好ましいと考えられる。
なお、本発明の第三の実施態様に係る照明方法における|Δh|は0以上で、視覚実験時の最小値は0.0029であった。さらに、視覚実験で実試験光を用いた検討がなされ、当該検討中の好ましい実験結果の内側にある|Δh|の好ましい範囲は、8.3以下、0.003以上であった。
本発明の第三の実施態様に係る照明方法における

は、1.0以上であって、若干好ましくは1.1以上であって、好ましくは、1.9以上であって、非常に好ましくは2.3以上であって、格段に好ましくは2.6以上であった。
また、7.0以下であって、好ましくは6.4以下であって、非常に好ましくは、5.1以下であって、格段に好ましくは4.7以下であった。
なお、視覚実験で実試験光を用いた検討がなされ、当該検討中の好ましい実験結果の内側にある上記指標の好ましい範囲は、1.2以上、6.3以下であった。
本発明の第三の実施態様に係る照明方法におけるΔCは、−3.8以上であって、若干好ましくは−3.5以上であって、非常に好ましくは−2.5以上であって、格段に好ましくは−0.7以上であった。
また、本発明の第三の実施態様に係る照明方法におけるΔCは、18.6以下であって、非常に好ましくは17.0以下であって、格段に好ましくは15.0以下であった。さらに、視覚実験で実試験光を用いた検討がなされ、当該検討中の好ましい実験結果の内側にあるΔCの好ましい範囲は、−3.4以上、16.8以下であった。
本発明の第三の実施態様に係る照明方法における(ΔCmax−ΔCmin)は、19.6以下であるが、17.9以下であることが非常に好ましく、15.2以下であることが格段に好ましかった。加えて、(ΔCmax−ΔCmin)は小さいことがより好ましいと考えられ、14.0以下がさらに格段に好ましく、13.0以下が非常に格段に好ましいと考えられる。
また、本発明の第三の実施態様に係る照明方法における(ΔCmax−ΔCmin)は2.8以上で、視覚実験時の最小値は3.16であった。さらに、視覚実験で実試験光を用いた検討がなされ、当該検討中の好ましい実験結果の内側にある(ΔCmax−ΔCmin)の好ましい範囲は、3.2以上、17.8以下であった。
一方、表2から表7を用いて、視覚実験で好ましい特性と総合的に判断された試験光に付随する特性を、試験光分光分布が有する放射計測学的特性と測光学的特性とで代表させることも試みた。
この場合もDuv値は、これまで考察してきたとおりであって、−0.0040以下であって、若干好ましくは−0.0042以下であって、好ましくは、−0.0070以下であって、より好ましくは−0.0100以下であって、非常に好ましくは−0.0120以下であって、格段に好ましくは−0.0160以下であった。
また、本発明におけるDuvは、−0.0350以上であって、若干好ましくは−0.0340以上であって、好ましくは、−0.0290以上であって、より好ましくは−0.0250以上であって、非常に好ましくは−0.0230以上であって、格段に好ましくは−0.0200以上であった。
一方、指標Acgに関しては、以下の様であった。
表2から表7の結果より、本発明の第三の実施態様に係る照明方法の好適な分光分布はAcgが−10以下であって−360以上であった。正確な定義は前述の通りであるが、この物理的なおおよその意味、見通しの良い解釈は、以下の通りである。Acgが適切な範囲で負の値を取るとの意味は、規格化試験光分光分布に適切な凹凸があり、380nmから495nm間の短波長領域では、数学的な規格化基準光分光分布よりも規格化試験光分光分布の放射束強度が強い傾向にあり、および/または、495nmから590nmの中間波長領域では、数学的な規格化基準光分光分布よりも規格化試験光分光分布の放射束強度が弱い傾向にあり、および/または、590nmからΛ4までの長波長領域では、数学的な規格化基準光分光分布よりも規格化試験光分光分布の放射束強度が強い傾向にあることを意味している。Acgは短波長領域、中間波長領域、長波長領域におけるそれぞれの要素の総和なので、各個別の要素は、必ずしも上記傾向でない場合もあり得る。そのうえで、Acgが定量的に−10以下−360以上の場合に、良好な色の見え、良好な物体の見えとなったと理解できる。
本発明の第三の実施態様に係る照明方法におけるAcgは、好適には−10以下であって、若干好ましくは−11以下であって、より好ましくは−28以下であって、非常に好ましくは−41以下であって、格段に好ましくは−114以下であった。
また、本発明の第三の実施態様に係る照明方法においては、Acgは好適には−360以上であって、若干好ましくは−330以上であって、好ましくは−260以上であって、非常に好ましくは−181以上であって、格段に好ましくは−178以上であった。
なお、視覚実験で実試験光を用いた検討がなされ、当該検討中の好ましい実験結果の内側にあるAcgの好ましい範囲は、−322以上、−12以下であった。
さらに、本発明の第三の実施態様に係る照明方法においては、色の見えが良く効率も高い試験光の実現を目指したが、放射効率Kに関しては、以下の通りであった。
本発明の第三の実施態様に係る照明方法による分光分布が有する放射効率は、好適には180(lm/W)から320(lm/W)の範囲であって、通常の白熱電球等の値である150(lm/W)よりも最低でも20%以上高かった。これは半導体発光素子からの放射や蛍光体からの放射が内在しており、かつ、V(λ)との関係において、分光分布の適切な位置に適切な凹凸があったためであると考えられる。色の見えとの両立との観点では、本発明の照明方法の放射効率は、以下の範囲が好ましかった。
本発明の第三の実施態様に係る照明方法による放射効率Kは、好適には180(lm/W)以上であったが、若干好ましくは205(lm/W)以上であって、好ましくは208(lm/W)以上であって、非常に好ましくは215(lm/W)以上であった。一方、放射効率Kは理想的には高い方が良いが、本発明においては、好適には320(lm/W)以下であって、色の見えとのバランスから、282(lm/W)以下が若干好ましく、232(lm/W)以下が好ましく、231(lm/W)以下が格段に好ましかった。
なお、視覚実験で実試験光を用いた検討がなされ、当該検討中の好ましい実験結果の内側にあるKの好ましい範囲は、206(lm/W)以上、288(lm/W)以下であった。
さらに本発明の第三の実施態様に係る照明方法におけるCCTに関しては、以下のようなことが分かった。比較視覚実験によって、好ましいと判断された各種指標すなわち|Δh|、

ΔC、(ΔCmax−ΔCmin)をより適切な値とするためには、本発明の照明方法において、CCTは4000Kに近い値をとることが好ましかった。これは4000K付近の光は基準の光を見てもその分光分布が波長にあまり依存せずに等エネルギー的であって、基準の光に対して容易に凹凸を形成した試験光分光分布が実現できるためと考えられる。換言すると、他のCCTの場合と比較しても、|Δh|と(ΔCmax−ΔCmin)を比較的小さく保持したまま、

を増加させ、大多数の色票に対するΔCを所望の値に容易に制御可能である。
よって、本発明の第三の実施態様に係る照明方法におけるCCTは1800Kから15000Kであることが若干好ましく、2000Kから10000Kであることが好ましく、2300Kから7000Kであることがより好ましく、2600Kから6600Kであることが非常に好ましく、2900Kから5800Kであることが格段に好ましく、3400Kから5100Kであることが最も好ましい。
なお、視覚実験で実試験光を用いた検討がなされ、当該検討中の好ましい実験結果の内側にあるCCTの好ましい範囲は、2550(K)以上、5650(K)以下であった。
[第五ステップ詳細 発光要素として、395nm以上420nm未満の波長域に極大を有する半導体発光素子を備える発光装置における、光源効率ηと色の見えの最適化検討]
第五ステップでは、第四ステップまでで検討した結果を元に、特に光源効率η(lm/W)と色の見えに関して、この両立を目指して分光分布の最適化を実施した。
最適化に際しては、発光要素である半導体発光素子として395nm以上420nm未満の間に発光素子単体としてのピークを有する紫LEDを内在させた発光装置を準備して、当該発光装置の光源効率と色の見えを独立に評価し、この結果を総合することで、分光分布形状の最適化を行った。
この理由は以下の通りである。いわゆる青色LEDが内在し、当該青色領域の発光よりもさらに長波長側の発光要素との組み合わせで白色LED等を実現する際、特に青色、緑色、赤色に対応する3種類の発光要素によって白色LEDを構成する場合などでは、相関色温度とDuv値を規定すると分光分布形状には、あまり自由度が残らない。すなわち、主として発光要素を構成する材料選択そのものが白色LEDによって照明された対象物の色の見えを規定することに繋がる。一方、本第五ステップで課題としたように、4種類以上の発光要素によって発光装置を構成する場合においては、同じ相関色温度とDuv値を実現する分光分布は多数存在する。よって、同一相関色温度と同一Duv値を実現する分
光分布の中から、最適な分光分布を選択することは非常に重要になる。ここでは、発光装置の分光分布φSSL(λ)の中にみられる「紫LED単体の発光に由来する395nm以上420nm未満における当該発光装置の分光放射束分布の極大値φSSL(λ)」と、「380nm以上780nm以内の範囲で、φSSL(λ)の最長波長側に位置する分光放射束分布の極大値φSSL(λ)」の比(φSSL(λ)/φSSL(λ))に注目した。ここにおいて、λは「395nm以上420nm未満における当該発光装置の分光強度に極大を与える波長」であって、λは「380nm以上780nm以内の範囲で、当該発光装置の分光強度に最長波長極大値を与える波長」である。紫LEDによって発光装置を構成した際に、前者(λ)は、必ずしも紫LED単体のピーク波長と一致するとは限らないが、発光装置における紫LED単体ピークに由来する極大値を与える波長となるものである。一方、後者(λ)は可視域における発光装置のもっとも長波長側の極大値を与える波長であって、普通は黄色、赤色、深赤色等の極大値を与える波長である。なお、紫LED由来の発光は、発光装置化した際には極大値を示さない場合もあるが、以下の実験においては、このような場合には、紫LED単体ピークの波長をλとし、その波長におけるφSSL(λ)によってφSSL(λ)/φSSL(λ)を導出した。
以下に実施した9種類の実験内容を示す。
先ず、実験α1として以下を行った。相関色温度を2950K、Duvを−0.0150と目標色度点と定めた。発光要素としては、紫LEDと、BAM(青色蛍光体)、BSS(緑色蛍光体)、CASON(赤色蛍光体)の各蛍光体を準備し、蛍光体配合を調整して、φSSL(λ)/φSSL(λ)を変化させた7種の発光装置を作製した。発光装置としてはパッケージLEDを作製し、光源効率η(lm/W)の相対変化を確認した。
試作したパッケージLEDの分光分布を測定した結果、φSSL(λ)/φSSL(λ)値は、0.03、0.10、0.21、0.45、0.61、1.09、1.61であった。
図45は、φSSL(λ)/φSSL(λ)が0.21、0.61、1.61の結果を例示したものであって、パッケージLEDの主たる放射方向である鉛直方向に出射された光を、それぞれのφSSL(λ)で規格化した相対分光分布である。図46は、7種類のパッケージLEDの光源効率を実測し、最も光源効率の高かったφSSL(λ)/φSSL(λ)=1.61の場合で規格化した相対的な光源効率を、φSSL(λ)/φSSL(λ)の関数としてプロットした結果である。ここで図中実験データおよび補助線から明らかなように、φSSL(λ)/φSSL(λ)<0.3においては、光源効率が相対的に低く、かつ、φSSL(λ)/φSSL(λ)に大きく依存して変化することが分かる。一方、図中補助線で示したように、0.3≦φSSL(λ)/φSSL(λ)の範囲においては、相対的に光源効率が高く、かつ、φSSL(λ)/φSSL(λ)への依存性が小さくなることが分かる。
次に実験α2を行った。本実験においては、実験α1で準備した7種類の発光装置それぞれを用いて、さらに加工度の上がった発光装置であるLED照明器具を7種類作成し、これらを用いた比較視覚実験を行い、照明対象物の色の見えを評価した。この際には、通常の照明環境下では白色に見える、陶器皿、紙、ハンカチの「白色の色の見え」を中心に被験者による評価を行った。この結果を表8にまとめた。被験者のコメント等によれば、φSSL(λ)/φSSL(λ)≦0.21においては、白色物が相対的に(若干)青みがかって知覚されることが分かった。一方、0.45≦φSSL(λ)/φSSL(λ)≦1.09においては、白色の色の見えは良好であって、特に、0.61≦φSSL(λ)/φSSL(λ)≦1.09における白色の見えは至極良好に知覚されることが分かった。一方、1.61≦φSSL(λ)/φSSL(λ)においては、白色物が相対的に紫がかって知覚されることが分かった。
次に、実験β1として以下を行った。相関色温度を4100K、Duvを−0.0120と目標色度点と定めた。発光要素としては、紫LEDと、SBCA(青色蛍光体)、β−SiAlON(緑色蛍光体)、CASON(赤色蛍光体)の各蛍光体を準備し、蛍光体配合を調整して、φSSL(λ)/φSSL(λ)を変化させた6種の発光装置を作製した。発光装置としては実験α1で作成したパッケージLEDとは異なる形状のパッケージLEDを作製し、光源効率η(lm/W)の相対変化を確認した。
試作したパッケージLEDの分光分布を測定した結果、φSSL(λ)/φSSL(λ)値は、0.20、0.41、0.58、0.82、1.22、1.41であった。
図47は、φSSL(λ)/φSSL(λ)が0.58の結果を例示したものであって、パッケージLEDの主たる放射方向である鉛直方向に出射された光を、φSSL(λ)で規格化した相対分光分布である。図48の図中丸印は、6種類のパッケージLEDの光源効率を実測し、最も光源効率の高かったφSSL(λ)/φSSL(λ)=1.41の場合で規格化した相対的な光源効率を、φSSL(λ)/φSSL(λ)の関数としてプロットした結果である。ここで図中実験データおよび補助線から明らかなように、φSSL(λ)/φSSL(λ)<0.3においては、光源効率が相対的に低く、かつ、φSSL(λ)/φSSL(λ)に大きく依存して変化することが分かる。一方、図中補助線で示したように、0.3≦φSSL(λ)/φSSL(λ)の範囲においては、相対的に光源効率が高く、かつ、φSSL(λ)/φSSL(λ)への依存性が小さくなることが分かる。
次に実験β2を行った。本実験においては、実験β1で準備した6種類の発光装置それぞれを用いて、さらに加工度の上がった発光装置であるLED照明器具を6種類作成し、これらを用いた比較視覚実験を行い、照明対象物の色の見えを評価した。この際には、通常の照明環境下では白色に見える、陶器皿、紙、ハンカチの「白色の色の見え」を中心に被験者による評価を行った。この結果を表9にまとめた。被験者のコメント等によれば、φSSL(λ)/φSSL(λ)≦0.20においては、白色物が相対的に、若干青みがかって知覚されることが分かった。一方、0.41≦φSSL(λ)/φSSL(λ)≦1.22においては、白色の色の見えは良好であって、特に、0.58≦φSSL(λ)/φSSL(λ)≦0.82における白色の見えは至極良好に知覚されることが分かった。一方、1.41≦φSSL(λ)/φSSL(λ)においては、白色物が相対的に若干紫がかって知覚されることが分かった。
次に、実験γ1として以下を行った。相関色温度を4100K、Duvを−0.0150と目標色度点と定めた。発光要素としては、紫LEDと、SBCA(青色蛍光体)、β−SiAlON(緑色蛍光体)、CASON(赤色蛍光体)の各蛍光体を準備し、蛍光体配合を調整して、φSSL(λ)/φSSL(λ)を変化させた4種の発光装置を作製した。発光装置としては実験β1で作成したパッケージLEDと同形状のパッケージLEDを作製し、光源効率η(lm/W)の相対変化を確認した。
試作したパッケージLEDの分光分布を測定した結果、φSSL(λ)/φSSL(λ)値は、0.39、0.81、1.11、1.64であった。
図49は、φSSL(λ)/φSSL(λ)が0.39の結果を例示したものであって、パッケージLEDの主たる放射方向である鉛直方向に出射された光を、φSSL(λ)で規格化した相対分光分布である。図48の図中×印は、4種類のパッケージLEDの光源効率を実測し、同じCCTを有する実験β1の中で最も光源効率の高かったφSSL(λ)/φSSL(λ)=1.41の場合で規格化した相対的な光源効率を、φSSL(λ)/φSSL(λ)の関数としてプロットした結果である。ここで実験β1と実験γ1を総合的にみると、図中実験データおよび補助線から明らかなように、φSSL(λ)/φSSL(λ)<0.3においては、光源効率が相対的に低く、かつ、φSSL(λ)/φSSL(λ)に大きく依存して変化することが分かる。一方、図中補助線で示したように、0.3≦φSSL(λ)/φSSL(λ)の範囲においては、相対的に光源効率が高く、かつ、φSSL(λ)/φSSL(λ)への依存性が小さくなることが分かる。
次に実験γ2を行った。本実験においては、実験γ1で準備した4種類の発光装置それぞれを用いて、さらに加工度の上がった発光装置であるLED照明器具を4種類作成し、これらを用いた比較視覚実験を行い、照明対象物の色の見えを評価した。この際には、通常の照明環境下では白色に見える、陶器皿、紙、ハンカチの「白色の色の見え」を中心に被験者による評価を行った。この結果を表10にまとめた。被験者のコメント等によれば、0.39≦φSSL(λ)/φSSL(λ)≦1.11においては、白色の色の見えは良好であって、特に、0.81≦φSSL(λ)/φSSL(λ)≦1.11における白色の見えは至極良好に知覚されることが分かった。一方、1.64≦φSSL(λ)/φSSL(λ)においては、白色物が相対的に紫がかって知覚されることが分かった。

これらの実験を総合すると、白色物の色の見えと光源効率の高さのバランスから、本発明のφSSL(λ)/φSSL(λ)は、0.30以上であることが好ましく、0.39以上であることがより好ましく、0.58以上であることがさらに好ましい。また、本発明のφSSL(λ)/φSSL(λ)は、1.40以下であることが好ましく、1.22以下であることがより好ましく、1.11以下であることがさらに好ましい。また、φSSL(λ)/φSSL(λ)は、0.58以上1.11以下の範囲においても、特に0.81−0.82近傍の値である場合は光源効率と色の見えのバランスが最も
良いと考えられ、最も好ましい。
ついで、実験α2、実験β2、実験γ2で試作した照明器具から軸上に放射された光の放射計測学的特性、測光学的特性を抽出することを試みた。これらをそれぞれ実験α3、実験β3、実験γ3とした。ここでは、発光装置から主たる放射方向に出射された光の指標Acg、放射効率K(lm/W)、CCT(K)、Duvなどの数値の特徴を抽出した。同時に、計算用基準光で照明した場合を仮定した当該15色票の色の見えと、実測した試験光分光分布で照明した場合を仮定した当該15色票の色の見えの間の差に関しても、|Δh|、

ΔC、(ΔCmax−ΔCmin)を指標としてまとめた。なお、|Δh|、ΔCは、nを選択すると値が変化するが、ここでは最大値と最小値を示した。これらの値も表11、表12,表13にそれぞれ記載した。なお、第五ステップにおける検討は、本発明に係る実施例、比較例を表すものである。また、本実施例のCIELABプロット例として、図50には、φSSL(λ)/φSSL(λ)が0.61である実施例2の結果を示した。また、図51には、φSSL(λ)/φSSL(λ)が0.58である実施例5の結果を示した。さらに、図52には、φSSL(λ)/φSSL(λ)が0.39である実施例8の結果を示した。
表11、表12、表13、図50、図51、図52等からも明らかなように、本実施例は、第一ステップから第四ステップで求められた各種指標の好ましい範囲を満たしていることが分かる。
具体的には、パッケージLEDの目標色度点を相関色温度2950K、Duv−0.0150と定めた実験α3からは以下であることが分かった。
cgは−103.07以上、−56.23以下が好適であった。Kは225以上、232以下が好適であった。
|Δh|は、0.04以上、4.76以下が好適であった。

は、2.45以上、2.91以下が好適であった。ΔCは、−0.84以上、8.73以下が好適であった。(ΔCmax−ΔCmin)は、7.46以上、9.25以下が好適であった。
さらに、パッケージLEDの目標色度点を相関色温度4100K、Duv−0.0120と定めた実験β3からは以下であることが分かった。
cgは−165.35以上、−71.90以下が好適であった。Kは221以上、235以下が好適であった。
|Δh|は、0.06以上、3.84以下が好適であった。

は、2.70以上、3.10以下が好適であった。ΔCは、−0.51以上、6.29以下が好適であった。(ΔCmax−ΔCmin)は、4.50以上、6.81以下が好適であった。
さらに、パッケージLEDの目標色度点を相関色温度4100K、Duv−0.0150と定めた実験γ3からは以下であることが分かった。
cgは−174.61以上、−106.95以下が好適であった。Kは220以上、231以下が好適であった。
|Δh|は、0.00以上、3.66以下が好適であった。

は、3.18以上、3.30以下が好適であった。ΔCは、0.10以上、6.59以下が好適であった。(ΔCmax−ΔCmin)は、5.14以上、6.49以下が好適であった。
本発明の発光装置及び照明方法を実施するための好ましい実施形態を以下に説明するが、本発明の発光装置及び照明方法を実施するための態様は、以下の説明で用いたものに限定されない。
本発明の発光装置は、発光装置から主たる放射方向に出射され、照明対象物に対して色刺激となる試験光の放射計測学的特性、測光学的特性が適切な範囲にあれば、発光装置の構成、材料等に制約はない。
本発明の照明方法は、照明対象物に対して照射され、色刺激となる試験光の測光学的特性が適切な範囲にあり、かつ、計算用基準光で照明した場合を仮定した当該15色票の色の見えと、実測した試験光分光分布で照明した場合を仮定した当該15色票の色の見えの差が適切な範囲にあれば、発光装置の構成、材料等に制約はない。
本発明の発光装置又は照明方法を実施するための照明光源、当該照明光源を含む照明器具、当該照明光源や照明器具を含む照明システム等の発光装置は、少なくとも、395nm以上420nm未満の波長域に極大を有する半導体発光素子を発光要素として含んでいることが好ましい。照明光源は、たとえば青色、緑色、赤色等の種類の異なる複数の半導体発光素子が1つの照明光源中にさらに内在していてもよく、また、1つの照明光源の中には青色半導体発光素子を含み、異なる1つの照明光源中に緑色半導体発光素子を含み、さらに異なる1つの照明光源中に赤色半導体発光素子を含み、これらが照明器具の中で、、395nm以上420nm未満の波長域に極大を有する半導体発光素子、フィルター、レンズ、反射鏡、駆動回路等とともに一体とされて照明システムに提供されてもよい。さらに、1つの照明器具中に1つの照明光源があり、この中に単体の半導体発光素子が内在しているような場合であって、単体の照明光源、照明器具としては本発明の照明方法又は発光装置を実施できないものの、照明システム中に存在する異なる照明器具からの光との加法混色によって、照明システムとして放射される光が、照明対象物の位置で所望の特性を満足するようにしてもかまわないし、照明システムとして放射される光のうち主たる放射方向の光が、所望の特性を満足するようにしてもかまわない。いずれのような形態であっても、発光装置から出射される光のうち主たる放射方向の光が、又は、照明対象物に最終的に照射される色刺激としての光が、本発明の適切な条件を満たせばよい。
以下は、前記の適切な条件を満たしたうえで、本発明の第一の実施態様に係る発光装置、及び、本発明の第三の実施態様に係る照明方法を実施するための発光装置が好ましく有すべき特性に関して記載する。
本発明の第一の実施態様に係る発光装置、又は、本発明の第三の実施態様に係る照明方法を実施するための発光装置は、Λ1(380nm)からΛ2(495nm)の短波長領域内にピークを有する発光要素(発光材料)を有し、かつ、Λ2(495nm)からΛ3(590nm)の中間波長領域内にピークを有する別の発光要素(発光材料)を有し、さらに、Λ3(590nm)から780nmまでの長波長領域内にピークを有するさらに別な発光要素(発光材料)を有することが好ましい。これはそれぞれの発光要素を独立して強度設定あるいは強度制御することが、好ましい色の見えを容易に実現し得るからである。
よって、本発明の第一の実施態様に係る発光装置、又は、本発明の第三の実施態様に係る照明方法を実施するための発光装置は、上記それぞれの3波長領域中に発光ピークを有
する発光要素(発光材料)を少なくとも1種類ずつ有することが好ましく、また、当該3波長領域の中の2領域には1種類ずつ、他の1領域は複数の発光要素(発光材料)を有することがより好ましく、さらに、当該3波長領域中の1領域には1種類の、他の2領域は複数の発光要素(発光材料)を有することが非常に好ましく、当該3波長領域のすべてにおいて、複数の発光要素を有することが格段に好ましい。これは1領域中に2つ以上のピーク波長を有するように発光要素を内在させることで分光分布の制御性が格段に向上し、数学的には、照明された対象物の色の見えを所望のように制御しやすくなるからである。
よって、半導体発光素子を蛍光体用励起光源として使用した現実の発光装置においては、1発光装置中の蛍光体種類は2種類とし、半導体発光素子の波長と合わせて当該3波長領域それぞれにピーク波長を有するのが好ましい。さらに、蛍光体種類は3種類とし、半導体発光素子の波長と合わせて当該3波長領域の中の少なくとも1領域は2種類の発光要素が内在するようにすることがより好ましい。このような考えから、蛍光体種類は4種類以上が非常に好ましく、5種類が格段に好ましい。特に6種類以上の蛍光体が1光源内に存在すると、蛍光体間の相互吸収等でスペクトルの制御性は逆に低下してしまうため好ましくなくなっていく。また、これとは別の観点で、簡便な発光装置実現との観点では、蛍光体種類は1種類とし、半導体発光素子の発光ピークと合わせて2種類の発光要素で発光装置を構成しても構わない。
また、異なるピーク波長を有する半導体発光素子のみで実際の発光装置を構成した場合もこれと同様である。すなわち、好ましい分光分布を実現する観点では、1光源中の半導体発光素子の種類は、3種類以上が好ましく、4種類以上がより好ましく、5種類以上が非常に好ましく、6種類が格段に好ましい。7種類以上の場合には光源中への搭載の煩雑さ等が発生するために好ましくなくなってしまう。また、これとは別の、簡便な発光装置実現との観点では、半導体発光素子は2種類で発光装置を構成しても構わない。
なお、半導体発光素子と蛍光体を自在に混合搭載することも可能であって、青色発光素子と2種類(緑色、赤色)の蛍光体を1光源内に搭載しても良く、また、青色発光素子と3種類(緑色、赤色1、赤色2)の蛍光体を1光源内に搭載してもよい。さらに、紫色発光素子と4種類の蛍光体(青色、緑色、赤色1、赤色2)を1光源内に搭載してもよい。さらには、1つの光源の中に、青色発光素子と2種類(緑色、赤色)の蛍光体搭載している部分と、紫色発光素子と3種類の蛍光体(青色、緑色、赤色)を搭載している部分を内在させてもよい。
各3波長領域内の発光要素(発光材料)は、ピーク部分の強度やピーク間の谷の強度を制御する観点から、すなわち適切な凹凸を分光分布に形成する観点から、少なくとも1つは比較的狭帯域な発光要素を含んでいることが好ましい。逆に各3波長領域の幅と同程度の幅を有する発光要素だけでは、分光分布に適切な凹凸を形成することは難しい。よって、本発明においては、少なくとも1つは比較的狭帯域な発光要素を含んでいることが好ましいが、さらに、各3波長領域中の2領域に比較的狭帯域な発光要素を含んでいることはよりこのましく、3波長領域全ての領域に比較的狭帯域な発光要素を含んでいることはよりこのましい。この際に、比較的狭帯域な発光要素はそれ単体だけがある波長領域内の発光要素となっていても良いが、比較的狭帯域な発光要素が当該波長領域内に複数種類存在していることはより好ましく、さらに、比較的狭帯域な発光要素と比較的広帯域な発光要素が当該波長領域内にともに存在していることもより好ましい。
なお、ここで言う比較的狭帯域とは、発光要素(発光材料)の半値全幅が、短波長領域(380nmから495nm)、中間波長領域(495nmから590nm)、長波長領域(590nmから780nm)のそれぞれの領域幅である115nm、95nm、190nmに対して、2/3以下であるものをいう。また、比較的狭帯域の発光要素の中でも
、その半値全幅は、それぞれの領域幅に対して1/2以下であることが好ましく、1/3以下であることがより好ましく、1/4以下であることが非常に好ましく、1/5以下であることが格段に好ましい。また、過度に極端な狭帯域スペクトルは、多種類の発光要素を発光装置内に搭載しなければ所望の特性を実現できない場合もあることから、当該半値全幅は、2nm以上が好ましく、4nm以上がより好ましく、6nm以上が非常に好ましく、8nm以上が格段に好ましい。
これらは、所望の分光分布実現の観点から記載すれば、比較的狭帯域の発光要素(発光材料)の組み合わせとすると、分光分布に凹凸形状が形成しやすく、視覚実験で適切な範囲が明らかとなった指標Acg、放射効率K(lm/W)等を、所望の値にしやすくなるため、好ましい。また、当該光を色刺激としてとらえ、当該発光装置での照明を仮定した場合の当該15色票の色の見えと、計算用基準光での照明を仮定した場合の色の見えとの差も、発光要素の中に比較的狭帯域なそれを内在させることで、飽和度制御、特に視覚実験で適切な範囲が明らかとなった|Δh|、

ΔC、(ΔCmax−ΔCmin)等を適切な数値範囲にしやすくなるために好ましい。さらに、比較的狭帯域の蛍光体を用いると、広帯域蛍光体を用いる場合よりもDuv制御も容易になるために好ましい。
本発明の発光装置及び照明方法においては以下の発光材料、蛍光体材料、半導体発光素子が発光要素として発光装置に内在することが好ましい。
まず、当該3波長領域の中のΛ1(380nm)からΛ2(495nm)の短波長領域においては、熱フィラメント等からの熱放射光、蛍光管、高圧ナトリウムランプ等からの放電放射光、レーザ等からの誘導放出光、半導体発光素子からの自然放出光、蛍光体からの自然放出光等あらゆる光源から出る光を含むことが可能である。この中でも特に光励起された蛍光体からの発光、半導体発光素子からの発光、半導体レーザからの発光は、小型で、エネルギー効率が高く、比較的狭帯域発光も可能であることから、好ましい。
具体的には、以下が好ましい。
半導体発光素子としては、サファイア基板上やGaN基板上に形成されたIn(Al)GaN系材料を活性層構造中に含む紫色発光素子(ピーク波長が395nmから420nm程度)、青紫色発光素子(ピーク波長が420nmから455nm程度)、青色発光素子(ピーク波長が455nmから485nm程度)が好ましい。さらに、GaAs基板上に形成されたZn(Cd)(S)Se系材料を活性層構造中に含む青色発光素子(ピーク波長が455nmから485nm程度)も好ましい。
なお、半導体発光素子や蛍光体等の発光要素(発光材料)の呈する放射束の分光分布や、そのピーク波長は、周辺温度、パッケージや灯具等の発光装置の放熱環境、注入電流、回路構成、あるいは場合によっては劣化等によって、若干変動するのが常である。よって、ある駆動条件でのピーク波長が418nmの半導体発光素子は、周辺環境の温度が上昇するとたとえば421nmのピーク波長を呈する場合などもある。
以下に述べる半導体発光素子や蛍光体等の発光要素(発光材料)の呈する放射束の分光分布やそのピーク波長についても、同様のことが言える。
活性層構造は、量子井戸層とバリア層を積層した多重量子井戸構造でも、あるいは比較的厚い活性層とバリア層(あるいはクラッド層)を含む一重あるいは二重ヘテロ構造でも、1つのpn接合からなるホモ接合であってもよい。
特に、活性層がIn(Al)GaN系材料含む場合には、青色発光素子と比較すると、活性層構造内でIn濃度が低くなる青紫色発光素子、紫色発光素子は、Inの偏析による発光波長ゆらぎが小さくなり発光スペクトルの半値全幅が狭くなるために、好ましい。さらに、青紫色発光素子、紫色発光素子は、波長が本波長領域である380nmから495nmの比較的外側(短波長側)寄りに位置し、Duvの制御が容易となるために、好ましい。すなわち、本発明においてΛ1(380nm)からΛ2(495nm)の短波長領域に発光ピークを有する半導体発光素子は、青色発光素子(ピーク波長が455nmから485nm程度)が好ましく、これより波長の短い青紫色発光素子(ピーク波長が420nmから455nm程度)がより好ましく、紫色発光素子(ピーク波長が395nmから420nm程度)が非常に好ましい。また、これらの発光素子を複数種類使用することも好ましい。
また、発光要素として半導体レーザを用いることも好ましく、上記と同様の理由で、青色半導体レーザ(発振波長が455nmから485nm程度)が好ましく、これより波長の長い青紫色半導体レーザ(発振波長が420nmから455nm程度)がより好ましく、紫色半導体レーザ(発振波長が395nmから420nm程度)が非常に好ましい。
本発明の発光装置又は照明方法で用いる短波長領域の半導体発光素子は、その発光スペクトルの半値全幅が狭いことが好ましい。この観点で、短波長領域で用いる半導体発光素子の半値全幅は、45nm以下が好ましく、40nm以下がより好ましく、35nm以下が非常に好ましく、30nm以下は格段に好ましい。また、極端な狭帯域スペクトルは、多種類の発光要素を発光装置内に搭載しなければ所望の特性を実現できない場合もあることから、短波長領域で用いる半導体発光素子の半値全幅は、2nm以上が好ましく、4nm以上がより好ましく、6nm以上が非常に好ましく、8nm以上が格段に好ましい。
本発明の発光装置又は照明方法で用いる短波長領域の半導体発光素子は、In(Al)GaN系材料を活性層構造中に含むことが好ましいことから、サファイア基板上またはGaN基板上に形成された発光素子であることが好ましい。特にGaN基板上に形成された発光素子の活性層中のIn偏析度合は、サファイア基板上に形成された場合よりも良好である。これは基板と活性層構造材料との格子整合性に依っている。このため、GaN基板上のIn(Al)GaN発光スペクトルの半値全幅はより狭くできるために、本発明との格段の相乗効果が期待でき、非常に好ましい。さらには、GaN基板上の発光素子であっても、特に半極性面、無極性面上に形成された素子が好ましい。これは結晶成長方向に対する圧電分極効果が低減されるため、量子井戸層内の空間的な電子と正孔の波動関数の空間的な重なりが大きくなり、原理的に発光効率の向上とスペクトルの狭帯域化が実現できるからである。よって半極性あるいは無極性GaN基板上の半導体発光素子を用いることは、本発明との格段の相乗効果が期待できるため、非常に好ましい。
また、基板の厚みは厚い場合か、半導体発光素子から完全に剥離されている場合のいずれかが好ましい。特にGaN基板上に短波長領域の半導体発光素子を作成した場合においては、GaN基板側壁からの光取り出しを助長するように、基板は厚いことが好ましく、100μm以上が好ましく、200μm以上がより好ましく、400μm以上が非常に好ましく、600μm以上が格段に好ましい。一方で素子作成上の便から基板厚みは2mm
以下が好ましく、1.8mm以下がより好ましく、1.6mm以下が非常に好ましく、1.4mm以下が格段に好ましい。
一方サファイア基板上等に発光素子を作成した場合においては、レーザリフトオフ等の方法で基板を剥離しておくことが好ましい。このようにすると基板との極端な格子不整合のために広帯域化を助長してしまう量子井戸層にかかる応力が低減し、結果として発光素子のスペクトルの狭帯域化が実現できる。よって、サファイア基板等を剥離した発光素子は本発明との格段の相乗効果を期待でき、非常に好ましい。
本発明の発光装置又は照明方法に用いる短波長領域の蛍光体材料としては、その半値全幅が狭いことが好ましい。この観点で、短波長領域で用いる蛍光体材料の、室温で光励起された場合の発光スペクトルの半値全幅は、90nm以下が好ましく、80nm以下がより好ましく、70nm以下が非常に好ましく、60nm以下は格段に好ましい。また、極端な狭帯域スペクトルは、多種類の発光要素を発光装置内に搭載しなければ所望の特性を実現できない場合もあることから、短波長領域で用いる蛍光体材料の半値全幅は、2nm以上が好ましく、4nm以上がより好ましく、6nm以上が非常に好ましく、8nm以上が格段に好ましい。
短波長領域の蛍光体材料においては、当該蛍光体材料を励起する都合とDuvの制御性を考慮し、以下の範囲にピーク波長を有することが好ましい。光励起する場合には、ピーク波長が455nmから485nmであることが好ましく、これより波長の短い420nmから455nmであることがより好ましい。一方、電子線励起する場合には、ピーク波長が455nmから485nmであることが好ましく、これより波長の短い420nmから455nmであることがより好ましく、ピーク波長が395nmから420nmであることが非常に好ましい。
本発明の発光装置又は照明方法に用いる短波長領域の蛍光体材料の具体例としては、上記半値全幅を満たすものであれば好ましく用いることができるが、Eu2+を付活剤としアルカリ土類アルミン酸塩またはアルカリ土類ハロリン酸塩からなる結晶を母体とする青色蛍光体がある。より具体的には下記一般式(5)で表される蛍光体、下記一般式(5)´で表される蛍光体、(Sr,Ba)MgSi:Eu2+、および(Ba,Sr,Ca,Mg)Si:Euが挙げられる。
(Ba、Sr、Ca)MgAl1017:Mn,Eu (5)
(一般式(5)で表されるアルカリ土類アルミン酸塩蛍光体をBAM蛍光体と呼ぶ。)
SrBaEu(PO (5)´
(一般式(5)´において、XはClである。また、c、d及びxは、2.7≦c≦3.3、0.9≦d≦1.1、0.3≦x≦1.2を満足する数である。さらに、a及びbは、a+b=5−xかつ0≦b/(a+b)≦0.6の条件を満足する。)(一般式(5)´で表されるアルカリ土類ハロリン酸塩蛍光体のうちBaを含有するものをSBCA蛍光体と呼び、Baを含有しないものをSCA蛍光体と呼ぶ。)
これらの蛍光体である、BAM蛍光体、SBCA蛍光体、SCA蛍光体、およびBa−SION蛍光体((Ba,Sr,Ca,Mg)Si:Eu)、(Sr,Ba)MgSi:Eu2+蛍光体などが好ましく例示できる。
次いで、当該3波長領域の中のΛ2(495nm)からΛ3(590nm)の中間波長領域においては、熱フィラメント等からの熱放射光、蛍光管、高圧ナトリウムランプ等からの放電放射光、非線形光学効果を用いた二次高調波発生(SHG)等を含むレーザ等からの誘導放出光、半導体発光素子からの自然放出光、蛍光体からの自然放出光等あらゆる光源から出る光を含むことが可能である。この中でも特に光励起された蛍光体からの発光、半導体発光素子からの発光、半導体レーザ、SHGレーザからの発光は、小型で、エネ
ルギー効率が高く、比較的狭帯域発光も可能であることから、好ましい。
具体的には、以下が好ましい。
半導体発光素子としては、サファイア基板上あるいはGaN基板上のIn(Al)GaN系材料を活性層構造中に含む青緑発光素子(ピーク波長が495nmから500nm程度)、緑色発光素子(ピーク波長が500nmから530nm程度)、黄緑色発光素子(ピーク波長が530nmから570nm程度)、黄色発光素子(ピーク波長が570nmから580nm程度)が好ましい。また、GaP基板上のGaPによる黄緑色発光素子(ピーク波長が530nmから570nm程度)、GaP基板上のGaAsPによる黄色発光素子(ピーク波長が570nmから580nm程度)も好ましい。さらに、GaAs基板上のAlInGaPによる黄色発光素子(ピーク波長が570nmから580nm程度)も好ましい。
活性層構造は、量子井戸層とバリア層を積層した多重量子井戸構造でも、あるいは比較的厚い活性層とバリア層(あるいはクラッド層)を含む一重あるいは二重ヘテロ構造でも、1つのpn接合からなるホモ接合であってもよい。
特に、In(Al)GaN系材料を用いた場合には、黄色発光素子と比較すると活性層構造内でIn濃度が低くなる黄緑色発光素子、緑色発光素子、青緑色発光素子は、Inの偏析による発光波長ゆらぎが小さくなり発光スペクトルの半値全幅が狭くなるために、好ましい。すなわち、本発明においてΛ2(495nm)からΛ3(590nm)の中間波長領域に発光ピークを有する半導体発光素子は、黄色発光素子(ピーク波長が570nmから580nm程度)が好ましく、これより波長の短い黄緑色発光素子(ピーク波長が530nmから570nm程度)がより好ましくこれより波長の短い緑色発光素子(ピーク波長が500nmから530nm程度)が非常に好ましく、青緑色発光素子(ピーク波長が495nmから500nm程度)が格段に好ましい。
また、発光要素として半導体レーザや、半導体レーザの発振波長を非線形光学効果によって波長変換したSHGレーザ等を用いることも好ましい。発振波長としては、上記と同様の理由で、黄色(ピーク波長が570nmから580nm程度)領域内であることが好ましく、これより波長の短い黄緑色(ピーク波長が530nmから570nm程度)領域内であることがより好ましく、これより波長の短い緑色(ピーク波長が500nmから530nm程度)領域内であることが非常に好ましく、さらに、青緑色(ピーク波長が495nmから500nm程度)領域内であることが格段に好ましい。
本発明の照明方法又は発光装置で用いる中間波長領域の半導体発光素子は、その発光スペクトルの半値全幅が狭いことが好ましい。この観点で、中間波長領域で用いる半導体発光素子の半値全幅は、75nm以下が好ましく、60nm以下がより好ましく、50nm以下が非常に好ましく、40nm以下は格段に好ましい。また、極端な狭帯域スペクトルは、多種類の発光要素を発光装置内に搭載しなければ所望の特性を実現できない場合もあることから、中間波長領域で用いる半導体発光素子の半値全幅は、2nm以上が好ましく、4nm以上がより好ましく、6nm以上が非常に好ましく、8nm以上が格段に好ましい。
本発明で用いる中間波長領域の半導体発光素子は、In(Al)GaN系材料を活性層構造中に含む場合には、サファイア基板上かGaN基板上に形成された発光素子であることが好ましい。また、特にGaN基板上形成された発光素子であることがより好ましい。これは、中間波長領域のInAlGaN系素子を作成するには、Inを比較的多量に活性層構造中に導入する必要があるが、GaN基板上に形成した場合には、サファイア基板上に形成した場合と比較して、基板との格子定数差に起因する圧電効果が低減し、量子井戸層内にキャリアを注入した場合の電子/正孔の空間的分離を抑制できるからである。この結果、発光波長の半値全幅は狭帯域化可能である。よって本発明においては、GaN基板
上の中間波長領域の発光素子では、格段の相乗効果が期待されるため、好ましい。さらにはGaN基板上の発光素子であっても、特に半極性面、無極性面上に形成された素子が好ましい。これは結晶成長方向に対する圧電分極効果が低減されるため、量子井戸層内の空間的な電子と正孔の波動関数の空間的な重なりが大きくなり、原理的に発光効率の向上とスペクトルの狭帯域化が実現できるからである。よって半極性あるいは無極性GaN基板上の半導体発光素子を用いることは、本発明との格段の相乗効果が期待できるため、非常に好ましい。
いずれの基板上に形成されたいずれの半導体発光素子であっても、基板の厚みは厚い場合か完全に除去されている場合のいずれかが好ましい。
特にGaN基板上に中間波長領域の半導体発光素子を作成した場合においては、GaN基板側壁からの光取り出しを助長するように、基板は厚いことが好ましく、100μm以上が好ましく、200μm以上がより好ましく、400μm以上が非常に好ましく、600μm以上が格段に好ましい。一方で素子作成上の便から基板厚みは2mm以下が好ましく、1.8mm以下がより好ましく、1.6mm以下が非常に好ましく、1.4mm以下が格段に好ましい。
また、GaP基板上に中間波長領域の半導体発光素子を作成した場合においても同様で、GaP基板側壁からの光取り出しを助長するように、基板は厚いことが好ましく、100μm以上が好ましく、200μm以上がより好ましく、400μm以上が非常に好ましく、600μm以上が格段に好ましい。一方で素子作成上の便から基板厚みは2mm以下が好ましく、1.8mm以下がより好ましく、1.6mm以下が非常に好ましく、1.4mm以下が格段に好ましい。
一方、GaAs基板上に形成されたAlInGaP系材料の場合には、基板のバンドギャップが活性層構造を形成する材料のバンドギャップよりも小さいために、発光波長領域の光を吸収してしまう。このために、基板の厚みは薄い場合が好ましく、半導体発光素子から完全に剥離されている場合が好ましい。
さらに、サファイア基板上等に半導体発光素子を作成した場合においては、レーザリフトオフ等の方法で基板を剥離しておくことが好ましい。このようにすると基板との極端な格子不整合のために広帯域化してしまう量子井戸層にかかる応力が低減し、結果として発光素子のスペクトルの狭帯域化が実現できる。よって、サファイア基板等を剥離した半導体発光素子は本発明との格段の相乗効果を期待でき、非常に好ましい。
本発明の発光装置又は照明方法に用いる中間波長領域の蛍光体材料としては、その半値全幅が狭いことが好ましい。この観点で、中間波長領域で用いる蛍光体材料の、室温で光励起された場合の発光スペクトルの半値全幅は、130nm以下が好ましく、110nm以下がより好ましく、90nm以下が非常に好ましく、70nm以下は格段に好ましい。また、極端な狭帯域スペクトルは、多種類の発光要素を発光装置内に搭載しなければ所望の特性を実現できない場合もあることから、中間波長領域で用いる蛍光体材料の半値全幅は、2nm以上が好ましく、4nm以上がより好ましく、6nm以上が非常に好ましく、8nm以上が格段に好ましい。
中間波長領域の蛍光体材料においては、Duvの制御性を考慮し、ピーク波長が495nmから500nmであることが好ましく、ピーク波長が500nmから530nmである場合と、ピーク波長が570nmから580nmである場合が同程度により好ましく、ピーク波長が530nmから570nmであることが非常に好ましい。
本発明の発光装置又は照明方法に用いる中間波長領域の蛍光体材料の具体例としては、上記半値全幅を満たすものであれば好ましく用いることができる。また、当該具体例とし
ては、Eu2+、Ce3+などを付活剤として含む緑色蛍光体が挙げられる。Eu2+を付活剤とする好適な緑色蛍光体は、アルカリ土類ケイ酸塩、アルカリ土類ケイ酸窒化物またはサイアロンからなる結晶を母体とする緑色蛍光体である。この種の緑色蛍光体は、通常、紫外〜青色半導体発光素子を用いて励起可能である。
アルカリ土類ケイ酸塩結晶を母体とするものの具体例には、下記一般式(6)で表される蛍光体、下記一般式(6)´で表される蛍光体が挙げられる。 (BaCaSrMgEu)SiO (6)
(一般式(6)においてa、b、c、dおよびxが、a+b+c+d+x=2、1.0 ≦ a ≦ 2.0、0 ≦ b < 0.2、0.2 ≦ c ≦ 0.8、0 ≦ d < 0.2および0 < x ≦ 0.5を満たす。)(一般式(6)で表されるアルカリ土類ケイ酸塩をBSS蛍光体と呼ぶ。)
Ba1−x−y SrEu Mg1−z Mn Al1017 (6)´
(一般式(6)´においてx、yおよびzはそれぞれ0.1≦x≦0.4、0.25≦y≦0.6及び0.05≦z≦0.5を満たす。)(一般式(6)´で表されるアルカリ土類アルミン酸塩蛍光体をG−BAM蛍光体と呼ぶ。)
サイアロン結晶を母体とするものの具体例には、Si6−zAl8−z:Eu(ただし0<z<4.2)で表される蛍光体が挙げられる(これをβ−SiAlON蛍光体と呼ぶ)。Ce3+を付活剤とする好適な緑色蛍光体としては、ガーネット型酸化物結晶を母体とする緑色蛍光体、例えばCa3(Sc,Mg)2Si312:Ceや、アルカリ土類金属スカンジウム酸塩結晶を母体とする緑色蛍光体、例えばCaSc24:Ceがある。その他、SrGaS:Eu2+なども挙げられる。
さらにその他としては、(Ba,Ca,Sr,Mg,Zn,Eu)3Si6122 で表される酸窒化物蛍光体が挙げられる(これをBSON蛍光体と呼ぶ)。
その他、(Y1−uGd(Al1−vGa12:Ce,Eu(但し、u及びvはそれぞれ0≦u≦0.3、及び0≦v≦0.5を満たす。)で表されるイットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(これをYAG蛍光体と呼ぶ)。、Ca1.5xLa3−XSi11:Ce(但し、xは、0≦x≦1)で表されるランタン窒化ケイ素蛍光体(これをLSN蛍光体と呼ぶ。)があげられる。
これらの蛍光体のうち、BSS蛍光体、β−SiAlON蛍光体、BSON蛍光体、G−BAM蛍光体、YAG蛍光体、およびSrGaS:Eu2+蛍光体などが好ましく例示できる。
次いで、当該3波長領域の中のΛ3(590nm)から780nmの長波長領域においては、熱フィラメント等からの熱放射光、蛍光管、高圧ナトリウムランプ等からの放電放射光、レーザ等からの誘導放出光、半導体発光素子からの自然放出光、蛍光体からの自然放出光等あらゆる光源から出る光を含むことが可能である。この中でも特に光励起された蛍光体からの発光、半導体発光素子からの発光、半導体レーザからの発光は、小型で、エネルギー効率が高く、比較的狭帯域発光も可能であることから、好ましい。
具体的には、以下が好ましい。
半導体発光素子としては、GaAs基板上に形成されたAlGaAs系材料、GaAs基板上に形成された(Al)InGaP系材料を活性層構造中に含む橙色発光素子(ピーク波長が590nmから600nm程度)、赤色発光素子(600nmから780nm)が好ましい。また、GaP基板上に形成されたGaAsP系材料を活性層構造中に含む赤色発光素子(600nmから780nm)が好ましい。
活性層構造は、量子井戸層とバリア層を積層した多重量子井戸構造でも、あるいは比較
的厚い活性層とバリア層(あるいはクラッド層)を含む一重あるいは二重ヘテロ構造でも、1つのpn接合からなるホモ接合であってもよい。
特に、この波長領域においては、ピーク波長はDuv制御性と放射効率の両立を考慮し、630nm近傍に近接していることが好ましい。この観点では、橙色発光素子と比較すると赤色発光素子はより好ましい。すなわち、本発明においてΛ3(590nm)から780nmの長波長領域に発光ピークを有する半導体発光素子は、橙色発光素子(ピーク波長が590nmから600nm程度)が好ましく、赤色発光素子(ピーク波長が600nmから780nm程度)がより好ましく、ピーク波長が630nm程度に近接している赤色発光素子が非常に好ましい。特にピーク波長が615nmから645nmの赤色発光素子が非常に好ましい。
また、発光要素として半導体レーザを用いることも好ましい。発振波長としては、上記と同様の理由で、橙色(ピーク波長が590nmから600nm程度)領域内に発振波長を有することが好ましく、赤色(ピーク波長が600nmから780nm程度)領域内に発振波長を有することがより好ましく、さらに発振波長が630nm程度に近接した赤色領域にあることが非常に好ましい。特に発振波長が615nmから645nmの赤色半導体レーザが非常に好ましい。
本発明の発光装置又は照明方法で用いる長波長領域の半導体発光素子は、その発光スペクトルの半値全幅が狭いことが好ましい。この観点で、長波長領域で用いる半導体発光素子の半値全幅は、30nm以下が好ましく、25nm以下がより好ましく、20nm以下が非常に好ましく、15nm以下は格段に好ましい。また、極端な狭帯域スペクトルは、多種類の発光要素を発光装置内に搭載しなければ所望の特性を実現できない場合もあることから、長波長領域で用いる半導体発光素子の半値全幅は、2nm以上が好ましく、4nm以上がより好ましく、6nm以上が非常に好ましく、8nm以上が格段に好ましい。
長波長領域においては、GaAs基板のバンドギャップが活性層構造を形成する材料のバンドギャップよりも小さいために、発光波長領域の光を吸収してしまう。このために、基板の厚みは薄い場合が好ましく、完全に除去されている場合が好ましい。
本発明の発光装置又は照明方法に用いる長波長領域の蛍光体材料としては、その半値全幅が狭いことが好ましい。この観点で、長波長領域で用いる蛍光体材料の、室温で光励起された場合の発光スペクトルの半値全幅は、130nm以下が好ましく、110nm以下がより好ましく、90nm以下が非常に好ましく、70nm以下は格段に好ましい。また、極端な狭帯域スペクトルは、多種類の発光要素を発光装置内に搭載しなければ所望の特性を実現できない場合もあることから、長波長領域で用いる蛍光体材料の半値全幅は、2nm以上が好ましく、4nm以上がより好ましく、6nm以上が非常に好ましく、8nm以上が格段に好ましい。
長波長領域の蛍光体材料においては、ピーク波長はDuv制御性と放射効率の両立を考慮し、他の材料と一体として発光装置を作成した際に、そのピーク波長が630nmに近接することが非常に好ましい。すなわち、本発明においてΛ3(590nm)から780nmの長波長領域に発光ピークを有する蛍光体材料は、590nmから600nmの間にピークを有するようになることが好ましく、600nmから780nm程度にピークを有するようになることがより好ましく、ピーク波長が630nmに近接することが非常に好ましい。特にピーク波長が620nmから655nmとなる蛍光体材料が非常に好ましい。
本発明の発光装置又は照明方法に用いる長波長領域の蛍光体材料の具体例としては、上記半値全幅を満たすものであれば好ましく用いることができる。また、当該具体例として
は、Eu2+を付活剤とし、アルカリ土類ケイ窒化物、αサイアロンまたはアルカリ土類ケイ酸塩からなる結晶を母体とする蛍光体が挙げられる。この種の赤色蛍光体は、通常、紫外〜青色半導体発光素子を用いて励起可能である。アルカリ土類ケイ窒化物結晶を母体とするものの具体例には、(Ca,Sr,Ba,Mg)AlSiN:Euおよび/または(Ca,Sr,Ba)AlSiN:Euで表される蛍光体(これをSCASN蛍光体と呼ぶ)、(CaAlSiN1−x(SiO):Eu(ただし、xは0<x<0.5)で表される蛍光体(これをCASON蛍光体と呼ぶ)、(Sr,Ca,Ba)AlSi5−x8−x:Eu(ただし0≦x≦2)で表される蛍光体、Eu(Sr,Ca,Ba)1−y:Al1+xSi4−x7−x(ただし0≦x<4、0≦y<0.2)で表される蛍光体が挙げられる。
その他、Mn4+付活フッ化物錯体蛍光体も挙げられる。Mn4+付活フッ化物錯体蛍光体は、Mn4+を付活剤とし、アルカリ金属、アミンまたはアルカリ土類金属のフッ化物錯体塩を母体結晶とする蛍光体である。母体結晶を形成するフッ化物錯体には、配位中心が3価金属(B、Al、Ga、In、Y、Sc、ランタノイド)のもの、4価金属(Si、Ge、Sn、Ti、Zr、Re、Hf)のもの、5価金属(V、P、Nb、Ta)のものがあり、その周りに配位するフッ素原子の数は5〜7である。
好ましいMn4+付活フッ化物錯体蛍光体は、アルカリ金属のヘキサフルオロ錯体塩を母体結晶とするA2+xMn(AはNaおよび/またはK;MはSiおよびAl;−1≦x≦1かつ0.9≦y+z≦1.1かつ0.001≦z≦0.4かつ5≦n≦7)である。中でも特に好ましいのは、AがK(カリウム)またはNa(ナトリウム)から選ばれる1種以上で、MがSi(ケイ素)またはTi(チタン)であるもの、例えば、KSiF:Mn(これをKSF蛍光体と呼ぶ)、この構成元素の一部(好ましくは10モル%以下)をAlとNaで置換したKSi1−xNaAl:Mn、KTiF:Mn(これをKSNAF蛍光体と呼ぶ)などである。
その他、下記一般式(7)で表される蛍光体、および下記一般式(7)´で表される蛍光体も挙げられる。
(La1−x−y,Eu,LnS (7)
(一般式(7)において、x及びyはそれぞれ0.02≦x≦0.50及び0≦y≦0.50を満たす数を表し、LnはY、Gd、Lu、Sc、Sm及びErの少なくとも1種の3価希土類元素を表す。)(一般式(7)で表される酸硫化ランタン蛍光体をLOS蛍光体と呼ぶ。)
(k-x)MgO・xAF・GeO:yMn4+ (7)´
(一般式(7)´において、k、x、yは、各々、2.8≦k≦5、0.1≦x≦0.7、0.005≦y≦0.015を満たす数を表し、Aはカルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、亜鉛(Zn)、またはこれらの混合物である。)(一般式(7)で表されるジャーマネート蛍光体をMGOF蛍光体と呼ぶ。)
これらの蛍光体のうち、LOS蛍光体、MGOF蛍光体、KSF蛍光体、KSNAF蛍光体、SCASN蛍光体、CASON蛍光体、(Sr,Ca,Ba)Si:Eu蛍光体、(Sr,Ca,Ba)AlSi蛍光体などが好ましく例示できる。
本発明の発光装置又は照明方法においては、発光装置の分光分布を適切に制御するための材料に格段の制約はない。しかし、具現化される発光装置が以下の場合は非常に好ましい。
紫色LED(ピーク波長が395nmから420nm程度)を、短波長領域の発光要素とし、さらに短波長領域における発光要素として比較的狭帯域な蛍光体であるSBCA、SCA、BAMの中から選択される少なくとも1以上を光源に内在させ、中間波長領域における発光要素として比較的狭帯域な蛍光体であるβ−SiAlON、BSS、BSON
、G−BAMの中から選択される少なくとも1以上を光源に内在させ、長波長領域における発光要素としてCASON、SCASN、LOS、KSF、KSNAFの中から選択される少なくとも1以上を光源に内在させることは好ましい。
さらには、以下の通りである。
紫色LED(ピーク波長が395nmから420nm程度)を、短波長領域の第一発光要素とし、さらに短波長領域における第二発光要素として比較的狭帯域な蛍光体であるSBCAを光源に内在させ、中間波長領域における第一発光要素として比較的狭帯域な蛍光体であるβ−SiAlONを用い、長波長領域における第一発光要素としてCASONを用いることは非常に好ましい。
加えて、紫色LED(ピーク波長が395nmから420nm程度)を短波長領域の第一発光要素とし、さらに短波長領域における第二発光要素として比較的狭帯域な蛍光体であるSCAを光源に内在させ、中間波長領域における第一発光要素として比較的狭帯域な蛍光体であるβ−SiAlONを用い、長波長領域における第一発光要素としてCASONを用いることは非常に好ましい。
加えて、紫色LED(ピーク波長が395nmから420nm程度)を短波長領域の第一発光要素とし、さらに短波長領域における第二発光要素として比較的狭帯域な蛍光体であるBAMを光源に内在させ、中間波長領域における第一発光要素として比較的狭帯域な蛍光体であるBSSを用い、長波長領域における第一発光要素としてCASONを用いることは非常に好ましい。
一方、青紫色LED(ピーク波長が420nmから455nm程度)かつ/または青色LED(ピーク波長が455nmから485nm程度)を短波長領域の発光要素とし、中間波長領域における発光要素として比較的狭帯域な蛍光体であるβ−SiAlON、BSS、BSON、G−BAMの中から選択される少なくとも1以上を光源に内在させ、長波長領域における発光要素としてCASON、SCASN、LOS、KSF、KSNAFの中から選択される少なくとも1以上を光源に内在させることは好ましい。
さらには、以下の通りである。
青紫色LED(ピーク波長が420nmから455nm程度)かつ/または青色LED(ピーク波長が455nmから485nm程度)を短波長領域の発光要素とし、さらに中間波長領域における第一発光要素として比較的狭帯域な蛍光体であるBSONを用い、長波長領域における第一発光要素としてSCASNを用いることは非常に好ましい。
青紫色LED(ピーク波長が420nmから455nm程度)かつ/または青色LED(ピーク波長が455nmから485nm程度)を短波長領域の発光要素とし、さらに中間波長領域における第一発光要素として比較的狭帯域な蛍光体であるβ−SiAlONを用い、長波長領域における第一発光要素としてCASONを用いることは非常に好ましい。
青紫色LED(ピーク波長が420nmから455nm程度)かつ/または青色LED(ピーク波長が455nmから485nm程度)を短波長領域の発光要素とし、さらに中間波長領域における第一発光要素として比較的狭帯域な蛍光体であるβ−SiAlONを用い、長波長領域における第一発光要素としてCASONを用い、長波長領域における第二発光要素としてKSFもしくはKSNAFを用いることは非常に好ましい。
青紫色LED(ピーク波長が420nmから455nm程度)かつ/または青色LED(ピーク波長が455nmから485nm程度)を短波長領域の発光要素とし、さらに中間波長領域における第一発光要素として比較的狭帯域な蛍光体であるβ−SiAlONを用い、長波長領域における第一発光要素としてSCASNを用いることは非常に好ましい。
青紫色LED(ピーク波長が420nmから455nm程度)かつ/または青色LED(ピーク波長が455nmから485nm程度)を短波長領域の発光要素とし、さらに中間波長領域における第一発光要素として比較的狭帯域な蛍光体であるβ−SiAlONを用い、長波長領域における第一発光要素としてSCASNを用い、長波長領域における第二発光要素としてKSFもしくはKSNAFを用いることは非常に好ましい。
これらの発光要素の組み合わせは、それぞれの発光要素の有するピーク波長位置、半値全幅等が、視覚実験で被験者が好ましいとした色の見え、物体の見えを実現するうえで、非常に好都合である。
本発明の照明方法又は発光装置においては、これまで記載した発光要素(発光材料)を用いると、指標Acg、放射効率K(lm/W)、Duv等を所望の値に設定しやすくなるため、好ましい。また、当該光を色刺激としてとらえ、当該発光装置での照明を仮定した場合の当該15色票の色の見えと、計算用基準光での照明を仮定した場合の色の見えとの差に関する|Δh|、

ΔC、(ΔCmax−ΔCmin)も、上記記載の発光要素を用いると所望の値に設定しやすくなるため、好ましい。
uvを0から低下させ、適切な負値にするには、種々の手段が考えられる。たとえば当該3波長領域それぞれにひとつの発光要素を有する発光装置を想定すれば、短波長領域内の発光要素の発光位置をさらに短波長側に移動させる、長波長領域内の発光要素の発光位置をさらに長波長側に移動させる、中間波長領域内の発光要素の発光位置を555nmからずらすなどのことが可能である。さらに、短波長領域内の発光要素の相対的発光強度を上げる、長波長領域内の発光要素の相対的発光強度を上げる、中間波長領域内の発光要素の相対的発光強度を下げるなどのことが可能である。また、この際にCCTを変化させずにDuvを変化させるには、短波長領域内の発光要素の発光位置を短波長側に移動させ、かつ、長波長領域内の発光要素の発光位置を長波長側に移動させるなどのことを同時に行えばよい。さらに、Duvを正側に変化させるには、上記記載と逆の操作を行えばよい。
さらに、たとえば当該3波長領域それぞれに二つの発光要素を有する発光装置を想定し、Duvを低下させるには、たとえば、短波長領域内の2つの発光要素の中の相対的に短波長側にある発光要素の相対強度を上げる、超波長領域内の2つの発光要素の中の相対的に長波長側にある発光要素の相対強度を上げるなどのことも可能である。また、この際にCCTを変化させずにDuvを低下させるには、短波長領域内の2つの発光要素の中の相対的に短波長側にある発光要素の相対強度を上げ、かつ、長波長領域内の2つの発光要素の中の相対的に長波長側にある発光要素の相対強度を上げることを同時に行えばよい。さらに、Duvを正側に変化させるには、上記記載と逆の操作を行えばよい。
一方、当該発光装置での照明を仮定した場合の当該15色票の色の見えと、計算用基準光での照明を仮定した場合の色の見えとの差に関する|Δh|、

ΔC、(ΔCmax−ΔCmin)を変化させるための手段としては、特にΔCを増加させるためには、Duvを所望の値となるように分光分布を全体を調整したうえで、以下のようなことが可能である。各発光要素の半値全幅を狭い材料に置換し、スペクトル形状として各発光要素間を適切に分離する、各発光要素のスペクトル中に凹凸を形成すべく、照明光源、照明器具等の中に所望の波長を吸収するフィルターを設置する、発光装置中にさらに狭帯域な発光をする発光要素を追加搭載する等のことを行えばよい。
本発明の発光装置においては、少なくとも、395nm以上420nm未満の波長域に極大を有する半導体発光素子を発光要素として発光装置に内在させ、適切な特徴を有する分光分布とすることで、照明対象物を高照度環境下で見たような、より自然で、より生き生きとした、より視認性の高い、より快適な、色の見えとすることが可能である。かつ、光源効率も相対的に高くすることが可能である。
具体的には、当該発光装置から主たる放射方向に出射される光の分光分布から求められるDuvを適切な範囲とし、かつ、φSSL(λ)/φSSL(λ)を適切な範囲とすることが重要である。また当該発光装置から主たる放射方向に出射される光の指標Acgは適切な範囲とすることが好ましい。
さらに、本発明の発光装置の設計方法においては、少なくとも、395nm以上420nm未満の波長域に極大を有する半導体発光素子を発光要素として発光装置に内在させるようにし、適切な特徴を有する分光分布とすることで、照明対象物を高照度環境下で見たような、より自然で、より生き生きとした、より視認性の高い、より快適な、色の見えとすることが可能である。かつ、光源効率も相対的に高くすることが可能である。
具体的には、当該発光装置から主たる放射方向に出射される光の分光分布から求められるDuvを適切な範囲とし、かつ、φSSL(λ)/φSSL(λ)を適切な範囲とすることが重要である。また当該発光装置から主たる放射方向に出射される光の指標Acgは適切な範囲とすることが好ましい。
さらに、本発明の照明方法においては、少なくとも、395nm以上420nm未満の波長域に極大を有する半導体発光素子を発光要素として備える発光装置から出射される光により、対象物を照明するようにし、かつ、適切な特徴を有する分光分布で照明することで、照明対象物を高照度環境下で見たような、より自然で、より生き生きとした、より視認性の高い、より快適な、色の見えとすることが可能である。かつ、光源効率も相対的に高くすることが可能である。
具体的には、前記発光装置から出射される光が対象物を照明した際に、前記対象物の位置で測定した光の分光分布のDuvを適切な範囲とし、かつ、φSSL(λ)/φSSL(λ)を適切な範囲とすることが重要である。
なお、φSSL(λ)/φSSL(λ)の値を調整するための手段は、以下のものが例示される。
φSSL(λ)/φSSL(λ)の値を小さくするためには、例えばパッケージLEDの紫LED搭載面から蛍光体を含む層の光出射面までの距離を長くする、発光要素として紫LEDの搭載個数を減らす、あるいは蛍光体を含む層における蛍光体濃度を上げる、高効率な赤色蛍光体を使用する、封止材中に意図的に紫領域の光を吸収する吸光材を入
れる等を実施すれば良い。一方、φSSL(λ)/φSSL(λ)の値を大きくするためには、上記と逆の方法を採用すればよく、例えばパッケージLEDの紫LED搭載面から蛍光体を含む層の光出射面までの距離を短くする、発光要素として紫LEDの搭載個数を増やす、あるいは蛍光体を含む層における蛍光体濃度を下げる、効率が相対的に低い赤色蛍光体を使用する、紫領域の光を吸収しにくい封止材を用いる等を実施すれば良い。また、当該光での照明を仮定した当該15色票の色の見えと、計算用基準光での照明を仮定した当該15色票の色の見えとの差に関する|Δh|、

ΔC、(ΔCmax−ΔCmin)等の指標を適切な範囲にすることが好ましい。
本実施例の発光装置の放射計測学的、測光学的、測色学的特性は、表11〜13にまとめたとおりであって、照明対象物の色の見えは、総合的に非常に良好であった。
1 筐体
2 紫色LEDチップ
2a 紫色LEDチップ
2b 青色LEDチップ
2c 緑色LEDチップ
2d 赤色LEDチップ
2e 熱放射フィラメント
3 パッケージ材
4 蛍光体
5 封止材
10 パッケージLED(低加工度の発光装置)
11 白熱電球(中加工度の発光装置)
20 LED電球(高加工度の発光装置)
30 照明システム(さらに高加工度の発光装置)
本発明の照明光源、照明器具及び照明システム等の発光装置、又は、照明方法は、応用分野が非常に広く、特定の用途には限定されずに使用することが可能である。しかし、本発明の照明方法又は発光装置の特長に照らして、以下の分野への応用は好ましい。
例えば、本発明の発光装置又は照明方法により照明した場合には、従来の照明方法又は発光装置と比較して、ほぼ同様のCCT、ほぼ同様の照度であっても、白色はより白く、自然に、心地よく見える。さらに、白、灰色、黒等の無彩色間の明度差も視認しやすくなる。
このために、例えば、一般の白色紙上の黒文字等が読みやすくなる。このような特長を生かし、読書灯、学習机用照明、事務用照明等の作業用照明に応用することは好ましい。さらに、作業内容によっては、工場等において、細かな部品の外観検査を行う、布地などにおいて近接した色の識別を行う、生肉の鮮度確認のための色確認を行う、限度見本に照
らした製品検査を行う等も考えられるが、本発明の照明方法により照明した場合には、近接した色相における色識別が容易になり、あたかも高照度環境下の様な快適な作業環境を実現しうる。よってこのような観点でも作業用照明に適応することは好ましい。
さらには、色の識別能が上がるために、たとえば外科手術用光源、胃カメラ等に利用される光源等の医療用照明に応用することも好ましい。なぜなら、動脈血は酸素を多く含むため鮮紅色であるが、静脈血はに二酸化炭素を多く含むため暗赤色である。両者は同じ赤色であるが、その彩度が異なるため、良好な色の見え(彩度)を実現する本発明の装置又は照明方法により、動脈血と静脈血を用意に判別することが期待される。また、内視鏡のようなカラー画像情報では良好な色の表示が診断に大きな影響を持つことは明白であり、正常な部位と病変した部位を容易に見分けることなどが期待される。同様の理由から、製品の画像判定器などの工業用機器内の照明方法としても、好適に利用可能である。
本発明の発光装置又は照明方法により照明した場合には、照度が数千Lxから数百Lx程度であったとしても、紫色、青紫色、青色、青緑色、緑色、黄緑色、黄色、黄赤色、赤色、赤紫色などの大半の色、場合によってはすべての色について、たとえば晴れた日の屋外照度下のような数万lx程度の下で見たような真に自然な色の見えが実現される。また、中間的な彩度を有する、被験者(日本人)の肌色、各種食品、衣料品、木材色等も、多くの被験者がより好ましいと感じる、自然な色の見えとなる。
よって、本発明の発光装置又は照明方法を家庭用等の一般照明に応用したとすれば、食品は新鮮に、かつ、食欲をそそるように見え、新聞や雑誌等も見やすく、段差等の視認性も上がり家庭内の安全性向上にもつながると考えられる。よって、本発明を家庭用照明に応用することは好ましい。また、衣料品、食品、車、かばん、靴、装飾品、家具等の展示物用照明としても好ましく、周辺から際立って視認させうる照明が可能である。
化粧品等の、色の微妙な差が購入の決め手となる物品の照明としても好ましい。白色のドレス等の展示物用照明として使用すると、同じ白色でも、青みがかった白、クリーム色に近い白などの、微妙な色の差が視認しやすくなるため、本人の希望通りの色を選択することが可能となる。さらには、結婚式場、劇場等での演出用照明としても好適で、純粋な白色のドレス等は純白に見え、歌舞伎等の着物、隈取等もはっきりと見えるようになる。さらに肌色も際立ち好ましい。また、美容室の照明として使用すると、毛髪をカラー処理する場合、屋外で見たときと齟齬がないような色にすることが可能となり、染めすぎや染め不足を防ぐことができる。
さらに、白色がより白色に見え、無彩色の識別が容易になり、かつ、有彩色も自然な鮮やかさになることから、限られた一定の空間において、多くの種類の活動がなされる場所における光源としても好適である。例えば、航空機内の客席では、読書もなされ、仕事もなされ、食事も行われる。さらに電車、長距離バス等においても事情は類似している。このような交通機関の内装用照明として、本発明は好適に利用可能である。
さらに、白色がより白色に見え、無彩色の識別が容易になり、かつ、有彩色も自然な鮮やかさになることから、美術館等における絵画等を屋外で視認したような自然な色調に照明することが可能であって、美術品用照明としても、本発明は好適に利用可能である。
一方で、本発明は高齢者用照明としても好適に利用可能である。すなわち、細かな文字が通常の照度下で見えにくい、段差等が見えにくい等の場合であっても、本発明の照明方法又は発光装置を適応することで、無彩色間、あるいは有彩色間の識別が容易になるため、これらの問題を解決可能である。よって、老人ホームや病院の待合室、書店や図書館等の不特定多数の方が利用する公共施設等における照明にも好適に利用可能である。
さらに、各種の事情で比較的低照度になりがちな照明環境に適応して、視認性を確保す
る応用においても、本発明の発光装置又は照明方法は好適に利用可能である。
例えば、街灯、車のヘッドライト、足元灯に応用し、従来光源を用いた場合よりも各種の視認性を向上させることも好ましい。

Claims (47)

  1. 少なくとも、395nm以上420nm未満の波長域に極大を有する半導体発光素子を発光要素として備える発光装置であって、
    波長をλ(nm)とし、
    当該発光装置から主たる放射方向に出射される光の分光分布をφSSL(λ)、395nm以上420nm未満における当該発光装置の極大を与える波長をλ(nm)、380nm以上780nm以内の範囲で、φSSL(λ)の最長波長極大値を与える波長をλ(nm)とした際に、
    前記発光装置から当該放射方向に出射される光は、ANSI C78.377で定義される黒体放射軌跡からの距離DuvSSLが、−0.0350 ≦ DuvSSL ≦ −0.0040となる光を含み、
    0.30≦φSSL(λ)/φSSL(λ)≦1.40
    を満たすことを特徴とする発光装置。
  2. 請求項1に記載の発光装置であって、0.39≦φSSL(λ)/φSSL(λ)≦1.22を満たすことを特徴とする発光装置。
  3. 請求項1または2に記載の発光装置であって、0.58≦φSSL(λ)/φSSL(λ)≦1.11を満たすことを特徴とする発光装置。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の発光装置であって、
    前記φSSL(λ)から導出される光の相関色温度TSSL(K)に応じて選択される基準の光の分光分布をφref(λ)、前記発光装置から当該放射方向に出射される光の三刺激値を(XSSL、YSSL、ZSSL)、前記発光装置から当該放射方向に出射される光の相関色温度TSSL(K)に応じて選択される基準の光の三刺激値を(Xref、Yref、Zref)とし、
    前記発光装置から当該放射方向に出射される光の規格化分光分布SSSL(λ)と、前記発光装置から当該放射方向に出射される光の相関色温度TSSL(K)に応じて選択される基準の光の規格化分光分布Sref(λ)と、これら規格化分光分布の差ΔS(λ)をそれぞれ、
    SSL(λ)=φSSL(λ)/YSSL
    ref(λ)=φref(λ)/Yref
    ΔS(λ)=Sref(λ)−SSSL(λ)
    と定義し、
    波長380nm以上780nm以内の範囲で、λよりも長波長側にSSSL(λ)/2となる波長Λ4が存在し、
    下記数式(1)で表される指標Acgが、−360 ≦ Acg ≦ −10を満たすことを特徴とする発光装置。
  5. 請求項1から3のいずれか1項に記載の発光装置であって、
    前記φSSL(λ)から導出される光の相関色温度TSSL(K)に応じて選択される基準の光の分光分布をφref(λ)、前記発光装置から当該放射方向に出射される光の三刺激値を(XSSL、YSSL、ZSSL)、前記発光装置から当該放射方向に出射される光の相関色温度TSSL(K)に応じて選択される基準の光の三刺激値を(Xref
    、Yref、Zref)とし、
    前記発光装置から当該放射方向に出射される光の規格化分光分布SSSL(λ)と、前記発光装置から当該放射方向に出射される光の相関色温度TSSL(K)に応じて選択される基準の光の規格化分光分布Sref(λ)と、これら規格化分光分布の差ΔS(λ)をそれぞれ、
    SSL(λ)=φSSL(λ)/YSSL
    ref(λ)=φref(λ)/Yref
    ΔS(λ)=Sref(λ)−SSSL(λ)
    と定義し、
    波長380nm以上780nm以内の範囲で、λよりも長波長側にSSSL(λ)/2となる波長Λ4が存在せず、
    下記数式(2)で表される指標Acgが、−360 ≦ Acg ≦ −10を満たすことを特徴とする発光装置。
  6. 請求項4または5に記載の発光装置であって、
    前記発光装置から当該放射方向に出射される光が以下の(1)及び(2)を満たすことを特徴とする発光装置。
    (1)前記発光装置から当該放射方向に出射される光による照明を数学的に仮定した場合の#01から#15の下記15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L***色空間におけるa*値、b*値をそれぞれa* nSSL、b* nSSL(ただしnは1から15の自然数)とし、
    当該放射方向に出射される光の相関色温度TSSL(K)に応じて選択される基準の光での照明を数学的に仮定した場合の当該15種類の修正マンセル色票のCIE 1976
    ***色空間におけるa*値、b*値をそれぞれa* nref、b* nref(ただしnは1から15の自然数)とした場合に、飽和度差ΔC
    −3.8 ≦ ΔC≦ 18.6 (nは1から15の自然数)
    を満たし、下記式(3)で表される飽和度差の平均が下記式(4)を満たし、
    かつ飽和度差の最大値をΔCmax、飽和度差の最小値をΔCminとした場合に、飽和度差の最大値と、飽和度差の最小値との間の差ΔCmax−ΔCmin
    2.8 ≦ (ΔCmax−ΔCmin) ≦ 19.6
    を満たす。
    ただし、ΔCn=√{(a* nSSL+(b* nSSL}−√{(a* nref+(b* nref}とする。
    15種類の修正マンセル色票
    #01 7.5 P 4 /10
    #02 10 PB 4 /10
    #03 5 PB 4 /12
    #04 7.5 B 5 /10
    #05 10 BG 6 / 8
    #06 2.5 BG 6 /10
    #07 2.5 G 6 /12
    #08 7.5 GY 7 /10
    #09 2.5 GY 8 /10
    #10 5 Y 8.5/12
    #11 10 YR 7 /12
    #12 5 YR 7 /12
    #13 10 R 6 /12
    #14 5 R 4 /14
    #15 7.5 RP 4 /12
    (2)前記発光装置から当該放射方向に出射される光による照明を数学的に仮定した場合の上記15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L***色空間における色相角をθnSSL(度)(ただしnは1から15の自然数)とし、
    当該放射方向に出射される光の相関色温度TSSL(K)に応じて選択される基準の光での照明を数学的に仮定した場合の当該15種類の修正マンセル色票のCIE 1976
    ***色空間における色相角をθnref(度)(ただしnは1から15の自然数)とした場合に、色相角差の絶対値|Δh|が
    0 ≦ |Δh| ≦ 9.0(度)(nは1から15の自然数)
    を満たす。
    ただし、Δh=θnSSL−θnrefとする。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載の発光装置であって、
    前記発光装置から当該放射方向に出射される光は、分光分布φSSL(λ)から導出される波長380nm以上780nm以下の範囲の放射効率K(lm/W)が
    180(lm/W) ≦ K(lm/W) ≦ 320(lm/W)
    を満たすことを特徴とする発光装置。
  8. 請求項6に記載の発光装置であって、前記色相角差の絶対値|Δh|が
    0.0003 ≦ |Δh| ≦ 8.3(度)(nは1から15の自然数)
    を満たすことを特徴とする発光装置。
  9. 請求項6に記載の発光装置であって、前記一般式(3)で表される飽和度差の平均が下記式(4)´を満たすことを特徴とする発光装置。
    (4)´
  10. 請求項6に記載の発光装置であって、前記飽和度差ΔC
    −3.4 ≦ ΔC ≦ 16.8 (nは1から15の自然数)
    を満たすことを特徴とする発光装置。
  11. 請求項6に記載の発光装置であって、前記飽和度差の最大値と、前記飽和度差の最小値との間の差ΔCmax−ΔCmin
    3.2 ≦ (ΔCmax−ΔCmin) ≦ 17.8
    を満たすことを特徴とする発光装置。
  12. 請求項1から11のいずれか1項に記載の発光装置であって、
    前記発光装置から当該放射方向に出射される光は、黒体放射軌跡からの距離DuvSSL
    −0.0250 ≦ DuvSSL ≦ −0.0100
    を満たすことを特徴とする発光装置。
  13. 請求項4から12のいずれか1項に記載の発光装置であって、前記数式(1)または(2)で表される指標Acg
    −322 ≦ Acg ≦ −12
    を満たすことを特徴とする発光装置。
  14. 請求項1から13のいずれか1項に記載の発光装置であって、
    前記発光装置から当該放射方向に出射される光は、分光分布φSSL(λ)から導出される波長380nm以上780nm以下の範囲の放射効率K(lm/W)が、
    206(lm/W) ≦ K(lm/W) ≦ 288(lm/W)
    を満たすことを特徴とする発光装置。
  15. 請求項1から14のいずれか1項に記載の発光装置であって、前記相関色温度TSSL(K)が
    2550(K) ≦ TSSL(K) ≦ 5650(K)
    を満たすことを特徴とする発光装置。
  16. 請求項1から15のいずれか1項に記載の発光装置であって、前記発光装置から当該放射方向に出射される光が対象物を照明する照度が150lx以上5000lx以下であることを特徴とする発光装置。
  17. 請求項1から16のいずれか1項に記載の発光装置であって、前記発光装置は1種類以上6種類以下の発光要素から出射される光を当該放射方向に発することを特徴とする発光装置。
  18. 請求項1から17のいずれか1項に記載の発光装置であって、前記発光装置は発光要素として複数種類の半導体発光素子を含み、前記半導体発光素子の発光スペクトルのピーク波長が380nm以上495nm未満であって、かつ、半値全幅が2nm以上45nm以下であることを特徴とする発光装置。
  19. 請求項18に記載の発光装置であって、前記半導体発光素子の発光スペクトルのピーク波長が420nm以上455nm未満であることを特徴とする発光装置。
  20. 請求項18に記載の発光装置であって、当該半導体発光素子の発光スペクトルのピーク波長が455nm以上485nm未満であることを特徴とする発光装置。
  21. 請求項1から17のいずれか1項に記載の発光装置であって、前記発光装置は発光要素として複数種類の半導体発光素子を含み、前記半導体発光素子の発光スペクトルのピーク波長が495nm以上590nm未満であって、かつ、半値全幅が2nm以上75nm以下であることを特徴とする発光装置。
  22. 請求項1から17のいずれか1項に記載の発光装置であって、前記発光装置は発光要素として複数種類の半導体発光素子を含み、前記半導体発光素子の発光スペクトルのピーク波長が590nm以上780nm未満であって、かつ、半値全幅が2nm以上30nm以下であることを特徴とする発光装置。
  23. 請求項1から17のいずれか1項に記載の発光装置であって、前記半導体発光素子はサファイア基板、GaN基板、GaAs基板、GaP基板からなる群から選択されるいずれかの基板上で作成されたことを特徴とする発光装置。
  24. 請求項1から17のいずれか1項に記載の発光装置であって、前記半導体発光素子はGaN基板、またはGaP基板上で作成され、かつ前記基板の厚みが100μm以上2mm以下であることを特徴とする発光装置。
  25. 請求項1から18のいずれか1項に記載の発光装置であって、前記半導体発光素子はサファイア基板、またはGaAs基板上で作成され、かつ半導体発光素子は基板から剥離されてなることを特徴とする発光装置。
  26. 請求項1から20のいずれか1項に記載の発光装置であって、発光要素として蛍光体を備えることを特徴とする発光装置。
  27. 請求項26に記載の発光装置であって、前記蛍光体は、発光スペクトルの異なる蛍光体を1種類以上5種類以下含むことを特徴とする発光装置。
  28. 請求項26または27に記載の発光装置であって、前記蛍光体は、室温で光励起した場合の単体発光スペクトルのピーク波長が380nm以上495nm未満であって、かつ、半値全幅が2nm以上90nm以下である蛍光体を含むことを特徴とする発光装置。
  29. 請求項28に記載の発光装置であって、前記蛍光体が下記一般式(5)で表される蛍光体、下記一般式(5)´で表される蛍光体、(Sr,Ba)MgSi:Eu2+、および(Ba,Sr,Ca,Mg)Si:Euからなる群から選択される1種以上を含むことを特徴とする発光装置。
    (Ba、Sr、Ca)MgAl1017:Mn,Eu (5)
    SrBaEu(PO (5)´
    (一般式(5)´において、XはClである。また、c、d及びxは、2.7≦c≦3.3、0.9≦d≦1.1、0.3≦x≦1.2を満足する数である。さらに、a及びbは、a+b=5−xかつ0≦b/(a+b)≦0.6の条件を満足する。)
  30. 請求項26または27に記載の発光装置であって、前記蛍光体は、室温で光励起した場合の単体発光スペクトルのピーク波長が495nm以上590nm未満であって、かつ、半値全幅が2nm以上130nm以下である蛍光体を含むことを特徴とする発光装置。
  31. 請求項30に記載の発光装置であって、前記蛍光体がSi6−zAl8−z:Eu(ただし0<z<4.2)、下記一般式(6)で表される蛍光体、下記一般式(6)´で表される蛍光体、およびSrGaS:Eu2+からなる群から選択される1種以上
    を含むことを特徴とする発光装置。
    (BaCaSrMgEu)SiO (6)
    (一般式(6)においてa、b、c、dおよびxが、a+b+c+d+x=2、1.0 ≦ a ≦ 2.0、0 ≦ b < 0.2、0.2 ≦ c ≦ 0.8、0 ≦ d < 0.2および0 < x ≦ 0.5を満たす。)
    Ba1−x−y Sr Eu Mg1−z Mn Al1017 (6)´
    (一般式(6)´においてx、yおよびzはそれぞれ0.1≦x≦0.4、0.25≦y≦0.6及び0.05≦z≦0.5を満たす。)
  32. 請求項26または27に記載の発光装置であって、前記蛍光体は、室温で光励起した場合の単体発光スペクトルのピーク波長が590nm以上780nm未満であって、かつ、半値全幅が2nm以上130nm以下である蛍光体を含むことを特徴とする発光装置。
  33. 請求項32に記載の発光装置であって、前記蛍光体が下記一般式(7)で表される蛍光体、下記一般式(7)´で表される蛍光体、(Sr,Ca,Ba)AlSi5−x8−x:Eu(ただし0≦x≦2)、Eu(Sr,Ca,Ba)1−y:Al1+xSi4−x7−x(ただし0≦x<4、0≦y<0.2)、KSiF:Mn4+、A2+xMn(AはNaおよび/またはK;MはSiおよびAl;−1≦x≦1かつ0.9≦y+z≦1.1かつ0.001≦z≦0.4かつ5≦n≦7)、(Ca,Sr,Ba,Mg)AlSiN:Euおよび/または(Ca,Sr,Ba)AlSiN:Eu、並びに(CaAlSiN1−x(SiO):Eu(ただし、xは0<x<0.5)からなる群から選択される1種以上を含むことを特徴とする発光装置。
    (La1−x−y,Eu,LnS (7)
    (一般式(7)において、x及びyはそれぞれ0.02≦x≦0.50及び0≦y≦0.50を満たす数を表し、LnはY、Gd、Lu、Sc、Sm及びErの少なくとも1種の3価希土類元素を表す。)
    (k−x)MgO・xAF・GeO:yMn4+ (7)´
    (一般式(7)´において、k、x、yは、各々、2.8≦k≦5、0.1≦x≦0.7、0.005≦y≦0.015を満たす数を表し、Aはカルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、亜鉛(Zn)、またはこれらの混合物である。)
  34. 請求項1から17のいずれか1項に記載の発光装置であって、発光要素として蛍光体を備え、前記蛍光体は、SBCA、β−SiAlON、およびCASONを含むことを特徴とする発光装置。
  35. 請求項1から17のいずれか1項に記載の発光装置であって、発光要素として蛍光体を備え、前記蛍光体は、SCA、β−SiAlON、およびCASONを含むことを特徴とする発光装置。
  36. 請求項1から35のいずれか1項に記載の発光装置であって、パッケージ化LED、LEDモジュール、LED照明器具、およびLED照明システムからなる群から選択されるいずれかであることを特徴とする発光装置。
  37. 家庭用照明装置として用いられる、請求項1から36のいずれか1項に記載の発光装置。
  38. 展示物用照明装置として用いられる、請求項1から36のいずれか1項に記載の発光装置。
  39. 演出用照明装置として用いられる、請求項1から36のいずれか1項に記載の発光装置。
  40. 医療用照明装置として用いられる、請求項1から36のいずれか1項に記載の発光装置。
  41. 作業用照明装置として用いられる、請求項1から36のいずれか1項に記載の発光装置。
  42. 工業機器内用照明装置として用いられる、請求項1から36のいずれか1項に記載の発光装置。
  43. 交通機関内装用照明装置として用いられる、請求項1から36のいずれか1項に記載の発光装置。
  44. 美術品用照明装置として用いられる、請求項1から36のいずれか1項に記載の発光装置。
  45. 高齢者用照明装置として用いられる、請求項1から36のいずれか1項に記載の発光装置。
  46. 少なくとも、395nm以上420nm未満の波長域に極大を有する半導体発光素子を発光要素として備える発光装置の設計方法であって、
    波長をλ(nm)とし、
    当該発光装置から主たる放射方向に出射される光の分光分布をφSSL(λ)、395nm以上420nm未満における当該発光装置の極大を与える波長をλ(nm)、380nm以上780nm以内の範囲で、φSSL(λ)の最長波長極大値を与える波長をλ(nm)とした際に、
    前記発光装置から当該放射方向に出射される光は、ANSI C78.377で定義される黒体放射軌跡からの距離DuvSSLが、−0.0350 ≦ DuvSSL ≦ −0.0040となる光を含み、
    0.30≦φSSL(λ)/φSSL(λ)≦1.40
    を満たすように設計することを特徴とする発光装置の設計方法。
  47. 少なくとも、395nm以上420nm未満の波長域に極大を有する半導体発光素子を発光要素として備える発光装置から出射される光により、対象物を照明する照明工程を含む照明方法であって、
    波長をλ(nm)とし、
    前記発光装置から出射される光が対象物を照明した際に、前記対象物の位置で測定した光の分光分布をφSSL(λ)、395nm以上420nm未満における当該分光分布の極大を与える波長をλ(nm)、380nm以上780nm以内の範囲で、φSSL(λ)の最長波長極大値を与える波長をλ(nm)とした際に、
    φSSL(λ)の、ANSI C78.377で定義される黒体放射軌跡からの距離DuvSSLを、−0.0350 ≦ DuvSSL ≦ −0.0040とし、
    0.30≦φSSL(λ)/φSSL(λ)≦1.40
    を満たすように照明することを特徴とする照明方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018150433A (ja) * 2017-03-10 2018-09-27 デンカ株式会社 橙色蛍光体および発光装置

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