JP6632704B2 - 発光装置及び発光装置の製造方法 - Google Patents
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Description
さらに、液晶バックライト用光源等も同様に高効率化、省電力化が進展している。
appearance)」は非常に重要である。
(Colour Rendering Index/CRI)(CIE(13.3))のスコアを向上させるべく、青色発光素子のスペクトルと黄色蛍光体のスペクトルに対して赤色蛍光体や赤色半導体発光素子のスペクトルを重畳させる試み等がなされている。例えば、赤色源を含まない場合の典型的なスペクトル(CCT=6800K程度)では、平均演色評価数(Ra)と、鮮やかな赤色の色票に対する特殊演色評価数(R9)はそれぞれRa=81、R9=24であるが、赤色源を含む場合にはRa=98、R9=95と演色評価数のスコアを上げることができる(特許文献2参照)。
色評価数(Ri(iは1から14、日本においてはJISの規定によりiは1から15))が高いことは、必ずしも人間に対して良好な色の知覚を誘発する訳ではないことが明らかになりつつある。すなわち、演色評価数のスコアを向上させるこれらの手法は、必ずしも良好な色の見えを実現する訳ではないという問題がある。
の発光装置全般の発明に到達している。本発明者は、同時に快適な照明環境を高効率で実現する照明方法にも到達している。さらに本発明者はそのような好ましい発光装置の設計指針にも到達している。
しかし、LED照明はすでに普及しており、色の見えに配慮されていない商品も市中に出回っている。また、照明器具/照明システムとして実用に供されているものも多数存在する。しかし、たとえ利用者が色の見えに不自然さを感じ、不満を有していても、これら照明器具/照明システムの色の見えを改善すべく、対象器具/システム等を入れ替えることは時間的制約、利用者の経済的負担を考慮すると現実的ではない。
本発明はこのような問題を解決するためになされたものであって、現状すでに存在し、あるいは実用に供されている、色の見えに劣る半導体発光装置が内在する発光装置の色の見えを改善するためになされたものである。さらに、本発明においては、このような発光装置の設計方法、製造方法も開示し、さらにこのような発光装置を用いた照明方法も開示する。
さらに、本発明においては、同様の技術を用いて、色の見えにすぐれる半導体発光装置の色の見えをさらに利用者の嗜好に応じて調節する方法等も開示する。
[1]
半導体発光素子が内在する発光要素と制御要素とを有する発光装置であって、
波長をλ(nm)とし、
当該発光要素から主たる放射方向に出射される光の分光分布をΦelm(λ)、当該発光装置から主たる放射方向に出射される光の分光分布をφSSL(λ)とし、
Φelm(λ)は下記条件1と条件2の少なくともいずれか一方を満たさず、φSSL(λ)は下記条件1と条件2をともに満たすことを特徴とする発光装置。
条件1:
対象となる光の分光分布におけるANSI C78.377で定義される黒体放射軌跡からの距離Duvが、−0.0350 ≦ Duv ≦ −0.0040となる光を含む。
条件2:
対象となる光の分光分布をφ(λ)、対象となる光の分光分布の相関色温度T(K)に応じて選択される基準の光の分光分布をφref(λ)、対象となる光の分光分布の三刺激値を(X、Y、Z)、前記T(K)に応じて選択される基準の光の三刺激値を(Xref、Yref、Zref)とし、
対象となる光の規格化分光分布S(λ)と、基準の光の規格化分光分布Sref(λ)と、これら規格化分光分布の差ΔS(λ)をそれぞれ、
S(λ)=φ(λ)/Y
Sref(λ)=φref(λ)/Yref
ΔS(λ)=Sref(λ)−S(λ)
と定義し、
波長380nm以上780nm以内の範囲で、S(λ)の最長波長極大値を与える波長をλR(nm)とした際に、
λRよりも長波長側にS(λR)/2となる波長Λ4が存在する場合においては下記数式(1)で表される指標Acgが−360 ≦ Acg ≦ −10を満たし、一方、
λRよりも長波長側にS(λR)/2となる波長Λ4が存在しない場合においては下記数式(2)で表される指標Acgが、−360 ≦ Acg ≦ −10を満たす。
[1]に記載の発光装置であって、Φelm(λ)は下記条件3と条件4の少なくともいずれか一方を満たさず、φSSL(λ)は下記条件3と条件4をともに満たすことを特徴とする発光装置。
条件3:
対象となる光の分光分布による照明を数学的に仮定した場合の#01から#15の下記15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L*a*b*色空間におけるa*値、b*
値をそれぞれa* n、b* n(ただしnは1から15の自然数)とし、
当該放射方向に出射される光の相関色温度T(K)に応じて選択される基準の光での照明を数学的に仮定した場合の当該15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L*
a*b*色空間におけるa*値、b*値をそれぞれa* nref、b* nref(ただしnは1から15の自然数)とした場合に、飽和度差ΔCnが
−3.8 ≦ ΔCn ≦ 18.6 (nは1から15の自然数)
を満たし、下記式(3)で表される飽和度差の平均SATavが下記式(4)を満たし、
2.8 ≦ |ΔCmax−ΔCmin| ≦ 19.6
を満たす。
ただし、ΔCn=√{(a* n)2+(b* n)2}−√{(a* nref)2+(b* nr
ef)2}とする。
15種類の修正マンセル色票
#01 7.5 P 4 /10
#02 10 PB 4 /10
#03 5 PB 4 /12
#04 7.5 B 5 /10
#05 10 BG 6 / 8
#06 2.5 BG 6 /10
#07 2.5 G 6 /12
#08 7.5 GY 7 /10
#09 2.5 GY 8 /10
#10 5 Y 8.5/12
#11 10 YR 7 /12
#12 5 YR 7 /12
#13 10 R 6 /12
#14 5 R 4 /14
#15 7.5 RP 4 /12
条件4:
対象となる光の分光分布による照明を数学的に仮定した場合の上記15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L*a*b*色空間における色相角をθn(度)(ただしn
は1から15の自然数)とし、
当該放射方向に出射される光の相関色温度T(K)に応じて選択される基準の光での照明を数学的に仮定した場合の当該15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L*
a*b*色空間における色相角をθnref(度)(ただしnは1から15の自然数)とした場合に、色相角差の絶対値|Δhn|が
0 ≦ |Δhn| ≦ 9.0(度)(nは1から15の自然数)
を満たす。
ただし、Δhn=θn−θnrefとする。
[3]
半導体発光素子が内在する発光要素と制御要素とを有する発光装置であって、
波長をλ(nm)とし、
当該発光要素から主たる放射方向に出射される光の分光分布をΦelm(λ)、当該発光装置から主たる放射方向に出射される光の分光分布をφSSL(λ)とし、
Φelm(λ)は下記条件1と条件2をともに満たし、φSSL(λ)も下記条件1と条件2をともに満たすことを特徴とする発光装置。
条件1:
対象となる光の分光分布におけるANSI C78.377で定義される黒体放射軌跡からの距離Duvが、−0.0350 ≦ Duv ≦ −0.0040となる光を含む。
条件2:
対象となる光の分光分布をφ(λ)、対象となる光の分光分布の相関色温度T(K)に応じて選択される基準の光の分光分布をφref(λ)、対象となる光の分光分布の三刺激値を(X、Y、Z)、前記T(K)に応じて選択される基準の光の三刺激値を(Xref、Yref、Zref)とし、
対象となる光の規格化分光分布S(λ)と、基準の光の規格化分光分布Sref(λ)と、これら規格化分光分布の差ΔS(λ)をそれぞれ、
S(λ)=φ(λ)/Y
Sref(λ)=φref(λ)/Yref
ΔS(λ)=Sref(λ)−S(λ)
と定義し、
波長380nm以上780nm以内の範囲で、S(λ)の最長波長極大値を与える波長をλR(nm)とした際に、
λRよりも長波長側にS(λR)/2となる波長Λ4が存在する場合においては下記数式(1)で表される指標Acgが−360 ≦ Acg ≦ −10を満たし、一方、
λRよりも長波長側にS(λR)/2となる波長Λ4が存在しない場合においては下記数式(2)で表される指標Acgが、−360 ≦ Acg ≦ −10を満たす。
[3]に記載の発光装置であって、Φelm(λ)は下記条件3と条件4をともに満たし、φSSL(λ)も下記条件3と条件4をともに満たすことを特徴とする発光装置。
条件3:
対象となる光の分光分分布による照明を数学的に仮定した場合の#01から#15の下記15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L*a*b*色空間におけるa*値、b*値をそれぞれa* n、b* n(ただしnは1から15の自然数)とし、
当該放射方向に出射される光の相関色温度T(K)に応じて選択される基準の光での照明を数学的に仮定した場合の当該15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L*
a*b*色空間におけるa*値、b*値をそれぞれa* nref、b* nref(ただしnは1から15の自然数)とした場合に、飽和度差ΔCnが
−3.8 ≦ ΔCn ≦ 18.6 (nは1から15の自然数)
を満たし、下記式(3)で表される飽和度差の平均SATavが下記式(4)を満たし、
2.8 ≦ |ΔCmax−ΔCmin| ≦ 19.6
を満たす。
ただし、ΔCn=√{(a* n)2+(b* n)2}−√{(a* nref)2+(b* nr
ef)2}とする。
15種類の修正マンセル色票
#01 7.5 P 4 /10
#02 10 PB 4 /10
#03 5 PB 4 /12
#04 7.5 B 5 /10
#05 10 BG 6 / 8
#06 2.5 BG 6 /10
#07 2.5 G 6 /12
#08 7.5 GY 7 /10
#09 2.5 GY 8 /10
#10 5 Y 8.5/12
#11 10 YR 7 /12
#12 5 YR 7 /12
#13 10 R 6 /12
#14 5 R 4 /14
#15 7.5 RP 4 /12
条件4:
対象となる光の分光分布による照明を数学的に仮定した場合の上記15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L*a*b*色空間における色相角をθn(度)(ただしn
は1から15の自然数)とし、
当該放射方向に出射される光の相関色温度T(K)に応じて選択される基準の光での照明を数学的に仮定した場合の当該15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L*
a*b*色空間における色相角をθnref(度)(ただしnは1から15の自然数)とした場合に、色相角差の絶対値|Δhn|が
0 ≦ |Δhn| ≦ 9.0(度)(nは1から15の自然数)
を満たす。
ただし、Δhn=θn−θnrefとする。
[5]
[1]または[3]に記載の発光装置であって、
当該発光要素から主たる放射方向に出射される光の分光分布から導出されるDuvをDuv(Φelm)、当該発光装置から主たる放射方向に出射される光の分光分布から導出されるDuvをDuv(φSSL)と定義した場合に、
Duv(φSSL)<Duv(Φelm)
を満たすことを特徴とする発光装置。
[6]
[1]または[3]に記載の発光装置であって、
当該発光要素から主たる放射方向に出射される光の分光分布から導出されるAcgをAcg(Φelm)、当該発光装置から主たる放射方向に出射される光の分光分布から導出されるAcgをAcg(φSSL)と定義した場合に、
Acg(φSSL)<Acg(Φelm)
を満たすことを特徴とする発光装置。
[7]
[2]または[4]に記載の発光装置であって、
当該発光要素から主たる放射方向に出射される光の分光分布から導出される前記飽和度差の平均をSATav(Φelm)、
当該発光装置から主たる放射方向に出射される光の分光分布から導出される前記飽和度差の平均をSATav(φSSL)と定義した場合に、
SATav(Φelm)<SATav(φSSL)
を満たすことを特徴とする発光装置。
[8]
[1]から[7]のいずれかに記載の発光装置であって、当該制御要素は380nm≦λ(nm)≦780nmの光を吸収または反射する光学フィルターであることを特徴とする発光装置。
[9]
[1]から[8]のいずれかに記載の発光装置であって、当該制御要素が発光要素から出射される光の集光および/または拡散機能を兼ね備えていることを特徴とする発光装置。
[10]
[9]に記載の発光装置であって、当該制御要素の集光および/または拡散機能が凹レ
ンズ、凸レンズ、フレネルレンズの少なくとも1つの機能によって実現することを特徴とする発光装置。
[11]
[1]〜[10]のいずれかに記載の発光装置であって、
前記発光装置から当該放射方向に出射される光は、分光分布φSSL(λ)から導出される波長380nm以上780nm以下の範囲の放射効率K(lm/W)が
180(lm/W) ≦ K(lm/W) ≦ 320(lm/W)
を満たすことを特徴とする発光装置。
[12]
[2]または[4]に記載の発光装置であって、発光装置の色相角差の絶対値|Δhn|が
0.0003 ≦ |Δhn| ≦ 8.3(度)(nは1から15の自然数)
を満たすことを特徴とする発光装置。
[13]
[2]または[4]に記載の発光装置であって、前記式(3)で表される発光装置としての飽和度差の平均SATavが下記式(4)´を満たすことを特徴とする発光装置。
[2]または[4]に記載の発光装置であって、発光装置としての前記飽和度差ΔCnが
−3.4 ≦ ΔCn ≦ 16.8 (nは1から15の自然数)
を満たすことを特徴とする発光装置。
[15]
[2]または[4]に記載の発光装置であって、発光装置としての前記飽和度差の最大値と、前記飽和度差の最小値との間の差|ΔCmax−ΔCmin|が
3.2 ≦ |ΔCmax−ΔCmin| ≦ 17.8
を満たすことを特徴とする発光装置。
[16]
[1]〜[15]のいずれかに記載の発光装置であって、
前記発光装置から当該放射方向に出射される光は、黒体放射軌跡からの距離Duvが
−0.0250 ≦ Duv ≦ −0.0100
を満たすことを特徴とする発光装置。
[17]
[1]〜[16]のいずれかに記載の発光装置であって、前記数式(1)または(2)で表される発光装置としての指標Acgが
−322 ≦ Acg ≦ −12
を満たすことを特徴とする発光装置。
[18]
[1]〜[17]のいずれかに記載の発光装置であって、
前記発光装置から当該放射方向に出射される光は、分光分布φSSL(λ)から導出される波長380nm以上780nm以下の範囲の放射効率K(lm/W)が、
206(lm/W) ≦ K(lm/W) ≦ 288(lm/W)
を満たすことを特徴とする発光装置。
[19]
[1]〜[18]のいずれかに記載の発光装置であって、発光装置としての相関色温度
T(K)が
2550(K) ≦ T(K) ≦ 5650(K)
を満たすことを特徴とする発光装置。
[20]
[1]〜[19]のいずれかに記載の発光装置であって、前記発光装置から当該放射方向に出射される光が対象物を照明する照度が150lx以上5000lx以下であることを特徴とする発光装置。
[21]
[1]〜[20]のいずれかに記載の発光装置であって、前記発光装置は1種類以上6種類以下の発光要素から出射される光を当該放射方向に発することを特徴とする発光装置。
[22]
[1]〜[21]のいずれかに記載の発光装置であって、前記半導体発光素子の発光スペクトルのピーク波長が380nm以上495nm未満であって、かつ、半値全幅が2nm以上45nm以下であることを特徴とする発光装置。
[23]
[22]に記載の発光装置であって、前記半導体発光素子の発光スペクトルのピーク波長が395nm以上420nm未満であることを特徴とする発光装置。
[24]
[22]に記載の発光装置であって、前記半導体発光素子の発光スペクトルのピーク波長が420nm以上455nm未満であることを特徴とする発光装置。
[25]
[22]に記載の発光装置であって、当該半導体発光素子の発光スペクトルのピーク波長が455nm以上485nm未満であることを特徴とする発光装置。
[26]
[1]〜[21]のいずれかに記載の発光装置であって、前記半導体発光素子の発光スペクトルのピーク波長が495nm以上590nm未満であって、かつ、半値全幅が2nm以上75nm以下であることを特徴とする発光装置。
[27]
[1]〜[21]のいずれかに記載の発光装置であって、前記半導体発光素子の発光スペクトルのピーク波長が590nm以上780nm未満であって、かつ、半値全幅が2nm以上30nm以下であることを特徴とする発光装置。
[28]
[1]〜[21]のいずれかに記載の発光装置であって、前記半導体発光素子はサファイア基板、GaN基板、GaAs基板、GaP基板からなる群から選択されるいずれかの基板上で作成されたことを特徴とする発光装置。
[29]
[1]〜[21]のいずれかに記載の発光装置であって、前記半導体発光素子はGaN基板、またはGaP基板上で作成され、かつ前記基板の厚みが100μm以上2mm以下であることを特徴とする発光装置。
[30]
[1]〜[22]のいずれかに記載の発光装置であって、前記半導体発光素子はサファイア基板、またはGaAs基板上で作成され、かつ半導体発光素子は基板から剥離されてなることを特徴とする発光装置。
[31]
[1]〜[25]のいずれかに記載の発光装置であって、発光要素として蛍光体を備えることを特徴とする発光装置。
[32]
[31]に記載の発光装置であって、前記蛍光体は、発光スペクトルの異なる蛍光体を1種類以上5種類以下含むことを特徴とする発光装置。
[33]
[31]または[32]に記載の発光装置であって、前記蛍光体は、室温で光励起した場合の単体発光スペクトルのピーク波長が380nm以上495nm未満であって、かつ、半値全幅が2nm以上90nm以下である蛍光体を含むことを特徴とする発光装置。
[34]
[33]に記載の発光装置であって、前記蛍光体が下記一般式(5)で表される蛍光体、下記一般式(5)´で表される蛍光体、(Sr,Ba)3MgSi2O8:Eu2+、およ
び(Ba,Sr,Ca,Mg)Si2O2N2:Euからなる群から選択される1種以上を
含むことを特徴とする発光装置。
(Ba,Sr,Ca)MgAl10O17:Mn,Eu (5)
SraBabEux(PO4)cXd (5)´
(一般式(5)´において、XはClである。また、c、d及びxは、2.7≦c≦3.3、0.9≦d≦1.1、0.3≦x≦1.2を満足する数である。さらに、a及びbは、a+b=5−xかつ0≦b/(a+b)≦0.6の条件を満足する。)
[35]
[31]または[32]に記載の発光装置であって、前記蛍光体は、室温で光励起した場合の単体発光スペクトルのピーク波長が495nm以上590nm未満であって、かつ、半値全幅が2nm以上130nm以下である蛍光体を含むことを特徴とする発光装置。[36]
[35]に記載の発光装置であって、前記蛍光体がSi6-zAlzOzN8-z:Eu(ただし0<z<4.2)、下記一般式(6)で表される蛍光体、下記一般式(6)´で表される蛍光体、およびSrGaS4:Eu2+からなる群から選択される1種以上を含むことを
特徴とする発光装置。
BaaCabSrcMgdEuxSiO4 (6)
(一般式(6)においてa、b、c、dおよびxが、a+b+c+d+x=2、1.0 ≦ a ≦ 2.0、0 ≦ b < 0.2、0.2 ≦ c ≦ 1.0、0 ≦ d < 0.2
および0 < x ≦ 0.5を満たす。)
Ba1-x-ySrxEuyMg1-zMnzAl10O17 (6)´
(一般式(6)´においてx、yおよびzはそれぞれ0.1≦x≦0.4、0.25≦y≦0.6及び0.05≦z≦0.5を満たす。)
[37]
[31]または[32]に記載の発光装置であって、前記蛍光体は、室温で光励起した場合の単体発光スペクトルのピーク波長が590nm以上780nm未満であって、かつ、半値全幅が2nm以上130nm以下である蛍光体を含むことを特徴とする発光装置。[38]
[37]に記載の発光装置であって、前記蛍光体が下記一般式(7)で表される蛍光体、下記一般式(7)´で表される蛍光体、(Sr,Ca,Ba)2AlxSi5-xOxN8-x
:Eu(ただし0≦x≦2)、Euy(Sr,Ca,Ba)1-y:Al1+xSi4-xOxN7-x(ただし0≦x<4、0≦y<0.2)、K2SiF6:Mn4+、A2+xMyMnzFn(A
はNaおよび/またはK;MはSiおよびAl;−1≦x≦1かつ0.9≦y+z≦1.1かつ0.001≦z≦0.4かつ5≦n≦7)、(Ca,Sr,Ba,Mg)AlSiN3:Euおよび/または(Ca,Sr,Ba)AlSiN3:Eu、並びに(CaAlSiN3)1-x(Si2N2O)x:Eu(ただし、xは0<x<0.5)からなる群から選択
される1種以上を含むことを特徴とする発光装置。
(La1-x-yEuxLny)2O2S (7)
(一般式(7)において、x及びyはそれぞれ0.02≦x≦0.50及び0≦y≦0.50を満たす数を表し、LnはY、Gd、Lu、Sc、Sm及びErの少なくとも1種の3価希土類元素を表す。)
(k−x)MgO・xAF2・GeO2:yMn4+ (7)´
(一般式(7)´において、k、x、yは、各々、2.8≦k≦5、0.1≦x≦0.7
、0.005≦y≦0.015を満たす数を表し、Aはカルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、亜鉛(Zn)、またはこれらの混合物である。)
[39]
[1]〜[21]のいずれかに記載の発光装置であって、発光要素としてさらに蛍光体を備え、前記半導体発光素子は発光スペクトルのピーク波長が395nm以上420nm未満であり、前記蛍光体は、SBCA、β−SiAlON、およびCASONを含むことを特徴とする発光装置。
[40]
[1]〜[21]のいずれかに記載の発光装置であって、発光要素としてさらに蛍光体を備え、前記半導体発光素子は発光スペクトルのピーク波長が395nm以上420nm未満であり、前記蛍光体は、SCA、β−SiAlON、およびCASONを含むことを特徴とする発光装置。
[41]
[1]〜[40]のいずれかに記載の発光装置であって、パッケージ化LED、LEDモジュール、LED照明器具、およびLED照明システムからなる群から選択されるいずれかであることを特徴とする発光装置。
[42]
家庭用照明装置として用いられる、[1]〜[41]のいずれかに記載の発光装置。
[43]
展示物用照明装置として用いられる、[1]〜[41]のいずれかに記載の発光装置。[44]
演出用照明装置として用いられる、[1]〜[41]のいずれかに記載の発光装置。
[45]
医療用照明装置として用いられる、[1]〜[41]のいずれかに記載の発光装置。
[46]
作業用照明装置として用いられる、[1]〜[41]のいずれかに記載の発光装置。
[47]
工業機器内用照明装置として用いられる、[1]〜[41]のいずれか1項に記載の発光装置。
[48]
交通機関内装用照明装置として用いられる、[1]〜[41]のいずれかに記載の発光装置。
[49]
美術品用照明装置として用いられる、[1]〜[41]のいずれかに記載の発光装置。[50]
高齢者用照明装置として用いられる、[1]〜[41]のいずれかに記載の発光装置。[51]
半導体発光素子が内在する発光要素と制御要素とを有する発光装置の製造方法であって、
発光要素を有する第一の発光装置を準備する工程、及び
第一の発光装置から主たる放射方向に出射される光の少なくとも一部に作用するように制御要素を配置し、第二の発光装置を製造する工程、を含み、
波長をλ(nm)とし、
当該第一の発光装置から主たる放射方向に出射される光の分光分布をΦelm(λ)、当該第二の発光装置から主たる放射方向に出射される光の分光分布をφSSL(λ)とし、
Φelm(λ)は下記条件1と条件2の少なくともいずれか一方を満たさず、φSSL(λ)は条件1と条件2をともに満たすことを特徴とする発光装置の製造方法。
条件1:
対象となる光の分光分布におけるANSI C78.377で定義される黒体放射軌跡
からの距離Duvが、−0.0350 ≦ Duv ≦ −0.0040となる光を含む。
条件2:
対象となる光の分光分布をφ(λ)、対象となる光の分光分布の相関色温度T(K)に応じて選択される基準の光の分光分布をφref(λ)、対象となる光の分光分布の三刺激値を(X、Y、Z)、前記T(K)に応じて選択される基準の光の三刺激値を(Xref、Yref、Zref)とし、
対象となる光の規格化分光分布S(λ)と、基準の光の規格化分光分布Sref(λ)と、これら規格化分光分布の差ΔS(λ)をそれぞれ、
S(λ)=φ(λ)/Y
Sref(λ)=φref(λ)/Yref
ΔS(λ)=Sref(λ)−S(λ)
と定義し、
波長380nm以上780nm以内の範囲で、S(λ)の最長波長極大値を与える波長をλR(nm)とした際に、
λRよりも長波長側にS(λR)/2となる波長Λ4が存在する場合においては下記数式(1)で表される指標Acgが−360 ≦ Acg ≦ −10を満たし、一方、
λRよりも長波長側にS(λR)/2となる波長Λ4が存在しない場合においては下記数式(2)で表される指標Acgが、−360 ≦ Acg ≦ −10を満たす。
[51]に記載の発光装置の製造方法であって、Φelm(λ)は下記条件3と条件4の少なくともいずれか一方を満たさず、φSSL(λ)は条件3と条件4をともに満たすことを特徴とする発光装置の製造方法。
条件3:
対象となる光の分光分布による照明を数学的に仮定した場合の#01から#15の下記15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L*a*b*色空間におけるa*値、b*
値をそれぞれa* n、b* n(ただしnは1から15の自然数)とし、
当該放射方向に出射される光の相関色温度T(K)に応じて選択される基準の光での照明を数学的に仮定した場合の当該15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L*
a*b*色空間におけるa*値、b*値をそれぞれa* nref、b* nref(ただしnは1から15の自然数)とした場合に、飽和度差ΔCnが
−3.8 ≦ ΔCn ≦ 18.6 (nは1から15の自然数)
を満たし、下記式(3)で表される飽和度差の平均SATavが下記式(4)を満たし、
2.8 ≦ |ΔCmax−ΔCmin| ≦ 19.6
を満たす。
ただし、ΔCn=√{(a* n)2+(b* n)2}−√{(a* nref)2+(b* nr
ef)2}とする。
15種類の修正マンセル色票
#01 7.5 P 4 /10
#02 10 PB 4 /10
#03 5 PB 4 /12
#04 7.5 B 5 /10
#05 10 BG 6 / 8
#06 2.5 BG 6 /10
#07 2.5 G 6 /12
#08 7.5 GY 7 /10
#09 2.5 GY 8 /10
#10 5 Y 8.5/12
#11 10 YR 7 /12
#12 5 YR 7 /12
#13 10 R 6 /12
#14 5 R 4 /14
#15 7.5 RP 4 /12
条件4:
対象となる光の分光分布による照明を数学的に仮定した場合の上記15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L*a*b*色空間における色相角をθn(度)(ただしn
は1から15の自然数)とし、
当該放射方向に出射される光の相関色温度T(K)に応じて選択される基準の光での照明を数学的に仮定した場合の当該15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L*
a*b*色空間における色相角をθnref(度)(ただしnは1から15の自然数)とした場合に、色相角差の絶対値|Δhn|が
0 ≦ |Δhn| ≦ 9.0(度)(nは1から15の自然数)
を満たす。
ただし、Δhn=θn−θnrefとする。
[53]
半導体発光素子が内在する発光要素と制御要素とを有する発光装置の製造方法であって、
発光要素を有する第一の発光装置を準備する工程、及び
第一の発光装置から主たる放射方向に出射される光の少なくとも一部に作用するように制御要素を配置し、第二の発光装置を製造する工程、を含み、
波長をλ(nm)とし、
当該第一の発光装置から主たる放射方向に出射される光の分光分布をΦelm(λ)、当該第二の発光装置から主たる放射方向に出射される光の分光分布をφSSL(λ)とし、
Φelm(λ)は下記条件1と条件2をともに満たし、φSSL(λ)も下記条件1と
条件2をともに満たすことを特徴とする発光装置の製造方法。
条件1:
対象となる光の分光分布におけるANSI C78.377で定義される黒体放射軌跡からの距離Duvが、−0.0350 ≦ Duv ≦ −0.0040となる光を含む。
条件2:
対象となる光の分光分布をφ(λ)、対象となる光の分光分布の相関色温度T(K)に応じて選択される基準の光の分光分布をφref(λ)、対象となる光の分光分布の三刺激値を(X、Y、Z)、前記T(K)に応じて選択される基準の光の三刺激値を(Xref、Yref、Zref)とし、
対象となる光の規格化分光分布S(λ)と、基準の光の規格化分光分布Sref(λ)と、これら規格化分光分布の差ΔS(λ)をそれぞれ、
S(λ)=φ(λ)/Y
Sref(λ)=φref(λ)/Yref
ΔS(λ)=Sref(λ)−S(λ)
と定義し、
波長380nm以上780nm以内の範囲で、S(λ)の最長波長極大値を与える波長をλR(nm)とした際に、
λRよりも長波長側にS(λR)/2となる波長Λ4が存在する場合においては下記数式(1)で表される指標Acgが−360 ≦ Acg ≦ −10を満たし、一方、
λRよりも長波長側にS(λR)/2となる波長Λ4が存在しない場合においては下記数式(2)で表される指標Acgが、−360 ≦ Acg ≦ −10を満たす。
[53]に記載の発光装置の製造方法であって、Φelm(λ)は下記条件3と条件4をともに満たし、φSSL(λ)も下記条件3と条件4をともに満たすことを特徴とする発光装置の製造方法。
条件3:
対象となる光の分光分分布による照明を数学的に仮定した場合の#01から#15の下記15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L*a*b*色空間におけるa*値、b*値をそれぞれa* n、b* n(ただしnは1から15の自然数)とし、
当該放射方向に出射される光の相関色温度T(K)に応じて選択される基準の光での照明を数学的に仮定した場合の当該15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L*
a*b*色空間におけるa*値、b*値をそれぞれa* nref、b* nref(ただしnは1から15の自然数)とした場合に、飽和度差ΔCnが
−3.8 ≦ ΔCn ≦ 18.6 (nは1から15の自然数)
を満たし、下記式(3)で表される飽和度差の平均SATavが下記式(4)を満たし、
2.8 ≦ |ΔCmax−ΔCmin| ≦ 19.6
を満たす。
ただし、ΔCn=√{(a* n)2+(b* n)2}−√{(a* nref)2+(b* nr
ef)2}とする。
15種類の修正マンセル色票
#01 7.5 P 4 /10
#02 10 PB 4 /10
#03 5 PB 4 /12
#04 7.5 B 5 /10
#05 10 BG 6 / 8
#06 2.5 BG 6 /10
#07 2.5 G 6 /12
#08 7.5 GY 7 /10
#09 2.5 GY 8 /10
#10 5 Y 8.5/12
#11 10 YR 7 /12
#12 5 YR 7 /12
#13 10 R 6 /12
#14 5 R 4 /14
#15 7.5 RP 4 /12
条件4:
対象となる光の分光分布による照明を数学的に仮定した場合の上記15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L*a*b*色空間における色相角をθn(度)(ただしn
は1から15の自然数)とし、
当該放射方向に出射される光の相関色温度T(K)に応じて選択される基準の光での照明を数学的に仮定した場合の当該15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L*
a*b*色空間における色相角をθnref(度)(ただしnは1から15の自然数)とした場合に、色相角差の絶対値|Δhn|が
0 ≦ |Δhn| ≦ 9.0(度)(nは1から15の自然数)
を満たす。
ただし、Δhn=θn−θnrefとする。
[55]
半導体発光素子が内在する発光要素と制御要素とを有する発光装置の設計方法であって、
波長をλ(nm)とし、
当該発光要素から主たる放射方向に出射される光の分光分布をΦelm(λ)、当該発光装置から主たる放射方向に出射される光の分光分布をφSSL(λ)とし、
Φelm(λ)は上記条件1と条件2の少なくともいずれか一方を満たさず、φSSL(λ)は上記条件1と条件2をともに満たすように設計することを特徴とする発光装置の設計方法。
[56]
[55]に記載の発光装置の設計方法であって、Φelm(λ)は上記条件3と条件4の少なくともいずれか一方を満たさず、φSSL(λ)は上記条件3と条件4をともに満たすことを特徴とする発光装置の設計方法。
[57]
半導体発光素子が内在する発光要素と制御要素とを有する発光装置の設計方法であって、
波長をλ(nm)とし、
当該発光要素から主たる放射方向に出射される光の分光分布をΦelm(λ)、当該発光装置から主たる放射方向に出射される光の分光分布をφSSL(λ)とし、
Φelm(λ)は上記条件1と条件2をともに満たし、φSSL(λ)も上記条件1と条件2をともに満たすように設計することを特徴とする発光装置の設計方法。
[58]
[57]に記載の発光装置の設計方法であって、Φelm(λ)は上記条件3と条件4をともに満たし、φSSL(λ)も上記条件3と条件4をともに満たすことを特徴とする発光装置。
[59]
照明対象物を準備する照明対象物準備工程、および、発光要素である半導体発光素子と制御要素を含む発光装置から出射される光により対象物を照明する照明工程、を含む照明方法であって、
前記照明工程において、前記発光要素から出射される光が対象物を照明した際に、前記対象物の位置で測定した光が、少なくとも以下の<1>、<2>及び<3>のいずれか1つを満たさず、前記発光装置から出射される光が対象物を照明した際に、前記対象物の位置で測定した光が以下の<1>、<2>及び<3>をすべて満たすように照明することを特徴とする照明方法。
<1>前記対象物の位置で測定した対象となる光のANSI C78.377で定義される黒体放射軌跡からの距離Duvが、−0.0350 ≦ Duv ≦ −0.0040である。
<2>前記対象物の位置で測定した対象となる光による照明を数学的に仮定した場合の#01から#15の下記15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L*a*b*色空
間におけるa*値、b*値をそれぞれa* n、b* n(ただしnは1から15の自然数)とし、
前記対象物の位置で測定した対象となる光の相関色温度T(K)に応じて選択される基準の光による照明を数学的に仮定した場合の当該15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L*a*b*色空間におけるa*値、b*値をそれぞれa* nref、b* nref
(ただしnは1から15の自然数)とした場合に、飽和度差ΔCnが
−3.8 ≦ ΔCn ≦ 18.6 (nは1から15の自然数)
を満たし、
下記式(3)で表される飽和度差の平均SATavが下記式(4)を満たし、
2.8 ≦ |ΔCmax−ΔCmin| ≦ 19.6
を満たす。
ただし、ΔCn=√{(a* n)2+(b* n)2}−√{(a* nref)2+(b* nr
ef)2}とする。
15種類の修正マンセル色票
#01 7.5 P 4 /10
#02 10 PB 4 /10
#03 5 PB 4 /12
#04 7.5 B 5 /10
#05 10 BG 6 / 8
#06 2.5 BG 6 /10
#07 2.5 G 6 /12
#08 7.5 GY 7 /10
#09 2.5 GY 8 /10
#10 5 Y 8.5/12
#11 10 YR 7 /12
#12 5 YR 7 /12
#13 10 R 6 /12
#14 5 R 4 /14
#15 7.5 RP 4 /12
<3>前記対象物の位置で測定した対象となる光による照明を数学的に仮定した場合の上記15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L*a*b*色空間における色相角を
θn(度)(ただしnは1から15の自然数)とし、
前記対象物の位置で測定した対象となる光の相関色温度T(K)に応じて選択される基準の光による照明を数学的に仮定した場合の当該15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L*a*b*色空間における色相角をθnref(度)(ただしnは1から15
の自然数)とした場合に、色相角差の絶対値|Δhn|が
0 ≦ |Δhn| ≦ 9.0(度)(nは1から15の自然数)
を満たす。
ただし、Δhn=θn−θnrefとする。
[60]
[59]に記載の照明方法であって、更に以下の<4>を満たすように照明することを特徴とする、照明方法。
<4>前記対象物の位置で測定した対象となる光の分光分布をφ(λ)、前記対象物の位置で測定した対象となる光のT(K)に応じて選択される基準の光の分光分布をφref(λ)、前記対象物の位置で測定した対象となる光の三刺激値を(X、Y、Z)、前記対
象物の位置で測定した対象となる光のT(K)に応じて選択される基準の光の三刺激値を(Xref、Yref、Zref)とし、
前記対象物の位置で測定した対象となる光の規格化分光分布S(λ)と、前記対象物の位置で測定した対象となる光のT(K)に応じて選択される基準の光の規格化分光分布Sref(λ)と、これら規格化分光分布の差ΔS(λ)をそれぞれ、
S(λ)=φ(λ)/Y
Sref(λ)=φref(λ)/Yref
ΔS(λ)=Sref(λ)−S(λ)
と定義し、
波長380nm以上780nm以内の範囲で、S(λ)の最長波長極大値を与える波長をλR(nm)とした際に、
λRよりも長波長側にS(λR)/2となる波長Λ4が存在する場合においては下記数式(1)で表される指標Acgが−360 ≦ Acg ≦ −10を満たし、一方、
λRよりも長波長側にS(λR)/2となる波長Λ4が存在しない場合においては下記数式(2)で表される指標Acgが、−360 ≦ Acg ≦ −10を満たす。
照明対象物を準備する照明対象物準備工程、および、発光要素である半導体発光素子と制御要素を含む発光装置から出射される光により対象物を照明する照明工程、を含む照明方法であって、
前記照明工程において、前記発光要素から出射される光が対象物を照明した際に、前記対象物の位置で測定した光が上記<1>、<2>及び<3>をすべて満たし、前記発光装置から出射される光が対象物を照明した際に、前記対象物の位置で測定した光が上記<1>、<2>及び<3>もすべて満たすように照明することを特徴とする照明方法。
[62]
[61]に記載の照明方法であって、上記<4>を満たすように照明することを特徴とする、照明方法。
できる。このような色の見えの効果をより具体的に例示すれば、以下の通りである。
第一に、本発明による光源、器具、システム等の発光装置で照明した場合、又は、本発明の照明方法により照明した場合には、実験用基準光や実験用擬似基準光で照明した場合等に比較して、ほぼ同様のCCT、ほぼ同様の照度であっても、白色はより白く、自然に、心地よく見える。さらに、白、灰色、黒等の無彩色間の明度差も視認しやすくなる。このために、例えば、一般の白色紙上の黒文字等が読みやすくなる。なお、詳細は後述するが、このような効果はこれまでの常識に照らして全く予想外の効果である。
第二に、本発明による発光装置で実現された照度、又は、本発明の照明方法により照明した場合の照度は、数千Lxから数百Lx程度の通常室内環境程度であったとしても、紫色、青紫色、青色、青緑色、緑色、黄緑色、黄色、黄赤色、赤色、赤紫色などの大半の色、場合によってはすべての色について、たとえば晴れた日の屋外照度下のような数万lx程度の下で見たような真に自然な色の見えが実現される。また、中間的な彩度を有する、被験者(日本人)の肌色、各種食品、衣料品、木材色等も、多くの被験者がより好ましいと感じる、自然な色の見えとなる。
第三に、実験用基準光や実験用擬似基準光で照明した場合等に比較して、ほぼ同様のCCT、ほぼ同様の照度であっても、本発明による発光装置で照明した場合、又は、本発明の照明方法により照明した場合には、近接した色相における色識別が容易になり、あたかも高照度環境下の様な快適な作業等が可能となる。さらに具体的には、たとえば類似した赤色を有する複数の口紅などをより容易に識別可能となる。
第四に、実験用基準光や実験用擬似基準光で照明した場合等に比較して、ほぼ同様のCCT、ほぼ同様の照度であっても、本発明による光源、器具、システムで照明した場合、又は、本発明の照明方法により照明した場合には、あたかも高照度環境下で見たように、物体がよりはっきりと、容易に、視認できるようになる。
これらの効果に加え、照明用途に利用した際に色の見えに優れる半導体発光装置においても、利用者の嗜好に応じて、さらに色の見えを調整することができる。
く、その要旨の範囲内であれば種々に変更して実施することができる。
本発明の第一の実施態様は、発光装置である。本実施態様に係る発光装置は、半導体発光素子が内在する発光要素と制御要素とを有する。
本発明の発光要素は、半導体発光素子が必須要素として内在するが、その他の発光要素が内在してもよい。その他の発光要素としては、投入された種々のエネルギーを電磁放射のエネルギーに変換し、その電磁放射エネルギー中に380nmから780nmの可視光を含むものであれば、特に制約されない。例えば、電気エネルギーを変換しうる熱フィラメント、蛍光管、高圧ナトリウムランプ、レーザ、二次高調波発生(SHG)源等を例示することができる。また、光エネルギーを変換しうる蛍光体なども例示できる。
また、図44に示すように「さらに高加工度の発光装置」内に部分的に存在する「中加
工度の発光装置または高加工度の発光装置」があれば、制御要素が作用しない状態にしたn個のパッケージLEDと、m個の白熱電球を含む発光装置から主たる放射方向に放射される光の分光分布をΦelm(λ)とみなすことができる。
が放射されている方向を示す。
例えば、発光装置の光度(luminous intensity)もしくは輝度(luminance)が最大もし
くは極大となる方向でありうる。
また、発光装置の光度もしくは輝度が最大もしくは極大となる方向を含む有限の範囲を持った方向でありうる。
また、発光装置の放射強度(radiant intensity)あるいは放射輝度(radiance)が最
大もしくは極大となる方向でありうる。
また、発光装置の放射強度あるいは放射輝度が最大もしくは極大となる方向を含む有限の範囲を持った方向でありうる。
以下、具体的に例示する。
発光装置が単体発光ダイオード(LED)、単体パッケージLED,単体LEDモジュール、単体LED電球、蛍光ランプと半導体発光素子の単体複合ランプ、白熱電球と半導体発光素子の単体複合ランプ等である場合には、主たる放射方向は各発光装置の鉛直方向、鉛直方向を含む有限の立体角内、例えば最大でπ(sr)、最小でπ/100(sr)でありうる。
発光装置が前記パッケージLED等にレンズ、反射機構等を付与したLED照明器具、蛍光ランプと半導体発光素子が内在する照明器具であって、いわゆる、直接型照明用途、半直接型照明用途、全般拡散照明用途、直接/間接型照明用途、半間接型照明用途、間接型照明用途に応用可能な配光特性を有する場合には、主たる放射方向は、各発光装置の鉛直方向、鉛直方向を含む有限の立体角内、例えば最大でπ(sr)、最小でπ/100(sr)でありうる。また、発光装置の光度もしくは輝度が最大もしくは極大となる方向でありうる。また、発光装置の光度もしくは輝度が最大もしくは極大となる方向を含む有限の立体角内、例えば最大でπ(sr)、最小でπ/100(sr)でありうる。また、発光装置の放射強度あるいは放射輝度が最大もしくは極大となる方向でありうる。また、発光装置の放射強度あるいは放射輝度が最大もしくは極大となる方向を含む有限の立体角内、例えば最大でπ(sr)、最小でπ/100(sr)でありうる。
発光装置が、前記LED照明器具や蛍光ランプが内在する照明器具を複数搭載した照明システムである場合は、主たる放射方向は、各発光装置の平面的中心の鉛直方向、当該鉛直方向を含む有限の立体角内、例えば最大でπ(sr)、最小でπ/100(sr)でありうる。また、発光装置の光度もしくは輝度が最大もしくは極大となる方向でありうる。
また、発光装置の光度もしくは輝度が最大もしくは極大となる方向を含む有限の立体角内、例えば最大でπ(sr)、最小でπ/100(sr)でありうる。また、発光装置の放射強度あるいは放射輝度が最大もしくは極大となる方向でありうる。また、発光装置の放射強度あるいは放射輝度が最大もしくは極大となる方向を含む有限の立体角内、例えば最大でπ(sr)、最小でπ/100(sr)でありうる。
発光装置から当該主たる放射方向に出射された光の分光分布を計測するためには、計測点における照度が実用上の照度(後述の通り150lx以上5000lx以下)となる距離で計測することが好ましい。
なお、本発明において発光要素は、発光装置の態様であってもよい。すなわち、本発明の発光要素は、上記発光装置として説明したLEDモジュール、LED照明器具、照明システム、その他の機構を付与した照明器具であってもよい。
本発明者は、一般の室内照度環境下にあっても、屋外の高照度環境下で見たように、自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えを実現できるスペクトルあるいは分光分布に共通する放射計測学的特性(radiometric property)、測光学的特性(photometric property)を見出した。さらに、当該スペクトルあるいは分光分布を有する光による照明を仮定した場合の特定の分光反射特性を有する色票の色の見えが、計算用基準光による照明を仮定した場合と比較して、どのように変化する場合(あるいは変化しない場合)に前記目的が実現可能かを、測色学(colorimetry)的観点から見出した。
さらに、例えば、美術品、生鮮食品等のように、光照射による副次的影響が懸念されるものが照明対象物であっても、自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えと、前記副次的影響の抑制を両立させうる発光装置の分光分布を検討し、その全体として本発明に到達した。
具体的な発明到達までの概要は以下の通りであった。
第一ステップとして、制御要素の機能を考慮に入れずに、分光分布設定の自由度が高い、A)半導体発光素子と蛍光体が共に内在するパッケージLED光源、B)蛍光体を含まず、半導体発光素子のみが発光要素として内在するパッケージLED光源を想定し、数学的な基礎検討を行った。
この際に、計算用基準光による照明を仮定した場合と、検討対象とする試験光による照明を仮定した場合とで、特定の分光反射特性を有する色票の色の見えに関する数学的変化を指針としつつ、色相、飽和度(彩度)等が変化する試験光に関して詳細な検討を行った。特に屋外に対して1/10から1/1000程度に照度が下がる通常の屋内環境下でのハント効果を意識し、照明された物体の色の見えの飽和度が変化するような光を中心に数学的に検討した。
なお、第三ステップ、第四ステップの内容は、本発明の第一および第二の実施態様に係る参考実施例、参考比較例であり、第五ステップの内容は、本発明の第一乃至第四の実施
態様に係る実施例、比較例でもある。
第一ステップにおいて、本発明の照明方法において主として検討した発光装置から出射された光が対象物を照明した位置における分光分布、又は、本発明の発光装置から出射される主たる放射方向の光が有する分光分布は、ハント効果を意識して、飽和度が基準の光で照明した場合から変化するものとした。ここで、色の見えやその変化を定量化するために、以下の選択を行った。
一般には、CRIで使用される試験色が選択肢となりうるが、平均演色評価数等を導出する際に使用しているR1からR8の色票は中彩度な色票であって、高彩度な色の飽和度を議論するには適さないと考えた。また、R9からR12は高彩度な色票であるが、全色相角範囲の詳細な議論にはサンプル数が足りない。
Technology)から提案されている新たな演色評価指標のひとつであるCQS(Color Quality Scale)(バージョン7.4及び7.5)で用いる色票と同じである。以下に本発明で用いた15種類の色票を列記する。また冒頭には、便宜上色票に与えた、番号を記載した。なお、本明細書中においては、これら番号をnと代表させる場合があり、たとえばn=3は、「5PB 4/12」の意味である。nは1から15の自然数である。
#01 7.5 P 4 /10
#02 10 PB 4 /10
#03 5 PB 4 /12
#04 7.5 B 5 /10
#05 10 BG 6 / 8
#06 2.5 BG 6 /10
#07 2.5 G 6 /12
#08 7.5 GY 7 /10
#09 2.5 GY 8 /10
#10 5 Y 8.5/12
#11 10 YR 7 /12
#12 5 YR 7 /12
#13 10 R 6 /12
#14 5 R 4 /14
#15 7.5 RP 4 /12
の選択、色順応式の選択も重要である。本発明では、現在CIEによって推奨されている均等色空間であるCIE 1976 L*a*b*(CIELAB)を用いた。さらに、色
順応計算には、CMCCAT2000(Colour Measurement Comittee’s Chromatic Adaptation Transform of 2000)を採用した。
第一ステップにおいて、パッケージLED光源を各種試作するためには、光源の色度点選択も重要である。光源、光源からの光で対象物が照明された位置における分光分布、又は、発光装置から出射された主たる放射方向の光が有する分光分布から、導出される色度は、例えばCIE 1931(x、y)色度図でも定義できるが、より均等な色度図であるCIE 1976(u’、v’)色度図で議論することが好ましい。また、色度図上の位置をCCTとDuvで記述する際には特に(u’、(2/3)v’)色度図(CIE 1960(u、v)色度図と同義)が用いられる。なお、本明細書中で記載するDuvは、ANSI C78.377で定義されている量であって、(u’、(2/3)v’)色度図における黒体放射軌跡に対して最近接となる距離をその絶対値として示している。また、正符号は発光装置の色度点が黒体放射軌跡の上方(v’が大きい側)に位置し、負符号は発光装置の色度点が黒体放射軌跡の下方(v’が小さい側)に位置することを意味する。
同一の色度点にあっても、物体の色の見えは変えることができる。例えば、図1、図2、図3に示した3種類の分光分布(試験光)は、ピーク波長が425−475nmの半導体発光素子を内在させ、これを、緑色蛍光体と赤色蛍光体の励起光源としたパッケージLEDを仮定して、同一の色度(CCTは5500K、Duvは0.0000)において、照明された物体の色の見えが異なるようにした例である。それぞれの分光分布を構成する緑色蛍光体と赤色蛍光体は同一材料を仮定しているが、青色半導体発光素子のピーク波長は、飽和度を変化させるべく、図1は459nm、図2は475nm、図3は425nmとした。それぞれの分光分布での照明と、その分光分布に対応する計算用基準光での照明を仮定すると、当該15色票の予想される色の見えは、図1から図3のCIELAB色空間に示したようになる。ここで、図中点線で結んだ点は計算用基準光での照明を仮定した場合であって、実線はそれぞれの試験光での照明を仮定した場合である。なお、紙面垂直方向は明度であるが、ここでは簡便のためにa*、b*軸のみをプロットした。
このように同一色度点において色の見えは変化させ得ることが理解できる。
現在一般に広がっている理解に従えば、Duvの値を負にすればするほど、色の見えは基準光で照明した場合から離れ、悪化すると予想された。
5色票がどのような色の見えになると予想されるかを、計算用基準光との比較をしつつ、数学的に検討した。
い系として実現したものである。ここに見られるように、Duvを負方向にシフトさせると、Duv=0.0001の試験光の場合と比較して、より広範な色相域において当該15種類の色票の飽和度を変化させ得ることが分かった。また、Duv=0.0001の試験光の場合と比較すると、比較的均等に当該15種類の色票の飽和度を変化させ得ることも分かった。なお、計算用基準光での照明を仮定した場合と、図中の試験光での照明を仮定した場合では、当該15種類の色票の色の見えは、Duvを負方向にシフトさせた場合、青領域を除いて、ほぼすべての色が鮮やかに見えることが予想された。さらにDuvを負にすればするほど、飽和度が上昇する傾向も予想された。図28から図32の分光分布から計算されるRaは、それぞれ89、80、71、61、56であって、現在一般に広がっている理解に従えば、Duvの値を負にすればするほど、色の見えは基準光で照明した場合から離れ、悪化すると予想された。
ここまでの計算検討から、「現在広く信じられている常識に従えば」以下のことが予想された。
(1)Duv=0.0000近傍の色度点を有する試験光で、当該15色票の飽和度を変化させる自由度は低い。具体的には高彩度な当該15色票の大多数の色相の飽和度を一
度に変化させる、あるいは、多数の色相において比較的均等に飽和度を向上させる、低下させるなどのことは困難である。
(2)試験光のDuvを正にすると、当該15色票の飽和度を比較的容易に低下できる。Duv=0.0000の試験光の場合と比較して、より広範な色相域において、かつ、比較的均等に当該15種類の色票の飽和度を低下させ得る。さらにDuvを正にすればするほど、飽和度がより低下する。また、Raがより低下することから、視覚実験等では、Duvを正にすればするほど、実験用基準光や実験用疑似基準光で実際の照明対象物等を照明した場合と、試験光で照明した場合の色の見えは差が大きくなり、また、それは悪化したものとなってしまうと予想された。特に白色は黄色(緑色)かかり、色の見えは全体に不自然に見えると予想された。
(3)Duvを負にすると、当該15色票の飽和度を比較的容易に上昇できる。Duv=0.0000の試験光の場合と比較して、より広範な色相域において、かつ、比較的均等に当該15種類の色票の飽和度を向上させ得る。さらにDuvを負にすればするほど、飽和度がより上昇する。また、Raがより低下することから、Duvを負にすればするほど、実験用基準光や実験用疑似基準光で実際の照明対象物等を照明した場合と、試験光で照明した場合の色の見えは差が大きくなり、また、それは悪化したものとなってしまうと予想された。特に白色は赤色(桃色)かかり、色の見えは全体に不自然に見えると予想された。
色の見えや、分光分布そのものが有する特徴、放射効率などを詳細に議論する準備として、また、色の見えを詳細に議論する準備として、本発明では、以下の定量指標を導入した。
[色の見えに関わる定量指標の導入]
先ず、発光装置が試験光を主たる放射方向に出射する場合における当該試験光(本発明の発光装置に係る)、又は、当該試験光で対象物を照明した場合における対象物の位置で測定した試験光(本発明の照明方法に係る)のCIE 1976 L*a*b*色空間にお
ける当該15種類の色票のa*値、b*値をそれぞれa* nSSL、b* nSSL(ただしnは1から15の自然数)、当該15種類の色票の色相角をそれぞれθnSSL(度)(ただしnは1から15の自然数)とし、上記試験光のCCTに応じて選択される計算用基準の光(5000K未満は黒体放射の光、5000K以上においてはCIE昼光)による照明を数学的に仮定した場合のCIE 1976 L*a*b*色空間における当該15種類
の色票のa*値、b*値をそれぞれa* nref、b* nref(ただしnは1から15の自然数)、当該15種類の色票の色相角をそれぞれθnref(度)(ただしnは1から15の自然数)とし、当該2つの光で照明された場合の当該15種類の修正マンセル色票のそれぞれの色相角差Δhn(度)(ただしnは1から15の自然数)の絶対値を
|Δhn|=|θnSSL−θnref|
と定義した。
ΔCn=√{(a* nSSL)2+(b* nSSL)2}−√{(a* nref)2+(b*
nref)2}
と定義した。また、当該15種類の修正マンセル色票の飽和度差の平均値(以下、SATavと称する場合がある。)である下記式(3)も重要な指標と考えた。
|ΔCmax−ΔCmin|
も重要な指標と考えた。これは試験光と実験用基準光あるいは実験用擬似基準光を用いて視覚実験を行うに当たり、さまざまな物体、あるいは物体の色の見えを全体として評価し、自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見えを実現する手段として、本発明で特別に選択した当該15種類の修正マンセル色票の飽和度差に関わる種々の特性は重要な指標になると考えたからである。
本発明では、分光分布の放射計測学的特性、測光学的特性も議論するために、以下の2つの定量指標を導入した。ひとつは指標Acgであって、もうひとつの指標は放射効率K(lm/W)である。
φSSL(λ)とし、等色関数をx(λ)、y(λ)、z(λ)、計算用基準光と試験光に対応する三刺激値をそれぞれ(Xref、Yref、Zref)、(XSSL、YSSL、ZSSL)とする。ここで、計算用基準光と試験光に関して、kを定数として、以下が成立する。
Yref=k∫φref(λ)・y(λ)dλ
YSSL=k∫φSSL(λ)・y(λ)dλ
ここで、計算用基準光と試験光の分光分布をそれぞれのYで規格化した規格化分光分布を
Sref(λ)=φref(λ)/Yref
SSSL(λ)=φSSL(λ)/YSSL
と定義し、これら規格化基準光分光分布と規格化試験光分光分布の差を
ΔS(λ)=Sref(λ)−SSSL(λ)
とした。さらに、ここで、指標Acgを以下のように定義した。
Λ1=380nm
Λ2=495nm
Λ3=590nm
とした。
度がSSSL(λR)/2となる波長をΛ4とした。もし、そのような波長が780nm
までの範囲内に存在しない場合は、Λ4は780nmとした。
Km:最大視感度(lm/W)
V(λ):分光視感効率
λ:波長(nm)
である。
前述の通り、第二ステップとしては、数学的に検討したスペクトル(試験光)を元に、パッケージLED光源、制御要素を含まない照明器具を試作した。また、計算用基準光に近接した色の見えとなる高Raかつ高Riである光(実験用擬似基準光)用の光源、これが内在した照明器具も試作した。
具体的には、青色半導体発光素子で緑色蛍光体、赤色蛍光体を励起した光源、青色半導体発光素子で黄色蛍光体、赤色蛍光体を励起した光源、紫色半導体発光素子で青色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体を励起した光源を試作し、器具化した。
青色蛍光体としてはBAMまたはSBCAを用いた。緑色蛍光体としては、BSS、β−SiAlON、またはBSONを用いた。黄色蛍光体としてはYAGを用いた。赤色蛍光体としてはCASONまたはSCASNを用いた。
第三ステップとしては、実験用基準光(あるいは実験用擬似基準光)と試験光を切り替えて、多数の観察対象物の色の見えを被験者に評価してもらう比較視覚実験を行った。当該照明システムは暗室中に設置し外乱を排除した。また、観察対象物の位置における照度は、照明システムに搭載した実験用基準光(あるいは実験用擬似基準光)、試験光の器具数を変化させて、ほぼ一致させた。照度は約150lxから約5000lxの範囲で実験を行った。
実際に照明対象物、観察物としたものを以下に例示する。ここでは、紫色、青紫色、青色、青緑色、緑色、黄緑色、黄色、黄赤色、赤色、赤紫色等の全色相に渡る有彩色対象物を準備するように配慮した。さらに、白色物、黒色物などの無彩色の対象物も準備した。色を有する照明対象物を準備した。また、静物、生花、食品、衣料品、印刷物等、多数多種類なものを準備した。また、実験においては被験者(日本人)自身の肌も観察対象とした。なお、以下の物体名称前に一部付記した色名称は、通常の環境下でそのように見えるという意味で、厳密な色の表現ではない。
紫色生花
青紫布製ハンカチ、ブルージーンズ、青緑タオル
緑色パプリカ、レタス、千切りキャベツ、ブロッコリー、緑ライム、緑色りんご
黄色バナナ、黄色パプリカ、黄緑色レモン、黄色ガーベラ、卵焼き
橙色オレンジ、橙色パプリカ、にんじん
赤色トマト、赤色りんご、赤色パプリカ、赤色ウインナー、梅干
ピンク色ネクタイ、ピンクガーベラ、しゃけ塩焼き
小豆色ネクタイ、ベージュ作業着、コロッケ、とんかつ、ごぼう、クッキー、チョコレート、落花生、木製器
被験者(日本人)自身の肌
新聞紙、白背景上の黒文字を含むカラー印刷物(多色ずり)、文庫本、週刊誌
外壁材色見本(三菱樹脂社製 アルポリック 白、青、緑、黄色、赤)
カラーチェッカー(X―rite社製 Color checker classic 18色の有彩色と6種類の無彩色(白1、灰色4、黒1)を含む計24色の色票)
なお、カラーチェッカー中の各色票の名称とマンセル表記は、以下の通りである。
Name Munsell Notation
Dark skin 3.05 YR 3.69/3.20
Light skin 2.2 YR 6.47/4.10
Blue sky 4.3 PB 4.95/5.55
Foliage 6.65 GY 4.19/4.15
Blue flower 9.65 PB 5.47/6.70
Bluish green 2.5 BG 7/6
Orange 5 YR 6/11
Purplish blue 7.5 PB 4/10.7
Moderate red 2.5 R 5/10
Purple 5 P 3/7
Yellow green 5 GY 7.08/9.1
Orange yellow 10 YR 7/10.5
Blue 7.5 PB 2.90/12.75
Green 0.1 G 5.38/9.65
Red 5 R 4/12
Yellow 5 Y 8/11.1
Magenta 2.5 RP 5/12
Cyan 5 B 5/8
White N 9.5/
Neutral 8 N 8/
Neutral 6.5 N 6.5/
Neutral 5 N 5/
Neutral 3.5 N 3.5/
Black N 2/
準備した実験用基準光、実験用擬似基準光、試験光の、主たる放射方向に出射された光を計測し、それぞれをCCT毎に(本発明の発光装置に係る)、又は、準備した実験用基準光、実験用擬似基準光、試験光を、照明対象物の位置で測定したCCT毎に(本発明の照明方法に係る)、6実験用に分類をした。すなわち、以下の通りである。
第四ステップでは、第二ステップで試作した、制御要素を含まないLED光源/器具/システムを用いて、第三ステップで行った比較視覚実験の結果をまとめた。表2は実験Aに対応し、表3は実験Bに対応する結果である。以下同様に、表7は実験Fに対応する結果である。表2〜7において、基準光に対する試験光の総合評価は、同程度の見えを表す「0」を中心に、試験光が若干好ましいとの評価は「1」、試験光が好ましいとの評価は「2」、試験光がより好ましいとの評価は「3」、試験光が非常に好ましいとの評価は「4」、試験光が格段に好ましいとの評価は「5」とした。一方、試験光が若干好ましくないとの評価を「−1」、試験光が好ましくないとの評価を「−2」、試験光がより好ましくないとの評価を「−3」、試験光が非常に好ましくないとの評価を「−4」、試験光が格段に好ましくないとの評価を「−5」とした。
を実測スペクトルから抽出することを試みた。すなわち、Acg、放射効率K(lm/W)、CCT(K)、Duvなどの数値に関して、発光装置から主たる放射方向に出射された光(本発明の発光装置に係る)と、照明対象物の位置(本発明の照明方法に係る)との特徴を抽出した。同時に、計算用基準光で照明した場合を仮定した当該15色票の色の見えと、発光装置から主たる放射方向に出射された光を実測した試験光分光分布(本発明の発光装置に係る)、又は、照明対象物の位置で実測した試験光分光分布(本発明の照明方法に係る)で照明した場合を仮定した当該15色票の色の見えの間の差に関しても、|Δhn|、SATav、ΔCn、|ΔCmax−ΔCmin|を指標としてまとめた。なお、|Δhn|、ΔCnは、nを選択すると値が変化するが、ここでは最大値と最小値を示した。これらの値も表2から表7に合わせて記載した。なお、照明対象物の色の見えに関して、発光装置から出射された主たる放射方向の試験光(本発明の発光装置に係る)、又は、被験者の総合的評価結果が照明対象物の位置における試験光(本発明の照明方法に係る)のDuv値に比較的依存していたので、表2から表7は、Duvの値が低下する順に並べた。
全体としては、本実験によって、Duvが適切な値で負の値をとり、かつ、指標Acg等が適切な範囲にある場合に、又は、|Δhn|、SATav、ΔCn、|ΔCmax−ΔCmin|等が適切な範囲にある場合に、試験光で照明していた実観察物の物体の見え、色の見えは、実験用基準光で照明した場合よりも好ましいと判断された。これはステップ1で「現在広く信じられている常識に照らした結果」に対して予想外であった。
以下実験結果を考察する。なお、表中の試験光及び比較試験光を総称して「試験光」と称する場合がある。
1)試験光のDuvが、実験用基準光(あるいは実験用疑似基準光)よりも正側であった場合
表4、表5、表7には、試験光のDuvが、実験用基準光(あるいは実験用疑似基準光)よりも正側の結果が含まれている。ここから、試験光のDuvが正になればなるほど、照明対象物の色の見えや物体の見えに関し、被験者は好ましくなくなったとの判断をしたことが分かる。具体的には、以下の通りであった。
て見え、違和感がより増大したと被験者は判断した。照明されたカラーチェッカーの灰色部分の見えは、明度差がより視認しにくくなったと被験者は判断した。さらに、照明された印刷物の文字もより見にくくなったと被験者は指摘した。さらに、照明された各種有彩色の色の見えは、実験用基準光(あるいは実験用疑似基準光)で照明した場合と比較して、試験光のDuvが正になればなるほど、より不自然で、くすんで見えたと被験者は判断した。照明された各種外壁材色見本は屋外で見た色の見えと非常に異なって知覚され、自身の肌色も、不自然に、不健康に見えたと被験者は指摘した。また、同種類似色の生花花弁の色差は、実験用基準光で照明した場合と比較して、識別しにくく、輪郭が見にくくなったと被験者は指摘した。
試験光のDuvが正になればなるほど、全体的傾向としてRaが低下することから、これらの結果のいくつかは、ステップ1の数学的な詳細検討から予想可能な範囲であったと言える。
表2から表7のすべてに、試験光のDuvが、実験用基準光(あるいは実験用疑似基準光)よりも負側の結果が含まれている。これらによれば、試験光のDuvが適正範囲で負であって、かつ、表中の各種指標が適正範囲に入っていれば、照明対象物の色の見えや物体の見えに関し、被験者は若干好ましい、好ましい、より好ましい、非常に好ましい、また、格段に好ましいと判断したことが分かる。一方、試験光のDuvが同様の範囲で負であっても、表中の各種指標が適正範囲になかった場合においては、表5に示されるように、試験光による色の見えや物体の見えが好ましくないと判断されたことも分かる。
さらに、カラーチェッカーの灰色部分は、試験光のDuvが適正範囲で負で、かつ、表中の各種指標が適正範囲内の場合では、実験用基準光(あるいは実験用疑似基準光)で照明した場合と比較して、それぞれの明度差が、若干増したように見えた、増したように見えた、より増したように見えた、非常に増したように見えた、格段に増したように見えたと被験者は判断した。また、被験者は、最適範囲に近接するにつれ、より自然でより視認性の高い見えになっていったことを指摘した。これは全く予想外の結果であった。
範囲に近接するにつれ、より自然でより視認性の高い見えになっていったことを指摘した。これは全く予想外の結果であった。
さらに、印刷物の文字は、試験光のDuvが適正範囲で負で、かつ、表中の各種指標が適正範囲内の場合では、実験用基準光(あるいは実験用疑似基準光)で照明した場合と比較して、若干見やすくなった、見やすくなった、より見やすくなった、非常に見やすくなった、格段に見やすくなったと被験者は判断した。また、被験者は、最適範囲に近接するにつれ、より自然でより視認性の高い文字の見えになっていったことを指摘した。これは全く予想外の結果であった。
さらに、各種外壁材色見本の色の見えは、試験光のDuvが適正範囲で負で、かつ、表中の各種指標が適正範囲内の場合では、実験用基準光(あるいは実験用疑似基準光)で照明した場合と比較して、屋外で見た際の記憶と、若干近接していた、近接していた、より近接していた、非常に近接していた、また、格段に近接していたと被験者は判断した。また、被験者は、最適範囲に近接するにつれ、より自然で、屋外で見た際の記憶と近接した好ましい色の見えになっていったことを指摘した。これは全く予想外の結果であった。
さらに、同種類似色の生花花弁の色差は、試験光のDuvが適正範囲で負で、かつ、表中の各種指標が適正範囲内の場合では、実験用基準光(あるいは実験用疑似基準光)で照明した場合と比較して、若干識別しやすかった、識別しやすかった、より識別しやすかった、非常に識別しやすかった、また、格段に識別しやすかったと被験者は判断した。また、被験者は、Duvが実験した範囲内で適正上限よりも負になればなるほど、より識別しやすかったことを指摘した。これは全く予想外の結果であった。
新たに見出したものと言える。
また、本発明におけるDuvは、−0.0350以上であって、若干好ましくは−0.0340以上であって、好ましくは、−0.0290以上であって、より好ましくは−0.0250以上であって、非常に好ましくは−0.0230以上であって、格段に好ましくは−0.0200以上であった。
また、本発明の第一の実施態様に係る発光装置から主たる放射方向に出射される光の分光分布から導出されるAcgは−360以上であって、若干好ましくは−330以上であって、好ましくは−260以上であって、非常に好ましくは−181以上であって、格段に好ましくは−178以上であった。
なお、視覚実験で実試験光を用いた検討がなされ、当該検討中の好ましい実験結果の内側にあるAcgの好ましい範囲は、−322以上、−12以下であった。
本発明の第一の実施態様に係る発光装置による分光分布が有する放射効率は、好適には180(lm/W)から320(lm/W)の範囲であって、通常の白熱電球等の値である150(lm/W)よりも最低でも20%以上高かった。これは半導体発光素子からの放射や蛍光体からの放射が内在しており、かつ、V(λ)との関係において、分光分布の
適切な位置に適切な凹凸があったためであると考えられる。色の見えとの両立との観点では、本発明の第一の実施態様に係る発光装置から主たる放射方向に出射される光が有する分光分布から求められる放射効率は、以下の範囲が好ましかった。
なお、視覚実験で実試験光を用いた検討がなされ、当該検討中の好ましい実験結果の内側にあるKの好ましい範囲は、206(lm/W)以上、288(lm/W)以下であった。
さらに図37と図38は、表5の中で、総合判断として「格段に好ましい」と判断された試験光15の結果を上記と同様にまとめたもので、図39と図40は、表6中で、総合判断として「格段に好ましい」と判断された試験光19の結果を上記と同様にまとめたものである。
えが好ましくないと判断されている。これは、指標Acgの特性が適正でなかったと考えられる。図41、図42は比較試験光14について、図35、図36等と同様に規格化分光分布と15色票の色の見えに関するCIELABプロットを行った結果である。この図からも明らかなように、当該15色票に対して基準光での照明を仮定した場合と、試験光での照明を仮定した場合とを比較すると、当該15色票のいくつかの色相において、色相角差がおおきく、また、15色票の飽和度が非常に不均等に変化していることが分かる。
本発明の第一の実施態様に係る発光装置におけるDuvは、前述の通り、−0.0040以下であって、若干好ましくは−0.0042以下であって、好ましくは、−0.0070以下であって、より好ましくは−0.0100以下であって、非常に好ましくは−0.0120以下であって、格段に好ましくは−0.0160以下であった。
また、本発明の第一の実施態様に係る発光装置におけるDuvは、−0.0350以上であって、若干好ましくは−0.0340以上であって、好ましくは、−0.0290以上であって、より好ましくは−0.0250以上であって、非常に好ましくは−0.0230以上であって、格段に好ましくは−0.0200以上であった。
なお、本発明の第一の実施態様に係る発光装置における|Δhn|は0以上が好適であり、視覚実験時の最小値は0.0029であった。さらに、視覚実験で実試験光を用いた検討がなされ、当該検討中の好ましい実験結果の内側にある|Δhn|の好ましい範囲は、8.3以下、0.003以上であった。
また、7.0以下であることが好適であり、好ましくは6.4以下であって、非常に好ましくは、5.1以下であって、格段に好ましくは4.7以下であった。
なお、視覚実験で実試験光を用いた検討がなされ、当該検討中の好ましい実験結果の内側にある上記指標の好ましい範囲は、1.2以上、6.3以下であった。
また、本発明の第一の実施態様に係る発光装置におけるΔCnは、18.6以下であることが好適であり、非常に好ましくは17.0以下であって、格段に好適には15.0以下であった。
なお、視覚実験で実試験光を用いた検討がなされ、当該検討中の好ましい実験結果の内側にあるΔCnの好ましい範囲は、−3.4以上、16.8以下であった。
また、本発明の第一の実施態様に係る発光装置における|ΔCmax−ΔCmin|は
2.8以上であることが好適であり、視覚実験時の最小値は3.16であった。さらに、視覚実験で実試験光を用いた検討がなされ、当該検討中の好ましい実験結果の内側にある|ΔCmax−ΔCmin|の好ましい範囲は、3.2以上、17.8以下であった。
なお、視覚実験で実試験光を用いた検討がなされ、当該検討中の好ましい実験結果の内側にあるCCTの好ましい範囲は、2550(K)以上、5650(K)以下であった。
本発明の第二の実施態様に係る発光装置の製造方法、及び第三の実施態様に係る発光装置の設計方法に係る上記各パラメータについても、上記第一の実施態様に係る発光装置と同様である。
験光5で照明した場合(実線)と、計算用基準光(黒体放射の光)で照明した場合(点線)を仮定した、当該15色票の色の見えに関するCIELABプロットである。なお、紙面垂直方向は明度であるが、ここでは簡便のためにa*、b*軸のみをプロットした。
さらに図37と図38は、表5の中で、総合判断として「格段に好ましい」と判断された試験光15の結果を上記と同様にまとめたもので、図39と図40は、表6中で、総合判断として「格段に好ましい」と判断された試験光19の結果を上記と同様にまとめたものである。
本発明の第四の実施態様に係る照明方法におけるDuvは、−0.0040以下であって、若干好ましくは−0.0042以下であって、好ましくは、−0.0070以下であって、より好ましくは−0.0100以下であって、非常に好ましくは−0.0120以下であって、格段に好ましくは−0.0160以下であった。
また、本発明の第四の実施態様に係る照明方法におけるDuvは、−0.0350以上であって、若干好ましくは−0.0340以上であって、好ましくは、−0.0290以上であって、より好ましくは−0.0250以上であって、非常に好ましくは−0.0230以上であって、格段に好ましくは−0.0200以上であった。
なお、本発明の第四の実施態様に係る照明方法における|Δhn|は0以上で、視覚実験時の最小値は0.0029であった。さらに、視覚実験で実試験光を用いた検討がなされ、当該検討中の好ましい実験結果の内側にある|Δhn|の好ましい範囲は、8.3以下、0.003以上であった。
また、7.0以下であって、好ましくは6.4以下であって、非常に好ましくは、5.1以下であって、格段に好ましくは4.7以下であった。
なお、視覚実験で実試験光を用いた検討がなされ、当該検討中の好ましい実験結果の内側にある上記指標の好ましい範囲は、1.2以上、6.3以下であった。
また、本発明の第四の実施態様に係る照明方法におけるΔCnは、18.6以下であって、非常に好ましくは17.0以下であって、格段に好ましくは15.0以下であった。さらに、視覚実験で実試験光を用いた検討がなされ、当該検討中の好ましい実験結果の内側にあるΔCnの好ましい範囲は、−3.4以上、16.8以下であった。
また、本発明の第四の実施態様に係る照明方法における|ΔCmax−ΔCmin|は2.8以上で、視覚実験時の最小値は3.16であった。さらに、視覚実験で実試験光を用いた検討がなされ、当該検討中の好ましい実験結果の内側にある|ΔCmax−ΔCmin|の好ましい範囲は、3.2以上、17.8以下であった。
また、本発明におけるDuvは、−0.0350以上であって、若干好ましくは−0.0340以上であって、好ましくは、−0.0290以上であって、より好ましくは−0.0250以上であって、非常に好ましくは−0.0230以上であって、格段に好ましくは−0.0200以上であった。
表2から表7の結果より、本発明の第四の実施態様に係る照明方法の好適な分光分布はAcgが−10以下であって−360以上であった。正確な定義は前述の通りであるが、この物理的なおおよその意味、見通しの良い解釈は、以下の通りである。Acgが適切な範囲で負の値を取るとの意味は、規格化試験光分光分布に適切な凹凸があり、380nmから495nm間の短波長領域では、数学的な規格化基準光分光分布よりも規格化試験光分光分布の放射束強度が強い傾向にあり、および/または、495nmから590nmの中間波長領域では、数学的な規格化基準光分光分布よりも規格化試験光分光分布の放射束強度が弱い傾向にあり、および/または、590nmからΛ4までの長波長領域では、数学的な規格化基準光分光分布よりも規格化試験光分光分布の放射束強度が強い傾向にあることを意味している。Acgは短波長領域、中間波長領域、長波長領域におけるそれぞれの要素の総和なので、各個別の要素は、必ずしも上記傾向でない場合もあり得る。そのうえで、Acgが定量的に−10以下−360以上の場合に、良好な色の見え、良好な物体の見えとなったと理解できる。
また、本発明の第四の実施態様に係る照明方法においては、Acgは好適には−360以上であって、若干好ましくは−330以上であって、好ましくは−260以上であって、非常に好ましくは−181以上であって、格段に好ましくは−178以上であった。
なお、視覚実験で実試験光を用いた検討がなされ、当該検討中の好ましい実験結果の内側にあるAcgの好ましい範囲は、−322以上、−12以下であった。
本発明の第四の実施態様に係る照明方法による分光分布が有する放射効率は、好適には180(lm/W)から320(lm/W)の範囲であって、通常の白熱電球等の値である150(lm/W)よりも最低でも20%以上高かった。これは半導体発光素子からの放射や蛍光体からの放射が内在しており、かつ、V(λ)との関係において、分光分布の適切な位置に適切な凹凸があったためであると考えられる。色の見えとの両立との観点では、本発明の照明方法の放射効率は、以下の範囲が好ましかった。
なお、視覚実験で実試験光を用いた検討がなされ、当該検討中の好ましい実験結果の内側にあるKの好ましい範囲は、206(lm/W)以上、288(lm/W)以下であった。
なお、視覚実験で実試験光を用いた検討がなされ、当該検討中の好ましい実験結果の内側にあるCCTの好ましい範囲は、2550(K)以上、5650(K)以下であった。
第五ステップでは、第二ステップで試作した、制御要素を含まないLED光源/器具/システムに制御要素を導入して、制御要素を含む発光装置が放射する光の分光分布の放射計測学的特性、測光学的特性を実測スペクトルから抽出することを試みた。すなわち、発光要素及び発光装置から主たる放射方向に出射された光の指標Acg、放射効率K(lm/W)、CCT(K)、Duvなどの数値の特徴を抽出した。同時に、計算用基準光で照明した場合を仮定した当該15色票の色の見えと、実測した試験光分光分布で照明した場
合を仮定した当該15色票の色の見えの間の差に関しても、|Δhn|、SATav、ΔCn、|ΔCmax−ΔCmin|を指標としてまとめた。なお、|Δhn|、ΔCnは、nを選択すると値が変化するが、ここでは最大値と最小値を示した。これらの値も表8、表9に合わせて記載した。なお、第五ステップにおける検討は、本発明に係る実施例、比較例をも表すものである。
以下、本発明に係る実験について説明する。
先ず、図45に示された分光透過特性を有する光学フィルターを準備した。また、発光要素として紫LED、SBCA蛍光体、β−SiAlON蛍光体、CASON蛍光体を有するパッケージLEDを準備し、これらを6個、LEDボードに搭載し、LEDモジュールを作製した。この際に、当該LEDモジュールから軸上に放射された光の最大分光放射束で規格化した分光分布を図46中に点線で示した。また、図47には同分光分布と、#01から#15の15種類の修正マンセル色票を照明対象物とした場合を数学的に仮定し、当該LEDモジュールで照明した場合と、当該LEDモジュールの相関色温度から導出される基準の光で照明した場合のa*値、b*値をそれぞれ示したCIELABプロットも示した。さらに、この時の測光学的特性、測色学的特性を、表8中の参考実施例1にまとめた。ここで、当該参考実施例1に係るLEDモジュールから軸上に出射された光は、各値から明らかな様に、良好な色の見えを実現していた。
次に、当該LEDモジュールを用いて実施例1に係るLED照明器具を作製した。この際に、図45に示した分光透過特性を有する光学フィルターを光の出射方向に搭載した。図46中の実線は、前記LEDモジュールから軸上に放射された光の最大分光放射束で規格化した、実施例1に係るLED照明器具の分光分布である。ここでは、実施例1に係るLED照明器具の分光分布には、前記光学フィルターの特性によって、凹凸が付加されていることが分かる。また、図47には同分光分布と、#01から#15の15種類の修正マンセル色票を照明対象物とした場合を数学的に仮定し、当該実施例1に係るLED照明器具で照明した場合と、当該LED照明器具の相関色温度から導出される基準の光で照明した場合のa*値、b*値をそれぞれ示したCIELABプロットも示した。さらに、この時の測光学的特性、測色学的特性は、表8中の実施例1にまとめた。
当該実施例1に係る照明器具のDuv(φSSL)は−0.02063であって、当該参考実施例1に係るLEDモジュールのDuv(Φelm)である−0.02110から0.00047増加した。当該実施例1に係る照明器具のAcg(φSSL)は−267.09であって、当該参考実施例1に係るLEDモジュールのAcg(Φelm)である−246.70から20.39低減した。また、当該実施例1に係る照明器具のSATav(φSSL)は5.06であって、当該参考実施例1に係るLEDモジュールのSATav(Φelm)である4.14から0.92増加し、同一照度で観測した際に、より鮮やかで、より良好な色の見えとなった。
先ず、図48に示された分光透過特性を有する光学フィルターを準備する。また、発光要素として4種類の中心波長を有する半導体発光素子を準備し、これら4個を1つのパッケージ中に搭載し、パッケージLEDを作製する。さらにこれらパッケージLEDを12個LEDボードに搭載し、LEDモジュールを作製する。この際に、当該LEDモジュールから軸上に放射された光の最大分光放射束で規格化した分光分布は図49中に点線で示したようになる。また、図50には同分光分布と、#01から#15の15種類の修正マンセル色票を照明対象物とした場合を数学的に仮定し、当該LEDモジュールで照明した
場合と、当該LEDモジュールの相関色温度から導出される基準の光で照明した場合のa*値、b*値をそれぞれ示したCIELABプロットも示す。さらに、この時の測光学的特性、測色学的特性を、表8中の参考比較例1にまとめた。ここで、当該参考比較例1に係るLEDモジュールから軸上に出射された光は、各値から明らかな様に、良好な色の見えを実現できていない。
次に、当該LEDモジュールを用いて実施例2に係るLED照明器具を作製する。この際に、図48に示した光学フィルターを光の出射方向に搭載する。図49中の実線は、前記LEDモジュールから軸上に放射された光の最大分光放射束で規格化した、実施例2に係るLED照明器具の分光分布である。ここでは、実施例2に係るLED照明器具の分光分布中には、前記光学フィルターの特性によって、LED発光に由来する放射束の相対強度が変化し、かつ、凹凸が付加されることが分かる。また、図50には同分光分布と、#01から#15の15種類の修正マンセル色票を照明対象物とした場合を数学的に仮定し、当該実施例2に係るLED照明器具で照明した場合と、当該LED照明器具の相関色温度から導出される基準の光で照明した場合のa*値、b*値をそれぞれ示したCIELABプロットも示す。さらに、この時の測光学的特性、測色学的特性は、表8中の実施例2にまとめる。
当該実施例2に係る照明器具のDuv(φSSL)は−0.00424であって、当該参考比較例1に係るLEDモジュールのDuv(Φelm)である0.00029から0.00453低減した。当該実施例2に係る照明器具のAcg(φSSL)は−81.41であって、当該参考比較例1に係るLEDモジュールのAcg(Φelm)である−6.75から74.66低減した。また、当該照明器具のSATav(φSSL)は5.28であって、当該参考比較例1に係るLEDモジュールのSATav(Φelm)である1.59から3.69増加する。
これらの結果、良好な色の見えを実現できていない半導体発光素子、パッケージLED、LEDモジュールを用いた照明器具であっても、制御要素の光学特性によって、良好な色の見えを実現可能なLED照明器具が実現可能となる。
発光要素として青色LED、緑色蛍光体、赤色蛍光体を有するパッケージLEDを準備した以外は、実施例1と同様にして参考比較例2に係るLEDモジュール、及び比較例1に係るLED照明装置を作製する。
この際に、当該LEDモジュールから軸上に放射された光の最大分光放射束で規格化した分光分布は図51中に点線で示したようになる。また、図52には同分光分布と、#01から#15の15種類の修正マンセル色票を照明対象物とした場合を数学的に仮定し、当該LEDモジュールで照明した場合と、当該LEDモジュールの相関色温度から導出される基準の光で照明した場合のa*値、b*値をそれぞれ示したCIELABプロットも示す。さらに、この時の測光学的特性、測色学的特性を、表8中の参考比較例2にまとめた。ここで、当該参考比較例2に係るLEDモジュールから軸上に出射された光は、各値から明らかな様に、良好な色の見えを実現できていない。
一方、実施例1と同様の、図45に示した光学フィルターを搭載して作成した比較例1に係るLED照明器具の特性は、以下になる。図51中の実線は、前記LEDモジュールから軸上に放射された光の最大分光放射束で規格化した、比較例1に係るLED照明器具の分光分布である。ここでは、比較例1に係るLED照明器具の分光分布中には、前記光学フィルターの特性によって、凹凸が付加されることが分かる。また、図52には同分光分布と、#01から#15の15種類の修正マンセル色票を照明対象物とした場合を数学的に仮定し、当該比較例1に係るLED照明器具で照明した場合と、当該LED照明器具の相関色温度から導出される基準の光で照明した場合のa*値、b*値をそれぞれ示したCIELABプロットも示す。さらに、この時の測光学的特性、測色学的特性は、表8中の比較例1にまとめる。
当該比較例1に係る照明器具のDuv(φSSL)は0.00716であって、当該参
考比較例2に係るLEDモジュールのDuv(Φelm)である0.00819から0.00103低減した。当該比較例1に係る照明器具のAcg(φSSL)は120.86であって、当該参考比較例2に係るLEDモジュールのAcg(Φelm)である156.15から35.29低減した。また、当該比較例1に係る照明器具のSATav(φSSL)は−2.44であって、当該参考比較例2に係るLEDモジュールのSATav(Φelm)である−3.33から0.89増加する。
これらの結果、特定の発光要素と組み合わせた場合に良好な色の見えを実現可能な制御要素であっても、他の半導体発光素子、パッケージLED、LEDモジュールを用いた照明器具に組み合わせた場合に、良好な色の見えを実現できない場合もあることが分かる。
先ず、図45に示された分光透過特性を有する光学フィルターを準備した。また、発光要素として青LED、CSO蛍光体、CASN蛍光体を有するパッケージLEDを準備し、これらを18個、LEDボードに搭載し、LEDモジュールを作製した。この際に、当該LEDモジュールから軸上に放射された光の最大分光放射束で規格化した分光分布を図
53中に点線で示した。また、図54には同分光分布と、#01から#15の15種類の修正マンセル色票を照明対象物とした場合を数学的に仮定し、当該LEDモジュールで照明した場合と、当該LEDモジュールの相関色温度から導出される基準の光で照明した場合のa*値、b*値をそれぞれ示したCIELABプロットも示した。さらに、この時の測光学的特性、測色学的特性を、表9中の参考実施例2にまとめた。ここで、当該参考実施例2に係るLEDモジュールから軸上に出射された光は、各値から明らかな様に、良好な色の見えを実現していた。
LED照明器具の分光分布には、前記光学フィルターの特性によって、凹凸が付加されていることが分かる。また、図54には同分光分布と、#01から#15の15種類の修正マンセル色票を照明対象物とした場合を数学的に仮定し、当該実施例1に係るLED照明器具で照明した場合と、当該LED照明器具の相関色温度から導出される基準の光で照明した場合のa*値、b*値をそれぞれ示したCIELABプロットも示した。さらに、この時の測光学的特性、測色学的特性は、表9中の実施例3にまとめた。
当該実施例3に係る照明器具のDuv(φSSL)は−0.01160であって、当該参考実施例2に係るLEDモジュールのDuv(Φelm)である−0.01115から0.00045増加した。当該実施例3に係る照明器具のAcg(φSSL)は−120.97であって、当該参考実施例2に係るLEDモジュールのAcg(Φelm)である−24.30から96.67低減した。また、当該実施例1に係る照明器具のSATav(φSSL)は4.13であって、当該参考実施例1に係るLEDモジュールのSATav(Φelm)である3.08から1.05増加し、同一照度で観測した際に、より鮮やかで、より良好な色の見えとなった。
先ず、図48に示された分光透過特性を有する光学フィルターを準備した。また、発光要素として青LED、LuAG蛍光体、CASN蛍光体を有するパッケージLEDを作製した。さらにこれらパッケージLEDを18個LEDボードに搭載し、LEDモジュールを作製した。この際に、当該LEDモジュールから軸上に放射された光の最大分光放射束で規格化した分光分布は図55中に点線で示したようになる。また、図56には同分光分布と、#01から#15の15種類の修正マンセル色票を照明対象物とした場合を数学的に仮定し、当該LEDモジュールで照明した場合と、当該LEDモジュールの相関色温度から導出される基準の光で照明した場合のa*値、b*値をそれぞれ示したCIELABプロットも示す。さらに、この時の測光学的特性、測色学的特性を、表9中の参考比較例3にまとめた。ここで、当該参考比較例3に係るLEDモジュールから軸上に出射された光は、各値から明らかな様に、良好な色の見えを実現できていない。
次に、当該LEDモジュールを用いて実施例4に係るLED照明器具を作製する。この際に、図48に示した光学フィルターを光の出射方向に搭載する。図55中の実線は、前記LEDモジュールから軸上に放射された光の最大分光放射束で規格化した、実施例4に係るLED照明器具の分光分布である。ここでは、実施例4に係るLED照明器具の分光分布中には、前記光学フィルターの特性によって、LED発光に由来する放射束の相対強度が変化し、かつ、凹凸が付加されることが分かる。また、図56には同分光分布と、#01から#15の15種類の修正マンセル色票を照明対象物とした場合を数学的に仮定し、当該実施例2に係るLED照明器具で照明した場合と、当該LED照明器具の相関色温度から導出される基準の光で照明した場合のa*値、b*値をそれぞれ示したCIELABプロットも示す。さらに、この時の測光学的特性、測色学的特性は、表9中の実施例4にまとめる。
当該実施例4に係る照明器具のDuv(φSSL)は−0.00593であって、当該参考比較例3に係るLEDモジュールのDuv(Φelm)である−0.00129から0.00464低減した。当該実施例4に係る照明器具のAcg(φSSL)は−19.95であって、当該参考比較例3に係るLEDモジュールのAcg(Φelm)である141.23から161.18低減した。また、当該照明器具のSATav(φSSL)は3.45であって、当該参考比較例3に係るLEDモジュールのSATav(Φelm)である0.51から2.94増加する。
これらの結果、良好な色の見えを実現できていない半導体発光素子、パッケージLED、LEDモジュールを用いた照明器具であっても、制御要素の光学特性によって、良好な色の見えを実現可能なLED照明器具が実現可能となる。
以上の実験結果から、以下に示す発明事項を導き出すことができる。
第一に、参考比較例1及び実施例2の結果、また、参考比較例3及び実施例4の結果を考察することにより、良好な色の見えを実現できていない参考比較例1、参考比較例3に係る発光装置(本発明においては発光要素として把握される)に対し、適切な制御要素を配置することで、良好な色の見えを実現できる実施例2、実施例4に係る発光装置をそれぞれ実現することができる。
つまりは、半導体発光素子が内在する発光要素と制御要素とを有する発光装置であって、波長をλ(nm)とし、当該発光要素から主たる放射方向に出射される光の分光分布をΦelm(λ)、当該発光装置から主たる放射方向に出射される光の分光分布をφSSL(λ)とし、Φelm(λ)は下記条件1と条件2の少なくともいずれか一方を満たさず、φSSL(λ)は下記条件1と条件2をともに満たす場合、良好な色の見えを実現できていない発光装置(発光要素)が、制御要素により、良好な色の見えを実現できる発光装置となる。
特に、既に市中に頒布されている、良好な色の見えを実現できていないLED照明装置に対し、特定の制御要素を配置することで、本実施態様に係る良好な色の見えを実現できる発光装置とすることが可能となる。
条件1:
対象となる光の分光分布におけるANSI C78.377で定義される黒体放射軌跡からの距離Duvが、−0.0350 ≦ Duv ≦ −0.0040となる光を含む。
条件2:
対象となる光の分光分布をφ(λ)、対象となる光の分光分布の相関色温度T(K)に応じて選択される基準の光の分光分布をφref(λ)、対象となる光の分光分布の三刺激値を(X、Y、Z)、前記T(K)に応じて選択される基準の光の三刺激値を(Xref、Yref、Zref)とし、
対象となる光の規格化分光分布S(λ)と、基準の光の規格化分光分布Sref(λ)と、これら規格化分光分布の差ΔS(λ)をそれぞれ、
S(λ)=φ(λ)/Y
Sref(λ)=φref(λ)/Yref
ΔS(λ)=Sref(λ)−S(λ)
と定義し、
波長380nm以上780nm以内の範囲で、S(λ)の最長波長極大値を与える波長をλR(nm)とした際に、
λRよりも長波長側にS(λR)/2となる波長Λ4が存在する場合においては下記数式(1)で表される指標Acgが−360 ≦ Acg ≦ −10を満たし、一方、
λRよりも長波長側にS(λR)/2となる波長Λ4が存在しない場合においては下記数式(2)で表される指標Acgが、−360 ≦ Acg ≦ −10を満たす。
対象となる光の分光分布による照明を数学的に仮定した場合の#01から#15の下記15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L*a*b*色空間におけるa*値、b*
値をそれぞれa* n、b* n(ただしnは1から15の自然数)とし、
当該放射方向に出射される光の相関色温度T(K)に応じて選択される基準の光での照明を数学的に仮定した場合の当該15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L*
a*b*色空間におけるa*値、b*値をそれぞれa* nref、b* nref(ただしnは1から15の自然数)とした場合に、飽和度差ΔCnが
−3.8 ≦ ΔCn ≦ 18.6 (nは1から15の自然数)
を満たし、上記式(3)で表される飽和度差の平均SATavが下記式(4)を満たし、
1.0 ≦ SATav ≦ 7.0 (4)
かつ飽和度差の最大値をΔCmax、飽和度差の最小値をΔCminとした場合に、飽和度差の最大値と、飽和度差の最小値との間の差|ΔCmax−ΔCmin|が
2.8 ≦ |ΔCmax−ΔCmin| ≦ 19.6
を満たす。
ただし、ΔCn=√{(a* n)2+(b* n)2}−√{(a* nref)2+(b* nr
ef)2}とする。
15種類の修正マンセル色票
#01 7.5 P 4 /10
#02 10 PB 4 /10
#03 5 PB 4 /12
#04 7.5 B 5 /10
#05 10 BG 6 / 8
#06 2.5 BG 6 /10
#07 2.5 G 6 /12
#08 7.5 GY 7 /10
#09 2.5 GY 8 /10
#10 5 Y 8.5/12
#11 10 YR 7 /12
#12 5 YR 7 /12
#13 10 R 6 /12
#14 5 R 4 /14
#15 7.5 RP 4 /12
条件4:
対象となる光の分光分布による照明を数学的に仮定した場合の上記15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L*a*b*色空間における色相角をθn(度)(ただしn
は1から15の自然数)とし、
当該放射方向に出射される光の相関色温度T(K)に応じて選択される基準の光での照明を数学的に仮定した場合の当該15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L*
a*b*色空間における色相角をθnref(度)(ただしnは1から15の自然数)とした場合に、色相角差の絶対値|Δhn|が
0 ≦ |Δhn| ≦ 9.0(度)(nは1から15の自然数)
を満たす。
ただし、Δhn=θn−θnrefとする。
考察することにより、良好な色の見えを実現できる参考実施例1、参考実施例2に係る発光装置(発光要素として把握される)に対し、適切な制御要素を配置することで、更に良好な色の見えを実現できる実施例1、実施例3に係る発光装置を、それぞれ実現することができる。
つまりは、半導体発光素子が内在する発光要素と制御要素とを有する発光装置であって、波長をλ(nm)とし、当該発光要素から主たる放射方向に出射される光の分光分布をΦelm(λ)、当該発光装置から主たる放射方向に出射される光の分光分布をφSSL(λ)とし、Φelm(λ)は上記条件1と条件2をともに満たし、φSSL(λ)は上記条件1と条件2をともに満たす場合、良好な色の見えを実現できる発光装置(発光要素)が、制御要素により、更に良好な色の見えを実現できる発光装置となる。
特に、照明用途に利用した際に色の見えに優れる半導体発光装置においても、利用者の嗜好に応じて、さらに色の見えを調整することが可能となる。
また、Φelm(λ)は上記条件3と条件4をともに満たし、φSSL(λ)は上記条件3と条件4をともに満たす態様が好ましい。
すなわち、半導体発光素子が内在する発光要素と制御要素とを有する発光装置の製造方法であって、発光要素を有する第一の発光装置を準備する工程、及び第一の発光装置から主たる放射方向に出射される光の少なくとも一部が通過するように制御要素を配置し、第二の発光装置を製造する工程、を含み、波長をλ(nm)とし、当該第一の発光装置から主たる放射方向に出射される光の分光分布をΦelm(λ)、当該第二の発光装置から主たる放射方向に出射される光の分光分布をφSSL(λ)とし、Φelm(λ)は上記条件1と条件2の少なくともいずれか一方を満たさず、φSSL(λ)は上記条件1と条件2をともに満たすことを特徴とする発光装置の製造方法である。
特に、既に市中に頒布された、良好な色の見えを実現できていないLED照明装置に対して、特定の制御要素を配置する工程を実施し、本実施態様に係る良好な色の見えを実現できる発光装置を製造することは、本発明の技術的範囲に属するものである。
すなわち、半導体発光素子が内在する発光要素と制御要素とを有する発光装置の設計方法であって、波長をλ(nm)とし、当該発光要素から主たる放射方向に出射される光の分光分布をΦelm(λ)、当該発光装置から主たる放射方向に出射される光の分光分布をφSSL(λ)とし、Φelm(λ)は上記条件1と条件2の少なくともいずれか一方を満たさず、φSSL(λ)は上記条件1と条件2をともに満たすように設計することを特徴とする発光装置の設計方法である。
SSL(λ)とし、Φelm(λ)は上記条件1と条件2をともに満たし、φSSL(λ)も上記条件1と条件2をともに満たすように設計することを特徴とする発光装置の設計方法である。
すなわち、照明対象物を準備する照明対象物準備工程、および、発光要素である半導体発光素子と制御要素を含む発光装置から出射される光により対象物を照明する照明工程、を含む照明方法であって、前記照明工程において、前記発光要素から出射される光が対象物を照明した際に、前記対象物の位置で測定した光が、少なくとも以下の<1>、<2>及び<3>のいずれか1つを満たさず、前記発光装置から出射される光が対象物を照明した際に、前記対象物の位置で測定した光が以下の<1>、<2>及び<3>をすべて満たすように照明することを特徴とする照明方法である。
このような<1>、<2>及び<3>は、既に述べた第一ステップから第四ステップにより導き出される条件である。
<2>前記対象物の位置で測定した対象となる光による照明を数学的に仮定した場合の#01から#15の下記15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L*a*b*色空
間におけるa*値、b*値をそれぞれa* n、b* n(ただしnは1から15の自然数)とし、
前記対象物の位置で測定した対象となる光の相関色温度T(K)に応じて選択される基準の光による照明を数学的に仮定した場合の当該15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L*a*b*色空間におけるa*値、b*値をそれぞれa* nref、b* nref
(ただしnは1から15の自然数)とした場合に、飽和度差ΔCnが
−3.8 ≦ ΔCn ≦ 18.6 (nは1から15の自然数)
を満たし、
上記式(3)で表される飽和度差の平均SATavが下記式(4)を満たし、
1.0 ≦ SATav ≦ 7.0 (4)
かつ、飽和度差の最大値をΔCmax、飽和度差の最小値をΔCminとした場合に、飽和度差の最大値と、飽和度差の最小値との間の差|ΔCmax−ΔCmin|が
2.8 ≦ |ΔCmax−ΔCmin| ≦ 19.6
を満たす。
ただし、ΔCn=√{(a* n)2+(b* n)2}−√{(a* nref)2+(b* nr
ef)2}とする。
15種類の修正マンセル色票
#01 7.5 P 4 /10
#02 10 PB 4 /10
#03 5 PB 4 /12
#04 7.5 B 5 /10
#05 10 BG 6 / 8
#06 2.5 BG 6 /10
#07 2.5 G 6 /12
#08 7.5 GY 7 /10
#09 2.5 GY 8 /10
#10 5 Y 8.5/12
#11 10 YR 7 /12
#12 5 YR 7 /12
#13 10 R 6 /12
#14 5 R 4 /14
#15 7.5 RP 4 /12
<3>前記対象物の位置で測定した対象となる光による照明を数学的に仮定した場合の上記15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L*a*b*色空間における色相角を
θn(度)(ただしnは1から15の自然数)とし、
前記対象物の位置で測定した対象となる光の相関色温度T(K)に応じて選択される基準の光による照明を数学的に仮定した場合の当該15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L*a*b*色空間における色相角をθnref(度)(ただしnは1から15
の自然数)とした場合に、色相角差の絶対値|Δhn|が
0 ≦ |Δhn| ≦ 9.0(度)(nは1から15の自然数)
を満たす。
ただし、Δhn=θn−θnrefとする。
<4>前記対象物の位置で測定した対象となる光の分光分布をφ(λ)、前記対象物の位置で測定した対象となる光のT(K)に応じて選択される基準の光の分光分布をφref(λ)、前記対象物の位置で測定した対象となる光の三刺激値を(X、Y、Z)、前記対象物の位置で測定した対象となる光のT(K)に応じて選択される基準の光の三刺激値を(Xref、Yref、Zref)とし、
前記対象物の位置で測定した対象となる光の規格化分光分布S(λ)と、前記対象物の位置で測定した対象となる光のT(K)に応じて選択される基準の光の規格化分光分布Sref(λ)と、これら規格化分光分布の差ΔS(λ)をそれぞれ、
S(λ)=φ(λ)/Y
Sref(λ)=φref(λ)/Yref
ΔS(λ)=Sref(λ)−S(λ)
と定義し、
波長380nm以上780nm以内の範囲で、S(λ)の最長波長極大値を与える波長をλR(nm)とした際に、
λRよりも長波長側にS(λR)/2となる波長Λ4が存在する場合においては下記数式(1)で表される指標Acgが−360 ≦ Acg ≦ −10を満たし、一方、
λRよりも長波長側にS(λR)/2となる波長Λ4が存在しない場合においては下記数式(2)で表される指標Acgが、−360 ≦ Acg ≦ −10を満たす。
照明した際に、前記対象物の位置で測定した光が上記<1>、<2>及び<3>をすべて満たし、前記発光装置から出射される光が対象物を照明した際に、前記対象物の位置で測定した光が上記<1>、<2>及び<3>もすべて満たすように照明することを特徴とする照明方法である。
また、発光装置から出射される光が<4>を満たすように照明する態様が好ましい。
度設定あるいは強度制御することが、好ましい色の見えを容易に実現し得るからである。
半導体発光素子としては、サファイア基板上やGaN基板上に形成されたIn(Al)GaN系材料を活性層構造中に含む紫色発光素子(ピーク波長が395nmから420nm程度)、青紫色発光素子(ピーク波長が420nmから455nm程度)、青色発光素子(ピーク波長が455nmから485nm程度)が好ましい。さらに、GaAs基板上に形成されたZn(Cd)(S)Se系材料を活性層構造中に含む青色発光素子(ピーク波長が455nmから485nm程度)も好ましい。
る駆動条件でのピーク波長が418nmの半導体発光素子は、周辺環境の温度が上昇するとたとえば421nmのピーク波長を呈する場合などもある。
以下に述べる半導体発光素子や蛍光体等の発光要素(発光材料)の呈する光の分光分布やそのピーク波長についても、同様のことが言える。
れかが好ましい。特にGaN基板上に短波長領域の半導体発光素子を作成した場合においては、GaN基板側壁からの光取り出しを助長するように、基板は厚いことが好ましく、100μm以上が好ましく、200μm以上がより好ましく、400μm以上が非常に好ましく、600μm以上が格段に好ましい。一方で素子作成上の便から基板厚みは2mm以下が好ましく、1.8mm以下がより好ましく、1.6mm以下が非常に好ましく、1.4mm以下が格段に好ましい。
i2O8:Eu2+、および(Ba,Sr,Ca,Mg)Si2O2N2:Euが挙げられる。
(Ba,Sr,Ca)MgAl10O17:Mn,Eu (5)
(一般式(5)で表されるアルカリ土類アルミン酸塩蛍光体をBAM蛍光体と呼ぶ。)
SraBabEux(PO4)cXd (5)´
(一般式(5)´において、XはClである。また、c、d及びxは、2.7≦c≦3.3、0.9≦d≦1.1、0.3≦x≦1.2を満足する数である。さらに、a及びbは、a+b=5−xかつ0≦b/(a+b)≦0.6の条件を満足する。)(一般式(5)
´で表されるアルカリ土類ハロリン酸塩蛍光体のうちBaを含有するものをSBCA蛍光体と呼び、Baを含有しないものをSCA蛍光体と呼ぶ。)
これらの蛍光体である、BAM蛍光体、SBCA蛍光体、SCA蛍光体、およびBa−SION蛍光体((Ba,Sr,Ca,Mg)Si2O2N2:Eu)、(Sr,Ba)3MgSi2O8:Eu2+蛍光体などが好ましく例示できる。
らの放電放射光、非線形光学効果を用いた二次高調波発生(SHG)等を含むレーザ等からの誘導放出光、半導体発光素子からの自然放出光、蛍光体からの自然放出光等あらゆる光源から出る光を含むことが可能である。この中でも特に光励起された蛍光体からの発光、半導体発光素子からの発光、半導体レーザ、SHGレーザからの発光は、小型で、エネルギー効率が高く、比較的狭帯域発光も可能であることから、好ましい。
半導体発光素子としては、サファイア基板上あるいはGaN基板上のIn(Al)GaN系材料を活性層構造中に含む青緑発光素子(ピーク波長が495nmから500nm程度)、緑色発光素子(ピーク波長が500nmから530nm程度)、黄緑色発光素子(ピーク波長が530nmから570nm程度)、黄色発光素子(ピーク波長が570nmから580nm程度)が好ましい。また、GaP基板上のGaPによる黄緑色発光素子(ピーク波長が530nmから570nm程度)、GaP基板上のGaAsPによる黄色発光素子(ピーク波長が570nmから580nm程度)も好ましい。さらに、GaAs基板上のAlInGaPによる黄色発光素子(ピーク波長が570nmから580nm程度)も好ましい。
特に、In(Al)GaN系材料を用いた場合には、黄色発光素子と比較すると活性層構造内でIn濃度が低くなる黄緑色発光素子、緑色発光素子、青緑色発光素子は、Inの偏析による発光波長ゆらぎが小さくなり発光スペクトルの半値全幅が狭くなるために、好ましい。すなわち、本発明においてΛ2(495nm)からΛ3(590nm)の中間波長領域に発光ピークを有する半導体発光素子は、黄色発光素子(ピーク波長が570nmから580nm程度)が好ましく、これより波長の短い黄緑色発光素子(ピーク波長が530nmから570nm程度)がより好ましくこれより波長の短い緑色発光素子(ピーク波長が500nmから530nm程度)が非常に好ましく、青緑色発光素子(ピーク波長が495nmから500nm程度)が格段に好ましい。
本発明の発光装置、発光装置の製造方法、発光装置の設計方法又は照明方法で用いる中間波長領域の半導体発光素子は、その発光スペクトルの半値全幅が狭いことが好ましい。この観点で、中間波長領域で用いる半導体発光素子の半値全幅は、75nm以下が好ましく、60nm以下がより好ましく、50nm以下が非常に好ましく、40nm以下は格段に好ましい。また、極端な狭帯域スペクトルは、多種類の発光要素を発光装置内に搭載しなければ所望の特性を実現できない場合もあることから、中間波長領域で用いる半導体発光素子の半値全幅は、2nm以上が好ましく、4nm以上がより好ましく、6nm以上が非常に好ましく、8nm以上が格段に好ましい。
層構造中に導入する必要があるが、GaN基板上に形成した場合には、サファイア基板上に形成した場合と比較して、基板との格子定数差に起因する圧電効果が低減し、量子井戸層内にキャリアを注入した場合の電子/正孔の空間的分離を抑制できるからである。この結果、発光波長の半値全幅は狭帯域化可能である。よって本発明においては、GaN基板上の中間波長領域の発光素子では、格段の相乗効果が期待されるため、好ましい。さらにはGaN基板上の発光素子であっても、特に半極性面、無極性面上に形成された素子が好ましい。これは結晶成長方向に対する圧電分極効果が低減されるため、量子井戸層内の空間的な電子と正孔の波動関数の空間的な重なりが大きくなり、原理的に発光効率の向上とスペクトルの狭帯域化が実現できるからである。よって半極性あるいは無極性GaN基板上の半導体発光素子を用いることは、本発明との格段の相乗効果が期待できるため、非常に好ましい。
特にGaN基板上に中間波長領域の半導体発光素子を作成した場合においては、GaN基板側壁からの光取り出しを助長するように、基板は厚いことが好ましく、100μm以上が好ましく、200μm以上がより好ましく、400μm以上が非常に好ましく、600μm以上が格段に好ましい。一方で素子作成上の便から基板厚みは2mm以下が好ましく、1.8mm以下がより好ましく、1.6mm以下が非常に好ましく、1.4mm以下が格段に好ましい。
例えば、特定の発光領域において紫色半導体発光素子のような紫色光を発する発光要素を用い、かつ、同じ発光領域内に青色蛍光体を同時に用いる場合は、前述の青色蛍光体と中間波長領域の蛍光体材料との分光分布の重なりから、中間波長領域で発光する蛍光体は狭帯域発光する事が好ましい。これは中間波長領域の蛍光体材料の半値全幅が狭い方が、特に465nm以上525nm以下の範囲に適切なくぼみ(相対分光強度の低い部分)を形成できるからであって、この適切なくぼみ部分は「自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見え」を実現する上で、重要であるからである。
この場合には、中間波長領域の蛍光体材料のピーク波長は、Duvの制御性をも考慮し、495nmから500nmであることが好ましく、ピーク波長が500nmから530
nmである場合と、ピーク波長が570nmから580nmである場合が同程度により好ましく、ピーク波長が530nmから570nmであることが非常に好ましい。
また、特定の発光領域において紫色半導体発光素子のような紫色光を発する発光要素を用い、かつ、同じ発光領域内に青色蛍光体を同時に用いる場合は、中間波長領域で用いる蛍光体材料の、室温で光励起された場合の発光スペクトルの半値全幅は、130nm以下が好ましく、110nm以下がより好ましく、90nm以下が非常に好ましく、70nm以下は格段に好ましい。また、極端な狭帯域スペクトルは、多種類の発光要素を発光装置内に搭載しなければ所望の特性を実現できない場合もあることから、紫色の光を発する発光要素を用いる場合においては、中間波長領域で用いる蛍光体材料の半値全幅は、2nm以上が好ましく、4nm以上がより好ましく、6nm以上が非常に好ましく、8nm以上が格段に好ましい。
この場合には、中間波長領域の蛍光体材料のピーク波長は、Duvの制御性をも考慮し、511nmから543nmであることが好ましく、ピーク波長が514nmから540nmである場合がより好ましく、ピーク波長が520nmから540nmである場合が非常に好ましく、ピーク波長が520nmから530nmであること格段に好ましい。
また、特定の発光領域において青色半導体発光素子のような青色光を発する発光要素を用いる場合には、中間波長領域で用いる蛍光体材料の、室温で光励起された場合の発光スペクトルの半値全幅は、90nm以上が好ましく、96nm以上がより好ましく、97nm以上が非常に好ましい。また、極端な広帯域スペクトルは、「自然で、生き生きとした、視認性の高い、快適な、色の見え、物体の見え」を実現する上で重要な465nm以上525nm以下に形成される分光分布中のくぼみが過小(相対分光強度が高すぎる)となってしまい、所望の特性を実現しにくくなる場合もあることから、中間波長領域で用いる蛍光体材料の半値全幅は、110nm以下が好ましく、108nm以下がより好ましく、104nm以下が非常に好ましく、103nm以下が格段に好ましい。
BaaCabSrcMgdEuxSiO4 (6)
(一般式(6)においてa、b、c、dおよびxが、a+b+c+d+x=2、1.0 ≦ a ≦ 2.0、0 ≦ b < 0.2、0.2 ≦ c ≦ 1.0、0 ≦ d < 0.2
および0 < x ≦ 0.5を満たす。)(一般式(6)で表されるアルカリ土類ケイ酸塩
をBSS蛍光体と呼ぶ。)
Ba1-x-ySrxEuyMg1-zMnzAl10O17 (6)´
(一般式(6)´においてx、yおよびzはそれぞれ0.1≦x≦0.4、0.25≦y≦0.6及び0.05≦z≦0.5を満たす。)(一般式(6)´で表されるアルカリ土類アルミン酸塩蛍光体をG−BAM蛍光体と呼ぶ。)
カンジウム酸塩結晶を母体とする緑色蛍光体、例えばCaSc2O4:Ceがある。その他、SrGaS4:Eu2+なども挙げられる。
さらにその他としては、(Ba,Ca,Sr,Mg,Zn,Eu)3Si6O12N2で表
される酸窒化物蛍光体が挙げられる(これをBSON蛍光体と呼ぶ)。
できる。
Ya(Ce,Tb,Lu)b(Ga,Sc)cAldOe (8)
(一般式(8)において、a、b、c、d、eが、a+b=3、0≦b≦0.2、4.5≦c+d≦5.5、0.1≦c≦2.6、および10.8≦e≦13.4を満たす。)(一般式(8)で表されるCe3+付活アルミン酸塩蛍光体をG−YAG蛍光体と呼ぶ。)
特にG−YAG蛍光体においては、一般式(8)を満たす前記組成範囲を適宜選択可能である。さらに、蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長と半値全幅が、本実施態様において好ましくなるのは以下の範囲である。
0.01≦b≦0.05かつ0.1≦c≦2.6である事が好ましく、
0.01≦b≦0.05かつ0.3≦c≦2.6である事がより好ましく、
0.01≦b≦0.05かつ1.0≦c≦2.6である事が非常に好ましい。
また、
0.01≦b≦0.03かつ0.1≦c≦2.6である事も好ましく、
0.01≦b≦0.03かつ0.3≦c≦2.6である事がより好ましく、
0.01≦b≦0.03かつ1.0≦c≦2.6である事が非常に好ましい。
下記一般式(9)で表される緑色蛍光体が挙げられる。
Lua(Ce,Tb,Y)b(Ga,Sc)cAldOe (9)
(一般式(9)において、a、b、c、d、eが、a+b=3、0≦b≦0.2、4.5≦c+d≦5.5、0≦c≦2.6、および10.8≦e≦13.4を満たす。)(一般式(9)で表されるCe3+付活イットリウムアルミニウム酸化物系蛍光体をLuAG蛍光体と呼ぶ。)
特にLuAG蛍光体においては、一般式(9)を満たす前記組成範囲を適宜選択可能である。さらには、蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長と半値全幅が、本実施態様において好ましくなるのは以下の範囲である。
0.00≦b≦0.13である事が好ましく、
0.02≦b≦0.13である事がより好ましく、
0.02≦b≦0.10である事が非常に好ましい。
M1 aM2 bM3 cOd (10)
(一般式(10)において、M1は2価の金属元素、M2は3価の金属元素、M3は4価の金属元素をそれぞれ示し、a、b、cおよびdが、2.7≦a≦3.3、1.8≦b≦2.2、2.7≦c≦3.3、11.0≦d≦13.0を満たす。)(一般式(10)で表される蛍光体をCSMS蛍光体と呼ぶ。)
M2は3価の金属元素であるが、Al、Sc、Ga、Y、In、La、Gd、及びLuからなる群から選択された少なくとも1種であるのが好ましく、Al、Sc、Y、又はLuであるのが更に好ましく、Scが特に好ましい。この場合、Scは単独系でもよく、YまたはLuとの複合系でもよい。また、M2はCeを含むことを必須とし、M2は他の3
価の金属元素を含んでいてもよい。
M3は4価の金属元素であるが、少なくともSiを含むことが好ましい。Si以外の4価の金属元素M3の具体例としては、Ti、Ge、Zr、Sn、及びHfからなる群から選択された少なくとも1種であるのが好ましく、Ti、Zr、Sn、及びHfからなる群から選択された少なくとも1種であるのがより好ましく、Snであることが特に好ましい。特に、M3がSiであることが好ましい。また、M3は他の4価の金属元素を含んでいてもよい。
M1 aM2 bM3 cOd (11)
(一般式(11)において、M1は少なくともCeを含む付活剤元素、M2は2価の金属元素、M3は3価の金属元素をそれぞれ示し、a、b、cおよびdが、0.0001≦a≦0.2、0.8≦b≦1.2、1.6≦c≦2.4、および3.2≦d≦4.8を満たす。)(一般式(11)で表される蛍光体をCSO蛍光体と呼ぶ。)
M2は2価の金属元素であるが、Mg、Ca、Zn、Sr、Cd、及びBaからなる群から選択された少なくとも1種であるのが好ましく、Mg、Ca、又は、Srであるのが更に好ましく、M2の元素の50モル%以上がCaであることが特に好ましい。
M3は3価の金属元素であるが、Al、Sc、Ga、Y、In、La、Gd、Yb、及びLuからなる群から選択された少なくとも1種であるのが好ましく、Al、Sc、Yb、又はLuであるのが更に好ましく、Sc、又はScとAl、又はScとLuであるのがより一層好ましく、M3の元素の50モル%以上がScであることが特に好ましい。
M2及びM3は、それぞれ2価及び3価の金属元素を表すが、M2及び/又はM3のごく一部を1価、4価、5価のいずれかの価数の金属元素としてもよく、さらに、微量の陰イオン、たとえば、ハロゲン元素(F、Cl、Br、I)、窒素、硫黄、セレンなどが、化合物の中に含まれていてもよい。
0.005≦a≦0.200である事が好ましく、
0.005≦a≦0.012である事がより好ましく、
0.007≦a≦0.012である事が非常に好ましい。
BaaCabSrcMgdEuxSiO4 (12)
(一般式(12)においてa、b、c、dおよびxが、a+b+c+d+x=2、1.0 ≦ a ≦ 2.0、0 ≦ b < 0.2、0.2 ≦ c ≦1,0、0 ≦ d < 0.2および0 < x ≦ 0.5を満たす。)(一般式(12)で表されるアルカリ土類ケイ酸塩蛍光体をBSS蛍光体と呼ぶ。)
BSS蛍光体においては、一般式(12)を満たす前記組成範囲を適宜選択可能である。さらには、蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長と半値全幅が、本実施態様において好ましくなるのは以下の範囲である。
0.20≦ c ≦1.00かつ0.25< x ≦ 0.50である事がより好ましく、
0.20≦ c ≦ 1.00かつ0.25<x ≦ 0.30である事が非常に好ましい
。
さらに、
0.50≦ c ≦ 1.00かつ0.00<x ≦ 0.50である事が好ましく、
0.50≦ c ≦ 1.00かつ0.25<x ≦ 0.50である事がより好ましく、
0.50≦ c ≦ 1.00かつ0.25<x ≦ 0.30である事が非常に好ましい
。
(Ba,Ca,Sr,Mg,Zn,Eu)3Si6O12N2 (13) (これをBSON蛍光体と呼ぶ)。
BSON蛍光体においては、一般式(13)を満たす前記組成範囲を適宜選択可能である。さらには、蛍光体単体の光励起時の発光強度最大値を与える波長と半値全幅が、本実施態様において好ましくなるのは以下の範囲である。
一般式(13)において選択できる2価金属元素(Ba,Ca,Sr,Mg,Zn,Eu)のうち、BaとSrとEuの組合せとすることが好ましく、さらには、Baに対するSrの比率は10〜30%とすることがより好ましい。
半導体発光素子としては、GaAs基板上に形成されたAlGaAs系材料、GaAs基板上に形成された(Al)InGaP系材料を活性層構造中に含む橙色発光素子(ピーク波長が590nmから600nm程度)、赤色発光素子(600nmから780nm)が好ましい。また、GaP基板上に形成されたGaAsP系材料を活性層構造中に含む赤色発光素子(600nmから780nm)が好ましい。
好ましく、8nm以上が格段に好ましい。
長波長領域の蛍光体材料においては、ピーク波長はDuv制御性と放射効率の両立を考慮し、他の材料と一体として発光装置を作成した際に、そのピーク波長が630nmに近接することが非常に好ましい。すなわち、本発明においてΛ3(590nm)から780nmの長波長領域に発光ピークを有する蛍光体材料は、590nmから600nmの間にピークを有するようになることが好ましく、600nmから780nm程度にピークを有するようになることがより好ましく、ピーク波長が630nmに近接することが非常に好ましい。特にピーク波長が620nmから655nmとなる蛍光体材料が非常に好ましい。
と呼ぶ)、(Sr,Ca,Ba)2AlxSi5-xOxN8-x:Eu(ただし0≦x≦2)で
表される蛍光体、Euy(Sr,Ca,Ba)1-y:Al1+xSi4-xOxN7-x(ただし0≦x<4、0≦y<0.2)で表される蛍光体が挙げられる。
1≦x≦1かつ0.9≦y+z≦1.1かつ0.001≦z≦0.4かつ5≦n≦7)である。中でも特に好ましいのは、AがK(カリウム)またはNa(ナトリウム)から選ばれる1種以上で、MがSi(ケイ素)またはTi(チタン)であるもの、例えば、K2S
iF6:Mn(これをKSF蛍光体と呼ぶ)、この構成元素の一部(好ましくは10モル
%以下)をAlとNaで置換したK2Si1-xNaxAlxF6:Mn、K2TiF6:Mn(
これをKSNAF蛍光体と呼ぶ)などである。
(La1-x-yEuxLny)2O2S (7)
(一般式(7)において、x及びyはそれぞれ0.02≦x≦0.50及び0≦y≦0.50を満たす数を表し、LnはY、Gd、Lu、Sc、Sm及びErの少なくとも1種の3価希土類元素を表す。)(一般式(7)で表される酸硫化ランタン蛍光体をLOS蛍光体と呼ぶ。)
(k−x)MgO・xAF2・GeO2:yMn4+ (7)´
(一般式(7)´において、k、x、yは、各々、2.8≦k≦5、0.1≦x≦0.7、0.005≦y≦0.015を満たす数を表し、Aはカルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、亜鉛(Zn)、またはこれらの混合物である。)(一般式(7)で表されるジャーマネート蛍光体をMGOF蛍光体と呼ぶ。)
光体、(Sr,Ca,Ba)AlSi4N7蛍光体などが好ましく例示できる。
紫色LED(ピーク波長が395nmから420nm程度)を、短波長領域の発光要素とし、さらに短波長領域における発光要素として比較的狭帯域な蛍光体であるSBCA、SCA、BAMの中から選択される少なくとも1以上を光源に内在させ、中間波長領域における発光要素として比較的狭帯域な蛍光体であるβ−SiAlON、BSS、BSON、G−BAMの中から選択される少なくとも1以上を光源に内在させ、長波長領域における発光要素としてCASON、SCASN、LOS、KSF、KSNAFの中から選択される少なくとも1以上を光源に内在させることは好ましい。
紫色LED(ピーク波長が395nmから420nm程度)を、短波長領域の第一発光要素とし、さらに短波長領域における第二発光要素として比較的狭帯域な蛍光体であるSBCAを光源に内在させ、中間波長領域における第一発光要素として比較的狭帯域な蛍光体であるβ−SiAlONを用い、長波長領域における第一発光要素としてCASONを用いることは非常に好ましい。
加えて、紫色LED(ピーク波長が395nmから420nm程度)を短波長領域の第一発光要素とし、さらに短波長領域における第二発光要素として比較的狭帯域な蛍光体であるSCAを光源に内在させ、中間波長領域における第一発光要素として比較的狭帯域な蛍光体であるβ−SiAlONを用い、長波長領域における第一発光要素としてCASONを用いることは非常に好ましい。
加えて、紫色LED(ピーク波長が395nmから420nm程度)を短波長領域の第一発光要素とし、さらに短波長領域における第二発光要素として比較的狭帯域な蛍光体であるBAMを光源に内在させ、中間波長領域における第一発光要素として比較的狭帯域な蛍光体であるBSSを用い、長波長領域における第一発光要素としてCASONを用いることは非常に好ましい。
青紫色LED(ピーク波長が420nmから455nm程度)かつ/または青色LED(ピーク波長が455nmから485nm程度)を短波長領域の発光要素とし、さらに中間波長領域における第一発光要素として比較的狭帯域な蛍光体であるBSONを用い、長波長領域における第一発光要素としてSCASNを用いることは非常に好ましい。
青紫色LED(ピーク波長が420nmから455nm程度)かつ/または青色LED(ピーク波長が455nmから485nm程度)を短波長領域の発光要素とし、さらに中間波長領域における第一発光要素として比較的狭帯域な蛍光体であるβ−SiAlONを用い、長波長領域における第一発光要素としてCASONを用いることは非常に好ましい。
青紫色LED(ピーク波長が420nmから455nm程度)かつ/または青色LED(ピーク波長が455nmから485nm程度)を短波長領域の発光要素とし、さらに中間波長領域における第一発光要素として比較的狭帯域な蛍光体であるβ−SiAlONを用い、長波長領域における第一発光要素としてCASONを用い、長波長領域における第二発光要素としてKSFもしくはKSNAFを用いることは非常に好ましい。
青紫色LED(ピーク波長が420nmから455nm程度)かつ/または青色LED(ピーク波長が455nmから485nm程度)を短波長領域の発光要素とし、さらに中間波長領域における第一発光要素として比較的狭帯域な蛍光体であるβ−SiAlONを用い、長波長領域における第一発光要素としてSCASNを用いることは非常に好ましい。
青紫色LED(ピーク波長が420nmから455nm程度)かつ/または青色LED(ピーク波長が455nmから485nm程度)を短波長領域の発光要素とし、さらに中間波長領域における第一発光要素として比較的狭帯域な蛍光体であるβ−SiAlONを用い、長波長領域における第一発光要素としてSCASNを用い、長波長領域における第二発光要素としてKSFもしくはKSNAFを用いることは非常に好ましい。
特定の発光領域に、青色発光素子を含み、中間波長領域における蛍光体としてCa3(Sc,Mg)2Si3O12:Ce(CSMS蛍光体)、CaSc2O4:Ce(CSO蛍光体)、Lu3Al5O12:Ce(LuAG蛍光体)、Y3(Al,Ga)5O12:Ce(G−YAG蛍光体)から選択される少なくとも1つの緑色蛍光体を含み、さらに、(Sr,Ca)AlSiN3:Eu(SCASN蛍光体)、CaAlSi(ON)3:Eu(CASON蛍光体)、またはCaAlSiN3:Eu(CASN蛍光体)から選択される少なくとも1つの赤色蛍光体を含む事は好ましく、このような発光領域を含む発光装置とする事は好ましい。
、これまで記載した発光要素(発光材料)を用いると、指標Acg、放射効率K(lm/W)、Duv等を所望の値に設定しやすくなるため、好ましい。また、当該光を色刺激としてとらえ、当該発光装置での照明を仮定した場合の当該15色票の色の見えと、計算用基準光での照明を仮定した場合の色の見えとの差に関する|Δhn|、SATav、ΔCn、|ΔCmax−ΔCmin|も、上記記載の発光要素を用いると所望の値に設定しやすくなるため、好ましい。
本発明の制御要素の有するべき特性は、発光要素から主たる放射方向に出射される光の分光分布に依拠する。
しかしながら、一般的に、発光装置から出射される光の良好な色の見えを、場合によってはより良好な色の見えを実現可能とするために有すべき、好ましい発光要素の性質は存在する。
上記条件1では、−0.0350 ≦ Duv ≦ −0.0040であることを規定する。この範囲のDuvは、現在既に市中に頒布されている一般的なLED照明と比較して非常に小さな値である。そのため、本発明の制御要素は分光分布のDuvを小さくする性質を有することが好ましい。しかしながら、本発明の制御要素は、Duvを大きくするものであっても、発光装置が条件1を満たすものであればよいことはいうまでもない。例えば、色の見えがあまりにも強い(ケバケバしい)発光要素の場合には、Duvを大きくする制御要素を配置することで、良好な色の見えが実現される場合も存在する。
上記条件2では、−360 ≦ Acg ≦ −10を満たすことを規定する。この範
囲のAcgは、現在既に市中に頒布されている一般的なLED照明と比較して非常に小さな値である。そのため、本発明の制御要素は分光分布のAcgを小さくする性質を有することが好ましい。しかしながら、本発明の制御要素は、Acgを大きくするものであっても、発光装置が条件2を満たすものであればよいことはいうまでもない。例えば、色の見えがあまりにも強い(ケバケバしい)発光要素の場合には、Acgを大きくする制御要素を配置することで、良好な色の見えが実現される場合も存在する。
飽和度差の平均SATavが適切な範囲で大きくなると色の見えが良好になるため、本発明の制御要素は分光分布による照明を数学的に仮定した場合のSATavを大きくする性質を有することが好ましい。しかしながら、本発明の制御要素は、SATavを小さくするものであっても、例えば、色の見えがあまりにも強い(ケバケバしい)発光要素の場合には、SATavを小さくする制御要素を配置することで、良好な色の見えが実現される場合も存在する。
また、本発明の制御要素は、発光要素から出射される光の集光および/または拡散機能、たとえば、凹レンズ、凸レンズ、フレネルレンズ等の機能を兼ね備えていてもよい。
また、本発明の制御要素は、発光要素に近接して配置される場合が多いため、耐熱性を有することが好ましい。耐熱性を有する制御要素としては、ガラスなどの耐熱性を有する材料により製造されている制御要素があげられる。また、本発明の制御要素は、たとえば所望の反射特性、透過特性を実現すべく、所望の元素等がドーピングされ、この結果着色されていてもよい。
例えば、複数の吸収ピークを有するフィルターを製造しようとする場合、ある波長領域の光を吸収する性質を持つフィルムと、別の波長領域の光を吸収する性質を持つフィルムを複数種類準備し、それらを積層して多層フィルターとしてもよい。また、誘電体膜を多層に積層して、所望の特性を実現してもよい。
特に本発明は、既に市場に流通している良好な色の見えを実現できていない照明装置に対し、フィルターや反射ミラー等の制御要素を配置するという至極簡易な方法により、良好な色の見えを実現できる照明装置を提供できるという、極めて実用性に富んだ技術である。
よって、本発明の発光装置は、良好な色の見えを実現できていない照明装置に対し、フィルターや反射ミラー等の制御要素を配置するという至極簡易な方法により、良好な色の見えを実現できる照明装置であり、また、良好な色の見えを実現できている照明装置に対しても、フィルターや反射ミラー等の制御要素を配置するという至極簡易な方法により、使用者の嗜好に合致した良好な色の見えを実現できる照明装置である。
2 LEDチップ
2a 青色LEDチップ
2b 緑色LEDチップ
2c 赤色LEDチップ
2d 熱放射フィラメント
3 パッケージ
4 蛍光体
5 カットフィルター(制御要素)
6 封止材
10 パッケージLED(低加工度の発光装置)
11 白熱電球(中加工度の発光装置)
20 フィルター付きLED電球(高加工度の発光装置)
30 照明システム(さらに高加工度の発光装置)
このために、例えば、一般の白色紙上の黒文字等が読みやすくなる。このような特長を生かし、読書灯、学習机用照明、事務用照明等の作業用照明に応用することは好ましい。さらに、作業内容によっては、工場等において、細かな部品の外観検査を行う、布地などにおいて近接した色の識別を行う、生肉の鮮度確認のための色確認を行う、限度見本に照らした製品検査を行う等も考えられるが、本発明の照明方法により照明した場合には、近接した色相における色識別が容易になり、あたかも高照度環境下の様な快適な作業環境を
実現しうる。よってこのような観点でも作業用照明に適応することは好ましい。
よって、本発明の発光装置又は照明方法を家庭用等の一般照明に応用したとすれば、食品は新鮮に、かつ、食欲をそそるように見え、新聞や雑誌等も見やすく、段差等の視認性も上がり家庭内の安全性向上にもつながると考えられる。よって、本発明を家庭用照明に応用することは好ましい。また、衣料品、食品、車、かばん、靴、装飾品、家具等の展示物用照明としても好ましく、周辺から際立って視認させうる照明が可能である。
化粧品等の、色の微妙な差が購入の決め手となる物品の照明としても好ましい。白色のドレス等の展示物用照明として使用すると、同じ白色でも、青みがかった白、クリーム色に近い白などの、微妙な色の差が視認しやすくなるため、本人の希望通りの色を選択することが可能となる。さらには、結婚式場、劇場等での演出用照明としても好適で、純粋な白色のドレス等は純白に見え、歌舞伎等の着物、隈取等もはっきりと見えるようになる。さらに肌色も際立ち好ましい。また、美容室の照明として使用すると、毛髪をカラー処理する場合、屋外で見たときと齟齬がないような色にすることが可能となり、染めすぎや染め不足を防ぐことができる。
法又は発光装置を適応することで、無彩色間、あるいは有彩色間の識別が容易になるため、これらの問題を解決可能である。よって、老人ホームや病院の待合室、書店や図書館等の不特定多数の方が利用する公共施設等における照明にも好適に利用可能である。
Claims (4)
- 少なくとも制御要素と、発光要素である半導体発光素子とを有する発光装置であって、
波長をλ(nm)とし、
当該発光要素から主たる放射方向に出射される光の分光分布をΦelm(λ)、当該発光装置から主たる放射方向に出射される光の分光分布をφSSL(λ)としたとき、
Φelm(λ)は下記条件3´と条件3´´の少なくともいずれか一方を満たさず、φSSL(λ)は下記条件3´と条件3´´をともに満たし、
さらに、条件3´´´を満たすことを特徴とする発光装置。
条件3´:
対象となる光の分光分布による照明を数学的に仮定した場合の#01から#15の下記15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L*a*b*色空間におけるa*値、b*
値をそれぞれa* n、b* n(ただしnは1から15の自然数)とし、
当該放射方向に出射される光の相関色温度T(K)に応じて選択される基準の光での照明を数学的に仮定した場合の当該15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L*
a*b*色空間におけるa*値、b*値をそれぞれa* nref、b* nref(ただしnは1から15の自然数)とした場合に、飽和度差ΔCnが
−3.8 ≦ ΔCn ≦ 18.6 (nは1から15の自然数)
を満たす。
ただし、ΔCn=√{(a* n)2+(b* n)2}−√{(a* nref)2+(b* nr
ef)2}とする。
15種類の修正マンセル色票
#01 7.5 P 4 /10
#02 10 PB 4 /10
#03 5 PB 4 /12
#04 7.5 B 5 /10
#05 10 BG 6 / 8
#06 2.5 BG 6 /10
#07 2.5 G 6 /12
#08 7.5 GY 7 /10
#09 2.5 GY 8 /10
#10 5 Y 8.5/12
#11 10 YR 7 /12
#12 5 YR 7 /12
#13 10 R 6 /12
#14 5 R 4 /14
#15 7.5 RP 4 /12
条件3´´:
飽和度差の最大値をΔCmax、飽和度差の最小値をΔCminとした場合に、飽和度差の最大値と、飽和度差の最小値との間の差|ΔCmax−ΔCmin|が
2.8 ≦ |ΔCmax−ΔCmin| ≦ 19.6
を満たす。
条件3´´´:
当該発光要素から主たる放射方向に出射される光の分光分布から導出される前記飽和度差の平均をSAT av (Φ elm )、
当該発光装置から主たる放射方向に出射される光の分光分布から導出される前記飽和度差の平均をSAT av (φ SSL )と定義した場合に、
SAT av (Φ elm )<SAT av (φ SSL )
を満たす。 - 請求項1に記載の発光装置であって、Φ elm (λ)は下記条件3´´´´を満たさず、φ SSL (λ)は下記条件3´´´´を満たすことを特徴とする発光装置。
条件3´´´´:
下記式(3)で表される飽和度差の平均SAT av が下記式(4)を満たす。
- 少なくとも制御要素と、発光要素である半導体発光素子とを有する発光装置であって、
波長をλ(nm)とし、
当該発光要素から主たる放射方向に出射される光の分光分布をΦ elm (λ)、当該発光装置から主たる放射方向に出射される光の分光分布をφ SSL (λ)としたとき、
Φ elm (λ)は下記条件3´と条件3´´をともに満たし、φ SSL (λ)も下記条件3´と条件3´´をともに満たし、
さらに、条件3´´´を満たすことを特徴とする発光装置。
条件3´:
対象となる光の分光分布による照明を数学的に仮定した場合の#01から#15の下記15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L * a * b * 色空間におけるa * 値、b *
値をそれぞれa * n 、b * n (ただしnは1から15の自然数)とし、
当該放射方向に出射される光の相関色温度T(K)に応じて選択される基準の光での照明を数学的に仮定した場合の当該15種類の修正マンセル色票のCIE 1976 L *
a * b * 色空間におけるa * 値、b * 値をそれぞれa * nref 、b * nref (ただしnは1から15の自然数)とした場合に、飽和度差ΔC n が
−3.8 ≦ ΔC n ≦ 18.6 (nは1から15の自然数)
を満たす。
ただし、ΔC n =√{(a * n ) 2 +(b * n ) 2 }−√{(a * nref ) 2 +(b * nr
ef ) 2 }とする。
15種類の修正マンセル色票
#01 7.5 P 4 /10
#02 10 PB 4 /10
#03 5 PB 4 /12
#04 7.5 B 5 /10
#05 10 BG 6 / 8
#06 2.5 BG 6 /10
#07 2.5 G 6 /12
#08 7.5 GY 7 /10
#09 2.5 GY 8 /10
#10 5 Y 8.5/12
#11 10 YR 7 /12
#12 5 YR 7 /12
#13 10 R 6 /12
#14 5 R 4 /14
#15 7.5 RP 4 /12
条件3´´:
飽和度差の最大値をΔC max 、飽和度差の最小値をΔC min とした場合に、飽和度差の最大値と、飽和度差の最小値との間の差|ΔC max −ΔC min |が
2.8 ≦ |ΔC max −ΔC min | ≦ 19.6
を満たす。
条件3´´´:
当該発光要素から主たる放射方向に出射される光の分光分布から導出される前記飽和度差の平均をSAT av (Φ elm )、
当該発光装置から主たる放射方向に出射される光の分光分布から導出される前記飽和度差の平均をSAT av (φ SSL )と定義した場合に、
SAT av (Φ elm )<SAT av (φ SSL )
を満たす。 - 請求項3に記載の発光装置であって、Φ elm (λ)は下記条件3´´´´を満たし、φ SSL (λ)も下記条件3´´´´を満たすことを特徴とする発光装置。
条件3´´´´:
下記式(3)で表される飽和度差の平均SAT av が下記式(4)を満たす。
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