JP6361922B2 - 床吹出し空調システム - Google Patents

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本発明は、床下にピットが配設された大空間を有する建物に設けられる床吹出し空調システムに関する。
従来、例えば大空間を有する大型の工場等の生産施設における空調設備では、空調機を床上または上部設備の架台等に設置するとともに、空調用ダクト及び吹出口を適宜な設置し、床面から2m程度の高さまでの居住域を空調する成層空調方式を用いているのが一般的である。
また、前述のような大空間を有する工場として、例えば特許文献1に記載のような地下部のピット底盤に複数の柱材を立設し、それらの柱材によって桁材、PC床版等を下方から支持する地下ピット構造が知られている。この場合には、地下ピット内に生産ラインの一部を配置することで、床上に配置される設備を大幅に減らすことが可能となる。これにより床上を有効に使用することができ、生産効率を向上させている。
特開2004−316100号公報
しかしながら、従来の大規模工場等による成層空調方式では、以下のような問題があった。
すなわち、一般的に成層空調方式による空調は、周囲温度よりも低い冷気が床面に溜まる性質を利用しており、冷房時には比較的有効に機能するが、暖房時には暖気が工場建屋の天井側に向けて上昇してしまい住居域での効果的な暖房が難しく、かつ非効率な空調を行っていた。
また、成層空調方式による空調では、空調機やダクト、吹出し口等は、床面または床上の設備に設置しているが、生産ラインや天井クレーンとの配置の調整が必要となっていた。例えば空調用ダクトを天井クレーンを避ける位置に迂回させて長距離で設置したり、必要な居住域から離れた位置に空調機を設置せざるを得ない等、効率の良い設備配置とならない場合があり、その点で改善の余地があった。また、地下ピットが設けられるような大規模な工場では、生産ラインとともに空調設備の配置についても地下ピットを効果的に利用することが求められていた。
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、床下のピットを用いた簡単な構造とすることで、空調設備を効果的に配置することができるとともに、空調効率を向上させることができる床吹出し空調システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る床吹出し空調システムは、床下にピットが配設された大空間を有する建物に設けられる床吹出し空調システムであって、前記ピットには鉄筋コンクリート造の複数の柱材が立設され、該柱材の上端面に着脱自在に鉄骨造の桁材が架設され、該桁材上にプレキャストコンクリート床版が着脱自在に配設されることで、床および床下のピットが構築され、前記ピット内に外気を送り込む外気供給部と、前記ピット内を所定温度に設定するピット内空調部と、前記床に設けられ、前記ピット内と床上の空間とを連通する複数の床吹出し口と、を備え、前記床吹出し口は、前記床の全面にわたって複数配置され、そのうちの少なくとも一部にはピット内の空調空気を床上の前記空間内に吹き上げる吹上げ手段が設けられていることを特徴としている。
本発明では、外気供給部によりピット内に外気が送り込まれ、ピット内の空気はピット内空調部によって所定温度に調整される。そして、ピット内で温度調整された空気は、床吹出し口から床上の建物の空間内に吹き出される。このとき、吹上げ手段が設けられている一部の床吹出し口において、吹上げ手段が設けられていない通常の床吹出し口に比べて、より高く、かつ大きな吹上げ力でピット内の空気を床上の空間内に吹き上げることができる。そのため、冷気が空間の上方に上昇し難い冷房時では、ピット内の冷気が吹出し手段によって高く吹き上げられることによって、床上の冷却領域を高くすることができる。したがって、居住域(例えば、床から2mの高さ)に限定した効率的な成層空調を行うことができ、例えば天井が高く、大空間を有する工場等の建物であっても効果的な空調を行うことができる。
また、建物の空間の大きさ、外気温度等の条件に合せて、吹上げ手段によるピット内の空気の吹上げ高さや吹上げ力を調整することで、前記冷気領域の高さを任意に変更することができ、条件に合せて効率の良い空調を行うことができる。
さらに、本発明では、ピット上の床に複数の床吹出し口を設けた床吹出し空調であり、ピット全体がピット内空調部によって調整された空気のチャンバーとして機能することから、空調用のダクトを低減することが可能で簡単な空調構造となる。そのため、空気の搬送動力を抑え、省電力化を図ることができるとともに、空調設備を効果的に配置することができる利点がある。
しかも、空調機などのピット内空調部をピット内に設置することができるので、例えば建物が工場の場合には、床上の生産装置のレイアウトの自由度を高めることができる。
また、本発明に係る床吹出し空調システムは、前記ピット内に、前記大空間を空調する空調機が設置されていることが好ましい。
また、本発明に係る床吹出し空調システムは、前記床には、前記ピット内に通じる床吸込み口が設けられていることが好ましい。
この場合には、床吹出し口から吹き上げた空気を床吸込み口からピット内に戻す空気の循環ができ、床上の居住域の温度を安定させることができる。
また、本発明に係る床吹出し空調システムは、前記床吹出し口は、前記プレキャストコンクリート床版の縁部を切り欠くことで形成されていることが好ましい。
この場合には、床を構成する複数のプレキャストコンクリート床版が着脱自在であるので、これらプレキャストコンクリート床版を適宜取り外して、ピット内の空調設備のレイアウトを容易に変更することができる。そして、プレキャストコンクリート床版の縁部を切り欠いた部分(切欠き凹部)を床吹出し口とすることができるので、床を設置した後に床吹出し口を設けるような施工は不要となる利点がある。
また、プレキャストコンクリート床版自体が蓄熱効果を有するので、ピット内の温度変化を小さく抑えた床蓄熱空調とすることが可能となる。そのため、例えば夏季における電力のピーク時間帯に空調を停止させた運転ができる利点がある。
また、本発明に係る床吹出し空調システムは、前記ピットは、地中に設けられる地下ピットであることが好ましい。
この場合には、地下ピットを構成する躯体は、地中熱により年間を通じて安定した温度(例えば14〜18℃程度)であるため、夏季は外気に比べて低温壁として、冬季は高温壁として機能することから、空調効率を向上させることができ、空調の消費電力化を図ることができる。
本発明の床吹出し空調システムによれば、床下にピットが配設された大空間を有する建物において、床下のピットを用いた簡単な構造とすることで、空調設備を効果的に配置することができるとともに、空調効率を向上させることができる。
本発明の実施の形態による床吹出し空調システムの概略構成を示す斜視図である。 図1に示す床吹出し空調システムの一部を拡大した斜視図である。 PC床版の一部を示す平面図である。 床吹出し空調システムの構成を模式的に示した側面図である。 PC床版に設けられる床吹出し口の構成を示す図であって、(a)は上方から見た平面図、(b)は縦断面図である。 床吹出し空調システムを用いた温熱環境状態の図であって、冷房時の状態を示す図である。 実施例による解析モデルを示す平面図である。 実施例1によるシミュレーションの結果を示す図である。 比較例1によるシミュレーションの結果を示す図である。 実施例2によるシミュレーションの結果を示す図である。
以下、本発明の実施の形態による床吹出し空調システムについて、図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施の形態による床吹出し空調システム1は、床下に地下ピット3(ピット)が配設された大空間を有する工場10(建物)に設けられている。工場10は、例えば大型機械の生産ラインを有し、その生産物を製造するために必要な所定広さの工場内空間Rを有し、床2及び前記地下ピット3が設けられた構成となっている。
工場10の天井部分には、図示しない排気口が設けられており、工場内空間Rの空気が自然排気されるようになっている。
ここで、本実施の形態では、工場内空間Rは平面視で略長方形をなし、その幅方向(短辺方向)を横方向Xといい、長手方向を縦方向Yといい、幅方向X及び縦方向Yは水平面内で互いに直交している。
地下ピット3は、地中に位置し、例えば深さ3m程度で工場10における床2のほぼ全面に構築され、側壁3b及びピット底盤3aの躯体からなる。そのため、地下ピット3内の空気は、周囲の地盤から躯体(側壁3b及びピット底盤3a)に伝わる地中熱によって冷却または加熱される。
地下ピット3は、図2及び図3に示すように、ピット底盤3a上に立設され、横方向X及び縦方向Yの各別の方向毎に一定の間隔をあけて配列された柱材31と、柱材31の上端面31aに接合されて架設されるとともに、縦方向Yに沿って長手方向を向けて配列された鉄骨梁からなる桁材32と、を備えている。そして、配列方向に隣り合う桁材32、32上には、対向する2辺のそれぞれを載置させてプレキャストコンクリート床版(以下、PC床版2Aという)が架設されている。
柱材31は、鉄筋コンクリート(RC)造であり、断面視で正方形に形成され、ピット底盤3aに対して一体的にコンクリート打設されており、横方向X及び縦方向Yともに同じ配置間隔(図2に示すL1、L2)で配列されている。これら複数の柱材31、31、…の上端面31aは、それら全てが同一の高さ(レベル)にとなっている。
柱材31の寸法や配置間隔L1、L2は、PC床版2Aの形状、重量、このPC床版2A上に走行、或いは設置される機器・設備の重量、及び地下ピット3の高さ等の条件に応じて適宜設定される。本実施の形態では、例えば断面の一辺が70cmのものが採用されている。例えば、柱材31には、上端面31aに突出するアンカーボルト(図示省略)が埋設されており、これらアンカーボルトを使用して桁材32がボルト締結により着脱可能に取り付けられている。
桁材32は、柱材31の辺寸法より小さい30cmの幅で、高さが40cmのH形鋼が用いられ、長さ寸法が例えば柱材31における3スパン分の長さ寸法となっている。つまり、柱材31の配置間隔L1、L2が4mである場合に、長さ寸法が12mの桁材32が使用される。なお、柱材31の高さ寸法や桁材32の長さ寸法に制限はなく、任意に設定することができる。桁材32は、柱材31の上端面31aより突出する前記アンカーボルトを桁材32の下フランジに形成されるボルト穴(図示省略)を挿通させてナットで締め付けて固定することができる。
このように構成される桁材32にあっては、柱材31からナットを取り外すことで、長手方向の向きを例えば縦方向Yから横方向Xに変更することが可能である。
桁材32の上面には、図3に示すように、桁材32の柱材31上に位置する部分において、平面視で十字状の位置決め片33が突設されている。位置決め片33は、各片の面方向を縦方向Y又は横方向Xに沿うように配置されている。PC床版2Aは、その角部を位置決め片33の十字で形成される凹部に一致させることで所定位置に位置決めされる。
PC床版2Aは、平面視で正方形をなし、一方の対向する2辺がそれぞれ桁材32の上面に載置された状態で支持され、複数が横方向X及び縦方向Yに隙間なく配設されている。
PC床版2Aは、一方の対向する縁部の長さ方向の中央において、コ字状に切り欠かれた切欠き凹部21が形成されている。そして、隣り合うPC床版2Aの切欠き凹部21同士を対向させて一致させることで、地下ピット3内と工場室内空間R(図2参照)とを連通する平面視で略正方形状の開口が形成され、これが後述する床吹出し口8となる。
なお、PC床版2Aは、地下ピット3の施工時において、例えば、現地で製造しても良いし、現地とは別の生産工場などで製造して現地に搬入するようにしても良い。
図4に示すように、床吹出し空調システム1は、地下ピット3内に外気を送り込む外気供給部6と、地下ピット3内を所定温度に設定する空調設備7(ピット内空調部)と、床2に設けられ、地下ピット3内と床2上の工場室内空間Rとを連通する複数の床吹出し口8(図2及び図3参照)と、を備えている。
外気供給部6は、工場10の外(屋外)と地下ピット3内とを連通する外気供給ダクト61を備え、外気供給ダクト61の地下ピット3側の端部が地下ピット3内に設けられる空調設備7の空調機70に接続されている。
空調設備7は、地下ピット3内に配置される上述の空調機70(直接空調機70A、間接空調機70B)と、地下水(以下、井水Wという)を取水するとともに空調機70側へ送られる取水井戸71と、空調機70側から地下水に戻される還元井戸72と、取水井戸71及び還元井戸72の各別と空調機70(間接空調機70B)との間に介在される熱交換器73と、を備えている。
このように本実施の形態による空調設備7では、年間を通じて温度が一定な地下水を利用した構成となっている。
空調機70(70A、70B)は、熱交換器73によって冷却または加熱された井水Wが循環され、通過する空気を冷却または加熱する機能を有している。空調機70は、外気供給ダクト61の端部に接続される直接空調機70Aと、上述したように熱交換器73を介して接続され間接空調機70Bと、を有している。
直接空調機70Aは、取水井戸71及び還元井戸72に接続されており、地下ピット3内に供給される外気を直接、冷却、加熱する。間接空調機70Bは、地下ピット3の全体にわたって複数配置され、地下ピット3内の空気を通過させることで、適宜な温度に調整する。なお、本実施の形態では、外気供給ダクト61の端部に接続される直接空調機70Aにも間接空調機70Bが接続されている。
床吹出し口8は、床2の全面にわたって複数配置され、隣接するPC床版2Aに設けられる切欠き凹部21(図3参照)同士を対向させることで矩形状に形成され、図5(a)、(b)に示すように、複数の床吹出し口8のうちの少なくとも一部には地下ピット3内の空調空気を床2上の工場室内空間R内に吹き上げる吹上げファン81(吹上げ手段)が設けられている。
ここで、図4及び図6に示すように、吹上げファン81を備えた床吹出し口8を第1床吹出し口8Aといい、吹上げファン81が省略された床吹出し口8を第2床吹出し口8Bという。第1床吹出し口8Aでは、吹上げファン81を回転させることによって地下ピット3内の空調空気を、第2床吹出し口8Bよりも高い位置まで吹き上げることができる。なお、図6は、工場10における冷房時の温度状態を示し、色が薄いほど温度が低くなっている。この場合、地下ピット3内を23℃に設定したときに、工場10の天井付近ほど30℃以上の高温になっている。
また、床吹出し口8には、その開口部に沿ってグレーチング82が設けられている。グレーチング82は、格子状に形成され、前記開口部の全体を塞ぐように配置されている。
吹上げファン81は、グレーチング82の下面に固定され、床吹出し口8内に収まる形状の簡易なものである。
次に、上述した床吹出し空調システムの作用について、図面に基づいて説明する。
図4に示すように、本実施の形態では、外気供給ダクト61により地下ピット3内に外気が送り込まれ、地下ピット3内の空気は空調設備7によって所定温度の空調空気に調整される。具体的には、外気供給ダクト61より吸い込まれる外気が外気供給ダクト61の端部に接続される直接空調機70A及び間接空調機70Bを通過して地下ピット3内に導入される。さらに地下ピット3内に複数設けられる間接空調機70Bを通過して空調空気となり、地下ピット3に貯留される。そして、地下ピット3内で温度調整された空調空気は、床吹出し口8から床上の工場室内空間R内に吹き出される。
このとき、図5に示す吹上げファン81が設けられている一部の第1床吹出し口8Aにおいて、吹上げファン81が設けられていない通常の第2床吹出し口8Bに比べて、より高く、かつ大きな吹上げ力で地下ピット3内の空調空気を工場室内空間R内に吹き上げることができる(図6参照)。そのため、冷気が工場室内空間Rの上方に上昇し難い冷房時では、地下ピット3内の冷気が吹出しファン81によって高く吹き上げられることによって、床上の冷却領域の高さを高くすることができる。したがって、居住域(例えば、床から2mの高さ)に限定した効率的な成層空調を行うことができ、本実施の形態のように天井が高く、大空間を有する工場10であっても、効果的な空調を行うことができる。
また、本実施の形態のような工場10などの建物の空間の大きさ、外気温度等の条件に合せて、吹上げファン81による地下ピット3内の空調空気の吹上げ高さや吹上げ力を調整することで、前記冷気領域の高さを任意に変更することができ、条件に合せて効率の良い空調を行うことができる。
さらに、本実施の形態では、地下ピット3上の床2に複数の床吹出し口8を設けた床吹出し空調であり、地下ピット3全体が空調設備7によって調整された空調空気のチャンバーとして機能することから、空調用のダクトを低減することが可能で簡単な空調構造となる。そのため、空調空気の搬送動力を抑え、省電力化を図ることができるとともに、空調設備7を効果的に配置することができる利点がある。
しかも、空調機70を地下ピット3内に設置することができるので、本実施の形態のように工場の場合には、床上の生産装置のレイアウトの自由度を高めることができる。例えば、作業スペースを確保することができ、天井クレーンの稼働領域の拡大を図ることができ、将来的な生産ラインの変更や、機器レイアウトや動線に関して柔軟に対応することができる。
また、本実施の形態では、床2を構成する複数のPC床版2Aが桁材32に対して着脱自在であるので、これらPC床版2Aを適宜取り外して、地下ピット3内の空調設備のレイアウトを容易に変更することができる。そして、PC床版2Aの縁部を切り欠いた部分(切欠き凹部21)を床吹出し口8とすることができるので、床2を設置した後に床吹出し口を設けるような施工は不要となる利点がある。
また、PC床版2A自体が蓄熱効果を有するので、地下ピット3内の温度変化を小さく抑えた床蓄熱空調とすることが可能となる。そのため、例えば夏季における電力のピーク時間帯に空調を停止させた運転ができる利点がある。
また、本実施の形態の床吹出し空調システム1では、ピットが地下に設けられる地下ピット3であり、地下ピット3を構成する躯体(ピット底盤3a及び側壁3b)は、地中熱により年間を通じて安定した温度(例えば14〜18℃程度)であるため、夏季は外気に比べて低温壁として、冬季は高温壁として機能することから、空調効率を向上させることができ、空調の消費電力化を図ることができる。
また、工場10の外装材として、高気密、且つ高断熱な材料を採用することで、工場10への熱負荷を低減し、さらなる省エネルギー化を図るようにしても良い。
上述のように本実施の形態による床吹出し空調システムでは、床下に地下ピット3が配設された大空間を有する工場10において、床下の地下ピット3を用いた簡単な構造とすることで、空調設備を効果的に配置することができるとともに、空調効率を向上させることができる。
次に、上述した実施の形態による床吹出し空調システムの効果を裏付けるために行った実施例について以下説明する。
(実施例)
本実施例では、図7に示すような床吹出し空調システムの解析モデルを作成し、温熱環境シミュレーションを行い、床上の温熱環境を確認した。実施例1は、上述した吹出しファンを使用した冷房時のケースであり、比較例1は吹出しファンを使用しない冷房時のケースであり、実施例2は吹出しファンを使用しない暖房時のケースである。
図7に示す解析モデルは、実施例1のケースにおいて、吹上げファンを備えた第1床吹出し口8Aと、吹上げファンを備えない第2床吹出し口8BとをZ軸方向(紙面で上下方向)に沿って交互に床2に配置している。床下のピット3A内には、適宜な位置に空調機70を配置している。そして、実施例1のシミュレーションでは、ピット3A内の温度を23〜25℃に設定した冷房時において、床吹出し口8A、8Bのそれぞれから所定の吹上げ力、吹上げ高さで吹き出したときの温熱環境を確認した。図8は、実施例1によるシミュレーション結果であって、Z軸方向に沿う縦断面(図7の符号D)を示している。
図8に示すように、実施例1では、吹上げファンを備えた第1床吹出し口8A同士の間の領域においても、床上1.5mの高さで略27.5℃となり、居住域となる2mの高さでも略28℃となっている。さらに床上5mの高さでも略28.5℃であり、その上方においても、段階的に温度上昇していることが確認できる。つまり、建物の空間のうち天井付近になって最高温度31を超えている。なお、このときの第1床吹出し口8Aによる空調空気の吹上げ高さは床上3〜4mである。
次に、図9に示す比較例1について説明する。比較例1は、上述の実施例1と同じ解析モデルを使用し、冷房時で吹上げファンを使用しないケースである。つまり、すべての床吹出し口は第2床吹出し口8Bで自然吹上げによる空調方法を採用したケースである。
この場合の解析結果は、図9に示すように、居住域となる床上2mの高さでは30℃に達しており、さらに、床上3mの高さ以上で最高温度31を超えていることがわかる。このように吹上げファンを用いない自然吹上げのみの空調では、居住域付近まで高温(30°)となっており、実施例1に比べて建物全体としての空調効率が低いことが確認できる。
このように冷却時においては、実施例1のように吹上げファンを使用することで、効果的な空調ができることがわかる。
次に、図10に示す実施例2について説明する。実施例2は、上述の実施例1と同じ解析モデルを使用し、暖房時で吹上げファンを使用しないケースである。実施例2のシミュレーションでは、ピット3A内の温度を20〜22℃、空調機の吹出温度を22℃に設定した暖房時において、すべての床吹出し口は第2床吹出し口8(8B)で自然吹上げ方法としたときの温熱環境を確認した。なお、図10に示すピット3A下の18℃は、躯体表面の温度を示している。
この場合の解析結果は、図10に示すように、外気よりピット3A内の温度が高いので床吹出し口8(8B)から自然吹上げされた空調空気は、建物の天井に向けて上昇するので、建物の空間は居住域を含めて全体的に20〜22℃の温度でほぼ一様になっていることがわかる。
以上、本発明による床吹出し空調システムの実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施の形態では、地下ピット3を有する大空間の工場10を床吹出し空調システム1の適用対象としているが、これに限定されることはなく、例えば音楽ホール、劇場、体育館、スポーツ施設など生産工場以外の建物を対象としてもよい。また、ピットに関しても、地下ピット3であることに制限されることはなく、地上階に設けられるピットでもよいし、多層構造物のうちの一部の階層に設けられるピットであってもよい。
また、本実施の形態では、空調設備7として、取水井戸71、還元井戸72、熱交換器73を設けて地下水(井水)を利用した構成としているが、これに限定されることはなく、一般的な冷房設備、及び暖房設備を用いるようにしても良い。
さらに、床2には、ピット内に通じる床吸込み口が設けられていてもよい。この場合には、床吹出し口8から吹き上げた空調空気を床吸込み口からピット内に戻す空気の循環ができ、床上の居住域の温度を安定させることができる。
また、本実施の形態では、床2として複数のPC床版2Aを桁材32に対して着脱自在に配列しているが、このようなPC床版2Aであることに制限されることはない。また、PC床版2Aに切欠き凹部21を設けているが、この切り欠き部分の形状、大きさ、位置、数量などの構成は、適宜設定することができる。例えば、PC床版2Aの縁部を切り欠く形状ではなく、平面視で中央部分に貫通する貫通孔を床吹出し口としてもかまわない。要は、PC床版2Aを設置したときに、ピット内と床上の空間とが連通する床吹出し口が形成されていれば良いのである。そのため、本実施の形態のように、隣り合うPC床版2Aの切欠き凹部21、21同士を一致させる構成でなく、一方のPC床版2Aの切欠き凹部21のみを床吹出し口としても良い。
さらにまた、第1床吹出し口8Aに設けられる吹上げ手段として、本実施の形態では床吹出し口の開口部の内側に吹上げファン81を設ける構成としているが、他の形態であっても良い。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
1 床吹出し空調システム
2 床
2A PC床版(プレキャストコンクリート床版)
3 地下ピット(ピット)
6 外気供給部
7 空調設備(ピット内空調部)
8 床吹出し口
8A 第1床吹出し口
8B 第2床吹出し口
10 工場(建物)
21 切欠き凹部
31 柱材
32 桁材
61 外気供給ダクト
70 空調機
70A 直接空調機
70B 間接空調機
81 吹上げファン(吹上げ手段)
82 グレーチング
R 工場室内空間
X 幅方向
Y 縦方向

Claims (5)

  1. 床下にピットが配設された大空間を有する建物に設けられる床吹出し空調システムであって、
    前記ピットには鉄筋コンクリート造の複数の柱材が立設され、該柱材の上端面に着脱自在に鉄骨造の桁材が架設され、該桁材上にプレキャストコンクリート床版が着脱自在に配設されることで、床および床下のピットが構築され、
    前記ピット内に外気を送り込む外気供給部と、
    前記ピット内を所定温度に設定するピット内空調部と、
    前記床に設けられ、前記ピット内と床上の空間とを連通する複数の床吹出し口と、
    を備え、
    前記床吹出し口は、前記床の全面にわたって複数配置され、そのうちの少なくとも一部にはピット内の空調空気を床上の前記空間内に吹き上げる吹上げ手段が設けられていることを特徴とする床吹出し空調システム。
  2. 前記ピット内に、前記大空間を空調する空調機が設置されていることを特徴とする請求項1に記載の床吹出し空調システム。
  3. 前記床には、前記ピット内に通じる床吸込み口が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の床吹出し空調システム。
  4. 記床吹出し口は、前記プレキャストコンクリート床版の縁部を切り欠くことで形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の床吹出し空調システム。
  5. 前記ピットは、地中に設けられる地下ピットであることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の床吹出し空調システム。
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