JP6360708B2 - 感温性粘着剤 - Google Patents

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Description

本発明は、所定温度で粘着力が低下する感温性粘着剤に関する。
感温性粘着剤は、側鎖結晶性ポリマーを主成分として含有し、側鎖結晶性ポリマーの融点未満の温度に冷却されると、側鎖結晶性ポリマーが結晶化することによって粘着力が低下する粘着剤である(例えば、特許文献1参照)。
しかし、特許文献1に記載されているような従来の感温性粘着剤は、被着体に貼着した状態で高温雰囲気下に曝されると、融点未満の温度に冷却しても粘着力が十分に低下せず、剥離性に劣る場合があった。
特開平9−251923号公報
本発明の課題は、被着体に貼着した状態で高温雰囲気下に曝された後の剥離性に優れる感温性粘着剤を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、以下の構成からなる解決手段を見出し、本発明を完成するに至った。
(1)側鎖結晶性ポリマーを含有し、前記側鎖結晶性ポリマーの融点未満の温度で粘着力が低下する感温性粘着剤であって、前記側鎖結晶性ポリマーは、分子量分布(Mw/Mn)が2.5以下である、感温性粘着剤。
(2)前記側鎖結晶性ポリマーは、重量平均分子量(Mw)が80万以上である、前記(1)に記載の感温性粘着剤。
(3)貼着した被着体を、180〜220℃の雰囲気温度に曝した後、前記融点未満の温度で取り外す、前記(1)または(2)に記載の感温性粘着剤。
(4)前記融点が、24℃以上であって、200℃の雰囲気温度を経た後の23℃の雰囲気温度におけるポリイミドフィルムに対する180°剥離強度が、1N/25mm以下である、前記(1)〜(3)のいずれかに記載の感温性粘着剤。
(5)前記(1)〜(4)のいずれかに記載の感温性粘着剤からなる、感温性粘着シート。
(6)前記(1)〜(4)のいずれかに記載の感温性粘着剤からなる粘着剤層を、フィルム状の基材の片面または両面に積層してなる、感温性粘着テープ。
本発明によれば、被着体に貼着した状態で高温雰囲気下に曝されたとしても、融点未満の温度に冷却すれば粘着力が十分に低下して優れた剥離性を示すという効果がある。
以下、本発明の一実施形態に係る感温性粘着剤について詳細に説明する。本実施形態の感温性粘着剤は、側鎖結晶性ポリマーを含有する。側鎖結晶性ポリマーは、融点未満の温度で結晶化し、かつ融点以上の温度で相転移して流動性を示すポリマーである。すなわち、側鎖結晶性ポリマーは、温度変化に対応して結晶状態と流動状態とを可逆的に起こすポリマーである。
本実施形態の感温性粘着剤は、融点未満の温度で側鎖結晶性ポリマーが結晶化した際に粘着力が低下する割合で側鎖結晶性ポリマーを含有する。つまり、本実施形態の感温性粘着剤は、側鎖結晶性ポリマーを主成分として含有する。これにより、粘着力を熱によって可逆的に制御することが可能となる。すなわち、被着体から感温性粘着剤を剥離する際には、感温性粘着剤を側鎖結晶性ポリマーの融点未満の温度に冷却すれば、側鎖結晶性ポリマーが結晶化することによって粘着力が低下する。また、感温性粘着剤を側鎖結晶性ポリマーの融点以上の温度に加熱すれば、側鎖結晶性ポリマーが流動性を示すことによって粘着力が回復するので、繰り返し使用することができる。
融点とは、ある平衡プロセスにより、最初は秩序ある配列に整合されていた重合体の特定部分が無秩序状態となる温度を意味し、示差熱走査熱量計(DSC)により10℃/分の測定条件で測定して得られる値のことを意味するものとする。融点としては24℃以上であるのが好ましく、24〜60℃であるのがより好ましく、45〜60℃であるのがさらに好ましい。融点を所定の値とするには、側鎖結晶性ポリマーの組成等を変えることによって任意に行うことができる。
側鎖結晶性ポリマーは、側鎖結晶性ポリマーを構成するモノマー(以下、「モノマー」と言うことがある。)を重合させて得られる重合体からなる。モノマーとしては、例えば炭素数16以上の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレート、炭素数1〜6のアルキル基を有する(メタ)アクリレート、極性モノマー等が挙げられる。
炭素数16以上の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えばセチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート等の炭素数16〜22の線状アルキル基を有する(メタ)アクリレートが挙げられ、炭素数1〜6のアルキル基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられ、極性モノマーとしては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和モノマー;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基を有するエチレン性不飽和モノマー等が挙げられ、これらは1種または2種以上を混合して用いてもよい。(メタ)アクリレートとは、アクリレートまたはメタクリレートのことを意味するものとする。
モノマーの重合割合としては、炭素数16以上の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートを30〜100重量部、炭素数1〜6のアルキル基を有する(メタ)アクリレートを0〜70重量部、極性モノマーを0〜10重量部とするのが好ましい。
ここで、上述したモノマーの重合体からなる本実施形態の側鎖結晶性ポリマーは、分子量分布(Mw/Mn)が2.5以下であり、好ましくは2.4以下であり、より好ましくは2.3以下である。このような構成によれば、被着体に貼着した状態で高温雰囲気下に曝されたとしても、融点未満の温度に冷却すれば粘着力が十分に低下して優れた剥離性を示すことが可能となる。なお、分子量分布(Mw/Mn)の下限値は、本実施形態の効果が得られる限り、特に限定されない。
上述した効果が得られる理由としては、次の理由が推察される。すなわち、感温性粘着剤を被着体に貼着した状態で高温雰囲気下に曝すと凝集力が低下して流動し、被着体表面に存在する微細な凹凸形状によく追従するようになる。この傾向は、180〜220℃の雰囲気温度において顕著である。そして、被着体表面の凹凸形状に追従した状態の感温性粘着剤を融点未満の温度に冷却すると、側鎖結晶性ポリマーが結晶化することによっていわゆるアンカー効果が発現し、これに伴って感温性粘着剤の粘着力が初期粘着力よりも高くなる。このような理由に起因して、従来の感温性粘着剤では、高温雰囲気下に曝された後に剥離不良を生じていたものと推察される。特に、分子量分布(Mw/Mn)が広く、低分子量成分が多い場合には、高温で凝集力が低下し易く、流動によるアンカー効果が強くなる傾向にある。
本実施形態の側鎖結晶性ポリマーは、上述のとおり、分子量分布(Mw/Mn)が2.5以下であることから、分子量分布の幅が狭く、低分子量成分が少ない。したがって、本実施形態の感温性粘着剤は、被着体に貼着した状態で高温雰囲気下に曝されたとしても、高温での流動性の増加が少なく、結果として融点未満の温度に冷却されたときに極端なアンカー効果が発現し難くい。それゆえ、本実施形態の感温性粘着剤は、被着体に貼着した状態で高温雰囲気下に曝されたとしても、融点未満の温度に冷却すれば粘着力が十分に低下し、優れた剥離性を示すことができるものと推察される。
具体例を挙げると、側鎖結晶性ポリマーの融点が24℃以上であるとき、本実施形態の感温性粘着剤によれば、200℃の雰囲気温度を経た後の23℃の雰囲気温度におけるポリイミドフィルムに対する180°剥離強度を1N/25mm以下、好ましくは0.5N/25mm以下にすることができる。180°剥離強度は、JIS Z0237に準じて測定して得られる値である。
また、本実施形態の側鎖結晶性ポリマーは、重量平均分子量(Mw)が80万以上であるのが好ましく、100万以上であるのがより好ましく、130万以上であるのがさらに好ましい。重量平均分子量(Mw)の上限値としては、300万であるのが好ましく、200万であるのがより好ましく、150万であるのがさらに好ましい。これにより、180〜220℃の雰囲気温度における耐熱性を向上させることができる。重量平均分子量(Mw)は、側鎖結晶性ポリマーをゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、得られた測定値をポリスチレン換算して得られる値である。分子量分布(Mw/Mn)は、式:重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)から算出される値である。数平均分子量(Mn)は、重量平均分子量(Mw)と同様にGPCの測定値をポリスチレン換算して得られる値である。
モノマーの重合方法としては、分子量分布(Mw/Mn)を2.5以下にできる限り、特に限定されるものではないが、リビングラジカル重合によって行うのが好ましい。これにより、分子量分布を比較的簡単に制御することができる。したがって、本実施形態の側鎖結晶性ポリマーは、モノマーをリビングラジカル重合させて得られる重合体からなるのが好ましい。
本実施形態のリビングラジカル重合は、モノマーに対して光重合開始剤および可逆的連鎖移動剤を添加することによって行う。光重合開始剤としては、例えば2,2’−Azobis(2.4−dimethylvaleronitrile)[2,2’−アゾビス(2.4−ジメチルバレロニトリル)]、2,2’−Azobisisobutyronitrile[2,2’−アゾビスイソブチロニトリル]等のアゾ系光重合開始剤や、アルキルフェノン系光重合開始剤等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。可逆的連鎖移動剤としては、例えばBis(benzylsulfonyl)methanethione[ビス(ベンジルスルフォニル)メタンチオン]等のRAFT剤や、Diphenyltellurium[ジフェニルテルリド]等の有機テルル化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
光重合開始剤および可逆的連鎖移動剤の添加量としては、モル比で、モノマー:光重合開始剤:可逆的連鎖移動剤=100:0.0001〜0.01:0.001〜0.02であるのが好ましいが、これに限定されるものではない。
リビングラジカル重合は、無溶媒または溶媒中で行うことができる。溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、ヘプタン等の炭化水素類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;メタノール、エタノール、2−プロパノール、イソプロパノール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール類;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類;エチレンカーボネート等のカーボネート類;ジメチルアセトアミド等が挙げられ、これらは1種または2種以上を混合して用いてもよい。
リビングラジカル重合を溶媒中で行う場合には、固形分濃度を10〜60重量%にするのが好ましく、30〜50重量%にするのがより好ましい。
リビングラジカル重合は、不活性雰囲気下で行うのが好ましく、例えばアルゴンガス、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下や、凍結乾燥して反応系から酸素を除去した状態等で行うのが好ましい。
リビングラジカル重合の反応温度としては、40〜70℃であるのが好ましく、50〜60℃であるのがより好ましい。リビングラジカル重合の反応時間は、特に限定されない。
ここで、上述したリビングラジカル重合は、モノマーに紫外線を照射した後に行うのが好ましい。これにより、ラジカルの停止反応を抑制することができ、かつ重合反応を促進させることができるので、分子量分布の拡大を抑制しつつ比較的短時間で重合率を向上させて高分子量の側鎖結晶性ポリマーを得ることができる。したがって、本実施形態の側鎖結晶性ポリマーは、モノマーに紫外線を照射した後、モノマーをリビングラジカル重合させて得られる重合体からなるのが好ましい。
紫外線照射条件としては、上述した効果が得られる限り、特に限定されるものではないが、次のような条件を採用するのが望ましい。紫外線量としては、1〜30mW/cm2であるのが好ましく、1〜20mW/cm2であるのがより好ましく、5〜15mW/cm2であるのがさらに好ましい。紫外線照射時間としては、1〜60秒であるのが好ましく、5〜30秒であるのがより好ましく、10〜20秒であるのがさらに好ましい。
紫外線は、モノマーに断続的に照射するのが好ましい。紫外線を断続的に照射すると、モノマーに紫外線を照射することによる上述した効果が向上する傾向にある。モノマーに紫外線を断続的に照射する場合には、照射時間の合計時間が、上述した紫外線照射時間になるのが好ましい。また、モノマーに紫外線を断続的に照射する場合、1回あたりの紫外線照射時間としては、1〜20秒であるのが好ましく、1〜10秒であるのがより好ましく、4〜6秒であるのがさらに好ましい。モノマーに紫外線を断続的に照射する場合、紫外線照射の間隔としては、1〜20秒であるのが好ましく、5〜15秒であるのがより好ましい。なお、紫外線は、モノマーに連続的に照射することもできる。
モノマーを攪拌手段によって攪拌状態とし、攪拌状態のモノマーに紫外線を照射するのが好ましい。攪拌手段としては、例えば撹拌子、攪拌機等が挙げられるが、モノマーを攪拌状態にできる限りこれらに限定されるものではない。また、攪拌速度についても、特に限定されるものではなく、適宜設定することができる。
一方、本実施形態の感温性粘着剤の使用形態としては、特に限定されるものではなく、例えば被着体に直接塗布して使用してもよいし、基材レスのシート状の形態で使用してもよい。感温性粘着剤を感温性粘着シートとして使用する場合には、その厚さが5〜100μmであるのが好ましく、10〜60μmであるのがより好ましい。
また、本実施形態の感温性粘着剤は、テープ状の形態で使用することもできる。感温性粘着剤を感温性粘着テープとして使用する場合には、感温性粘着剤からなる粘着剤層を、フィルム状の基材の片面または両面に積層すればよい。フィルム状とは、フィルム状のみに限定されるものではなく、本実施形態の効果を損なわない限りにおいて、フィルム状ないしシート状をも含む概念である。
基材の構成材料としては、例えばポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンエチルアクリレート共重合体、エチレンポリプロピレン共重合体、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂が挙げられる。
基材は、単層体または複層体のいずれであってもよく、その厚さとしては、通常、5〜500μm程度である。基材には、粘着剤層に対する密着性を高める上で、例えばコロナ処理、プラズマ処理、ブラスト処理、ケミカルエッチング処理、プライマー処理等の表面処理を施すことができる。
基材の片面または両面に粘着剤層を設けるには、感温性粘着剤に溶剤を加えた塗布液を、コーター等によって基材の片面または両面に塗布して乾燥させればよい。コーターとしては、例えばナイフコーター、ロールコーター、カレンダーコーター、コンマコーター、グラビアコーター、ロッドコーター等が挙げられる。
粘着剤層の厚さとしては、5〜60μmであるのが好ましく、10〜60μmであるのがより好ましく、10〜50μmであるのがさらに好ましい。片面の粘着剤層の厚さと、他面の粘着剤層の厚さは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
なお、本実施形態では、片面の粘着剤層が感温性粘着剤からなる限り、他面の粘着剤層は特に限定されない。他面の粘着剤層を、例えば感温性粘着剤からなる粘着剤層で構成する場合、その組成は、片面の粘着剤層の組成と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
また、他面の粘着剤層を、例えば感圧性接着剤からなる粘着剤層で構成することもできる。感圧性接着剤は、粘着性を有するポリマーであり、例えば天然ゴム接着剤、合成ゴム接着剤、スチレン/ブタジエンラテックスベース接着剤、アクリル系接着剤等が挙げられる。
上述した感温性粘着シートおよび感温性粘着テープの表面には、離型フィルムを積層するのが好ましい。離型フィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート等からなるフィルムの表面に、シリコーン等の離型剤を塗布したもの等が挙げられる。また、上述した感温性粘着剤、感温性粘着シートおよび感温性粘着テープには、例えば架橋剤、粘着付与剤、可塑剤、老化防止剤、紫外線吸収剤等の各種の添加剤を添加することができる。
上述した本実施形態の感温性粘着剤の用途としては、特に限定されるものではないが、貼着した被着体を、180〜220℃の雰囲気温度に曝した後、融点未満の温度で取り外す分野の粘着剤として好適に使用することができる。雰囲気温度がこのような高温雰囲気になり易い分野としては、例えば平板表示装置等の分野が挙げられる。平板表示装置としては、例えば液晶表示装置、有機発光表示装置等が挙げられる。
以下、合成例および実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。なお、以下の説明で「部」は重量部を意味する。
(合成例1)
まず、日油社製のベヘニルアクリレートを45部、日本触媒社製のメチルアクリレートを50部、日油社製の2−ヒドロキシエチルアクリレートを5部の割合で混合してモノマー混合物(A)を得た。
次に、得られたモノマー混合物(A)に光重合開始剤および可逆的連鎖移動剤を添加してモノマー混合物(B)を得た。添加した光重合開始剤、可逆的連鎖移動剤および添加量は、以下のとおりである。
光重合開始剤:2,2’−Azobis(2.4−dimethylvaleronitrile)である和光純薬工業社製のアゾ系光重合開始剤「V−65」
可逆的連鎖移動剤:Bis(benzylsulfonyl)methanethioneであるSTREM CHEMICALS社製のRAFT剤「BBSMT」
添加量:モル比で、モノマー混合物(A):光重合開始剤:可逆的連鎖移動剤=100:0.001:0.009(20000:0.2:1.8)
次に、モノマー混合物(B)を、酢酸エチル:ヘプタン=7:3(重量比)の混合溶媒で固形分濃度が40重量%になるように調整して混合液を得た。得られた混合液を、撹拌子を備えた100mLシュレンクチューブに収容し、凍結乾燥した後、ガス導入管から窒素ガスを導入して混合液中の酸素を充分除去して窒素ガス雰囲気下にした。さらに、マグネチックスターラーによって撹拌子を回転数400rpmの攪拌状態にした。
攪拌状態の混合液に紫外線を照射した。紫外線照射条件は、以下のとおりである。
紫外線照射装置:アズワン社製の「HLR100T−2/HB100A−1」
紫外線量:10mW/cm2
紫外線照射方法:断続的に照射
紫外線照射時間:5秒照射を10秒間隔で3回、計15秒間照射
混合液の温度:30℃
備考:反応容器の側壁と紫外線ランプ球との間の距離を約5cmに設定し、紫外線ランプ球を反応容器の側壁に向けて室温(23℃)で紫外線照射した。なお、側鎖結晶性成分を溶解させるため、混合液の温度は30℃の加温状態にした。
最後に、紫外線を照射した混合液を30℃から60℃に昇温し、60℃で500時間撹拌することによって各モノマーをリビングラジカル重合し、側鎖結晶性ポリマーの溶液を得た。
(合成例2)
光重合開始剤として、2,2’−Azobis(2.4−dimethylvaleronitrile)に代えて、2,2’−Azobisisobutyronitrileである関東化学社製のアゾ系光重合開始剤「AIBN」を使用し、添加量をモル比で、モノマー混合物(A):光重合開始剤:可逆的連鎖移動剤=100:0.002:0.009(20000:0.3:1.7)にした以外は、上述した合成例1と同様にしてモノマー混合物(A),(B)、混合液をこの順に得、混合液を60℃で260時間撹拌することによって各モノマーをリビングラジカル重合し、側鎖結晶性ポリマーの溶液を得た。
(比較合成例1)
まず、上述した合成例1と同様にしてモノマー混合物(A)を得た。次に、モノマー混合物(A)に重合開始剤として日油社製の「パーブチルND」を0.1部の割合で混合し、これらを酢酸エチル:ヘプタン=7:3(重量比)の混合溶媒で固形分濃度が30重量%になるように調整して混合液を得た。
そして、得られた混合液を55℃で4時間撹拌した後、重合開始剤として日油社製の「パーブチルPV」を0.5部の割合でさらに添加し、80℃で2時間撹拌することによって各モノマーをフリーラジカル重合し、側鎖結晶性ポリマーの溶液を得た。
(比較合成例2)
まず、上述した合成例1と同様にしてモノマー混合物(A)を得た。次に、モノマー混合物(A)に重合開始剤として日油社製の「パーブチルND」を0.1部の割合で混合し、これらを酢酸エチル:ヘプタン=7:3(重量比)の混合溶媒で固形分濃度が40重量%になるように調整して混合液を得た以外は、上述した比較合成例1と同様にして各モノマーをフリーラジカル重合し、側鎖結晶性ポリマーの溶液を得た。
合成例1〜2および比較合成例1〜2の各側鎖結晶性ポリマーを表1に示す。なお、重量平均分子量(Mw)は、側鎖結晶性ポリマーをGPCで測定し、得られた測定値をポリスチレン換算することによって得た。数平均分子量(Mn)は、重量平均分子量(Mw)と同様にGPCの測定値をポリスチレン換算することによって得た。分子量分布(Mw/Mn)は、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)とを、式:重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)に当てはめて算出した。融点は、側鎖結晶性ポリマーをDSCで10℃/分の測定条件で測定することによって得た。
Figure 0006360708
[実施例1〜2および比較例1〜2]
<感温性粘着テープの作製>
まず、合成例1〜2および比較合成例1〜2で得られた各側鎖結晶性ポリマーをトルエンによって固形分濃度が25重量%となるように調整し、塗布液を得た。次に、塗布液を厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートからなるフィルム状の基材の片面に塗布して乾燥し、厚さ20〜30μmの粘着剤層が形成された感温性粘着テープを得た。
<評価>
得られた感温性粘着テープについて、180°剥離強度を評価した。評価方法を以下に示すとともに、その結果を表2に示す。
(180°剥離強度)
得られた感温性粘着テープについて、80℃、200℃および23℃の各雰囲気温度におけるポリイミドフィルムに対する180°剥離強度をJIS Z0237に準拠して測定した。具体的には、以下の条件で感温性粘着テープを厚さ25μmのポリイミドフィルムに貼着した後、ロードセルを用いて300mm/分の速度で180°剥離した。
[80℃]
80℃の雰囲気温度で感温性粘着テープをポリエチレンテレフタレートフィルムに貼着し、この雰囲気温度で20分間静置した後、180°剥離した。
[200℃]
80℃の雰囲気温度で感温性粘着テープをポリエチレンテレフタレートフィルムに貼着し、雰囲気温度を200℃に上げ、この雰囲気温度で20分間静置した後、180°剥離した。
[23℃]
80℃の雰囲気温度で感温性粘着テープをポリエチレンテレフタレートフィルムに貼着し、雰囲気温度を200℃に上げ、この雰囲気温度で20分間静置した後、雰囲気温度を23℃に下げ、この雰囲気温度で20分間静置した後、180°剥離した。
Figure 0006360708
表2から明らかなように、側鎖結晶性ポリマーの分子量分布(Mw/Mn)が2.5以下である実施例1および実施例2は、200℃の雰囲気温度を経た後の23℃において粘着力が十分に低下しているのがわかる。また、重量平均分子量(Mw)が80万以上である実施例1および実施例2は、200℃における180°剥離強度の値が高いことから、耐熱性に優れているのがわかる。特に、重量平均分子量(Mw)の大きい実施例1は、80℃の初期強度に対する200℃の強度低下率が実施例2よりも少ない結果を示した。具体的に説明すると、80℃の初期強度に対する200℃の強度低下率(%)を式:〔1−(200℃における180°剥離強度/80℃における180°剥離強度)〕×100から算出すると、実施例1は48%、実施例2は58%であった。なお、比較例2は、重量平均分子量(Mw)が80万以上であるものの、200℃における180°剥離強度の値が実施例1および実施例2よりも低い結果を示した。これは、分子量分布(Mw/Mn)が2.5よりも大きいことに起因しているものと推察される。

Claims (6)

  1. 少なくとも炭素数16以上の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートの重合体からなる側鎖結晶性ポリマーを含有し、前記側鎖結晶性ポリマーの融点未満の温度で粘着力が低下する感温性粘着剤であって、
    前記側鎖結晶性ポリマーは、分子量分布(Mw/Mn)が2.5以下であるとともに、重量平均分子量(Mw)が80万以上であり、
    前記融点が、24℃以上であって、200℃の雰囲気温度を経た後の23℃の雰囲気温度におけるポリイミドフィルムに対する180°剥離強度が、1N/25mm以下である、感温性粘着剤。
  2. 前記側鎖結晶性ポリマーは、重量平均分子量(Mw)が130万以上である、請求項1に記載の感温性粘着剤。
  3. 貼着した被着体を、180〜220℃の雰囲気温度に曝した後、前記融点未満の温度で取り外す、請求項1または2に記載の感温性粘着剤。
  4. 前記180°剥離強度が、0.5N/25mm以下である、請求項に記載の感温性粘着剤。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の感温性粘着剤からなる、感温性粘着シート。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載の感温性粘着剤からなる粘着剤層を、フィルム状の基材の片面または両面に積層してなる、感温性粘着テープ。
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