JP2005112980A - リビングラジカル重合開始剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】
本発明が解決しようとする課題は、幅広いラジカル重合性単量体に適応可能で、得られる重合体中に金属を含むことがなく、分子量の制御され、且つ従来より高分子量の重合体を得ることのできるリビングラジカル重合開始剤を提供することである。
【解決手段】
本発明は、一般式(A)で示されるリビングラジカル重合開始剤に関するものであり、かかるリビングラジカル重合開始剤を使用することで、前記課題を解決することができる。
一般式(A)
Figure 2005112980

【選択図】 なし

Description

本発明は、新規で有用なリビングラジカル重合開始剤、及び該リビングラジカル重合開始剤をもちいて重合体を製造する方法に関する。
従来、重合体の製造方法としては、ラジカル重合法が工業的に広く利用されている。ラジカル重合法は、ラジカルを発生させる重合開始剤の存在下、ラジカル重合性単量体を重合させる方法であるが、重合の停止や連鎖移動等により副反応を起こしやすいという問題がある。
そこで近年、リビングラジカル重合法が注目されている。リビングラジカル重合法によれば、重合反応中に停止反応や連鎖移動を起こすことがなく重合体を製造することができる。また、得られる重合体の末端が、活性を保持していることから、該重合体にラジカル重合性単量体を添加すると、再び重合反応を進行させることができる。以上の特徴を利用することで、より付加価値の高い機能を有する重合体の合成が期待されており、得られる重合体の分子量分布などをより容易に制御できるようなリビングラジカル重合開始剤等の研究が行われている。
かかるリビングラジカル重合開始剤としては、例えば、一般的にイニファータと呼ばれる各種N,N−ジエチルジチオカーバメート誘導体が、大津らによって報告されている(例えば、非特許文献1参照。)。前記誘導体から生成する安定ラジカルは、ラジカル重合性単量体を用いて得られる重合体の末端に生成するラジカルと反応し、該重合体の末端を一旦不活性なものにする。しかし、前記誘導体から生成する安定ラジカルは、熱や光により前記重合体末端から解離して、重合体の末端にラジカルを再生し、該末端から再びラジカル重合性単量体を重合させることができる。
これにより、各種ラジカル重合性単量体をリビングラジカル重合させることができるようになり、例えば、ブロック、グラフト、スターポリマー等といった様々な重合体を得ることができるようになった。しかし、前記誘導体から生成する安定ラジカルと重合体末端に生成するラジカルとの結合・解離は、必ずしも十分に進行しないことから、得られる重合体の分子量分布は、決して狭いといえるものではなく、前記したリビングラジカル重合開始剤では、得られる重合体の分子量分布などを制御することに限界がある。
そこで、リビングラジカル重合開始剤として有機金属錯体と有機ハロゲン化合物の混合物を用いる原子移動ラジカル重合(以下、ATRPと省略。)法や、リビングラジカル重合開始剤として2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ(以下、TEMPOと省略。)を適用することで、従来よりも分子量分布の狭い重合体が得られることが報告されている(例えば、非特許文献2,3参照。)。しかし、リビングラジカル重合開始剤としてTEMPOを用いる場合、スチレン誘導体以外のラジカル重合性単量体をリビングラジカル重合させることができず、また、ATRP法を適用する場合、得られる重合体中に重合開始剤由来の金属(例えば、銅、ルテニウム、ニッケル、鉄)が残留し、重合体を着色させることが多く、これらの金属を除去する工程は、まだ技術的に確立されていない。
一方で、各種重合開始剤に、前記N,N−ジエチルジチオカーバメート誘導体を連鎖移動剤として併用し、ラジカル重合性単量体をリビングラジカル重合させる方法(可逆的付加開裂連鎖移動重合、以下、RAFTと省略。)が報告されている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、この方法による重合反応は、連鎖移動機構であることから、得られる重合体の重量平均分子量が約60000程度までは、分子量分布を狭く制御することができるものの、重合体の該分子量が、前記した重量平均分子量よりも高分子量になると、その分子分布の制御が必ずしも十分にできなくなる。
従来より、少しでも高分子量で分子量分布の制御された重合体を製造することができれば、各種用途に適用可能な、より付加価値の高い機能を有する重合体を見出すことができると考え、各種分野で検討されているが、その両方を十分に満たす重合体の製造方法及びそれに使用できるリビングラジカル重合開始剤は、未だ見出されていない。
本発明が解決しようとする課題は、幅広いラジカル重合性単量体に適応可能で、得られる重合体中に金属を含むことがなく、分子量の制御され、且つ従来より高分子量の重合体を得ることのできるリビングラジカル重合開始剤を提供することである。
また、本発明が解決しようとする課題は、前記リビングラジカル重合開始剤を使用して各種ラジカル重合性単量体をリビングラジカル重合させ、重合体やブロック共重合体を製造する方法を提供することである。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、従来から知られているN,N−ジエチルジチオカーバメート誘導体とは異なる、一般式(A)の様に、Xがカルボキシル基、−CHCHCOOH基又はそれらの塩である誘導体をリビングラジカル重合開始剤として用いると、従来より高分子量である重合体を製造した場合、その分子量分布を狭く制御できることを見出した。
すなわち、本発明は、一般式(A)で示される、リビングラジカル重合開始剤に関するものであり、好ましくは、一般式(A)のR及びRがメチル基で、Rがエチル基で、Xがカルボキシル基であるリビングラジカル重合開始剤であり、好ましくは、一般式(A)のR及びRがメチル基で、Rがエチル基で、Xがカルボキシル基の塩であるリビングラジカル重合開始剤であり、好ましくは、Rがメチル基で、Rがエチル基で、Rがシアノ基(−CN基)で、Xが−CHCHCOOHの塩であるリビングラジカル重合開始剤に関するものである。
Figure 2005112980
一般式(A)
[式中、Rは水素原子又はメチル基であり、Rはメチル基又はエチル基であり、Rは水素原子、メチル基又はシアノ基であり、Xはカルボキシル基、−CHCHCOOH基又はそれらの塩である。]
また、本発明は、前記リビングラジカル重合開始剤の存在下、少なくとも1種のラジカル重合性単量体リビングラジカル重合させることを特徴とする重合体の製造方法に関するものである。
本発明のリビングラジカル重合によれば、従来より高分子量の重合体を製造しても、かかる重合体の分子量分布を狭く制御することのできる。
以下に、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明のリビングラジカル重合開始剤は、一般式(A)
Figure 2005112980
一般式(A)
[式中、Rは水素原子又はメチル基であり、Rはメチル基又はエチル基であり、Rは水素原子、メチル基又はシアノ基であり、Xはカルボキシル基、−CHCHCOOH基又はそれらの塩である。]
で示されるN,N−ジアルキルジチオカーバメート誘導体であり、光照射、超音波照射又は加熱によりラジカルを発生させることができる。
一般式(A)で示すリビングラジカル重合開始剤のXは、カルボキシル基、−CHCHCOOH基又はそれらの塩である必要があり、Xがかかる官能基であることで、Xの結合しているC原子と、隣接するS原子との結合エネルギーを低下させ、該C原子とS原子との結合を解離させやすくすることができる。その結果、前記リビングラジカル重合開始剤から・SC(=S)NR ラジカルとR(R)(X)C・ラジカルが生じ、該ラジカルの間で前記ラジカル重合性単量体を重合させることができる。
このN,N−ジアルキルジチオカーバメート誘導体は、例えば、2−ブロモ−イソブタン酸及び/又は2−ブロモ−酢酸をアセトン等の有機溶剤に溶解させ、この溶液にN,N−ジアルキルジチオカーバメートのナトリウム塩を加え、加熱、撹拌した後、析出した臭化ナトリウムを濾過し、精製することで製造することができる。なお、前記した加熱、撹拌は、30〜60℃で8時間程度行うことが好ましい。
精製は、例えば、前記した臭化ナトリウムを濾過した後、アセトン等の有機溶剤を減圧蒸留などの方法で留去して得られた残渣に、ベンゼン及び水を混合することで水溶性成分を取り除き、有機溶剤を揮発させ、さらに、得られた残渣をシリカカラムクロマトグラフィ(ジクロロメタン/ヘキサン=3/1)にて精製する方法が挙げられ、これにより本発明の2−(N,N−ジエチルジチオカーバミル)イソブタン酸の白色粉末を収率良く製造することができる。
前記2−ブロモ−イソブタン酸、2−ブロモ−酢酸のうち、2−ブロモ−イソブタン酸を使用することが好ましい。
前記N,N−ジアルキルジチオカーバメートのナトリウム塩としては、N,N−ジメチルジチオカーバメートのナトリウム塩、N,N−ジエチルジチオカーバメートのナトリウム塩が挙げられるが、N,N−ジエチルジチオカーバメートのナトリウム塩を使用することが好ましい。
前記有機溶剤としては、例えば、アセトン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、トルエン等が挙げられる。
本発明のリビングラジカル重合開始剤のうち、特に一般式(A)中のR及びRがメチル基で、Rがエチル基で、Xがカルボキシル基又はその塩であるものを使用することが好ましく、かかるリビングラジカル重合開始剤を使用することで、幅広い種類のラジカル重合性単量体をリビングラジカル重合させることができ、且つ、得られる重合体の分子量、分子量分布等の制御をより容易に行うことができる。
また、本発明のリビングラジカル重合開始剤としては、Rがメチル基、Rがエチル基、Rがシアノ基、且つ、Xが−CHCHCOOH基であるものを使用することが、かかるリビングラジカル重合開始剤の水性媒体に対する親媒性の観点から好ましい。
がメチル基、Rがエチル基、Rがシアノ基、且つ、Xが−CHCHCOOH基であるリビングラジカル重合開始剤は、例えば、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)とテトラエチルチウラムジスルフィドとをメタノールなどの溶剤中に一括又は別々に滴下し、加熱、撹拌することで製造することができる。このとき、加熱は、60〜80℃で24時間行うことが好ましい。
このとき得られたリビングラジカル重合開始剤は、前記と同様の方法で精製することができるが、好ましくはメタノール存在下で再結晶化させ、精製することで白色粉末を収率良く製造することができる。
一般式(A)で示されるリビングラジカル重合開始剤中のカルボキシル基又は−CHCHCOOH基は、カルボキシル基の塩又は−CHCHCOOH基の塩であっても良く、例えば、塩基性化合物を用いることでカルボキシル基の塩又は−CHCHCOOH基の塩とすることができる。
塩基性化合物としては、特に制限されるものではないが、例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどのような各種の無機塩基;モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノプロピルアミン、イソブチルアミン、またはジプロピルアミンのような各種のアルキルアミンなどをはじめ、さらには、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンのような各種のアミノアルコール類、またはモルホリンなどのような各種の有機アミン類;あるいはアンモニアなどが挙げられる。
かくして得られる本発明のリビングラジカル重合開始剤は、例えば、熱、光、超音波等でラジカルを発生させることができ、これらを二種以上組み合わせて適用してもラジカルを発生させることができる。
本発明のリビングラジカル重合開始剤からラジカルを発生させるには、熱の場合、25〜150℃で加熱するのが好ましく、80〜90℃で1〜100時間程度加熱することがより好ましい。また、光照射の場合、例えば、30℃で250W超高圧水銀灯の強度20〜60mW/cmを照射することが好ましく、超音波照射の場合、例えば70℃で20〜40Hzを照射することが好ましい。
次に、本発明のリビングラジカル重合開始剤を用いて、重合体を製造する方法について説明する。
本発明は、前記リビングラジカル重合開始剤、及び、少なくとも1種のラジカル重合性単量体を含有してなる混合物に光照射、超音波照射又は前記混合物を加熱等することで、前記ラジカル重合性単量体をリビングラジカル重合させることを特徴とする重合体の製造方法であり、かかる方法によれば、従来より高分子量であっても、その分子量分布が狭く制御された重合体を得ることができる。
本発明のリビングラジカル重合開始剤でリビングラジカル重合させることのできるラジカル重合性単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のメタクリル酸エステル類;クロトン酸メチル、クロトン酸エチル等のクロトン酸エステル類;
スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等、第3級カルボン酸ビニル等のビニルエステル類;
ビニルピロリドン等の複素環式ビニル化合物;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等のハロゲン化オレフィン類;エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;メチルビニルケトン等のビニルケトン類;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン類;
アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアノ基含有単量体;ブタジエン、イソプレン等のジエン類;アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイン酸アミド、ジアセトンアクリルアミド等のアミド基含有単量体類;
メタクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有単量体;
アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸モノn−ブチル、フマル酸モノn−ブチル、イタコン酸モノn−ブチル、クロトン酸等の、一般式(A)に表されるカルボキシル基含有単量体以外のカルボキシル基含有単量体;
(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、アクリル酸(2−ヒドロキシメチル)エチル、アクリル酸(2−ヒドロキシメチル)ブチル、(メタ)アクリル酸(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチル、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートなどの水酸基を含有する(メタ)アクリル酸エステル類;アリルアルコール、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル等の水酸基を含有するアリル化合物;
2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル等の水酸基を含有するビニルエーテル化合物;N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールクロトン酸アミド等の水酸基を有する不飽和カルボン酸アミド化合物;
リシノール酸等の水酸基含有不飽和脂肪酸類;リシノール酸アルキル等の水酸基含有不飽和脂肪酸エステル類;
水酸基含有モノマーをエチレンオキサイドやプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドと付加反応せしめて得られる単量体等;
メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等の3級アミノ基含有単量体;
ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン等のアルコキシシリル基含有単量体類;
フタル酸ジアリル、ジビニルベンゼン、アクリル酸アリル、トリメチロールプロパントリメタクリレート等の1分子中に2個以上の不飽和結合を有する単量体類などが挙げられ、これらを単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の重合体の製造方法には、例えば、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法等を適用することできる。
溶液重合法を適用する場合は、例えば、有機溶剤に前記したリビングラジカル重合開始剤と前記したラジカル重合性単量体とを一括又は分割滴下し、次いで、得られる混合物を光照射、超音波照射又は加熱することで前記ラジカル重合性単量体をリビングラジカル重合させる方法が挙げられる。このとき、前記混合物を光照射、超音波照射又は加熱する条件としては、本発明のリビングラジカル重合開始剤の説明で記載した条件と同様の範囲内で行うことが好ましい。
かかる有機溶媒としては、例えば、トルエンもしくはキシレンなどのような各種の芳香族系溶剤;アセトン、メチルエチルケトンもしくはメチルイソブチルケトンなどのような各種のケトン系溶剤;エタノール、イソプロパノールもしくはn−ブタノールなどのような各種のアルコール系溶剤;酢酸エチルもしくは酢酸ブチルなどのような各種のエステル系溶剤;またはエチルセロソルブもしくはブチルセロソルブなどのような各種のグルコールエーテル系溶剤などが挙げられる。
乳化重合法を適用する場合は、例えば、水又は必要に応じてアルコールなどのような有機溶剤を含む水性媒体中に乳化剤を添加し溶解させ、加熱、光照射又は超音波照射の下、撹拌しながら前記ラジカル重合性単量体及び前記リビングラジカル重合開始剤を一括仕込み、連続滴下又は分割添加することでラジカル重合性単量体をリビングラジカル重合させる方法が挙げられる。このとき、乳化剤と水とを用いて予め乳化させた各種ラジカル重合性単量体を同様に滴下してもよい。
乳化重合法において加熱によりラジカル重合性単量体を重合させる場合、反応温度は、一般に50〜90℃程度が好ましく、反応時間は、1〜20時間であることが好ましく、光又は超音波照射による場合は、前記した照射条件の範囲内で行うことが好ましい。
乳化重合法で使用することのできる乳化剤としては、一般的な乳化重合法に使用できるものであれば良く、例えば、アニオン性、カチオン性及びノニオン性のいずれの乳化剤も使用することができる。
アニオン性乳化剤としては、例えば、高級アルコールの硫酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル、ポリオキシアルキレン多環フェニルエーテル硫酸エステル、ジアルキルサクシネートスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩等が挙げられる。
カチオン性乳化剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ジアルキルジメチルアンモニウムクロライド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
ノニオン性乳化剤としては、例えばポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレン多環フェニルエーテル等を挙げることができ、これらの1種または2種以上を混合して使用することができる。
また、本発明には、一般的に、反応性乳化剤と称されるラジカル重合性不飽和基を分子内に有する乳化剤も使用することができ、例えば、スルホン酸基またはその塩を有する「ラテムルS−180A」[花王(株)製]または「エレミノールJS−2」[三洋化成(株)製]、硫酸基またはその塩を有する「アクアロンKH−1025」[第一工業製薬(株)製]または「アデカリアソープSR−10」[旭電化工業(株)製]、リン酸基を有する「ニューフロンティアA−229E」[第一工業製薬(株)製]等を挙げることができ、これらの1種または2種以上を混合して使用することができる。
前記乳化剤の使用量は、一般的に乳化重合法において使用されているような量、すなわち、ラジカル重合性単量体の合計100重量部に対し、0.1〜10重量部なる範囲内が好ましく、0.2〜5重量部なる範囲内がより好ましい。
前記乳化重合法により得られた重合体の酸基の一部又は全部を、例えば塩基性化合物で中和させることによって、水性媒体中の重合体をより安定化させることができる。
塩基化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどのような各種の無機塩基;モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノプロピルアミン、イソブチルアミン、またはジプロピルアミンのような各種のアルキルアミンなどをはじめ、さらには、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンのような各種のアミノアルコール類、またはモルホリンなどのような各種の有機アミン類;あるいはアンモニアなどが挙げられ、これらの1種または2種以上の混合物で使用することができる。
本発明の重合体の製造方法で得られる重合体の末端のラジカルには、本発明のリビングラジカル重合開始剤由来の・SC(=S)NR ラジカルが反応し、重合体の末端を一時的に不活性化しているが、この重合体をマクロイニシエーターとして、更にラジカル重合性単量体を加え、光、超音波照射又は加熱すると、前記した・SC(=S)NR ラジカルが解離し、重合体末端のラジカルを元に、後に加えたラジカル重合性単量体を、再びリビングラジカル重合させることができる。
このような特徴を利用して、例えば、1種のラジカル重合性単量体を前記した方法によりリビングラジカル重合させた後、前記したラジカル重合性単量体とは異なる、別の1種のラジカル重合性単量体を加え、再度リビングラジカル重合させることで、A−B型のブロック共重合体を得ることができ、この方法を繰り返し行うことで、例えば、A−B−A、A−B−C等のブロック共重合体を製造することができる。
本発明の重合体の製造方法で使用するリビングラジカル重合開始剤の使用量は、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法いずれの方法の場合も、求める重合体の分子量等に応じて随時調整することができるが、例えば、水や有機溶剤等の溶媒にラジカル重合性単量体、リビングラジカル重合開始剤を添加して得られる混合物中に0.1〜100mmol/Lで有ることが好ましく、1.0〜50mmol/Lであることがより好ましい。
本発明の重合体の製造方法を適用することで、数平均分子量(以下、Mと省略。)が、好ましくは1,000〜500,000、より好ましくは3,000〜100,000であり、且つ分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量:以下、M/Mと省略。)が、好ましくは1.1〜1.9、より好ましくは1.1〜1.7である重合体を得ることができる。
本発明の重合体の製造方法により得られる重合体は、使用したラジカル重合性単量体の種類、重合体の構造、分子量分布等に応じて、例えば、塗料などのコーティング用樹脂、印刷インキ用樹脂、フィルム成形、射出成形などの成形用樹脂、熱可塑性エラストマーなどに利用することができる。
実施例1
2−ブロモ−イソブタンブタン酸(0.1mol)をアセトン(100mL)に溶解し、この溶液にN,N−ジエチルジチオカーバメートのナトリウム塩(0.12mol)を加え、得られた混合液を40℃で8時間攪拌した。その後、析出した臭化ナトリウムをろ過にて取り除き、アセトンを減圧蒸留にて留去した。この残渣をベンゼンに加えて、不溶なN,N−ジエチルジチオカーバメートのナトリウム塩をろ過にて取り除いた。さらに、ベンゼン溶液を水と混合し、水溶性成分を取り除いた後に、有機相を乾燥させた。最後に、この残渣をシリカカラムクロマトグラフィ(ジクロロメタン/ヘキサン=3/1)にて精製し、2−(N,N−ジエチルジチオカーバミル)イソブタン酸(DTCA)を白色粉末(収率95重量%)として得た。得られたDTCAのHNMRによる結果は、H NMR:DMSO、(−d)δ1.15と1.23ppm(q6H,−CH; N,N−ジエチルジチオカーバメート基(以下、DCと省略。)のメチルプロトン)、1.59ppm(s6H,−CH)、3.69と3.88ppm(q 4H,DCの−CH2−)であった。
実施例2
4,4’−アゾビス−4−シアノペンタン酸(0.1mol)及びテトラエチルチウラムジスルフィド(0.1mol)をメタノール(100mL)に溶解し、60℃で24時間攪拌した。その後、メタノールの存在下で再結晶させることで精製し、94%の収率で白色粉末を得た。得られたリビングラジカル重合開始剤のHNMRによる結果は、δ1.15と1.23ppm(q6H,−CH; DCのメチルプロトン)、3.69と3.88ppm(q 4H,DCの−CH−)、1.59ppm(s3H,−CH)、
2.33ppm(m4H、−CH−CH−)
実施例3
メタクリル酸2−ヒドロキシエチル3.0ml(24.1mmol)とエタノール7.0mlを反応管に採取し混合した。この混合溶液に実施例1で得られたDTCA0.028g(0.119mmol)を加えて十分に攪拌し溶解させた後、30℃でUV照射することにより重合反応を開始した(250W 高圧水銀ランプ,ウシオ電機SX−UI250HAMQ; UV強度42mW/cm,照射距離15cm)。90分後にUV照射を中止することにより重合反応を停止させ、n−ヘキサンを加えて重合体を析出させた。メタクリル酸2−ヒドロキシエチルの重合率は46.6%であり、ポリメタクリル酸2−ヒドロキシエチルの数平均分子量(以下、Mnと省略。)は39,800、重量平均分子量(以下、Mwと省略。)は62,100であり、Mw/Mnは1.56であった。
実施例4
メタクリル酸2−ヒドロキシエチル3.0ml(24.1mmol)とエタノール7.0mlを反応管に採取し混合した。この混合溶液に実施例2で得られたリビングラジカル重合開始剤0.028g(0.119mmol)を加えて十分に攪拌し溶解させた後、30℃でUV照射することにより重合反応を開始した(250W 高圧水銀ランプ,ウシオ電機SX−UI250HAMQ; UV強度42mW/cm,照射距離15cm)。90分後にUV照射を中止することにより重合反応を停止させ、n−ヘキサンを加えて重合体を析出させた。メタクリル酸2−ヒドロキシエチルの重合率は52.3%であり、ポリメタクリル酸2−ヒドロキシエチルの数平均分子量(以下、Mnと省略。)は42000、重量平均分子量(以下、Mwと省略。)は55400であり、Mw/Mnは1.32であった。
実施例5
メタクリル酸メチル0.5ml、メタノール2mlとアセトン3mlを反応管に採取し混合した。この混合溶液に、マクロイニシエーターとして、実施例1と同様の方法で合成したポリメタクリル酸2−ヒドロキシエチル(Mn:14,800、Mw:21,100)0.05gを加えて十分に攪拌し溶解させた後に、30℃にて実施例2に記載と同様の条件下でUV照射を2時間行った。その後、n−ヘキサンを加えて重合体を析出させた。得られた重合体のGPC曲線は、マクロイニシエーターであるポリメタクリル酸2−ヒドロキシエチルの単峰性を保持したまま、高分子量側にシフトした。この結果から、ポリメタクリル酸2−ヒドロキシエチルは、重合体末端にN,N−ジエチルジチオカーバメート基を有しており、この重合体に新たなラジカル重合性単量体としてのメタクリル酸メチルを加えUV照射することにより、ポリメタクリル酸2−ヒドロキシエチル部位(A)とポリメタクリル酸メチル部位(B)を有するA−Bブロック共重合体を得ることができた。

Claims (5)

  1. 一般式(A)で示される、リビングラジカル重合開始剤。
    Figure 2005112980
    一般式(A)
    [式中、Rは水素原子又はメチル基であり、Rはメチル基又はエチル基であり、Rは水素原子、メチル基又はシアノ基であり、Xはカルボキシル基、−CHCHCOOH基又はそれらの塩である。]
  2. 前記一般式(A)のR及びRがメチル基であり、Rがエチル基であり、Xがカルボキシル基である、請求項1に記載のリビングラジカル重合開始剤。
  3. 前記一般式(A)のR及びRがメチル基であり、Rがエチル基であり、Xがカルボキシル基の塩である、請求項1に記載のリビングラジカル重合開始剤。
  4. 前記一般式(A)のRがメチル基であり、Rがエチル基であり、Rがシアノ基であり、Xが−CHCHCOOH基である、請求項1に記載のリビングラジカル重合開始剤。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のリビングラジカル重合開始剤の存在下、少なくとも1種のラジカル重合性単量体をリビングラジカル重合させることを特徴とする重合体の製造方法。

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