JP6360314B2 - 即席麺の製造方法 - Google Patents
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一方、即席麺としてうどんも販売されているが、スナック風の手軽さを売りにしたものしか出されておらず、本格的なうどんの代表格である、いわゆる「さぬきうどん」を好む香川県民が納得するようなコシのある即席うどんは製造できていなかった。
しかしながら、特許文献1〜2に記載の方法では、「さぬきうどん」様のコシや食感を得ることはできないものである。
また、このようなコシの強さや食感は、ラーメンやそばにおいても求められていた。
さらに、即席麺では通常、油で短時間揚げることにより水分を除去することにより生産されているが、健康面などから、その揚げ工程を熱風乾燥で置き換えたノンフライ加工のものが製造されている。このノンフライ加工の場合は、さらに大規模の乾燥装置と複雑な工程が必要となるためにさらに製造は困難であり(特許文献3参照。)、そのため、即席うどんの検討などの報告も見られなかった。この麺の乾燥工程にかかる装置等の長さを短くするためにも、即席麺の場合は通常麺にウェーブが付けられている。
しかし、うどんや、生麺などの場合はウェーブがない場合が通常であるので、違和感が持たれており、即席麺でありながら麺にウェーブのない、いわゆる「ストレート麺」の需要も高まっている。いわゆる「ストレート麺」の製造方法としては、麺線の配列方法、切出し方法を改良したことによって、麺のウェーブを無くし、ストレート麺を製造する方法が知られている(特許文献4〜5参照。)。しかしながら、特許文献4〜5に記載の方法は、いわゆる「ストレート麺」を製造するための特別な設備や、広さを持つ施設が必要であり、簡単に製造できるものではなかった。
本発明において、前記麺線化工程後、前記乾燥工程の前に、前記麺線を30〜180秒間蒸煮する蒸煮工程を有することが好ましい。
本発明において、前記蒸煮工程は、過熱蒸気を吹き付けた後、水分を液体で供給して麺線の水分量を上げ、さらに過熱蒸気および/又は飽和蒸気を用いて麺線を加熱する工程を含むことが好ましい。
本発明において、前記即席麺はうどんであることが好ましい。
また、本発明によれば、複雑な工程を経ることなく、ウェーブの少ない麺、いわゆる「ストレート麺」を得ることができる。また、本発明によれば、ノンフライ加工の即席麺を得ることができる。
本発明は、麺用小麦粉100質量%に対し、加工澱粉を30質量%以上40質量%未満添加し、原料粉を調製する工程と、前記原料粉に加水し、混練して混練物を調製する混練工程と、前記混練物を5〜20分間熟成させる熟成工程と、熟成した前記混練物を麺線化する麺線化工程と、を有することを特徴とする即席麺の製造方法である。
本発明は、麺用小麦粉100質量%に対し、加工澱粉を30質量%以上40質量%未満添加し、原料粉を調製する工程を有する。
本発明において、麺用小麦粉とは、デュラム小麦粉、強力小麦粉、中力小麦粉、薄力小麦粉等の小麦粉や米粉、そば粉、とうもろこし粉等が挙げられ、製造する麺の種類により、これら穀粉を単独でもしくは組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、上記の麺用小麦粉100質量%に対し、加工澱粉を30質量%以上42質量%未満添加し、原料粉を調製する。加工澱粉の添加量は、30質量%以上40質量%以下であることが好ましい。
本発明において、加工澱粉とは、澱粉のグルコース残気の水酸基に官能基を付加・導入するなどし、親水性や疎水性を高めたものをいう。本発明においては、麺の弾力性の向上などの食感の改良に用いるために、酢酸澱粉、ヒドロキシプロピル澱粉などを用いることができる。由来も馬鈴薯、タピオカなどを使用することができ、特に限定されない。
麺用小麦粉への加工澱粉の添加方法としては、特に限定されず常法により添加すればよい。
また、加工澱粉の添加量を上記の範囲とすることにより、モチモチとした弾力性のある食感の麺を得ることができると考えられる。
本発明は、前記<原料粉を調製する工程>の後、前記原料粉に加水し、混練して混練物を調製する混練工程を有する。
混練工程において、原料粉に加水する水は、食塩を含有する食塩水であることが好ましい。
該食塩水の塩分濃度としては、2.0〜13質量%が好ましく、4.0〜12質量%がより好ましく、6.0〜10質量%が最も好ましい。
上記範囲の塩分濃度とすることにより、製麺時の作業性を安定させ、麺に適切な食感や風味を向上させることができると考えられる。
なお、前記食塩水に含まれる食塩の質量は、原料粉の質量には含まれないものとする。
混練方法は特に限定されず、公知方法を用いることができる。
原料粉に加水する水の量は、特に限定されないが、原料粉100質量部に対し、20〜40質量%が好ましく、25〜35質量%であることがより好ましい。
なお、混練の時間は、混和物の量、温度、含水率等によっても異なるが、10〜20分程度でよい。
本発明は、前記<混練工程>の後、前記混練物を5〜20分間熟成させる熟成工程を有する。熟成方法としては、室温(15〜25℃程度)にて、5〜20分間静置して前記混練物を熟成させることが好ましい。本発明においては、5〜10分間熟成させることがより好ましい。
本発明の製造方法においては、麺線を切出した際、導管内部での滑り性を向上させることができ、ウェーブ乱れを改善できる、また、切りだし後の麺線の取り扱いを容易なものとすることができる。
これは、混練工程で得られた混練物を5〜20分間熟成させることにより、混練物表面の水分をなじませてべたつきを軽減することができたことによると考えられる。
本発明は、前記<熟成工程>の後に、熟成した前記混練物を麺線化する麺線化工程を有する。
前記混練物を麺線に成型する方法としては、従来の麺の製造方法が適用できる。例えば、巾麺帯機のローラーを通すことによって、前記混練物を帯状の麺生地にし、それを切り出し機で麺線状に切り出すことによって、麺線に成型する方法が好ましいものとして挙げられる。
前記巾麺帯機に混練物を通す方法としては、例えば、ローラーのクリアランスを変更して、複数回通すことが好ましい。
また、巾麺帯機に通した帯状の麺生地を、巻き取り棒に巻き取り、ポリ袋等に包んで密閉した状態で、室温(15〜25℃程度)にて10〜60分間程度の間静置して、当該麺生地を熟成させることが、麺の食感を向上させる観点から好ましい。その後、麺生地を再び巾麺帯機に通して、適当な厚さの帯状の麺生地にすることが好ましい。
該帯状の麺生地を切り出し機で麺線状に切り出す方法としては、特に限定されず公知の方法で行うことができる。
当該生麺線の幅としては、例えば、うどんなどの幅の広い麺が好まれる場合には、1.3〜5.0mmが好ましく、1.7〜4.5mmがより好ましく、2.7〜4.5mmが最も好ましい。また、そばなどの幅の狭い麺が好まれる場合には、0.7〜3.8mmが好ましく、1.3〜3.0mmがより好ましく、1.6〜2.7mmが最も好ましい。この範囲の幅とすることで、適当な茹で時間(5〜45分間程度)で、高い茹で歩留まり(350%以上)に茹でることができる。
当該生麺線の厚みとしては、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に制限されず、例えば、公知のうどんの厚みと同様に、当該生麺線の幅の約0.85倍にすればよい。
当該成型した生麺線は、打ち粉をして回収することが好ましい。該打ち粉によって、次の工程における当該麺線の取り扱いを容易にすることができる。
本発明においては、前記<麺線化工程>の後、麺線を乾燥させる乾燥工程を有する。本発明においては、後述する<蒸煮工程>の後に<乾燥工程>を有することが好ましい。
本発明において、乾燥方法としては、高温熱風乾燥やマイクロ波乾燥、フリーズドライ等の乾燥方法が挙げられる。本発明においては、非油揚げ麺(ノンフライ麺)とすることが好ましく、上記のなかでも、熱風乾燥により乾燥させることが好ましい。
即席麺を製造する際、高温熱風乾燥方法により、麺線を乾燥させる場合、麺線の割れ等の問題が生じることがあるが、本発明においては、さらに、後述の<蒸煮工程>を経ることにより、麺線表面を熱凝固させることができき、このような問題が生じるおそれがなく、複雑な加工工程を経ることなく、非油揚げ麺(ノンフライ麺)とすることができると考えられる。
本発明のおいては、前記<麺線化工程>の後、<乾燥工程>の前に、混練物を麺線化し、前記麺線を30〜180秒間蒸煮する蒸煮工程を有することが好ましい。
本発明において、「蒸煮」とは、蒸気で加熱することをいい、100℃又はそれに近い温度以上の飽和蒸気や100℃以上の過熱蒸気を用いた蒸し処理をいう。
蒸煮は、前記工程で得られた麺線を、95℃以上の飽和蒸気によって蒸煮することにより、行えばよい。蒸煮は例えば、麺線を搬送する途中に設けた蒸煮釜内で行ってもよい。
本発明においては、30〜180秒間蒸煮することが好ましい。
本発明者らの検討により、麺の蒸し時間を30〜180秒間と、従来の蒸し時間よりも短縮することにより、澱粉のα化度合を調整することができ、麺線の結着を防止して湯戻し後のほぐれを良好なものとできることが判明した。
本発明において、「過熱蒸気」とは、飽和蒸気を大気圧下で100℃以上に過熱したものをいい、「過熱蒸気を吹き付ける」とは、過熱蒸気を蒸気庫内の噴射口から噴出させて、噴出させた過熱蒸気が麺線に当たるように処理することをいう。なお、過熱蒸気を吹き付ける処理の際、蒸気庫内に飽和蒸気を充満させた状態で麺線に過熱蒸気を吹き付ける等、飽和蒸気を同時に併用させてもよい。
蒸煮工程において、蒸し工程の最初に過熱処理を行わず、水分を供給すると、澱粉質の膨潤により、麺線同士のヌメリが増幅し、湯戻し後のほぐれ不良の原因となる。一方で、水分供給を行わない場合は、麺質が硬く、モチモチ感の無い粗悪な麺質となってしまう。
本発明においては、麺線同士の結着防止のため、蒸し機入口での水分を供給せずに、まず過熱蒸気を吹き付けることにより、麺線表面を熱凝固させ、ヌメリの原因となるα化澱粉の溶出を減らすことができると考えられる。
過熱蒸気を吹き付け工程は、麺線表面を熱凝固させることができれば特に限定されないが、例えば、温度が100℃以上の過熱蒸気で、10〜80秒間、好ましくは30〜50秒間行えばよい。
また、水分の付与は、供給前の麺重量に対して3〜30%程度重量が増すように行うのが好ましく、用いる水は、少量の調味料や乳化剤、結着防止剤等を添加、溶解させておいてもよい。
表1に示す小麦粉、澱粉、及び添加剤を室温(20℃)、湿度30%において混合し、原料粉を得た。表1中の値は配合比(質量比)である。また、12℃に調製した水に、塩を溶解させて食塩水を調製した。水と食塩の割合を表1に示す。
この後、蒸し器の通過時間を100℃で60秒に調整した蒸煮工程において投入直後は加水せず、加熱蒸気で蒸したのち、飽和蒸気による蒸し工程を経て、乾燥工程、冷却工程を経て、各実施例の即席麺を得た。
水を沸騰させた湯10Lに約200gの麺線を茹でかごで投入して茹でた。その後、訓練されたパネラー5人で試食し、食感と試食評価を行った。その結果を表1に示す。
以下の表中、
◎:とてもよい
○:良い
△:あまり好ましくはない(通常の即席麺レベル)
×:好ましくない
をそれぞれ示す。
参考例2の配合比の麺生地を圧延する前に、表2に示す各時間放置し、熟成させた。熟成後の状態を表2に併記する。
熟成後、圧延・切出しをして麺線を得た後、上記と同様に茹でて試食し、試食評価を行った。その結果を表2に併記する。
麺線を切出した後の蒸煮時間を、蒸し器の通過時間を100℃で表3に示す各時間に調整した。蒸煮後の麺線の状態を表3に示す。上記と同様に茹でて試食し、試食評価を行った。その結果を表3に併記する
蒸煮工程を下記表4に示す様に調整し、それぞれの麺の物性を観察し、上記と同様の方法により試食評価を行った。その結果を表4に併記する。
Claims (3)
- 麺用小麦粉100質量%に対し、加工澱粉を35質量%以上48質量%未満添加し、原料粉を調製する工程と、
前記原料粉に加水し、混練して混練物を調製する混練工程と、
前記混練物を5〜10分間熟成させる熟成工程と、
熟成した前記混練物を麺線化する麺線化工程と、
前記麺線化工程後、乾燥工程の前に、前記麺線を50〜120秒間蒸煮する蒸煮工程と、
前記麺線を乾燥させる乾燥工程と、を有することを特徴とする即席麺の製造方法。 - 前記蒸煮工程が、過熱蒸気を吹き付けた後、水分を液体で供給して麺線の水分量を上げ、さらに過熱蒸気および/又は飽和蒸気を用いて麺線を加熱する工程を含む、請求項1に記載の即席麺の製造方法。
- 前記即席麺が、うどんである請求項1又は2に記載の即席麺の製造方法。
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