JP6358288B2 - ハイブリッド車の二次電池加温装置 - Google Patents

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Description

ここに開示する技術は、ハイブリッド車の二次電池加温装置に関する。
特許文献1には、モーター駆動用の二次電池(バッテリ)を搭載した電気自動車において、二次電池を覆う蓄熱体と、蓄熱体を覆う断熱材と、蓄熱体の中に配設された電気ヒーターとを備えたシステムが記載されている。このシステムは、寒冷時に二次電池の温度が低下して二次電池の起電力が低下することにより、走行性能が低下してしまうことを防止する。
特開平10−32021号公報
前記特許文献1に記載されたシステムは、電気ヒーターに通電することにより、蓄熱体を通じて二次電池の温度を高める。しかしながら、例えば電気ヒーターが蓄熱体に片当りした場合、蓄熱体の一部分が過度に加熱されてしまい、蓄熱体の局所的な劣化を招く恐れがある。
また、前記特許文献1に記載されたシステムを、内燃機関と走行用モーターとを搭載した、いわゆるハイブリッド自動車(Hybrid Electric Vehicle:HEV)に適用した場合、寒冷時のような低温環境下では、内燃機関を始動する際に、内燃機関の早期の暖機が要求される。そこで、二次電池の温度を高めるための電気ヒーターとは別に、内燃機関の冷却水を暖めるためのヒーターを新設することが考えられるものの、そのような構成は、ヒーターを新設する分、コストアップを招くため不都合である。
ここに開示する技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ハイブリット車において、蓄熱体の劣化を防止しつつ、二次電池を加温すると共に、製造コストを抑制しつつ、内燃機関を早期に暖機することにある。
ここに開示する技術は、ハイブリッド車の二次電池加温装置に係る。この装置は、車両に搭載した内燃機関と、前記車両に搭載した二次電池と、前記二次電池の電力によって駆動するよう構成されたモーターと、前記二次電池の温度を高めるよう構成された昇温手段と、前記昇温手段を通じて前記二次電池の温度を調整するよう構成された制御手段と、を備える。
そして、前記昇温手段は、前記二次電池を覆いかつ、前記二次電池に熱を供給するよう構成された潜熱蓄熱材と、前記内燃機関の冷却水が供給されかつ、前記潜熱蓄熱材に対して熱伝達するよう構成された冷却水貯留槽と、前記冷却水貯留槽及び前記内燃機関の間で、前記冷却水が循環するように構成された冷却水通路と、前記冷却水貯留槽内に配設されかつ、前記冷却水貯留槽内の前記冷却水を加温するように構成された電気ヒーターと、を有する。
前記制御手段は、前記内燃機関の始動時には、前記潜熱蓄熱材の温度が所定温度を超えるまで、前記電気ヒーターへの通電と、前記冷却水の循環とを行うように構成されている。
この車両は、モーターと内燃機関との双方を搭載した、いわゆる、ハイブリッド自動車(HEV)である。ハイブリッド自動車のうち、外部電源によって二次電池を充電することが可能な、いわゆるプラグインハイブリッド自動車(Plug-in Hybrid Electric Vehicle:PHEV)としてもよい。尚、車両は、四輪自動車に限定されるものではない。
前記の構成によると、電気ヒーターに通電をすることによって、冷却水貯留槽内で冷却水が加温される。加温された冷却水は、冷却水貯留槽と内燃機関との間で、冷却水通路を介して循環する。これによって、内燃機関の早期の暖機を図ることが可能になる。
その一方で、冷却水貯留槽は、潜熱蓄熱材に対して熱伝達するよう構成されていると共に、潜熱蓄熱材は、二次電池に熱を供給するよう構成されている。従って、電気ヒーターが冷却水貯留槽内の冷却水を加温すると、加温された冷却水を介して、潜熱蓄熱材、ひいては二次電池の温度が高まる。前記特許文献1に記載のシステムとは異なり、電気ヒーターと潜熱蓄熱材とは直接的には接触していないから、電気ヒーターと潜熱蓄熱材との片当り等に起因した、潜熱蓄熱材の劣化を防止することが可能になる。
さらに、前記の構成によると、内燃機関を暖機するための電気ヒーターと、二次電池を加温するための電気ヒーターとを個別に設けるのではなく、冷却水貯留槽内に配設した一台の電気ヒーターによって、内燃機関の暖機と、二次電池の加温との両方を行うことができる。そのことで、製造コストを抑制することが可能になる。
このように、前記の構成によれば、潜熱蓄熱材の劣化を防止しつつ、二次電池を加温することと、製造コストを抑制しつつ、内燃機関を早期に暖機することとを両立できる。
また、前記内燃機関の排気系に設けられかつ、排気ガスを浄化するよう構成された触媒装置を備え、前記冷却水通路には、前記排気系において前記触媒装置の下流側に配置されかつ、排気ガスの熱によって前記冷却水を加温するように構成された排熱回収部が介設されている、としてもよい。
ここで、「排気系」は、内燃機関が排出する排気ガスが通過する経路を意味する。
この構成によると、冷却水、ひいては二次電池を加温する際に、排熱を利用する。電気ヒーターの代わりに排熱を使用したり、排熱を使用した分だけ電気ヒーターへ通電する電力を低減したりすることで、二次電池に蓄えられた電力を節約しつつ、二次電池を加温することが可能になる。また、排熱と電気ヒーターとを併用することで、二次電池を早期に加温することも可能になる。
その上、触媒装置の下流側に排熱回収部を配設することで、排熱回収部は、触媒装置を通過した後の排気ガスから熱を回収することになる。そのことで、触媒装置の活性化を妨げることなく、排熱を回収することが可能になる。
また、前記冷却水貯留槽内には、該冷却水貯留槽内の前記冷却水に熱を供給するよう構成された第2の潜熱蓄熱材が配設されている、としてもよい。
この構成によると、冷却水、ひいては二次電池を加温する際に、第2の潜熱蓄熱材が供給する熱を利用する。電気ヒーターの代わりに第2の潜熱蓄熱材を使用したり、第2の潜熱蓄熱材が供給する熱の分だけ電気ヒーターへ通電する電力を低減したりすることで、二次電池に蓄えられた電力を節約しつつ、二次電池を加温することが可能になる。また、第2の潜熱蓄熱材と電気ヒーターとを併用することで、二次電池を早期に加温することも可能になる。
特に、電気ヒーターの代わりに第2の潜熱蓄熱材を用いることで、二次電池の温度を高めることが可能になる。このことは、特に低温環境下において回生充電を早期に可能にし、ひいては燃費の向上を図る上で有利になる。
また、前記昇温手段には、前記潜熱蓄熱材と前記冷却水貯留槽との間に介在しかつ、液体が供給される蒸発槽が設けられ、前記蒸発槽は、前記液体が所定の温度帯において蒸発することにより、前記潜熱蓄熱材を所定の溶融温度に保持するように構成されている、としてもよい。
ここで、「所定の温度帯」は、二次電池の充電が可能となる温度を含む温度帯としてもよい。
蒸発槽を介在させたことで、潜熱蓄熱材及び二次電池を所定の溶融温度に保持することが可能になる。そのことで、例えば、第2の潜熱蓄熱材が凝固する温度帯を、潜熱蓄熱材よりも高めに設定したとしても、潜熱蓄熱材及び二次電池の過度の加熱を防止して、双方を適温に保つことが可能になる。このことは、冷却水及び二次電池を早期に加温することと、二次電池の過度の加温を防止することとを両立させる上で有効である。特に、内燃機関の始動時においては、冷却水を早期に加温することで、内燃機関を早期に暖機する上で有効となる。
また、前記制御手段は、前記車両が駐車している時、前記冷却水の水温が所定値を超えているときには前記冷却水を循環させる一方、前記冷却水の水温が前記所定値以下のときには前記冷却水の循環を停止するように構成されている、としてもよい。
車両が駐車している時、冷却水の水温は、次第に低下する。
この構成によると、冷却水が比較的高温のときには、冷却水を循環させることで、内燃機関と、二次電池との両方を保温することが可能になる。そうすることで、例えば、車両が次に発進するときに、内燃機関が十分に暖機された状態でかつ、二次電池が回生充電可能な状態から始動することが可能になる。その後、制御手段は、冷却水の水温が低下したときに、冷却水の循環を停止する。そうすることで、電気ヒーターや、第2の潜熱蓄熱材が供給する熱を、二次電池の加温に集中的に利用することが可能になる。そのことで、二次電池を早期に加温する上で有利になる。
さらに、前記制御手段は、前記冷却水の循環が停止した後、前記潜熱蓄熱材の温度に基づいて、前記第2の潜熱蓄熱材の発熱を開始するように構成されている、としてもよい。
冷却水の水温が低下すると、潜熱蓄熱材の温度も、それに応じて低下する。
この構成によると、制御手段は、例えば、潜熱蓄熱材の温度が低下して、二次電池を十分に保温することが出来なくなったときに、第2の潜熱蓄熱材の発熱を開始する。そのように設定することで、第2の潜熱蓄熱材が蓄えた熱を、二次電池の加温に無駄なく利用することが可能になる。
以上説明したように、前記のハイブリッド車の二次電池加温装置によると、蓄熱体の劣化を防止しつつ、二次電池を加温すると共に、製造コストを抑制しつつ、エンジンを早期に暖機することができる。
図1は、二次電池加温装置を搭載した車両システムの構成を示す図である。 図2は、昇温デバイスの構成を概念的に示す図である。 図3は、潜熱蓄熱材の特性を例示する図である。 図4は、電池の保温制御を示すフローチャートである。 図5は、低温環境下でのエンジン始動時のエンジン及び電池の昇温制御を示すフローチャートである。 図6は、エンジン及び電池の昇温制御時の冷却水温及び電池温度の変化を例示する図である。 図7は、二次電池加温装置を搭載した、図1とは異なる車両システムの構成を示す図である。 図8は、低温環境下でのエンジン始動時のエンジン及び電池の昇温制御を示すフローチャートである。 図9は、触媒装置、エンジンの冷却水、及びリチウムイオン電池の温度変化を例示する図である。 図10は、昇温デバイスの構成を概念的に示す図である。 図11は、電池の保温制御を示すフローチャートである。
以下、ここに開示するハイブリッド車の二次電池加温装置について、図面を参照しながら詳細に説明をする。尚、以下の説明は例示である。図1は、二次電池加温装置を搭載した車両システム1の構成を示している。この車両は、例えば四輪のHEV又はPHEVである。尚、ここに開示する二次電池加温装置が搭載可能な車両は、四輪自動車に限定されない。
車両システム1は、エンジン11と、モータージェネレータ2と、二次電池であるリチウムイオン電池3と、を備えている。エンジン11は、例えば多気筒の内燃機関である。エンジン11は、変速機12を介して駆動輪21に連結されている。リチウムイオン電池3は、モータージェネレータ2に接続されている。
モータージェネレータ2は、エンジン11に連結されている。具体的にモータージェネレータ2は、この構成例では、エンジン11のクランク軸に、例えばベルトを介して連結されたISG(Integrated Starter Generator)である。この車両は、いわゆる、マイクロ又はマイルドハイブリッド自動車である。リチウムイオン電池3の容量は、比較的小さい。エンジン11及び/又はモータージェネレータ2が駆動輪21を駆動することによって、車両は走行する。
モータージェネレータ2は、リチウムイオン電池3からの電力の供給を受けて原動機として機能する。モータージェネレータ2は、エンジン11の始動時には、エンジン11のクランキングを行う。また、モータージェネレータ2は、エンジン11の運転中には、エンジン11のアシストを行う。さらに、モータージェネレータ2は、発電機としても機能する。モータージェネレータ2は、車両の減速走行時に発電を行う。リチウムイオン電池3は、モータージェネレータ2の発電電力によって回生充電される。
モータージェネレータ2と、リチウムイオン電池3との間には、インバータ22が介設している。インバータ22は、モータージェネレータ2の駆動及び発電を制御する。
リチウムイオン電池3とインバータ22との間には、切替スイッチ52が介設している。切替スイッチ52は、リチウムイオン電池3からの電力を、モータージェネレータ2と、後述する昇温デバイス6との間で切り替えるよう構成されている。
昇温デバイス6は、リチウムイオン電池3の温度が低いときに、リチウムイオン電池3の温度を高めるように構成されている。昇温デバイス6は、詳細は後述するが、例えば、−30℃といった低温環境下において、リチウムイオン電池3の温度を高める。
図2は、昇温デバイス6の構成を示している。図2において符号31は、リチウムイオン電池3を構成する、複数の電池セルを示している。複数の電池セル31は、電気的に、互いに接続されている。昇温デバイス6は、主に、電池セル31を覆うように設けられた断熱筐体61及び断熱蓋611と、断熱筐体61内に充填され、それによって電池セル31を覆うように設けられた潜熱蓄熱材62と、エンジン11の冷却水が供給されかつ、潜熱蓄熱材62に対し熱伝達するよう構成された冷却水貯留槽670と、冷却水貯留槽670及びエンジン11の間で、冷却水が循環するように構成された冷却水通路67と、冷却水貯留槽670内に配設されかつ、冷却水貯留槽670内の冷却水を加温するように構成された電気ヒーター63とを有している。
各電池セル31は、電気的に互いに接続される部分を除くほぼ全体が、断熱筐体61及び潜熱蓄熱材62に覆われている。各電池セル31の電気的に互いに接続されている部分は、断熱蓋611と断熱筐体61とに覆われている。こうすることにより、各電池セル31と潜熱蓄熱材62との間の熱伝達が良好になると共に、各電池セル31と、断熱筐体61及び断熱蓋611の外部との断熱性も良好になる。尚、図2は、昇温デバイス6の構成を概念的に示すものであり、昇温デバイス6の具体構成は、図2に示す構成に限定されるものではない。
潜熱蓄熱材62は、所定の温度帯において凝固するように構成されている。所定の温度帯は、30℃前後において設定された温度帯である。この温度帯は、リチウムイオン電池3の充電レートが低下しない温度帯である。30℃前後の温度帯で凝固する潜熱蓄熱材62は、例えば、パラフィン系潜熱蓄熱材とすることが可能である。潜熱蓄熱材62は、30℃前後の温度帯において蓄熱をする。
図3は、潜熱蓄熱材62の特性を例示している。パラフィン系潜熱蓄熱材の構成に応じて、蓄熱温度帯が変化する。図例のパラフィン系潜熱蓄熱材は、温度T3において溶融が開始し、温度T4において溶融が完了する特性を有している。
冷却水貯留槽670は、エンジン11の冷却水が流れる冷却水通路67に接続されている。この冷却水通路67は、図1に図示しないラジエータを含む冷却水循環通路とは独立して設けられている。冷却水通路67は、エンジン11から冷却水貯留槽670に至る往路671と、冷却水貯留槽670からエンジン11に至る復路672と、を有している。往路671には、開閉バルブ673と、ポンプ674とが介設している。開閉バルブ673を開けかつ、ポンプ674を駆動することによって、エンジン11と冷却水貯留槽670との間で、冷却水が循環する。
昇温デバイス6は、冷却水貯留槽670内に配設された電気ヒーター63に通電することによって、冷却水及び潜熱蓄熱材62を通じて、電池セル31の温度を高める。電池セル31の温度は、潜熱蓄熱材62の凝固温度に保たれる。潜熱蓄熱材62を通じてリチウムイオン電池3を昇温することによって、リチウムイオン電池3を加熱し過ぎることが回避される。
リチウムイオン電池3の温度が所定の温度帯に至った状態で、電気ヒーター63の通電を停止すると、潜熱蓄熱材62及び電池セル31と、外部環境とは、断熱筐体61及び断熱蓋611によって断熱されているため、電池セル31の温度低下が抑制される。また、電池セル31の温度が下がろうとしても、潜熱蓄熱材62の放熱により、電池セル31の温度が、潜熱蓄熱材62の凝固温度に保たれる。こうして、昇温デバイス6は、リチウムイオン電池3の温度を、所定の温度帯に長時間維持する。
昇温デバイス6はまた、電気ヒーター63に通電することによって、冷却水の温度を高めるから、エンジン11の冷間時には、エンジン11の暖機も促進する。
昇温デバイス6はさらに、エンジン11の冷却水の温度が高いときには、電気ヒーター63に通電しなくても、冷却水貯留槽670内の冷却水から潜熱蓄熱材62に熱を伝えて、潜熱蓄熱材62及び電池セル31の温度を高めることが可能である。
図1に戻り、車両システム1は、コントローラ7を備えている。コントローラ7は、エンジン11及びインバータ22の制御を通じて車両の走行制御を行う。
リチウムイオン電池3には、電池の温度を検知する温度センサ71が設けられている。温度センサ71は、検知信号をコントローラ7に出力する。また、昇温デバイス6には、潜熱蓄熱材62の温度を検知する温度センサ72が設けられている。温度センサ72も、検知信号をコントローラ7に出力する。また、車両システム1は、エンジン11の冷却水温を検知する水温センサ73及び外気温を検知する外気温センサ74を備えている。水温センサ73及び外気温センサ74は、それぞれ検知信号を、コントローラ7に出力する。
コントローラ7は、これらのセンサ信号に基づいて、切替スイッチ52、昇温デバイス6の電気ヒーター63、冷却水通路67の開閉バルブ673及びポンプ674をそれぞれ制御し、リチウムイオン電池3の温度調整を行う。
図4は、コントローラ7が実行する、リチウムイオン電池3の温度調整の制御手順を示すフローチャートである。このフローは、低温環境下において、リチウムイオン電池3の温度低下を抑制しかつ、リチウムイオン電池3の温度を所定の温度帯で、長く維持するための制御である。
先ず、スタート後のステップS41で、コントローラ7は、車両停止か、又は、エンジン停止か否かを判定する。ステップS41の判定がNOのときには、ステップS41を繰り返す。判定がYESのときには、ステップS42に移行する。
ステップS42で、コントローラ7は、外気温センサ74の検出信号に基づいて、外気温度が所定値T1以下であるか否かを判定する。所定値T1は、例えば0℃以下の値で適宜設定すればよい。外気温度が所定値T1以下であるときには、リチウムイオン電池3の温度が次第に低下することによって、リチウムイオン電池3の温度が所定の温度帯を下回ってしまう恐れがある。ステップS42の判定がYESのときには、ステップS43に移行する。ステップS42の判定がNOのときには、リターンする。
ステップS43で、コントローラ7は、水温センサ73の検出信号に基づいて、冷却水の水温が、所定値T2を超えているか否かを判定する。ステップS43でYESのときにはステップS44へ移行し、NOのときにはステップS46に移行する。ここでは、例えば暖機したエンジン11の停止直後で、冷却水の水温が所定値T2を超えているとして、説明を続ける。
ステップS44で、コントローラ7は、冷却水を昇温デバイス6に供給する。具体的には、冷却水通路67の開閉バルブ673を開けると共に、ポンプ674を作動させる。これにより、エンジン11と冷却水貯留槽670との間で、温度の高い冷却水を循環させる。冷却水貯留槽670から潜熱蓄熱材62に熱が伝わり、潜熱蓄熱材62の温度が高まる。また、リチウムイオン電池3も昇温する。
ステップS44に続くステップS45で、コントローラ7は、潜熱蓄熱材62の温度が、所定温度T3以上か否かを判定する。所定温度T3は、図3に示すように、潜熱蓄熱材62が溶融を開始する温度である。ステップS45の判定がNOのときには、ステップS43に戻り、潜熱蓄熱材62の昇温を継続する。
エンジン11が停止しているため、冷却水の温度は次第に低下する。ステップS43において冷却水の温度が所定値T2以下になれば、フローはステップS46に移行する。
ステップS46で、コントローラ7は、リチウムイオン電池3のSOCが、所定SOCを超えているか否かを判定する。リチウムイオン電池3のSOCは、適宜の方法で、推定又は検知することが可能である。ステップS46は、リチウムイオン電池3のSOCが、電気ヒーター63に通電可能な程度のSOCであるか否かを判定する。ステップS46の判定がNOであれば、電気ヒーター63を通電せずに、フローはリターンする。一方、ステップS46の判定がNOであれば、ステップS47に移行する。
ステップS47で、コントローラ7は、電気ヒーター63に通電を行う。このときに、コントローラ7は、冷却水通路67の開閉バルブ673を閉じると共に、ポンプ674を停止する。これにより、冷却水貯留槽670内の冷却水を、電気ヒーター63によって効率的に昇温する。冷却水を通じて潜熱蓄熱材62が昇温し、リチウムイオン電池3もまた、昇温する。
ステップS45で、潜熱蓄熱材62の温度が所定温度T3以上になれば、フローはステップS48に移行する。ステップS48で、コントローラ7は、ステップS44又はステップS47において行われる潜熱蓄熱材62の加温を停止する。
ステップS49では、リチウムイオン電池3の温度が所定温度TSを下回ったか否かを判定する。所定温度TSは、例えばリチウムイオン電池3の充電ができなくなる温度として、適宜設定してもよい。ステップS49のフローがNOのときには、ステップS49を繰り返す。
潜熱蓄熱材62及び電池セル31と、外部環境とは、断熱筐体61及び断熱蓋611によって断熱されているため、電池セル31の温度低下が抑制される。また、電池セル31の温度が下がろうとしても、蓄熱している潜熱蓄熱材62が放熱を行うことにより、電池セル31の温度が、潜熱蓄熱材62の凝固温度に保たれる。こうして、昇温デバイス6は、低温環境下においても、リチウムイオン電池3の温度を、所定温度TS以上に、長時間維持する。
リチウムイオン電池3の温度が低下して、ステップS49の判定がYESになれば、フローは、ステップS43に戻る。これにより、エンジン11の冷却水によって、又は、電気ヒーター63によって、潜熱蓄熱材62及びリチウムイオン電池3の昇温が行われる。
尚、図4に示すフローは、車両が走行、又は、エンジン11が始動すれば、終了する。
この制御のように、低温環境下において、リチウムイオン電池3の温度を所定の温度帯に維持することが可能になる。その結果、車両が次に発進するときに、リチウムイオン電池3が十分に暖められた状態で始動することが可能になる。リチウムイオン電池3は、その充電に係る性能(例えば充電受入性)を、常温環境下と同様に発揮することが可能となり、ひいては燃費の向上を図る上で有利になる。
潜熱蓄熱材62を、エンジン11の冷却水を介して昇温することで、電気ヒーター63と潜熱蓄熱材62との片当り等に起因した、潜熱蓄熱材62の局所的な劣化を防止することができる。また、車両の停車、又は、エンジン11の停止直後の場合、冷却水が比較的高温であるため、リチウムイオン電池3の昇温を図る上で有利になる。
尚、コントローラ7は、車両の走行中に、リチウムイオン電池3の温度が低下したときには、昇温デバイス6の電気ヒーター63に通電をすることによって、リチウムイオン電池3の昇温を行う。例えば、減速回生の頻度が大きいときには、コントローラ7は、回生電力の一部を電気ヒーター63に供給し、残りをリチウムイオン電池3に供給すればよい。尚、リチウムイオン電池3の昇温が不要なときには、回生電力は全てリチウムイオン電池3に供給される(但し、リチウムイオン電池3のSOCの制限内で充電が行われる)。また、減速回生の頻度が小さいとき(例えば高速一定速での走行時等)には、リチウムイオン電池3の電力の一部を、昇温デバイス6の電気ヒーター63に供給することによって、リチウムイオン電池3の温度を昇温させればよい。また、車両の走行中にリチウムイオン電池3の昇温を行う際にも、エンジン11の冷却水を利用すればよい。
図5は、エンジン11の低温始動時におけるリチウムイオン電池3の温度調整の制御手順を示すフローチャートである。先ずスタート後のステップS51で、コントローラ7は、エンジン11が始動したか否かを判定する。ステップS51の判定がNOのときには、ステップS51を繰り返す。ステップS51の判定がYESのときには、ステップS52に移行する。
ステップS52で、コントローラ7は、エンジン11及び昇温デバイス6間で、冷却水を循環させる。具体的に、コントローラ7は、冷却水通路67の開閉バルブ673を開けると共に、ポンプ674を駆動する。
ステップS53で、コントローラ7は、エンジン11を冷却水昇温モードで運転する。具体的に、コントローラ7は、冷却損失が増えるよう、例えばエンジン11の燃料噴射量を増量すると共に、点火時期を遅角することによって燃焼時期を遅らせる。冷却損失が増えた分、冷却水は昇温される。
ステップS54で、コントローラ7は、電気ヒーター63に通電する。こうして、冷却水貯留槽670内において、電気ヒーター63によって冷却水を昇温する。ステップS53及びステップS54で昇温された冷却水が、冷却水通路67を循環することにより、エンジン11の暖機が促進されると共に、前述したように、冷却水貯留槽670内の冷却水を通じて、潜熱蓄熱材62が昇温し、リチウムイオン電池3の温度も上昇する。
ステップS55で、コントローラ7は、潜熱蓄熱材62の温度が所定温度T5を超えたか否かを判定する。所定温度T5は、図3に示すように、潜熱蓄熱材62の溶融が開始する温度T3よりも高くかつ、溶融が完了する温度T4よりも低い温度(30℃程度)であり、リチウムイオン電池3の充電が可能となる温度である。このフローでは、電気ヒーター63による加温をできるだけ継続することによって、エンジン11の冷却水の昇温を促進する。尚、このステップS55において、潜熱蓄熱材62の温度が所定温度T5を超えたか否かを判定する代わりに、潜熱蓄熱材62の温度が、前述の所定温度T3を超えたか否かを判定したり、所定温度T4を超えたか否かを判定したりしてもよい。
ステップS55の判定がNOのときには、ステップS52に戻り、コントローラ7は、エンジン11の冷却水の昇温、及び、潜熱蓄熱材62を通じてリチウムイオン電池3の昇温を継続する。ステップS55の判定がYESのときには、ステップS56に移行する。
ステップS56で、コントローラ7は、冷却水の循環を停止する。具体的に、コントローラ7は、開閉バルブ673を閉じると共に、ポンプ674を停止する。また、ステップS57で、コントローラ7は、電気ヒーター63への通電を停止する。
電気ヒーター63の通電を停止した後のステップS58では、コントローラ7は、エンジン11を、継続して、冷却水昇温モードで運転する。続くステップS59で、コントローラ7は、冷却水の温度が、目標温度TE以上になったか否かを判定する。目標温度TE以上でないとき、コントローラ7は、エンジン11の冷却水昇温モードによる運転を継続する。
ステップS59の判定がYESになれば、フローは、ステップS510に移行する。エンジン11の冷却水が、目標温度TEに到達したため、コントローラ7は、エンジン11を通常モードで運転させる。
図6は、図5に示す制御に従った場合(つまり、実施例)の、リチウムイオン電池3の温度変化(図6の実線参照)、及び、エンジン11の冷却水温度の変化(図6の破線参照)と、図5に示す制御に従わない場合(つまり、比較例)の、リチウムイオン電池3の温度変化(図6の二点鎖線参照)、及び、エンジン11の冷却水温度の変化(図6の一点鎖線参照)と、を示している。ここで、比較例としてのエンジン11の冷却水温度の変化は、エンジン11を冷却水昇温モードで運転した場合の、冷却水温度の変化の例を示している。また、比較例としてのリチウムイオン電池3の温度の変化は、昇温デバイス6は、冷却水貯留槽670を有しない構成、つまり、昇温デバイス6が、電池セル31を覆う潜熱蓄熱材62、潜熱蓄熱材62の中に配設された電気ヒーター63、及び、電池セル31及び潜熱蓄熱材62を覆う断熱筐体61及び断熱蓋611を備えて構成された場合の、リチウムイオン電池3の温度変化を例示している。
先ず、比較例は、エンジン11の冷却水を昇温する構成と、リチウムイオン電池3を昇温する構成とが、互いに独立している。そのため、エンジン11の冷却水の温度、及び、リチウムイオン電池3の温度はそれぞれ、時間の経過に対して所定の傾きで、上昇する。温度上昇は、比較的緩やかになる。リチウムイオン電池3が目標電池温度TSに到達するまでには、長い時間がかかると共に、エンジン11の冷却水が目標冷却水温度TEに到達するまでには、長い時間がかかる。
これに対し、実施例は、エンジン11の冷却水を昇温する構成と、リチウムイオン電池3を昇温する構成とを組み合わせている。つまり、エンジン11の冷却水昇温モードによる冷却水の昇温により、潜熱蓄熱材62を介してリチウムイオン電池3が昇温すると共に、リチウムイオン電池3を昇温する電気ヒーター63によって、冷却水が昇温する。その結果、実施例では、エンジン11の冷却水の温度、及び、リチウムイオン電池3の温度は、同様に上昇し、しかも、比較例に対し、速やかに温度が上昇する。リチウムイオン電池3の目標電池温度TSは、冷却水の目標冷却水温度TEよりも低いため、リチウムイオン電池3の温度は、先に目標電池温度TSに到達する(時刻t1)。ここで、前述したように、図5に示すフローでは、潜熱蓄熱材62の温度が所定温度T5以上になるまで電気ヒーター63を通電しているため、エンジン11の冷却水の昇温促進を、長く継続することが可能である。エンジン11を速やかに暖機する上で有利になる。
リチウムイオン電池3の温度が目標電池温度TSに到達する前は、リチウムイオン電池3の充電ができない。コントローラ7は、減速走行時の回生電力を、電気ヒーター63に供給する。こうすることで、燃費が向上する。
リチウムイオン電池3の温度が目標電池温度TSに到達すれば、リチウムイオン電池3の充電が可能になる。コントローラ7は、減速走行時の回生電力を、リチウムイオン電池3に供給し、リチウムイオン電池3を充電する。前述したように、リチウムイオン電池3の温度を速やかに高めることが可能になり、リチウムイオン電池3の充電を、速やかに開始することが可能である。よって、燃費の向上に有利になる。
尚、減速走行時の回生電力を、リチウムイオン電池3に充電する代わりに、又は、リチウムイオン電池3に充電すると共に、他の電気デバイスに供給してもよい。例えば、図示を省略するが、エンジン11の触媒装置がEHC(Electrically Heated Catalyst)を備えていれば、回生電力をEHCに供給してもよい。そうすることで、触媒装置の活性化を促進することが可能になる。
リチウムイオン電池3の温度が目標電池温度TSに到達すれば、電気ヒーター63の通電が停止する。このため、時刻t1以降は、エンジン11の冷却水の温度の、時間の経過に対する傾きは、相対的に小さくなる。エンジン11の冷却水が目標冷却水温度TEに到達すれば、冷却水昇温モードが終了する(時刻t2)。
こうして、実施例では、リチウムイオン電池3の温度が、目標電池温度TSに速やかに到達すると共に、エンジン11の冷却水の温度も、目標冷却水温度TEに速やかに到達する。
この車両システム1では、電気ヒーター63に通電をすることによって、冷却水貯留槽670内で冷却水が加温される。加温された冷却水は、冷却水貯留槽670とエンジン11との間で、冷却水通路67を介して循環する。これによって、エンジン11の早期の暖機を図ることが可能になる。
その一方で、冷却水貯留槽670は、潜熱蓄熱材62に対して熱伝達するよう構成されていると共に、潜熱蓄熱材62は、リチウムイオン電池3に熱を供給するよう構成されている。従って、電気ヒーター63が冷却水貯留槽670内の冷却水を加温すると、加温された冷却水を介して、潜熱蓄熱材62、ひいてはリチウムイオン電池3の温度が高まる。潜熱蓄熱材62を、エンジン11の冷却水を介して加温することで、前述のように、潜熱蓄熱材62の局所的な劣化を防止することが可能になる。
さらに、エンジン11を暖機するための電気ヒーターと、リチウムイオン電池3を加温するための電気ヒーターとを個別に設けるのではなく、冷却水貯留槽670内に配設した一台の電気ヒーター63によって、エンジン11の暖機と、リチウムイオン電池3の加温との両方を行うことができる。そのことで、製造コストを抑制することが可能になる。
このように、車両システム1では、潜熱蓄熱材62の劣化を防止しつつ、リチウムイオン電池3を加温すると共に、コストアップを抑制しつつ、エンジン11を早期に暖機することが可能となる。
図7は、二次電池加温装置を搭載した、別の車両システム10の構成を示している。この車両システム10と図1の車両システム1とを比較して異なる点は、車両システム10が排熱回収を行う点である。以下、車両システム10の構成について、車両システム1と相違する点を中心に、詳細に説明する。
車両システム10は、図7に明示するように、エンジン11の排気系(具体的には、エンジン11の排気管13)に設けられかつ、排気ガスを浄化するよう構成された触媒装置14を備えている。
車両システム10の昇温デバイス6では、エンジン11と冷却水貯留槽670との間で循環させる冷却水を、排気ガスの熱によって加温する。図7に示すように、昇温デバイス6は、エンジン11の排気管13の途中に取り付けられた、排熱回収部15を備えている。排熱回収部15は、エンジン11の排気系においては、触媒装置14の下流側に配設されている。
排熱回収部15は、冷却水通路67においては、往路671の途中に設けられており、排気ガスの熱によって冷却水を加温するように構成されている。具体的に、排熱回収部15は、エンジン11と開閉バルブ673との間に介設しており、通過する排気ガスと、ポンプ678によって供給される冷却水との間で熱交換を行う。
排熱回収部15によって加温されて高温になった冷却水は、往路671を介して、冷却水貯留槽670に供給される。高温の冷却水を供給することにより、潜熱蓄熱材62、ひいてはリチウムイオン電池3が加温される。
図8は、図7に示す車両システム10において、エンジン11の低温始動時における、触媒装置14、エンジン11及びリチウムイオン電池3の昇温制御の手順を示すフローチャートである。先ずスタート後のステップS81で、コントローラ7は、エンジン11が始動したか否かを判定する。ステップS81の判定がNOのときには、ステップS81を繰り返す。ステップS81の判定がYESのときには、ステップS82に移行する。
ステップS82で、コントローラ7は、エンジン11及び昇温デバイス6間で、冷却水を循環させる。具体的に、コントローラ7は、冷却水通路67の開閉バルブ673を開けると共に、ポンプ674を駆動する。前述したように、冷却水は、エンジン11及び昇温デバイス6間を循環する際に排熱回収部15を通過すると共に、排熱回収部15を通じて回収した排熱の分だけ昇温される。
ステップS83で、コントローラ7は、エンジン11をAWS(Accelerated Warm-up System)モードで運転する。具体的に、コントローラ7は、排気損失が増えるよう、例えばエンジン11の燃料噴射量を増量すると共に、点火時期を大幅に遅角することによって燃焼時期を大幅に遅らせる。これにより、触媒装置14の活性化が促進される。一方で、燃焼時期を大幅に遅らせるため、エンジン11のトルクは低下する。
そこで、ステップS84で、コントローラ7は、モータージェネレータ2によるエンジン11のアシストを実行する。このときに、コントローラ7は、リチウムイオン電池3の電力を、モータージェネレータ2に供給する。
ステップS85で、コントローラ7は、電気ヒーター63に通電する。このときも、コントローラ7は、リチウムイオン電池3の電力を供給する。こうして、冷却水貯留槽670内において、電気ヒーター63によって冷却水を昇温する。冷却水が、冷却水通路67を循環することにより、エンジン11の暖機が促進されると共に、前述したように、冷却水貯留槽670内の冷却水を通じて、潜熱蓄熱材62が昇温し、リチウムイオン電池3の温度も上昇する。また、排熱回収部15を通じて回収した排熱の分、エンジン11の暖機と、リチウムイオン電池3の昇温とが、一層、促進される。
ステップS86で、コントローラ7は、触媒装置14の暖機が完了したか否かを判定する。ステップS86の判定がNOのときには、コントローラ7は、エンジン11のAWSモードと、排熱回収部15を通じた排熱の回収と、モータージェネレータ2及び電気ヒーター63への通電とを継続しながら、ステップS86を繰り返す。ステップS86の判定がYESになれば、フローは、ステップS87に移行する。
ステップS87で、コントローラ7は、エンジン11と昇温デバイス6との間で冷却水を循環しながら、エンジン11を冷却水昇温モードで運転する。前述したように、コントローラ7は、冷却損失が増えるよう、例えばエンジン11の燃料噴射量を増量すると共に、点火時期を遅角することによって燃焼時期を遅らせる。これにより、エンジン11の暖機を促進すると同時に、リチウムイオン電池3の昇温を図る。
エンジン11のAWSモードを終了したため、ステップS88で、コントローラ7は、モータージェネレータ2によるエンジン11のアシストを停止する。一方で、コントローラ7は、電気ヒーター63への通電を継続する。
ステップS89で、コントローラ7は、潜熱蓄熱材62の温度が所定温度T5を超えたか否かを判定する。所定温度T5は、前述のように、潜熱蓄熱材62が溶融する温度(30℃程度)であり、リチウムイオン電池3の充電が可能となる温度である。
ステップS89の判定がNOのときには、コントローラ7は、エンジン11と昇温デバイス6との間で冷却水を循環しながら、エンジン11を冷却水昇温モードで運転すること、及び、電気ヒーター63によって冷却水を昇温することを継続し、エンジン11及びリチウムイオン電池3の昇温を継続する。ステップS89の判定がYESになれば、ステップS810に移行する。
ステップS810で、コントローラ7は、冷却水の循環を停止する。具体的に、コントローラ7は、冷却水通路67の開閉バルブ673を閉じると共に、ポンプ674を停止する。これによって、排熱回収部15を通じた排熱の回収が停止される。また、ステップS811で、コントローラ7は、電気ヒーター63への通電を停止する。こうして、コントローラ7は、リチウムイオン電池3の昇温を中止する。リチウムイオン電池3の昇温を中止した後、昇温デバイス6が、リチウムイオン電池3の温度を、所定の温度帯に長時間維持する点は、前記と同様である。一方、コントローラ7は、エンジン11の冷却水昇温モードでの運転を継続する。
ステップS812で、コントローラ7は、エンジン11の冷却水の温度が目標温度TE以上になったか否かを判定する。目標温度TE以上でないとき、コントローラ7は、エンジン11の冷却水昇温モードを継続する。
ステップS812の判定がYESになれば、フローは、ステップS813に移行する。その場合、エンジンの冷却水の温度が目標温度TEに到達したため、コントローラ7は、エンジン11を通常モードで運転させる。
図9は、図8に示す制御に従った場合(つまり、実施例)の、リチウムイオン電池3の温度変化(図9の実線参照)、エンジン11の冷却水温度の変化(図9の破線参照)及び触媒装置14の温度変化(図9の一点鎖線)を例示している。
前述の通り、触媒装置14は、エンジン11のAWSモード運転によって昇温する。触媒装置14は、時刻t1において目標触媒温度TCに達する。触媒装置14は、速やかに活性化する。
エンジン11と昇温デバイス6との間で冷却水を循環しているため、エンジン11の冷却水及びリチウムイオン電池3は、実質的に同じ温度になる。エンジン11の冷却水及びリチウムイオン電池3は、排熱回収部15により回収した排熱と、電気ヒーター63の通電とによって次第に温度が高まる。
リチウムイオン電池3の目標電池温度TSは、冷却水の目標冷却水温度TEよりも低いため、リチウムイオン電池3の温度は、先に目標電池温度TSに到達する(時刻t2)。
リチウムイオン電池3の温度が目標電池温度TSに到達すれば、冷却水の循環に伴う排熱の回収と、電気ヒーター63の通電とが停止する。時刻t1から時刻t2の間は、エンジン11の冷却水昇温モード運転と、排熱回収部15により回収した排熱と、電気ヒーター63の通電とによって、エンジン11の冷却水の温度は上昇するが、時刻t2以降は、エンジン11の冷却水昇温モード運転のみで、エンジン11の冷却水の温度は上昇する。このため、時刻t2以降は、エンジン11の冷却水の温度の、時間の経過に対する傾きは、相対的に小さくなる。エンジン11の冷却水が目標冷却水温度TEに到達すれば、冷却水昇温モードが終了する(時刻t3)。
こうして、触媒装置14が速やかに活性化する。それに加えて、排熱回収部15を通じて回収した排熱と、リチウムイオン電池3の電力を用いた電気ヒーター63の通電とによってリチウムイオン電池3の温度が、目標電池温度TSに速やかに到達しかつ、電池の昇温と共に、エンジン11の冷却水の温度も、目標冷却水温度TEに速やかに到達する。
リチウムイオン電池3の温度が目標電池温度TSに到達する前は、リチウムイオン電池3の充電ができない。コントローラ7は、減速走行時の回生電力を、電気ヒーター63に供給する。こうすることで、燃費が向上する。
リチウムイオン電池3の温度が目標電池温度TSに到達すれば、リチウムイオン電池3の充電が可能になる。コントローラ7は、減速走行時の回生電力を、リチウムイオン電池3に供給し、リチウムイオン電池3を充電する。前述したように、リチウムイオン電池3の温度を速やかに高めることが可能になり、リチウムイオン電池3の充電を、速やかに開始することが可能である。よって、燃費の向上に有利になる。
尚、エンジン11をAWSモードで運転する構成は、必須ではない。AWSモードを採用しない場合、コントローラ7は、前述の図5に示すフローに従って、リチウムイオン電池3の温度調整を制御する。
尚、減速走行時の回生電力を、リチウムイオン電池3に充電する代わりに、又は、リチウムイオン電池3に充電すると共に、他の電気デバイスに供給してもよい。例えば、エンジン11をAWSモードで運転する代わりに、触媒装置14がEHC(Electrically Heated Catalyst)を備えて構成されていれば、回生電力をEHCに供給してもよい。そうすることで、触媒装置14の活性化を促進することが可能になる。
この車両システム10では、前記の車両システム1と同様に、冷却水貯留槽670を潜熱蓄熱材62に対して熱伝達するよう構成する共に、冷却水貯留槽670内に電気ヒーター63を配設する。そうすることで、潜熱蓄熱材62の劣化を防止しつつ、リチウムイオン電池3を加温すると共に、コストアップを抑制しつつ、エンジン11を早期に暖機することが可能となる。
さらに、この車両システム10では、冷却水、ひいてはリチウムイオン電池3を加温する際に、排熱を利用する。電気ヒーター63の代わりに排熱を使用したり、排熱を使用した分だけ電気ヒーター63へ通電する電力を低減したりすることで、リチウムイオン電池3に蓄えられた電力を節約しつつ、リチウムイオン電池3を加温することが可能になる。また、図8に示すフローのように、排熱と電気ヒーター63とを併用することで、リチウムイオン電池3を早期に加温することも可能になる。
特に、前記のフローによれば、車両システム10は、エンジン11をAWSモードで運転することにより触媒装置14の活性化を図る。そのときに、所望のトルクを確保するために、リチウムイオン電池3の電力を利用して、モータージェネレータ2によるエンジン11のアシストを行う。そうしたアシストを行った場合、モータージェネレータ2へ通電する分の電力は、リチウムイオン電池3から供給されることになるため、電気ヒーター63へ通電する分の電力が不足してしまい、リチウムイオン電池3が十分に加温されない恐れがある。このことは、燃費の悪化を招くため不都合である。そこで、十分な電力を確保するために、電池セル31を積み増すことが考えられるが、製造コストの観点からは不都合である。
しかしながら、前記のように、電気ヒーター63へ通電すると共に、排熱回収部15を通じて排熱を回収することで、リチウムイオン電池3を十分に加温することが可能になる。これによって、電池セル31を積み増すことなく、低温環境下における燃費の悪化を抑制することができる。
その上、排気系において、触媒装置14の下流側に排熱回収部15を配設することで、排熱回収部15は、触媒装置14を通過した後の排気ガスから熱を回収することになる。そのことで、触媒装置14の活性化を妨げることなく、排熱を回収することが可能になる。
図10は、車両システム1又は車両システム10に適用可能な、昇温デバイス6の変更例を示している。図2に示す昇温デバイス6と比較して異なる点は、昇温デバイス6が蒸発槽640を有している点と、冷却水貯留槽670内に第2の潜熱蓄熱材68が配設されている点である。以下、その変更例の構成について、図2に示す昇温デバイス6と異なる点を中心に、詳細に説明する。
図10に示すように、昇温デバイス6は、リチウムイオン電池3を構成する複数の電池セル31と、電池セル31を覆うように設けられた断熱筐体61及び断熱蓋611と、断熱筐体61内に充填され、それによって電池セル31を覆うように設けられた潜熱蓄熱材(以下、「第1蓄熱材」という)62と、エンジン11の冷却水が供給されかつ、第1蓄熱材62に対し熱伝達するよう構成された冷却水貯留槽670と、を有している。冷却水貯留槽670内には、電気ヒーター63と、第2の潜熱蓄熱材(以下、「第2蓄熱材」という)68が配設されている。また、冷却水貯留槽670と第1蓄熱材62との間には、蒸発槽640が介設されている。
第2蓄熱材68は、所定の温度帯において凝固するように構成されている。この温度帯は、第1蓄熱材62が凝固する温度帯よりも高めに設定されており、概ね、60℃前後に設定された温度帯である。60℃前後の温度帯で凝固する第2蓄熱材68は、例えば、酢酸ナトリウム系潜熱蓄熱材とすることが可能である。第2蓄熱材68は、60℃前後の温度帯において蓄熱をする。酢酸ナトリウム系潜熱蓄熱材の構成に応じて、蓄熱温度帯を変更可能である。
第2蓄熱材68は、樹脂製のパックに封入された状態で、冷却水貯留槽670内に配設されている。さらに、そのようなパックには、該パックに封入された酢酸ナトリウム系潜熱蓄熱材に対し刺激(例えば、瞬間的な振動)を与えるよう構成された部材が設けられている。酢酸ナトリウム系潜熱蓄熱材に対し刺激を与える部材は、例えば、ソレノイド式のバネ部材とすることが可能である。バネ部材を介して酢酸ナトリウム系潜熱蓄熱材へ刺激を与えることで、過冷却状態(凝固する温度帯より低温にも拘わらず、液体のままになっている状態)にある第2蓄熱材68を凝固させることが可能になる。第2蓄熱材68は、凝固することで熱を放出し、蓄熱温度帯(60℃前後)まで昇温する。第2蓄熱材68は、放出した凝固熱によって、冷却水貯留槽670内に供給された冷却水を昇温する。また、第2蓄熱材68は、冷却水通路67を流れる冷却水から熱を吸収することで、再生するように構成されている。
一方で、第1蓄熱材62及びリチウムイオン電池3にとって望ましい温度帯は、30℃程度である。第2蓄熱材68が発生する60℃程度の凝固熱は、潜熱蓄熱材62及びリチウムイオン電池3の加熱には温度が高すぎる。蒸発槽640は、第2蓄熱材68が昇温した冷却水により槽内の水を蒸発させることによって、第1蓄熱材62の加熱温度を調整する機能を有している。
蒸発槽640は、第1蓄熱材62に隣接している。蒸発槽640と第1蓄熱材62とは、互いに熱伝達可能に接している。また、蒸発槽640は、冷却水貯留槽670に対しても熱伝達可能に接している。
蒸発槽640内は、水(液体)が、所定の温度帯(ここでは、30℃前後の温度帯)で蒸発をするように、低圧に保たれている。蒸発槽640内に供給された水は、前述の通り、第2蓄熱材68の凝固熱によって、冷却水を介して加熱されて蒸発する。蒸発槽640は、その温度が、所定の温度帯に保たれる。蒸発槽640には、水を供給するための循環経路64が接続されている。
循環経路64は、蒸発槽640に水を供給すると共に、蒸発槽640から水蒸気を排出するように構成されている。具体的に、循環経路64における水の供給側には、水を貯留する貯水槽642と、貯水槽642と蒸発槽640との間に介在する開閉バルブ644と、が設けられている。一方、循環経路64における水蒸気の排出側には、蒸発槽640から排出された水蒸気を凝縮して水にするコンデンサ646と、蒸発槽640とコンデンサ646との間に介在する開閉バルブ645と、が設けられている。コンデンサ646と貯水槽642とは、逆止弁647を介して互いに連通している。コンデンサ646で凝縮した水は、貯水槽642に貯留される。蒸発槽640内で水が蒸発して圧力が高くなると、水が蒸発する温度が高くなる。そのため、コントローラ7は、開閉バルブ644、645をそれぞれ制御する。それによって、蒸発槽640が所定の温度帯を維持するように、水の供給及び水蒸気の排出を調整する。
この昇温デバイス6を用いた場合、リチウムイオン電池3の温度調整は、図11のフローに従って行われる。つまり、スタート後のステップS111で、コントローラ7は、車両停止か、又は、エンジン停止か否かを判定する。つまり、このステップS111では、コントローラ7は、車両が駐車しているか否かを判定する。ステップS111の判定がNOのときには、ステップS111を繰り返す。判定がYESのときには、ステップS112に移行する。
ステップS112で、コントローラ7は、車両が低温環境下にあるか否かを判定する。具体的には、コントローラ7は、外気温センサ74の検出信号に基づいて、外気温度が所定値T1以下であるか否かを判定する。所定値T1は、前述のように、例えば0℃以下の値で適宜設定すればよい。前述の如く、外気温度が所定値T1以下であるときには、リチウムイオン電池3の温度が次第に低下することによって、リチウムイオン電池3の温度が所定の温度帯を下回ってしまう恐れがある。ステップS112の判定がNOのときには、ステップS112を繰り返す。判定がYESのときには、ステップS113に移行する。
ステップS113で、コントローラ7は、エンジン11及び昇温デバイス6間で、冷却水を循環させる。具体的に、コントローラ7は、冷却水通路67の開閉バルブ673を開けると共に、ポンプ674を駆動する。
ステップS114で、コントローラ7は、蒸発槽640への注水を開始する。注水が開始すると、コントローラ7は、蒸発槽640の温度調整を行う。前述の通り、コントローラ7は、開閉バルブ644、645をそれぞれ制御する。それによって、蒸発槽640が所定の温度帯を維持するように、水の供給及び水蒸気の排出を調整する。これによって、蒸発槽640の温度は略一定になるため、冷却水が比較的高温の場合であっても、潜熱蓄熱材62及びリチウムイオン電池3の過昇温を防止して、所望の温度帯(30℃前後の温度帯)に保つことが可能になる。
ステップS115で、コントローラ7は、水温センサ73の検出信号に基づいて、冷却水の水温が、所定値T2以下であるか否かを判定する。ステップS115の判定がNOのときには、ステップS115を繰り返す。一方で、ステップS115の判定がYESのときには、ステップS116に移行して、冷却水の循環を停止する。車両が駐車している時、冷却水の水温は、次第に低下する。例えば、暖機したエンジン11の停止直後であって、冷却水の水温が所定値T2を超えていた場合、コントローラ7は、冷却水の水温が所定値T2以下になるまで、冷却水の循環を継続して行う。比較的高温の冷却水を循環することによって、第1蓄熱材62を介してリチウムイオン電池3を保温することができる。
ここでは、車両が駐車した後に所定期間が経過した結果、冷却水の水温が低下して、所定値T2以下になったものとして、説明を続ける。尚、所定値T2は、少なくとも、第2蓄熱材68が凝固する温度帯よりも低く設定されている。冷却水の水温が所定値T2以下になったとき、第2蓄熱材68は、再生されておりかつ、過冷却状態にある。
ステップS116で、コントローラ7は、冷却水の循環を停止すると共に、エンジン11と、冷却水貯留槽670との間の連通を切断する。具体的に、コントローラ7は、冷却水通路56の開閉バルブ673を閉じると共に、ポンプ674を停止する。
ステップS117で、コントローラ7は、蒸発槽640への注水を停止する。具体的に、コントローラ7は、開閉バルブ644、645をそれぞれ閉じる。
ステップS118で、コントローラ7は、第1蓄熱材62の温度が所定温度以下であるか否かを判定する。ここで、所定温度としては、例えば、第1蓄熱材62が凝固を完了する温度T3であってもよい。ステップS118の判定がNOのときには、ステップS118を繰り返す。ステップS118の判定がYESのときには、ステップS119に移行する。
ステップS119で、コントローラ7は、第2蓄熱材68に対し刺激を与える。これによって、過冷却状態にあった第2蓄熱材68が凝固を開始して、熱を発する。第2蓄熱材68が発した熱によって、冷却水貯留槽670内に供給された冷却水を昇温すると共に、昇温された冷却水によって、第1蓄熱材62、ひいてはリチウムイオン電池3を暖める。
ステップS1110で、コントローラ7は、蒸発槽640へ断続的に注水する。具体的には、前述のステップS114の如く、コントローラ7は、開閉バルブ644、645をそれぞれ制御することによって、蒸発槽640が所定の温度帯を維持するように、水の供給及び水蒸気の排出を調整する。これによって、蒸発槽640の温度は略一定になるため、第2蓄熱材68によって冷却水が比較的高温に加熱された場合であっても、第1蓄熱材62及びリチウムイオン電池3の過昇温を防止して、第1蓄熱材62及びリチウムイオン電池3にとって望ましい温度帯に保つことが可能になる。
この昇温デバイス6では、冷却水、ひいてはリチウムイオン電池3を加温する際に、第2蓄熱材68の凝固熱を利用する。電気ヒーター63の代わりに第2蓄熱材68を使用したり、第2蓄熱材68の凝固熱の分だけ電気ヒーター63へ通電する電力を低減したりすることで、リチウムイオン電池3に蓄えられた電力を節約しつつ、リチウムイオン電池3を加温することが可能になる。
特に、前記のフローのように、電気ヒーター63の代わりに第2蓄熱材68を用いることで、リチウムイオン電池3のSOCに拘わらず、リチウムイオン電池3の温度を速やかに高めることが可能になる。このことは、特に低温環境下において回生充電を早期に可能にし、ひいては、燃費の向上を図る上で有利になる。
さらに、前記の変更例によれば、第2蓄熱材68は、第1蓄熱材62が凝固する温度帯よりも高めの温度帯において凝固するようになっている。そうすると、冷却水貯留槽670内の冷却水を早期に昇温することが可能になるものの、第1蓄熱材62及びリチウムイオン電池3を過度に加熱する恐れがある。そこで、前記のように、エンジン11と冷却水貯留槽670との間に蒸発槽640を介在させた。蒸発槽640は、供給された水が、所定の温度帯(30℃付近)において蒸発するように構成されているから、第1蓄熱材62、ひいてはリチウムイオン電池3を所定の溶融温度に保持することが可能になる。そのことで、ひいては、第1蓄熱材62及びリチウムイオン電池3の過度の加熱を防止して、双方を適温に保つことが可能になる。これによって、リチウムイオン電池3を早期に加温することと、リチウムイオン電池3の過度の加温を防止することとを両立する上で有利になる。
さらに、この昇温デバイス6では、コントローラ7は、冷却水の水温が所定値T2以下になるまで、エンジン11と冷却水貯留槽670との間で、冷却水を循環させる。この構成によれば、例えば、冷却水が比較的高温のときには、冷却水を循環させることで、エンジン11及びリチウムイオン電池3の両方を保温することが可能になる。そうすることで、例えば、車両が次に発進するときに、エンジン11が十分に暖機された状態でかつ、リチウムイオン電池3が回生充電可能な状態から始動することが可能になる。その後、コントローラ7は、冷却水の水温が低下したときに、冷却水の循環を停止する。そうすることで、電気ヒーター63や第2蓄熱材68が供給する熱を、リチウムイオン電池3の加温に集中的に利用することが可能になる。そのことで、リチウムイオン電池3を早期に加温する上で有利になる。
冷却水の温度が低下すると、第1蓄熱材62の温度も、それに応じて次第に低下する。
コントローラ7は、冷却水の循環を停止した後、第1蓄熱材62ではリチウムイオン電池3を十分に保温することが出来なくなったときに、第2蓄熱材68を刺激して発熱させる。そのように設定することで、第2蓄熱材68が蓄えた熱を、リチウムイオン電池3の加温に無駄なく利用すると共に、リチウムイオン電池3に蓄えられた電力を節約しつつ、リチウムイオン電池3を長期に亘って保温することが可能になる。
また、第2蓄熱材68は、冷却水から熱を吸収することで、再生するように構成されている。すなわち、第2蓄熱材68の再生に電力を必要としないため、リチウムイオン電池3に蓄えられた電力を節約することが可能になる。
尚、第2蓄熱材68に刺激を与えると共に、電気ヒーター63に通電してもよい。第2蓄熱材68と電気ヒーター63とを併用することで、冷却水、ひいてはリチウムイオン電池3を早期に加温することが可能になる。
また、図11に示すフローは、車両停止、又は、エンジン停止時における制御手順を示していたが、例えば、低温環境下でのエンジン始動時に、第2蓄熱材68によってリチウムイオン電池3を加熱することも可能である。その場合、第2蓄熱材68に刺激を与えると共に、電気ヒーター63に通電することによって、リチウムイオン電池3を早期に加温することが可能になる。
1、10 車両システム
11 エンジン(内燃機関)
13 排気管(排気系)
14 触媒装置
15 排熱回収部
2 モータージェネレータ(モーター)
3 リチウムイオン電池(二次電池)
6 昇温デバイス(昇温手段)
62 潜熱蓄熱材
63 電気ヒーター
640 蒸発槽
67 冷却水通路
670 冷却水貯留槽
68 第2の潜熱蓄熱材
7 コントローラ(制御手段)

Claims (6)

  1. 車両に搭載した内燃機関と、
    前記車両に搭載した二次電池と、
    前記二次電池の電力によって駆動するよう構成されたモーターと、
    前記二次電池の温度を高めるよう構成された昇温手段と
    前記昇温手段を通じて前記二次電池の温度を調整するよう構成された制御手段と、を備え、
    前記昇温手段は、前記二次電池を覆いかつ、前記二次電池に熱を供給するよう構成された潜熱蓄熱材と、前記内燃機関の冷却水が供給されかつ、前記潜熱蓄熱材に対して熱伝達するよう構成された冷却水貯留槽と、前記冷却水貯留槽及び前記内燃機関の間で、前記冷却水が循環するように構成された冷却水通路と、前記冷却水貯留槽内に配設されかつ、前記冷却水貯留槽内の前記冷却水を加温するように構成された電気ヒーターと、を有し、
    前記制御手段は、前記内燃機関の始動時には、前記潜熱蓄熱材の温度が所定温度を超えるまで、前記電気ヒーターへの通電と、前記冷却水の循環とを行うように構成されているハイブリッド車の二次電池加温装置。
  2. 請求項1に記載のハイブリッド車の二次電池加温装置において、
    前記内燃機関の排気系に設けられかつ、排気ガスを浄化するよう構成された触媒装置を備え、
    前記冷却水通路には、前記排気系において前記触媒装置の下流側に配置されかつ、排気ガスの熱によって前記冷却水を加温するように構成された排熱回収部が介設されているハイブリッド車の二次電池加温装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のハイブリッド車の二次電池加温装置において、
    前記冷却水貯留槽内には、該冷却水貯留槽内の前記冷却水に熱を供給するよう構成された第2の潜熱蓄熱材が配設されているハイブリッド車の二次電池加温装置。
  4. 請求項3に記載のハイブリッド車の二次電池加温装置において、
    前記昇温手段には、前記潜熱蓄熱材と前記冷却水貯留槽との間に介在しかつ、液体が供給される蒸発槽が設けられ、
    前記蒸発槽は、前記液体が所定の温度帯において蒸発することにより、前記潜熱蓄熱材を所定の溶融温度に保持するように構成されているハイブリッド車の二次電池加温装置。
  5. 請求項3又は請求項4に記載のハイブリッド車の二次電池加温装置において、
    記制御手段は、前記車両が駐車している時、前記冷却水の水温が所定値を超えているときには前記冷却水を循環させる一方、前記冷却水の水温が前記所定値以下のときには前記冷却水の循環を停止するように構成されているハイブリッド車の二次電池加温装置。
  6. 請求項5に記載のハイブリッド車の二次電池加温装置において、
    前記制御手段は、前記冷却水の循環が停止した後、前記潜熱蓄熱材の温度に基づいて、前記第2の潜熱蓄熱材の発熱を開始するように構成されているハイブリッド車の二次電池加温装置。
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