JP6357163B2 - 樹脂組成物およびその成形品 - Google Patents
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Description
本発明の課題は、溶融成形時にゲルが生成し難い、耐熱性に優れた樹脂組成物およびその成形品を提供することである。
高級アルコール、炭化水素、脂肪酸、脂肪酸金属塩、脂肪族アミド、および1分子中に水酸基を2以上有しない脂肪酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも一つからなる滑剤(x)0.001質量部以上2質量部以下と、
炭素原子数10〜24の飽和脂肪酸のモノグリセライドからなる滑剤(y1)0〜0.1質量部と
を含有する樹脂組成物。
〔3〕 滑剤(y1)の含有量が、共重合体(a)100質量部に対して0〜0.01質量部である〔1〕に記載の樹脂組成物。
高級アルコール、炭化水素、脂肪酸、脂肪酸金属塩、脂肪族アミド、および1分子中に水酸基を2以上有しない脂肪酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも一つからなる滑剤(x)0.001質量部以上2質量部以下と、
1分子中に水酸基を2以上有する脂肪酸エステルからなる滑剤(y2)0〜0.1質量部と
を含有する樹脂組成物。
〔6〕 滑剤(y2)の含有量が、共重合体(a)100質量部に対して0〜0.01質量部である〔4〕に記載の樹脂組成物。
〔8〕 ガラス転移温度が115℃以上150℃以下である〔1〕〜〔7〕のいずれかひとつに記載の樹脂組成物。
〔9〕 23℃の水中における飽和吸水率が0.3〜1.8質量%である〔1〕〜〔8〕のいずれかひとつに記載の樹脂組成物。
〔11〕 前記〔1〕〜〔9〕のいずれかひとつに記載の樹脂組成物からなる層と、
ガラス転移温度が130℃以上160℃以下である熱可塑性樹脂組成物からなる層とを有する積層体。
〔12〕 ガラス転移温度が130℃以上160℃以下である熱可塑性樹脂組成物がポリカーボネートを含有する樹脂組成物である〔11〕に記載の積層体。
また、メタクリル酸脂環式炭化水素エステルおよびメタクリル酸メチル以外の単量体に由来する構造単位の含有率は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下である。
なお、重量平均分子量および数平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)で測定した標準ポリスチレン換算の分子量である。
また、共重合体(a)の重量平均分子量、数平均分子量およびMw/Mnは、後述する重合開始剤および連鎖移動剤の種類や量などを調整することによって制御できる。
重合反応は単量体混合物とともに添加した重合開始剤によって開始される。また、必要に応じて連鎖移動剤を単量体混合物に添加することによって、得られる共重合体(a)の重量平均分子量、数平均分子量、分子量分布を調節できる。
これらのうち、本発明に用いられる滑剤(x)は、高級アルコール、炭化水素、脂肪酸、脂肪酸金属塩、脂肪族アミド、および1分子中に水酸基を2以上有しない脂肪酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも一つからなるもの、好ましくは炭素原子数12〜18の脂肪族1価アルコールおよび炭素原子数16〜24の飽和脂肪酸からなる群より選ばれる少なくとも一つからなるもの、より好ましくは炭素原子数12〜18の脂肪族1価アルコールからなるものである。
脂肪酸金属塩を構成する脂肪酸としては、減摩性が高く且つ金型汚れやロール汚れが少ないという観点から、炭素原子数10以上の脂肪酸が好ましく、炭素原子数16〜24の脂肪酸がより好ましく、炭素原子数16〜24の飽和脂肪酸がさらに好ましい。脂肪酸金属塩を構成する金属としては、安定性、減摩性の観点から、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、鉛、錫、鉄、カドミウム、アルミニウム、バリウム、コバルト、ニッケル、マンガン、ストロンチウム、チタン、バナジウム、および銅からなる群より選ばれる少なくとも1つの金属を含むことが好ましく、カルシウム、マグネシウム、亜鉛および鉛からなる群より選ばれる少なくとも1つの金属を含むことがより好ましい。
本発明の樹脂組成物中における、これら他の重合体の含有量は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、2質量%以下であることがさらに好ましい。
多層押出し成形の方法は特に限定されず、熱可塑性樹脂の多層積層シートの製造に用いられる公知の多層押出し成形法が採用され、例えば、フラットなTダイと表面が鏡面仕上げされたポリシングロールを備えた装置によって成形される。Tダイの方式としては、加熱溶融状態の樹脂組成物[a]および樹脂組成物[b]がTダイ流入前に積層されるフィードブロック方式、あるいは樹脂組成物[a]および樹脂組成物[b]がTダイ内部で積層されるマルチマニホールド方式などを採用できる。積層シートを構成する各層間の界面の平滑性を高める観点から、マルチマニホールド方式が好ましい。
前記フィルターの濾過精度に特に制限はないが、30μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましく、5μm以下であることがさらに好ましい。
前記前面板が用いられるディスプレイ装置は、特に限定されず、例えば、大画面テレビや広告用ディスプレイなどの大型ディスプレイ装置;携帯電話やスマートフォンのような中小型ディスプレイ装置などが挙げられる。
前記前面板は、平面状に限られず曲面形状を有しても良い。前記曲面形状は一方向に湾曲した形状であってもよいし、複数の方向に湾曲した形状であっても良い。前記前面板を曲面形状とするために、前記板状成形体は、フレキシブル特性を有してもよいし、予め所望の曲面形状に成形されていてもよい。
本発明の成形品は、他の機能フィルムや機能シートと接着層や粘着層を介して積層してもよく、フィルムインサート成形により積層してもよい。前記機能フィルムや機能シートとしては、導光板や拡散板、飛散防止フィルム、透明導電フィルムなどが挙げられる。
JIS K7121に準拠して、メタクリル樹脂またはメタクリル樹脂組成物を、室温から200℃まで20℃/分で昇温し、10分間保持し、室温まで冷却し、次いで室温から200℃までを10℃/分で昇温させる温度条件において示差走査熱量(DSC)分析を行った。2回目の昇温時に測定されるDSC曲線から求められる中間点ガラス転移温度を本発明におけるガラス転移温度として採用した。測定装置として島津製作所製DSC−50を用いた。
射出成形機(住友重機械工業株式会社製、SE−180DU−HP)を用いて、シリンダ温度280℃、金型温度75℃および成形サイクル1分の条件でメタクリル樹脂組成物を射出成形して、厚さ2mm、一辺50mmの正方形の試験片を得た。温度80℃、5mmHgの条件下において試験片を24時間真空乾燥させた。次いで、試験片をデシケータ中で放冷した。デシケータから試験片を取り出して直ぐに質量(初期質量)を測定した。
次いで該試験片を23℃の蒸留水に浸漬した。試験片を水から取り出し、表面に付着した水を拭き取って質量を測定した。該試験片を蒸留水に浸漬し、上記と同様にして質量を測定した。質量変化がなくなるまで蒸留水への浸漬、質量測定を繰り返した。質量変化がなくなったときの質量(吸水質量)と、初期質量とから、下式によって飽和吸水率を算出した。
飽和吸水率(%)=[(吸水質量−初期質量)/初期質量]×100
オートクレーブに、63質量部のメタクリル酸メチル、35質量部のメタクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−ニル、2質量部のアクリル酸メチル、0.06質量部のアゾビスイソブチロニトリル、0.01質量部の1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロへキサン、0.47質量部のペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、250質量部の水、0.09質量部の分散剤および1.07質量部のpH調整剤を入れた。
オートクレーブに、96.5質量部のメタクリル酸メチル、2.5質量部のアクリル酸メチル、0.06質量部のアゾビスイソブチロニトリル、0.25質量部のn−オクチルメルカプタン、250質量部の水、0.09質量部の分散剤および1.07質量部のpH調整剤を入れた。
オートクレーブ内を攪拌しながら、液温を室温から70℃に上げ、70℃で120分間保持して、重合反応を行った。液温を室温まで下げ、重合反応液をオートクレーブから抜き出した。重合反応液から固形分を濾過で取り出し、水で洗浄し、80℃にて24時間熱風乾燥させた。得られた固形分を2軸押出機のホッパーに供給し、シリンダ温度230℃で溶融混練した。その後、溶融樹脂を押し出して、ガラス転移温度110℃のペレット状のメタクリル樹脂[B]を得た。
メタクリル樹脂[A]100質量部および滑剤としてセタノール0.15質量部を2軸混練機にてシリンダ温度230℃で溶融混練した。その後、溶融樹脂を押し出して、ペレット状のメタクリル樹脂組成物[x1]を得た。メタクリル樹脂組成物[x1]の組成および物性を表1に示す。
滑剤としてステアリン酸モノグリセライド0.04質量部をさらに加えた以外は、実施例1aと同じ手法にてメタクリル樹脂組成物[x2]を得た。メタクリル樹脂組成物[x2]の組成および物性を表1に示す。
滑剤としてステアリン酸モノグリセライド0.1質量部をさらに加えた以外は、、実施例1aと同じ手法にてメタクリル樹脂組成物[x3]を得た。メタクリル樹脂組成物[x3]の組成および物性を表1に示す。
セタノールの量を0.3質量部に変えた以外は、実施例1aと同じ方法にてメタクリル樹脂組成物[x4]を得た。メタクリル樹脂組成物[x4]の組成および物性を表1に示す。
セタノール0.15質量部をステアリン酸モノグリセライド0.15質量部に変えた以外は、実施例1aと同じ方法にてメタクリル樹脂組成物[x5]を得た。メタクリル樹脂組成物[x5]の組成および物性を表1に示す。
滑剤としてセタノール0.15質量部をさらに加えた以外は、比較例1aと同じ手法にてメタクリル樹脂組成物[x6]を得た。メタクリル樹脂組成物[x6]の組成および物性を表1に示す。
メタクリル樹脂[A]をメタクリル樹脂[B]に変えた以外は、比較例1aと同じ方法にてペレット状のメタクリル樹脂組成物[x7]を得た。メタクリル樹脂組成物[x7]の組成および物性を表1に示す。
積層シートのメタクリル樹脂側表面を目視観察して異物欠点の数を数えた。
1m2の面積内において、欠点の数が1個以下であったものを◎、2個であったものを○、3個であったものを△、4個以上であったものを×とした。
積層シートのメタクリル樹脂側表面を目視観察して押出流れ方向に直交する段差状欠点(離型マーク)の有無を検査した。
押出流れ方向に30cmの範囲において、段差状欠点が全く視認できなかったものを◎、ほとんど視認できなかったものを○、わずかに視認できたものを△、明瞭に視認できたものを×とした。
積層シートから、押出流れ方向に対して垂直な方向が短辺、押出流れ方向に対して平行な方向が長辺となるように、短辺30mm、長辺150mmの長方形試験片を切り出した。試験片の短辺を摘み吊り、温度23℃、相対湿度50%に設定した環境試験機の中に、72時間放置した。試験片を23℃に放冷した。試験片は弓状に反った。弓状に反った試験片を、定盤の上に該試験片を端部が定盤に接するように(すなわち、試験片が山形になるように)置き、定盤と試験片との隙間の最大距離(通常、試験片の長辺中央部付近が最大となる。)を、隙間ゲージを用いて測定した。この値を初期反り量とした。
続いて、弓状に反った試験片の短辺を摘み吊り、温度85℃、相対湿度85%に設定した環境試験機の中に、24時間放置した。試験片を23℃に放冷した。上記と同じ方法で定盤と試験片との隙間の最大距離を測定した。この測定値と初期反り量との差を「反り変化量」と定義した。反り変化量が1mm以下のものを◎、反り変化量が1mm超のものを×とした。
シリンダ温度280℃、吐出量30kg/時に設定された、軸径50mmの単軸押出機[I]にポリカーボネート(住化スタイロンポリカーボネート株式会社製「SDポリカ(登録商標)PCX」。以下同じ)のペレットを連続的に投入した。
シリンダ温度220℃、吐出量2kg/時に設定された、軸径30mmの単軸押出機[II]にメタクリル樹脂組成物[x1]のペレットを連続的に投入した。
押出機[I]および押出機[II]から同時にポリカーボネートとメタクリル樹脂組成物[x1]とを押出して、ジャンクションブロックに導入し、次いで温度250℃のマルチマニホールドダイでポリカーボネートとメタクリル樹脂組成物[x1]とを共押出成形してシート状にした。このシートを、横4本ロールの1,2番ロール間にてバンク成形し、4本ロールにて鏡面を転写しながら冷却し、厚さ60μmのメタクリル樹脂組成物[x1]からなる層と厚さ940μmのポリカーボネートからなる層とからなる総厚さ1000μmの積層シートを得た。積層シートの評価結果を表2に示す。
メタクリル樹脂組成物[x1]をメタクリル樹脂組成物[x2]に変えた以外は、実施例1bと同じ方法にて厚さ60μmのメタクリル樹脂組成物[x2]からなる層と厚さ940μmのポリカーボネートからなる層とからなる総厚さ1000μmの積層シートを得た。積層シートの評価結果を表2に示す。
メタクリル樹脂組成物[x1]をメタクリル樹脂組成物[x3]に変えた以外は、実施例1bと同じ方法にて厚さ60μmのメタクリル樹脂組成物[x3]からなる層と厚さ940μmのポリカーボネートからなる層とからなる総厚さ1000μmの積層シートを得た。積層シートの評価結果を表2に示す。
メタクリル樹脂組成物[x1]をメタクリル樹脂組成物[x4]に変えた以外は、実施例1bと同じ方法にて厚さ60μmのメタクリル樹脂組成物[x4]からなる層と厚さ940μmのポリカーボネートからなる層とからなる総厚さ1000μmの積層シートを得た。積層シートの評価結果を表2に示す。
メタクリル樹脂組成物[x1]をメタクリル樹脂組成物[x5]に変えた以外は、実施例1bと同じ方法にて厚さ60μmのメタクリル樹脂組成物[x5]からなる層と厚さ940μmのポリカーボネートからなる層とからなる総厚さ1000μmの積層シートを得た。積層シートの評価結果を表2に示す。
メタクリル樹脂組成物[x1]をメタクリル樹脂組成物[x6]に変えた以外は、実施例1bと同じ方法にて厚さ60μmのメタクリル樹脂組成物[x6]からなる層と厚さ940μmのポリカーボネートからなる層とからなる総厚さ1000μmの積層シートを得た。積層シートの評価結果を表2に示す。
メタクリル樹脂組成物[x1]をメタクリル樹脂組成物[x7]に変えた以外は、実施例1bと同じ方法にて厚さ60μmのメタクリル樹脂組成物[x7]からなる層と厚さ940μmのポリカーボネートからなる層とからなる総厚さ1000μmの積層シートを得た。積層シートの評価結果を表2に示す。
メタクリル樹脂組成物[x1]をメタクリル樹脂[A]に変えた以外は、実施例1bと同じ方法にて厚さ60μmのメタクリル樹脂[A]からなる層と厚さ940μmのポリカーボネートからなる層とからなる総厚さ1000μmの積層シートを得た。積層シートの評価結果を表2に示す。
Claims (12)
- メタクリル酸多環脂肪族炭化水素エステルに由来する構造単位10〜60質量%と、メタクリル酸メチルに由来する構造単位40〜90質量%と、アクリル酸エステルに由来する構造単位10質量%以下とからなる共重合体(a)100質量部と、
高級アルコール、炭化水素、脂肪酸、脂肪酸金属塩、脂肪族アミド、および1分子中に水酸基を2以上有しない脂肪酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも一つからなる滑剤(x)0.001質量部以上2質量部以下と、
炭素原子数10〜24の飽和脂肪酸のモノグリセライドからなる滑剤(y1)0〜0.1質量部と
を含有する樹脂組成物。 - 滑剤(y1)の含有量が、共重合体(a)100質量部に対して0〜0.05質量部である請求項1に記載の樹脂組成物。
- 滑剤(y1)の含有量が、共重合体(a)100質量部に対して0〜0.01質量部である請求項1に記載の樹脂組成物。
- メタクリル酸多環脂肪族炭化水素エステルに由来する構造単位10〜60質量%と、メタクリル酸メチルに由来する構造単位40〜90質量%と、アクリル酸エステルに由来する構造単位10質量%以下とからなる共重合体(a)100質量部と、
高級アルコール、炭化水素、脂肪酸、脂肪酸金属塩、脂肪族アミド、および1分子中に水酸基を2以上有しない脂肪酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも一つからなる滑剤(x)0.001質量部以上2質量部以下と、
1分子中に水酸基を2以上有する脂肪酸エステルからなる滑剤(y2)0〜0.1質量部と
を含有する樹脂組成物。 - 滑剤(y2)の含有量が、共重合体(a)100質量部に対して0〜0.05質量部である請求項4に記載の樹脂組成物。
- 滑剤(y2)の含有量が、共重合体(a)100質量部に対して0〜0.01質量部である請求項4に記載の樹脂組成物。
- 滑剤(x)が、炭素原子数12〜18の脂肪族1価アルコールおよび炭素原子数16〜24の飽和脂肪酸からなる群より選ばれる少なくとも一つからなるものである請求項1〜6のいずれかひとつに記載の樹脂組成物。
- ガラス転移温度が115℃以上150℃以下である請求項1〜7のいずれかひとつに記載の樹脂組成物。
- 23℃の水中における飽和吸水率が0.3〜1.8質量%である請求項1〜8のいずれかひとつに記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜9のいずれかひとつに記載の樹脂組成物からなる成形品。
- 請求項1〜9のいずれかひとつに記載の樹脂組成物からなる層と、
ガラス転移温度が130℃以上160℃以下である熱可塑性樹脂組成物からなる層とを有する積層体。 - ガラス転移温度が130℃以上160℃以下である熱可塑性樹脂組成物がポリカーボネートを含有する樹脂組成物である請求項11に記載の積層体。
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