JP6355546B2 - 目標検出装置 - Google Patents
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Description
この目標検出装置は、例えば、反射波の受信信号を検波して、各レンジビンの振幅値を格納しているセルが連なっているレンジビン信号を生成し、そのレンジビン信号に対するCFAR(Constant False Alarm Rate)処理を実施することで、目標が存在している可能性があるレンジビンを検出する。
このとき、CFAR処理では、レンジビン信号における複数のセルのうち、目標を検出する対象の注目セルの振幅値と閾値を比較し、注目セルの振幅値が閾値より高ければ、注目セルに目標が存在している可能性があると判定するが、この閾値は、一般的に、注目セルの前後の複数のセルであるリファレンスセルの振幅値に対してスレッショルド係数が乗算されたものが用いられる。
また、以下の特許文献2には、予めクラッタの変動を示す確率分布モデルがWeibull分布である例が開示されている。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による目標検出装置を示す構成図である。
図1において、送信機1は例えばIQ変調が施されている高周波信号を生成し、その高周波信号を送信電波として送信アンテナ2に出力する。
送信アンテナ2は送信機1から出力された送信電波を空間に放射する。送信アンテナ2から放射された電波は、観測対象である目標(例えば、船舶、飛行機など)に反射されるほか、海面などに反射される。
受信機4−1〜4−Lは受信アンテナ3−1〜3−Lにより受信された電波に帯域制限をかけてから、電波の位相を検波して、その電波の受信信号を出力する。
ビーム形成部6は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、A/D変換器5−1〜5−Lから出力されたレンジビン毎のディジタル信号に対するDBF(Digital beam forming)処理を実施することでL個の方向にアンテナパターンを形成し、各々の方向から到来してきた電波の受信信号として、I/Qデータであるビーム受信信号#1〜#Lを生成する。
なお、受信アンテナ3−1〜3−L、受信機4−1〜4−L、A/D変換器5−1〜5−L及びビーム形成部6から電波受信手段が構成されている。
メモリ回路8は目標候補検出処理部7−1〜7−Lの検出結果を格納する記憶媒体である。
航跡検出処理部9は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、目標候補検出処理部7−1〜7−Lにより検出されたレンジビンの時間的な変化から目標の航跡を検出する処理を実施する。なお、航跡検出処理部9は航跡検出手段を構成している。
コンピュータによって構成される場合には、メモリ回路8をコンピュータのメモリ上に構成するとともに、ビーム形成部6、目標候補検出処理部7−1〜7−L及び航跡検出処理部9の処理内容を記述しているプログラムをコンピュータのメモリに格納して、当該コンピュータのCPUが当該メモリに格納されているプログラムを実行するようにすればよい。
図2において、振幅検波部11はビーム形成部6により生成されたビーム受信信号#lを検波して、各レンジビンの振幅値を格納しているセルが連なっているレンジビン信号を生成する処理を実施する。なお、振幅検波部11はレンジビン信号生成手段を構成している。
即ち、複数確率分布モデル想定型パラメータ推定部12は予め用意されているクラッタ確率分布モデル毎に、振幅検波部11により生成されたレンジビン信号の分布との尤度が最大になる確率分布パラメータ(例えば、尺度パラメータ、形状パラメータ)を探索して、当該確率分布モデルが、その探索した確率分布パラメータを用いた場合のレンジビン信号の分布との尤度を算出し、複数のクラッタ確率分布モデルの中から、そのレンジビン信号の分布との尤度が最も大きいクラッタ確率分布モデルを選択する処理を実施する。
また、複数確率分布モデル想定型パラメータ推定部12は、その選択したクラッタ確率分布モデルについて探索した確率分布パラメータを出力する。
なお、複数確率分布モデル想定型パラメータ推定部12及びスレッショルド係数設定部13からスレッショルド係数設定手段が構成されている。
リファレンスセル振幅加算処理部16はセル設定処理部15により設定された複数のリファレンスセルの振幅値を加算する処理を実施する。
振幅比較部18はセル設定処理部15により設定された注目セルの振幅値と係数乗算処理部17により設定された閾値を比較し、その注目セルの振幅値が閾値より高ければ、注目セルに目標が存在している可能性があると判定して、注目セルのレンジビンを出力する処理を実施する。
送信機1は、例えば、IQ変調が施されている高周波信号を生成し、その高周波信号を送信電波として送信アンテナ2に出力する。これにより、送信アンテナ2から電波が空間に放射される。
送信アンテナ2から放射された電波は、観測対象である目標(例えば、船舶、飛行機など)に反射されるほか、海面などに反射される。
受信機4−1〜4−Lは、受信アンテナ3−1〜3−Lにより受信された電波に帯域制限をかけてから、電波の位相を検波して、その電波の受信信号を出力する。
A/D変換器5−1〜5−Lは、受信機4−1〜4−Lから電波の受信信号を受けると、受信機4−1〜4−Lの帯域幅から定まる距離分解能を単位とするレンジビン毎に当該受信信号をA/D変換して、レンジビン毎のディジタル信号を出力する。
目標候補検出処理部7−1〜7−Lは、ビーム形成部6がビーム受信信号#1〜#Lを生成すると、そのビーム受信信号#1〜#Lを検波して、各レンジビンの振幅値を格納しているセルが連なっているレンジビン信号を生成し、そのレンジビン信号に対するCFAR処理を実施することで、目標が存在している可能性があるレンジビンを検出する。
図3は目標候補検出処理部7−lのレンジ方向CFAR処理部14の処理内容を示す説明図である。
目標候補検出処理部7−lの振幅検波部11は、ビーム形成部6がビーム受信信号#lを生成すると、そのビーム受信信号#lを検波して、各レンジビンの振幅値を格納しているセルが連なっているレンジビン信号を生成する。
例えば、送信機1により生成される高周波信号がIQ変調されており、ビーム形成部6により生成されたビーム受信信号#lがI/Qデータであれば、そのビーム受信信号#lにおけるI成分の2乗値とQ成分の2乗値との和の平方根をとることでレンジビン信号を求めることができる。
既にスレッショルド係数Thが設定されており、実際に目標を検出する処理段階であれば、振幅検波部11により生成されたレンジビン信号は、レンジ方向CFAR処理部14に入力される。
これらのクラッタ確率分布モデルは、確率分布パラメータp1,p2,・・・,pNにより定まる確率密度関数G(zt,zr|p1ハット,p2ハット,・・・,pNハット)により表される。明細書の文章中では、電子出願の関係上、文字の上に“^”の記号を付することができないので、例えば、p1ハットのように表記している。
ここで、ztは注目セルの振幅値、zrは複数のリファレンスセルの振幅値の加算値であり、G(zt,zr|p1ハット,p2ハット,・・・,pNハット)は、確率分布パラメータがp1ハット,p2ハット,・・・,pNハットである注目セルの振幅値ztと複数のリファレンスセルの振幅加算値zrとに関する確率密度関数をそれぞれ表している。
具体的には、隣接レンジビン間のクラッタが互いに独立である場合、確率密度関数G(zt,zr|p1ハット,p2ハット,・・・,pNハット)を離散フーリエ変換した後に、リファレンスセル数だけ乗算を繰り返し、複数のリファレンスセルの振幅加算値zrの確率密度関数pr,convの特性関数を求めた後、これを離散フーリエ逆変換することにより数値的に確率密度関数pr,convが求まる。
例えば、以下の非特許文献1には、同時確率密度関数の定式化に関する記載がある。
[非特許文献1]
福島,高橋,平田,“相関のあるクラッタ環境を想定したCFAR方式,”信学技法SIP-2014-57, pp.189-194.
複数確率分布モデル想定型パラメータ推定部12は、クラッタ確率分布モデル毎に最大尤度Imaxを算出すると、それらの最大尤度Imaxを比較し、予め用意されている複数のクラッタ確率分布モデルの中で、最大尤度Imaxが最も大きいクラッタ確率分布モデルを選択する。
複数確率分布モデル想定型パラメータ推定部12は、最大尤度Imaxが最も大きいクラッタ確率分布モデルを選択すると、そのクラッタ確率分布モデルについて探索した確率分布パラメータp1ハット,p2ハット,・・・,pNハットをスレッショルド係数設定部13に出力する。
具体的には、下記の式(2)において、右辺が、予め設定されている誤警報確率Pfaと一致するように、右辺の積分期間を定めるThを調整し、一致したときのThを目標の検出処理に用いるスレッショルド係数として係数乗算処理部17に出力する。
図3の例では、合計11個のセルを処理対象として、注目セルの前後5つのセルをリファレンスセルに設定している。
なお、セル設定処理部15は、後述する振幅比較部18での判定処理が行われる毎に、例えば、レンジビン信号における注目セルを図中右方向に1つ移動することで、レンジビン信号における全てのセルを順番に注目セルに設定する。
したがって、レンジビン信号における全てのセルを注目セルとして、振幅比較部18での判定処理が行われるまで、レンジ方向CFAR処理部14の処理が繰り返される。
係数乗算処理部17は、リファレンスセル振幅加算処理部16から複数のリファレンスセルの振幅加算値zrを受けると、下記の式(3)に示すように、複数のリファレンスセルの振幅加算値zrに対してスレッショルド係数設定部13により設定されたスレッショルド係数Thを乗算することで閾値Tを算出する。
T=zr×Th (3)
レンジビン信号における全てのセルを注目セルとして、振幅比較部18の判定処理が完了すると、レンジ方向CFAR処理部14の処理が終了するが、これはビーム受信信号#lの1フレーム分の処理の終了であり、複数フレームについて同様の処理が繰り返される。
ここで、図4は航跡検出処理部9による目標航跡の検出処理を示す説明図である。
航跡検出処理部9では、図4に示すように、メモリ回路8により格納されている目標候補検出処理部7−1〜7−Lにより検出されたレンジビンを複数フレーム分解析することで、同一目標が時間的に移動していると判定することが可能な航跡を調べることで目標を検出する。
目標航跡を調べる手法の1つとしては、MHT(Multiple Hypothesis Tracking)が知られている(非特許文献2を参照)。
[非特許文献2]
D.B.Reid, “An algorithm for tracking multiple targets,”IEEE Trans. Automn. Control, Vol.AC-24, no.6, pp.843-854, Dec. 1979
図5はこの発明の実施の形態2による目標検出装置を示す構成図であり、図5において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
パラメータ発散判定型目標候補検出処理部20−1〜20−Lは例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、ビーム形成部6により生成されたビーム受信信号#1〜#Lを検波して、各レンジビンの振幅値を格納しているセルが連なっているレンジビン信号を生成し、そのレンジビン信号に対するCFAR処理を実施することで、目標が存在している可能性があるレンジビンを検出する。
発散判定型パラメータ推定部21は複数の確率分布モデルとして、K−分布とWeibull分布(K−分布の確率分布パラメータは、尺度パラメータbKハットと形状パラメータvKハットからなり、例えば、確率分布パラメータp1ハットが尺度パラメータbKハットに対応し、確率分布パラメータp2ハットが形状パラメータvKハットに対応する。また、Weibull分布の確率分布パラメータは、尺度パラメータbWeibullハットと形状パラメータvWeibullハットからなり、例えば、確率分布パラメータp1ハットが尺度パラメータbWeibullハットに対応し、確率分布パラメータp2ハットが形状パラメータvWeibullハットに対応する)が用意されており、K−分布の確率分布パラメータにおける形状パラメータvKハットが無限大に発散するか否かを判定し、その形状パラメータvKハットが無限大に発散する場合、振幅検波部11により生成されたレンジビン信号に対応する確率分布モデルとしてWeibull分布を選択する。
一方、K−分布の形状パラメータvKハットが無限大に発散しない場合、K−分布の確率分布パラメータとして、K−分布とレンジビン信号の分布との尤度が最大になる確率分布パラメータp1ハット,p2ハットを探索し、K−分布が、その探索した確率分布パラメータp1ハット,p2ハットを用いた場合の尤度である最大尤度IKを算出する。
また、Weibull分布の確率分布パラメータとして、Weibull分布とレンジビン信号の分布との尤度が最大になる確率分布パラメータp1ハット,p2ハットを探索し、Weibull分布が、その探索した確率分布パラメータp1ハット,p2ハットを用いた場合の尤度である最大尤度IWeibullを算出する。
発散判定型パラメータ推定部21はK−分布の最大尤度IKがWeibull分布の最大尤度IWeibull以上であれば、レンジビン信号に対応する確率分布モデルとしてK−分布を選択し、K−分布の最大尤度IKがWeibull分布の最大尤度IWeibullより小さければ、レンジビン信号に対応する確率分布モデルとしてWeibull分布を選択する。なお、発散判定型パラメータ推定部21はスレッショルド係数設定手段を構成している。
上記実施の形態1と比べて、目標候補検出処理部7−1〜7−Lとパラメータ発散判定型目標候補検出処理部20−1〜20−Lが異なり、特に複数確率分布モデル想定型パラメータ推定部12が、発散判定型パラメータ推定部21に置き換わっている点だけが相違している。
このため、この実施の形態2では、発散判定型パラメータ推定部21の処理内容だけを説明する。
発散判定型パラメータ推定部21は、振幅検波部11からレンジビン信号が与えられると、K−分布とレンジビン信号の分布との尤度が最大になる確率分布パラメータp1ハット,p2ハット(尺度パラメータbKハット、形状パラメータvKハット)を探索する処理を実施し、その際、K−分布の形状パラメータvKハットが予め設定された値vmaxに到達しても、K−分布の最大尤度IKが見つからない場合(未だK−分布の尤度が大きくなる余地がある場合)、K−分布の形状パラメータvKハットが無限大に発散すると判定する。一方、K−分布の形状パラメータvKハットが予め設定された値vmaxに到達する前に、K−分布の最大尤度IKが見つかる場合、K−分布の形状パラメータvKハットが無限大に発散しないと判定する。
因みに、クラッタが、形状パラメータが2以上のWeibull分布に従って変動している場合、K−分布の形状パラメータvKハットは無限大に発散する。
発散判定型パラメータ推定部21は、レンジビン信号に対応する確率分布モデルとしてWeibull分布を選択すると、Weibull分布の確率分布パラメータとして、Weibull分布とレンジビン信号の分布との尤度が最大になる確率分布パラメータp1ハット,p2ハット(尺度パラメータbWeibullハット、形状パラメータvWeibullハット)を探索し、その探索した確率分布パラメータp1ハット,p2ハットをスレッショルド係数設定部13に出力する。
また、Weibull分布の確率分布パラメータとして、Weibull分布とレンジビン信号の分布との尤度が最大になる確率分布パラメータp1ハット,p2ハットを探索し、Weibull分布が、その探索した確率分布パラメータp1ハット,p2ハットを用いた場合の尤度である最大尤度IWeibullを算出する。
一方、K−分布の最大尤度IKがWeibull分布の最大尤度IWeibullより小さければ(IK<IWeibull)、レンジビン信号に対応する確率分布モデルとしてWeibull分布を選択し、レンジビン信号の分布との尤度がIWeibullになる場合のWeibull分布の確率分布パラメータp1ハット,p2ハットをスレッショルド係数設定部13に出力する。
図7はこの発明の実施の形態3による目標検出装置を示す構成図であり、図7において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
パラメータ探索範囲限定型目標候補検出処理部30−1〜30−Lは例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、ビーム形成部6により生成されたビーム受信信号#1〜#Lを検波して、各レンジビンの振幅値を格納しているセルが連なっているレンジビン信号を生成し、そのレンジビン信号に対するCFAR処理を実施することで、目標が存在している可能性があるレンジビンを検出する。
探索範囲限定型パラメータ推定部31は複数の確率分布モデルとして、K−分布とWeibull分布が用意されており、K−分布の確率分布パラメータとして、K−分布とレンジビン信号の分布との尤度が最大になる確率分布パラメータp1ハット,p2ハットを探索し、K−分布が、その探索した確率分布パラメータp1ハット,p2ハットを用いた場合の尤度である最大尤度IKを算出する。
一方、その形状パラメータvKが無限大に発散しない場合、Weibull分布における形状パラメータvWeibullハットの探索範囲を2未満のものに限定して、Weibull分布とレンジビン信号の分布との尤度が最大になる確率分布パラメータp1ハット,p2ハットを探索し、Weibull分布が、その探索した確率分布パラメータp1ハット,p2ハットを用いた場合の尤度である最大尤度IWeibullを算出する。
また、探索範囲限定型パラメータ推定部31は形状パラメータvKが無限大に発散しない場合、K−分布の最大尤度IKがWeibull分布の最大尤度IWeibull以上であれば、レンジビン信号に対応する確率分布モデルとしてK−分布を選択し、K−分布の最大尤度IKがWeibull分布の最大尤度IWeibullより小さければ、レンジビン信号に対応する確率分布モデルとしてWeibull分布を選択する。なお、探索範囲限定型パラメータ推定部31はスレッショルド係数設定手段を構成している。
上記実施の形態1と比べて、目標候補検出処理部7−1〜7−Lとパラメータ探索範囲限定型目標候補検出処理部30−1〜30−Lが異なり、特に複数確率分布モデル想定型パラメータ推定部12が、探索範囲限定型パラメータ推定部31に置き換わっている点だけが相違している。
このため、この実施の形態3では、探索範囲限定型パラメータ推定部31の処理内容だけを説明する。
探索範囲限定型パラメータ推定部31は、振幅検波部11からレンジビン信号が与えられると、K−分布の確率分布パラメータとして、K−分布とレンジビン信号の分布との尤度が最大になる確率分布パラメータp1ハット,p2ハット(尺度パラメータbKハット、形状パラメータvKハット)を探索し、K−分布が、その探索した確率分布パラメータp1ハット,p2ハットを用いた場合の尤度である最大尤度IKを算出する。
ただし、K−分布の形状パラメータvKハットが無限大に発散する場合、尤度が最大になる確率分布パラメータp1ハット,p2ハットを探索することができず、最大尤度IKを算出することができない。
探索範囲限定型パラメータ推定部31は、K−分布の形状パラメータvKハットが無限大に発散すると判定すると、そのレンジビン信号に対応する確率分布モデルとしてWeibull分布を選択する。
また、探索範囲限定型パラメータ推定部31は、Weibull分布における形状パラメータvWeibullハットの探索範囲を2以上のものに限定して、Weibull分布とレンジビン信号の分布との尤度が最大になる確率分布パラメータp1ハット,p2ハット(尺度パラメータbWeibullハット、形状パラメータvWeibullハット)を探索し、その探索した確率分布パラメータp1ハット,p2ハットをスレッショルド係数設定部13に出力する。
一方、K−分布の最大尤度IKがWeibull分布の最大尤度IWeibullより小さければ(IK<IWeibull)、レンジビン信号に対応する確率分布モデルとしてWeibull分布を選択し、レンジビン信号の分布との尤度がIWeibullになる場合のWeibull分布の確率分布パラメータp1ハット,p2ハット(尺度パラメータbWeibullハット、形状パラメータvWeibullハット)をスレッショルド係数設定部13に出力する。
また、この実施の形態3によれば、K−分布の形状パラメータvKハットの発散の有無に応じて、Weibull分布の形状パラメータvWeibullハットを探索する際の探索範囲を限定することができるため、処理負荷を低減することができる効果が得られる。
図9はこの発明の実施の形態4による目標検出装置を示す構成図であり、図9において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
パラメータ推定手順簡略型目標候補検出処理部40−1〜40−Lは例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、ビーム形成部6により生成されたビーム受信信号#1〜#Lを検波して、各レンジビンの振幅値を格納しているセルが連なっているレンジビン信号を生成し、そのレンジビン信号に対するCFAR処理を実施することで、目標が存在している可能性があるレンジビンを検出する。
推定手順簡略型パラメータ推定部41は複数の確率分布モデルとして、K−分布とWeibull分布が用意されており、Weibull分布の確率分布パラメータとして、Weibull分布とレンジビン信号の分布との尤度が最大になる確率分布パラメータp1ハット,p2ハットを探索し、Weibull分布が、その探索した確率分布パラメータp1ハット,p2ハットを用いた場合の尤度である最大尤度IWeibullを算出する。
一方、探索したWeibull分布の確率分布パラメータp1ハット,p2ハットにおける形状パラメータIWeibullハットが2未満である場合、K−分布の確率分布パラメータとして、K−分布とレンジビン信号の分布との尤度が最大になる確率分布パラメータp1ハット,p2ハットを探索し、K−分布が、その探索した確率分布パラメータp1ハット,p2ハットを用いた場合の尤度である最大尤度IKを算出する。
上記実施の形態1と比べて、目標候補検出処理部7−1〜7−Lとパラメータ推定手順簡略型目標候補検出処理部40−1〜40−Lが異なり、特に複数確率分布モデル想定型パラメータ推定部12が、推定手順簡略型パラメータ推定部41に置き換わっている点だけが相違している。
このため、この実施の形態4では、推定手順簡略型パラメータ推定部41の処理内容だけを説明する。
図11はパラメータ推定手順簡略型目標候補検出処理部40−lの処理手順を示すフローチャートである。
推定手順簡略型パラメータ推定部41は、振幅検波部11からレンジビン信号が与えられると、Weibull分布の確率分布パラメータとして、Weibull分布とレンジビン信号の分布との尤度が最大になる確率分布パラメータp1ハット,p2ハット(尺度パラメータbWeibullハット、形状パラメータvWeibullハット)を探索し、Weibull分布が、その探索した確率分布パラメータp1ハット,p2ハットを用いた場合の尤度である最大尤度IWeibullを算出する(図11のステップST1)。
一方、K−分布の最大尤度IKがWeibull分布の最大尤度IWeibullより小さければ(ステップST5:NOの場合)、そのレンジビン信号に対応する確率分布モデルとしてWeibull分布を選択し、レンジビン信号の分布との尤度がIWeibullになる場合のWeibull分布の確率分布パラメータp1ハット,p2ハットをスレッショルド係数設定部13に出力する(ステップST3)。
また、この実施の形態4によれば、Weibull分布の形状パラメータIWeibullハットが2以上である場合、K−分布の確率分布パラメータp1ハット,p2ハットを探索する処理を省略することができるため、処理負荷を低減することができる効果が得られる。
図12はこの発明の実施の形態5による目標検出装置を示す構成図であり、図12において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
テーブル参照型目標候補検出処理部50−1〜50−Lは例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、ビーム形成部6により生成されたビーム受信信号#1〜#Lを検波して、各レンジビンの振幅値を格納しているセルが連なっているレンジビン信号を生成し、そのレンジビン信号に対するCFAR処理を実施することで、目標が存在している可能性があるレンジビンを検出する。
テーブル参照型スレッショルド係数設定部51は各確率分布モデルの確率分布パラメータとスレッショルド係数の対応関係を示すテーブルが用意されており、そのテーブルを参照して、複数確率分布モデル想定型パラメータ推定部12から出力された確率分布パラメータに対応するスレッショルド係数を設定し、そのスレッショルド係数を係数乗算処理部17に出力する処理を実施する。
なお、複数確率分布モデル想定型パラメータ推定部12及びテーブル参照型スレッショルド係数設定部51からスレッショルド係数設定手段が構成されている。
上記実施の形態1と比べて、目標候補検出処理部7−1〜7−Lとテーブル参照型目標候補検出処理部50−1〜50−Lが異なり、特にスレッショルド係数設定部13が、テーブル参照型スレッショルド係数設定部51に置き換わっている点だけが相違している。
このため、この実施の形態5では、主にテーブル参照型スレッショルド係数設定部51の処理内容を説明する。
複数確率分布モデル想定型パラメータ推定部12は、上記実施の形態1と同様に、予め用意されている複数のクラッタ確率分布モデルの中から、振幅検波部11により生成されたレンジビン信号に対応する確率分布モデルを選択し、その選択した確率分布モデルを示す番号mと、その選択したクラッタ確率分布モデルについて探索した確率分布パラメータp1ハット,p2ハット,・・・,pNmハットとをテーブル参照型スレッショルド係数設定部51に出力する。
また、この実施の形態5によれば、複数確率分布モデル想定型パラメータ推定部12から確率分布パラメータp1ハット,p2ハット,・・・,pmNハットを受ける毎に、確率分布パラメータp1ハット,p2ハット,・・・,pNmハットからスレッショルド係数を設定する必要がないため、処理負荷を低減することができる効果が得られる。
Claims (6)
- 観測対象である目標に反射された電波である目標反射波及びクラッタを受信して、電波の受信信号を出力する電波受信手段と、
前記電波受信手段から出力された受信信号を検波して、各レンジビンの振幅値を格納しているセルが連なっているレンジビン信号を生成するレンジビン信号生成手段と、
予め用意されているクラッタの変動を示す複数の確率分布モデルの中から、前記レンジビン信号生成手段により生成されたレンジビン信号に対応する確率分布モデルを選択し、その選択した確率分布モデルの確率分布パラメータと、前記クラッタを誤って前記目標反射波と判定してしまう確率である誤警報確率とを用いて、前記目標の検出処理に用いるスレッショルド係数を設定するスレッショルド係数設定手段と、
前記レンジビン信号生成手段により生成されたレンジビン信号における複数のセルのうち、前記目標を検出する対象の注目セル以外の複数のセルの振幅値と、前記スレッショルド係数とから閾値を算出し、前記注目セルの振幅値が前記閾値より高ければ、前記注目セルに前記目標が存在している可能性があると判定する目標候補検出手段と
を備え、
前記スレッショルド係数設定手段は、前記複数の確率分布モデルとして、K−分布とワイブル分布が用意されており、
前記K−分布の確率分布パラメータにおける形状パラメータが無限大に発散する場合、前記レンジビン信号に対応する確率分布モデルとして前記ワイブル分布を選択し、
前記K−分布の形状パラメータが無限大に発散しない場合、前記K−分布及び前記ワイブル分布の確率分布パラメータとして、前記レンジビン信号の分布との尤度が高まる確率分布パラメータを探索して、前記K−分布及び前記ワイブル分布が、その探索した確率分布パラメータを用いた場合の前記レンジビン信号の分布との尤度を算出し、
前記K−分布の尤度が前記ワイブル分布の尤度より大きければ、前記レンジビン信号に対応する確率分布モデルとして前記K−分布を選択し、前記K−分布の尤度が前記ワイブル分布の尤度より小さければ、前記レンジビン信号に対応する確率分布モデルとして前記ワイブル分布を選択することを特徴とする目標検出装置。 - 観測対象である目標に反射された電波である目標反射波及びクラッタを受信して、電波の受信信号を出力する電波受信手段と、
前記電波受信手段から出力された受信信号を検波して、各レンジビンの振幅値を格納しているセルが連なっているレンジビン信号を生成するレンジビン信号生成手段と、
予め用意されているクラッタの変動を示す複数の確率分布モデルの中から、前記レンジビン信号生成手段により生成されたレンジビン信号に対応する確率分布モデルを選択し、その選択した確率分布モデルの確率分布パラメータと、前記クラッタを誤って前記目標反射波と判定してしまう確率である誤警報確率とを用いて、前記目標の検出処理に用いるスレッショルド係数を設定するスレッショルド係数設定手段と、
前記レンジビン信号生成手段により生成されたレンジビン信号における複数のセルのうち、前記目標を検出する対象の注目セル以外の複数のセルの振幅値と、前記スレッショルド係数とから閾値を算出し、前記注目セルの振幅値が前記閾値より高ければ、前記注目セルに前記目標が存在している可能性があると判定する目標候補検出手段と
を備え、
前記スレッショルド係数設定手段は、前記複数の確率分布モデルとして、K−分布とワイブル分布が用意されており、
前記K−分布の確率分布パラメータとして、前記レンジビン信号の分布との尤度が高まる確率分布パラメータを探索して、前記K−分布が、その探索した確率分布パラメータを用いた場合の前記レンジビン信号の分布との尤度を算出し、
前記K−分布の確率分布パラメータにおける形状パラメータが無限大に発散する場合、前記レンジビン信号に対応する確率分布モデルとしてワイブル分布を選択し、
前記K−分布の確率分布パラメータにおける形状パラメータが無限大に発散しない場合、前記ワイブル分布の確率分布パラメータにおける形状パラメータの探索範囲を2未満のものに限定して、前記レンジビン信号の分布との尤度が高まる前記ワイブル分布の確率分布パラメータを探索し、前記ワイブル分布が、その探索した確率分布パラメータを用いた場合の前記レンジビン信号の分布との尤度を算出し、前記K−分布の尤度が前記ワイブル分布の尤度より大きければ、前記レンジビン信号に対応する確率分布モデルとして前記K−分布を選択し、前記K−分布の尤度が前記ワイブル分布の尤度より小さければ、前記レンジビン信号に対応する確率分布モデルとして前記ワイブル分布を選択することを特徴とする目標検出装置。 - 観測対象である目標に反射された電波である目標反射波及びクラッタを受信して、電波の受信信号を出力する電波受信手段と、
前記電波受信手段から出力された受信信号を検波して、各レンジビンの振幅値を格納しているセルが連なっているレンジビン信号を生成するレンジビン信号生成手段と、
予め用意されているクラッタの変動を示す複数の確率分布モデルの中から、前記レンジビン信号生成手段により生成されたレンジビン信号に対応する確率分布モデルを選択し、その選択した確率分布モデルの確率分布パラメータと、前記クラッタを誤って前記目標反射波と判定してしまう確率である誤警報確率とを用いて、前記目標の検出処理に用いるスレッショルド係数を設定するスレッショルド係数設定手段と、
前記レンジビン信号生成手段により生成されたレンジビン信号における複数のセルのうち、前記目標を検出する対象の注目セル以外の複数のセルの振幅値と、前記スレッショルド係数とから閾値を算出し、前記注目セルの振幅値が前記閾値より高ければ、前記注目セルに前記目標が存在している可能性があると判定する目標候補検出手段と
を備え、
前記スレッショルド係数設定手段は、前記複数の確率分布モデルとして、K−分布とワイブル分布が用意されており、
前記ワイブル分布の確率分布パラメータとして、前記レンジビン信号の分布との尤度が高まる確率分布パラメータを探索して、前記ワイブル分布が、その探索した確率分布パラメータを用いた場合の前記レンジビン信号の分布との尤度を算出し、
前記探索した確率分布パラメータにおける形状パラメータが2以上である場合、前記レンジビン信号に対応する確率分布モデルとして前記ワイブル分布を選択し、
前記探索した確率分布パラメータにおける形状パラメータが2未満である場合、前記K−分布の確率分布パラメータとして、前記レンジビン信号の分布との尤度が高まる確率分布パラメータを探索して、前記K−分布が、その探索した確率分布パラメータを用いた場合の前記レンジビン信号の分布との尤度を算出し、前記K−分布の尤度が前記ワイブル分布の尤度より大きければ、前記レンジビン信号に対応する確率分布モデルとして前記K−分布を選択し、前記K−分布の尤度が前記ワイブル分布の尤度より小さければ、前記レンジビン信号に対応する確率分布モデルとして前記ワイブル分布を選択することを特徴とする目標検出装置。 - 観測対象である目標に反射された電波である目標反射波及びクラッタを受信して、電波の受信信号を出力する電波受信手段と、
前記電波受信手段から出力された受信信号を検波して、各レンジビンの振幅値を格納しているセルが連なっているレンジビン信号を生成するレンジビン信号生成手段と、
予め用意されているクラッタの変動を示す複数の確率分布モデルの中から、前記レンジビン信号生成手段により生成されたレンジビン信号に対応する確率分布モデルを選択し、その選択した確率分布モデルの確率分布パラメータと、前記クラッタを誤って前記目標反射波と判定してしまう確率である誤警報確率とを用いて、前記目標の検出処理に用いるスレッショルド係数を設定するスレッショルド係数設定手段と、
前記レンジビン信号生成手段により生成されたレンジビン信号における複数のセルのうち、前記目標を検出する対象の注目セル以外の複数のセルの振幅値と、前記スレッショルド係数とから閾値を算出し、前記注目セルの振幅値が前記閾値より高ければ、前記注目セルに前記目標が存在している可能性があると判定する目標候補検出手段と
を備え、
前記スレッショルド係数設定手段は、予め用意されている確率分布モデル毎に、当該確率分布モデルと前記レンジビン信号生成手段により生成されたレンジビン信号の分布との尤度を算出し、
予め用意されている複数の確率分布モデルの中から、前記レンジビン信号に対応する確率分布モデルを選択する際、予め用意されている確率分布モデル毎に、当該確率分布モデルの確率分布パラメータとして、前記レンジビン信号の分布との尤度が高まる確率分布パラメータを探索し、
前記複数の確率分布モデルが、その探索した確率分布パラメータを用いた場合の前記レンジビン信号の分布との尤度に基づいて、前記レンジビン信号に対応する確率分布モデルを選択することを特徴とする目標検出装置。 - 前記目標候補検出手段は、前記レンジビン信号における全てのセルを順番に前記注目セルとして、前記閾値を算出する処理と、前記注目セルに前記目標が存在している可能性があるか否かを判定する処理とを繰り返し実施することで、前記目標が存在している可能性があるレンジビンを検出することを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載の目標検出装置。
- 前記目標候補検出手段により検出されたレンジビンの時間的な変化から目標の航跡を検出する航跡検出手段を備えたことを特徴とする請求項5記載の目標検出装置。
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