JP2015180858A - レーダ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】入り込む不要波の数を予測することなく、観測対象の速度を高精度に推定することができるレーダ装置を提供する。
【解決手段】2次元ピーク検出処理部3のTBD(Track Before Detect)処理部が、信号処理部2により算出されたドップラースペクトルを構成する各周波数ビンを注目セルとして、当該注目セルのレンジビンより1レンジビン前のドップラースペクトルの中に、レンジ方向の1次散乱ピークのばらつき分に相当する幅を有する探索領域を設定し、その探索領域内の複数の周波数ビンの中から、加算対象の周波数ビン(例えば、振幅値が最大の周波数ビン)を選択して、加算対象の周波数ビンのスコアを注目セルの振幅値に加算し、その加算結果を注目セルのスコアとする。
【選択図】図1

Description

この発明は、例えば、海面の波の速度や、上空の風の速度を推定するレーダ装置に関するものである。
レーダ装置である海洋レーダは、海の流れを面的に効率よく観測できる装置として知られており、短波帯の電波を海に向かって照射すると、視線方向に伝搬する波の成分の中で、電波の1/2となる波長と海面波の波長の成分が一致して共鳴することで、電波が後方に強く散乱する現象が生じる。この現象はブラッグ共鳴散乱と呼ばれている。
海面に反射された電波の反射波を受信し、その受信データを周波数解析することで、レンジビン(距離分解能)毎にドップラー(周波数)スペクトルを抽出し、最も強いピークとなる1次散乱のドップラーシフトを測定すれば、海面の波のレーダ視線方向の速度(以下、「流速」と称する)を推定することができる。
しかし、或るレンジビンに、船等の観測対象以外の物体が存在する場合、海流からの反射波よりも強い反射波(クラッタ、外部ノイズ等の呼び方が存在するが、ここでは不要波で統一する)を受信するため、観測対象以外の物体からの不要波のピーク周波数を誤って抽出して、正しい流速を推定できないことがある。
以下の特許文献1には、船等の観測対象以外の物体が存在する場合でも、正確な流速を推定することができるようにしているレーダ装置が開示されている。
特許文献1に開示されているレーダ装置では海流の空間分布特性を利用しており、このレーダ装置は、流れが同時観測されたビーム上の空間に対しては滑らかな分布条件が成立するため、レンジ方向の観測範囲を複数のブロックに分割して、ブロック毎に、流れの回帰曲線とのズレから不要波を検出し、2つのスペクトルピーク、前後の正常な流速の平均値や回帰曲線から求めた流速を使って補正することで、正常な流速を推定するようにしている。
この不要波の検出は、流れの回帰曲線からのズレが、標準偏差に対して経験的に決められた定数を掛けた値より大きいか否かにより判定している。しかしながら、多数の不要波がレンジ方向に分布する場合には、標準偏差に対して掛ける適正な定数を決定することが困難であり、流速の推定精度が劣化してしまうことがある。
以下の特許文献2には、多数の不要波がレンジ方向に分布する場合でも、正確な流速を推定することができるようにするために、同一ビームの複数のレンジビンの流速をメディアンフィルタに供給して海流の速度成分の代表値を抽出し、この代表値から所定の閾値を超える流速を不要波として除去したのち、流速を再検出することで流速を推定しているレーダ装置が開示されている。
実際に、メディアンフィルタを用いて不要波を除去するには、入り込む不要波の数の最大値Mを予測し、(2M+1)のレンジビンを必要とする。
特開平11−83992号公報(請求項4) 特開2002−323558号公報(段落番号[0011])
従来のレーダ装置は以上のように構成されているので、特許文献2の場合、多数の不要波がレンジ方向に分布する場合でも、正確な流速を推定することができるが、入り込む不要波の数を予測する必要があり、その予測数よりも多数の不要波が入り込む状況下では、誤って不要波を抽出してしまって、流速の推定精度が劣化してしまうことがある課題があった。
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、入り込む不要波の数を予測することなく、観測対象の速度を高精度に推定することができるレーダ装置を得ることを目的とする。
この発明に係るレーダ装置は、観測対象に反射されたビームの反射波を周波数解析することで、レンジビン毎にドップラースペクトルを算出するスペクトル算出手段と、スペクトル算出手段により算出されたドップラースペクトルのスペクトル値をレンジ方向に繰り返し加算し、加算処理後のドップラースペクトルのスペクトル値から観測対象の速度を推定する速度推定手段とを備え、その速度推定手段が、スペクトル算出手段により算出されたドップラースペクトルを構成する各周波数ビンを注目セルとして、当該注目セルのレンジビンより1レンジビン前のドップラースペクトルの中に、レンジ方向の1次散乱ピークのばらつき分に相当する幅を有する探索領域を設定し、その探索領域内の複数の周波数ビンの中から加算対象の周波数ビンを選択して、加算対象の周波数ビンにおけるスペクトル値の累積加算値であるスコア値を注目セルのスペクトル値に加算し、その加算結果を注目セルのスコア値とするスペクトル値加算手段を備えるようにしたものである。
この発明によれば、スペクトル算出手段により算出されたドップラースペクトルを構成する各周波数ビンを注目セルとして、当該注目セルのレンジビンより1レンジビン前のドップラースペクトルの中に、レンジ方向の1次散乱ピークのばらつき分に相当する幅を有する探索領域を設定し、その探索領域内の複数の周波数ビンの中から加算対象の周波数ビンを選択して、加算対象の周波数ビンにおけるスペクトル値の累積加算値であるスコア値を注目セルのスペクトル値に加算し、その加算結果を注目セルのスコア値とするスペクトル値加算手段を備えるように構成したので、入り込む不要波の数を予測することなく、観測対象の速度を高精度に推定することができる効果がある。
この発明の実施の形態1によるレーダ装置を示す構成図である。 この発明の実施の形態1によるレーダ装置の2次元ピーク検出処理部3を示す構成図である。 レーダ装置によって観測されるドップラースペクトルを示す説明図である。 TBD処理部11により設定される探索領域と加算対象の周波数ビンの選択処理を示す説明図である。 バックトラック処理部13による最大の周波数ビンの特定処理を示す説明図である。 平滑処理部14による流速の平滑化処理を示す説明図である。 この発明の実施の形態2によるレーダ装置の2次元ピーク検出処理部3を示す構成図である。 オフセット量算出部22による相関ピークとなる周波数ビンの特定処理を示す説明図である。 TBD処理部23により設定される探索領域を示す説明図である。 この発明の実施の形態3によるレーダ装置の2次元ピーク検出処理部3を示す構成図である。 探索領域決定部31による探索領域の決定処理を示す説明図である。 この発明の実施の形態4によるレーダ装置の2次元ピーク検出処理部3を示す構成図である。 この発明の実施の形態5によるレーダ装置の2次元ピーク検出処理部3を示す構成図である。 異常値の検出処理を示す説明図である。 補正後のオフセット量を示す説明図である。 この発明の実施の形態6によるレーダ装置を示す構成図である。 この発明の実施の形態6によるレーダ装置の異常ピーク判定部53を示す構成図である。 波形推定処理部51による流速の予測値を示す説明図である。 流速偏差抽出部52により算出される流速偏差(観測値と予測値の差分値)を示す説明図である。 異常ピークによる流速と津波による流速が混在している場合の推定波形を示す説明図である。 異常ピークによる流速と津波による流速が混在している場合の流速偏差を示す説明図である。 異常ピークによる流速が観測値に含まれている場合の異常ピーク候補の検出例を示す説明図である。 津波による流速が観測値に含まれている場合の異常ピーク候補の検出例を示す説明図である。 不要波の振幅値が1次散乱の加算値よりも大きいことによる不要波の検出例を示す説明図である。 1次散乱と不要波の振幅の確率密度分布を示す説明図である。 この発明の実施の形態7によるレーダ装置の2次元ピーク検出処理部3を示す構成図である。 1次散乱の振幅特性を示す説明図である。 この発明の実施の形態7のTBD処理部72による不要波の判定処理を示す説明図である。 この発明の実施の形態8によるレーダ装置の2次元ピーク検出処理部3を示す構成図である。 この発明の実施の形態8のTBD処理部81による不要波の判定処理を示す説明図である。 平均化による1次散乱の振幅比の確率密度分布を示す説明図である。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1によるレーダ装置を示す構成図である。
この実施の形態1では、海面の波の速度である流速を推定する海洋レーダを例にして説明するが、海洋レーダに限るものではなく、例えば、上空の風のように空間的な広がりを持ち、高度方向に相関を持つ場合にも適用可能である。また、レンジ方向だけでなくビーム方向へ相関持つ場合にも適用が可能である。
図1において、ビーム送受信系1はレーダビームを海面(観測対象)に放射する一方、海面に反射されたレーダビームの反射波を受信する。
ビーム送受信系1は、例えば、フェーズドアレーアンテナと、レーダビームを生成して、そのレーダビームをフェーズドアレーアンテナに出力することで、そのレーダビームを海面に放射する送信機と、海面に反射されたレーダビームの反射波がフェーズドアレーアンテナに入射されると、その反射波を受信して、その受信信号に対する所定の信号受信処理(例えば、受信信号をデジタル信号に変換するA/D変換処理、ベースバンド信号に変換する周波数変換処理など)を実施した後の受信信号であるデジタル受信データを出力する受信機とから構成されている。
信号処理部2は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、ビーム送受信系1からデジタル受信データを受けると、そのデジタル受信データに対するFFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)処理等を実施することで、そのデジタル受信データの周波数を解析して、レンジビン(距離分解能)毎にドップラースペクトルを算出する処理を実施する。なお、信号処理部2はスペクトル算出手段を構成している。
2次元ピーク検出処理部3は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、信号処理部2により算出されたドップラースペクトルのスペクトル値をレンジ方向に繰り返し加算し、加算処理後のドップラースペクトルのスペクトル値から海面の波のレーダ視線方向の速度である流速を推定する処理を実施する。なお、2次元ピーク検出処理部3は速度推定手段を構成している。
出力データ保存部4は例えばRAMやハードディスクなどの記憶媒体から構成されており、2次元ピーク検出処理部3によりビーム毎に推定された流速を保存する。
図1の例では、レーダ装置の構成要素である信号処理部2、2次元ピーク検出処理部3及び出力データ保存部4のそれぞれが専用のハードウェアで構成されているものを想定しているが、信号処理部2、2次元ピーク検出処理部3及び出力データ保存部4がコンピュータで構成されていてもよい。
信号処理部2、2次元ピーク検出処理部3及び出力データ保存部4をコンピュータで構成する場合、出力データ保存部4をコンピュータのメモリ上に構成するとともに、信号処理部2及び2次元ピーク検出処理部3の処理内容を記述しているプログラムを当該コンピュータのメモリに格納し、当該コンピュータのCPUが当該メモリに格納されているプログラムを実行するようにすればよい。
図2はこの発明の実施の形態1によるレーダ装置の2次元ピーク検出処理部3を示す構成図である。
図2において、TBD(Track Before Detect)処理部11は信号処理部2により算出されたドップラースペクトルを構成する各周波数ビンを注目セルとして、当該注目セルのレンジビンより1レンジビン前のドップラースペクトルの中に、レンジ方向の1次散乱ピークのばらつき分に相当する幅を有する探索領域を設定し、その探索領域内の複数の周波数ビンの中から、加算対象の周波数ビン(例えば、スペクトル値である振幅値が最大の周波数ビン)を選択して、加算対象の周波数ビンにおけるスペクトル値の累積加算値であるスコア値を注目セルのスペクトル値に加算し、その加算結果を注目セルのスコア値とする処理を実施する。なお、TBD処理部11はスペクトル値加算手段を構成している。以下、スコア値を「スコア」と表記する。
TBD履歴結果保存部12はTBD処理部11により選択された加算対象の周波数ビンを示す周波数ビン番号を保存するとともに、加算処理後の注目セルのスペクトル値を保存する。
バックトラック処理部13はTBD処理部11による加算処理後のドップラースペクトルにおける各周波数ビンのスペクトル値を比較して、海面の波の流速に対応する周波数ビン(例えば、スペクトル値である振幅値が最大の周波数ビン)を特定し、その周波数ビンと予め設定された基準周波数から、海面の波の流速を算出する処理を実施する。
即ち、バックトラック処理部13は加算処理後のドップラースペクトルのうち、加算処理の最終処理レンジビンにおけるドップラースペクトルの中で、例えば、スペクトル値である振幅値が最大の周波数ビンを特定したのち、TBD履歴結果保存部12に保存されている周波数ビン番号を参照して、最大の周波数ビンに対応する加算対象の周波数ビン(TBD処理部11により選択された加算対象の周波数ビン)を最初の処理ビンまで辿りながら、各レンジビンにおける最大の周波数ビンを特定し、レンジビン毎に、最大の周波数ビンと予め設定された基準周波数から、海面の波の流速を算出する処理を実施する。
平滑処理部14はバックトラック処理部13によりレンジビン毎に算出された流速を平滑化し、平滑化後の流速を出力データ保存部4に出力する処理を実施する。
なお、バックトラック処理部13及び平滑処理部14から速度算出手段が構成されている。
次に動作について説明する。
ビーム送受信系1は、例えば、海洋レーダ等で一般的に用いられるFMCW(Frequency Modulation Continuous Wave)方式や、FMICW(Frequency Modulation Interrupted Continuous Wave)方式のレーダビームを海面に照射する。
ビーム送受信系1は、レーダビームを海面に照射したのち、海面に反射されたレーダビームの反射波を受信し、その受信信号に対する所定の信号受信処理を実施した後の受信信号であるデジタル受信データを信号処理部2に出力する。
信号処理部2は、ビーム送受信系1からデジタル受信データを受けると、そのデジタル受信データに対するFFT処理等を実施することで、そのデジタル受信データの周波数を解析して、レンジビン毎にドップラースペクトルを算出する。
ここで、図3はレーダ装置によって観測されるドップラースペクトルを示す説明図である。
図3に示すように、レーダ装置のアンテナから放射されるレーダビームの方位(もしくは角度)方向であるビーム方向に照射されたレーダビーム毎に、距離方向(以下、「レンジ方向」と称する)について、レンジビン単位のドップラースペクトルが得られる。このとき、ドップラースペクトルが周波数分解能毎に一定に区切られているセルを周波数ビンと称する。
ドップラースペクトルは、図3に示すように、レーダ装置に近づいてくる波の成分と、レーダ装置から遠ざかる波の成分とを有しており、ドップラースペクトルのピーク周波数として、プラス周波数領域のfと、マイナス周波数領域のfとがあるため、2つの流れが存在している。
図3において、fは予めレーダ装置で設定される基準周波数であり、プラス周波数領域の基準周波数ではf、マイナス周波数領域の基準周波数では−fとなる。
2つの流れが同一の流れであれば、下記の式(1)が成立し、周波数f,fから基準周波数f,−fをそれぞれ差し引けば、下記の式(2)のようになるため、ドップラーシフト分を計測することができ、流速の推定が可能になる。
Figure 2015180858

Figure 2015180858
2次元ピーク検出処理部3のTBD処理部11は、信号処理部2からレンジビン毎のドップラースペクトルを受けると、ドップラースペクトルのスペクトル値をレンジ方向に繰り返し加算する処理を実施する。
図4はTBD処理部11により設定される探索領域と加算対象の周波数ビンの選択処理を示す説明図である。
以下、図4を参照しながら、TBD処理部11の処理内容を具体的に説明する。ここでは、ドップラースペクトルのスペクトル値として、ドップラースペクトルの振幅値を繰り返し加算する例を説明するが、ドップラースペクトルの振幅値に限るものではなく、例えば、ドップラースペクトルの尤度を繰り返し加算するものであってもよい。また、繰り返し加算する際に推移確率の概念を入れて加算するものであってもよい。
この実施の形態1では、レンジビンの数がN個あるものとし、i番目のレンジビンをレンジビンiで表記する。i=1,2,・・・,Nであり、1レンジ側をニアレンジ側、Nレンジ側をファーレンジ側と称する。
また、1つのレンジビンにおけるドップラースペクトルは、M個の周波数ビンからなり、j番目の周波数ビンを周波数ビンjで表記する。j=1,2,・・・,Mである。
TBD処理(振幅値の繰り返し加算処理)を実施する方向は、ニアレンジ側からファーレンジ側への方向でもよいし、ファーレンジ側からニアレンジ側への方向でもよいが、この実施の形態1では、ニアレンジ側からファーレンジ側への方向にTBD処理を実施するものとする。
TBD処理部11は、ニアレンジ側のレンジビンからTBD処理を実施する際、各レンジビンにおける全ての周波数ビンを順番に注目セルとして振幅値の加算処理を実施するが、ここでは、レンジビンiにおけるドップラースペクトルのj番目の注目セル(i,j)に着目して説明する。
このとき、注目セル(i,j)の振幅値をx(i)で表記し、加算処理後のスコア(振幅値の累積加算値)をS(i)で表記する。
TBD処理部11は、レンジビンiにおけるドップラースペクトルのj番目の周波数ビンを注目セル(i,j)に設定すると、図4に示すように、レンジビンiより1レンジビン前のレンジビン(i−1)のドップラースペクトルの中に、レンジ方向の1次散乱ピークのばらつき分に相当する幅を有する探索領域を設定する。
図4の例では、5個の周波数ビンを含む探索領域(探索領域の範囲をΔの記号で表している)を設定しており、その探索領域の中心の周波数ビンは、注目セル(i,j)の周波数ビンと同じj番目の周波数ビンである。
なお、探索領域の範囲Δを広げすぎると、不要波を誤って抽出する可能性がある。一方、同時に観測される同一ビーム上では、1次散乱ピークはレンジ方向に連続的に分布し、2次散乱を含むブラッグ散乱スペクトルはレンジ方向に相関を持つことになる。そのため、探索領域の範囲Δは、レンジ方向の1次散乱ピークのばらつき分を想定して設定すればよく、必要以上に探索領域を広げる必要がない。
TBD処理部11は、レンジビン(i−1)のドップラースペクトルの中に探索領域を設定すると、その探索領域内の複数の周波数ビン(図4の例では、(i−1,j−2)、(i−1,j−1)、・・・(i−1,j+2)の周波数ビン)の中から、加算対象の周波数ビンを選択する。例えば、振幅値が最大の周波数ビンを選択する。
TBD処理部11は、加算対象の周波数ビンを選択すると、下記の式(3)に示すように、加算対象の周波数ビンにおける振幅値の累積加算値であるスコアを注目セル(i,j)の振幅値x(i)に加算することで、注目セル(i,j)のスコアS(i)を算出する。
Figure 2015180858
式(3)において、λは忘却係数であり、0〜1の値が設定される。j’は探索領域内の周波数ビンを示す変数であり、Sj’(i)は探索領域内の周波数ビンのスコア(振幅値の累積加算値)である。
TBD処理部11は、注目セル(i,j)のスコアS(i)を算出すると、注目セル(i,j)のスコアS(i)をTBD履歴結果保存部12に保存するとともに、TBD履歴結果として、注目セル(i,j)に対する加算対象の周波数ビンを示す周波数ビン番号SP(i)をTBD履歴結果保存部12に保存する。
Figure 2015180858
バックトラック処理部13は、TBD処理部11のTBD処理が完了すると、最終処理レンジビンであるN番目のレンジビンのドップラースペクトルの中で、スコアが最大の周波数ビンを特定する。
ここで、図5はバックトラック処理部13による最大の周波数ビンの特定処理を示す説明図である。
図5の例では、4番目の周波数ビンを最大の周波数ビンとして特定している。
バックトラック処理部13は、最終処理レンジビンであるN番目のレンジビンのドップラースペクトルの中で、スコアが最大の周波数ビンを特定すると、図5に示すように、TBD履歴結果保存部12に保存されている周波数ビン番号SP(i)を参照して、TBD処理の実施方向と逆方向にTBD履歴結果を辿ることで(図5の例では、i=N−1,N−2,・・・,1の順にTBD履歴結果を辿っている)、各レンジビンにおける最大の周波数ビンを特定する。
図5の例では、(N−1)番目のレンジビンでは、5番目の周波数ビンを最大の周波数ビンとして特定し、(N−2)番目のレンジビンでは、3番目の周波数ビンを最大の周波数ビンとして特定し、1番目のレンジビンでは、3番目の周波数ビンを最大の周波数ビンとして特定している。
バックトラック処理部13は、各レンジビンにおける最大の周波数ビンを特定すると、レンジビン毎に、最大の周波数ビンと予め設定された基準周波数f(あるいは、−f)から、海面の波の流速を算出する。
平滑処理部14は、バックトラック処理部13がレンジビン毎に流速を算出すると、その流速のばらつきをレンジ方向で平滑化し、平滑化後の流速を出力データ保存部4に出力する。
平滑処理部14による流速の平滑化処理には、例えば、ローパスフィルタ等の平滑化フィルタが用いられる。
図6は平滑処理部14による流速の平滑化処理を示す説明図である。
これにより、2次元ピーク検出処理部3からばらつきが抑えられた流速が出力データ保存部4に出力される。
以上で明らかなように、この実施の形態1によれば、TBD処理部11が、信号処理部2により算出されたドップラースペクトルを構成する各周波数ビンを注目セルとして、当該注目セルのレンジビンより1レンジビン前のドップラースペクトルの中に、レンジ方向の1次散乱ピークのばらつき分に相当する幅を有する探索領域を設定し、その探索領域内の複数の周波数ビンの中から、加算対象の周波数ビン(例えば、スペクトル値である振幅値が最大の周波数ビン)を選択して、加算対象の周波数ビンのスコアを注目セルの振幅値に加算し、その加算結果を注目セルのスコアとするように構成したので、入り込む不要波の数を予測することなく、海面の波の流速を高精度に推定することができる効果を奏する。
また、この実施の形態1によれば、バックトラック処理部13が、加算処理後のドップラースペクトルのうち、加算処理の最終処理レンジビンにおけるドップラースペクトルの中で、例えば、振幅値が最大の周波数ビンを特定したのち、TBD履歴結果保存部12に保存されている周波数ビン番号を参照して、最大の周波数ビンに対応する加算対象の周波数ビンを最初の処理ビンまで辿りながら、各レンジビンにおける最大の周波数ビンを特定するように構成したので、不要波の数に依存せずに、高精度に1次散乱ピーク(各レンジビンにおける最大の周波数ビン)を抽出することができる効果を奏する。
実施の形態2.
上記実施の形態1では、探索領域の中心の周波数ビンが、注目セル(i,j)の周波数ビンと同じj番目の周波数ビンである例を示したが、探索領域を広げることなく、津波のような大きな流速変化に追従できるようにするために、注目セル(i,j)の探索領域にオフセットを与えるようにしてもよい。
図7はこの発明の実施の形態2によるレーダ装置の2次元ピーク検出処理部3を示す構成図であり、図7において、図2と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
相互相関処理部21は信号処理部2により算出された各レンジビンのドップラースペクトルからレンジビン間の相互相関値を算出する処理を実施する。
オフセット量算出部22は相互相関処理部21により算出されたレンジビン間の相互相関値から相関ピークとなる周波数ビンを特定し、その周波数ビンを示す周波数ビン番号をオフセット量としてTBD処理部23に出力する処理を実施する。
TBD処理部23は中心の周波数ビンが注目セル(i,j)の周波数ビンと同じである探索領域(図4に示す探索領域)をオフセット量算出部22から出力されたオフセット量だけずらすことで(図9を参照)、探索領域に対応する周波数ビンの範囲を決定する処理を実施する。
また、TBD処理部23は信号処理部2により算出されたドップラースペクトルを構成する各周波数ビンを注目セル(i,j)として、オフセット量だけずらしている探索領域内の複数の周波数ビンの中から、加算対象の周波数ビン(例えば、振幅値が最大の周波数ビン)を選択して、加算対象の周波数ビンのスコアを注目セル(i,j)の振幅値に加算し、その加算結果を注目セル(i,j)のスコアS(i)とする処理を実施する。なお、相互相関処理部21、オフセット量算出部22及びTBD処理部23からスペクトル値加算手段が構成されている。
次に動作について説明する。
ただし、相互相関処理部21、オフセット量算出部22及びTBD処理部23以外は、上記実施の形態1と同様であるため、ここでは、相互相関処理部21、オフセット量算出部22及びTBD処理部23の処理内容だけを説明する。
2次元ピーク検出処理部3の相互相関処理部21は、信号処理部2から各レンジビンのドップラースペクトルを受けると、下記の式(5)に示すように、各レンジビンのドップラースペクトルからレンジビン間の相互相関値COR(i)を算出する。
Figure 2015180858
式(5)において、x(i)はi番目のレンジビンのドップラースペクトルにおけるj番目の周波数ビンの振幅値である。
また、FFTはFFT処理を示す記号、IFFTはInverseFFT(FFTの逆変換)処理を示す記号、conjは複素共役を示す記号である。
なお、相互相関処理は、畳み込み演算によって算出することができるので、式(5)以外の公知の算出方法で、レンジビン間の相互相関値COR(i)を算出するようにしてもよい。
オフセット量算出部22は、相互相関処理部21がレンジビン間の相互相関値COR(i)を算出すると、その相互相関値COR(i)から相関ピークとなる周波数ビンを特定し、その周波数ビンを示す周波数ビン番号をオフセット量としてTBD処理部23に出力する。
ここで、図8はオフセット量算出部22による相関ピークとなる周波数ビンの特定処理を示す説明図である。
図8の例では、複数個の相関ピークが得られているが、相関ピークのサーチ範囲を所定の範囲で設定しておけば、サーチ範囲内の最大の相互相関値を検出することで、相関ピークを抽出することができる。
具体的には、i番目のレンジビンについて、相互相関値COR(i)が下記の式(6)を満足するj番目の周波数ビン(相関ピークとなる周波数ビン)を選択し、その周波数ビンを示す周波数ビン番号をオフセット量OS(i)としてTBD処理部23に出力する。
Figure 2015180858
式(6)において、OS(i)はi番目のレンジビンの注目セル(i,j)に対する探索領域のオフセット量、Q={j|1<=j<=S,M−S+1<=j<=M}である。
また、Sは相関ピークのサーチ範囲、Mは周波数ビン数である。
TBD処理部23は、オフセット量算出部22からオフセット量OS(i)を受けると、図4に示す探索領域(中心の周波数ビンが注目セル(i,j)の周波数ビンと同じである探索領域)を、そのオフセット量OS(i)だけずらすことで、探索領域に対応する周波数ビンの範囲を決定する。
ここで、図9はTBD処理部23により設定される探索領域を示す説明図である。
図9の例では、オフセット量が周波数ビンの7個分であり、探索領域を図中右方向に、周波数ビンの7個分だけずらしている。
これにより、探索領域はオフセット量だけずれるが、探索領域の範囲Δは、上記実施の形態1と同様に、レンジ方向の1次散乱ピークのばらつき分に相当する幅であり、図9の例では、探索領域が5個の周波数ビンを含んでいる。
TBD処理部23は、レンジビン(i−1)のドップラースペクトルの中に探索領域を設定すると、図2のTBD処理部11と同様に、その探索領域内の複数の周波数ビンの中から、加算対象の周波数ビンを選択する。例えば、振幅値が最大の周波数ビンを選択する。
TBD処理部23は、加算対象の周波数ビンを選択すると、図2のTBD処理部11と同様に、上記の式(3)を用いて、加算対象の周波数ビンのスコアを注目セル(i,j)の振幅値x(i)に加算することで、注目セル(i,j)のスコアS(i)を算出する。
TBD処理部23は、注目セル(i,j)のスコアS(i)を算出すると、図2のTBD処理部11と同様に、注目セル(i,j)のスコアS(i)をTBD履歴結果保存部12に保存するとともに、TBD履歴結果として、注目セル(i,j)に対する加算対象の周波数ビンを示す周波数ビン番号SP(i)をTBD履歴結果保存部12に保存する。
バックトラック処理部13及び平滑処理部14の処理内容は、上記実施の形態1と同様である。
以上で明らかなように、この実施の形態2によれば、信号処理部2により算出された各レンジビンのドップラースペクトルからレンジビン間の相互相関値COR(i)を算出する相互相関処理部21と、相互相関処理部21により算出されたレンジビン間の相互相関値COR(i)から相関ピークとなる周波数ビンを特定し、その周波数ビンを示す周波数ビン番号をオフセット量OS(i)として出力するオフセット量算出部22とを設け、TBD処理部23が、オフセット量算出部22から出力されたオフセット量OS(i)だけ探索領域をずらして、その探索領域に対応する周波数ビンの範囲を決定するように構成したので、探索領域を広げることなく、津波のような大きな流速変化に追従できるようになり、その結果、不要波の数に依存せずに、流速変化が大きい津波等の流速を高精度に推定することができる効果を奏する。
実施の形態3.
上記実施の形態1,2では、予め、レンジ方向の1次散乱ピークのばらつき分に相当する幅を有する探索領域を設定するものを示したが、その探索領域の周波数位置及び範囲Δを自動的に算出するようにしてもよい。
図10はこの発明の実施の形態3によるレーダ装置の2次元ピーク検出処理部3を示す構成図であり、図10において、図7と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
探索領域決定部31は相互相関処理部21により算出されたレンジビン間の相互相関値COR(i)から、その相互相関値COR(i)の相関値幅(最大値CORmaxと最小値CORminの差分)を算出して、予め設定された係数rを当該相関値幅に乗算し、相互相関値COR(i)が当該乗算結果より大きくなる周波数ビンの範囲を特定し、その周波数ビンの範囲を探索領域に決定する処理を実施する。
TBD処理部32は信号処理部2により算出されたドップラースペクトルを構成する各周波数ビンを注目セルとして、当該注目セルのレンジビンより1レンジビン前のドップラースペクトルの中に、探索領域決定部31により決定された探索領域を設定し、その探索領域内の複数の周波数ビンの中から、加算対象の周波数ビン(例えば、振幅値が最大の周波数ビン)を選択して、加算対象の周波数ビンのスコアを注目セル(i,j)の振幅値に加算し、その加算結果を注目セル(i,j)のスコアS(i)とする処理を実施する。
なお、相互相関処理部21、探索領域決定部31及びTBD処理部32からスペクトル値加算手段が構成されている。
次に動作について説明する。
ただし、探索領域決定部31及びTBD処理部32以外は、上記実施の形態2と同様であるため、ここでは、探索領域決定部31及びTBD処理部32の処理内容だけを説明する。
図11は探索領域決定部31による探索領域の決定処理を示す説明図である。
探索領域決定部31は、相互相関処理部21がレンジビン間の相互相関値COR(i)を算出すると、i番目のレンジビンにおける注目セル(i,j)に対する探索領域を決定する際、その相互相関値COR(i)の相関値幅(最大値CORmaxと最小値CORminの差分)を算出し、予め設定された係数rを当該相関値幅に乗算する。
図11では、この乗算結果をr(CORmax−CORmin)で表記している。
そして、探索領域決定部31は、相関ピークを中心にして、相互相関値COR(i)が乗算結果r(CORmax−CORmin)より大きくなる周波数ビンの範囲を特定し、その周波数ビンの範囲を探索領域に決定する。
具体的には、相互相関値COR(i)が下記の式(7)を満足する周波数ビンの範囲を探索領域に決定する。
Figure 2015180858
式(7)において、集合P={j|1<=j<=M}、集合Q={j|1<=j<=S,M−S+1<=j<=M}である。Sは相関ピークのサーチ範囲、Mは周波数ビン数である。
TBD処理部32は、探索領域決定部31が探索領域を決定すると、注目セル(i,j)のレンジビンより1レンジビン前のドップラースペクトルの中に、その探索領域を設定する。
TBD処理部32は、レンジビン(i−1)のドップラースペクトルの中に探索領域を設定すると、図2のTBD処理部11と同様に、その探索領域内の複数の周波数ビンの中から、加算対象の周波数ビンを選択する。例えば、振幅値が最大の周波数ビンを選択する。
TBD処理部32は、加算対象の周波数ビンを選択すると、図2のTBD処理部11と同様に、上記の式(3)を用いて、加算対象の周波数ビンのスコアを注目セル(i,j)の振幅値x(i)に加算することで、注目セル(i,j)のスコアS(i)を算出する。
TBD処理部32は、注目セル(i,j)のスコアS(i)を算出すると、図2のTBD処理部11と同様に、注目セル(i,j)のスコアS(i)をTBD履歴結果保存部12に保存するとともに、TBD履歴結果として、注目セル(i,j)に対する加算対象の周波数ビンを示す周波数ビン番号SP(i)をTBD履歴結果保存部12に保存する。
バックトラック処理部13及び平滑処理部14の処理内容は、上記実施の形態1と同様である。
以上で明らかなように、この実施の形態3によれば、探索領域決定部31が、相互相関処理部21により算出されたレンジビン間の相互相関値COR(i)から、その相互相関値COR(i)の相関値幅(最大値CORmaxと最小値CORminの差分)を算出して、予め設定された係数rを当該相関値幅に乗算し、相互相関値COR(i)が当該乗算結果r(CORmax−CORmin)より大きくなる周波数ビンの範囲を特定し、その周波数ビンの範囲を探索領域に決定するように構成したので、上記実施の形態1と同様の効果を奏する他に、事前に探索領域を設定することなく、適正な探索領域を自動的に設定することができる効果を奏する。
実施の形態4.
上記実施の形態3では、探索領域決定部31を実装している2次元ピーク検出処理部3を示したが、2次元ピーク検出処理部3がオフセット量算出部22及び探索領域決定部31を実装しているものであってもよい。
図12はこの発明の実施の形態4によるレーダ装置の2次元ピーク検出処理部3を示す構成図であり、図12において、図7及び図10と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
TBD処理部33は探索領域決定部31により決定された探索領域(図11に示す探索領域)をオフセット量算出部22から出力されたオフセット量だけずらすことで、探索領域に対応する周波数ビンの範囲を決定する処理を実施する。
また、TBD処理部33は信号処理部2により算出されたドップラースペクトルを構成する各周波数ビンを注目セル(i,j)として、オフセット量だけずらしている探索領域内の複数の周波数ビンの中から、加算対象の周波数ビン(例えば、振幅値が最大の周波数ビン)を選択して、加算対象の周波数ビンのスコアを注目セル(i,j)の振幅値に加算し、その加算結果を注目セル(i,j)のスコアS(i)とする処理を実施する。なお、相互相関処理部21、オフセット量算出部22、探索領域決定部31及びTBD処理部33からスペクトル値加算手段が構成されている。
この実施の形態4では、探索領域決定部31を実装しているので、上記実施の形態3と同様に、事前に探索領域を設定することなく、適正な探索領域を自動的に設定することができる。
また、この実施の形態4では、図10の2次元ピーク検出処理部3に対して、オフセット量算出部22を付加しているので、上記実施の形態2と同様に、探索領域を広げることなく、津波のような大きな流速変化に追従することができる。
実施の形態5.
図13はこの発明の実施の形態5によるレーダ装置の2次元ピーク検出処理部3を示す構成図であり、図13において、図12と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
異常時処理部41は相互相関処理部21により算出されたレンジビン間の相互相関値COR(i)における相関ボトム(最小値CORmin)に対する相関ピーク(最大値CORmax)の比(相関ピーク(最大値CORmax)と相関ボトム(最小値CORmin)の比)を算出し、その比が予め設定された閾値CORth(第1の閾値)より小さい場合、異常時の処理として、オフセット量算出部22により算出されたオフセット量を補正する処理を実施する。
また、異常時処理部41は相関対象である(i+1)番目のレンジビンのドップラースペクトルをオフセット量算出部22により算出されたオフセット量だけずらし、そのオフセット量だけずらした(i+1)番目のレンジビンのドップラースペクトルと、相関元であるi番目のレンジビンのドップラースペクトルとの相関係数CC(i)を算出し、その相関係数CC(i)が予め設定された閾値CCth(第2の閾値)より小さい場合、異常時の処理として、オフセット量算出部22により算出されたオフセット量を補正する処理を実施する。
さらに、異常時処理部41は相関ピーク(最大値CORmax)と相関ボトム(最小値CORmin)が閾値CORthより大きく、かつ、相関係数CC(i)が閾値CCthより大きい場合、各レンジビンのオフセット量の絶対値と予め設定された閾値OSth1(第3の閾値)を比較し、当該レンジビンのオフセット量の絶対値が閾値OSth1より大きく、かつ、当該レンジビンと隣接しているレンジビンのオフセット量の絶対値が予め設定された閾値OSth2(第4の閾値)より小さい場合、当該レンジビンのオフセット量を隣接しているレンジビンのオフセット量を用いて補正する処理を実施する。
TBD処理部42は探索領域決定部31により決定された探索領域(図11に示す探索領域)をオフセット量算出部22から出力されたオフセット量だけずらすことで、探索領域に対応する周波数ビンの範囲を決定する処理を実施する。ただし、異常時処理部41によりオフセット量が補正された場合、補正後のオフセット量だけずらすようにする。
また、TBD処理部42は信号処理部2により算出されたドップラースペクトルを構成する各周波数ビンを注目セル(i,j)として、オフセット量だけずらしている探索領域内の複数の周波数ビンの中から、加算対象の周波数ビン(例えば、振幅値が最大の周波数ビン)を選択して、加算対象の周波数ビンのスコアを注目セル(i,j)の振幅値に加算し、その加算結果を注目セル(i,j)のスコアS(i)とする処理を実施する。なお、相互相関処理部21、オフセット量算出部22、探索領域決定部31、異常時処理部41及びTBD処理部42からスペクトル値加算手段が構成されている。
次に動作について説明する。
ただし、異常時処理部41及びTBD処理部42以外は、上記実施の形態4と同様であるため、ここでは、異常時処理部41及びTBD処理部42の処理内容だけを説明する。
レンジビン間の相互相関値COR(i)における相関ピーク(最大値CORmax)から、1次散乱のピークのオフセット量を算出することができるが、ドップラースペクトルが多峰性となる場合や、1次散乱が他の散乱よりも弱くなる場合には、相関ピークが不正常になって、オフセット量が異常値になることがある。
そのため、上記実施の形態2,4では、オフセット量が異常値になることがあり、その結果として、流速の推定結果に誤差が含まれることがある。
この実施の形態5では、オフセット量が異常値となる場合には、そのオフセット量を補正して、正しい流速の推定結果を得ることができるようにしている。
具体的には、以下の通りである。
異常時処理部41は、相互相関処理部21がレンジビン間の相互相関値COR(i)を算出すると、その相互相関値COR(i)における相関ボトム(最小値CORmin)に対する相関ピーク(最大値CORmax)の比(CORmax/CORmin)を算出する。
異常時処理部41は、相関ボトムに対する相関ピークの比(CORmax/CORmin)を算出すると、下記の式(8)に示すように、相関ボトムに対する相関ピークの比(CORmax/CORmin)と予め設定された閾値CORthを比較し、相関ボトムに対する相関ピークの比(CORmax/CORmin)が閾値CORthより小さい場合、オフセット量算出部22により算出されたオフセット量は異常値であると判定する。
Figure 2015180858
また、異常時処理部41は、相関ボトムに対する相関ピークの比(CORmax/CORmin)が閾値CORthより大きい場合、相関対象である(i+1)番目のレンジビンのドップラースペクトルをオフセット量算出部22から出力されたオフセット量だけずらし、下記の式(9)に示すように、そのオフセット量だけずらした(i+1)番目のレンジビンのドップラースペクトルと、相関元であるi番目のレンジビンのドップラースペクトルとの相関係数CC(i)を算出する。
Figure 2015180858
式(9)において、x(i)は相関元の注目セル(i,j)の振幅値、xj−offset(i+1)はオフセット補正後の相関対象のセル(i+1,j−offset)の振幅値、offsetはオフセット量算出部22により算出されたオフセット量である。
また、x(i)バー(明細書の文章中では、電子出願の関係上、文字の上に“−”の記号を付することができないので、x(i)バーのように表記している)はi番目のレンジビンにおけるドップラースペクトルの振幅平均値、x(i+1)バーは(i+1)番目のレンジビンにおけるドップラースペクトルの振幅平均値である。
異常時処理部41は、相関係数CC(i)を算出すると、下記の式(10)に示すように、その相関係数CC(i)と予め設定された閾値CCthを比較し、その相関係数CC(i)が閾値CCthより小さい場合、オフセット量算出部22により算出されたオフセット量は異常値であると判定する。
Figure 2015180858
異常時処理部41は、相関ボトムに対する相関ピークの比(CORmax/CORmin)が閾値CORthより小さいために、オフセット量算出部22により算出されたオフセット量が異常値であると判定した場合、あるいは、相関係数CC(i)が閾値CCthより小さいために、オフセット量算出部22により算出されたオフセット量が異常値であると判定した場合、そのオフセット量を零に補正(あるいは、事前に設定された値に補正)し、補正後のオフセット量をTBD処理部42に出力する。
異常時処理部41は、レンジビン毎に、上記の異常判定を行っても、オフセット量算出部22により算出されたオフセット量が異常値であることが認められない場合(相関ボトムに対する相関ピークの比(CORmax/CORmin)が閾値CORth大きく、かつ、相関係数CC(i)が閾値CCthより大きい場合)、全相関レンジビン処理後のオフセット量から異常値の判定を行う。
即ち、異常時処理部41は、下記の式(11)が成立するか否かを判定し、式(11)が成立する場合、i番目のオフセット量OS(i)を異常値候補として検出する。
Figure 2015180858
式(11)において、OSth1は異常値候補検出用の閾値(第3の閾値)である。
異常時処理部41は、異常値候補を検出すると、その異常値候補のレンジビンと隣接しているレンジビンのオフセット量が正常値であるか否かを判定し、隣接しているレンジビンのオフセット量が正常値であれば、その異常値候補は異常値であると判定する。
隣接しているレンジビンのオフセット量は、下記の式(12)が成立すれば、正常値であると判定する。
Figure 2015180858
式(12)において、OSth2は正常値判定用の閾値(第4の閾値)である。
異常時処理部41は、異常値候補が異常値であると判定すると、その異常値候補と隣接しているレンジビンのオフセット量を用いて補正する。
例えば、異常値候補のレンジビンと隣接しているレンジビンのオフセット量の平均値を算出し、その異常値候補のオフセット量を当該平均値に置き換える補正を行う。
なお、異常時処理部41は、各レンジビンのオフセット量が正常値であれば、そのオフセット量をTBD処理部42に出力し、各レンジビンのオフセット量が異常値であって、そのオフセット量を補正していれば、補正後のオフセット量をTBD処理部42に出力する。
ここで、図14は異常値の検出処理を示す説明図であり、図15は補正後のオフセット量を示す説明図である。
異常値の検出は、図14に示すように、異常値候補検出用の閾値OSth1を超えるオフセット量を異常値候補として検出し、隣接している複数個のレンジビンのオフセット量が正常値であれば、異常値候補を異常値と判定している。
異常値であるオフセット量の補正は、図15に示すように、異常値と判定されたオフセット量と隣接している複数個のレンジビンのオフセット量が正常値であれば、隣接しているレンジビンの複数個のオフセット量を用いて行う。
図15の例では、異常値の前後2個のオフセット量の平均値を異常値のオフセット量に置き換える補正を行っている。
ここでは、異常値の前後2個のオフセット量を用いているが、これは一例に過ぎず、例えば、異常値の前後1個のオフセット量を用いてもよい。また、異常値の前後2個のオフセット量の平均値ではなく、前後の正常値に置き換える補正を行ってもよい。
TBD処理部42は、異常時処理部41から各レンジビンのオフセット量を受けると、探索領域決定部31により決定された探索領域(図11に示す探索領域)を、そのオフセット量だけずらすことで、探索領域に対応する周波数ビンの範囲を決定する。ただし、例えば、そのオフセット量が零に補正されていれば、探索領域はずらさない。
TBD処理部42は、レンジビン(i−1)のドップラースペクトルの中に探索領域を設定すると、図2のTBD処理部11と同様に、その探索領域内の複数の周波数ビンの中から、加算対象の周波数ビンを選択する。例えば、振幅値が最大の周波数ビンを選択する。
TBD処理部42は、加算対象の周波数ビンを選択すると、図2のTBD処理部11と同様に、上記の式(3)を用いて、加算対象の周波数ビンのスコアを注目セル(i,j)の振幅値x(i)に加算することで、注目セル(i,j)のスコアS(i)を算出する。
TBD処理部42は、注目セル(i,j)のスコアS(i)を算出すると、図2のTBD処理部11と同様に、注目セル(i,j)のスコアS(i)をTBD履歴結果保存部12に保存するとともに、TBD履歴結果として、注目セル(i,j)に対する加算対象の周波数ビンを示す周波数ビン番号SP(i)をTBD履歴結果保存部12に保存する。
バックトラック処理部13及び平滑処理部14の処理内容は、上記実施の形態1と同様である。
以上で明らかなように、この実施の形態5によれば、オフセット量算出部22により算出されたオフセット量が異常値であると判定すれば、そのオフセット量を補正するように構成したので、ドップラースペクトルが多峰性となる場合や、1次散乱が他の散乱よりも弱くなる場合でも、正しい流速の推定結果を得ることができる効果を奏する。
実施の形態6.
図16はこの発明の実施の形態6によるレーダ装置を示す構成図であり、図16において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
波形推定処理部51は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、2次元ピーク検出処理部3により推定された流速である観測値から、その流速のトレンドを把握することで、その流速の予測値を算出する処理を実施する。
流速偏差抽出部52は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、2次元ピーク検出処理部3により推定された流速である観測値と波形推定処理部51により算出された予測値との差分値を算出する処理を実施する。
なお、波形推定処理部51及び流速偏差抽出部52から速度偏差算出手段が構成されている。
異常ピーク判定部53は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、各レーダビームのレンジビン毎に、流速偏差抽出部52により算出された差分値と予め設定された第5の閾値を比較して、その差分値が第5の閾値より大きいレンジビンを異常ピーク候補として検出し、その異常ピーク候補を有するレーダビームと隣接しているレーダビームが有する異常ピーク候補の数が予め設定された第6の閾値より少なければ、第5の閾値より大きい差分値の算出元の観測値は異常値であると判定する処理を実施する。なお、異常ピーク判定部53は正否判定手段を構成している。
図16の例では、レーダ装置の構成要素である信号処理部2、2次元ピーク検出処理部3、出力データ保存部4、波形推定処理部51、流速偏差抽出部52及び異常ピーク判定部53のそれぞれが専用のハードウェアで構成されているものを想定しているが、信号処理部2、2次元ピーク検出処理部3、出力データ保存部4、波形推定処理部51、流速偏差抽出部52及び異常ピーク判定部53がコンピュータで構成されていてもよい。
信号処理部2、2次元ピーク検出処理部3、出力データ保存部4、波形推定処理部51、流速偏差抽出部52及び異常ピーク判定部53をコンピュータで構成する場合、出力データ保存部4をコンピュータのメモリ上に構成するとともに、信号処理部2、2次元ピーク検出処理部3、波形推定処理部51、流速偏差抽出部52及び異常ピーク判定部53の処理内容を記述しているプログラムを当該コンピュータのメモリに格納し、当該コンピュータのCPUが当該メモリに格納されているプログラムを実行するようにすればよい。
図17はこの発明の実施の形態6によるレーダ装置の異常ピーク判定部53を示す構成図である。
図17において、異常ピーク候補検出部61は各レーダビームのレンジビン毎に、流速偏差抽出部52により算出された差分値と予め設定された第5の閾値を比較して、その差分値が第5の閾値より大きいレンジビンを異常ピーク候補として検出する処理を実施する。
異常ピーク判定処理部62は異常ピーク候補検出部61により検出された異常ピーク候補を有するレーダビームと隣接しているレーダビームが有する異常ピーク候補の数が予め設定された第6の閾値より少なければ、第5の閾値より大きい差分値の算出元の観測値は異常値であると判定し、その判定結果を出力データ保存部4に格納する処理を実施する。
次に動作について説明する。
ただし、波形推定処理部51、流速偏差抽出部52及び異常ピーク判定部53以外は、上記実施の形態1〜5と同様であるため、ここでは、波形推定処理部51、流速偏差抽出部52及び異常ピーク判定部53の処理内容だけを説明する。
ドップラースペクトルが多峰性となる場合や、1次散乱が他の散乱よりも弱くなる場合、特に2つ山のスペクトルがある距離の範囲で連続して存在する(以下、「異常ピーク」と称する)場合には、1次散乱ピークを精度良く抽出することができず、不正常な流速の推定となる。
このため、上記実施の形態2,4,5のように、津波のような大きな流速を検出することが可能なレーダ装置では、異常ピークによる流速と津波による流速を識別することができない。
即ち、上記実施の形態2,4,5では、同一ビームのドップラースペクトルから各レンジの流速を推定しているので、異常ピークによる流速であるのか、津波による流速であるのかを識別することができないが、この実施の形態6では、複数のビームのドップラースペクトルから異常ピークを判定することで、異常ピークによる流速であるのか、津波による流速であるのかを識別することができるようにしている。
波形推定処理部51は、2次元ピーク検出処理部3により推定された流速である観測値
から、その流速のトレンドを把握することで、その流速の予測値を算出する。
例えば、ローパスフィルタやカルマンフィルタ等を用いて、流速の観測値をフィルタリングすることで、その流速の予測値を算出する。
ローパスフィルタを用いる場合には、ローパスフィルタの通過帯域を設定する必要がある。カルマンフィルタを用いる場合、観測値から流速と流速変化率を推定することができるため、次時刻の流速の予測値の算出が可能になる。
図18は波形推定処理部51による流速の予測値を示す説明図である。
図18において、ビームとレンジ毎に区切られているセルはレンジセルと呼ばれ、レンジセル毎に予測値が算出される。
流速偏差抽出部52は、波形推定処理部51が流速の予測値を算出すると、レンジセル毎に、その予測値と2次元ピーク検出処理部3から出力された流速の観測値との差分値を算出し、その差分値である流速偏差を異常ピーク判定部53に出力する。
ここで、図19は流速偏差抽出部52により算出される流速偏差(観測値と予測値の差分値)を示す説明図である。
異常ピークによる流速と津波による流速は、平時(通常時)の流速よりも大きな流速となる。
図20は異常ピークによる流速と津波による流速が混在している場合の推定波形を示す説明図である。
また、図21は異常ピークによる流速と津波による流速が混在している場合の流速偏差を示す説明図である。
異常ピークによる流速と津波による流速が混在している観測値から予測値が算出され、その予測値と観測値から算出された図21に示すような流速偏差だけでは、異常ピークによる成分であるのか、津波による成分であるのかは不明である。
異常ピーク判定部53の異常ピーク候補検出部61は、流速偏差抽出部52がレンジセル毎に流速偏差を算出すると、レンジセル毎に、当該レンジセルの流速偏差と予め設定された第5の閾値を比較し、その流速偏差が第5の閾値より大きければ、当該レンジセルを異常ピーク候補として検出する。
ここで、図22は異常ピークによる流速が観測値に含まれている場合の異常ピーク候補の検出例を示す説明図であり、図23は津波による流速が観測値に含まれている場合の異常ピーク候補の検出例を示す説明図である。
図22及び図23において、レンジ方向とビーム方向で区切られているセルがレンジセルであり、黒色のセルは異常ピーク候補が検出されたセルであることを示している。
異常ピークが発生している状況下では、図22に示すように、注目ビームに隣接しているビームには、異常ピーク候補の数が少ない。
一方、津波が発生している状況下では、図23に示すように、流速偏差が閾値を超えるレンジセルが空間的に広がるため、注目ビームに隣接しているビームには、多くの数の異常ピーク候補が検出される。
したがって、津波が発生している状況下では、ビーム方向の相関が大きく、異常ピークが発生している状況下では、ビーム方向の相関が小さくなる。
異常ピーク判定部53の異常ピーク判定処理部62は、異常ピーク候補検出部61が異常ピーク候補を検出すると、異常ピーク候補を有する注目のレーダビームと隣接しているレーダビームが有する異常ピーク候補の数を計数し、隣接しているレーダビームが有する異常ピーク候補の数が予め設定された第6の閾値より少なければ、注目のレーダビームが有する異常ピーク候補に係る流速偏差の算出元の観測値は異常値であると判定する。
例えば、異常ピークによる流速が観測値に含まれているため、図22のように異常ピーク候補が検出されている場合、仮に、k番目のレーダビームを注目ビームとすると、注目ビームkは、3個の異常ピーク候補を有している。
しかし、注目ビームkの隣接ビームk−1,k+1では、注目ビームkが有する3個の異常ピーク候補と同一のレンジビンにおいて、異常ピーク候補が1個も検出されていない。
したがって、隣接ビームk−1,k+1が有している異常ピーク候補の数は0個であり、例えば、第6の閾値が“1”であるとすれば、注目ビームkが有する異常ピーク候補に係る流速偏差の算出元の観測値は異常値であると判定される。
また、津波による流速が観測値に含まれているため、図23のように異常ピーク候補が検出されている場合、仮に、k番目のレーダビームを注目ビームとすると、注目ビームkは、3個の異常ピーク候補を有している。
このとき、注目ビームkの隣接ビームk−1,k+1は、注目ビームkが有する3個の異常ピーク候補と同一のレンジビンにおいて、6個の異常ピーク候補が検出されている。
したがって、隣接ビームk−1,k+1が有している異常ピーク候補の数は6個であり、例えば、第6の閾値が“1”であるとすれば、注目ビームkが有する異常ピーク候補に係る流速偏差の算出元の観測値は異常値でないと判定される。
この実施の形態6では、隣接ビームk−1,k+1が有している異常ピーク候補の数を第6の閾値と比較している例を示しているが、隣接ビームの対象を増やし、例えば、隣接ビームk−2,k−1,k+1,k+2が有している異常ピーク候補の数を第6の閾値と比較するようにしてもよい。
また、隣接ビームk−1,k+1を除外し、例えば、隣接ビームk−2,k+2が有している異常ピーク候補の数を第6の閾値と比較するようにしてもよい。
以上で明らかなように、この実施の形態6によれば、異常ピーク判定部53が、流速偏差抽出部52により算出されたレンジセル毎の流速偏差と第5の閾値を比較して、その流速偏差が第5の閾値より大きいレンジセルを異常ピーク候補として検出し、その異常ピーク候補を有するレーダビームと隣接しているレーダビームが有する異常ピーク候補の数が第6の閾値より少なければ、第5の閾値より大きい流速偏差の算出元の観測値は異常値であると判定するように構成したので、異常ピークによる流速であるのか、津波による流速であるのかを識別することができる効果を奏する。
実施の形態7.
海域によっては、船等による不要波の振幅値が1次散乱の振幅値よりも非常に大きくなることがある。このような場合、上記実施の形態1のように、振幅値が最大の周波数ビンを加算対象の周波数ビンとして、注目セルのスペクトル値に加算するようにすると、不要波の周波数ビンを誤って抽出してしまって、海面の波の流速推定に誤差が生じることがある。
図24は不要波の振幅値が1次散乱の加算値よりも大きいことによる不要波の検出例を示す説明図である。
図24に示すように、不要波の周波数ビンが2レンジビンに連続して存在する場合、1次散乱を加算した最終レンジビンのセルのスコアよりも、不要波の周波数ビンを加算した最終レンジビンのセルのスコアの方が大きいと、バックトラックで抽出される周波数ビンとして、不要波のセルを加算した経路を抽出することになる。
バックトラックで抽出される周波数ビンとして、不要波のセルを加算した経路を抽出する状況は、特に1次散乱を複数回加算したスコアよりも不要波のセルの振幅値の方が大きい場合に生じる。
上記のような状況を回避するには、注目セルの振幅値が不要波である否かを判定する必要がある。
図25は1次散乱と不要波の振幅の確率密度分布を示す説明図であるが、上記のような状況を回避する方法として、図25に示すような確率密度分布において、例えば、分布の99.7%となる値を閾値に設定し、その閾値を超える振幅値を有する信号を不要波として判定する方法が考えられる。
ただし、この方法を用いる場合、海域によって1次散乱の振幅が変わるため、海域毎に1次散乱の振幅の確率密度分布を抽出する必要がある。
上記実施の形態1〜6のレーダ装置では、注目セルの振幅値が不要波であるか否かを判定する処理を実施しないため、非常に大きな振幅を有する不要波を加算することがあり、その結果、バックトラックで不要波のセルを加算した経路を誤って抽出してしまって、不正常な流速推定となることがある。
そこで、この実施の形態7では、1レンジビン前の探索範囲内で最大のスコアとなるセルの振幅値に対する注目セルの振幅値の比を算出し、その比が予め設定された不要波判定用の閾値より大きければ、注目セルの振幅値が不要波であると判定するようにする。また、注目セルの振幅値が不要波であると判定すると、1レンジビン前の探索範囲内で最大のスコアを注目セルの振幅値に加算せずに、注目セルの加算処理後のスコアとして、注目セルの1レンジビン前のスコアを用いるようにすることで、正常な流速推定を行えるようにする。
図26はこの発明の実施の形態7によるレーダ装置の2次元ピーク検出処理部3を示す構成図であり、図26において、図2と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
不要波判定用閾値設定部71は隣接レンジビンの1次散乱の振幅値の比の確率密度分布から、不要波判定用の閾値(第7の閾値)を設定する処理を実施する。不要波判定用閾値設定部71は閾値設定手段を構成している。
なお、1次散乱はレンジ方向に連続的に変化しており、ある海域の1次散乱の振幅値の比の確率密度分布は他の海域でも同等であるため、海域毎に確率密度分布を抽出する必要がない。
TBD処理部72は信号処理部2により算出されたドップラースペクトルを構成する各周波数ビンを注目セルとして、加算対象の周波数ビンのスペクトル値である振幅値(1レンジビン前の探索範囲内で最大のスコアとなるセルの振幅値)に対する当該注目セルの振幅値の比(注目セルの振幅値と加算対象の周波数ビンの振幅値との比)を算出し、その比が不要波判定用閾値設定部71により設定された不要波判定用の閾値より大きければ、当該注目セルの振幅値が不要波であると判定する処理を実施する。
また、TBD処理部72は注目セルの振幅値が不要波でないと判定すれば、図2のTBD処理部11と同様に、ドップラースペクトルのスペクトル値をレンジ方向に繰り返し加算し、加算後の最終処理レンジビンにおける最大のスコアとなる周波数ビン番号をバックトラック処理部13へ出力し、また、1レンジビン前から選択した最大のスコアとなる周波数ビン番号をTBD履歴結果保存部12へ出力する。
一方、注目セルの振幅値が不要波であると判定すれば、加算対象の周波数ビンの振幅値を当該注目セルの振幅値に加算せずに、注目セルの加算処理後のスコアとして、注目セルの1レンジビン前のスコアを用いるようにする。なお、TBD処理部72はスペクトル値加算手段を構成している。
次に動作について説明する。
ただし、不要波判定用閾値設定部71及びTBD処理部72以外は、上記実施の形態1〜6と同様であるため、ここでは、不要波判定用閾値設定部71及びTBD処理部72の処理内容だけを説明する。また、TBD処理部72がドップラースペクトルのスペクトル値をレンジ方向に繰り返し加算する処理については、図2のTBD処理部11と同様であるため説明を省略する。
不要波判定用閾値設定部71は、隣接レンジビンの1次散乱の振幅値の比の確率密度分布から、不要波判定用の閾値ηthを設定する。
即ち、不要波判定用閾値設定部71は、事前に海域データのレンジビン毎のドップラースペクトルを取得し、レンジビン毎のドップラースペクトルから1次散乱の周波数ビンの振幅値を抽出する。
そして、不要波判定用閾値設定部71は、(i−1)番目のレンジビンの1次散乱の振幅値に対するi番目のレンジビンの1次散乱の振幅値の比を示す確率密度分布を求め、その確率密度分布において、例えば、分布の99.7%となる値を不要波判定用の閾値ηthに設定する。
ここで、図27は1次散乱の振幅特性を示す説明図である。
1次散乱の振幅特性は、図27に示すように、レンジ方向に連続的に変化しており、隣接レンジの信号は同等の振幅を有している。このため、振幅値の比の確率密度分布とすることで、ある海域の1次散乱の振幅比の分布は他の海域でも同等になり、海域毎に確率密度分布を抽出する必要がない。また、ここでは振幅比として説明したが、振幅差として計算するようにしてもよい。
TBD処理部72は、1レンジビン前の探索範囲内で最大のスコアを注目セルの振幅値に加算する前に、その注目セルの振幅値が不要波であるか否かを判定し、その注目セルの振幅値が不要波であれば、加算処理を行わず、その注目セルの加算処理後のスコアとして、その注目セルの1レンジビン前のスコアを用いるようにする。
図28はこの発明の実施の形態7のTBD処理部72による不要波の判定処理を示す説明図である。
以下、TBD処理部72による不要波の判定処理を具体的に説明する。
TBD処理部72による不要波の判定処理では、注目セル(i,j)のスコアSj(i)の算出をする前に、下記の式(13)に示すように、注目セル(i,j)の1レンジビン前の最大のスコアとなるセルの振幅値xj’max(i−1)に対する注目セル(i,j)の振幅値x(i)の比η(i)を算出する。
Figure 2015180858
ただし、j’maxはTBD履歴結果保存部12により格納されている注目セル(i,j)の1レンジビン前の最大のスコアとなるセルの周波数ビンを示している。ここでは、下記の式(14)のように定義する。
Figure 2015180858
TBD処理部72は、振幅値の比η(i)を算出すると、その比η(i)と不要波判定用閾値設定部71により設定された不要波判定用の閾値ηthを比較し、下記の式(15)に示すように、その比η(i)が不要波判定用の閾値ηthより大きければ、注目セル(i,j)の振幅値が不要波であると判定する。
Figure 2015180858
TBD処理部72は、注目セル(i,j)の振幅値が不要波であると判定すると、1レンジビン前の最大のスコアを注目セル(i,j)の振幅値x(i)に加算せず、下記の式(16)に示すように、注目セル(i,j)の加算処理後のスコアS(i)として、注目セル(i,j)の1レンジビン前のスコアS(i−1)を用いるようにする。
Figure 2015180858
以上で明らかなように、この実施の形態7によれば、TBD処理部72が、注目セル(i,j)の1レンジビン前の最大のスコアとなるセルの振幅値xj’max(i−1)に対する注目セル(i,j)の振幅値x(i)の比η(i)を算出して、その比η(i)が不要波判定用の閾値ηthより大きければ、注目セル(i,j)の振幅値が不要波であると判定し、注目セル(i,j)の振幅値が不要波であると判定すれば、1レンジビン前の最大のスコアを注目セル(i,j)の振幅値x(i)に加算せずに、注目セル(i,j)の加算処理後のスコアS(i)として、注目セル(i,j)の1レンジビン前のスコアS(i−1)を用いるように構成したので、船等による不要波の振幅値が1次散乱の振幅値よりも非常に大きい場合でも、海面の波の流速を高精度に推定することができる効果を奏する。
また、1次散乱の振幅はレンジ方向に連続的に変化しているので、ある海域の1次散乱の振幅比の確率密度分布から不要波判定用の閾値ηthを設定することで、他の海域でも、その閾値ηthを用いることができる。
実施の形態8.
上記実施の形態7では、注目セル(i,j)の1レンジビン前の最大のスコアとなるセルの振幅値xj’max(i−1)に対する注目セル(i,j)の振幅値x(i)の比η(i)を算出して、その比η(i)と不要波判定用の閾値ηthを比較するものを示したが、注目セル(i,j)の振幅値x(i)は遠距離であるほど、ランダム的なノイズによって揺らいでいるため、1次散乱の振幅比の確率密度分布が広くなる。このため、振幅値の小さな不要波を判定することができずに、その不要波の周波数ビンを誤って抽出してしまって、海面の波の流速推定に誤差が生じることがある。
そこで、この実施の形態8では、注目セル(i,j)の1レンジビン前から事前に設定されたLレンジビン前までの最大のスコアとなるセルの振幅値xj’max(i−1)〜xj’max(i−L)の平均値を算出して、その平均値に対する注目セル(i,j)の振幅値x(i)の比η(i)を算出し、その比η(i)が不要波判定用の閾値ηthより大きければ、1レンジビン前の最大のスコアを注目セル(i,j)の振幅値x(i)に加算せずに、注目セル(i,j)の加算処理後のスコアS(i)として、注目セル(i,j)の1レンジビン前のスコアS(i−1)を用いるようにすることで、正常な流速推定を行えるようにする。
図29はこの発明の実施の形態8によるレーダ装置の2次元ピーク検出処理部3を示す構成図であり、図29において、図26と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
TBD処理部81は信号処理部2により算出されたドップラースペクトルを構成する各周波数ビンを注目セル(i,j)として、注目セル(i,j)の1レンジビン前から事前に設定されたLレンジビン前までの最大のスコアとなるセルの振幅値xj’max(i−1)〜xj’max(i−L)の平均値を算出して、その平均値に対する注目セル(i,j)の振幅値x(i)の比η(i)(注目セル(i,j)の振幅値x(i)と当該平均値の比)を算出し、その比η(i)が不要波判定用閾値設定部71により設定された不要波判定用の閾値ηthより大きければ、注目セル(i,j)の振幅値x(i)が不要波であると判定する処理を実施する。
また、TBD処理部81は注目セル(i,j)の振幅値x(i)が不要波でないと判定すれば、図2のTBD処理部11と同様に、ドップラースペクトルのスペクトル値をレンジ方向に繰り返し加算し、加算後の最終処理レンジビンにおける最大のスコアとなる周波数ビン番号をバックトラック処理部13へ出力し、また、1レンジビン前から選択した最大のスコアとなる周波数ビン番号をTBD履歴結果保存部12へ出力する。
一方、注目セル(i,j)の振幅値x(i)が不要波であると判定すれば、1レンジビン前の最大のスコアを注目セル(i,j)の振幅値x(i)に加算せずに、注目セル(i,j)の加算処理後のスコアS(i)として、注目セル(i,j)の1レンジビン前のスコアS(i−1)を用いるようにする。なお、TBD処理部81はスペクトル値加算手段を構成している。
次に動作について説明する。
ただし、TBD処理部81以外は、上記実施の形態7と同様であるため、ここでは、TBD処理部81の処理内容だけを説明する。また、TBD処理部81がドップラースペクトルのスペクトル値をレンジ方向に繰り返し加算する処理については、図2のTBD処理部11と同様であるため説明を省略する。
図30はこの発明の実施の形態8のTBD処理部81による不要波の判定処理を示す説明図である。
TBD処理部81による不要波の判定処理では、注目セル(i,j)のスコアSj(i)の算出をする前に、注目セル(i,j)の1レンジビン前から事前に設定されたLレンジビン前までの最大のスコアとなるセルの振幅値xj’max(i−1)〜xj’max(i−L)の平均値xj’aveを算出して、その平均値xj’aveに対する注目セル(i,j)の振幅値x(i)の比η(i)を算出する。
Figure 2015180858
TBD処理部81は、振幅値の比η(i)を算出すると、図26のTBD処理部72と同様に、その比η(i)と不要波判定用閾値設定部71により設定された不要波判定用の閾値ηthを比較し、その比η(i)が不要波判定用の閾値ηthより大きければ、注目セル(i,j)の振幅値が不要波であると判定する。
TBD処理部81は、注目セル(i,j)の振幅値が不要波であると判定すると、図26のTBD処理部72と同様に、1レンジビン前の最大のスコアを注目セル(i,j)の振幅値x(i)に加算せず、注目セル(i,j)の加算処理後のスコアS(i)として、注目セル(i,j)の1レンジビン前のスコアS(i−1)を用いるようにする。
ここで、図31は平均化による1次散乱の振幅比の確率密度分布を示す説明図である。
注目セル(i,j)の1レンジビン前からLレンジビン前までの最大のスコアとなるセルの振幅値xj’max(i−1)〜xj’max(i−L)を平均化することで、1次散乱の確率密度分布と不要波の確率密度分布が分離することができるため、不要波の検出を減らすことができる。
1次散乱の確率密度分布を平均化していない場合、図31(a)のように、1次散乱の確率密度分布と不要波の確率密度分布が一部重なっているため、両者を分離することができないが、1次散乱の確率密度分布を平均化している場合、図31(b)のように、1次散乱の確率密度分布と不要波の確率密度分布が重なっていないため、両者を分離することができる。
以上で明らかなように、この実施の形態8によれば、TBD処理部81が、注目セル(i,j)の1レンジビン前から事前に設定されたLレンジビン前までの最大のスコアとなるセルの振幅値xj’max(i−1)〜xj’max(i−L)の平均値を算出して、その平均値に対する注目セル(i,j)の振幅値x(i)の比η(i)を算出するように構成したので、振幅値の小さな不要波が含まれている場合でも、海面の波の流速を高精度に推定することができる効果を奏する。
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
1 ビーム送受信系、2 信号処理部(スペクトル算出手段)、3 2次元ピーク検出処理部(速度推定手段)、4 出力データ保存部、11 TBD処理部(スペクトル値加算手段)、12 TBD履歴結果保存部、13 バックトラック処理部(速度算出手段)、14 平滑処理部(速度算出手段)、21 相互相関処理部(スペクトル値加算手段)、22 オフセット量算出部(スペクトル値加算手段)、23 TBD処理部(スペクトル値加算手段)、31 探索領域決定部(スペクトル値加算手段)、32,33 TBD処理部(スペクトル値加算手段)、41 異常時処理部(スペクトル値加算手段)、42 TBD処理部(スペクトル値加算手段)、51 波形推定処理部(速度偏差算出手段)、52 流速偏差抽出部(速度偏差算出手段)、53 異常ピーク判定部(正否判定手段)、61 異常ピーク候補検出部、62 異常ピーク判定処理部、71 不要波判定用閾値設定部(閾値設定手段)、72 TBD処理部(スペクトル値加算手段)、81 TBD処理部(スペクトル値加算手段)。

Claims (13)

  1. 観測対象に反射されたビームの反射波を周波数解析することで、レンジビン毎にドップラースペクトルを算出するスペクトル算出手段と、
    前記スペクトル算出手段により算出されたドップラースペクトルのスペクトル値をレンジ方向に繰り返し加算し、加算処理後のドップラースペクトルのスペクトル値から前記観測対象の速度を推定する速度推定手段とを備えたレーダ装置において、
    前記速度推定手段は、前記スペクトル算出手段により算出されたドップラースペクトルを構成する各周波数ビンを注目セルとして、当該注目セルのレンジビンより1レンジビン前のドップラースペクトルの中に、レンジ方向の1次散乱ピークのばらつき分に相当する幅を有する探索領域を設定し、前記探索領域内の複数の周波数ビンの中から加算対象の周波数ビンを選択して、前記加算対象の周波数ビンにおけるスペクトル値の累積加算値であるスコア値を前記注目セルのスペクトル値に加算し、その加算結果を前記注目セルのスコア値とするスペクトル値加算手段を備えたことを特徴とするレーダ装置。
  2. 前記速度推定手段は、前記スペクトル値加算手段による加算処理後のドップラースペクトルにおける各周波数ビンのスコア値を比較して、前記観測対象の速度に対応する周波数ビンを特定し、当該周波数ビンから前記観測対象の速度を算出する速度算出手段を備えたことを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
  3. 前記速度算出手段は、前記注目セルと前記加算対象の周波数ビンとの対応関係に基づいて、レンジビン毎に前記観測対象の速度に対応する周波数ビンを特定して、当該周波数ビンから前記観測対象の速度を算出し、レンジビン毎に算出した速度を平滑化することを特徴とする請求項2記載のレーダ装置。
  4. 前記スペクトル値加算手段は、前記スペクトル算出手段により算出された各レンジビンのドップラースペクトルからレンジビン間の相互相関値を算出して、前記相互相関値の相関値幅を算出し、前記相関値幅に対して予め設定された係数が乗算された値より前記相互相関値が大きくなる周波数ビンの範囲を特定して、前記周波数ビンの範囲を前記探索領域に決定することを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載のレーダ装置。
  5. 前記スペクトル値加算手段は、前記スペクトル算出手段により算出された各レンジビンのドップラースペクトルからレンジビン間の相互相関値を算出し、前記相互相関値に基づいて前記探索領域のオフセット量を算出し、前記オフセット量だけ前記探索領域をずらすことを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載のレーダ装置。
  6. 前記スペクトル値加算手段は、前記レンジビン間の相互相関値における相関ピークと相関ボトムの比が予め設定された第1の閾値より小さい場合、異常時の処理として、前記オフセット量を補正することを特徴とする請求項5記載のレーダ装置。
  7. 前記スペクトル値加算手段は、相関対象のレンジビンのドップラースペクトルを前記オフセット量だけずらし、前記オフセット量だけずらした相関対象のレンジビンのドップラースペクトルと、相関元のレンジビンのドップラースペクトルとの相関係数が予め設定された第2の閾値より小さい場合、異常時の処理として、前記オフセット量を補正することを特徴とする請求項5記載のレーダ装置。
  8. 前記スペクトル値加算手段は、各レンジビンのオフセット量の絶対値と予め設定された第3の閾値を比較し、当該レンジビンのオフセット量の絶対値が前記第3の閾値より大きく、かつ、当該レンジビンと隣接しているレンジビンのオフセット量の絶対値が予め設定された第4の閾値より小さい場合、当該レンジビンのオフセット量を前記隣接しているレンジビンのオフセット量を用いて補正することを特徴とする請求項5から請求項7のうちのいずれか1項記載のレーダ装置。
  9. 前記速度推定手段により推定された速度である観測値から、前記速度の予測値を算出して、前記観測値と前記予測値との差分値を算出する速度偏差算出手段と、
    前記速度偏差算出手段により算出された差分値から前記観測値の正否を判定する正否判定手段とを備えたことを特徴とする請求項1から請求項8のうちのいずれか1項記載のレーダ装置。
  10. 前記正否判定手段は、各ビームのレンジビン毎に、前記速度偏差算出手段により算出された差分値と予め設定された第5の閾値を比較して、前記差分値が前記第5の閾値より大きいレンジビンを異常ピーク候補として検出し、前記異常ピーク候補を有するビームと隣接しているビームが有する異常ピーク候補の数が予め設定された第6の閾値より少なければ、前記第5の閾値より大きい前記差分値の算出元の観測値は異常値であると判定することを特徴とする請求項9記載のレーダ装置。
  11. 前記スペクトル値加算手段は、前記注目セルのスペクトル値と前記加算対象の周波数ビンのスペクトル値との比を算出して、前記比と予め設定された第7の閾値を比較し、前記比が前記第7の閾値より大きければ、前記加算対象の周波数ビンのスコア値を前記注目セルのスペクトル値に加算せずに、前記注目セルのスコア値として、前記注目セルの1レンジビン前の加算処理後のスコア値を用いることを特徴とする請求項1から請求項10のうちのいずれか1項記載のレーダ装置。
  12. 前記スペクトル値加算手段は、前記注目セルの1レンジビン前から事前に設定されたレンジビン前までの前記加算対象の周波数ビンのスペクトル値の平均値を算出し、前記注目セルのスペクトル値と前記平均値の比を算出して、前記比と予め設定された第7の閾値を比較し、前記比が前記第7の閾値より大きければ、前記加算対象の周波数ビンのスコア値を前記注目セルのスペクトル値に加算せずに、前記注目セルのスコア値として、前記注目セルの1レンジビン前の加算処理後のスコア値を用いることを特徴とする請求項1から請求項10のうちのいずれか1項記載のレーダ装置。
  13. 隣接レンジビンの1次散乱の振幅値の比の確率密度分布から、前記第7の閾値を設定する閾値設定手段を備えたことを特徴とする請求項11または請求項12記載のレーダ装置。
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