以下、本発明に係るポンプ式注出器の実施形態について、図1〜図5を参照して説明する。各図において共通の部材には、同一の符号を付している。
図1は、本発明に係るポンプ式注出器の1つの実施形態としてのフォーマーポンプ1について、一部を断面で示した側面図である。図2(a)は、図1において断面で示した部分を拡大した拡大図であり、図2(b)は図2(a)のI−I断面図である。図1、図2に示すように、フォーマーポンプ1は、容器100(図1の二点鎖線参照)の口部101にねじ止め固定されるキャップ10と、容器内部の内容物を汲み上げるポンプ20と、押し込み及び復元の繰り返しによりポンプ20を駆動させ、汲み上げた内容物を外界へ向け吐出する吐出ヘッド30と、キャップ10に対して装着され、吐出ヘッド30の押し込み動作を規制可能なストッパー部材としての筒部材40と、を備える。なお、図1及び図2は、吐出ヘッド30の押し込み動作がストッパー部材としての筒部材40により規制されている状態(第1の姿勢)を示している。また、図1のフォーマーポンプ1の側面図の右側に、筒部材40の揺動部41の正面図を示している。
キャップ10は、容器100の口部101にねじ止め固定され、容器内部に連通する開口11を区画している。具体的に、キャップ10は、中空円盤状の天板部12と、天板部12の外周縁から垂下しており、内面に雌ねじ部を有し、口部101の外壁に形成された雄ねじ部と螺合することにより口部101にねじ止め固定される円筒状のキャップ本体13と、天板部12の内周縁から上方に立設され、後述する吐出ヘッド30の押し込み及び復元をガイドする略円筒状のガイド筒部14と、を備える。そして、上述のキャップ10の開口11は、天板部12、キャップ本体13及びガイド筒部14により区画されている。
天板部12の下面には係止筒15が垂下しており、キャップ本体13の上端部の内面と係止筒15の外面との間で、ポンプ20の後述する空気用シリンダ24の上端に形成された外側係合筒21cが挟持され、空気用シリンダ24がキャップ10に対して固定される。
図1、図2に示すように、ガイド筒部14の外壁には、ガイド筒部14の外壁上に装着される筒部材40の後述する揺動部41の揺動を可能にする凹部16が形成されている。また、図2(a)に示すように、この凹部16の上端は、ガイド筒部14の外壁の上部に形成された上端面で終端し、凹部16の下端は、ガイド筒部14の外壁の下部に形成された下端面で終端している。この下端面には、揺動部41が揺動した際に、揺動部41の下端を受ける第2受け部17が形成されている。具体的に、第2受け部17は、揺動部41の下端を構成する突起部と嵌合する窪み部で構成されている。また、図2(b)に示すように、ガイド筒部14の外壁には、ガイド筒部14の周方向における凹部16の位置と、筒部材40の周方向における揺動部41の位置とを合わせた状態で両者を位置決めすることができるように、筒部材40の内壁に形成された縦リブ43と嵌合する縦溝18が形成されている。なお、本実施形態では、筒部材40の内壁に縦リブ43を形成し、ガイド筒部14の外壁に縦溝18を形成しているが、この構成に限られるものではなく、筒部材の内壁に縦溝を形成し、ガイド筒部の外壁に縦リブを形成する構成としてもよい。また、本実施形態の凹部16は、揺動部の数及び周方向位置に合わせて、ガイド筒部14の外壁のうち対向する2箇所に設けられているが、この数や周方向位置に限られるものではなく、揺動部の数や周方向位置に応じて適宜変更することが可能である。
図2(b)に示すように、ガイド筒部14の内壁には、吐出ヘッド30の後述する内筒部35がガイド筒部14の内側の開口11内を移動する際に、内筒部35の外壁と当接してガイドする複数のガイドリブ19が形成されている。
ポンプ20は、開口11を通じて容器100内の内容物を汲み上げるものである。具体的に、ポンプ20は、筒状の空気用シリンダ21と、この空気用シリンダ21の下部に同心円状に延設された、空気用シリンダ21よりも小径の筒状の液用シリンダ22と、吐出ヘッド30の押し込み及び復元動作に伴って作動し、空気用シリンダ21及び液用シリンダ22内を移動するステム23と、このステム23の上部の外周面上に設けられ、吐出ヘッド30及びステム23の移動に伴って空気用シリンダ21内を移動する空気用ピストン24と、上端部がステム23の下端部の内周面に嵌着され、吐出ヘッド30及びステム23の移動に伴って液用シリンダ22内を移動する液用ピストン(不図示)と、液用シリンダ22内で液用ピストンの下方に配置され、液用ピストンを介して吐出ヘッド30に常時上方への付勢力を付与するコイルスプリング(不図示)と、液用シリンダ22内からステム23内に亘って延在するポペット弁体(不図示)と、液用シリンダ22の下端部に嵌合され、容器100内から内容物を吸い上げるパイプ25と、吐出ヘッド30の内筒部35内のステム23の上側に位置し、その内部に起泡部材26が嵌め込まれている筒状部材27と、この筒状部材27とステム23との間に形成された気液混合室Rと、を備えている。
空気用シリンダ21は、周壁部21aの下端縁より内側上方に傾斜して延設された底板部(不図示)を有しており、液用シリンダ22の上端縁が、底板部の内周縁に一体に連結されている。また、空気用シリンダ21の周壁部21aの上端部には、径方向外側に延在するフランジ部21bが形成されており、このフランジ部21bの上面からは二重筒状の係合筒が立設されている。この二重筒状の係合筒のうち外側係合筒21cが、上述したように、キャップ本体13の上端部の内面と係止筒15の外面との間で挟持されている。
液用シリンダ22は、空気用シリンダ21の底板部の内周縁から下方に垂下された円筒状の周壁部22aと、この周壁部22aの下端から延設された、下方に向かって外径が漸減するテーパー状の縮径部22bと、この縮径部22bの下端から更に延設された、周壁部22aよりも外径が小さい小径周壁部22cと、を備えている。周壁部22a内には、コイルスプリング及びポペット弁体が配置されており、テーパー状の縮径部22bにより下方を支持されている。また、小径周壁部22c内には、パイプ25の上端部が嵌め込まれており、パイプ25の下端部は容器100内に垂下されている。
ステム23は、上下端を開口した筒状本体23aと、この筒状本体23aの内側上部に形成された液吐出弁用の弁座23bと、この弁座23b上に位置する玉状弁体23cと、筒状本体23aの外周面から径方向外側に突設された空気吐出弁用の弁座(不図示)と、を備えている。筒状本体23aの上端部は、吐出ヘッド30の後述する内筒部35の下端部内に嵌合されている。また、ステム23の下端部には、液用シリンダ22の周壁部22aの内面と液密に摺動する液用ピストンの摺動部(不図示)が下側外方に突出するように、液用ピストンの上端部が嵌め込まれているため、吐出ヘッド30の押し込み及び復元動作に伴い、ステム23と共に液用ピストンを、液用シリンダ22内で下方及び上方に移動させることができる。
液吐出弁用の弁座23bは、筒状本体23aの内壁から内方に突出するフランジ部230bと、このフランジ部230bの内周縁から上方に起立する筒部231bとで形成されており、この筒部231bの上面を、内側下方へ傾斜させて、玉状弁体23cの弁座面としている。
空気用ピストン24は、ステム23の筒状本体23aの外周面上に配置され、上述した空気吐出弁用の弁座(不図示)に下端が支持される筒状弁部24aと、この筒状弁部24aの外周面より径方向外側に延設され、空気用シリンダ21内への空気導入用の逆止弁(不図示)が形成された階段状の天板部24bと、この天板部24bの径方向外縁から延設され、空気用シリンダ21の内周面と液密に摺動する摺動部24cと、を備えている。
筒状弁部24aは、上下方向への小幅な移動が可能なように、吐出ヘッド30の内筒部35の下端部と、上述した空気吐出弁用の弁座とにより上下が挟まれている。そのため、吐出ヘッド30の押し込み動作の際には、筒状弁部24aが弁座から離れて筒状本体23aに対して上方に移動し、空気吐出弁が開放状態となる。また、吐出ヘッド30の押し込み動作の際には、空気吐出弁が開放状態になると共に、吐出ヘッド30に押し込まれた空気用ピストン24の下方への移動により、空気用シリンダ21内の空気が圧縮されるため、この圧縮された空気を、筒状弁部24aの内面と筒状本体23aの外面との間から空気路Pを通じて気液混合室Rへと導入させることができる。
その一方で、吐出ヘッド30の復元動作(コイルスプリングの付勢力により吐出ヘッドが上方に移動する動作)の際には、筒状弁部24aが弁座上に座し、空気路Pが閉塞された状態となるため、空気吐出弁は閉鎖状態となる。また、吐出ヘッド30の復元動作の際には、空気吐出弁が閉鎖状態になると共に、天板部24bに形成された逆止弁(不図示)が開放状態になるため、この逆止弁を通じて空気用シリンダ21内に空気を流入させることができる。
また、吐出ヘッド30の押し込み動作の際には、ステム23の筒状本体23aに嵌合された液用ピストンがコイルスプリングの付勢力に抗して下方に移動すると共に、不図示のポペット弁体も下方に移動する。そしてポペット弁体の下端部が縮径部22bの位置で液用シリンダ22の内部を閉塞する(吸い込み弁を閉塞する)と共に、ポペット弁体がステム23に対して相対的に上昇して、ポペット弁体と液用ピストンとで構成される逆止弁(不図示)が開放される。これにより、液用シリンダ22内にある液体(容器100内の内容物が吸い上げられたもの)が圧縮され、この圧縮された液体が、上述したステム23の玉状弁体23cを弁座23bの弁座面から押し上げる(液吐出弁を開放状態とする)と共に、気液混合室R及び起泡部材26を有する筒状部材27を通じて発泡し、吐出ヘッド30の後述する吐出口36から吐出される。
その一方で、吐出ヘッド30の復元動作の際には、ポペット弁体が上昇して吸い込み弁が開放状態になるため、一定量の内容物がパイプ25を通じて液用シリンダ22内に吸い上げられる。この際に弁座23bの弁座面に玉状弁体23cが当接し、液吐出弁は閉鎖状態となる。ポペット弁体は、その後、ポペット弁体と液用ピストンとで構成される逆止弁が閉鎖状態となるように、ステム23に対して下降する。
なお、筒状部材27内に嵌め込まれた起泡部材26は、メッシュ26aと、このメッシュ26aを張設した筒状のメッシュ保持部材26bとで構成されており、気液混合室Rにおいて混合された液体(容器100の内容物)と空気とは、メッシュ26aを通じて吐出ヘッド30へと汲み上げられることにより発泡する。
吐出ヘッド30は、外方からの押圧力を直接付与する操作部31と、この操作部31と一体連結されたノズル32とを備えている。操作部31は、天板部33と、この天板部33の外縁より垂下し、吐出ヘッド30の外周輪郭を形成する円筒状の外筒部34と、この外筒部34と同心配置であって、外筒部34よりも内側で、天板部33の下面から垂下する内筒部35と、を備える。ノズル32は、操作部31の内筒部35の中空部と連通し、容器100内の内容物を外方に吐出する吐出口36を備えている。
吐出ヘッド30の押し込み及び復元の際に、内筒部35は、キャップ10のガイド筒部14の内側の開口11内を移動し、外筒部34は、ガイド筒部14の外側を移動する。外筒部34の下端は、嵌着された防水リング37により構成されており、防水リング37の下端部には、後述するストッパー部材としての筒部材40における揺動部41が揺動した際に、揺動部41の上端を受ける第1受け部34aが形成されている。この第1受け部34aには、揺動部41の上端の径方向外側への移動を規制する段差部が形成されている。なお、本実施形態の外筒部34の下端は、防水リング37により構成されているが、これに限られるものではなく、防水リング37を有さない外筒部としてもよく、防水リング37を有さない外筒部の下端部に、揺動部41の上端を受ける第1受け部を形成するようにしてもよい。
また、上述したように、内筒部35の下端部にはステム23の筒状本体23aが嵌合されており、筒状本体23aの外周壁のうちと、内筒部35の内周壁との間には、上述した空気用ピストン24の筒状弁部24aの上端部が介在するように配置されていると共に、空気路Pが形成されている。
ストッパー部材としての筒部材40は、キャップ10に装着されている状態で、吐出ヘッド30と係合して吐出ヘッド30の押し込み動作を規制する第1の姿勢と、吐出ヘッドの押し込み及び復元動作を規制しない第2の姿勢との間で変形可能である。そして本実施形態の筒部材40は、キャップ10のガイド筒部14の周囲を取り囲んで配置されており、その一部に、キャップ10に装着されている状態で揺動可能な揺動部41が形成されている。揺動部41は、筒部材40の周壁の一部を構成すると共に、筒部材40の周方向両端に設けられた連結部42のみで周壁と連結されている。具体的に、揺動部41は、筒部材40の周方向に沿った円弧状の横断面を有する揺動片であり、その上下方向両端は筒部材40とは連結されておらず、周方向両端の上下方向の略中央の位置でのみ、連結部42を介して筒部材40と連結されている。したがって、揺動部41は、周方向両端それぞれに位置する連結部42間を中心軸線として、上端を含む上端部及び下端を含む下端部が、径方向へ揺動することができる。
したがって、揺動部41の下端部を径方向内側に押し、ガイド筒部14の外壁に形成された凹部16内に押し込むことにより(図2(a)の「ロック」と記載した白抜き矢印参照)、揺動部41の上端部は径方向外側に移動する。つまり、ストッパー部材としての筒部材40の第1の姿勢では、揺動部41の上端と、吐出ヘッド30の外筒部34の下端を構成する防止リング37の下端とが係合し、吐出ヘッド30の下方への押し込み動作を規制する。なお、本実施形態の第2の姿勢とは、揺動部41の上端部及び下端部が共に径方向において同位置にある状態、すなわち、上端部及び下端部がいずれも径方向内側や外側に突出していない状態をいう。第2の姿勢において、揺動部41の上端は、外筒部34の下端の下方に位置しないため、吐出ヘッド30の押し込み動作は揺動部41の上端により規制されることはない。上述した第1の姿勢から第2の姿勢へと変形させる際には、揺動部41の上端部を径方向内側に押し込む(図2(a)の「オープン」と記載した上側の白抜き矢印参照)。
ストッパー部材をこのような構成とすることにより、ユーザーによりストッパー部材の処分や紛失を防ぐと共に、装着した状態のまま、押し込み動作を規制するロック状態(第1の姿勢)とオープン状態(第2の姿勢)とを容易に切り替えることができる。更に、第1の姿勢では、揺動部41の上端が径方向の外側に突出した状態となるため、ユーザーが直観的にロック状態であることを認識することができる。
また、第1の姿勢において、揺動部41の上端は、吐出ヘッド30の外筒部34の下端部に形成された第1受け部34aと係合し、揺動部41の下端は、キャップ10のガイド筒部14の外壁に形成された第2受け部17と係合する。この第1の姿勢において、揺動部41は、第1受け部34aと第2受け部17とにより挟み込まれ、姿勢が維持される。更に、揺動部41の上端は、第1受け部34aにおける段差部により、径方向外側への移動が規制されている。また、上述したように、揺動部41の下端は突起部により構成されており、第2受け部17は、揺動部41の下端を構成する突起部と嵌合する窪み部で構成されている。そのため、筒部材40の第1の姿勢では、突起部と窪み部とが嵌合した状態となるため、連結部42の復元力等によって、意図せずに、筒部材40が第1の姿勢から第2の姿勢へと変形してしまうことを一層抑制することができる。更に、ユーザーは、突起部を窪み部に嵌合させる際に、セット感(クリック感)を感じることができるため、第1の姿勢への変形が完了したことを確実にユーザーに認識させることができ、ユーザーによる誤操作を抑制することができる。
更に、図2(b)に示すように、本実施形態では、筒部材40とガイド筒部14との間に、筒部材40がガイド筒部14の周方向に移動しないように嵌合する凹凸部が設けられている。具体的に、本実施形態の凹凸部は、筒部材40の内壁に形成された縦リブ43と、ガイド筒部14の外壁に形成された、縦リブ43と嵌合する縦溝18と、で構成されている。このような構成とすることにより、ガイド筒部14の周方向における凹部16の位置と、筒部材40の周方向における揺動部41の位置とを合わせた状態で両者を位置決めすることができ、揺動部41を揺動可能な状態に維持することができる。
次に、本発明に係るポンプ式注出器としての別の実施形態について説明する。図3は、本発明に係るポンプ式注出器の1つの実施形態としてのフォーマーポンプ51について、第2の姿勢の状態であるストッパー部材の近傍のみを断面で示した側面図である。図4(a)は、図3において断面で示した部分を拡大した拡大図であり、図4(b)は図4(a)のII−II断面図である。図5(a)は、図4(a)において示した第2の姿勢の状態であるストッパー部材を第1の姿勢へと変形させた状態を示す図であり、図5(b)は図5(a)のIII−III断面図である。なお、図5(b)における二点鎖線は、理解を容易にするため、第1の姿勢における揺動部41全体の上面図の外側輪郭を表したものである。
本実施形態のフォーマーポンプ51は、上述したフォーマーポンプ1と比較して、ストッパー部材を第1の姿勢と第2の姿勢との間で変形させる機構が異なっており、その他の構成は共通している。より具体的に、本実施形態のフォーマーポンプ51は、上述したフォーマーポンプ1と比較して、キャップのガイド筒部の構成、及びストッパー部材としての筒部材の構成が異なっている。ここでは相違する点について主に説明し、共通する点については説明を省略する。
本実施形態のストッパー部材としての筒部材60は、キャップ10のガイド筒部70の周方向に移動可能に装着されている。また、図4(b)、図5(b)に示すように、ガイド筒部70の外壁には、ガイド筒部70の周方向に進むにつれて、ガイド筒部70の中心からの半径が漸増又は漸減する半径変動部80が設けられている。
筒部材60には、上述した筒部材40と同様の揺動部41が形成されており、本実施形態では、筒部材60をガイド筒部70の周方向に移動し、半径変動部80に対する揺動部41の位置を移動させて、揺動部41の揺動状態を変化させることにより、筒部材60を第1の姿勢と第2の姿勢との間で変形させることができる。
具体的には、図4及び図5に示すように、ガイド筒部70の外壁には、揺動部41の上端が径方向外側に突出すると共に、揺動部41の下端が径方向内側に突出した状態(筒部材60が第1の姿勢)で、揺動部41の姿勢を保持する第1保持部71と、ガイド筒部70の周方向において第1保持部71とは異なる位置に形成され、揺動部41の上端及び下端が共に径方向内側及び外側に突出しない状態(筒部材60が第2の姿勢)で、揺動部41の姿勢を保持する第2保持部72と、周方向において第1保持部71と第2保持部72とを繋ぐ中間部73と、周方向において、中間部73とは反対側の位置で第1保持部及び第2保持部72の少なくとも一方と連続すると共に、頂部の位置での最大半径が第1保持部71及び第2保持部72における最大半径と等しい又はそれよりも大きくなるように径方向外側に突出し、筒部材60をガイド筒部70の周囲に回転させる際に筒部材60の内壁と摺動する突出部74と、が形成されている。なお、本実施形態では、図4(b)、図5(b)に示すように、周方向において、中間部73とは反対側の位置で第1保持部と連続する突出部と、中間部73とは反対側の位置で第2保持部72と連続する突出部との2つ突出部74が形成されている。
図4(a)に示すガイド筒部70の外壁は、第2保持部72を示すものである。図4(a)に示すように、第2保持部72は、筒部材60の連結部42よりも上側に位置する部分が、筒部材60の連結部42よりも下側に位置する部分よりも、径方向外側に突出していない。従って、ガイド筒部70の周方向において揺動部41と第2保持部72とが同じ位置にある状態では、第2保持部72が、揺動部41の上端を径方向外側及び揺動部41の下端を径方向内側に揺動させるような押圧力を付与しないため、筒部材60は第2の姿勢となる。
これに対して、図5(a)に示すガイド筒部70の外壁は、第1保持部71を示すものである。図5(a)に示すように、第1保持部71は、筒部材60の連結部42よりも上側に位置する部分が、筒部材60の連結部42よりも下側に位置する部分よりも、径方向外側に突出している。そのため、ガイド筒部70の周方向において揺動部41と第1保持部71とが同じ位置にある状態では、第1保持部71が、揺動部41の上端を径方向外側及び揺動部41の下端を径方向内側に揺動させるような押圧力を付与することになるため、第1保持部71の形状に沿って揺動部41は揺動し、筒部材60は第1の姿勢となる。なお、筒部材60が第1の姿勢の状態では、揺動部41の上端が外筒部34の下端に形成された第1受け部34aと係合し、揺動部41の下端がガイド筒部70の外壁の第1保持部71に形成された第2受け部75と係合する。なお、上述したフォーマーポンプ1と同様に、揺動部41の下端を突起部で構成すると共に、第2受け部75をこの突起部と嵌合する窪み部で構成し、突起部と窪み部とを嵌合させることにより、揺動部41の下端と第2受け部75とを係合するようにしてもよい。
このように、筒部材60をガイド筒部70に対して周方向に移動(回転)し、揺動部41に対する第1保持部71及び第2保持部72の位置を変動させ、揺動部41の周方向位置をガイド筒部70の外壁に形成された第1保持部71又は第2保持部72の位置に合わせることにより、筒部材60を、第1の姿勢と第2の姿勢との間で変形させることができる。なお、筒部材60のガイド筒部70に対する回転は、通常、筒部材60をガイド筒部70に対して回転させるが、第1の姿勢と第2の姿勢との間の変形は一方を他方に対して相対的に回転させればよく、ガイド筒部70を筒部材60に対して回転させるような動作であってもよい。
また、本実施形態の中間部73は、図4(b)、図5(b)に示すような、第1保持部71、第2保持部72及び中間部73を含む断面(連結部42の位置を除く、連結部42よりも上側及び下側の位置での断面)において、周方向に進むにつれてガイド筒部70の中心からの半径が漸増又は漸減する半径変動部80で構成されている。具体的には、連結部42よりも下側の位置での断面では、周方向において第1保持部71から第2保持部72に向かって半径は漸増し、第2保持部72から第1保持部71に向かって半径は漸減する。また、連結部42よりも上側の位置での断面では、周方向において第1保持部71から第2保持部72に向かって半径は漸減し、第2保持部72から第1保持部71に向かって半径は漸増する。
このように、周方向に進むにつれて半径が漸増又は漸減する半径変動部80を設け、筒部材60の揺動部41を半径変動部80に沿ってガイド筒部70の周方向に移動させて、ガイド筒部70の周方向における揺動部41の位置を、第1保持部71の位置と第2保持部72の位置との間で変動させるようにすれば、筒部材60の第1の姿勢と第2の姿勢との間の変形操作を、筒部材60の回転動作のみでスムーズに行うような構成とすることができる。
なお、本実施形態では、第1保持部71及び第2保持部72においても、第1保持部71、第2保持部72及び中間部73を含む断面(連結部42の位置を除く、連結部42よりも上側及び下側の位置での断面)において、中間部73から連続して、周方向に進むにつれてガイド筒部の中心からの半径が漸増又は漸減する構成とされているが、この構成に限られるものではなく、例えば、第1保持部及び第2保持部それぞれにおいては、周方向の位置に限らず半径が等しい構成としてもよく、筒部材の揺動部の形状や大きさ等に応じて適宜変更することができる。
また、突出部74は、その頂部が上下方向(中心軸方向)及び周方向の位置によらず一定の半径を有する曲面により構成されており、この頂部を構成する曲面が、筒部材60をガイド筒部70の周囲に回転させる際に、筒部材60の内壁と摺動して、筒部材60のガイド筒部70に対する回転軌跡を一定に保持する。そのため、筒部材60を回転させる際の第1保持部71、第2保持部72及び中間部73それぞれの揺動部41との係合関係は、突出部74により一定化される。
また、図4、図5に示すように、本実施形態では、第1保持部71及び第2保持部72における最大半径は、突出部74の曲面の半径と等しい(図4(a)、図5(a)参照)。更に、筒部材60の内壁のうち揺動部41の内壁は、筒部材60の内壁のその他の部分よりも径方向内側に位置している。換言すれば、筒部材60の内壁は、揺動部41の位置で径方向内側に突出している。したがって、筒部材60を第1の姿勢と第2の姿勢との間で変形させるために筒部材60を回転させる際に、揺動部41の周方向側面は、突出部74の側面(第2保持部72の周方向端部から径方向に起立している面)に突き当たり、変形が完了する。このような構成とすることにより、ユーザーが筒部材60をガイド部材70に対して過剰に回転させることが抑制されると共に、第1の姿勢と第2の姿勢との間での変形の完了をユーザーが容易に認識することができる。
なお、本実施形態のフォーマーポンプ1は、一方向に回転させて第1の姿勢から第2の姿勢に変形させ、逆方向に回転させて第2の姿勢から第1の姿勢にさせる構成であるが、この構成に限られるものではなく、筒部材を常に一方向に回転させる動作のみで第1の姿勢と第2の姿勢とを切り替え可能なように、筒部材及びガイド筒部を構成することもできる。
本発明に係るポンプ式注出器は、上述した実施形態で特定された構成に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。例えば、上述した実施形態では、ポンプ式注出器としてフォーマーポンプを示しているが、吐出ヘッドの押し込み及び復元の繰り返しによりポンプを駆動させるポンプ式注出器であればよく、例えば、容器内の液体の内容物を汲み上げて発泡させることなくそのまま吐出するようなポンプ式注出器であってもよい。また、上述した実施形態では、ストッパー部材としての筒部材40、60に対して揺動部41を一体で成形しているが、別体の揺動部を筒部材に装着する構成としてもよい。更に、上述した実施形態における揺動部41は、上下方向の上端部及び下端部が、筒部材40、60の径方向に揺動する構成であるが、これに限られるものではなく、例えば、揺動部のうち筒部材の周方向における両端部が筒部材の周方向における中央部に対して筒部材の径方向に揺動する構成や、揺動部のうち筒部材の周方向における一端部が、他端部に対して筒部材の径方向に揺動する構成としてもよい。