JP6355184B1 - 精製マグネシウム塩の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高純度のマグネシウム塩を低コストで安定的に製造できる方法を提供する。【解決手段】不溶性マグネシウム化合物系原料と塩化水素を反応させるに際し、前記原料中に含まれるMg2+イオン1モルに対して2nモル(但し、nは0.00<n≦0.98を満たす。)の塩化水素を反応させることにより反応生成物を得る反応工程を含むことを特徴とする高純度マグネシウム塩の製造方法に係る。【選択図】なし

Description

本発明は、精製マグネシウム塩の製造方法に関する。
マグネシウムは、鉱物又は海水に多く含まれる元素であり、動植物にとって必須ミネラルであることから食品、医薬品、飼料、肥料等の幅広い用途で使用されている。その中でも塩化マグネシウムは、補ミネラル剤、豆腐の凝固剤等の食品分野のほか、人工腎臓用透析剤等の医薬品分野において、代表的なマグネシウム塩として日常生活に欠かせない化合物であり、特に人工腎臓用透析剤用途への塩化マグネシウム需要比率は目立って大きい。
高齢者人口、糖尿病患者の増加等により、世界中で透析患者が急増しており、2030年の透析人口は540万人とも言われている。透析患者は週3〜4回の人工透析により生命維持をしており、大量に且つ安定的に透析剤を市場に供給することが製薬会社にとっての社会的責任である。ただし、塩化マグネシウムを医薬品用途に使用する場合は、塩化マグネシウム6水和物結晶に対して、表1に示すように日本薬局方外医薬品規格(略称:局外規)、United States Pharmacopeia(略称:USP)及びEuropean Pharmacopoeia(略称:EP)の三極公定書規格に厳しい純度要求が収載されている。
Figure 0006355184
医薬品用途等を目的とする場合は、相応の高純度の塩化マグネシウムを製造する必要がある。このような塩化マグネシウムの製造方法としては、原料の種類から以下の3つの方法に分類されるのが一般的である。
(1)金属マグネシウムを出発原料とし、塩素と反応させる方法
実際は、金属マグネシウムは高価であるため、下記式のようにスポンジチタン製造工程の副産物として得られた無水塩化マグネシウムがチタンメーカーより市販されている
TiCl+2Mg→Ti+2MgCl
この製法で製造された塩化マグネシウムは、出発原料の純度が高いので、特段の精製工程を経ることなく、溶解及びろ過後の再結晶だけで医薬品用途の純度を満たすことができる。
(2)海水から回収する方法
最も良く知られている方法であり、海水からイオン交換により食塩を採取する過程の副産物として塩化マグネシウム水和物(にがり(苦汁))を得る。主に豆腐凝固剤等の食品添加物、土壌肥料等の用途で使用されることが多い。純度が高いものは水溶液を煮詰めて塩化マグネシウムよりも溶解度の小さい不純物を先に析出させてこれを除去する方法が知られている。
(3)水酸化マグネシウム及び炭酸マグネシウム(天然鉱石のマグネサイトも多く使用される)を塩酸又は塩化水素ガスと反応させる方法
天然鉱石を除けば、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウムは合成される際に、海水由来の不純物の大半を取り込まずに得られる(既に精製工程を経ている)。また、副塩が水又は二酸化炭素ガスとして空気中に離脱するので、この方法では比較的純度の高い塩化マグネシウムが得られる。このため、当然ながら塩化マグネシウムの純度は、出発原料の純度に左右されることになる。類似する方法として、アルカリ金属の塩化物又はアルカリ土類金属の塩化物の溶融塩を原料として用いる方法(特許文献1)等が知られている。
(4)その他の方法
例えば塩化マグネシウム水溶液を原料として塩基性塩化マグネシウムを製造する方法(特許文献2)等が知られている。
特開平2−243510 特開平9−221318
前記(1)の方法は、高純度品が確実に得られる点において有利ではあるが高価な材料であり、使用できる用途が限定される。すなわち、大量の需要が要求される人工腎臓用透析剤用途においては、医療費削減の情勢に反することから好まれない材料選定である。従って、前述スポンジチタン製造工程の副産物として市販される無水塩化マグネシウムを出発原料とする塩化マグネシウムの製造方法が、医薬品用途に要求される品質を満足させるためには、現状で最も効率が良く、実際にも国内市場の多くを占めている。
しかしながら、現在スポンジチタンの製造は中国、ロシア、カザフスタン及びアメリカが大半であり、日本国内での製造は数社のみであるため、輸入品に頼る割合が高くなる。すなわち、国際情勢、為替変動等の影響を受けやすい。また、何よりも副産物であることが前提であるためにチタン産業の景気動向にも左右される。これらは、いずれも製薬会社の重要責任である「安定供給」に対する不安要因となる。今後、透析患者が増加する背景を鑑み、医薬品の製造現場からは、安定供給可能であり、安価であり、なおかつ、医薬品用途の規格も満たせる代替製造方法の開発が強く望まれている。
前記(2)の方法で得られたにがりは塩化マグネシウムが大部分であるが、ナトリウム、カリウム、カルシウム、硫酸塩、臭化物等の不純物も多く含まれている。さらに純度を高めるために煮詰めを行うことにより、塩化マグネシウムよりも溶解度の小さい塩化ナトリウム、塩化カリウム等が先に析出し、さらにカルシウムイオン、硫酸イオンは硫酸カルシウムとして析出し、これを除去することで高純度の塩化マグネシウムが得られることは良く知られている。
しかしながら、煮詰め法にも精製限度があり、煮詰めた水溶液側の少量の水に溶けている飽和分の塩化ナトリウム、塩化カリウム及び硫酸カルシウム(硫酸カルシウムは少量だが水に溶ける)だけはどうしても除去しきれず、また臭化マグネシウムは塩化マグネシウムよりも溶解度が高いため析出除去自体が難しい。従って、本製造方法ではある程度の高純度化は見込めるものの、表1のような規格に合格させるためには確実性に欠ける。
前記(3)の方法では、水酸化マグネシウム及び炭酸マグネシウムが原料として用いられるが、日本国内で市販されている水酸化マグネシウム及び炭酸マグネシウムの大半は、海水−石灰法による。すなわち、下記反応式:
MgCl+Ca(OH)→Mg(OH)+CaCl
によって、水酸化マグネシウムが合成される。炭酸マグネシウムの製造は、この水酸化マグネシウムに二酸化炭素を吹き込むことによって製造される。大規模工場では、石灰石から生石灰への焼成工程で発生する二酸化炭素を有効利用し、コスト削減を図っているが、不純物の傾向は炭酸マグネシウムも水酸化マグネシウムも大きく変わらない。
海水−石灰法による水酸化マグネシウム及び炭酸マグネシウムを原料として使用する場合、不純物の大半はカルシウム及び硫酸塩が占めることになる。これらを出発原料として塩化マグネシウムを製造した場合には、マグネシウム重量に対し、約3000〜15000重量ppm相当のカルシウムと10000〜50000重量ppm相当の硫酸塩が不純物として共存することとなる。
これらを原料として塩酸と反応させて塩化マグネシウム溶液を得る場合、再結晶を行うことにより母液側にこれらの不純物は移行するが、固液分離の際、結晶の完全脱水は難しく、回収結晶重量に対して1〜2割程度は母液が付着するため、精製を行うことなく、表1の厳しい規格(局外規の場合:カルシウム100重量ppm以下、硫酸塩50重量ppm以下(マグネシウム重量に対する割合はカルシウム840重量ppm以下、硫酸塩420重量ppm以下))を満たすことは難しい。
また、石灰石由来の不純物としては、鉄、アルミニウム、ケイ素及びその他微量金属が含まれる。このうち重金属、ヒ素等の有害微量金属不純物は出発原料の時点で既に許容範囲内となっており、ケイ素は塩酸との反応でも溶出しないため、ろ過により除去できる。ところが、鉄、アルミニウムは、塩酸反応の際に塩化鉄、塩化アルミニウム等として溶出し、純度が悪い原料を使用した場合、表1の規格への対応が難しい。
他方、にがり−石灰法も良く知られた水酸化マグネシウムの製造方法である。にがりは海水から食塩を取った後の塩化マグネシウムを主成分とする水溶液であり、化学反応式は海水−石灰法と同じであるが、生成した水酸化マグネシウム中における硫酸塩不純物残存量が比較的少ないという特徴がある。しかし、にがり−石灰法でも、カルシウム不純物は残存しやすく、これを出発物質に塩化マグネシウムを合成した場合は、必然的にカルシウム不純物が残存する。
また、にがり−石灰法において石灰の添加量を抑え、あるいは石灰の替わりに苛性アルカリ又はアンモニア水を添加して得られた水酸化マグネシウムは、不純物であるカルシウム及び硫酸塩ともに少なくすることはできるが、原料コストが高くなる。
前記(4)の方法では、前記(3)と同じように出発原料の純度に依存し、塩基性塩化マグネシウム(Mg(OH)Cl・4HO)は製造できるものの、医薬品用途等で使用される塩化マグネシウム6水和物(MgCl・6HO)とは物質が異なるため、高純度のマグネシウム塩を製造するためにはさらなる改良が必要である。
従って、本発明の主な目的は、高純度のマグネシウム塩を低コストで安定的に製造できる方法を提供することにある。
本発明者らは、従来技術の問題点に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、特定の工程を含む製造方法が上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記の精製マグネシウム塩の製造方法に係る。
1. 塩化マグネシウム水溶液を製造する方法であって、
(1)不溶性マグネシウム化合物系原料と塩化水素を反応させるに際し、前記原料中に含まれるMg2+イオン1モルに対して2nモル(但し、nは0.00<n≦0.98を満たす。)の塩化水素を反応させることにより反応生成物を得る反応工程、
(2)反応系中に存在する不溶性マグネシウム化合物を含むスラッジを除去することにより塩化マグネシウム水溶液を得る分離工程
を含むことを特徴とする塩化マグネシウム水溶液の製造方法。
2. 塩化マグネシウム水溶液に含まれるマグネシウム重量(Mgとしての重量)に対し、鉄重量(Feとしての重量)の割合が10ppm以下であり、アルミニウム重量(Alとしての重量)の割合が100ppm以下である、前記項1に記載の製造方法。
3. 前記nが0.50≦n≦0.98である、前記項1に記載の製造方法。
4. 不溶性マグネシウム化合物系原料中に含まれるマグネシウム含有量(Mgとしての含有量)が24〜60重量%(乾燥物換算)である、前記項1に記載の製造方法。
5. 不溶性マグネシウム化合物系原料は、当該原料中に含まれるマグネシウム重量(Mgとしての重量)に対し、鉄重量(Feとしての重量)の割合が160ppm以上であり、アルミニウム重量(Alとしての重量)の割合が160ppm以上である、前記項1に記載の製造方法。
6. 不溶性マグネシウム化合物系原料中に含まれるマグネシウム重量(Mgとしての重量)に対し、カルシウム重量(Caとして)の割合が含有量2000重量ppm以下、硫酸塩重量(SOとして)の割合が含有量2000重量ppm以下である、前記項5に記載の製造方法。
7. 塩化マグネシウム水溶液の濃度が10重量%以上である、前記項1に記載の製造方法。
8. 反応工程に先立って、不溶性マグネシウム化合物系原料の水洗処理を含む洗浄工程をさらに含む、前記項1に記載の製造方法。
9. 洗浄工程は、
(a)不溶性マグネシウム化合物系原料の水懸濁液を調製し、当該水懸濁液を固液分離する工程を含む第1工程、
(b)第1工程を経た不溶性マグネシウム化合物系原料の水懸濁液を調製し、当該水懸濁液がpH12〜14となるまでアルカリを添加及び混合し、加熱した後に固液分離して得られた固形分を水で洗浄する工程を含む第2工程
を含む、前記項8に記載の製造方法。
10. 洗浄工程を経た後の不溶性マグネシウム化合物系原料は、当該原料中に含まれるマグネシウム重量(Mgとしての重量)に対し、カルシウム重量(Caとしての重量)の割合が2000ppm以下であり、硫酸塩重量(SOとしての重量)の割合が2000ppm以下である、前記項8又は9に記載の製造方法。
11. 洗浄工程を経る前の不溶性マグネシウム化合物系原料は、当該原料中に含まれるマグネシウム重量(Mgとしての重量)に対し、鉄重量(Feとしての重量)の割合が160ppm以上、アルミニウム重量(Alとしての重量)の割合が160ppm以上、カルシウム重量(Caとしての重量)の割合が3000ppm以上であり、硫酸塩重量(SOとしての重量)の割合が10000ppm以上である、前記項8又は9に記載の製造方法。
12. 反応工程において、液相中に塩化アルミニウムを添加する工程をさらに含む、前記項1に記載の製造方法。
13. 高純度塩化マグネシウムを製造する方法であって、
(1)不溶性マグネシウム化合物系原料と塩化水素を反応させるに際し、前記原料中に含まれるMg2+イオン1モルに対して2nモル(但し、nは0.00<n≦0.98を満たす。)の塩化水素を反応させることにより反応生成物を得る反応工程、
(2)反応系中に存在する不溶性マグネシウム化合物を含むスラッジを除去することにより塩化マグネシウム水溶液を得る分離工程、
(3)前記水溶液から塩化マグネシウムを再結晶化させる再結晶化工程
を含むことを特徴とする高純度塩化マグネシウムの製造方法。
14. 再結晶化工程において、塩化マグネシウム水溶液を濃縮し、再結晶化させる、前記項13に記載の製造方法。
15. 塩化マグネシウム水溶液に含まれるマグネシウム重量(Mgとしての重量)に対し、鉄重量(Feとしての重量)の割合が10ppm以下であり、アルミニウム重量(Alとしての重量)の割合が50ppm以下である、前記項13に記載の製造方法。
16. 前記nが0.50≦n≦0.98である、前記項13に記載の製造方法。
17. 不溶性マグネシウム化合物系原料中に含まれるマグネシウム含有量(Mgとしての含有量)が24〜60重量%(乾燥物換算)である、前記項13に記載の製造方法。
18. 不溶性マグネシウム化合物系原料は、当該原料中に含まれるマグネシウム重量(Mgとしての重量)に対し、鉄重量(Feとしての重量)の割合が160ppm以上であり、アルミニウム重量(Alとしての重量)の割合が160ppm以上である、前記項13に記載の製造方法。
19. 不溶性マグネシウム化合物系原料中に含まれるマグネシウム重量(Mgとしての重量)に対し、カルシウム重量(Caとして)の割合が含有量2000重量ppm以下、硫酸塩重量(SOとして)の割合が含有量2000重量ppm以下である、前記項18に記載の製造方法。
20. 塩化マグネシウム水溶液の濃度が10重量%以上である、前記項13に記載の製造方法。
21. 反応工程に先立って、不溶性マグネシウム化合物系原料の水洗処理を含む洗浄工程をさらに含む、前記項13に記載の製造方法。
22. 洗浄工程は、
(a)不溶性マグネシウム化合物系原料の水懸濁液を調製し、当該水懸濁液を固液分離する工程を含む第1工程、
(b)第1工程を経た不溶性マグネシウム化合物系原料の水懸濁液を調製し、当該水懸濁液がpH12〜14となるまでアルカリを添加及び混合し、加熱した後に固液分離して得られた固形分を水で洗浄する工程を含む第2工程
を含む、前記項21に記載の製造方法。
23. 洗浄工程を経た後の不溶性マグネシウム化合物系原料は、当該原料中に含まれるマグネシウム重量(Mgとしての重量)に対し、カルシウム重量(Caとしての重量)の割合が2000ppm以下であり、硫酸塩重量(SOとしての重量)の割合が2000ppm以下である、前記項21又は22に記載の製造方法。
24. 洗浄工程を経る前の不溶性マグネシウム化合物系原料は、当該原料中に含まれるマグネシウム重量(Mgとしての重量)に対し、鉄重量(Feとしての重量)の割合が160ppm以上であり、アルミニウム重量(Alとしての重量)の割合が160ppm以上であり、カルシウム重量(Caとしての重量)の割合が3000ppm以上であり、硫酸塩重量(SOとしての重量)の割合が10000ppm以上である、前記項21又は22に記載の製造方法。
25. 反応工程において、液相中に塩化アルミニウムを添加する工程をさらに含む、前記項13に記載の製造方法。
26. 高純度塩化マグネシウムを製造する方法であって、
(A)マグネシウム含有量(Mgとしての含有量)が24〜60重量%(乾燥物換算)であり、マグネシウム重量(Mgとしての重量)に対し、鉄重量(Feとしての重量)の割合が160ppm以上であり、アルミニウム重量(Alとしての重量)の割合が160ppm以上であり、カルシウム重量(Caとしての重量)の割合が3000ppm以上であり、硫酸塩重量(SOとしての重量)の割合が10000ppm以上である不溶性マグネシウム化合物系原料の水懸濁液を調製し、当該水懸濁液を固液分離する工程を含む水洗工程、
(B)水洗工程を経た不溶性マグネシウム化合物系原料の水懸濁液を調製し、当該水懸濁液がpH12〜14となるまでアルカリを添加及び混合し、加熱した後に固液分離する工程を含むアルカリ洗浄工程
(C)マグネシウム重量(Mgとしての重量)に対し、カルシウム重量(Caとしての重量)の割合が2000ppm以下であり、硫酸塩重量(SOとしての重量)の割合が2000ppm以下であるアルカリ洗浄工程を経た不溶性マグネシウム化合物系原料と塩化水素を反応させるに際し、前記原料中に含まれるMg2+イオン1モルに対して2nモル(但し、nは0.00<n≦0.98を満たす。)の塩化水素を反応させることにより反応生成物を得る反応工程、
(D)反応系中に存在する不溶性マグネシウム化合物を含むスラッジを除去することによりマグネシウム重量(Mgとしての重量)に対し、鉄重量(Feとしての重量)の割合が10ppm以下であり、アルミニウム重量(Alとしての重量)の割合が100ppm以下である塩化マグネシウム水溶液を得る分離工程、
(E)前記水溶液から塩化マグネシウムを再結晶化させる工程
を含むことを特徴とする高純度塩化マグネシウムの製造方法。
本発明によれば、高純度のマグネシウム塩を低コストで安定的に製造できる方法を提供することができる。
特に、反応工程において、不溶性マグネシウム化合物系原料中の不溶性マグネシウム化合物の全量を反応させるのではなく、未反応の不溶性マグネシウム化合物が反応系に僅かに残存させるように反応させるので、原料中に含まれる不純物を未反応の不溶性マグネシウム化合物とともに固形分として残存させ、溶液中への溶出を効果的に抑制することができる。その結果、高い純度の塩化マグネシウム水溶液、ひいては高い純度の塩化マグネシウム結晶を製造することが可能となる。
本発明の塩化マグネシウム水溶液及び塩化マグネシウムの製造方法の一例を示すフローチャートである。
1.塩化マグネシウム水溶液の製造方法
本発明の塩化マグネシウム水溶液の製造方法(第1方法)は、
(1)不溶性マグネシウム化合物系原料と塩化水素を反応させるに際し、前記原料中に含まれるMg2+イオン1モルに対して2nモル(但し、nは0.00<n≦0.98を満たす。)の塩化水素を反応させることにより反応生成物を得る反応工程、
(2)反応系中に存在する不溶性マグネシウム化合物を含むスラッジを除去することにより塩化マグネシウム水溶液を得る分離工程
を含むことを特徴とする。
不溶性マグネシウム化合物系原料
第1方法で用いる不溶性マグネシウム化合物系原料自体は、特に限定されず、公知又は市販のものを使用することもできる。また、公知の製造方法で得られたものを使用することもできる。
不溶性マグネシウム化合物の種類としては、水に難溶性ないしは不溶性(通常は水に対する溶解度(20℃)が1g/30mL以下)の化合物を使用することができる。例えば、酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、正炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等のほか、ケイ酸マグネシウム、鉱石としてマグネサイト、フォルステライト等が挙げられる。この中でも、コスト面、入手の容易さ等の観点から、酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の少なくとも1種を用いることができる。
不溶性マグネシウム化合物系原料のマグネシウム含有量は、特に限定されないが、通常はMgの含有量として乾燥物換算で24〜60重量%とし、好ましくは40〜60重量%とし、より好ましくは54〜59重量%とする。このような範囲の原料を用いることによって、より低コストでより効果的な精製効果が得られる。従って、このような含有量を満たすためには、不溶性マグネシウム化合物として酸化マグネシウム又はそれを含む混合物を用いることが好ましい。
不溶性マグネシウム化合物系原料においては、上記のような不溶性マグネシウム化合物のほか、他の不純物が含まれている。すなわち、本発明では、粗原料としての不溶性マグネシウム化合物系原料を用いることにより、安価な原料を用いても高純度の塩化マグネシウム水溶液及び塩化マグネシウム(結晶)を得ることができる。
このような粗原料としては、入手の容易さ、コスト面等の見地より、例えば海水−石灰法による水酸化マグネシウム、あるいはその水酸化マグネシウムに炭酸イオン又は炭酸ガスと反応させて得られる炭酸マグネシウムを不溶性マグネシウム化合物として含む不溶性マグネシウム化合物系原料を好適に用いることができる。さらに、前記の水酸化マグネシウム及び炭酸マグネシウムから得られた酸化マグネシウムも好適に用いることができる。
上記のような海水−石灰法による不溶性マグネシウム化合物系原料(以下「海水−石灰法由来原料」ともいう。)は、主な不純物としてa)水酸化カルシウム及びカルシウム塩、b)硫酸塩、c)アルミニウム、d)鉄、e)ケイ素及びf)その他の微量金属が含まれる。前記のとおり、f)微量金属は出発原料の時点で既に許容範囲内にあり、e)ケイ素は塩酸との反応でも溶出しないためにろ過により除去できる。
従って、海水−石灰法由来原料等において、実質的に除去対象となり得る不純物は、a)水酸化カルシウム及びカルシウム塩、b)硫酸塩、c)アルミニウム及びd)鉄となる。より具体的には、不溶性マグネシウム化合物系原料中のマグネシウム重量(Mgとして)に対する割合が、a)カルシウム(Caとして)含有量3000重量ppm以上、b)硫酸塩(SOとして)含有量10000重量ppm以上、c)アルミニウム(Alとして)含有量160重量ppm以上、d)鉄(Feとして)含有量160重量ppm以上を含む原料を用いることもできる。
なお、上記割合は、Mgの含有量をW(Mg)、Caの含有量をW(Ca)、硫酸塩の含有量をW(SO)、アルミニウムの含有量をW(Al)、鉄の含有量をW(Fe)とすると、それぞれ[W(Ca)/W(Mg)]、[W(SO)/W(Mg)]、[W(Al)/W(Mg)]、[W(Fe)/W(Mg)]の値(重量割合)を示す(以下同じ。)。
他方、出発原料である不溶性マグネシウム化合物系原料に水酸化カルシウム及びカルシウム塩ならびに硫酸塩が含まれる場合は、これらを反応工程により除去することができない。このため、これらが許容値以上含まれる場合等は、水酸化カルシウム及びカルシウム塩ならびに硫酸塩の全含有量の一部又は全部を取り除くために、反応工程前の段階において予め洗浄工程(後記)を行うことが望ましい。
不溶性マグネシウム化合物系原料に含まれるカルシウム成分は、水酸化カルシウムのほか、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム等のようなカルシウム塩のいずれかの形態をとっていると考えられる。このうち、硫酸カルシウム及び水酸化カルシウムは、水に少量溶解するので水洗により比較的除去しやすいが、炭酸カルシウムは水にほとんど溶けない。このため、不溶性マグネシウム化合物として炭酸マグネシウムを用いる場合は、不純物カルシウムの大半が炭酸カルシウムの状態であることが多いため、洗浄除去が困難になる。従って、それ以外の不溶性マグネシウム化合物を用いるか、あるいは使用するとしても少量とすることが好ましい。また、不溶性マグネシウム化合物として水酸化マグネシウムを選定した場合、不純物カルシウムは硫酸カルシウム及び水酸化カルシウムのいずれかであると考えられるが、水酸化マグネシウムを用いた液相はpH10を超える塩基性を示すことから水中溶存及び空気中の二酸化炭素を吸収しやすい状態となり、結局のところ炭酸カルシウムが生成する可能性が高くなるので、その使用量を抑えた方がカルシウム不純物を少なくしやすい。これに対し、酸化マグネシウムは、通常はカルシウム不純物のほとんどが硫酸カルシウムであることが多い。これは、酸化物にするための焼成工程で不純物として含まれる炭酸カルシウムの二酸化炭素が脱離し、酸化カルシウムとなり、遊離したカルシウムイオンが共存する硫酸塩と結びついて硫酸カルシウムとなっていると考えられる。これらの点からみて、不溶性マグネシウム化合物系原料としては、カルシウムが除去しやすい形態となっている酸化マグネシウム系原料又はそれを含む混合物からなる原料を用いることが好ましい。
但し、酸化マグネシウムは、一般的に水酸化マグネシウムよりも原料コストが高いため、コストを優先する場合には水酸化マグネシウムを併用することもできる。この場合、酸化マグネシウムの配合比が高い程カルシウムの除去効果が高い。ここで、酸化マグネシウムの配合比が高いほど、マグネシウム含量は高くなる(例えば、後記の実施例12〜13)。例えば水酸化マグネシウムの乾燥物含量が97重量%であれば、マグネシウム含量は97重量%×(24.3(マグネシウムの原子量)/58.3(水酸化マグネシウムの式量))=約40重量%となる。一方、酸化マグネシウムの乾燥物含量が99重量%であれば99重量%×(24.3(マグネシウムの原子量)/40.3(酸化マグネシウムの式量))=約60重量%と計算される。特に好ましくは、マグネシウム含量が54重量%程度(すなわち、水酸化マグネシウムが4分の1程度)の配合までが、生成させる塩化マグネシウムの目標純度を考慮した場合の下限値とすることができる。
不溶性マグネシウム化合物系原料の性状(形態)は、特に限定されないが、通常は本発明の製造方法における反応操作上の見地より、粉末状であることが好ましい。また、粉末状の形態で用いる場合、その平均粒径も制限されないが、通常は1〜20μm程度の範囲内で適宜設定することができる。
洗浄工程
本発明では、不溶性マグネシウム化合物系原料を反応工程に供するが、反応工程に先立って予め不溶性マグネシウム化合物系原料に対して洗浄工程を実施することが好ましい。洗浄工程によって、不溶性マグネシウム化合物系原料中に含まれる不純物(特にカルシウム、硫酸塩等)の一部又は全部を除去することができるので、より高純度の水溶液、ひいては高純度塩化マグネシウムをより確実に提供することが可能となる。
洗浄工程としては、上記のような不純物の含有量を低減できる限り、特に限定されないが、通常は不溶性マグネシウム化合物系原料の水洗処理を含む方法を採用すれば良い。
例えば、本発明では、以下のような洗浄工程を実施することが好ましい。
(a)不溶性マグネシウム化合物系原料の水懸濁液を調製し、当該水懸濁液を固液分離する工程を含む第1工程、
(b)第1工程を経た不溶性マグネシウム化合物系原料の水懸濁液を調製し、当該水懸濁液がpH12〜14となるまでアルカリを添加及び混合し、加熱した後に固液分離して得られた固形分を水で洗浄する工程を含む第2工程
を含む洗浄工程を行うことが好ましい。
上記の方法によって、特にカルシウム塩及び硫酸塩の両方をより確実に除去することができる。すなわち、まず第1工程で主にカルシウム塩を先に除去した後に、第2工程でアルカリ存在下にて硫酸塩の加熱可溶化、固液分離後固形分の水洗により硫酸塩を除去するという2段階を含む洗浄工程を実施することが望ましい。
第1工程
第1工程は、不溶性マグネシウム化合物系原料の水懸濁液を調製し、当該水懸濁液を固液分離する工程を含む。第1工程では、主として水可溶性の不純物(例えばカルシウムイオン、硫酸イオン等)を除去することができる。
第1工程では、特に粉末状の不溶性マグネシウム化合物系原料を用い、これを水に分散させることによって水懸濁液を調製することができる。この場合の分散量は、不溶性マグネシウム化合物の種類、粒度等に応じて適宜設定できるが、通常は固形分5〜40重量%程度とすれば良い。例えば、不溶性マグネシウム化合物系原料として酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム及び炭酸マグネシウムのいずれか1つ、あるいは2つ以上を含む混合物、好ましくは酸化マグネシウム単体でマグネシウム含量が乾燥物換算で24〜60重量%となる粉末状固形物又はその水性スラリーを水に分散又は懸濁した後、デカンテーション又はろ過水洗し、水可溶性不純物の一部又は全部を溶出させて除去する。水可溶性不純物の多くはカルシウムイオンと硫酸イオンであるが、この段階では硫酸イオンを完全に除去する必要はないので、水洗液中のカルシウムイオンがほとんど検出されなくなるまで水洗することが好ましい。
水懸濁液は、必要に応じて攪拌等を実施した後、固液分離することにより当該原料を回収する。固液分離の方法自体は、公知の方法に従えば良く、例えば加圧ろ過、減圧濾過、真空ろ過、自然ろ過、遠心ろ過等のような公知の方法を採用することができる。懸濁液中に存在する固体を分離できれば良く、分離の度合いも特に制限されない。例えば、a)シックナーのように半沈降させた上澄み液を連続的に置換させる方法、b)懸濁液に水を加えて希釈しながら、圧力を加えて連続的にろ過する方法等を採用しても良い。この際、例えばフィルタープレス、遠心分離機等の公知又は市販の装置を用いることができる。
第1工程では、必要に応じて前記の水懸濁液の調製と固液分離からなる一連の工程を2回以上繰り返しても良い。また、固液分離によって回収された当該原料(固形分)は、必要に応じてさらに水洗しても良い。
第1工程では、主としてカルシウム及び硫酸塩が除去されるが、不溶性マグネシウム化合物系原料中のマグネシウム重量(Mgとして)に対する割合として、例えばa)カルシウム(Caとして)含有量2500重量ppm以上、b)硫酸塩(SOとして)含有量7000重量ppm以上が除去されることが好ましい。
第1工程を経た原料は、特にカルシウム及び硫酸塩が除去された結果、不溶性マグネシウム化合物系原料中のマグネシウム重量(Mgとして)に対する割合が、例えばa)カルシウム(Caとして)含有量2000重量ppm以下、b)硫酸塩(SOとして)含有量20000重量ppm以下、c)アルミニウム(Alとして)含有量160重量ppm以上、d)鉄(Feとして)含有量160重量ppm以上となっていることが好ましい。
第2工程
第2工程は、前記の第1工程を経た不溶性マグネシウム化合物系原料の水懸濁液を調製し、当該水懸濁液がpH12〜14となるまでアルカリを添加及び混合し、加熱した後に固液分離して得られた固形分を水で洗浄する工程を含む。
本発明では、第2工程として、高アルカリ性下で難溶性硫酸塩を加熱抽出後、水洗除去するという手法をとるが、特に重要な点はカルシウム不純物を十分に除去した後で第2工程を実施することである。すなわち、洗浄工程は、2段階であり、かつ、その順序が重要である。仮にカルシウム不純物の除去を十分に行わずに第2工程を実施した場合、高アルカリ性下で残存カルシウムが水中溶存又は空気中の二酸化炭素を吸収し、不溶性の炭酸カルシウムを生成するためにカルシウム除去が困難になってしまう。このため、第2工程は、あくまで第1工程を経た後の不溶性マグネシウム化合物系原料に対して行うことが必要である。
そこで、第2工程では、第1工程にてカルシウム不純物を十分に除去した後に、さらに硫酸塩を十分に除去するために高アルカリ性下で加熱抽出を行う。第1工程においても硫酸塩の大半を除去することはできるが、これは硫酸カルシウムとして結合している可溶性硫酸塩であり、硫酸塩の一部は難溶性の塩基性硫酸マグネシウムとして残存していると考えられ、表1に示す規格の硫酸塩を合格水準にするためには、これを第2工程で除去することが望ましい。
水懸濁液の調製は、第1工程の場合と同様に実施することができる。そして、得られた水懸濁液に対してアルカリを添加及び混合する。用いるアルカリは、例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、アンモニア、水酸化リチウム、ケイ酸ナトリウム等の各種のアルカリを使用できるが、特に不純物混入の機会を避けるという見地より、また塩化マグネシウムを透析剤用途等に使用できるという見地より、アルカリとして水酸化ナトリウムを用いることが好ましい。また、アルカリは、固形又はその水溶液の形態で添加することができる。
アルカリの添加量は、水懸濁液のpHが12〜14の範囲内となるような添加量であれば良い。すなわち、硫酸塩を充分に除去するためにはpH12〜14(OHとして0.01〜1mol/L相当濃度)の高アルカリ性状態での加熱が必要である。特に、アルカリ濃度は高いほど硫酸塩の除去効果は高くなるものの、原料費、排水中和処理費用、粘性上昇によるマテリアルハンドリング等を考慮すれば、上記pHは12〜13程度とすることが好ましい。
アルカリを添加した後、水懸濁液を加熱する。アルカリ存在下で加熱することによって不溶性硫酸塩が可溶化することができる。加熱温度は、通常は50〜95℃程度とし、好ましくは70〜95℃とすれば良い。また、加熱時間は、加熱温度等に応じて適宜設定できるが、一般的には1〜10時間程度の範囲内とすれば良い。
加熱した後、必要に応じて水懸濁液を冷却した後、固液分離を行うことにより当該原料を回収する。固液分離の方法は、第1工程と同様にすれば良い。また、第2工程では、必要に応じて、回収された当該原料について、水懸濁液の調製、アルカリ添加・混合及び加熱ならびに固液分離からなる一連の工程を2回以上繰り返しても良い。
次いで、上記の固液分離で得られた固形分を水で洗浄する。これにより、特に第2工程で付着していたアルカリを除去することができる。水で洗浄する方法は、公知の方法に従えば良く、例えば水懸濁液を調製して固液分離する方法、ろ紙上に載せた原料に注水する方法等の各種の方法を採用することができる。
反応工程
反応工程では、不溶性マグネシウム化合物系原料と塩化水素を反応させるに際し、前記原料中に含まれるMg2+イオン1モルに対して2nモル(但し、nは0.00<n≦0.98を満たす。)の塩化水素を反応させることにより反応生成物を得る。
本発明では、特に反応工程における塩化水素との反応を経ることにより、特にFe及びAlを効果的に除去することができる。従って、本発明では、反応工程に供する不溶性マグネシウム化合物系原料として、当該原料中に含まれるマグネシウム重量(Mgとしての重量)に対する割合が、鉄重量(Feとしての重量)の割合が160重量ppm以上であり、アルミニウム重量(Alとしての重量)の割合が160重量ppm以上である原料を用いることもできる。
なお、当該原料中に含まれるマグネシウム重量(Mgとしての重量)に対するカルシウム含有量と硫酸塩含有量の割合は、特に限定されないが、カルシウム(Caとして)含有量2000重量ppm以下、硫酸塩(SOとして)含有量2000重量ppm以下であることが好ましい。これにより、高純度の塩化マグネシウム水溶液及び高純度塩化マグネシウムをより確実に得ることができる。すなわち、本発明において、不純物としてFe及びAlが比較的多量に含まれる粗原料を用いても、本発明では高純度の塩化マグネシウム水溶液、ひいては高純度塩化マグネシウムを製造することができる。
反応工程は、気相、液相等のいずれで実施しても良いが、特に液相中で実施することが好ましい。液相で実施する場合の液相(溶媒)としては、限定的ではないが、通常は水を使用すれば良い。水は、水道水、工業用水等を用いても良いが、純水ないしは超純水が好ましい。従って、例えばイオン交換水、蒸留水等も好適に用いることができる。
不溶性マグネシウム化合物系原料は、好ましくは液相中に分散させれば良い。この場合、塩化水素と反応させる前に不溶性マグネシウム化合物系原料を液相中に分散させておくことが好ましい。例えば、前記の洗浄工程の第2工程で得られた水懸濁液をそのまま用いることもできる。また、塩酸中に不溶性マグネシウム化合物系原料を分散させることも可能である。
添加する塩化水素は、公知又は市販のものを使用することができる。また、各種の製造方法で得られた塩化水素のいずれも使用することができる。特に、食塩電解法で水酸化ナトリウムを生成する時の副産物として得られる塩素と水素を合成した塩酸が、高純度で比較的安価に入手できることから、このような塩化水素も好適に用いることができる。
塩化水素は、通常は水溶液(すなわち塩酸)の形態で使用すれば良いが、これに限定されない。例えば、ガス状の塩化水素(あるいは塩素ガスと水素ガスの別箇作用)を直接に不溶性マグネシウム化合物系原料と反応させる方法も可能である。これによって、塩化マグネシウム水溶液をより高濃度で得ることができる。
不溶性マグネシウム化合物系原料と塩化水素との反応に際しては、前記原料中に含まれるMg2+イオン1モルに対して2nモル(但し、nは0.00<n≦0.98を満たす。)の塩化水素を反応させる。すなわち、塩化水素2nモルを全て反応させることにより、未反応の不溶性マグネシウム化合物が残存するように反応させる。これにより、未反応の不溶性マグネシウム化合物中に、不溶性マグネシウム化合物系原料に含まれる不純物をできるだけ多く閉じ込めることによって液相中に不純物(イオン)が溶出することを効果的に抑制することができる。
前記nは、0.00<n≦0.98を満たし、特に0.50≦n≦0.98を満たすことが好ましく、その中でも0.67≦n≦0.90を満たすことがより好ましい。nが0.98を超える場合は、不純物が液相中に溶出し、塩化マグネシウム水溶液に残存するおそれがある。
例えば、上記nを制御することによって、以下のような反応式で反応を進めることができる。
MgOR+2n(HCl)→ nMgCl+(1−n)MgOR+副生成物
[式中、MgORは、酸化マグネシウム(MgO)、水酸化マグネシウム(Mg(OH))、塩基性炭酸マグネシウム(aMgCO・Mg(OH)・nHO(aは3〜5))及びマグネサイト(MgCO)のいずれか1つを示し、nは0.00<n≦0.98を満たし、副生成物は、水(HO)及び/又は二酸化炭素(CO)である。]
上記反応式において、n≧1の場合は、MgOが全て反応したことを意味し、n>1の場合はMgClの他に過剰のHClが残存していることを意味する。この条件下では、不溶性マグネシウム化合物中に含まれるFe及びAlが塩化物として溶出するので、結果的に不純物として塩化マグネシウム水溶液中に共存することになる。
一方、n<1である場合、特に0.98以下である場合は、67〜98%程度のMgOがHClと反応している状態で、固形分であるスラッジ(残渣)を除去して得られた塩化マグネシウム水溶液には、不溶性マグネシウム化合物中に含まれているFe、Al等はスラッジ中にとどまる結果、これらの不純物が含まれない塩化マグネシウム水溶液を得ることができる。すなわち、未反応の不溶性マグネシウム化合物はほんの少し懸濁されていれば十分にFe、Alの除去効果が認められる。但し、未反応の不溶性マグネシウム化合物はできるだけ少ない方が好ましいので、上記のようなnの範囲内に設定することが望ましい。量産レベルでの制御運転では限りなくn=1に近づけることは不純物混入リスクが高まる。一方、品質的安全性に過剰配慮して不溶性マグネシウム塩を残しすぎると、a)ろ過除去のマテリアルハンドリング性に負担がかかる点、b)スラッジケーキの体積が大きく、その含水ロスが大きい点、c)得られた塩化マグネシウム水溶液が薄い点等のように生産性への負荷が大きく現実的ではない。このため、nの範囲を上記範囲に収まるように制御することが望ましい。
また、反応工程においては、必要に応じて液相中に塩化アルミニウムを添加することもできる。塩化アルミニウムを添加することによって、後工程であるスラッジケーキの分離工程における分離が容易となる。すなわち、本発明では、塩化アルミニウムはいわゆるろ過助剤として機能する。塩化アルミニウム自体は公知又は市販のものを使用することができる。
塩化アルミニウムの添加時期は、特に制限されず、塩化水素の添加前(反応前)、塩化水素と同時、塩化水素の添加後等のいずれの段階であっても良い。塩化アルミニウムの添加量は、特に限定的ではないが、一般的にはスラッジ中に含まれるマグネシウム重量に対するアルミニウムの重量割合が0.02〜0.2重量%程度(Al/Mg重量比=0.02〜0.2程度)とすれば、ろ過性への効果を得ることができ、スラッジ中のマグネシウムと反応し、不溶化されるため、塩化マグネシウム水溶液中へのアルミニウムの溶出を防ぐことができる。
分離工程
分離工程では、反応系中に存在する不溶性マグネシウム化合物を含むスラッジを除去することにより塩化マグネシウム水溶液を得る。
反応工程では、未反応の不溶性マグネシウム化合物が残存するように反応させるため、反応系中(特に液相中)には不溶性マグネシウム化合物を含むスラッジが固形分として存在することになる。すなわち、高純度の塩化マグネシウム水溶液中に前記スラッジが共存した状態となっている。そこで、分離工程において、前記スラッジを取り除き、塩化マグネシウム水溶液を回収する。
分離方法は、前記スラッジを除去できる限りは限定されず、例えば加圧ろ過、減圧濾過、真空ろ過、自然ろ過、遠心ろ過等の公知の方法を採用すれば良い。この場合、例えばフィルタープレス、遠心分離機等の公知又は市販の装置を用いることができる。
このように反応工程から分離工程において、主としてアルミニウム及び鉄が除去されるが、不溶性マグネシウム化合物系原料中のマグネシウム重量(Mgとして)に対する割合として、例えばc)アルミニウム(Alとして)含有量100重量ppm以上、d)鉄(Feとして)含有量150重量ppm以上が除去されることが好ましい。
このようにして得られた塩化マグネシウム水溶液は、特にアルミニウム及び鉄が除去された結果、当該水溶液中のマグネシウム重量(Mgとして)に対する割合が、例えばa)カルシウム(Caとして)含有量2000重量ppm以下、b)硫酸塩(SOとして)含有量2000重量ppm以下、c)アルミニウム(Alとして)含有量100重量ppm以下、d)鉄(Feとして)含有量10重量ppm以下となっていることが好ましい。
塩化マグネシウム水溶液は、そのまま又は濃度を調整したうえで、塩化マグネシウムの製造原料等の用途として用いることができる。得られた塩化マグネシウム水溶液の濃度は、特に限定されないが、通常は塩化マグネシウム濃度は、塩化マグネシウム無水物として10重量%以上(特に10〜30重量%)とすることができる。従って、例えば15〜20重量%の範囲内に設定することもできる。
2.高純度塩化マグネシウムの製造方法
本発明の高純度塩化マグネシウムの製造方法(第2方法)は、
(1)不溶性マグネシウム化合物系原料と塩化水素を反応させるに際し、前記原料中に含まれるMg2+イオン1モルに対して2nモル(但し、nは0.00<n≦0.98を満たす。)の塩化水素を反応させることにより反応生成物を得る反応工程、
(2)反応系中に存在する不溶性マグネシウム化合物を含むスラッジを除去することにより塩化マグネシウム水溶液を得る分離工程、
(3)前記水溶液から塩化マグネシウムを再結晶化させる再結晶化工程
を含むことを特徴とする。
第2方法は、第1方法で得られた塩化マグネシウム水溶液を再結晶化する工程を含む方法であり、これによって所望の高純度塩化マグネシウムを得ることができる。従って、第2方法における反応工程及び分離工程は、第1方法と同様にして実施することができる。また、洗浄工程についても、第1方法と同様に実施することができる。以下、第2方法の各工程について説明する。
不溶性マグネシウム化合物系原料
第2方法で用いる不溶性マグネシウム化合物系原料自体は、特に限定されず、公知又は市販のものを使用することもできる。また、公知の製造方法で得られたものを使用することもできる。
不溶性マグネシウム化合物の種類としては、水に難溶性ないしは不溶性(通常は水に対する溶解度(20℃)が1g/30mL以下)の化合物を使用することができる。例えば、酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、正炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等のほか、ケイ酸マグネシウム、鉱石としてマグネサイト、フォルステライト等が挙げられる。この中でも、コスト面、入手の容易さ等の観点から、酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の少なくとも1種を用いることができる。
不溶性マグネシウム化合物系原料のマグネシウム含有量は、特に限定されないが、通常はMgの含有量として乾燥物換算で24〜60重量%、好ましくは40〜60重量%(特に54〜59重量%)であることが好ましい。このような範囲の原料を用いることによって、より低コストでより効果的な精製効果が得られる。従って、このような含有量を満たすためには、不溶性マグネシウム化合物として酸化マグネシウム又はそれを含む混合物を用いることが好ましい。
不溶性マグネシウム化合物系原料においては、上記のような不溶性マグネシウム化合物のほか、他の不純物が含まれている。すなわち、本発明では、粗原料としての不溶性マグネシウム化合物系原料を用いることにより、安価な原料を用いても高純度の塩化マグネシウム水溶液及び塩化マグネシウム(結晶)を得ることができる。
このような粗原料としては、入手の容易さ、コスト面等の見地より、例えば海水−石灰法による水酸化マグネシウム、あるいはその水酸化マグネシウムに炭酸イオン又は炭酸ガスと反応させて得られる炭酸マグネシウムを不溶性マグネシウム化合物として含む不溶性マグネシウム化合物系原料を好適に用いることができる。さらに、前記の水酸化マグネシウム及び炭酸マグネシウムから得られた酸化マグネシウムも好適に用いることができる。
上記のような海水−石灰法による不溶性マグネシウム化合物系原料(以下「海水−石灰法由来原料」ともいう。)は、主な不純物としてa)水酸化カルシウム及びカルシウム塩、b)硫酸塩、c)アルミニウム、d)鉄、e)ケイ素及びf)その他の微量金属が含まれる。前記のとおり、f)微量金属は、出発原料の時点で既に許容範囲内にあり、e)ケイ素は塩酸との反応でも溶出しないためにろ過により除去できる。
従って、海水−石灰法由来原料等において、実質的に除去対象となり得る不純物は、a)水酸化カルシウム及びカルシウム塩、b)硫酸塩、c)アルミニウム及びd)鉄となる。より具体的には、不溶性マグネシウム化合物系原料中のマグネシウム重量(Mgとして)に対する割合が、a)カルシウム(Caとして)含有量3000重量ppm以上、b)硫酸塩(SOとして)含有量10000重量ppm以上、c)アルミニウム(Alとして)含有量160重量ppm以上、d)鉄(Feとして)含有量160重量ppm以上を含む原料を用いることもできる。
なお、上記割合は、Mgの含有量をW(Mg)、Caの含有量をW(Ca)、硫酸塩の含有量をW(SO)、アルミニウムの含有量をW(Al)、鉄の含有量をW(Fe)とすると、それぞれ[W(Ca)/W(Mg)]、[W(SO)/W(Mg)]、[W(Al)/W(Mg)]、[W(Fe)/W(Mg)]の値(重量割合)を示す(以下同じ。)。
他方、出発原料である不溶性マグネシウム化合物系原料に水酸化カルシウム及びカルシウム塩ならびに硫酸塩が含まれる場合は、これらを反応工程により除去することができない。このため、これらが許容値以上含まれる場合等は、水酸化カルシウム及びカルシウム塩ならびに硫酸塩の全含有量の一部又は全部を取り除くために、反応工程前の段階において予め洗浄工程(後記)を行うことが望ましい。
不溶性マグネシウム化合物系原料に含まれるカルシウム成分は、水酸化カルシウムのほか、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム等のようなカルシウム塩のいずれかの形態をとっていると考えられる。このうち、硫酸カルシウム及び水酸化カルシウムは、水に少量溶解するので水洗により比較的除去しやすいが、炭酸カルシウムは水にほとんど溶けない。このため、不溶性マグネシウム化合物として炭酸マグネシウムを用いる場合は、不純物カルシウムの大半が炭酸カルシウムの状態であることが多いため、洗浄除去が困難になる。従って、それ以外の不溶性マグネシウム化合物を用いるか、あるいは使用するとしても少量とすることが好ましい。また、不溶性マグネシウム化合物として水酸化マグネシウムを選定した場合、不純物カルシウムは硫酸カルシウム及び水酸化カルシウムのいずれかであると考えられるが、水酸化マグネシウムを用いた液相はpH10を超える塩基性を示すことから水中溶存及び空気中の二酸化炭素を吸収しやすい状態となり、結局のところ炭酸カルシウムが生成する可能性が高くなるので、その使用量を抑えた方がカルシウム不純物を少なくしやすい。これに対し、酸化マグネシウムは、通常はカルシウム不純物のほとんどが硫酸カルシウムであることが多い。これは、酸化物にするための焼成工程で不純物として含まれる炭酸カルシウムの二酸化炭素が脱離し、酸化カルシウムとなり、遊離したカルシウムイオンが共存する硫酸塩と結びついて硫酸カルシウムとなっていると考えられる。これらの点からみて、不溶性マグネシウム化合物系原料としては、カルシウムが除去しやすい形態となっている酸化マグネシウム系原料又はそれを含む混合物からなる原料を用いることが好ましい。
但し、酸化マグネシウムは、一般的に水酸化マグネシウムよりも原料コストが高いため、コストを優先する場合には水酸化マグネシウムを併用することもできる。この場合、酸化マグネシウムの配合比が高い程カルシウムの除去効果が高い。ここで、酸化マグネシウムの配合比が高いほど、マグネシウム含量は高くなる(例えば、後記の実施例12〜13)。例えば水酸化マグネシウムの乾燥物含量が97重量%であれば、マグネシウム含量は97重量%×(24.3(マグネシウムの原子量)/58.3(水酸化マグネシウムの式量))=約40重量%となる。一方、酸化マグネシウムの乾燥物含量が99重量%であれば99重量%×(24.3(マグネシウムの原子量)/40.3(酸化マグネシウムの式量))=約60重量%と計算される。特に好ましくは、マグネシウム含量が54重量%程度(すなわち、水酸化マグネシウムが4分の1程度)の配合までが、生成させる塩化マグネシウムの目標純度を考慮した場合の下限値とすることができる。
不溶性マグネシウム化合物系原料の性状(形態)は、特に限定されないが、通常は本発明の製造方法における反応操作上の見地より、粉末状であることが好ましい。また、粉末状の形態で用いる場合、その平均粒径も制限されないが、通常は1〜20μm程度の範囲内で適宜設定することができる。
洗浄工程
本発明では、不溶性マグネシウム化合物系原料を反応工程に供するが、反応工程に先立って予め不溶性マグネシウム化合物系原料に対して洗浄工程を実施することが好ましい。洗浄工程によって、不溶性マグネシウム化合物系原料中に含まれる不純物(特にカルシウム、硫酸塩等)の一部又は全部を除去することができるので、より高純度の水溶液、ひいては高純度塩化マグネシウムをより確実に提供することが可能となる。
洗浄工程としては、上記のような不純物の含有量を低減できる限り、特に限定されないが、通常は不溶性マグネシウム化合物系原料の水洗処理を含む方法を採用すれば良い。
例えば、本発明では、以下のような洗浄工程を実施することが好ましい。
(a)不溶性マグネシウム化合物系原料の水懸濁液を調製し、当該水懸濁液を固液分離する工程を含む第1工程、
(b)第1工程を経た不溶性マグネシウム化合物系原料の水懸濁液を調製し、当該水懸濁液がpH12〜14となるまでアルカリを添加及び混合し、加熱した後に固液分離して得られた固形分を水で洗浄する工程を含む第2工程
を含む洗浄工程を行うことが好ましい。
上記の方法によって、特にカルシウム塩及び硫酸塩の両方をより確実に除去することができる。すなわち、まず第1工程で主にカルシウム塩を先に除去した後に、第2工程でアルカリ存在下にて硫酸塩の加熱可溶化、固液分離後固形分の水洗により硫酸塩を除去するという2段階を含む洗浄工程を実施することが望ましい。
第1工程
第1工程は、不溶性マグネシウム化合物系原料の水懸濁液を調製し、当該水懸濁液を固液分離する工程を含む。第1工程では、主として水可溶性の不純物(例えばカルシウムイオン、硫酸イオン等)を除去することができる。
第1工程では、特に粉末状の不溶性マグネシウム化合物系原料を用い、これを水に分散させることによって水懸濁液を調製することができる。この場合の分散量は、不溶性マグネシウム化合物の種類、粒度等に応じて適宜設定できるが、通常は5〜40重量%程度とすれば良い。例えば、不溶性マグネシウム化合物系原料として酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム及び炭酸マグネシウムのいずれか1つ、あるいは2つ以上を含むなる混合物、好ましくは酸化マグネシウム単体でマグネシウム含量が乾燥物換算で24〜60重量%となる粉末状固形物又はその水性スラリーを水に分散又は懸濁した後、デカンテーション又はろ過水洗し、水可溶性不純物の一部又は全部を溶出させて除去する。水可溶性不純物の多くはカルシウムイオンと硫酸イオンであるが、この段階では硫酸イオンを完全に除去する必要はないので、水洗液中のカルシウムイオンがほとんど検出されなくなるまで水洗することが好ましい。
水懸濁液は、必要に応じて攪拌等を実施した後、固液分離することにより当該原料を回収する。固液分離の方法自体は、公知の方法に従えば良く、例えば加圧ろ過、減圧濾過、真空ろ過、自然ろ過、遠心ろ過等のような公知の方法を採用することができる。懸濁液中に存在する固体を分離できれば良く、分離の度合いも特に制限されない。例えば、a)シックナーのように半沈降させた上澄み液を連続的に置換させる方法、b)懸濁液に水を加えて希釈しながら、圧力を加えて連続的にろ過する方法等を採用しても良い。この際、例えばフィルタープレス、遠心分離機等の公知又は市販の装置を用いることができる。
第1工程では、必要に応じて前記の水懸濁液の調製と固液分離からなる一連の工程を2回以上繰り返しても良い。また、固液分離によって回収された当該原料(固形分)は、必要に応じてさらに水洗しても良い。
第1工程では、主としてカルシウム及び硫酸塩が除去されるが、不溶性マグネシウム化合物系原料中のマグネシウム重量(Mgとして)に対する割合として、例えばa)カルシウム(Caとして)含有量2500重量ppm以上、b)硫酸塩(SOとして)含有量7000重量ppm以上が除去されることが好ましい。
第1工程を経た原料は、特にカルシウム及び硫酸塩が除去された結果、不溶性マグネシウム化合物系原料中のマグネシウム重量(Mgとして)に対する割合が、例えばa)カルシウム(Caとして)含有量2000重量ppm以下、b)硫酸塩(SOとして)含有量20000重量ppm以下、c)アルミニウム(Alとして)含有量160重量ppm以上、d)鉄(Feとして)含有量160重量ppm以上となっていることが好ましい。
第2工程
第2工程は、前記の第1工程を経た不溶性マグネシウム化合物系原料の水懸濁液を調製し、当該水懸濁液がpH12〜14となるまでアルカリを添加及び混合し、加熱した後に固形分を水で洗浄する工程を含む。
本発明では、第2工程として、高アルカリ性下で難溶性硫酸塩を加熱抽出後、水洗除去するという手法をとるが、特に重要な点はカルシウム不純物を十分に除去した後で第2工程を実施することである。すなわち、洗浄工程は、2段階であり、かつ、その順序が重要である。仮にカルシウム不純物の除去を十分に行わずに第2工程を実施した場合、高アルカリ性下で残存カルシウムが水中溶存又は空気中の二酸化炭素を吸収し、不溶性の炭酸カルシウムを生成するためにカルシウム除去が困難になってしまう。このため、第2工程は、あくまで第1工程を経た後の不溶性マグネシウム化合物系原料に対して行うことが必要である。
そこで、第2工程では、第1工程にてカルシウム不純物を十分に除去した後に、さらに硫酸塩を十分に除去するために高アルカリ性下で加熱抽出を行う。第1工程においても硫酸塩の大半を除去することはできるが、これは硫酸カルシウムとして結合している可溶性硫酸塩であり、硫酸塩の一部は難溶性の塩基性硫酸マグネシウムとして残存していると考えられ、表1に示す規格の硫酸塩を合格水準にするためには、これを第2工程で除去することが望ましい。
水懸濁液の調製は、第1工程の場合と同様に実施することができる。そして、得られた水懸濁液に対してアルカリを添加及び混合する。用いるアルカリは、例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、アンモニア、水酸化リチウム、ケイ酸ナトリウム等の各種のアルカリを使用できるが、特に不純物混入の機会を避けるという見地より、また塩化マグネシウムを透析剤用途等に使用できるという見地より、アルカリとして水酸化ナトリウムを用いることが好ましい。また、アルカリは、固形又はその水溶液の形態で添加することができる。
アルカリの添加量は、水懸濁液のpHが12〜14の範囲内となるような添加量であれば良い。すなわち、硫酸塩を充分に除去するためにはpH12〜14(OHとして0.01〜1mol/L相当濃度)の高アルカリ性状態での加熱が必要である。特に、アルカリ濃度は高いほど硫酸塩の除去効果は高くなるものの、原料費、排水中和処理費用、粘性上昇によるマテリアルハンドリング等を考慮すれば、上記pHは12〜13程度とすることが好ましい。
アルカリを添加した後、水懸濁液を加熱する。アルカリ存在下で加熱することによって不溶性硫酸塩が可溶化することができる。加熱温度は、通常は50〜95℃程度とし、好ましくは70〜95℃とすれば良い。また、加熱時間は、加熱温度等に応じて適宜設定できるが、一般的には1〜10時間程度の範囲内とすれば良い。
加熱した後、必要に応じて水懸濁液を冷却した後、固液分離を行うことにより当該原料を回収する。固液分離の方法は、第1工程と同様にすれば良い。また、第2工程では、必要に応じて、回収された当該原料について、水懸濁液の調製、アルカリ添加・混合及び加熱ならびに固液分離からなる一連の工程を2回以上繰り返しても良い。
次いで、上記の固液分離で得られた固形分を水で洗浄する。これにより、特に第2工程で付着していたアルカリを除去することができる。水で洗浄する方法は、公知の方法に従えば良く、例えば水懸濁液を調製して固液分離する水懸濁液を調製して固液分離する方法、ろ紙上に載せた原料に注水する方法等の各種の方法を採用することができる。
反応工程
反応工程では、不溶性マグネシウム化合物系原料と塩化水素を反応させるに際し、前記原料中に含まれるMg2+イオン1モルに対して2nモル(但し、nは0.00<n≦0.98を満たす。)の塩化水素を反応させることにより反応生成物を得る。
本発明では、特に反応工程における塩化水素との反応を経ることにより、特にFe及びAlを効果的に除去することができる。従って、本発明では、反応工程に供する不溶性マグネシウム化合物系原料として、当該原料中に含まれるマグネシウム重量(Mgとしての重量)に対する割合が、鉄重量(Feとしての重量)の割合が160重量ppm以上であり、アルミニウム重量(Alとしての重量)の割合が160重量ppm以上である原料を用いることもできる。
なお、当該原料中に含まれるマグネシウム重量(Mgとしての重量)に対するカルシウム含有量と硫酸塩含有量の割合は、特に限定されないが、カルシウム(Caとして)含有量2000重量ppm以下、硫酸塩(SOとして)含有量2000重量ppm以下であることが好ましい。これにより、高純度の塩化マグネシウム水溶液及び高純度塩化マグネシウムをより確実に得ることができる。すなわち、本発明においては、不純物としてFe及びAlが比較的多量に含まれる粗原料を用いても、本発明では高純度の塩化マグネシウム水溶液、ひいては高純度塩化マグネシウムを製造することができる。
反応工程は、気相、液相等のいずれで実施しても良いが、特に液相中で実施することが好ましい。液相で実施する場合の液相(溶媒)としては、限定的ではないが、通常は水を使用すれば良い。水は、水道水、工業用水等を用いても良いが、純水ないしは超純水が好ましい。従って、例えばイオン交換水、蒸留水等も好適に用いることができる。
不溶性マグネシウム化合物系原料は、好ましくは液相中に分散させれば良い。この場合、塩化水素と反応させる前に不溶性マグネシウム化合物系原料を液相中に分散させておくことが好ましい。例えば、前記の洗浄工程の第2工程で得られた水懸濁液をそのまま用いることもできる。また、塩酸中に不溶性マグネシウム化合物系原料を分散させることも可能である。
添加する塩化水素は、公知又は市販のものを使用することができる。また、各種の製造方法で得られた塩化水素のいずれも使用することができる。特に、食塩電解法で水酸化ナトリウムを生成する時の副産物として得られる塩素と水素を合成した塩酸が、高純度で比較的安価に入手できることから、このような塩化水素も好適に用いることができる。
塩化水素は、通常は水溶液(すなわち塩酸)の形態で使用すれば良いが、これに限定されない。例えば、ガス状の塩化水素(あるいは塩素ガスと水素ガスの別箇作用)を直接に不溶性マグネシウム化合物系原料と反応させる方法も可能である。これによって、塩化マグネシウム水溶液をより高濃度で得ることができる。
不溶性マグネシウム化合物系原料と塩化水素との反応に際しては、前記原料中に含まれるMg2+イオン1モルに対して2nモル(但し、nは0.00<n≦0.98を満たす。)の塩化水素を反応させる。すなわち、塩化水素2nモルを全て反応させることにより、未反応の不溶性マグネシウム化合物が残存するように反応させる。これにより、未反応の不溶性マグネシウム化合物中に、不溶性マグネシウム化合物系原料に含まれる不純物をできるだけ多く閉じ込めることによって液相中に不純物(イオン)が溶出することを効果的に抑制することができる。
前記nは、0.00<n≦0.98を満たし、特に0.50≦n≦0.98を満たすことが好ましく、その中でも0.67≦n≦0.90を満たすことがより好ましい。nが0.98を超える場合は、不純物が液相中に溶出し、塩化マグネシウム水溶液に残存するおそれがある。
例えば、上記nを制御することによって、以下のような反応式で反応を進めることができる。
MgOR+2n(HCl)→ nMgCl+(1−n)MgOR+副生成物
[式中、MgORは、酸化マグネシウム(MgO)、水酸化マグネシウム(Mg(OH))、塩基性炭酸マグネシウム(aMgCO・Mg(OH)・nHO(aは3〜5))及びマグネサイト(MgCO)のいずれか1つを示し、nは0<n≦0.98を満たし、副生成物は、水(HO)及び/又は二酸化炭素(CO)である。]
上記反応式において、n≧1の場合は、MgOが全て反応したことを意味し、n>1の場合はMgClの他に過剰のHClが残存していることを意味する。この条件下では、不溶性マグネシウム化合物中に含まれるFe及びAlが塩化物として溶出するので、結果的に不純物として塩化マグネシウム水溶液中に共存することになる。
一方、n<1である場合、特に0.98以下である場合は、67〜98%程度のMgOがHClと反応している状態で、固形分であるスラッジ(残渣)を除去して得られた塩化マグネシウム水溶液には、不溶性マグネシウム化合物中に含まれているFe、Al等はスラッジ中にとどまる結果、これらの不純物が含まれない塩化マグネシウム水溶液を得ることができる。すなわち、未反応の不溶性マグネシウム化合物は僅かに懸濁されていれば十分にFe、Alの除去効果が認められる。但し、未反応の不溶性マグネシウム化合物はできるだけ少ない方が好ましいので、上記のようなnの範囲内に設定することが望ましい。量産レベルでの制御運転では限りなくn=1に近づけることは不純物混入リスクが高まる。一方、品質的安全性に過剰配慮して不溶性マグネシウム塩を残しすぎると、a)ろ過除去のマテリアルハンドリング性に負担がかかる点、b)スラッジケーキの体積が大きく、その含水ロスが大きい点、c)得られた塩化マグネシウム水溶液が薄い点等のように生産性への負荷が大きく現実的ではない。このため、nの範囲を上記範囲に収まるように制御することが望ましい。
また、反応工程においては、必要に応じて液相中に塩化アルミニウムを添加することもできる。塩化アルミニウムを添加することによって、後工程である分離工程における分離が容易となる。すなわち、本発明では、塩化アルミニウムはいわゆるろ過助剤として機能する。塩化アルミニウム自体は公知又は市販のものを使用することができる。
塩化アルミニウムの添加時期は、特に制限されず、塩化水素の添加前(反応前)、塩化水素と同時、塩化水素の添加後等のいずれの段階であっても良い。塩化アルミニウムの添加量は、特に限定的ではないが、一般的にはスラッジ中に含まれるマグネシウム重量に対するアルミニウムの重量割合が0.02〜0.2重量%程度(Al/Mg重量比=0.02〜0.2程度)とすれば、ろ過性への効果を得ることができ、スラッジ中のマグネシウムと反応し、不溶化されるため、塩化マグネシウム水溶液中へのアルミニウムの溶出を防ぐことができる。
分離工程
分離工程では、反応系中に存在する不溶性マグネシウム化合物を含むスラッジを除去することにより塩化マグネシウム水溶液を得る。
反応工程では、未反応の不溶性マグネシウム化合物が残存するように反応させるため、反応系(特に液相中)には不溶性マグネシウム化合物を含むスラッジが固形分として存在することになる。すなわち、高純度の塩化マグネシウム水溶液中に前記スラッジが共存した状態となっている。そこで、分離工程において、前記スラッジを取り除き、塩化マグネシウム水溶液を回収する。
分離方法は、前記スラッジを除去できる限りは限定されず、例えば加圧ろ過、減圧濾過、真空ろ過、自然ろ過、遠心ろ過等の公知の方法を採用すれば良い。この場合、例えばフィルタープレス、遠心分離機等の公知又は市販の装置を用いることができる。
このように反応工程から分離工程において、主としてアルミニウム及び鉄が除去されるが、不溶性マグネシウム化合物系原料中のマグネシウム重量(Mgとして)に対する割合として、例えばc)アルミニウム(Alとして)含有量100重量ppm以上、d)鉄(Feとして)含有量150重量ppm以上が除去されることが好ましい。
このようにして得られた塩化マグネシウム水溶液は、特にアルミニウム及び鉄が除去された結果、当該水溶液中のマグネシウム重量(Mgとして)に対する割合が、例えばa)カルシウム(Caとして)含有量2000重量ppm以下、b)硫酸塩(SOとして)含有量2000重量ppm以下、c)アルミニウム(Alとして)含有量100重量ppm以下、d)鉄(Feとして)含有量10重量ppm以下となっていることが好ましい。
また、得られた塩化マグネシウム水溶液の濃度は、特に限定されないが、通常は塩化マグネシウム濃度は、塩化マグネシウム無水物として10重量%以上(特に10〜30重量%)とすることができる。従って、例えば15〜20重量%の範囲内に設定することもできる。
再結晶化工程
再結晶化工程では、前記水溶液から塩化マグネシウムを再結晶化させる。特に、塩化マグネシウムを食品添加物、医薬用途等に使用する場合、その性状を結晶水と結合した固形物(通常は6水和物相当)として製品化する必要がある。
本発明では、高純度塩化マグネシウムを塩化マグネシウム水溶液から調製することから、例えば1)当該水溶液を直接固体まで乾燥する方法、2)過飽和まで濃縮した後、析出分を固液分離させる方法等のいずれでも良いが、より確実に高純度化できるという点で上記2)の方法を採用することが望ましい。
再結晶化する方法自体は、公知の方法に従って実施することができる。例えば、a)塩化マグネシウム水溶液(前記分離工程を経た塩化マグネシウム水溶液)を濃縮することにより濃縮液を得る工程、b)濃縮液を冷却し、温度による溶解度差を利用して塩化マグネシウムを再結晶化させる工程を含む方法を実施することができる。
上記a)の工程では、加熱による濃縮を好適に採用することができる。加熱温度は、限定的ではないが、通常は60〜100℃程度とすれば良い。また、濃縮の程度は、特に限定されないが、通常は塩化マグネシウム濃度は塩化マグネシウム無水物として35重量%以上(特に37〜40重量%)の範囲内で適宜設定することができる。従って、例えば38〜39重量%の範囲内に設定することもできる。
上記b)の工程では、上記a)で加熱された濃縮液を冷却する。冷却は、通常は室温(通常は10〜30℃)までとすれば良く、そこで塩化マグネシウムの結晶を析出させる。
上記b)の工程で析出した結晶を固液分離することで回収する。固液分離の方法自体は、公知の方法に従えば良く、例えば加圧ろ過、減圧濾過、真空ろ過、自然ろ過、遠心ろ過等のような公知の方法を採用することができる。この際、例えばフィルタープレス、遠心分離機等の公知又は市販の装置を用いることができる。
3.高純度塩化マグネシウム
本発明の製造方法で得られる塩化マグネシウムは、通常は塩化マグネシウム水和物の結晶粒子からなる粒状の形態を有する。粒状である場合、その平均粒径は通常200〜800μm程度とすることができるが、これに限定されない。
上記塩化マグネシウムは、無水物でも良いが、一般的には水和物の形態を有しており、6水和物、また析出温度により2水和物、4水和物、8水和物、12水和物等が例示される。本発明では、医薬品等に適用できる6水和物(MgCl・6HO)が好適である。
上記塩化マグネシウム6水和物は、マグネシウム含有量が12重量%程度(特に医薬品規格では11.8〜12.1重量%)であり、マグネシウム重量(Mgとして)に対する割合が、例えばa)カルシウム(Caとして)含有量400重量ppm以下、好ましくは200重量ppm以下、b)硫酸塩(SOとして)含有量400重量ppm以下、好ましくは300重量ppm以下、c)アルミニウム(Alとして)含有量20重量ppm以下、d)鉄(Feとして)含有量5重量ppm以下である。また、その他の金属の含有量の割合は、通常3重量ppm未満である。
このような高純度塩化マグネシウムは、例えば医薬品、医薬部外品、飲食品(機能性食品、食品添加物等を含む。)、化粧品飼料、肥料等をはじめ、各種の化学品等に好適に用いることができる。特に、人工透析用の透析剤の原料としても好適に用いることができる。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明の特徴をより具体的に説明する。ただし、本発明の範囲は、実施例に限定されない。なお、実施例中に記載の「%」「ppm」はそれぞれ「重量%」「重量ppm」を意味する。
なお、実施例及び比較例における分析評価方法は次の通りである。
(1)カルシウム試験方法
原子吸光;検量線法で測定した。カルシウム標準液は0mg/L、0.5mg/L、1.0mg/Lを調製し、同範囲になるよう試料濃度を調整して行なった。なお、不溶性試料は、当量の塩酸に溶解した。
(2)硫酸塩試験方法
表1に示した公定書収載の試験方法は限度内試験であり、数値の比較評価がわかりにくい。このため、本実施例及び比較例においては、標準液の希釈系列を作り、濁度を分光光度計波長610nmとして測定した。その数値より検量線を作成し、これを用いて測定値を数値結果として表した。
<調製試薬>
a)硫酸水溶液:濃硫酸50mgを水1Lで希釈した(調製方法EPに準じる)
b)塩化バリウム二水和物溶解液:塩化バリウム二水和物250gを水に溶かして1Lとした。
c)酢酸試液:酢酸30gを水で希釈し全量を100mLとした。
<試料液調製>
(サンプル液)
目盛付試験管に塩化マグネシウム中の硫酸イオン濃度に応じた液量(基準液の範囲)と上記c)液0.5mLとを混合して全量を10mLとした。
(基準液)
目盛付試験管3本にそれぞれ上記a)液を0mL(空)、1mL及び2mLと上記c)液0.5mLとを混合して全量を10mLとした。
<測定>
試料液及び基準液に上記a)液及び上記b)液の混合液(体積比1:3)を2mLそれぞれ加え振り混ぜた。15〜20分後、吸光度(白濁)を分光光度計波長610nmで測定した。測定吸光度数値は、エクセルで検量線数式により換算し、数値を求めた
(3)鉄試験方法
局外規塩化マグネシウム水和物試験方法に準じて行うが、硫酸塩と同様に限度内試験であり、数値を比較評価させるため、標準液の希釈系列を作成し、分光光度計OD490の吸光度を測定後、検量線を作成し、これを用いて測定値を数値結果として示した。
(4)アルミニウム試験方法
USP「Magnesium Chloride」Aluminiumの試験方法に準じて行うが、試料量は、不純物数値に応じて調整する(フレームレス原子吸光検量線法)。
(5)含量試験方法
局外規塩化マグネシウム水和物試験方法に準じて実施した。
(6)不溶性マグネシウム化合物系原料中に含まれるマグネシウム含有量(乾燥物換算)試験方法
不溶性マグネシウム化合物が酸化マグネシウムの場合は、USP「Magnesium Oxide」の含量試験方法に準じて行うが、前処理の強熱処理を行わずに試験を行い、有姿としての含量を求めた。
また、水酸化マグネシウムの場合は、USP「Magnesium Hydroxide」の含量試験方法に準じて行うが、前処理の乾燥処理を行わずに試験を行い、有姿としての含量を求めた。前記有姿としての含量を算出した後、下記の式に従ってマグネシウム含有量(乾燥物換算)を求めた。

マグネシウム含有量(乾燥物換算)(%)=有姿としての含量(%)÷(100−乾燥減量(試料1g、105℃・2時間後の減少量)(%))×100
実施例1〜11及び比較例1〜2
富田製薬(株)製USP重質酸化マグネシウム粉末100g(マグネシウム含量58.4%)の1L水懸濁液をブフナー漏斗で吸引ろ過(ろ紙No.131,アドバンテック社製,直径150mm)を行い、ろ紙上のケーキを1Lの水で4回洗浄した(合計4L)。4回目の洗浄液は、100mLサンプリングし、8mol/L水酸化カリウム水溶液5mLを添加した後、NN指示薬を加えた。その結果、洗浄液は青色を呈していたことから、カルシウムイオンの溶出洗浄が終了していることを確認した。
続いて、ろ紙上のケーキを回収した後、水に再懸濁して水懸濁液を調製し、さらに水酸化ナトリウム4gを水懸濁液に溶かし、最終液量を1Lとした(pH13)。この水懸濁液を蒸発しないように覆いをかけてから撹拌しながら加熱し、90℃に昇温してから90±2℃で3時間保持した。冷却した後、懸濁液をブフナー漏斗で吸引ろ過(ろ紙No.131,アドバンテック社製,直径150mm)を行い、ろ紙上のケーキを1Lの水で4回洗浄(合計4L)した。4回目の洗浄液20mLをネスラー管に入れ、10%塩酸1mLを加えた後、塩化バリウム二水和物水溶液(塩化バリウム二水和物250gを水に溶かして1Lとしたもの)2mLを加えた時、白濁は認められなかった。このことから、硫酸イオンの溶出除去が終了していることを確認した。ろ紙上のケーキを回収し、水に再懸濁することにより、不溶性マグネシウム化合物の水洗精製懸濁液370gを得た。このときの固形分割合はマグネシウム含有量として9.829%であった。水洗精製懸濁液において、そのマグネシウム含有量に対する不純物の含有量の割合を表2に示す。
Figure 0006355184
次に、水洗精製懸濁液を空重量測定済みの共栓付ネスラー管に約20mLずつ13本に分注し、空重量を差し引いた懸濁液重量を求めた。
次いで、合成塩酸(東亜合成(株)製、HCl含有量35.59%)を加え、氷水中にネスラー管を挿入し、冷却しながら、時々振り混ぜながら反応させ、塩酸を加えてから10分放置した。この場合、実施例1〜8では、nが0.50〜0.98の範囲となるように段階的に変化させて塩酸を加えた。また、実施例9〜11ならびに比較例1及び2では、それぞれnが1.0、0.99になるように塩酸を加えた(液が黄色の着色とともに溶解した)後、実施例9〜11及び比較例2では懸濁液を微量ずつ加えて僅かに濁る状態になるまでにし(nが0.98〜0.99の範囲)、一方で比較例1では溶液の状態のまま放置した(nは1.0のまま)。
それぞれの液を一晩静置した後、上澄み液をシリンジろ過(ミリポア製マイレックスPES,孔径0.45μm)し、これを試料溶液とした。
それぞれ試料溶液のマグネシウム含有量を測定し、その後に鉄(Feとして)、アルミニウム(Alとして)の含有量及び除去量を測定し、上記マグネシウム含有量(Mgとして)に対する割合として算出した。その結果を表3に示す。
Figure 0006355184
実施例12〜13
富田製薬(株)製USP重質酸化マグネシウム粉末(マグネシウム含量乾燥物として59%)及び富田製薬(株)製USP重質水酸化マグネシウム粉末(マグネシウム含量乾燥物として40.4%)を配合、あるいは単独粉末として計量し、それぞれがマグネシウムとして60gに相当する重量分を粉末試料とした。
なお、富田製薬社製USP重質酸化マグネシウム粉末に含まれる不純物のカルシウム含量は8000ppm、硫酸塩含量は20000ppm(いずれもマグネシウム(Mgとして)重量あたりの割合に換算した数値)
一方、富田製薬社製USP重質水酸化マグネシウム粉末に含まれる不純物のカルシウム含量は13000ppm、硫酸塩含量は32000ppm(いずれもマグネシウム(Mgとして)重量あたりの割合に換算した数値)であった。
それぞれの試料を水に懸濁して1Lとした後、水懸濁液をブフナー漏斗で吸引ろ過(ろ紙No.131,アドバンテック社製,直径150mm)を行い、ろ紙上のケーキを1Lの水で4回洗浄(合計4L)した。4回目の洗浄液は100mLサンプリングし、8mol/L水酸化カリウム水溶液5mLを添加した後、NN指示薬を加えたところ、洗浄液は青色を呈した。このことから、カルシウムイオンの溶出洗浄が終了していることを確認した。
それぞれ洗浄ケーキを水に懸濁し、塩酸に溶解させた後、得られた溶液をシリンジろ過(ミリポア製マイレックスPES、孔径0.45μm)し、これを試料溶液とした。それぞれの試料溶液のCa、SOとしての不純物含量を試料液に溶存するマグネシウム(Mgとして)に対する割合を求めた。その結果を表4に示す。
Figure 0006355184
実施例14〜16
実施例12で使用したものと同じ富田製薬(株)製USP重質酸化マグネシウム粉末500gを計量し、これを水5Lに懸濁した。次に、得られた水懸濁液をブフナー漏斗で吸引ろ過(ろ紙No.131,アドバンテック社製,直径300mm)を行い、ろ紙上のケーキを5Lの水で4回洗浄(合計20L)した。4回目の洗浄液は100mLサンプリングし、8mol/L水酸化カリウム水溶液5mLを添加した後、NN指示薬を加えたところ、洗浄液は青色を呈していた。このことから、カルシウムイオンの溶出洗浄が終了していることを確認した。
ろ紙上のケーキを全量水で洗いこんで、懸濁し、送液量2258gの懸濁液を得た。固形分割合はマグネシウム含有量として12.65%であった。また、カルシウム不純物と硫酸塩不純物含量を測定し、懸濁液中のマグネシウム(Mgとして)に対する割合を求めたところ、Caが670ppm、SOが2500ppmであった。
この懸濁液を均等に440gずつポリプロピレン製ふた付き1L容器に入れ、5個分取し、それぞれに所定量の水酸化ナトリウムを加えた後、液量を500mLに調整し、密封状態で90℃恒温槽に入れた。30分毎に取り出し、振とうとガス抜きを行いながら合計4時間処理を行った。
処理後、それぞれの液を冷却した後にブフナー漏斗で吸引ろ過(ろ紙No.131,アドバンテック社製,直径150mm)を行い、ろ紙上のケーキを1Lの水で4回洗浄(合計4L)した。4回目の洗浄液20mLをネスラー管に入れ、10%塩酸1mLを加えた後、塩化バリウム二水和物水溶液(塩化バリウム二水和物250gを水に溶かして1Lとした水溶液)を2mL加えた時、白濁は認められなかった(硫酸イオンの溶出除去が終了していることの確認)。ろ紙上のケーキを回収し、水に再懸濁し不溶性マグネシウム化合物の水洗精製懸濁液を塩酸に完全に溶かした後、液20mLをシリンジろ過(ミリポア製マイレックスPES,孔径0.45μm)し、これを試料溶液とした。それぞれの試料溶液のCa、SOの含量を試料液に溶存するマグネシウム(Mgとして)に対する割合として求めた。その結果を表5に示す。
Figure 0006355184
実施例17〜19
実施例13で使用したものと同じ原料、同じ配合比で富田製薬(株)製USP重質酸化マグネシウム粉末415g及び富田製薬(株)製USP重質水酸化マグネシウム粉末135gを計量し、これを水5Lに懸濁した。次に、得られた水懸濁液をブフナー漏斗で吸引ろ過(ろ紙No.131,アドバンテック社製,直径300mm)を行い、ろ紙上のケーキを5Lの水で4回洗浄(合計20L)した。4回目の洗浄液は100mLサンプリングし、8mol/L水酸化カリウム水溶液5mLを添加した後、NN指示薬を加えたところ、洗浄液は青色に変化した。このことから、カルシウムイオンの溶出洗浄が終了していることを確認した。
ろ紙上のケーキを全量水で洗いこんで、懸濁し、送液量2680gの懸濁液を得た。固形分割合はマグネシウム含有量として11.08%であった。また、カルシウム不純物と硫酸塩不純物含量を測定し、懸濁液中に含まれるカルシウム、硫酸塩をマグネシウム(Mgとして)あたりの割合に換算したところ、Caが1400ppm、SOが3600ppmであった。
この懸濁液を均等に490gずつポリプロピレン製ふた付き1L容器に入れ、5個分取し、それぞれに所定量の水酸化ナトリウムを加えた後、液量を500mLに調整し、密封状態で90℃恒温槽に入れた。30分毎に取り出し振とうとガス抜きを行いながら合計4時間処理を行った。
処理後、それぞれの液を冷却した後にブフナー漏斗で吸引ろ過(ろ紙No.131,アドバンテック社製,直径150mm)を行い、ろ紙上のケーキを1Lの水で4回洗浄(合計4L)した。4回目の洗浄液20mLをネスラー管に入れ、10%塩酸1mLを加えた後、塩化バリウム二水和物水溶液(塩化バリウム二水和物250gを水に溶かして1Lとした水溶液)2mLを加えた時、白濁は認められなかった。これにより、硫酸イオンの溶出除去が終了していることを確認した。ろ紙上のケーキを回収し、水に再懸濁し、不溶性マグネシウム化合物の水洗精製懸濁液を塩酸に完全に溶かした後、液20mLをシリンジろ過(ミリポア製マイレックスPES、孔径0.45μm)し、これを試料溶液とした。それぞれの試料溶液のCa、SOとしての不純物含量を試料液に溶存するマグネシウム(Mgとして)に対する割合として求めた。その結果を表6に示す。
Figure 0006355184
実施例20
富田製薬(株)製USP重質酸化マグネシウム粉末を550g計量し、これを水5Lに懸濁した。次に、懸濁液をブフナー漏斗で吸引ろ過(ろ紙No.131,アドバンテック社製,直径300mm)を行い、ろ紙上のケーキを5Lの水で4回洗浄(合計20L)した。4回目の洗浄液は100mLサンプリングし、8mol/L水酸化カリウム水溶液5mLを添加した後、NN指示薬を加えたところ、洗浄液は青色を呈していた。このことより、カルシウムイオンの溶出洗浄が終了していることを確認した。ろ紙上のケーキを全量水で洗いこんで、懸濁し、送液量2600gの懸濁液を得た。
懸濁液に水酸化ナトリウム10gを加えて全量を2.5L(NaOH濃度;0.1mol/L、pH13)とし、カバーで密封して蒸発を抑えながら撹拌しながら90±2℃を保持した。
この処理液をブフナー漏斗で吸引ろ過(ろ紙No.131,アドバンテック社製,直径300mm)を行い、ろ紙上のケーキを5Lの水で4回洗浄(合計20L)した。4回目の洗浄液20mLをネスラー管に入れ、10%塩酸1mLを加えた後、塩化バリウム二水和物水溶液(塩化バリウム二水和物250gを水に溶かして1Lとした水溶液)2mLを加えた時、白濁は認められなかった。このことから硫酸イオンの溶出除去が終了していることを確認した。ろ紙上のケーキを水で洗い流しながら分散させ、懸濁液として回収し、3120gの懸濁液試料を得た(固形分割合はマグネシウム含有量として9.890%)。
回収懸濁液を2分し、そのうち1545gは、別に採取した(実施例21で使用)。残り1545g(固形分割合はマグネシウム含有量として152.8g;6.285mol)を3Lホーロー容器に移し、ポリプロピレン製シートカバーで容器上面を覆い、撹拌しながら合成塩酸1064g(東亜合成(株)製 含量HClとして35.70%、HCl;379.9g)計量し、1時間かけてゆっくり投入し、反応懸濁液2570gを得た。
なお、円滑にろ過するため、予め塩酸添加前に、ろ過助剤(凝集剤)として塩化アルミニウム溶液(浅田化学工業(株)製,AX−10S)45g(Alとして4.5g、HCl 9.7g相当)を懸濁液に加えておいた。本反応に使用した塩酸使用量はn=0.85に相当するものであった。
塩酸を添加した後、3時間撹拌した。次に、ブフナー漏斗で吸引ろ過(ろ紙No.131,アドバンテック社製,直径150mm)を行った後、さらに精密ろ紙(0.20μm混合セルロースエステル,アドバンテック社製,直径47mm)を用いてブフナー漏斗で吸引ろ過を行った。このようにして2段階のろ過を実施した後、ろ液試料2480g(固形分割合はマグネシウム含有量として5.13%)を回収した。本液60gを晶析前純度比較用試料として採取した後、残液2420gを3Lホーロー容器で加熱濃縮し、液量が1262gになるまで煮詰めた後、覆いをした状態で撹拌しながら自然冷却し、60℃を1時間温度保持した後、温度制御しながら30℃まで2時間かけて冷却して結晶を析出させた。
結晶含有液はブフナー漏斗で吸引ろ過ろ紙No.2、アドバンテック社製、直径150mm)を行い、ろ過残分320gを回収し、分析試料とした。試料結晶及び晶析前純度比較用試料のマグネシウム含有量、マグネシウム含有量に対する不純物(カルシウム、硫酸塩、鉄、Al)の含有量の割合を測定した。その結果を表7に示す。
実施例21
実施例20で別途回収した懸濁液1544g(Mgとして152.7g;6.281mol)を3Lホーロー容器に移し、ポリプロピレン製シートで容器上面を覆い、撹拌しながら合成塩酸1257g(東亜合成(株)製 含量;HClとして35.70%、448.7g)を計量し、1時間かけて滴下投入し、反応懸濁液2664gを得た。なお、本反応に使用した塩酸使用量はn=0.98に相当するものであった。
ろ液を一晩静置し、上澄清澄部分を抜き出して回収した後、ブフナー漏斗で吸引ろ過(ろ紙0.20μm,混合セルロースエステル,アドバンテック社製,直径47mm)を行い、ろ液試料2320g(固形分割合はマグネシウム含有量として5.67%)を得た。本液60gを晶析前純度比較用試料として採取した後、残液2260gを3Lホーロー容器で加熱濃縮し、液量を1306gまで煮詰めた後、覆いをした状態で撹拌しながら自然冷却し、60℃を1時間温度保持した後、温度制御しながら30℃まで2時間かけて冷却し、結晶を析出させた。結晶含有液はブフナー漏斗で吸引ろ過(ろ紙No.2,アドバンテック社製,直径150mm)を行い、ろ過残分340gを回収し、分析試料とした。試料結晶及び晶析前純度比較用試料のマグネシウム含有量、マグネシウム含有量に対する不純物(カルシウム、硫酸塩、鉄、Al)の含有量の割合を測定した。その結果を表7に示す。
比較例3
富田製薬社製USP重質酸化マグネシウム粉末300gを3Lホーロー容器に入れ、水で懸濁し、全量を1870g(Mgとして176.0g;7.240mol)とした。ポリプロピレンシートで容器上面を覆い、撹拌しながら合成塩酸1483g(東亜合成(株)製,HCl含量として35.70%、529.4g、14.52mol)を1時間かけて加え溶解させた。なお、本反応に使用した塩酸使用量はn=1.0に相当するものであった。
溶液を一晩静置し、上澄清澄部分を抜き出して回収後、撹拌後ブフナー漏斗で吸引ろ過(ろ紙0.20μm,混合セルロースエステル,アドバンテック社製,直径47mm)を行い、ろ液試料2370g(固形分割合はマグネシウム含有量として5.60%)を得た。本液60gを晶析前純度比較用試料として採取後、残液2310gを4.5Lホーロー容器で加熱濃縮し、液量を1318gまで煮詰めた後、覆いをした状態で撹拌しながら自然冷却し、60℃を1時間温度保持した後、温度制御しながら30℃まで2時間かけて冷却し、結晶を析出させた。結晶含有液はブフナー漏斗で吸引ろ過(ろ紙No.2,アドバンテック社製,直径150mm)を行い、ろ過残分370gを回収し、分析試料とした。試料結晶及び晶析前純度比較用試料のマグネシウム含有量、マグネシウム含有量に対する不純物(カルシウム、硫酸塩、鉄、Al)の含有量の割合を測定した。その結果を表7に示す。
Figure 0006355184
表7の結果からも明らかなように、n=1.0で処理した比較例3では再結晶品中に原料中に存在していた不純物が多量に残存していたのに対し、本発明の製造方法による再結晶品は不純物を効果的に除去できた結果、高純度の塩化マグネシウム結晶が得られることがわかる。

Claims (26)

  1. 塩化マグネシウム水溶液を製造する方法であって、
    (1)不溶性マグネシウム化合物系原料と塩化水素を反応させるに際し、前記原料中に含まれるMg2+イオン1モルに対して2nモル(但し、nは0.00<n≦0.98を満たす。)の塩化水素を反応させることにより反応生成物を得る反応工程、
    (2)反応系中に存在する不溶性マグネシウム化合物を含むスラッジを除去することにより塩化マグネシウム水溶液を得る分離工程
    を含むことを特徴とする塩化マグネシウム水溶液の製造方法。
  2. 塩化マグネシウム水溶液に含まれるマグネシウム重量(Mgとしての重量)に対し、鉄重量(Feとしての重量)の割合が10ppm以下であり、アルミニウム重量(Alとしての重量)の割合が100ppm以下である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記nが0.50≦n≦0.98である、請求項1に記載の製造方法。
  4. 不溶性マグネシウム化合物系原料中に含まれるマグネシウム含有量(Mgとしての含有量)が24〜60重量%(乾燥物換算)である、請求項1に記載の製造方法。
  5. 不溶性マグネシウム化合物系原料は、当該原料中に含まれるマグネシウム重量(Mgとしての重量)に対し、鉄重量(Feとしての重量)の割合が160ppm以上であり、アルミニウム重量(Alとしての重量)の割合が160ppm以上である、請求項1に記載の製造方法。
  6. 不溶性マグネシウム化合物系原料中に含まれるマグネシウム重量(Mgとしての重量)に対し、カルシウム重量(Caとして)の割合が含有量2000重量ppm以下、硫酸塩重量(SOとして)の割合が含有量2000重量ppm以下である、請求項5に記載の製造方法。
  7. 塩化マグネシウム水溶液の濃度が10重量%以上である、請求項1に記載の製造方法。
  8. 反応工程に先立って、不溶性マグネシウム化合物系原料の水洗処理を含む洗浄工程をさらに含む、請求項1に記載の製造方法。
  9. 洗浄工程は、
    (a)不溶性マグネシウム化合物系原料の水懸濁液を調製し、当該水懸濁液を固液分離する工程を含む第1工程、
    (b)第1工程を経た不溶性マグネシウム化合物系原料の水懸濁液を調製し、当該水懸濁液がpH12〜14となるまでアルカリを添加及び混合し、加熱した後に固液分離して得られた固形分を水で洗浄する工程を含む第2工程
    を含む、請求項8に記載の製造方法。
  10. 洗浄工程を経た後の不溶性マグネシウム化合物系原料は、当該原料中に含まれるマグネシウム重量(Mgとしての重量)に対し、カルシウム重量(Caとしての重量)の割合が2000ppm以下であり、硫酸塩重量(SOとしての重量)の割合が2000ppm以下である、請求項8又は9に記載の製造方法。
  11. 洗浄工程を経る前の不溶性マグネシウム化合物系原料は、当該原料中に含まれるマグネシウム重量(Mgとしての重量)に対し、鉄重量(Feとしての重量)の割合が160ppm以上、アルミニウム重量(Alとしての重量)の割合が160ppm以上、カルシウム重量(Caとしての重量)の割合が3000ppm以上であり、硫酸塩重量(SOとしての重量)の割合が10000ppm以上である、請求項8又は9に記載の製造方法。
  12. 反応工程において、液相中に塩化アルミニウムを添加する工程をさらに含む、請求項1に記載の製造方法。
  13. 高純度塩化マグネシウムを製造する方法であって、
    (1)不溶性マグネシウム化合物系原料と塩化水素を反応させるに際し、前記原料中に含まれるMg2+イオン1モルに対して2nモル(但し、nは0.00<n≦0.98を満たす。)の塩化水素を反応させることにより反応生成物を得る反応工程、
    (2)反応系中に存在する不溶性マグネシウム化合物を含むスラッジを除去することにより塩化マグネシウム水溶液を得る分離工程、
    (3)前記水溶液から塩化マグネシウムを再結晶化させる再結晶化工程
    を含むことを特徴とする高純度塩化マグネシウムの製造方法。
  14. 再結晶化工程において、塩化マグネシウム水溶液を濃縮し、再結晶化させる、請求項13に記載の製造方法。
  15. 塩化マグネシウム水溶液に含まれるマグネシウム重量(Mgとしての重量)に対し、鉄重量(Feとしての重量)の割合が10ppm以下であり、アルミニウム重量(Alとしての重量)の割合が100ppm以下である、請求項13に記載の製造方法。
  16. 前記nが0.50≦n≦0.98である、請求項13に記載の製造方法。
  17. 不溶性マグネシウム化合物系原料中に含まれるマグネシウム含有量(Mgとしての含有量)が24〜60重量%(乾燥物換算)である、請求項13に記載の製造方法。
  18. 不溶性マグネシウム化合物系原料は、当該原料中に含まれるマグネシウム重量(Mgとしての重量)に対し、鉄重量(Feとしての重量)の割合が160ppm以上であり、アルミニウム重量(Alとしての重量)の割合が160ppm以上である、請求項13に記載の製造方法。
  19. 不溶性マグネシウム化合物系原料中に含まれるマグネシウム重量(Mgとしての重量)に対し、カルシウム重量(Caとして)の割合が含有量2000重量ppm以下、硫酸塩重量(SOとして)の割合が含有量2000重量ppm以下である、請求項18に記載の製造方法。
  20. 塩化マグネシウム水溶液の濃度が10重量%以上である、請求項13に記載の製造方法。
  21. 反応工程に先立って、不溶性マグネシウム化合物系原料の水洗処理を含む洗浄工程をさらに含む、請求項13に記載の製造方法。
  22. 洗浄工程は、
    (a)不溶性マグネシウム化合物系原料の水懸濁液を調製し、当該水懸濁液を固液分離する工程を含む第1工程、
    (b)第1工程を経た不溶性マグネシウム化合物系原料の水懸濁液を調製し、当該水懸濁液がpH12〜14となるまでアルカリを添加及び混合し、加熱した後に固液分離して得られた固形分を水で洗浄する工程を含む第2工程
    を含む、請求項21に記載の製造方法。
  23. 洗浄工程を経た後の不溶性マグネシウム化合物系原料は、当該原料中に含まれるマグネシウム重量(Mgとしての重量)に対し、カルシウム重量(Caとしての重量)の割合が2000ppm以下であり、硫酸塩重量(SOとしての重量)の割合が2000ppm以下である、請求項21又は22に記載の製造方法。
  24. 洗浄工程を経る前の不溶性マグネシウム化合物系原料は、当該原料中に含まれるマグネシウム重量(Mgとしての重量)に対し、鉄重量(Feとしての重量)の割合が160ppm以上であり、アルミニウム重量(Alとしての重量)の割合が160ppm以上であり、カルシウム重量(Caとしての重量)の割合が3000ppm以上であり、硫酸塩重量(SOとしての重量)の割合が10000ppm以上である、請求項21又は22に記載の製造方法。
  25. 反応工程において、液相中に塩化アルミニウムを添加する工程をさらに含む、請求項13に記載の製造方法。
  26. 高純度塩化マグネシウムを製造する方法であって、
    (A)マグネシウム含有量(Mgとしての含有量)が24〜60重量%(乾燥物換算)であり、マグネシウム重量(Mgとしての重量)に対し、鉄重量(Feとしての重量)の割合が160ppm以上であり、アルミニウム重量(Alとしての重量)の割合が160ppm以上であり、カルシウム重量(Caとしての重量)の割合が3000ppm以上であり、硫酸塩重量(SOとしての重量)の割合が10000ppm以上である不溶性マグネシウム化合物系原料の水懸濁液を調製し、当該水懸濁液を固液分離する工程を含む水洗工程、
    (B)水洗工程を経た不溶性マグネシウム化合物系原料の水懸濁液を調製し、当該水懸濁液がpH12〜14となるまでアルカリを添加及び混合し、加熱した後に固液分離する工程を含むアルカリ洗浄工程
    (C)マグネシウム重量(Mgとしての重量)に対し、カルシウム重量(Caとしての重量)の割合が2000ppm以下であり、硫酸塩重量(SOとしての重量)の割合が2000ppm以下であるアルカリ洗浄工程を経た不溶性マグネシウム化合物系原料と塩化水素を反応させるに際し、前記原料中に含まれるMg2+イオン1モルに対して2nモル(但し、nは0.00<n≦0.98を満たす。)の塩化水素を反応させることにより反応生成物を得る反応工程、
    (D)反応系中に存在する不溶性マグネシウム化合物を含むスラッジを除去することによりマグネシウム重量(Mgとしての重量)に対し、鉄重量(Feとしての重量)の割合が10ppm以下であり、アルミニウム重量(Alとしての重量)の割合が100ppm以下である塩化マグネシウム水溶液を得る分離工程、
    (E)前記水溶液から塩化マグネシウムを再結晶化させる工程
    を含むことを特徴とする高純度塩化マグネシウムの製造方法。
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