以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の内部断面図である。図1に示される画像形成装置1は、いわゆるモノクロプリンター機であるが、他の実施形態において、画像形成装置は、カラープリンター、ファクシミリ装置、これらの機能を備える複合機やトナー画像をシートに形成するための他の装置であってもよい。尚、以下の説明で用いられる「上」や「下」、「前」や「後」、「左」や「右」といった方向を表す用語は、単に、説明の明瞭化を目的とするものであり、画像形成装置の原理を何ら限定するものではない。また、以下の説明において、「シート」との用語は、コピー用紙、コート紙、OHPシート、厚紙、葉書、トレーシングペーパーや画像形成処理を受ける他のシート材料或いは画像形成処理以外の任意の処理を受けるシート材料を意味する。
画像形成装置1は、略直方体形状の主筐体2を含む。主筐体2は、略直方体形状の下部筐体21(筐体)と、下部筐体21の上方に配設される略直方体形状の上部筐体22と、下部筐体21と上部筐体22とを連結する連結筐体23とを含む。下部筐体21、上部筐体22及び連結筐体23で囲まれる排出空間24に印刷処理が施与されたシートが排出される。
画像形成装置1は、給紙カセット110と、給紙部11と、画像形成部120とを備える。給紙部11は、ピックアップローラー112と、給紙ローラー113と、を備える。給紙部11は、給紙カセット110からシートPを右方向(搬送方向)に向かってシート搬送路PPに給紙する。シート搬送路PPは、給紙部11から画像形成部120内に配設された転写位置TPを通過するように配設された搬送路である。
給紙カセット110の内部には、シートPが積載される。給紙カセット110は、下部筐体21から前方向(図1の紙面手前方向)に引き出され、後方向(所定の装着方向)に沿って下部筐体21に装着可能である。給紙カセット110は、シートPを支持するリフト板111を備える。リフト板111は、シートPの先頭縁を上方に押し上げるように傾斜する。
ピックアップローラー112は、リフト板111によって上方に押し上げられたシートPの先頭縁上に配置される。ピックアップローラー112が回転すると、シートPは給紙カセット110から引き出される。なお、シートPは、下部筐体21の内部において給紙カセット110の装着方向と交差する給紙方向(右方向)に向かって給紙される。給紙ローラー113は、ピックアップローラー112のシート搬送方向下流側に配設される。給紙ローラー113は、シートPを更にシート搬送方向の下流側に送り出す。
画像形成部120は、給紙カセット110から給送されたシートPに画像を形成する。画像形成部120は、感光体ドラム121と、帯電器122と、露光装置123と、現像装置124と、トナーコンテナ125と、転写ローラー126と、クリーニング装置127と、を備える。
感光体ドラム121は、周面に静電潜像が形成されるとともに、該静電潜像に応じたトナー画像を担持する。帯電器122は、感光体ドラム121の周面を略一様に帯電させる。露光装置123は、感光体ドラム121の周面に、レーザー光を照射する。現像装置124は、感光体ドラム121の周面にトナーを供給する。トナーコンテナ125は、現像装置124へトナーを供給する。現像装置124がトナーを感光体ドラム121に供給すると、感光体ドラム121の周面に形成された静電潜像が現像(可視化)され、トナー画像が形成される。転写ローラー126は、転写位置TPにおいて、感光体ドラム121の周面に形成されたトナー画像をシートPに転写する。クリーニング装置127は、シートPへトナー画像が転写された後に、感光体ドラム121の周面に残るトナーを除去する。
画像形成装置1は、画像形成部120よりも搬送方向下流側に、シートP上のトナー画像を定着させる定着装置130を更に備える。定着装置130は、シートP上のトナーを溶融させる加熱ローラー131と、シートPを加熱ローラー131に密着させる圧力ローラー132と、を備える。
次に、本実施形態に係る給紙カセット110について、更に詳述する。図2は、本実施形態に係る給紙カセット110の斜視図である。図3は、給紙カセット110の平面図である。図4は、図3の給紙カセット110からリフト板111が取り外された状態の平面図である。
図2を参照して、給紙カセット110は、略直方体形状からなり、上面が開口されている。給紙カセット110は、カセット底部110T(底部)と、カセット前壁110Aと、カセット後壁110Bと、カセット右壁110Rと、カセット左壁110Lと、を備える。カセット底部110Tは、給紙カセット110の底部分であって、平面視で矩形形状を備えている。カセット底部110Tの上面にシートPが積載される。カセット底部110Tの前後左右の側部から、それぞれ、カセット前壁110A、カセット後壁110B、カセット左壁110Lおよびカセット右壁110Rが立設されている。この結果、給紙カセット110の内部にシート収容部110S(図1)が形成され、シートPが収容される。なお、図2において、カセット前壁110Aの前側には不図示のカセットカバーが装着される。また、カセット右壁110Rは、右レール110R1を備える。同様に、カセット左壁110Lにも、不図示の左レールが備えられている。これらのレールは、給紙カセット110の下部筐体21への装着をガイドする。この際、給紙カセット110は、図2および図3の矢印DH方向に向かって下部筐体21に装着される。
また、前述のリフト板111は、カセット前壁110Aおよびカセット後壁110Bから突設されたカセット軸支部110P(図4)を支点として回動可能とされている。カセット軸支部110Pは、リフト板111に開口された穴状のリフト板支点部111S(図2、図3)に挿通されている。また、リフト板111は、パッド部材111P(図3)を備える。パッド部材111Pは、リフト板111の右端部に貼り付けられた弾性部材である。パッド部材111Pは、最終紙およびその付近のシート束の重送を防止する。
給紙カセット110は、更に、後端カーソル50と、後端ガイド部110Hとを備える(図2)。後端カーソル50は、シート収容部110Sに収容されるシートの搬送方向後端部を規制する。後端ガイド部110Hは、カセット底部110Tにおいて左右方向に延びるガイド溝である。後端カーソル50は、後端ガイド部110Hに沿って、シートPの搬送方向に移動可能とされている。後端ガイド部110Hの前側には、シートPのサイズが表示された後端用サイズ表示部110H1が配置されている(図4)。
また、給紙カセット110は、第1カーソル51と、第2カーソル52(カーソル)と、ピニオンギア53と、を備える(図4)。第1カーソル51は、カセット底部110Tにおいて給紙カセット110の装着方向に沿って移動可能とされ、シートPの前記装着方向先端側の端縁に当接する。同様に、第2カーソル52は、カセット底部110Tにおいて前記装着方向に沿って移動可能とされ、シートPの前記装着方向後端側の端縁に当接する。
第1カーソル51は、第1ラック511を備える。また、第2カーソル52は、第2ラック521を備える。第1ラック511および第2ラック521は、それぞれ、第1カーソル51および第2カーソル52からシートPの幅方向内側に向かって延びている。第1ラック511および第2ラック521には、ラックギア(図5Aの移動用ラックギア521G参照)が備えられている。これらのラックギアは、第1カーソル51と第2カーソル52との間に回転可能に配置されたピニオンギア53(図4)に係合されている。この結果、第1カーソル51および第2カーソル52は、連動して、シートPの幅方向(前後方向)にスライド移動することができる。
図4を参照して、給紙カセット110は、サイズ表示部1Aと、定型サイズ用溝部1Bと、固定用ラック1Cとを備える。サイズ表示部1Aには、シートPのサイズが複数表示されている。第2カーソル52が前後方向に移動されると、第2カーソル52の一端(図7Aの第2カーソル指示部52I)がサイズ表示部1Aの一のシートサイズを指示する。この結果、シート収容部110Sに収容可能なシートPのサイズが使用者に認識される。
定型サイズ用溝部1Bは、サイズ表示部1Aの右側において、前後方向に間隔をおいて配置された複数の溝1B1(図7A)を備える。当該溝は、それぞれ左右方向に所定の長さを備え、カセット底部110Tの一部が凹没することで形成されている。定型サイズ用溝部1Bの溝1B1に、後記の定型サイズ用突片52C(図5C)が挿入される際のクリック感によって、第2カーソル52が所定位置に至ったことがユーザーに認識される。
固定用ラック1Cは、カセット底部110Tにおいて、定型サイズ用溝部1Bの右側に前後方向(第1方向)に延びるように配置されている。固定用ラック1Cは、前後方向に所定のピッチで連続して形成された複数のギア歯1C1を含む(図7B参照)。固定用ラック1Cは、第2カーソル52の前後方向(第1方向)における位置を固定する機能を備えている。なお、前述のように、第1カーソル51および第2カーソル52は、ピニオンギア53を介して一体的に移動する。このため、第2カーソル52の位置が固定用ラック1Cによって固定されると、第1カーソル51の位置も自ずと固定される。
次に、本実施形態に係る第2カーソル52について、更に詳述する。図5Aおよび図5Bは、本実施形態に係る第2カーソル52の斜視図である。図5Cは、第2カーソル52の正面図である。図6Aは、第2カーソル52の一部であるロック部材52Bの正面図である。図6Bおよび図6Cは、ロック部材52Bの斜視図である。図7Aは、給紙カセット110の一部を拡大した平面図である。図7Bは、給紙カセット110の一部を拡大した断面図である。
第2カーソル52は、規制部材52Aと、ロック部材52Bと、定型サイズ用突片52C(図5B、図5C)と、突片押圧ばね52D(図5C)と、ロック付勢ばね52E(図7B)(付勢部材)と、を備える。規制部材52Aは、シートPの端縁に当接し、シートPの幅方向(給紙カセット110の装着方向)の位置を規制する、第2カーソル52の本体部分である。図5Aに示すように、前述の第2ラック521は、規制部材52Aの下端部から後方に向かって延設されている。規制部材52Aは、規制プレート52A1(規制部)と、リブ52A2と、対向バー52A3(対向部)と、軸支孔52A4と、ガイド片52A5と、ばね装着部52A6と、第1ばね係止部52A7(図7B)と、を備える。
規制プレート52A1は、上下および左右方向に延びる板状部材である。規制プレート52A1の後側の側面が、シートPの端縁に当接する。図5Cに示すように、正面視において、規制プレート52A1は、矩形形状の上端の中央部が略台形に切り欠かれた形状からなる。リブ52A2は、規制プレート52A1の前側(規制部材52Aの規制面の裏側)において、格子状に形成されたリブである。リブ52A2によって、規制プレート52A1の剛性が高められている。
対向バー52A3は、規制プレート52A1に連結された細長片である。対向バー52A3は、規制プレート52A1の中央部に対向して、左右方向に延びている。対向バー52A3の両端部は、リブ52A2の一部に連結されている。対向バー52A3は、規制プレート52A1よりも給紙カセット110装着方向後端側(前側)に配置されている。対向バー52A3は、規制プレート52A1との間で後記のロック部材52Bを挟むように配置され、ロック部材52Bが進入可能な空間部を形成している。
軸支孔52A4は、規制プレート52A1に形成された一対の孔部である。軸支孔52A4には、ロック部材52Bの軸部52B5が挿通される。ガイド片52A5は、規制プレート52A1の下端縁に配置された一対の突片である。一対のガイド片52A5は、それぞれ左右方向の外側に向かって突出している。カセット底部110Tに形成された不図示のガイド溝に、ガイド片52A5が挿通されることで、第2カーソル52の前後方向の移動がガイドされる。
ばね装着部52A6(図5C)は、リブ52A2の一部によって画定された壁面からなる。ばね装着部52A6の上面は、突片押圧ばね52Dの上端部を支持する。第1ばね係止部52A7(図7B)は、規制プレート52A1の前側の壁面において、左右方向の中央部に配置された突起である。なお、図5A乃至図5Cでは、ロック部材52Bに覆われているため、第1ばね係止部52A7は現れていない。第1ばね係止部52A7には、後記のロック付勢ばね52Eの一端が係止される。
ロック部材52Bは、規制部材52Aに装着される部材であって、規制部材52Aと一体的に給紙カセット110から取り外し可能とされている。ロック部材52Bは、第2カーソル52の位置をロックする機能を備えている。図6A乃至図6Cを参照して、ロック部材52Bは、把持部52B1と、段差部52B2と、中央支持部52B3と、脚部52B4と、軸部52B5と、中央突部52B6と、係合突起52B7と、第2ばね係止部52B8(図7B)と、を備える。
図5Aに示すように、ロック部材52Bは、規制部材52Aの左右方向の中央部であって、規制プレート52A1の前側(裏側)に装着される。把持部52B1は、ロック部材52Bの上端部に配置された舌状部分からなる。給紙カセット110の使用者が第2カーソル52をスライド移動させる際に、把持部52B1は規制プレート52A1とともに使用者によって把持される。なお、把持部52B1は、前述の対向バー52A3よりも上方に配置されている。段差部52B2は、把持部52B1の下方に位置し、把持部52B1よりも後方に段差をもって配置されている。この結果、図6B、図6Cに示すように、段差部52B2の前側には、凹部52BSが形成されている。凹部52BSは、対向バー52A3に対向して配置される。中央支持部52B3は、段差部52B2の左右方向の中央部から下方に延びている。また、一対の脚部52B4は、中央支持部52B3を挟むように配置され、それぞれ、段差部52B2の左右方向の両端部から下方に延びている。軸部52B5は、脚部52B4の下端部からそれぞれ左右方向(給紙カセット110の装着方向と交差する方向)において外側に向かって突設された円柱状の軸部分である。なお、脚部52B4は、薄板状の部材からなるため、左右方向に弾性変形可能とされる。このため、ロック部材52Bが規制部材52Aに装着される際に、軸部52B5が容易に軸支孔52A4(図5A、図5B)に挿通される。
中央突部52B6(図6C)は、中央支持部52B3の下端側から突設された突起部である。中央突部52B6の下端部には、係合突起52B7が備えられている。なお、係合突起52B7は、一対の軸部52B5よりも下方に位置している。また、図6Bおよび図7Bを参照して、係合突起52B7は、前後方向に所定のピッチで隣接する2つの係合歯を備える。当該2つの歯型では、それぞれ、前側(給紙カセット110の装着方向後端側)の側面52G1(図6B)が鉛直方向に延び、後側(装着方向先端側)の側面52G2(図6B)が給紙カセット110の装着方向に沿って先上がりの傾斜面からなる(図7B参照)。第2ばね係止部52B8(図7B)は、中央支持部52B3の後側の側面から後方に突設された突起である。第2ばね係止部52B8には、ロック付勢ばね52Eの前端部が係止される。
ロック部材52Bの軸部52B5が規制部材52Aの軸支孔52A4(図5A、図5B)に挿通されると、ロック部材52Bは、軸部52B5回りに回動可能に規制部材52Aに支持される。この際、図5A乃至図5Cに示すように、ロック部材52Bの段差部52B2は、規制プレート52A1と対向バー52A3との間に位置する。更に、ロック部材52Bの把持部52B1は、対向バー52A3の上方において、前方に向かって先上がりとなるように傾斜している。また、対向バー52A3は、部分的に、ロック部材52Bの凹部52BS(図6B)に嵌っている。
定型サイズ用突片52C(図5B、図5C)は、ロック部材52Bの左側で、規制部材52Aに支持されている突片である。詳しくは、定型サイズ用突片52Cは、ばね装着部52A6(図5C)の下面に形成された不図示のスリットに挿通されている。また、定型サイズ用突片52Cの上端部には、突片押圧ばね52Dの下端部が係止されている。この結果、定型サイズ用突片52Cは、上下方向にスライド移動可能とされる。突片押圧ばね52Dは、定型サイズ用突片52Cを下方に向かって付勢する。突片押圧ばね52Dの付勢力によって、定型サイズ用突片52Cは、給紙カセット110の定型サイズ用溝部1Bの溝1B1(図7A)に進入可能とされる。なお、溝1B1には、不図示のテーパ面(傾斜面)が形成されている。このため、作業者が第2カーソル52をスライド移動する際の移動力によって、定型サイズ用突片52Cは突片押圧ばね52Dを圧縮しながら上記のテーパ面に沿って溝1B1から抜け出すことができる。
ロック付勢ばね52E(図7B)は、軸部52B5よりも上方において規制部材52Aとロック部材52Bとの間で圧縮して配置される圧縮ばねである。また、ロック付勢ばね52Eは、前述の対向バー52A3よりも軸部52B5側(下方)に配置されている。
図7Aおよび図7Bを参照して、第2カーソル52は、給紙カセット110において前後方向にスライド移動可能とされる。図7Bに示すように、ロック付勢ばね52Eは、軸部52B5よりも上方において、規制部材52Aに対してロック部材52Bを前方に向かって付勢している。この結果、ロック付勢ばね52Eの付勢力によって、ロック部材52Bに軸部52B5回りの回転力が付与され(図7Bの矢印D1)、固定用ラック1Cのギア歯1C1とロック部材52Bの係合突起52B7とが係合することで、第2カーソル52の前後方向における位置が固定される。
一方、給紙カセット110の使用者が、図7Bの規制部材52Aと把持部52B1とを上方から把持すると、ロック付勢ばね52Eの付勢力に抗して、ロック部材52Bが軸部52B5回りに矢印D1とは反対の方向に回動される。この結果、固定用ラック1Cのギア歯1C1とロック部材52Bの係合突起52B7との係合、すなわち、第2カーソル52のロックが解除され、第2カーソル52が前後方向に移動可能とされる。このため、使用者(作業者)によってロック部材52Bが回動されることで、第2カーソル52の移動が容易に実現される。
前述のように、給紙カセット110のカセット底部110Tには、第2カーソル52の位置を固定するための固定用ラック1Cの他に、サイズ表示部1Aおよび定型サイズ用溝部1Bが備えられている(図7A)。図7Aでは、第2カーソル52の左端部に位置する第2カーソル指示部52Iが、サイズ表示部1Aの「A4サイズ」を指示している。また、図7Aには現れていないが、第2カーソル52の下方では、定型サイズ用突片52C(図5C)が、定型サイズ用溝部1Bのうちの一の溝1B1(図7A)に進入している。使用者は、上記のように第2カーソル52をスライド移動させる際、サイズ表示部1Aのシートサイズを見ながら、第2カーソル52の固定位置を把握することができる。加えて、第2カーソル52の移動に伴って定型サイズ用溝部1Bの平面部1B2(図7A)を滑りながら移動する定型サイズ用突片52C(図5C)が、次の溝1B1に進入する際のクリック感によっても、使用者は第2カーソル52の定型サイズ用の固定位置を認識することができる。なお、図7Bに示すように、カーソル固定部1Cには前後方向に沿ってギア歯1C1が連続的に形成されている。このため、サイズ表示部1Aに示される定型サイズ以外の非定型サイズのシートPが給紙カセット110に収容される場合であっても、当該シートPの端縁が第1カーソル51および第2カーソル52によって規制可能とされる。
本実施形態では、第1カーソル51および第2カーソル52によって規制されるシートPの幅方向が、給紙カセット110の装着方向に沿うように、給紙カセット110が配置されている。このため、使用者によって、給紙カセット110が後方に向かって勢いよく下部筐体21(図1)に装着されると、第1カーソル51がシート束によって後方に向かって直接衝撃を受けるとともに、第1カーソル51に連結されている第2カーソル52の規制部材52Aが後方に倒れやすい(図7Bの矢印D3)。仮に、規制部材52Aおよびロック部材52Bが、複数の固定部によって一体的に固定されている場合、規制部材52Aとともにロック部材52Bが倒れると、固定用ラック1Cのギア歯1C1から係合突起52B7が脱離し、第2カーソル52のロックが解除されてしまう。特に、本実施形態では、固定用ラック1Cのギア歯1C1とロック部材52Bの係合突起52B7とが係合する係合位置P1(図7B)が、規制部材52AがシートPの端縁を規制する規制位置P2(図7B)よりも、給紙カセット110の装着方向後端側(前側)に配置されている。この場合、ロック部材52Bの倒れが係合突起52B7の脱離(浮き上がり)に繋がりやすくなる。係合突起52B7が誤って脱離すると、第2カーソル52の位置がずれ、積載されたシートPの位置ずれがもたらされる。この結果、シートPの搬送不良や画像ずれが発生してしまう。
本実施形態では、このような課題を解決するために、ロック部材52Bが軸部52B5回りに回動可能に規制部材52Aに支持されており、第2カーソル52のロック状態において、軸部52B5よりも上方では、規制部材52Aとロック部材52Bとが当接していない。詳しくは、図7Bのように、第2カーソル52が給紙カセット110に装着された状態では、一対の軸部52B5がそれぞれ軸支孔52A4(図5A、図5B)に支持されている箇所以外では、ロック部材52Bが規制部材52Aに当接する箇所はない。このため、給紙カセット110の装着時に規制部材52Aが図7Bの矢印D3方向に倒れた場合でも、ロック部材52Bが倒れにくく、係合突起52B7が固定用ラック1Cのギア歯1C1から脱離することが抑止される。したがって、給紙カセット110の装着時の衝撃によって、第2カーソル52のロックが解除されることが抑止される。
なお、図7Bを参照して、固定用ラック1Cのギア歯1C1とロック部材52Bの係合突起52B7とが係合した状態において、規制プレート52A1および対向バー52A3とロック部材52Bの段差部52B2との間にはそれぞれ隙間が形成されている。このため、規制部材52Aが図7Bの矢印D3方向に倒れた場合でも、対向バー52A3が段差部52B2を後方に押圧しにくく、ロック部材52Bが倒れることが抑止される。
また、ロック付勢ばね52E(図7B)は、対向バー52A3よりも軸部52B5側に配置されている。このため、作業者が、ロック付勢ばね52Eの付勢力に抗して、第2カーソル52を操作する際の操作力が低減される。更に、第2カーソル52のロック状態において、対向バー52A3は凹部52BS内に配置され、把持部52B1が対向バー52A3よりも装着方向後端側に突出している。このため、第2カーソル52のロック状態における把持部52B1と規制プレート52A1との距離が大きく設定され、作業者が把持部52B1と規制プレート52A1とを掴みやすい。このため、第2カーソル52の操作性が向上される。
また、使用者によっては、規制部材52Aとロック部材52Bとを同時に把持することなく、ロック部材52Bだけを把持した状態で、第2カーソル52を移動させようとする場合がある。このような場合であっても、使用者がロック部材52Bを勢いよく移動させようとすると、ロック部材52Bが規制プレート52A1または対向バー52A3に当接可能であるため、ロック部材52Bの移動が規制される。このため、係合突起52B7の破損や、軸部52B5が軸支孔52A4から抜け出すことがなく、第2カーソル52の破損が防止される。
なお、第2カーソル52のメンテナンスなどに際して、第2カーソル52が給紙カセット110のカセット底部110T(図2)から取り外されると、ロック付勢ばね52Eの付勢力によって、ロック部材52Bが軸部52B5回りに更に回動され、ロック部材52Bが対向バー52A3に当接する(図5A、図5B)。すなわち、対向バー52A3がロック部材52Bの回り止めとして機能する。この結果、規制部材52Aからロック部材52Bが脱離することが防止され、第2カーソル52の部品が紛失することが抑止される。
次に、図8A乃至図13を参照して、第2カーソル52の固定位置について更に詳述する。図8Aおよび図8Bは、第2カーソル52が「LTR(レターサイズ)」または「LGL(リーガルサイズ)」に対応する固定位置に配置された際の給紙カセット110の一部の平面図および断面図である。同様に、図9Aおよび図9Bは、第2カーソル52が「B5サイズ」に対応する固定位置に配置された際の給紙カセット110の一部の平面図および断面図である。また、図10Aおよび図10Bは、第2カーソル52が「A5サイズ」に対応する固定位置に配置された際の給紙カセット110の一部の平面図および断面図である。図11Aおよび図11Bは、第2カーソル52が「A6サイズ」に対応する固定位置に配置された際の給紙カセット110の一部の平面図および断面図である。図12は、第2カーソル52が「DL(封筒)サイズ」に対応する固定位置に配置された際の給紙カセット110の一部の断面図である。更に、図13は、本実施形態に係る給紙カセット110において、各種のシートサイズに対応した第2カーソル52の固定位置をまとめて示した断面図である。
図7Aおよび図7Bに示される「A4サイズ」に対応した固定位置から第2カーソル52が前方に移動されると、図8Aおよび図8Bに示すように、第2カーソル52は、「LTR(レターサイズ)」または「LGL(リーガルサイズ)」に対応した固定位置に固定可能とされる。LTRサイズに対応した第2カーソル52の固定位置には、前後方向に隣接する3つのギア歯1C1が配置されている。そして、第2カーソル52の係合突起52B7は、隣接する3つのギア歯1C1のうち2つのギア歯1C1に係合している。
同様に、図7Aおよび図7Bに示される「A4サイズ」に対応した固定位置から第2カーソル52が後方に移動されると、図9Aおよび図9Bに示すように、第2カーソル52は、「B5サイズ」に対応した固定位置に固定可能とされる。この場合も、第2カーソル52の係合突起52B7は、隣接する3つのギア歯1C1によって形成される2つの凹部に嵌りこんでいる。更に、第2カーソル52が後方に移動されると、図10Aおよび図10Bに示すように、第2カーソル52は、「A5サイズ」に対応した固定位置に固定可能とされる。この場合も、第2カーソル52の係合突起52B7は、隣接する3つのギア歯1C1のうち2つのギア歯1C1に係合している。
一方、図10Aおよび図10Bに示される「A5サイズ」に対応した固定位置から第2カーソル52が後方に移動されると、図11Aおよび図11Bに示すように、第2カーソル52は、「A6サイズ」に対応した固定位置に固定可能とされる。この場合、図11Bに示すように、係合突起52B7の後側の歯と、係合突起52B7よりも後方に位置するギア歯1C1との間には僅かに隙間が形成されている。換言すれば、A6サイズに対応した第2カーソル52の固定位置には、1つのギア歯1C1が配置されている。そして、係合突起52B7が、1つのギア歯1C1のみに係合することで、第2カーソル52の位置が固定されている。
なお、図10Aおよび図10Bに示される「A5サイズ」に対応した固定位置と、図11Aおよび図11Bに示される「A6サイズ」の固定位置との間には、図12に示す「DL(封筒)」サイズの固定位置が備えられている。この固定位置においても、図11Bの場合と同様に、係合突起52B7の2つの歯が、1つのギア歯1C1に嵌りこむことで、第2カーソル52の位置が固定されている。
A4サイズ(縦)のシート幅は297mmであり、A5サイズ(横)のシート幅は148mmであり、A6サイズ(横)のシート幅は105mmである。また、B5サイズ(横)のシート幅は182mmであり、B6サイズ(横)のシート幅は128mmである。更に、レターサイズまたはリーガルサイズのシート幅は8と2分の1インチであり、DL(封筒)サイズのシート幅は110mmである。このように、定型サイズのシート幅は、それぞれ異なっており、特に、小数点以下のミリ単位で違いが生じる。したがって、従来のように、固定用ラック1Cのギア歯1C1が所定のピッチ(たとえば、2mm)で等間隔に形成されている場合、いずれかの定型サイズのシートPにおいて、シートPの端縁と第2カーソル52の規制部材52Aとの間に隙間が生じてしまう。この場合、シートPの位置決めが精度良く実現されず、シートPの斜め搬送や画像ずれが発生するという問題があった。
本実施形態では、このような課題を解決するために、各定型サイズの固定位置に対応したギア歯1C1は、予めシートサイズに最適化された位置に形成されている。特に、本実施形態では、樹脂成型からなる給紙カセット110のカセット底部110Tにおいて、固定用ラック1Cが一体的に成形されている。したがって、予め金型におけるギア歯1C1の位置が適切に配置されることで、第2カーソル52が各定型サイズのシートPの端縁を安定して規制することができる。
図13では、各サイズのシートPにおける第2カーソル52のシート幅規制位置が示されている。本実施形態では、固定用ラック1Cは、複数の定型用固定部(第1規制部)と、非定型用固定部(第2規制部)とを備えている。定型用固定部は、複数種の定型サイズのシートPにそれぞれ対応して、前後方向に間隔をおいて形成されている。図13では、「LTR,LGL」、「A4」、「B5」、「A5」、「STML」、「B6」、「DL」および「A6」の各サイズに対応した第2カーソル52の固定位置が、定型用固定部に相当する。なお、各定型用固定部に対応するように、定型サイズ用溝部1B(図7A)には、溝1B1が配置されている。一方、図13において、「FS」で示される領域が、非定型用固定部に相当する。
定型用固定部におけるギア歯1C1が、各シートサイズに最適な位置に形成されている場合、隣接する定型用固定部同士の間には、非定型用固定部として等間隔のギア歯1C1を形成することが困難である。このため、本実施形態では、非定型用固定部において、所定のピッチのギア歯1C1の一部のピッチが部分的に異なっている。なお、固定用ラック1Cにおけるギア歯1C1の歯形状は、係合突起52B7の2つの歯の間の凹部に嵌ることができるよう、すべて同じ形状を備えている。
上記について換言すれば、本実施形態では、非定型用固定部におけるギア歯1C1のピッチが部分的に異なることによって、定型用固定部のギア歯1C1は、それぞれの定型サイズのシートサイズに応じた固有の位置に配置することが可能となる。このため、定型および非定型サイズ(その他のサイズ)のシートPの位置を規制することが可能であるとともに、特に、定型サイズの規制位置の精度が向上される。
なお、前述のDLサイズ用(図13)の定型用固定部(第1規制部)とA6サイズ用の定型用固定部(第1規制部)との間には、非定型用固定部(FS)が配置されていない。そして、これらの2つの定型用固定部(A6用、DL用)は、いずれも一つのギア歯1C1からなる。このような構成によれば、2種のシートサイズの大きさが近似し、それぞれの定型用固定部が近接している場合であっても、第2カーソル52をそれぞれの固定位置に安定して固定することができる。
また、本実施形態では、固定用ラック1Cのギア歯1C1は、第1傾斜面1C2と、第1壁面1C3と、を備える(図13)。第1傾斜面1C2は、第2カーソル52からシートPの端縁に向かう方向(後方向)に沿って先上がりに傾斜している。また、第1壁面1C3は、第1傾斜面1C2の頂点から下方に延びている。一方、係合突起52B7は、側面52G1(第2壁面)と、側面52G2(第2傾斜面)と、を備える(図6B)。側面52G1は、鉛直方向に沿って延びている。また、側面52G2は、側面52G1の下端部に連結され、第2カーソル52からシートPの端縁に向かう方向に沿って先上がりに傾斜している。このように、固定用ラック1Cのギア歯1C1および係合突起52B7の歯型形状が構成されていることによって、給紙カセット110にシートPの束が挿入された場合や、給紙カセット110が下部筐体21に装着される際の勢いによって、第2カーソル52に前後方向に沿った外力が付与される場合でも、第2カーソル52の係合突起52B7と固定用ラック1Cのギア歯1C1との係合が外れることが抑止される。
以上、本発明の実施形態に係る給紙カセット110および画像形成装置1について説明した。このような構成によれば、定型および非定型サイズのシートPの位置を規制することが可能であるとともに、特に、定型サイズの規制位置の精度が向上される。このため、シートPの位置が安定して規制され、シートPの斜め搬送が防止される。この結果、シートPに安定して画像を形成することができる。なお、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば次のような変形実施形態を取ることができる。
(1)上記の実施形態では、下部筐体21の内部において、シートPは給紙カセット110の装着方向と交差する方向に給紙される態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない、シートPは、給紙カセット110の装着方向に沿うような方向に給紙される態様でもよい。この場合、給紙カセット110は、第1カーソル51を備えなくてもよい。そして、第2カーソル52はシートPの後端位置を規制する。
(2)上記の実施形態では、第2カーソル52が、規制部材52Aおよびロック部材52Bからなる態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。他の変形実施形態において、規制部材52Aおよびロック部材52Bは、一体的に構成されてもよい。また、上記の実施形態では、規制部材52Aが対向バー52A3を備える態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。規制部材52Aは対向バー52A3を備えないものでもよい。