JP6353252B2 - 塗布装置 - Google Patents

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Description

ここに開示する技術は、ワークに塗布液を塗布する塗布装置に関し、特に、壁状の構造物に取り付けられたワークを塗布液で覆う塗布装置に関する。
特許文献1には、円筒状のワークに塗布層を形成する塗布装置の一例が記載されている。この塗布装置は、円筒状のワークを水平方向に保持し回転させる回動手段を備えており、この回動手段により回転している最中のワークに向けて塗布液を吐出することによって、ワークの外周面上に、均一な厚みを有する塗布層を形成するようにしている。
また、特許文献2には、塗布装置の別例として、ワークを水平方向及び垂直方向に移動させる移動手段と、先端のニードルから塗布液を吐出するシリンジを水平方向に回転可能に保持する保持手段とを備えた構成が記載されている。この構成によると、ワーク表面の少なくとも一部が円弧状にカーブしており、まず移動手段によりワークを移動させて、このカーブしている箇所をニードルに近接させる。次に保持手段により、そのカーブに沿ってニードルが移動するようにシリンジを回転させると共に、塗布液を適宜吐出させる。このように、ワーク表面のカーブした箇所に塗布液を塗布する際に、ワークではなくシリンジの側を回転させるようにしている。
特開2009−268998号公報 特開平4−100558号公報
近年、水平面に対し立ち上がるように配置された壁部の縦面から面直に突出したワークの外周面全体を、ペースト状の塗布液で覆う工程、例えば、結合する板状の部材の表面から突出し、円柱状に形成された、リベットの頭部(突出部)を所定の粘度(マヨネーズ程度の粘度)のシール液でシールする工程に対して、作業の効率化、及び品質の均一化等の観点から自動化を図る要求がある。
しかしながら、特許文献1及び2に記載の塗布装置は、双方とも、前記のような要求に対応できない。
例えば、前記のようなリベットの頭部をシール液でシールするときには、板状の部材(単に板部とも記載)にリベットを取り付けた後、このリベットの頭部をシール液で覆う。そうした作業に特許文献1の塗布装置を適用した場合、頭部をシール液で覆うためには、その頭部、ひいてはリベットを板部ごと回転させる必要がある。しかし、板部の形状、寸法及び重量等を考慮すると、板部を動作させずに固定させておくことが望まれる。
また、特許文献2に記載の塗布装置は、水平方向にシリンジを回転させるようには構成されていないため、水平面に対し立ち上がるように配置された壁部から突出したワークには対応できない。
ここに開示する技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ワークの外周面全体を塗布液で覆うように塗布する塗布装置において、水平面に対し立ち上がるように配置された壁部の縦面から面直に突出したワークに対し、塗布工程を遂行できるようにすることにある。
本願発明者らは、ディスペンサーのノズル口から塗布液を吐出させるときに、縦面から面直に突出するワークの外周面に近接させたノズル口が、その外周面に沿って周方向に移動するように、ディスペンサーをワークの中心軸周りに回転させることにした。
具体的に、ここに開示する技術は、水平面に対し立ち上がるように配置された壁部の縦面から面直に突出したワークの外周面全体を、ペースト状の塗布液で覆う塗布装置に係る。この塗布装置は、ノズル口から前記塗布液を吐出するディスペンサーと、前記ディスペンサーを、前記ノズル口が前記ワークの外周面に近接するような、所定の姿勢に支持すると共に、前記ノズル口が前記ワークの外周面に沿って周方向に移動するように該ディスペンサーを前記ワークの中心軸周りに回動させる回動手段と、前記ディスペンサーを、前記ノズル口が前記ワークの外周面に沿って前記中心軸方向に移動するように該ディスペンサーを前記ワークの中心軸方向に移動させる移動手段と、を備えている。
ここで、「壁部」とは、壁状に広がる面を意味し、少なくとも、ワークが取り付けられる面を含む。塗布装置は、そうした壁部から面直に突出することによって、その中心軸が略水平方向に延びるようなワークを塗布対象としている。
また、ここで言う「ペースト状の塗布液」とは、所定の粘性及び流動性を備えた塗布液を意味し、例えば、15〜35Pa・s程度の、比較的高い粘度を有するものである。この塗布液は、常温下で時間の経過と共に硬化していくようなシール液を含む。
この構成によると、塗布装置は、ワークを塗布液で覆うときには、ノズル口がワークの外周面に沿って周方向に移動するように、ノズル口をワークの外周面に近接させた姿勢に支持しつつ、回動手段を作動させて、ディスペンサーをワークの中心軸周りに回動させる。そして、ディスペンサーが回動している最中にディスペンサーを作動させて、ノズル口からワークの外周面に向けて塗布液を吐出させる。こうして、ディスペンサーをワークの外周面に沿って移動させるべく、ワークの中心軸周りに回動させる動作と、塗布液の吐出動作と、を組み合わせたから、床面に対し立ち上がるように配置された壁部から面直に突出したワークに対しても、その外周面を塗布液で覆うことができる。
さらに、ノズル口がワークの外周面に沿って中心軸方向に移動するように、ディスペンサーを中心軸方向に移動させるようにしたから、回動手段によるノズル口の移動と組み合わせることによって、前記のように設けられたワークの外周面全体を塗布液で覆う上で有利になる。
また、前記回動手段には、前記ノズル口の前記中心軸に対する位置が、前記ワークの外径に応じて変更するように、前記ディスペンサーを移動させる塗布径変更手段が設けられている、としてもよい。
この構成によると、塗布径変更手段を作動させることによって、ディスペンサーが回動する軌道の径を変更することができるから、塗布対象となるワークの外径に応じてノズル口が描く軌道の径(以下、単に塗布径と記載)を調整することができる。よって、様々な寸法を有するワークに対応できる。
また、前記ノズル口の周縁部に取り付けられ且つ、1つ以上の針状毛を有するガイド手段を備え、前記針状毛は、前記ノズル口から該ワークの外周面に向かって延びるように設けられる、としてもよい。
ここで言う「針状毛」とは、針状に形成され、その形状を所定の使用期間にわたって保持できる程度の剛性と、ワークと接触した際に、ワークに対し傷を与えないよう変形する程度の可撓性とを兼ね備えた部材を意味し、例えば、歯ブラシの毛のように、合成樹脂からなるものを含む。
ディスペンサーを用いた塗布装置を使用する際には、ディスペンサーのノズルの耐久性、及びワークを傷つける恐れ等を考慮して、ノズル口とワークとを接触させないようにすることが望ましい。また、幾つかのワークに対して繰り返し塗布していくうちに、塗布液がノズル口周辺に付着乃至こびり付く恐れがある。前述したように、塗布液は、比較的高い粘度を有しているため、ノズル口周辺に付着した塗布液によって、塗布液がワークの外周面に向かう方向に吐出されずに、あらぬ方向に向けて吐出してしまう恐れがある。
この構成によると、ノズル口からワークに向かって延びるように針状毛を設けたから、ノズル口から塗布液が吐出したときに、この針状毛を伝うようにして、ワークの外周面に案内されることになる。そうして、塗布液がワークの外周面に付着すれば、その後、ノズル口がワークの外周面に沿って周方向に移動している最中に、そのノズル口から吐出された塗布液は、塗布液自体の表面張力によって安定してワークの外周面に付着をするようになる。よって、ペースト状の、粘度が比較的高い塗布液を、ワークの外周面に近接して配置したノズル口から吐出するときに、塗布液の吐出方向を安定させ、ひいてはワークに形成される塗布層の品質を向上させる上で有利になる。
ここで、針状毛の数としては、1本に限定されず、複数本用いてもよい。
また、前記針状毛が、前記ノズル口に対して着脱可能に構成されている、としてもよい。
この構成によると、針状毛を適宜取り外すことができるから、例えば、ディスペンサーを動作させる際に、針状毛がワークを覆う塗布液に触れるときや、針状毛が部材に干渉してしまうときには、針状毛をノズル口から外すことが可能になる。
また、前記ディスペンサー及び回動手段は、多関節ロボットのアーム部の先端に取り付けられ、前記多関節ロボットは、前記ディスペンサーを前記ワークの中心軸方向に移動させる移動手段を構成する、としてもよい。
この構成によると、ディスペンサー及び回動手段を有するツール部を、多関節ロボットのアーム部に取り付ける。そして、アーム部の動作によってディスペンサーをワークの中心軸方向に移動させる。このように構成することにより、単に移動手段を構成することができるばかりでなく、ワークとツール部との間の相対位置関係に応じて、ツール部の位置及び姿勢を調整できるようになる。
また、前記ディスペンサーは、多関節ロボットのアーム部の先端に取り付けられ、前記多関節ロボットは、前記回動手段を構成すると共に、前記ディスペンサーを前記ワークの中心軸方向に移動させる移動手段を構成する、としてもよい。
この構成によると、ディスペンサーを、多関節ロボットのアーム部に取り付ける。そして、アーム部の動作によって、ディスペンサーをワークの中心軸周りに回動させると共に、ディスペンサーをワークの中心軸方向に移動させる。このように構成することによって、多関節ロボットによって回動手段及び移動手段を構成することができるばかりでなく、ワークとディスペンサーとの間の相対位置関係に応じて、ディスペンサーの位置及び姿勢を調整できるようになる。
また、前記塗布液は、時間の経過と共に硬化するものであり、前記ディスペンサーは、収容している塗布液に加える吐出圧力の制御を介して、前記ノズル口から吐出する前記塗布液の吐出量を調整するように構成され、前記ノズル口からの塗布液の吐出量を計量する吐出量計量手段を備え、前記ノズル口から実際に吐出される前記塗布液の吐出量を、定期的に計量すると共に、その計量結果に応じて、前記ディスペンサーの吐出圧力の補正を行う吐出量補正手段を備えている、としてもよい。
ディスペンサーが塗布液に加える吐出圧力を調整することによって、ノズル口から吐出する塗布液の吐出量を調整する構成では、塗布液が硬化すると、同一の圧力を加えたとしても、吐出量は減ってしまう。
この構成によると、ノズル口から実際に吐出される塗布液の吐出量を、定期的に計量し、その計量結果に応じて、ディスペンサーの吐出圧力を補正することで、時間の経過と共に硬化していく塗布液であっても、ワークに向けて所定量の塗布液を吐出できるようになる。
以上説明したように、ワークの外周面全体を、ディスペンサーのノズル口から吐出させたペースト状の塗布液で覆う塗布装置において、塗布液を吐出させるときに、ワークの外周面に近接させたノズル口が、その外周面に沿って周方向に移動するように、ディスペンサーをワークの中心軸周りに回転させるように構成したから、縦面から面直に突出したワークに対しても、その外周面全体を塗布液で覆う上で有利になる。
塗布装置の全体構成を一部省略して示す外観図である。 塗布装置を構成するツール部を一部省略して示す拡大図である。 ディスペンサー及びガイド部の要部、及びガイド部の動作を示す説明図である。 塗布装置による塗布工程を示す説明図である。 リベットに対してシール液を吐出するときの、回動機構によるディスペンサーの移動を示す説明図である。
以下、塗布装置の実施形態について、図面を参照しながら説明する。ここで説明する塗布装置は例示である。図1は、塗布装置の全体構成を示している。この塗布装置Dは、ここでは、構造物Sの一要素としてのワークを、塗布液としてのシール液で覆うように構成されている。このワークは、例えば航空機の部品であり、壁部に対し面直に突出するよう構成されており、この実施形態では、その一例として、複数枚の板状材を重ねることで構成された壁部Spの縦面から突出し且つ、紙面上下方向に沿って所定の間隔を空けて並ぶリベットS1〜S5として構成されている(下側から上側にかけて、S1、S2、S3、S4及びS5と順次呼称する)。これらのリベットS1〜S5は、それぞれ壁部Spに打ち込まれていて、その頭部のみが外部に突出している。各頭部は、図4に拡大して示すように、それぞれ円柱状に形成されていて、壁部Spに対して面直な方向に沿って延びている。リベットS1〜S5の頭部は、全て同径である場合、径が異なる場合がある。簡単のため、以下の記載では、“リベットS1〜S5の頭部”のことを単に“リベットS1〜S5”と呼称することにする。
また、以下では、特段の記載がない限り、図3を除く各図に示すように、リベットS1〜S5のうち、特にリベットS1を塗布対象としたときの、塗布装置Dを構成する各要素の動作及び配置等を説明することにする。
この塗布装置Dは、多関節ロボット1(以下では、単にロボットとも記載)と、ロボット1に取り付けられ、種々の機構21及び23〜24、並びに検出手段61〜62を有するツール部2と、ツール部2により動作可能に支持され、ガイド部4が取り付けられたディスペンサー3と、筐体11に配置された吐出量計量機7と、少なくともロボット1及びツール部2に対し電気的に接続されて、検出手段61〜62、及び吐出量計量機7から取得した情報や、外部からの入力に基づき様々な制御パラメータを算出すると共に、算出した制御パラメータに基づいて、ロボット1、ツール部2及びディスペンサー3等を作動させる制御装置5とを備えている。
以下では、塗布装置Dを構成するロボット1、ツール部2及びディスペンサー3等について、各構成の主要部を説明するが、周知のものを採用している部分については、一部を除き図示及び説明しないものとする。
この実施形態におけるロボット1は、床面Fに設置される筐体11と、この筐体11の上面から延びるように配設され、多関節型に構成されたアーム部12と、を備えた産業用ロボットであり、公知のものが採用されている。
アーム部12は、例えば、図1に概略を示すように、6軸構成の垂直多関節ロボットとなるように構成されていて、各軸系のそれぞれが回転軸を介して接続されている。各軸系は、それぞれ所定の方向に回動可能であり、各軸系同士は、公知の伝動機構を介して接続されている。ロボット1は、筐体11に内蔵された駆動装置からの動力を受けて、基端部としての軸系から手首としての軸系にかけて動力を伝達し、各軸系を適宜動作させる。ロボット1の手首としての軸系には、ツール部2が取り付けられていて、ロボット1は、その作動領域内において、ツール部2の位置及び姿勢を自由に変更する。
図2に拡大して示すように、ロボット1の手首としての軸系には、ツール部2を構成する回動手段としての回動機構21が連結されている。この回動機構21は、内蔵されたシャフトの中心軸に沿って延びる方向を回転軸として回動するように、例えば、モーターに伝動可能に連結されている。塗布装置Dを運転させて、塗布対象とするリベットS1をシール液で塗布するとき、制御装置5は、各軸系に向けて制御信号を出力して適宜動作させて、後述する方法に基づき、回動機構21の回転軸をリベットS1の中心軸(つまり、リベットS1の頂面の中心を通り、該頂面及び壁部Spに対し面直に延びる軸)と同軸になるよう位置決めさせる。
モーターは、制御装置5からの制御信号に従って、回動機構21を所定の角速度で回転
させる。このときの回転方向は、時計回り方向、又は反時計回り方向のうちのいずれか一方を適宜選択できるように構成されている。また、このときの角速度についても、連続的に変更できるように構成されている。例えば、回動機構21が時計回り方向に360度回転するとき、初めの0〜180度にかけては一定の角速度で回転させる一方、それに続く180〜360度にかけては徐々に加速するように回転させることができる。
なお、この場合における時計回り方向とは、リベットS1を図1の紙面右側から見たときの、リベットの周方向に対して定義されている(つまり、図5の矢印が示す方向に相当する)。反時計回り方向についても同様である。
回動機構21にはまた、その回転軸に対し傾斜しつつ、リベットS1に向けて延びるように形成され、回動機構21と一体的に回動する回動アーム部23が設けられている。
なお、ツール部2は、ロボット1の各軸系の動作によって、回動機構21の回転軸が延びる方向に移動できるように構成されている(以下では、この方向をピッチ方向と記載)。このピッチ方向への移動によって、ツール部2を構成する回動機構21及びディスペンサー3と、リベットS1とが接離する。つまり、ロボット1は、回動機構21及びディスペンサー3をピッチ方向に移動させる移動手段としても機能する。
回動アーム部23は、薄板状に形成されていて、その基端側が回動機構21に接合されている一方、その先端側には、塗布径変更手段としての塗布径変更機構24が設けられている。
塗布径変更機構24は、長手方向に動力を与える直動シリンダ24aと、直動シリンダ24aからの動力によって動作するように構成され、ディスペンサー3を取り外し可能に支持する支承部24bとを備えている。
直動シリンダ24aとしては、公知のものが採用されていて、この実施形態では、回動アーム部23が延びる方向に対して垂直な方向を長手方向とするように設けられ且つ、外部から供給される電力によって作動する電動式シリンダとして構成されている。この直動シリンダ24aは、制御装置5からの制御信号に従って、その作動が制御される。直動シリンダ24aは、その長手方向、すなわち、図2の矢印A1が示す方向に動力を与えるように構成されていて、この動力によって、支承部24bとディスペンサー3とを一体的に往復移動させる。
ディスペンサー3としては、公知のものが採用されている。具体的に、ディスペンサー3は、略円筒状に形成され、シール液が充填されるシリンジ31と、シリンジ31の一端側に設けられ、先端のノズル口32aからシール液を吐出するノズル32と、シリンジ31の他端側に設けられ、エア供給管が接続されるバルブ部33とを備えている。
ディスペンサー3は、図2に示すように、その長手方向と、直動シリンダ24aの長手方向とが平行となるように位置決めされている。その上、ノズル32が設けられる一端側を壁部Spに向けた姿勢で、そのシリンジ31とノズル口32aとが、それぞれ支承部24bにより取り外し可能に支持されている。
塗布装置Dが運転する際、制御装置5は、エア供給管に連結した調圧器に向け制御信号を出力し、加圧用エアの圧力(吐出圧力)を調整させる。そして、塗布装置Dは、調整した加圧用エアをシリンジ31内に供給して、ノズル32の先端に開口したノズル口32aからシール液を吐出させる。このように、加圧用エアの供給を通じてシール液を吐出させるばかりでなく、吐出圧力の調整を介してシール液の吐出量を調整するように構成されている。
なお、シリンジ31に充填されるシール液としては、公知のものが使用されている。この実施形態では、たとえば、いわゆる冷凍シーラントを解凍したもの(主材と硬化材とを混ぜ合わせて冷凍保存したシール材)、つまり、冷凍状態で保存され、使用に際して解凍されるものが用いられている。この冷凍シーラントは、解凍後は時間の経過と共に硬化(以下、単に経時硬化とも記載)するように調整されており、塗布装置によってワークに塗布する際には、ペースト状になっている。具体的には、マヨネーズ程度の粘性及び流動性を有することになり、特に粘性については、例えば、15〜35Pa・s程度の、比較的高い粘度を有することになる。
ディスペンサー3は、塗布径変更機構24が作動したとき、図2の矢印A1が示す方向に、支承部24bと一体的に往復移動する。このとき、ディスペンサー3のノズル口32aは、回動機構21の回転軸に対して接離するように移動する。つまり、図2に示すような、回動機構21の回転軸とリベットS1の中心軸とが一致している状況(つまり、2つの軸が同軸上にある状況)では、ノズル口32aは、塗布径変更機構24が作動したとき、リベットS1に対して接離するように移動する。
ディスペンサー3は、回動機構21が作動したとき、回動機構21と同軸周りに、回動アーム部23及び塗布径変更機構24と一体的に、図2の矢印A2が示す方向に回動する。このとき、ノズル口32aが描く回転軌道の径は、ノズル口32aから回転軸に向けて下ろした垂線の長さに相当する。前記のように、塗布径変更機構24が作動したとき、ノズル口32aと回転軸とが接離するから、塗布径変更機構24の作動によって、ノズル口32aが描く回転軌道の径、すなわち塗布径が変更される。
また、回動機構21の回転軸とリベットS1の中心軸とが同軸上にある場合、移動手段としてのロボット1の作動によるピッチ方向に沿ったツール部2全体の移動と、塗布径変更機構24の作動による矢印A1が示す方向に沿ったディスペンサー3の移動との協働によって、ノズル口32aをリベットS1の外周面に対して適度に近接させて、その上で、回動機構21を作動させる。そうすることによって、ノズル口32aがリベットS1の外周面に沿って周方向に移動するように、ディスペンサー3がリベットS1の中心軸周りに回動する。さらに、ノズル口32aをリベットS1の外周面に近接させた状態で、ロボット1を作動させてツール部2全体をピッチ方向に移動させると、ノズル口32aがリベットS1の外周面に沿ってリベットS1の中心軸方向に移動するように、ディスペンサー3がリベットS1の中心軸方向に移動する。
ディスペンサー3は、その中心軸が、回動機構21の回転軸と同一平面上であって、当該回動機構21の回転軸に対して傾斜している。この傾斜の大きさを示す傾斜角θは、回動アーム部23及び支承部24bの構成等を介して調整されるものであり、構造物Sの構成、及びリベットS1〜S5の配置等に応じて、例えば、20〜50度程度の範囲から選ばれる。この実施形態では、傾斜角θは35度に設定されており、ディスペンサー3と構造物Sとの間の干渉を招くことなく、リベットS1の基部周りの外周面にノズル口32aを近接させることが可能であり、それでいて、ノズル口32aから吐出したシール液が、その外周面に安定して付着するようになっている。
また、ディスペンサー3には、ノイズ口32aから吐出されるシール液をリベットS1に向け案内するガイド手段としてのガイド部4が取り付けられている。図3(a)〜(c)は、このガイド部4の概略構成、及びその動作を示している。図3(a)に示すように、ガイド部4は、例えば、エアにより駆動されるエアシリンダを有するガイド駆動部41と、矩形薄板状の揺動板部42と、針状毛43と、を備えている。ガイド駆動部41は、その内部に供給するエアを調整することによって、紙面左右方向(長手方向)に沿って、その先端部を伸縮させるように構成されている。そして、ガイド駆動部41の先端部には、その中央部にて揺動可能に軸支されることでベルクランクを構成する揺動板部42の一揺動端が連結されている。また、揺動板部42の他方の揺動端には、針状毛43が取り付けられている。この実施形態では、針状毛43として、リベットS1に接触したとしても、リベットS1に傷を与えない程度の可撓性を有するものが使用されている。この実施形態では、一例として、ポリプロピレンをコンマ2ミリ程度の厚みを有する針状に形成したものが採用されており、具体的には、歯ブラシの毛程度の剛性、可撓性及び寸法を有するものが使用されている。図3(c)に示すように、揺動板部42の一揺動端部には、こうした針状毛43を折り曲げたものが取り付けられている。
図3(a)及び(c)に示すノズル32の先端部を図4にて拡大して示す。図3(c)及び図4に示すように、ガイド部4を機能させるときには、針状毛43の先端部は、ノズル口32aの周縁部から、ノズル32が延びる方向に延びるように位置決めされる(以下では、この位置をガイド位置と記載)。針状毛43がガイド位置にある状態では、ノズル口32aから吐出したシール液は、ノズル32が延びる方向に沿って、針状毛43を伝うように流れる。
一方で、ガイド部4を機能させないときには、ガイド駆動部41を作動させて、その先端を、図3(a)〜(c)における紙面左手方向に向けて伸長させる。この伸長により、ガイド駆動部41の先端に連結された揺動板部42が、図3(a)〜(b)における紙面上で反時計回り方向に回転する。そしてこの回転により、針状毛43も同方向に回動し、ノズル口32aから離れるように移動する。針状毛43がノズル口32aから離れた状態を示したのが図3(b)である(以下では、この位置をガイド退避位置と記載)。
ガイド部4は、ロボット1や回動機構21が作動したとき、ディスペンサー3と一体的に移動する。ディスペンサー3に対するガイド部4の取り付け位置は、ディスペンサー3が回動するとき、ノズル口32aにおいて針状毛43が設けられた一側が大きく回るように(回転軌道の径方向外側になるように)選ばれる。つまり、図3(c)においてディスペンサー3の紙面下側に回転軸が位置するよう取り付けられる。
ツール部2は、レーザ測長機61を備えている。このレーザ測長機61としては、公知のものが採用されており、回動機構21の回転軸が延びる方向に沿って、そのレーザ発振部を構造物Sに向けるように(つまり、図1の紙面左手方向に向けるように)取り付けられている。レーザ測長機61は、制御装置5からの制御信号に従って、壁部Spの所定の箇所に向けてレーザを発振し、ツール部2の所定の箇所と、壁部Spにおいてレーザが照射された箇所との間の距離を測定する。そして、レーザ測長機61は、測定した距離データを制御装置5に出力する。
ツール部2は、単眼カメラ62を備えている。この単眼カメラ62としては、公知のものが採用されており、回動機構21の回転軸が延びる方向に沿って、そのレンズを構造物Sに向けるように(つまり、図1の紙面左手方向に向けるように)取り付けられている。単眼カメラ62は、制御装置5からの制御信号に従って、リベットS1〜S5のうち所定のものを撮像し、撮像した画像データを制御装置5に出力する。
なお、塗布装置Dは、吐出量計量手段として、吐出量計量機7を備えている。この実施形態では、吐出量計量機7は、筐体11上に設置されている。この吐出量計量機7は、アーム部12の作動を介してディスペンサー3のノズル32を挿入できるよう構成されていて、挿入されたノズル32から吐出されたシール液の重量を計量し、計量した重量データを、吐出量補正手段としても機能する制御装置5に出力する。
以下では、ロボット1及びツール部2の作動を制御するコントローラとしての制御装置5の主要構成を例示するが、周知のものを採用している部分については、一部を除き説明しないことにする。
制御装置5には、少なくとも、レーザ測長機61からの距離データ、単眼カメラ62からの画像データ、及び吐出量計量機7からの重量データが、それぞれ入力される。
制御装置5は、マンマシンインターフェースとして、例えば、液晶パネルからなる表示部と、キーパッド等からなる入力部とを備えており、塗布装置Dの動作を制御する各種設定パラメータの入力や、入力された設定パラメータ、並びに検出手段61〜62及び7等より得られたデータの表示等を行うことができるようになっている。
制御装置5は、前記のようなデータの入力や、入力部を介して指定される各種設定パラメータに基づいて種々の演算を実行し、その演算結果に基づいて、塗布装置Dを構成する各要素を作動させる制御信号、例えば、ロボット1の軸系、回動機構21及び塗布径変更機構24等の動作、並びにディスペンサー3の吐出圧力等を制御する制御信号を、それぞれに出力する。
制御装置5は、レーザ測長機61からの距離データに基づいて、設置された壁部Spの鉛直方向に対する傾き、及びロボット1と壁部Spとの距離を検知する。その傾きに応じて、ツール部2の位置及び姿勢を調整する。
制御装置5は、公知の方法に基づいて、前記のような傾き及び距離としての相対位置関係を算出する。例えば、壁部Spにおける任意の3箇所の距離データを取得することによって、壁部Spの傾きと共に、その距離を検知することが可能である。
制御装置5はまた、単眼カメラ62からの画像データに基づいて、公知の方法によって、壁部Spの、予め定められた正規の配設位置に対する、上下及び水平方向のずれ、並びに回転方向のずれを検知する。そのずれに応じて、後述するように、シール液を塗布する際のノズル口32aの位置を微調整する。
制御装置5はまた、単眼カメラ62からの画像データに基づいて、公知の方法によって撮像したリベットS1の画像データを解析し、リベットS1の中心軸を検出する。そして、ロボット1及びツール部2に向けて制御信号を出力し、回動機構21の回転軸と、検出した中心軸とが同軸になるように位置決めする。
制御装置5はさらに、複数のリベットS1〜S5に対してシール液を塗布する間に、定期的に、吐出量計量機7によって、ノズル32から吐出されるシール液の吐出量を検出する。具体的に、シール液をリベットS1に向かって吐出する際には、所定の吐出量が予め設定されているが、その所定の吐出量よりも少ない吐出量となるように、第1の吐出圧力でノズル32からシール液を吐出させて、そのときの吐出量を計量すると共に、所定の吐出量よりも多い吐出量となるように、第2の吐出圧力でノズル32からシール液を吐出させて、そのときの吐出量を計量する。こうして、第1及び第2の2種類の吐出圧力を加えたときの、シール液の実際の吐出量に基づいて、加えた吐出圧力と吐出量との関係を、例えば直線近似によって求める。前述したように、シール液は、時間の経過と共に硬化するため、同じ吐出圧力を加えたとしても、当初の吐出量に対して、時間が経過した後の吐出量は少なくなる場合がある。制御装置5は、加えた吐出圧力と吐出量との関係を定期的に求め、求められた関係に基づいて、吐出圧力を調整する。こうして、シール液をリベットS1に向けて吐出する際に、正確に、所定の吐出量でシール液を吐出することが可能になる。こうした構成は、前述のような、複数のリベットS1〜S5に対してシール液を塗布するときのように、ある程度の時間にわたって塗布装置Dを運転させる必要がある場合に取り分け有効になる。
(塗布装置による塗布工程)
以下、塗布装置Dによる、リベットS1に対するシール液の塗布工程について説明する。
先ず、予め設定された正規の位置となるように、壁部Spが設置される。その後、壁部Spの塗布対象部位に合わせて塗布装置Dを設置する。後述するように、壁部Spの傾きや、位置ずれが検出されて補正されるため、壁部Spの設置に際し、多少のずれは許容される。
塗布装置Dが運転を開始すると、塗布装置Dに備えられた制御装置5は、ロボット1及びレーザ測長機61を作動させて、壁部Sp上の所定の3点(例えば、入力部を介して操作者が指定した3点)について、壁部Spとツール部2との間の距離を測定させる。
制御装置5は、測定された距離データに基づいて壁部Spとツール部2との間の相対位置関係を算出し、ロボット1を作動させて、回動機構21の回転軸と壁部Spとが面直になるようツール部2の姿勢を調整すると共に、塗布を行うに適した距離になるようにツール部2をピッチ方向に移動させる。
制御装置5は、ロボット1及び単眼カメラ62を作動させて、壁部Sp上に並ぶ所定の2つのリベット(例えば、入力部を介して操作者が予め指定したリベットS1及びS5)を撮像する。
制御装置5は、撮像した画像データに基づいて、リベットS1及びS5の位置を算出すると共に、そうして算出された結果と、予め記憶されているリベットS1及びS5の位置データとを比較して、壁部Spの上下及び水平方向のずれ、並びに回転方向のずれを把握する。
制御装置5は、ロボット1を作動させて、リベットS1にツール部2を近接させると共に、そのリベットS1を単眼カメラ62にて再び撮像する。
制御装置5は、撮像した画像データに基づいて、塗布対象となるリベットS1の中心軸の位置を検出し、検出した中心軸と回動機構21の回転軸とが同軸になるように、ロボット1を作動させてツール部2の位置を調整する。
制御装置5は、姿勢及び位置が調整されたツール部2を作動させて、リベットS1をシール液で覆う。以下では、リベットS1をシール液で覆う際のディスペンサー3の動作について詳述する。この動作は、制御装置5から出力される制御信号に基づき実行されるものであるが、以下の記載では、その旨を適宜省略する。またロボット1を作動させる旨についても適宜省略する。
リベットS1に対してシール液を吐出するときには、当該リベットS1に対応する塗布径になるように、塗布径変更機構24を作動させる。この作動により、ノズル口32aは、図2の矢印A1に沿って移動して、リベットS1に近接する。このとき、ディスペンサー3は、図5に示すように、図2の紙面右手側からリベットS1の中心軸が延びる方向に沿ってリベットS1を見たときに、時計の12時(0時)に相当する位置P1に位置決めされる(つまり、リベットS1の真上に位置決めされる)。
そして、この実施形態では、リベットS1への塗布を開始するとき、ノズル口32aは、リベットS1の基部、すなわち壁部Sp及びリベットS1の外周面の双方に近接するように、ピッチ方向に移動して位置決めされる。
そのようにノズル口32aを位置決めした後、ガイド駆動部41を駆動させて、針状毛43をガイド位置にセットする。ガイド位置にセットした状態では、針状毛43の先端は、リベットS1の外周面に対し、互いに接触しない程度に近接する。
針状毛43をガイド位置にセットした後、回動機構21が作動して、図2の矢印A2に沿って、時計回り方向に360度回転する。回動機構21が回転すると、ディスペンサー3も同方向に360度回転する。
ディスペンサー3は、そのノズル口32aをリベットS1の外周面に向けた姿勢を保ちつつ回転する。つまり、図5に示すように、ノズル口32aがリベットS1の外周面に沿って周方向に移動する(位置P1からP2、P3及びP4を順次経由して、P1に戻るように移動する)。ディスペンサー3が回転している最中に、そのシリンジ31内にエアを供給することによって、ノズル口32aからシール液を吐出させる。ノズル口32aからシール液が最初に吐出する際に、シール液は針状毛43を伝うようにして、リベットS1の外周面に到達する。シール液がリベットS1の外周面に到達した後も、ディスペンサー3は、回転及びシール液の吐出動作を継続する。これにより、ノズル口32aがリベットS1の外周面に沿って周方向に移動をすると共に、そのノズル口32aから吐出したシール液は、自身の表面張力によってリベットS1の外周面に至るようになる。こうした動作を継続することによって、リベットS1の外周面のうちの少なくとも一部を、吐出したシール液によって取り囲む。
このように、ディスペンサー3は、回動機構21の動作により360度回転しつつ、リベットS1に向けてシール液を吐出する。そうすることによって、リベットS1の外周面のうち、少なくともリベットS1の基部の周縁を、吐出したシール液により形成される塗布層R1により覆う。
ディスペンサー3は、リベットS1の上側の外周面にシール液を塗布するとき、つまり、図5に示すように、ノズル口32aが、位置P1からP2にかけての範囲、及び位置P4からP1にかけての範囲(前記時計の0時から3時にかけての範囲、及び9時から12時にかけての範囲)を移動するときには、リベットS1の下側の外周面にシール液を塗布するとき、つまり、位置P2からP4にかけての範囲(前記時計の3時から9時にかけての範囲)を移動するときよりも、緩やかに移動する。すなわち、リベットS1の上側の外周面に沿ってディスペンサー3を移動させるときには、下側の外周面に沿ってディスペンサー3を移動させるときよりも、回動機構21が相対的に遅く動作する。こうすることによって、少なくとも塗布層R1を形成した直後は、リベットS1の外周面の下側に形成される塗布層R1の厚みは、外周面の上側に形成されるものよりも相対的に薄くなる。そして、塗布されたシール液は経時硬化しつつ、重力に従って、外周面に沿って下側に徐々に移動していく。このときのシール液の移動の振る舞いは、シール液の粘性及び流動性等の物性、及びリベットS1に吐出したシール液の量等に左右される、この実施形態で用いた構成では、リベットS1に吐出されたシール液は、床面Fに垂れ落ちることなく、リベットS1の上側と下側とで塗布層R1の厚みが略同一になる程度に移動した状態で硬化を完了するようになっている。
また、図4に示すように、針状毛43は、ディスペンサー3(ノズル口32a)の回転軌道の径方向外側をまわるように配設されている。例えば、ノズル口32aの径方向内側がシール液により目詰まりしていた場合には、シール液は、ノズル32が延びる方向ではなく、ノズル口32aの径方向外側に向けて吐出するが、前記のように配設された針状毛43を伝うようにして、リベットS1の外周面に案内される。その一方で、ノズル口32aの径方向外側が目詰まりしていた場合には、シール液は、ノズル口32aの径方向内側に向けて吐出する。この方向に向けて吐出したシール液は、針状毛43を伝わずとも、リベットS1の外周面に到達する。
次に、ガイド駆動部41が駆動して、針状毛43をガイド退避位置にセットする。ガイド退避位置にセットした後、回動機構21が作動して、ディスペンサー3は、図2の矢印A2に沿って反時計回り方向に360度回転する。このときは、ノズル口32aからシール液を吐出させない。先程と逆回りに回転させることによって、例えば、ツール部2の各要素に接続される配線や、ディスペンサー3のバルブ部33に接続されるエア供給管等に生じる捻れを解消する。このとき、針状毛43はガイド退避位置にセットされているから、ディスペンサー3を逆回りに回転させたとしても、針状毛43が塗布層R1に触れてしまう恐れはない。
そして、ディスペンサー3は、ロボット1によって、ピッチ方向に基部側から先端側に移動する。そして、ガイド駆動部41が駆動して、針状毛43をガイド位置に再びセットする。そして、ディスペンサー3は、再び時計回り方向に360度回転しつつ、リベットS1に向けてシール液を吐出する。そうすることによって、リベットS1の外周面のうちの少なくとも一部を、新たに形成される別の塗布層R2により覆う。
ピッチ方向に移動させる距離は、塗布層R1と塗布層R2とが隙間無く接する、又は各層R1〜R2の一部が互いに重なり合うように選ばれる。
そして、針状毛43をガイド退避位置にセットして、配線等のねじれを再び解消すべく、逆回り方向、すなわち反時計回り方向に360度回転する。
配線等のねじれを再び解消した後、ディスペンサー3は、ピッチ方向に再び移動した後、時計回り方向に360度回転しつつ、リベットS1に向けてシール液を吐出する。
こうして、針状毛43をガイド位置にセットする動作、ディスペンサー3が回動機構21により回転しつつ、リベットS1に向けてシール液を吐出する動作、針状毛43をガイド退避位置にセットする動作、ディスペンサー3が回動機構21により逆回転する動作、及びディスペンサー3が基端部側から先端部側に向けてピッチ方向に移動する動作を順次行うルーチンを繰り返し実行することによって、リベットS1の外周面は、基部側から先端側にかけて、ドーナツ状に形成される塗布層R1,R2,…によって順次覆われていく。
また、リベットS1がピッチ方向に沿って拡径又は縮径していた場合には、塗布径を適宜変更するようにしてもよい。
次に、リベットS1に続き、リベットS2〜S5に対してシール液を塗布する工程について説明する。
リベットS1の先端部までシール液で覆われると、別のリベットS2に対しシール液を塗布する。
ロボット1は、例えば、予め入力された位置データに基づいて動作して、新たな塗布対象となるリベットS2に向けてツール部2を移動させる。
そして、新たな塗布対象となるリベットS2を単眼カメラ62にて撮像し、撮像した画像データに基づいて、このリベットS2の中心軸を特定し、回動機構21の回転軸と一致するようツール部2の位置を調整する。
リベットS2に対するツール部2の位置決めが完了すると、先程と同じようにディスペンサー3及び回動機構21等を作動させて、その外周全体をシール液で覆っていく。
こうした動作を繰り返し実行することによって、壁部Spに取り付けられたリベットS1〜S5を、シール液にて順次覆っていく。
そのように順次覆っていくとき、例えば、リベットS5の径が他のリベットS1〜S4の径よりも大きく形成されていた場合には、塗布径変更機構24を作動させたとき、他のリベットS1〜S4よりも塗布径が大きくなるようにディスペンサー3を移動させる。
また、塗布装置Dが運転を開始してから所定の時間(例えば、操作者により予め入力された時間)が経過すると、制御装置5は、ノズル32を吐出量計量機7に挿入させて、前述したような、吐出圧力と吐出量とを関連づける工程を実行し、ノズル口32aから所定量のシール液を吐出するように吐出圧力を調整する。
以上より、塗布装置Dは、ノズル口32aがリベットS1の外周面に沿って周方向に移動するように、ノズル口32aをリベットS1の外周面に近接させた姿勢を保ちつつ、回動機構21を作動させて、ディスペンサー3をリベットS1の中心軸周りに回動させたから、床面Fに対し立ち上がるように配置された壁部Spから面直に突出したリベットS1に対しても、その外周面をシール液で覆うことができる。そのうえ、ノズル口32aがリベットS1の外周面に沿って中心軸方向に移動するように、ディスペンサー3を中心軸方向に移動させるようにしたから、回動機構21によるノズル口32aの移動と組み合わせることによって、前記のように設けられたリベットS1の外周面全体をシール液で覆う上で有利になる。
また、塗布径変更機構24によって、リベットS1の外径に応じてノズル口32aが描く軌道の径を調整するようにしたから、様々な寸法を有するリベットに対応できる。
シール液をリベットS1の外周面に案内するよう針状毛43を延ばしたから、ノズル口32aから吐出するシール液を、リベットS1の表面に安定して付着させることが可能になる。
前記針状毛43が、ガイド位置とガイド退避位置との間で移動可能に構成されているから、例えば、配線等のねじれを解消すべく、ディスペンサー3を逆まわりに回転させるときに、針状毛43と形成された塗布層とが接触しないように動作させることができる。また、針状毛43が部材と干渉してしまうようなときにも、それを退避させることが可能になる。
塗布装置Dが運転している最中に、吐出量計量機7による計量結果に基づいて、吐出量と吐出圧力とを関連づけて、所望の吐出量となるように吐出圧力を調整するようにしたから、吐出量と吐出圧力との関係が経時変化する場合、例えば、シール液が経時硬化する場合であっても、望ましい量のシール液を吐出させることができるため、塗布装置Dの実用性を向上させる上で有利になる。
また、ディスペンサー3を傾斜させたから、ディスペンサー3と構造物Sとの干渉を招くことなく、リベットS1の基部まわりにノズル口32aを近接させる上で有利になると共に、シール液をリベットS1の外周面に安定して到達させる上で有利になる。
また、ディスペンサー3を回転させるとき、リベットS1の上側をまわるときには、下側をまわるときよりも遅く回転させる。こうすることによって、シール液の床面Fへの垂れ落ちを防止すると共に、塗布層の厚みを均一にする上で有利になる。
また、針状毛43がガイド位置にあるとき、針状毛43は、ノズル口32aが移動する軌道の径方向外側に位置するように配設されている。よって、シール液をリベットS1に到達させる上で有利になる。
<その他の実施形態>
塗布装置Dによる塗布対象として、壁部Spから面直に突出したリベットS1〜S5を採用したが、これに限定されるわけではない。他の構造物に取り付けられたナット等を塗布対象としてもよい。そうしたワークの“中心軸”とは、その軸周りにワークが回転対称となるような軸を意味し、“外径”とは、ワークに外接する円柱及び円錐台等の外径(円柱及び円錘台状に形成されたワークならば自身の外径そのもの)を意味する。
塗布装置Dとして、ディスペンサー3にガイド部4を取り付けた構成について説明したが、必ずしもガイド部4を取り付ける必要はない。
ガイド部4として、1本の針状毛43を有する構成について説明したが、この構成に限定されるわけではない。2本以上の針状毛を有するように構成してもよい。
ガイド部4として、針状毛43をガイド位置とガイド退避位置との間で移動可能にする構成について説明したが、この構成に限定されるわけではない。塗布装置Dの構成及び塗布対象等に応じて、針状毛43をガイド位置に固定してもよい。
ガイド部4そのものの構成についても、前述したような、エアシリンダ等を用いた構成に限定されるわけではない。
塗布装置Dとして、多関節ロボット1を備えた構成について説明したが、必ずしも多関節ロボット1を備える必要はない。多関節ロボット1の構成についても、前記のものに限定されるわけではなく、6軸構成以外のものに変更することができる。また、筐体11が走行レールに沿って移動するように構成することによって、アーム部12の作動領域外のワークに対してもシール液を塗布することができるようになる。また、ツール部2は、ディスペンサー3をピッチ方向に移動させるピッチ送り機構を備えていてもよい。
前記の構成では、リベットにシール液を塗布する際に、ディスペンサー3を回動機構21により回転しつつ、リベットS1に向けてシール液を吐出する動作を行った後、そのディスペンサー3を回動機構21により逆回転する動作を行っている。これは、前述の通り、配線等のねじれを防止するためであるが、例えばロータリージョイント等によって、配線等のねじれが生じないような構成を採用しているのであれば、ディスペンサー3を回動機構21により回転しつつ、リベットS1に向けてシール液を吐出する動作を、ディスペンサー3をピッチ方向に移動させながら、連続的に行うようにしてもよい。つまり、ノズル口32aを、リベットの外周面に沿ってらせん状に移動させることで、シール液をリベットの外周面の全面に塗布するようにしてもよい。
塗布装置Dとして、吐出量計量機7による計量結果に基づいて、吐出量と吐出圧力とを関連づけて、所望の吐出量となるように吐出圧力を調整する構成について説明したが、この構成に限定されるわけではない。つまり、このようにして吐出圧力を調整する構成は必須ではなく、その具体的な方法についても、説明したものに限定されるわけではない。
ここまでに説明した実施形態では、ツール部2が回動手段としての回動機構21を含む構成について説明したが、他の例として、ツール部2が回動機構21を含むよう構成せずに、アーム部12が回動手段として機能するよう構成することもできる。その場合、アーム部12は、ディスペンサー3を、そのノズル口32aが各リベットS1〜S5の外周面に近接するような姿勢に支持すると共に、アーム部12の各軸系を適切に動作させることで、そうした姿勢に支持されたディスペンサー3のノズル口32aが各リベットS1〜S5の外周面に沿って周方向に移動するように、ディスペンサー3を各リベットS1〜S5の中心軸周りに回動させることになる。
以上のように、ワークを塗布液で覆う塗布装置において、水平面に対し立ち上がるように配置された壁部の縦面から面直に突出したワークにも対応できるものであり、産業上の利用可能性はある。
Sp 壁部
S1〜S5 リベット(ワーク)
D 塗布装置
1 ロボット(多関節ロボット、移動手段)
12 アーム部
2 ツール部
21 回動機構(回動手段)
24 塗布径変更機構(塗布径変更手段)
3 ディスペンサー
32a ノズル口
4 ガイド部(ガイド手段)
43 針状毛
5 制御装置(吐出量補正手段)
7 吐出量計量機(吐出量計量手段)

Claims (8)

  1. 水平面に対し立ち上がるように配置された壁部の縦面から面直に突出したワークの外周面全体を、ペースト状の塗布液で覆う塗布装置であって、
    ノズル口から前記塗布液を吐出するディスペンサーと、
    前記ノズル口を前記ワークの外周面に向けた姿勢となるように前記ディスペンサーを支持すると共に、前記ノズル口が前記ワークの外周面に沿って周方向に移動するように該ディスペンサーを前記ワークの中心軸周りに回動させる回動手段と、
    前記ノズル口が前記ワークの外周面に沿って前記中心軸に沿う方向に移動するように、前記ディスペンサーを前記中心軸に沿う方向に移動させる移動手段と、
    前記ディスペンサー、前記回動手段、及び、前記移動手段を作動させるように構成された制御装置と、を備え、
    前記制御装置は、前記ワークを前記塗布液で覆うとき
    記ディスペンサー及び前記回動手段を作動させることによって、前記ノズル口を前記ワークの外周面に向けた姿勢を保ちつつ、前記ディスペンサーを前記中心軸周りに回動させながら前記ワークに向けて前記塗布液を吐出する工程と
    記移動手段を作動させることによって、前記ノズル口が前記ワークの外周面に沿って移動するように、前記ディスペンサーを前記中心軸に沿う方向に移動させる工程と
    交互に実行することを特徴とする塗布装置。
  2. 請求項1に記載の塗布装置において、
    前記回動手段には、前記ノズル口の前記中心軸に対する位置が、前記ワークの外径に応じて変更するように、前記ディスペンサーを移動させる塗布径変更手段が設けられていることを特徴とする塗布装置。
  3. 請求項1又は2に記載の塗布装置において、
    前記ノズル口の周縁部に取り付けられ且つ、1つ以上の針状毛を有するガイド手段を備え、
    前記針状毛は、前記ノズル口から該ワークの外周面に向かって延びるように設けられることを特徴とする塗布装置。
  4. 請求項3に記載の塗布装置において、
    前記針状毛が、前記ノズル口に対して着脱可能に構成されていることを特徴とする塗布装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1つに記載の塗布装置において、
    前記ディスペンサー及び回動手段は、多関節ロボットのアーム部の先端に取り付けられ、
    前記多関節ロボットは、前記ディスペンサーを前記ワークの中心軸方向に移動させる移動手段を構成することを特徴とする塗布装置。
  6. 請求項1乃至4のいずれか1つに記載の塗布装置において、
    前記ディスペンサーは、多関節ロボットのアーム部の先端に取り付けられ、
    前記多関節ロボットは、前記回動手段を構成すると共に、前記ディスペンサーを前記ワークの中心軸方向に移動させる移動手段を構成することを特徴とする塗布装置。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1つに記載の塗布装置において、
    前記塗布液は、時間の経過と共に硬化するものであり、
    前記ディスペンサーは、収容している塗布液に加える吐出圧力の制御を介して、前記ノズル口から吐出する前記塗布液の吐出量を調整するように構成され、
    前記ノズル口からの塗布液の吐出量を計量する吐出量計量手段を備え、
    前記ノズル口から実際に吐出される前記塗布液の吐出量を、定期的に計量すると共に、その計量結果に応じて、前記ディスペンサーの吐出圧力の補正を行う吐出量補正手段を備えていることを特徴とする塗布装置。
  8. 水平面に対し立ち上がるように配置された壁部の縦面から面直に突出したワークの外周面全体を、ペースト状の塗布液で覆う塗布装置であって、
    ノズル口から前記塗布液を吐出するディスペンサーと、
    前記ノズル口を前記ワークの外周面に向けた姿勢となるように前記ディスペンサーを支持すると共に、前記ノズル口が前記ワークの外周面に沿って周方向に移動するように該ディスペンサーを前記ワークの中心軸周りに回動させる回動手段と、
    前記ノズル口が前記ワークの外周面に沿って前記中心軸に沿う方向に移動するように、前記ディスペンサーを前記中心軸に沿う方向に移動させる移動手段と、
    前記ディスペンサー、前記回動手段、及び、前記移動手段を作動させるように構成された制御装置と、を備え、
    前記制御装置は、前記ワークを前記塗布液で覆うとき、前記ディスペンサー、前記回動手段、及び、前記移動手段を作動させることによって、前記ノズル口を前記ワークの外周面に向けた姿勢を保ちつつ、前記ディスペンサーを前記中心軸周りに回動させながら前記ワークに向けて前記塗布液を吐出する工程を、前記ノズル口が前記ワークの外周面に沿って移動するように、前記ディスペンサーを前記中心軸に沿う方向に移動させながら実行することを特徴とする塗布装置。
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