JP6352124B2 - 硬貨処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、自動販売機、両替機、精算機、券売機、サービス機器等(以下、自動販売機等と称す)に搭載される硬貨処理装置に関し、特に、硬貨の外径を検出する外径検出センサを備える硬貨処理装置に関する。
自動販売機等の内部には、投入された硬貨の正偽を判別すると共に、正貨と判別された硬貨を金種毎に選別収納する硬貨処理装置が搭載されている。このような硬貨処理装置は、投入された硬貨の正偽を判別すると共に硬貨を金種別に選別する硬貨選別部を備える。
硬貨選別部は、硬貨の外径を主に検出する外径検出センサと、硬貨の材質を主に検出する材質検出センサと、を備える。外径検出センサは、投入された硬貨が通過する硬貨通路に設けられたコイルを有し、発振回路に接続されている。材質検出センサも同様である。発振回路は、コイルのインダクタンスに応じた発振周波数で発振する。この発振周波数は、発振により生じた電磁界が硬貨により影響を受けやすい周波数に設定されている。電磁界が硬貨により影響を受けることで、発振信号の振幅も変化する。従って、発振周波数と電圧とに基づいて硬貨の外径や材質を検出することができる。これにより、硬貨の正偽判定及び種別判定を行うことができる。
ところで、硬貨処理装置は、バイメタル硬貨を含む複数種類の硬貨の正偽を判別するものがある。バイメタル硬貨とは、中央のコア部と、コア部を囲うリング部とにおいて材質が異なる硬貨である。バイメタル硬貨としては、例えば、カナダ国の2ドル硬貨が知られている。このようなバイメタル硬貨の外径を正確に検出するために、中心部が空間となっているリング状の外径検出センサを用いる技術が知られている(特許文献1参照)。
このようなリング状の外径検出センサは、バイメタル硬貨のコア部と外径検出センサの空間とが重なるので、この時のバイメタル硬貨のコア部における電磁界(磁束密度)は、リング部における電磁界よりも十分に小さい。よって、バイメタル硬貨の外周のリング部の影響を主に反映することで、バイメタル硬貨の外径を精度良く検出できる。
特許第4126668号公報
しかしながら、上記従来の外径検出センサを用いた場合、図13に示すように、バイメタル硬貨以外の小型の硬貨(例えば、カナダ国の10セント硬貨)COの外周付近は、外径検出センサ4Xの空間OP1に重なってしまう。そのため、図14に示すように、硬貨の外径が小さい範囲RXにおいて発振周波数と外径との関係が比例しない。従って、小型の硬貨の外径を正確に検出できず、正偽判定及び種別判定を誤る可能性がある。
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、複数種類の硬貨の外径の検出精度を向上できる硬貨処理装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様による硬貨処理装置は、
投入された硬貨が通過する硬貨通路と、
前記硬貨通路を挟んで向かい合う第1コイルと第2コイルとを有する材質検出センサと、
前記第1コイルを囲うリング状の第3コイルと、前記第2コイルを囲うリング状の第4コイルと、を有し、前記第3コイルと前記第4コイルとは前記硬貨通路を挟んで向かい合う、外径検出センサと、
個別接続状態において、前記材質検出センサに接続されて第1発振信号を発振し、直列接続状態において、直列接続された前記材質検出センサ及び前記外径検出センサに接続されて前記第1発振信号を発振する第1発振回路と、
前記個別接続状態において、前記外径検出センサに接続されて第2発振信号を発振する第2発振回路と、
前記個別接続状態と前記直列接続状態とを切り替える切り替え部と、
前記個別接続状態の前記第2発振信号、又は、前記直列接続状態の前記第1発振信号を用いて前記硬貨の外径を検出し、前記外径に基づいて前記硬貨を識別する硬貨識別部と、
を備えることを特徴とする。
本発明によれば、複数種類の硬貨の外径の検出精度を向上できる。
一実施形態に係る硬貨処理装置の一部の概略構成を示す図である。 (a)は、識別センサの一方の側面を示す側面図であり、(b)は、識別センサの他方の側面を示す側面図であり、(c)は、硬貨通路及び識別センサの断面図である。 図1の硬貨処理装置の正偽判定及び種別判定に関連する構成を示すブロック図である。 個別接続状態における切り替え部の接続を示す回路図である。 直列接続状態における切り替え部の接続を示す回路図である。 (a)は、バイメタル硬貨と識別センサとの位置関係を示す図であり、(b)は、(a)に対応する外径検出センサの周波数と電圧の時間変化を示す図である。 (a)は、バイメタル硬貨と識別センサとの位置関係を示す図であり、(b)は、(a)に対応する材質検出センサの周波数と電圧の時間変化を示す図である。 (a)は、バイメタル硬貨と識別センサとの位置関係を示す図であり、(b)は、(a)に対応する外径・材質検出センサの周波数と電圧の時間変化を示す図である。 硬貨処理装置の正偽判定及び種別判定処理を示すフローチャートである。 データ収集期間を示す図である。 一実施形態に係るバイメタル硬貨以外の硬貨の外径と直列接続状態において硬貨識別部によって検出される周波数との関係を示す図である。 一実施形態に係るクラッド構造の硬貨の周波数と電圧との関係を示す図である。 従来の外径検出センサと小型の硬貨との位置関係を示す図である。 従来のバイメタル硬貨以外の硬貨の外径と周波数との関係を示す図である。
以下に、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。この実施形態は、本発明を限定するものではない。
図1は、一実施形態に係る硬貨処理装置1の一部の概略構成を示す図である。図1に示すように、硬貨処理装置1は、硬貨が投入される投入口2と、投入口2の下方に傾斜して設けられ、投入された硬貨が通過する硬貨通路3と、硬貨通路3の側壁に設けられた識別センサ4と、を備える。硬貨通路3の側壁は図示を省略している。
投入口2から投入された硬貨は、自重で硬貨通路3を転がり、識別センサ4を通過する。これにより、以下に説明するように硬貨の正偽判定及び種別判定が行われる。
図2(a)は、識別センサ4の一方の側面を示す側面図であり、図2(b)は、識別センサ4の他方の側面を示す側面図である。図2(c)は、図1の硬貨通路3及び識別センサ4を、硬貨COの通過方向に垂直な平面で切断した断面図である。
識別センサ4は、材質検出センサ4aと、外径検出センサ4bと、を有する。
材質検出センサ4aは、硬貨通路3を挟んで向かい合う第1コイルL1と第2コイルL2とを有する。第1コイルL1と第2コイルL2は、円形且つ平面状のコイルである。つまり、材質検出センサ4a内を硬貨が通過できる。
外径検出センサ4bは、第1コイルL1を囲うリング状の第3コイルL3と、第2コイルL2を囲うリング状の第4コイルL4と、を有する。第3コイルL3と第4コイルL4とは、硬貨通路3を挟んで向かい合う。つまり、外径検出センサ4b内を硬貨が通過できる。
このように、外径検出センサ4bは、材質検出センサ4aを囲うようにリング状に設けられている。
第1コイルL1と第3コイルL3は、第1プリント基板上に平面状に設けられたスパイラルコイルである。第2コイルL2と第4コイルL4は、第2プリント基板上に平面状に設けられたスパイラルコイルである。スパイラルコイルを採用することにより、材質検出センサ4aと外径検出センサ4bとの相対位置を容易且つ正確に決めることができる。
図3は、図1の硬貨処理装置1の正偽判定及び種別判定に関連する構成を示すブロック図である。硬貨処理装置1は、第1発振信号OSC1を発振する第1発振回路11と、第2発振信号OSC2を発振する第2発振回路12と、包絡線検波回路13,14と、切り替え部15と、硬貨識別部16と、記憶部(メモリ)17と、を備える。
第1発振回路11は、容量素子C1,C2と、増幅器IC1と、を有する。容量素子C1の一端は、第1コイルL1の一端と、増幅器IC1の入力端子とに接続されている。容量素子C1の他端は、容量素子C2の一端に接続されると共に接地されている。容量素子C2の他端は、第2コイルL2の一端と、増幅器IC1の出力端子とに接続されている。増幅器IC1の入力端子の信号が、第1発振信号OSC1である。硬貨が無い場合の第1発振信号OSC1の周波数は、増幅器IC1の入出力端子間に接続されるインダクタンスと、容量素子C1,C2の容量値と、に応じて決定される。
第1コイルL1の他端は、切り替え部15のスイッチS1に接続されている。第2コイルL2の他端は、切り替え部15のスイッチS2に接続されている。
第2発振回路12は、容量素子C3,C4と、増幅器IC2と、を有する。容量素子C3の一端は、切り替え部15のスイッチS4と、増幅器IC2の入力端子とに接続されている。容量素子C3の他端は、容量素子C4の一端に接続されると共に接地されている。容量素子C4の他端は、切り替え部15のスイッチS3と、増幅器IC2の出力端子とに接続されている。第3コイルL3の他端は、第4コイルL4の他端に接続されている。増幅器IC2の入力端子の信号が、第2発振信号OSC2である。硬貨が無い場合の第2発振信号OSC2の周波数は、増幅器IC2の入出力端子間に接続されるインダクタンスと、容量素子C3,C4の容量値と、に応じて決定される。
第1発振信号OSC1は、包絡線検波回路13と硬貨識別部16とに供給される。包絡線検波回路13は、第1発振信号OSC1を包絡線検波して、第1発振信号OSC1の電圧を出力する。
第2発振信号OSC2は、包絡線検波回路14と硬貨識別部16とに供給される。包絡線検波回路14は、第2発振信号OSC2を包絡線検波して、第2発振信号OSC2の電圧を出力する。
切り替え部15は、スイッチS1〜S4を有し、個別接続状態と、直列接続状態と、を切り替える。個別接続状態では、第1発振回路11は材質検出センサ4aに接続され、第2発振回路12は外径検出センサ4bに接続される。直列接続状態では、第1発振回路11は直列接続された材質検出センサ4a及び外径検出センサ4bに接続され、第2発振回路12は材質検出センサ4a又は外径検出センサ4bに接続されない。
硬貨識別部16は、例えば、AD変換器及びCPU(Central Processing Unit)等を含み、第1発振信号OSC1及び第2発振信号OSC2の周波数を検出する。また、硬貨識別部16は、切り替え部15を制御する。
記憶部17は、例えば、RAM(Random Access Memory)や不揮発性メモリなどを含み、硬貨識別部16から供給された第1発振信号OSC1の電圧及び周波数と、第2発振信号OSC2の電圧及び周波数と、を記憶する。
硬貨識別部16は、記憶部17に記憶された値を用いて、第1発振信号OSC1と第2発振信号OSC2とに基づいて硬貨の特徴量(外径及び材質)を検出し、検出された特徴量に基づいて硬貨を識別する。具体的な処理は後述する。
図4は、個別接続状態における切り替え部15の接続を示す回路図である。図4に示すように、個別接続状態では、スイッチS1,S2は、第1コイルL1の他端と第2コイルL2の他端とを接続する。スイッチS3は、第3コイルL3の一端と増幅器IC2の出力端子とを接続する。スイッチS4は、第4コイルL4の一端と増幅器IC2の入力端子とを接続する。これにより、増幅器IC1の入出力端子間には第1コイルL1と第2コイルL2とが直列接続され、増幅器IC2の入出力端子間には第3コイルL3と第4コイルL4とが直列接続される。
このように、第1発振回路11は、個別接続状態において、材質検出センサ4aに接続されて第1発振信号OSC1を発振する。第2発振回路12は、個別接続状態において、外径検出センサ4bに接続されて第2発振信号OSC2を発振する。
図5は、直列接続状態における切り替え部15の接続を示す回路図である。図5に示すように、直列接続状態では、スイッチS1,S3は、第1コイルL1の他端と第3コイルL3の一端とを接続する。スイッチS2,S4は、第2コイルL2の他端と第4コイルL4の一端とを接続する。これにより、増幅器IC1の入出力端子間には、第1コイルL1、第3コイルL3、第4コイルL4、及び、第2コイルL2が直列接続される。
このように、第1発振回路11は、直列接続状態において、直列接続された材質検出センサ4a及び外径検出センサ4bに接続されて第1発振信号OSC1を発振する。
次に、硬貨が識別センサ4を通過する時の各センサの周波数と電圧の一例について説明する。
(個別接続状態の外径検出センサ4b)
図6(a)は、バイメタル硬貨BCOと識別センサ4との位置関係を示す図であり、図6(b)は、図6(a)に対応する外径検出センサ4bの周波数と電圧の時間変化を示す図である。外径検出センサ4bの周波数と電圧は、個別接続状態における第2発振信号OSC2の周波数と電圧を表す。
図6(c)は、バイメタル硬貨以外の硬貨COと識別センサ4との位置関係を示す図であり、図6(d)は、図6(c)に対応する外径検出センサ4bの周波数と電圧の時間変化を示す図である。
図6(a)に示すように、バイメタル硬貨BCOがポイントP1に位置する時、バイメタル硬貨BCOは外径検出センサ4bに到達していない。従って、図6(b)に示すように、外径検出センサ4bの周波数と電圧は、硬貨が投入されていない待機状態とほぼ同じ値である。
次のポイントP2では、バイメタル硬貨BCOの端部は、外径検出センサ4bの端部に到達する。従って、外径検出センサ4bの周波数と電圧は、待機状態の値から低下し始める。
次のポイントP3では、バイメタル硬貨BCOは、外径検出センサ4bの全体に重なる。この時の外径検出センサ4bの周波数と電圧は、最小値となる。
この後、バイメタル硬貨BCOと外径検出センサ4bとが重なる面積は減少していき、これに伴い外径検出センサ4bの周波数と電圧は待機状態の値に増加していく。
図6(c),(d)に示すように、バイメタル硬貨以外の硬貨COがポイントP1a,P2a,P3aのそれぞれに位置する時、外径検出センサ4bの周波数と電圧はバイメタル硬貨BCOの場合と同様の変化を示す。
(個別接続状態の材質検出センサ4a)
図7(a)は、バイメタル硬貨BCOと識別センサ4との位置関係を示す図であり、図7(b)は、図7(a)に対応する材質検出センサ4aの周波数と電圧の時間変化を示す図である。材質検出センサ4aの周波数と電圧は、個別接続状態における第1発振信号OSC1の周波数と電圧を表す。
図7(c)は、バイメタル硬貨以外の硬貨COと識別センサ4との位置関係を示す図であり、図7(d)は、図7(c)に対応する材質検出センサ4aの周波数と電圧の時間変化を示す図である。
図7(a)に示すように、バイメタル硬貨BCOがポイントP1に位置する時、バイメタル硬貨BCOは材質検出センサ4aに到達していない。従って、図7(b)に示すように、材質検出センサ4aの周波数と電圧は、待機状態とほぼ同じ値である。
次のポイントP2では、バイメタル硬貨BCOのリング部BCO1は材質検出センサ4aの端部に到達する。これにより、待機状態の値と比較して、材質検出センサ4aの周波数は変化し、電圧は低下する。
次のポイントP3では、バイメタル硬貨BCOのコア部BCO2は、材質検出センサ4aの端部に到達する。これにより、材質検出センサ4aの周波数はポイントP2の値から変化し、電圧はポイントP2の値から上昇した後に低下する。即ち、電圧波形はポイントP3の付近にピーク(凹凸)20を有する。
この理由は、バイメタル硬貨BCOはコア部BCO2とリング部BCO1とで材質が異なるため、リング部BCO1が材質検出センサ4aに到達した場合とコア部BCO2が材質検出センサ4aに到達した場合とにおいて、電磁界が影響を受ける程度が異なるためである。
次のポイントP4では、材質検出センサ4aの全体がバイメタル硬貨BCOのコア部BCO2に重なる。ポイントP4の前後ではバイメタル硬貨BCOと材質検出センサ4aとが重なる面積はほぼ一定である。範囲では、材質検出センサ4aの周波数と電圧はほぼ一定である。
この後、バイメタル硬貨BCOと材質検出センサ4aとが重なる面積が減少すると、面積の減少に伴い材質検出センサ4aの周波数と電圧は待機状態の値に増加していく。この時も、電圧波形はピークを有する。
一方、バイメタル硬貨以外の硬貨COがポイントP2aに達すると、硬貨COの端部は、材質検出センサ4aの端部に到達する。これにより、待機状態の値と比較して、材質検出センサ4aの周波数は変化し、電圧は低下する。
次のポイントP3aでは、材質検出センサ4aに重なる硬貨COの面積が増加する。これにより、材質検出センサ4aの周波数はポイントP2aの値から変化し、電圧はポイントP2aの値より低下する。
この後、ポイントP4aの前後の硬貨COと材質検出センサ4aとが重なる面積がほぼ一定である範囲では、材質検出センサ4aの周波数と電圧はほぼ一定である。
この後、硬貨COと材質検出センサ4aとが重なる面積が減少すると、面積の減少に伴い材質検出センサ4aの周波数と電圧は待機状態の値に増加していく。
このように、バイメタル硬貨以外の硬貨COでは、材質が一種類であるため、材質検出センサ4aの電圧波形はピークを有さない。
(直列接続状態)
図8(a)は、バイメタル硬貨BCOと識別センサ4との位置関係を示す図であり、図8(b)は、図8(a)に対応する外径・材質検出センサの周波数と電圧の時間変化を示す図である。外径・材質検出センサとは、直列接続された外径検出センサ4b及び材質検出センサ4aを表す。外径・材質検出センサの周波数と電圧は、直列接続状態における第1発振信号OSC1の周波数と電圧を表す。
図8(c)は、バイメタル硬貨以外の硬貨COと識別センサ4との位置関係を示す図であり、図8(d)は、図8(c)に対応する外径・材質検出センサの周波数と電圧の時間変化を示す図である。
図8(a)に示すように、バイメタル硬貨BCOがポイントP1に位置する時、図8(b)に示すように、外径・材質検出センサの周波数と電圧は、硬貨が投入されていない待機状態とほぼ同じ値である。
次のポイントP2では、バイメタル硬貨BCOの端部は、外径検出センサ4bの端部に到達する。従って、外径・材質検出センサの周波数と電圧は、待機状態の値から低下する。
次のポイントP3では、バイメタル硬貨BCOのコア部BCO2は、材質検出センサ4aの端部に到達する。これにより、外径・材質検出センサの周波数と電圧は、ポイントP2の値から低下する。
次のポイントP4では、材質検出センサ4aの全体がバイメタル硬貨BCOのコア部BCO2に重なる。この時の外径検出センサ4bの周波数と電圧は、最小値となる。
この後、バイメタル硬貨BCOと外径・材質検出センサとが重なる面積は減少していき、これに伴い外径・材質検出センサの周波数と電圧は待機状態の値に増加していく。
図8(c),(d)に示すように、バイメタル硬貨以外の硬貨COの位置がポイントP1aからP2a、P3aに変化すると、外径・材質検出センサの周波数は変化し、電圧は低下していく。ポイントP3aとP4aでは、硬貨COと外径・材質検出センサとが重なる面積は一定であるため、外径・材質検出センサの周波数と電圧は一定である。
次に、図9,10を参照して、正偽判定及び種別判定処理を説明する。
図9は、硬貨処理装置1の正偽判定及び種別判定処理を示すフローチャートである。図9の処理は、硬貨識別部16の制御により行われる。図10は、データ収集期間を示す図であり、前述の図6(b),(d)に対応する。
まず、電源投入後などに、個別接続状態に設定する(ステップS1)。
次に、外径検出センサ4bの電圧(図10の待機電圧Vs)を記憶部17に格納する(ステップS2)。
次に、外径検出センサ4bの電圧を測定する(ステップS3)。
次に、外径検出センサ4bの電圧が待機電圧Vsの80%に変化していない場合(ステップS4;No)、硬貨が外径検出センサ4bの近くに到達していないため、ステップS3の処理に戻る。
外径検出センサ4bの電圧が待機電圧Vsの80%に変化した場合(ステップS4;Yes、図10の時刻t1)、硬貨が外径検出センサ4bの近くに到達しているため、外径検出センサ4bの電圧と周波数を記憶部17に格納する(ステップS5)。この時刻t1がデータ収集開始ポイントとなる。
次に、材質検出センサ4aの電圧と周波数を記憶部17に格納する(ステップS6)。
次に、直列接続状態に切り替える(ステップS7)。
次に、外径・材質検出センサの電圧と周波数を記憶部17に格納する(ステップS8)。
次に、個別接続状態に切り替える(ステップS9)。
次に、外径検出センサ4bの電圧が待機電圧Vsの85%に戻っていない場合(ステップS10;No)、ステップS5の処理に戻る。このように、切り替え部15は、個別接続状態と直列接続状態とを交互に切り替える。
外径検出センサ4bの電圧が待機電圧Vsの85%に戻った場合(ステップS10;Yes、図7の時刻t2)、記憶部17に記憶されている材質検出センサ4aの電圧波形から、硬貨がバイメタル硬貨であるか否か判定する(ステップS11)。つまり、図7の時刻t2がデータ収集終了ポイントとなり、時刻t1からt2の間がデータ収集期間となる。
本実施形態では、一例として、硬貨識別部16は、硬貨が第1コイルL1と第2コイルL2との間(材質検出センサ4a)を通過中の個別接続状態の第1発振信号OSC1の電圧に応じて、硬貨がバイメタル硬貨であるか否か判定し、個別接続状態の第2発振信号OSC2と、直列接続状態の第1発振信号OSC1との何れかを選択する。即ち、前述の材質検出センサ4aの電圧波形の違い(図7(b),(d))を利用して、硬貨がバイメタル硬貨であるか否か判定する。
具体的には、硬貨識別部16は、硬貨が第1コイルL1と第2コイルL2との間を通過中の予め定められた判定期間において第1発振信号OSC1の電圧波形にピークを有する時、バイメタル硬貨であると判定し、個別接続状態の第2発振信号OSC2を選択する。
また、硬貨識別部16は、上記判定期間において第1発振信号OSC1の電圧波形にピークを有さない時、バイメタル硬貨以外の硬貨であると判定し、直列接続状態の第1発振信号OSC1を選択する。
判定期間は、例えば、図7(b)のポイントP1からポイントP3の期間、及び、これに対応する図7(d)の期間である。
バイメタル硬貨である場合(ステップS11;Yes)、記憶部17に記憶されている外径検出センサ4bの周波数(選択された第2発振信号OSC2)を用いて外径を検出し、外径に基づいて硬貨を識別する(ステップS12)。例えば、周波数の最小値と周波数判別しきい値とを比較し、比較結果に応じて外径を検出してもよい。
次に、記憶部17に記憶されている外径検出センサ4bの電圧と、材質検出センサ4aの周波数及び電圧と、外径・材質検出センサの電圧と、を用いて材質を検出し、材質に基づいて硬貨を識別する(ステップS13)。例えば、電圧の最小値と電圧判別しきい値とを比較し、周波数の最小値と周波数判別しきい値とを比較し、これらの比較結果に応じて材質を検出してもよい。電圧判別しきい値と周波数判別しきい値は、記憶部17に予め記憶されている。
なお、ステップS13において、外径検出センサ4bの電圧と、材質検出センサ4aの周波数と、材質検出センサ4aの電圧と、外径・材質検出センサの電圧との少なくとも何れかを用いて材質を検出してもよい。
一方、バイメタル硬貨ではない場合(ステップS11;No)、記憶部17に記憶されている外径・材質検出センサの周波数(選択された第1発振信号OSC1)を用いて外径を検出し、外径に基づいて硬貨を識別する(ステップS14)。例えば、周波数の最小値と判別しきい値とを比較し、比較結果に応じて外径を検出してもよい。
次に、記憶部17に記憶されている外径検出センサ4bの電圧と、材質検出センサ4aの周波数及び電圧と、外径・材質検出センサの電圧と、を用いて材質を検出し、材質に基づいて硬貨を識別する(ステップS15)。例えば、電圧の最小値と電圧判別しきい値とを比較し、周波数の最小値と周波数判別しきい値とを比較し、これらの比較結果に応じて材質を検出してもよい。
なお、ステップS15において、外径検出センサ4bの電圧と、材質検出センサ4aの周波数と、材質検出センサ4aの電圧と、外径・材質検出センサの電圧と、の少なくとも何れかを用いて材質を検出してもよい。
このように、硬貨識別部16は、個別接続状態の第2発振信号OSC2、又は、直列接続状態の第1発振信号OSC1を用いて硬貨の外径を検出する。
また、硬貨識別部16は、個別接続状態の第1発振信号OSC1と、個別接続状態の第2発振信号OSC2と、直列接続状態の第1発振信号OSC1と、の少なくとも何れかを用いて硬貨の材質を検出する。
図11は、一実施形態に係るバイメタル硬貨以外の硬貨の外径と直列接続状態において硬貨識別部16によって検出される周波数との関係を示す図である。直列接続状態では外径によらず硬貨の全体に電磁界が及ぶため、図11に示すように、外径の大きさに比例して硬貨識別部16によって検出される周波数が低くなる。従って、小型の硬貨であっても高精度に外径を検出できる。
図12は、一実施形態に係るクラッド構造の硬貨の周波数と電圧との関係を示す図である。個別接続状態での材質検出センサ4aの周波数をForgとし、直列接続状態での周波数をFlowとする。直列接続状態のインダクタンスは、材質検出センサ4aのインダクタンスより大きくなるため、硬貨が存在していない状態では、周波数Flowは周波数Forgより低い。
このように2つの周波数Forg,Flowを用いることで、2つの表皮深さで材質を検出できる。従って、バイメタル硬貨以外の多層材で構成されるメッキ硬貨又はクラッド硬貨などの硬貨に対して、層毎に材質を検出できる。よって、材質の検出精度を向上できる。
図12の例では、芯材と、芯材を覆う表層材とを有するクラッド構造のテスト硬貨の材質を検出している。周波数Forgの場合には、電磁界は主に表層材の影響を受けるため、表層材を検出できる。周波数Flowの場合には、電磁界は主に芯材の影響を受けるため、芯材を検出できる。この例では、硬貨の影響によって周波数Flowは周波数Forgとほぼ等しくなっている。
図示するように、個別接続状態の周波数Forgの場合には電圧が高くなり、直列接続状態の周波数Flowの場合には電圧が低くなる。このように、2つの接続状態において互いに異なる電圧が得られるので、硬貨は互いに異なる材質の芯材と表層材とを有することを検出できる。
図示は省略するが、前述のように外径検出センサ4bの電圧と、材質検出センサ4aの周波数及び電圧と、外径・材質検出センサの電圧と、を用いることで、3つの周波数によって多層材の層毎の材質をより高精度に検出できる。
このように、本実施形態によれば、材質検出センサ4aと、材質検出センサ4aを囲うリング状の外径検出センサ4bとを設け、検査対象の硬貨が通過する際に材質検出センサ4aの電圧波形がピークを有するか否かで、硬貨がバイメタル硬貨であるか否か判定している。
そして、バイメタル硬貨以外の硬貨と判定された場合、材質検出センサ4aと外径検出センサ4bとが直列接続された外径・材質検出センサの周波数を用いて外径を検出するようにしている。これにより、小さい外径の硬貨であっても、材質検出センサ4aと外径検出センサ4bから硬貨の全面に電磁界が及ぶようになる。よって、外径によらず外径と周波数とが比例するので、高精度に外径を検出できる。
一方、バイメタル硬貨と判定された場合、リング状の外径検出センサ4bの周波数を用いて外径を検出するので、バイメタル硬貨の外周のリング部を反映して、外径を高精度に検出できる。
従って、複数種類の硬貨の外径の検出精度を向上できる。
また、硬貨の種類によらず、外径検出センサ4bの電圧と、材質検出センサ4aの周波数及び電圧と、外径・材質検出センサの電圧と、を用いて材質を検出するようにしている。
これにより、3種類の周波数を用いることができるので、得られる情報が増える。つまり、周波数に応じて電磁界の到達する深さが異なるため、多層材で構成されるクラッド硬貨又はメッキ硬貨の場合であっても、周波数に応じて表面の材質と内部の材質とを区別して検出できる。
従って、複数種類の硬貨の材質の検出精度も向上できる。
なお、第1コイルL1から第4コイルL4は、フェライト材などのコアに導線を巻回して形成されたものでもよい。
また、個別接続状態と直列接続状態とを交互に切り替えて電圧及び周波数を記憶しておき、データ収集期間が終了した後でバイメタル硬貨であるか否か判定する一例について説明したが、これに限らない。例えば、図7(b)のポイントP3とほぼ同じタイミングにてバイメタル硬貨であるか否か判定し、その後、判定結果に応じて個別接続状態と直列接続状態の何れか一方に固定して、得られた電圧や周波数を用いて外径及び材質を判定してもよい。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1 硬貨処理装置
2 投入口
3 硬貨通路
4 識別センサ
4a 材質検出センサ
4b 外径検出センサ
L1 第1コイル
L2 第2コイル
L3 第3コイル
L4 第4コイル
11 第1発振回路
12 第2発振回路
13,14 包絡線検波回路
15 切り替え部
16 硬貨識別部
17 記憶部

Claims (7)

  1. 投入された硬貨が通過する硬貨通路と、
    前記硬貨通路を挟んで向かい合う第1コイルと第2コイルとを有する材質検出センサと、
    前記第1コイルを囲うリング状の第3コイルと、前記第2コイルを囲うリング状の第4コイルと、を有し、前記第3コイルと前記第4コイルとは前記硬貨通路を挟んで向かい合う、外径検出センサと、
    個別接続状態において、前記材質検出センサに接続されて第1発振信号を発振し、直列接続状態において、直列接続された前記材質検出センサ及び前記外径検出センサに接続されて前記第1発振信号を発振する第1発振回路と、
    前記個別接続状態において、前記外径検出センサに接続されて第2発振信号を発振する第2発振回路と、
    前記個別接続状態と前記直列接続状態とを切り替える切り替え部と、
    前記個別接続状態の前記第2発振信号、又は、前記直列接続状態の前記第1発振信号を用いて前記硬貨の外径を検出し、前記外径に基づいて前記硬貨を識別する硬貨識別部と、
    を備えることを特徴とする硬貨処理装置。
  2. 前記硬貨識別部は、前記硬貨が前記第1コイルと前記第2コイルとの間を通過中の前記個別接続状態の前記第1発振信号に応じて、前記個別接続状態の前記第2発振信号と、前記直列接続状態の前記第1発振信号との何れかを選択し、選択された前記第1発振信号又は前記第2発振信号を用いて、前記硬貨の前記外径を検出する、ことを特徴とする請求項1に記載の硬貨処理装置。
  3. 前記硬貨識別部は、前記硬貨が前記第1コイルと前記第2コイルとの間を通過中の予め定められた判定期間において前記第1発振信号の電圧波形にピークを有する時、前記個別接続状態の前記第2発振信号を選択し、前記判定期間において前記第1発振信号の電圧波形にピークを有さない時、前記直列接続状態の前記第1発振信号を選択する、ことを特徴とする請求項2に記載の硬貨処理装置。
  4. 前記硬貨識別部は、前記個別接続状態の前記第1発振信号を用いて前記硬貨の材質を検出し、前記材質及び前記外径に基づいて前記硬貨を識別する、ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の硬貨処理装置。
  5. 前記硬貨識別部は、前記個別接続状態の前記第1発振信号と、前記直列接続状態の前記第1発振信号と、を用いて前記硬貨の前記材質を検出する、ことを特徴とする請求項4に記載の硬貨処理装置。
  6. 前記第1発振信号の電圧及び周波数と、前記第2発振信号の電圧及び周波数と、を記憶する記憶部を備え、
    前記切り替え部は、前記個別接続状態と前記直列接続状態とを交互に切り替え、
    前記硬貨識別部は、前記記憶部に記憶された値を用いて前記硬貨を識別する、ことを特徴とする請求項1から請求項5の何れかに記載の硬貨処理装置。
  7. 前記第1コイルと前記第3コイルは、第1基板上に平面状に設けられたスパイラルコイルであり、
    前記第2コイルと前記第4コイルは、第2基板上に平面状に設けられたスパイラルコイルである、ことを特徴とする請求項1から請求項6の何れかに記載の硬貨処理装置。
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