JP4682342B2 - 弱磁性を有するバイメタルコイン用コインセレクタ - Google Patents
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Description
特に、バイメタルコインの判別精度を向上できるコインセレクタに関する。
さらに詳しくは、リング形アウターリングの装着孔に円板形のインナープレートを圧入したバイメタルコインであって、インナープレートが加工誘起マルテンサイト変態性質を有するオーステナイト系ステンレス鋼であるバイメタルコインに適したコインセレクタに関する。
なお、本明細書で使用する「バイメタルコイン」は、通貨であるコイン、ゲーム機のメダルやトークン等の代用貨幣、及び、それらと類似のものを包含する。
厚み検出コイルは磁気センサである。
この従来技術は、インナープレート及びアウターリングのそれぞれの厚みを検知し、基準値と比較するので、バイメタルコインについて精度が高い真偽判別を行える利点がある。
しかし、これとてもインナープレートとアウターリングとの材質及び板厚を同一にした場合、真偽の判別ができないという問題がある。
換言すれば、通常のバイメタルコインは偽造されやすい問題がある。
このトークンは、加工硬化により周縁部が磁性化するため、周縁部の磁性化の有無を判別することにより、真偽を判別されることができる。
しかし、この場合も周縁に磁性を有するアウターリングを配置し、磁性を有しないインナープレートを配置したバイメタルコインにすることにより偽造されやすい問題がある。
すなわち、各磁気センサは単にインナープレート及びアウターリングに相対しているのみであるので加工硬化の影響を受けている部位を検出することができなかった。
本発明の第2の目的は、バイメタルコインの製造行程において生じた金属組織変化を精度良く検知できるコインセレクタを安価に提供することにある。
リング形のアウターリングの装着孔に円板形インナープレートを嵌め込んだバイメタルコインのコイン通路に沿って磁気センサを配置したコインセレクタにおいて、磁気センサはバイメタルコインのインナープレートの外径よりも小径に形成された円筒形コアに前記インナープレートの外径とほぼ同径のリング状コイルを巻き付けて構成され、前記コイルが前記インナープレートの周縁部に相対して配置されていることを特徴とする弱磁性を有するバイメタルコイン用コインセレクタである。
したがって、磁気センサのコアはインナープレートの周縁よりもやや内側に相対する。
コイルの磁束は、コアの端面からバイメタルコインに向かって作用する。
磁束は空中では拘束されないため、コアの端面から放射状に進行するものと考えられる。
したがって、コイルがインナープレートの周縁に相対している場合、その内側に位置するコアからの磁束は、その放射によってインナープレートの周縁部に作用するため、周縁部の金属の性質の影響を受ける。
よって、インナープレートの加工によって生じた金属組織変化によって生じたマルテンサイト変態による磁化の影響を最もよく検知することができる
図2は、参考例のコインセレクタの概要図である。
図3は、図2におけるC―C線断面図である。
図4は、参考例のコインセレクタの判定回路のブロック図である。
図5は、参考例の作用説明用のグラフである。
図6は、本発明の参考例の磁気センサであって、(A)は正面図、(B)は(A)におけるD−D線断面図である。
図7は、本発明の実施例の磁気センサであって、(A)は正面図、(B)は(A)におけるE−E線断面図、(C)は作用説明図である。
本発明に関するバイメタルコイン100は、中央に円形の装着孔102を有するアウターリング104と、装着孔102に圧入した円板形のインナープレート106からなる。
アウターリング104は、例えば、非磁性の白銅系金属若しくは真鍮系金属で作られる。
インナープレート106は、加工誘起マルテンサイト変態性質を有するオーステナイト系ステンレス鋼、例えば、特許第3039838号に開示されたステンレス鋼を用いる。
したがって、予めインナープレート106の周縁部108の所定の範囲を所定の力でプレス加工して圧入のための成形をすることによりインナープレート106の周縁部108を弱磁性化する。
前述のように、周縁部108(塗りつぶした部分)を予め磁性化したインナープレート106を装着孔102に圧入する。
または、インナープレート106を装着孔102に圧入することにより、周縁部108に所定の力が加わるので所定の範囲において磁性化する。
これにより、周縁部の所定範囲が磁性化されたインナープレート106を有するバイメタルコイン100を容易に得ることができる。
図2において、コインセレクタ200は、矩形の箱型であり、例えば自動販売機などに内蔵される。
コインセレクタ200の投入口202に投入されたバイメタルコイン100は、傾斜配置されたガイドレール204上を転がってゲート206に達する。
すなわち、バイメタルコイン100は、ガイドレール204に沿って延びるコイン通路208を転動する。
ゲート206は、ゲートソレノイド210が消磁されているとき、ガイドレール204の延長上の閉位置にある。
この状態において、バイメタルコイン100はゲート206において落下せず、ゲート206を通り過ぎて返却口(図示せず)に返却される。
ゲートソレノイド210が励磁された場合、ゲート206は開かれ、バイメタルコイン100はゲート206において落下して金庫(図示せず)へ誘導される。
まず、本発明に係る磁気センサ222を説明する。
磁気センサ222は、インナープレート106の周縁部108の磁性化の程度に関するデータを検知する機能を有する。
磁気センサ222は、コイン通路208の両側に配置された一対の第1磁気センサ230と第2磁気センサ232とにより構成されている。
第1磁気センサ230は、中央に円筒状のコア234を有し、周囲に円筒形のフランジ236を形成し、それらコア234とフランジ236を底部238で連結したリング形であって、かつ、フェライトで成形されたポットコア240のコア234に第1コイル242が巻きつけられている。
ポットコア240は、ガイドレール204と一体に成形され、かつ、コイン通路208の一側を画定する非磁性材料、例えば、樹脂にて成形された側壁242に固定されている。
第2磁気センサ232は、コア234に巻き付けた第2コイル246を有し、第1磁気センサ230に対しコイン通路208を挟んで対称に、コイン通路208を画定する他方の側壁248に固定されている。
厚みセンサ220は、バイメタルコイン100の厚みに関するデータを検知する機能を有する。
厚みセンサ220は、コイン通路208の側方であって、かつ、磁気センサ222の直近上流側であって、さらに、ガイドレール204の直近に配置されている。
すなわち、バイメタルコイン100のアウターリング104に相対して配置されている。
換言すれば、直径の異なる複数種類のコインのすべてに相対する位置に厚みセンサ220は配置されている。
この厚みセンサ220は、磁気センサ222と同様にフェライトにて成形された一対のポットコアにコイル252、254を巻き付けた磁気センサである。
厚みセンサ220は、コインの厚みに関するパラメータを測定できる機能を有していれば良い。
したがって、厚みセンサ220はコイル以外の方式を採用することができる。
また、厚みセンサ220は、2個以上配置することができる。
第1材質センサ224、第2材質センサ226及び直径センサ228の構造は、磁気センサ222と同様である。
直線E上であって、ガイドレール204に近い位置に第2材質センサ226が配置されている。
第1材質センサ224は、コイル260、262を有し、インナープレート106の材質に関するデータを検知する機能を有する。
第2材質センサ226は、コイル264、266を有し、アウターリング104の材質に関するデータを検知する機能を有する。
直径センサ228は、第1材質センサ224よりもガイドレール204から離れた位置に配置されている。
直径の差が大きいコインを正確に判定するため、第2直径センサを配置することが好ましい。
この場合、小径のコイン判定は、第1直径センサの出力に基づいて行い、大径のコインの判定は、第2直径センサの出力に基づいて行う。
したがって、直径センサ228は、コイル以外の方式を採用することができる。
磁気センサ222のコイル242、246は、差動接続し、発振回路272に接続してある。
発振回路272は、検波回路274、AD変換回路276を経由してマイクロプロセッサ256に接続してある。
発振回路272は低周波数に設定される。
発振回路278は検波回路280、AD変換回路282を経由してマイクロプロセッサ256に接続してある。
発振回路278の発振周波数は、高周波数に設定される。
発振回路284は、検波回路286、AD変換回路288を経由してマイクロプロセッサ256に接続してある。
発振回路284の発振周波数は、高周波数に設定される。
厚みセンサ220のコイル252、254は、和動接続し、発振回路290に接続してある。
発振回路290は低周波数に設定される。
発振回路290は、検波回路292、AD変換回路294を経由してマイクロプロセッサ256に接続してある。
発振回路296は、検波回路298、AD変換回路300を経由してマイクロプロセッサに接続される。
発振回路296は、低周波数に設定される。
この設定に際し、各センサが近接しているため、周波数干渉を生じないよう、磁気センサ222に加える周波数に基づいてその他のセンサの周波数を設定する。
すなわち、偶数倍や偶数で除した近傍の周波数を採用した場合、周波数干渉を起こすため、この干渉帯域を外してその他のセンサに加える周波数を次の手順で設定する。
磁気センサ222の発振回路272は、磁力の相違によって電圧変化が大きく現れる周波数を採用する。
次に、第2材質センサ226の周波数設定を行う。
次に、厚みセンサ220の周波数設定を行う。
最後に直径センサ228の周波数設定を行う。
なお、磁気センサ222、第1材質センサ224と第2材質センサ226は差動接続であり、厚みセンサ220及び直径センサ228は和動接続であるため、加えられる周波数が近くとも周波数干渉は生じ難い。
マイクロプロセッサ256は、ROM304に記憶されたプログラムに基づいてCPU302がRAM306と交信し、かつ、基準値設定回路308のデータと比較してコインの真偽判定を行い、正貨のときにゲートソレノイド210を所定時間励磁する。
バイメタルコイン100はガイドレール204上を転がって、厚みセンサ220、磁気センサ222次いで第1材質センサ224、第2材質センサ226及び直径センサ228の順に相対する。
まず、バイメタルコイン100の転動により、インナープレート106に相対する厚みセンサ220の磁界が影響を受け、検波回路290の出力電圧は、図5の線MEに示すように低下する。
このアナログ信号がAD変換回路294によってデジタル変換され、マイクロプロセッサ256に送られる。
この出力は、AD変換回路276によってデジタル変換され、マイクロプロセッサ256に送られる。
ラインT1の中央部が窪んでいるのは、インナープレート106とアウターリング104との材質の相違による。
第2材質センサ226の磁界はアウターリング104により影響を受け、検波回路286の出力がラインT2で示すように変化する。
直径センサ228の磁界はアウターリング104により影響を受け、検波回路298の出力がラインDで示すように変化する。
まず、磁気センサ222の出力レベル(ラインMM)を基準値設定回路308の基準値と比較する。
基準値の範囲内にある場合、第2ステップに進む。
第2ステップにおいて、厚みセンサ220の出力(ラインME)が基準値と比較され、基準値内の場合、第3ステップに進む。
第4ステップにおいて、第1材質センサ224の出力(ラインT1)が基準値と比較され、基準値内の場合、ステップ5に進む。
第5ステップにおいて、第2材質センサ226の出力(ラインT2)が基準値と比較され、基準値内の場合、初めて正貨と判定され、ゲートソレノイド210が励磁される。
前記各ステップの何れかにおいて基準値を外れた場合、偽貨と判定し、ゲートソレノイド210は励磁されない。
これにより、投入されたバイメタルコイン100はゲート206を通過し、返却通路を通って返却口に戻される。
本参考例2も参考例1と同様に左右一対の磁気センサにて構成されるが、便宜的に片側の磁気センサ312を説明する。
先の実施例と同一部には同一符号を付し、異なる構成を説明する。
周縁部108に相対するコア234の内側に小径のリング形の第2コア314を配置し、コア234と第2底部316によって接続し、ポットコア318を構成する。
第2コア314に第2コイル320を巻き付け、バイメタルコイン100のインナープレート106の厚みセンサ220又は第1材質センサ224を構成する。
このポットコア318を用いることにより、一つのポットコアで二つのセンサを構成することができるので、コインセレクタを小型化できる利点がある。
本実施例も参考例1と同様に左右一対の磁気センサ222にて構成される。
先の参考例1及び2と同一部には同一符号を付し、異なる構成を説明する。
実施例のポットコア400は、参考例1と同様に円筒形のコア402、コア402の外側に位置する円筒形のフランジ404及びコア402とフランジ404を連結する底部406により構成されるポット形であり、材質はフェライトである。
コア402にリング形のコイル408を巻き付けて一つの磁気センサ410が構成されている。
本実施例においては、コア402にリング形のコイル408を外装し、接着剤により固着されている。
換言すれば、コイル408の外径は、インナープレート106の外径とほぼ同一である。
したがって、コア402の端面はインナープレート106の周縁部よりも内方に相対する。
コイル408の厚み(直径方向)は、約2ミリである。
バイメタルコイン100がガイドレール204上を転動する場合、コイル408とインナープレート106の周縁部が相対するよう配置されている。
したがって、バイメタルコイン100が転動する場合、コア402の端面はインナープレート106の所定量内側のインナープレート106の面と相対する。
図7(C)に示すように、コア402の端面から発せられる磁束412は、その端面よりも外側に位置するインナープレート106の周縁部の弱磁性化した周縁に作用する。
コア402の端面からの磁束は、放射状を呈するためである。
したがって、本ポットコア400を使用した磁気センサ410は、アウターリング104の材質の影響を殆ど受けることなくインナープレート106の周縁の弱磁性化した電気的性質を検知することができるので、精度良くバイメタルコインの真偽を判別できる利点がある。
102 装着孔
104 アウターリング
106 インナープレート
108 周縁部
208 コイン通路
222 磁気センサ
234、314、402 コア
272 発振回路
Claims (1)
- リング形のアウターリング(104)の装着孔(102)に円板形インナープレート(106)を嵌め込んだバイメタルコイン(100)のコイン通路(208)に沿って磁気センサ(222)を配置したコインセレクタにおいて、
前記磁気センサは前記インナープレートの外径よりも小径に形成された円筒形コア(402)に前記インナープレートの外径とほぼ同径のリング状コイル(408)を巻き付けて構成され、前記コイルが前記インナープレートの周縁部に相対して配置されていることを
特徴とする弱磁性を有するバイメタルコイン用コインセレクタ。
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