以下、本発明に係る実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[画像形成装置の全体構成]
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置100の概略構成を示す正面図である。
画像形成装置100は、タンデム型のカラー画像形成装置であり、所定方向に沿って並設された複数(この例では4つ)の感光体ドラム3b,3c,3m,3y(像担持体の一例)を備え、互いに異なる複数色(この例ではブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各色成分)の画像をそれらに対応する感光体ドラム3b,3c,3m,3yにそれぞれタイミングを合わせて形成し、感光体ドラム3b,3c,3m,3yにそれぞれ形成された複数色の画像を転写部材として作用する中間転写ベルト7(中間転写体の一例)に重ねて転写し、さらに、転写部材として作用する記録シートP(記録材の一例)に転写する。
画像形成装置100は、原稿Gの画像を読み取って記録用紙等の記録シートPに画像を形成する複写機能を有しており、原稿Gの画像を読み取る画像読取装置200と、記録シートPに画像を形成する画像形成部330を有する画像形成装置本体300とを備えている。
画像形成装置本体300は、画像形成部330に加えて、シート供給部310と、シート搬送部320と、シート排出部340とを有している。
画像形成部330において扱われる画像データは、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各色を用いたカラー画像に応じたもの、又は、単色(例えばブラック)を用いたモノクロ画像に応じたものである。このため、画像形成部330においては、感光体ドラム3b,3c,3m,3y、帯電器5b,5c,5m,5y、現像装置2b,2c,2m,2y(ここでは現像ユニット)、中間転写装置8における中間転写部6b,6c,6m,6y(ここでは中間転写ローラ)及びドラムクリーニング装置4b,4c,4m,4yは各色に応じた4種類の画像を形成するようにそれぞれ4個ずつ設けられ、それぞれがブラック、シアン、マゼンタ及びイエローに対応付けられ、末尾符号bがブラックに、末尾符号cがシアンに、末尾符号mがマゼンタに、末尾符号yがイエローに対応付けられて、4つの画像ステーションが構成されている。
中間転写装置8は、中間転写部6b,6c,6m,6y及び中間転写ベルト7に加えて、中間転写ベルトクリーニング装置9、中間転写ベルト駆動ローラ21、従動ローラ22及びテンションローラ23を備えている。中間転写ベルト駆動ローラ21、中間転写部6b,6c,6m,6y、従動ローラ22、テンションローラ23等のローラ部材は、中間転写ベルト7を張架して支持し、中間転写ベルト7を所定の移動方向Cに周回移動させる。
画像形成装置本体300では、画像形成を行うにあたり、無端状の中間転写ベルト7を所定の移動方向Cに周回移動させつつ感光体ドラム3b,3c,3m,3yを回転させ、帯電器5b,5c,5m,5yにより感光体ドラム3b,3c,3m,3yの表面を所定の電位に均一に帯電させ、レーザ露光装置1からの各色のトナー画像に対応するレーザ光により感光体ドラム3b,3c,3m,3yの表面を露光して、その表面に静電潜像を形成し、現像装置2b,2c,2m,2yにより感光体ドラム3b,3c,3m,3yの表面の静電潜像を現像して、感光体ドラム3b,3c,3m,3yの表面にトナー画像をそれぞれ形成する。これにより、各感光体ドラム3b,3c,3m,3yの表面に複数色(この例では4色)のトナー画像が形成される。その後、感光体ドラム3b,3c,3m,3yの表面の残留トナーをドラムクリーニング装置4b,4c,4m,4yにより除去及び回収する。
引き続いて、中間転写装置8において、中間転写ベルト7を移動方向Cに周回移動させつつ、転写バイアスが印加された中間転写部6b,6c,6m,6yにより各感光体ドラム3b,3c,3m,3yの表面に形成された各色のトナー画像を中間転写ベルト7に順次転写して重ね合わせ、中間転写ベルト7上にカラーのトナー画像を形成する。これにより、中間転写ベルト7表面にカラーのトナー画像が形成される。その後、中間転写ベルト7表面の残留トナーを中間転写ベルトクリーニング装置9により除去及び回収する。なお、画像形成装置100は、ドラムクリーニング装置4b,4c,4m,4y及び中間転写ベルトクリーニング装置9により除去及び回収された残留トナーは、図示を省略した廃トナーカートリッジに収容されるようになっている。
一方、シート供給部310では、シート供給ローラ部312により給紙カセット311に積載された記録シートPを給紙カセット311から引出して、シート搬送部320におけるシート搬送経路321を通じて画像形成部330に搬送する。なお、給紙カセット311は、画像形成装置本体300に対して着脱可能な着脱部材とされ、記録シートPを収容するシート収容部の一例とされている。
シート搬送経路321には、レジストローラ322、各搬送ローラ324及び排出ローラ325が設けられている。レジストローラ322は、記録シートPを一旦停止させて、記録シートPの先端を揃えた後、中間転写ベルト7と2次転写装置11における転写ローラ11aとの間の転写ニップ域でのカラーのトナー画像の転写タイミングに合わせて記録シートPの搬送を開始する。すなわち、シート供給部310からシート搬送部320におけるシート搬送経路321を通じて画像形成部330に搬送されてきた記録シートPを中間転写ベルト7と転写ローラ11aとの間の転写ニップ域に挟み込んで搬送しつつ、転写バイアスが印加された転写ローラ11aにより中間転写ベルト7表面におけるカラーのトナー画像を記録シートP上に転写する。
そして、定着装置12の加熱ローラ121と加圧ローラ122との間に記録シートPを挟み込んで加熱及び加圧し、記録シートP上のカラーのトナー画像を定着させ、さらに、シート排出部340に向けて搬送し、排出ローラ325を経てシート排出部340における排出トレイ341へ排出する。
また、記録シートPの表面だけではなく、裏面の画像形成を行う場合は、定着装置12にて表面にトナー画像が定着された記録シートPを排出ローラ325により反転経路323に向けて逆方向に搬送して、反転経路323により記録シートPの表裏を反転させ、記録シートPをレジストローラ322へ再度導き、記録シートPの表面と同様にして、記録シートPの裏面にトナー画像を形成して定着し、記録シートPをシート排出部340における排出トレイ341に排出する。
画像形成装置100は、中間転写装置8における中間転写ベルト7上の複数色の検出パターンPT(所謂レジスト調整パターン)を検知する検出パターン検知部80をさらに備えている。検出パターン検知部80は、中間転写ベルト7の近傍に設けられている。検出パターン検知部80は、中間転写ベルト7の表面と対向するように配置されている。検出パターン検知部80は、中間転写ベルト7の移動方向Cにおいて最下流側に位置する感光体ドラム(この例ではブラック用感光体ドラム3b)よりも下流側かつ最上流側に位置する感光体ドラム(この例ではイエロー用感光体ドラム3y)よりも上流側に配置されている。
[検出パターン検知部の構成]
図2は、図1に示す画像形成装置100において、中間転写ベルト7に形成された複数色の検出パターンPTを検知する検出パターン検知部80の概略構成を示す平面図である。
検出パターン検知部80は、この例では、発光部80a及び受光部80bを有する反射型の光センサである検出パターン検知センサ(所謂レジストセンサ)を備えている。検出パターン検知部80は、発光部80aから中間転写ベルト7の表面にて反射される反射光、及び、発光部80aから複数色の検出パターンPTにて反射される反射光を受光部80bで検知するようになっている。
複数色の検出パターンPTは、中間転写ベルト7において主走査方向Yにおける1箇所以上に形成することができる。検出パターン検知部80は、中間転写ベルト7の主走査方向Yにおける1箇所以上に形成される複数色の検出パターンPTに対応した位置に設けることができる。
本実施の形態では、複数色の検出パターンPTは、中間転写ベルト7において主走査方向Yにおける2箇所に形成される。従って、検出パターン検知部80は、中間転写ベルト7の主走査方向Yにおける2箇所に形成される複数色の検出パターンPT,PTに対応した位置にそれぞれ設けられた検出パターン検知部80(第1検出パターン検知部81及び第2検出パターン検知部82)とされている。なお、本実施の形態のように、中間転写ベルト7の主走査方向Yにおける複数箇所で複数色の検出パターンPTを検知する場合、その値は、例えば、複数箇所で検知した値の平均値をとすることができる。
[検出パターン]
複数色の検出パターンPT(図2参照)は、各画像ステーションでそれぞれ形成される各トナー画像にそれぞれ対応した複数色(この例ではシアン、ブラック、マゼンタ、イエロー)の画像パターンとされている。
複数色の検出パターンPTは、主走査方向Yに平行でかつ副走査方向Xに順次配列されたシアンマークCM、ブラックマークBM、マゼンタマークMM及びイエローマークYMと、主走査方向Yに対して所定角度(例えば45°)に傾斜しかつ副走査方向Xに順次配列されたシアンマークcm、ブラックマークbm、マゼンタマークmm及びイエローマークymとで構成されている。
ここで、主走査方向Yに平行なシアンマークCM、ブラックマークBM、マゼンタマークMM及びイエローマークYMは、副走査方向Xにおける色ずれを補正するための副走査方向補正用検出パターンPT1とされており、主走査方向Yに対して傾斜したシアンマークcm、ブラックマークbm、マゼンタマークmm及びイエローマークymは、主走査方向Yにおける色ずれを補正するための主走査方向補正用検出パターンPT2とされている。
副走査方向補正用検出パターンPT1及び主走査方向補正用検出パターンPT2は、副走査方向Xにおいて1組又は複数組(この例では2組)ずつ形成される。
副走査方向補正用検出パターンPT1のシアンマークCM、ブラックマークBM、マゼンタマークMM及びイエローマークYMは、何れも同じ形状(具体的には主走査方向Yに長い長方形)とされている。シアンマークCMとブラックマークBMとの間の間隔d1は、ブラックマークBMとマゼンタマークMMとの間の間隔d2と等しい一方、マゼンタマークMMとイエローマークYMとの間の間隔d3とは異なっている(間隔d3よりも狭くなっている)。主走査方向補正用検出パターンPT2のシアンマークcm、ブラックマークbm、マゼンタマークmm及びイエローマークymは、何れも同じ形状(具体的には主走査方向Yに傾斜した二辺が副走査方向Xに平行な二辺よりも長い平行四辺形)とされている。
具体的には、シアンマークCM、ブラックマークBM、マゼンタマークMM及びイエローマークYMの主走査方向Yにおける長手方向幅h1は172ドットとされ、シアンマークCM、ブラックマークBM、マゼンタマークMM及びイエローマークYMの副走査方向Xにおける短手方向幅h2は28ドットとされている。また、シアンマークCMとブラックマークBMとの間の間隔d1は62ドットとされ、ブラックマークBMとマゼンタマークMMとの間の間隔d2は62ドットとされ、マゼンタマークMMとイエローマークYMとの間の間隔d3は104ドットとされ、副走査方向補正用検出パターンPT1とその隣の副走査方向補正用検出パターンPT1との間の間隔d4は105ドットとされ、副走査方向補正用検出パターンPT1と主走査方向補正用検出パターンPT2との間のピッチp1は、3071ドットとされ、主走査方向Yにおいて2箇所に形成された検出パターンPT,PTのセンターからの距離d5は、1654ドットとされている。ここで、ドット径は、この例では、42.33μmとされている。
[制御部]
図3は、図1に示す画像形成装置100における制御部400の制御構成を概略的に示すブロック図である。
図3に示すように、制御部400は、CPU(Central Processing Unit)等のマイクロコンピュータからなる処理部410と、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)やデータ書き換え可能な不揮発性メモリ等の記憶装置を含む記憶部420とを含んでいる。
制御部400は、処理部410が記憶部420のROMに予め格納された制御プログラムを記憶部420のRAM上にロードして実行することにより、各種構成要素の作動制御を行うようになっている。記憶部420のRAMは、それぞれ、処理部410に対して作業用のワークエリアおよび画像データを格納する画像メモリとしての領域を提供する。
[色ずれ補正制御について]
本実施の形態では、制御部400は、複数色の検出パターンPTをそれぞれ形成し、形成した複数色の検出パターンPTをそれぞれ検出し、検出した複数色の検出パターンPTのそれぞれの検出値に基づいて色ずれを補正する色ずれ補正制御を行う構成とされている。
具体的には、制御部400は、検出した副走査方向補正用検出パターンPT1(シアンマークCM、ブラックマークBM、マゼンタマークMM及びイエローマークYM)の副走査方向Xにおける検出値が予め定めた所定の基準値DSyc,DSyb,DSym,DSyyになるように、つまり複数色のトナー画像の副走査方向Xにおける位置が合うように、複数色のトナー画像の副走査方向Xにおける形成位置を補正する。また、制御部400は、検出した主走査方向補正用検出パターンPT2(シアンマークcm、ブラックマークbm、マゼンタマークmm及びイエローマークym)の主走査方向Yにおける検出値が予め定めた所定の基準値DSxc,DSxb,DSxm,DSxyになるように、つまり複数色のトナー画像の主走査方向Yにおける位置が合うように、複数色のトナー画像の主走査方向Yにおける形成位置を補正する。ここで、複数色のトナー画像の副走査方向X及び主走査方向Yにおける形成位置の補正の実行は、この例では、複数の感光体ドラム3c,3b,3m,3yにそれぞれ静電潜像を書き込む際の副走査方向X及び主走査方向Yにおける書き込みタイミングをそれぞれ調整することで行っている。
詳しくは、制御部400は、複数色の検出パターンPTをそれぞれ形成する検出パターン形成部411と、検出パターン形成部411にて形成した複数色の検出パターンPTをそれぞれ検出する検出パターン検出部412と、検出パターン検出部412にて検出した複数色の検出パターンPTのそれぞれの検出値から複数色のトナー画像の色ずれを補正するための補正量Hc,Hb,Hm、Hyをそれぞれ算出する色ずれ補正量算出部413と、色ずれ補正量算出部413にて算出した補正量Hc,Hb,Hm、Hyに基づいて複数色のトナー画像の形成位置を変更する色ずれ補正実行部414とを備える構成とされている。
制御部400は、画像形成装置100の工場出荷時での作業者の指示により、或いは、画像形成装置100の待機時(通常の画像形成動作が行われていないとき)に手動で又は所定時期毎に自動的に色ずれ補正制御を行う。
複数色の検出パターンPTを示す画像データは、記憶部420(図3参照)に予め記憶されている。
検出パターン形成部411は、色ずれ補正制御を行うにあたり、画像形成部330に対して複数色の検出パターンPTを中間転写ベルト7に形成させることを指示する。
画像形成部330は、検出パターン形成部411の指示により、複数色の検出パターンPTを示す画像データを記憶部420から読み出して、レーザ露光装置1に送信する。次いで、画像形成部330は、レーザ露光装置1の各レーザダイオードから出射した各色のトナー画像に対応する走査ビームにより各感光体ドラム3c,3b,3m,3yの画像形成領域にそれぞれの検出パターンPT用の静電潜像を形成する。次いで、画像形成部330は、各現像装置2c,2b,2m,2yにより各感光体ドラム3c,3b,3m,3y上における静電潜像を現像して各感光体ドラム3c,3b,3m,3y上にシアンマークCM及びシアンマークcm、ブラックマークBM及びブラックマークbm、マゼンタマークMM及びマゼンタマークmm並びにイエローマークYM及びイエローマークymをそれぞれ形成する。さらに、画像形成部330は、各感光体ドラム3c,3b,3m,3yにおけるシアンマークCM及びシアンマークcm、ブラックマークBM及びブラックマークbm、マゼンタマークMM及びマゼンタマークmm並びにイエローマークYM及びイエローマークymを中間転写ベルト7に転写し、中間転写ベルト7上に複数色の検出パターンPTを形成する(図2参照)。
検出パターン検知部80(81,82)は、検出パターン形成部411にて中間転写ベルト7に形成されて中間転写ベルト7の周回移動に伴い副走査方向Xに搬送される複数色の検出パターンPTをそれぞれ検知する。検出パターン検知部80(81,82)は、検知した複数色の検出パターンPTの検知データを検出パターン検出部412に送信する。
(副走査方向補正用検出パターンの色ずれ補正)
検出パターン検出部412は、検出パターン検知部80から送られてきた検知データを受信すると、副走査方向補正用検出パターンPT1における主走査方向Yに平行なシアンマークCM、ブラックマークBM、マゼンタマークMM及びイエローマークYMの検出タイミングに基づいて、シアンマークCM、ブラックマークBM、マゼンタマークMM及びイエローマークYMの副走査方向Xにおける形成位置を算出する。
また、検出パターン検出部412は、算出したシアンマークCM、ブラックマークBM、マゼンタマークMM及びイエローマークYMの副走査方向Xにおける形成位置の正規の形成位置に対する検出値(副走査方向Xにおける位置ずれ量CMx,BMx,MMx,YMx)をシアンマークCM、ブラックマークBM、マゼンタマークMM及びイエローマークYM別に検出し、検出した検出値(副走査方向Xにおける位置ずれ量CMx,BMx,MMx,YMx)を記憶部420(図2参照)に記憶する。
例えば、シアンマークCM、ブラックマークBM、マゼンタマークMM及びイエローマークYM別に、予め定めた所定の基準位置からの副走査方向Xにおける正規の相対距離を予め設定しておく。検出パターン検出部412は、シアンマークCM、ブラックマークBM、マゼンタマークMM及びイエローマークYM別に、基準位置からの副走査方向Xにおける検出距離を求め、正規の相対距離と副走査方向Xにおける検出距離との差を位置ずれ量CMx,BMx,MMx,YMxとして検出する。
色ずれ補正量算出部413は、検出パターン検出部412にて検出した検出値(副走査方向Xにおける位置ずれ量CMx,BMx,MMx,YMx)から複数色のトナー画像の副走査方向Xにおける色ずれの補正量Hxc,Hxb,Hxm、Hxyをそれぞれ算出し、算出した副走査方向Xにおける色ずれの補正量Hxc,Hxb,Hxm、Hxyを記憶部420(図2参照)に記憶する。
色ずれ補正実行部414は、色ずれ補正量算出部413にて算出した副走査方向Xにおける色ずれの補正量Hxc,Hxb,Hxm、Hxyを用いて感光体ドラム3c,3b,3m,3yに静電潜像を書き込む際の副走査方向Xにおける書き込みタイミングをそれぞれ調整する。
これにより、制御部400は、中間転写ベルト7に形成される複数色のトナー画像における副走査方向Xにおける位置を一致させた状態で複数色のトナー画像を重ね合わせることができ、副走査方向Xにおいて色ずれを無くす或いはほぼ無くすことができる。
(主走査方向補正用検出パターンの色ずれ補正)
また、検出パターン検出部412は、検出パターン検知部80(81,82)から送られてきた検知データを受信すると、主走査方向補正用検出パターンPT2における主走査方向Yに対して傾斜したシアンマークcm、ブラックマークbm、マゼンタマークmm及びイエローマークymの検出タイミングに基づいて、シアンマークcm、ブラックマークbm、マゼンタマークmm及びイエローマークymの副走査方向Xにおける形成位置を算出する。
また、検出パターン検出部412は、算出したシアンマークcm、ブラックマークbm、マゼンタマークmm及びイエローマークymの副走査方向Xの形成位置と先に算出して記憶部420に記憶しておいたシアンマークCM、ブラックマークBM、マゼンタマークMM及びイエローマークYMの副走査方向Xにおける位置ずれ量CMx,BMx,MMx,YMxとに基づいてシアンマークcm、ブラックマークbm、マゼンタマークmm及びイエローマークymの主走査方向Yにおける形成位置の正規の形成位置に対する検出値(主走査方向Yにおける位置ずれ量cmy,bmy,mmy,ymy)を検出し、検出した検出値(主走査方向Yにおける位置ずれ量cmy,bmy,mmy,ymy)を記憶部420に記憶する。
ここで、シアンマークcm、ブラックマークbm、マゼンタマークmm及びイエローマークymが主走査方向Yに対して傾斜しているので、シアンマークcm、ブラックマークbm、マゼンタマークmm及びイエローマークymが副走査方向Xに一定距離ずれると主走査方向Yにも一定距離だけずれ、シアンマークcm、ブラックマークbm、マゼンタマークmm及びイエローマークymが主走査方向Yに一定距離ずれると副走査方向Xにも一定距離だけずれ、従って、一方のずれが双方のずれに対応して積算される。このため、シアンマークcm、ブラックマークbm、マゼンタマークmm及びイエローマークymの副走査方向Xの位置ずれ量cmx,bmx,mmx,ymxから、シアンマークCM、ブラックマークBM、マゼンタマークMM及びイエローマークYMの副走査方向Xの位置ずれ量CMx,BMx,MMx,YMxを差し引けば、シアンマークcm、ブラックマークbm、マゼンタマークmm及びイエローマークymの主走査方向Yにおける位置ずれ量cmy,bmy,mmy,ymyを算出することができる。
例えば、シアンマークcm、ブラックマークbm、マゼンタマークmm及びイエローマークym別に、予め定めた所定の基準位置からの副走査方向Xにおける正規の相対距離を予め設定しておく。検出パターン検出部412は、シアンマークcm、ブラックマークbm、マゼンタマークmm及びイエローマークym別に、基準位置からの副走査方向Xにおける検出距離を求め、正規の相対距離と副走査方向Xにおける検出位置との差を位置ずれ量cmx,bmx,mmx,ymxとして検出し、検出した位置ずれ量cmx,bmx,mmx,ymxから、シアンマークCM、ブラックマークBM、マゼンタマークMM及びイエローマークYMの副走査方向Xにおける位置ずれ量CMx,BMx,MMx,YMxを差し引いて、得られた値からシアンマークcm、ブラックマークbm、マゼンタマークmm及びイエローマークymの主走査方向Yにおける位置ずれ量cmy,bmy,mmy,ymyを検出する。
色ずれ補正量算出部413は、検出パターン検出部412にて検出した検出値(主走査方向Yにおける位置ずれ量cmy,bmy,mmy,ymy)から複数色のトナー画像の主走査方向Yにおける色ずれの補正量Hyc,Hyb,Hym、Hyyをそれぞれ算出し、算出した主走査方向Yにおける色ずれの補正量Hyc,Hyb,Hym、Hyyを記憶部420(図2参照)に記憶する。
色ずれ補正実行部414は、色ずれ補正量算出部413にて算出した主走査方向Yにおける色ずれの補正量Hyc,Hyb,Hym、Hyyを用いて感光体ドラム3c,3b,3m,3yに静電潜像を書き込む際の主走査方向Yにおける書き込みタイミングをそれぞれ調整する。
これにより、制御部400は、中間転写ベルト7に形成される複数色のトナー画像における主走査方向Yにおける位置を一致させた状態で複数色のトナー画像を重ね合わせることができ、主走査方向Yにおいて色ずれを無くす或いはほぼ無くすことができる。
(突発的な誤検出について)
ところで、色ずれ補正制御においては、既述したように、検出パターンPTを検出している最中に、例えば、感光体ドラム3c,3b,3m,3yを駆動する駆動部(図示省略)から感光体ドラム3c,3b,3m,3yへの回転駆動を伝達する駆動ギヤ等の駆動伝達部(図示省略)の駆動伝達不良(具体的には駆動ギヤが空回りする所謂ギヤ飛び)といった突発的要因により突発的な誤検出を行ってしまうことがある。そうすると、制御部400は、このままでは突発的な誤検出が発生したのか否かを認識することができないため、本来の検出値とは異なる検出値で色ずれの補正が行われることになり、本来の色ずれ補正制御を行うことができない。しかも、補正した検出パターンPTのマークが別のマーク(例えば隣のマーク)と重なってしまうと、検出パターンPTの各マークを各色に対応させて検出することができない上、それ以降、重なった状態の検出パターンPTのマークを戻して色ずれ補正制御を行うことができなくなってしまう。このことは、短時間で検出パターンPTを検出するために検出パターンPTの隣り合うマーク間の間隔d1,d2,d3(図2参照)を狭くした場合に、特に顕著となる。
この点、本実施の形態に係る色ずれ補正制御は、次のような色ずれ補正制御とされている。
図4は、本実施の形態に係る色ずれ補正制御を説明するための説明図である。図4(a)は、突発的要因により突発的な誤検出を行った場合での補正前の検出パターンPTを示す図であり、図4(b)は、突発的要因により突発的な誤検出を行った場合での補正後の検出パターンPTを示す図である。図4(c)は、イレギュラーな適正検出を行った場合での補正前の検出パターンPTを示す図であり、図4(d)は、イレギュラーな適正検出を行った場合での補正後の検出パターンPTを示す図である。
以下では、主として副走査方向補正用検出パターンPT1におけるシアンマークCMを例にとって説明する。なお、図4(a)から図4(d)において、破線のシアンマークCMaは、正規の位置を示しており、実線のシアンマークCMは、正規の位置からの位置ずれを示している。また、図4(a)において、鎖線のシアンマークCMbは、突発的な誤検出を示している。
検出パターンPTの検出値は、既述の通り、周囲の環境変化(例えば温度変化)により、通常は、1日のうちで、ある程度決まった色ずれ範囲Ra内(例えば0ドットから10ドットまでの範囲内)に収まっている(例えばシアンマークCMの位置ずれ量CMxa:図4(a)参照)。
検出パターンの検出値が周囲の環境変化(例えば温度変化)により変化するといった通常の色ずれ範囲Raから外れる場合としては、本来は色ずれ範囲Ra内にあるにも拘わらず、検出パターンPTを検出している最中に、例えば、突発的要因により突発的な誤検出を行って本来の検出値(本来のシアンマークCMの位置ずれ量CMxa:図4(a)参照)とは異なる検出値(誤検出したシアンマークCMbの位置ずれ量CMx:図4(a)参照)となる場合の他、実際に通常の色ずれ範囲Raから外れた検出値、例えば、画像形成装置100自体を移動させたり或いは画像形成装置100に何らかの衝撃が与えられたりといったように画像形成装置100に外力が加わる等の通常とは異なるイレギュラー要因により画像形成装置100の状態が変化した後にイレギュラーな適正検出を行って適正検出による検出値(適正検出によるシアンマークCMの位置ずれ量CMx:図4(c)参照)が通常の色ずれ範囲Raから逸脱した検出値となる場合がある。つまり、突発的な誤検出を行った場合には、本来の検出値(本来の位置ずれ量CMxa:図4(a)参照)は通常は色ずれ範囲Ra内にあり、誤検出した検出値(誤検出した位置ずれ量CMx:図4(a)参照)で色ずれ補正制御を行う必要はない一方で、イレギュラーな適正検出を行った場合には、適正検出による検出値(適正検出による位置ずれ量CMx:図4(c)参照)が色ずれ範囲Raから外れており、色ずれ範囲Raから外れた適正検出による検出値(適正検出による位置ずれ量CMx)で色ずれ補正制御を行う必要がある。
かかる観点から、検出パターンPTの検出値が色ずれ範囲Ra(この例では0ドットから10ドットまでの範囲)から外れる場合には、一旦、色ずれ範囲Raの限界値Rm(この例では上限値の10ドット)を用いて色ずれの補正を試みてみる。そうすると、色ずれ範囲Raの限界値Rmを用いて色ずれを補正した後の複数色の検出パターンPTの検出値は、突発的な誤検出を行った場合とイレギュラーな適正検出を行った場合とで色ずれ補正に関する異なった性質の値になっている。
すなわち、突発的な誤検出を行った場合では、図4(b)に示す補正後の位置ずれ量CMxbは、図4(a)に示す本来の位置ずれ量CMxaから色ずれ範囲Raの限界値Rmを差し引いた値とすることができる。例えば、図4(a)に示す本来の位置ずれ量CMxaを2ドットとした場合、図4(b)に示す補正後の位置ずれ量CMxbは、図4(a)に示す本来の位置ずれ量CMxaの2ドットから色ずれ範囲Raの限界値Rmの10ドットを差し引いた値−8ドットとなる。これに対し、イレギュラーな適正検出を行った場合では、図4(d)に示す補正後の位置ずれ量CMxcは、図4(c)に示す適正検出による位置ずれ量CMxから色ずれ範囲Raの限界値Rmを差し引いた値とすることができる。例えば、図4(c)に示す適正検出による位置ずれ量CMxを12ドットとした場合、図4(d)に示す補正後の位置ずれ量CMxcは、図4(c)に示す適正検出による位置ずれ量CMxの12ドットから色ずれ範囲Raの限界値Rmの10ドットを差し引いた値+2ドットとなる。つまり、突発的な誤検出を行った場合での補正後の検出値(位置ずれ量CMxb)と、イレギュラーな適正検出を行った場合での補正後の検出値(位置ずれ量CMxc)とでは、色ずれ補正制御の補正方向の向きが異なっている。
これにより、画像形成装置100は、突発的な誤検出を行ったのか或いはイレギュラーな適正検出を行ったのかを認識することができる。従って、補正した後の複数色の検出パターンPTの検出値(補正後のシアンマークCMの位置ずれ量CMxb:図4(b)参照、或いは、補正後のシアンマークCMの位置ずれ量CMxc:図4(d)参照)に基づいて次の色ずれ補正制御を行うことで、たとえ突発的な誤検出を行った場合であっても、本来の色ずれ補正制御を行うことが可能である。
(第1実施形態)
従って、本実施の形態に係る色ずれ補正制御は、複数色の検出パターンPTの検出値(位置ずれ量CMx:図4(a)及び図4(c)参照)が予め定めた所定の色ずれ範囲Ra(この例では0ドットから10ドットまでの範囲)から外れた場合には、一旦、色ずれ範囲Raの限界値Rm(この例では10ドット)を用いて色ずれを補正し、補正した後の複数色の検出パターンPTの検出値(補正後の位置ずれ量CMxb:図4(b)参照、或いは、補正後の位置ずれ量CMxc:図4(d)参照)に基づいて次の色ずれ補正制御を行う構成とされている。
本実施の形態において、色ずれ範囲Raの限界値Rmは、複数色の検出パターンPTの隣り合うマーク間の間隔d1,d2,d3(図2参照)より小さい値とされている。
この例では、シアンマークCMとブラックマークBMとの間の間隔d1は、ブラックマークBMとマゼンタマークMMとの間の間隔d2(具体的には62ドット)と等しくなっており、マゼンタマークMMとイエローマークYMとの間の間隔d3(具体的には104ドット)とは異なっている(間隔d3よりも狭くなっている)が、色ずれ範囲Raの限界値Rmは、複数色の検出パターンPTの隣り合うマーク間の間隔d1,d2,d3の最小間隔(具体的には62ドット)よりも小さい値(具体的には10ドット)とされている。
ところで、突発的な誤検出を行った場合において、本来の検出値(本来の位置ずれ量CMxa:図4(a)参照)が色ずれ範囲Raよりも内側の範囲内にあるときには、本来の検出値(本来の位置ずれ量CMxa)が色ずれ範囲Ra内にある。このため、色ずれ範囲Raの限界値Rmを用いて色ずれを補正した後の複数色の検出パターンPTの検出値(補正後の位置ずれ量CMxb:図4(b)の矢印参照)は、前回検出した検出値(誤検出した位置ずれ量CMx:図4(a)の矢印参照)による補正側とは反対側に補正することを示す検出値となる。この場合、突発的な誤検出を行ったと判断して補正前の状態(初期状態)に戻して色ずれ補正制御をリトライする(やり直す)ことができる。但し、かかる構成が成立する条件は、本来の検出値(本来の位置ずれ量CMxa:図4(a)参照)が色ずれ範囲Raよりも内側の範囲内(この例では0ドット<CMxa<10ドット)にあるときである。
かかる観点から、本実施の形態において、制御部400における色ずれ補正実行部414は、色ずれ範囲Raの限界値Rmを用いて色ずれを補正した後の複数色の検出パターンPTの検出値が前回検出した検出値による補正側とは反対側に補正することを示す検出値である場合には、補正前の状態(初期状態)に戻して色ずれ補正制御をリトライする(やり直す)構成とされている。換言すれば、色ずれ補正実行部414は、色ずれ範囲Raの限界値Rmを用いて色ずれを補正する前の複数色の検出パターンPTの検出値の正負符号(この例では、誤検出した位置ずれ量CMx:図4(a)参照、具体的には+12、或いは、適正検出による位置ずれ量CMx:図4(c)参照、具体的には+12の正符号)が、色ずれ範囲Raの限界値Rmを用いて色ずれを補正した後の複数色の検出パターンPTの検出値の正負符号とは異なっている場合(この例では、補正後の位置ずれ量CMxb:図4(b)参照、具体的には−8の負符号の場合)には、補正前の状態(初期状態)に戻して色ずれ補正制御をリトライする(やり直す)。
一方、イレギュラーな適正検出を行った場合には、適正検出による検出値(適正検出による位置ずれ量CMx:図4(c)参照)が色ずれ範囲Raから外れている。このため、色ずれ範囲Raの限界値Rmを用いて色ずれを補正した後の複数色の検出パターンPTの検出値(補正後の位置ずれ量CMxc:図4(d)の矢印参照)は、前回検出した検出値(適正検出による位置ずれ量CMx:図4(c)の矢印参照)による補正側に補正することを示す検出値となる。この場合、イレギュラーな適正検出を行ったと判断して色ずれ範囲Raの限界値Rmを用いて色ずれを補正する色ずれ補正制御を繰り返すことができる。
ここで、本実施の形態に係る手法とは別の手法として、色ずれ補正制御は、複数色の検出パターンPTの検出値が色ずれ範囲Raから外れた場合に、もう一度、色ずれ補正制御をリトライして(やり直して)みることが考えられるが、イレギュラーな適正検出を行った場合、通常の色ずれ範囲Raから逸脱した適正検出による検出値をそのまま用いて色ずれ補正を行うことになるので、色ずれの補正精度が悪化する。すなわち、色ずれの補正量が比較的大きい場合(例えば色ずれ範囲Raの限界値Rmである10ドットを超える補正量の場合)に行う色ずれの補正は、色ずれの補正量が比較的小さい場合(例えば色ずれ範囲Raの限界値Rmである10ドット以下の補正量の場合)に行う色ずれの補正に比べて、補正量が大きい分だけ色ずれの補正精度が悪化する。
かかる観点から、本実施の形態において、色ずれ範囲Raの限界値Rmを用いて色ずれを補正した後の複数色の検出パターンPTの検出値が前回検出した検出値による補正側に補正することを示す検出値である場合には、色ずれ範囲Raの限界値Rmを用いて色ずれを補正する色ずれ補正制御を繰り返す構成とされている。換言すれば、色ずれ補正実行部414は、色ずれ範囲Raの限界値Rmを用いて色ずれを補正する前の複数色の検出パターンPTの検出値の正負符号(この例では、誤検出した位置ずれ量CMx:図4(a)参照、具体的には+12、或いは、適正検出による位置ずれ量CMx:図4(c)参照、具体的には+12の正符号)が、色ずれ範囲Raの限界値Rmを用いて色ずれを補正した後の複数色の検出パターンPTの検出値の正負符号と等しい場合(この例では、補正後の位置ずれ量CMxc:図4(d)参照、具体的には+2の正符号の場合)には、色ずれ範囲Raの限界値Rmを用いて色ずれを補正する色ずれ補正制御を繰り返す。
また、本実施の形態において、補正前の状態(初期状態)に戻して色ずれ補正制御をリトライする(やり直す)リトライ回数Cd(やり直し回数)を含む履歴情報M(例えば、リトライ回数Cdの履歴、検出パターンPTの検出値の履歴、色ずれの補正量の履歴、色ずれ範囲Raの限界値Rmを用いて色ずれを補正する色ずれ補正制御を繰り返す繰り返し回数Crの履歴、記憶日時の履歴等の履歴情報)を記憶部420(図3参照)に記憶する構成とされている。
図5は、図3に示す制御部400による第1実施形態に係る色ずれ補正制御の制御例を示すフローチャートである。図5に示すフローチャートにおいて、繰り返し回数Cr及びリトライ回数Cdは、色ずれ補正制御を行うに先立って、リセット(0に設定)されている。
図5に示す色ずれ補正制御では、先ず、制御部400は、複数色の検出パターンPTを検出パターン形成部411により中間転写ベルト7にそれぞれ形成し(ステップS10)、検出パターン形成部411にて形成した複数色の検出パターンPTを検出パターン検出部412によりそれぞれ検出し(ステップS20)、検出パターン検出部412にて検出した複数色の検出パターンPTのそれぞれの検出値から複数色のトナー画像の色ずれを補正するための補正量を色ずれ補正量算出部413によりそれぞれ算出する(ステップS30)。
次に、制御部400は、色ずれ補正量算出部413にて算出した補正量に基づいて色ずれ補正実行部414により複数色のトナー画像の形成位置を変更するにあたり、次のステップS40からステップS70の処理を行う。
すなわち、制御部400は、繰り返し回数Crが0回か否かを判断し(ステップS40)、繰り返し回数Crが0回である場合には(ステップS40:Yes)、検出パターンPTの検出値(例えば、位置ずれ量CMx:図4(a)及び図4(c)参照)が色ずれ範囲Ra(この例では0ドットから10ドットまでの範囲)から外れているか否かを判断し(ステップS50)、検出パターンPTの検出値が色ずれ範囲Raから外れている場合には(ステップS50:Yes)、繰り返し回数Crに1を加算する(ステップS51)。このとき、リトライ回数Cdを含む履歴情報M(この例では、リトライ回数Cdの履歴、検出パターンPTの検出値の履歴、色ずれの補正量の履歴、繰り返し回数Crの履歴、記憶日時の履歴等の履歴情報)を記憶部420に記憶する。
次に、制御部400は、色ずれ範囲Raの限界値Rm(この例では10ドット)を用いて色ずれを補正し(ステップS52)、ステップS10に移行する。具体的には、ステップS52では、色ずれ範囲Raの限界値Rmに対する色ずれの補正量を色ずれ補正量算出部413により算出し、色ずれ補正量算出部413にて算出した補正量に基づいて色ずれ補正実行部414により色ずれを補正する。
一方、制御部400は、ステップS40で繰り返し回数Crが1回以上である場合には(ステップS40:No)、色ずれ範囲Raの限界値Rmを用いて色ずれを補正した後の検出パターンPTの検出値(例えば、補正後の位置ずれ量CMxb:図4(b)の矢印参照)が、前回検出した検出値(例えば、誤検出した位置ずれ量CMx:図4(a)の矢印参照)による補正側とは反対側に補正することを示す検出値であるか、或いは、色ずれ範囲Raの限界値Rmを用いて色ずれを補正した後の検出パターンPTの検出値(例えば、補正後の位置ずれ量CMxc:図4(d)の矢印参照)が、前回検出した検出値(例えば、適正検出による位置ずれ量CMx:図4(c)の矢印参照)による補正側に補正することを示す検出値であるかを判断する(ステップS60)。
制御部400は、ステップS60で色ずれ範囲Raの限界値Rmを用いて色ずれを補正した後の検出パターンPTの検出値が前回検出した検出値による補正側とは反対側に補正することを示す検出値である場合には(ステップS60:Yes)、リトライ回数Cdに1を加算する(ステップS61)。このとき、リトライ回数Cdを含む履歴情報M(この例では、リトライ回数Cdの履歴、検出パターンPTの検出値の履歴、色ずれの補正量の履歴、繰り返し回数Crの履歴、記憶日時の履歴等の履歴情報)を記憶部420に記憶する。
次に、制御部400は、補正前の状態(初期状態)に戻し(ステップS62)、ステップS10に移行する。ここで「補正前の状態(初期状態)に戻す」とは、具体的には、繰り返し回数Crを0に戻し、色ずれの補正量を、色ずれ範囲Raの限界値Rmを用いて色ずれを補正する前の補正量に戻すことを意味する。
また、制御部400は、ステップS60で色ずれ範囲Raの限界値Rmを用いて色ずれを補正した後の検出パターンPTの検出値が前回検出した検出値による補正側に補正することを示す検出値である場合には(ステップS60:No)、ステップS50に移行する。
また、制御部400は、ステップS50で検出パターンPTの検出値が色ずれ範囲Ra内にある場合には(ステップS50:No)、検出パターンPTの検出値を用いて色ずれを補正(ステップS30で算出した補正量に基づいて色ずれ補正実行部414により色ずれを補正)し(ステップS70)、色ずれ補正制御の処理を終了する。
ここで、第1実施形態では、副走査方向補正用検出パターンPT1におけるシアンマークCMについて説明したが、他のブラックマークBM、マゼンタマークMM及びイエローマークYM並びに主走査方向補正用検出パターンPT2におけるシアンマークcm、ブラックマークbm、マゼンタマークmm及びイエローマークymについても同様に説明することができる。また、第1実施形態では、プラス側(図4中の右側)にずれる場合を例示したが、マイナス側(図4中の左側)にずれる場合も、正負符号を逆転させるだけで同様に説明することができる。この場合、色ずれ範囲Raの限界値Rmは下限値とされる。これらのことは、後述する第2実施形態から第4実施形態についても同様である。
(第2実施形態)
ところで、イレギュラーな適正検出を行った場合において、適正検出による検出値(適正検出による位置ずれ量CMx:図4(c)参照)が大き過ぎると、色ずれの補正量が色ずれ補正制御の許容範囲(例えば100ドット)を超えてしまうことになる。
かかる観点から、本実施の形態において、制御部400は、繰り返し回数Crの上限を予め定めた所定の繰り返し制限回数Crsに設定する構成とされている。ここで、繰り返し制限回数Crsとしては、色ずれ補正制御の許容範囲を色ずれ範囲Raの限界値Rmで割った商の値を例示できる。例えば、色ずれ補正制御の許容範囲を100ドットとした場合、色ずれ補正制御の許容範囲の100ドットを色ずれ範囲Raの限界値Rm(この例では10ドット)で割った商の値(この例では10回)とすることができる。
また、突発的な誤検出が連続的に発生したとして補正前の状態(初期状態)に戻して色ずれ補正制御をリトライする(やり直す)場合において、突発的な誤検出が再現性良く(連続的に)発生している場合、突発的な誤検出による色ずれ補正制御を連続して行うことになる。
かかる観点から、本実施の形態において、制御部400は、リトライ回数Cdの上限を予め定めた所定のリトライ制限回数Cds(やり直し制限回数)に設定する構成とされている。ここで、リトライ制限回数Cdsとしては、もはや突発的とは言えない程度の回数(例えば5回程度)を例示できる。
図6は、図3に示す制御部400による第2実施形態に係る色ずれ補正制御の制御例を示すフローチャートである。図6に示すフローチャートは、図5に示すフローチャートにおいて、ステップS50とステップS51との間にステップS501を設け、ステップS60とステップS61との間にステップS601を設けた以外は図5に示すフローチャートと同じものである。従って、図6に示すフローチャートにおいて、図5に示すフローチャートと同じ処理は同一符号を付し、その説明を省略する。
図6に示す色ずれ補正制御では、制御部400は、ステップS50で検出パターンPTの検出値が色ずれ範囲Raから外れている場合には(ステップS50:Yes)、繰り返し回数Crが繰り返し制限回数Crsを超えたか否かを判断し(ステップS501)、繰り返し回数Crが繰り返し制限回数Crsを超えていない場合には(ステップS501:No)、ステップS51に移行する一方、繰り返し回数Crが繰り返し制限回数Crsを超えた場合には(ステップS501:Yes)、色ずれ補正制御の処理を終了する。
また、制御部400は、ステップS60で色ずれ範囲Raの限界値Rmを用いて色ずれを補正した後の検出パターンPTの検出値が前回検出した検出値による補正側とは反対側に補正することを示す検出値である場合には(ステップS60:Yes)、リトライ回数Cdがリトライ制限回数Cdsを超えたか否かを判断し(ステップS601)、リトライ回数Cdがリトライ制限回数Cdsを超えていない場合には(ステップS601:No)、ステップS61に移行する一方、リトライ回数Cdがリトライ制限回数Cdsを超えた場合には(ステップS601:Yes)、色ずれ補正制御の処理を終了する。
(第3実施形態)
本実施の形態において、制御部400は、リトライ回数Cdがリトライ制限回数Cdsを超えた場合に検出パターンPTの検出値(位置ずれ量CMxa:図4(a)参照)を予め定めた所定の値CMxdに設定する構成とされている。ここで、所定の値CMxdとしては、画像形成装置100の周囲温度に応じた位置ずれ量を例示できる。なお、画像形成装置100の周囲温度に応じた位置ずれ量は、予め実験等で設定していくことができる。
図7は、図3に示す制御部400による第3実施形態に係る色ずれ補正制御の制御例を示すフローチャートである。図7に示すフローチャートは、図6に示すフローチャートにおいて、ステップS601と処理終了との間にステップS602及びステップS603を設けた以外は図6に示すフローチャートと同じものである。従って、図7に示すフローチャートにおいて、図6に示すフローチャートと同じ処理は同一符号を付し、その説明を省略する。
図7に示す色ずれ補正制御では、制御部400は、ステップS601でリトライ回数Cdがリトライ制限回数Cdsを超えた場合には(ステップS601:Yes)、検出パターンPTの検出値(位置ずれ量CMxa:図4(a)参照)を予め定めた所定の値CMxdに設定し(ステップS602)、検出パターンPTの検出値(所定の値とされた検出値)を用いて色ずれを補正し(ステップS603)、色ずれ補正制御の処理を終了する。具体的には、ステップS603では、所定の値CMxdに対応する色ずれの補正量を色ずれ補正量算出部413により算出し、色ずれ補正量算出部413にて算出した補正量に基づいて色ずれ補正実行部414により色ずれを補正する。
(第4実施形態)
本実施の形態において、制御部400は、リトライ回数Cdがリトライ制限回数Cdsを超えた場合に予め定めた所定の通知内容Mdを通知する構成とされている。通知内容Mdは、記憶部420(図3参照)に予め記憶されている。ここで、リトライ回数Cdがリトライ制限回数Cdsを超えた場合に所定の通知内容Mdを通知する態様としては、画像形成装置100に色ずれに関する何らかの不具合が発生している可能性があることを知らせるメッセージや音声を表示部やスピーカーから出力するか、或いは/さらに、通知内容Mdを外部データとして出力する態様を例示できる。
また、本実施の形態において、制御部400は、繰り返し回数Crが繰り返し制限回数Crsを超えた場合に予め定めた所定の通知内容Mrを通知する構成とされている。通知内容Mrは、記憶部420(図3参照)に予め記憶されている。ここで、繰り返し回数Crが繰り返し制限回数Crsを超えた場合に所定の通知内容Mrを通知する態様としては、色ずれの補正量が色ずれ補正制御の許容範囲を超えていることを知らせるメッセージや音声を表示部やスピーカーから出力するか、或いは/さらに、通知内容Mrを外部データとして出力する態様を例示できる。
図8は、図3に示す制御部400による第4実施形態に係る色ずれ補正制御の制御例を示すフローチャートである。図8に示すフローチャートは、図7に示すフローチャートにおいて、ステップS501と処理終了との間にステップS502を設け、ステップS603と処理終了との間にステップS604を設けた以外は図7に示すフローチャートと同じものである。従って、図8に示すフローチャートにおいて、図7に示すフローチャートと同じ処理は同一符号を付し、その説明を省略する。
図8に示す色ずれ補正制御では、制御部400は、ステップS501で繰り返し回数Crが繰り返し制限回数Crsを超えた場合には(ステップS501:Yes)、所定の通知内容Mrを通知(例えば、色ずれの補正量が色ずれ補正制御の許容範囲を超えていることを知らせるメッセージや音声を表示部やスピーカーから出力するか、或いは/さらに、通知内容Mrを外部データとして出力)し、色ずれ補正制御の処理を終了する。
また、制御部400は、検出パターンPTの検出値(所定の値とされた検出値)を用いて色ずれを補正した後(ステップS603)、所定の通知内容Mdを通知(例えば、画像形成装置100に色ずれに関する何らかの不具合が発生している可能性があることを知らせるメッセージや音声を表示部やスピーカーから出力するか、或いは/さらに、通知内容Mdを外部データとして出力)し、色ずれ補正制御の処理を終了する。
なお、図8に示すフローチャートでは、ステップS602からステップS604のうちステップS602,S603を削除してステップS604のみを設けるようにしてもよい。
(第1実施形態から第4実施形態について)
以上説明したように、第1実施形態から第4実施形態によれば、色ずれ補正制御は、複数色の検出パターンPTの検出値が色ずれ範囲Raから外れた場合には、一旦、色ずれ範囲Raの限界値Rmを用いて色ずれを補正することで、色ずれ範囲Raの限界値Rmを用いて色ずれを補正した後の複数色の検出パターンPTの検出値は、突発的な誤検出を行った場合とイレギュラーな適正検出を行った場合とで色ずれ補正に関する異なった性質の値になっており、従って、画像形成装置100は、突発的な誤検出が発生したのか或いはイレギュラーな適正検出を行ったのかを認識することができる。そして、補正した後の複数色の検出パターンPTの検出値に基づいて次の色ずれ補正制御を行うことで、たとえ突発的な誤検出を行った場合であっても、本来の色ずれ補正制御を行うことが可能となる。
また、第1実施形態から第4実施形態では、色ずれ範囲Raの限界値Rmは、複数色の検出パターンPTの隣り合うマーク間の間隔d1,d2,d3より小さい値とされている。
こうすることで、色ずれを補正する補正量が複数色の検出パターンPTの隣り合うマーク間の間隔d1,d2,d3以上になることを有効に防止できるため、補正した検出パターンPTのマークが別のマーク(例えば隣のマーク)と重なってしまうことを効果的に防止することが可能となる。これにより、たとえ突発的な誤検出を行った場合であっても、補正した検出パターンPTのマークが別のマークと重なることなく、検出パターンPTの各マークを各色に対応させて検出することができる上、それ以降、重なった状態の検出パターンPTのマークを戻して色ずれ補正制御を行うことができなくなってしまうという不都合を回避することが可能となる。このことは、短時間で検出パターンPTを検出するために検出パターンPTの隣り合うマーク間の間隔d1,d2,d3を狭くした場合に、特に有効となる。
また、第1実施形態から第4実施形態では、色ずれ範囲Raの限界値Rmを用いて色ずれを補正した後の複数色の検出パターンPTの検出値が前回検出した検出値による補正側とは反対側に補正することを示す検出値である場合には、補正前の状態(初期状態)に戻して色ずれ補正制御をリトライする(やり直す)構成とされている。
こうすることで、本来の検出値が色ずれ範囲Raよりも内側の範囲内にある場合において、色ずれ範囲Raの限界値Rmを用いて色ずれを補正した後の複数色の検出パターンPTの検出値が前回検出した検出値による補正側とは反対側に補正することを示す検出値である場合には、画像形成装置100は突発的な誤検出が発生したことを認識することができる。従って、この場合、通常は突発的な誤検出が再発する確率は低いことから、補正前の状態(初期状態)に戻して色ずれ補正制御をリトライする(やり直す)ことで、色ずれ補正制御を、誤検出した検出値で行うことなく、本来の検出値で行うことが可能となる。
また、第1実施形態から第4実施形態では、色ずれ範囲Raの限界値Rmを用いて色ずれを補正した後の複数色の検出パターンPTの検出値が前回検出した検出値による補正側に補正することを示す検出値である場合には、色ずれ範囲Raの限界値Rmを用いて色ずれを補正する色ずれ補正制御を繰り返す構成とされている。
こうすることで、色ずれ範囲Raの限界値Rmを用いて色ずれを補正した後の複数色の検出パターンPTの検出値が前回検出した検出値による補正側に補正することを示す検出値である場合には、イレギュラーな適正検出を行ったことを認識することができる。この場合、色ずれ範囲Raの限界値Rmを用いて色ずれを補正する色ずれ補正制御を繰り返すことで、検出パターンPTの検出値をそのまま用いて色ずれ補正制御を行うのではなく、色ずれの補正量を色ずれ範囲Raの限界値Rm(この例では10ドット)或いは色ずれ範囲Raよりも内側の値(この例では0ドットより大きく10ドット未満)という比較的小さい値にした状態で色ずれ補正制御を複数回に分けて行うことができ、これにより、通常の色ずれ範囲から逸脱した適正検出による色ずれ補正制御を精度よく行うことが可能となる。
また、第2実施形態から第4実施形態では、繰り返し回数Crの上限を繰り返し制限回数Crsに設定する構成とされている。
こうすることで、繰り返し回数Crを繰り返し制限回数Crsに制限することができ、従って、たとえイレギュラーな適正検出を行った場合において、適正検出による検出値が大き過ぎたとしても、色ずれ範囲Raの限界値Rmを用いて色ずれを補正する色ずれ補正制御を繰り返し制限回数Crsで終了(すなわち途中で中止)させることが可能となる。これにより、色ずれの補正量を許容範囲内に収めることができる。
また、第2実施形態から第4実施形態では、リトライ回数Cdの上限をリトライ制限回数Cdsに設定する構成とされている。
こうすることで、リトライ回数Cdをリトライ制限回数Cdsに制限することができ、従って、たとえ突発的な誤検出が再現性良く(連続的に)発生していても、突発的な誤検出による色ずれ補正制御をリトライ制限回数Cdsで終了(すなわち途中で中止)させることが可能となる。
また、第3実施形態及び第4実施形態において、リトライ回数Cdがリトライ制限回数Cdsを超えた場合に検出パターンPTの検出値を所定の値(例えば画像形成装置100の周囲温度に応じた位置ずれ量)に設定する。
こうすることで、突発的な誤検出が再現性良く(連続的に)発生した場合に、検出パターンPTの検出値を所定の値に設定することが可能となる。
また、第4実施形態において、リトライ回数Cdがリトライ制限回数Cdsを超えた場合に通知内容Mdを通知する。
こうすることで、画像形成装置100に色ずれに関する何らかの不具合が発生している可能性があることをユーザー又はサービスマンに知らせることができる。
また、第4実施形態において、繰り返し回数Crが繰り返し制限回数Crsを超えた場合に通知内容Mrを通知する。
こうすることで、色ずれの補正量が色ずれ補正制御の許容範囲を超えていることをユーザー又はサービスマンに知らせることができる。
また、第1実施形態から第4実施形態では、リトライ回数Cdを含む履歴情報(例えば、リトライ回数Cdの履歴、検出パターンPTの検出値の履歴、色ずれの補正量の履歴、繰り返し回数Crの履歴、記憶日時の履歴等の履歴情報)を記憶部420に記憶する。
こうすることで、画像形成装置100における突発的な誤検出やイレギュラーな適正検出を行った過去の状況を把握することが可能となる。
本発明は、以上説明した実施の形態に限定されるものではなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、かかる実施の形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。