以下、クローザ装置及び車両用ドアロック装置の一実施形態を図面に従って説明する。
図1〜図3に示すように、車両用のドアロック装置1は、図示しない車両ドアの開閉動作に伴い相対移動するストライカ10に係合するラッチ機構20と、その係合したストライカ10を相対移動不能に拘束すべくラッチ機構20をハーフラッチ状態からフルラッチ状態へと移行させるクローザ装置30と、を備えている。
尚、本実施形態のドアロック装置1は、図示しない車両のバックドアに設けられている。そして、車両の後方開口部に設けられたストライカ10を相対移動不能に拘束することにより、そのバックドアを全閉状態に保持することが可能になっている。
詳述すると、本実施形態のドアロック装置1は、ストライカ入出部41を有したベースプレート42を備えている。そして、ラッチ機構20は、そのストライカ入出部41に進入したストライカ10に係合するラッチ43と、このストライカ10に係合するポール44と、を備えている。
具体的には、ベースプレート42は、略平板状に形成された基部42aを有している。尚、本実施形態のベースプレート42は、板材を塑性加工(プレス加工)することにより形成されている。また、ストライカ入出部41は、その基部42aの一端をスリット状に切り欠くかたちで設けられている。そして、本実施形態のラッチ43及びポール44は、このベースプレート42に形成されたストライカ入出部41を溝幅方向(図1及び図2中、左右方向)に挟む位置において、それぞれ、その基部42aに直交する回動軸N1,N2回りに回動可能に設けられている。
さらに詳述すると、図4〜図9に示すように、略平板状に形成されたラッチ43には、その外周面に開口するストライカ係合溝47が形成されている。また、ラッチ43は、図示しないラッチ付勢バネ(コイルバネ)によって、各図中、反時計回り方向に回動付勢されている。更に、このラッチ43は、ベースプレート42に設けられたストッパ部(図示略)に当接することにより、上記ストライカ入出部41にストライカ係合溝47の開口端が臨む位置において、そのラッチ付勢バネの付勢力に基づく回動が規制されるようになっている(図1参照)。そして、本実施形態のラッチ機構20は、これにより、そのストライカ入出部41に進入したストライカ10がラッチ43のストライカ係合溝47に係合するように構成されている。
一方、ポール44は、図示しないポール付勢バネ(捩りコイルバネ)によって、各図中、時計回り方向に回動付勢されている。また、ポール44には、そのポール付勢バネの付勢力に基づく回動によって、ラッチ43の外周面に近接する方向に移動する係合部44aが設けられている。更に、ポール44は、ストライカ係合溝47にストライカ10が係合した状態で、その係合部44aがラッチ43の外周面に係合するように構成されている。そして、本実施形態のラッチ機構20は、これにより、そのラッチ43のストライカ係合溝47にストライカ10が係合する状態を保持することが可能になっている。
即ち、ストライカ入出部41に進入したストライカ10は、ストライカ係合溝47に係合することにより、そのラッチ43を押圧しつつ、ストライカ入出部41内を奥側(各図中、下側から上側)に向かって相対移動する。そして、これにより、そのラッチ付勢バネの付勢力に抗して、各図中、時計回り方向にラッチ43が回動する。
また、このとき、ポール44の係合部44aは、ポール付勢バネの付勢力に基づきラッチ43の外周面に押し当てられた状態で、見かけ上、その当接するラッチ43の外周面上を摺動する。そして、本実施形態のラッチ機構20は、これにより、その外周面に形成されたラッチ43側の係合部43aにポール44側の係合部44aが係合することで、ラッチ43の回動が規制されるようになっている。
具体的には、図5に示すように、本実施形態では、このラッチ43側の係合部43aは、ストライカ係合溝47の開口端、詳しくは、そのストライカ10が係合することにより押圧される側(図5中、上側)の側壁面に設定されている。そして、本実施形態のラッチ機構20は、これにより、そのラッチ付勢バネによる付勢方向、つまりはストライカ係合溝47からストライカ10が排出される方向の回動を規制することで、そのラッチ43にストライカ10が係合する状態を保持する構成になっている(ハーフラッチ状態)。
また、本実施形態のドアロック装置1は、このようにラッチ機構20がハーフラッチ状態となった場合には、当該ラッチ機構20をクローズ動作させるべく、そのクローザ装置30が作動するように構成されている。
即ち、図6及び図7に示すように、本実施形態のラッチ機構20は、クローザ装置30に駆動されることにより、そのハーフラッチ状態に対応する回動位置(図5参照、ハーフラッチ位置Ph)からラッチ付勢バネの付勢力に抗してラッチ43がクローズ方向(各図中、時計回り方向)に回動するように構成されている。また、ポール44は、ラッチ43の周面に形成された第2の係合部43bに係合することにより、そのクローズ方向に回動した位置(図7参照、フルラッチ位置Pf)において、ラッチ付勢バネの付勢力に基づくラッチ43の回動を規制するように構成されている。そして、本実施形態のラッチ機構20は、これにより、そのラッチ43のストライカ係合溝47に係合するストライカ10を相対移動不能に拘束するフルラッチ状態に移行する構成になっている。
更に、本実施形態のドアロック装置1は、例えば、図示しない開動作スイッチに対する操作入力等に基づいて、そのラッチ機構20をリリース動作させるべく、クローザ装置30が作動するように構成されている。
即ち、図8及び図9に示すように、本実施形態のラッチ機構20は、クローザ装置30に駆動されることにより、そのポール44がポール付勢バネの付勢力に抗して、各図中、反時計回り方向に回動するように構成されている(図8参照、リリース位置Pr)。また、ラッチ43は、これによりポール44との係合による回動規制が解除されることで、そのラッチ付勢バネの付勢力に基づいて、反クローズ方向に回動する(図8中、反時計回り方向)。そして、本実施形態のラッチ機構20は、これによりストライカ10の拘束を解除し、当該ストライカ10をストライカ係合溝47から排出することで、そのリリース動作が完了するように構成されている。
(クローザ装置)
次に、本実施形態のドアロック装置1に設けられたクローザ装置30について説明する。
図1〜図3に示すように、本実施形態のクローザ装置30は、モータ50を駆動源とするアクチュエータ51と、そのアクチュエータ51の回転を減速する減速機構52と、を備えている。
詳述すると、本実施形態の減速機構52は、上記ラッチ43及びポール44の回動軸N1,N2と同様、それぞれベースプレート42(の基部42a)に直交する回動軸N3,N4を有した第1減速ギヤ61及び第2減速ギヤ62を含んで構成されている。
具体的には、本実施形態の減速機構52は、第1減速ギヤ61と同軸に一体回転するピニオンギヤ63を備えている。尚、本実施形態では、このピニオンギヤ63は、第1減速ギヤ61と一体に形成されている。また、第2減速ギヤ62は、このピニオンギヤ63に噛合する状態で回動可能に支持されている。更に、第1減速ギヤ61には、アクチュエータ51の出力ギヤを構成するウォーム64が噛合されている。そして、本実施形態の減速機構52は、これらウォーム64と第1減速ギヤ61との間のギヤ比、及びピニオンギヤ63と第2減速ギヤ62とのギヤ比に基づいて、そのアクチュエータ51の回転を減速する構成になっている。
また、本実施形態のクローザ装置30は、減速機構52を介してアクチュエータ51に駆動される第1駆動ギヤ71と、この第1駆動ギヤ71に噛合することにより回動する第2駆動ギヤ72を備えている。本実施形態では、第1駆動ギヤ71は、減速機構52の最終ギヤを構成する第2減速ギヤ62と一体に形成されている。そして、第2駆動ギヤ72は、その回動によりラッチ43を回動させるラッチレバー73と一体に形成されている。
本実施形態のラッチレバー73は、略平板状の外形を有してラッチ43と同軸に軸支された連結部73aを備えている。そして、この連結部73aの周縁部には、第2駆動ギヤ72として機能するセクターギヤ75が形成されている。
また、このラッチレバー73は、その連結部73aの周縁部から回動軸N1の延伸方向に沿ってラッチ43側(図2中、下側)に向かって延びるレバー部73bを備えている。そして、本実施形態のラッチ43には、このレバー部73bに対する係合部43dが設けられている。
即ち、本実施形態のラッチレバー73は、第2駆動ギヤ72に歯合する第1駆動ギヤ71及び当該第1駆動ギヤ71に噛合する第2駆動ギヤ72を介してアクチュエータ51の駆動力が伝達されることにより回動する。そして、本実施形態のクローザ装置30は、このラッチレバー73がラッチ43を回動させることにより、ラッチ機構20をクローズ動作させる構成になっている。
さらに詳述すると、図10〜図12に示すように、本実施形態の第1駆動ギヤ71には、そのギヤ歯が形成された周方向範囲において第2駆動ギヤ72に噛合するセクターギヤ77が用いられている。そして、この第1駆動ギヤ71の初期位置P0は、その第2駆動ギヤ72と歯合しない回動位置に設定されている。
即ち、本実施形態のクローザ装置30は、待機状態となる通常時には、これら第1駆動ギヤ71と第2駆動ギヤ72との間でアクチュエータ51のトルク伝達経路が切断された状態となるように構成されている。そして、これにより、ラッチ43の自由回動を許容することで、ラッチ機構20の円滑な動作を担保する。詳しくは、そのアンラッチ状態からハーフラッチ状態への移行、及びフルラッチ状態からアンラッチ状態への移行が円滑に行われるようになっている。
また、本実施形態のクローザ装置30は、ラッチ43に対するストライカ10の係合によりラッチ機構20がハーフラッチ状態に移行した後のクローズ作動時(図5〜図7参照)には、その減速機構52の最終ギヤを構成する第2減速ギヤ62が、各図中、反時計回り方向(図10参照、第1方向)に回動するように構成されている。即ち、この第2減速ギヤ62と一体に第1駆動ギヤ71が回動して第2駆動ギヤに噛合しない状態から当該第2駆動ギヤ72に噛合する状態に移行することにより(図11参照、噛み合い開始位置P1)、そのクローズ作動時におけるアクチュエータ51のトルク伝達経路が確立される。そして、本実施形態のクローザ装置30は、これにより第2駆動ギヤ72に伝達される駆動力に基づいて、その第2駆動ギヤ72と一体に形成されたラッチレバー73がクローズ方向(各図中、時計回り方向)に回動する構成になっている。
尚、本実施形態のラッチレバー73は、ラッチ43に対して相対回動可能に設けられている。そして、このラッチレバー73側の係合部を構成するレバー部73bがラッチ43の係合部43dに係合して当該係合部43dを周方向に押圧することにより、そのアクチュエータ51の駆動力に基づいて、ラッチ43をクローズ方向に回動させる構成になっている。
更に、本実施形態のクローザ装置30は、ラッチ機構20がフルラッチ状態となった場合、つまり当該ラッチ機構20のクローズ動作が完了した場合には、その第2減速ギヤ62及び第1駆動ギヤ71の回動方向が反転(各図中、時計回り方向に回動)するように構成されている。そして、これにより、第1駆動ギヤ71の回動位置をラッチ機構20のクローズ動作が完了した位置(図12参照、クローズ完了位置P2)から第2駆動ギヤ72に歯合しない初期位置P0(図10参照)に復帰させることで、そのクローズ作動を終了する構成になっている。
即ち、フルラッチ状態においては、そのポール44との係合関係に基づいてラッチ付勢バネの付勢力に基づくラッチ43の回動が規制されている(図7参照)。また、ラッチレバー73のレバー部73bは、そのラッチレバー73がクローズ方向に回動する場合にのみ、ラッチ43の係合部43dを押圧する構成になっている。そして、本実施形態のドアロック装置1は、これにより、その第1駆動ギヤ71の反転回動に伴いラッチレバー73が反クローズ方向に回動した後においても、そのラッチ機構20がフルラッチ状態で保持されるようになっている。
また、図1〜図3、及び図13に示すように、本実施形態のクローザ装置30は、第1減速ギヤ61と同軸に一体回転する螺子軸80と、この螺子軸80に螺合する駆動部材としてのリリースレバー81と、を備えている。尚、本実施形態の螺子軸80は、上記ピニオンギヤ63とともに第1減速ギヤ61と一体に形成されている。更に、リリースレバー81は、その螺子軸80に螺合するナット部81aを基端として径方向外側に延びる長尺棒状のレバー部81bを備えている。そして、本実施形態のクローザ装置30は、その螺子軸80の回転により生ずるリリースレバー81の動作に基づいて、ラッチ機構20をリリース動作させるべく、そのポール44を回動させることが可能な構成となっている。
詳述すると、図1〜図3に示すように、本実施形態のラッチ機構20において、ラッチ43及びポール44は、ベースプレート42の実装面42s(基部42aの上面)に摺接する状態で回動可能に支持されている。また、本実施形態のポール44は、その回動軸N2を基端として径方向外側に延びる長尺略棒状の受圧部44bを有している。更に、本実施形態のリリースレバー81は、第1減速ギヤ61を介して伝達されるアクチュエータ51の駆動力に基づき第1方向(図1中、反時計回り方向)に回動することによって、そのポール44の受圧部44bを押圧するように構成されている。そして、本実施形態のクローザ装置30は、これにより、そのポール44をリリース方向(図1中、反時計回り方向)に回動させる構成になっている。
さらに詳述すると、図1及び図14(a)(b)に示すように、本実施形態のクローザ装置30は、リリースレバー81が初期位置Q0にある場合において、そのレバー部81bの幅方向両側(図14(a)中、左右方向)を挟む二位置に設けられた第1及び第2の回動規制部材83,84を備えている。
本実施形態では、これら第1及び第2の回動規制部材83,84は、そのリリースレバー81が螺合する螺子軸80の軸線方向(図14(b)中、上下方向)に延びる略角柱状に形成されている。また、ポール44の受圧部44bが配置された第1方向側(図14中、左側)に位置する第1の回動規制部材83は、第2方向側(図14中、右側)に位置する第2の回動規制部材84よりも、その螺子軸80の軸線方向に沿った軸方向長さが短く設定されている(L1<L2)。更に、その実装面42s上にポール44を支持するベースプレート42と第1の回動規制部材83との間には、螺子軸80の軸線方向に沿ったリリースレバー81(のレバー部81b)の軸方向長さL0よりも僅かに大きな隙間Xが形成されている。そして、本実施形態のクローザ装置30は、これにより、リリース作動時においてのみ、そのリリースレバー81がポール44を駆動するように構成されている。
即ち、図14〜図16に示すように、本実施形態のクローザ装置30において、螺子軸80に螺合するリリースレバー81は、第1及び第2の回動規制部材83,84にレバー部81bが当接することにより、その螺合する螺子軸80が回転することによる一体回動が規制されている。そして、本実施形態のクローザ装置30は、これにより、その螺子軸80との螺合関係(螺子対偶)に基づいて、リリースレバー81が軸方向移動するように構成されている。
具体的には、ラッチ機構20をクローズ動作させるべく第2減速ギヤ62と一体に第1駆動ギヤ71(セクターギヤ77)が第1方向に回動するとき(図11参照)、螺子軸80は、その第2減速ギヤ62に噛合するピニオンギヤ63及び第1減速ギヤ61と一体に第2方向に回転する。
図15(a)(b)に示すように、このとき、リリースレバー81は、螺子軸80と一体回動しようとするものの、第2の回動規制部材84にレバー部81bが当接することにより、その第2方向の回動が規制される。そして、本実施形態のクローザ装置30は、この状態で螺子軸80が第2方向に回転することにより、当該螺子軸80に螺合するリリースレバー81が、その軸方向、支持部材としてのベースプレート42から離間する方向(同図中、上側)に移動する構成になっている。
一方、第1駆動ギヤ71の回動位置をクローズ完了位置P2(図12参照)から初期位置P0(図10参照)に復帰させるべく、第2減速ギヤ62及び第1駆動ギヤ71の回動方向が反転した場合、螺子軸80は、第1減速ギヤ61とともに第1方向に回転する。
図16(a)(b)に示すように、このときもまた、そのレバー部81bが第1の回動規制部材83に当接することで、リリースレバー81の回動が規制される。更に、この状態で螺子軸80が第1方向に回転することにより、その螺子軸80との螺合関係に基づいて、リリースレバー81がベースプレート42に近接する方向(同図中、下側)に軸方向移動する。そして、本実施形態のクローザ装置30は、これにより、その第1駆動ギヤ71の回動位置が初期位置P0に復帰するタイミングと同時に、リリースレバー81が初期位置Q0´に復帰する構成になっている。
即ち、本実施形態のクローザ装置30において、クローズ作動時におけるリリースレバー81の回動範囲は、その第1の回動規制部材83と第2の回動規制部材84との間に制限される。尚、ラッチ機構20がアンラッチ状態にある場合におけるリリースレバー81の初期位置Q0(図14参照)、及びラッチ機構20がフルラッチ状態にある場合におけるリリースレバー81の初期位置Q0´(図16参照)は、ともに、その螺子軸80に沿った等しい軸方向位置を示している。そして、本実施形態のクローザ装置30は、これにより、そのアクチュエータ51の駆動力に基づき回動するリリースレバー81が隣接する他の部材に干渉しないように構成されている。
さらに詳述すると、図17(a)(b)に示すように、本実施形態のクローザ装置30は、ラッチ機構20をリリース動作させる場合(図8及び図9参照)には、そのリリースレバー81が初期位置P0´にある状態から、第1減速ギヤ61及び螺子軸80が第1方向に回動するように構成されている。そして、このときもまた、その第1方向の回動が第1の回動規制部材83に規制されることにより、ベースプレート42に近接する方向(同図中、下側)にリリースレバー81が軸方向移動することになる。
しかしながら、本実施形態では、その第1の回動規制部材83とベースプレート42の実装面42sとの間には隙間Xが形成されている(図14参照)。そして、第1の回動規制部材83は、この隙間Xをリリースレバー81のレバー部81bが通過することにより、その第1方向におけるリリースレバー81の回動を許容する構成になっている。
また、図18に示すように、螺子軸80との螺合関係に基づき軸方向移動するリリースレバー81は、ベースプレート42の実装面42sに当接することにより、その軸方向移動が規制される。そして、本実施形態のクローザ装置30は、これにより、その螺子軸80の回転がリリースレバー81を回動させる力に変換されるようになっている。
即ち、本実施形態では、この支持部材としてのベースプレート42(の実装面42s)が、そのリリースレバー81の軸方向移動を規制する軸方向移動規制部材85として機能する。そして、その第1方向の回動が規制されることにより軸方向移動するリリースレバー81とベースプレート42の実装面42sとの当接位置が、所定の軸方向位置Q1となっている。
更に、図19に示すように、この第1方向に回動するリリースレバー81のレバー部81bがポール44の受圧部44bを押圧することによって、そのポール44がリリース方向(同図中、反時計回り方向)に回動する。そして、本実施形態のクローザ装置30は、これにより、その第1減速ギヤ61を介して螺子軸80に伝達されるアクチュエータ51の駆動力に基づいて、ラッチ機構20をリリース動作させる構成になっている。
また、本実施形態のクローザ装置30は、そのラッチ43とポール44との係合が解除されることによりラッチ機構20がアンラッチ状態となった場合、つまり当該ラッチ機構20のリリース動作が完了した場合には、その第1減速ギヤ61及び螺子軸80の回動方向が反転するように構成されている。
即ち、図20に示すように、このとき、リリースレバー81は、螺子軸80とともに第2方向に回動することで第2の回動規制部材84に当接する。尚、このとき、ポール44もまた、ポール付勢バネの付勢力に基づき反リリース方向(図19参照、時計回り方向方向)に回動する。更に、この第2の回動規制部材84により回動が規制されたリリースレバー81は、支持部材としてのベースプレート42から離間する方向(同図中、下側から上側に向かう方向)に軸方向移動する。そして、本実施形態のクローザ装置30は、上述のクローズ作動時と同様、これにより、リリースレバー81を初期位置Q0に復帰させることで、そのリリース作動を終了する構成になっている。
さらに詳述すると、図1に示すように、本実施形態のクローザ装置30は、アクチュエータ51のモータ50に駆動電力を供給するECU90を備えている。また、このECU90には、複数の位置センサ91が接続されている。尚、本実施形態では、これらの各位置センサ91には、例えば、スイッチ式のセンサ(リミットスイッチ等)が用いられている。更に、このECU90には、例えば、開動作スイッチ(図示略)が操作された場合等、そのラッチ機構20によるストライカ10の拘束を解除すべき旨を示すリリース信号S2が入力されるようになっている。そして、本実施形態のECU90は、これら各位置センサ91の出力信号S1及びリリース信号S2に基づいて、その駆動電力を供給するモータ50の回転、つまりは、アクチュエータ51の作動を制御するように構成されている。
例えば、本実施形態のECU90は、各位置センサ91の出力信号S1に基づいて、ラッチ43の回動位置がハーフラッチ状態に対応するハーフラッチ位置Phにあること(図5参照)、及びフルラッチ状態に対応するフルラッチ位置Pfにあることを検出する(図7参照)。そして、ポール44の回動位置が、そのフルラッチ状態にあるラッチ43との係合が解除されるリリース位置Prにあることを検出する(図8参照)。
また、本実施形態のECU90は、第1駆動ギヤ71と一体に回動する第2減速ギヤ62をアクティブギヤ95として、その回動位置を監視する。即ち、クローズ作動時には、この第2減速ギヤ62が第1方向に回動する。また、リリース作動時には、第1減速ギヤ61と一体に螺子軸80が第1方向に回動することで、この第2減速ギヤ62が第2方向に回動する。そして、ECU90は、このアクティブギヤ95の回動位置が、第1駆動ギヤ71の初期位置P0及びリリースレバーの初期位置Q0,Q0´に対応する中立位置Pnにあることを検出する(例えば、図10参照)。
そして、本実施形態のECU90は、上記のように検出されるラッチ状態及びアクティブギヤ位置、並びにリリース信号S2に示される開動作要求に基づいて、ラッチ機構20をクローズ動作及びリリース動作させるべく、アクチュエータ51の作動を制御する構成になっている。
さらに詳述すると、図21のフローチャートに示すように、ECU90は、ラッチ43がハーフラッチ位置Phにあることを検出した場合(ステップ101:YES)には、ラッチ機構20をクローズ動作させるべく、アクティブギヤ95が第1方向に回動するように、そのアクチュエータ51の作動を制御する(クローズ制御、ステップ102)。また、ECU90は、このクローズ制御の実行時には、ラッチ43がフルラッチ位置Pfに到達したか否かを判定する(ステップ103)。そして、ラッチ43がフルラッチ位置Pfにあることを検出した場合(ステップ103:YES)には、アクティブギヤ95の回動方向を反転させて中立位置Pnに復帰させるべく、そのアクチュエータ51の作動を制御する(復帰制御、ステップ104)。
即ち、この復帰制御の実行時、ECU90は、その反転回動するアクティブギヤ95が中立位置Pnまで到達したか否かを監視する(ステップ105)。そして、アクティブギヤ95が中立位置Pnに復帰したことを検出した場合(ステップ105:YES)には、そのアクチュエータ51の作動を停止する(ステップ106)。
また、ECU90は、リリース信号S2に基づき開動作要求の発生を検知した場合(ステップ107:YES)には、ラッチ機構20をリリース動作させるべく、アクティブギヤ95が第2方向に回動するように、そのアクチュエータ51の作動を制御する(リリース制御、ステップ108)。更に、ECU90は、このリリース制御の実行時には、ポール44がリリース位置Prに到達したか否かを監視する(ステップ109)。そして、ポール44がリリース位置Prにあることを検出した場合(ステップ109:YES)には、上記クローズ制御の実行時と同様、ステップ104〜ステップ106の処理を実行することにより、そのアクティブギヤ95を中立位置Pnに復帰させるべくアクチュエータ51の作動を制御する。
以上、本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)クローザ装置30は、アクチュエータ51の駆動力に基づき回転する螺子軸80と、この螺子軸80に螺合するリリースレバー81と、を備える。また、クローザ装置30は、リリースレバー81に当接して第1方向の回動を規制する第1の回動規制部材83と、リリースレバー81に当接して第2方向の回動を規制する第2の回動規制部材84と、リリースレバー81に当接して軸方向移動を規制する軸方向移動規制部材85と、を備える。更に、軸方向移動規制部材85は、第1方向の回動が規制されることにより軸方向移動する駆動部材に対して所定の軸方向位置Q1で当接し、第1の回動規制部材83は、その所定の軸方向位置Q1において第1方向におけるリリースレバー81の回動を許容する。そして、リリースレバー81は、これにより螺子軸80と一体に回動することでラッチ機構20のロック部材を駆動する。
即ち、螺子軸80に螺合された駆動部材としてのリリースレバー81は、その螺子軸80との螺合関係(螺子対偶)に基づいて、当該螺子軸80との一体回動が規制されることにより軸方向移動し、その螺合関係に基づく軸方向移動が規制されることにより螺子軸80と一体に回動する。従って、上記構成によれば、螺子軸80を第1方向に回転させることによりリリースレバー81を所定の軸方向位置Q1に移動させ、及びその軸方向位置Q1において第1方向に回動させることができる。そして、この第1方向に回動するリリースレバー81によりロック部材を駆動することで、アクチュエータ51の駆動力に基づいて、効率よく、そのラッチ機構20を動作させることができる。
尚、ロック部材を駆動した後は、螺子軸80と一体にリリースレバー81を第2方向に回転させることで、当該リリースレバー81が第2の回動規制部材84に当接する。また、これにより、第2方向の回動が規制されることで、リリースレバー81は、軸方向移動規制部材85から離間する方向に軸方向移動する。そして、これにより、リリースレバー81を初期位置Q0に復帰させることができる。
また、リリースレバー81が所定の軸方向位置Q1にない場合には、そのリリースレバー81の回動範囲を第1の回動規制部材83と第2の回動規制部材84との間に制限することができる。そして、これにより、そのアクチュエータ51の駆動力に基づき回動するリリースレバー81が隣接する他の部材に干渉しないようにすることで、装置の小型化を図ることができる。
(2)クローザ装置30は、第1方向に回動するリリースレバー81がロック部材としてのポール44を回動させることによりラッチ機構20をリリース動作させるように構成される。
即ち、リリースレバー81が所定の軸方向位置Q1にない場合には、その螺子軸80の回転がリリースレバー81の回動に反映されない。従って、ポール44を駆動しない非駆動時におけるリリースレバー81の干渉を考慮することなく、その螺子軸80の回転速度、つまりは駆動時におけるリリースレバー81の回動速度を高く設定することができる。そして、これにより、より速やかにラッチ機構20をリリース動作させることができる。
(3)クローザ装置30は、螺子軸80と一体に回動する第1減速ギヤ61と、これら第1減速ギヤ61及び螺子軸80の回動軸N3に平行する回動軸N4を有した第2減速ギヤ62と、これら当該第1減速ギヤ61及び第2減速ギヤ62を含んで構成される減速機構52と、を備える。また、第2減速ギヤ62には、当該第2減速ギヤ62と一体に回動することによりラッチ43を回動させる第2の駆動部材としての第1駆動ギヤ71(セクターギヤ77)が設けられる。そして、第1減速ギヤ61には、アクチュエータ51の出力ギヤを構成するウォーム64が噛合される。
上記構成によれば、共通のギヤ列を用いて効率よく、ラッチ機構20をクローズ動作及びリリース動作させることができる。特に、平行する回動軸N3,N4を有して第1減速ギヤ61及び第2減速ギヤ62が隣接して配置される構成では、その第1減速ギヤ61と一体に回動するリリースレバー81及び第2減速ギヤ62と一体に回動する第1駆動ギヤ71が干渉を起こしやすい。しかしながら、上記のような非駆動時にはリリースレバー81が回動しない構成を採用することで、このような干渉の問題を回避することができる。更に、第1減速ギヤ61は、その減速機構52において第2減速ギヤ62よりも駆動力の入力側に位置している。従って、クローズ作動時には、第2減速ギヤ62による減速後の大きな駆動トルクでラッチ43を回動させ、リリース作動時には、第2減速ギヤ62による減速前の速い回動速度でポール44を回動させることができる。そして、これにより、より確実にラッチ機構20をクローズ動作させ、及び速やかにリリース動作させることができる。
(4)クローザ装置30は、その実装面42s上にラッチ43及びポール44を支持する支持部材としてのベースプレート42を備える。そして、リリース作動時、その螺子軸80との螺合関係に基づき軸方向移動するリリースレバー81は、このベースプレート42に当接することによって、その軸方向移動が規制される。
上記構成によれば、そのベースプレート42が軸方向移動規制部材85として機能する。そして、これにより、その螺子軸80と一体に回動するリリースレバー81によって、より安定的にロック部材としてのラッチ43及びポール44を駆動することができる。その結果、より高い信頼性を確保することができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態は、車両のバックドアに設けられたドアロック装置1に具体化したが、その他のドアに用いられるドアロック装置に適用してもよい。
・上記実施形態では、螺子軸に螺合する駆動部材としてリリースレバー81が回動することによりロック部材としてのポール44を駆動することとした。しかし、これに限らず、螺子軸と一体回動することによりロック部材を駆動可能であれば、その駆動部材の形態は任意に変更してもよい。即ち、レバーに限らず、例えば、カムやギヤ等であってもよい。そして、その螺子軸と一体に回動する駆動部材がロック部材としてのラッチ43を駆動する構成に具体化してもよい。
・上記実施形態では、第2の駆動部材としての第1駆動ギヤ71がラッチ43を駆動することとしたが、この第2の駆動部材の形態についてもまた、例えば、レバーやカム、或いは押圧ピン等、任意に変更してもよい。
・上記実施形態では、螺子軸80は、減速機構52を構成する第1減速ギヤ61と一体に形成されることとした。しかし、これに限らず、アクチュエータ51から螺子軸80までのトルク伝達経路は任意に変更してもよい。そして、必ずしも共通のギヤ列を用いてラッチ43及びポール44を駆動する構成でなくともよい。
・上記実施形態では、第1及び第2の回動規制部材83,84は、螺子軸80の軸線方向に延びる略角柱状の外形を有することとしたが、これら第1及び第2の回動規制部材83,84の形状や配置等、その構成は任意に変更してもよい。
・上記実施形態では、ラッチ43及びポール44を支持する支持部材としてのベースプレート42が軸方向移動規制部材85として機能することとした。しかし、これに限らず、軸方向移動規制部材85を構成する部材及びその配置については、任意に変更してもよい。即ち、ベースプレート42とは別に軸方向移動規制部材85を設けてもよく、その当接によりリリースレバー81の軸方向移動を規制する所定の軸方向位置Q1もまた任意に変更してもよい。更に、軸方向移動規制部材85の形状についてもまた、任意に設定してもよい。そして、第1方向の回動が規制されたリリースレバー81がベースプレート42から離間する方向に移動することにより軸方向移動規制部材85に当接する構成であってもよい。
・上記実施形態では、第1の回動規制部材83とベースプレート42の実装面42sとの間には、リリースレバー81の軸方向長さL0よりも僅かに大きな隙間Xが形成されることとした。しかし、これに限らず、軸方向移動するリリースレバー81が軸方向移動規制部材85としてのベースプレート42(の実装面42)に当接する所定の軸方向位置Q1において、その第1方向におけるリリースレバー81の回動を許容可能であれば、その隙間Xの大きさは、任意に変更してもよい。但し、その第1方向におけるリリースレバー81の回動を許容する軸方向位置の範囲は、当該リリースレバー81が駆動対象であるポール44に係合可能な範囲であることが望ましい。