以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
(第1の実施形態)
本実施形態にかかる自動水栓装置1の概要について、図1および図2を用いて説明する。図1は、第1の実施形態にかかる自動水栓装置の概略を示した模式図である。また、図2は、第1の実施形態にかかる自動水栓装置のブロック図である。
図1に示すように、自動水栓装置1は、水栓本体2と、電磁弁4と、マスタ制御部7と、センサ基板18と、を備える。自動水栓装置1は、被検出物体(使用者の手等)の有無を判断して自動的に吐止水を行うものであり、洗面器を備えた洗面台(図示省略)などに取り付けられている。
水栓本体2は、先端に開口29が形成され、基端にも開口(図示なし)が形成されている。水栓本体2は、洗面器のボウル面に向けて水を吐出するための吐水部材19を備える。吐水部材19は、水栓本体2において先端の開口29側に設けられている。吐水部材19の先端から吐出する水は、給水路3により供給される。この給水路3は、可撓性のホースからなり、水栓本体2の内部において屈曲して吐水部材19に接続されており、これら給水路3と吐水部材19によって通水部材が構成されている。
電磁弁4は、給水路3に設けられ、給水路3の開閉を行う。電磁弁4が開くと、給水路3から供給される水が吐水部材19より吐出される吐水状態となり、電磁弁4が閉じると、給水路3から供給される水が吐水部材19より吐出されない止水状態となる。
電磁弁4は、配線5によってマスタ制御部7に接続されており、電磁弁4の開閉動作は、マスタ制御部7によって制御される。電磁弁4は、マスタ制御部7からの制御信号に従って電気的に制御され、給水路3の開閉を行う。このように、電磁弁4は、吐水部材19から吐出される水の給水路3を開閉する給水バルブとして機能する。
センサ基板18は、センサ15と、磁気検出手段9と、スレーブ制御部14と、から構成されている。センサ基板18は、センサケース20に収納された状態で、水栓本体2の内部且つ吐水部材19の周囲に設けられる(図6参照)。
センサ15は、水栓本体2の内部且つ先端部に設けられる。ここで、水栓本体2の先端部は、言い換えると、吐水部材19の周囲である。センサ15は、吐水部材19に接近する被検出物体(使用者の手等)を検出する。この吐水部材19の吐水先が、センサ15の検出範囲となる。センサ15は、伝播波を送信し、送信した伝播波を受けた人体等の被検出物体から反射した伝播波を受信することにより、被検出物体の位置や動き等を検出する。
具体的には、図2に示すように、センサ15は、投光素子16(投光手段)と、受光素子17(受光手段)と、センサ制御部28と、を備える。投光素子16は、水栓本体2の開口29から吐水部材19の吐水方向と等しい方向、すなわち使用者側の方向に向けて光を投光するように配置される。センサ制御部28によって所定のタイミングで光を投光する。受光素子17は、投光素子16から投光された光の反射光を受光する。すなわち、センサ制御部28により所定のタイミングで投光素子16を投光させて、被検出物体に反射した反射光を受光素子17が受光する。そして、センサ制御部28は受光素子17の受光量によって、被検出物体の有無を判断する。一般的には、受光素子17が受光する受光量が大きいほど、被検出物体が近くに存在しているということになる。このようにして、センサ15は、吐水部材19に向けて手が差し出されたこと等を検出することができる。
なお、本実施形態では、投光素子16から投光される光は、赤外光であっても可視光であってもよい。
磁気検出手段9は、水栓本体2の内部且つ先端部において、センサ15の検出範囲と重ならない位置に配設される。磁気検出手段9は、磁気を検出するものであり、例えば、リードスイッチや磁気スイッチ、磁気センサなどが挙げられる。磁気検出手段9は、磁気を検出するので、磁石の他に、電磁石の接近を検出することも可能である。なお、磁気検出手段9の配置の詳細は、後述する。
スレーブ制御部14は、センサ制御部28、磁気検出手段9、および、マスタ制御部7のそれぞれと通信をしており、互いの動作を制御している。
具体的には、スレーブ制御部14は、センサ15の駆動やセンサ15の検出結果の読み込みを行う。スレーブ制御部14は、センサ15を常に動作させるのではなく、センシングを必要とするタイミングのみ動作をするよう制御している。これにより、センサ15の消費電力を下げることが可能となる。使用者が不便に感じない程度にセンサ15のセンシング頻度を下げることで、自動水栓装置1全体の低消費電力化を図ることが可能となる。
また、スレーブ制御部14は、磁気検出手段9の駆動や磁気検出手段9の検出結果の読み込みを行う。さらに、スレーブ制御部14は、磁気検出手段9の検出結果に基づいて、磁気の有無を判断する。スレーブ制御部14は、センサ制御部28から受け取った被検出物体の有無の判断結果と磁気の有無の判断結果をマスタ制御部7に伝える。
マスタ制御部7は、センサ基板18とは分離して構成されており、電磁弁4及び電源10とともに、洗面台の下側に収容されている。図2に示すように、マスタ制御部7とセンサ基板18とは、配線6で接続されている。具体的には、配線6は電源ライン11と通信ライン12とGNDラインとで構成されている。マスタ制御部7は、センサ基板18に設けられているスレーブ制御部14と通信をして、互いの動作を制御している。具体的には、マスタ制御部7は、スレーブ制御部14から受け取った被検出物体の有無を判断した結果および磁気の有無を判断した結果に基づいて、電磁弁4の開閉状態を制御する。
なお、使用者は磁石等の磁性体を磁気検出手段9に接近させることによって、自動水栓装置1を通常動作を行う通常モードとは異なる特殊な動作モードに変更することができる。例えば、特殊な動作モードとして、吐水禁止モードがある。これは、一時的にセンサ15の検出結果に基づく吐水動作を禁止する動作モードであり、特に自動水栓装置1を掃除する際に有効である。掃除をしている最中に、意図しない吐水を抑制することが可能となるので、掃除モードとも呼ぶ。その他、特殊な動作モードとして、データ転送モードがある。これは、使用状況などを自動水栓装置1が予め記憶しておき、その情報を取り出すことができる状態にする動作モードである。
また、本実施形態にかかる自動水栓装置1では、制御部は、センサ制御部28と、スレーブ制御部14と、マスタ制御部7の3種類ある例について説明したが、これに限らない。例えば、センサ制御部28とスレーブ制御部14とを統合することで、2種類としてもよい。また、全て統合して1種類としてもよい。
次に、磁気検出手段9の配置について、図3〜図11を用いて説明する。
まず、磁気検出手段9と吐水部材19の配置関係について、図3〜図5を用いて説明する。図3は、第1の実施形態にかかる自動水栓装置における磁気検出手段と吐水部材の配置関係を示す模式図であり、水栓本体2の内部を透視したものである。図3(a)は、第1の実施形態にかかる自動水栓装置における水栓本体の斜視模式図であり、センサ基板18、吐水部材19、給水路3、配線6の図示を省略している。また、図3(b)は、第1の実施形態にかかる自動水栓装置における水栓本体の側面模式図であり、給水路3、配線6の図示を省略している。
図3(a)に示すように、磁気検出手段9は、水栓本体2の内部且つ先端部に配置されている。図3(b)に示すように、吐水部材19は鉛直方向に対して前方へ向けて下方傾斜するように配設されており、吐水方向も同様となる。ここで、吐水方向とは、吐水部材19から吐水された直後の水の進行方向のことを意味するものとする。磁気検出手段9は、センサ基板18上に実装されており、センサ基板18は、吐水部材19の先端よりも上方に配設されている。すなわち、磁気検出手段9は、吐水部材19の先端よりも上方に配設される。言い換えると、磁気検出手段9は、吐水方向に対する鉛直方向において、吐水部材19よりも上方に配設される。
図4は、第1の実施形態にかかる自動水栓装置における磁気検出手段と吐水部材の配置関係の第1変形例を示す模式図であり、水栓本体2の内部を透視したものである。図4(a)は、第1の実施形態にかかる自動水栓装置における水栓本体の第1変形例を示す斜視模式図であり、水栓本体2の内部において、センサ基板18、吐水部材19、給水路3、配線6の図示を省略している。また、図4(b)は、第1の実施形態にかかる自動水栓装置における水栓本体の第1変形例を示す側面模式図であり、給水路3、配線6の図示を省略している。
図4に示す水栓本体2Aでは、水栓本体2Aの形状は図3に示す水栓本体2の形状と異なるが、吐水部材19とセンサ基板18と磁気検出手段9の配置関係は図3と同様である。
図5は、第1の実施形態にかかる自動水栓装置における磁気検出手段と吐水部材の配置関係の第2変形例を示す模式図であり、水栓本体2の内部を透視したものである。図5(a)は、第1の実施形態にかかる自動水栓装置における水栓本体の第2変形例を示す斜視模式図であり、水栓本体2の内部において、センサ基板18、吐水部材19、給水路3、配線6の図示を省略している。また、図5(b)は、第1の実施形態にかかる自動水栓装置における水栓本体の第2変形例を示す側面模式図であり、給水路3、配線6の図示を省略している。
図5に示す水栓本体2Bでは、水栓本体2Bの形状は図3に示す水栓本体2および図4に示す水栓本体2Aの形状と異なっており、吐水部材19とセンサ基板18と磁気検出手段9の配置関係についても異なっている。具体的には、図5(a)に示すように、磁気検出手段9は、水栓本体2の内部且つ先端部に配置されている。図5(b)に示すように、吐水部材19は鉛直方向に沿って配設されており、吐水方向も同様となる。磁気検出手段9は、センサ基板18上に実装されており、センサ基板18は、吐水部材19の先端よりも前方に配設されている。すなわち、磁気検出手段9は、吐水部材19の先端よりも前方に配設される。言い換えると、磁気検出手段9は、吐水方向に対する鉛直方向において、吐水部材19よりも前方に配設される。
以上のように、磁気検出手段9が吐水部材19の先端よりも上方または前方に配設されることで、使用者が磁石等の磁性体を水栓本体2の先端の開口29へ接近させる際に、使用者が手等の人体を洗浄する際と同様に磁石等の磁性体を水栓本体2の先端の開口29へと接近させたとしても、磁気を検出し易い。
具体的には、使用者が自動水栓装置1を特殊な動作モードに変更しようとして、磁石等の磁性体を水栓本体2の先端の開口29へ接近させる行為を考えた場合、使用者は、磁石等の磁性体を持っている手を自動水栓装置1の前方から接近させる行為が自然なものとなる。ここで、磁気検出手段9が吐水部材19の先端よりも下方または後方に配設されているとすると、使用者にとって磁石等の磁性体を水栓本体2の先端の開口29へ接近させにくい。さらに、磁石等の磁性体を水栓本体2の先端の開口29へ接近させる際に、センサ15が磁石等の磁性体を持っている手を検出して、意図しない吐水をしてしまうことが想定される。
一方、本実施形態にかかる自動水栓装置では、磁気検出手段9が吐水部材19の先端よりも上方または前方に配設される。すなわち、吐水部材19よりも磁気検出手段9の方が、使用者が手を差し出す方向に近い側に配設されている。これにより、使用者が手等の人体を洗浄する際と同様に磁石等の磁性体を水栓本体2の先端の開口29へと接近させたとしても、磁気検出手段9により磁気をより早く検出することができる。
続いて、投光素子16と受光素子17と磁気検出手段9の配置関係について、図6〜図8を用いて説明する。図6は、図3に示す矢印方向からみた水栓本体2を示す模式図である。なお、図6に示す点線は、水栓本体1の先端の開口29の開口面における鉛直方向の中心線を示している。ここで、開口面とは、水栓本体2の先端に形成される開口29により形成される架空の面である。また、便宜上、投光素子16、受光素子17、および磁気検出手段9を図示している。
図6に示すように、水栓本体2の先端部には、吐水部材19と、センサ基板18を収納したセンサケース20が配設されている。吐水部材19およびセンサケース20は、それぞれ水栓本体2の先端の開口面の中心位置に配設されている。
投光素子16および受光素子17は、水栓本体2の先端の開口面における鉛直方向の中心線に対して、右側に投光素子16、左側に受光素子17となるように配設されている。
ここで、通常、使用者の手は、吐水部材19の左右方向に対する中心部を目掛けて吐水部材19へ接近する。そのため、センサ15の検出範囲が吐水部材19に対して左右のどちらかに偏っていると、使用者の手の位置が吐水部材19の左右方向に対する中心部から少し逸れただけで、センサ15の検出範囲を外れることになってしまい、安定した検出動作ができなくなってしまう。よって、センサ15が安定した検出動作を行うために、使用者の手を検出するセンサ15の検出範囲は、吐水部材19に対して左右均等となることが望ましい。従って、投光素子16の範囲および受光素子17の受光範囲が略等しい場合には、本実施形態にかかる自動水栓装置1のように、投光素子16および受光素子17を開口面29中心線に対し互いに略対称となる位置に配設することが望ましい。
投光素子16および受光素子17は、所定間隔をもつように配設されている。この所定間隔は、センサ15の安定した検出動作には必要である。具体的には、例えば、センサケース20の表面に水滴が付着したときに効果を発揮する。センサケース20の表面に水滴が付着すると、投光素子16が投光した光が水滴によって乱反射する。そして、その乱反射した光を受光素子17が受光してしまうと、センサ15が誤検出することとなる。一方、本実施形態にかかる自動水栓装置1では、投光素子16および受光素子17は、配置空間をもつように配設されている。これにより、受光素子17が水滴による乱反射を受光してセンサ15が誤検出することを抑制することができる。
投光素子16および受光素子17を配設する際の所定間隔は他の部位の構成によって適宜設定可能であるが、本実施形態にかかる自動水栓装置1のように、吐水部材19の周囲にセンサ15を配設する自動水栓装置1においては、できる限り開口29の幅いっぱいの間隔をもつことが望ましい。より具体的には、所定間隔は、吐水部材19の半径より広く、且つ、開口29の直径(幅)よりは狭くすることが望ましい。
なお、水滴を例に説明をしたが、水滴は乱反射を引き起こす要因の1つに過ぎず、他にも、ホコリや汚れ、水垢によっても、同様の事象(乱反射による誤検出)は発生する。
磁気検出手段9は、投光素子16および受光素子17の間に配設されている。ここで、投光素子16および受光素子17の間とは、投光素子16および受光素子が配設された状態において、投光素子16および受光素子17を含む両端部間を指す。すなわち、投光素子16および受光素子17が所定間隔をもつように配設されることで形成される配置空間を利用して磁気検出手段9を配設することができる。よって、水栓本体2の先端部、すなわち水栓本体2の吐水部材19の周囲に投光素子16、受光素子17、および磁気検出手段9を集約して配設することができる。なお、投光素子16と受光素子17の配置は入れ替わっていてもよい。
図7は、図4に示す矢印方向からみた水栓本体2を示す模式図であり、図8は、図5に示す矢印方向からみた水栓本体2を示す模式図である。なお、図7および図8に示す点線は、水栓本体1の先端の開口面における鉛直方向の中心線を示している。また、図7および図8において、投光素子16、受光素子17、および磁気検出手段9の配置関係は、上述した本発明の第1実施形態における配置関係と同様であるため、その説明は省略する。
続いて、センサ基板18と磁気検出手段9の配置関係について、図9〜図12を用いて説明する。図9は、第1の実施形態にかかる自動水栓装置における磁気検出手段とセンサ基板の配置関係を示す模式図である。図9(a)は、図3に示す矢印方向からみた水栓本体2を示す模式図であり、便宜上センサケース20の図示は省略している。図9(b)は、図9(a)の矢印方向からみたセンサ基板18を示している。
図9(a)に示すように、センサ基板18は、折り曲げが可能な構成となっており、吐水部材19の周縁に沿って配設されている。図9(b)に示すように、センサ基板18は、左右方向における中央部が前方へ凸設した凸部を有する形状となるように形成されている。投光素子16および受光素子17は、凸部を挟んで、センサ基板18の先端にそれぞれ配設されており、投光素子16および受光素子17のそれぞれの先端がセンサ基板18から突出するように配設されている。磁気検出手段9は、投光素子16と受光素子17との間、すなわち配置空間に配設されている。具体的には、磁気検出手段9は、センサ基板18の凸部に配設されている。このように、センサ基板18が凸部を有し、その凸部に磁気検出手段9が配設されることで、磁気検出手段9をより使用者側に近い位置に配置することができる。
図10は、図9に示すセンサ基板と磁気検出手段の配置関係の変形例を示す模式図である。図10(a)〜図10(e)に示すセンサ基板18は、図9に示すセンサ基板18の形状と同一である。図9では、磁気検出手段9をセンサ基板18の凸部の先端部に配設した例を示したが、これに限らない。磁気検出手段9の配置としては、例えば、図10(a)〜図10(e)に示すような配置が可能である。図10(a)〜図10(e)に示すいずれの例においても、磁気検出手段9は、投光素子16および受光素子17の間に配設されていることを意味する。また、図10(a)〜図10(e)に示すいずれの例においても、前述した例と同様の効果を奏する。
図10(a)に示す変形例では、磁気検出手段9は、センサ基板18の前後左右方向における中心部に配設されている。図10(b)に示す変形例では、磁気検出手段9は、センサ基板18の左右方向における中心部、且つ、センサ基板18の後端部に配設されている。図10(c)に示す変形例では、磁気検出手段9は、図9に示す例と同様に、センサ基板18の凸部の先端部ではあるが、センサ基板18の裏面(吐水部材19側の面)に配設されている。図10(d)に示す変形例では、磁気検出手段9は、センサ基板18の左側方の端部に配設されている。なお、図10(d)に示すように、磁気検出手段9の少なくとも一部が、投光素子16の端面(図10(d)の点線)よりもセンサ基板18の中心方向に配設されていればよい。図10(e)に示す変形例では、磁気検出手段9は、センサ基板18の右側方の端部に配設されている。なお、図10(e)に示すように、磁気検出手段9の少なくとも一部が、受光素子17の端面(図10(e)の点線)よりもセンサ基板18の中心方向に配設されていればよい。
図11は、第1の実施形態にかかる磁気検出手段とセンサ基板の配置関係の変形例を示す模式図である。図11(a)は、図3に示す矢印方向からみた水栓本体2の変形例を示す模式図であり、便宜上センサケース20の図示は省略している。図11(b)は、図11(a)の矢印方向からみたセンサ基板18を示している。なお、図9に示すセンサ基板18と異なる点は、図11に示すセンサ基板18Aは折り曲げ可能な構成ではない点と、凸部を有しない形状である点である。
図11(a)に示すように、センサ基板18Aは、センサ基板18Aの中央部が吐水部材19に接するように配設される。図11(b)に示すように、センサ基板18Aは、長方形状に形成されている。投光素子16および受光素子17は、センサ基板18Aの先端且つ左右両端部に配設されており、投光素子16および受光素子17のそれぞれの先端がセンサ基板18Aから突出するように配設されている。磁気検出手段9は、センサ基板18Aの左右方向における中央部且つ先端部に配設されている。
図12は、図11に示す磁気検出手段とセンサ基板の配置関係の変形例を示す模式図である。図12(a)〜図12(e)に示すセンサ基板18Aは、図11に示すセンサ基板18Aの形状と同一である。図11では、磁気検出手段9をセンサ基板18Aの左右方向における中央部且つ先端部に配設した例を示したが、これに限らない。磁気検出手段9の配置としては、例えば、図12(a)〜図12(e)に示すような配置が可能である。図12(a)〜図12(e)に示すいずれの例においても、磁気検出手段9は、投光素子16および受光素子17の間に配設されていることを意味する。また、図12(a)〜図12(e)に示すいずれの例においても、前述した例と同様の効果を奏する。
図12(a)に示す変形例では、磁気検出手段9は、センサ基板18Aの前後左右方向における中心部に配設されている。図12(b)に示す変形例では、磁気検出手段9は、センサ基板18Aの左右方向における中心部、且つ、センサ基板18Aの後端部に配設されている。図12(c)に示す変形例では、磁気検出手段9は、図11に示す例と同様に、センサ基板18Aの左右方向における中央部且つ先端部ではあるが、センサ基板18Aの裏面(吐水部材19側の面)に配設されている。図12(d)に示す変形例では、磁気検出手段9は、センサ基板18Aの左側方の端部に配設されている。なお、図12(d)に示すように、磁気検出手段9の少なくとも一部が、投光素子16の端面(図12(d)の点線)よりもセンサ基板18Aの中心方向に配設されていればよい。図12(e)に示す変形例では、磁気検出手段9は、センサ基板18Aの右側方の端部に配設されている。なお、図12(e)に示すように、磁気検出手段9の少なくとも一部が、受光素子17の端面(図12(e)の点線)よりもセンサ基板18Aの中心方向に配設されていればよい。
これらの配置関係においても、ここまで説明してきた自動水栓装置1の動作や、使用者の磁石操作、それらに伴う効果を発揮することは可能である。
以上のように、投光素子16および受光素子17が所定間隔をもつように配設されることで形成される配置空間を利用して磁気検出手段9を配設することができる。よって、水栓本体2の先端部、すなわち水栓本体2の吐水部材19の周囲に投光素子16、受光素子17、および磁気検出手段9を集約して配設することができる。
センサの検出範囲と磁気検出手段9の配置関係について図13および図14を用いて説明する。図13は、第1の実施形態にかかる水栓本体に磁石を近づける際の操作を示す模式図である。図14は、第1の実施形態にかかる水栓本体に磁石を近づけた際のセンサの検出範囲と磁石の磁力線との関係を示す模式図であり、図9(b)と同様に図9(a)の矢印方向からみたセンサ基板18を示している。なお、センサ15の検出範囲24および磁石の磁力線23は、それぞれ3次元の広がりをもっているが、図14では、図9(a)の矢印方向からみた場合のセンサ15の検出範囲24および磁石の磁力線23を示しているため、それぞれ2次元で示している。
自動水栓装置1は、使用者の目線よりも下に配設されていることが通常である。そのため、図13に示すように、使用者が手に持った磁石22を接近させる際の行為として、自動水栓装置1の上方から接近させるか、若しくは左右何れかの方向から接近させることが一般的である。なお、吐水部材19の後方から水栓本体2の開口29へ接近させることは不可能ではないが、自動水栓装置1の設置状況を考慮すると一般的ではない。
図14に示すように、投光素子16の投光範囲25と、受光素子17の受光範囲26とが重なり合っている領域がセンサ15の検出範囲24である。図14では、センサの検出範囲24を斜線で図示している。センサ15の検出範囲24に被検出物体が入ると、センサ制御部28は受光素子16の受光量に基づいて被検出物体有りと判断して、吐水を開始する。一方、磁石22の磁力線23は、図14の破線矢印で示すように広がっている。磁力線23が、磁気検出手段9に達すると、磁気検出手段9は磁気を検出し、その検出結果に基づいて、スレーブ制御部14は磁気の有無を判断する。
ここで、図13に示す矢印のうち、実線で示す矢印の方向に磁石22が水栓本体2の左側方から矢印の方向に向かって水栓本体2の先端の開口29に接近する際の動作について図14を用いて説明する。
水栓本体2の左側方から矢印の方向に向かって磁石22が水栓本体2の先端の開口29に接近すると、磁石22は、受光素子17の受光範囲26に入る。このとき、磁石22は、センサ15の検出範囲24に達していないので、磁石22が受光範囲26に入っただけでは、吐水は開始されない。そして、更に磁石22が水栓本体2の先端の開口29に接近すると、磁力線23が磁気検出手段9に達し、磁気検出手段9が磁石の接近を検出する。更に、磁石22が水栓本体2の先端の開口29に接近すると、磁石22がセンサ15の検出範囲24に入り、センサ15は被検出物体有りと判断する。
通常であれば、センサ制御部28が被検出物体有りと判断すると吐水を開始するが、センサ制御部28が被検出物体有りと判断する前に磁気検出手段9が磁石22を検出しているため、この時点ですでに吐水禁止モードとなるため、吐水は開始されない。つまり、誤吐水を抑制することができる。水栓本体に対し左右何れかの方向から磁石などの磁性体を水栓本体2の先端の開口29へ接近させたとしても、磁気を検出し易い。
なお、図14では、磁石22が水栓本体2の左側方から矢印の方向に向かって水栓本体2の先端の開口29に接近する際の動作を示しているが、磁石22が水栓本体2の左側方から矢印の方向に向かって水栓本体2の先端の開口29に接近する際の動作も同様である。具体的には、磁石22は投光素子16の投光範囲25には入るが、センサの検出範囲24に達する前に、磁気検出手段9が磁石22の接近を検出できるために、誤吐水を抑制することができる。
このように、磁気検出手段9が投光素子16と受光素子17の間に配設されていることで、水栓本体2に対し左右何れかの方向から磁石22を水栓本体2の先端の開口29へ接近させたとしても、磁石22の磁気を検出し易い。よって、誤吐水を抑制することができる。
次に、図13の示す矢印のうち、点線で示す矢印の方向に、磁石22が水栓本体1の前方から矢印の方向に向かって接近する際の動作について説明する。
前述したように、磁気検出手段9は、水栓本体2の先端部、すなわち水栓本体2の吐水部材19の周囲に配設されており、吐水部材19よりも上方または前方に配設されている。そのため、使用者が水栓本体2の前方から水栓本体2の先端の開口29へ磁石22を接近させたとしても、磁気検出手段9は、いち早く磁石22の接近を検出することができる。よって、誤吐水を抑制することができる。
また、磁気検出手段9は、接近する磁石22の方向に対し吐水部材19よりも手前側に配設されるため、磁石22を被水させずに、吐水部材19から水が吐出している状態で磁石22を水栓本体2の先端の開口29に接近させることができる。
なお、図14に示すように、磁気検出手段9は、磁気検出手段9の検出範囲がセンサ15の検出範囲24と重ならない範囲をもつように配設されていることが望ましい。このように、磁気検出手段9が配設されることで、磁気検出手段9は吐水部材19の近傍に配設されていても、センサ15の検出範囲24と重ならない範囲で磁気を検出することができる。つまり、磁石22を水栓本体2の先端の開口29に接近させる際に、磁石22をセンサの検出範囲24に入らないように接近させることが可能となり、誤吐水をより抑制することができる。
また、磁石22の大きさについては、投光素子16と受光素子17との所定間隔よりも磁石22の幅が細いと、磁石22を接近させるときの目標位置を定めにくい。そのため、磁石22をピンポイントで磁気検出手段9に接近させる必要がある。特に、本実施形態における自動水栓装置1のように、磁気検出手段9の位置を直接視認することが困難な自動水栓装置1の場合はなおさらである。そこで、磁石22の大きさについては、投光素子16と受光素子17との所定間隔よりも太い幅をもつ磁石22であることが望ましい。これにより、使用者は磁気検出手段9の細かな位置を考慮する必要が無く、使用者は例えば、磁石22の目標位置を磁気検出手段9ではなく水栓本体2の先端の開口29とすることができ、操作が簡単になる。
以上のように、本実施形態にかかる自動水栓装置1によれば、投光素子16および受光素子17は、水栓本体2の先端の開口面における鉛直方向の中心線に対し、一方が投光素子16、他方が受光素子17となる位置に設けられ、磁気検出手段9は、投光素子16と受光素子17との間に配設されている。すなわち、被検知物体の検出を行うために必要である投光素子16と受光素子17の配置空間を利用して磁気検出手段9を配設することができる。よって、水栓本体2の先端部、すなわち水栓本体2の吐水部材19の周囲に投光素子16、受光素子17、および磁気検出手段9を集約して配設することができる。また、水栓本体2に対し左右何れかの方向から磁石などの磁性体を水栓本体2の先端の開口29へ接近させたとしても、磁気を検出し易い。
また、本実施形態にかかる自動水栓装置1によれば、磁気検出手段9は吐水部材19よりも上方または前方に配設されているため、使用者が磁石等の磁性体を水栓本体2の先端の開口29へ接近させる際に、使用者が手等の洗浄と同様に磁石等の磁性体を水栓本体2の先端の開口29へと接近させたとしても、磁気を検出し易い。
次に、磁石22を水栓本体2の先端の開口29に接近させる際の別の動作について図15を用いて説明する。図15は、第1の実施形態にかかる水栓本体に磁石を近づける際の別の操作を示す模式図であり、水栓本体2の上面から磁石22を近づける操作を示している。
図15に示すような自動水栓装置1においては、使用者によっては、自身の手以外の物体、すなわち磁石22を吐水部材19に近づける行為そのものに違和感をいだく可能性も否定できない。そのとき、使用者は、水栓本体2の先端の開口29に水栓本体2の上面から磁石22を接近させることになる。このように、使用者が水栓本体2の上面から磁石22を水栓本体2の先端の開口29へ接近させることを考慮すると、水栓本体2は、磁性体および非磁性体から構成され、非磁性体の比率は、磁性体の比率よりも高いことが望ましい。非磁性体および磁性体の比率は、磁力を妨げない程度である。これにより、磁気検出手段9に効率的に磁力が届くようになり、遠くから磁気検出が可能となる。よって、誤吐水を抑制できる。例えば、図15に示すように、使用者が水栓本体2の上面から磁石22を水栓本体2の先端の開口29へ接近させたとしても、磁気検出手段9は磁力を検出することができる。また、このような操作では、センサ15の検出領域24に磁石22が入らないため、誤吐水を抑制することができる。
次に、第1の実施形態にかかる自動水栓装置1の具体的な制御手順について、図16を用いて説明する。図16は、第1の実施形態にかかる自動水栓装置の動作を示すフローチャートである。なお、本実施形態では、特殊モードの具体例として掃除モード(吐水禁止モード)をあげて説明する。ここでの掃除モードとは、センサ15による自動吐水を一時的に停止して、使用者が自動水栓装置1を掃除する際に、意図しない吐水がなされないようにしておく特殊モードである。
まず、マスタ制御部7は、特殊モード中であるか否かを判断する(S100)。特殊モード中でないと判断した場合(S100:NO)、マスタ制御部7は、磁気検出手段9の検出結果に基づいて磁気の有無を判断する(S101)。磁気がないと判断した場合(S101:NO)、マスタ制御部7は、センサ15の投光タイミングであるか否かを判断する(S102)。なお、本実施形態では、投光タイミングは、2Hz周期として説明する。つまり、0.5秒に1回の間隔で投光タイミングとなる。ただし、投光タイミングはこれに限らない。
センサ15の投光タイミングでないと判断した場合(S102:NO)、マスタ制御部7は先頭に戻って再びS100の処理を実行する。一方、センサ15の投光タイミングであると判断した場合(S102:YES)、マスタ制御部7は、センサ15を投受光動作させる(S103)。そして、ステップS103での投受光動作の結果に基づいて、センサ制御部28は被検出物体の有無を判断する(S104)。ここで、センサ制御部28が被検出物体有りと判断する条件としては、受光素子17の受光量がある一定値以上であった場合が挙げられる。その他、受光素子17の受光量の変化量がある一定値以上であった場合に被検出物体有りと判断することも可能であり、受光素子17の前回の受光量と受光素子17の今回の受光量との差異がある一定値以上であった場合に被検出物体有りと判断することも可能である。
センサ制御部28が被検出物体有りと判断した場合(S104:YES)、マスタ制御部7は、現在の状態が止水中であるか否かを判断する(S300)。止水中であると判断した場合(S300:YES)、マスタ制御部7は電磁弁4を開駆動して吐水を開始する(S301)。そして、先頭に戻って再びステップS100の処理を実行する。一方、止水中でないと判断した場合(S300:NO)、既に吐水していることになるため、何も処理せずに先頭に戻って再びステップS100の処理を実行する。
一方、ステップS104において、センサ制御部28が被検出物体がないと判断した場合(S104:NO)、現在の状態が吐水中であるか否かを判断する(S500)。吐水中であると判断した場合(S500:YES)、マスタ制御部7は電磁弁4を閉駆動して止水する(S510)。そして、先頭に戻って再びステップS100の処理を実行する。
吐水中でないと判断した場合(S500:NO)、既に止水していることになるため、何も処理せずに先頭に戻って再びステップS100の処理を実行する。
また、ステップS101において、マスタ制御部7が磁気検出手段9の検出結果に基づいて磁気の有ると判断した場合(S101:YES)、特殊モードへと突入する(S202)。なお、本実施形態では、特殊モードを10分間継続する仕様として説明する。
特殊モードに突入すると、10分を計測するための特殊タイマをリセットスタートする(S203)。続いて、マスタ制御部7は、吐水中であるか否かを判断する(S400)。吐水中であると判断した場合(S400:YES)、マスタ制御部7は電磁弁4を閉駆動して止水する(S401)。これは、特殊モード中の吐水を停止するためであり、特殊モードに入る前の状態が吐水状態であったときは、強制的に止水するという制御である。止水をした後は、先頭に戻って再びステップS100の処理を実行する。一方、吐水中でないと判断した場合(S400:NO)、既に止水しているため、何も処理せずに先頭に戻って再びステップS100の処理を実行する。
また、ステップS100において、特殊モード中であると判断した場合(S100:YES)、マスタ制御部7は特殊タイマが10分を経過したか否かを判断する(S600)。10分を経過していないと判断した場合(S600:NO)、そのまま特殊モードを継続して、先頭に戻って再びステップS100の処理を実行する。一方、10分を経過したと判断した場合(S600:YES)、マスタ制御部7は特殊モードを解除する(S601)。そして、先頭に戻って再びステップS100の処理を実行する(S601)。つまり、特殊モード中は、センサ15の検出結果に基づく電磁弁4の開駆動を禁止する。
以上のように、本実施形態にかかる自動水栓装置1によれば、磁気検出手段9の検知結果に基づいて磁気があると判断されるとセンサ15の検出結果に基づく開弁を禁止するため、動作モードの切替等を行うために使用者が磁石等の磁性体を水栓本体2の先端の開口29へ接近させた際に磁石等の磁性体が被検出物体として判断されたとしても、誤吐水を抑制することができる。また、特殊モード中での誤吐水を抑制することができる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態にかかる自動水栓装置1の具体的な制御手順について、図17を用いて説明する。図17は、第2の実施形態にかかる自動水栓装置の動作を示すフローチャートである。なお、本実施形態では、特殊モードの具体例として掃除モード(吐水禁止モード)を挙げて説明する。ここでの掃除モードとは、センサ15による自動吐水を一時的に停止して、使用者が自動水栓装置1を掃除する際に、意図しない吐水がなされないようにしておく特殊モードである。また、第2の実施形態にかかる自動水栓装置1の基本構成および制御手順については、第1の実施形態で説明した内容と同様であるため、同一の構成および制御手順には同符号を付し、説明は省略する。
前述した第1の実施形態にかかる自動水栓装置1の制御手順と異なる点は、図16に示すステップS101が無くなり、ステップS105とS106が追加となっている点である。以下、第1の実施形態にかかる自動水栓装置1の制御手順と異なる部分のみ詳細に説明する。
図16に示すように、第1の実施形態では、センサ15の投光タイミングであるか否かを判断する前に、磁気検出手段9の検出結果に基づいて磁気の有無を判断していた(S101)が、本実施形態ではこのステップを削除している。第1の実施形態では、毎回のフローで磁気の有無を判断しており、磁気検出手段9を常に駆動しておく必要があった。一方、磁気検出手段9を常に駆動するのではなく、センサ15の検出結果に基づいて、磁気検出手段9を非駆動状態から駆動状態へと切り替えることで、磁気検出手段9の駆動頻度を少なくしている。
具体的には、図17に示すように、センサ制御部28が被検出物体有りと判断した場合(S104:YES)、マスタ制御部7は磁気検出手段9を非駆動状態から駆動状態へと切り替え、磁気検出手段9を駆動する(S105)。磁気検出手段9を駆動した後、マスタ制御部7は磁気検出手段9の検出結果に基づいて磁気の有無を判断する(S106)。磁気の有ると判断した場合(S106:YES)、ステップS202へ進み、第1の実施形態と同じ処理を実行する。一方、磁気がないと判断した場合(S106:NO)、ステップS300へ進み、第1の実施形態と同じ処理を実行する。
第1の実施形態では、ステップS101の処理タイミングで磁気を検出しなかったが、それ以降のステップの処理中に磁石22が接近してきた場合は、磁気の検出を取り逃してしまう可能性がある。その結果、磁石22が接近しているにも関わらず、誤吐水が実行される可能性がある。一方、本実施形態では、センサ15の投受光処理(S103)と、吐水を開始する処理(S301)との間に磁気の有無の判断処理(S106)があるため、センサ制御部28が被検出物体ありと判断しても、マスタ制御部7が磁気検出手段9の検出結果に基づいて磁気があると判断すると、吐水を開始せずに特殊モードへと移行することができる。
また、使用者が磁石22を水栓本体2の先端の開口29に接近する際の状況を鑑みると、使用者が磁石22を手に持っていることが通常であるといえる。磁気検出手段9は、吐水部材19の周囲、すなわちセンサ15の近傍に配設されているため、使用者が磁石22を接近させた際に、使用者の手や磁石22を被検出物体としてセンサ15が検出する可能性は高い。よって、センサ15が被検出物体ありと判断したときに磁気検出手段9を駆動すれば十分であり、これにより、磁気検出手段9の消費電力を抑えることができる。このとき、センサ15が検出することによって意図しない吐水が実行される事象が懸念されるが、図17に示すように、センサ15の検出判断(S104)と、吐水を開始する処理(S301)との間に磁気の有無の判断処理(S106)があるため、誤吐水を抑制することができる。
以上のように、本実施形態にかかる自動水栓装置1によれば、マスタ制御部7(制御部)はセンサ15の検出結果に基づいて磁気検出手段を非駆動状態から駆動状態へ切り替えるため、磁気検出手段9の電力の消費を抑えることができる。
また、本実施形態にかかる自動水栓装置1によれば、センサ15の検出結果に基づいて被検出物体があると判断すると電磁弁4を開駆動する前に磁気検出手段9を駆動するため、磁気検出手段9の電力の消費を抑えることができるとともに、動作モードの切替等を行うために磁石等の磁性体を水栓本体2の先端の開口29へ接近させた際の誤吐水を抑制することができる。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態にかかる自動水栓装置1の具体的な制御手順について、図18を用いて説明する。図18は、第3の実施形態にかかる自動水栓装置の動作を示すフローチャートである。なお、本実施形態では、特殊モードの具体例として掃除モード(吐水禁止モード)をあげて説明する。ここでの掃除モードとは、センサ15による自動吐水を一時的に停止して、使用者が自動水栓装置1を掃除する際に、意図しない吐水がなされないようにしておく特殊モードである。また、第3の実施形態にかかる自動水栓装置1の基本構成および制御手順については、第2の実施形態で説明した内容と同様であるため、同一の構成および制御手順には同符号を付し、説明は省略する。
前述した第2の実施形態にかかる自動水栓装置1の制御手順と異なる点は、図18に示すように、ステップS700からS704が追加となっている点である。以下、第2の実施形態にかかる自動水栓装置1の制御手順と異なる部分のみ詳細に説明する。
図18に示すように、本実施形態では、ステップS106において、磁気のないと判断した場合(S106:YES)、センサ15の出力が大きいか、すなわち受光素子17の受光量が所定値よりも大きいか否かを判断する(S700)。例えば、受光素子17の受光量が所定値よりも大きいということは、センサ15から数センチメートルの位置に被検出物体が存在する場合が想定される。
受光素子17の受光量が所定値よりも小さい場合(S700:NO)、ステップS300へと進み、第2実施形態と同じ処理を実行する。一方、受光素子17の受光量が所定値よりも大きい場合は(S700:YES)、吐水遅延タイマが停止しているか否かを判断する(S701)。なお、吐水遅延タイマの用途は、センサ15による自動吐水の開始タイミングを遅延させるためである。本実施形態では、吐水遅延タイマが1秒経過するまで、吐水を開始しないように制御している。
吐水遅延タイマが停止していると判断した場合は(S701:YES)、吐水遅延タイマをリセットスタートする(S703)。そして、先頭に戻って再びステップS100の処理を実行する。一方、吐水遅延タイマが停止していないと判断した場合は(S701:NO)、吐水遅延タイマが1秒を経過したか否かを判断する(S702)。1秒を経過していないと判断した場合(S702:NO)、何も処理せずに先頭に戻って再びステップS100の処理を実行する。一方、1秒を経過したと判断した場合(S702:YES)、ステップS300へと進み、第2実施形態と同じ処理を実行する。
ステップS300にて、止水中でないと判断した場合(S300:NO)、何も処理せずに先頭に戻って再びステップS100の処理を実行する。一方、止水中である判断した場合(S300:YES)、吐水を開始する(S301)。そして、吐水遅延タイマを停止して(S704)、先頭に戻って再びステップS100の処理を実行する。
本実施形態の自動水栓装置1において、使用者の操作方法によっては、磁気検出手段9が磁気を検出する前に、磁石22などがセンサ15の検出範囲に一時的に入ってしまう可能性がある。このとき、使用者は水栓本体2の先端の開口29に磁石22を接近させようとしているので、センサ15の検出範囲に磁石22が入ったとき、受光素子17の受光量は、通常の手洗い動作時の受光量に比べて大きくなる。自動水栓装置1の設置状況にもよるが、おおよそ、手洗い動作時の手の位置は吐水部材19から5センチメートル以上であるのに対して、磁石22を接近させるときの手の位置は吐水部材19から2センチメートル程度である。つまり、受光素子17の受光量が大きいときは、使用者が磁石22を接近させている行為の最中である可能性が高い。そのため、センサ制御部28が被検出物体があると判断し、且つ、受光素子17の受光量が所定値よりも小さい場合は、比較的直ぐに吐水を開始するが、センサ15の出力が大きい、すなわち受光素子17の受光量が所定値よりも大きい場合は、センサ制御部28が被検出物体があると判断しても、直ぐには吐水を開始せずに1秒の遅延時間をもたせている。この遅延時間の間に磁石22があると判断した場合は、吐水を開始せずに特殊モードへと移行する。
また、遅延時間(本実施形態では1秒間)を経過しても磁石22があると判断されない場合は、通常の吐水動作を開始する。そのため、通常の手洗い動作において、使用者が手を水栓本体2の開口29に接近させたとしても、遅延時間経過後には吐水動作が開始される。
本実施形態にかかる自動水栓装置によれば、受光素子17の受光量が所定値より大きい場合に、電磁弁4を閉状態から開状態へ切り替えるタイミングを受光18の受光量が所定値より小さい場合よりも1秒間遅延させる。そのため、センサ15が磁石22を検出し、その検出結果に基づいて被検出物体が有ると判断したとしても、電磁弁4を閉状態から開状態へ切り替えるタイミングを遅延させている間に磁気検出手段9により磁気を検出することができる。よって、誤吐水をさらに抑制することができる。
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態にかかる自動水栓装置1の具体的な制御手順について、図19を用いて説明する。図19は、第4の実施形態にかかる自動水栓装置の動作を示すフローチャートである。なお、本実施形態では、特殊モードの具体例として掃除モード(吐水禁止モード)をあげて説明する。ここでの掃除モードとは、センサ15による自動吐水を一時的に停止して、使用者が自動水栓装置1を掃除する際に、意図しない吐水がなされないようにしておく特殊モードである。また、第4の実施形態にかかる自動水栓装置1の基本構成および制御手順については、第2の実施形態で説明した内容と同様であるため、同一の構成および制御手順には同符号を付し、説明は省略する。
前述した第2の実施形態にかかる自動水栓装置1の制御手順と異なる点は、図17に示すステップS105およびS106が削除され、図19に示すように、ステップS800からS802が追加となっている点である。以下、第2の実施形態にかかる自動水栓装置1の制御手順と異なる部分のみ詳細に説明する。
図19に示すように、本実施形態では、ステップS103のセンサ15の投受光処理の次に、センサ15の出力、すなわち受光素子17の受光量に変化があったか否かを判断する(S800)。ここで、センサ15の出力に変化があるということは、受光素子17の受光量が、被検出物体があると判断する所定量以上であることや、被検出物体があると判断する所定値までに受光量は達してはいないが、被検出物体が存在していない状態の受光量と比べて受光量が変動している、つまり安定していないということを含んでいる。すなわち、センサ15の出力に変化があるということは、例えば、手を洗う通常の位置に使用者の手は達していないが、その近傍に手が存在しているような状況を示している。
センサ15の出力、すなわち受光素子17の受光量に変化がないと判断した場合(S800:NO)、ステップS104へと進み、第2の実施形態と同じ処理を実行する。一方、センサ15の出力、すなわち受光素子17の受光量に変化があると判断した場合は(S800:YES)、磁気検出手段9を駆動する(S801)。そして、マスタ制御部7は磁気検出手段9の検出結果に基づいて磁気の有無を判断する(S802)。
磁気がないと判断した場合(S802:NO)、ステップS104へと進み、第2の実施形態と同じ処理を実行する。一方、磁気の有ると判断した場合(S802:YES)、ステップS202へと進み、第2の実施形態と同じ処理を実行する。つまり、磁気がナイト判断した場合は通常の吐水制御を実行し、磁気があると判断した場合は通常の吐水制御をせずに特殊モードへ突入する。
ここで、使用者が磁石22を水栓本体2の先端の開口29に接近する際の状況を鑑みると、使用者が磁石22を手に持っていることが通常であるといえる。磁石22、又は磁石22を持っている手が水栓本体2の近傍にきたときに、磁気検出手段9を駆動する。水栓本体2の先端の開口29の周辺に手があると磁石22も水栓本体2の先端の開口29の周辺にある可能性がある。逆を言えば、水栓本体2の先端の開口29の周辺に手がなければ磁石22は水栓本体2の先端の開口29の周辺にないということなので、磁気検出手段9を駆動する必要がない。
以上のように、本実施形態にかかる自動水栓装置1によれば、自動水栓装置1の周囲に人がいると思われる状況でのみ磁気検出手段9を駆動するため、磁気検出手段9の電力の消費を抑えることができる。
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
例えば、自動水栓装置1が備える各要素の形状、寸法、材質、配置などの設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。