<1.用語の定義>
本明細書で用いる用語について、以下に説明する。
「可変表示装置」とは、複数の図柄で構成された表示列を備え、表示列の図柄を可変表示させる表示装置のことをいう。表示列がリールで構成される場合には、リールの回転動作によりリール上に配置された図柄を可変表示させる。表示列が液晶表示器等による表示画像で構成される場合には、表示画像の内容を変化させることで表示画像としての図柄を可変表示させる。
「リール窓」とは、可変表示装置の備える表示列を構成する複数の図柄の一部を遊技者に視認可能とするものをいう。
「停止図柄」とは、可変表示装置により表示列の図柄の可変表示を停止した場合において、表示列を構成する複数の図柄のうち、リール窓を通して遊技者に視認可能となった図柄のことをいう。リール窓内に図柄が停止することを「停止表示」という。
「遊技媒体」とは、遊技機に使用されるメダル又は遊技球のことをいう。遊技機に電気的又は磁気的に記憶された遊技媒体の数を示す情報のことを「クレジット」といい、その数を「クレジット数」という。
「ベット」とは、ゲームを開始するために必要な遊技媒体を設定することをいう。ベットされた遊技媒体はゲームの開始とともに消費される。ゲームを開始するために設定された遊技媒体の数のことのことを「ベット数」という。「ベットボタン」とは、ゲームを開始するために必要な遊技媒体を設定するために遊技者が操作するための装置のことをいう。
「ゲーム」とは、スタートレバーの操作を契機としてリールユニットの各リール上の図柄の可変表示を開始したときから入賞の判定の結果に基づく処理が終了するまでの一連の過程のことをいう。「1ゲーム」、「1回のゲーム」とは、その一連の過程の1回分のことをいう。
「スタートレバー」とは、ゲームの開始を指示するために遊技者が操作するための装置のことをいう。
「ストップボタン」とは、可変表示装置が備える表示列の図柄の可変表示の停止を指示するために遊技者が操作するための装置のことをいう。
「内部抽選」とは、ゲームの開始を契機として、予め定められた複数の役から1以上の役の当選または何れの役も当選しないハズレを、抽選により決定することをいう。
「役」とは、所定の特典に対応付けられた図柄組合せパターンのことをいう。役に対応する図柄組合せが入賞ライン上に停止表示した場合に、役に対応する特典が付与される。役の「入賞」とは、役に対応する図柄組合せが入賞ライン上に停止表示することをいう。役の「当選」とは、内部抽選の結果として、役の入賞が許容される状態になることをいう。役は、特典の種別に応じてボーナス役、小役、再遊技役に大別される。小役は、入賞に応じてメダルが払出される役である。再遊技役は、入賞に応じて再遊技が付与される役であって、追加のベットなしに再度のゲームの開始が可能となる。ボーナス役は、入賞に応じてボーナスゲームが作動する役であって、メダルの払出しに関して有利な状態に移行する。
「入賞ライン」とは、役の入賞を判定する対象である所定の図柄位置の組合せのことをいう。ベットに応じて入賞の判定が無効の状態から有効な状態に変化する。
「停止テーブル」とは、ストップボタンが操作された場合に、ストップボタンが操作されたタイミングに応じてリール上の図柄をどのように停止表示させるかを定義したテーブルのことをいい、リールの停止制御に利用される。
「役構成テーブル」とは、役に対応する図柄組合せと特典が定義されたテーブルのことをいい、入賞の判定処理以降の処理に利用される。
「ボーナスゲーム」とは、ボーナス役の入賞に応じて移行する遊技状態であって、ボーナスゲームが作動中の遊技状態は、ボーナスゲームが作動していない遊技状態と比較して、メダルの払出しに関して有利な状態である。ボーナスゲームは、遊技規則における「第一種特別役物」、「第一種特別役物に係る役物連続作動装置」、「第二種特別役物」、「第二種特別役物に係る役物連続作動装置」等によって実現される。
以下に、本発明に係る遊技機を、実施形態としてスロットマシンを例に説明する。
<2.遊技機の外観構成>
図1は、本発明の実施形態に係るスロットマシン1の概観を示す斜視図である。スロットマシン1は、前面が開口した箱状の本体2と本体2の前面に配置した前面扉3から構成されている。本体2と前面扉3とは片側で蝶番により開閉できるようになっている。前面扉3は、遊技者が遊技を行うためのボタン類を配置した操作部OP、リールユニットRLが備える各リールR1〜R3の図柄を視認するリール窓20や遊技の進行に係る情報を表示するための表示器類を配置したパネル表示部DP、遊技の進行に係る情報を表示するための液晶表示器類や電飾装置を配置した演出表示部TP及び受皿部BPから構成されている。
操作部OPには、操作部OPの上面右側にメダル投入口10を配置し、上面左側にベットボタン11が配置されている。メダル投入口10へのメダルの投入、またはベットボタン11を操作することにより、スロットマシン1に対してベットすることができる。ベットボタン11の下部位置の前面側には、リールユニットRLの各リールR1〜R3の回転動作の開始を指示するためのスタートレバー12を配置し、その右側には左リールR1の回転動作の停止を指示するための左ストップボタン13a、中リールR2の回転動作の停止を指示するための中ストップボタン13b及び右リールR3の回転動作の停止を指示するための右ストップボタン13cを配置し、遊技を進行させるための基本操作順序となる、ベットボタン11→スタートレバー12→左ストップボタン13a→中ストップボタン13b→右ストップボタン13cという、一連の流れの操作を行い易いようになっている。
スタートレバー12の左側には、クレジットを精算してメダル受皿40にメダルを払い出す精算ボタン14を配置する。この精算ボタン14は遊技をやめる場合に使用し、操作の頻度が低いことや遊技中に誤って操作しないよう、上記一連の操作の流れから外れる位置に配置してある。さらに操作部OPには、メダル貸機がスロットマシン1に接続されている場合に使用する貸出ボタン15、メダル貸機に挿入されたプリペイカードや現金を返却する返却ボタン16及びメダル貸機の貸出可能な度数表示が行われる度数表示器17が設けてある。なお、このように、スロットマシン1にメダル貸機が接続されている場合には、スロットマシン1のこれらの貸出ボタン15、返却ボタン16の操作によるメダル貸機の作動及び度数表示器17による度数表示は、メダル貸機の制御によって行われる。
パネル表示部DPには、1つのリールにつき3個の連続した図柄が目視でき、3つのリールで9個分の図柄をのぞむ透明アクリル板からなるリール窓20を設け、さらにリール窓20内には入賞ラインが形成される。このリール窓20の左側には、入賞ラインに対応した入賞ライン表示器21を設け、メダルを3枚投入すると入賞ラインに対応した入賞ライン表示器21が点灯するようになっている。
また、遊技の結果、入賞ライン上に役に対応する図柄組合せが成立した場合には役の入賞となり、入賞ラインに対応した入賞ライン表示器21が点滅表示し、遊技者に知らせるようになっている。また、リール窓20の右側には、役が入賞した場合に点灯する表示器や遊技状態に応じて点灯するLEDなどの複数のLEDが配置された遊技ガイド表示器22が設けられている。さらにリール窓20の下側には、クレジット数を表示するクレジット数表示器23a、特定の遊技状態におけるメダルの獲得枚数を表示する獲得枚数表示器23b、及び役が入賞した場合に付与されたメダル数を表示する配当数表示器23cから構成される遊技価値情報表示部23を有している。
演出表示部TPには、遊技の進行状況を画像で表示する液晶表示装置30、遊技の進行状況に応じて色彩や点灯パターンを変化させて表示させる電飾LED31及び遊技の進行状況に応じて変化させるBGMやボタン操作に応じた操作音、ガイド音声を出力するスピーカ32が配置されている。
受皿部BPには、メダル払出装置が駆動されてメダル払出口40aから排出されたメダルを貯めるメダル受皿40を設け、メダル受皿40の左側には灰皿を設けてある。
(1)リールユニットの構成
図2は、スロットマシン1のリールユニットRLの構造を示す説明図である。図2(A)は、リールユニットRL全体の構造を示し、図2(B)は、右リールR3の詳細の構造を示す。
リールR1〜R3は、透明なABS樹脂等からなり、軸部から放射線状に延びた複数のスポーク部と環状の枠からなるリール枠56a〜56cと、そのリール枠56a〜56cの周面に貼り付けられている20個の各種の図柄(図柄番号PN:1〜20)が印刷されたリール帯58a〜58cから構成される。リールR1〜R3は、ステッピングモータ54a〜54cに固定され回転動作するようになっている。リールR1〜R3の回転動作には、400ステップのパルス(後述するステッピングモータ駆動信号)を供給することで1回転するステッピングモータ54a〜54cを使用し、所定のパルスを供給することで任意の図柄をリール窓20に停止表示させることができる。さらにLED(図示せず)を設置したバックライト装置53a〜53cを設け、リール帯58a〜58cの内側から光を照射できるようになっている。このように、リール帯58a〜58cの内側からバックライト装置53a〜53cによって光を照射することで、遊技者にリール帯58a〜58c上の図柄を目立たせることができる。
またスポーク部の一つに検知板57a〜57cを取り付け、リール位置検出センサ55a〜55cによって、リールR1〜R3が1回転するごとに1パルスのリール位置検出信号155a〜155cを出力できるようになっている。このリール位置検出信号155a〜155cを検知してから10ステップ進めたときに、図柄番号PN=1がリール窓20内における各リールの中段の図柄位置により形成されるセンターライン上に位置するように検知板57a〜57cとリール帯58a〜58cとの位置が設定してある。
リールユニットRLにおいて、リールR1〜R3、リールR1〜R3が固定されたステッピングモータ54a〜54c、バックライト装置53a〜53c及びリール位置検出センサ55a〜55cを、それぞれベース板52a〜52cに固定することで一つのユニット構成としている。また、リールユニットRLは、ベース板52a〜52cをリールユニットRLのケース体50に設けられたガイドレール51a〜51cに沿って挿入してケース体50内に収容するようになっている。
図3(A)は、リール帯58a〜58cに印刷された図柄の配置を示す説明図である。左、中、右のそれぞれのリールには20個の図柄を等間隔で配置して印刷されている。400ステップのパルスを供給することで1回転するステッピングモータ54a〜54cを使用しているので、20個の図柄を配置すると図柄の間隔は20ステップとなる。また、リール位置検出信号155a〜155cを検知してから10ステップ進めたときに、図柄番号PN=1がリール窓20内のセンターライン上に位置するようにしているので、リール位置検出信号155a〜155cを検知してから30ステップ進めれば図柄番号PN=2がセンターライン上に位置し、50ステップ進めれば図柄番号PN=3がセンターライン上に位置し、390ステップ進めれば図柄番号PN=20がセンターライン上に位置することになる。390ステップより先に進めると、再びリール位置検出信号155a〜155cが検知される。これにより、リール位置検出信号155a〜155cが検知されたタイミングを基点にして、進めるステップ数により任意の図柄をセンターライン上に位置させることができる。
図3(B)は、スロットマシン1の入賞ラインを示す説明図である。スロットマシン1は1つの入賞ラインLを備えている。入賞ラインLは、リール窓20内における各リールの中段の図柄位置により形成される。スロットマシン1は、入賞ラインL上に役に対応する図柄組合せが停止表示したと判定された場合に、役が入賞したと判定される。
<3.スロットマシンの電気的構成>
図4は、スロットマシン1の電気的構成を示すブロック図である。スロットマシン1は、遊技の主たる制御を行うメイン制御基板100A、液晶表示装置30に対して表示制御を行い画像表示する表示制御基板100B、パネル表示部DP又は演出表示部TPのLED類や音の演出の制御を行う電飾制御基板100Cを備えている。メイン制御基板100Aは、CPU(central processing unit)101、クロック発生回路a102、クロック発生回路b103、ROM(read-only memory)104、RAM(random-access memory)105、データ送出回路106、入出力ポート107から構成されている。なお、CPU101としてROMやRAMを内蔵しているものを採用することができる。その場合には、外付けのROM104、RAM105を備えなくてもよい。
CPU101は、ROM104に格納されたプログラムを、クロック発生回路a102で発生したCLK信号のタイミングに基づいて読み出し、プログラムを逐次実行する。CPU101は、電源が投入されるとあらかじめ定められたアドレスからメインプログラムを実行し、クロック発生回路a102の周期とは異なるクロック発生回路b103で発生されられたINTR信号のタイミングで、あらかじめ定められたアドレスから始まる割込みプログラムを実行する。ここで、INTR信号のタイミングは、例えば、2ミリ秒である。CPU101はプログラムの実行に応じて、フラグ類やカウンタ類などの各種の遊技情報をRAM105に保存する。外部から供給される電源が遮断した場合でも、RAM105は電池により記憶情報が保持されており、その後電源が復帰した場合には、電源断発生の直前の状態から再開する。CPU101は、入出力ポート107を介して各種ボタン、センサの状態を読み取り、各種モータ、LEDを駆動する。
ベット操作指示信号111a〜111c、開始操作指示信号112、停止操作指示信号113a〜113c及び精算操作指示信号114は、それぞれ操作部OPに設けられたベットボタン11、スタートレバー12、ストップボタン13a〜13c、精算ボタン14ボタンが遊技者に操作されたことに応じて出力される信号であり、入出力ポート107を介してCPU101に入力されることで検知される。
表示制御信号123a〜123cは、それぞれパネル表示部DPに設けられたクレジット数表示器23a、獲得枚数表示器23b、配当数表示器23cに表示するための表示信号であり、入出力ポート107を介してCPU101より駆動される。リール位置検出信号155a〜155cのそれぞれは、リールユニットRLのそれぞれのリールに対応し、リールが1回転するたびに1回検出する信号であり入出力ポート107を介してCPU101に入力される。リール駆動信号154a〜154cのそれぞれは、リールユニットRLのそれぞれのリールR1〜R3を駆動するステッピングモータ駆動信号であり、入出力ポート107を介してCPU101より駆動される。
メダル投入信号160は、メダル投入口10から通ずる前面扉3の内部に設けられたメダル検出装置に設けられたメダル投入センサが、投入されたメダルを検出した場合に出力される信号であり、入出力ポート107を介してCPU101に入力される。また、メダルブロック信号161はメダル検出装置に設けられたソレノイドを駆動する信号であり入出力ポート107を介してCPU101より駆動される。メダル払出信号162は、メダル払出装置のメダル放出部に設けられたメダル払出センサが、メダル払出装置により払い出されたメダルを検出した場合に出力される信号であり、入出力ポート107を介してCPU101に送られる。また、払出駆動信号163はメダル払出装置に設けられたモータを駆動する信号であり、入出力ポート107を介してCPU101より駆動される。前面扉開放検出信号170は、前面扉開放検出センサ70が前面扉3の開放を検出した場合に出力される信号であり、入出力ポート107を介してCPU101に入力される。
CPU101は、データ送出回路106を介して表示制御基板100B及び電飾制御基板100Cへ各種コマンドを出力する。電飾制御基板100Cは、メイン制御基板100Aより各種コマンドを受信し、入賞ライン表示器21、遊技ガイド表示器22、電飾LED31による電飾装置の点灯制御、リールユニットRLに設けられたバックライト装置53a〜53cの点灯制御及びBGMなどのサウンドをスピーカ32から出力する。
表示制御基板100Bは、CPU(central processing unit)191、クロック発生回路c192、クロック発生回路d193、ROM(read-only memory)194、RAM(random-access memory)195、データ入力回路196及びグラフィックLSIとその周辺回路からなる表示回路197を備えている。このCPU191は、ROM194に格納されたプログラムを、クロック発生回路c192で発生したCLK信号のタイミングに基づいて読み出し、プログラムを逐次実行する。CPU191は、電源が投入されるとあらかじめ定められたアドレスからメインプログラムを実行し、クロック発生回路c192の周期とは異なるクロック発生回路b193で発生されられたINTR1信号のタイミングで、あらかじめ定められたアドレスから始まる割込みプログラムを実行する。ここで、INTR1信号のタイミングは、例えば、2ミリ秒とする。CPU191のストローブ信号は、プログラムの実行に応じて、フラグ類やカウンタ類などの各種の遊技情報をRAM195に保存する。また、メイン制御基板100Aのデータ送出回路からのデータ送出タイミングに同期して送出されるストローブ信号に基づいてINTR2信号を発生させ、このINTR2信号のタイミングで、あらかじめ定められたアドレスから始まる割込みプログラムを実行する。
<4.ゲーム基本処理>
スロットマシン1における1回のゲームに係る処理の流れを、図5を用いて説明する。
<4−1.処理の流れ>
(1)メダル受付処理
スロットマシン1は、メダル投入口10へメダルが投入されると、投入されたメダルを受け付けてスロットマシン1の内部に取り込むか、投入されたメダルを受け付けずにメダル受皿40に返却する(Sa501)。
具体的には、ベット数が3かつクレジット数が50未満の場合にメダル投入口10へメダルが投入されると、CPU101は、投入されたメダルをスロットマシン1の内部に取り込むとともに、投入されたメダルの枚数だけクレジット数を加算する。また、ベット数が3かつクレジット数が50の場合にメダル投入口10へメダルが投入されると、CPU101は、メダル検出装置に設けられたソレノイドを駆動して、投入されたメダルをメダル受皿40に返却する。
(2)ベット処理
スロットマシン1は、メダル投入口10へのメダルの投入、ベットボタン11の操作、または再遊技役の入賞に応じて、ゲームの開始に必要なベット数を設定する(Sa502)。
具体的には、ベット数が3未満の場合にメダル投入口10にメダルが投入されると、CPU101は、投入されたメダルの枚数だけベット数を加算する。また、ベット数が3未満の場合にベットボタン11が操作されると、CPU101は、クレジット数を減算してベット数を加算する。また、再遊技役が入賞した場合には、CPU101は、そのゲームでベットされていたベット数を、クレジット数の減算なしに再びベットする自動ベット処理を実行する。
(3)レバー受付処理
スロットマシン1は、3枚のメダルがベットされている状態でスタートレバー12の操作を受け付けた場合にゲームを開始させる(Sa503)。具体的には、ベット数が3に設定された状態でスタートレバー12が操作されると、CPU101は、後述する内部抽選処理以降の遊技処理を実行する。一方で、ベット数が3未満に設定された状態でスタートレバー12が操作された場合には、CPU101は、内部抽選処理以降の遊技処理を実行しない。
(4)内部抽選処理
スロットマシン1は、ゲームの開始にともない、予め定められた複数の役から1以上の役の当選または何れの役も当選しないハズレを、抽選により決定する(Sa504)。ベット数が3に設定された状態でスタートレバー12が操作されると、CPU101は、内部抽選処理を実行する。内部抽選処理の詳細については後述する。
(5)リール回転処理
スロットマシン1は、内部抽選処理の実行とともに、リールR上に配置された図柄を可変表示させるためにリールR1〜R3のそれぞれを回転動作させる(Sa505)。具体的には、CPU101は、ステッピングモータ54a〜54cのそれぞれに対して継続的にパルスを供給することで、リールR1〜R3のそれぞれを回転させる。リール回転処理の詳細については後述する。
(6)リール停止処理
スロットマシン1は、リールRの回転中にストップボタン13が操作されるとリールRの回転動作を停止させる(Sa506)。リールRの回転中にストップボタン13が操作されると、CPU101は、操作されたストップボタン13に対応するリールRが固定されたステッピングモータ54に所定のパルスを供給することで、対応するリールRの回転動作を停止させる。リール停止処理の詳細については後述する。
(7)図柄判定処理
スロットマシン1は、リールR1〜R3の全てが停止した後に、入賞ラインL上に停止表示された図柄組合せを判定する(Sa507)。リールR1〜R3の全てが停止した後に、CPU101は、入賞ラインL上に停止表示された図柄組合せが、予め定められた所定の図柄組合せであるか否かを判定する。このとき、再遊技役が入賞したと判定した場合には、CPU101は、そのゲームでベットされていたベット数を、クレジット数の減算なしに再びベットする自動ベット処理を実行する(Sa502)。図柄判定処理の詳細については後述する。
(8)メダル払出処理
スロットマシン1は、入賞ラインL上に小役に対応する図柄組合せが停止表示されたと判定した場合には、メダルの払出処理を実行する(Sa508)。メダルの払出処理では、クレジット数が50未満まではクレジット数を加算させ、クレジット数が50を超えた分についてはメダル受皿40にメダルを払い出す。
(9)状態移行処理
スロットマシン1は、ボーナス役に入賞した場合に、遊技状態を通常遊技状態からボーナスゲーム状態に移行させる(Sa509)。また、ボーナスゲームの終了条件が成立した場合に、遊技状態をボーナスゲーム状態から通常遊技状態に移行させる。スロットマシン1は、状態移行処理を実行した後に、1回のゲームに係る処理を終了する。状態移行処理の詳細については後述する。
<4−2.各処理の詳細説明>
上述した1回のゲームに係る各処理の詳細について説明する。
(1)内部抽選処理の詳細
スロットマシン1における内部抽選処理の詳細について説明する。
(1−1)基本処理
内部抽選処理は、予め定められた複数の役から、1もしくは複数の役の当選または何れの役も当選しないハズレを抽選により決定するための処理であり、抽選テーブルを用いて実行される。
図6は、スロットマシン1における内部抽選処理で利用される抽選テーブルを説明するための説明図である。抽選テーブルは、役に対応する抽選値が定義されている。抽選値は役の当選確率を示している。スロットマシン1は、ボーナス役として「BB」役、「RB」役、小役として「スイカ」役、「ベル」役、「チェリー」役、再遊技役として「リプレイ」役の6種類の役を備えており、それぞれの当選確率が抽選値として定義されている。
スロットマシン1では、遊技状態に応じて異なる抽選テーブルが利用される。スロットマシン1では、遊技状態として、ボーナスゲーム(BBゲーム又はRBゲーム)が作動していない通常遊技状態と、ボーナスゲーム(BBゲーム又はRBゲーム)が作動しているボーナスゲーム作動状態とを備えており、それぞれ図6(A)、図6(B)の抽選テーブルが利用される。
ボーナスゲーム作動状態で利用される抽選テーブルでは、通常遊技状態で利用される抽選テーブルと比較して小役に係る抽選値が高く設定されており、通常遊技状態よりも遊技者に有利な抽選が行われるようになっている。
抽選テーブルを利用した内部抽選処理について具体的に説明する。CPU101は、不図示の乱数発生器により0〜65535の範囲から1つの乱数値を取得する。次に、取得した乱数値を、抽選テーブルで定義された複数の抽選値と順次に比較する。具体的には、CPU101は、乱数発生器から取得した乱数値を、抽選テーブルにおける1番目の抽選値と比較する。比較した結果、乱数値が抽選値未満の場合には、1番目の抽選値に対応付けられた役の当選を決定する。乱数値が抽選値以上の場合には、乱数値を、1番目の抽選値に2番目の抽選値を加算した値と比較する。比較した結果、乱数値が1番目と2番目の抽選値の合計値未満の場合には、2番目の抽選値に対応付けられた役の当選を決定する。
このように、乱数値が、1番目からN番目までの抽選値の合計値未満となるまで繰り返したときのN番目の抽選値に対応付けられた役を、当選する役として決定する。例えば、CPU101は、通常遊技状態において、乱数発生器から取得した乱数値が754である場合、乱数値は1番目の抽選値(168)以上であるので、この値に2番目の抽選値(436)を加える。乱数値(754)は、1番目と2番目の抽選値の合計値(604)以上であるので、これに3番目の抽選値(873)を加算する。乱数値(754)は、1番目〜3番目の抽選値の合計値(1477)未満であるので、3番目の抽選値に対応付けられた役の当選を決定する。つまり、「スイカ」役が当選することを決定する。
このように、スロットマシン1における内部抽選処理では、遊技状態に応じて適宜に選択される抽選テーブルを参照して、乱数発生器から取得した乱数値に基づいて役の当選が決定される。当選が決定された役の情報は、当選情報としてRAM105に記憶される。
(1−2)当選状態の持ち越し
小役である「スイカ」役、「ベル」役、「チェリー」役、再遊技役である「リプレイ」役は、図柄判定処理によって役が入賞したと判定されたか否かに関わらず、次回の内部抽選処理の実行までにはその当選情報は消去されるが、ボーナス役である「BB」役または「RB」役は、図柄判定処理によって役が入賞したと判定されるまでは、当選情報は消去されずに次回以降のゲームに持ち越される。また、ボーナス役が当選してから入賞するまでの状態(以下「ボーナス内部中」という)においては、他のボーナス役も含めてボーナス役の当選が決定されないように、内部抽選処理を実行する。
(2)リール回転処理の詳細
スロットマシン1におけるリール回転処理の詳細について説明する。上述したように、スロットマシン1は、ステッピングモータ54にパルスを供給することでリールRを回転動作させる。
(2−1)ウェイト処理
スロットマシン1は、リールRを回転動作に先だって、各ゲーム間における最小遊技時間を確保するためのウェイト処理を実行する。リール回転処理におけるウェイト処理に係る処理の流れを、図7を用いて説明する。
まず、スロットマシン1は、インターバルタイマの値が最小遊技時間を経過しているか否かを判断する(Sa601)。具体的には、CPU101は、RAM105に記憶されたインターバルタイマの値が、最小遊技時間を超えているか否かを判断する。スロットマシン1において、最小遊技時間は4.1秒に予め設定されている。CPU101は、インターバルタイマの値が最小遊技時間を超えていると判断した場合には処理を先に進め(Sa601:YES)、インターバルタイマの値が最小遊技時間を超えていないと判断した場合には、インターバルタイマの値が最小遊技時間を超えるまで処理を待機する(Sa601:NO)。これが、スロットマシン1における、各ゲーム間における最小遊技時間を確保するためのウェイト処理である。
CPU101は、インターバルタイマの値が最小遊技時間を超えていると判断した場合には、インターバルタイマの値を0にリセットするとともに(Sa602)、インターバルタイマの計時を開始させる(Sa603)。CPU101は、インターバルタイマをリセットして計時を開始させた後に、以降の処理を実行する。
以上のように、スロットマシン1では、3枚のメダルがベットされている状態でスタートレバー12の操作を受け付けた後に実行されるウェイト処理により、各ゲーム間の間隔が最小遊技時間である4.1秒以上となるよう制御される。
リールRが回転動作を開始してからストップボタン13が操作されるまでの間は、リールRは回転動作が継続される。そして、この間にもインターバルタイマは計時される。従って、リールRが回転動作を開始してからストップボタン13が操作されるまでの期間が長いほど、次回のゲームにおけるウェイト処理での待機時間は短くなり、リールRが回転動作を開始してからストップボタン13が操作されるまでの期間が短いほど、次回のゲームにおけるウェイト処理での待機時間は長くなる。このように、リールRが回転動作を開始してから、遊技者によりストップボタン13が操作されるまでの期間に応じて、次回のゲームにおけるウェイト処理での待機時間は変化する。
(2−2)基本処理
スロットマシン1は、上述したウェイト処理の後に、ステッピングモータ54にパルスを供給することでリールRを回転動作させる。メイン制御基板100A(CPU101)は、各リールRに供給したパルスのステップ数をそれぞれRAM105に保持しており、各リールRにパルスを供給するたびにステップ数をそれぞれ加算して更新する。また、CPU101は、リール位置検出センサ55から出力されるリール位置検出信号155が入力されると、対応するリールRについてのステップ数を0にリセットする。
このように、CPU101は、リール位置検出信号155が入力された時点で、リールの回転位置が基準回転位置にあると判断できるので、基準回転位置から供給したステップ数を管理することで、現在のリールの回転位置を常に把握することができる。
図8を用いて、スロットマシン1のリール回転処理における基本処理に係る処理の流れを説明する。なお、本処理は、上述したCPU101で実行される割込みプログラム内で実行される処理であり、リールRの回転動作が開始されてから、周期的に発生する割込みのたびに実行される。また、本処理は1つのリールRに対して実行される処理であり、複数のリールRが回転動作している場合は、回転動作する各リールRに対してそれぞれ実行される。
リール回転処理において、CPU101は、回転動作の対象であるリールRに対応するステッピングモータ54に対して、パルス(ステッピングモータ駆動信号)を供給する(Sa801)。これにより、リールRが1ステップだけ回転動作する。CPU101は、ステッピングモータ54に対してパルスを供給したことに応じて、ステップ数に1を加算する(Sa802)。これにより、CPU101は、ステッピングモータ54に供給した累積のパルス数を把握することができる。
次に、CPU101は、リール位置検出信号155が入力されているか否かを判定する(Sa803)。リール位置検出信号155が入力されていない場合は(Sa803:NO)、現在のステップ数が400を超えているか否かを判定する(Sa804)。現在のステップ数が400を超えていない場合は(Sa804:NO)、そのまま処理を終了する。
一方で、リール位置検出信号155が入力されている場合は(Sa803:YES)、現在のステップ数が400より少ないか否かを判定する(Sa805)。現在のステップ数が400より少なくない場合は(Sa805:NO)、ステップ数を0にリセットする(Sa806)。これにより、CPU101は、リールRの回転位置が基準回転位置に到達した時点からステッピングモータ54に供給した累積のパルス数を把握することができる。
これに対して、現在のステップ数が400より少ない場合には(Sa805:YES)、CPUは、リールRの回転動作が異常状態にあると判断し、所定のエラー処理を実行する(Sa807)。これは、リールRの回転位置が基準回転位置に到達した時点から1周分を回転動作させるために必要な400パルスをステッピングモータ54に供給するよりも前に、リールRの回転位置が基準回転位置に到達してしまったことを意味する。つまり、何らかの理由によりリールが脱調してしまい、CPU101が把握しているリールRの回転位置と、実際のリールRの回転位置とのズレが発生していることを意味する。
また、現在のステップ数が400を超えているか否かを判定した際に(Sa804)、現在のステップ数が400を超えている場合(Sa804:YES)も、CPUは、リールRの回転動作が異常状態にあると判断し、所定のエラー処理を実行する(Sa807)。これは、リールRの回転位置が基準回転位置に到達した時点から1周分を回転動作させるために必要な400パルスよりも多くのパルスをステッピングモータ54に供給しているにも関わらず、リールRの回転位置が基準回転位置に到達していないことを意味する。つまり、上述したケースと同様に、何らかの理由によりリールが脱調してしまい、CPU101が把握しているリールRの回転位置と、実際のリールRの回転位置とのズレが発生していることを意味する。
このように、スロットマシン1のリール回転処理において、CPU101は、現在のリールの回転位置を常に把握しながら、リールRの回転動作を制御している。また、リールRが脱調したことを正確に把握することができる。
(3)リール停止処理の詳細
スロットマシン1におけるリール停止処理の詳細について説明する。
(3−1)基本処理
CPU101は、回転中のリールRに対応するストップボタン13の操作を受け付けると、対応するリールRを停止させる。これを、リールR1〜R3の全てが停止するまで繰り返す。このとき、CPU101は、ストップボタン13に対する操作がなされた時点から、最大4図柄分のリールの回転量の範囲内において、対応するリールRを停止させる。このとき、CPU101は、内部抽選処理により何らかの役の当選が決定されている場合には、上述した最大図柄数分のリールの回転量の範囲内において、当選している役に対応する図柄組合せの構成図柄を、入賞ラインL上に引き込むように、リールRを停止させる。
スロットマシン1におけるリールの停止制御は、停止テーブルを用いて実現される。停止テーブルには、ストップボタン13が操作されたタイミングにおけるセンターライン上の図柄の位置に対応する図柄番号PNと、対応するリールRが停止するまでに継続させる回転動作の回転量を示す滑りコマ数との対応関係が定義されている。
図9は、スロットマシン1におけるリール停止処理で利用される停止テーブルを説明するための説明図である。図9は、停止テーブルの一例として、内部抽選処理により「ベル」役(図柄組合せ「ベル−ベル−ベル」)の当選が決定している場合に利用される停止テーブルの内容を示している。
例えば、CPU101は、通常遊技状態においてリールR1〜R3が回転中であって、かつ内部抽選処理により「ベル」役(図柄組合せ「ベル−ベル−ベル」)の当選が決定している状況において、例えば左リールR1における図柄番号PN=16の「赤7」図柄がセンターライン上に位置するタイミングで左ストップボタン13aが操作された場合、停止テーブルを参照して左リールR1の図柄番号PN=16に対応する滑りコマ数である4を取得し、取得した滑りコマ数である4図柄分だけ左リールR1の回転動作を継続させて、図柄番号PN=20の「ベル」図柄をセンターライン上に停止表示させるように、左リールR1を停止させる。
次に、例えば中リールR2における図柄番号PN=12の「チェリー」図柄がセンターライン上に位置するタイミングで中ストップボタン13bが操作された場合、停止テーブルを参照して中リールR2の図柄番号PN=12に対応する滑りコマ数である2を取得し、取得した滑りコマ数である2図柄分だけ中リールR2の回転動作を継続させて、図柄番号PN=14の「ベル」図柄をセンターライン上に停止表示させるように、中リールR2を停止させる。
次に、例えば右リールR3における図柄番号PN=9の「プラム」図柄がセンターライン上に位置するタイミングで右ストップボタン13cが操作された場合、停止テーブルを参照して右リールR3の図柄番号PN=9に対応する滑りコマ数である1を取得し、取得した滑りコマ数である1図柄分だけ右リールR3の回転動作を継続させて、図柄番号PN=10の「ベル」図柄をセンターライン上に停止表示させるように、右リールR3を停止させる。
このようにしてリールR1〜R3の全てを停止させた結果、センターライン上には図柄組合せ「ベル−ベル−ベル」が停止表示される。スロットマシン1では、センターラインと入賞ラインLとが同じ図柄位置として設定されているので、結果として入賞ラインLには「ベル」役に対応する図柄組合せ「ベル−ベル−ベル」が停止表示されることになる。
このように、スロットマシン1では、内部抽選処理により決定した当選役に対応する停止テーブルを参照してリールRの停止制御を行うことで、ストップボタン13に対する操作がなされた時点から、最大4図柄分のリールRの回転量の範囲内において、当選している役に対応する図柄組合せの構成図柄を、入賞ラインL上に引き込むように、リールRを停止させる。
(3−2)操作無効期間
上述したように、スロットマシン1は、回転動作の対象であるリールRに対応するステッピングモータ54に対して、パルス(ステッピングモータ駆動信号)を供給することで、リールRの回転動作を実現している。しかしながら、リールRを形成するリール部材には所定の重量があるため、周期的な割込みにより一定の間隔でパルスをステッピングモータ54に供給したとしても、リールRの回転動作を開始した直後から一定の速度でリールRの回転動作をさせることはできない。実際には、一定の間隔でパルスをステッピングモータ54に供給する場合、リールRの回転速度は、リールRの回転動作を開始してから徐々に上昇していき、所定の期間を経過して所定の回転速度に到達した後に、一定の回転速度で回転動作をするようになる。
スロットマシン1は、リールRの回転速度が所定の回転速度に到達する前では、リールRの回転動作を停止させないよう制御している。より具体的には、CPU101は、リールRの回転速度が所定の回転速度に到達するまでは、リールRに対応するストップボタン13の操作を無効として扱うよう処理する。これは、上述したリール停止処理に利用される停止テーブルで定義された滑りコマ数のデータが、リールRが所定の回転速度で回転動作していることを前提として設定されたデータであり、また同時に、遊技規則における要件でもあることに起因して設けられた制限である。
このように、スロットマシン1は、リールRの回転速度が所定の回転速度に到達するまでは、対応するストップボタン13の操作に関わらず、リールRの回転動作の停止させないように制御し、リールRの回転速度が所定の回転速度に到達してからは、対応するストップボタン13の操作に応じて、リールRの回転動作を停止させるよう制御する。
(4)図柄判定処理の詳細
図10はスロットマシン1における図柄判定処理等で利用される役構成テーブルを説明するための説明図である。役構成テーブルは、役に対応する図柄組合せと特典が定義されている。
上述したように、スロットマシン1では、内部抽選処理により当選し得る役として6種類の役を備えており、それぞれの役に対応する図柄組合せと特典が定義されている。具体的には、図柄判定処理により、入賞ラインL上に、左リールR1から右リールR3にかけて、図柄組合せ「赤7−赤7−赤7」又は図柄組合せ「青7−青7−青7」が停止表示された場合に「BB」役が入賞したと判定され、状態移行処理により、BBゲーム状態に移行される。
以下同様に、入賞ラインL上に図柄組合せ「BAR−BAR−BAR」が停止表示された場合に「RB」役が入賞したと判定され、状態移行処理によりRBゲーム状態に移行される。また、入賞ラインL上に図柄組合せ「スイカ−スイカ−スカイ」が停止表示された場合に「スイカ」役が入賞したと判定され、メダル支払処理により6枚のメダルが支払われる。また、入賞ラインL上に図柄組合せ「ベル−ベル−ベル」が停止表示された場合に「ベル」役が入賞したと判定され、メダル支払処理により15枚のメダルが支払われる。また、入賞ラインL上に図柄組合せ「チェリー−ANY−ANY」が停止表示された場合に「チェリー」役が入賞したと判定され、メダル支払処理により2枚のメダルが支払われる。「ANY」は如何なる図柄でも構わない旨を示している。また、入賞ラインL上に図柄組合せ「プラム−プラム−プラム」が停止表示された場合に「リプレイ」役が入賞したと判定され、自動ベット処理が実行される。
(5)状態移行処理の詳細
スロットマシン1における状態移行処理の詳細について説明する。スロットマシン1は、ボーナス役に入賞した場合に、遊技状態を通常遊技状態からボーナスゲーム状態に移行させる。スロットマシン1は、「BB」役と「RB」役がボーナス役として設定されている。内部抽選処理により「BB」役が当選し、図柄判定処理により「BB」役が入賞したと判定された場合に、CPU101は、遊技状態をBBゲーム状態に移行させる。また、同様に、内部抽選処理により「RB」役が当選し、図柄判定処理により「RB」役が入賞したと判定された場合に、CPU101は、遊技状態をRBゲーム状態に移行させる。
BBゲーム状態は、RBゲームを連続的に作動させる状態である。遊技状態がBBゲーム状態に移行すると、RBゲームが作動する。また、BBゲーム状態の最中にRBゲーム状態の終了条件が成立すると、RBゲーム状態の終了にともない新たなRBゲームが作動する。スロットマシン1では、360枚を超えるメダルの支払われたと判定された場合に、BBゲームの終了条件が成立する。BBゲームの終了にともないRBゲームは終了し、通常遊技状態に移行する。また、RBゲームは、小役が8回入賞するか、12ゲームの消化により終了条件が成立する。RBゲームが終了すると、BBゲーム状態においては新たなRBゲームが作動し、BBゲーム状態でない場合は遊技状態が通常遊技状態に移行する。
上述したように、ボーナスゲーム(BBゲーム又はRBゲーム)が作動しているボーナスゲーム作動状態では、ボーナスゲームが作動していない状態と比較して、内部抽選処理において、小役に係る抽選値が高く設定されて遊技者に有利な抽選が行われるようになっている。
<5.演出制御>
スロットマシン1は、内部抽選処理によりボーナス役の当選が決定した場合に、ボーナスゲーム当選時の演出を実行する。より具体的には、CPU101は、内部抽選処理によりボーナス役の当選が決定したと判断した場合に、当該内部抽選処理を実行したゲームの進行過程において順次に内容を変化させながら、ボーナス役が当選した旨を示唆する演出を実行する。
演出が実行されるゲームの進行過程には、スタートレバー12の操作に応じて実行される内部抽選処理によりボーナス役の当選の決定時、ウェイト処理の実行後におけるリールRの回転動作の開始時、各ストップボタン13a〜13cの押下と開放に係る操作時、及び当該ゲームが終了して次回のゲームの開始のためのベットボタン11の操作時のタイミングが含まれる。
なお、「CPU101が演出を実行する」こととは、具体的には、CPU101が、演出に係る映像を液晶表示装置30に表示、再生させることを指示するコマンドを、データ送出回路106を介して表示制御基板100Bに対して送信することであるが、本明細書においては、単に「演出を実行する」、「映像を再生する」等のように表現される場合がある。
図11は、スロットマシン1における演出に係る処理で利用される演出選択テーブルを説明するための説明図である。演出選択テーブルは、1回のゲームの進行過程において実行される1セットの演出の内容を定義したシーケンスデータを複数含んで構成され、各シーケンスデータは、ゲームの進行過程における各タイミングと、各タイミングに応じて実行される個別演出との対応関係を含んで構成されている。
図11におけるシーケンスデータのNo.1〜3は、ボーナス役の当選の期待感を示唆する演出として、ボーナス役の当選の決定時に利用されるシーケンスデータ、No.4〜6は、ボーナス役の当選の期待感を示唆する演出として、ボーナス役の当選の非決定時に利用されるシーケンスデータ、を示している。
より具体的には、例えばシーケンスデータのNo.1では、スタートレバーの押下(ON)時に、映像「AF01」及び映像「AL01」を再生し、リール回転の開始時に、映像「AF02」及び映像「AL02」を再生し、第3停止の押下(ON)時に、「AF03」及び映像「AL03」を再生し、他のタイミング、つまり、スタートレバーの開放(OFF)時、第1停止の押下(ON)時、開放(OFF)時、第2停止の押下(ON)時、開放(OFF)時、第3停止の開放(OFF)時、ベットボタンの押下(ON)時、及び開放(ON)時には、何も演出を実行しない(再生中の映像がある場合でも、当該映像に対して何ら影響を与えない)ことが定義されている。
基本的には、各タイミングで再生される映像は、所定再生時間の映像が一度だけ再生される映像「AF**」と、映像「AF**」の再生終了直後に再生される映像であって、次の映像の再生が指示されるまで所定再生時間の映像が繰り返し再生される映像「AL**」とで1セットになっている。
なお、「第1停止」とは、ストップボタン13a〜13cのうち、1番目に操作されるストップボタン13のことをいい、「第2停止」とは、2番目に操作されるストップボタン13のことをいい、「第3停止」とは、3番目に操作されるストップボタン13のことをいう。
上述した演出選択テーブルを利用して実行される演出の動作を、図12を用いて説明する。図12(A)は、シーケンスデータのNo.1に基づいて実行される演出の動作の一態様を示している。上述したように、シーケンスデータのNo.1では、スタートレバーの押下(ON)時に、映像「AF01」及び映像「AL01」を再生し、リール回転の開始時に、映像「AF02」及び映像「AL02」を再生し、第3停止の押下(ON)時に、「AF03」及び映像「AL03」を再生することが定義されている。
具体的には、スタートレバーの押下(ON)時であるタイミングt1に、再生時間が期間p1である映像「AF01」の再生が開始される。映像「AF01」の再生が終了すると、映像「AL01」の再生が開始される。映像「AL01」は、再生時間である期間p2の再生が終了すると、次の演出の再生が開始されるまでの期間p3は、同一の映像が繰り返し再生される。
次に、リール回転の開始時であるタイミングt3に、再生時間が期間p4である映像「AF02」の再生が開始される。映像「AF02」の再生が終了すると、映像「AL02」の再生が開始される。映像「AL02」は、再生時間である期間p5の再生が終了すると、次の演出の再生が開始されるまでの期間p6は、同一の映像が繰り返し再生される。
次に、第3停止の押下(ON)時であるタイミングt8に、再生時間が期間p7である映像「AF03」の再生が開始される。映像「AF03」の再生が終了すると、映像「AL03」の再生が開始される。映像「AL03」は、再生時間である期間p8の再生が終了すると、次の演出の再生が開始されるまでの期間p9は、同一の映像が繰り返し再生される。
図12(A)は、シーケンスデータのNo.1に基づいて実行される演出の動作の一態様として、上述したリール回転処理におけるウェイト処理での待機時間である期間p10が、映像「AF01」の再生時間である期間p1と、映像「AL01」の1回分の再生時間である期間p2との合計期間よりも長い場合の例を示している。この例において、スタートレバーの押下(ON)時に再生される映像(映像「AF01」及び映像「AL01」)は、途中で途切れることなく再生される。
図12(B)は、シーケンスデータのNo.1に基づいて実行される演出の動作の一態様であって、図12(A)とは別な態様を示している。この態様では、図12(A)で示した態様と同様に、スタートレバーの押下(ON)時であるタイミングt1に、再生時間が期間p1である映像「AF01」の再生が開始される。次に、リール回転の開始時であるタイミングt3に、再生時間が期間p4である映像「AF02」の再生が開始される。
以降の演出の動作は図12(A)と同様のため詳細な説明は省略するが、この例では、映像「AF01」の再生時間である期間p1の再生が終了するよりも前に、リール回転の開始時であるタイミングt3に到達してしまうため、映像「AF01」の再生が終了するよりも前に、映像「AF02」の再生が開始される。換言すると、再生される映像が、映像「AF01」から映像「AF02」に切り替わる。
この例において、スタートレバーの押下(ON)時に再生される映像(映像「AF01」及び映像「AL01」)は、途中で途切れてしまう。
以上のように、シーケンスデータのNo.1に基づいて実行される演出の動作は、スタートレバーの押下(ON)時であるタイミングt1からリール回転の開始時であるタイミングt3までの期間の長さに応じて、スタートレバーの押下(ON)時に再生される映像が、途中で途切れてしまう場合がある。タイミングt1からt3までの期間の長さは、リール回転処理におけるウェイト処理での待機時間に相当する。
このように、シーケンスデータのNo.1では、スタートレバーの押下(ON)時と、リール回転開始時とでぞれぞれ異なる映像を再生することが定義されているため、リール回転処理におけるウェイト処理での待機時間に応じて、再生中の映像が途中で途切れてしまう場合がある。
図11に戻って、No.1以降のシーケンスデータについて説明する。シーケンスデータのNo.2では、スタートレバーの押下(ON)時に、映像「AF01」及び映像「AL01」を再生し、第1停止の押下(ON)時に、映像「AF02」及び映像「AL02」を再生し、第3停止の押下(ON)時に、「AF03」及び映像「AL03」を再生し、他のタイミングには何も演出を実行しないことが定義されている。
また、シーケンスデータのNo.3では、スタートレバーの押下(ON)時に、映像「AF01」及び映像「AL01」を再生し、第3停止の押下(ON)時に、「AF03」及び映像「AL03」を再生し、他のタイミングには何も演出を実行しないことが定義されている。
シーケンスデータのNo.1〜No.3では、それぞれスタートレバーの押下(ON)時に、映像「AF01」及び映像「AL01」を再生するが、シーケンスデータのNo.2及びNo.3では、シーケンスデータのNo.1とは異なり、リール回転開始時に演出を再生することが定義されていない。このため、シーケンスデータのNo.1に基づいて実行される演出の動作は、リール回転処理におけるウェイト処理での待機時間に応じて、再生中の映像が途中で途切れてしまう場合がある一方で、シーケンスデータのNo.2及びNo.3に基づいて実行される演出の動作は、リール回転処理におけるウェイト処理での待機時間に応じて、再生中の映像が途中で途切れてしまうことがない。
シーケンスデータのNo.4では、スタートレバーの押下(ON)時に、映像「AF01」及び映像「AL01」を再生し、リール回転の開始時に、映像「AF02」及び映像「AL02」を再生し、第3停止の押下(ON)時に、「AF04」及び映像「AL04」を再生することが定義されている。シーケンスデータのNo.4では、シーケンスデータのNo.1と同様に、リール回転開始時に演出を再生することが定義されている。このため、シーケンスデータのNo.4に基づいて実行される演出の動作は、リール回転処理におけるウェイト処理での待機時間に応じて、再生中の映像が途中で途切れてしまう場合がある。
シーケンスデータのNo.5では、スタートレバーの押下(ON)時に、映像「AF01」及び映像「AL01」を再生し、第1停止の押下(ON)時に、映像「AF02」及び映像「AL02」を再生し、第3停止の押下(ON)時に、「AF04」及び映像「AL04」を再生し、他のタイミングには何も演出を実行しないことが定義されている。
また、シーケンスデータのNo.6では、スタートレバーの押下(ON)時に、映像「AF01」及び映像「AL01」を再生し、第3停止の押下(ON)時に、「AF04」及び映像「AL04」を再生し、他のタイミングには何も演出を実行しないことが定義されている。
シーケンスデータのNo.4〜No.6では、それぞれスタートレバーの押下(ON)時に、映像「AF01」及び映像「AL01」を再生するが、シーケンスデータのNo.5及びNo.6では、シーケンスデータのNo.4とは異なり、リール回転開始時に演出を再生することが定義されていない。このため、シーケンスデータのNo.4に基づいて実行される演出の動作は、リール回転処理におけるウェイト処理での待機時間に応じて、再生中の映像が途中で途切れてしまう場合がある一方で、シーケンスデータのNo.5及びNo.6に基づいて実行される演出の動作は、リール回転処理におけるウェイト処理での待機時間に応じて、再生中の映像が途中で途切れてしまうことがない。
図13は、シーケンスデータのNo.1〜No.6で定義された各個別演出に対応する映像の内容を説明するための説明図である。上述したように、シーケンスデータのNo.1〜3は、ボーナス役の当選の期待感を示唆する演出として、ボーナス役の当選の決定時に利用されるシーケンスデータ、No.4〜6は、ボーナス役の当選の期待感を示唆する演出として、ボーナス役の当選の非決定時に利用されるシーケンスデータ、を示している。
従って、シーケンスデータのNo.1〜3で定義された各個別演出の映像である、映像「AF01」及び映像「AL01」、映像「AF02」及び映像「AL02」、映像「AF03」及び映像「AL03」を、順次に再生することで、敵に戦いを挑んだ主人公が最終的に勝利するというシナリオを表現することにより、遊技者に対してボーナス役が当選していることを告知することができる。
一方で、シーケンスデータのNo.4〜6で定義された各個別演出の映像である、映像「AF01」及び映像「AL01」、映像「AF02」及び映像「AL02」、映像「AF04」及び映像「AL04」を、順次に再生することで、敵に戦いを挑んだ主人公が最終的に敗北するというシナリオを表現することにより、遊技者に対してボーナス役が当選していないことを告知することができる。
シーケンスデータのNo.1〜6では、映像「AF01」及び映像「AL01」、ならびに映像「AF02」及び映像「AL02」において、映像の内容が共通しており、シーケンスデータのNo.1〜3において最後に再生される映像である映像「AF03」及び映像「AL03」と、シーケンスデータのNo.4〜6において最後に再生される映像である映像「AF04」及び映像「AL04」とにおいて、映像の内容が異なっている。
これにより、シーケンスデータのNo.1〜6の何れかに基づいて実行される演出が実行された場合において、最後の映像が再生されるまでの間は、遊技者に対してボーナス役の当選の期待感を与えながら、最終的にボーナス役が当選しているか否かについては不明なままである。そして、最後の映像が再生されて初めて、遊技者に対してボーナス役が当選しているか否かを告知することができる。
上述した演出選択テーブルを利用した演出に係る処理の流れを、図14を用いて説明する。
ここで説明する処理は、内部抽選処理とリール回転処理との間に実行される処理である。
まず、CPU101は、上述した内部抽選処理の結果として、ボーナス役の当選が決定されたか否かを判断する(Sa1401)。CPU101は、ボーナス役の当選が決定されたと判断した場合には(Sa1401:YES)、次に、ウェイト処理における待機時間が基準待機時間を超えているか否かを判断する(Sa1402)。より具体的には、CPU101は、前回のゲームのリール回転処理のウェイト処理において計時が開始されたインターバルタイマの値が、今回のゲームのリール回転処理において最小遊技時間を超えるまでの残り時間を算出し、算出した残り時間がスロットマシン1に予め定義された基準待機時間である1.5秒を超えているか否かを判断する。
CPU101は、ウェイト処理における待機時間が基準待機時間を超えていると判断した場合には(Sa1402:YES)、演出選択処理Aを実行し(Sa1403)、ウェイト処理における待機時間が基準待機時間を超えていないと判断した場合には(Sa1402:NO)演出選択処理Bを実行する(Sa1404)。
演出選択処理A及びBは、上述した演出選択テーブルからシーケンスデータを選択する処理である。より具体的には、演出選択処理Aは、演出選択テーブルにおけるシーケンスデータのNo.1を選択する処理である。また、演出選択処理Bは、演出選択テーブルにおけるシーケンスデータのNo.2又はNo.3のいずれかを抽選により選択する処理である。
次に、CPU101は、選択されたシーケンスデータに基づいて演出を実行するよう表示制御基板100Bに通知する(Sa1405)。より具体的には、CPU101は、演出選択処理により選択されたシーケンスデータの識別情報を、データ送出回路106を介して表示制御基板100Bに通知する。表示制御基板100Bは、表示制御基板100BのROM194に予め記憶された演出選択テーブルから、CPU101から受け付けたシーケンスデータの識別情報に対応するシーケンスデータを読み出して、今回のゲームにおいて実行する演出のシーケンス情報を設定する。
CPU101は、例えばスタートレバーの押下(ON)時などの、ゲームの進行過程における各タイミングごとに、当該タイミング情報や内部抽選の結果に係る情報等を表示制御基板100Bに常時に通知しているので、表示制御基板100Bは、設定した演出のシーケンス情報と、CPU101から受け付けた情報に基づいて、表示制御基板100BのROM194に予め記憶された個別演出に係るデータを読み出して、液晶表示装置30に表示、再生させる。
このように、ウェイト処理における待機時間が基準待機時間を超えていると判断した場合、つまり、スタートレバーの押下(ON)時からリール回転の開始時までの期間が、基準待機時間を超えていると判断した場合には、シーケンスデータのNo.1、つまり、リール回転の開始時に所定の映像を再生することが定義されたシーケンスデータを用いた演出を実行する。一方で、ウェイト処理における待機時間が基準待機時間を超えていないと判断した場合、つまり、スタートレバーの押下(ON)時からリール回転の開始時までの期間が、基準待機時間を超えていないと判断した場合には、シーケンスデータのNo.2又は3、つまり、リール回転の開始時に所定の映像を再生しないことが定義されたシーケンスデータを用いた演出を実行する。
以上のように、スロットマシン1は、ボーナス役の当選が決定された場合には、ウェイト処理における待機時間に応じて演出選択テーブルから適切なシーケンスデータを選択するので、リール回転開始時に再生される映像によって、スタートレバーの押下(ON)時に再生された映像が途中で途切れてしまうことを防止することができる。
一方で、CPU101は、ボーナス役の当選が決定されていないと判断した場合には(Sa1401:NO)、ボーナス役の当選の期待感を示唆する演出を実行するか否かを抽選により決定する(Sa1406)。次に、CPU101は、抽選により演出が実行されないことが決定された場合には、そのまま処理を終了する(Sa1407:NO)。CPU101は、抽選により演出が実行されることが決定された場合には(Sa1407:YES)、
ウェイト処理における待機時間が基準待機時間を超えているか否かを判断する(Sa1408)。具体的な内容はステップSa1402で説明した処理と同様である。
CPU101は、ウェイト処理における待機時間が基準待機時間を超えていると判断した場合には(Sa1408:YES)、演出選択処理Cを実行し(Sa1409)、ウェイト処理における待機時間が基準待機時間を超えていないと判断した場合には(Sa1408:NO)、演出選択処理Dを実行する(Sa1410)。
演出選択処理C及びDは、上述した演出選択テーブルからシーケンスデータを選択する処理である。より具体的には、演出選択処理Cは、演出選択テーブルにおけるシーケンスデータのNo.4を選択する処理である。また、演出選択処理Bは、演出選択テーブルにおけるシーケンスデータのNo.5又はNo.6のいずれかを抽選により選択する処理である。以降の処理の内容は、上述した処理と同様のため説明は省略する。
以上のように、スロットマシン1は、ボーナス役の当選が決定されなかった場合においても、抽選によってボーナス役の当選の期待感を示唆する演出を実行することが決定された場合において、ウェイト処理における待機時間に応じて演出選択テーブルから適切なシーケンスデータを選択するので、リール回転開始時に再生される映像によって、スタートレバーの押下(ON)時に再生された映像が途中で途切れてしまうことを防止することができる。
<6.変形例>
前述の各形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は相互に矛盾しない範囲で適宜に併合され得る。
(1)変形例1
上述の形態では、ボーナス役の当選が決定された場合において、ウェイト処理における待機時間が基準待機時間を超えていると判断した場合には、演出選択テーブルにおけるシーケンスデータのNo.1を選択する演出選択処理Aを実行し、ウェイト処理における待機時間が基準待機時間を超えていないと判断した場合には、演出選択テーブルにおけるシーケンスデータのNo.2又はNo.3のいずれかを抽選により選択する演出選択処理Bを実行する態様について説明した。ボーナス役の当選が決定されていない場合については説明を省略するが、この態様では、ボーナス役の当選及び非当選のいずれの場合においても、リール回転の開始時に所定の映像を再生することが定義されたシーケンスデータ(シーケンスデータのNo.1)と、リール回転の開始時に所定の映像を再生しないことが定義されたシーケンスデータ(シーケンスデータのNo.2又はNo.3)とが、ウェイト処理における待機時間が基準待機時間を超えているか否かという基準で選択される。
上述したシーケンスデータの選択に係る制御に、抽選の要素を加えてもよい。具体的には、ウェイト処理における待機時間が基準待機時間を超えている場合には、70%の確率でリール回転の開始時に所定の映像を再生することが定義されたシーケンスデータを選択し(つまり30%の確率でリール回転の開始時に所定の映像を再生しないことが定義されたシーケンスデータが選択される)、ウェイト処理における待機時間が基準待機時間を超えていない場合には、90%の確率でリール回転の開始時に所定の映像を再生しないことが定義されたシーケンスデータを選択し(つまり10%の確率でリール回転の開始時に所定の映像を再生することが定義されたシーケンスデータが選択される)されるように制御してもよい。
また、それぞれ複数の種類が定義されたリール回転の開始時に所定の映像を再生することが定義されたシーケンスデータ及びリール回転の開始時に所定の映像を再生しないことが定義されたシーケンスデータを備えておき、一方の種類のシーケンスデータの中から、予め定められた確率等により、抽選により1つのシーケンスデータを選択するようにしてもよい。
このように制御することで、遊技者の遊技スタイル等によってウェイト処理における待機時間が基準待機時間を超えるか否かの傾向が固定的となるような場合においても、シーケンスデータの選択結果が固定的となり変化に欠けてしまうことが防止できるようになる。
(2)変形例2
上述の形態では、リールRの回転動作の直前の処理としてウェイト処理が実行され、当該ウェイト処理における待機時間に基づいて、演出選択テーブルからシーケンスデータを選択して演出を実行する態様について説明した。しかしながら、ウェイト処理の実行箇所は、リールRの回転動作の直前以外の箇所に設定されていても構わない。また、ウェイト処理において、待機時間を形成する基準として、1回のゲームに要する最小の時間としての最小遊技時間の概念が用いられたが、これに限られない。他のあらゆる理由によって待機時間が発生する場合において、本発明の内容が適用されうる。この場合には、待機時間の有無や長さや等に基づいて、実行される演出が不自然とならないような演出を選択する制御がなされることで、本発明の効果が発揮される。実行される演出が不自然となるか否かは、例えば、予め定められた時間長の演出映像の再生途中で、他の演出に切り替わるような場合のことをいう。
(3)変形例3
上述の形態では、演出選択テーブルに含まれるシーケンスデータが、ゲームの進行過程における各タイミングと、各タイミングに応じて実行される個別演出との対応関係を含んで構成される態様について説明した。このシーケンスデータに含まれる個別演出のそれぞれに、再生時間(出力時間)等の、演出の実行に要する時間長に係るデータである演出時間データが含まれていてもよい。このようにシーケンスデータが構成された場合には、上述した基準待機時間として、個別演出に対応する演出時間データが適用されてもよい。
具体的には、例えば、スタートレバーの押下(ON)時に再生が開始される演出の演出時間データが、所定再生時間の映像が一度だけ再生される映像について1秒、所定再生時間の映像が繰り返し再生される映像について0.3秒であった場合において、リール回転処理のウェイト処理における待機時間が0.8秒であった場合は、リール回転の開始時に所定の映像を再生しないことが定義されたシーケンスデータが選択されるように制御してもよい。これにより、少なくとも所定再生時間の映像が一度だけ再生される映像に係る時間長よりも、次の演出が実行されるまでの時間が長くなるようなシーケンスデータを選択されるようになるので、上述した態様と同様に、再生された映像が途中で途切れてしまうことを防止することができる。
さらに、上述の例において、スタートレバーの押下(ON)時に再生が開始される演出の演出時間データとして、所定再生時間の映像が一度だけ再生される映像について1秒、所定再生時間の映像が繰り返し再生される映像について0.3秒である個別演出を含んだシーケンスデータ1と、所定再生時間の映像が一度だけ再生される映像について0.5秒、所定再生時間の映像が繰り返し再生される映像について0.2秒である個別演出を含んだシーケンスデータ2との、演出時間データの示す時間長の異なる2以上の個別演出を含んだシーケンスデータが存在する場合に、リール回転処理のウェイト処理における待機時間である0.8秒よりも短い時間長となるように、シーケンスデータ1ではなく、シーケンスデータ2を選択する、というように制御することも可能である。
このように、ウェイト処理における待機時間と、演出時間データの示す時間長とに基づいて、演出選択テーブルに含まれる複数のシーケンスデータから1つのシーケンスデータが選択されるようにすることで、上述した態様と同様に、再生された映像が途中で途切れてしまうことを防止することができる。
(4)変形例4
上述の形態では、ウェイト処理における待機時間の算出、待機時間を算出するためのインターバルタイマを計時する処理、待機時間に基づいてシーケンスデータを選択する処理などを、メイン制御基板100A(CPU101)で実行する態様について説明したがこれに限られない。これらの処理の一部または全部を表示制御基板100Bによって実行されるようにしてもよい。