<1.用語の定義>
本明細書で用いる用語について、以下に説明する。
「可変表示装置」とは、複数の図柄で構成された表示列を複数備え、各表示列を変動させることで、各表示列の図柄を可変表示させる表示装置のことをいう。表示列がリールで構成される場合には、リールを回転動作させることで、リール上に配置された図柄を可変表示させる。表示列が液晶表示器等による表示画像で構成される場合には、表示画像の内容を変化させることで、表示画像としての図柄を可変表示させる。
「リール窓」とは、可変表示装置の備える複数の表示列を構成する複数の図柄の一部を遊技者に視認可能とするものをいう。
「停止図柄」とは、可変表示装置により表示列の図柄の可変表示を停止した場合において、表示列上の複数の図柄のうち、リール窓を通して遊技者に視認可能な図柄のことをいう。リール窓内に図柄が停止することを「停止表示」という。
「遊技媒体」とは、遊技機に使用されるメダル又は遊技球のことをいう。遊技機に電気的又は磁気的に記憶された遊技媒体の数を示す情報のことを「クレジット」といい、その数を「クレジット数」という。
「ベット」とは、ゲームを開始するために必要な遊技媒体を設定することをいう。ベットされた遊技媒体はゲームの開始とともに消費される。ゲームを開始するために設定された遊技媒体の数のことのことを「ベット数」という。「ベットボタン」とは、ゲームを開始するために必要な遊技媒体を設定するために遊技者が操作するための装置のことをいう。
「ゲーム」とは、スタートレバーの操作を契機として可変表示装置による表示列の図柄の可変表示を開始したときから入賞の判定の結果に基づく処理が終了するまでの一連の過程のことをいう。「1ゲーム」、「1回のゲーム」とは、その一連の過程の1回分のことをいう。
「スタートレバー」とは、ゲームの開始を指示するために遊技者が操作するための装置のことをいう。
「ストップボタン」とは、可変表示装置による表示列の図柄の可変表示の停止を指示するために遊技者が操作するための装置のことをいう。複数の表示列にそれぞれ対応する複数のストップボタンが遊技機に備えられている。
「内部抽選」とは、ゲームの開始を契機として、予め定められた複数の役から、1もしくは複数の役の当選または何れの役も当選しないハズレを、抽選により決定することをいう。「ハズレ」とは、内部抽選の結果として、入賞が可能な役としていずれの役も決定されない状態のことをいう。
「抽選テーブル」とは、役と抽選確率(またはそれに準ずる内容)との対応関係を定義したテーブルのことをいい、内部抽選の処理に利用される。
「役」とは、所定の特典に対応付けられた図柄組合せパターンの種別のことをいう。役に対応する図柄組合せが入賞ライン上に停止表示した場合に、役に対応する特典が付与される。「役が入賞する」とは、役に対応する図柄組合せが入賞ライン上に停止表示することをいう。「役が当選する」とは、内部抽選の結果として、役の入賞が許容される状態になることをいう。役は、特典の種別によってボーナス役、小役、再遊技役に大別される。小役は、入賞に伴いメダルが払出される役である。再遊技役は、入賞に伴い追加のベットなしに再度のゲームの開始が可能となる役である。ボーナス役は、入賞に伴いメダルの払出しに関して有利な状態に移行する役である。なお、小役および再遊技役は、役の当選が決定されたゲームが終了すると、役の入賞の有無に関わらず当選情報が消去されるが、ボーナス役は、役が入賞するまで当選情報が消去されずに次回以降のゲームに持ち越される。
「入賞ライン」とは、役の入賞を判定する対象である所定の図柄位置の組合せのことをいう。ベットに応じて入賞の判定が無効の状態から有効な状態に変化する。「入賞ライン上」とは、入賞ラインに係る図柄位置のことをいう。
「停止テーブル」とは、ストップボタンが操作された場合に、ストップボタンが操作されたタイミングに応じて表示列の図柄をどのように停止表示させるかを定義したテーブルのことをいい、リールの停止制御に利用される。
「役構成テーブル」とは、役と入賞に係る図柄組合せとの対応関係を定義したテーブルのことをいい、入賞の判定処理に利用される。
以下に、本発明に係る遊技機を、実施形態としてスロットマシンを例に説明する。
<2.遊技機の外観構成>
図1は、本発明の実施形態に係るスロットマシン1の概観を示す斜視図である。スロットマシン1は、前面が開口した箱状の本体2と本体2の前面に配置した前面扉3から構成されている。本体2と前面扉3とは片側で蝶番により開閉できるようになっている。前面扉3は、遊技者が遊技を行うためのボタン類を配置した操作部OP、可変表示装置RLが備える各リールR1〜R3の図柄を視認するリール窓20や遊技の進行に係る情報を表示するための表示器類を配置したパネル表示部DP、遊技の進行に係る情報を表示するための液晶表示器類や電飾装置を配置した演出表示部TP及び受皿部BPから構成されている。
操作部OPには、操作部OPの上面右側にメダル投入口10を配置し、上面左側にベットボタン11が配置されている。メダル投入口10へのメダルの投入、またはベットボタン11を操作することにより、スロットマシン1に対してベットすることができる。ベットボタン11の下部位置の前面側には、可変表示装置RLの各リールR1〜R3の回転動作の開始を指示するためのスタートレバー12を配置し、その右側には左リールR1の回転動作の停止を指示するための左ストップボタン13a、中リールR2の回転動作の停止を指示するための中ストップボタン13b及び右リールR3の回転動作の停止を指示するための右ストップボタン13cを配置し、遊技を進行させるための基本操作順序となる、ベットボタン11→スタートレバー12→左ストップボタン13a→中ストップボタン13b→右ストップボタン13cという、一連の流れの操作を行い易いようになっている。
スタートレバー12の左側には、クレジットを精算してメダル受皿40にメダルを払い出す精算ボタン14を配置する。この精算ボタン14は遊技をやめる場合に使用し、操作の頻度が低いことや遊技中に誤って操作しないよう、上記一連の操作の流れから外れる位置に配置してある。さらに操作部OPには、メダル貸機がスロットマシン1に接続されている場合に使用する貸出ボタン15、メダル貸機に挿入されたプリペイカードや現金を返却する返却ボタン16及びメダル貸機の貸出可能な度数表示が行われる度数表示器17が設けてある。なお、このように、スロットマシン1にメダル貸機が接続されている場合には、スロットマシン1のこれらの貸出ボタン15、返却ボタン16の操作によるメダル貸機の作動及び度数表示器17による度数表示は、メダル貸機の制御によって行われる。
パネル表示部DPには、1つのリールにつき3個の連続した図柄が目視でき、3つのリールで9個分の図柄をのぞむ透明アクリル板からなるリール窓20を設け、さらにリール窓20内には水平の入賞ラインL1が形成される。このリール窓20の左側には、入賞ラインL1に対応した入賞ライン表示器21を設け、メダルを3枚投入すると入賞ラインL1に対応した入賞ライン表示器21が点灯するようになっている。
また、遊技の結果、入賞ラインL1上に役に対応する図柄組合せが成立した場合には役の入賞となり、入賞ラインL1に対応した入賞ライン表示器21が点滅表示し、遊技者に知らせるようになっている。また、リール窓20の右側には、役が入賞した場合に点灯する表示器や遊技状態に応じて点灯するLEDなどの複数のLEDが配置された遊技ガイド表示器22が設けられている。さらにリール窓20の下側には、クレジット数を表示するクレジット数表示器23a、特定の遊技状態におけるメダルの獲得枚数を表示する獲得枚数表示器23b、及び役が入賞した場合に付与されたメダル数を表示する配当数表示器23cから構成される遊技価値情報表示部23を有している。
演出表示部TPには、遊技の進行状況を画像で表示する液晶表示装置30、遊技の進行状況に応じて色彩や点灯パターンを変化させて表示させる電飾LED31及び遊技の進行状況に応じて変化させるBGMやボタン操作に応じた操作音、ガイド音声を出力するスピーカ32が配置されている。
受皿部BPには、メダル払出装置が駆動されてメダル払出口40aから排出されたメダルを貯めるメダル受皿40を設け、メダル受皿40の左側には灰皿を設けてある。
(1)リール可変表示装置の構成
図2は、スロットマシン1の可変表示装置RLの構造を示す説明図である。図2(A)は、可変表示装置RL全体の構造を示し、図2(B)は、右リールの詳細の構造を示す。
リールR1〜R3は、透明なABS樹脂等からなり、軸部から放射線状に延びた複数のスポーク部と環状の枠からなるリール枠56a〜56cと、そのリール枠56a〜56cの周面に貼り付けられている21個の各種の図柄(図柄番号PN:1〜21)が印刷されたリール帯58a〜58cから構成される。リールR1〜R3は、ステッピングモータ54a〜54cに固定され回転動作するようになっている。リールR1〜R3の回転動作には、504ステップのパルスを供給することで1回転するステッピングモータ54a〜54cを使用し、所定のパルスを供給することで所定の図柄をリール窓20に停止表示させることができる。さらにLED(図示せず)を設置したバックライト装置53a〜53cを設け、リール帯58a〜58cの内側から光を照射できるようになっている。このように、リール帯58a〜58cの内側からバックライト装置53a〜53cによって光を照射することで、遊技者にリール帯58a〜58c上の図柄を目立たせることができる。
またスポーク部の一つに検知板57a〜57cを取り付け、リール位置検出センサ55a〜55cによって、リールR1〜R3が1回転するごとに1パルスのリール位置検出信号155a〜155cを出力できるようになっている。このリール位置検出信号155a〜155cを検知してから12ステップ進めたときに、図柄番号PN=1がリール窓の中央の入賞ラインL1上に位置するように検知板57a〜57cとリール帯58a〜58cとの位置が設定してある。
可変表示装置RLにおいて、リールR1〜R3、リールR1〜R3が固定されたステッピングモータ54a〜54c、バックライト装置53a〜53c及びリール位置検出センサ55a〜55cを、それぞれベース板52a〜52cに固定することで一つのユニット構成としている。また、可変表示装置RLは、ベース板52a〜52cを可変表示装置RLのケース体50に設けられたガイドレール51a〜51cに沿って挿入してケース体50内に収容するようになっている。
図3(A)は、リール帯58a〜58cに印刷された図柄の配置を示す説明図である。左、中、右のそれぞれのリールには21個の図柄を等間隔で配置して印刷されている。504ステップのパルスを供給することで1回転するステッピングモータ54a〜54cを使用しているので、21個の図柄を配置すると図柄の間隔は24ステップとなる。また、リール位置検出信号155a〜155cを検知してから12ステップ進めたときに、図柄番号PN=1がリール窓の中央の入賞ラインL1上に位置するようにしているので、リール位置検出信号155a〜155cを検知してから36ステップ進めれば図柄番号PN=2が入賞ラインL1上に位置し、60ステップ進めれば図柄番号PN=3が入賞ラインL1上に位置し、492ステップ進めれば図柄番号PN=21が入賞ラインL1上に位置することになる。492ステップより先に進めると、再びリール位置検出信号155a〜155cが検知される。これにより、リール位置検出信号155a〜155cが検知されたタイミングを基点にして、進めるステップ数により所定の図柄を入賞ラインL1上に位置させることができる。
図3(B)は、左リールR1でリール位置検出信号155aより180ステップ進めた状態を示し、上段に「スイカ」図柄(図柄番号PN=9)、中段に「ベル」図柄(図柄番号PN=8)、下段「プラム」図柄(図柄番号PN=7)が表示される。また、中リールR2でリール位置検出信号155bより324ステップ進めた状態を示し、上段に「7」図柄(図柄番号PN=15)、中段に「ベル」図柄(図柄番号PN=14)、下段に「プラム」図柄(図柄番号PN=13)が表示される。また、右リールR3でリール位置検出信号155bより228ステップ進めた状態を示し、上段に「プラム」図柄(図柄番号PN=11)、中段に「ベル」図柄(図柄番号PN=10)、下段に「チェリー」図柄(図柄番号PN=9)が表示される。これらの状態は、入賞ラインL1上に「ベル」図柄(左リールR1:図柄番号PN=8)、「ベル」図柄(中リールR2:図柄番号PN=14)、「ベル」図柄(右リールR3:図柄番号PN=10)が並んだ状態であり、「ベル」役の入賞状態を示す。スロットマシン1における役の種別については後述する。
<3.スロットマシンの電気的構成>
図4は、スロットマシン1の電気的構成を示すブロック図である。スロットマシン1は、遊技の主たる制御を行うメイン制御基板100A、液晶表示器に対して表示制御を行い画像表示する表示制御基板100B、パネル表示部DP又は演出表示部TPのLED類や音の演出の制御を行う電飾制御基板100Cを備えている。メイン制御基板100Aは、CPU(central processing unit)101、クロック発生回路a102、クロック発生回路b103、ROM(read-only memory)104、RAM(random-access memory)105、データ送出回路106、入出力ポート107から構成されている。なお、CPU101としてROMやRAMを内蔵しているものを採用することができる。その場合には、外付けのROM104、RAM105を備えなくてもよい。
CPU101は、ROM104に格納されたプログラムを、クロック発生回路a102で発生したCLK信号のタイミングに基づいて読み出し、プログラムを逐次実行する。CPU101は、電源が投入されるとあらかじめ定められたアドレスからメインプログラムを実行し、クロック発生回路a102の周期とは異なるクロック発生回路b103で発生されられたINTR信号のタイミングで、あらかじめ定められたアドレスから始まる割込みプログラムを実行する。ここで、INTR信号のタイミングは、例えば、2ミリ秒である。CPU101はプログラムの実行に応じて、各種フラグや各種カウンタなどの各種の遊技情報をRAM105に保存する。外部から供給される電源が遮断した場合でも、RAM105は電池により記憶情報が保持されており、その後電源が復帰した場合には、電源断発生の直前の状態から再開する。CPU101は、入出力ポート107を介して各種ボタン、センサの状態を読み取り、各種モータ、LEDを駆動する。
ベット操作指示信号111a〜111c、開始操作指示信号112、停止操作指示信号113a〜113c及び精算操作指示信号114は、それぞれ操作部OPに設けられたベットボタン11、スタートレバー12、ストップボタン13a〜13c、精算ボタン14ボタンが遊技者に操作されたことに応じて出力される信号であり、入出力ポート107を介してCPU101に入力されることで検知される。
表示制御信号123a〜123cは、それぞれパネル表示部DPに設けられたクレジット数表示器23a、獲得枚数表示器23b、配当数表示器23cに表示するための表示信号であり、入出力ポート107を介してCPU101より駆動される。リール位置検出信号155a〜155cのそれぞれは、可変表示装置RLのそれぞれのリールに対応し、リールが1回転するたびに1回検出する信号であり入出力ポート107を介してCPU101に入力される。リール駆動信号154a〜154cのそれぞれは、リール可変表示装置RLのそれぞれのリールR1〜R3を駆動するステッピングモータ駆動信号であり、入出力ポート107を介してCPU101より駆動される。
メダル投入信号160は、メダル投入口10から通ずる前面扉3の内部に設けられたメダル検出装置に設けられたメダル投入センサが、投入されたメダルを検出した場合に出力される信号であり、入出力ポート107を介してCPU101に入力される。また、メダルブロック信号161はメダル検出装置に設けられたソレノイドを駆動する信号であり入出力ポート107を介してCPU101より駆動される。メダル払出信号162は、メダル払出装置のメダル放出部に設けられたメダル払出センサが、メダル払出装置により払い出されたメダルを検出した場合に出力される信号であり、入出力ポート107を介してCPU101に送られる。また、払出駆動信号163はメダル払出装置に設けられたモータを駆動する信号であり、入出力ポート107を介してCPU101より駆動される。
CPU101は、データ送出回路106を介して表示制御基板100B及び電飾制御基板100Cへ各種コマンドを出力する。電飾制御基板100Cは、メイン制御基板100Aより各種コマンドを受信し、入賞ライン表示器21、遊技ガイド表示器22、電飾LED31による電飾装置の点灯制御、可変表示装置RLに設けられたバックライト装置53a〜53cの点灯制御及びBGMなどのサウンドをスピーカ32から出力する。
表示制御基板100Bは、CPU(central processing unit)191、クロック発生回路c192、クロック発生回路d193、ROM(read-only memory)194、RAM(random-access memory)195、データ入力回路196及びグラフィックLSIとその周辺回路からなる表示回路197を備えている。このCPU191は、ROM194に格納されたプログラムを、クロック発生回路c192で発生したCLK信号のタイミングに基づいて読み出し、プログラムを逐次実行する。CPU191は、電源が投入されるとあらかじめ定められたアドレスからメインプログラムを実行し、クロック発生回路c192の周期とは異なるクロック発生回路b193で発生されられたINTR1信号のタイミングで、あらかじめ定められたアドレスから始まる割込みプログラムを実行する。ここで、INTR1信号のタイミングは、例えば、2ミリ秒とする。CPU191のストローブ信号は、プログラムの実行に応じて、各種フラグや各種カウンタなどの各種の遊技情報をRAM195に保存する。また、メイン制御基板100Aのデータ送出回路からのデータ送出タイミングに同期して送出されるストローブ信号に基づいてINTR2信号を発生させ、このINTR2信号のタイミングで、あらかじめ定められたアドレスから始まる割込みプログラムを実行する。
<4.ゲーム基本処理>
スロットマシン1における1回のゲームに係る処理の流れを、図5を用いて説明する。
<4−1.処理の流れ>
(1)メダル受付処理
スロットマシン1は、メダル投入口10へメダルが投入されると、投入されたメダルを受け付けてスロットマシン1の内部に取り込むか、投入されたメダルを受け付けずにメダル受皿40に返却する(Sa501)。
具体的には、ベット数が3かつクレジット数が50未満の場合にメダル投入口10へメダルが投入されると、CPU101は、投入されたメダルをスロットマシン1の内部に取り込むとともに、投入されたメダルの枚数だけクレジット数を加算する。また、ベット数が3かつクレジット数が50の場合にメダル投入口10へメダルが投入されると、CPU101は、メダル検出装置に設けられたソレノイドを駆動して、投入されたメダルをメダル受皿40に返却する。
(2)ベット処理
スロットマシン1は、メダル投入口10へのメダルの投入、ベットボタン11の操作、または再遊技役の入賞に応じて、ゲームの開始に必要なベット数を設定する(Sa502)。
具体的には、ベット数が3未満の場合にメダル投入口10にメダルが投入されると、CPU101は、投入されたメダルの枚数だけベット数を加算する。また、ベット数が3未満の場合にベットボタン11が操作されると、CPU101は、クレジット数を減算してベット数を加算する。また、詳細は後述するが、再遊技役が入賞した場合には、CPU101は、そのゲームでベットされていたベット数を、クレジット数の減算なしに再びベットする自動ベット処理を実行する。
(3)レバー受付処理
スロットマシン1は、3枚のメダルがベットされている状態でスタートレバー12の操作を受け付けた場合にゲームを開始させる(Sa503)。具体的には、ベット数が3に設定された状態でスタートレバー12が操作されると、CPU101は、後述する内部抽選処理以降の遊技処理を実行する。一方で、ベット数が3未満に設定された状態でスタートレバー12が操作された場合には、CPU101は、内部抽選処理以降の遊技処理を実行しない。
(4)内部抽選処理
スロットマシン1は、ゲームの開始にともない、ゲームの結果を導出するための情報を抽選により決定する(Sa504)。ベット数が3に設定された状態でスタートレバー12が操作されると、CPU101は、内部抽選処理を実行する。内部抽選処理の詳細については後述する。
(5)リール回転処理
スロットマシン1は、内部抽選処理の実行とともに、リールR上に配置された図柄を可変表示させるためにリールR1〜R3のそれぞれを回転させる(Sa505)。具体的には、CPU101は、ステッピングモータ54a〜54cのそれぞれに対して継続的にパルスを供給することで、リールR1〜R3のそれぞれを回転させる。
(6)リール停止処理
スロットマシン1は、リールRの回転中にストップボタン13が操作されるとリールRの回転動作を停止させる(Sa506)。リールRの回転中にストップボタン13が操作されると、CPU101は、操作されたストップボタン13に対応するリールRが固定されたステッピングモータ54に所定のパルスを供給することで、対応するリールRの回転動作を停止させる。リール停止処理の詳細については後述する。
(7)図柄判定処理
スロットマシン1は、リールR1〜R3の全てが停止した後に、入賞ラインL1上に停止表示された図柄組合せを判定する(Sa507)。リールR1〜R3の全てが停止した後に、CPU101は、入賞ラインL1上に停止表示された図柄組合せが、予め定められた所定の図柄組合せであるか否かを判定する。例えば、入賞ラインL1上に停止表示された図柄組合せが、役に対応する図柄組合せであるか否かを判定する。図柄判定処理の詳細については後述する。
(8)メダル払出処理
スロットマシン1は、入賞ラインL1上に小役に対応する図柄組合せが停止表示されたと判定した場合には、メダルの払出処理を実行する(Sa508)。メダル払出処理の詳細については後述する。
(9)状態移行処理
スロットマシン1は、所定の条件の成立に応じて遊技状態を移行させる(Sa509)。例えば、ボーナス役に入賞した場合に、遊技状態を通常状態からボーナスゲーム状態に移行させる。また、ボーナスゲームの終了条件が成立した場合に、遊技状態をボーナスゲーム状態から通常状態に移行させる。スロットマシン1は、状態移行処理を実行した後に、1回のゲームに係る処理を終了する。
より具体的には、「BB1」役に入賞したことを条件に遊技状態をBB1状態へ移行させ、「BB1」状態中に450枚を超えるメダルが払出されたことを条件に遊技状態を通常状態に移行させる。また、「BB2」役に入賞したことを条件に遊技状態をBB2状態へ移行させ、「BB2」状態中に150枚を超えるメダルが払出されたことを条件に遊技状態を通常状態に移行させる。また、「BB3」役に入賞したことを条件に遊技状態をBB3状態へ移行させ、「BB3」状態中に360枚を超えるメダルが払出されたことを条件に遊技状態を通常状態に移行させる。また、「BB4」役に入賞したことを条件に遊技状態をBB4状態へ移行させ、「BB4」状態中に120枚を超えるメダルが払出されたことを条件に遊技状態を通常状態に移行させる。
<4−2.各処理の詳細説明>
上述した1回のゲームに係る各処理の詳細について説明する。
(1)内部抽選処理の詳細
スロットマシン1における内部抽選処理の詳細について説明する。内部抽選処理は、予め定められた複数の役から、1もしくは複数の役の当選または何れの役も当選しないハズレを抽選により決定するための処理であり、抽選テーブルを用いて実行される。
図6は、スロットマシン1における内部抽選処理で利用される抽選テーブルを説明するための説明図である。抽選テーブルは、役と抽選値との対応関係を含んで構成されている。抽選値は役の当選確率を示している。
スロットマシン1は、全部で10種類の役を備えており、小役として「チェリー1」役、「チェリー2」役、「スイカ1」役、「スイカ2」役、「ベル」役、再遊技役として「リプレイ」役、ボーナス役として「BB1」役、「BB2」役、「BB3」役、「BB4」役を備えている。
CPU101は、内部抽選処理において、不図示の乱数発生器により0〜65535の範囲から1つの乱数値を取得する。次に、取得した乱数値を、抽選テーブルで定義された複数の抽選値と順次に比較する。具体的には、CPU101は、乱数発生器から取得した乱数値を、抽選テーブルにおける1番目の抽選値と比較する。比較した結果、乱数値が抽選値未満の場合には、1番目の抽選値に対応付けられた役の当選を決定する。乱数値が抽選値以上の場合には、乱数値を、1番目の抽選値に2番目の抽選値を加算した値と比較する。比較した結果、乱数値が1番目と2番目の抽選値の合計値未満の場合には、2番目の抽選値に対応付けられた役の当選を決定する。
このように、乱数値が、1番目からN番目までの抽選値の合計値未満となるまで繰り返したときのN番目の抽選値に対応付けられた役を、当選する役として決定する。例えば、CPU101は、乱数発生器から取得した乱数値が3012である場合、乱数値は1番目の抽選値(300)以上であるので、この値に2番目の抽選値(2500)を加える。乱数値(3012)は、1番目と2番目の抽選値の合計値(2800)以上であるので、これに3番目の抽選値(500)を加算する。乱数値(3012)は、1番目〜3番目の抽選値の合計値(3300)未満であるので、3番目の抽選値に対応付けられた「スイカ1」役の当選を決定する。
このように、スロットマシン1における内部抽選処理では、抽選テーブルを参照して乱数値に基づいて、役の当選が決定される。当選が決定された役の情報は、当選情報としてRAM105に記憶される。
なお、CPU101は、何らかのボーナス役の当選情報が持ち越された状態においては、何れのボーナス役の当選も決定しないように、内部抽選処理を実行する。つまり、CPU101は、何らかのボーナス役の当選情報が持ち越された状態においては、図6に示す抽選テーブルからボーナス役を除いて構成される不図示の抽選テーブルを用いて内部抽選処理を実行する。
(2)リール停止処理の詳細
スロットマシン1におけるリール停止処理の詳細について説明する。CPU101は、回転中のリールRに対応するストップボタン13の操作を受け付けると、対応するリールRを停止させる。これを、リールR1〜R3の全てが停止するまで繰り返す。このとき、CPU101は、ストップボタン13に対する操作がなされた時点から、最大4図柄分のリールの回転量の範囲内において、対応するリールRを停止させる。また、CPU101は、内部抽選処理により何らかの役の当選が決定されている場合には、最大4図柄分のリールの回転量の範囲内において、当選している役に対応する図柄組合せの構成図柄を入賞ラインL1上に引き込むように、リールRを停止させる。
例えば、CPU101は、リールR1〜R3が回転中であって、内部抽選処理により「スイカ1」役(図柄組合せ「スイカ−スイカ−スイカ」)の当選が決定している状況において、例えば左リールR1における図柄番号PN=15の「プラム」図柄が入賞ラインL1上に位置するタイミングで左ストップボタン13aが操作された場合、左リールR1を2図柄分だけ回転動作を継続させて、図柄番号PN=17の「スイカ」図柄を入賞ラインL1上に停止表示させるように、左リールR1を停止させる。
次に、例えば中リールR2における図柄番号PN=12の「チェリー」図柄が入賞ラインL1上に位置するタイミングで中ストップボタン13bが操作された場合、CPU101は、中リールR2を4図柄分だけ回転動作を継続させて、図柄番号PN=16の「スイカ」図柄を入賞ラインL1上に停止表示させるように、中リールR2を停止させる。
次に、例えば右リールR3における図柄番号PN=7の「ベル」図柄が入賞ラインL1上に位置するタイミングで右ストップボタン13cが操作された場合、CPU101は、右リールR3を1図柄分だけ回転動作を継続させて、図柄番号PN=8の「プラム」図柄を入賞ラインL1上に停止表示させるように、右リールR3を停止させる。このようにリールR1〜R3の全てが停止した結果、入賞ラインL1上には「スイカ」図柄(左リールR1)、「スイカ」図柄(中リールR2)、「プラム」図柄(右リールR3)、が停止表示される。
内部抽選処理により「スイカ1」役の当選が決定していたにも関わらず右リールR3において入賞ラインL1上に「スイカ」図柄を停止表示させないのは、右リールR3において、右ストップボタン13cが操作されたタイミングである図柄番号PN=7の図柄の位置から4図柄分先の図柄番号PN=11の図柄までの間に、「スイカ」図柄が存在しないためである。このようなタイミングでストップボタン13が操作された場合には、ストップボタン13が操作されたタイミングにおける入賞ラインL1上の図柄の位置から最大4図柄分の範囲内で予め定められた図柄を、入賞ラインL1上に停止表示させる。
スロットマシン1におけるリールの停止制御は、停止テーブルを用いて実現される。停止テーブルには、ストップボタン13が操作されたタイミングにおける入賞ラインL1上の図柄の位置に対応する図柄番号PNと、対応するリールRが停止するまでに継続させる回転動作の回転量を示す滑りコマ数との対応関係が定義されている。
図7は、スロットマシン1におけるリール停止処理で利用される停止テーブルを説明するための説明図である。図7は、停止テーブルの一例として、内部抽選処理により「スイカ1」役(図柄組合せ「スイカ−スイカ−スイカ」)の当選が決定している場合に利用される停止テーブルの内容を示している。
上述した「スイカ1」役の当選時における停止制御を実現するための、停止テーブルを参照しながら実行するリール停止処理を以下に説明する。左リールR1が回転中に、図柄番号PN=15の「プラム」図柄が入賞ラインL1上に位置するタイミングで左ストップボタン13aが操作されると、CPU101は、停止テーブルを参照して左リールR1の図柄番号PN=15に対応する滑りコマ数の2を取得し、取得した滑りコマ数である2図柄分だけ回転動作を継続させた後に左リールR1を停止させる。結果として、図柄番号PN=17の「スイカ」図柄が入賞ラインL1上に位置するタイミングで、左リールR1が停止される。
また、中リールR2が回転中に、図柄番号PN=12の「チェリー」図柄が入賞ラインL1上に位置するタイミングで中ストップボタン13bが操作されると、CPU101は、停止テーブルを参照して中リールR2の図柄番号PN=12に対応する滑りコマ数の4を取得し、取得した滑りコマ数である4図柄分だけ回転動作を継続させた後に中リールR2を停止させる。結果として、図柄番号PN=16の「スイカ」図柄が入賞ラインL1上に位置するタイミングで、中リールR2が停止される。
また、右リールR3が回転中に、図柄番号PN=7の「ベル」図柄が入賞ラインL1上に位置するタイミングで右ストップボタン13cが操作されると、CPU101は、停止テーブルを参照して右リールR3の図柄番号PN=7に対応する滑りコマ数の1を取得し、取得した滑りコマ数である1図柄分だけ回転動作を継続させた後に右リールR3を停止させる。結果として、図柄番号PN=8の「プラム」図柄が入賞ラインL1上に位置するタイミングで、右リールR3が停止される。
上記以外のタイミングで各ストップボタン13が操作された場合においても、同様に停止テーブルを参照し、ストップボタン13が操作されたタイミング(ストップボタン13が操作された時点で入賞ラインL1上に位置する図柄番号PN)に対応する滑りコマ数を取得して、取得した滑りコマ数の分だけリールRの回転動作を継続させてリールRを停止させる。つまり、停止テーブルを用いたリール停止処理では、停止テーブルにて予め定められたストップボタン13の操作タイミングに応じたリールRの滑りコマ数分だけリールRを回転動作を継続させてリールRを停止させる。
図8(A)は、スロットマシン1におけるリール停止処理で利用される停止特定テーブルを説明するための説明図である。停止特定テーブルは、当選情報と切替データとの対応関係を含んで構成されている。図8(B)は、スロットマシン1におけるリール停止処理で利用される停止参照テーブルを説明するための説明図である。停止参照テーブルは、停止特定テーブルにおいて定義された役の順序に基づいて、停止テーブルへの参照アドレスが配列されて構成されている。
停止特定テーブルにおける切替データは、内部抽選処理で決定された当選情報に対応する、停止テーブルへの参照アドレスに対する参照先を、持ち越されているボーナス役の当選情報に応じて切り替えるために用いられるデータであり、4種類のボーナス役のそれぞれに対応する切替要素データを含んで構成される。
切替データは8ビットデータとして構成され、全8ビットのうち下位の桁から2ビットずつが、4種類のボーナスである「BB4」役、「BB3」役、「BB2」役、「BB1」役のそれぞれに対応する切替要素データとして構成されている。具体的には、切替データを構成するビット情報において、第1桁目と第2桁目が「BB4」役に対応する切替要素データ、第3桁目と第4桁目が「BB3」役に対応する切替要素データ、第5桁目と第6桁目が「BB2」役に対応する切替要素データ、第7桁目と第8桁目が「BB1」役に対応する切替要素データである。
停止特定テーブルでは、各切替データに含まれる切替要素データとして、停止テーブルへの参照アドレスに対する参照先の切り替えを示す情報として、「00」、「01」、又は「10」の値が、予め定義されている。切替要素データ「00」は、停止特定テーブルにおける当選情報に対応する参照先を参照することを示し、切替要素データ「01」は、停止特定テーブルにおける当選情報に対応する参照先と、オフセット値αとで決定される参照先を参照することを示し、切替要素データ「10」は、停止特定テーブルにおける当選情報に対応する参照先と、オフセット値βとで決定される参照先を参照することを示している。なお、スロットマシン1におけるオフセット値αは、データ10個分のアドレス値の差分、オフセット値βオフセットは、データ20個分のアドレス値の差分に相当する。
例えば、前回以前のゲームから「BB1」役の当選情報が持ち越されている状態で、今回のゲームの内部抽選処理で「チェリー1」役が当選した場合における処理では、まず、CPU101は、「チェリー1」役に対応する切替データ(0x40)を取得する。次に、CPU101は、「BB1」役に関する当選情報をRAM105から取得するとともに、切替データにおける「BB1」役に対応する切替要素データ(00)を特定する。切替要素データ「00」は、停止特定テーブルの当選情報に対応する参照先を参照することを示している。つまり、CPU101は、停止特定テーブルにおける「チェリー1」役に対応する参照先を参照して、停止参照テーブルにおける参照アドレス「0x0A000000」を取得する。
また、例えば、前回以前のゲームから「BB3」役の当選情報が持ち越されている状態で、今回のゲームの内部抽選処理で「チェリー1」役が当選した場合における処理では、まず、CPU101は、「チェリー1」役に対応する切替データ(0x40)を取得する。次に、CPU101は、「BB3」役に関する当選情報をRAM105から取得するとともに、切替データにおける「BB3」役に対応する切替要素データ(01)を特定する。切替要素データ「01」は、停止特定テーブルの当選情報に対応する参照先と、オフセット値αとで決定される参照先を参照することを示している。つまり、CPU101は、停止特定テーブルにおける「チェリー1」役に対応する参照先を、オフセット値αに基づいて切り替えた参照先を参照して、停止参照テーブルにおける参照アドレス「0x0C000000」を取得する。
また、例えば、前回以前のゲームから「BB2」役の当選情報が持ち越されている状態で、今回のゲームの内部抽選処理で「スイカ2」役が当選した場合における処理では、まず、CPU101は、「スイカ2」役に対応する切替データ(0xA1)を取得する。次に、CPU101は、「BB2」役に関する当選情報をRAM105から取得するとともに、切替データにおける「BB2」役に対応する切替要素データ(10)を特定する。切替要素データ「10」は、停止特定テーブルの当選情報に対応する参照先と、オフセット値βとで決定される参照先を参照することを示している。つまり、CPU101は、停止特定テーブルにおける「スイカ2」役に対応する参照先を、オフセット値βに基づいて切り替えた参照先を参照して、停止参照テーブルにおける参照アドレス「0x0E030000」を取得する。
また、例えば、前回以前のゲームから何れのボーナス役の当選情報も持ち越されていない状態で、今回のゲームの内部抽選処理で「チェリー1」役が当選した場合における処理では、まず、CPU101は、「チェリー1」役に対応する切替データ(0x40)を取得する。次に、CPU101は、何れのボーナス役にも当選していない旨を示す当選情報をRAM105から取得する。何れのボーナス役の当選情報も持ち越されていない状態である場合には、切替要素データ「00」と同様に、停止特定テーブルの当選情報に対応する参照先を参照することが予め定められている。つまり、CPU101は、停止特定テーブルにおける「チェリー1」役に対応する参照先を参照して、停止参照テーブルにおける参照アドレス「0x0A000000」を取得する。なお、持ち越されているボーナス役の当選情報を予め取得するようにして、取得した当選情報の内容に応じて、切替データを参照する処理を省略するようにしてもよい。
なお、スロットマシン1では、複数のボーナス役が同時に当選状態となることはない。このため、停止特定テーブルにおいて、ボーナス役に対応する切替データは、何れも「0x00」が対応付けられている。この場合にも、切替データを参照する処理を省略して、内部抽選処理により当選したボーナス役に対応する参照先を参照するようにしてよい。
このように、スロットマシン1におけるリール停止処理では、停止特定テーブルと停止参照テーブルを用いて、内部抽選処理により決定された当選情報と、持ち越されたボーナス役の当選情報とに基づいて、停止テーブルへの参照アドレスを特定する。そして、特定された参照アドレスの示す参照先に格納された停止テーブルを用いて、リールRに対する停止制御が実行される。
このようにして特定される停止テーブルは、ストップボタン13が操作されるタイミングと、ストップボタン13に対する操作がなされた時点から対応するリールRを停止させるまでのリールRの回転量とが、最大4図柄分の範囲内において内部抽選処理により当選が決定された役に対応する図柄組合せを引き込むように、一意に関連付けられている。また、上述した処理では、内部抽選処理により決定された当選情報と、持ち越されたボーナス役の当選情報とに基づいて、停止テーブルへの参照アドレスが特定される。従って、特定された参照アドレスの示す参照先に格納された停止テーブルを用いてリールRに対する停止の制御を実行することで、リールRの停止に係る各種の状態に応じて変化し得るリールRの停止条件に対して、リールRの停止結果を常に一定とすることができる。
(3)図柄判定処理の詳細
スロットマシン1における図柄判定処理の詳細について説明する。CPU101は、リールR1〜R3の全てが停止した場合に、入賞ラインL1上に停止表示された図柄組合せを判定する図柄判定処理を実行する。
図9は、スロットマシン1における図柄判定処理で利用される役構成テーブルを説明するための説明図である。役構成テーブルでは、役ごとに、役に対応する図柄組合せと、役が入賞した場合に遊技者に付与する特典(メダル数等)とが定義されている。「ANY」はいかなる図柄でもよいことを示している。
CPU101は、入賞ラインL1上に停止表示された図柄組合せ(入賞ラインL1上に停止表示された、左リールR1の図柄、中リールR2の図柄、及び右リールR3の図柄組合せ)が、役構成テーブルで定義された図柄組合せのいずれかと一致するか否かを判定する。CPU101は、役構成テーブルで定義された図柄組合せのいずれかと一致すると判定した場合は、その図柄組合せに対応する役が入賞したと判定するとともに役に対応する特典を特定し、役構成テーブルで定義された図柄組合せのいずれにも一致しないと判定した場合には、何れの役にも入賞していないと判定する。
このように、スロットマシン1における図柄判定処理は、入賞ラインL1上に停止表示した図柄組合せを判定する処理であり、役構成テーブルを用いて実行される。なお、CPU101は、入賞ラインL1上に停止表示された図柄組合せを判定した後、内部抽選処理により決定した役の当選情報をRAM105から消去する。より具体的には、小役および再遊技役については、役の入賞の有無に関わらず当選情報をRAM105から消去するが、ボーナス役については、役の入賞が判定された場合にのみ、RAM105から当選情報を消去する。これにより、ボーナス役については、役の入賞が判定されるまで、その当選情報が次回以降のゲームに持ち越される。
(4)メダル払出処理の詳細
スロットマシン1におけるメダル払出処理の詳細について説明する。CPU101は、図柄判定処理により、入賞ラインL1上に小役に対応する図柄組合せが停止表示されたと判定した場合には、当該小役に応じた枚数のメダルを払出す処理を実行する。
小役とは、入賞の特典としてメダルの払出しが対応付けられた役であり、スロットマシン1においては、「チェリー1」役(図柄組合せ「チェリー-ANY−ANY」)、「チェリー2」役(図柄組合せ「BAR−ANY−ANY」)、「スイカ1」役(図柄組合せ「スイカ−スイカ−スイカ」)、「スイカ2」役(図柄組合せ「7−スイカ−BAR」、「ベル−スイカ−BAR」、または「ベル−スイカ−7」)、「ベル」役(図柄組合せ「ベル−ベル−ベル」、が該当し、それぞれ2枚、2枚、5枚、5枚、9枚のメダル数が対応付けられている。CPU101は、メダル支払処理において、入賞した小役に対応するメダル数を、クレジット数に加算するか、クレジット数が50枚を超えた場合はメダル払出装置を駆動してメダル受皿40に払い出す。
また、CPU101は、図柄判定処理により、入賞ラインL1上に「リプレイ」役に対応する図柄組合せが停止表示されたと判定した場合には、自動ベット処理を実行する。自動ベット処理では、追加のメダル投入またはクレジットの減少なしに、直前のゲームを開始させるためのベット数と同数をベット数として設定する。
<5.変形例>
前述の各形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は相互に矛盾しない範囲で適宜に併合され得る。
(1)変形例1
上述の各形態では、図8(A)及び図8(A)を用いて説明したような、内部抽選処理により決定される当選情報が、持ち越されているボーナス役の当選情報に応じて停止テーブルへの参照アドレスに対する参照先を切り替える可能性を有する当選情報であるか否かに関わらず、常に同一の停止特定テーブルと停止参照テーブルとを用いて、リール停止処理を実行する態様について説明した。
しかし、内部抽選処理で決定される当選情報を、持ち越されているボーナス役の当選情報に応じて停止テーブルへの参照アドレスに対する参照先を切り替える種類の当選情報と、持ち越されているボーナス役の当選情報に関わらず停止テーブルへの参照アドレスに対する参照先を切り替えない種類の当選情報とに分別し、それぞれの当選情報の種別に応じて異なるテーブルを用いてリール停止処理を実行するように構成してもよい。
図10(A)は、持ち越されているボーナス役の当選情報に応じて停止テーブルへの参照アドレスに対する参照先を切り替える種類の当選情報について用いられる停止特定テーブル10Aであり、図10(B)は、この停止特定テーブルに対応して設けられた停止参照テーブル10Bである。本形態におけるスロットマシン1は、「チェリー1」役、「チェリー2」役、「スイカ1」役、「スイカ2」役の4種類の当選情報が、持ち越されているボーナス役の当選情報に応じて停止テーブルへの参照アドレスに対する参照先を切り替える種類の当選情報として、予め定義されている。停止特定テーブル10Aと停止参照テーブル10Bの利用方法は、上述した停止特定テーブルと停止参照テーブルの利用方法と同様である。
図10(C)は、持ち越されているボーナス役の当選情報に関わらず停止テーブルへの参照アドレスに対する参照先を切り替えない種類の当選情報について用いられる停止特定テーブル10Cであり、図10(D)は、この停止特定テーブルに対応して設けられた停止参照テーブル10Dである。
本形態におけるスロットマシン1は、「ベル」役、「リプレイ」役、「BB1」役、「BB2」役、「BB3」役、「BB4」役、「ハズレ」の7種類の当選情報が、持ち越されているボーナス役の当選情報に関わらず停止テーブルへの参照アドレスに対する参照先を切り替えない種類の当選情報として、予め定義されている。停止特定テーブル10Cでは、当選情報に対応する切替データが存在せず、内部抽選処理で決定される当選情報に対応する停止参照データを取得する。
停止特定テーブル10Aと停止特定テーブル10Cとを用いた処理では、CPU101は、まず、内部抽選処理で決定される当選情報が、持ち越されているボーナス役の当選情報に応じて停止テーブルへの参照アドレスに対する参照先を切り替える種類の当選情報であるか否かを判定する。この判定は、予め定義された当選情報と、参照先の切り替えに係る種別との関係情報に基づいて実行される。
次に、CPU101は、判定した当選情報の種別に応じた停止特定テーブルを選択する。つまり、当選情報の種別に応じて、停止特定テーブル10Aまたは停止特定テーブル10Cの何れかが選択される。そして、選択された停止特定テーブルを参照して、内部抽選処理で決定された当選情報に基づいて、停止テーブルへの参照アドレスに対する参照先を特定する。停止特定テーブル10Aを用いる場合には、内部抽選処理で決定された当選情報に対応する切替データから、持ち越されているボーナス役の当選情報に応じた切替要素データを取得し、取得した切替要素データに応じて停止テーブルへの参照アドレスに対する参照先を切り替えることで、停止テーブルへの参照アドレスを取得する。
これに対し、停止特定テーブル10Cを用いる場合、持ち越されているボーナス役の当選情報に関わらず、内部抽選処理で決定された当選情報に対応する、停止テーブルへの参照アドレスを取得する。
このように、本形態におけるスロットマシン1は、停止特定データにおいて、当選情報に関連づけて記憶される切替データを最小限に抑えることができるため、記憶容量の削減だけでなくリール停止処理にかかる処理の負担を軽減することができる。
(2)変形例2
上述の各形態では、図8(A)及び図8(A)を用いて説明したような、内部抽選処理により当選が決定される役の種別に関わらず、常に同一の停止特定テーブルと停止参照テーブルとを用いて、リール停止処理を実行する態様について説明した。
しかし、内部抽選処理で決定される当選情報に係る役を、小役に係る当選情報と、再遊技役に係る当選情報とに分別し、それぞれの当選情報に係る役の種別に応じて異なるテーブルを用いてリール停止処理を実行するように構成してもよい。
このように停止特定テーブルと停止参照テーブルとを構成することで、特に、内部抽選処理の結果として役の種別が特定されるような態様においては、特定した役の種別に応じて異なるテーブルを用いてリール停止処理を実行することで、データの検索効率を向上させることができる。
なお、当選情報に係る役の分類は、小役と再遊技役とに加えて、さらにボーナス役や何れの役も当選していない状態である「ハズレ」として分類されてもよい。また、本形態における、内部抽選処理で決定される当選情報に係る役の種別に応じて異なるテーブルを用いる態様は、上述したような、持ち越されているボーナス役の当選情報に応じて停止テーブルへの参照アドレスに対する参照先を切り替える可能性を有する当選情報であるか否かに応じて異なるテーブルを用いる態様と、組み合わされて実施されてもよい。
(3)変形例3
上述の各形態では、停止特定テーブルにおける切替データが、持ち越されているボーナス役の当選情報にそれぞれ対応する切替要素データを含んで構成され、何れのボーナス役の当選情報も持ち越されていない場合には、切替データを参照することなく当選情報に対応する停止テーブルへの参照アドレスを特定する態様について説明した。
しかし、上記の関係性は適宜に変形されても構わない。例えば、切替データを構成するビット情報としての切替要素データを、第1桁目と第2桁目が「BB1」役に対応する切替要素データ、第3桁目と第4桁目が「BB3」役に対応する切替要素データ、第5桁目と第6桁目が「BB4」役に対応する切替要素データ、第7桁目と第8桁目が何れのボーナス役の当選情報も持ち越されていない場合に対応する切替要素データとして構成し、持ち越されているボーナス役の当選情報にそれぞれ対応する切替要素データに基づいて停止テーブルへの参照アドレスに対する参照先の切り替えるようにし、「BB2」役の当選情報が存在する場合には、切替データを参照することなく当選情報に対応する停止テーブルへの参照アドレスに対する参照先を特定するようにしてもよい。
また、何れのボーナス役の当選情報も持ち越されていない場合も含めて、持ち越されているボーナス役に係る当選情報を識別する全ての状態のそれぞれを、切替データを構成するビット情報としての切替要素データに対応付けるようにしてもよい。
また、切替データは、持ち越されているボーナス役に係る当選情報を識別する状態に対応するビット情報として構成されることに限られない。例えば、切替データは、持ち越されているボーナス役に係る当選情報の状態と、停止テーブルへの参照アドレスに対する参照先の切り替え先を示す情報とについて予め定義された関係性を識別するインデックス情報として構成されてもよい。このように構成した場合は、停止特定テーブルにおいて、内部抽選処理により決定された当選情報に対応するインデックス情報を特定し、インデックス情報から持ち越されているボーナス役に係る当選情報の状態と、停止テーブルへの参照アドレスに対する参照先の切り替え先を示す情報とについて予め定義された関係性を特定し、特定した関係性と、持ち越されているボーナス役の当選情報とに基づいて、停止テーブルへの参照アドレスに対する参照先を特定するようにしてよい。
(4)変形例4
上述の各形態では、停止特定テーブルと停止参照テーブルとが別体のテーブルとして構成される態様について説明した。しかし、停止特定テーブルと停止参照テーブルとが一体のテーブルとして構成されてもよい。また、内部抽選処理により決定される当選情報と、内部抽選処理で決定された当選情報に対応する、停止テーブルへの参照アドレスに対する参照先を、持ち越されているボーナス役の当選情報に応じて切り替えるために用いられる切替データと、停止テーブルへの参照アドレスとが関連付けられているか、または他の何らかの方法でこれらのデータの対応関係を特定する手段があれば、データの記憶形式はどのようなものであっても構わない。