<1.用語の定義>
本明細書で用いる用語について、以下に説明する。
「可変表示装置」とは、複数の図柄で構成された表示列を複数備え、それぞれの表示列の図柄を可変表示させる表示装置のことをいう。表示列がリールで構成される場合には、リールの回転動作により、リール上に配置された図柄を可変表示させる。表示列が液晶表示器等による表示画像で構成される場合には、表示画像の内容を変化させることで、表示画像としての図柄を可変表示させる。
「リール窓」とは、可変表示装置の備える複数の表示列を構成する複数の図柄の一部を遊技者に視認可能とするものをいう。
「停止図柄」とは、可変表示装置により表示列の図柄の可変表示を停止した場合において、表示列上の複数の図柄のうち、リール窓を通して遊技者に視認可能な図柄のことをいう。リール窓内に図柄が停止することを「停止表示」という。
「遊技媒体」とは、遊技機に使用されるメダル又は遊技球のことをいう。遊技機に電気的又は磁気的に記憶された遊技媒体の数を示す情報のことを「クレジット」といい、その数を「クレジット数」という。
「ベット」とは、ゲームを開始するために必要な遊技媒体を設定することをいう。ベットされた遊技媒体はゲームの開始とともに消費される。ゲームを開始するために設定された遊技媒体の数のことのことを「ベット数」という。「ベットボタン」とは、ゲームを開始するために必要な遊技媒体を設定するために遊技者が操作するための装置のことをいう。
「ゲーム」とは、スタートレバーの操作を契機として可変表示装置による表示列の図柄の可変表示を開始したときから入賞の判定の結果に基づく処理が終了するまでの一連の過程のことをいう。「1ゲーム」、「1回のゲーム」とは、その一連の過程の1回分のことをいう。
「スタートレバー」とは、ゲームの開始を指示するために遊技者が操作するための装置のことをいう。
「内部抽選」とは、ゲームの開始を契機として、予め定められた複数の役から、1もしくは複数の役の当選または何れの役も当選しないハズレを、抽選により決定することをいう。
「役」とは、内部抽選において当選の対象となる最小単位のことをいう。1つの役には1または複数の図柄組合せが対応付けられており、役に対応する図柄組合せが入賞ライン上に停止表示した場合に、役に対応する特典が付与される。役は、特典の種別によってボーナス役、小役、再遊技役に大別される。
「当選」とは、内部抽選の結果として、入賞が可能な役として1または複数の役が決定されることをいう。
「ハズレ」とは、内部抽選の結果として、入賞が可能な役としていずれの役も決定されない状態のことをいう。
「ストップボタン」とは、可変表示装置による表示列の図柄の可変表示の停止を指示するために遊技者が操作するための装置のことをいう。複数の表示列にそれぞれ対応する複数のストップボタンが遊技機に備えられている。
「入賞ライン」とは、役の入賞を判定する対象である所定の図柄位置の組合せのことをいう。ベットに応じて入賞の判定が無効の状態から有効な状態に変化する。「入賞ライン上」とは、入賞ラインに係る図柄位置のことをいう。
「入賞」とは、役に対応する図柄組合せが入賞ライン上に停止表示することをいう。
「抽選テーブル」とは、役と抽選確率(またはそれに準ずる内容)との対応関係を定義したテーブルのことをいい、内部抽選の処理に利用される。
「停止テーブル」とは、ストップボタンが操作された場合に、対応する表示列の図柄をどのように停止表示させるかを定義したテーブルのことをいい、リールの停止制御に利用される。
「役構成テーブル」とは、役と入賞に係る図柄組合せとの対応関係を定義したテーブルのことをいい、入賞の判定処理に利用される。
以下に、本発明に係る遊技機を、実施形態としてスロットマシンを例に説明する。
<2.遊技機の外観構成>
図1は、本発明の実施形態に係るスロットマシン1の概観を示す斜視図である。スロットマシン1は、前面が開口した箱状の本体2と本体2の前面に配置した前面扉3から構成されている。本体2と前面扉3とは片側で蝶番により開閉できるようになっている。前面扉3は、遊技者が遊技を行うためのボタン類を配置した操作部OP、可変表示装置RLが備える各リールR1〜R3の図柄を視認するリール窓20や遊技の進行に係る情報を表示するための表示器類を配置したパネル表示部DP、遊技の進行に係る情報を表示するための液晶表示器類や電飾装置を配置した演出表示部TP及び受皿部BPから構成されている。
操作部OPには、操作部OPの上面右側にメダル投入口10を配置し、上面左側にベットボタン11が配置されている。メダル投入口10へのメダルの投入、またはベットボタン11を操作することにより、スロットマシン1に対してベットすることができる。ベットボタン11の下部位置の前面側には、可変表示装置RLの各リールR1〜R3の回転動作の開始を指示するためのスタートレバー12を配置し、その右側には左リールR1の回転動作の停止を指示するための左ストップボタン13a、中リールR2の回転動作の停止を指示するための中ストップボタン13b及び右リールR3の回転動作の停止を指示するための右ストップボタン13cを配置し、遊技を進行させるための基本操作順序となる、ベットボタン11→スタートレバー12→左ストップボタン13a→中ストップボタン13b→右ストップボタン13cという、一連の流れの操作を行い易いようになっている。
スタートレバー12の左側には、貯留装置(後述するRAM105におけるメダルのクレジット数の記憶領域のこと)に記憶されたクレジットを精算してメダル受皿40にメダルを払い出す精算ボタン14を配置する。この精算ボタン14は遊技をやめる場合に使用し、操作の頻度が低いことや遊技中に誤って操作しないよう、上記一連の操作の流れから外れる位置に配置してある。さらに操作部OPには、メダル貸機がスロットマシン1に接続されている場合に使用する貸出ボタン15、メダル貸機に挿入されたプリペイカードや現金を返却する返却ボタン16及びメダル貸機の貸出可能な度数表示が行われる度数表示器17が設けてある。なお、このように、スロットマシン1にメダル貸機が接続されている場合には、スロットマシン1のこれらの貸出ボタン15、返却ボタン16の操作によるメダル貸機の作動及び度数表示器17による度数表示は、メダル貸機の制御によって行われる。
パネル表示部DPには、1つのリールにつき3個の連続した図柄が目視でき、3つのリールで9個分の図柄をのぞむ透明アクリル板からなるリール窓20を設け、さらにリール窓20内には水平の入賞ラインL1が形成される。このリール窓20の左側には、入賞ラインL1に対応した入賞ライン表示器21を設け、メダルを3枚投入すると入賞ラインL1に対応した入賞ライン表示器21が点灯するようになっている。
また、遊技の結果、入賞ラインL1上に役に対応する図柄組合せが成立した場合には役の入賞となり、入賞ラインL1に対応した入賞ライン表示器21が点滅表示し、遊技者に知らせるようになっている。また、リール窓20の右側には、役が入賞した場合に点灯する表示器や遊技状態に応じて点灯するLEDなどの複数のLEDが配置された遊技ガイド表示器22が設けられている。さらにリール窓20の下側には、貯留装置に記憶されたクレジット数を表示するクレジット数表示器23a、特定の遊技状態におけるメダルの獲得枚数を表示する獲得枚数表示器23b、及び役が入賞した場合に付与されたメダル数を表示する配当数表示器23cから構成される遊技価値情報表示部23を有している。
演出表示部TPには、遊技の進行状況を画像で表示する液晶表示装置30、遊技の進行状況に応じて色彩や点灯パターンを変化させて表示させる電飾LED31及び遊技の進行状況に応じて変化させるBGMやボタン操作に応じた操作音、ガイド音声を出力するスピーカ32が配置されている。
受皿部BPには、メダル払出装置が駆動されてメダル払出口40aから排出されたメダルを貯めるメダル受皿40を設け、メダル受皿40の左側には灰皿を設けてある。
(1)リール可変表示装置の構成
図2は、スロットマシン1の可変表示装置RLの構造を示す説明図である。図2(A)は、可変表示装置RL全体の構造を示し、図2(B)は、右リールの詳細の構造を示す。
リールR1〜R3は、透明なABS樹脂等からなり、軸部から放射線状に延びた複数のスポーク部と環状の枠からなるリール枠56a〜56cと、そのリール枠56a〜56cの周面に貼り付けられている21個の各種の図柄(図柄番号PN:1〜21)が印刷されたリール帯58a〜58cから構成される。リールR1〜R3は、ステッピングモータ54a〜54cに固定され回転動作するようになっている。リールR1〜R3の回転動作には、504ステップのパルスを供給することで1回転するステッピングモータ54a〜54cを使用し、所定のパルスを供給することで所定の図柄をリール窓20に停止表示させることができる。さらにLED(図示せず)を設置したバックライト装置53a〜53cを設け、リール帯58a〜58cの内側から光を照射できるようになっている。このように、リール帯58a〜58cの内側からバックライト装置53a〜53cによって光を照射することで、遊技者にリール帯58a〜58c上の図柄を目立たせることができる。
またスポーク部の一つに検知板57a〜57cを取り付け、リール位置検出センサ55a〜55cによって、リールR1〜R3が1回転するごとに1パルスのリール位置検出信号155a〜155cを出力できるようになっている。このリール位置検出信号155a〜155cを検知してから12ステップ進めたときに、図柄番号PN=1がリール窓の中央の入賞ラインL1上に位置するように検知板57a〜57cとリール帯58a〜58cとの位置が設定してある。
可変表示装置RLにおいて、リールR1〜R3、リールR1〜R3が固定されたステッピングモータ54a〜54c、バックライト装置53a〜53c及びリール位置検出センサ55a〜55cを、それぞれベース板52a〜52cに固定することで一つのユニット構成としている。また、可変表示装置RLは、ベース板52a〜52cを可変表示装置RLのケース体50に設けられたガイドレール51a〜51cに沿って挿入してケース体50内に収容するようになっている。
図3(A)は、リール帯58a〜58cに印刷された図柄の配置を示す説明図である。左、中、右のそれぞれのリールには21個の図柄を等間隔で配置して印刷されている。504ステップのパルスを供給することで1回転するステッピングモータ54a〜54cを使用しているので、21個の図柄を配置すると図柄の間隔は24ステップとなる。また、リール位置検出信号155a〜155cを検知してから12ステップ進めたときに、図柄番号PN=1がリール窓の中央の入賞ラインL1上に位置するようにしているので、リール位置検出信号155a〜155cを検知してから36ステップ進めれば図柄番号PN=2が入賞ラインL1上に位置し、60ステップ進めれば図柄番号PN=3が入賞ラインL1上に位置し、492ステップ進めれば図柄番号PN=21が入賞ラインL1上に位置することになる。492ステップより先に進めると、再びリール位置検出信号155a〜155cが検知される。これにより、リール位置検出信号155a〜155cが検知されたタイミングを基点にして、進めるステップ数により所定の図柄を入賞ラインL1上に位置させることができる。
図3(B)は、左リールR1でリール位置検出信号155aより180ステップ進めた状態を示し、上段に「スイカ」図柄(図柄番号PN=9)、中段に「ベル」図柄(図柄番号PN=8)、下段「プラム」図柄(図柄番号PN=7)が表示される。また、中リールR2でリール位置検出信号155bより324ステップ進めた状態を示し、上段に「7」図柄(図柄番号PN=15)、中段に「ベル」図柄(図柄番号PN=14)、下段に「プラム」図柄(図柄番号PN=13)が表示される。また、右リールR3でリール位置検出信号155bより228ステップ進めた状態を示し、上段に「プラム」図柄(図柄番号PN=11)、中段に「ベル」図柄(図柄番号PN=10)、下段に「チェリー」図柄(図柄番号PN=9)が表示される。これらの状態は、入賞ラインL1上に「ベル」図柄(左リールR1:図柄番号PN=8)、「ベル」図柄(中リールR2:図柄番号PN=14)、「ベル」図柄(右リールR3:図柄番号PN=10)が並んだ状態であり、「ベル」役の入賞状態を示す。スロットマシン1における役の種別については後述する。
<3.スロットマシンの電気的構成>
図4は、スロットマシン1の電気的構成を示すブロック図である。スロットマシン1は、遊技の主たる制御を行うメイン制御基板100A、液晶表示器に対して表示制御を行い画像表示する表示制御基板100B、パネル表示部DP又は演出表示部TPのLED類や音の演出の制御を行う電飾制御基板100Cを備えている。メイン制御基板100Aは、CPU(central processing unit)101、クロック発生回路a102、クロック発生回路b103、ROM(read-only memory)104、RAM(random-access memory)105、データ送出回路106、入出力ポート107から構成されている。なお、CPU101としてROMやRAMを内蔵しているものを採用することができる。その場合には、外付けのROM104、RAM105を備えなくてもよい。
CPU101は、ROM104に格納されたプログラムを、クロック発生回路a102で発生したCLK信号のタイミングに基づいて読み出し、プログラムを逐次実行する。CPU101は、電源が投入されるとあらかじめ定められたアドレスからメインプログラムを実行し、クロック発生回路a102の周期とは異なるクロック発生回路b103で発生されられたINTR信号のタイミングで、あらかじめ定められたアドレスから始まる割込みプログラムを実行する。ここで、INTR信号のタイミングは、例えば、2ミリ秒である。CPU101はプログラムの実行に応じて、各種フラグや各種カウンタなどの各種の遊技情報をRAM105に保存する。外部から供給される電源が遮断した場合でも、RAM105は電池により記憶情報が保持されており、その後電源が復帰した場合には、電源断発生の直前の状態から再開する。CPU101は、入出力ポート107を介して各種ボタン、センサの状態を読み取り、各種モータ、LEDを駆動する。
ベット操作指示信号111a〜111c、開始操作指示信号112、停止操作指示信号113a〜113c及び精算操作指示信号114は、それぞれ操作部OPに設けられたベットボタン11、スタートレバー12、ストップボタン13a〜13c、精算ボタン14ボタンが遊技者に操作されたことに応じて出力される信号であり、入出力ポート107を介してCPU101に入力されることで検知される。
表示制御信号123a〜123cは、それぞれパネル表示部DPに設けられたクレジット数表示器23a、獲得枚数表示器23b、配当数表示器23cに表示するための表示信号であり、入出力ポート107を介してCPU101より駆動される。リール位置検出信号155a〜155cのそれぞれは、可変表示装置RLのそれぞれのリールに対応し、リールが1回転するたびに1回検出する信号であり入出力ポート107を介してCPU101に入力される。リール駆動信号154a〜154cのそれぞれは、リール可変表示装置RLのそれぞれのリールR1〜R3を駆動するステッピングモータ駆動信号であり、入出力ポート107を介してCPU101より駆動される。
メダル投入信号160は、メダル投入口10から通ずる前面扉3の内部に設けられたメダル検出装置に設けられたメダル投入センサが、投入されたメダルを検出した場合に出力される信号であり、入出力ポート107を介してCPU101に入力される。また、メダルブロック信号161はメダル検出装置に設けられたソレノイドを駆動する信号であり入出力ポート107を介してCPU101より駆動される。メダル払出信号162は、メダル払出装置のメダル放出部に設けられたメダル払出センサが、メダル払出装置により払い出されたメダルを検出した場合に出力される信号であり、入出力ポート107を介してCPU101に送られる。また、払出駆動信号163はメダル払出装置に設けられたモータを駆動する信号であり、入出力ポート107を介してCPU101より駆動される。
CPU101は、データ送出回路106を介して表示制御基板100B及び電飾制御基板100Cへ各種コマンドを出力する。電飾制御基板100Cは、メイン制御基板100Aより各種コマンドを受信し、入賞ライン表示器21、遊技ガイド表示器22、電飾LED31による電飾装置の点灯制御、可変表示装置RLに設けられたバックライト装置53a〜53cの点灯制御及びBGMなどのサウンドをスピーカ32から出力する。
表示制御基板100Bは、CPU(central processing unit)191、クロック発生回路c192、クロック発生回路d193、ROM(read-only memory)194、RAM(random-access memory)195、データ入力回路196及びグラフィックLSIとその周辺回路からなる表示回路197を備えている。このCPU191は、ROM194に格納されたプログラムを、クロック発生回路c192で発生したCLK信号のタイミングに基づいて読み出し、プログラムを逐次実行する。CPU191は、電源が投入されるとあらかじめ定められたアドレスからメインプログラムを実行し、クロック発生回路c192の周期とは異なるクロック発生回路b193で発生されられたINTR1信号のタイミングで、あらかじめ定められたアドレスから始まる割込みプログラムを実行する。ここで、INTR1信号のタイミングは、例えば、2ミリ秒とする。CPU191のストローブ信号は、プログラムの実行に応じて、各種フラグや各種カウンタなどの各種の遊技情報をRAM195に保存する。また、メイン制御基板100Aのデータ送出回路からのデータ送出タイミングに同期して送出されるストローブ信号に基づいてINTR2信号を発生させ、このINTR2信号のタイミングで、あらかじめ定められたアドレスから始まる割込みプログラムを実行する。
<4.ゲーム基本処理>
スロットマシン1における1回のゲームに係る処理の流れを、図5を用いて説明する。
<4−1.処理の流れ>
(1)メダル受付処理
スロットマシン1は、メダル投入口10へメダルが投入されると、投入されたメダルを受け付けてスロットマシン1の内部に取り込むか、投入されたメダルを受け付けずにメダル受皿40に返却する(Sa501)。
具体的には、ベット数が3かつクレジット数が50未満の場合にメダル投入口10へメダルが投入されると、CPU101は、投入されたメダルをスロットマシン1の内部に取り込むとともに、投入されたメダルの枚数だけクレジット数を加算する。また、ベット数が3かつクレジット数が50の場合にメダル投入口10へメダルが投入されると、CPU101は、メダル検出装置に設けられたソレノイドを駆動して、投入されたメダルをメダル受皿40に返却する。
(2)ベット処理
スロットマシン1は、メダル投入口10へのメダルの投入、ベットボタン11の操作、または再遊技役の入賞に応じて、ゲームの開始に必要なベット数を設定する(Sa502)。
具体的には、ベット数が3未満の場合にメダル投入口10にメダルが投入されると、CPU101は、投入されたメダルの枚数だけベット数を加算する。また、ベット数が3未満の場合にベットボタン11が操作されると、CPU101は、クレジット数を減算してベット数を加算する。また、詳細は後述するが、再遊技役が入賞した場合には、CPU101は、そのゲームでベットされていたベット数を、クレジット数の減算なしに再びベットする自動ベット処理を実行する。
(3)レバー受付処理
スロットマシン1は、3枚のメダルがベットされている状態でスタートレバー12の操作を受け付けた場合にゲームを開始させる(Sa503)。具体的には、ベット数が3に設定された状態でスタートレバー12が操作されると、CPU101は、後述する内部抽選処理以降の遊技処理を実行する。一方で、ベット数が3未満に設定された状態でスタートレバー12が操作された場合には、CPU101は、内部抽選処理以降の遊技処理を実行しない。
(4)内部抽選処理
スロットマシン1は、ゲームの開始にともない、ゲームの結果を導出するための情報を抽選により決定する(Sa504)。ベット数が3に設定された状態でスタートレバー12が操作されると、CPU101は、内部抽選処理を実行する。内部抽選処理の詳細については後述する。
(5)リール回転処理
スロットマシン1は、内部抽選処理の実行後に、リールR上に配置された図柄を変動表示させるためにリールR1〜R3のそれぞれを回転させる(Sa505)。具体的には、CPU101は、内部抽選処理の実行後にステッピングモータ54a〜54cのそれぞれに対して継続的にパルスを供給することで、リールR1〜R3のそれぞれを回転させる。
(6)リール停止処理
スロットマシン1は、リールRの回転中にストップボタン13が操作されるとリールRの回転動作を停止させる(Sa506)。リールRの回転中にストップボタン13が操作されると、CPU101は、操作されたストップボタン13に対応するリールRが固定されたステッピングモータ54に所定のパルスを供給することで、対応するリールRの回転動作を停止させる。リール停止処理の詳細については後述する。
(7)図柄判定処理
スロットマシン1は、リールR1〜R3の全てが停止した後に、入賞ラインL1上に停止表示された図柄組合せを判定する(Sa507)。リールR1〜R3の全てが停止した後に、CPU101は、入賞ラインL1上に停止表示された図柄組合せが、予め定められた所定の図柄組合せであるか否かを判定する。例えば、入賞ラインL1上に停止表示された図柄組合せが、役に対応する図柄組合せであるか否かを判定する。図柄判定処理の詳細については後述する。
(8)メダル払出処理
スロットマシン1は、入賞ラインL1上に小役に対応する図柄組合せが停止表示されたと判定した場合には、メダルの払出処理を実行する(Sa508)。メダル払出処理の詳細については後述する。
(9)状態移行処理
スロットマシン1は、ゲームの結果に応じて遊技状態を移行させる(Sa509)。例えば、ゲームの結果として特別遊技状態が開始する条件が成立した場合に、遊技状態を通常遊技状態から特別遊技状態に移行させる。また、ゲームの結果として特別遊技状態が終了する条件が成立した場合には、遊技状態を特別遊技状態から通常遊技状態に移行させる。スロットマシン1は、状態移行処理を実行した後に、1回のゲームに係る処理を終了する。
<4−2.各処理の詳細説明>
上述した1回のゲームに係る各処理の詳細について説明する。
(1)内部抽選処理の詳細
スロットマシン1における内部抽選処理の詳細について説明する。内部抽選処理は、予め定められた複数の役から、1もしくは複数の役の当選または何れの役も当選しないハズレを抽選により決定するための処理であり、抽選テーブルを用いて実行される。
図6は、スロットマシン1における内部抽選処理で利用される抽選テーブルを説明するための説明図である。抽選テーブルは、1または複数の役と1つの抽選値との対応関係を含んで構成されている。抽選値は、当該抽選値に対応する役の抽選確率を示している。
CPU101は、内部抽選処理において、不図示の乱数発生器により0〜65535の範囲から1つの乱数値を取得する。次に、取得した乱数値を、抽選テーブルで定義された複数の抽選値と順次に比較しながら、該当する抽選値を特定する。具体的には、CPU101は、乱数発生器から取得した乱数値を、内部抽選テーブルにおける1番目の抽選値と比較する。比較した結果、乱数値が抽選値未満の場合には、1番目の抽選値に対応付けられた役の当選を決定する。乱数値が抽選値以上の場合には、乱数値を、1番目の抽選値に2番目の抽選値を加算した値と比較する。比較した結果、乱数値が1番目と2番目の抽選値の合計値未満の場合には、2番目の抽選値に対応付けられた役の当選を決定する。
このように、乱数値が、1番目からN番目までの抽選値の合計値未満となるまで繰り返したときのN番目の抽選値に対応付けられた役を、当選する役として決定する。例えば、CPU101は、乱数発生器から取得した乱数値が3012である場合、乱数値は1番目の抽選値である300以上であるので、この値に2番目の抽選値である2500を加える。乱数値の3012は、1番目と2番目の抽選値の合計値である2800以上であるので、これに3番目の抽選値である500を加算する。乱数値の3012は、1番目〜3番目の抽選値の合計値である3300未満であるので、3番目の抽選値に対応付けられた「スイカ1」役の当選を決定する。
(2)リール停止処理の詳細
スロットマシン1におけるリール停止処理の詳細について説明する。CPU101は、回転中のリールRに対応するストップボタン13の操作を受け付けると、対応するリールRを停止させる。これを、リールR1〜R3の全てが停止するまで繰り返す。このとき、CPU101は、ストップボタン13に対する操作がなされた時点から、最大4図柄分のリールの回転量の範囲内において、対応するリールRを停止させる。また、CPU101は、内部抽選処理により何らかの役の当選が決定されている場合には、最大4図柄分のリールの回転量の範囲内において、当選した役に係る図柄組合せを入賞ラインL1上に引き込むように、リールRを停止させる。
例えば、CPU101は、リールR1〜R3が回転中であって、内部抽選処理により「スイカ1」役(図柄組合せ「スイカ−スイカ−スイカ」)の当選が決定している状況において、例えば左リールR1における図柄番号PN=15の「プラム」図柄が入賞ラインL1上に位置するタイミングで左ストップボタン13aが操作された場合、左リールR1を2図柄分だけ回転動作を継続させて、図柄番号PN=17の「スイカ」図柄を入賞ラインL1上に停止表示させるように、左リールR1を停止させる。
次に、例えば中リールR2における図柄番号PN=12の「チェリー」図柄が入賞ラインL1上に位置するタイミングで中ストップボタン13bが操作された場合、CPU101は、中リールR2を4図柄分だけ回転動作を継続させて、図柄番号PN=16の「スイカ」図柄を入賞ラインL1上に停止表示させるように、中リールR2を停止させる。
次に、例えば右リールR3における図柄番号PN=7の「ベル」図柄が入賞ラインL1上に位置するタイミングで右ストップボタン13cが操作された場合、CPU101は、右リールR3を1図柄分だけ回転動作を継続させて、図柄番号PN=8の「プラム」図柄を入賞ラインL1上に停止表示させるように、右リールR3を停止させる。このようにリールR1〜R3の全てが停止した結果、入賞ラインL1上には「スイカ」図柄(左リールR1)、「スイカ」図柄(中リールR2)、「プラム」図柄(右リールR3)、が停止表示される。
内部抽選処理により「スイカ1」役の当選が決定していたにも関わらず右リールR3において入賞ラインL1上に「スイカ」図柄を停止表示させないのは、右リールR3において、右ストップボタン13cが操作されたタイミングである図柄番号PN=7の図柄の位置から4図柄分先の図柄番号PN=11の図柄までの間に、「スイカ」図柄が存在しないためである。このようなタイミングでストップボタン13が操作された場合には、ストップボタン13が操作されたタイミングにおける入賞ラインL1上の図柄の位置から最大4図柄分の範囲内で予め定められた図柄を、入賞ラインL1上に停止表示させる。
スロットマシン1におけるリール停止処理は、停止テーブルを用いて実現される。停止テーブルには、ストップボタン13が操作されたタイミングにおける入賞ラインL1上の図柄の位置に対応する図柄番号PNと、対応するリールRを停止させるまでに継続させる回転動作の回転量を示す滑りコマ数との対応関係が、各リールについて定義されている。
図7は、スロットマシン1におけるリール停止処理で利用される停止テーブルを説明するための説明図である。図7は、停止テーブルの一例として、内部抽選処理により「スイカ1」役(図柄組合せ「スイカ−スイカ−スイカ」)の当選が決定している場合に利用される停止テーブルの内容を示している。
上述した「スイカ1」役の当選時における停止制御を実現するための、停止テーブルを参照しながら実行するリール停止処理を以下に説明する。左リールR1が回転中に、図柄番号PN=15の「プラム」図柄が入賞ラインL1上に位置するタイミングで左ストップボタン13aが操作されると、CPU101は、停止テーブルを参照して左リールR1の図柄番号PN=15に対応する滑りコマ数の2を取得し、取得した滑りコマ数である2図柄分だけ回転動作を継続させた後に左リールR1を停止させる。結果として、図柄番号PN=17の「スイカ」図柄が入賞ラインL1上に位置するタイミングで、左リールR1が停止される。
また、中リールR2が回転中に、図柄番号PN=12の「チェリー」図柄が入賞ラインL1上に位置するタイミングで中ストップボタン13bが操作されると、CPU101は、停止テーブルを参照して中リールR2の図柄番号PN=12に対応する滑りコマ数の4を取得し、取得した滑りコマ数である4図柄分だけ回転動作を継続させた後に中リールR2を停止させる。結果として、図柄番号PN=16の「スイカ」図柄が入賞ラインL1上に位置するタイミングで、中リールR2が停止される。
また、右リールR3が回転中に、図柄番号PN=7の「ベル」図柄が入賞ラインL1上に位置するタイミングで右ストップボタン13cが操作されると、CPU101は、停止テーブルを参照して右リールR3の図柄番号PN=7に対応する滑りコマ数の1を取得し、取得した滑りコマ数である1図柄分だけ回転動作を継続させた後に右リールR3を停止させる。結果として、図柄番号PN=8の「プラム」図柄が入賞ラインL1上に位置するタイミングで、右リールR3が停止される。
上記以外のタイミングで各ストップボタン13が操作された場合においても、同様に停止テーブルを参照し、ストップボタン13が操作されたタイミング(ストップボタン13が操作された時点で入賞ラインL1上に位置する図柄番号PN)に対応する滑りコマ数を取得して、取得した滑りコマ数の分だけリールRの回転動作を継続させてリールRを停止させる。つまり、停止テーブルを用いたリール停止処理では、停止テーブルにて予め定められたストップボタン13の操作タイミングに応じたリールRの滑りコマ数に従って、リールRを停止させるまで継続させる回転動作の量が決定される。
このように、スロットマシン1のリール停止処理では、内部抽選処理により当選が決定した役に係る図柄組合せを、ストップボタン13が操作されたタイミングから最大4図柄分の範囲内で入賞ラインL1上に停止表示させ、かつ当選していない役に係る図柄組合せを入賞ラインL1上に停止表示させないようにリール停止処理を実行する。さらに、スロットマシン1のリール停止処理では、ベット数、内部抽選処理で決定された当選の状態、停止済みのリールの停止位置、ストップボタン13の押し順、およびストップボタン13の操作タイミングが同一であれば常に同一の停止位置でリールRが停止するよう制御される。これを実現するために、CPU101は、予め定められた停止テーブルの要素データを、上述した各種の条件や状態に応じて適宜に組み合わせて構成した停止テーブルを用いてリール停止処理を実行する。
(3)図柄判定処理の詳細
スロットマシン1における図柄判定処理の詳細について説明する。CPU101は、リールR1〜R3の全てが停止した場合に、入賞ラインL1上に停止表示された図柄組合せを判定する図柄判定処理を実行する。
図8は、スロットマシン1における図柄判定処理で利用される役構成テーブルを説明するための説明図である。役構成テーブルでは、役ごとに、役に対応する図柄組合せと、役が入賞した場合に遊技者に付与する配当(メダル数等)とが定義されている。「ANY」はいかなる図柄でもよいことを示している。
CPU101は、入賞ラインL1上に停止表示された図柄組合せ(入賞ラインL1上に停止表示された、左リールR1の図柄、中リールR2の図柄、及び右リールR3の図柄組合せ)が、役構成テーブルで定義された図柄組合せのいずれかと一致するか否かを判定する。CPU101は、役構成テーブルで定義された図柄組合せのいずれかと一致すると判定した場合は、その図柄組合せに対応する役が入賞したと判定するとともに役に対応する特典を特定し、役構成テーブルで定義された図柄組合せのいずれにも一致しないと判定した場合には、何れの役にも入賞していないと判定する。
このように、スロットマシン1における図柄判定処理は、入賞ラインL1上に停止表示した図柄組合せを判定する処理であり、役構成テーブルを用いて実行される。
(4)メダル払出処理の詳細
スロットマシン1におけるメダル払出処理の詳細について説明する。CPU101は、図柄判定処理により、入賞ラインL1上に小役に対応する図柄組合せが停止表示されたと判定した場合には、当該小役に応じた枚数のメダルを払出す処理を実行する。
小役とは、入賞の特典としてメダルの払出しが対応付けられた役であり、スロットマシン1においては、「チェリー1」役(図柄組合せ「チェリー-ANY−ANY」)、「チェリー2」役(図柄組合せ「BAR−ANY−ANY」)、「スイカ1」役(図柄組合せ「スイカ−スイカ−スイカ」)、「スイカ」役(図柄組合せ「7−スイカ−BAR」、「ベル−スイカ−BAR」、または「ベル−スイカ−7」)、「ベル」役(図柄組合せ「ベル−ベル−ベル」、「制御1」役(図柄組合せ「スイカ−プラム−BAR」、「制御2」役(図柄組合せ「スイカ−プラム−チェリー」、「制御3」役(図柄組合せ「スイカ−プラム−プラム」、「制御4」役(図柄組合せ「スイカ−ベル−プラム」、「制御5」役(図柄組合せ「プラム−7−プラム」、「制御6」役(図柄組合せ「プラム−BAR−プラム」、及び「制御7」役(図柄組合せ「プラム−チェリー−プラム」が該当し、それぞれ2枚、2枚、3枚、3枚、9枚、1枚、1枚、1枚、1枚、1枚、1枚、1枚のメダル数が対応付けられている。CPU101は、メダル支払処理において、入賞した役に対応するメダル数を、クレジット数に加算するか、クレジット数が50枚を超えた場合はメダル払出装置を駆動してメダル受皿40に払い出す。
また、CPU101は、図柄判定処理により、入賞ラインL1上に「リプレイ」役(再遊技役)に対応する図柄組合せが停止表示されたと判定した場合には、自動ベット処理を実行する。自動ベット処理では、追加のメダル投入またはクレジットの減少なしに、直前のゲームを開始させるためのベット数と同数をベット数として設定する。
<5.ATゲーム>
スロットマシン1は、通常の遊技状態である非AT状態(通常遊技状態)と、非AT状態と比較して遊技者にとって有利な状態であるAT状態(特別遊技状態)とを備える。スロットマシン1は、所定の開始条件が成立したことを契機として、遊技状態を非AT状態からAT状態に移行させるとともに、所定の終了条件が成立したことを契機として、遊技状態をAT状態から非AT状態に移行させる。このように、スロットマシン1は、非AT状態(通常遊技状態)とAT状態(特別遊技状態)との間で遊技状態を切り替えながら遊技を進行させる。
「AT」とは、アシストタイムの略で、「AT状態」とは、内部抽選処理の結果として特定の抽選対象が決定された場合に、その抽選対象に属する配当の異なる複数の小役のうち、配当の高い小役を入賞させるためのストップボタンの押し順(操作の順序)を遊技者に報知する遊技状態のことをいう。このとき、報知された押し順以外の押し順でストップボタンが操作された場合には、配当の高い小役は入賞させずに、ストップボタンの操作のタイミングに応じて配当の低い小役を入賞させるか、または小役を入賞させない。一方、「非AT状態」とは、内部抽選処理の結果として特定の抽選対象が決定された場合であっても、その抽選対象に属する配当の異なる複数の小役のうち、配当の高い小役を入賞させるためのストップボタンの押し順を遊技者に報知しない状態のことである。
(1)押し順の報知
スロットマシン1のAT状態における押し順の報知に係る処理の流れを、図9を用いて説明する。メイン制御基板100A(CPU101)は、内部抽選処理が実行されると(Sa901)、その結果を示す情報を、データ送出回路106を介して表示制御基板100B(CPU191)へ出力する(Sa902)。表示制御基板100B(CPU191)は、メイン制御基板100Aから通知された内部抽選処理の結果を示す情報を受け付けると(Sb901)、現在の遊技状態がAT状態であるか否かを判断する(Sb902)。AT状態であると判断した場合には(Sb902:YES)、報知内容を特定する処理を実行する(Sb903)。表示制御基板100B(CPU191)は、報知内容を特定する処理により特定された報知内容を、液晶表示装置30に出力させる(Sb904)。一方で、現在の遊技状態がAT状態ではないと判断した場合には、そのまま処理を終了する(Sb902:NO)。
報知内容を特定する処理(Sb903)は、図10に示す押し順報知テーブルを用いて実行される。押し順報知テーブルでは、内部抽選処理の結果としての当選情報と、液晶表示装置30に表示すべき報知内容との対応関係が定義されている。押し順報知テーブルでは、抽選対象6と、第1停止として左ストップボタン13aを操作を促す報知内容、抽選対象7と、第1停止として中ストップボタン13bの操作を促す報知内容、抽選対象8と、第1停止として右ストップボタン13cを操作を促す報知内容、とがそれぞれ対応付けられており、その他の抽選対象には、報知を行わないことが対応付けられている。CPU191は、押し順報知テーブルを参照することで、液晶表示装置30に出力させるための報知内容を特定する(Sb140)。このように、スロットマシン1は、AT状態においては内部抽選処理の結果に応じた報知内容を遊技者に報知する。
(2)停止制御
スロットマシン1における、内部抽選処理の結果としてAT状態での押し順の報知の対象となる抽選対象が決定された場合のリール停止処理について説明する。
上述したように、スロットマシン1は、内部抽選処理で当選した役を可能な限り入賞させるようにリール停止処理を実行する。つまり、ストップボタン13が操作された時点から、引き込み可能な範囲内(最大4図柄分のリールの回転量の範囲内)において、当選している役に係る図柄組合せを構成する図柄が存在する場合には、その図柄を入賞ラインL1上に引き込んで停止表示させる。
CPU101は、図6で示す内部抽選テーブルを用いた内部抽選処理により、例えば抽選対象6を決定した場合には、「ベル」役、「制御1」役、「制御2」役、「制御3」役、「制御4」役、及び「制御5」役を、当選した状態として設定する。この状態において、CPU101は、「ベル」役、「制御1」役、「制御2」役、「制御3」役、「制御4」役、及び「制御5」役のいずれかの役を可能な限り入賞させるようにリール停止処理を実行する。
内部抽選処理により抽選対象6が決定された状態において第1停止として左ストップボタン13aが操作された場合は、CPU101は、左ストップボタン13aが操作された時点での引き込み可能な範囲内に、「ベル」役(9枚配当)を構成する「ベル」図柄の他に、「制御1〜4」役(1枚配当)のいずれかを構成する「スイカ」図柄、又は「制御5」役(1枚配当)を構成する「プラム」図柄が存在する場合であっても、配当が最も高い「ベル」役を構成する図柄である「ベル」図柄を優先的に入賞ラインL1上に停止させるように、左リールR1に対するリール停止処理を実行する。
第1停止として左リールR1で入賞ラインL1上に「ベル」図柄が停止した時点で、入賞の可能性のある役は「ベル」役しか残されていない。このため、CPU101は、中ストップボタン13bと右ストップボタン13cの操作の順番や操作のタイミングに関わらず、中リールR2、右リールR3のそれぞれにおいて、「ベル」役を構成する「ベル」図柄を入賞ラインL1上に停止させるように、中リールR2、右リールR3のそれぞれに対するリール停止処理を実行する。
スロットマシン1では、各リールRにおける各「ベル」図柄は、最大4図柄の間隔で配置されている。つまり、どのようなタイミングでストップボタン13が操作された場合でも、ストップボタン13が操作された時点での引き込み可能な範囲内に存在する「ベル」図柄を停止させるように、各リールRに対するリール停止処理を実行することが可能である。このように、スロットマシン1は、内部抽選処理により抽選対象6が決定された状態において第1停止として左ストップボタン13aが操作された場合には、必ず「ベル」役が入賞するようにリール停止処理を実行する。
一方で、内部抽選処理により抽選対象6を決定した状況において第1停止として右ストップボタン13cが操作された場合は、CPU101は、右ストップボタン13cが時点での引き込み可能な範囲内に、「制御3〜5」役のいずれかを構成する「プラム」図柄(当選している6種類の役のうち3種類の役の入賞に寄与)が存在する場合には、同範囲内に「ベル」役を構成する「ベル」図柄(当選している6種類の役のうち1種類の役の入賞に寄与)が存在する場合であっても、当選した役に係る図柄組合せをできるだけ多く表示する図柄である「プラム」図柄を優先的に入賞ラインL1上に停止させるように、右リールR3に対するリール停止処理を実行する。
第1停止として右リールR3で入賞ラインL1上に「プラム」図柄が停止した時点で、入賞の可能性のある役は「制御3〜5」役のいずれかしか残されていない。このため、CPU101は、以降の停止順序や停止操作のタイミングに関わらず、「制御3〜5」役を可能な限り入賞させるように、左リールR1、中リールR2のそれぞれに対するリール停止処理を実行する。
スロットマシン1では、各リールRにおける各「プラム」図柄は、最大4図柄の間隔で配置されている。つまり、どのようなタイミングでストップボタン13が操作された場合でも、ストップボタン13が操作された時点での引き込み可能な範囲内に存在する「プラム」図柄を停止させるように、各リールRに対するリール停止処理を実行することが可能である。このように、スロットマシン1は、内部抽選処理により抽選対象6が決定された状態において第1停止として右ストップボタン13cが操作された場合には、必ず「ベル」役が入賞しないようにリール停止処理を実行する。
また、内部抽選処理により抽選対象6を決定した状況において第1停止として中ストップボタン13bが操作された場合は、第1停止として右ストップボタン13cが操作された場合と同様に、必ず「ベル」役が入賞しないようにリール停止処理を実行する。
このように、スロットマシン1は、内部抽選処理で抽選対象6が決定された状況において、第1停止で左ストップボタン13aが操作された場合には必ず「ベル」役を入賞させ、第1停止で左ストップボタン13a以外のストップボタン13が操作された場合には必ず「ベル」役を入賞させないように、リール停止処理を実行する。また、内部抽選処理で抽選対象7が決定された状況において、第1停止で中ストップボタン13bが操作された場合には必ず「ベル」役を入賞させ、第1停止で中ストップボタン13b以外のストップボタン13が操作された場合には必ず「ベル」役を入賞させないように、リール停止処理を実行する。また、内部抽選処理で抽選対象8が決定された状況において、第1停止で右ストップボタン13cが操作された場合には必ず「ベル」役を入賞させ、第1停止で右ストップボタン13c以外のストップボタン13が操作された場合には必ず「ベル」役を入賞させないように、リール停止処理を実行する。
上述したように、スロットマシン1は、AT状態において、内部抽選処理で抽選対象6を決定した場合には第1停止として左ストップボタン13aを操作を促す報知内容を、抽選対象7を決定した場合には第1停止として中ストップボタン13bの操作を促す報知内容を、抽選対象8を決定した場合には第1停止として右ストップボタン13cを操作を促す報知内容を、それぞれ液晶表示装置30に出力させる。
以上のように、スロットマシン1は、内部抽選処理により特定の結果が得られた場合(つまり内部抽選処理で抽選対象6〜8のいずれかが決定された場合)に、非AT状態においてはいずれの抽選対象が決定されたかを認識することができないため確実には入賞させることができない「ベル」役を、AT状態においては報知された押し順の通りにストップボタン13を操作することにより、確実に入賞させることができるようになる。
(3)AT状態への移行契機
スロットマシン1は、所定の開始条件の成立を契機として、遊技状態を非AT状態(通常遊技状態)からAT状態(特別遊技状態)に移行させる。また、所定の終了条件の成立を契機として、AT状態(特別遊技状態)から遊技状態を非AT状態(通常遊技状態)に移行させる。図11を用いて、スロットマシン1における遊技状態の移行に係る処理の流れを説明する。
メイン制御基板100A(CPU101)は、現在の遊技状態がAT状態ではないと判断した場合(Sa1101:NO)には、遊技状態をAT状態に移行させるか否かを抽選により決定するためのAT抽選処理を実行する(Sa1102)。AT抽選処理は、図12に示すAT抽選テーブルを用いて実行される。AT抽選テーブルでは、内部抽選処理の結果としての当選情報と、抽選確率(AT状態に移行させることを決定する確率)を示す抽選値との対応関係が定義されている。より具体的には、CPU101は、不図示の乱数発生器から0〜65535の範囲で取得した乱数値と、内部抽選処理の結果としての当選情報に対応する抽選値とを比較して、乱数値が抽選値よりも小さい場合に、AT抽選に当選したと判断する。
CPU101は、AT抽選処理の結果としてAT抽選に当選したと判断した場合には(Sa1103:YES)、遊技状態をAT状態に設定する(Sa1104)とともに、RAM105に記憶されているATゲーム数カウントに30を設定する(Sa1105)。このとき、AT抽選処理の結果としてAT抽選に当選していないと判断した場合には(Sa1103:NO)、そのまま処理を終了する。このように、スロットマシン1は、内部抽選結果に基づいてAT抽選処理を実行し、AT抽選処理の結果に応じて遊技状態を非AT状態からAT状態に移行させる。
一方で、メイン制御基板100A(CPU101)は、現在の遊技状態がAT状態であると判断した場合(Sa1101:YES)には、ATゲーム数カウントが0より大きい値であるか否かを判定する(Sa1106)。ここで、ATゲーム数カウントが0より大きい値であると判定した場合には(Sa1106:YES)、上述した押し順の報知に係る処理を実行して、ATゲーム数カウントを1だけ減算する(Sa1107)。一方で、ATゲーム数カウントが0より大きい値ではないと判定した場合には(Sa1106:NO)、遊技状態を非AT状態に設定する(Sa1108)。
このように、スロットマシン1は、AT状態の開始時に付与されて1ゲームごとに減算されるATゲーム数カウントが0となったことに応じて、遊技状態をAT状態から非AT状態に移行させる。
(4)ゲーム数上乗せ
スロットマシン1は、遊技状態がAT状態である場合に所定の条件が成立したことを契機として、ATゲーム数カウントを加算させるための状態であるゲーム数上乗せ状態に移行する。ゲーム数上乗せ状態は、上乗せ抽選権利付与状態と、上乗せ抽選実行状態とで構成される。
上乗せ抽選権利付与状態では、上乗せ抽選実行状態において抽選を実行する抽選権利の付与に係る抽選が実行される。上乗せ抽選実行状態では、上乗せ抽選権利付与状態において付与された抽選権利に基づいて、ATゲーム数カウントに加算させるゲーム数の決定に係る抽選を実行する。
このように、スロットマシン1は、遊技状態がAT状態である場合に所定の条件が成立したことを契機として、遊技状態をゲーム数上乗せ状態に移行させ、ゲーム数上乗せ状態においてATゲーム数カウントを加算させる。ゲーム数上乗せ状態の詳細を以下に説明する。
(4−1)上乗せ抽選権利付与状態
スロットマシン1は、遊技状態がAT状態である場合に所定の条件が成立したことを契機として、遊技状態を上乗せ抽選権利付与状態に移行させる。所定の条件については詳細な説明を省略するが、スロットマシン1では、遊技状態がAT状態である場合に、上述したAT抽選処理と同様に、内部抽選処理の結果に応じた抽選の実行結果に応じて、遊技状態を上乗せ抽選権利付与状態に移行させる。
図13を用いて、上乗せ抽選権利付与状態に係る処理の流れを説明する。この処理は、1回のゲーム毎に実行される処理である。メイン制御基板100A(CPU101)は、遊技状態が上乗せ抽選権利付与状態であるか否かを判定する(Sa1301)。CPU101は、判定の結果が否定である場合は(Sa1301:NO)、そのまま処理を終了し、判定の結果が肯定である場合は(Sa1301:YES)、アイテム付与抽選を実行する(Sa1302)。
図14は、アイテム付与抽選で利用される上乗せ抽選テーブルAを説明するための説明図である。上乗せ抽選テーブルAは、内部抽選処理の結果としての当選情報と、3種類のアイテムの種別と、抽選値との対応関係を含んで構成されている。本テーブルを用いた抽選方法は内部抽選処理における方法と同様である。例えば、内部抽選処理の結果として抽選対象2が決定された場合には、CPU101は、乱数発生器から取得した乱数値と、抽選対象2に対応する複数の抽選値とを順次に比較することで、1つの抽選値を特定し、特定した抽選値に対応するアイテムを、付与する対象として決定する。抽選値が特定することができない場合は、アイテムを付与しないことを決定する。
スロットマシン1で利用する上乗せ抽選テーブルAでは、内部抽選処理の結果である抽選対象1〜5のそれぞれについて、抽選値が異なる複数のアイテムが関連付けられている。内部抽選処理の結果として抽選対象6〜10が決定された場合には、上述した抽選は実行されない。内部抽選処理の結果として抽選対象1〜5が決定された場合であっても、いずれのアイテムも付与されない場合がある。
メイン制御基板100A(CPU101)は、アイテム付与抽選の抽選結果に係る情報を、データ送出回路106を介して表示制御基板100B(CPU191)へ通知する(Sa1303)。表示制御基板100B(CPU191)は、液晶表示装置30を制御して、メイン制御基板100A(CPU101)から受け付けたアイテム付与抽選の抽選結果に係る情報に基づいて演出画像を表示させる(Sb1301)。
CPU101は、アイテム付与抽選の抽選結果として、アイテムを付与すことが決定されなかった場合は(Sa1304:NO)、そのまま処理を終了する。CPU101は、アイテムを付与することが決定された場合は(Sa1304:YES)、付与することが決定されたアイテムの種別を示す情報を、RAM105に記憶するアイテム情報に追加する(Sa1305)。
CPU101は、付与することが決定されたアイテムの種別に対応する最低獲得ゲーム数を、RAM105に記憶された最低獲得ゲーム数カウンタに累積加算する(Sa1306)。詳細は後述するが、最低獲得ゲーム数として、赤色のアイテムには50、緑色のアイテムには30、黄色のアイテムには10が、それぞれ対応付けられている。
このように、スロットマシン1では、上乗せ抽選権利付与状態において、ゲーム毎に、内部抽選処理の結果に基づいて、赤色、緑色、黄色のいずれかのアイテムを付与するか、もしくはいずれのアイテムも付与しないかを、抽選により決定する。
次に、CPU101は、所定の条件が成立したか否かを判定する(Sa1307)。CPU101は、所定の条件が成立しなかったと判定した場合には(Sa1307:NO)、そのまま処理を終了し、所定の条件が成立したと判定した場合には(Sa1307:YES)、RAM105に記憶する遊技状態を上乗せ抽選実行状態に設定する(Sa1308)。なお、上乗せ抽選権利付与状態において1以上のアイテムの付与が決定されなかった場合には、遊技状態を上乗せ抽選実行状態に設定する代わりにAT状態に設定してもよい。
スロットマシン1では、遊技状態がAT状態に移行してから最初に移行した上乗せ抽選権利付与状態においては、「アイテムが2つ付与されたこと」と「最低獲得ゲーム数カウンタが50以上であること」との2つの条件の両方が成立した場合に、遊技状態を上乗せ抽選権利付与状態から上乗せ抽選実行状態に移行させる。
なお、スロットマシン1では、遊技状態がAT状態に移行してから2回目以降に移行した上乗せ抽選権利付与状態においては、「アイテムが2つ付与されたこと」の1つの条件が成立した場合に、遊技状態を上乗せ抽選権利付与状態から上乗せ抽選実行状態に移行させる。
2回目以降に移行した上乗せ抽選権利付与状態における所定の条件と、最初に移行した上乗せ抽選権利付与状態における所定の条件とは、「アイテムが2つ付与されたこと」という条件の部分において共通している。さらに、上乗せ抽選権利付与状態が終了する条件は、最初に移行した上乗せ抽選権利付与状態では2つ条件が成立することであるのに対して2回目以降に移行した上乗せ抽選権利付与状態では1つ条件が成立することのみであるため、相対的に、最初に移行した上乗せ抽選権利付与状態は終了する可能性が低く、2回目以降に移行した上乗せ抽選権利付与状態は終了する可能性が高くなる。また、アイテムが2つ付与された場合における最低獲得ゲーム数カウンタの最低値は、最初に移行した上乗せ抽選権利付与状態では50であるのに対し、2回目以降に移行した上乗せ抽選権利付与状態では20である。
このように、スロットマシン1では、最初に移行した上乗せ抽選権利付与状態と、2回目以降に移行した上乗せ抽選権利付与状態とで、同一の上乗せ抽選テーブルAを利用しながら上乗せ抽選実行状態における抽選権利の付与に係る抽選を実行しつつ、上乗せ抽選権利付与状態が終了する条件について、それぞれ1以上の要素条件の集合として当該終了条件を構成し、かつ、一部の要素条件を共通のものとしながら全体としての終了条件を異ならせることにより、付与されるアイテムの期待値をそれぞれ異ならせることができる。
(4−2)上乗せ抽選実行状態
スロットマシン1は、遊技状態が上乗せ抽選権利付与状態である場合に上述した所定の条件が成立したことを契機として、遊技状態を上乗せ抽選実行状態に移行させる。上乗せ抽選実行状態では、ゲーム毎に、上述した上乗せ抽選権利付与状態において付与されたアイテムに基づいて、ATゲーム数カウントに加算させるゲーム数を決定するための抽選を実行する。
図15を用いて上乗せ抽選実行状態に係る処理の流れを説明する。この処理は、1回のゲーム毎に実行される処理である。メイン制御基板100A(CPU101)は、遊技状態が上乗せ抽選実行状態であるか否かを判定する(Sa1501)。CPU101は、判定の結果が否定である場合は(Sa1501:NO)、そのまま処理を終了し、判定の結果が肯定である場合は(Sa1501:YES)、上乗せゲーム数抽選を実行する(Sa1502)。
図16は、上乗せゲーム数抽選で利用される上乗せ抽選テーブルBを説明するための説明図である。上乗せ抽選テーブルBは、3種類のアイテムの種別と、ゲーム数と、抽選値との対応関係を含んで構成されている。本テーブルを用いた抽選方法は内部抽選処理における方法と同様である。例えば、赤色のアイテムに応じた抽選を実行する場合には、CPU101は、乱数発生器から取得した乱数値と、赤色に対応する複数の抽選値とを順次に比較することで、1つの抽選値を特定し、特定した抽選値に対応するゲーム数を、RAM105に記憶されたATゲーム数カウントに加算する(Sa1503)。上乗せ抽選テーブルBを利用した抽選では、必ずいずれかのゲーム数が決定される。
メイン制御基板100A(CPU101)は、上乗せゲーム数抽選の抽選結果に係る情報を、データ送出回路106を介して表示制御基板100B(CPU191)へ通知する(Sa1504)。表示制御基板100B(CPU191)は、液晶表示装置30を制御して、メイン制御基板100A(CPU101)から受け付けた上乗せゲーム数抽選の抽選結果に係る情報に基づいて演出画像を表示させる(Sb1501)。
CPU101は、RAM105に記憶されたアイテム情報を更新する(Sa1505)。具体的には、今回の上乗せゲーム数抽選に対応するアイテムの情報を、RAM105から消去する。これは、1個のアイテムの消費に伴い1回の上乗せゲーム数抽選が実行されたことを意味する。
次に、CPU101は、未消費のアイテムが存在するか否かを判定する(Sa1506)。CPU101は、判定の結果が肯定である場合は(Sa1506:YES)、そのまま処理を終了し、判定の結果が否定である場合は(Sa1506:NO)、RAM105に記憶する遊技状態をAT状態に設定する(Sa1507)。
このように、スロットマシン1では、上乗せ抽選権利付与状態において付与されたアイテムの分だけ、ATゲーム数カウントに加算させるゲーム数を決定するための抽選を実行する。全てのアイテムを消費し終えると、上乗せ抽選実行状態が終了してAT状態に移行する。
スロットマシン1では、上乗せ抽選権利付与状態において、複数のアイテムが付与された場合に、付与された順序とともにアイテムの種別を示す情報を、RAM105に記憶する。そして、上乗せ抽選実行状態では、上乗せ抽選権利付与状態においてアイテムが付与された順序に従って、上乗せゲーム数抽選が実行される。例えば、上乗せ抽選権利付与状態において、緑色、黄色、赤色の順にアイテムが付与された場合、上乗せ抽選実行状態においては、緑色、黄色、赤色の順に、上乗せゲーム数抽選が実行される。
このように、スロットマシン1は、遊技状態がAT状態である場合に所定の条件が成立したことを契機として、遊技状態をゲーム数上乗せ状態に移行させ、ゲーム数上乗せ状態において決定されたゲーム数がATゲーム数カウントに加算される。
<7.変形例>
前述の各形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は相互に矛盾しない範囲で適宜に併合され得る。
(1)変形例1
上述の各形態では、上乗せ抽選権利付与状態における2種類の終了条件について、相対的に成立し難い方の条件を、2つの条件の両方の成立を要件とする構成について説明した。しかし、相対的に成立し易い方の条件を、2つの条件のいずれかの成立を要件とするように構成してもよい。
このように構成した場合、例えば、遊技状態がAT状態に移行してから最初に移行した上乗せ抽選権利付与状態においては、「アイテムが2つ付与されたこと」の1つの条件が成立した場合に、遊技状態を上乗せ抽選権利付与状態から上乗せ抽選実行状態に移行させ、遊技状態がAT状態に移行してから2回目以降に移行した上乗せ抽選権利付与状態においては、「アイテムが2つ付与されたこと」と「最低獲得ゲーム数カウンタが20以上であること」との2つの条件のいずれかが成立した場合に、遊技状態を上乗せ抽選権利付与状態から上乗せ抽選実行状態に移行させてもよい。このように、複数の異なる終了条件における一部の条件が共通している構成において、それぞれの条件が適宜に設定されてもよい。
(2)変形例2
上述の各形態では、遊技状態がAT状態に移行してから最初に移行した上乗せ抽選権利付与状態と、遊技状態がAT状態に移行してから2回目以降に移行した上乗せ抽選権利付与状態とで、その終了条件の成立のし易さの程度を異ならせる構成について説明した。しかし、遊技状態の上乗せ抽選権利付与状態への移行回数としての、終了条件の成立のし易さの程度を異ならせる基準となる回数は、目的とする遊技性に応じて適宜に設定されてもよい。
例えば、遊技状態がAT状態に移行してから最初に移行した上乗せ抽選権利付与状態から3回目に移行した上乗せ抽選権利付与状態までの間は、成立し難い終了条件を設定し、4回目以降では、成立し易い終了条件と成立し難い終了条件とが交互に設定されるように、各終了条件を構成してもよい。
(3)変形例3
上述の各形態では、上乗せ抽選権利付与状態においてアイテムが付与された順序に従って、上乗せゲーム数抽選が実行される構成について説明した。しかし、上乗せゲーム数抽選の実行に対応するアイテムの順序を、上乗せ抽選権利付与状態で付与されたアイテムの順序と異なるように構成してもよい。
例えば、上乗せ抽選権利付与状態で付与された1以上のアイテムを、価値の低いものから順番に並べ替えるソート処理を実行し、並べ替えたアイテムの順番に応じて、上乗せゲーム数抽選が実行されるように構成してもよい。このように構成することで、より多くのゲーム数に決定される可能性の高い抽選が後回しにされることになり、遊技者の抽選への関心をより持続させることが可能となる。このように、上乗せ抽選権利付与状態で付与されたアイテムの順序に応じた上乗せゲーム数抽選の抽選順序は、目的とする遊技性に応じて適宜に設定されてもよい。
(4)変形例4
上述の各形態では、ATゲーム数カウントへのゲーム数の追加に係る抽選について、その終了条件の成立のし易さの程度を異ならせる構成について説明した。しかし、本発明において抽選の対象とする要素はATゲーム数カウントに追加されるゲーム数に限られず、任意の抽選対象が設定されてもよい。例えば、当選の期待度の異なる複数のAT抽選に係る状態を備えた遊技機において、いずれのAT抽選の状態に移行させるかを抽選で決定するような場面において、本発明が適用されてもよい。このように、その終了条件の成立のし易さの程度が異なる構成において、その抽選の対象が目的とする遊技性に応じて適宜に設定されてもよい。
(5)変形例5
上述の各形態では、ATゲーム数カウントへのゲーム数の追加に係る抽選について、その終了条件の成立のし易さの程度を2種類備え、当該抽選の状態への移行回数に応じて、その終了条件の成立のし易さの程度を異ならせる構成について説明した。しかし、終了条件の成立のし易さの程度は2種類に限られず、3種類以上の終了条件の成立のし易さの程度から、適宜に選択された終了条件が設定されるようにしてもよい。
(6)変形例6
上述の各形態では、上乗せ抽選権利付与状態の終了条件を構成する1以上の要素条件として、付与された特典の数に係る条件と、特典の価値の総量に係る条件とが設定される構成について説明した。しかし、その終了条件の成立のし易さの程度が異なり、かつ、複数の異なる終了条件における一部の条件が共通している構成において、上乗せ抽選権利付与状態の終了条件を構成する1以上の要素条件のそれぞれの内容は、目的とする遊技性に応じて適宜に設定されてもよい。