<1.用語の定義>
本明細書で用いる用語について、以下に説明する。
「可変表示装置」とは、複数の図柄で構成された表示列を複数備え、それぞれの表示列の図柄を可変表示させる表示装置のことをいう。表示列がリールで構成される場合には、リールの回転動作によりリール上に配置された図柄を可変表示させる。表示列が液晶表示器等による表示画像で構成される場合には、表示画像の内容を変化させることで表示画像としての図柄を可変表示させる。
「リール窓」とは、可変表示装置の備える表示列を構成する複数の図柄の一部を遊技者に視認可能とするものをいう。
「停止図柄」とは、可変表示装置により表示列の図柄の可変表示を停止した場合において、表示列を構成する複数の図柄のうち、リール窓を通して遊技者に視認可能な図柄のことをいう。リール窓内に図柄が停止することを「停止表示」という。
「遊技媒体」とは、遊技機に使用されるメダル又は遊技球のことをいう。遊技機に電気的又は磁気的に記憶された遊技媒体の数を示す情報のことを「クレジット」といい、その数を「クレジット数」という。
「ベット」とは、ゲームを開始するために必要な遊技媒体を設定することをいう。ベットされた遊技媒体はゲームの開始とともに消費される。ゲームを開始するために設定された遊技媒体の数のことのことを「ベット数」という。「ベットボタン」とは、ゲームを開始するために必要な遊技媒体を設定するために遊技者が操作するための装置のことをいう。
「ゲーム」とは、スタートレバーの操作を契機として可変表示装置による表示列の図柄の可変表示を開始したときから入賞の判定の結果に基づく処理が終了するまでの一連の過程のことをいう。「1ゲーム」、「1回のゲーム」とは、その一連の過程の1回分のことをいう。
「スタートレバー」とは、ゲームの開始を指示するために遊技者が操作するための装置のことをいう。
「ストップボタン」とは、可変表示装置が備える表示列の図柄の可変表示の停止を指示するために遊技者が操作するための装置のことをいう。複数の表示列にそれぞれ対応する複数のストップボタンが遊技機に備えられている。
「内部抽選」とは、ゲームの開始を契機として、予め定められた複数の役から、1もしくは複数の役の当選または何れの役も当選しないハズレを、抽選により決定することをいう。
「役」とは、所定の特典に対応付けられた図柄組合せパターンのことをいう。役に対応する図柄組合せが入賞ライン上に停止表示した場合に、役に対応する特典が付与される。役の「入賞」とは、役に対応する図柄組合せが入賞ライン上に停止表示することをいう。役の「当選」とは、内部抽選の結果として、役の入賞が許容される状態になることをいう。役は、特典の種別に応じてボーナス役、小役、再遊技役に大別される。小役は、入賞に応じてメダルが払出される役である。再遊技役は、入賞に応じて追加のベットなしに再度のゲームの開始が可能となる役である。ボーナス役は、メダルの払出しに関して有利な状態に移行する契機となる役であり、後述するSB役、RB役、BB役、CB役、またはMB役に分類される。
「入賞ライン」とは、役の入賞を判定する対象である所定の図柄位置の組合せのことをいう。ベットに応じて入賞の判定が無効の状態から有効な状態に変化する。「入賞ライン上」とは、入賞ラインに係る図柄位置のことをいう。
「停止テーブル」とは、ストップボタンが操作された場合に、ストップボタンが操作されたタイミングに応じて表示列の図柄をどのように停止表示させるかを定義したテーブルのことをいい、リールの停止制御に利用される。
「役構成テーブル」とは、役と入賞に係る図柄組合せとの対応関係を定義したテーブルのことをいい、入賞の判定処理に利用される。
「SB」とは、遊技規則上の「普通役物」のことをいう。SB役の入賞に応じて、小役の当選する確率が変動した遊技状態(SB遊技状態)に移行する。SB遊技状態は、1ゲームの終了により終了する。
「RB」とは、遊技規則上の「第一種特別役物」のことをいう。RB役の入賞に応じて、小役の当選する確率が変動した遊技状態(RB遊技状態)に移行する。RB遊技状態は、予め定められた回数の入賞、またはBB遊技状態の終了により終了する。
「BB」とは、遊技規則上の「第一種特別役物に係る役物連続作動装置」のことをいう。BB役の入賞に応じて、RB遊技状態に連続的に移行する遊技状態(BB遊技状態)に移行する。BB遊技状態は、予め定められた数を超える遊技媒体の獲得により終了する。
「CB」とは、遊技規則上の「第二種特別役物」のことをいう。CB役の入賞に応じて、抽選によらず小役が当選する遊技状態(CB遊技状態)に移行する。CB遊技状態では、1以上の表示列について、停止操作を受け付けてから表示列の図柄の可変表示が停止するまでの時間が、CB遊技状態以外の遊技状態よりも短い時間で制御される。CB遊技状態は、1ゲームの終了により終了する。
「MB」とは、遊技規則上の「第二種特別役物に係る役物連続作動装置」のことをいう。MB役の入賞に応じて、CB遊技状態に連続的に移行する遊技状態(MB遊技状態)に移行する。MB遊技状態は、予め定められた数を超える遊技媒体の獲得、またはSB役もしくはRB役の当選により終了する。
「持ち越し」とは、RB役、BB役、およびMB役について、当選が決定されてから入賞するまで当選の状態が継続することをいう。持ち越しをしている状態を「内部中」ともいう。SB役およびCB役は、入賞の有無に関わらず、当選が決定されたゲーム以降のゲームには当選の状態が継続しない。
以下に、本発明に係る遊技機を、実施形態としてスロットマシンを例に説明する。
<2.遊技機の外観構成>
図1は、本発明の実施形態に係るスロットマシン1の概観を示す斜視図である。スロットマシン1は、前面が開口した箱状の本体2と本体2の前面に配置した前面扉3から構成されている。本体2と前面扉3とは片側で蝶番により開閉できるようになっている。前面扉3は、遊技者が遊技を行うためのボタン類を配置した操作部OP、可変表示装置RLが備える各リールR1〜R3の図柄を視認するリール窓20や遊技の進行に係る情報を表示するための表示器類を配置したパネル表示部DP、遊技の進行に係る情報を表示するための液晶表示器類や電飾装置を配置した演出表示部TP及び受皿部BPから構成されている。
操作部OPには、操作部OPの上面右側にメダル投入口10を配置し、上面左側にベットボタン11が配置されている。メダル投入口10へのメダルの投入、またはベットボタン11を操作することにより、スロットマシン1に対してベットすることができる。ベットボタン11の下部位置の前面側には、可変表示装置RLの各リールR1〜R3の回転動作の開始を指示するためのスタートレバー12を配置し、その右側には左リールR1の回転動作の停止を指示するための左ストップボタン13a、中リールR2の回転動作の停止を指示するための中ストップボタン13b及び右リールR3の回転動作の停止を指示するための右ストップボタン13cを配置し、遊技を進行させるための基本操作順序となる、ベットボタン11→スタートレバー12→左ストップボタン13a→中ストップボタン13b→右ストップボタン13cという、一連の流れの操作を行い易いようになっている。
スタートレバー12の左側には、クレジットを精算してメダル受皿40にメダルを払い出す精算ボタン14を配置する。この精算ボタン14は遊技をやめる場合に使用し、操作の頻度が低いことや遊技中に誤って操作しないよう、上記一連の操作の流れから外れる位置に配置してある。さらに操作部OPには、メダル貸機がスロットマシン1に接続されている場合に使用する貸出ボタン15、メダル貸機に挿入されたプリペイカードや現金を返却する返却ボタン16及びメダル貸機の貸出可能な度数表示が行われる度数表示器17が設けてある。なお、このように、スロットマシン1にメダル貸機が接続されている場合には、スロットマシン1のこれらの貸出ボタン15、返却ボタン16の操作によるメダル貸機の作動及び度数表示器17による度数表示は、メダル貸機の制御によって行われる。
パネル表示部DPには、1つのリールにつき3個の連続した図柄が目視でき、3つのリールで9個分の図柄をのぞむ透明アクリル板からなるリール窓20を設け、さらにリール窓20内には入賞ラインが形成される。このリール窓20の左側には、入賞ラインに対応した入賞ライン表示器21を設け、メダルを3枚投入すると入賞ラインに対応した入賞ライン表示器21が点灯するようになっている。
また、遊技の結果、入賞ライン上に役に対応する図柄組合せが成立した場合には役の入賞となり、入賞ラインに対応した入賞ライン表示器21が点滅表示し、遊技者に知らせるようになっている。また、リール窓20の右側には、役が入賞した場合に点灯する表示器や遊技状態に応じて点灯するLEDなどの複数のLEDが配置された遊技ガイド表示器22が設けられている。さらにリール窓20の下側には、クレジット数を表示するクレジット数表示器23a、特定の遊技状態におけるメダルの獲得枚数を表示する獲得枚数表示器23b、及び役が入賞した場合に付与されたメダル数を表示する配当数表示器23cから構成される遊技価値情報表示部23を有している。
演出表示部TPには、遊技の進行状況を画像で表示する液晶表示装置30、遊技の進行状況に応じて色彩や点灯パターンを変化させて表示させる電飾LED31及び遊技の進行状況に応じて変化させるBGMやボタン操作に応じた操作音、ガイド音声を出力するスピーカ32が配置されている。
受皿部BPには、メダル払出装置が駆動されてメダル払出口40aから排出されたメダルを貯めるメダル受皿40を設け、メダル受皿40の左側には灰皿を設けてある。
(1)リール可変表示装置の構成
図2は、スロットマシン1の可変表示装置RLの構造を示す説明図である。図2(A)は、可変表示装置RL全体の構造を示し、図2(B)は、右リールの詳細の構造を示す。
リールR1〜R3は、透明なABS樹脂等からなり、軸部から放射線状に延びた複数のスポーク部と環状の枠からなるリール枠56a〜56cと、そのリール枠56a〜56cの周面に貼り付けられている20個の各種の図柄(図柄番号PN:1〜20)が印刷されたリール帯58a〜58cから構成される。リールR1〜R3は、ステッピングモータ54a〜54cに固定され回転動作するようになっている。リールR1〜R3の回転動作には、400ステップのパルスを供給することで1回転するステッピングモータ54a〜54cを使用し、所定のパルスを供給することで所定の図柄をリール窓20に停止表示させることができる。さらにLED(図示せず)を設置したバックライト装置53a〜53cを設け、リール帯58a〜58cの内側から光を照射できるようになっている。このように、リール帯58a〜58cの内側からバックライト装置53a〜53cによって光を照射することで、遊技者にリール帯58a〜58c上の図柄を目立たせることができる。
またスポーク部の一つに検知板57a〜57cを取り付け、リール位置検出センサ55a〜55cによって、リールR1〜R3が1回転するごとに1パルスのリール位置検出信号155a〜155cを出力できるようになっている。このリール位置検出信号155a〜155cを検知してから10ステップ進めたときに、図柄番号PN=1がリール窓20内に表示される各リールの中段の図柄位置により形成されるセンターライン上に位置するように検知板57a〜57cとリール帯58a〜58cとの位置が設定してある。
可変表示装置RLにおいて、リールR1〜R3、リールR1〜R3が固定されたステッピングモータ54a〜54c、バックライト装置53a〜53c及びリール位置検出センサ55a〜55cを、それぞれベース板52a〜52cに固定することで一つのユニット構成としている。また、可変表示装置RLは、ベース板52a〜52cを可変表示装置RLのケース体50に設けられたガイドレール51a〜51cに沿って挿入してケース体50内に収容するようになっている。
図3(A)は、リール帯58a〜58cに印刷された図柄の配置を示す説明図である。左、中、右のそれぞれのリールには20個の図柄を等間隔で配置して印刷されている。400ステップのパルスを供給することで1回転するステッピングモータ54a〜54cを使用しているので、20個の図柄を配置すると図柄の間隔は20ステップとなる。また、リール位置検出信号155a〜155cを検知してから10ステップ進めたときに、図柄番号PN=1がリール窓20内のセンターライン上に位置するようにしているので、リール位置検出信号155a〜155cを検知してから30ステップ進めれば図柄番号PN=2がセンターライン上に位置し、50ステップ進めれば図柄番号PN=3がセンターライン上に位置し、390ステップ進めれば図柄番号PN=20がセンターライン上に位置することになる。390ステップより先に進めると、再びリール位置検出信号155a〜155cが検知される。これにより、リール位置検出信号155a〜155cが検知されたタイミングを基点にして、進めるステップ数により所定の図柄をセンターライン上に位置させることができる。
図3(B)は、スロットマシン1の入賞ラインを示す説明図である。スロットマシン1は2つの入賞ラインL1とL2とを備えている。入賞ラインL1は、リール窓20内に表示される図柄のうち、左リールR1における下段の図柄位置と、中リールR2における中段の図柄位置と、右リールR3における上段の図柄位置とにより形成される。入賞ラインL2は、リール窓20内に表示される図柄のうち、左リールR1における上段の図柄位置と、中リールR2における中段の図柄位置と、リールR3における下段の図柄位置とにより形成される。スロットマシン1は、入賞ラインL1または入賞ラインL2のいずれかの入賞ライン上に、役に対応する図柄組合せが停止表示したと判定された場合に、役に対応する特典が付与される。
<3.スロットマシンの電気的構成>
図4は、スロットマシン1の電気的構成を示すブロック図である。スロットマシン1は、遊技の主たる制御を行うメイン制御基板100A、液晶表示器に対して表示制御を行い画像表示する表示制御基板100B、パネル表示部DP又は演出表示部TPのLED類や音の演出の制御を行う電飾制御基板100Cを備えている。メイン制御基板100Aは、CPU(central processing unit)101、クロック発生回路a102、クロック発生回路b103、ROM(read-only memory)104、RAM(random-access memory)105、データ送出回路106、入出力ポート107から構成されている。なお、CPU1
01としてROMやRAMを内蔵しているものを採用することができる。その場合には、外付けのROM104、RAM105を備えなくてもよい。
CPU101は、ROM104に格納されたプログラムを、クロック発生回路a102で発生したCLK信号のタイミングに基づいて読み出し、プログラムを逐次実行する。CPU101は、電源が投入されるとあらかじめ定められたアドレスからメインプログラムを実行し、クロック発生回路a102の周期とは異なるクロック発生回路b103で発生されられたINTR信号のタイミングで、あらかじめ定められたアドレスから始まる割込みプログラムを実行する。ここで、INTR信号のタイミングは、例えば、2ミリ秒である。CPU101はプログラムの実行に応じて、各種フラグや各種カウンタなどの各種の遊技情報をRAM105に保存する。外部から供給される電源が遮断した場合でも、RAM105は電池により記憶情報が保持されており、その後電源が復帰した場合には、電源断発生の直前の状態から再開する。CPU101は、入出力ポート107を介して各種ボタン、センサの状態を読み取り、各種モータ、LEDを駆動する。
ベット操作指示信号111a〜111c、開始操作指示信号112、停止操作指示信号113a〜113c及び精算操作指示信号114は、それぞれ操作部OPに設けられたベットボタン11、スタートレバー12、ストップボタン13a〜13c、精算ボタン14ボタンが遊技者に操作されたことに応じて出力される信号であり、入出力ポート107を介してCPU101に入力されることで検知される。
表示制御信号123a〜123cは、それぞれパネル表示部DPに設けられたクレジット数表示器23a、獲得枚数表示器23b、配当数表示器23cに表示するための表示信号であり、入出力ポート107を介してCPU101より駆動される。リール位置検出信号155a〜155cのそれぞれは、可変表示装置RLのそれぞれのリールに対応し、リールが1回転するたびに1回検出する信号であり入出力ポート107を介してCPU101に入力される。リール駆動信号154a〜154cのそれぞれは、リール可変表示装置RLのそれぞれのリールR1〜R3を駆動するステッピングモータ駆動信号であり、入出力ポート107を介してCPU101より駆動される。
メダル投入信号160は、メダル投入口10から通ずる前面扉3の内部に設けられたメダル検出装置に設けられたメダル投入センサが、投入されたメダルを検出した場合に出力される信号であり、入出力ポート107を介してCPU101に入力される。また、メダルブロック信号161はメダル検出装置に設けられたソレノイドを駆動する信号であり入出力ポート107を介してCPU101より駆動される。メダル払出信号162は、メダル払出装置のメダル放出部に設けられたメダル払出センサが、メダル払出装置により払い出されたメダルを検出した場合に出力される信号であり、入出力ポート107を介してCPU101に送られる。また、払出駆動信号163はメダル払出装置に設けられたモータを駆動する信号であり、入出力ポート107を介してCPU101より駆動される。
CPU101は、データ送出回路106を介して表示制御基板100B及び電飾制御基板100Cへ各種コマンドを出力する。電飾制御基板100Cは、メイン制御基板100Aより各種コマンドを受信し、入賞ライン表示器21、遊技ガイド表示器22、電飾LED31による電飾装置の点灯制御、可変表示装置RLに設けられたバックライト装置53a〜53cの点灯制御及びBGMなどのサウンドをスピーカ32から出力する。
表示制御基板100Bは、CPU(central processing unit)191、クロック発生回路c192、クロック発生回路d193、ROM(read-only memory)194、RAM(random-access memory)195、データ入力回路196及びグラフィックLSIとその周辺回路からなる表示回路197を備えている。このCPU191は、ROM194に格納されたプログラムを、クロック発生回路c192で発生したCLK信号のタイミングに基づいて読み出し、プログラムを逐次実行する。CPU191は、電源が投入されるとあらかじめ定められたアドレスからメインプログラムを実行し、クロック発生回路c192の周期とは異なるクロック発生回路b193で発生されられたINTR1信号のタイミングで、あらかじめ定められたアドレスから始まる割込みプログラムを実行する。ここで、INTR1信号のタイミングは、例えば、2ミリ秒とする。CPU191のストローブ信号は、プログラムの実行に応じて、各種フラグや各種カウンタなどの各種の遊技情報をRAM195に保存する。また、メイン制御基板100Aのデータ送出回路からのデータ送出タイミングに同期して送出されるストローブ信号に基づいてINTR2信号を発生させ、このINTR2信号のタイミングで、あらかじめ定められたアドレスから始まる割込みプログラムを実行する。
<4.ゲーム基本処理>
スロットマシン1における1回のゲームに係る処理の流れを、図5を用いて説明する。
<4−1.処理の流れ>
(1)メダル受付処理
スロットマシン1は、メダル投入口10へメダルが投入されると、投入されたメダルを受け付けてスロットマシン1の内部に取り込むか、投入されたメダルを受け付けずにメダル受皿40に返却する(Sa501)。
具体的には、ベット数が3かつクレジット数が50未満の場合にメダル投入口10へメダルが投入されると、CPU101は、投入されたメダルをスロットマシン1の内部に取り込むとともに、投入されたメダルの枚数だけクレジット数を加算する。また、ベット数が3かつクレジット数が50の場合にメダル投入口10へメダルが投入されると、CPU101は、メダル検出装置に設けられたソレノイドを駆動して、投入されたメダルをメダル受皿40に返却する。
(2)ベット処理
スロットマシン1は、メダル投入口10へのメダルの投入、ベットボタン11の操作、または再遊技役の入賞に応じて、ゲームの開始に必要なベット数を設定する(Sa502)。
具体的には、ベット数が3未満の場合にメダル投入口10にメダルが投入されると、CPU101は、投入されたメダルの枚数だけベット数を加算する。また、ベット数が3未満の場合にベットボタン11が操作されると、CPU101は、クレジット数を減算してベット数を加算する。また、詳細は後述するが、再遊技役が入賞した場合には、CPU101は、そのゲームでベットされていたベット数を、クレジット数の減算なしに再びベットする自動ベット処理を実行する。
(3)レバー受付処理
スロットマシン1は、3枚のメダルがベットされている状態でスタートレバー12の操作を受け付けた場合にゲームを開始させる(Sa503)。具体的には、ベット数が3に設定された状態でスタートレバー12が操作されると、CPU101は、後述する内部抽選処理以降の遊技処理を実行する。一方で、ベット数が3未満に設定された状態でスタートレバー12が操作された場合には、CPU101は、内部抽選処理以降の遊技処理を実行しない。
(4)内部抽選処理
スロットマシン1は、ゲームの開始にともない、ゲームの結果を導出するための情報を抽選により決定する(Sa504)。ベット数が3に設定された状態でスタートレバー12が操作されると、CPU101は、内部抽選処理を実行する。内部抽選処理の詳細については後述する。
(5)リール回転処理
スロットマシン1は、内部抽選処理の実行とともに、リールR上に配置された図柄を可変表示させるためにリールR1〜R3のそれぞれを回転させる(Sa505)。具体的には、CPU101は、ステッピングモータ54a〜54cのそれぞれに対して継続的にパルスを供給することで、リールR1〜R3のそれぞれを回転させる。
(6)リール停止処理
スロットマシン1は、リールRの回転中にストップボタン13が操作されるとリールRの回転動作を停止させる(Sa506)。リールRの回転中にストップボタン13が操作されると、CPU101は、操作されたストップボタン13に対応するリールRが固定されたステッピングモータ54に所定のパルスを供給することで、対応するリールRの回転動作を停止させる。リール停止処理の詳細については後述する。
(7)図柄判定処理
スロットマシン1は、リールR1〜R3の全てが停止した後に、入賞ラインL上に停止表示された図柄組合せを判定する(Sa507)。リールR1〜R3の全てが停止した後に、CPU101は、入賞ラインL上に停止表示された図柄組合せが、予め定められた所定の図柄組合せであるか否かにより役の入賞を判定する。
(8)メダル払出処理
スロットマシン1は、入賞ラインL上に小役に対応する図柄組合せが停止表示されたと判定した場合には、メダルの払出処理を実行する(Sa508)。
(9)状態移行処理
スロットマシン1は、所定の条件の成立に応じて遊技状態を移行させる(Sa509)。例えば、ボーナス役に入賞した場合に、遊技状態を通常状態からボーナスゲーム状態に移行させる。また、ボーナスゲームの終了条件が成立した場合に、遊技状態をボーナスゲーム状態から通常状態に移行させる。スロットマシン1は、状態移行処理を実行した後に、1回のゲームに係る処理を終了する。
より具体的には、スロットマシン1においては、ボーナス役が作動していない状態である通常遊技状態においてMB役に入賞したことを条件に、遊技状態をMB遊技状態へ移行させる。MB遊技状態中に、135枚を超えるメダルが払出されたこと、またはSB役が当選したことを条件に、遊技状態を通常遊技状態に移行させる。また、通常遊技状態においてSB役に入賞したことを条件に、遊技状態をSB遊技状態へ移行させる。SB遊技状態は、1回のゲームの終了を条件として、遊技状態を通常遊技状態に移行させる。
<4−2.各処理の詳細説明>
上述した1回のゲームに係る各処理の詳細について説明する。
(1)内部抽選処理の詳細
スロットマシン1における内部抽選処理の詳細について説明する。内部抽選処理は、予め定められた複数の役から、1もしくは複数の役の当選または何れの役も当選しないハズレを抽選により決定するための処理であり、抽選テーブルを用いて実行される。
図6はスロットマシン1における役構成テーブルを説明するための説明図である。役構成テーブルは、役と図柄組合せと特典との対応関係を含んで構成されている。例えば、「小役5」については、図柄判定処理により、入賞ラインL上に、左リールR1から右リールR3にかけて、図柄組合せ「青7−スイカ−スイカ」が停止表示されたことを判定することで「小役5」の入賞を判定し、メダル払出処理により、「小役5」の入賞に応じて1枚のメダルを払出す処理を実行する際の判定処理に利用される。スロットマシン1では、内部抽選処理により当選し得る役として全部で19種類の役を備えており、小役1〜9、MB役、SB役、再遊技役1〜8が存在している。
図7は、スロットマシン1における内部抽選処理で利用される抽選テーブルを説明するための説明図である。抽選テーブルは、ボーナス役の作動状態や再遊技役の当選が高確率の状態であるRT状態ごとに、役と抽選値との対応関係を含んで構成されている。抽選値は役の当選確率を示している。
抽選テーブルを用いて役の当選を決定する内部抽選処理について具体的に説明する。CPU101は、不図示の乱数発生器により0〜65535の範囲から1つの乱数値を取得する。次に、取得した乱数値を、抽選テーブルで定義された複数の抽選値と順次に比較する。具体的には、CPU101は、乱数発生器から取得した乱数値を、抽選テーブルにおける1番目の抽選値と比較する。比較した結果、乱数値が抽選値未満の場合には、1番目の抽選値に対応付けられた役の当選を決定する。乱数値が抽選値以上の場合には、乱数値を、1番目の抽選値に2番目の抽選値を加算した値と比較する。比較した結果、乱数値が1番目と2番目の抽選値の合計値未満の場合には、2番目の抽選値に対応付けられた役の当選を決定する。
このように、乱数値が、1番目からN番目までの抽選値の合計値未満となるまで繰り返したときのN番目の抽選値に対応付けられた役を、当選する役として決定する。例えば、CPU101は、通常遊技状態において、乱数発生器から取得した乱数値が6317である場合、乱数値は1番目の抽選値(2500)以上であるので、この値に2番目の抽選値(2500)を加える。乱数値(6317)は、1番目と2番目の抽選値の合計値(5000)以上であるので、これに3番目の抽選値(2500)を加算する。乱数値(6317)は、1番目〜3番目の抽選値の合計値(7500)未満であるので、3番目の抽選値に対応付けられた役の当選を決定する。つまり、小役1〜3、および小役5の4種類の小役が同時に当選することを決定する。
このように、スロットマシン1における内部抽選処理では、遊技状態やRT状態に応じて適宜に選択される抽選テーブルを参照して、乱数発生器から取得した乱数値に基づいて役の当選が決定される。当選が決定された役の情報は、当選情報としてRAM105に記憶される。
なお、CPU101は、何らかのボーナス役の当選情報が持ち越された状態においては、何れのボーナス役の当選も決定しないように、内部抽選処理を実行する。つまり、CPU101は、何らかのボーナス役の当選情報が持ち越された状態においては、図6に示す抽選テーブルからボーナス役を除いて構成される不図示の抽選テーブルを用いて内部抽選処理を実行する。
(2)リール停止処理の詳細
スロットマシン1におけるリール停止処理の詳細について説明する。CPU101は、回転中のリールRに対応するストップボタン13の操作を受け付けると、対応するリールRを停止させる。これを、リールR1〜R3の全てが停止するまで繰り返す。このとき、CPU101は、ストップボタン13に対する操作がなされた時点から、最大4図柄分のリールの回転量の範囲内において、対応するリールRを停止させる。なお、例外的にCB遊技状態中においては、左リールR1、中リールR2においては、ストップボタン13に対する操作がなされた時点から、最大4図柄分のリールの回転量の範囲内において、対応するリールRを停止させ、右リールR3においては、右ストップボタン13cに対する操作がなされた時点から、最大1図柄分のリールの回転量の範囲内において、右リールR3を停止させる。このとき、CPU101は、内部抽選処理により何らかの役の当選が決定されている場合には、上述した最大図柄数分のリールの回転量の範囲内において、当選している役に対応する図柄組合せの構成図柄を、入賞ラインL1または入賞ラインL2のいずれかの入賞ライン上に引き込むように、リールRを停止させる。
スロットマシン1におけるリールの停止制御は、停止テーブルを用いて実現される。停止テーブルには、ストップボタン13が操作されたタイミングにおけるセンターライン上の図柄の位置に対応する図柄番号PNと、対応するリールRが停止するまでに継続させる回転動作の回転量を示す滑りコマ数との対応関係が定義されている。
図8は、スロットマシン1におけるリール停止処理で利用される停止データを説明するための説明図である。図8は、停止データの一例として、内部抽選処理によりMB役(図柄組合せ「プラム−プラム−プラム」)の当選が決定している場合に利用される停止テーブルの内容を示している。
例えば、CPU101は、通常遊技状態中においてリールR1〜R3が回転中であって、内部抽選処理によりMB役(図柄組合せ「プラム−プラム−プラム」)の当選が決定している状況において、例えば左リールR1における図柄番号PN=16の「赤7」図柄がセンターライン上に位置するタイミングで左ストップボタン13aが操作された場合、停止データを参照して左リールR1の図柄番号PN=15に対応する滑りコマ数である4を取得し、取得した滑りコマ数である4図柄分だけ左リールR1の回転動作を継続させて、図柄番号PN=20の「ベル」図柄をセンターライン上に停止表示させるように、左リールR1を停止させる。このとき、左リールR1の入賞ラインL1上に停止表示されるのは、図柄番号PN=19の「プラム」図柄となる。
次に、例えば中リールR2における図柄番号PN=12の「チェリー」図柄がセンターライン上に位置するタイミングで中ストップボタン13bが操作された場合、停止データを参照して中リールR2の図柄番号PN=12に対応する滑りコマ数である3を取得し、取得した滑りコマ数である3図柄分だけ中リールR2の回転動作を継続させて、図柄番号PN=15の「プラム」図柄をセンターラインL1上に停止表示させるように、中リールR2を停止させる。
次に、例えば右リールR3における図柄番号PN=6の「BAR」図柄がセンターライン上に位置するタイミングで右ストップボタン13cが操作された場合、停止データを参照して右リールR3の図柄番号PN=6に対応する滑りコマ数である2を取得し、取得した滑りコマ数である2図柄分だけ右リールR3の回転動作を継続させて、図柄番号PN=8の「スイカ」図柄をセンターライン上に停止表示させるように、右リールR3を停止させる。このとき、右リールR3の入賞ラインL1上に停止表示されるのは、図柄番号PN=9の「プラム」図柄となる。
このようにしてリールR1〜R3の全てを停止させた結果、入賞ラインL1上にはMB役(図柄組合せ「プラム−プラム−プラム」)が停止表示される。
<5.アシストタイム>
スロットマシン1は、所定の開始条件が成立したことを契機として、小役を確実に入賞させることができる操作手順を遊技者に報知する期間であるアシストタイム(以下「AT」という)を開始する。ATが開始されると、ATとしての状態が有効であるゲーム数(以下「ATカウント」という)が設定される。ATカウントは、AT中のゲームの実行とともに減算され、ATカウントが0になるとATとしての状態が終了する。所定条件の成立を契機としてAT期間中にATカウントが加算される場合もある。このように、AT中は、小役を確実に入賞させることができる操作手順が遊技者に報知されるので、遊技者はATにより多くのメダルを獲得することが可能となる。
(1)基本フロー
スロットマシン1におけるATに係る基本的な処理の流れを、図9を用いて説明する。図9で示す処理は各ゲームごとに実行される。まず、メイン制御基板100A(CPU101)は、内部抽選処理が実行されてから、現在の状態がAT中であるか否かを判定する(Sa901)。具体的には、CPU101は、ATの作動に係るフラグが作動中を示す内容であると判断した場合にはAT中であると判定し、ATの作動に係るフラグが非作動中を示す内容であると判断した場合にはAT中ではないと判定する。CPU101は、AT中であると判断した場合には(Sa901:YES)、報知内容を特定する処理を実行する(Sa902)。詳細な説明は省略するが、スロットマシン1では、内部抽選処理の抽選結果としての役の当選情報と報知内容との対応関係が予め対応付けられた押し順報知テーブルを参照して、内部抽選処理の抽選結果に対応する報知内容を特定する。CPU101は、特定した報知内容を、表示制御基板100B(CPU191)に通知する(Sa903)。表示制御基板100B(CPU191)は、メイン制御基板100A(CPU101)から受け付けた報知内容を、液晶表示装置30に出力させる(Sb901)。これにより、ストップボタン13の操作順序を示す内容が遊技者に報知される。
CPU101は、報知内容を表示制御基板100B(CPU191)に通知した後に、ATカウントの値を1だけ減算する(Sa904)。ATカウントは、ATの開始時に設定され、AT中に加算される場合がある。次に、CPU101は、ATカウントの値が0であるか否かを判定する(Sa905)。CPU101は、ATカウントが0であると判定した場合(Sa809:YES)、ATの状態を終了させる(Sa906)。具体的には、CPU101は、ATの作動に係るフラグを非作動中を示す内容に更新する。一方で、CPU101は、ATカウントが0でないと判定した場合には、そのまま処理を終了する(Sa905:NO)。
(2)停止制御
AT中には、内部抽選処理の結果として特定の抽選結果となった場合に、その抽選結果として当選が決定された配当の異なる複数の小役のうち、配当の高い小役を入賞させるためのストップボタン13の押し順を遊技者に報知する。このとき、報知された押し順でストップボタン13が操作された場合には配当の高い小役を入賞させ、報知された押し順以外の押し順でストップボタンが操作された場合には配当の高い小役を入賞させずに、ストップボタン13の操作のタイミングに応じて配当の低い小役を入賞させるか、または配当の低い小役を入賞させないようにリールを停止させる。
上述したように、スロットマシン1は、内部抽選処理で当選した役を可能な限り入賞させるようにリール停止処理を実行する。つまり、ストップボタン13が操作された時点から、引き込み可能な範囲内(最大4または1図柄分のリールの回転量の範囲内)において、当選している役に係る図柄組合せを構成する図柄が存在する場合には、その図柄を入賞ラインL上に引き込んで停止表示させる。
なお、遊技規則上の要件に従い、上述の停止制御は、ストップボタン13が操作された時点から引き込み可能な範囲内において、当選している複数の役に係る図柄組合せをそれぞれ構成する複数種類の図柄が存在する場合には、入賞した場合に最もメダルの払出し数が多い役を構成する図柄(払出し数優先)、入賞可能な図柄組合せ数を最も多く維持する図柄(組合せ数優先)、または入賞する図柄組合せ数を最も多くする図柄(表示数優先)のいずれかに該当する図柄を、入賞ラインL上に引き込んで停止表示させるよう制御される。
ストップボタン13の押し順により入賞させる役を変化させる停止制御を含む、全体としての停止制御は、図10〜図12に説明するデータテーブルを利用して実現される。図10は、スロットマシン1における停止制御テーブルの構成を示している。停止制御テーブルは、ボーナス役の作動状態や再遊技役の当選確率の状態であるRT状態ごとに、内部抽選処理の抽選結果として決定される役の当選状態と、利用する停止制御種別のインデックス情報との対応関係を含んで構成されている。
図11は、スロットマシン1における停止データ選択テーブルの構成を示している。停止データ選択テーブルは、停止制御テーブルにより特定される停止制御種別のインデックスと、複数の停止データのインデックス情報との対応関係を含んで構成されている。
図12は、スロットマシン1における停止データテーブルの構成を示している。停止データテーブルは、停止データ選択テーブルにより選択される停止データのインデックスに対応する停止データとして、ストップボタン13が操作されたタイミングにおけるセンターライン上の図柄の位置に対応する図柄番号PNと、対応するリールRが停止するまでに継続させる回転動作の回転量を示す滑りコマ数との対応関係が、停止データA〜Fのそれぞれにおいて定義されている。
図10〜12のデータテーブルを利用した具体的な停止制御について説明する。内部抽選処理が実行された段階で、ボーナス役の作動状態や再遊技役の当選確率の状態であるRT状態と、内部抽選処理により当選が決定された役の当選状態に基づいて、停止制御テーブルを参照して、停止制御種別のインデックスが特定される。次に、ストップボタン13に対する操作された段階で、ストップボタン13に対する停止操作と、特定された停止制御種別のインデックスとに基づいて、停止データ選択テーブルを参照して、停止データのインデックスが特定される。そして、特定された停止データのインデックスに対応する停止データを停止データテーブルを参照することで特定し、特定された停止データを停止対象のリールRの停止制御に適用する。より具体的には、停止データ選択テーブルは、各停止制御種別のインデックス毎に、停止データ選択情報として、3個(タイプ1)または5個(タイプ2)の、停止データのインデックス情報としてのデータ要素で構成された1行のデータ群が3行分含んでいる。
最初にストップボタン13による停止操作がなされたとき、第1停止の対象となったリールRの種類に応じて、左リールR1の場合は第1行目、中リールR2の場合は第2行目、右リールR3の場合は第3行目のデータ群が、停止制御に適用されるデータ群として決定され、当該決定されたデータ群の第1番目のデータ要素が、第1停止の対象となったリールRの停止制御に適用される停止データとして決定される。
さらにストップボタン13による停止操作がなされたとき、第2停止の対象となったリールRが第1停止されたリールRに対して正順リールの場合、当該データ群の第2番目のデータ要素が、第2停止の対象となったリールRの停止制御に適用される停止データのインデックス情報として決定される。一方で、第2停止の対象となったリールRが第1停止されたリールRに対して逆順リールの場合、上記で決定されたデータ群が3個のデータ要素で構成されるデータ群である場合(タイプ1)には、当該データ群の第3番目のデータ要素が、第2停止の対象となったリールRの停止制御に適用される停止データのインデックス情報として決定され、上記で決定されたデータ群が5個のデータ要素で構成されるデータ群である場合(タイプ2)には、当該データ群の第4番目のデータ要素が、第2停止の対象となったリールRの停止制御に適用される停止データのインデックス情報として決定される。
なお、「正順リール」とは、左→中→右→左→中→右→…の順番を正順として、直前の停止対象であるリールRに対して正順方向に1つ先のリールのことである。つまり、直前の停止対象が左リールR1の場合は中リールR2、直前の停止対象が中リールR2の場合は中リールR3、直前の停止対象が右リールR3の場合は中リールR1のことをいう。これに対して「逆順リール」とは、右→中→左→右→中→左→…の順番を逆順として、直前の停止対象であるリールRに対して逆順方向に1つ先のリールのことである。つまり、直前の停止対象が右リールR1の場合は中リールR2、直前の停止対象が中リールR2の場合は左リールR1、直前の停止対象が左リールR3の場合は右リールR3のことをいう。
さらにストップボタン13による停止操作がなされたとき、上記で決定されたデータ群が3個のデータ要素で構成されるデータ群である場合(タイプ1)には、当該データ群における未適用の残りの1つのデータ要素が、第3停止の対象となったリールRの停止制御に適用される停止データのインデックス情報として決定され、上記で決定されたデータ群が5個のデータ要素で構成されるデータ群である場合(タイプ2)には、第2停止の対象となったリールRに適用されたデータ要素の次のデータ要素(第2番目に対して第3番目、または第4番目に対して第5番目のデータ要素)が、第3停止の対象となったリールRの停止制御に適用される停止データのインデックス情報として決定される。
このように、内部抽選処理により決定された役の当選状態と、停止操作されるストップボタン13の押し順と、それぞれのストップボタン13の操作タイミングとに基づいて、リール停止制御の内容として、停止操作のタイミングからリールを停止させるまでの滑りコマ数が、一意に確定される。さらに、内部抽選処理により決定された役の当選状態が特定の当選状態である場合には、停止操作の順番に応じて、入賞ラインL上に引き込んで停止させる図柄組合せが異なるように制御される。
<6.ゲームの概要>
次に、スロットマシン1におけるゲームの概要を説明する。
図13は、ゲームの全体の流れを説明したものである。通常遊技状態では、通常ゲーム用の抽選テーブルを用いて内部抽選が実行される(図13の「通常遊技状態」を参照)。
スロットマシン1は、所定の開始条件が成立したことを契機として、ATを開始させるか否かを抽選により決定するための期間であるチャンスゾーン(以下「CZ」という)を開始する。CZ中は、各ゲームの内部抽選処理に応じて、ATを開始させるか否かを決定するAT抽選が実行される。CZ中の抽選によりATを開始させることが決定された場合、ATカウントに所定の値を設定し、CZの終了後にATが開始される。スロットマシン1では、MB役の入賞を契機としてCZを開始させるが、MB役の入賞にともない移行するスロットマシン1のMB遊技状態は、予め定められた数として135枚を超える遊技媒体の獲得、またはSB役の当選により終了させる。スロットマシン1では、基本的にMB遊技状態である期間をCZとして割り当てるが、CZの状態が有効であるゲーム数が確実に所定ゲーム数以上となるように制御される仕組みを有している。
MB遊技状態に実行されるゲームは、MBゲーム(特別ゲーム)である。MBゲームでは、通常ゲーム用の抽選テーブルとは異なる抽選テーブルを用いて内部抽選が実行される(図13の「MB遊技状態」を参照)。MB遊技状態(特別ゲーム実行期間)は、MBゲームが繰り返し実行されることになる。MB遊技状態に用いられる抽選テーブルでは「ハズレ」がなく、「小役1−13」、「再遊技1−8」、「SB」のいずれかに当選することになる。
MB遊技状態は、通常遊技状態においてMB役(特別役)に当選し、入賞した次のゲームから開始する。そして、MB遊技状態は、前述の通り、SB役(特定役)の当選、または、遊技者の獲得枚数が135枚を超えた場合に終了する。
スロットマシン1では、MB遊技状態の各MBゲームにおいて、AT(報知特典)を付与するか否かを決定するAT抽選(報知抽選)を実行する。ATが当選した場合、MBゲームの実行期間終了後のゲームにおいて、液晶画面を通じて遊技者に対し押し順が報知されるAT遊技状態に移行する。
AT遊技状態においても、MB役が当選することがある(図7参照)。この場合のMB遊技状態は、ATの回数を加算する期間である上乗せ特化ゾーンとして機能する。AT遊技状態中のMB遊技状態においても、引き続き押し順を報知する。AT遊技状態は特図(図6参照)が入賞することで終了する。終了後は通常遊技状態に戻る。
<7.特典付与>
ここでは、通常ゲームからMB役が当選し、入賞した場合のMB遊技状態中の特典について説明する。
通常遊技状態から移行してMBゲームが開始されるとAT抽選手段(報知抽選手段)によりAT抽選(報知抽選)が実行される。基本的にMB遊技状態中の各MBゲームにおいては、例えば2%の当選確率でAT抽選が実行されるが、スロットマシン1では、MB遊技状態中に実行されるいくつかのMBゲームにおいては、より高い抽選確率、例えば7%の確率でAT抽選を実行するAT高確率特典(第1特典)を付与する。
AT高確率特典は、最初のゲームから9ゲーム目までのうち2つのゲームでAT高確率特典を付与するものである。この2つのゲームは抽選で決定する。例えば、抽選の結果、3回目、6回目のゲームが選定される。すると、3回目、6回目のMBゲームが実際に実行された際には、より高い抽選確率(7%)でAT抽選を実行する。なお、特典を付与するゲームの数が2つとは限らない。特典を付与するゲームの数を抽選により決定してもよい。
具体的には、遊技者の開始操作に応じてMB役が当選した場合、特典付与手段に含まれる第1特典付与手段によりAT高確率特典(第1特典)を付与する抽選により所定のゲーム数の数うち何ゲーム目で特典を付与するかを選定する。そして、ゲーム数カウンタ手段によりゲーム数をカウントし、AT抽選手段(報知抽選手段)は、選定されたゲームが実際に実行された場合に高確率で報知抽選が実行するように設定する。
前述のように、MB遊技状態は、135枚の払い出し、またはSB役の当選により終了する。SB役の当選確率は約1/6であるため、確率的にはおおよそ6回に1回の割合でSB役に当選する可能性がある。したがって、遊技者はSB役に当選する前に高確率のAT抽選が行われることを望み、これが何ゲーム目に設定されたかに非常に関心を持つため、興味を持ってMB遊技状態を実行していくことになる。
また、MB遊技状態においてSB役に当選することなく10ゲーム目まで到達した場合は、第2特典を付与する。10ゲーム目に付与される第2特典は、第1特典よりさらに高い抽選確率(例えば15%)のAT高確率抽選が行われる特典である。これにより、MB遊技状態においてSB役に当選することなく9ゲーム目まで到達すれば非常に大きなチャンスが得られることになるため、遊技者はこの10ゲームの制覇を目指し、最後まで興味を持ってMBゲームを実行することになる。
具体的には、ゲーム数カウンタ手段によりゲーム数をカウントし、特典付与手段に含まれる第2特典付与手段は、10ゲーム目の遊技者の開始操作に応じてAT抽選手段がより高確率で報知抽選が実行するように設定する。なお、前述の例では所定の確率(15%)を設定したが、第2特典付与手段により、確率を抽選してもよい。例えば、8%から20%の間で抽選し、その確率を9ゲーム目のAT抽選に利用することもできる。
図15は、特典に関する液晶画面の表示の例を図示したものである。特典付与に伴い、液晶画面を介して演出も実行される。第1特典付与手段により特典が付与されたゲームが設定されると、これに応じて演出制御手段では、何ゲーム後に実行されるかを示唆する表示を行う。示唆する表示は、(A)のように文字で示してもよいし、(B)のようにアイコンで示してもよい。
また、スロットマシン1では、AT遊技状態中にMB遊技状態になる可能性がある。AT遊技状態中のMB遊技状態は、前述の通り、いわゆる「上乗せ特化ゾーン」という位置づけである。上乗せ特化ゾーンでは、AT遊技状態が継続しているため押し順報知が行われつつ、ATが上乗せされる機会が与えられるものである。スロットマシン1では、ATゲーム中のMB遊技状態中の複数のゲームにおいては、ATの上乗せを(第1特典)を付与する。ATの上乗せとは、予め定めたAT遊技状態のゲーム数に対し、さらにゲーム数を加算することにより、AT遊技状態を延長することである。これにより、遊技者にとって有利な状態が延長される。
AT上乗せ特典は、最初のゲームから9ゲーム目までのうち2つのゲームでAT上乗せ特典を付与するものである。2つのゲームは抽選で決定する。例えば、抽選の結果、3回目、6回目のゲームが選定される。すると、3回目、6回目ゲームが実行された際には、ATの上乗せを付与する。上乗せする量は、予め定めた量(例えば10ゲーム)でもよいし、抽選で決定してもよい。例えば、10ゲーム、20ゲーム、30ゲーム、40ゲームの中から、3回目は10ゲーム、6回目は20ゲームなどのように、AT上乗せを付与するゲームとともに量を抽選で決定してもよい。
具体的には、AT遊技状態中にMB役に入賞したゲームにおいて、特典付与手段に含まれる第1特典付与手段によりAT上乗せ特典(第1特典)を付与する抽選により所定のゲーム数のうち何ゲーム目で特典を付与するかを選定する。そして、ゲーム数カウンタ手段によりゲーム数をカウントし、ATの回数を管理する遊技状態管理手段は、選定されたゲームが実際に実行された場合に所定量のAT上乗せ、すなわちAT遊技の回数を加算する。
前述の通り、MB遊技状態は、135枚の払い出し、またはSB役の当選により終了する。SB役の当選確率は約1/6の確率であるため、確率的には6回に1回、SBに当選する可能性がある。したがって、遊技者はSB役に当選する前にAT上乗せが行われることを望み、これが何ゲーム目に設定されたかに非常に関心を持つため、興味を持ってMBゲームを実行することになる。
また、MB遊技状態において、SB役に当選することなく10ゲーム目まで到達した場合は第2特典を付与する。10ゲーム目に付与される特典は、第1特典よりさらに大きい量のAT上乗せ(例えば100ゲーム)が与えられる特典である。このように、MB遊技状態においてSB役に当選することなく10ゲーム目まで到達すれば、非常に大きなチャンスが得られることになるため、遊技者はこの10ゲームの制覇を目指し、最後まで興味を持ってMBゲームを実行することになる。
具体的には、ゲーム数カウンタ手段によりゲーム数をカウントし、特典付与手段に含まれる第2特典付与手段は、10ゲーム目の開始操作に応じてより大きい量のAT上乗せを付与する。なお、前述の例では所定量(100ゲーム)を設定したが、第2特典付与手段により、量を抽選してもよい。例えば、100ゲームから300ゲームの間で抽選し、抽選で選択された量のAT上乗せを付与することもできる。遊技状態管理手段は、これに応じてAT上乗せ、すなわちAT回数の加算を行う。
以上の通り、特典付与手段は、入賞判定手段により、特別役が入賞したと判定された場合に、1または複数の特別ゲームに第1特典を関連付け、当該関連付けられた特別ゲームが実行された場合に当該第1特典を付与し、SB役が入賞したこと(第1終了条件が成立したこと)により当該関連付けられた特別ゲームが実行されなかった場合は第1特典の付与を行わず、所定ゲーム数に到達した場合には第2特典を付与する。
図15は、特典に関する液晶画面の表示の例を図示したものである。特典付与に伴い、液晶画面を介して演出も実行される。第1特典付与手段により特典が付与されたゲームが設定されると、これに応じて演出制御手段では、何ゲーム後に実行されるかを示唆する表示を行う。図15(A)では、「あと2ゲームで上乗せ20G」のように文字で示し、SB役に当選することなくあと2ゲーム継続することができれば、20G、すなわち20ゲームのAT上乗せを獲得することができることが分かる。また図15(B)のようにアイコンで示し、現在のゲームを示すアイコンと、この先実行されるゲームをアイコンで示し、あと何ゲーム先にどのくらいの量のAT上乗せが待っているかが分かるようになっている。このように遊技者に状況を示すことにより、よりMBゲームを緊張感と期待を持って続けさせることが可能となる。また、第2特典付与手段により第2特典が付与された場合は、図15(C)のように「100ゲーム獲得!」のように結果の表示を行う。この表示により、遊技者は達成感と充実感を味わうことが可能となる。
より具体的には、演出制御手段は、MB遊技状態(特別ゲームの実行期間中)に、第1特典を関連付けられたMBゲーム(特別ゲーム)が何ゲーム後に実行されるかを示唆する表示を行い、当該関連付けられたMBゲーム(特別ゲーム)が実行された場合には当該第1特典を獲得した旨の表示を行い、SB役が入賞したこと(第1終了条件が成立したこと)に応じてMBゲーム(特別ゲーム)が終了した場合には示唆する表示を消去し、所定ゲーム数に到達した場合には第2特典を獲得した旨の表示を行う。
<8.特典付与のフロー>
図14は、特典付与処理のフローチャートである。ここではAT遊技状態中にMB遊技状態が開始された場合の特典付与処理について説明する。
S301では、遊技者の開始操作に応じて内部抽選処理を実行し、MB役(特別役)が当選し、入賞したかどうかを判定する。入賞していなければ、引き続きATゲームを実行する。
S301においてMB役に入賞したと判定した場合、引き続いて、S302において第1特典付与処理を実行する。第1特典付与処理では、特典付与手段に含まれる第1特典付与手段によりAT上乗せ特典(第1特典)を付与する抽選により所定のゲーム数(9ゲーム)のうち何ゲーム目で特典を付与するかを選定し、選定されたゲームに関連づけて所定量のAT上乗せを設定する。例えば、3回目、6回目のMBゲームが実行された際に各20ゲームのAT上乗せを付与することとする。
S303では、MBゲーム(特別ゲーム)を実行、すなわち、遊技者の開始操作に応じて内部抽選処理を実行する。
S304において、ゲーム数カウント手段はゲーム数をカウントする。
S305において、第1特典が付与されたMBゲーム(特別ゲーム)かどうかを判断する。今回の例では、最初のMBゲームと2回目のMBゲームには第1特典が付与されていないので、その場合はS307に進む。3回目のMBゲームが実行された場合、第1特典付与が設定されているので、S306に進む。
S306では、3回目の特別ゲームにおいては20ゲームのAT上乗せを付与する。遊技状態管理手段は、報知遊技の回数を20ゲーム加算する。
S307では、遊技者の開始操作に応じて実行された当該ゲームの内部抽選においてSB役(特定役)が当選したかどうかを判定する。SB役に当選したと判定した場合は、S310、すなわちMB遊技状態が終了するとともに特典付与処理も終了する。特定役に当選していないと判定した場合は、S308へ進む。
S308では、第2特典付与手段は、現在実行されたゲームが所定ゲーム数に到達したかどうかを判定する。ここでは、10ゲーム目に到達したかどうかを判定している。10ゲーム目でないと判断した場合は、S303に戻り、MBゲームが繰り返される。10ゲーム目であると判断した場合、S309へ進む。
S309では、第2特典付与手段は、第2特典を付与する。例えば、100ゲームのAT上乗せである。これに応じて、遊技状態管理手段は、AT遊技の回数を100ゲーム加算する。第2特典の量を抽選により決定する場合は、第2特典付与手段は抽選を実行し、抽選より決定した量の第2特典を付与する。
第2特典付与が終了すると、特典付与処理は終了する。なお、ここで特典付与処理は終了するが、MB遊技状態は必ずしも終わるとは限らない。払出枚数が135枚を超えていない場合は、引き続き特別ゲームを実行し、払出枚数が135枚を超えるか、SB役に当選するまで特別ゲームは継続する。