以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下では、複数の実施の形態について説明するが、各実施の形態で説明された構成を適宜組み合わせることは出願当初から予定されている。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
(回路構成)
図1は、本発明の実施の形態に従う電源システムの構成例を示す回路図である。本実施の形態1に従う電源システム5は、特許文献1に示された電源システムと回路構成が共通する。
図1を参照して、電源システム5は、直流電源B1と、直流電源B2と、負荷30と、制御装置40と、電力変換器50とを備える。
本実施の形態において、直流電源B1およびB2は、二次電池や電気二重層キャパシタ等の蓄電装置によって構成される。たとえば、直流電源B1は、リチウムイオン二次電池やニッケル水素電池のような二次電池で構成される。また、直流電源B2は、たとえば、電気二重層キャパシタやリチウムイオンキャパシタ等の出力特性に優れた直流電圧源要素により構成される。直流電源B1および直流電源B2は、「第1の直流電源」および「第2の直流電源」にそれぞれ対応する。
なお、直流電源B1およびB2を同種の蓄電装置によって構成することも可能である。また、直流電源B1およびB2の容量についても特に限定されることはなく、直流電源B1およびB2は、各々を同等の容量で構成してもよく、一方の直流電源の容量を他方の直流電源の容量より大きくしてもよい。
電力変換器50は、高電圧側の電力線PLおよび低電圧側の電力線GLの間の直流電圧VH(以下、出力電圧VHとも称する)を制御するように構成される。電力線GLは、代表的には接地配線で構成される。
負荷30は、電力変換器50の出力電圧VHを受けて動作する。出力電圧VHの電圧指令値VH*は、負荷30の動作に適した電圧に設定される。電圧指令値VH*は、負荷30の状態に応じて可変に設定されてもよい。さらに、負荷30は、回生発電等によって、直流電源B1および/またはB2の充電電力を発生可能に構成されてもよい。
電力変換器50は、電力用半導体スイッチング素子S1〜S4と、リアクトルL1,L2とを含む。本実施の形態において、電力用半導体スイッチング素子(以下、単に「スイッチング素子」とも称する)としては、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、電力用MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタあるいは電力用バイポーラトランジスタ等を用いることができる。スイッチング素子S1〜S4に対しては、逆並列ダイオードD1〜D4が配置されている。スイッチング素子S1〜S4は、制御装置40からの制御信号SG1〜SG4に応答して、オンオフを制御することが可能である。
スイッチング素子S1は、電力線PLおよびノードN1の間に電気的に接続される。リアクトルL2および直流電源B2は、ノードN1とノードN3との間に直列に、電気的に接続される。たとえば、リアクトルL2は、ノードN1と直流電源B2の正極端子との間に電気的に接続されるとともに、直流電源B2の負極端子は、ノードN3と電気的に接続される。なお、リアクトルL2および直流電源B2の接続順序を入れ換えても、電気的に等価な回路構成が形成される。
スイッチング素子S2は、ノードN1およびN2の間に電気的に接続される。リアクトルL1および直流電源B1は、ノードN2および電力線GLの間に直列に、電気的に接続される。たとえば、リアクトルL1は、直流電源B1の正極端子およびノードN1の間に電気的に接続されるとともに、直流電源B1の負極端子は、電力線GLと電気的に接続される。なお、リアクトルL1および直流電源B1の接続順序を入れ換えても、電気的に等価な回路構成が形成される。
スイッチング素子S3は、ノードN2およびN3の間に電気的に接続される。スイッチング素子S4は、ノードN3および電力線GLの間に電気的に接続される。電力線GLは、負荷30および、直流電源B1の負極端子と電気的に接続される。
図1の構成例では、スイッチング素子S1は「第1のスイッチング素子」に対応し、スイッチング素子S2は「第2のスイッチング素子」に対応し、スイッチング素子S3は「第3のスイッチング素子」に対応し、スイッチング素子S4は「第4のスイッチング素子」に対応する。また、リアクトルL1は「第1のリアクトル」に対応し、リアクトルL2は「第2のリアクトル」に対応する。
図1から理解されるように、電力変換器50は、直流電源B1および直流電源B2の各々に対応して昇圧チョッパ回路を備えた構成となっている。すなわち、直流電源B1に対しては、スイッチング素子S1,S2を上アームとする一方で、スイッチング素子S3,S4を下アームとする電流双方向の第1の昇圧チョッパ回路が構成される。同様に、直流電源B2に対しては、スイッチング素子S1,S4を上アームとする一方で、スイッチング素子S2,S3を下アームとする電流双方向の第2の昇圧チョッパ回路が構成される。
そして、第1の昇圧チョッパ回路によって、直流電源B1および電力線PL,GLの間に形成される電流経路と、第2の昇圧チョッパ回路によって、直流電源B2および電力線PL,GLの間に形成される電流経路との両方に、スイッチング素子S1〜S4が含まれる。
制御装置40は、たとえば、図示しないCPU(Central Processing Unit)およびメモリを有する電子制御ユニット(ECU)によって構成される。制御装置40は、メモリに記憶されたマップおよびプログラムに基づいて、各センサによる検出値を用いた演算処理を行なうように構成される。あるいは、制御装置40の少なくとも一部は、電子回路等のハードウェアにより所定の数値・論理演算処理を実行するように構成されてもよい。
制御装置40は、出力電圧VHを制御するために、スイッチング素子S1〜S4のオンオフを制御する制御信号SG1〜SG4を生成する。
なお、図1では図示を省略しているが、直流電源B1の電圧(V[1]と表記する)および電流(I[1]と表記する)、直流電源B2の電圧(V[2]と表記する)および電流(I[2]と表記する)、ならびに、出力電圧VHの検出器(電圧センサ,電流センサ)が設けられている。これらの検出器の出力は、制御装置40へ与えられる。
(電力変換器の動作モード)
電力変換器50は、特許文献1および2に記載された電力変換器と同様に、直流電源B1,B2と電力線PL,GLとの間での直流電力変換(DC/DC変換)の態様が異なる複数の動作モードを有する。これらの動作モードは、スイッチング素子S1〜S4のオンオフ制御の態様を切換えることによって選択的に適用される。
電力変換器50の複数の動作モードには、直流電源B1およびB1と電力線PL,GLとの間で並列にDC/DC変換を行なう「パラレル昇圧モード」と、直列に接続された直流電源B1,B2と電力線PL,GLとの間でDC/DC変換を行なう「シリーズ昇圧モード」とが含まれる。パラレル昇圧モードは、特許文献1での「パラレル接続モード」に対応し、シリーズ昇圧モードは、特許文献1での「シリーズ接続モード」に対応する。
電力変換器50の複数の動作モードにはさらに、直流電源B1のみを用いて電力線PL,GLの間でDC/DC変換を行なう「直流電源B1による単独モード」と、直流電源B2のみを用いて電力線PL,GLとの間でDC/DC変換を行なう「直流電源B2による単独モード」とが含まれる。直流電源B1による単独モードでは、直流電源B2は、出力電圧VHが直流電源B2の電圧V[2]よりも高く制御されている限りにおいて、電力線PLと切り離された状態を維持して不使用とされる。同様に、直流電源B2による単独モードでは、直流電源B1は、出力電圧VHが直流電源B1の電圧V[1]よりも高く制御されている限りにおいて、電力線PLと切り離された状態を維持されて不使用とされる。
本実施の形態では、直流電源B1による単独モードおよび直流電源B2による単独モードにおける制御動作について説明する。
(直流電源B1による単独モードでの回路動作)
次に、図2から図4を用いて、直流電源B1による単独モードにおける昇圧動作について説明する。
図2には、直流電源B1による単独モードにおける直流電源B1に対するDC/DC変換(昇圧動作)が示される。
図2(a)を参照して、スイッチング素子S3,S4のペアをオンし、スイッチング素子S1,S2のペアをオフすることによって、リアクトルL1にエネルギを蓄積するための電流経路120が形成される。これにより、昇圧チョッパ回路の下アームをオンした状態が形成される。
これに対して、図2(b)を参照して、スイッチング素子S3,S4のペアをオフするとともに、スイッチング素子S1,S2のペアをオンすることによって、リアクトルL1の蓄積エネルギを直流電源B1のエネルギとともに出力するための電流経路121が形成される。これにより、昇圧チョッパ回路の上アームをオンした状態が形成される。
スイッチング素子S3,S4のペアがオンされる一方で、スイッチング素子S1,S2の少なくとも一方がオフされている第1の期間と、スイッチング素子S1,S2のペアがオンされる一方で、スイッチング素子S3,S4の少なくとも一方がオフされている第2の期間とを交互に繰返すことにより、図2(a)の電流経路120および図2(b)の電流経路121が交互に形成される。この結果、スイッチング素子S1,S2のペアを等価的に上アームとし、スイッチング素子S3,S4のペアを等価的に下アームとする昇圧チョッパ回路が、直流電源B1に対して構成される。
このようなDC/DC変換において、直流電源B1の電圧V[1]と、電力線PLの出力電圧VHとの間には、下記(1)式に示す関係が成立する。(1)式では、スイッチング素子S3,S4のペアがオンされる期間のデューティ比をDaとする。
VH=1/(1−Da)・V[1] …(1)
直流電源B1による単独モードでは、直流電源B1の出力を制御するためのデューティ比Daに基づく制御パルス信号SDaに従って、スイッチング素子S1〜S4が制御される。
図3には、直流電源B1による単独モードの制御動作例を説明するための波形図が示される。図3を参照して、制御パルス信号SDaは、デューティ比Daと、周期的なキャリア波25との比較に基づくパルス幅変調(PWM)制御によって生成される。一般的に、キャリア波25には、三角波あるいはのこぎり波が用いられる。キャリア波25の周期は、各スイッチング素子のスイッチング周波数に相当し、キャリア波25の振幅は、Da=1.0に対応する電圧に設定される。
制御パルス信号SDaは、デューティ比Daを示す電圧が、キャリア波25の電圧よりも高いときに論理ハイレベル(以下、Hレベル)に設定される一方で、キャリア波25の電圧よりも低いときに論理ローレベル(以下、Lレベル)に設定される。制御パルス信号SDaの周期(Hレベル期間+Lレベル期間)に対するHレベル期間の比、すなわち、制御パルス信号SDaのデューティ比は、Daと同等である。
制御パルス信号/SDaは、制御パルス信号SDaの反転信号である。デューティ比Daが高くなると、制御パルス信号SDaのHレベル期間が長くなる。反対に、デューティ比Daが低くなると、制御パルス信号SDaのLレベル期間が長くなる。
制御パルス信号SDaは、図2に示した昇圧チョッパ回路の下アーム(スイッチング素子S3,S4)のオンオフを制御する信号に対応する。一方、制御パルス信号/SDaは、図2に示した昇圧チョッパ回路の上アーム(スイッチング素子S1,S2)のオンオフを制御する信号に対応する。
図4は、直流電源B1による単独モードでの制御信号の設定を説明するための図表である。図4に示されるように、制御信号SG1〜SG4は、制御パルス信号SDa(/SDa)に基づいて設定される。
スイッチング素子S1,S2は、図2の昇圧チョッパ回路の上アームを形成する。したがって、スイッチング素子S1のオンオフを制御する制御信号SG1およびスイッチング素子S2のオンオフを制御する制御信号SG2は、制御パルス信号/SDaに基づいて生成される。
スイッチング素子S3,S4は、図2の昇圧チョッパ回路の下アームを形成する。したがって、スイッチング素子S3のオンオフを制御する制御信号SG3およびスイッチング素子S4のオンオフを制御する制御信号SG4は、制御パルス信号SDaに基づいて生成される。
このように、直流電源B1による単独モードでは、スイッチング素子S3,S4は、制御信号SG3,SG4にそれぞれ応答して共通にオンオフすることにより、電流経路120(図2(a))を形成するオン状態と、電流経路120を遮断するオフ状態とを選択的に形成する。一方、スイッチング素子S1,S2は、制御信号SG1,SG2に応答して共通にオンオフすることにより、電流経路121(図2(b))を形成するオン状態と、電流経路121を遮断するオフ状態とを選択的に形成する。
図2(a)における電流経路120は「第1の電流経路」に対応し、図2(b)における電流経路121は「第2の電流経路」に対応する。また、スイッチング素子S3,S4は、第1の電流経路(電流経路120)の形成および遮断を行なうように構成された「第1のスイッチング素子」および「第2のスイッチング素子」にそれぞれ対応する。図3に示されるように、スイッチング素子S3,S4のペアと、スイッチング素子S1,S2のペアとを相補的にオンオフするように、制御信号SG1〜SG4を生成することにより、電流経路120(第1の電流経路)および電流経路121(第2の電流経路)が交互に形成される。
(直流電源B2による単独モードでの回路動作)
図5には、直流電源B2による単独モードにおける直流電源B2に対するDC/DC変換(昇圧動作)が示される。
図5(a)を参照して、スイッチング素子S2,S3のペアをオンし、スイッチング素子S1,S4のペアをオフすることによって、リアクトルL2にエネルギを蓄積するための電流経路130が形成される。これにより、昇圧チョッパ回路の下アームをオンした状態が形成される。
これに対して、図5(b)を参照して、スイッチング素子S2,S3のペアをオフするとともに、スイッチング素子S1,S4のペアをオンすることによって、リアクトルL2の蓄積エネルギを直流電源B2のエネルギとともに出力するための電流経路131が形成される。これにより、昇圧チョッパ回路の上アームをオンした状態が形成される。
スイッチング素子S2,S3のペアがオンされる一方で、スイッチング素子S1,S4の少なくとも一方がオフされている第1の期間と、スイッチング素子S1,S4のペアがオンされる一方で、スイッチング素子S2,S3の少なくとも一方がオフされている第2の期間とを交互に繰返すことにより、図5(a)の電流経路130および図5(b)の電流経路131が交互に形成される。この結果、スイッチング素子S1,S4のペアを等価的に上アームとし、スイッチング素子S2,S3のペアを等価的に下アームとする昇圧チョッパ回路が、直流電源B2に対して構成される。
このようなDC/DC変換において、直流電源B2の電圧V[2]と、電力線PLの出力電圧VHとの間には、下記(2)式に示す関係が成立する。(2)式では、スイッチング素子S2,S3のペアがオンされる期間のデューティ比をDbとする。
VH=1/(1−Db)・V[2] …(2)
直流電源B2による単独モードでは、直流電源B2の出力を制御するためのデューティ比Dbに基づく制御パルス信号SDbに従って、スイッチング素子S1〜S4が制御される。
図6には、直流電源B2による単独モードの制御動作例を説明するための波形図が示される。図6を参照して、制御パルス信号SDbは、制御パルス信号SDa(図3)と同様に、デューティ比Dbと、周期的なキャリア波25との比較に基づくPWM制御によって生成される。キャリア波25の周期は、各スイッチング素子のスイッチング周波数に相当し、キャリア波25の振幅は、Db=1.0に対応する電圧に設定される。
制御パルス信号SDbは、デューティ比Dbを示す電圧が、キャリア波25の電圧よりも高いときにHレベルに設定される一方で、キャリア波25の電圧よりも低いときにLレベルに設定される。制御パルス信号SDbの周期(Hレベル期間+Lレベル期間)に対するHレベル期間の比、すなわち、制御パルス信号SDbのデューティ比は、Dbと同等である。
制御パルス信号/SDbは、制御パルス信号SDbの反転信号である。デューティ比Dbが高くなると、制御パルス信号SDbのHレベル期間が長くなる。反対に、デューティ比Dbが低くなると、制御パルス信号SDbのLレベル期間が長くなる。
制御パルス信号SDbは、図5に示した昇圧チョッパ回路の下アーム(スイッチング素子S2,S3)のオンオフを制御する信号に対応する。一方、制御パルス信号/SDbは、図5に示した昇圧チョッパ回路の上アーム(スイッチング素子S1,S4)のオンオフを制御する信号に対応する。
図7は、直流電源B2による単独モードでの制御信号の設定を説明するための図表である。図7に示されるように、制御信号SG1〜SG4は、制御パルス信号SDb(/SDb)に基づいて設定される。
スイッチング素子S1,S4は、図5の昇圧チョッパ回路の上アームを形成する。したがって、スイッチング素子S1のオンオフを制御する制御信号SG1およびスイッチング素子S4のオンオフを制御する制御信号SG4は、制御パルス信号/SDbに基づいて生成される。
スイッチング素子S2,S3は、図5の昇圧チョッパ回路の下アームを形成する。したがって、スイッチング素子S2のオンオフを制御する制御信号SG2およびスイッチング素子S3のオンオフを制御する制御信号SG3は、制御パルス信号SDbに基づいて生成される。
このように、直流電源B2による単独モードでは、スイッチング素子S2,S3は、制御信号SG2,SG3にそれぞれ応答して共通にオンオフすることにより、電流経路130(図5(a))を形成するオン状態と、電流経路130を遮断するオフ状態とを選択的に形成する。一方、スイッチング素子S1,S4は、制御信号SG1,SG4に応答して共通にオンオフすることにより、電流経路131(図5(b))を形成するオン状態と、電流経路131を遮断するオフ状態とを選択的に形成する。
なお、図5(a)における電流経路130は「第1の電流経路(または第3の電流経路)」に対応し、図5(b)における電流経路131は「第2の電流経路(または第4の電流経路)」に対応する。また、スイッチング素子S2,S3は、第1の電流経路(電流経路130)の形成および遮断を行なうように構成された「第1のスイッチング素子」および「第2のスイッチング素子」にそれぞれ対応する。図6に示されるように、スイッチング素子S2,S3のペアと、スイッチング素子S1,S4のペアとを相補的にオンオフするように、制御信号SG1〜SG4を生成することにより、電流経路130(第1の電流経路)および電流経路131(第2の電流経路)が交互に形成される。
(直流電源B1による単独モードでの基本的な制御動作)
上述のように、本実施の形態に従う電力変換器50を、直流電源B1による単独モード、または直流電源B2による単独モードで動作させる場合には、電気的に直列に接続される2つのスイッチング素子のペアを等価的に昇圧チョッパ回路の上アームまたは下アームとして、直流電源と電力線PL,GLとの間でDC/DC変換が実行される。
図8は、直流電源B1による単独モードの制御動作例を示す波形図である。
図8を参照して、制御信号SG1〜SG4は、図4に示した図表に従って、制御パルス信号SDa(/SDa)に基づいて設定される。制御信号SG1〜SG4に基づいてスイッチング素子S1〜S4をオンオフすることにより、リアクトルL1を流れるリアクトル電流IL1およびリアクトルL2を流れるリアクトル電流IL2が図8に示すように制御される。リアクトル電流IL1は直流電源B1の電流I[1]に相当し、リアクトル電流IL2は直流電源B2の電流I[2]に相当する。
図8では、昇圧チョッパ回路の下アームを構成するスイッチング素子S3およびS4は、制御パルス信号SDaに基づいて生成された制御信号SG3,SG4に従って、共通にオンオフ制御される。同様に、昇圧チョッパ回路の上アームを構成するスイッチング素子S1およびS2は、制御パルス信号/SDaに基づいて生成された制御信号SG1,SG2に従って、共通にオンオフ制御される。すなわち、制御信号SG1,SG2と、制御信号SG3,SG4とは相補のレベルに設定されているため、スイッチング素子S1およびS2(上アーム)と、スイッチング素子S3およびS4(下アーム)とは相補的にオンオフされる。
このような昇圧チョッパ回路の制御では、通常、電力線PL,GL間の短絡経路が生じないように、上下アーム間でオンオフを切換える際には、両者がオフ状態とされる、いわゆるデッドタイムと呼ばれる期間が設けられる。
図8に示されるように、デッドタイムTdは、スイッチング素子S1およびS2のペアと、スイッチング素子S3およびS4のペアとが同時にオンしないように、制御信号SG1およびSG2と、制御信号SG3およびSG4との両方がLレベルに設定されるように設けられる。したがって、デッドタイム期間では、スイッチング素子S1およびS3と、スイッチング素子S3およびS4との両方(すなわち、スイッチング素子S1〜S4)がオフされる。すなわち、デッドタイムTdは、電流経路120(図2(a))および電流経路121(図2(b))の切換え時において、電流経路120および121を同時に遮断するための期間に相当する。
以下では、直流電源B1による単独モードでの制御動作の代表的な例として、直流電源B1が力行状態であるときの制御について説明する。
図8の時刻T1までは、スイッチング素子S3およびS4がオフされるので、昇圧チョッパ回路の下アームがオフされた状態となる。このため、リアクトル電流IL1は下降する。
時刻T1においてスイッチング素子S1およびS2がターンオフされることにより、上アームがオフされた状態となる。このとき、スイッチング素子S3およびS4はオフされているため、昇圧チョッパ回路の下アームがオフされた状態となっている。このため、リアクトル電流IL1は下降し続ける。
時刻T1からデッドタイムTdが経過した時刻T2において、スイッチング素子S3,S4がターンオンされることにより、上アームがオンされた状態となるので、リアクトル電流IL1が上昇を開始する。
時刻T3において、スイッチング素子S3,S4がターンオフされると、下アームがオフされた状態となるので、リアクトル電流IL1が再び下降を開始する。これにより、上述した時刻T1以前の状態が再現される。
なお、直流電源B1による単独モードの実行中は、直流電源B2への電流経路が形成されないため、リアクトル電流IL2=0に保たれている。
図9には、スイッチング素子S3およびS4を共通にオンオフ制御したときのスイッチング素子の波形図が示される。
図9を参照して、制御信号SG3,SG4がLレベルからHレベルに立上ると、スイッチング素子S3,S4のターンオン動作が開始される。電流経路120(図2(a))が形成されることにより、スイッチング素子S3の電流I(S3)およびスイッチング素子S4の電流I(S4)が上昇し始めるとともに、スイッチング素子S3の電圧V(S3)およびスイッチング素子S4の電圧V(S4)が下降し始める。
次に、制御信号SG3,SG4がHレベルからLレベルに立下がると、スイッチング素子S3,S4のターンオフ動作が開始される。電流経路120が遮断されることにより、電流I(S3)およびI(S4)が減少し始めるとともに、電圧V(S3)およびV(S4)が上昇し始める。なお、スイッチング素子S3,S4は電流経路120に直列に接続されているため、電流I(S3)およびI(S4)は波形が一致している。
実際のスイッチング動作時には、スイッチング素子のゲート電位の変化速度に対応する一定レートに従って、スイッチング素子の電流および電圧が変化する。なお、当該一定レートは、スイッチング素子の開閉速度に相当し、「スイッチング速度」とも呼ばれる。
図9に示されるように、ターンオン動作を開始してからスイッチング素子が完全にターンオンされるまでの期間(以下、ターンオン期間tonとも称する)において、スイッチング素子の電圧と電流との積に相当する電力損失が発生する。同様に、ターンオフ動作を開始してからスイッチング素子が完全にターンオフされるまでの期間(以下、ターンオフ期間toffとも称する)において、スイッチング素子の電圧と電流との積に相当する電力損失が発生する。当該スイッチング動作時の電力損失は「スイッチング損失」とも呼ばれる。スイッチング損失には、ターンオン動作時のスイッチング損失である「ターンオン損失」と、ターンオフ動作時のスイッチング損失である「ターンオフ損失」とがある。ターンオン損失およびターンオフ損失は、スイッチング素子のスイッチング速度に依存する。
図9から理解されるように、スイッチング素子S3およびS4を共通にオンオフさせる場合において、スイッチング素子S3のスイッチング速度と、スイッチング素子S4のスイッチング速度とが等しくなるときには、ターンオン期間tonおよびターンオフ期間toffの各時点において、電圧V(S3)および電圧V(S4)が等しい大きさとなる。言い換えれば、ターンオン期間tonおよびターンオフ期間toffに昇圧チョッパ回路の下アームに印加される電圧を、スイッチング素子S3とスイッチング素子S4とで、1/2ずつ均等に分担することになる。
図10には、スイッチング素子S3,S4のターンオフ期間における回路動作が示される。図10を参照して、直流電源B1に対して昇圧チョッパ回路の下アームがオンされた状態、すなわち、スイッチング素子S3,S4がオンされた状態から、スイッチング素子S3,S4のターンオフ動作を開始すると、電力変換器50での電流経路が、図10(a)の状態から図10(b)の状態に変化する。そして、スイッチング素子S3,S4が完全にターンオフすると、最終的に電流経路が図10(b)の状態となるため、下アームを構成するスイッチング素子S3,S4には合計で出力電圧VHに等しい電圧が印加されることになる。
ここで、上述のように、スイッチング素子S3およびS4のスイッチング速度が等しい場合には、ターンオフ期間toffに昇圧チョッパ回路の下アームに印加される電圧を、スイッチング素子S3およびS4が1/2ずつ均等に分担することになる。したがって、スイッチング素子S3で発生するターンオフ損失と、スイッチング素子S4で発生するターンオフ損失とは互いに等しくなる。すなわち、昇圧チョッパ回路の下アームで発生するターンオフ損失を、スイッチング素子S3とスイッチング素子S4とで、1/2ずつ均等に分担することになる。
このように、昇圧チョッパ回路の下アームを構成するスイッチング素子S3,S4のスイッチング速度が等しければ、下アームを単一のスイッチング素子で構成する従来の電力変換器と比較して、1素子あたりのターンオフ損失を半減できる。その結果、1素子あたりの発熱を抑制できるため、電力変換器50の出力を向上させることが可能となる。
しかしながら、スイッチング素子S3のスイッチング速度とスイッチング素子S4のスイッチング速度とが異なる場合には、以下に述べるように、両者間のスイッチング速度の大小に応じて、スイッチング素子S3とスイッチング素子S4とで、出力電圧VHを分担する割合が異なってくる。
図11には、スイッチング素子S3のスイッチング速度が、スイッチング素子S4のスイッチング速度よりも速い場合において、スイッチング素子S3,S4をターンオフしたときの波形図が示される。
図11を参照して、制御信号SG3,SG4がHレベルからLレベルに立下がると、スイッチング素子S3,S4のターンオフ動作が開始される。図11の動作例では、スイッチング素子S3がスイッチング素子S4に比べてスイッチング速度が速いため、スイッチング素子S3は、スイッチング素子S4よりも早いタイミングで完全にターンオフされる。
スイッチング素子S3がオフ状態となることで、図10(a)の電流経路が遮断されるため、図10(b)の状態に変化して、昇圧チョッパ回路の下アームには出力電圧VHが印加される。このとき、スイッチング素子S4は完全にターンオフされていないため、出力電圧VHの大部分を、スイッチング素子S3が受け持つことになる。例えば、図11に示されるように、電流経路が遮断されたタイミングにおいて、スイッチング素子S4が未だターンオフ動作を開始していない場合には、スイッチング素子S3が出力電圧VHのすべてを受け持つことになる。
このように、スイッチング素子S3,S4のターンオフ時には、スイッチング素子S3,S4のうちのスイッチング速度の速い方のスイッチング素子が、スイッチング速度が遅い方のスイッチング素子に比べて、出力電圧VHを分担する割合が大きくなる。そのため、スイッチング速度の速い方のスイッチング素子は、スイッチング速度が遅い方のスイッチング素子に比べて、ターンオフ損失がより大きくなることが理解される。
さらに、スイッチング素子S3,S4をターンオンさせる場合においても、図11と同様に、両者のスイッチング速度の大小に応じて、出力電圧VHを分担する割合が異なってくることが理解される。
すなわち、スイッチング素子S3のスイッチング速度が、スイッチング素子S4のスイッチング速度よりも速い場合には、制御信号SG3,SG4の立上りに従ってスイッチング素子S3,S4のターンオン動作が開始されてから、スイッチング素子S3は、スイッチング素子S4よりも早いタイミングで完全にターンオンされる。このとき、スイッチング素子S4は完全にターンオンされていないため、電流経路は図10(b)の状態となり、昇圧チョッパ回路の下アームに出力電圧VHが印加される。そして、この出力電圧VHのすべてもしくは大部分を、スイッチング素子S4が受け持つことになる。
このように、スイッチング素子S3,S4のターンオン時には、スイッチング素子S3,S4のうちのスイッチング速度が遅い方のスイッチング素子が、スイッチング速度が速い方のスイッチング素子に比べて、出力電圧VHを分担する割合が大きくなる。そのため、スイッチング速度が遅い方のスイッチング素子が、スイッチング速度の速い方のスイッチング素子に比べて、ターンオン損失がより大きくなることが理解される。
一方、直流電源B1が回生状態である場合には、昇圧チョッパ回路の上アームを構成するスイッチング素子S1,S2のスイッチング速度の大小に起因して、スイッチング素子S1,S2のスイッチング損失に偏りが生じる。
具体的には、スイッチング素子S1,S2のターンオン時には、スイッチング素子S1,S2のうちのスイッチング速度が遅い方のスイッチング素子が、スイッチング速度が速い方のスイッチング素子に比べて、出力電圧VHを分担する割合が大きくなる。そのため、スイッチング速度が遅い方のスイッチング素子が、スイッチング速度の速い方のスイッチング素子に比べて、ターンオン損失がより大きくなる。
また、スイッチング素子S1,S2のターンオフ時には、スイッチング素子S1,S2のうちのスイッチング速度の速い方のスイッチング素子が、スイッチング速度が遅い方のスイッチング素子に比べて、出力電圧VHを分担する割合が大きくなる。そのため、スイッチング速度の速い方のスイッチング素子は、スイッチング速度が遅い方のスイッチング素子に比べて、ターンオフ損失がより大きくなる。
このように、直流電源B1による単独モードでは、直流電源B1が力行状態である場合には、昇圧チョッパ回路の下アームを構成するスイッチング素子S3,S4のスイッチング速度が互いに等しければ、スイッチング素子S3およびS4がスイッチング損失を均等に分担するために、1素子あたりのスイッチング損失を抑制することができる。また、直流電源B1が回生状態である場合には、昇圧チョッパ回路の上アームを構成するスイッチング素子S1,S2のスイッチング速度が互いに等しければ、スイッチング素子S1およびS2がスイッチング損失を均等に分担するために、1素子あたりのスイッチング損失を抑制することができる。
しかしながら、上述のように、下アームを構成するスイッチング素子S3およびS4の間でスイッチング速度が異なると、直流電源B1の力行状態において、スイッチング素子S3,S4のスイッチング損失に偏りが生じる。同様に、上アームを構成するスイッチング素子S1およびS2の間でスイッチング速度が異なると、直流電源B1の回生状態において、スイッチング素子S1,S2のスイッチング損失に偏りが生じる。
このように、電気的に直列に接続され、共通にオンオフ制御される2つのスイッチング素子のペアにおいて、スイッチング損失に偏りが生じると、当該ペアの一方のスイッチング素子に発熱が集中的に生じやすくなる。この結果、スイッチング素子のペアにおける発熱に偏りが生じてしまうため、電力変換器50の出力向上が難しくなる。特に、一方のスイッチング素子がターンオン時またはターンオフ時に出力電圧VHのすべてを分担する場合には、当該スイッチング素子に、上下アームの各々を単一のスイッチング素子で構成した場合と同程度のスイッチング損失が発生する可能性がある。
なお、スイッチング速度の大小はスイッチング素子の製造ばらつき等により変動するため、いずれのスイッチング素子にスイッチング損失が偏るかについては成り行きで決まる。したがって、ペアを構成する2つのスイッチング素子の各々の耐熱設計を、単一のスイッチング素子で下アームを構成したときのスイッチング素子の耐熱設計と同程度まで保証せざるを得ない。
ここで、ペアを成す2つのスイッチング素子間でスイッチング速度を揃えることができれば、上述したスイッチング素子の発熱の偏りを抑制することが可能となる。しかしながら、2つのスイッチング素子間でスイッチング速度を揃えることは、実用上、製造コスト等を考慮すると、その実現が必ずしも容易ではない。
したがって、本実施の形態に従う電力変換器50では、2つのスイッチング素子のペアのターンオン時またはターンオフ時において、スイッチング損失を発生させるスイッチング素子を意図的に制御する。この制御を用いて、ペアを成す2つのスイッチング素子の間でスイッチング損失(すなわち、発熱)を分散して発生させる。
(直流電源B1による単独モードでのスイッチング損失分散のための制御動作)
以下では、代表的な例として、直流電源B1による単独モードでのスイッチング損失分散のための制御動作について説明する。
本実施の形態に従う電源システム5では、制御装置40は、2つのスイッチング素子のペアの一方のスイッチング素子と、他方のスイッチング素子との間で、ターンオンまたはターンオフのタイミングに時間差を設けるように、2つのスイッチング素子のオンオフを制御する。2つのスイッチング素子の間で、ターンオンまたはターンオフのタイミングを意図的にずらすことで、スイッチング損失を発生させるスイッチング素子を制御することができる。これにより、2つのスイッチング素子のペアに、上述したようなスイッチング損失の偏りを意図的に発生させることが可能となる。
具体的には、直流電源B1による単独モードでは、制御装置40は、昇圧チョッパ回路の上アームを構成するスイッチング素子S1,S2のペアに対して、ターンオンタイミングおよびターンオフタイミングに時間差を設ける。また、下アームを構成するスイッチング素子S3,S4のペアに対して、ターンオンタイミングおよびターンオフタイミングに時間差を設ける。
さらに、制御装置40は、スイッチング損失を発生させるスイッチング素子が異なる2つの制御モード(第1のモードおよび第2のモード)を備えており、これら2つの制御モードを時分割で実行する。これにより、2つのスイッチング素子の間でスイッチング損失を分散して発生させる。
以下では、制御装置40が備える2つの制御モードでの具体的な制御動作について説明する。さらに、これら2つの制御モードを切換えて実行するための時分割制御について説明する。
(第1のモードでの制御動作)
図12は、第1のモードにおける制御動作例を説明するための波形図である。
図12を参照して、第1のモードでは、スイッチング素子S2のターンオンタイミングが、スイッチング素子S1のターンオンタイミングよりも早くなり、かつ、スイッチング素子S1のターンオフタイミングが、スイッチング素子S2のターンオフタイミングよりも遅くなるように、制御信号SG1,SG2を生成する。
具体的には、制御装置40は、制御信号SG1,SG2の立上りタイミングおよび、制御信号SG1,SG2の立下りタイミングの各々において、デッドタイムTd分の時間差を設ける。図12に示されるように、制御装置40は、制御信号SG2に立上りタイミングに設けられたデッドタイムTdを除去することにより、制御信号SG2の立上りタイミングを、制御信号SG1の立上りタイミングよりもデッドタイムTd分早くする。制御装置40はまた、制御信号SG1の立下りタイミングにデッドタイムTdを追加することにより、制御信号SG1の立下りタイミングを、制御信号SG2の立下りタイミングよりもデッドタイムTd分遅くする。
これにより、スイッチング素子S2のターンオンタイミングは、スイッチング素子S1のターンオンタイミングよりもデッドタイムTd分早くなるとともに、スイッチング素子S1のターンオフタイミングは、スイッチング素子S2のターンオフタイミングよりもデッドタイムTd分遅くなる。
制御装置40は、さらに、昇圧チョッパ回路の下アームを構成するスイッチング素子S3,S4のペアに対して、スイッチング素子S3のターンオンタイミングが、スイッチング素子S4のターンオンタイミングよりも早くなり、かつ、スイッチング素子S4のターンオフタイミングがスイッチング素子S3のターンオフタイミングよりも遅くなるように、制御信号SG3,SG4を生成する。
具体的には、制御装置40は、制御信号SG3,SG4の立上りタイミングおよび、制御信号SG3,SG4の立下りタイミングの各々において、デッドタイムTd分の時間差を設ける。図12に示されるように、制御装置40は、制御信号SG3の立上りタイミングに設けられたデッドタイムTdを除去することにより、制御信号SG3の立上りタイミングを、制御信号SG4の立上りタイミングよりもデッドタイムTd分早くする。制御装置40はまた、制御信号SG4の立下りタイミングにデッドタイムTdを追加することにより、制御信号SG4の立下りタイミングを、制御信号SG3の立下りタイミングよりもデッドタイムTd分遅くする。
これにより、スイッチング素子S3のターンオンタイミングは、スイッチング素子S4のターンオンタイミングよりもデッドタイムTd分早くなるとともに、スイッチング素子S4のターンオフタイミングは、スイッチング素子S3のターンオフタイミングよりもデッドタイムTd分遅くなる。
なお、上記のように、スイッチング素子S1,S2間でターンオンタイミングおよびターンオフタイミングをずらしても、スイッチング素子S1およびS2の両方がオン状態となる期間、すなわち、電流経路121(図2)が形成される期間は、デューティ比Daに基づく制御パルス信号/SDaのHレベル期間を保証している。同様に、スイッチング素子S3,S4間でターンオンタイミングおよびターンオフタイミングをずらしても、スイッチング素子S3およびS4の両方がオン状態となる期間、すなわち、電流経路120(図2)が形成される期間は、デューティ比Daに基づく制御パルス信号SDaのHレベル期間を保証している。したがって、図12に示されるように、リアクトル電流IL1の波形は、図8のリアクトル電流ILの波形と同一である。
一方、リアクトル電流IL2には、デッドタイムTdに相当する期間において、IL2=0からの微小な変動が現われる。具体的には、時刻T1からT2までの期間では、リアクトル電流IL2は正側に微小に変動する。これは、デッドタイム期間にスイッチング素子S1をオン状態としたことで、直流電源B2と電力線PL,GLとの間に電流経路が一時的に形成されることによる。また、時刻T3からT4までの期間では、リアクトル電流IL2は負側に微小に変動する。これは、デッドタイム期間にスイッチング素子S2をオン状態としたことで、直流電源B2と電力線PL,GLとの間に電流経路が一時的に形成されることによる。
なお、2つのスイッチング素子間でのターンオンタイミングおよびターンオフタイミングにおける時間差は、デッドタイムTdを超えないように設定することが好ましい。当該時間差がデッドタイムTdを超過した場合には、その超過時間において、直流電源B2への電流経路130,131(図5(a),(b))が形成される可能性があるためである。
このように、第1のモードでは、スイッチング素子S1,S2のペア、およびスイッチング素子S3,S4のペアの各々において、2つのスイッチング素子間でターンオンおよびターンオフのタイミングをずらしたことによって、上述した、ペアを成す2つのスイッチング素子間のスイッチング速度が異なる場合と実質的に同様の現象が発生し得る。すなわち、第1のモードでは、上述したスイッチング損失の偏りを、意図的に発生させることができる。
具体的には、直流電源B1が力行状態であるときには、昇圧チョッパ回路の下アームを構成するスイッチング素子S3,S4のペアに対して、スイッチング損失を発生させるスイッチング素子を制御することができる。スイッチング素子S3,S4のターンオン時には、スイッチング素子S3,S4のうちのターンオンタイミングが遅い方のスイッチング素子S4が、出力電圧VHのすべてを受け持つことになる。そのため、スイッチング素子S4にターンオン損失が発生する。また、スイッチング素子S3,S4のターンオフ時には、スイッチング素子S3,S4のうちのターンオフタイミングが早い方のスイッチング素子S3が、出力電圧VHのすべてを受け持つことになる。そのため、スイッチング素子S3にターンオフ損失が発生する。
一方、直流電源B1が回生状態であるときには、昇圧チョッパ回路の上アームを構成するスイッチング素子S1,S2のペアに対して、スイッチング損失を発生させるスイッチング素子を制御することができる。スイッチング素子S1,S2のターンオン時には、スイッチング素子S1,S2のうちのターンオンタイミングが遅い方のスイッチング素子S1が、出力電圧VHのすべてを受け持つことになる。そのため、スイッチング素子S1にターンオン損失が発生する。また、スイッチング素子S1,S2のターンオフ時には、スイッチング素子S1,S2のうちのターンオフタイミングが早い方のスイッチング素子S2が、出力電圧VHのすべてを受け持つことになる。そのため、スイッチング素子S2にターンオフ損失が発生する。
(第2のモードでの制御動作)
図13は、第2のモードにおける制御動作例を説明するための波形図である。
図13を参照して、第2のモードでは、制御装置40は、昇圧チョッパ回路の上アームを構成するスイッチング素子S1,S2のペアに対して、スイッチング素子S1のターンオンタイミングが、スイッチング素子S2のターンオンタイミングよりも早くなり、かつ、スイッチング素子S2のターンオフタイミングが、スイッチング素子S1のターンオフタイミングよりも遅くなるように、制御信号SG1,SG2を生成する。
具体的には、図13に示されるように、制御装置40は、制御信号SG1に立上りタイミングに設けられたデッドタイムTdを除去することにより、制御信号SG1の立上りタイミングを、制御信号SG2の立上りタイミングよりもデッドタイムTd分早くする。制御装置40はまた、制御信号SG2の立下りタイミングにデッドタイムTdを追加することにより、制御信号SG2の立下りタイミングを、制御信号SG1の立下りタイミングよりもデッドタイムTd分遅くする。
これにより、スイッチング素子S1のターンオンタイミングは、スイッチング素子S2のターンオンタイミングよりもデッドタイムTd分早くなるとともに、スイッチング素子S2のターンオフタイミングは、スイッチング素子S1のターンオフタイミングよりもデッドタイムTd分遅くなる。
制御装置40は、さらに、昇圧チョッパ回路の下アームを構成するスイッチング素子S3,S4のペアに対して、スイッチング素子S4のターンオンタイミングが、スイッチング素子S3のターンオンタイミングよりも早くなり、かつ、スイッチング素子S3のターンオフタイミングがスイッチング素子S4のターンオフタイミングよりも遅くなるように、制御信号SG3,SG4を生成する。
具体的には、図13に示されるように、制御装置40は、制御信号SG4の立上りタイミングに設けられたデッドタイムTdを除去することにより、制御信号SG4の立上りタイミングを、制御信号SG3の立上りタイミングよりもデッドタイムTd分早くする。制御装置40はまた、制御信号SG3の立下りタイミングにデッドタイムTdを追加することにより、制御信号SG3の立下りタイミングを、制御信号SG4の立下りタイミングよりもデッドタイムTd分遅くする。
これにより、スイッチング素子S4のターンオンタイミングは、スイッチング素子S3のターンオンタイミングよりもデッドタイムTd分早くなるとともに、スイッチング素子S3のターンオフタイミングは、スイッチング素子S4のターンオフタイミングよりもデッドタイムTd分遅くなる。
なお、第2のモードにおいても、上述した第1のモードと同様に、リアクトル電流IL1の波形は、図8のリアクトル電流ILの波形と同一である。また、リアクトル電流IL2には、デッドタイムTdに相当する期間において、IL2=0からの微小な変動が現われる。
このように、第2のモードにおいても、スイッチング素子S1,S2のペア、およびスイッチング素子S3,S4のペアの各々において、2つのスイッチング素子間でターンオンおよびターンオフのタイミングをずらしたことで、ペアを成す2つのスイッチング素子間のスイッチング速度が異なる場合と実質的に同様の現象が発生し得るため、スイッチング損失の偏りを意図的に発生させることができる。
ここで、図12の波形図と図13の波形図とを比較すると、第2のモードは、第1のモードに対して、ターンオンタイミングおよびターンオフタイミングにおける時間差の設定の仕方が正反対となっている。このような構成としたことにより、第1のモードと第2のモードとでは、2つのスイッチング素子の間で、スイッチング損失の発生するスイッチング素子が入れ替わることが理解される。
具体的には、第2のモードにおいて、直流電源B1が力行状態であるときには、スイッチング素子S3,S4のターンオン時に、スイッチング素子S3,S4のうちのターンオンタイミングが遅い方のスイッチング素子S3にターンオン損失が発生する。また、スイッチング素子S3,S4のターンオフ時には、スイッチング素子S3,S4のうちのターンオフタイミングが早い方のスイッチング素子S4にターンオフ損失が発生する。
一方、直流電源B1が回生状態であるときには、スイッチング素子S1,S2のターンオン時に、スイッチング素子S1,S2のうちのターンオンタイミングが遅い方のスイッチング素子S2にターンオン損失が発生する。また、スイッチング素子S1,S2のターンオフ時には、スイッチング素子S1,S2のうちのターンオフタイミングが早い方のスイッチング素子S1にターンオフ損失が発生する。
(第1および第2のモードの時分割制御)
図14は、第1および第2のモードにおける制御動作とスイッチング損失との関係をまとめたものである。
図14から理解されるように、直流電源B1が力行状態であるときには、第1のモードと第2のモードとでは、スイッチング素子S3,S4の間で、ターンオン損失を発生するスイッチング素子およびターンオフ損失を発生するスイッチング素子がそれぞれ、入れ替わっている。
一方、直流電源B1が回生状態であるときには、第1のモードと第2のモードとでは、スイッチング素子S1,S2の間で、ターンオン損失を発生するスイッチング素子およびターンオフ損失を発生するスイッチング素子が入れ替わっている。
制御装置40は、第1のモードと第2のモードとを時分割で実行する。これにより、2つのスイッチング素子のペアでは、スイッチング損失が発生するスイッチング素子が時分割で入れ替わることになる。
上述のように、2つのスイッチング素子のペアを共通にオンオフ制御する場合には、スイッチング速度の大小に従って、スイッチング損失が発生するスイッチング素子が固定されてしまうために、スイッチング損失の偏りが生じる。これに対して、本実施の形態に従う時分割制御によれば、スイッチング損失が発生するスイッチング素子を時分割で入れ替えることができるため、スイッチング損失の偏りを抑制することができる。
ここで、本実施の形態に従う時分割制御では、第1のモードを実行する時間と、第2のモードを実行する時間との割合を調整することによって、ペアを成す2つのスイッチング素子の間でスイッチング損失を分担する割合を制御することができる。
例えば、制御装置40は、第1のモードを実行する時間と、第2のモードを実行する時間とが等しい長さとなるように、第1のモードと第2のモードとを時分割で実行することができる。これによれば、第1のモードの実行時に一方のスイッチング素子に発生するスイッチング損失と、第2のモードの実行時に他方のスイッチング素子に発生するスイッチング損失とが等しい大きさとなるように、制御することができる。したがって、上述した、2つのスイッチング素子間でスイッチング速度が互いに等しくなるという理想的な動作状態を、時分割制御によって実現することができる。すなわち、上下アームの各々を単一のスイッチング素子で構成する従来の電力変換器と比較して、1素子あたりのスイッチング損失を半減することができる。この結果、1素子あたりの発熱を抑制できるため、電力変換器50の出力を向上させることが可能となる。
あるいは、制御装置40は、第1のモードを実行する時間と、第2のモードを実行する時間とが異なる長さとなるように、第1のモードと第2のモードとを時分割で実行することもできる。これによれば、2つのスイッチング素子から選択した一方のスイッチング素子のスイッチング損失を意図的に大きくする一方で、他方のスイッチング素子のスイッチング素子を意図的に小さくすることが可能となる。このようにスイッチング損失の分担割合を調整することで、2つのスイッチング素子の間で異なる耐熱設計を適用することができる。なお、第1のモードと第2のモードとを時分割で実行せずに、第1のモードのみを実行する、もしくは第2のモードのみを実行する構成としても、同様の作用効果を得ることができる。
(直流電源B2による単独モードでのスイッチング損失分散のための制御動作)
図12〜図14では、直流電源B1による単独モードでの制御動作を説明したが、直流電源B2による単独モードでの制御動作においても、同様のスイッチング損失分散のための制御が実行できる。
具体的には、直流電源B2による単独モードでは、制御装置40は、昇圧チョッパ回路の上アームを構成するスイッチング素子S1,S4のペアに対して、ターンオンタイミングおよびターンオフタイミングに時間差を設ける。また、下アームを構成するスイッチング素子S2,S3のペアに対して、ターンオンタイミングおよびターンオフタイミングに時間差を設ける。
さらに、制御装置40は、スイッチング損失を発生させるスイッチング素子が異なる2つの制御モード(第3のモードおよび第4のモード)を備えており、これら2つの制御モードを時分割で実行する。これにより、2つのスイッチング素子の間でスイッチング損失を分散して発生させる。
(第3のモード)
図15は、第3のモードにおける制御動作例を説明するための波形図である。
図15を参照して、第3のモードでは、昇圧チョッパ回路の上アームを構成するスイッチング素子S1,S4のペアに対して、スイッチング素子S1のターンオンタイミングが、スイッチング素子S4のターンオンタイミングよりも早くなり、かつ、スイッチング素子S4のターンオフタイミングが、スイッチング素子S1のターンオフタイミングよりも遅くなるように、制御信号SG1,SG4を生成する。具体的には、制御装置40は、制御信号SG1,SG4の立上りタイミングおよび、制御信号SG1,SG4の立下りタイミングの各々において、デッドタイムTd分の時間差を設ける。
制御装置40は、さらに、昇圧チョッパ回路の下アームを構成するスイッチング素子S2,S3のペアに対して、スイッチング素子S3のターンオンタイミングが、スイッチング素子S2のターンオンタイミングよりも早くなり、かつ、スイッチング素子S2のターンオフタイミングがスイッチング素子S3のターンオフタイミングよりも遅くなるように、制御信号SG2,SG3を生成する。具体的には、制御装置40は、制御信号SG2,SG3の立上りタイミングおよび、制御信号SG2,SG3の立下りタイミングの各々において、デッドタイムTd分の時間差を設ける。
このように、スイッチング素子S1,S4のペア、およびスイッチング素子S2,S3のペアの各々において、2つのスイッチング素子間でターンオンおよびターンオフのタイミングをずらしたことによって、上述した、ペアを成す2つのスイッチング素子間のスイッチング速度が異なる場合と実質的に同様の現象が発生し得る。これにより、スイッチング損失の偏りを意図的に発生させることができる。
具体的には、直流電源B2が力行状態であるときには、昇圧チョッパ回路の下アームを構成するスイッチング素子S2,S3のペアに対して、スイッチング損失を発生させるスイッチング素子を制御することができる。スイッチング素子S2,S3のターンオン時には、スイッチング素子S2,S3のうちのターンオンタイミングが遅い方のスイッチング素子S2にターンオン損失が発生する。また、スイッチング素子S2,S3のターンオフ時には、スイッチング素子S2,S3のうちのターンオフタイミングが早い方のスイッチング素子S3にターンオフ損失が発生する。
一方、直流電源B2が回生状態であるときには、昇圧チョッパ回路の上アームを構成するスイッチング素子S1,S4のペアに対して、スイッチング損失を発生させるスイッチング素子を制御することができる。スイッチング素子S1,S4のターンオン時には、スイッチング素子S1,S4のうちのターンオンタイミングが遅い方のスイッチング素子S4にターンオン損失が発生する。また、スイッチング素子S1,S4のターンオフ時には、スイッチング素子S1,S4のうちのターンオフタイミングが早い方のスイッチング素子S1にターンオフ損失が発生する。
(第4のモードでの制御動作)
図16は、第4のモードにおける制御動作例を説明するための波形図である。
図16を参照して、第4のモードでは、制御装置40は、昇圧チョッパ回路の上アームを構成するスイッチング素子S1,S4のペアに対して、スイッチング素子S4のターンオンタイミングが、スイッチング素子S1のターンオンタイミングよりも早くなり、かつ、スイッチング素子S1のターンオフタイミングが、スイッチング素子S4のターンオフタイミングよりも遅くなるように、制御信号SG1,SG4を生成する。
制御装置40は、さらに、昇圧チョッパ回路の下アームを構成するスイッチング素子S2,S3のペアに対して、スイッチング素子S2のターンオンタイミングが、スイッチング素子S3のターンオンタイミングよりも早くなり、かつ、スイッチング素子S3のターンオフタイミングがスイッチング素子S2のターンオフタイミングよりも遅くなるように、制御信号SG2,SG3を生成する。
図15の波形図と図16の波形図とを比較すると、第4のモードは、第3のモードに対して、ターンオンタイミングおよびターンオフタイミングにおける時間差の設定の仕方が正反対となっている。したがって、第3のモードと第4のモードとでは、2つのスイッチング素子の間で、スイッチング損失の発生するスイッチング素子が入れ替わることが理解される。
具体的には、第4のモードにおいて、直流電源B2が力行状態であるときには、スイッチング素子S2,S3のターンオン時に、スイッチング素子S2,S3のうちのターンオンタイミングが遅い方のスイッチング素子S3にターンオン損失が発生する。また、スイッチング素子S2,S3のターンオフ時には、スイッチング素子S2,S3のうちのターンオフタイミングが早い方のスイッチング素子S2にターンオフ損失が発生する。
一方、直流電源B2が回生状態であるときには、スイッチング素子S1,S4のターンオン時に、スイッチング素子S1,S4のうちのターンオンタイミングが遅い方のスイッチング素子S1にターンオン損失が発生する。また、スイッチング素子S1,S4のターンオフ時には、スイッチング素子S1,S4のうちのターンオフタイミングが早い方のスイッチング素子S4にターンオフ損失が発生する。
(第3および第4のモードの時分割制御)
図17は、第3および第4のモードにおける制御動作とスイッチング損失との関係をまとめたものである。
図17から理解されるように、直流電源B2が力行状態であるときには、第3のモードと第4のモードとでは、スイッチング素子S2,S3の間で、ターンオン損失を発生するスイッチング素子およびターンオフ損失を発生するスイッチング素子がそれぞれ、入れ替わっている。
一方、直流電源B2が回生状態であるときには、第3のモードと第4のモードとでは、スイッチング素子S1,S4の間で、ターンオン損失を発生するスイッチング素子およびターンオフ損失を発生するスイッチング素子が入れ替わっている。
制御装置40は、第3のモードと第4のモードとを時分割で実行する。これにより、2つのスイッチング素子のペアでは、スイッチング損失が発生するスイッチング素子が時分割で入れ替わることになる。
ここで、直流電源B2による単独モードにおいても、時分割制御において、第3のモードを実行する時間と、第4のモードを実行する時間との割合を調整することで、ペアを成す2つのスイッチング素子の間でスイッチング損失を負担する割合を制御することができる。例えば、制御装置40は、第3のモードを実行する時間と、第4のモードを実行する時間とが等しい長さとなるように、第3のモードと第4のモードとを時分割で実行することができる。これによれば、第3のモードの実行時に一方のスイッチング素子に発生するスイッチング損失と、第4のモードの実行時に他方のスイッチング素子に発生するスイッチング損失とが等しい大きさとなるように制御することができる。これにより、上下アームの各々を単一のスイッチング素子で構成する従来の電力変換器と比較して、1素子あたりのスイッチング損失を半減させることができる。
あるいは、制御装置40は、第3のモードを実行する時間と、第4のモードを実行する時間とが異なる長さとなるように、第3のモードと第4のモードとを時分割で実行することもできる。これによれば、2つのスイッチング素子から選択した一方のスイッチング素子のスイッチング損失を意図的に大きくする一方で、他方のスイッチング素子のスイッチング素子を意図的に小さくすることが可能となる。このようにスイッチング損失の分担割合を調整することで、2つのスイッチング素子の間で異なる耐熱設計を適用することができる。なお、第3のモードと第4のモードとを時分割で実行せず、第3のモードのみを実行する、あるいは第4のモードのみを実行する構成としても、同様の作用効果を得ることができる。
なお、本実施の形態では、電力変換器50の構成について、スイッチング素子S1〜S4とリアクトルL1,L2との接続関係を図示して説明したが、電力変換器50の構成要素がこれらの素子に限定されることを意味するものではない。すなわち、本実施の形態において、構成要素同士が「電気的に接続される」との記載は、両要素間に他の回路要素やコネクタ端子が存在し、当該他の回路要素を経由して上記構成要素間に電気的な接続が確保されることを含むものとする。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。