JP6346532B2 - 電子源ユニット及び帯電処理ユニット - Google Patents

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Description

本発明は、処理対象物を所望の電位に帯電させる帯電処理装置に用いられる電子源ユニット、及び、当該電子源ユニットを備える帯電処理ユニットに関する。
電子源ユニットとして、所定波長のエネルギー線を出射するエネルギー線源と、所定波長のエネルギー線の入射により光電子を外部に放出する光電子放出体と、を備えるものが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された電子源ユニットは、帯電処理装置に用いられており、光電子放出体から放出された光電子により、処理対象物を所望の電位に帯電させている。
特開平4−218941号公報(特許第2977098号公報)
本発明者らは、調査研究の結果、次のような事実を新たに見出した。光電子放出体から放出された光電子により、処理対象物を所望の電位に帯電させる帯電処理装置では、処理対象物が電気絶縁物である場合、所望の電位に帯電させ得る効果が乏しい。特に、処理対象物が負の電位に帯電している電気絶縁物である場合、上記帯電処理装置では、帯電電荷を中和する、すなわち除電する効果は極めて低い。
本発明は、処理対象物を所望の電位に帯電させ得る効果が極めて高い帯電処理装置を実現することが可能な電子源ユニット及び帯電処理ユニットを提供することを目的とする。
本発明の一態様は、処理対象物を所望の電位に帯電させる帯電処理装置に用いられ、処理対象物が位置する処理空間に存在する荷電粒子形成用ガスの分子を励起させる電子を発生させる電子源ユニットであって、電子を発生させる電子発生源と、電子発生源に電位を供給する給電部と、電子発生源を収容する筐体と、筐体の外側空間と筐体内の電子発生源が位置する空間とを仕切るように位置し、かつ、電子発生源にて発生する電子が筐体の外側空間に向けて通過し、所望の電位とされるメッシュ状の電極部と、を備えている。
本発明の一態様に係る電子源ユニットが用いられた帯電処理装置では、給電部を通して、電極部の電位よりも小さい電位が電子発生源に供給されると、電子発生源と電極部との間には、電子発生源にて発生する電子を電極部に向けて加速させる加速電界が形成される。この加速電界により、電子発生源にて発生する電子は、メッシュ状の電極部を通過し、筐体の外側空間に効率よく導出される。ところで、帯電処理装置において、筐体の外側空間は、処理対象物が位置する処理空間であり、荷電粒子形成用ガスが存在している。このため、筐体の外側空間、すなわち処理空間に導出された電子は、処理空間に存在する荷電粒子形成用ガスの分子を励起し、正及び負の荷電粒子を生じさせる。
生じた正及び負の荷電粒子のうちいずれか一方の荷電粒子が、電極部及び電極部と電気的に接続される部位の電位(所望の電位)と処理対象物の電位とで形成される電界に応じて、処理対象物側に移動する。生じた正及び負の荷電粒子のうちいずれか他方の荷電粒子は、電極部及び上記部位側に移動する。処理対象物に移動してきた荷電粒子により、処理対象物は、所望の電位に帯電する。処理対象物が所望の電位に帯電すると、電極部及び上記部位と処理対象物との間に電界が形成されず、荷電粒子は移動しなくなる。したがって、処理対象物は、確実に所望の電位に帯電する。
これらの結果、電子源ユニットが用いられた帯電処理装置では、処理対象物を所望の電位に帯電させ得る効果が極めて高い。所望の電位に帯電させるとは、正又は負の電位に帯電させることだけでなく、正又は負の電位の帯電を中和する、いわゆる除電することも含む。
筐体は、筐体の外側空間と連通する開口部を含んでおり、電極部は、開口部を覆うように筐体に配置されていてもよい。この場合、筐体の外側空間と筐体内の電子発生源が位置する空間とを仕切るように位置する電極部を、確実かつ容易に配置することができる。
筐体は、平面視で長手方向と短手方向とを有しており、電子発生源は、筐体の長手方向に沿って延びていてもよい。この場合、電子源ユニットから外側空間に導出される電子により、処理空間に電子発生源が延びている方向に沿って存在する荷電粒子形成用ガスの分子が励起される。これにより、処理対象物が長尺状の物体であっても、当該処理対象物を確実に所望の電位に帯電させることができる。
電子発生源は、熱電子を放出するカソードを含んでいてもよい。この場合、出力の高い電子発生源を容易に実現することができる。
カソードは、イリジウムを含む材料からなる基材部と、基材部の表面を覆う、イットリウム酸化物を含む材料からなる被覆部と、を含んでいてもよい。この場合、出力が高く、かつ、安定性の高い電子発生源を容易に実現することができる。
電極部は、筒形状を呈し、カソードを囲むようにカソードの外側に配置されていてもよい。この場合、筐体の外側空間と筐体内の電子発生源が位置する空間とを仕切るように、電極部を確実に配置することができる。
カソードを囲むようにカソードと電極部との間に配置され、かつ、導電性を有するカバーを更に備え、カバーには、熱電子をカバー外に放出する開口が形成されており、カバーは、カソードの電位以下の電位とされてもよい。この場合、カバーにより、カバーに形成された開口に熱電子が効率よく向かうような電界を形成できるため、開口から熱電子を効率よく放出させることができる。
電子発生源は、所定波長のエネルギー線を出射するエネルギー線源と、所定波長のエネルギー線の入射により光電子を外部に放出する光電子放出体と、を含んでいてもよい。この場合、筐体部内の雰囲気に対して安定度の高い電子発生源を実現することができる。
エネルギー線源は、電子発生源から処理部への光電子入射軸とエネルギー線源のエネルギー線出射軸とが同軸とならないように、配置されていてもよい。この場合、エネルギー線が、処理対象物に直接、影響を及ぼすことを抑制することができる。
エネルギー線源は、光電子入射軸とエネルギー線出射軸とが交わるように配置され、光電子放出体は、エネルギー線出射軸に対して傾斜する傾斜面を含んでいてもよい。この場合、エネルギー線の処理対象物への直接的な影響をより抑制することができる。また、効率よく発生した光電子を処理室へ導くことができる。
所定波長のエネルギー線は真空紫外光を含んでいてもよい。この場合、より効率よく光電子を発生することができる。
エネルギー線源と光電子放出体との間に配置され、光電子放出体の電位と同等の電位とされるメッシュ状の電極部を更に備えていてもよい。この場合、光電子放出体から放出された光電子が、エネルギー線源側に向かうのを抑制し、光電子を筐体の外側空間に向けて効率よく導出することができる。
エネルギー線源と光電子放出体との間に配置され、かつ、所定波長のエネルギー線を透過する窓材を更に備え、窓材により、筐体における光電子放出体が収容されている空間が気密に封止されてもよい。この場合、エネルギー線源に関する作業を、処理対象物が位置する処理空間内の所定の圧力雰囲気に影響を与えることなく、容易に行うことができる。
所定波長のエネルギー線を透過する窓材を更に備え、窓材の一方の面には、透過型光電面を構成し、かつ、導電性を有する薄膜が形成されており、窓材は、薄膜と光電子放出体とが同等の電位となるように、エネルギー線源と光電子放出体との間に配置されていてもよい。この場合、薄膜からも光電子が放出されるため、筐体の外側空間に導出される光電子の量が増加する。また、光電子放出体から放出された光電子が、エネルギー線源側に向かうのを抑制し、光電子を筐体の外側空間に向けて効率よく導出することができる。
光電子放出体は、胴部と底部とを有し、所定波長のエネルギー線を導入するための開口が形成された有底筒形状を呈していてもよい。この場合、光電子放出体からの光電子の放出及び放出された光電子の筐体の外側空間側への移動が効率よく行われる。
光電子放出体と電極部との間に配置されている、光電子を制御するための光電子制御部を更に備えていてもよい。この場合、たとえば、処理部内における光電子の入射範囲を制御することができる。
光電子放出体は、光電子を放出する開口が形成された胴部を有し、電極部は、筒形状を呈し、胴部を囲むように胴部の外側に配置されていてもよい。この場合、筐体の外側空間と筐体内の電子発生源が位置する空間とを仕切るように、電極部を確実に配置することができる。
本発明に係る帯電処理ユニットは、上記電子源ユニットと、筐体の外側空間を処理空間とするための処理部と、を備え、処理部は、処理対象物を処理空間に導入する導入部を有し、所望の電位とされる。
本発明に係る帯電処理ユニットでは、処理部内への処理対象物の導入及び導出を容易に行うことができる。処理部が、電極部と同じ所望の電位とされるため、処理空間を処理部内に適切に形成することができる。
処理部は、導入部と対向するように位置し、処理対象物を処理部から導出する導出部を更に有していてもよい。この場合、処理対象物の帯電処理を連続して行うことができる。
処理部は、互いに離間して配置された二つの部材を有し、二つの部材の間から処理空間に処理対象物を導入してもよい。この場合、より大きなサイズを有する処理対象物の帯電処理を連続して行うことができる。
本発明によれば、処理対象物を所望の電位に帯電させ得る効果が極めて高い帯電処理装置を実現することが可能な電子源ユニット及び帯電処理ユニットを提供することができる。
第1実施形態に係る帯電処理装置を示す斜視図である。 電子源ユニットの一例を示す斜視図である。 処理室部の一例を示す斜視図である。 第1実施形態に係る帯電処理装置での帯電処理を説明するための図である。 第1実施形態に係る帯電処理装置での帯電処理を説明するための図である。 第1実施形態に係る帯電処理装置での帯電処理を説明するための図である。 第1実施形態に係る帯電処理装置での帯電処理を説明するための図である。 第2実施形態に係る除電処理装置を示す斜視図である。 電子源ユニットの一例を示す断面図である。 電子源ユニットの変形例を示す平面図である。 図10におけるXI−XI線に沿った断面図である。 図10におけるXII−XII線に沿った断面図である。 電子源ユニットの更なる変形例を示す断面図である。 電子源ユニットの更なる変形例を示す断面図である。 電子源ユニットの更なる変形例を示す断面図である。 電子源ユニットの更なる変形例を示す斜視図である。 図16に示された電子源ユニットの断面図である。 光電子放出体を示す斜視図である。 電子源ユニットからの光電子の放出を説明するための図である。 光電子放出体の変形例を示す斜視図である。 電子源ユニットからの光電子の放出を説明するための図である。 第4実施形態に係る帯電処理装置を示す斜視図である。 電子源ユニットの一例を示す斜視図である。 図23に示された電子源ユニットの断面図である。 第4実施形態の変形例に係る除電処理装置を示す斜視図である。 第5実施形態に係る除電処理装置を示す斜視図である。 電子源ユニットの一例を示す斜視図である。 除電処理装置に用いられる電子源ユニットの変形例を示す斜視図である。 帯電処理装置の適用例を説明するための図である。 帯電処理装置の適用例を説明するための図である。 帯電処理装置の適用例を説明するための図である。 帯電処理ユニットを示す斜視図である。 帯電処理ユニットの変形例を示す斜視図である。 帯電処理ユニットの変形例を示す斜視図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
(第1実施形態)
図1〜図3を参照して、第1実施形態に係る帯電処理装置C1の構成を説明する。図1は、第1実施形態に係る帯電処理装置を示す斜視図である。図2は、電子源ユニットの一例を示す斜視図である。図3は、処理室部の一例を示す斜視図である。
帯電処理装置C1は、図1に示されるように、処理部1と電子源ユニット3とを備えている。帯電処理装置C1は、処理対象物POを所望の電位に帯電させる装置である。たとえば、帯電処理装置C1は、帯電していない処理対象物POを正又は負の電位に帯電させることが可能である。帯電処理装置C1は、たとえば、正又は負の電位に帯電している処理対象物POを除電すること又は所望の電位に変えることも可能である。
処理部1は、処理筐体2、処理室部20、給気部21、及び排気部23を有している。処理筐体2は、処理筐体2の内部空間(処理空間)を気密状態で画成可能に構成されている。処理室部20は、処理筐体2内に配置されており、内部に処理筐体2の内部雰囲気と連通する処理空間が形成される。そのため、処理室部20は、メッシュや開口等で構成された、処理筐体2との連通部を有する。処理筐体2及び処理室部20は、たとえば、直方体形状を呈する導電性金属材料(たとえば、ステンレス鋼又はアルミニウムなど)からなる。
処理筐体2及び処理室部20は、処理室部20内に処理対象物POを導入するための導入開口(図示せず)を有している。当該導入開口を介して処理室部20内に導入された処理対象物POは、処理室部20内に置かれる。これにより、処理室部20(処理部1)は、処理対象物POを包囲する。処理対象物POは、保持部材(不図示)によって、その位置が規定される。処理対象物POを包囲する処理室部20は、所望の電位とされ、処理対象物POは、処理室部20と電気的に絶縁された状態で、処理室部20内に置かれる。処理筐体2及び処理室部20の導入開口は、少なくとも帯電処理時には閉塞されるのが好ましい。少なくとも処理室部20の導入開口は、処理室部20と同電位の部材で閉塞されるのが好ましい。処理筐体2は、絶縁性材料からなっていてもよい。
処理室部20は、処理筐体2が設置される部位(以下、「設置部位」と称する)と電気的に絶縁されている。処理室部20は、必ずしも、設置部位と電気的に絶縁されている必要はない。たとえば、帯電処理装置C1が除電処理装置のみとして用いられる場合であって、処理筐体2及び設置部位がグラウンド電位(接地電位)とされているときには、処理室部20は、処理筐体2及び設置部位と電気的に接続されていてもよい。
電子源ユニット3は、図2にも示されているように、電子を発生させる電子発生源5と、電子発生源5を収容する電子源筐体7と、電極部11と、を有している。電子発生源5は、熱電子を放出するカソード6を含んでいる。カソード6は、加熱されることにより熱電子を放出する。カソード6は、たとえば、フィラメントなどの直熱型電極である。具体的には、フィラメントは、イリジウムを含む材料からなる導電性部材6a(基材部)と、導電性部材6aの表面を覆う、イットリウム酸化物を含む材料からなるコーティング層6b(被覆部)と、を含んでいることが好ましい。イリジウムは、化学的に安定しており、酸素ガスなどと反応し難い。イットリウム酸化物は、仕事関数が低く、低温で熱電子を放出する。
カソード6は、ヒータの加熱により熱電子を放出する傍熱型電極であってもよい。カソード6は、熱電子を放出する熱電子源に限らず、冷陰極などの電界放出型電子源や弾導電子源といったその他の電子源であってもよい。電子源筐体7は、電子発生源5を収容する胴部7aと、電子源ユニット3から熱電子を放出するための開口部7bと、を含んでいる。胴部7aは、断面が円形の円筒形状を呈している。胴部7aの断面は、円形に限られず、多角形であってもよい。
電子源ユニット3は、カソード6から放出された熱電子の運動を制御するための電極8と、カソード6に電流を供給するための一対のリード電極9と、カソード6(一対のリード電極9)を絶縁固定するガラス管10と、を更に有している。カソード6は、ガラス管10内に位置している。ガラス管10は、一端が開口している。ガラス管10は、処理部1内が気密状態に維持されるように、電子源筐体7(胴部7a)に設けられている。また、ガラス管10が用いられることなく、リード電極9を備えた絶縁ステム又は真空フランジ上にカソード6を組み上げた構造体が用いられてもよい。
カソード6の両端部は、リード電極9にそれぞれ電気的に接続されている。電極8は、一方のリード電極9に電気的に接続されている。一対のリード電極9は、電子発生源5(カソード6)に電位を供給する給電部として機能する。電子源筐体7は、導電性金属材料(たとえば、ステンレス鋼又はアルミニウムなど)からなる。電極8には、別の給電経路が設けられていてもよい。電極8に別の給電経路が設けられている場合、当該給電経路を通して、カソード6とは別の電位を電極8に供給してもよい。
電子源ユニット3内には、カソード6及び電極8に供給される電位によって、電子発生源5にて発生した熱電子を電極部11に向けて加速させる加速電界が形成される。カソード6から放出された熱電子は、ガラス管10の開口を通して、電子源ユニット3から導出される。加速電界を形成する電位差は、処理筐体2内に導入された熱電子が、処理対象物POに直接到達し難い大きさに設定される。加速電界を形成する電位差は、たとえば、10〜1000Vの範囲内とされ、50〜500Vの範囲内であることが好ましい。
電子源ユニット3は、処理筐体2に気密に着脱自在に装着される真空フランジVFを有している。すなわち、電子源ユニット3は、真空フランジVFが処理筐体2に装着されることにより、処理筐体2に設けられている。処理筐体2における電子源ユニット3が設けられる位置には、開口部2aが形成されている。すなわち、電子源ユニット3(電子源筐体7)内の空間は、開口部2aを通して、処理筐体2内の空間と連通している。真空フランジVFは、導電性金属材料(たとえば、ステンレス鋼又はアルミニウムなど)からなる。開口部2aの形状は、電子源筐体7(胴部7a)の形状に対応して、円形状である。
電子源ユニット3が、溶接などにより処理筐体2と一体的に設けられている場合、又は、処理筐体2(処理部1)内に配置される場合は、真空フランジVFは必ずしも必要ではない。真空フランジVFは、胴部7aと一体形成されていてもよく、胴部7aと別体に形成されていてもよい。
電極部11は、図2に示されるように、メッシュ状の導電性部材である。メッシュとは、網状に限らず、格子状、多孔状、又は多段櫛刃状などの、所定の領域を複数の領域に二次元的に分割する構造であって、メッシュ状の導電性部材が電極部11として用いられた際には、電子の透過と電界の形成を可能とする構造体である。電極部11は、開口部7bを覆うように電子源筐体7に設けられている。電極部11は、開口部7bの形状に対応して、平面視で、円形状を呈している。電極部11は、電子源筐体7の外側空間と電子源筐体7内の電子発生源5(カソード6)が位置する空間とを仕切るように位置する。すなわち、電極部11は、電子源ユニット3と処理筐体2(処理空間)とを仕切るように電子源ユニット3と処理筐体2との間に位置することとなる。電極部11はメッシュ状であることから、カソード6にて発生しる電子が電子源筐体7の外側空間に向けて通過する。
電極部11は、電子源筐体7とは絶縁され、かつ、所望の電位が供給されるように、たとえば絶縁部材を介して電子源筐体7に固定されると共に、電極部11への給電経路が設けられていることが好ましい。電極部11は、処理室部20と同電位にされる場合、導電部材などを介して処理室部20に電気的に接触させることにより、処理室部20と同電位としてもよい。また、電極部11と処理室部20とに、別途設けた給電部材によって、同じ電位が供給されてもよい。なお、所望の電位がグラウンド電位の場合、電極部11は、電子源筐体7と電気的に接続されていてもよい。電極部11は、たとえば、ステンレス鋼からなる。電極部11のメッシュの大きさは、熱電子の通過率が高く、かつ、電子源ユニット3と処理筐体2との間で電界の染み出しが極めて少ない大きさに設定される。
処理室部20は、図3の(a)に示されるように、たとえば、直方体形状を呈している。処理室部20には、処理筐体2における電子源ユニット3が設けられる面に対向する一つの面に開口部20aが形成されている。開口部20aは、処理筐体2における開口部2aと対向するように位置している。すなわち、処理室部20には、電子源ユニット3と対向する位置に開口部20aが形成されているため、電子源ユニット3(電子源筐体7)内の空間は、開口部2a及び開口部20aを通して、処理部1の処理室部20内の処理空間と連通している。開口部20aは、処理室部20と同電位とされるメッシュ状の電極MEに覆われている。
処理室部20には、図3の(b)に示されるように、処理筐体2における電子源ユニット3が設けられる面に対向する一つの面の略全体が開口することにより、開口部20aが形成されていてもよい。開口部20aは、処理室部20と同電位とされるメッシュ状の電極MEに覆われている。処理室部20には、図3の(c)に示されるように、六つの面の略全体が開口していてもよい。図3の(c)に示された処理室部20は、直方体の各稜に枠部が位置する枠構造体、すなわち、直方体形状の枠構造体である。全ての開口部20aは、処理室部20と同電位とされるメッシュ状の電極MEに覆われている。なお、図3の(a)〜図3の(c)のいずれにおいても、開口部20aは、メッシュ状の電極MEで覆われることなく、開放されていてもよい。
処理筐体2と処理室部20とは、それぞれ独立して、電位が供給される。この場合、処理筐体2と処理室部20とは、互いに電気的に絶縁されている。処理筐体2と処理室部20とは、必ずしも、互いに電気的に絶縁されている必要はなく、互いに電気的に接続されていてもよい。この場合、処理筐体2と処理室部20とは、同じ電位に設定される。帯電処理装置C1が除電処理装置のみとして用いられる場合には、処理筐体2と処理室部20とは、電気的に接続されていることが好ましい。処理筐体2と処理室部20とは、処理室部20を処理筐体2と接触するように処理筐体2内に配置することにより、電気的に接続することができる。
給気部21及び排気部23は、処理筐体2に設けられている。給気部21及び排気部23は、処理部1内を所定の圧力条件下に設定するために、処理部1(処理筐体2)内のガスの給排気を行う。所定の圧力条件下とは、減圧下はもちろんのこと、大気圧下又は加圧下であってもよい。処理部1内の圧力は、たとえば、数十〜10−3Paの範囲内とされ、より好ましくは10〜10−2Paの範囲内とされる。また、給気部21及び排気部23は、荷電粒子形成用ガスの給排気を行う。これにより、処理部1(処理筐体2)内を、荷電粒子形成用ガスを含む所定の圧力雰囲気下とすることが可能である。荷電粒子形成用ガスには、たとえば、大気又はアルゴン(Ar)ガスなどの不活性ガスを用いることができる。帯電処理装置C1を取り巻く雰囲気が荷電粒子形成用ガスとされる場合、所定の圧力雰囲気として減圧雰囲気とするには、排気部23のみで実現することもできる。給気部21及び排気部23は、処理筐体2に設けられている必要はなく、処理室部20に直接設けられていてもよい。この場合、給気部21及び排気部23が処理室部20の電位に影響しないようにする必要がある。
次に、図4〜図7を参照して、帯電処理装置C1による帯電処理について説明する。図4〜図7は、第1実施形態に係る帯電処理装置での帯電処理を説明するための図である。図4の(a)〜(c)は、処理対象物POを負の電位に帯電させる処理を説明するための図である。図5の(a)〜(c)は、処理対象物POを正の電位に帯電させる処理を説明するための図である。図6の(a)〜(c)は、正の電位に帯電している処理対象物POを除電する処理を説明するための図である。図7の(a)〜(c)は、負の電位に帯電している処理対象物POを除電する処理を説明するための図である。図4及び図5においては、処理対象物POが絶縁体である場合を例示し、図6及び図7においては、処理対象物POが導電体である場合を例示する。説明の容易化のために、処理室部20の開口部20aがメッシュ状の電極MEで覆われていない態様とする。
[負の電位への帯電処理]
図4の(a)に示されるように、帯電処理装置C1には、帯電していない、すなわち電位が0Vである処理対象物POが処理室部20内に配置されている。給気部21及び排気部23(図4では不図示)により、処理室部20(処理筐体2)内は、荷電粒子形成用ガスを含む所定の圧力雰囲気下とされる。たとえば、処理室部20内は、Arガスを含み、かつ、0.7〜1.3Pa(たとえば1Pa)とされた圧力雰囲気下とされる。
帯電処理装置C1では、処理室部20(処理部1)が、所望の負の電位(たとえば、−200V)に設定される。これにより、処理対象物POと処理室部20との間に、処理対象物POと処理室部20との電位差(たとえば、200V)に対応する電界が形成される。電極部11と処理室部20とが同じ電位とされているため、処理対象物POと処理室部20との電位差に対応する電界は、電極部11の近傍まで形成される。
電子発生源5(カソード6)は、上述した加速電界が形成されるように、処理室部20よりも低い電位(たとえば、−400V)に設定される。これにより、電子源ユニット3内には、電子発生源5と処理室部20(電極部11)との電位差(たとえば、200V)に対応する加速電界が形成される。電極部11により、処理対象物POと処理室部20及び電極部11との電位差に対応する電界と、電子源ユニット3内の加速電界と、が互いに影響し合うのが抑制されている。
電子源ユニット3内に加速電界が形成され、かつ、処理対象物POと処理室部20(電極部11)との間に上記電界が形成されている状態で、カソード6に通電し、カソード6から熱電子を放出させる。カソード6から放出された熱電子は、加速電界により加速され、電極部11を通過し、処理室部20内に導入される。
図4の(b)に示されるように、処理室部20内に導入された熱電子は、処理室部20内の電極部11と処理対象物POとの間に存在する荷電粒子形成用ガスの分子を励起し、正及び負の荷電粒子を生じさせる。すなわち、荷電粒子形成用ガスの分子は、熱電子の衝突により、正及び負の荷電粒子に解離する。荷電粒子形成用ガスとして、Arガスが用いられる場合、Ar分子が、Arイオンと電子とに開裂し、Arイオンと電子とが生じる。
生じた負の荷電粒子(電子)は、処理対象物POと処理室部20及び電極部11との電位差に対応する電界に応じて、処理対象物PO側に移動する。処理対象物POは、処理対象物POに移動してきた負の荷電粒子により、負の電位に帯電していく。生じた正の荷電粒子(Arイオン)は、処理対象物POと処理室部20及び電極部11との電位差に対応する電界に応じて、処理室部20側及び電極部11側に移動する。処理室部20及び電極部11に到達した正の荷電粒子は、中和される。
処理対象物POの帯電状態に応じ、処理対象物POと処理室部20及び電極部11との間に形成される電界が弱まっていく。処理対象物POが、上述した所望の負の電位に帯電すると、図4の(c)に示されるように、処理対象物POと処理室部20及び電極部11との間には電界が形成されず、負の荷電粒子は移動しなくなる。これにより、処理対象物POは、所望の負の電位に帯電され、処理対象物POの電位は、帯電した状態で安定する。
[正の電位への帯電処理]
図5の(a)に示されるように、帯電処理装置C1には、帯電していない、すなわち電位が0Vである処理対象物POが処理室部20内に配置されている。給気部21及び排気部23(図5では不図示)により、処理室部20(処理筐体2)内は、荷電粒子形成用ガスを含む所定の圧力雰囲気下とされる。たとえば、処理室部20内は、Arガスを含み、かつ、0.7〜1.3Pa(たとえば1Pa)とされた圧力雰囲気下とされる。
帯電処理装置C1では、処理室部20(処理部1)が、所望の正の電位(たとえば、+200V)に設定される。これにより、処理対象物POと処理室部20との間に、処理対象物POと処理室部20との電位差(たとえば、200V)に対応する電界が形成される。電極部11と処理室部20とが同じ電位とされているため、処理対象物POと処理室部20との電位差に対応する電界は、電極部11の近傍まで形成される。
電子発生源5(カソード6)は、上述した加速電界が形成されるように、処理室部20よりも低い電位(たとえば、−100V)に設定される。これにより、電子源ユニット3内には、電子発生源5と処理室部20(電極部11)との電位差(たとえば、300V)に対応する加速電界が形成される。電極部11により、処理対象物POと処理室部20及び電極部11との電位差に対応する電界と、電子源ユニット3内の加速電界と、が互いに影響し合うのが抑制されている。
電子源ユニット3内に加速電界が形成され、かつ、処理対象物POと処理室部20(電極部11)との間に上記電界が形成されている状態で、カソード6に通電し、カソード6から熱電子を放出させる。カソード6から放出された熱電子は、加速電界により加速され、電極部11を通過し、処理室部20内に導入される。
図5の(b)に示されるように、処理室部20内に導入された熱電子は、処理室部20内の電極部11と処理対象物POとの間に存在する荷電粒子形成用ガスの分子を励起し、正及び負の荷電粒子を生じさせる。生じた正の荷電粒子は、処理対象物POと処理室部20及び電極部11との電位差に対応する電界に応じて、処理対象物PO側に移動する。処理対象物POは、処理対象物POに移動してきた正の荷電粒子により、正の電位に帯電していく。生じた負の荷電粒子は、処理対象物POと処理室部20及び電極部11との電位差に対応する電界に応じて、処理室部20側及び電極部11側に移動する。処理室部20及び電極部11に到達した負の荷電粒子は、中和される。
処理対象物POの帯電状態に応じ、処理対象物POと処理室部20及び電極部11との間に形成される電界が弱まっていく。処理対象物POが、上述した所望の正の電位に帯電すると、図5の(c)に示されるように、処理対象物POと処理室部20及び電極部11との間には電界が形成されず、正の荷電粒子は移動しなくなる。これにより、処理対象物POは、所望の正の電位に帯電され、処理対象物POの電位は、帯電した状態で安定する。
[正の電荷の除電処理]
図6の(a)に示されるように、帯電処理装置C1には、正の電荷に帯電している処理対象物POが処理室部20内に配置されている。処理対象物POは、たとえば、+1kVに帯電している。給気部21及び排気部23(図6では不図示)により、処理室部20(処理筐体2)内は、荷電粒子形成用ガスを含む所定の圧力雰囲気下とされる。たとえば、処理室部20内は、Arガスを含み、かつ、0.7〜1.3Pa(たとえば1Pa)とされた圧力雰囲気下とされる。
帯電処理装置C1では、処理室部20及び処理筐体2が、グラウンド電位(接地電位)に設定される。これにより、処理対象物POと処理室部20との間に、処理対象物POと処理室部20との電位差(たとえば、1kV)に対応する電界が形成される。電極部11と処理室部20とが同じ電位とされているため、処理対象物POと処理室部20との電位差に対応する電界は、電極部11の近傍まで形成される。
電子発生源5(カソード6)は、上述した加速電界が形成されるように、処理室部20よりも低い電位(たとえば、−200V)に設定される。これにより、電子源ユニット3内には、電子発生源5と処理室部20(電極部11)との電位差(たとえば、200V)に対応する加速電界が形成される。電極部11により、処理対象物POと処理室部20及び電極部11との電位差に対応する電界と、電子源ユニット3内の加速電界と、が互いに影響し合うのが抑制されている。
電子源ユニット3内に加速電界が形成され、かつ、処理対象物POと処理室部20(電極部11)との間に上記電界が形成されている状態で、カソード6に通電し、カソード6から熱電子を放出させる。カソード6から放出された熱電子は、加速電界により加速され、電極部11を通過し、処理室部20内に導入される。
図6の(b)に示されるように、処理室部20内に導入された熱電子は、処理室部20内の電極部11と処理対象物POとの間に存在する荷電粒子形成用ガスの分子を励起し、正及び負の荷電粒子を生じさせる。生じた負の荷電粒子は、処理対象物POと処理室部20及び電極部11との電位差に対応する電界に応じて、処理対象物PO側に移動する。処理対象物POは、処理対象物POに移動してきた負の荷電粒子により、正の電位の帯電が中和されていく。生じた正の荷電粒子は、処理対象物POと処理室部20及び電極部11との電位差に対応する電界に応じて、処理室部20側及び電極部11側に移動する。処理室部20及び電極部11に到達した正の荷電粒子は、中和される。
処理対象物POの帯電状態に応じ、処理対象物POと処理室部20及び電極部11との間に形成される電界が弱まっていく。処理対象物POが、除電されると、すなわち電位が0Vとなると、図6の(c)に示されるように、処理対象物POと処理室部20及び電極部11との間には電界が形成されず、負の荷電粒子は移動しなくなる。これにより、処理対象物POは、電位が0Vとされ、処理対象物POの電位は、除電された状態で安定する。
[負の電荷の除電処理]
図7の(a)に示されるように、帯電処理装置C1には、負の電荷に帯電している処理対象物POが処理室部20内に配置されている。処理対象物POは、たとえば、−1kVに帯電している。給気部21及び排気部23(図7では不図示)により、処理室部20(処理筐体2)内は、荷電粒子形成用ガスを含む所定の圧力雰囲気下とされる。たとえば、処理室部20内は、Arガスを含み、かつ、0.7〜1.3Pa(たとえば1Pa)とされた圧力雰囲気下とされる。
帯電処理装置C1では、処理室部20及び処理筐体2が、グラウンド電位(接地電位)に設定される。これにより、処理対象物POと処理室部20との間に、処理対象物POと処理室部20との電位差(たとえば、1kV)に対応する電界が形成される。電極部11と処理室部20とが同じ電位とされているため、処理対象物POと処理室部20との電位差に対応する電界は、電極部11の近傍まで形成される。
電子発生源5(カソード6)は、上述した加速電界が形成されるように、処理室部20よりも低い電位(たとえば、−200V)に設定される。これにより、電子源ユニット3内には、電子発生源5と処理室部20(電極部11)との電位差(たとえば、200V)に対応する加速電界が形成される。電極部11により、処理対象物POと処理室部20及び電極部11との電位差に対応する電界と、電子源ユニット3内の加速電界と、が互いに影響し合うのが抑制されている。
電子源ユニット3内に加速電界が形成され、かつ、処理対象物POと処理室部20(電極部11)との間に上記電界が形成されている状態で、カソード6に通電し、カソード6から熱電子を放出させる。カソード6から放出された熱電子は、加速電界により加速され、電極部11を通過し、処理室部20内に導入される。
図7の(b)に示されるように、処理室部20内に導入された熱電子は、処理室部20内の電極部11と処理対象物POとの間に存在する荷電粒子形成用ガスの分子を励起し、正及び負の荷電粒子を生じさせる。生じた正の荷電粒子は、処理対象物POと処理室部20及び電極部11との電位差に対応する電界に応じて、処理対象物PO側に移動する。処理対象物POは、処理対象物POに移動してきた正の荷電粒子により、負の電位の帯電が中和されていく。生じた負の荷電粒子は、処理対象物POと処理室部20及び電極部11との電位差に対応する電界に応じて、処理室部20側及び電極部11側に移動する。処理室部20及び電極部11に到達した負の荷電粒子は、中和される。
処理対象物POの帯電状態に応じ、処理対象物POと処理室部20及び電極部11との間に形成される電界が弱まっていく。処理対象物POが、除電されると、すなわち電位が0Vとなると、図7の(c)に示されるように、処理対象物POと処理室部20及び電極部11との間には電界が形成されず、正の荷電粒子は移動しなくなる。これにより、処理対象物POは、電位が0Vとされ、処理対象物POの電位は、除電された状態で安定する。
以上のように、電子源ユニット3が用いられた帯電処理装置C1では、一対のリード電極9(給電部)を通して、電極部11の電位よりも小さい電位が電子発生源5(カソード6)に供給されると、電子発生源5と電極部11との間には加速電界が形成される。この加速電界により、電子発生源5にて発生する電子は、メッシュ状の電極部11を通過し、電子源筐体7の外側空間に効率よく導出される。ところで、帯電処理装置C1において、電子源筐体7の外側空間は、処理室部20内の空間(処理対象物POが位置する処理空間)であり、荷電粒子形成用ガスが存在している。このため、電子源筐体7の外側空間、すなわち処理室部20内に導出された電子は、処理室部20内に存在する荷電粒子形成用ガスの分子を励起し、正及び負の荷電粒子を生じさせる。
生じた正及び負の荷電粒子のうちいずれか一方の荷電粒子が、電極部11及び処理室部20(電極部11と電気的に接続される部位)の電位(所望の電位)と処理対象物POの電位とで形成される電界に応じて、処理対象物PO側に移動する。生じた正及び負の荷電粒子のうちいずれか他方の荷電粒子は、電極部11側及び処理室部20側に移動する。処理対象物POに移動してきた荷電粒子により、処理対象物POは、所望の電位に帯電する。処理対象物POが所望の電位に帯電すると、電極部11及び処理室部20と処理対象物POとの間に電界が形成されず、荷電粒子は移動しなくなる。したがって、処理対象物POは、確実に所望の電位に帯電する。
なお、説明の容易化のために、処理室部20の開口部20aがメッシュ状の電極MEにて覆われていない態様としたが、処理室部20の開口部20aにも、処理室部20と同電位のメッシュ状の電極が存在する場合であっても、処理対象物POと処理室部20との電位差に対応する電界は、メッシュ状の電極が存在する開口部20aまで形成される。このため、電極部11から出射された電子は、慣性力でメッシュ状の電極が存在する開口部20aを通過する。したがって、開口部20aにメッシュ状の電極が存在する場合であっても、開口部20aにメッシュ状の電極が存在しない場合と同様の作用効果を奏する。
これらの結果、電子源ユニット3が用いられた帯電処理装置C1では、処理対象物POを所望の電位に帯電させ得る効果が極めて高い。
電子源筐体7は、処理筐体2内の処理空間と連通する開口部7bを含んでおり、電極部11は、開口部7bを覆うように電子源筐体7に配置されている。これにより、電子源筐体7の外側空間と電子源筐体7内の電子発生源5が位置する空間とを仕切るように位置する電極部11を、確実かつ容易に配置することができる。
帯電処理装置C1では、処理部1(処理筐体2)内の荷電粒子形成用ガスの圧力と、電子源ユニット3内の加速電界と、に応じ、荷電粒子形成用ガスの分子が解離する位置(以下、単に「解離位置」と称する)が変化する。加速電界が大きいと、解離位置は電子源ユニット3から離れ、加速電界が小さいと、解離位置は電子源ユニット3に近づく。荷電粒子形成用ガスの圧力が高いと、電子(たとえば、熱電子)の平均自由行程が短くなり、解離位置は電子源ユニット3に近づく。荷電粒子形成用ガスの圧力が低いと、電子の平均自由行程が長くなり、解離位置は電子源ユニット3から離れる。これらのことから、荷電粒子形成用ガスの圧力と加速電界とを調節することにより、解離位置を最適化することができる。したがって、加速電圧は調整可能であることが好ましい。加速電圧は、たとえば、カソード6及び電極8に供給される電位を調整することによって、調整することができる。
(第2実施形態)
図8及び図9を参照して、第2実施形態に係る除電処理装置NA1の構成を説明する。図8は、第2実施形態に係る除電処理装置を示す斜視図である。図9は、電子源ユニットの一例を示す断面図である。
本実施形態においては、帯電処理装置において、特に、正又は負の電位に帯電した処理対象物POの帯電を中和する、いわゆる除電するための除電処理装置NA1を説明する。処理部1は第1実施形態と同様に処理室部20を備えていてもよい。しかしながら、説明を容易にするため、処理部1の処理空間は導電性材料からなる処理筐体2のみで構成し、処理筐体2(少なくともその内表面)と電極部11は、所望の帯電中和レベル(たとえばグラウンド電位)に設定できるように構成されている。このため、正負いずれに帯電した処理対象物POであっても、所望の帯電中和レベル(たとえばグラウンド電位)にすることができる。これは、所望の帯電中和レベルへの帯電処理であり、その動作機構は前述の帯電処理装置の動作機構と同様である。第2実施形態に係る除電処理装置NA1は、電子源ユニット3の構成に関して、第1実施形態に係る帯電処理装置C1と相違する。
除電処理装置NA1は、図8及び図9に示されるように、処理部1と、電子源ユニット3と、を備えている。
電子源ユニット3(電子源筐体7)は、図9にも示されているように、平面視で長手方向と短手方向とを有している。電子源ユニット3は、略直方体形状を呈している。カソード6(電子発生源5)は、電子源ユニット3の長手方向に沿って延びている。胴部7aの断面は、矩形状である。電極部11は、開口部7bの形状に対応して、平面視で、矩形状を呈している。処理筐体2の開口部2aの形状は、電子源ユニット3の平面形状に対応させて、たとえば、長手方向と短手方向とを有している形状である。本実施形態では、開口部2aの形状は矩形状である。
電子源ユニット3は、電子源筐体7に設けられ、かつ、カソード6に電気的に接続されている一対の電流導入端子13を有している。一対の電流導入端子13は、電子源筐体7の長手方向での両端部に配置されている。一対の電流導入端子13は、電子発生源5(カソード6)に電位を供給する給電部として機能する。また、電極部11は、電子源筐体7に直接固定されることにより、電子源筐体7及び処理筐体2と電気的に接続されている。このため、電極部11、電子源筐体7、及び処理筐体2は、グラウンド電位とされている。なお、電極部11は、電子源筐体7とは絶縁され、かつ、所望の電位を供給できるように、たとえば絶縁部材を介して電子源筐体7に固定されると共に、電極部11への給電経路が設けられていてもよい。この場合、電極部11がグラウンド電位とされるためには、電極部11は処理筐体2と電気的に接続されてもよく、また、別途グラウンド電位と接続されてもよい。
本実施形態では、電子源筐体7が、平面視で長手方向と短手方向とを有しており、カソード6は、電子源筐体7の長手方向に沿って延びていている。この場合、電子源ユニット3から処理筐体2内の処理空間に導出される電子により、処理空間にカソード6が延びている方向に沿って存在する荷電粒子形成用ガスの分子が励起される。これにより、除電処理装置NA1は、処理対象物が長尺状の物体又は面積が大きな物体であっても、当該処理対象物を確実に除電することができる。
(第3実施形態)
図10〜図12を参照して、電子源ユニット3の変形例を説明する。図10は、電子源ユニットの変形例を示す平面図である。図11は、図10におけるXI−XI線に沿った断面図である。図12は、図10におけるXII−XII線に沿った断面図である。第3実施形態に係る電子源ユニット3は、熱電子ではなく光電子を放出する点で、第1及び第2実施形態における電子源ユニット3と相違する。
電子源ユニット3は、図10〜図12に示されるように、光電子を放出する電子発生源30と、電子発生源30を収容する電子源筐体31と、電極部11と、を有している。電子源ユニット3は、図8及び図9に示された電子源ユニット3と同じく、平面視で長手方向と短手方向とを有している。電子発生源30は、所定波長のエネルギー線を出射するエネルギー線源32と、所定波長のエネルギー線の入射により光電子を外部に放出する光電子放出体33と、を含んでいる。エネルギー線源32は、たとえば、長尺状のエキシマランプなどが用いられる。
電子源ユニット3は、真空フランジVFが処理筐体2に装着されることにより、処理筐体2に設けられている。本実施形態においても、電子源ユニット3が、溶接などにより処理筐体2と一体的に設けられている場合、又は、処理部1内に配置される場合は、真空フランジVFは必ずしも必要ではない。真空フランジVFは、電子源筐体31と一体形成されていてもよく、電子源筐体31と別体に形成されていてもよい。
エネルギー線源32は、たとえばX線から赤外線までの帯域に含まれる波長のエネルギー線を放出するエネルギー線源である。光電子放出体33の作成し易さ、及び、大気に曝される環境下での劣化などを考慮すると、エネルギー線源32は、X線からUV光までの帯域に含まれるエネルギー線を放出するエネルギー線源であることが好ましい。当該エネルギー線源には、たとえば、UV光又はVUV光(真空紫外光)などを放出するエキシマランプ又は重水素ランプ、UVレーザ光源、若しくは、X線管などがある。エネルギー線源32として、特に、光電子放出体33の量子効率が比較的高い、光エネルギーのVUV光を放出するエキシマランプなどが好ましい。所定波長のエネルギー線が真空紫外光を含んでいる場合、より効率よく光電子を発生することができる。
電子源筐体31は、電子源ユニット3の長手方向で対向する一対の端面部31aと、一対の端面部31aを連結するように電子源ユニット3の長手方向に延び、かつ、互いに対向している一対の側面部31bと、一対の端面部31aと一対の側面部31bとに接続される上面部31cと、を有している。電子源筐体31は、電子源ユニット3から光電子を放出するための開口部31dを、上面部31cと対向する位置に含んでいる。
エネルギー線源32は、ガス導入管35内に配置されている。ガス導入管35は、その両端部が、Oリングを介して、電子源筐体31の一対の端面部31aに気密に保持されている。ガス導入管35は、電子源筐体31を電子源ユニット3の長手方向に貫通するように配置されている。エネルギー線源32も、電子源筐体31を電子源ユニット3の長手方向に貫通するように配置されている。ガス導入管35は、エネルギー線源32から出射される所定波長のエネルギー線を透過する材料からなり、たとえば、石英ガラス又はMgFなどからなる。ガス導入管35は、金属などからなる管状部材であってもよい。この場合、当該管状部材の所定位置に開口が設けられ、当該開口に石英ガラス又はMgFなどからなる窓材が設けられることが好ましい。
ガス導入管35の一端部には、ガス導入管35内にガスを導入するガス導入部37が接続されている。ガス導入管35の他端部は、ガス導入管35内に導入されたガスを排出するガス排出部として機能する。ガス導入管35内に導入されるガスは、窒素などの不活性ガスが用いられ、エネルギー線源32を冷却する。ガスは、ガス導入部37からガス導入管35内に導入され、ガス排出部から排出されるため、光子の透過率が低下するのを抑制できる。ガス導入管35の他端部からは、エネルギー線源32の電極に接続された電源線38,39が導出される。ガスの導排出又は電源線38,39の導出は、ガス導入管35のいずれの端部から行われてもよい。電源線38、39が導出される部位は、ガス導入管35の開放端に限られない。ガス導入管35の両端がガス導排出可能に密閉され、ガス導入管35の内外を貫通する給電部と接続して電源線38、39が導出されてもよい。
光電子放出体33は、絶縁基板36を介して電子源筐体31に設けられている。光電子放出体33は、電子源筐体31と電気的に絶縁されている。光電子放出体33は、電子源筐体31の各面部31a〜31cに沿うように延びている五つの面部を有している。光電子放出体33は、五つの面部の内側表面が、光電子の放出面となる。すなわち、電子源筐体31の開口部31dに対応する位置が開口している。光電子放出体33の五つの面部は、ガス導入管35を介して、エネルギー線源32を囲むように位置している。光電子放出体33は、電子源筐体31に設けられている電流導入端子34と電気的に接続されている。光電子放出体33は、電子源筐体31に対し、着脱自在に設けられている。これにより、光電子放出体33の交換が可能となる。電流導入端子34は、電子発生源30(光電子放出体33)に電位を供給する給電部として機能する。光電子放出体33の面部は五つに限らず、光電子が処理筐体2側に放出されやすい構造の多面体でよい。
光電子放出体33は、大気に曝される環境下においても劣化が少なく、かつ、エネルギー線源32から出射されるエネルギー線(たとえば、UV光又はVUV光など)に対して量子効率が高い材料が用いられ、当該材料として、たとえは、Au、Ni、ステンレス鋼、Al、ダイヤモンド薄膜、DLC(diamond−like carbon)薄膜、又はAl薄膜などが挙げられる。UV光又はVUV光に対し、量子効率が高い材料は、Auが一般的である。VUV光に対しては、Al、Al薄膜、又はダイヤモンド薄膜が、量子効率が比較的高い材料である。各薄膜は、金属基体の表面に成膜される。光電子放出体33の光電子の放出面は、鏡面処理が施されていてもよい。
電極部11は、電子源筐体31の開口部31dを覆うように、当該開口部31dに設けられている。電極部11は、電子源筐体31とは絶縁され、かつ、所望の電位が供給されるように、たとえば絶縁部材を介して電子源筐体31に固定されると共に、電極部11への給電経路が設けられていることが好ましい。所望の電位の値によっては、電極部11は、電子源筐体31と同電位になるように、電子源筐体31と直接固定されていてもよい。電極部11は、開口部31dの形状に対応して、平面視で、矩形状を呈している。電極部11は、電流導入端子34を通して光電子放出体33に供給される電位との差により、電子発生源30にて発生した光電子を電極部11に向けて加速させる加速電界を電子源ユニット3内に形成する。
電極部11は、処理対象物POと処理筐体2との電位差に対応する電界を電子源ユニット3と処理筐体2との境界近傍まで形成する。また、電極部11は、電子源ユニット3内に形成される加速電界と、処理対象物POと処理筐体2及び電極部11との電位差に対応する電界と、が互いに影響し合うのを抑制する。電極部11は、光電子放出体33とは電気的に絶縁されている。加速電界は、処理筐体2内に導入された光電子が、処理対象物POに直接到達し難い強さに設定される。加速電界は、上述したように、たとえば、10〜1000Vの範囲内の加速電圧で形成される強さとされる。加速電界は、50〜500Vの範囲内の加速電圧で形成される強さであることが好ましい。
本実施形態では、電子源ユニット3は、所定波長のエネルギー線を出射するエネルギー線源32と、所定波長のエネルギー線の入射により光電子を外部に放出する光電子放出体33と、を含んでいる。これにより、帯電処理装置(除電処理装置)(電子源筐体31)内の雰囲気(圧力及び真空度など)によって性能及び寿命などに影響を受けることの少ない、密封構造のエネルギー線源(たとえばランプなど)を用いることができる。この結果、帯電処理装置(除電処理装置)内の雰囲気に対して安定度の高い電子発生源を実現することができる。
本実施形態では、電子源筐体31が、平面視で長手方向と短手方向とを有しており、エネルギー線源32は、電子源筐体7の長手方向に沿って延びていている。この場合、電子源ユニット3から処理筐体2内の処理空間に導出される電子により、処理空間にカソード6が延びている方向に沿って存在する荷電粒子形成用ガスの分子が励起される。これにより、図9〜図11に示された電子源ユニット3を備える帯電処理装置は、処理対象物が長尺状の物体又は面積が大きな物体であっても、当該処理対象物を確実に所望の電位に帯電させることができる。
図13〜図15を参照して、電子源ユニット3の更なる変形例を説明する。図13〜図15は、電子源ユニットの更なる変形例を示す断面図である。図13〜図15に示された断面構成は、電子源ユニット3の長手方向に直交する面で切断した際の断面構成に相当する。いずれの変形例においても、電極部11は、電子源筐体31とは絶縁され、かつ、所望の電位が供給されるように、たとえば絶縁部材を介して電子源筐体31に固定されると共に、電極部11への給電経路が設けられていることが好ましい。所望の電位の値によっては、電極部11は、電子源筐体31と同電位になるように、電子源筐体31と直接固定されていてもよい。
図13に示された変形例では、エネルギー線源32は、一方の側面部31b側に配置されている。すなわち、エネルギー線源32は、電子源ユニット3から処理空間への光電子入射軸A1と、エネルギー線源32のエネルギー線出射軸A2とが同軸とならないように、より詳細には光電子入射軸A1とエネルギー線出射軸A2とが略直交するように、配置されている。一方の側面部31b及び光電子放出体33における一方の側面部31bに対向する面には、エネルギー線源32からのエネルギー線を、光電子放出体33の内側空間に導くための開口が形成されている。光電子放出体33は、電子源ユニット3の長手方向に直交する断面において、光電子が開口部31dに向けて放出されるように傾斜面を有している。すなわち、光電子放出体33は、エネルギー線源32のエネルギー線出射軸A2に対して傾斜する傾斜面を含んでいる。傾斜面は、それぞれ角度が異なる複数の傾斜面からなっていてもよい。
電子源ユニット3は、メッシュ状の電極部41を含んでいる。電極部41は、エネルギー線源32と光電子放出体33との間に配置され、光電子放出体33と同じの電位とされる。本変形例では、電極部41は、光電子放出体33に設けられている。電極部41は、たとえば、Au又はAlなどの光電子放出特性が高い材料からなる。電極部41は、たとえば、ステンレス鋼からなり、表面にAu、Al、又はAlなどからなる薄膜が形成されているメッシュであってもよい。電子源ユニット3は、必ずしも電極部41を含んでいる必要はなく、電子源ユニット3は、電極部41を含んでいなくてもよい。
本変形例では、電極部41により、光電子放出体33から放出された光電子が、エネルギー線源32側に向かうのを抑制し、光電子を処理部1(図12では不図示)に向けて効率よく導くことができる。また、電極部41により、エネルギー線源32などの帯電を防ぐことができる。
図13に示された電子源ユニット3では、エネルギー線源32が一つの側面部31b側に配置され、かつ、光電子入射軸A1とエネルギー線出射軸A2とが同軸とならないよう、より詳細には光電子入射軸A1とエネルギー線出射軸A2とが略直交するように、配置されているので、エネルギー線源32から放出されたエネルギー線が、処理部1(図12では不図示)に直接照射され難い。このため、処理部1におけるエネルギー線が照射された部位にて、物質の解離などが生じるのを抑制することができる。さらに、光電子放出体33は、電子源ユニット3の長手方向に直交する断面において、光電子が開口部31dに向けて放出されるように傾斜面を有している。すなわち、光電子放出体33は、エネルギー線源32のエネルギー線出射軸A2に対して傾斜する傾斜面を含んでいるので、効率よく発生した光電子を処理空間へ導くことができる。
図14に示された変形例では、電子源ユニット3は、窓材42を含んでいる。窓材42は、エネルギー線源32と光電子放出体33との間に配置され、かつ、所定波長のエネルギー線を透過する。エネルギー線源32がたとえば軟X線源である場合には、窓材42は、Be又はTiの薄膜といったX線透過性材料などからなる。エネルギー線源32がたとえばUV光源又はVUV光源である場合には、窓材42は、石英ガラス又はMgFなどからなる。
窓材42により、電子源ユニット3(電子源筐体31)における光電子放出体33が収容されている空間が気密に封止される。窓材42は、Oリング43を介して、電子源筐体31に設けられている。エネルギー線源32は、電子源筐体31に着脱可自在でかつ気密に設けられる収容部44内に収容されている。窓材42は、収容部44を電子源筐体31に取り付けることにより、収容部44と電子源筐体31とで挟持されることにより、電子源筐体31に設けられる。収容部44の内部空間には、エネルギー線源32の冷却及びエネルギー線量の低下を抑制するため、たとえば窒素ガスといった不活性ガスを流通させることが好ましい。
本変形例では、窓材42により、電子源筐体31における光電子放出体33が収容されている空間が気密に封止されているため、エネルギー線源32に関する交換及び保守といった作業を、処理対象物POが位置する処理空間内の所定の圧力雰囲気に影響を与えることなく、容易に行うことができる。本変形例でも、電極部41により、光電子を処理部1に向けて効率よく導くことができると共に、エネルギー線源32及び窓材42などの帯電を防ぐことができる。
図14に示された電子源ユニット3でも、エネルギー線源32が一つの側面部31b側に配置されているので、エネルギー線源32から放出されたエネルギー線が、処理部1に直接照射され難い。このため、処理部1におけるエネルギー線が照射された部位にて、物質の解離などが生じるのを抑制することができる。
図15に示された変形例では、窓材42は、光電子放出体33に設けられている。窓材42は、収容部44を電子源筐体31に取り付けることにより、収容部44と光電子放出体33とで挟持されることにより、光電子放出体33に設けられる。収容部44は、Oリング43を介して、電子源筐体31に設けられている。光電子放出体33は、電子源ユニット3の長手方向に直交する断面において、光電子が開口部31dに向けて放出されるように湾曲面を有している。
窓材42における光電子放出体33側の面に、透過型光電面を構成し、かつ、導電性を有する薄膜45が形成されている。薄膜45は、たとえば、厚みが数nm〜数百nmであり、かつ、Au、Al、又はAlなどからなる。薄膜45は、窓材42が光電子放出体33に設けられている状態で、光電子放出体33と同等の電位となるように接触している。すなわち、窓材42は、薄膜45と光電子放出体33とが接触するように、エネルギー線源32と光電子放出体33との間に配置されている。薄膜45は、光電子放出体33との接触により、光電子放出体33と同じ電位とされる。薄膜45と光電子放出体33とは、物理的に接触することなく、導電部材などを介して電気的に接触させて同電位としてもよく、別途設けた給電部材によって光電子放出体33と同じ電位を薄膜45に供給してもよい。また、必要に応じて光電子放出体33と薄膜45の電位を変えてもよい。この場合、放出される光電子の分布を変えることができる。
本変形例では、薄膜45からも光電子が放出されるため、処理部1に導かれる光電子の量が増加する。薄膜45により、光電子を処理部1に向けて効率よく導くことができる。これらの結果、本変形例によれば、帯電処理の効果を高めることができる。
図16〜図18を参照して、電子源ユニット3の更なる変形例を説明する。図16は、電子源ユニットを示す斜視図である。図17は、図16に示された電子源ユニットの断面図である。図18は、光電子放出体を示す斜視図である。
電子源ユニット3は、電子源筐体31、エネルギー線源32、光電子放出体33、及び電極部11を含んでいる。エネルギー線源32は、たとえば、エキシマランプ又は重水素ランプなどが用いられる。エネルギー線源32は、発光部組立体48とガラス製の密封容器49とを備えている。密封容器49は、発光部組立体48を収容する側管部49aと、側管部49aから突出すると共に側管部49aに連通する突出部49bと、を有している。突出部49bの先端は、エネルギー線(VUV光)を出射する光出射窓によって封止されている。
電子源筐体31は、両端が開口した筒形状を呈している。電子源筐体31の一方の端部には、真空フランジVFが設けられている。電極部11は、真空フランジVFの開口を覆うように真空フランジVFに設けられている。電極部11は、電子源筐体31とは絶縁され、かつ、所望の電位が供給されるように、たとえば絶縁部材を介して電子源筐体31に固定されると共に、電極部11への給電経路が設けられていることが好ましい。所望の電位の値によっては、電極部11は、電子源筐体31と同電位になるように、電子源筐体31と直接固定されていてもよい。
電子源筐体31の他方の端部には、他方の端部の開口を塞ぐように、電気絶縁性の基板50が配置されている。電子源筐体31の他方の端部は、基板50が配置された状態で、クイックカップリング(Quick-release Coupling)51により気密に封止されている。クイックカップリング51は、クランプ51aを有している。基板50には、電流導入端子52が気密に設けられている。電流導入端子52は、たとえば、溶接などにより、基板50に固定される。基板50は、クイックカップリング51のブランクフランジとして機能する。
光電子放出体33は、電子源筐体31内に配置されている。光電子放出体33は、図17にも示されるように、胴部33aと底部33bとを有しており、底部33bと対向する一端が開口した有底筒形状を呈している。胴部33aは、断面が円形の円筒形状を呈している。胴部33aの断面は、円形に限られず、多角形であってもよい。底部33bの内側面は、平面とされている。光電子放出体33は、固定基板53及び絶縁性基板54を介して、基板50に設けられている。固定基板53は、導電性を有している。固定基板53は、ねじ止めなどにより、絶縁性基板54に着脱自在に設けられる。絶縁性基板54は、ねじ止めなどにより、基板50に着脱自在に設けられる。
光電子放出体33は、底部33bに形成された突部が固定基板53と螺合することにより、固定基板53に固定される。すなわち、光電子放出体33は、固定基板53に着脱自在に設けられる。これにより、光電子放出体33の交換を容易に行うことができる。電流導入端子52の先端には、スリーブ55が設けられている。光電子放出体33は、スリーブ55が螺合などにより固定基板53に設けられることにより、固定基板53及びスリーブ55を介して、電流導入端子52に電気的に接続される。電流導入端子52は、電子発生源30(光電子放出体33)に電位を供給する給電部として機能する。
光電子放出体33の胴部33aには、図18にも示されるように、エネルギー線源32が備える密封容器49の突出部49bが挿通される開口が形成されている。突出部49bは、電子源筐体31に一体的に形成された筒状部56にも挿通されており、Oリング57を介して、筒状部56に気密に設けられている。エネルギー線源32は、電子源筐体31に着脱自在に設けられている。エネルギー線源32からのエネルギー線が胴部33aの開口を介して光電子放出体33の光電子放出面に照射できれば、光電子放出体33の胴部33aの開口に密封容器49の突出部49bを挿通しなくてもよい。また、電子源筐体31は、胴部33aの開口を臨む位置に、エネルギー線を透過する窓材を備えていてもよい。この場合、エネルギー線源32は電子源筐体31の内部雰囲気外に配置される。
光電子放出体33は、エネルギー線源32からのエネルギー線が照射されると、光電子を放出する。このとき、電子源ユニット3内に加速電界(たとえば、200V)が形成されていると、図19に示されるように、放出された光電子が、電子源ユニット3から放出される。図19は、電子源ユニットからの光電子の放出を説明するための図である。図19では、光電子の飛行軌跡が示されている。光電子は、広範囲に拡がりながらも、処理室部20の中央部に向けて集中するように飛行している。ただし、実際には、光電子は、荷電粒子形成用ガスの分子に衝突することにより、処理対象物POには殆ど到達しない。
本変形例では、光電子放出体33からの光電子の放出及び放出された光電子の処理部1側への移動が効率よく行われる。また、図16に示された電子源ユニット3では、エネルギー線源32の突出部49bが光電子放出体33の胴部33aに形成された開口に挿通されているため、エネルギー線源32から放出されたエネルギー線が、処理空間に直接照射され難い。このため、処理空間におけるエネルギー線が照射された部位にて、物質の解離などが生じるのを抑制することができる。
図20及び図21を参照して、光電子放出体33の変形例を説明する。図20は、光電子放出体の変形例を示す斜視図である。図21は、電子源ユニットからの光電子の放出を説明するための図である。
図20の(a)に示された光電子放出体33では、底部33bの内側面は、胴部33aの内径より小さい直径を有する平面部分と、胴部33aの端から胴部33aの平面部分にテーパ状に傾斜している傾斜面部分と、を含んでいる。すなわち、底部33bの内側面により形成される空間は、円錐台形状を呈する。図20の(b)に示された光電子放出体33では、底部33bの内側面は、凹状球面を呈している。
図20の(a)に示された光電子放出体33が用いられた場合、図21の(a)に示されるように、図18に示された光電子放出体33が用いられた場合よりも、光電子は、処理筐体2の中央部に向けてより集中するように飛行する。図20の(b)に示された光電子放出体33が用いられた場合、図21の(b)に示されるように、図18に示された光電子放出体33が用いられた場合よりも、光電子は、処理筐体2の中央部のより広い範囲に向けて飛行する。
図20の(c)に示された光電子放出体33は、複数の電極部分(本変形例では、第一〜第三電極部分58a,58b,58c)を有している。第一電極部分58aは、光電子放出部を備えており、光電子放出体33の本体部である。第一電極部分58aと第二電極部分58bとの間には、電気絶縁体59aが配置されており、第一電極部分58aと第二電極部分58bとは、電気絶縁体59aにより電気的に絶縁されている。第二電極部分58bと第三電極部分58cとの間には、電気絶縁体59bが配置されており、第二電極部分58bと第三電極部分58cとは、電気絶縁体59bにより電気的に絶縁されている。たとえば、第一電極部分58aと第三電極部分58cとが負の電位とされ、第二電極部分58bがグラウンド電位(接地電位)とされる。第二電極部分58bは、メッシュ形状を呈していてもよい。第一電極部分58aには、エネルギー線源32が備える密封容器49の突出部49bが挿通される開口が形成されている。第一電極部分58aの底部には、固定基板53と螺合する突部が形成されている。
図20の(c)に示された光電子放出体33が用いられた場合、図21の(c)に示されるように、図18並びに図20の(a)及び(b)に示された光電子放出体33が用いられた場合によりも、処理筐体2の中央部に向けて全体的に集中するように飛行する。図20の(c)に示された光電子放出体33は、図21の(c)に示されるように、電子源ユニット3が、処理筐体2の本体部分から突出する突出部に設けられる構成において、有用である。この場合、突出部での光電子の吸収などが抑制され、光電子を効率よく、電子源ユニット3に導くことができる。すなわち、光電子放出体33の本体部である第一電極部分58aと電極部11との間に、光電子を制御するための光電子制御部としての第二電極部分58b及び第三電極部分58cが配置されているので、処理空間内における光電子の入射範囲を制御することができる。また、第一〜第三電極部分58a,58b,58cの電位を変更することにより、光電子を集中させることなく、発散するように飛行させることができる。
(第4実施形態)
図22〜図24を参照して、第4実施形態に係る帯電処理装置C2の構成を説明する。図22は、第4実施形態に係る帯電処理装置を示す斜視図である。図23は、電子源ユニットの一例を示す斜視図である。図24は、図23に示された電子源ユニットの断面図である。
帯電処理装置C2は、図22に示されるように、処理部1と電子源ユニット3とを備えている。処理部1は、処理筐体2、処理室部20、給気部21、及び排気部23を有している。帯電処理装置C2も、帯電処理装置C1と同じく、帯電していない処理対象物を正又は負の電位に帯電させることも可能であり、また、正又は負の電位に帯電している処理対象物を除電すること又は所望の電位に変えることも可能である。
電子源ユニット3は、処理室部20(処理部1)内に配置されている。電子源ユニット3は、図23にも示されるように、電極部11、電子発生源30、電流導入端子34、窓材60、固定基板61、絶縁性基板62、及びフランジ63を有している。電子発生源30は、エネルギー線源32と、光電子放出体33と、を含んでいる。
光電子放出体33は、図24にも示されるように、胴部33aと一対の底部33bとを有しており、両端が閉塞された筒形状を呈している。各底部33bの内側面は、平面とされている。胴部33aには、開口が形成されている。胴部33aに形成された開口から、光電子が電子源ユニット3外に放出される。
一方の底部33bにも、開口が形成されている。底部33bに形成された開口には、窓材60が設けられており、当該開口は窓材60により封止されている。窓材60は、所定波長のエネルギー線を透過する。窓材60を通して、光電子放出体33内にエネルギー線が入射する。エネルギー線がたとえば軟X線である場合には、窓材60は、Be又はTiの薄膜といったX線透過性材料などからなる。エネルギー線がたとえばUV光又はVUV光である場合には、窓材60は、石英ガラス又はMgFなどからなる。窓材60における光電子放出体33の内側に向かう面には、透過型光電面を構成し、かつ、導電性を有する薄膜が形成されていてもよい。
光電子放出体33は、固定基板61及び絶縁性基板62を介して、フランジ63に設けられている。固定基板61及びフランジ63は、導電性を有している。光電子放出体33は、ねじ止めにより、固定基板61に着脱自在に設けられる。光電子放出体33は、固定基板61と電気的に接続されている。固定基板61は、ねじ止めなどにより、絶縁性基板62に着脱自在に設けられる。絶縁性基板62は、ねじ止めなどにより、フランジ63に着脱自在に設けられる。フランジ63には、二つの電流導入端子34a,34bが気密に設けられている。電流導入端子34aは、固定基板61と電気的に接続され、固定基板61を通して光電子放出体33と電気的に接続されている。電流導入端子34bは、絶縁性基板62に固定された電極部11と電気的に接続されている。電流導入端子34aを通して光電子放出体33に、また、電流導入端子34bを通して電極部11に、後述する加速電界を形成するための電位がそれぞれ供給される。加速電界は、光電子放出体33にて発生した光電子を電極部11に向けて加速させる。
エネルギー線源32は、エネルギー線の出射部位(たとえば、光出射窓など)が窓材60と対向(接触)するように配置されている。エネルギー線源32は、固定基板61、絶縁性基板62、及びフランジ63に形成された各貫通孔に挿通された状態で、フランジ63に設けられている。エネルギー線源32は、Oリング64を介して、フランジ63に気密に設けられている。光電子放出体33に形成された開口に窓材60を設けることなく、当該開口にエネルギー線源32のエネルギー線出射部を挿入してもよい。また、光電子放出体33に形成された開口を通して、エネルギー線のみをエネルギー線源32から光電子放出体33に導入してもよい。この場合、Oリングなどを用いて、固定基板61とエネルギー線源32との間を気密に密閉するのが好ましい。
電極部11は、図23にも示されるように、筒形状を呈し、胴部33aの外周外側に位置している。すなわち、電極部11は、胴部33aを囲むように、胴部33aの外側に配置されている。電極部11は、ねじ止めなどにより、絶縁性基板62に着脱自在に設けられる。電極部11は、処理室部20と同じ電位とされる。電極部11は、処理室部20との直接接触、又は、導電性部材を介した電気的接続により、処理室部20と同じ電位してもよい。また、電極部11は、別途設けた給電部材によって処理室部20と同じ電位を供給することにより、処理室部20と同じ電位してもよい。なお、所望の電位がフランジ63の電位と等しい場合(たとえば、除電する場合)には、絶縁性基板62を設けることなく、電極部11はフランジ63に直接固定されてもよい。本実施形態においても、電極部11は、光電子放出体33とは電気的に絶縁されている。
電極部11は、胴部33aに形成された開口と対向するように、絶縁性基板62に設けられている。電極部11は、電子源ユニット3(電子発生源30)と処理対象物POとの間に配置されることとなる。電極部11のメッシュの大きさは、光電子の通過率が高く、かつ、電極部11の内側と外側との間で電界の染み出しが極めて少ない大きさに設定される。電極部11は、胴部33aに形成された開口と対向する領域のみが、メッシュ状とされていてもよい。このように、電子源ユニット3内の空間は、胴部33aに形成された開口及びメッシュ状の電極部11を通して、処理部1の処理室部20内の処理空間と連通している。メッシュとは、網状に限らず、格子状、多孔状、又は多段櫛刃状などの、所定の領域を複数の領域に二次元的に分割する構造であって、メッシュ状の導電性部材が電極部11として用いられた際には、電子の透過と電界の形成を可能とする構造体である。
電子源ユニット3には、電子発生源30(光電子放出体33)にて発生した光電子を電極部11に向けて加速させる加速電界が形成される。加速電界は、電極部11と光電子放出体33との電位差により形成される。光電子放出体33から放出された光電子は、胴部33aに形成された開口を通して、電子源ユニット3から導出される。
帯電処理装置C2は、管状部材65を備えている。管状部材65の一端部には、フランジ63が着脱自在でかつ気密に設けられている。すなわち、管状部材65は、電子源ユニット3(光電子放出体33)が配置されている一端部を有する。フランジ63は、ねじ止めなどにより、管状部材65の一端部に設けられる。フランジ63と管状部材65の一端部との間には、Oリング66が設けられており、Oリング66により、気密状態が保たれる。管状部材65の一端部は、フランジ63により閉塞される。
管状部材65の他端部には、真空フランジ67が設けられている。管状部材65の他端部は、開放されている。管状部材65は、真空フランジ67が処理筐体2に装着されることにより、処理筐体2に設けられる。管状部材65は、着脱自在に処理筐体2に設けられている。管状部材65及び真空フランジ67は、導電性を有している。フランジ63、管状部材65、及び真空フランジ67は、たとえばステンレス鋼などからなる。真空フランジ67は、管状部材65と一体形成されていてもよく、管状部材65と別体に形成されていてもよい。
処理筐体2における管状部材65が設けられる位置には、開口部が形成されている。同じく、処理室部20にも、管状部材65の一端部側で保持された電極部11が挿通される開口部が形成されている。すなわち、管状部材65は、一端部(電子源ユニット3)が処理筐体2内に位置すると共に、電極部11が処理室部20内に位置するように、開口部2bに挿通された状態で、処理筐体2に設けられる。したがって、管状部材65は、管状部材65の内側空間が処理部1(処理室部20)の外側空間と繋がるように、管状部材65の他端部が処理筐体2に設けられる。管状部材65が処理筐体2に設けられた状態であっても、管状部材65の内側空間は、処理部1の外気と同じ雰囲気となる。管状部材65の長さ、及び、処理筐体2及び処理室部20における開口部が形成される位置は、処理対象物POの位置などに応じて、適宜設定される。
電流導入端子34に接続される電源線、及び、エネルギー線源32に接続される電源線は、管状部材65の内側空間を通り、処理筐体2外に導出される。エネルギー線源32を冷却する必要がある場合、管状部材65の内側空間は、エネルギー線源32を冷却する流体の導入及び排出経路に利用できる。
本実施形態においても、電子源ユニット3が用いられた帯電処理装置C2では、上述した帯電処理装置C1と同様に、処理対象物POを所望の電位に帯電させ得る効果が極めて高い。
光電子放出体33は、光電子を電子源ユニット3外に放出する開口が形成された胴部33aを有し、電極部11は、筒形状を呈し、胴部33aを囲むように胴部33aの外側に配置されている。これにより、メッシュ状の電極部11を電子源ユニット3と処理対象物POとの間に確実に配置することができる。
本実施形態では、帯電処理装置C2は、電子源ユニット3が配置されている一端部を有する管状部材65を備え、管状部材65は、管状部材65の内側空間が処理部1(処理室部20)の外側空間と繋がるように、その他端部が処理部1に設けられている。このため、管状部材65の内側空間を、電子源ユニット3に接続される電源線の配線スペース及び電子源ユニット3を冷却する流体の導入及び排出経路に利用することができる。
次に、図25を参照して、第4実施形態の変形例を説明する。図25は、第4実施形態の変形例に係る除電処理装置を示す斜視図である。
本変形例においては、帯電処理装置が、特に、正又は負の電位に帯電した処理対象物POの帯電を中和する、いわゆる除電処理装置である変形例を説明する。処理部1は前述の実施形態と同様に処理室部20を備えていてもよい。しかしながら、説明を容易にするため、処理部1の処理空間は導電性材料からなる処理筐体2のみで構成し、処理筐体2(少なくともその内表面)と電極部11は、所望の帯電中和レベル(たとえばグラウンド電位)に設定できるように構成されている。このため、正負いずれに帯電した処理対象物POであっても、所望の帯電中和レベル(たとえばグラウンド電位)にすることができる。これは、所望の帯電中和レベルへの帯電処理であり、その動作機構は前述の帯電処理装置の動作機構と同様である。
図25に示された除電処理装置NA2では、管状部材65が屈曲可能なフレキシブル管である。管状部材65がフレキシブル管である場合、処理筐体2内における電子源ユニット3の位置を自由に設定することができる。たとえば、装置としての構成上、処理筐体2内に除電処理に際しての障害物69が存在する場合、障害物69を回避して、電子源ユニット3を処理対象物POの近傍に位置させることができる。
(第5実施形態)
図26及び図27を参照して、第5実施形態に係る除電処理装置NA3の構成を説明する。図26は、第5実施形態に係る除電処理装置を示す斜視図である。図27は、電子源ユニットの一例を示す斜視図である。第5実施形態に係る除電処理装置NA3は、管状部材65を備えていない点で、図25に示された除電処理装置NA2と相違する。
除電処理装置NA3は、図26に示されるように、処理部1と電子源ユニット3とを備えている。処理部1は、処理筐体2、給気部21、及び排気部23を有している。
電子源ユニット3は、処理筐体2(処理部1)内に配置されている。電子源ユニット3は、電子発生源5(カソード6)、電極部11、複数の電流導入端子71,73,77、基板74、カバー75、及び絶縁性基板76を有している。
カソード6の一端部は、電流導入端子71に電気的に接続されている。カソード6の他端部は、導電性を有する支持ピン72に接続されている。これにより、カソード6が直線状に架設される。支持ピン72は、電流導入端子73に電気的に接続されており、カソード6の他端部は、支持ピン72を通して、電流導入端子73に電気的に接続される。一対の電流導入端子71,73は、導電性を有する基板74に気密に設けられている。
電子源ユニット3内には、カソード6に供給される電位によって、カソード6にて発生した熱電子を電極部11に向けて加速させる加速電界が形成される。加速電界は、電極部11とカソード6との電位差により形成される。一対の電流導入端子71,73は、電子発生源5(カソード6)に電位を供給する給電部として機能する。
カバー75は、導電性を有する。カバー75は、有底筒形状を呈しており、カソード6及び支持ピン72を囲むように、カソード6と電極部11との間に配置されている。カバー75の断面は、円形に限られず、多角形であってもよい。カバー75には、開口75aが形成されている。カバー75に形成された開口75aから、熱電子が電子源ユニット3外に放出される。カバー75は、開口端側において、絶縁性基板76に設けられている。絶縁性基板76は、基板74に設けられている。カバー75は、基板74と電気的に絶縁されている。
電極部11は、カバー75を囲んでその全体を収容するようにカバー75の外側に配置される。したがって、電極部11は、カソード6を囲むようにカソード6の外側に配置されることとなる。電極部11は、カソード6とは電気的に絶縁されている。電極部11は、カバー75に形成された開口75aと対向する領域のみが、メッシュ状とされていてもよい。電極部11は、図示しない給電手段(たとえば真空対応のケーブル)を通して、処理筐体2と電気的に接続されている。たとえば、電極部11が固定されていると共に電気的に接続された基板74と真空フランジ80とが、真空対応のケーブルの外側の被覆網線を通して電気的に接続され、更に真空フランジ80が処理筐体2に固定されつつ電気的に接続されることで、電極部11と処理筐体2とが電気的に接続される。
カバー75は、電流導入端子77と電気的に接続されている。電流導入端子77は、基板74に気密に設けられている。カバー75には、電流導入端子77を通して、カソード6の電位より小さい電位、又は、カソード6の電位と同等の電位が供給される。絶縁性基板76には、各電流導入端子71,73,77が挿通される貫通孔が形成されている。
各電流導入端子71,73,77は、それぞれ真空対応のケーブル78を通して、対応する電流導入端子79に電気的に接続されている。各電流導入端子79は、真空フランジ80に気密に設けられている。真空フランジ80は、着脱自在に処理筐体2に設けられる。処理筐体2における真空フランジ80が設けられる位置には、開口部が形成されている。真空フランジ80は、電子源ユニット3及び各ケーブル78が処理筐体2内に位置するように開口部から挿通された状態で、処理筐体2に設けられる。すなわち、電子源ユニット3は、各ケーブル78により、真空フランジ80から吊り下げられた状態で、処理筐体2内に位置する。
本実施形態においても、電子源ユニット3が用いられた除電処理装置NA3では、上述した帯電処理装置C1,C2及び除電処理装置NA1,NA2と同様に、処理対象物POを所望の電位に帯電させ得る(処理対象物POを除電させ得る)効果が極めて高い。
本実施形態では、電子源ユニット3は、各ケーブル78により吊り下げられているので、処理筐体2内における電子源ユニット3の位置を自由に設定することができる。この結果、処理対象物POを確実に除電することができる。
本実施形態では、開口75aが形成されたカバー75が、カソード6を囲むようにカソード6と電極部11との間に配置されている。熱電子は、カソード6から放射状に放出される。カバー75が、カソード6の電位以下の電位、つまりカソード6の電位と同等の電位、又は、カソード6の電位より小さい電位とされていると、カソード6から放出された熱電子がカバー75に形成された開口75aに効率よく向かうような電界が形成される。このため、開口75aから熱電子を効率よく放出させることができる。
電極部11は、筒形状を呈し、カソード6(カバー75)を囲むようにカソード6(カバー75)の外側に配置されている。これにより、メッシュ状の電極部11を電子源ユニット3と処理対象物POとの間に確実に配置することができる。
次に、図28を参照して、除電処理装置NA3に用いられる電子源ユニット3の変形例を説明する。図28は、除電処理装置に用いられる電子源ユニットの変形例を示す斜視図である。
図28に示された電子源ユニット3は、カソード6、電極部11、一対の電流導入端子81,82、及び一対の基板83を有している。カソード6の両端部は、一対の電流導入端子81,82に電気的に接続されている。カソード6は、一対の電流導入端子81,82の間を直線状に延びている。筒形状を呈する電極部11は、カソード6を囲むようにカソード6の外側に配置されている。一対の電流導入端子81,82は、電子発生源5(カソード6)に電位を供給する給電部として機能する。
カソード6が延びている方向での電極部11の両端部は、一対の基板83に電気的に接続されている。各基板83は、対応する電流導入端子81,82に電気的に絶縁された状態で設けられている。一対の基板83は、図示しない給電手段(たとえば真空対応のケーブル)を通して、処理筐体2と電気的に接続されている。たとえば、真空対応のケーブルの外側の被覆網線を通して、基板83と真空フランジ80とが電気的に接続され、更に真空フランジ80が処理筐体2に固定される。これにより、電極部11と処理筐体2とは、一対の基板83及び図示しない給電手段(たとえば真空対応のケーブル)を通して、互いに電気的に接続される。
各電流導入端子81,82は、それぞれ真空対応のケーブル85を通して、対応する電流導入端子86に電気的に接続されている。各電流導入端子86は、真空フランジ80に気密に設けられている。図示は省略するが、真空フランジ80は、上述した第5実施形態での真空フランジ80と同様に、着脱自在に処理筐体2に設けられる。処理筐体2における真空フランジ80が設けられる位置には、開口部が形成されている。真空フランジ80は、電子源ユニット3及び各ケーブル85が処理筐体2内に位置するように開口部から挿通された状態で、処理筐体2に設けられる。すなわち、電子源ユニット3は、各ケーブル85により、真空フランジ80から吊り下げられた状態で、処理筐体2内に位置する。
本変形例でも、電子源ユニット3は、各ケーブル85により吊り下げられているので、処理筐体2内における電子源ユニット3の位置を自由に設定することができる。この結果、処理対象物POを確実に除電することができる。
熱電子は、カソード6から放射状に放出される。このため、正及び負の荷電粒子を広範囲に生じさせることができ、除電処理を広範囲で行うことができる。
続いて、図29〜図31を参照して、本実施形態に係る帯電処理装置の適用例を説明する。図29〜図31は、帯電処理装置の適用例を説明するための図である。
図29では、本実施形態に係る帯電処理装置が、フィルムFの表面に機能性膜(たとえば、反射防止膜又はガスバリア膜など)を成膜する装置90に適用されている。装置90は、処理筐体2内に位置している。電子源ユニット3は、成膜部91の前段に配置されており、成膜前のフィルムFを除電する。
図30では、本実施形態に係る帯電処理装置が、スパッタリング装置92に適用されている。スパッタリング装置92は、ターゲットTを保持するターゲットホルダー93、磁場発生用のマグネット94、及び成膜対象物(たとえば、Siウェハなど)を保持する電極95を備えている。本実施形態に係る帯電処理装置は、スパッタリングを行う前に、成膜対象物を除電する。電子源ユニット3は、処理筐体2内に位置していてもよい。
図31では、本実施形態に係る帯電処理装置が、ハードディスクメディア用の基板96の除電処理装置97に適用されている。基板96は、たとえばAl又はガラスなどからなる。除電処理装置97では、基板96は、メディアホルダ98に保持されている。除電処理装置97で除電された基板96は、成膜装置により、磁性体などからなる薄膜が形成される。本適用例でも、電子源ユニット3は、処理筐体2内に位置していてもよい。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
たとえば、電子源ユニット3は、複数の電子発生源5を有していてもよい。電子発生源5は、複数のカソード6を含んでいてもよい。電子発生源30は、複数のエネルギー線源32を含んでいてもよい。帯電処理装置C1,C2及び除電処理装置NA1〜NA3は、複数の電子源ユニット3を備えていてもよい。
図32に示されるように、電子源ユニット3と処理部1とは、これらが一体化された帯電処理ユニットCUを構成していてもよい。すなわち、帯電処理ユニットCUは、電子源ユニット3と処理部1とを備えている。本例では、処理部1は、電子源筐体7の外側空間を処理空間とするための部材である。図32は、帯電処理ユニットを示す斜視図である。処理部1の一端側には電子源ユニット3が固定されるとともに、処理部1の他端側には開口部1aが形成されている。開口部1aは、処理対象物(図示せず)を処理部1内に導入するための導入部となる。帯電処理は、たとえば、処理対象物が処理部1によって覆われるように、処理対象物に処理部1が被せられた状態で行われる。処理部1は、電極部11と同じ所望の電位とされる。
帯電処理ユニットCUでは、処理部1内への処理対象物の導入及び導出を容易に行うことができる。処理部1が、電極部11と同じく所望の電位とされるため、処理空間を処理部1内に適切に形成することができる。
処理対象物の周囲が処理部1と同電位であり、処理対象物に処理部1を被せることで、開口部1aが処理部1と同電位の部材で覆われることが好ましい。たとえば、処理対象物が処理部1と同電位である処理台上に配置され、その処理台に対して処理部1を被せてもよい。処理部1と処理台とは、処理部1内において電界が安定に形成できるように十分に近接していればよく、また、接触していてもよい。導入部となる開口部1aは、電子発生源5と対向する面に限られず、たとえば側面などの電子源筐体7との接合部以外の部位に設けられていてもよい。電子発生源5と対向する面(図32における開口部1aに相当する面)は、処理部1と同電位の部材によって覆われているのが好ましい。
処理部1の内部空間が、荷電粒子形成用ガスを含む所定の圧力雰囲気下であるためには、帯電処理ユニットCUが配置される帯電処理部の内部空間自体が所定の圧力雰囲気下とされていてもよく、また、図示しない荷電粒子形成用ガス供給部(及び排気部)によって処理部1内を所定の圧力雰囲気下とされていてもよい。前者の場合、処理部1は、帯電処理部の内部空間と連通しやすいようにメッシュ部が設けられていることが好ましい。後者の場合、図32にも示されるように、処理部1は、処理部1の内側に帯電処理部の内部空間とは区画された空間が形成されるように、内側空間を囲む壁状部材からなることが好ましい。
電極部11と処理部1とは同電位とされており、直接接触していてもよく、また、導電性部材を介することで電気的に接続されていてもよい。また、電極部11と処理部1とは、互いに個別の給電経路を通して同電位が供給されていてもよい。電極部11は、処理部1と一体に形成されることにより、電子源筐体7と接続されていてもよい。なお、電極部11及び処理部1は、電子源筐体7とは絶縁され、かつ、所望の電位が供給されるように、たとえば絶縁部材を介して電子源筐体7に固定されると共に、電極部11及び処理部1への給電経路が設けられていることが好ましい。所望の電位の値によっては、電極部11及び処理部1は、電子源筐体7と同電位になるように、電子源筐体7と直接固定されていてもよい。
図33に示されるように、処理部1は、開口部1aと、処理対象物(図示せず)を処理部1から導出する開口部(導出部)1bと、を有していてもよい。一対の開口部1a,1bは、互いに対向するように位置している。処理部1における、電子発生源5と対向する部位は、閉塞されている。一対の開口部1a,1bの間において、連続した処理対象物、又は、連続した台座(図示せず)に搭載された処理対象物を移動させてもよい。これにより、処理対象物の帯電処理を連続して行うことができる。
開口部1a,1bの大きさ(開口面積)は、処理対象物の大きさに極力近い大きさに設定することが好ましい。処理対象物が台座に搭載される場合には、開口部1a,1bの大きさは、上記台座を含んだ大きさに極力近い大きさに設定することが好ましい。これにより、開口部1a,1bから処理部1内に、処理部1の周辺に存在する別の電界が浸入し、処理部1内の処理領域の電界に影響を与えることを抑制することができる。
開口部1a,1bの数は、一対に限られない。処理部1は、複数対の開口部1a,1bを有していてもよい。複数対の開口部1a,1bは、処理対象物の導入方向(導出方向)から見て、左右に並ぶように位置させることができる。この場合、複数の処理対象物を並列して帯電処理することができる。
図34に示されるように、処理部1は、互いに離間して配置された二つの部材101,103を有していてもよい。二つの部材101,103は、たとえば、一面が開口した箱状の部材であり、同電位とされる。部材103における、電子発生源5と対向する部位は、閉塞されている。二つの部材101,103の間において、連続した処理対象物(図示せず)、又は、連続した台座(図示せず)に搭載された処理対象物を移動させる。すなわち、二つの部材101,103の間に処理対象物を位置させることにより、二つの部材101,103で処理対象物を包囲する。これにより、より大きなサイズを有する処理対象物の帯電処理を連続して行うことができる。
二つの部材101,103の間隔は、処理対象物の大きさ(厚み)に極力近い大きさに設定することが好ましい。処理対象物が台座に搭載される場合には、二つの部材101,103の間隔は、上記台座を含んだ大きさ(厚み)に極力近い大きさに設定することが好ましい。これにより、二つの部材101,103の間から処理室部70内に、処理部1の周辺に存在する別の電界が浸入し、処理部1内の処理領域の電界に影響を与えることを抑制することができる。また、処理対象物の幅に対し、二つの部材101,103の幅を大きく設定することも好ましい。二つの部材101,103の間において、複数の処理対象物を横方向に並べて、同時に帯電処理してもよい。
1…処理部、2…処理筐体、3…電子源ユニット、5…電子発生源、6…カソード、7…電子源筐体、7a…胴部、7b…開口部、11…電極部、13…電流導入端子、30…電子発生源、31…電子源筐体、32…エネルギー線源、33…光電子放出体、33a…胴部、33b…底部、34…電流導入端子、41…電極部、42…窓材、45…薄膜、52…電流導入端子、71,73…電流導入端子、75…カバー、81,82…電流導入端子、C1,C2…帯電処理装置、NA1〜NA3…除電処理装置、CU…帯電処理ユニット、PO…処理対象物。

Claims (20)

  1. 処理対象物を所望の電位に帯電させる帯電処理装置に用いられ、前記処理対象物が位置する処理空間に存在する荷電粒子形成用ガスの分子を励起させる電子を発生させる電子源ユニットであって、
    電子を発生させる電子発生源と、
    前記電子発生源に電位を供給する給電部と、
    前記電子発生源を収容する筐体と、
    前記筐体の外側空間と前記筐体内の前記電子発生源が位置する空間とを仕切るように位置し、かつ、前記電子発生源にて発生する電子が前記筐体の外側空間に向けて通過し、前記所望の電位とされるメッシュ状の電極部と、を備えている、電子源ユニット。
  2. 前記筐体は、前記筐体の外側空間と連通する開口部を含んでおり、
    前記電極部は、前記開口部を覆うように前記筐体に配置されている、請求項1に記載の電子源ユニット。
  3. 前記筐体は、平面視で長手方向と短手方向とを有しており、
    前記電子発生源は、前記筐体の長手方向に沿って延びている、請求項1又は2に記載の電子源ユニット。
  4. 前記電子発生源は、熱電子を放出するカソードを含んでいる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子源ユニット。
  5. 前記カソードは、イリジウムを含む材料からなる基材部と、前記基材部の表面を覆う、イットリウム酸化物を含む材料からなる被覆部と、を含んでいる、請求項4に記載の電子源ユニット。
  6. 前記電極部は、筒形状を呈し、前記カソードを囲むように前記カソードの外側に配置されている、請求項4に記載の電子源ユニット。
  7. 前記カソードを囲むように前記カソードと前記電極部との間に配置され、かつ、導電性を有するカバーを更に備え、
    前記カバーには、熱電子を前記カバー外に放出する開口が形成されており、
    前記カバーは、前記カソードの電位以下の電位とされる、請求項6に記載の電子源ユニット。
  8. 前記電子発生源は、所定波長のエネルギー線を出射するエネルギー線源と、前記所定波長のエネルギー線の入射により光電子を外部に放出する光電子放出体と、を含んでいる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子源ユニット。
  9. 前記エネルギー線源は、前記電子発生源から前記処理空間への光電子入射軸と前記エネルギー線源のエネルギー線出射軸とが同軸とならないように、配置されている、請求項8に記載の電子源ユニット。
  10. 前記エネルギー線源は、前記光電子入射軸と前記エネルギー線出射軸とが交わるように配置され、
    前記光電子放出体は、前記エネルギー線出射軸に対して傾斜する傾斜面を含んでいる請求項9に記載の電子源ユニット。
  11. 前記所定波長のエネルギー線は真空紫外光を含んでいる、請求項8に記載の電子源ユニット。
  12. 前記エネルギー線源と前記光電子放出体との間に配置され、前記光電子放出体の電位と同等の電位とされるメッシュ状の電極部を更に備えている、請求項8に記載の電子源ユニット。
  13. 前記エネルギー線源と前記光電子放出体との間に配置され、かつ、前記所定波長のエネルギー線を透過する窓材を更に備え、
    前記窓材により、前記筐体における前記光電子放出体が収容されている空間が気密に封止される、請求項8又は12に記載の電子源ユニット。
  14. 前記所定波長のエネルギー線を透過する窓材を更に備え、
    前記窓材の一方の面には、透過型光電面を構成し、かつ、導電性を有する薄膜が形成されており、
    前記窓材は、前記薄膜と前記光電子放出体とが同等の電位となるように、前記エネルギー線源と前記光電子放出体との間に配置されている、請求項8に記載の電子源ユニット。
  15. 前記光電子放出体は、胴部と底部とを有し、前記所定波長のエネルギー線を導入するための開口が形成された有底筒形状を呈している、請求項8に記載の電子源ユニット。
  16. 前記光電子放出体と前記電極部との間に配置されている、前記光電子を制御するための光電子制御部を更に備えている、請求項8に記載の電子源ユニット。
  17. 前記光電子放出体は、光電子を放出する開口が形成された胴部を有し、
    前記電極部は、筒形状を呈し、前記胴部を囲むように前記胴部の外側に配置されている、請求項8に記載の電子源ユニット。
  18. 請求項1又は2に記載の電子源ユニットと、
    前記筐体の前記外側空間を処理空間とするための処理部と、を備え、
    前記処理部は、前記処理対象物を前記処理空間に導入する導入部を有し、前記所望の電位とされる、帯電処理ユニット。
  19. 前記処理部は、前記導入部と対向するように位置し、前記処理対象物を前記処理部から導出する導出部を更に有している、請求項18に記載の帯電処理ユニット。
  20. 前記処理部は、互いに離間して配置された二つの部材を有し、
    前記二つの部材の間から前記処理空間に前記処理対象物を導入する、請求項18に記載の帯電処理ユニット。
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