JP6344643B2 - 抜け止めコンセント - Google Patents

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Description

この発明は、一対の刃受ばね片の間に差し込まれたプラグ栓刃の抜け止め機能を有する抜け止めコンセントに関する。
特許文献1には従来のこの種の抜け止めコンセントが開示されている。同文献1に記載されているとおり、従来の抜け止めコンセントは、刃受ばね(21a,21b)に係合突起(27a,27b)を形成してある。そして、抜け止めコンセントにプラグ栓刃を差し込むときには、プラグ栓刃が、電源用の刃受ばね(21a,21b)に形成された係合突起(27a,27b)に当接しないように、プラグ栓刃をカバー(10a)に形成した栓刃挿入孔(11a,11b,11c)に挿入し、その後、プラグ栓刃を各栓刃挿入孔(11a,11b,11c)に沿って回動させて、刃受ばね(21a,21b)の係合突起(27a,27b)をプラグ栓刃に形成した透孔に係合させることで、プラグ栓刃を抜け止めする構成となっている(同文献1の明細書段落「025」参照)。
特開2001−185289号公報
一般に、抜け止めコンセントの刃受ばねは、良好な導電性を確保するために銅合金により製作されている。上述した従来の抜け止めコンセントは、このように銅合金で製作された刃受ばねに抜止手段となる係合突起が形成してあり、プラグ栓刃が差し込まれ、そして回動して抜け止め状態を形成する際、及び抜け止め状態から反対向きにプラグ栓刃を回動して抜け止め状態を解除する際に、それぞれプラグ栓刃が係合突起に摩擦して回動する。このため、軟質の銅合金で形成された係合突起は、プラグ栓刃が繰り返し回動操作される過程で徐々に摩耗して抜け止め機能を減損し、係合突起が摩耗した状態のコンセントを使い続けると、小さな外力の作用でプラグ栓刃が意図せず抜けてしまうおそれがあった。
従来、抜け止めコンセントは、いったん差し込まれたプラグ栓刃が長期間にわたりそのままの状態を保持するような用途に適用されていたため、プラグ栓刃の回動操作回数も少なく、よって上述したような使用による係合突起の摩耗は考慮する必要がなかった。
しかし、近年、例えば電動二輪車への充電など、プラグ栓刃を頻繁に抜き差しする用途に抜け止めコンセントが使われることがあり、そのような用途に適用する場合には、プラグ栓刃の回動操作に伴う係合突起(本発明の「係止凸部」に相当)の摩耗対策が、使途に応じた耐久性を確保する上で早急に解決すべき課題となっていた。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、プラグ栓刃が繰り返し抜き差し及び回動操作されても、プラグ栓刃の抜止手段となる係止凸部の摩耗が少なく、抜け止め機能を保持することができる抜け止めコンセントの提供を目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、刃受ばねに形成された一対の刃受ばね片の間にプラグの栓刃が差し込まれて電気的な導通状態を形成するとともに、プラグ栓刃に形成した係止孔に係止凸部を係合させてプラグ栓刃の差し込み状態を保持する抜け止めコンセントであって、
一対の刃受ばね片の一方に透孔を形成するとともに、
弾力性及び導電性を有する金属材料で構成した係止部材に係止凸部を形成し、
透孔を通して係止部材の係止凸部を一対の刃受ばね片の中間領域に配置し、当該中間領域に差し込まれたプラグ栓刃の係止孔に係止凸部が係合してプラグ栓刃の差し込み状態を保持する構成としたことを特徴とする。
ここで、係止部材は、一方の刃受ばね片の背面に重ね合わせて配置され、透孔を通して係止凸部が当該刃受ばね片の表面から突き出しており、
プラグ栓刃が一対の刃受ばね片の中間領域に差し込まれ、且つ当該差し込み方向に延びる仮想軸周りに当該プラグ栓刃を回動して係止凸部が当該プラグ栓刃に当接したとき、係止部材が弾力的に撓んで係止凸部を当該プラグ栓刃の回動軌道から退避させ、さらにプラグ栓刃の回動に伴い当該係止凸部の対向位置に係止孔が移動してきたとき、当該係止凸部が当該係止孔と係合する構成とすることができる。
なお、必要に応じて一対の刃受ばね片のそれぞれに透孔を形成してもよい。その場合も一方の透孔が上記係止凸部を挿通する透孔となる。
上述した構成の本発明によれば、刃受ばねとは別部材となる係止部材に係止凸部を形成したので、刃受ばねの材料に制約されることなく、刃受ばねに比べて摩耗しにくい大きな剛性を有する材料で係止部材を製作し、係止凸部の耐摩耗性能を向上させることが可能となる。
例えば、刃受ばねを銅合金で構成するとともに、係止部材をばね用ステンレス鋼帯で構成すれば、係止部材に形成した係止凸部の耐摩耗性能が向上し、繰り返しプラグ栓刃が回動操作されても係止凸部による抜け止め機能が保持される。
また、本発明は、係止凸部に係止孔が係合する位置(抜け止め位置)まで回動してきたプラグ栓刃に対し、面接触する平坦面領域を一方の刃受ばね片の表面に形成することが好ましい。このように構成すれば、当該抜け止め位置まで回動してきたプラグ栓刃は、係止凸部に係止孔が係合しているか否かを問わず、刃受ばね片の平坦面領域に面接触して、適正な電気的導通状態を形成することができる。
従来の抜け止めコンセントでは、プラグ栓刃の透孔(係止孔)に係合突起(係止凸部)が係合していないとき、プラグ栓刃が係合突起と点接触した状態におかれ、電気抵抗が増大して温度上昇の生じるおそれがあった。上記構成の本発明では、係止凸部がプラグ栓刃によって押圧され係止部材が弾力的に撓んで係止凸部をプラグ栓刃の回動軌道から退避させるので、プラグ栓刃が刃受ばね片の平坦面領域に面接触して、温度上昇を回避することができる。
上述したように、本発明によれば、刃受ばねとは別部材となる係止部材に係止凸部を形成したので、刃受ばねの材料に制約されることなく、摩耗しにくい大きな剛性を有する材料で係止部材を製作し、係止凸部の耐摩耗性能を向上させることが可能となる。よって、プラグ栓刃が繰り返し抜き差し及び回動操作されても、プラグ栓刃の抜止手段となる係止凸部の摩耗が少なく、抜け止め機能を保持することができる
(a)は本発明の実施形態に係る抜け止めコンセントを分解して示す正面断面図、(b)は刃受ばねと係止部材を示す正面断面図である。 本発明の実施形態に係る抜け止めコンセント示す図で、(a)は平面図、(b)は一部断面正面図、(c)は本体に刃受ばねと係止部材を組み込んだ状態を示す平面図である。 (a)〜(d)は刃受ばねを示す図で、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は左側面図、(d)は右側面図である。(e)〜(g)は係止部材を示す図で、(e)は正面図、(f)は平面図、(g)は左側面図である。 (a)〜(d)はプラグ栓刃を抜け止め位置まで回動させる動作を示す平面図であり、(e)はプラグ栓刃が抜け止めされた状態を示す正面断面図である。 プラグ栓刃の抜け止め位置で係止凸部が係止孔に係合していない状態を示す一部断面正面図である。
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
本実施形態に係る抜け止めコンセントは、刃受ばね20と、係止部材30とを備えており、これら刃受ばね20と係止部材30とを重ね合わせて(図1(b)、図2(c)参照)、コンセント本体10の内部へ組み込み(図1(a)参照)、蓋体11で被覆して組立てられる(図2(a)(b)参照)。
なお、抜け止めコンセントを構成する部品としては、端子部材や、鎖錠ばね等も含まれるが、本発明の要旨に直接関係なく、またそれら部品の構造はすでに周知であるため、図面では省略してあり、且つ明細書においても詳細な説明は割愛する。また、本発明の刃受ばね20は、端子部材と一体又は別体のいずれであってもよい。
刃受ばね20は、良好な導電性を有する金属材料により、図3(a)〜(d)に示すような形状に加工されている。すなわち、基部21の両端をほぼ直角に折り曲げ加工して一対の刃受ばね片22a,22bが形成されており、これら刃受ばね片22a,22bの対向する表面の隙間に、プラグの栓刃が差し込まれて電気的な導通状態が形成される。
図3(b)に示すように、刃受ばね20の一方の刃受ばね片22aには、差し込まれたプラグ栓刃が接触する差し込み領域Aと、抜け止め位置にきたプラグ栓刃が接触する抜け止め領域Bとがあらかじめ設定してあり、プラグの栓刃は差し込み領域Aに面した隙間に差し込まれ、続いて差し込み方向に延びる仮想軸周りに回動して抜け止め領域Bに至る。
ここで、一方の刃受ばね片22aは、差し込み領域Aと抜け止め領域Bの境界を屈曲形成するとともに、抜け止め領域Bにある表面を平坦面23としてある。また、この刃受ばね片22aに対向する他方の刃受ばね片22bには、プラグ栓刃が接触する表面を連続する湾曲面24に形成してあり、この湾曲面24に案内されてプラグ栓刃が回動する。
さらに、一方の刃受ばね片22aの抜け止め領域Bにある部位には、透孔25が形成してある。
係止部材30は、弾力性及び導電性を有し、刃受ばね20に比べて摩耗しにくい大きな剛性を有する金属材料で、図3(e)〜(g)に示すような形状に形成してある。本実施形態では、刃受ばね20を高い導電性能を有する銅合金で形成し、係止部材30を銅合金に比べ摩耗しにくい大きな剛性を有するばね用ステンレス鋼帯で形成した。
この係止部材30は、ばね用ステンレス鋼帯から型抜きした後、曲げ加工して外形状が形成され、U字状に湾曲形成してばね性を高めた基部31と、この基部から延びる支持片32と、この支持片32の先端部に形成した係止凸部33とを有している。係止凸部33は、ばね用ステンレス鋼帯を切り起こして成形してある。
図1(a)(b)に示すように、係止部材30は、刃受ばね20の一方の刃受ばね片22aの背面に支持片32の表面を重ね合わせ、透孔25を通して係止凸部33が当該刃受ばね片22aの表面側に突き出すような形態で、コンセント本体10の内部に組み込まれる(図2(b)参照)。このようにコンセント本体10に組み込まれた係止部材30は、コンセント本体10の内壁と刃受ばね20との間でU字状の基部31がわずかに圧縮されてばね力が生じており、このばね力をもって支持片32が刃受ばね片22aの背面に当接している。このため、係止凸部33は、常時、一方の刃受ばね片22aの表面側に突き出して、一対の刃受ばね片22a,22bの中間領域に配置される。
次に、図4を参照して、本実施形態に係る抜け止めコンセントの作用を説明する。
プラグ栓刃40は、既述した差し込み領域Aに面した刃受ばね片22a,22bの隙間に差し込む(図4(a)参照)。続いて、プラグ栓刃40を差し込み方向に延びる仮想軸周りに図4(a)の時計方向に回動させると、途中でプラグ栓刃40が係止凸部33に当接する(図4(b)参照)。そして、さらにプラグ栓刃40を回動させると、プラグ栓刃40から受ける押圧力によって係止部材30の支持片32が弾力的に撓んで、係止凸部33をプラグ栓刃40の回動軌道から退避させる(図4(b)(c)参照)。そして、プラグ栓刃40が既述した抜け止め領域Bに至ると、プラグ栓刃40に形成してある係止孔41が係止凸部33と対向する位置に配置される。そうすると、プラグ栓刃40から受ける押圧力が解除され、撓んでいた係止部材30の支持片32が元の位置まで弾力的に戻り、係止凸部33が一方の刃受ばね片22aの表面側に突き出す。これにより、係止凸部33がプラグ栓刃40の係止孔41と係合して抜け止め状態が形成される(図4(d)(e)参照)。
また、係止凸部33がプラグ栓刃40の係止孔41と係合する位置(抜け止め位置)にプラグ栓刃40が配置されると、当該プラグ栓刃40は、一方の刃受ばね片22aの平坦面23に当接して十分な接触面積が確保されるので、適正な電気的導通状態を形成することができる。
プラグ栓刃40を取り外すときは、図4(d)の抜け止め位置から逆方向に回動させ、図4(a)に示した差し込み位置でプラグ栓刃40を引き抜く。プラグ栓刃40を抜き差しする過程で、係止凸部33とプラグ栓刃40との間に摩擦が生じる。しかし、電動二輪車への充電など、プラグ栓刃40を頻繁に抜き差しする用途に本実施形態の抜け止めコンセントを適用した場合であっても、摩耗しにくい材料(ばね用ステンレス鋼帯)で係止凸部33を形成してあるので、プラグ栓刃40の抜止手段となる当該係止凸部の摩耗が少なく、抜け止め機能を保持することができる。
さらに、抜け止め位置にあるプラグ栓刃40を無理に引き抜いたときにも、係止凸部33とプラグ栓刃40との間に摩擦が生じるが、このような無理抜きが繰り返されても、係止凸部33が摩耗しにくい材料(ばね用ステンレス鋼帯)で形成してある本実施形態の抜け止めコンセントは、係止凸部の摩耗が少なく、抜け止め機能を保持することができる。
また、図5に示すように、プラグ栓刃40が抜け止め位置にあるとき、プラグ栓刃40の係止孔41と係止部材30の係止凸部33との間にわずかな位置ずれを生じて、係止凸部33がプラグ栓刃40に当接している場合にあっても、係止部材30の支持片32が弾力的に撓んで係止凸部33を刃受ばね片22a,22bの表面から引っ込めるので、プラグ栓刃40は刃受ばね片22aの平坦面23に面接触して十分な接触面積が確保されるので、適正な電気的導通状態を形成することができる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形実施や応用実施が可能であることは勿論である。
10:コンセント本体、11:蓋体、12:プラグ挿入口
20:刃受ばね、21:基部、22a,22b:刃受ばね片、A:差し込み領域、B:抜け止め領域、23:平坦面、24:湾曲面、25:透孔、
30:係止部材、31:基部、32:支持片、33:係止凸部、
40:プラグ栓刃、41:係止孔

Claims (4)

  1. 刃受ばねに形成した一対の刃受ばね片の間にプラグの栓刃が差し込まれて電気的な導通状態を形成するとともに、前記プラグ栓刃に形成した係止孔に係止凸部を係合させて前記プラグ栓刃の差し込み状態を保持する抜け止めコンセントであって、
    前記一対の刃受ばね片の一方に透孔を形成するとともに、
    弾力性及び導電性を有する金属材料で構成した係止部材を備え、当該係止部材は、U字状に湾曲形成してばね性を高めた基部と、この基部から延びる支持片と、この支持片の先端部に形成した前記係止凸部とを有し、
    前記係止部材は、前記透孔が形成された一方の刃受ばね片の背面に前記支持片の表面を面接触するように重ね合わせてコンセント本体の内部に組み込まれ、当該コンセント本体の内壁と前記刃受ばねとの間で前記U字状の基部が圧縮されてばね力が生じており、このばね力をもって前記支持片が前記刃受ばね片の背面に当接し、
    且つ、前記透孔を通して前記係止部材の係止凸部を前記一対の刃受ばね片の中間領域に配置し、当該中間領域に差し込まれたプラグ栓刃の係止孔に前記係止凸部が係合して前記プラグ栓刃の差し込み状態を保持する構成としたことを特徴とする抜け止めコンセント。
  2. 前記係止部材は、前記一方の刃受ばね片の背面に重ね合わせて配置され、前記透孔を通して前記係止凸部が当該刃受ばね片の表面から突き出しており、
    前記プラグ栓刃が前記一対の刃受ばね片の中間領域に差し込まれ、且つ当該差し込み方向に延びる仮想軸周りに当該プラグ栓刃を回動して前記係止凸部が当該プラグ栓刃に当接したとき、前記係止部材が弾力的に撓んで前記係止凸部を当該プラグ栓刃の回動軌道から退避させ、さらに前記プラグ栓刃の回動に伴い当該係止凸部の対向位置に前記係止孔が移動してきたとき、当該係止凸部が当該係止孔と係合する構成であることを特徴とする請求項1の抜け止めコンセント。
  3. 前記係止凸部に前記係止孔が係合する位置まで回動してきた前記プラグ栓刃に対し、面接触する平坦面領域を前記一方の刃受ばね片の表面に形成したことを特徴とする請求項2の抜け止めコンセント。
  4. 前記刃受ばねを銅合金で構成するとともに、前記係止部材をばね用ステンレス鋼帯で構成したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の抜け止めコンセント。
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