JP6343068B1 - 海中輸送機 - Google Patents

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Abstract

【課題】海中での高い水圧、電波が届き難い通信環境、太陽光の届かない視界環境など、厳しい環境の中で、省エネ、省材料かつ省設備で、安全性を保つのに必要な性能を持つ、海底と海面との間を行き来する海中輸送機を実現すること。
【解決手段】流体抵抗を利用した速度制御を取り入れた海中輸送機で、速度変更には機体の姿勢変更による流体抵抗の変化を用いるものである。機体の姿勢変更は機体重心位置の変更に、流体抵抗の変化は機体外面図形状の変化に、それぞれ写像変換したものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、海底と海面との間で下降と上昇を行い、ものを運ぶ海中輸送機に関する。
従来、海中を自由降下する装置に関して、公知となっているものには次のようなものがある。(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1の装置は、装置の重量と浮力の差を利用して、自由降下と浮上をさせるものであるが、本体形状は球形としている。また、速度変更に関する手段は持っていない。
海中で推進器を用いずに、機体の姿勢を変更させて降下と浮上させる例としては、次のようなものがある。(例えば、特許文献2参照)。
特許文献2の装置では、機体姿勢の変更にバラスト水の注排水を用いた上で、主翼と尾翼に働く流体力を利用して速度制御を行っている。海中でのバラスト水の注排水では耐圧ポンプと耐圧タンクが必要となる。また、本装置は翼を備えた構造であり、強度を保つための支持材料が多く必要となる。
海底で鉱物資源を採取し、これを海上の支援船に輸送するシステムとして、公知となっているものには次のようなものがある。(例えば、特許文献3参照)。
特許文献3のシステムでは、海上の支援船、海底での採鉱装置及び両者間の海中輸送装置で構成される。本海中輸送装置は支援船から曳航されており、曳航用ラインと曳航用ライン操作装置が必要になる。
潜水装置で浮力を調節するシステムとして、公知となっているものには次のようなものがある。(例えば、特許文献4参照)。
特許文献4のシステムでは、油圧ポンプと圧力増幅器とを備えた油圧システムを用いて海水の注排水を行なっている。
従来の技術では、装置重量を低減し、使用動力を低減し、経済性も見合う海中輸送用の装置は、速度制御が実現されていない。このため、海底の鉱物資源を海上に引き上げる装置としては楊鉱管が主たる検討対象となり、海中を移動する輸送機は検討対象となりにくい。
海上と海底との間で物を輸送する装置は、海中での高水圧に耐え、ペイロードを確保し、経済性も満足させることが要求され、その実現には従来にない技術が必要となる。
海中での高水圧に耐え、高い安全性を持って、海上と海底との間を行き来する装置としては、深海調査用潜水艇の「しんかい6500」がある。(例えば、非特許文献1及び非特許文献2参照)。
ただし、「しんかい6500」は、高い安全性と高い航行性能を保持するために多くの装備品を備えており、必然的にペイロードは小さく、輸送用として量産して利用するには建造コストが大きく経済的に成立しない。
潜水艇の姿勢制御については、バラスト水移動によるトリム制御が一般に行われている。ただし、通常航行時に水平を保つための調整と、降下や上昇する時に進行方向に姿勢を合わせるための調整が主で、機体の横倒し傾斜、真下や真上を向くような大きな姿勢変更等は行われない。
特開2012−245944号公報 特開2007−276609号公報 特表2016−507680号公報 特表2007−503345号公報 海洋科学技術センター試験研究報告 第23号「しんかい6500」耐圧殼の設計・製作 海洋科学技術センター試験研究報告 第23号「しんかい6500」用海水ポンプの開発
本発明が解決しようとする課題は、海中での高い水圧、電波が届き難い通信環境、太陽光の届かない視界環境など、厳しい環境の中で、省エネかつ省材料で、安全性を保つのに必要な性能を持つ、海底と海面との間を行き来する海中輸送機を実現することにある。
本発明は、上記課題を解決するために、以下の手段を採用した。請求項1に記載の発明では、
進行方向を一定に保ち、一定速度で水中を自由降下又は自由浮上し、到達目標位置へ接近する機体を低動力で安全に減速するもために、
該機体の外面形状は、
長軸、中時期及び短軸を持つ楕円体又は楕円体に近い形状とし、
3つの各軸を進行方向に向けた時の各々の流体抵抗の差により、該機体の速度変更を行い、
該機体の姿勢変更での回転時に生じる流体抗力に基づく回転モーメントを低減し、該姿勢変更に要する動力を低減し、
該機体の該姿勢変更時に生じる揚力を低減して横力を低く抑え、進行方向の維持に要する動力を低減すること、ならびに、
該機体の減速時に進行方向に向ける該機体の姿勢は、
第1ステップでは、該短軸回りに回転させ、該長軸方向から該中軸方向へと、
第2ステップでは、該長軸回りに回転させ、該中軸方向から該短軸方向へと、
順次変更を行うこと
を特徴とする海中輸送機、とした。
海中輸送機の機体を水中で下降または上昇させるために、機体の重さと浮力との差による力を利用し、機体の速度を制御するために、水の抵抗を利用することにより、機体を一定速度での航行と加減速に推進用機器を必要とせず、省エネと省設備が十分に達成される。
機体の重さをW、浮力をB、機体に働く力をFとすると、
F=W−B (下降時)(1a)
F=B−W (上昇時)(1b)
となる。Fが作用する初期状態では、
F=m・a (2)
ただし、m:機体の質量、a:機体の加速度、となる。
他に力が働かなければ、機体の速度をv、初期状態からの経過時間をtとすれば、
v=a・t (3)
となる。
実際には、速度vに対応した水の抵抗が働き、機体に働く力がつり合い、ある速度で加速度が0
となる。水の抵抗をRとすれば、
R=Cd・ρ・S・v^2/2 (4)
F=W−BーR (下降時)(5a)
F=B−WーR (上昇時)(5b)
ただし、Cd:機体の抗力係数、ρ;水の密度、S:機体の進行方向投影面積、となる。v^2はvの2乗を表す。
機体の加速度が0になるのは、F=0で、
R=|W−B| (6)
でこの時、
v=√(2・|W−B|/(Cd・ρ・S)) (7)
となる。ただし、√()は()内のルートを表す。
(7)式からは、機体の重量や浮力を変更すれば、機体の速度は変更可能であることを示しているが、バラストタンクを利用しての海中での機体の重量や浮力の変更は、水の高圧に耐える区画の増大を招き、省エネと省材料の見地からは好ましくない。
本発明は、(7)式でのCd・Sを変更することにより、速度を変更するものである。Cd・Sを変更するために、機体姿勢の変更を利用することとした。機体姿勢の変更に応じてCd・Sの変化する外面形状を機体に持たせ、その上で機体姿勢を変更することで、Cd・Sを変化させ、機体速度を変更するものである。こうした手段を取ることで、水の抵抗の変化を利用して、機体の速度を制御することを可能にしたものでさる。
鉛直方向の速度制御を行う手段としては、機体に推力を与える方法、機体の浮力や重力を増減する方法などがある。機体に推力を与えるには、推進用機器類の設置と共に、相応のエネルギーが必要となる。高水圧下で機体の浮力や重力を増減するには、媒体として水を使えばポンプやタンクに耐圧構造が要求され、相応の材料が必要となる。また、機体内と機体外との間で物のやり取りがあれば、周囲の安全性への配慮も必要となる。
本発明の機体に働く水の抵抗を利用する方法は、自然に生じる流体力学的な作用を利用するもので、機体に推力を与えることも、機体の浮力や重力を増減することも必要としないので、耐圧性や安全性への対応を特別に必要とせず、最小限の材料とエネルギーで問題を解決している。
水の抵抗を変化させる方法には、フィンで流れ場を変更したり、突起物やパラシュートを利用したりする場合がある。本発明の対象において、フィンでは抗力より揚力の発生が大きく、機体の鉛直方向以外の動きの制御が別途必要になる。突起物やパラシュートではこれらと機体本体との接続部の部材に働く集中荷重や機体の加速度の急激な変化などへの対処としての構造強化が必要となる。
姿勢の変更時に意図する水の抵抗の変化が得られる外面形状を機体に持たせ、姿勢の変更で水の抵抗を変化させることは、揚力の発生、部材への集中荷重及び加速度の急激な変化を避ける対応を容易にする。
機体姿勢を変化させる方法には、翼や舵を利用する方法、浮心位置を変える方法などがある。翼や舵を利用する方法は、発生する揚力の制御が別途必要になる。浮心位置を変える方法では耐圧構造が別途必要になる。目標とする機体姿勢を得るために、機体重心位置の変更ができる手段を持たせ、機体重心位置の変更を行うことは、省材料と省エネの観点で従来の方法より高い効果が得られる。
本特許は、機体形状と流体力、機体姿勢と機体形状、機体内の重量配置などの準備されたデータを利用することで装備を最小限に抑えて速度制御をすることで、省エネ、省材料かつ省設備を実現するものである。
請求項2に記載の発明では、
進行方向を一定に保ち、一定速度で水中を自由降下又は自由浮上し、到達目標位置へ接近する機体を低動力で安全に減速するために、
該機体の外面形状が、
長軸、中時期及び短軸を持つ楕円体又は楕円体に近い形状で、かつ、
該機体の主要寸法が、
該機体の長軸方向の長さ(L),中軸方向の幅(B)及び短軸方向の高さ(H)に対して、
0.4≦B/L≦1.0で、
0.4≦B/L≦0.75の時、0.4≦H/L≦B/L、ならびに、
0.75≦B/L≦1.0の時、0.4≦H/L≦ーB/L+1.5、
の上記条件式が成立する範囲内にある機体外面部、ならびに、
該機体の速度変更は、
該機体の姿勢を、該短軸回り、または、該長軸回りに回転させ、
3つの各軸方向を進行方向に向けて行うものとし、
上記した各姿勢変更を、バラストかつ/又は浮力材を移動して該機体の重心位置の変更により行う機体重心変更部
を持つことを特徴とする海中輸送機、とした。
機体の重さ装置と浮力を調整するための重量変更用バラスト増減部は、機体の重さと浮力との差による力を利用して、機体を水中で下降または上昇させることを可能にしている。機体を一定速度で動かすための推進用機器を必要とせず、省エネと省設備が十分に達成されている。
機体の重心位置を変更するための重心位置変更用バラスト移動部は、海中での機体の重量や浮力の変更をせずに、機体の重心位置を変更することにより、機体姿勢を変更可能とするもので、水の高圧に耐える区画を限定でき、省エネと省材料が図れる。
機体の進行方向に向ける機体外面を変更した時に機体に働く水の抵抗を変化させる機体外面部は、
その形状が水の抵抗の決定因子となる(4)式のCdとSの特性を決めるもので、速度制御の性能に大きく影響を与える。
水の抵抗の変化を利用して、機体の速度を制御する速度制御部は、機体形状と流体力、機体姿勢と機体形状、機体内の重量配置などの準備されたデータを利用して速度制御を行うもので、上記した各部をつなぎ、省エネ、省材料かつ省設備で所定の目的を達成するものである。
請求項3に記載の発明では、
請求項1で示した海中輸送機の機体で、
該機体の速度変更に対応する該機体の姿勢角を、
該機体の抗力係数と該機体の姿勢角との相関データを用いて、
該変更速度における力のつり合いから計算処理を行なって求め、
該姿勢角の設定により、該機体の速度を制御すること
を特徴とする海中輸送機、とした。
請求項3の発明は請求項1の発明と同じ課題を解決している事に加え、運用を容易にする課題を解決している。請求項1の発明は、事前設定に従っての速度制御実行は可能であるが、事前設定からの変更がある場合には対応できない。請求項3の発明は、水の抵抗の変化を利用して、機体の速度を変更するための計算処理を行う手段で、速度制御の設定に係わる機体形状、機体姿勢及び流体抵抗の3者の関係の計算処理を、海中輸送機の閉鎖的な環境の中で実施可能とし、海中輸送機の運用を容易化している。
請求項4に記載の発明では、
請求項2で示した海中輸送機の機体で、
該機体の速度変更に対応する姿勢角を、
該機体の抗力係数と該機体の姿勢角との相関データを用いて、
該変更速度における力のつり合いから計算処理により求める計算機部、ならびに、
該姿勢角の設定により、該機体の速度制御を行う速度制御部を持つこと
を特徴とする海中輸送機、とした。
請求項4の発明は請求項2の発明と同じ課題を解決している事に加え、運用を容易にする課題を解決している。請求項2の発明は、事前設定に従っての速度制御実行は可能であるが、事前設定からの変更がある場合には対応できない。このため、請求項4の発明は、水の抵抗の変化を利用して、機体の速度を変更するための計算処理を行う計算機部で、速度制御の設定に係わる機体形状、機体姿勢及び流体抵抗の3者の関係の計算処理を、海中輸送機の閉鎖的な環境の中で実施可能とするソフトウェアとハードウェアを備えることで、海中輸送機の運用を容易化するものである。
請求項5に記載の発明では、
請求項1で示した海中輸送機の機体で、
該機体の速度変更に用いる情報を得るための通信処理を行うこと、ならびに、
該通信処理で得られた情報を用いて該機体の速度を制御すること
を特徴とする海中輸送機、とした。
請求項5の発明は請求項1の発明と同じ課題を解決している事に加え、支援船など外部からの制御への関与や管理を容易にする課題を解決している。請求項1の発明は、事前設定に従っての速度制御実行は可能であるが、海中輸送機が事前設定に従っての速度制御開始以降は、外部から海中輸送機に対して、現在状態の把握、速度制御への関与などは難しい。このため、請求項5の発明は、機体の速度を変更する情報を得るための通信処理を行う手段で、機体外部からの情報獲得の形で速度制御を実行可能すると共に、外部からの管理を容易にしている。
請求項6に記載の発明では、
請求項2で示した海中輸送機の機体で、
該機体の速度変更に用いる情報を得るための通信処理を行う通信処理部、ならびに、
該通信処理で得られた情報を用いて該機体の速度を制御する速度制御部
を持つことを特徴とする海中輸送機、とした。
請求項6の発明は、請求項2の発明と同じ課題を解決していることに加え、支援船など外部からの制御への関与や管理を容易にする課題を解決している。請求項2の発明は、事前設定に従っての速度制御実行は可能であるが、海中輸送機が事前設定に従っての速度制御開始以降は、外部から海中輸送機に対して、現在状態の把握、速度制御への関与などは難しい。このため、請求項6の発明は、通信処理部で外部からの海中輸送機の行動把握と制御への関与が可能になり、海中輸送システムの中での海中輸送機の役割を限定できると共に、外部からの海中輸送管理を容易にする。また、通信処理部を介して、速度制御の設定に係わる機体形状、機体姿勢及び流体抵抗の3者の関係の計算処理を機体外部で行い、必要情報だけを入手することで、海中輸送機の設備削減や運用の容易化が達成される。
請求項7に記載の発明では、
請求項1で示した海中輸送機の機体で、
該機体及び該機体の周囲に関するデータをセンサーを用いて検出し、
該データを用いて、該機体の現在状況及び該機体へ及ぼす外乱の影響を把握する解析理を行うこと、
ならびに、
該検出データまたは該解析処理結果を用い、
該機体の姿勢角設定での設定値と実際値とのずれの修正処理、
該機体の動き異常の検知と対応処理及び
判定処理で処理選択しての該機体の速度制御を行うこと
を特徴とする海中輸送機、とした。
請求項7の発明は請求項1の発明と同じ課題を解決している事に加え、速度制御精度及び速度制御での即時対応性を向上する課題を解決している。請求項1の発明は、事前設定に従っての速度制御実行は可能であるが、速度制御における設定と実際とのずれの解消、機体の現在状況のデータを基にした設定の変更等への対応は難しい。このため、請求項7の発明は、機体及び機体周囲の現在状況データを得るためのセンサーデータ処理を行う手段で、流れ、水質、水温等の外乱の影響を受けやすく、実態を捉えにくい流体抵抗の介在する制御に関して、推定通りの結果が得られているかの妥当性の確認と、ずれの修正処理を行うことを可能にし、速度制御の精度を向上している。また、外部とのデータの通信が困難な海中において、速度制御での即時対応性を向上している。
請求項8に記載の発明では、
請求項2で示した海中輸送機の機体で、
該機体及び該機体の周囲に関するデータをセンサーを用いて検出し、
該データを用いて、該機体の現在状況及び該機体へ及ぼす外乱の影響を把握する解析理を行うセンサーデータ処理部、
ならびに、
該検出データまたは該解析処理結果を用い、
該機体の姿勢角設定での設定値と実際値とのずれの修正処理、
該機体の動き異常の検知と対応処理及び
判定処理で処理選択しての該機体の速度制御を行う速度制御部
を持つことを特徴とする海中輸送機、とした。
請求項8の発明は、請求項2の発明と同じ課題を解決していることに加え、速度制御精度及び速度制御での即時対応性を向上する課題を解決している。請求項2の発明は、海中輸送機が移動中の、現在状況の把握推定と実際のずれの修正処理及び状況に応じた速度制御は出来ないが、請求項8の発明ではセンサーデータ処理部が機体及び機体周囲の現在状況のデータを取得して、速度制御での設定ずれを適切なタイミングで修正することを可能にしている。
請求項9に記載の発明では、
請求項7で示した海中輸送機の機体で、
該機体の速度と姿勢角との相関を修正するためのデータを蓄積し、
該蓄積データを用いて該機体の速度と姿勢角との相関データを修正し、
該相関データを用いて該機体の速度を制御すること
を特徴とする海中輸送機、とした。
請求項9の発明は請求項7の発明と同じ課題を解決している事に加え、流体抵抗を介在させる制御で誤差要因の多い速度制御精度の向上、海中でのローカルな流れの存在などの外乱の実態把握、ならびに、機体外面形状の流体力学的問題点の把握の各課題を解決し、請求項1の方式での海中輸送機の実用性を高めている。センサーデータ処理で得られたデータを蓄積し、速度制御に用いるデータに反映させる処理を行い、機体の速度制御で用いるデータを学習する手段は、データを蓄積すると共に、蓄積したデータを用いて、速度制御で使用する各種データの修正を可能にしている。本学習手段で修正が可能となるデータは、機体姿勢と機体速度との関係付けに介在する流体抵抗データ、機体速度に及ぼす水深により異なる流れの影響データ、機体姿勢に及ぼす流体抵抗の作用中心位置の影響データ、機体重心位置の変更の時間調整データなどである。
請求項10に記載の発明では、
請求項8示した海中輸送機の機体で、
該機体の速度と姿勢角との相関を修正するためのデータを蓄積し、
該蓄積データを用いて該機体の速度と姿勢角との相関データを修正する学習処理部、
ならびに、
該相関データを用いて該機体の速度を制御する速度制御部
を持つことを特徴とする海中輸送機、とした。
請求項10の発明は、請求項8の発明と同じ課題を解決していることに加え、流体抵抗を介在させる制御で誤差要因の多い速度制御精度の向上、海中でのローカルな流れの存在などの外乱の実態把握、ならびに、機体外面形状の流体力学的問題点の把握の各課題を解決し、実用性を向上している。請求項10の発明は、センサーデータ処理部での処理結果を蓄積し、速度制御に用いるデータに反映させる処理を行う学習処理部により、流体抵抗を媒介とした機体姿勢と機体速度との関係付けデータ、水深により異なる流れの存在による機体速度の変化データ、流体抵抗の機体への作用中心位置の違いに基づく機体姿勢の変化データ、機体重心位置の変更を開始以降の機体姿勢と機体速度の時系列変化データなどを蓄積できる。また、蓄積データの分析により、速度制御に用いる各種データの修正、機体外面形状の下改良、速度制御における外乱影響の把握等が可能になる。
請求項1に記載の発明によれば、動力の使用を極力小さく抑え、省エネ、省材料かつ省設備を達成すると共に、機体姿勢の変更による流体抵抗の変化を利用することで、安全性を保つのに必要な性能を持つ、水中環境に応じた機体の速度制御を実現している。
請求項2に記載の発明によれば、動力の使用を重量変更用バラスト増減部と重心位置変更用バラスト移動部とに限定することで、省エネかつ省材料を達成すると共に、流体抵抗の変化を利用しての水中環境に応じた機体の速度制御を行うための機体外面部と速度制御部を持つことで、安全性を保つのに必要な性能を持つ、海底と海面との間を行き来する海中輸送機を実現している。
請求項3に記載の発明によれば、動力の使用を極力小さく抑え、省エネ、省材料かつ省設備を達成すると共に、機体姿勢の変更による流体抵抗の変化を利用することで、安全性を保つのに必要な性能を持ち、機体速度変更のための計算処理を機体内で行うことで、電波が届き難い通信環境での機体の速度制御を実現している。さらに、請求項3の発明は、運用時に外部からの詳細設定の不要化が図れる。外部から機体の姿勢制御に直接言及しないでも、機体の流体力学的な特性を機体が計算する手段を備えているので、外部からの設定は、包括的なより抽象的な形でできるメリットを有する。また、機体姿勢と流体抵抗の相関関係などの理論的因果関係、個別の機体が持つ特性データなどをのエクスプリシットな形で機体に備えることが出来、分散した形での機体管理が可能になる。
請求項4に記載の発明によれば、動力の使用を重量変更用バラスト増減部と重心位置変更用バラスト移動部とに限定することで、省エネかつ省材料を達成すると共に、流体抵抗の変化を利用しての水中環境に応じた機体の速度制御を行うための機体外面部と速度制御部を持つことで、安全性を保つのに必要な性能を持ち、機体速度変更のための計算処理を機体内で行う計算機部を持つことで、電波が届き難い通信環境での機体の速度制御の自律度を高め、海底と海面との間を行き来する海中輸送機を実現している。
請求項5に記載の発明によれば、電波による通信に限界がある水中での通信手段を付加することで、海上の支援船などからの海中輸送機の行動把握と遠隔操作が可能になり、海中輸送システムの中での海中輸送機の役割を限定できると共に、外部からの海中輸送機の管理を容易にする。
請求項6に記載の発明によれば、流体抵抗を介在した速度制御を、事前に設定した機体姿勢変更データを用いて順次制御することに加え、支援船など外部からの制御への関与や管理を容易にしている。通信処理部を付加することで、外部からの海中輸送機の行動把握と制御への関与が可能になり、海中輸送システムの中での海中輸送機の役割を限定できると共に、外部からの海中輸送管理を容易にする。また、通信処理部を介して、速度制御の設定に係わる機体形状、機体姿勢及び流体抵抗の3者の関係の計算処理を機体外部で行い、必要情報だけを入手することで、海中輸送機の設備削減や運用の容易化も可能である。
請求項7に記載の発明によれば、事前設定に従っての速度制御実行と共に、速度制御における設定と実際とのずれの解消、機体の現在状況のデータを基にした設定の変更等への対応を可能にする。センサーデータ処理を行う手段を付け加えたことで、流れ、水質、水温等の外乱の影響を受けやすく、実態を捉えにくい流体抵抗の介在する制御に関して、推定通りの結果が得られているかの妥当性の確認と、ずれの修正処理を行うことを可能にし、速度制御の精度を向上している。また、外部とのデータのやり通信が困難な海中において、度制御での即時対応性を向上している。
請求項8に記載の発明によれば、流体抵抗を介在して機体姿勢を変更して速度制御を行うことで、省エネ、省材料及び省設備を可能にすることに加え、機体及び機体周囲の現在の状況を把握して、推定と実際のずれの修正処理を行うことで、速度制御の精度向上及び適切なタイミングでの制御の実行による即時対応性の向上を可能にしている。
請求項9に記載の発明によれば、流体抵抗を介在させた速度制御手段により、省エネ、省材料及び省設備を達成し、センサーデータ処理手段により、速度制御での精度と即時対応性を向上していると共に、学習手段により、流体抵抗データの見直しによる速度制御の精度向上、バラスト移動方法の見直しによる姿勢変更のスムーズ化、機体外面形状の見直しによる速度制御の性能向上等を可能にしている。
請求項10に記載の発明によれば、機体外面部、速度制御部、重量変更用バラスト増減部及び重心位置変更用バラスト移動部により、流体抵抗を介在させた速度制御を可能にし、省エネ、省材料及び省設備を達成し、センサーデータ処理部により、速度制御での精度と即時対応性を向上すると共に、学習処理部により、流体抵抗データの見直しによる速度制御の精度向上、バラスト移動方法の見直しによる姿勢変更のスムーズ化、機体外面形状の見直しによる速度制御の性能向上等を可能にし、海中輸送機の実用性を高めている。
請求項1の実施の形態については、流体抵抗を介在させ速度制御を行う方式の海中輸送機を実現する処理フローの一実施例を図1に示す。本実施例では、「初期準備」、「設定準備」、「事前設定」及び「速度制御実行」の大きく4段階に分け、各段階での処理内容を示した。「初期準備」では、背景となる理論に基づいてのハードウェアの作成を行う。「設定準備」では、作成したハードウェアに対応する背景となる理論データ、機体データ及び航行データの準備を行う。「事前設定」では、設定準備で用意したデータを用いての初期設定と速度変更の設定を行う。「速度制御実行」では、事前設定データに基づいての実際のハードウェアの制御を行う。
図1の「初期準備」段階での機体形状と姿勢変更に関する一実施例を図2に示す。図中、o−xyzは機体固定座標系であり、Os−XsYsZsは空間固定座標系である。二つの座標系の比較により、機体姿勢と空間との相対関係を示している。機体固定座標系に描かれた図形は、基準面での機体外面の外形図であり、内部にあるBは浮心位置を、G0、G1及びG2は重心位置を示している。本実施例では、船体姿勢をState−0からState−1へ、State−1からState−2へと順次変更する。
速度制御は、図2で示した3つの機体姿勢を用いて行うものとする。各状態での機体の進行方向はどれも鉛直下向きで、State−0ではx軸の正の方向と、State−1ではy軸の負の方向と、State−2ではz軸の正の方向と、それぞれ一致させている。機体姿勢の角度は、z軸まわりをθで、x軸まわりをφで、それぞれ示した。State−0からState−1への姿勢の変更は、θを0度から90度へ、State−1からState−2への姿勢の変更は、φを0度から90度へ、それぞれ変更するとも表現できる。
図2に示した実施例では、3つの状態で浮心位置は一定とし、重心位置はG0−>G1−>G2と変更することにより、機体姿勢を変更するものとした。
図2で示した断面形状は、3つの機体姿勢状態で進行する時の流体抵抗の違いを速度制御に利用出来るように作られている。
図1の「初期準備」段階での「流体抵抗利用の速度制御が可能な外面形状を持つ機体の準備」のフローの一実施例を図3に示した。先ずは、速度変更範囲条件、3軸方向へ進行時の速度〜抵抗曲線、姿勢変更時の速度〜流体モーメント曲線及び姿勢変更時の速度〜揚力曲線の4つのデータをそれぞれ想定する。次に、想定データを基に機体形状を仮作成する。続いて、仮作成した形状を基に、4つのデータを推定し直し、全ての条件が満たされるかを判定し、満足されない時は、機体形状の作成に戻る。全ての条件が満足されれば、機体形状を決定し、速度制御用のデータとして、機体姿勢角〜速度の関係データ、機体姿勢角〜流体モーメントの関係データ及び機体姿勢角〜揚力の関係データを作成して終了する。
図3の中の機体形状作成に用いる「3軸方向へ進行時の速度〜流体抵抗想定曲線」の例を図4に示す。機体速度Vは、x軸方向へ進行を初期状態とし、この状態での速度をV0とするには、流体抵抗Rは機体の浮力Bと重力Wとの差に相当するR0とすれば良いことを示している。機体の浮力と重力とを一定に保つとすれば、y軸の負の方向へ進行する状態では、R=R0を満たす速度V1となる。同様に、z軸方向へ進行する状態での速度はV2となる。
V0、V1及びV2の中の一つ速度を他の速度で設定することは、初期状態のWを変更することで可能になる。残りの2つの速度は設定した速度に連動して決まる。3つの速度を変更するには、V1/V0とV2/V0の大きさが見合うように、「3軸方向へ進行時の速度〜流体抵抗想定曲線」そのものを変更する必要があり、主要寸法や投影面積の変更も含めた機体形状を作成し直すことで可能になる。機体形状の作成は、このように「3軸方向へ進行時の速度〜流体抵抗想定曲線」と連動して行われる。
図3の中の機体形状作成に用いる「機体姿勢変更時の速度〜流体モーメント想定曲線」の例を図5に示す。図5は、機体姿勢の回転軸まわりの回転角をパラメータに、速度ベースで流体モーメントを示したものである。機体を回転させるためのモーメントは、対応する状態での流体モーメントより大きくする必要があり、必要な機体回転モーメントを得るために、対応する重心位置変更が可能な方法を用意する。必要となる機体回転モーメントが過大な場合は、対応する状態での流体モーメントを低減するために、機体形状の見直しを行う。
図3の中の機体形状作成に用いる「機体姿勢変更時の速度〜揚力想定曲線」の例を図6に示す。図6は、機体姿勢の回転軸まわりの回転角をパラメータに、速度ベースで揚力を示したものである。揚力は機体を進行方向と垂直な方向に移動させる力となる。この移動速度が条件範囲を超える場合は、発生する揚力を小さくするために、機体形状の見直しを行う。
図3の中で速度制御データとして作成する「機体姿勢角〜速度の関係データ」の例を図7に示す。図7中の(1)の図では、横軸をθとしている。θは機体のz軸まわりで反時計方向への回転角で、機体進行方向をx軸正方向からy軸負方向に変更するのは、θを0度から90度に変えるのに対応する。図7中の(2)の図では、横軸をφとしている。φは機体のx軸まわりで反時計方向への回転角で、機体進行方向をy軸負方向からz軸正方向に変更するのは、φを0度から90度に変えるのに対応する。本例では、連続した姿勢角に対応する曲線データを用意することで、速度制御用データとして、3つの姿勢の中間の姿勢での利用も可能としている。本図で示した連続的なデータを用いれば、より詳細な速度の制御が可能になる。
図3の中で速度制御データとして作成する「機体姿勢角〜流体モーメントの関係データ」の例を図8に、「機体姿勢角〜揚力の関係データ」の例を図9に、それぞれ示す。図8の「機体姿勢角〜流体モーメントの関係データ」は、機体を回転させる時に、機体回転速度を考慮した制御を行う際に必要となるデータである。図9の「機体姿勢角〜揚力の関係データ」は、機体を回転させる時に、機体の横流れを考慮した制御を行う際に必要となるデータである。図8と図9は、制約されたパワーの元で制御を行う場合に用いられる。図8は、制約された時間内で姿勢変更を行う場合にも用いられる。図9は、制約された進行方向との位置のずれの中で制御を行う場合にも用いられる。
機体形状作成に用いる図4から図6の各データと、速度制御に用いる図7から図9の各データは、請求項1の方法の理論的背景図の一実施例である。速度制御については、これらの理論的背景図を用いて、順次変更する機体の姿勢角度を事前に設定し、その設定に従って機体姿勢を順次変更することで、シーケンシャルな速度制御が可能になる。
図1の「初期準備」段階での「速度変更に対応可能な姿勢変更用の重心位置変更装置の準備」の処理フローの一実施例を図10に示した。機体重心位置の変更方法を決定するために、条件データとして「浮力、浮心位置、重力及び重心位置の変更可能範囲」を、参照データとして「重量分布データ」、「重心変更時の流体モーメント変化データ」及び「重心変更時の揚力変化データ」を、それぞれ準備する。重心位置変更方法を作成し、準備したデータの条件を全て満たせば、重心位置変更方法を決定すると共に、制御用データとして、「機体姿勢角〜重心位置の関係データ」及び「重心位置変更速度データ」を作成する。
図1の「設定準備」段階での全体の処理フローの一実施例を図11に示した。
速度変更制御の方法を決定するために、条件データとして「運行条件」をに、参照データとして「計画重量条件での機体姿勢角〜速度の関係データ」、「計画重量及び速度条件での機体姿勢角〜重心位置の関係データ」及び「計画重量及び速度条件での重心位置変更速度データ」を、それぞれ準備用する。速度変更制御方法を作成し、準備したデータの条件を全て満たせば、速度変更制御方法を決定すると共に、制御用データとして、「機体姿勢角〜機体速度の関係データ」を作成する。
請求項2の実施の形態について、機体外面部の一実施例として、基準面での機体外面形状の3面図を図12に示す。図中、主要寸法として長さはLで,幅はBで、高さはHで、それぞれ示した。L,B及びHについては、以下の式が成立する範囲としている。
0.4 ≦ B/L ≦ 0.75 で
0.4 ≦ H/L ≦ B/L (8)
0.75 ≦ B/L ≦ 1.0 で
0.4 ≦ H/L ≦ −B/L+1.5 (9)
(8)と(9)の持つ意味は、3つある。第1の意味は、機体姿勢変更により、同一速度で流体抵抗が有意な差を取るようにすることで、同一抵抗では有意な速度差が得られることである。第2の意味は、流れ場の中で機体に生じる揚力の発生を抑えることである。第3の意味は、第1及び第2の意味に基づいて採用する要目が、従来の潜水艇や潜水用機器とは、異なる要目範囲にあることを明確化することである。
第1の意味について説明を加える。機体固定座標のx軸、y軸及びz軸の各軸方向に進行する時の基準投影面をP0,P1及びP2とし、対応する各投影面の面積をS0、S1及びS2とする。P0からP1、P1からP2と機体姿勢を変更する本例では、投影面積が増加する方向に変更されており、次式が成立している。
S0/S2 ≦ S0/S1 (10)
(8)式及び(9)式は、各々のB/Lの範囲でS0/S2に次式に示す上限を与えたものである。
S0/S2 ≦ 0.75 x 0.75 (11)
一般に、流体抵抗は抗力係数と投影面積に比例し、速度の2乗に反比例するので、仮に、P0とP2とで抗力係数を同一とすれば、両状態での抵抗の比は、投影面積の比に比例し、速度の2乗に反比例する。従って、両状態で同一抵抗の条件下で、S0/S2に上限を与えることは、V2/V0に上限を与えることに相当する。即ち、(11)式は、次式と同一の意味を持つ。
V2/V0 ≦ 0.75 (12)
第2の意味について説明を加える。厚さの薄い形状では揚力が発生するため、翼型ではない形状であっても揚力への考慮が要となる。(8)式と(9)式では、揚力の発生は低く抑えるために、翼型の翼厚とコード長の比に相当するH/Lを40%以上としている。H/Lを40%以上としたのは、一般に公表されたNACA翼型の実験データなどからの経験値によるもので、NACA翼型の形状、揚力係数、圧力分布などのデータが詳しく記載されている。(例えば、非特許文献3参照)。
Ira H. Abbott and A. E. von Doenhoff,"Theory of WingSections" (ISBN 0486605868) 1959
第3の意味について説明を加える。一般の潜水艇では、抵抗を減らすために細長体とするので、B/LとH/Lは(8)式と(9)式で表された範囲より、低い範囲にある。重力で自由降下させる潜水体は、高水圧対策と余分な外力が作用しないように球形が用いられるのが一般的である。球形では、B/L=H/L=1であり、(8)式及び(9)式で表された範囲とは異なる範囲にある。
本実施例では、投影面の輪郭線に用いる曲線は、楕円、もしくは、楕円に類似した曲線としている。楕円に類似した曲線との表現は、ベジエ曲線、Bスプライン曲線など、CADシステム等での形状定義に用いられる曲線の利用を考慮して、自由度を持たせたものである。楕円に類似した曲線の楕円からの違いの許容値は、3軸方向の基準面での投影面積の差で10%以内としている。
本実施例での輪郭線形状を採用理由は、輪郭線上の各点において、曲線の傾きの変化率を小さくすることで、非定常な流れに対して、曲線周りの流れが急激に変化しての非定常な力の発生を避けることと、機体を回転させる時の流れ場の変化を滑らかにし、不連続な力の発生を避けること、ならびに、慣性2次モーメントのレバーを一定範囲内で小さく抑え、機体回転に必要なモーメントを一定レベルに抑えることにある。
一定方向の流れの中に置かれた楕円体形状の機体を、流れの方向と垂直な軸のまわりに回転させた時、流れの方向から見た機体の断面形状は常に楕円となる。楕円形状は流れのあたる前縁付近での曲率が一定範囲で抑えられ、機体回転時に迎角の変化した流れによる負圧のピークも一定範囲で抑えられ、機体に発生する揚力も一定範囲で抑えられる。また、機体を回転させている過程での機体周りの圧力分布も滑らかに変化することから、機体の回転動作に必要なパワーを低減できるメリットも有する。
上記した理由により、本実施例での輪郭線形状を採用することで、機体姿勢変更時の抵抗が安定し、速度を安定させやすいこと、機体回転時に働く流体の回転モーメントが連続的で変動が小さく、スムーズな機体回転を行いやすいこと、ならびに、機体の回転加速度を高めやすく、機体回転モーメント発生パワーを低減できること、にそれぞれ効果が得られる。
請求項2の実施の形態について、図12の機体外面部の実施例に対応した、「重量変更用バラスト増減部」と「重心位置変更用バラスト移動部」の実施例に関し、図13は姿勢変更に対応した浮心と重心の各位置を、図14は「重心位置変更用バラスト移動部」の装置概念図を、図15は「速度制御部」、「重量変更用バラスト増減部」及び「重心位置変更用バラスト移動部」を結合した機体内部のシステムの一実施例を、それぞれ示している。
本実施例では、「重心位置変更用バラスト移動部」は、「重量変更用バラスト増減部」とは全く別ものとし、機体内でのバラスト移動により、機体の3軸を下方か上方に向けるための機体重心の移動が可能なバラスト移動装置を設けた。
図13は、機体重心の移動に関して、姿勢変更に対応した浮心と重心の各位置を示している。図13の中で(1)はState−0からState−1へ、(2)はState−1からState−2へと、それぞれ機体姿勢を変更する過程を示した。Bで示す浮心位置は、(1)で示した変更過程と(2)で示した変更過程のどちらでも不変とした。重心位置については、(1)ではG0からG1へ、(2)ではG1からG2へと変更するものとした。
図14は、「重心位置変更用バラスト移動部」の2つの実施例を、(1)と(2)に示している。両実施例は、図13での重心の変化を実現するために、バラストを移動させる装置概念図である。(1)では、バラストに固形の錘を用い、移動用動力にモーターを用いている。(2)では、バラストに海水と浮力材とを足しあわせたものを用い、移動用動力にポンプを用いている。移動用バラストタンク内を海水と浮力材とを足しあわせたもので密にすることにより、耐圧構造を不要としている。
本実施例でのバラスト移動によって生じる回転モーメントは、機体が回転時に流体より受ける反回転モーメントより大きく取ることが出来る。また、重心変更後、機体姿勢は平衡状態が保つことが出来る。
図15は、「速度制御部」、「重量変更用バラスト増減部」及び「重心位置変更用バラスト移動部」を結合した機体内部のシステムの一実施例である。本実施例での「速度制御部」は、初期機体速度に対応する機体重量を、初期機体姿勢での流体抵抗と機体速度の関係が明確な外面形状を持つ機体に対して設定し、重量変更用バラスト増減部に制御用信号を送る。また、速度変更時に対応する機体姿勢を、一定の流体抵抗を持つ条件での機体姿勢と機体速度の関係が明確な外面形状を持つ機体に対して設定し、「重心位置変更用バラスト移動部」に制御用信号を送る。制御用信号を受けた「重量変更用バラスト増減部」は、航行開始前にバラストの増減を行い、機体に初期状態の速度を与える。制御用信号を受けた「重心位置変更用バラスト移動部」は、設定されたタイミングで、順次バラストの移動を行い、航行中に順次速度の変更を行う。
こうして、少なくとも機体固定座標の2つ以上の軸を中心に90度機体を回転させるモーメントを機体に与えることで、求められる速度制御を実現している。本実施例では、予め制御手順を設定することで、シーケンシャルな速度制御を実行可能にしている。
請求項3の実施の形態については、計算処理手段の実施例として、速度制御の指令用計算の詳細なフローを図16に、速度制御の指令用計算フローに基づく機体姿勢変更のフローを図17に、それぞれ示した。
本実施例では、計算処理手段を有することで、スケジューリングされていない速度変更への対応が可能になり、操作における自律性を高められると共に、運用時に外部からの関与頻度の低減できる。計算処理を行う手段の付加は、海上輸送機が自らの速度制御の方法を理解して、海中での閉鎖的環境において、自らの速度制御の指令を発する自律行動を可能にするものである。
図16では、初期速度での抗力推定計算を行い、変更速度での機体姿勢角を求めるまでのフローを示している。図17では、初期状態での機体姿勢と初期速度を条件として流体抗力を推定し、浮力、重量及び流体抗力の3者の力のつり合いから初期のバラスト重量を求めるフローを示している。
請求項4の実施の形態については、請求項2の発明に付加された計算機部と、速度制御部及び重心位置変更用バラスト移動部とを結合した機体内部のシステムの一実施例を図18に示す。重量変更用バラスト増減部と機体外面部については、既に説明を行っており、図18には記載していない。本実施例では、海中移動中に計算処理による速度設定を可能にし、自律分散性を高めている。
本実施例で、計算機部は機体姿勢計算用計算機を有し、計算機内には機体姿勢計算処理ソフトウェアを持つ。機体姿勢計算処理ソフトウェアには、機体形状、機体重量,機体浮力、積荷重量、バラスト重量、姿勢角度と抗力係数の関係、設定速度などを入力する計算条件入力プログラム、計算条件データ、機体姿勢角度計算プログラム、計算結果などが含まれる。速度制御部は機体姿勢制御用コントローラを有し、機体姿勢制御用ソフトウェアを持つ。速度制御部は計算機部の出力を用いてバラスト移動に関する必要な計算を行い、制御用信号を出力する。重心位置変更用バラスト移動部は速度制御部の出力に基づき、バラスト移動装置で重心変更用バラストを移動する。
請求項5の実施の形態については、請求項1の発明に付加される通信手段に係わる処理の一実施例として、外部からの指令による制御と事前設定に基づく順次制御処とを組み合わせた速度制御の処理フローを図19に示した。
本実施例では、指令元となる外部との通信処理を開始すると、直ちに指令待ちモードになり、指令元からの指令を待つ。一方、速度制御処理では、順次制御処理モードに入り、事前設定に基づいた制御を開始する。事前設定のタイミングで海中輸送機が航行を開始後は、指令元からの指令がなければ順次制御処理モードを続行し、指令があれば指令に従っての処理が実行される。指令元からの指令には、機体と速度制御の現在データの送信、速度変更用機体姿勢変更データの受信、順次制御処理モードのストップ指令、重心位置変更実行指令、順次制御処理モード指令などがある。これらの各指令に対応して、それぞれ速度制御処理を実行し、新たな指令を待つ指令待ちモードに戻る。順次制御処理により、あるいは、外部からの指令により、指令待ちモード停止の実行後は、航行ストップ、順次制御処理モードをストップさせ、通信処理を終了する。
請求項6の実施の形態については、請求項2の発明に付加された通信処理部と、請求項2の発明に含まれる速度制御部及び重心位置変更用バラスト移動部とを結合した機体内部のシステムの一実施例を図20に示す。
本実施例で、通信処理部は通信処理装置を有し、通信処理装置内には通信処理用ソフトウェアを持つ。通信処理用ソフトウェアには、通信機能全般に関与する通信制御プログラムと共に、外部からの指示で速度制御部を動かすためのプログラムを持つ。外部からの指示で速度制御部を動かすためのプログラムには、速度制御部に制御モードを変更するためのデータ等を伝達する外部指令受信プログラム、速度制御部に速度を変更するためのデータ等を伝達する外部指令制御用データ受信プログラム、速度制御部の有する現在状況データを外部に伝達するための現在状況データ送信プログラム、速度制御部に事前に設定された順次制御用データを更新するためのデータを伝達する順次制御用データ受信プログラム等がある。速度制御部はこれらの通信処理部から伝達されたデータを用いて、重心位置変更用バラスト移動部に対して機体姿勢変更に対応するバラスト移動制御用信号を生成し、速度制御を実行する。
請求項7の実施の形態については、請求項1の発明に付加されるセンサーデータ処理手段に係わる処理の一実施例として、推定通りの結果が得られているかの妥当性の確認と、ずれの修正処理を行う処理フローを図21に示した
本実施例では、姿勢角のセンサーデータを獲得し、設定した姿勢角と、実際のバラスト移動による姿勢角のセンサー検出地とのずれを抽出する。この姿勢角のずれの要因を流体抵抗の作用点の推定ずれにあるとし、相当する回転モーメントのレバーを求める。このモーメントレバーが設定した閾値を超えていたら姿勢角ずれを修正するために、流体抵抗の作用点のずれによる重心位置のずれを求め、対応するバラスト移動を行って、再び姿勢角のセンサーデータの獲得に戻り、処理を繰り返す。このモーメントレバーが設定した閾値以下であれば、次のステップとして、加速度のセンサーデータを獲得し、速度の静定状況をチェックする。加速度が閾値を超えていたら、時間待ちと加速度チェックを繰り返す。加速度が閾値以下になったら、速度のセンサーデータを獲得し、設定値とのずれを求める。速度にずれがあれば、速度ずれに基づく流体抵抗を求める。この流体抵抗の推定ずれを修正するために、対応する姿勢角変更を行うこととし、実際にバラストを行い、再び速度のセンサーデータの獲得に戻り、以降の処理を繰り返す。上記した修正により、速度制御の精度向上が達成される。速度ずれの要因としては、上記した以外に、流れ、水質、水温等の外乱による影響もある。こうした外乱影響の把握も別の実施例としてある。
請求項8の実施の形態については、請求項4の発明に付加されたセンサーデータ処理部と、請求項4の発明に含まれる速度制御部、重心位置変更用バラスト移動部及び計算機部とを結合した機体内部のシステムの一実施例を図22に示す。
本実施例で、センサーデータ処理部は加速度センサー、速度センサー、姿勢角センサー及びセンサーデータ処理装置を有し、センサーデータ処理装置内にはセンサーデータ処理プログラムソフトウェアを持つ。計測データを用いた設定値と検出値とのずれ把握や機体姿勢修正のための計算は計算機部内のプログラムを実行する。
別の実施例として、図22で示したセンサーデータ処理に係わる計算機部での処理を、処理センサーデータ処理部または速度制御部の中で行う実施形態もある。また、センサーデータ処理部に、圧力、位置、流速などを計測するセンサーを有し、機体深度、機体位置、周囲流れの速度などを求め、速度制御に利用する実施形態もある。
請求項9の実施の形態については、請求項7の発明に付加される学習処理に関して、センサーデータ処理で得られたデータを蓄積する処理フローの一実施例を図23に、速度制御に用いるデータに反映させる処理フローの一実施例を図24に、それぞれ示した。
図23の実施例では、センサーデータ処理で得られたデータを用いて、各種データの蓄積を行う。蓄積するデータは、「姿勢角度の設定とのずれデータ」、「抗力作用点の推定とのずれデータ」、「重心位置の設定とのずれデータ」、「水平加速度データ」、「機体速度の設定とのずれデータ、流体抵抗の推定とのずれデータ」、「機体速度と機体姿勢角との相関修正データ」、「機体重心位置の変更を開始以降の機体姿勢と機体速度の時系列変化データ」などである。本実施例により、速度制御における誤差要因に関してのデータ収集が可能となる。
図24の実施例では、図23の実施例で蓄積されたデータを用いて分析処理を行い、速度制御で利用可能な結果を出力する。「姿勢角度の設定とのずれデータ」は要因抽出分析される。「抗力作用点の設定とのずれデータ」は、機体姿勢角と流体モーメントとの相関データの修正に用いられ、修正された相関データが出力される。「水平加速度データ」は、重心変更時の揚力変化の推定に用いられ、「姿勢変更時の速度〜揚力曲線」が出力される。「重心位置の設定とのずれデータ」は、重心変更時の流体モーメントの変化の推定に用いられ、機体姿勢角と重心位置との相関データが出力される。「機体速度と機体姿勢角との相関修正データ」は、機体速度と機体姿勢角との相関の修正に用いられ、修正後のデータが出力される。「流体抵抗の推定とのずれデータ」は、流体抵抗と速度との相関の修正に用いられ、修正結果が出力される。「機体重心位置の変更を開始以降の機体姿勢と機体速度の時系列変化データ」は、重心位置変更速度データの修正に用いられ、正結果が出力される。
図23と図24とは別の実施例では、「水深により異なる流れの存在による機体速度の変化データ」を蓄積し、分析を行うことにより、外乱影響の実態を把握しての、本速度制御方式の実用性の向上を可能としている。
請求項10の実施の形態については、請求項8の発明に付加された学習処理部と、図22での請求項8の実施例に含まれるセンサーデータ処理部、速度制御部、重心位置変更用バラスト移動部及び計算機部とを結合した機体内部のシステムの一実施例を図25に示す。
本実施例では、学習処理部は学習処理用計算機を有し、学習処理用計算機内には学習処理ソフトウェアを持つ。学習処理ソフトウェアには、入力、計算及び計測で処理した各データを蓄積するプログラムと、速度、姿勢及び流体抵抗を解析するプログラムと共に、各種の蓄積データ及び解析データを持つ。学習処理部のデータを蓄積するプログラムは、計算機部から計算条件データと計算結果データを、センサーデータ処理部からセンサーデータをそれぞれ入力する。学習処理部のデータを解析するプログラムは、計算機部の計算条件入力プログラムの入力データとなる解析結果を出力する。
別の実施例として、図25で示した学習処理に係わる計算機部での処理を、学習処理部または速度制御部の中で行う実施形態もある。また、学習処理部に、外乱影響を把握するためのプログラム、機体形状を改良するためのプログラム等を有する実施形態もある。
請求項1の実施形態として、流体抵抗利用速度制御方式の海中輸送機への適合処理フローの一実施例を示す。 請求項1の実施形態として、速度制御に用いる機体姿勢変更の一実施例を示す。 請求項1の実施形態として、流体抵抗利用速度制御方式式の機体形状作成フローの一実施例を示す。 機体形状作成時に用いる「3軸方向へ進行時の速度〜流体抵抗想定曲線」の一実施例を示す。 機体形状作成時に用いる「機体姿勢変更時の速度〜流体モーメント想定曲線」の一実施例を示す。 機体形状作成時に用いる「機体姿勢変更時の速度〜揚力想定曲線」の一実施例を示す。 速度制御データとして作成する「機体姿勢角〜速度の関係データ」の一実施例を示す。 速度制御データとして作成する「機体姿勢角〜流体モーメントの関係データ」の一実施例を示す。 速度制御データとして作成する「機体姿勢角〜揚力の関係データ」の一実施例を示す。 図1の「設定準備」段階で機体重心位置変更に基づく機体姿勢変更処理フローの一実施例を示す。 図1の「設定準備」段階で機体姿勢変更に基づく速度制御方法決定フローの一実施例を示す。 請求項2の実施形態として、流体抵抗利用速度制御方式に適合する機体外面部の断面形状の一実施例を示す。 図12の機体形状での浮心及び重心各位置の一実施例を示す。 図13の重心変更が可能な重心位置変更用バラスト移動部の実施例を示す。 請求項2の実施形態として、速度制御部、重量変更用バラスト増減部及び重心位置変更用バラスト移動部で構成される機体内システムの一実施例を示す。 請求項3の実施形態として、流体抵抗利用速度制御方式での抗力推定計算を用いた機体姿勢決定フローの一実施例を示す。 請求項3の実施形態として、流体抵抗利用速度制御方式での初期状態バラスト重量決定フローの一実施例を示す。 請求項4の実施形態として、計算機部、速度制御部及び重心位置変更用バラスト移動部に着目しての機体内システムの一実施例を示す。 請求項5の実施形態として、流体抵抗利用速度制御方式で外部指令受け入れ可能な海中輸送機での外部指令受け入れ処理フローの一実施例を示す。 請求項6の実施形態として、通信処理部、速度制御部及び重心位置変更用バラスト移動部に着目しての機体内システムの一実施例を示す。 請求項7の実施形態として、流体抵抗利用速度制御方式で機体及び機体周囲の状況への対応が可能な海中輸送機での現在状況の獲得及び対応処理フローの一実施例を示す。 請求項8の実施形態として、センサーデータ処理部、計算機部、速度制御部及び重心位置変更用バラスト移動部に着目しての機体内システムの一実施例を示す。 請求項9の実施形態として、流体抵抗利用速度制御方式で学習処理可能な海中輸送機でのデータ蓄積フローの一実施例を示す。 請求項9の実施形態として、流体抵抗利用速度制御方式で学習処理可能な海中輸送機での蓄積データ利用フローの一実施例を示す。 請求項10の実施形態として、学習処理部、センサーデータ処理部、計算機部、速度制御部及び重心位置変更用バラスト移動部に着目しての機体内システムの一実施例を示す。
1:機体外面のxy基準断面形状曲線
2:機体外面のxy基準断面形状曲線
3:機体外面のyz基準断面形状曲線
4:機体外面のyz基準断面形状曲線
5:側面図での機体外面の基準断面形状曲線
6:正面図での機体外面の基準断面形状曲線
7:平面図での機体外面の基準断面形状曲線
8:機体外面のxy基準断面形状曲線
9:機体外面のyz基準断面形状曲線
10:機体外面のxy基準断面形状曲線
11:移動用バラスト錘
12:バラスト錘移動用支持材
13:バラスト錘移動用駆動ライン
14:機体外面のyz基準断面形状曲線
15:移動用バラスト錘
16:バラスト錘移動用支持材
17:バラスト錘移動用駆動ライン
18:機体外面かつバラストタンク機体外側壁面のxy基準断面形状曲線
19:バラストタンク機体内側壁面のxy基準断面形状曲線
20:バラストタンク内仕切り壁
21:バラスト水の流路
22:バラスト水
23:バラストタンク内の浮力材
24:機体外面かつバラストタンク機体外側壁面のyz基準断面形状曲線
25:バラストタンク機体内側壁面のyz基準断面形状曲線
26:バラストタンク内仕切り壁
27:バラスト水の流路
28:バラスト水
29:バラストタンク内の浮力材


Claims (10)

  1. 進行方向を一定に保ち、一定速度で水中を自由降下又は自由浮上し、到達目標位置へ接近する機体を低動力で安全に減速するもために、
    該機体の外面形状は、
    長軸、中時期及び短軸を持つ楕円体又は楕円体に近い形状とし、
    3つの各軸を進行方向に向けた時の各々の流体抵抗の差により、該機体の速度変更を行い、
    該機体の姿勢変更での回転時に生じる流体抗力に基づく回転モーメントを低減し、該姿勢変更に要する動力を低減し、
    該機体の該姿勢変更時に生じる揚力を低減して横力を低く抑え、進行方向の維持に要する動力を低減すること、ならびに、
    該機体の減速時に進行方向に向ける該機体の姿勢は、
    第1ステップでは、該短軸回りに回転させ、該長軸方向から該中軸方向へと、
    第2ステップでは、該長軸回りに回転させ、該中軸方向から該短軸方向へと、
    順次変更を行うこと
    を特徴とする海中輸送機。
  2. 進行方向を一定に保ち、一定速度で水中を自由降下又は自由浮上し、到達目標位置へ接近する機体を低動力で安全に減速するために、
    該機体の外面形状が、
    長軸、中時期及び短軸を持つ楕円体又は楕円体に近い形状で、かつ、
    該機体の主要寸法が、
    該機体の長軸方向の長さ(L),中軸方向の幅(B)及び短軸方向の高さ(H)に対して、
    0.4≦B/L≦1.0で、
    0.4≦B/L≦0.75の時、0.4≦H/L≦B/L、ならびに、
    0.75≦B/L≦1.0の時、0.4≦H/L≦ーB/L+1.5、
    の上記条件式が成立する範囲内にある機体外面部、ならびに、
    該機体の速度変更は、
    該機体の姿勢を、該短軸回り、または、該長軸回りに回転させ、
    3つの各軸方向を進行方向に向けて行うものとし、
    上記した各姿勢変更を、バラストかつ/又は浮力材を移動して該機体の重心位置の変更により行う機体重心変更部
    を持つことを特徴とする海中輸送機。
  3. 請求項1で示した海中輸送機の機体で、
    該機体の速度変更に対応する該機体の姿勢角を、
    該機体の抗力係数と該機体の姿勢角との相関データを用いて、
    該変更速度における力のつり合いから計算処理を行なって求め、
    該姿勢角の設定により、該機体の速度を制御すること
    を特徴とする海中輸送機。
  4. 請求項2で示した海中輸送機の機体で、
    該機体の速度変更に対応する姿勢角を、
    該機体の抗力係数と該機体の姿勢角との相関データを用いて、
    該変更速度における力のつり合いから計算処理により求める計算機部、ならびに、
    該姿勢角の設定により、該機体の速度制御を行う速度制御部を持つこと
    を特徴とする海中輸送機。
  5. 請求項1で示した海中輸送機の機体で、
    該機体の速度変更に用いる情報を得るための通信処理を行うこと、ならびに、
    該通信処理で得られた情報を用いて該機体の速度を制御すること
    を特徴とする海中輸送機。
  6. 請求項2で示した海中輸送機の機体で、
    該機体の速度変更に用いる情報を得るための通信処理を行う通信処理部、ならびに、
    該通信処理で得られた情報を用いて該機体の速度を制御する速度制御部
    を持つことを特徴とする海中輸送機。
  7. 請求項1で示した海中輸送機の機体で、
    該機体及び該機体の周囲に関するデータをセンサーを用いて検出し、
    該データを用いて、該機体の現在状況及び該機体へ及ぼす外乱の影響を把握する解析理を行うこと、
    ならびに、
    該検出データまたは該解析処理結果を用い、
    該機体の姿勢角設定での設定値と実際値とのずれの修正処理、
    該機体の動き異常の検知と対応処理及び
    判定処理で処理選択しての該機体の速度制御を行うこと
    を特徴とする海中輸送機。
  8. 請求項2で示した海中輸送機の機体で、
    該機体及び該機体の周囲に関するデータをセンサーを用いて検出し、
    該データを用いて、該機体の現在状況及び該機体へ及ぼす外乱の影響を把握する解析理を行うセンサーデータ処理部、
    ならびに、
    該検出データまたは該解析処理結果を用い、
    該機体の姿勢角設定での設定値と実際値とのずれの修正処理、
    該機体の動き異常の検知と対応処理及び
    判定処理で処理選択しての該機体の速度制御を行う速度制御部
    を持つことを特徴とする海中輸送機。
  9. 請求項7で示した海中輸送機の機体で、
    該機体の速度と姿勢角との相関を修正するためのデータを蓄積し、
    該蓄積データを用いて該機体の速度と姿勢角との相関データを修正し、
    該相関データを用いて該機体の速度を制御すること
    を特徴とする海中輸送機。
  10. 請求項8示した海中輸送機の機体で、
    該機体の速度と姿勢角との相関を修正するためのデータを蓄積し、
    該蓄積データを用いて該機体の速度と姿勢角との相関データを修正する学習処理部、
    ならびに、
    該相関データを用いて該機体の速度を制御する速度制御部
    を持つことを特徴とする海中輸送機。
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