JP2013166406A - 水中重量物の降下および浮上方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数の水中移動構造体を浮上・降下させて、夫々の発電機で得られた電力を平均化して一定電力を供給することが可能である、深度の浅い湖などでも稼働できる水中移動構造体を提供する。
【解決手段】水中移動構造体の外部には浮力体2が備えられ、水中移動構造体内のボンベ11の液化ガスを気化して浮力体に圧入して浮力媒体とする。浮力体内のガス圧と水圧は常に平衡が保たれるので、潜水艇の降下時は浮力体内のガスを圧縮・液化してボンベに格納し、浮上する時は浮力体の体積を膨張させながら浮上する。浮上時に艇船尾に備えたフック7に海底の重量物9を複数個連結して浮上させる。また艇船尾に具備したスクリュー45に連動した発電機10で電力を発生させる。
【選択図】図13

Description

深海底や湖底の鉱物資源を水面までの輸送手段として、潜行(降下)には水中移動構造体(潜水艇)に備えられた浮力体内のガスを減圧してボンベに圧入し、浮力体の容積を減少させて重力で潜行し、浮上にはボンベ内の高圧ガスまたは液化ガスを気化させ、浮力体に移行して体積を増大させて浮力を得、ガスの二態現象(気体が液化して性質が変態する現象)を水底水面間の往復に利用した発電ならびに重量物の浮上方法に関する。
海底や海底の地盤中にはマンガン団塊、マンガンクラスト、海底熱水鉱床などの鉱物資源
が開発を待っている。これら鉱石は、八丈島、小笠原諸島など南方海域の調査で、我が国の排他的経済水域内に分布が確認されている。本願発明者による非特許文献1の「“風力よ”エタノール化からトウモロコシを救え <風力発電による海洋資源回収と洋上工場>」に示してあるように、海底熱水鉱床には、すず、タングステン、モリブデン、銅、亜鉛、鉛、金、銀、マンガン、アンチモン、ビスマス、水銀、ウラン、蛍石などの金属や非金属現が豊富であり、マンガンクラストに含有するコバルトの量はマンガン団塊の3倍以上である。コバルトは純金属としての用途よりも、合金としての用途が高く、ニッケル、クロム、モリブデン、タングステンなどに、コバルトを20〜65%加えた合金は高温でも耐摩耗性と耐食性に優れ、ジェット機やガスタービンに用いられている。また、鉄、ニッケルと共に強磁性体のコバルトは磁性合金としても有用である。そのほかにコバルト合金は非常に硬く丈夫なため、切削工具としても広く使われている。このように高性能合金に必要なコバルトは年間生産量の大半がアフリカ大陸のザンビアに偏存している。このため、海底に広く分布するマンガンクラストは各国の注目の的になっている。マンガンクラストの主要産地は沖ノ鳥島や南鳥島周辺や南太平洋から太平洋中央部の海山の山頂や斜面に分布している。このマンガンクラストは、マンガン団塊が水深4,000〜6,000mの海底に存在しているのに対し、水深500〜2,500m付近の海山の斜面に、約10cm厚の薄膜状海底鉱床として存在する。しかも、マンガン団塊の埋蔵量は、モアー博士らの推定結果によれば、約5,000億トンである。これを最近の世界の年間消費量で計算すれば、マンガン14万年、ニッケル7万年、銅2千年、コバルト42万年分の供給量に匹敵するといわれている。しかも、深海とはいえ、場所を選べば海底をすくうだけで高品位な希少金属を採取することが可能なため、多くの国が商業化を見込み、鉱区を設定し、調査・研究と実用的な採取法の開発にしのぎを削っている。日本近海では、大東沖・沖大東海嶺に分布している。さらに排他的経済水域以外のハワイ南東方から東にかけての中部太平洋域にも、2ヶ所で北海道と同じ面積の鉱区を取得している。我が国の他にも、中国、韓国、フランス、ロシア、ドイツも国連海洋条約の下で鉱区を取得している。
しかし、これら鉱物資源は水深1000mから6000mに存在するため、100から600気圧下での採掘作業や輸送の技術的問題がネックとなり、1気圧以下の宇宙開発に比べると、極端に開発が遅れている。しかし昨今の資源高と資源の枯渇は、海底開発に拍車をかけ、世界中で深海調査が行われている。わが国の有人深海調査船「しんかい2000」が2003年引退し、その後継機として潜行深度6,000メートル、乗員2名(パイロットを含めて3名)、0.7m/秒の速度で、2時間かけて6,500メートルまで潜行可能な「しんかい6000」が活躍している。又、無人探査機として「かいこう」や「うらしま」など5艇があり、潜行深度は「かいこう」が7,000メートル、これに積み込んだ子機「ランチャー」は11,000メートルの潜行記録がある。外国でもアメリカの4,500メートル調査艇「アルピン」などがあるが、いずれも調査のみであって、深海鉱物資源の採掘艇は無い。
海底鉱物資源の採掘に関しては本願発明者による特許文献1「海洋資源エネルギー抽出・生産海洋工場」において風力発電や潮流発電などの流体エネルギーから得られた電力により、マンガンクラストあるいは海底熱水鉱床中の泥状硫化物を採鉱し港に輸送する総合工場構想について開示されている。採掘した海底鉱物資源の海上への輸送については、科学技術振興事業団の笹井らが「深海底鉱物資源の揚鉱方法及び揚鉱装置」において、両端開口部で液面が同じ高さに維持されるU字管の中の海水が循環流動する特性を利用し、深海底から鉱物資源を海面に浮上させる方法を特許文献2に開示している。
バケットによる揚鉱について益田は特許文献3「深海鉱物バケット採鉱装置」において、採鉱船による海底鉱物資源の連続バケット採鉱装置にロープと耐圧浮力筒を用い鉱物資源が重くなるのを補償する牽引駆動方式を開示している。竹山は特許文献4「海底鉱物資源の採取方法およびその粉砕装置および連結装置」において、海底で採取した鉱物資源を採取直後に海底で細粒に粉砕し、その細粒を海上の船舶に輸送ホースで揚鉱する方法について開示している。吉岡は特許文献5「深底資源吸引揚装置」において、ポンプで高圧化した気体と液体を共に深海の気液分離室へ圧送し、液体は気液分離室の下部から外部に放流し、気体は気泡となってエアリフトパイプに入り上昇し、同時に下端に接続した吸引パイプの吸引口に吸引力を起こし、海底等の深部の資源を吸引し、資源が上昇する速度で上部まで引揚げる機構について開示している。海洋科学技術センターの青木らは特許文献6「燃料電池搭載型深海潜水調査船運用システム」において、深海潜水調査船の駆動源として燃料電池を搭載し、母船から水素ガス及び酸素ガスをホースで補給する方法について開示している。
本願発明では深海底に水中移動構造体を沈めるに当たり、その中に錘として密度の重い液化気体や氷結体を積み込み、海底ではそれらを浮力体として使うことを提案している。しかし現時点では、深海底での利用報告が無いため、陸上での液化ガスや氷結体の応用例を示す。三菱重工業株式会社の渥美らは特許文献7「液化ガスを利用した動力発生装置」において、タンクに貯蔵した液体空気などの液化ガスをポンプで昇圧した後、外気等を利用した熱交換器で加熱してほぼ常温の高圧空気とし、この高圧空気を高圧空気駆動エンジンに導いてその膨張により動力を得ること及びこれを自動車の動力として用いることを開示している。
本願発明では深海底に存する鉱物資源を揚鉱するために浮力体(浮き袋、風船)に浮力媒体として単体気体、不活性気体、有機化合物、無機化合物などの中で臨界圧力が低く、しかも臨界温度が300℃以下の冷媒用ガスを使うことを提案しているが、水中で風船にガスを圧入して浮上させる方法として、田中らは特許文献8「水難救助具」において、水中で水と反応して炭酸ガスを発生する薬品を風船に付属したカプセルの中に入れておき、その薬品が水に触れると二酸化炭素が発生して風船が膨張し、浮き袋として水難救助できる方法を開示している。
これら海底開発には、回収資源の運搬の前に、採掘に大電力を必要とする。これまで、その電力はディーゼル発電で賄う以外に方法は無いと考えられていた。たとえ、この電力を洋上風力発電や海流発電で電力を得ても、それを深海底1,500〜6,000メートルまで送電すると、送電ロスを生じる。本願発明者は、非特許文献1の「“風力よ”エタノール化からトウモロコシを救え <風力発電による海洋資源回収と洋上工場>」において、もし深海底掘削現場で電力が得られればこんな経済的なことはないと記載し、一例として、海底熱水鉱床がある付近には、海底火山がある確率が高いため、その海底火山近傍の熱水とそれを取り巻く深層水との温度差発電を行い、これによって得られた電力を掘削機の動力源とすることを提案している。
そこで本願発明では、場所を選ばない発電法として、水中移動構造体(潜水艇)が重力により降下し、浮力あるいは重力に伴って発生する水の流れで生じる水圧(流体エネルギー)をスクリューにより回転エネルギーに変換して発電を行い、これを海底での作業用電力や、海上における電力に使用することを提案している。 水中の浮力を利用して発電する方法について、国土総合建設株式会社の森崎は特許文献9「浮力を利用したエネルギー発生方法と装置」において、海上と海底に固定された車輪の間を無端ベルトが回転する構造にしておき、そのベルトに多数の風船を付け、その風船が最も海底に来た時に空気を送入することによって生じる浮力で風船が順次浮上し、海上に来た時に風船の中の空気を抜くことにより、ベルトが浮力のみで回転するエネルギーを発電機に伝え電力変換する方法が開示されている。水中で物質を化学反応、気化、又は昇華させた時に発生する気体を浮力として使い、海上と海底に固定された車の間を無端ベルトが回転する構造にしておき、そのベルトに多数の円筒形容器を付け、発生させた気体を円筒容器内に入れて、回転により発電する方法が、田野瀬によって特許文献10「水中で気体を発生させ、その浮力を利用して発電する浮力発電システム」が開示されている。
特開2007−331681号公報 特開2003−269070号公報 特開平07−208061号公報 特開平05−141175号公報 特開2000−227100号公報 特開平10−181685号公報 特開平09−079008号公報 特開2005−343440号公報 特開2000−130311号公報 特開平07−007996号公報
村原正隆・関和市 「"風力よ"エタノール化からトウモロコシを救え」パワー社出版(2007年12月発行) 「Deep-Sea fishes/ Wikipedia, the free encyclopedia (1329195932156_0) 「プラスチック技術マニュアル/松谷守康著/理工学社」アズワン社ホームページ(http://www.as-1.co.jp/academy/17/17-2.html)
水深5,000メートルならば地上の1気圧の500倍の水圧下(500気圧)での鉱物資源の採掘と回収を行い、これを海上に輸送する必要がある。このための電力はディーゼル発電機や洋上風力発電が考えられる。しかし、母船から海底までの送電ケーブルが必要であり、送電ロスも大きい。さらに、それらの資源を揚鉱するためにはクレーンが必要である。本願発明者は非特許文献1で熱電子発電素子による海底温泉と深層水との温度差発電を提唱したが、これは採掘には利用できるが、熱電素子の設置場所が限定され、実用的ではない。最も簡便な方法は海底作業用水中移動構造体(潜水艇)に電池を積み込むことであるが、大電力供給は期待できない。このように大電力を使えば、揚鉱は可能であるが、海底下5000mから鉱物を揚鉱しても採算に合わない。深海底の開発のネックは水圧との闘いである。
そこで考えたのが浮力の利用である。一般に、浮力体の排水量が浮上させる物質の総排水量を超えた時に浮上を開始する。さらに重要なことは、水中では浮力体に封入されたガスの内圧と水圧とが常に等しいことである。もしこのバランスが崩れると浮力体は破壊する。深海魚の浮き袋が破壊しないのは水圧と浮き袋の内圧とのバランスが取れているからである。もし、深さ[h]における浮力体の内圧[P(h)]と水圧[W(h)]とを等価[P(h)=W(h)]に制御できれば、浮力体の容積をV(h)とすると、P(h1)×V(h1)= P(h2)×V(h2)=一定、であるから、V(h2)=V(h1)×P(h1)/P(h2)である。 ここで浮力体が深さh1から、深さh2まで浮上したとすると、浮力体の内圧は P(h1)> P(h2)あるから、深さh2における浮力体V2の容積はV(h2)=V(h1)×P(h1)/P(h2)> V(h1)となり、容積は増大することがわかる。
一方、気体は雰囲気温度に敏感である。一般に、水温は低緯度海域では0から4000mまで1.5℃と変化は無いが、高緯度海域では海上で約28℃、1000mで10℃、2000m以下は低緯度海域と同じ1.5℃であると言われている。さらに、海水の密度は低緯度海域では0から4000mまで1.0284g/cm3と変化は無いが、高緯度海域では海上で1.0242g/cm3、1000mで1.027g/cm3、2000m以下では低緯度海域と同じ1.0284g/cm3である。塩濃度は低緯度海域では水面では33.2%、1000mで34.8%、それ以下では平均35%と変わらない。 高緯度海域では海上で約36.9%、1000mで35.2%、それ以下では低緯度海域と同じ35%である。これら物理定数は海域によって異なるため、その都度制御機構に入力することが望ましい。例えば、水深5000mにおける水圧は500気圧であるから、水面上(0m、1気圧)での浮力体の容積は500倍と成り、浮力も500倍に成る。この現象は、深度が浅くなるに連れて浮力が必然的に増大するため、浮力体の牽引力は増大することを意味する。すなわち、海底から海上に浮力体が上昇するに連れて、浮力が増加するため、それに応じて被鉱物資源の格納籠をある間隔をおいて数珠繋ぎに連結すれば、浮力のみで複数個の荷物を揚鉱することができる。水面上でそれらのガスを再度液化または圧縮して備え付けのボンベに移送すれば、浮力体の容積が減少し重力による降下(潜行)が可能になる。 又この浮力の増大で発生する流体エネルギーをスクリューで捕らえ、回転エネルギーに変換して発電すれば、水中移動構造体(潜水艇)の浮力制御用電力、海底での掘削機や集鉱シャベルなどの駆動電力、あるいは洋上や陸上の作業用電力あるいは産業や生活用電力として利用できる。
この浮力・重力発電は、風力発電や太陽光発電あるいは温度差発電が抱える欠点、すなわち、台風、強風、凪、無風、雨、曇、落雷、夜、月の満ち欠け、あるいは温度差も関係なく、景観に悪影響もなく、低周波公害も無く、氷結も関係なく、建設工事も必要なく、重力バランスを考えることも無く、しかも1年中24時間休むことなく発電できる。ただ必要なのは水深のみ。この浮力・重力発電システムで得られた電力の最大の利点は、深海底での鉱物資源回収用電力としの利用である。海底近くで浮上と降下を繰り返し、発電すれば、送電ケーブルが短いため、送電ロスを軽減できる。さらに、浮上して水面に近づくに連れて浮力が増すため発電量が大きくなることも浮力発電の特徴であり、この装置の設置場所は深海や深湖が望ましい。深海としては、マリアナ海溝の10,920 m、フィリピン海溝の10,057 m、伊豆・小笠原海溝の9,780m、日本海溝の8,058 mである。海洋の平均深度は、太平洋の4,188 m、インド洋の3,872 m、大西洋の3,736 m、北極海の1,330 mである。湖ではバイカル湖の1,741 m、タンガニーカの1,471 m、カスピ海の1,025 mである。日本の湖では、田沢湖が423.4 m、支笏湖が360.1 m、十和田湖が326.6 m、池田湖が233 m、摩周湖が211.4 m、洞爺湖が179.7m、中禅寺湖が163 m、屈斜路湖が117.5 m、琵琶湖が103.8 m、猪苗代湖が93.5 m、阿寒湖が44.8 m、桧原湖が30.5mである。欠点としては、浮力による発電量は多いのに比べ重力で降下する時の発電量が少ないことと、深度の浅い湖などでは浮上・降下の距離が短いので操作の繰り返しが煩雑であることなどである。これを解消するには、複数の水中移動構造体(潜水艇、発電艇)を浮上・降下させて、夫々の発電機で得られた電力を平均化すれば一定電力を供給することが可能である。これら浮力体に封入する浮力用媒体ガスの内圧と水圧の制御システムを構築することが、本発明が解決しようとする課題である。
水中移動構造体(潜水艇)は、深度5,000メートルならば500気圧の水圧に耐えねばならない。しかも水中移動構造体の形状は水中での抵抗が少ない球状、楕円球体状又は円筒形状のラグビーボール型、涙滴型、葉巻型、鯨型などがよい。一般に潜水艦は艦の内殻と外殻との間に備えたメイン・バラスト・タンクに海水を出し入れして、艦の重さと浮力のバランスを調整する。すなわち潜水艦の場合は、艦自身が浮力体であり、降下時に艦内のタンクに海水を入れ、その錘で降下し、浮上の時はタンクから艦外部に海水を吐き出して、軽くなって浮上する。
ところが本願発明では、浮力体は水中移動構造体の外部に備えてあり、艇内の船体構造は復殻式で、外殻と内殻の間には液化ガスやドライアイスあるいは圧縮ガスを入れるボンベ室、内殻内部には油圧コンプレッサー室、液化ガス製造装置室、蓄電地室、発電装置室を設備する。あるいは、水中移動構造体と浮力体を支え、かつ、浮力体の伸縮を滑らかにガイドするために、水中移動構造体の外部に備えた円筒内部にコンプレッサーやボンベを備え、浮力媒体ガスの断熱圧縮による温度上昇を水冷する働きを併せ持っている。そして、降下する時には浮力体内のガスを液化あるいは圧縮して水中移動構造体内部のボンベに移行し、錘としての重力を得、浮上する時はボンベから気化させた液化ガス又は圧縮ガスを浮力体に封入して浮力を得る。一旦浮上を開始した後は、浮力体にはガスを一切供給せず、浮力体の容積のみを膨張させて、浮力を増大させる。
一般的に、潜水艦では、降下のための錘として密度1.02の海水を用いるが、本願発明では、錘として、密度が1.18と重い液体酸素、密度1.56のドライアイス、あるいは液化冷媒ガス、密度0.81の液体窒素又は密度0.071の液体水素などを用いる。一般に気体は臨界温度以下にしない限り、圧力をどれほど増しても液化できない。従って臨界圧力が比較的低いガスと言えども臨界温度の低い、酸素(-118.8℃)、空気(-132.5℃)、窒素(-147.2℃)、アルゴン(-122.4℃)、水素(-239.9℃)、ヘリウム(-267.9℃)などは低温雰囲気を必要とする。ところが、冷媒ガスは、臨界圧力は高いが、臨界温度は常温以上のものが多い。たとえば、二酸化炭素(31℃)、六フッ化硫黄(45.7℃)、プロパンガス(96.8℃)、フロンガスF-22(98℃)、フロンガスF-12(112℃)、アンモニアガス(132℃)、ブタンガス(152℃)、亜硫酸ガス(157℃)などが恒例である。これら冷媒用ガスは常温で圧力さえ与えれば液化する。さらに一般に、気体は温度が下がれば液化圧力も下がる。すなわち気体を等温的に圧縮すると圧力が次第に増し、飽和蒸気圧に達すれば液化し始める。一般に水温は、深海と言えども、1.5℃以上であり、水面は赤道付近でも高々30数度℃である。
そこで、水中での浮力媒体ガスは1.5〜30℃の温度範囲において水圧で加圧されることになる。従って、臨界温度が1.5℃以下のガスは深度に関係ないが、1.5℃以上の冷媒ガスは種類により飽和蒸気圧に等しい水圧に達すると液化する。若し浮力体内のガスが液化すれば、浮力体の容積は減少して、二度と浮上することはできない。あるいはボンベから浮力体に液化ガスを封入しても気化できないため浮力の容積を膨張させることはできない。このため、冷房用ガスを浮力媒体ガスとして使用する場合には、潜行限界深度に応じて、冷媒用ガスの種類を選別しなければならない。また液化ガスを固体化すればさらに容積は小さくなり、浮力が減少するため、潜行に都合が良い。一般にドライアイスは、昇華して発生するCO2は約74気圧で液化する。すなわち、水深が約740 mより深い海水では液化二酸化炭素であるため、ガスとはならない。水中移動構造体が降下する重力源としての錘は、水中移動構造体本体、発電機、ボンベは勿論であるが洋上でボンベに圧入する液化ガスあるいは圧縮ガスの重量が非常に大きくなる。たとえば、簡単のために、水の密度=1、水温=1.5℃、大気圧=1気圧として大まかな計算を行うと、深度5000m(水圧500気圧)の地点で、浮力1トン得るためのガスの重量は、酸素で約714kg、二酸化炭素で約981kg、空気で約647kg、窒素で約624kg、水素45kgである[M(g)(ガス1モル当たりの重さ)× 500(気圧)×1000(リッター)/22.4(リッター)≒22.3M(kg)]。本発明の特徴は、これらのガス重量を、降下時の錘として用いることである。そして、このガスを全て浮力体に移すので、水中移動構造体の重量はその分だけ軽くなる。しかし、浮力体内のガスの重量は同じである。ただし、浮力体は深度が浅くなるに連れて膨張し、海面に到達した時点では浮力は約800倍になる。この水圧と浮力の関係を利用したのが本発明の特色である。
請求項1に記載の発明は、海底又は湖底で重力と浮力を利用して重量物を移送する水中移動構造体に関するものであり、水中移動構造体内部には、浮上や降下を制御するための電力、海底からの鉱物資源、埋没遺跡物、沈没船、堆積物、瓦礫、汚染物、湧出原油、深層水又は汚泥物である被採掘重量物を採掘あるいは回収し、採掘重量物を水面上に荷揚(揚鉱)させるために、採掘するのに必要な機材を海底又は湖底の採掘地点へ重力による搬送及び被採掘重量物の回収に必要な動力源としての電力及び洋上や陸上で電力を得るための発電装置が備えられている。本発明では水中移動構造体船首外部に取り付けられた浮力体を明確に区別するために主浮力体と命名する。水中移動構造体船首外部には、水中を降下及び浮上に必要とする浮力を得るために、浮き輪あるいはドーナツのように断面形状が中空円である竹輪状の蛇腹、折り畳み風船若しくは複数個の(浮き袋)を積層した主浮力体を備え、中空円の内壁部が水中移動構造体船首外部に取り付けられた円柱で横方向が固定され、縦方向に滑らかにスライドして、伸縮自在となるため、主浮力体の容積の増減をスムーズに行わせることができ、その主浮力体の働きは、浮上を開始するときは容積を増大させ、浮上中は深度が浅くなる分だけ水圧が下がり、主浮力体の容積は自然に増大し(自然に)浮上速度が増す。主浮力体は伸縮自由の蛇腹式であり、潜行限界深度の水圧で縮み限界となり、水面上の1気圧の外圧で伸び限界である構造を有し、水面近傍で浮上から降下に移行する際に、主浮力体の重量と水中移動構造体の重量との和に被採掘重量物が存在する場合はその重量を加えた総重量とそれらが排出する水の総重量よりも重くなるように主浮力体内部のガスを減圧する。この減圧はコンプレサーにより行い、圧縮ガス又は液化ガスはボンベに蓄える。ただし、主浮力体には、潜行限界点において停止し、かつ、浮上に移行させるために制御を容易にする目的で、ガスを残留させておく。またこの残留ガスは常に水圧と平衡が取れているため、主浮力体の圧縮破壊は起こらない。そして潜行深度が深くなるにつれて水圧が上昇する分だけ主浮力体は周囲の水圧で押され、残留気体の容積は小さくなり、必然的に浮力が下がり、降下速度が増加して潜行限界深度に達する。この深度で、ボンベから高圧ガスを主浮力体に圧入して、潜行を止め、さらに高圧ガスの圧入を行い、主浮力体の容積を増大させて生じた浮力で浮上を開始させる。ここで重要なことは、浮上の主浮力体の内圧は水圧任せで気体の圧入や減圧は行わない。この潜行限界深度と水面間を往復移動により発生する浮力あるいは重力に伴って発生する水の流れで生じる水圧により2枚の相反転スクリューを回転させ、かつ、回転軸が相互に逆転する同軸回転軸機構である発電機により発電を行う水中移動構造体である。ここで主浮力体が破損又は浮力ガスが浮力に見合う分だけ充填できないなどの緊急事態発生時には、併備されている補助浮力体用高圧ボンベを開き補助浮力体を膨張させて浮上を援護する。補助浮力体用高圧ボンベに封入するガスは使用頻度が少ないため臨界温度が0℃以下の気体が望ましい。あるいはこの補助浮力体は、水中移動構造体から独立し、独自で浮力媒体ガスを供給する機構を備えており、必要に応じて、荷物運搬の替え添え役として、あるいは500mより浅い海面下での荷物運搬用に使うことができる。この補助浮力体にはドライアイスが封入されており、深さが500mより浅い位置(50気圧より低圧)に到達したら自発的にドライアイスが昇華して二酸化炭素が生成され、補助浮力体に封入されるようになっている。
この水中移動構造体により、深海底や海底の地盤中のマンガン団塊、マンガンクラスト、海底熱水鉱床などの未掘削の鉱物資源の陸上への輸送や、沈没船や遺跡物の陸上への輸送が盛んに成ると考える。さらに深海底の事故処理も急を要す。2010年4月20日米国ルイジアナ州沖のメキシコ湾で起きた石油掘削施設の爆発炎上により、崩壊した海底1500mの掘削井戸からは1日当たり5000バーレル以上の原油が流出し、メキシコ沿岸地域を汚染し、環境への影響が懸念された。これら噴出原油の回収や海底に未開発のまま存在する鉱物資源を、簡便な方法で陸上まで輸送することが急がれる。海底や湖底から水面まで揚げる荷物は固体と液体に分離できるが、湧出原油、深層水又は汚泥物などの液体物については密閉容器が必要である。そのため、浮力を極力少なくし、降下時は重力だけで海底に運び、海底では容器に液体回収物を満載した後、浮上させるような、密閉容器が必要である。そこで密閉容器を折畳み容器構造とし、畳んだ状態で水底に運搬し、水底で容器を拡大しながら目的の液体物を挿入する方式が望ましい。一方、荷物が固体の場合は、降下時に浮力を発生させない籠状容器を採用する。水中移動構造体の船尾にはスクリューを備え、重力により降下する場合と、浮力により浮上する場合に発生する流体エネルギーを回転エネルギーに変えて発電機を回し電力を得る機構を有している。水中移動構造体に搭載する発電機を小型と大型に分け、小型の場合は、主浮力体駆動用モーターの電池充電用に供し、海底や湖底と水面上を荷物の運搬のみに特化させる。一方、大型発電機を搭載した水中移動構造体は、水面と水底間を往復して発電に特化させている。
さらに、水中構造体の船尾には重量物を吊り下げるための牽引装置、牽引フック、牽引ロープ、シャックル、スナップシャックル、ハンク、荷物積載用として固体の場合は籠であり、原油、深層水又は汚泥物などの液体の場合は折りたたみ式密閉容器が必要である。水中移動構造体が単に回収物又は機器の運搬用であれば、水中移動構造体に搭載する発電機は小型として蓄電池充電用に特化させるか、発電機構を持たない補助浮力体のような構造として使用することもできる。いずれにせよ、本発明の目的は、深海底や湖底の重量物を、浮力を用いて水面上に浮上させることであるから、この主浮力体が最も重要であり、キーテクノロジーである。
主浮力体の材料は水圧に耐える必要がある。水中では10m降下する毎に1気圧上昇するから、5000m降下するならばその点での水圧は500気圧に及ぶ。主浮力体がこの圧力に打ち勝つためには、頑強な構造体が要求される。しかし、これを満足する主浮力体を作れば、材料が重すぎて浮力を得ることが難しい。ここで注目に値するのが、深海魚の浮き袋である。非特許文献2「Deep-Sea fishes」に開示されているように、深海魚の浮き袋の壁は頑丈なグアニン結晶で覆われ、浮き袋の内容物は気体ではなく脂肪やワックスであるという。とくに、はだかいわし類などの深海魚は餌を求めて深海と浅海の間を往復すると言われるから、毎日数百気圧に及び気圧変化を受けている。深海魚は自分の体だけを浮上させれば良い。しかし、本願発明のように水中移動構造体本体よりも重い重量物を浮上させるためには大きな体積の主浮力体(浮き袋)が必要である。深海魚に習うとすると、大きな主浮力体を満たすにはその体積に見合うだけの油脂が必要である。油脂の密度は約0.8から0.94と水(1.0)より軽いため、浮力剤として申し分ない。さらにこの油脂で満たされた主浮力体に水中移動構造体内部から油圧をかければ容易に水圧と平衡を取ることができる。しかし、残念ながら油脂など液体は体積を収縮させることはできない。これに反し、気体は圧縮して体積を縮小でき、縮小した形(浮力を小さくした状態)で降下することができる。このため、小型主浮力体ならば油脂を使うことが可能だが、本願発明のように水深が浅くなるに連れて主浮力体の容積を大きくして浮力増を狙う機能を有する大型主浮力体には使えない。従って、深海魚のように水深によって主浮力体の全内容物を気体から油脂に置換することはできない。しかし、主浮力体の内容物を深度によって油脂と気体とを使い分けたり、又は内容物を油脂と気体の混合体とすれば、深さに左右されない主浮力体内容物が可能に成る。これらに使用する油脂としては石油系鉱物油(密度0.8)やパラフィン(密度0.87-0.94)などが有望である。
主浮力体及び補助浮力体(蛇腹式風船)の材質は、水圧が高い深海においては、浮力体は頑強な殻を有することが常識である。しかし、主及び補助浮力体の内圧と水圧とが常に平衡が取れていれば、多くの材料が主及び補助浮力体として使える。例えば、水深5000mでは水圧は500気圧(517 kgf/cm2)であるから、この値を基準に材料の圧縮強度を見ると、ステンレス圧延板で4500 kgf/cm2、プラスチックス材料の圧縮強度は非特許文献3「プラスチック技術マニュアル/松谷守康著/理工学社」によると、ナイロン6:914kgf/cm2(30%ガラス繊維ナイロン6:1340 kgf/cm2)、硬質ポリ塩化ビニル:562〜914 kgf/cm2、メラニン樹脂:2810〜3160 kgf/cm2、ポリカーボネート:844 kgf/cm2、アクリル樹脂:844〜1270 kgf/cm2と多くの材料が水圧より高い。
請求項2に記載の発明は水中移動構造体(潜水艇)の浮力制御用電力、海底での掘削機や集鉱シャベルなどの駆動電力、あるいは洋上や陸上の作業用電力あるいは産業や生活用電源として必要とする電力を水中移動構造体が下降及び浮上する時に発生する流体エネルギーをスクリューで回転エネルギーに変換して発電機を回し電力を得る方法に関するものである。この発電装置は球状体あるいは楕円球体からなる保護容器に内蔵させて、これら保護容器の外周には等間隔に複数枚のフィンを取り付け保護容器自身の回転を抑制している。
一般に風力や水流などの流体から得られる回転エネルギー(W)は、受流体面積(A)、流体密度(ρ)、流速(V)とすると W=ρV3A/2 で与えられる。 空気の密度は1.2kg/m3 に対し、水の密度は1,025kg/cm3 であるため、風の流れを水の流れに変えれば854倍のエネルギーを得ることができる。このように、水の中での発電施設は風力発電に比べ、1艇あたりの発電量が854倍あり、建造費は少なく、稼働時間は24時間、しかも水面に近づくに連れて浮力が増大し、浮上速度が増加した分、発電量も大きくなる。一般に発電機は高速回転することにより発電量が上昇する。従って本発明の浮力・重力発電装置は、スクリューと増速ギアーが一体構造であり、水の密度も高いため、スクリューから得られるトルクも大きく、発電機を効率よく回転させることができる。
さらに、発電効率を上げ、かつスクリューによる水中移動構造体の動揺や回転のフリクションあるいは捩れを抑制するために、二重反転スクリューを用いている。このため、発電機も保護容器の中心部から上下垂直方向に配設した同軸回転軸を二重構造とし、夫々の回転軸が相互に反対方向に回転する同軸回転軸機構を有し、外筒の回転軸(固定子)と内筒の回転軸(回転子)が同軸であり、かつ、同軸回転軸が増速ギアーを介して二重反転スクリューと連動し、浮力あるいは重力に伴って発生する水の流れで生じる水圧により夫々の回転軸を相互に反対方向に回転させるために、外筒の回転軸(固定子)と接続させた複数枚のブレードからなるスクリューと内筒の回転軸の回転子と接続させたスクリューが水圧を受けるブレード面の取り付け角度を回転軸に対して夫々45度及び135度にし、かつ、複数枚のブレードを等間隔に配設することにより、外筒の回転軸の固定子と内筒の回転軸の回転子とが夫々に逆方向に回転させている。
請求項3に記載の発明は、請求項1記載の水中移動構造体が水中で浮力を得る手段に関するものである。
水面上に浮上若しくは前記被採掘重量物を採掘するのに必要とする機材の採掘地点へ沈降(潜行)法による搬送をさせるに必要とする潜行力及び浮力を得る主浮力体が蛇腹機構を有する2重管構造の浮き袋からなり、該浮き袋に充填されている浮力用ガスを潜行限界深度において重力(主浮力体の重量と水中移動体の重量と揚鉱物の重量)と浮力(主浮力体の容積と水中移動体の容積と揚鉱物の容積との総容積が排斥した水の重量)が均衡を保てる状態にするために、水面上で予め浮上物質の総重量と浮上物質の全容積が排斥する水の重量とが等値になるように主浮力体に圧入するガスを減圧し、浮力が僅かに総重量を超えない状態を維持させる量のガスを主浮力体内に残し、それ以外のガスは、コンプレッサーによりボンベに移し、潜行限界深度に到達した時点で、ボンベを開放し浮力用ガスを主浮力体(浮き袋)に移して浮上を開始させ、前記水中移動構造体の潜行限界深度は、被採掘重量物の回収地点における水圧及び水温で前記浮力用媒体ガスが臨界状態にならないガス種を予め選択し、該浮き袋内の浮力用媒体ガスは水中では浮力体(浮き袋)の容積を潜行時に前記コンプレッサーによる減圧手段により減少させ、浮上時には前記コンプレッサーによる増圧手段により、潜行限界深度への重量物の潜行(降下)による搬送及び被採掘重量物を水面上に浮上させる。
ここで注意することは、浮力用媒体ガスが潜行深度の温度と水圧で臨界状態に達し、液化してしまうことを防止しなければならない。若しガスが液化してしまえば、浮力が無くなり、浮上できなくなる。そこで潜行限界深度は、被採掘重量物の回収地点における水圧及び水温で前記浮力用媒体ガスが臨界状態にならないガス種を予め選択しておき(請求項4に記載)、潜行(下降)の時はその浮力用媒体ガスをコンプレッサーで減圧して主浮力体(浮き袋)の容積を減少させ、浮上時には前記コンプレッサーによる増圧手段により、潜行限界深度への重量物の沈降(潜行)による搬送及び被採掘重量物を水面上に浮上させる。
一般に潜水艦は浮上の時はタンクから艦外部に海水を吐き出して、軽くなって浮上する。ところが本願発明の水中移動構造体内部又は外部には液化ガス又は圧縮ガスを貯えるボンベが備えてあり、主浮力体に連結しており、浮上時は内部のボンベから気化したガス又は圧縮ガスを主浮力体に移動して、降下時に錘として用いた液化ガスあるいは圧縮ガスを浮力媒体ガスとして再利用する。これら液化ガスの沸点は、酸素で-183℃、二酸化炭素-78.5℃、窒素で-196℃、水素で-253℃であるが、深海底の水温が1.5℃だから、全てが沸点以上の環境にあるため温度だけから考えると全てのガスが自然に気化して高圧ガスになる。ただし、二酸化炭素は74気圧で液化してしまうため、740 mより浅い海域で使用すると言う限界があり、他のエアコンなどに使われている臨界温度が30℃以上の冷媒ガスはさらに臨界圧力が低いので潜行限界深度は浅くなる。しかし、臨界温度が1.5℃以上のガスは深さに関係なく使用できる。これらの液化ガスが気化して生成する気体の量は莫大である。液体酸素の密度は1.18 だから、容積1ccの液体酸素が気化して、気体に成ると、0℃ 1気圧で0.826 リッター だから体積が約826倍膨張したことに成る。 ドライアイスは密度が1.56だから、約795倍である。窒素は密度が0.81だから648倍である。水素は密度が0.071だから約795倍である。このように液化ガスを気化あるいはドライアイスを昇華させると、夫々体積が約800倍近く膨張するから浮力も800倍得られる。潜水艦が密度1.02の海水を吐き出しても浮力は約1倍であるのに比較すると、液化ガスを気化させて浮力に用いる方法が勝っているかがわかる。さらに、水深が深くなればなるほど浮力を大きくしなければならないため、ガスの量は大きくなる。例えば、深度5000m(水圧500気圧)の地点で、浮力1トン得るためのガスの重量は、酸素で約714kg、二酸化炭素で約981kg、空気で約647kg、窒素で約624kg、水素45kgである[M(g)(ガス1モル当たりの重さ)× 500(気圧)×1000(リッター)/22.4(リッター)≒22.3M(kg)]。水深4000mでは、酸素で570kg、二酸化炭素で785kg、空気で約647kg、窒素で499kg、水素で35.7kgを積載。水深2000mでは、酸素で285kg、二酸化炭素で392kg、窒素で250kg、水素で17.8kgを積載。水深1000mでは、酸素で143kg、二酸化炭素で196kg、窒素で125kg、水素で9kgを積載することになる。ただし二酸化炭素は水深740 m以内しか使用できないため、740 mにおいて、1トンの浮力を得るためには、280kgの二酸化炭素又はドライアイスを用いればよい。このように、同じ浮力を得る場合でも、ガスの種類によって、モル数は同じであるが、重量が大きく違ってくる。このため目的降下深度と経済性を考慮して浮力媒体ガスを決定する。そこで、ガスの種類による限界水深 [h(km)=224.2/M] を見積ると、酸素で7,000m、空気で7,730m、窒素で8,000m、水素で112,100m、二酸化炭素で740 mである。このように水深により浮力剤ガスを決定するため1,300m以上では液体酸素や液体空気を用い、5000m以上では液体窒素や液体水素を用いることが望ましい。また主及び補助浮力体に封入するガスは二酸化炭素やドライアイスの場合には、74気圧以上の圧力では昇華しないから、水深740 mを境にして自発的にガス発生を誘起させ、主及び補助浮力体として供することができる。すなわち740 m以下の水深での主浮力体として使うことは勿論のことであるが、それよりも水深の深い点で荷物の間に補助浮力体として連結しておけば、740 mで補助浮力体として働きを開始し、水面まで荷物を揚げる役割をする。あるいは、この補助浮力体を水深740 mの地点で別の浮上中の荷物に連結すれば輸送の効率があがる。又は、深海に存在する荷物をロープで繋いでおき、740 mから水面までの輸送手段として使うことができる。
ここで、海底に到達している水中移動構造体に重量物を牽引させ、浮上準備に取り掛かる。先ず、ボンベのコックを開き主浮力体にガスを圧入し、体積を膨張させながら、同時に水中移動構造体が浮上を開始したら、ボンベのコックを閉じる。その後は水中の水圧と主浮力体の内圧とが自然に平衡を保ちながら、主浮力体の体積を膨張させる。これにより、水深が浅くなるに連れて浮力が増大し、浮上速度が速くなり、主浮力体が水面に到達した時点で浮上が完了する。
請求項4に記載の発明は、主浮力体(浮き袋)内部に封入する浮力媒体物である浮力用ガス種の選択方法に関するものである。
海洋の資源回収には500 mから7000 mの深度の潜行が必要であり、浮力重力発電においても往復移動距離が長い方が発電効率が高い。一方、湖では、浮力重力発電のための往復移動距離が短いが、資源回収では特徴が出せないため浮力重力発電に特化すると考える。とくに日本の湖では、田沢湖が423.4 mと最も深い。
そこで、主浮力体に充填するガス種の選択は、海洋では深海底における臨界温度が2000m以上の海底温度では高々1.5℃であることから、水素、窒素、酸素、空気、メタン、一酸化炭素、アルゴン、ヘリウム、ネオン、キセノンなどから選択する。また、それらのガスの種類による限界水深 [h(km)=224.2/M] を見積ると、酸素で7,000m、空気で7,730m、窒素で8,000m、水素で112,100mである。
一方、水深が500 m以下の海洋や湖では、臨界温度が常温であるため臨界温度に関係なく、加圧のみで液化ができるため、エアコンや冷凍機に用いられている冷媒用ガスを用いることが望ましい。これらのガスとしては、フロン類のCFC(クロロ・フルオロ・カーボン)、HCFC(ハイドロ・クロロフルオロ・カーボン)、HFC(ハイドロ・フルオロ・カーボン)あるいはアンモニアガス(NH3)、二酸化炭素(CO2)、亜硫酸ガス(SO2)、六弗化硫黄(SF6)、プロパンガス、ブタンガス、四塩化炭素などが好適である。
尚、気体は臨界温度に達しない限り、いくら圧縮しても液化しないので、臨界温度が1.5℃以下の気体は、水面上で一旦コンプレッサーで断熱圧縮(加圧)した圧縮気体を一部断熱膨張(大気開放)して、温度を降下させれば、その時点で液化されるため、液化気体をボンベに蓄える方法で液化ガスを製造する。
請求項5に記載の発明は、水中移動構造体(潜水装置)を稼動するための主浮力体へのガスの封入及び排出に関するものである。深海底や湖底の鉱物資源を水上までの輸送手段として、潜行(降下)には水中移動構造体に付随したボンベに圧入した液化気体あるいは圧搾気体を錘として用い、浮上には錘として用いた液化ガスを気化あるいは圧搾空気を膨張させて、主浮力体に移行して、浮力を得る方式を採用する。
前記水中移動構造体(潜水装置)を稼動するに際して、潜行開始時には、主浮力体(浮き袋)内部に封入する大量の浮力媒体物である浮力用ガスをコンプレッサーで減圧して、主浮力体の容積を収縮させて
主浮力体と水中移動構造体及び牽引重量物との総重量と、これら物体が水を排斥する総重量釣り合う“浮力=0”に到達した後、浮力が僅かに総重量を超えない状態まで主浮力体にガスを残した状態まで吸引し、その吸引したガスを圧縮又は液化してボンベに移す。他方主浮力体に残留したガスのまま、潜行(降下)し、主浮力体の内圧と水中の水圧とが自然に均衡を取りながら主浮力体の容積は減少し続け、潜行速度を増しながら目的深度に到達する。この目的深度近傍でボンベを開き高圧ガスを主浮力体に圧入する。このガスの封入により主浮力体は水圧と均衡を維持しながら膨張し、浮上に足るだけの浮力が生じた時点でボンベを閉じ、浮上を開始する。この操作を繰り返すことにより、水中移動構造体は潜行浮上を繰り返し、海底や湖底の資源を揚鉱したり、浮力あるいは重力に伴って発生する水の流れで生じる水圧エネルギー(流体エネルギー)を回転エネルギーに変換して発電を行うために、水中移動構造体(潜水装置)が推進力を得るための稼動方法である。
主浮力体及び補助浮力体への初期ガス封入量は維持(固定)した状態で、深度と水圧の変化を利用して、外部エネルギー無しで、重量物を複数個数珠繋ぎの状態で、浮上させる方法に関するものである。ボイルシャルルの法則によると温度(T)において容器の体積(V)と容器内の気圧(P)の関係は P×V/T=一定 である。簡便のために海底と海面の温度及び海水の密度は一定として計算する。深度h1の海底における水圧はWh1、主及び補助浮力体の内圧はP h1とし、その時の主及び補助浮力体の容積をV h1とすると、海面h2における水圧Wh2=1(気圧)であり、主及び補助浮力体の内圧P h2=1(気圧)であるから、海面における主及び補助浮力体の容積はV h2=P h1×V h1=Wh1×V h1であるから、海面における主及び補助浮力体の容積(V h2)は海底における水圧(Wh1)倍となる。すなわち水深5000mで浮上開始する主浮力体は、海面では500倍の容積に成るから、浮力は500倍に成る。従って、計算上は500倍の重量の荷物を分割して揚荷することができる。実際には複数個の荷揚げ容器に回収物を分取させ、各単位毎の回収荷物は、複数個の荷揚げ用容器の下部に取り付けられたフックと牽引ロープの両端に取り付けてあるシャクルにより、夫々の籠または折りたたみ式容器を順次繋ぎ、先頭を水中移動構造体の船尾部分に取り付けたフックに繋ぎ、浮上を開始する。主浮力体内には液化ガスを気化させた浮力剤ガスを封入させ、浮上するに連れ外圧(水圧)減少分に相当する浮力が、主浮力体の容積膨張により増大し、その浮力の増加分に相当する重量物が順次牽引されて浮上する。ここでもし必要な時は、任意の位置に補助浮力体を連結すれば、水深1300mの地点を境として浮力が発生し、この補助浮力体が、浮上を助けるため、海面での荷揚げ作業が楽になる。
本発明による重量物の水中における降下及び浮上方法は、深海底や湖底の鉱物資源を水上までの輸送手段として、降下は水中移動構造体内のボンベに圧入した液化ガスを錘として用い、浮上は錘として用いた液化ガスを気化させて浮力剤として用い、海底と海面間を重力と浮力と水圧を利用して往復し、重量物の搬送を外部エネルギーの供給無しで行う。さらに、降下及び浮上時に発生する流体エネルギーで水流発電を行い、艇内施設の制御用電力、深海底での鉱物資源回収用電力、あるいは洋上や陸上での作業用電力として、自然環境の変化に左右されず、景観に悪影響もなく、建設工事も必要なく、しかも1年中24時間休むことなく発電できるため、経済効果大である。
水中移動構造体の概略図。(A)は外観図、(B) は内部構造図である(請求項1の説明図)。 搭載発電機が小型の荷物運搬用に特化した水中移動構造体の概略図である。(A)は降下時、(B)は浮上時を示す図である。 荷揚げ容器の形状と構造の概略図である。(A)は固体運搬用籠、(B)は液体物運搬用密閉容器を降下時に収縮させた状態図、(C)は液体物を回収途中の状態図、(D)は液体物が回収容器に満たされた状態図である。 水中移動構造体が重力により降下を開始し、海底又は目的深度で静止するまでの状態図である。(A)は降下準備、(B)は降下開始、(C)は降下中、(D)は降下完了を示す状態図である。 水中移動構造体が浮力により浮上を開始し、海面上又は目的深度で静止するまでの状態図である。(A)は浮上準備、(B)は浮上開始、(C)は浮上中、(D)は浮上完了を示す状態図である。 主浮力体の内圧が常に水圧と平衡を維持するための制御機構を示したフローチャートである(請求項5の説明図)。 主浮力体(折畳み風船)の中心部が空洞の浮力体構造図である。(A)は主浮力体の横断面図。(B)は体積を膨張させた状態図。(C)は体積を縮小させた状態図。(D)は主浮力体を伸縮・膨張させる駆動機構に主浮力体を取り付けた構造図である(請求項3の説明図)。 主浮力体(折畳み風船)多段提灯形状を成す浮力体の構造図である。(A)は最大限膨張させた時の縦断面図、(B)は体積を1/10に縮小させた時の縦断面図、(C)は体積を1/4に縮小させた時の縦断面図、(D)は体積を1/2に縮小させた時の縦断面図である。 主浮力体(折畳み風船)を水中移動構造体の船首に水平に配置した概念図である。(A)は主浮力体を膨張させた時(浮力による浮上時)の概念図、(B)は主浮力体を縮小させた時(重力による降下時)の概念図である。 ドライアイスを利用した補助浮力体の動作概念図である。(A)水圧130気圧以下、(B)は水圧130気圧以上の状態を示す図である。 複数個の重量物を珠繋ぎの状態で牽引浮上する状態図である。(A)は浮上開始時の状態図、(B)は浮上中の状態図、(C)は更に浮上が進んだ状態図、(D)は海面近くの状態図であり、補助浮力体を連結した概念図である。 水中移動構造体が浮上や降下で発生する流体エネルギーで発電する方法の概念図である。 水中移動構造体(潜水艇)の船尾に取り付けた二重反転プロペラを用いた水流発電を行う方法の概念図である(請求項1及び請求項2の説明図)。 二重反転スクリューを水中移動構造体(潜水艇)の船首と船尾に設備したであ発電装置の概略図である。 主浮力体あるいは補助浮力体に充填する浮力用ガスの臨界温度と臨界圧力を示す図である(請求項4の説明図)。
以下、本発明の効果的な実施の形態を図1〜15に基づいて詳細に説明する。
図1は水中移動構造体の概略図。(A)は外観図、(B) は内部構造図である(請求項1の説明図)。水中移動構造体1の船首の外部には主浮力体2と主浮力体を伸縮・膨張させる駆動機構3があり、水中移動構造体1の外壁には回転や揺れを抑制させ、姿勢安定を保持させ、発電用スクリュー5の回転が水中移動構造体本体と競合することを抑制するめに複数枚のフィン4を等角度で取り付け、更に船尾には発電装置に連動させたスクリュー5及び牽引機構6と荷物牽引用フック7を取り付けてあり、荷揚げ容器(籠)8に積まれた重量物9を牽引して浮上する。水中移動構造体1の外観が球状若しくは楕円状あるいは円筒形状の涙滴型、葉巻型、鯨型である。水中移動構造体1の内部には、水中移動構造体の浮上や降下を制御するための電力、海底からの採掘重量物の回収に必要な動力源としての電力及び洋上や陸上で電力を得るための発電装置(発電機)10が備えられている。本発明では水中移動構造体1の船首外部に取り付けられた浮力体を明確に区別するために主浮力体2と命名する。水中移動構造体船首外部には、水中を降下及び浮上に必要とする浮力を得るために、液化気体を気化させたガス又は圧搾気体によるガスを封入した、主浮力体2が備えられている。水中移動構造体1の船首の外部にある主浮力体2にガスを封入する手段として、水中移動構造体内の外殻と内殻の間には液化ガスやドライアイスあるいは圧縮ガスを入れるボンベ室11、内殻内部には油圧コンプレッサー室12、液化ガス製造装置室13、蓄電地室14、発電装置室(発電機)10を設備する。水中移動構造体1の内部のモーター15で、主浮力体2の容積を膨張、収縮させるための浮力機構3を駆動する。降下する時は、主浮力体2の容積を収縮させながら内部の浮力剤ガスを配管16で水中移動構造体内部の油圧コンプレッサー12に移送し、圧縮ガスとして又は液化ガス製造装置室13で液化した後、ガス出口17から出た液化ガス又は圧縮ガス18はボンベ室11に貯蔵される。そして浮上時には液化ガス又は圧縮ガス18は、主浮力体を伸縮・膨張させる駆動機構3により主浮力体2に圧入され、容積を膨張させながら浮力を増大させる。
本発明では、重力により降下する場合と、浮力により浮上する場合に発生する流体エネルギーを回転エネルギーに変えて発電する機構を有するが、そのために、水中移動構造体1の船尾には発電装置室(発電機)10が艇外部のスクリュー5に連動している。水中移動構造体1に搭載する発電機を大型と小型に分けて必要に応じて使い分けることもできる。発電機が小型の場合は、主浮力体駆動用モーター15の駆動用電源として蓄電池14を充電用に供し、海底や湖底と水面上を荷物の運搬のみに特化させる。一方、大型発電機を搭載した水中移動構造体は、水面と水底間を往復して発電に特化させることもできる。
水面から水深1300mの間の浮力体として、水中移動構造体から独立し、独自で浮力材ガスを供給する機構を有する補助浮力体を備えており、必要に応じて、荷物運搬の替え添え役として、あるいは1300mより浅い海面下での荷物運搬用に使うことができる。この補助浮力体にはドライアイスが封入されており、深さが1300mより浅い位置(130気圧より低圧)に到達したら自発的にドライアイスが昇華して二酸化炭素が生成され、補助浮力体に封入されるようになっている。
図2は搭載発電機が小型の荷物運搬用に特化した水中移動構造体の概略図である。(A)は降下時、(B)は浮上時を示す図である。水中移動構造体1が図1の水中移動構造体1との違いは、艇の形状が球状であることと、発電室10の発電機が小型であることで、重量物運搬用に特化した水中移動構造体で、艇内部の発電機10は水中移動構造体の降下・浮上を制御する電力を供給するための蓄電池14の充電用に特化している。(A)は水中移動構造体1が重力で降下している状態を示す図で、主浮力体(折畳み風船)2を主浮力体を伸縮・膨張させる駆動機構3で収縮させ、内部の気体を全て液化又は圧縮してボンベ室11に液化ガス又は圧縮ガス18として格納した状態を示す。(B)は水中移動構造体1が浮上下している状態を示す図で、主浮力体(折畳み風船)2を主浮力体を伸縮・膨張させる駆動機構3で膨張させ、水中移動構造体1の内部の液化ガス又は圧縮ガス18を吐き出し、主浮力体(折畳み風船)2を膨張させた状態を示す。海底や湖底から重量物9を運搬するにはフック7に荷揚げ容器8を牽引するが、その荷物を固体と液体に分離して運ぶ必要がある。
図3は荷揚げ容器の形状と構造の概略図である。(A)は固体運搬用籠、(B)は液体物運搬用密閉容器を降下時に収縮させた状態図、(C)は液体物を回収途中の状態図、(D)は液体物が回収容器に満たされた状態図である。(A)は深海底や深湖底で回収した鉱物資源、埋没遺跡物、沈没船、あるいは海底に運ぶ掘削器具、集鉱装置、回収した鉱物のかすとしての廃棄物など重量物(固体)9を運搬するための籠8である。(B)、(C)、(D)は湧出原油、深層水又は汚泥物などの液体物については密閉型荷揚げ容器である。この密閉容器19は、浮力を極力少なくし、降下時は重力だけで海底に運び、海底では密閉容器19容器に液体回収物を回収するために流体回収物吸入口のバルブ20を開き、同時に容器収縮・拡大用モーター21で密閉容器収縮・拡張駆動機構22を駆動する。そして、液体回収物を満載した後、浮上させる。そこで密閉容器を折畳み容器構造とし、畳んだ状態(B)で水底に運搬し、水底で容器を拡大しながら目的の液体物を挿入(C,D)する方式を採用する。
図4は、水中移動構造体が重力により降下を開始し、海底又は目的深度で静止するまでの状態図である。(A)は降下準備、(B)は降下開始、(C)は降下中、(D)は降下完了を示す状態図である。一般に、潜水艦は、降下の際に艦内のタンクに錘として密度1.02の海水を外部から採りいれる。ところが、本願発明では、水中移動構造体1の外部に付属する主浮力体2及び重量物9(海底に運ぶ物資)を含めた総重量が全体の排水量より重く設定してあり、潜水艦のように外部から海水を取り入れることは行わない。先ず、降下準備(A)として、水中移動構造体1の船尾の荷揚げ容器(籠)8に、海底で作業するための掘削機材や集鉱機材あるいは海底に廃棄する物質を重量物9として搭載して補助錘として、牽引機構6に連結する。(B)では、水中移動構造体1の船首の外部に取り付けた主浮力体(蛇腹構造の折畳み風船)2を、水中移動構造体1内部のモーター15により、主浮力体伸縮・駆動機構3により駆動し、主浮力体内のガスを吸引して圧縮するコンプレサー12、圧縮したガスを断熱膨張して液化する液化ガス製造装置13などで製造した液化ガス又は圧縮ガス18をボンベ11に貯蔵する。これにより浮力が小さくなり水中移動構造体1は降下を開始する。(C)では降下が開始された時点で主浮力体2内部から水中移動構造体内のコンプレッサー12へのガス移行を中止する。そして、これ以降は主浮力体を伸縮・膨張させる駆動機構3を収縮させながら主浮力体内部のガス圧と水圧との平衡を保ちながら降下する。(D)では、目的到達水深近くになった時点で、主浮力体2を膨張に転じさせるために、主浮力体を伸縮・膨張させる駆動機構3を動かし、主浮力体(折畳み風船)2の内圧と水圧との平衡を保ちながら膨張させて水中移動構造体を静止させる。
図5は、水中移動構造体が浮力により浮上を開始し、海面上又は目的深度で静止するまでの状態図である。(A)は浮上準備、(B)は浮上開始、(C)は浮上中、(D)は浮上完了を示す状態図である。一般に潜水艦は浮上の時はタンクから艦外部に海水を吐き出して、軽くなって浮上する。それに反し、本願発明の水中移動構造体1は艇内部のボンベ11に貯蔵してある液化ガス又は圧縮ガス18を、艇外部に連結した主浮力体2に移動して、降下時に錘として用いた液化ガスあるいは圧縮ガスを浮力剤として再利用する。先ず、浮上準備(A)として、水中移動構造体1の船尾の荷揚げ容器(籠)8に、海底で採取した鉱物資源や他の採取物など重量物9を搭載して、牽引機構6に連結する。(B)では、浮上を開始するために、主浮力体を伸縮・膨張させる機構3を駆動して、主浮力体2の体積を膨張させながら、同時に水中移動構造体内部のボンベ11のコックを開き主浮力体2にガスを圧入し、水中移動構造体が浮上を開始したら、水中移動構造体内部のボンベのコックを閉じ、水中移動構造体1は浮上を開始する。
(C)では浮上が開始したら、以後は主浮力体を伸縮・膨張させる駆動機構3を駆動して主浮力体2の内圧と水圧とが平衡を保ちながら、主浮力体の体積を膨張させる。これにより、水深が浅くなるに連れて浮力が増大し、浮上速度が速くなる。
(D)では、海上又は目的到達深度近くになった時点で、水中移動構造体1の船首の外部に取り付けた主浮力体(蛇腹構造の折畳み風船)2を主浮力体伸縮・駆動機構3により駆動し、主浮力体2内のガスを吸引して圧縮するコンプレサー12、圧縮したガスを断熱膨張して液化する液化ガス製造装置13などで製造した液化ガス又は圧縮ガス18をボンベ11に貯蔵する。これにより浮力が小さくなり水中移動構造体1は浮上を停止する。水中移動構造体1の船尾の牽引機構6に連結し、浮上させた重量物9は海上の作業船のクレーで回収する。
図6は主浮力体の内圧が常に水圧と平衡を維持するための制御機構を示したフローチャートである(請求項5の説明図)。本発明で最も重要なことは主浮力体の内圧と外圧(水圧)を如何なる場合でも如何なる場所でも平衡を維持させることである。この平衡を維持させる手段として、機械的手段と電気的手段が考えられる。機械的手段は、電気回路のような判断部が無いため連動動作が容易で、とくに内圧と水圧比較は1:1の対応が取れる。一般に圧力制御弁はパイロットポペットをパイロットばねで押して(ネジ込みハンドルで回転して)ガスの出し入れを調整している。本発明ではパイロットばねを、シリンダー棒を介して、水圧で押す構造であるため、直接水圧とガス圧を制御できる。一方電気式制御装置は水圧と浮力の内圧をセンサーで検知し、比較回路で圧力の大小を判別するため、その出力信号を電流増幅して電磁弁やモーターを正転又は逆転させることにより早い応答を行っている。 これら主浮力体の内圧と外圧(水圧)とを平衡に保ちながら、先ず、水中移動構造体が降下を開始(潜水開始)するために、主浮力体の容積を収縮し、水中移動構造体の総重量が浮力を上回るまで浮力体内のガスを水中移動構造体内のボンベに移行し続ける。同時に主浮力体の内圧と外圧(水圧)とを比較し、内圧が外圧(水圧)より大きい場合は、主浮力体の容積を収縮し、浮力体内のガスを水中移動構造体内のボンベに移行する行程を繰り返して行う。一方、内圧より外圧(水圧)の方が小さい場合には水中移動構造体内のボンベから主浮力体内にガスを移行し、再度内圧と外圧(水圧)を比較して、目的深度に到達するまでこの操作を繰り返す。ただし主浮力体の破壊限界を考慮して、便宜上、内圧と外圧の許容範囲は5%内外とすることが望ましい。水中移動構造体が目的深度に到達したら、水中移動構造体内のボンベから浮力体にガスを圧入し、内圧と水圧を等圧に維持しながら、浮力体の容積を水中移動構造体の排水量を僅かに(1〜5%)超えるまで膨張させる。すなわち浮力が重力を超えるまで(静止状態から浮上に転ずるまで)この動作を繰り返す。この時点で、水中移動構造体内のボンベを閉じて浮力体へのガス供給を停止し、浮上へのステップに転換する。
浮上によって、海底から海面に、複数個の重量物を多量に運搬することが可能なことが、本発明の特徴である。主浮力体の深度が浅くなるに連れて、水圧も下がる(10m上昇すると1気圧下がる)。若しここで、主浮力体の体積を固定したまま浮上を続ければ内圧は増大する。ところが本発明では浮力体内のガスの分量は固定したままの状態で、主浮力体の内圧と水圧を平衡(等圧)に維持しているため、必然的に主浮力体の容積は拡大し、その拡大分だけ浮力が増大する。従って、浮上開始直後、前行程で主浮力体に充填されたガス量を維持したまま(水中移動構造体内部からのガスの供給は停止されたまま)、主浮力体の内圧と外圧(水圧)を等圧に調整しながら(許容範囲は5%内外)、浮力体の容積を膨張させて浮上を行う。ここで主浮力体の内圧と外圧(水圧)とが許容範囲(許容範囲は5%内外)に至らず、内圧が外圧(水圧)以上の時は主浮力体の容積を膨張させ、内圧が外圧(水圧)以下の時は主浮力体の容積を縮小して、内圧と外圧(水圧)を許容範囲(5%内外)に収斂させて浮上を続け、水面又は予定深さに到達した時点で、再度降下準備に取りかかる。
図7は主浮力体(折畳み風船)の中心部が空洞の浮力体構造図である(請求項3の説明図)。(A)は主浮力体の横断面図。(B)は体積を膨張させた状態図。(C)は体積を縮小させた状態図。(D)は主浮力体を伸縮・膨張させる駆動機構に主浮力体を取り付けた構造図である。主浮力体はドーナツ状の浮力体が縦方向に連結した一体構造に成っている(A,B)。この主浮力体2を上下2枚の円形の押さえ板23で挟み、回転伸縮ネジ24をモーター15で回転して収縮又は膨張を行う。 収縮の時は2枚の押さえ板23を接近させ、同時に主浮力体のガスを配管16から吐き出しながら主浮力体2を収縮させて、水中移動構造体を降下体勢にする。他方、浮上の時は、体積を縮小させた(C)の状態で、内圧と外圧(水圧)を等圧にして配管16からのガスの供給を止め、浮上を開始する。ここで、浮上が開始されると、深度が浅く成り、それに連れて外圧(水圧)が減少するため、その減少分だけ、回転伸縮ネジ24を緩め、主浮力体2の体積を膨張させる。この操作により、水深が浅くなるに連れて浮力が増大する。
図8は主浮力体(折畳み風船)多段提灯形状を成す浮力体の構造図である。(A)は最大限膨張させた時の縦断面図、(B)は体積を1/10に縮小させた時の縦断面図、(C)は体積を1/4に縮小させた時の縦断面図、(D)は体積を1/2に縮小させた時の縦断面図である。この多段提灯形状の主浮力体は上下に2枚の押さえ板23で挟んであるが、上部の押さえ板23を、ワイヤー25(主浮力体2の内部に)により下方に(矢印の方向に)引っ張ることにより上下の押さえ板23間を縮めることにより体積を縮小させる構造であり、主浮力体を軽量化できることが特徴である。
図9は主浮力体(折畳み風船)を水中移動構造体の船首に水平に配置した概念図である。(A)は主浮力体を膨張させた時(浮力による浮上時)の概念図、(B)は主浮力体を縮小させた時(重力による降下時)の概念図である。この方式は、主浮力体が安定しないため、主浮力体の要所要所にロープを取り付け、これら複数本のロープを水中移動構造体の船首部で留め、主浮力体が水中移動構造体を牽引する。
図10はドライアイスを利用した補助浮力体の動作概念図である。(A)水圧74気圧以下、(B)は水圧74気圧以上の状態を示す図である。補助浮力体26に封入する浮力剤はドライアイス27である。(A)に示すように、ドライアイスは74気圧以上の圧力では昇華しないから、水深740 mよりも深い深度では浮力体としての役割を示さない。しかし、740 mより水深が浅くなると、(B)に示すように、水圧が74気圧以下に成るため、740 mを境にして、ドライアイス27は二酸化炭素(昇華したドライアイス)28になり、浮力体29を膨張させて、補助浮力体26として効果を発揮する。 この補助浮力体26を、(A)で示すように、深海で荷物の間に補助浮力体として連結しておけば、740 mで補助浮力体として働きを開始し、水面まで荷物を揚げる役割をする。あるいは、この補助浮力体を水深740 mの地点で別の浮上中の荷物に連結すれば輸送の効率があがる。又は、深海に存在する荷物をロープ30で繋いでおき、740 mから水面までの輸送手段として使うことができる。このように補助浮力体26として使うことは勿論のことであるが、水深1300m以下の海域では主浮力体として使うこともできる。
図11は複数個の重量物を珠繋ぎの状態で牽引浮上する状態図である。(A)は浮上開始時の状態図、(B)は浮上中の状態図、(C)は更に浮上が進んだ状態図、(D)は海面近くの状態図であり、補助浮力体を連結した概念図である。
本発明は深海で主浮力体2に圧入したガス量は増減させず、主浮力体2の内圧と外圧(水圧)を一定に保つだけで(すなわち水深が浅くなるに従い水圧が減圧する分だけ主浮力体2の体積を増大させる)、浮力を増大させることができる。従って、例えば水深5000mで浮上開始する主浮力体2は、海面では500倍の容積に成るから、浮力は500倍に成る。この浮力と水圧の関係を利用して、計算上では500倍の重量の荷物を分割して揚荷することができる。実際には、複数個の荷揚げ用容器の下部に取り付けられたフック7と牽引ロープ30の両端に取り付けてあるシャクルにより、夫々の籠または折りたたみ式容器8を順次繋ぎ、先頭を水中移動構造体1の船尾部分に取り付けたフック7に繋ぎ、浮上を開始する。主浮力体2内には液化ガスを気化させた浮力剤ガスを封入させ、浮上するに連れ外圧(水圧)減少分に相当する浮力が、主浮力体2の容積膨張により増大し、その浮力の増加分に相当する重量物9が順次牽引されて浮上する。ここでもし必要な時は、任意の位置に補助浮力体26を連結すれば、水深1300mの地点を境として浮力が発生し、この補助浮力体が、浮上を助けるため、海面での荷揚げ作業が楽になる。
図12は水中移動構造体が浮上や降下で発生する流体エネルギーで発電する方法の概念図である。 水中移動構造体1が降下及び浮上する時に発生する流体エネルギーをスクリュー5で回転エネルギーに変換し、これを増速ギアー41で高速回転を得て発電機10を回転させ電力を得る。特に水中移動構造体1がスクリュー5と同じ方向に回転すると、回転トルクは打ち消される。又お互いの回転が反対方向ならば回転トルクは2倍になり発電効率は上がる。しかし牽引重量物9や送電ケーブル42などをねじることに成りトラブルの原因になる。そこで本発明では水中移動構造体1の外壁に等角度でフィン4を取り付け、水中移動構造体の回転や揺れを抑制させている。更に、本発明の特徴は、水面に近づくに連れて浮力が増大し、浮上速度が増加した分だけ発電量も大きくなることである。 ここで得られた電力は送電ケーブル42により浮き輪43を中継して、深海底又は深湖底で回収物採取用の動力源となる電力を得ると同時に、水中移動構造体内部の蓄電池に蓄える電力や駆動用機器の駆動電力に供し、更に、余剰電力は送電ケーブル42によりは洋上や陸上での電源として供される。
図13は水中移動構造体(潜水艇)の船尾に取り付けた二重反転プロペラを用い水流発電を行う方法の概念図である(請求項1及び請求項2の説明図)。(A)は潜行時、(B)浮上時を示す。
電力を水中移動構造体が下降(図A)及び浮上(図B)する時に発生する流体エネルギーを二重反転スクリューで回転エネルギーに変換して発電機を回し電力を得る方法に関するものである。この発電装置10は球状体あるいは楕円球体からなる保護容器44に内蔵させて、これら保護容器44の外周には等間隔に複数枚のフィン4を取り付け保護容器自身の回転を抑制している。さらに、発電機の回転体の軸を発電機10を収納させた保護装置44上部の中心延長線上に垂直に固着された円筒柱スライダー48を設けて前記主浮力体を支持させ、かつ、主浮力体の容積を増減させるために伸縮自在で断面形状が前記中空円状(ドーナツ形状)である複数個の蛇腹、折り畳み風船若しくは複数個の(浮き袋)を積層し、内部には浮力媒体ガスを予め封入した主浮力体若しくは非常時に稼動させる補助浮力体を具備し、かつ、該主浮力体を垂直方向に滑らかにガイドさせる機能を有する前記円筒柱スライダー48内部には浮力媒体ガスを圧縮するためのコンプレッサー12及び圧縮したガスや液化気体を貯蔵するためのボンベ11を内蔵させ、該主浮力体には浮力媒体ガスとして冷媒若しくは液化気体の中から好適に選ばれた浮力媒体ガス種を封入させ、封入されたガスの内圧を水圧と等圧に制御する機構により垂直方向に移動する推力を獲得している。さらに、発電効率を上げ、かつ二重反転スクリュー45による水中移動構造体1の動揺や回転のフリクションあるいは捩れを抑制するために、二重反転スクリュー45を用いている。このため、発電機10も保護容器44の中心部から上下垂直方向に配設した同軸回転軸を二重構造とし、夫々の回転軸が相互に反対方向に回転する同軸回転軸機構を有し、外筒の回転軸(固定子46)と内筒の回転軸(回転子47)が同軸であり、かつ、同軸回転軸が増速ギアー41を介して二重反転スクリュー45と連動し、浮力あるいは重力に伴って発生する水の流れで生じる水圧により夫々の回転軸を相互に反対方向に回転させるために、外筒の回転軸(固定子46)と接続させた複数枚のブレードからなる二重反転スクリュー45と内筒の回転軸の回転子47と接続させた二重反転スクリュー45が水圧を受けるブレード面の取り付け角度を回転軸に対して夫々45度及び135度にし、かつ、複数枚のブレードを等間隔に配設することにより、外筒の回転軸の固定子46と内筒の回転軸の回転子47とが夫々に逆方向に回転させている。夫々の相対回転により等倍以上の電力を得ることが可能である。
図14は二重反転スクリューを水中移動構造体(潜水艇)の船首と船尾に設備した発電装置の概略図である。 二重反転スクリュー45を水中移動構造体であり保護容器44の上下に備えた発電装置である。
図15は主浮力体あるいは補助浮力体に充填する浮力用ガスの臨界温度と臨界圧力を示す図である(請求項4の説明図)。
気体をそれ以下の温度において圧縮すれば液化する限界温度が臨界温度である。臨界温度のもとで気体を液化するのに要する圧力が臨海圧である。
一般に気体は臨界温度以下にしない限り、圧力をどれほど増しても液化できない。本願発明においては、水中移動構造体(潜水艇)はボンベに圧入した液化気体を錘として水中を潜行(降下)し、浮上には錘として用いた液化ガスを気化させ、浮力体に移行して上昇する。ただし、海底温度は1.5℃以上である。 そこで、主浮力体に充填するガスで、臨界温度が1.5℃以下のガス(気体)は、酸素(-118.8℃、50.4気圧)、空気(-132.5℃、37.7気圧)、窒素(-147.2℃、34気圧)、アルゴン(-122.4℃、48.7気圧)、水素(-239.9℃、12.9気圧)、ヘリウム(-267.9℃、2.3気圧)などがある。しかしこれらのガスを液化するには極低温雰囲気を必要とする。これらのガスは比較的低い圧力で液化できるが、雰囲気温度を下げる手段として、コンプレッサーで断熱圧縮(加圧)した圧縮気体を一部断熱膨張(大気開放)して、温度を降下させて液化させる。
一方、常温で圧縮すると液化するガスは、クーラー用冷媒ガスとして普及している。これらのガスの臨界圧力は高いが、臨界温度は常温以上のものが多い。たとえば、二酸化炭素(31℃、74気圧)、六フッ化硫黄(45.7℃、45.7気圧)、プロパンガス(96.8℃、42.5気圧)、フロンガスF-22(98℃、49.2気圧)、フロンガスF-12(112℃、41.3気圧)、アンモニアガス(132℃、112.8気圧)、ブタンガス(152℃、38.6気圧)、亜硫酸ガス(157℃、78.8気圧)、代替フロンHFC−134a(臨界温度102℃、飽和蒸気圧は25℃で6.7気圧、80℃で26.3気圧)などがある。従って、これら冷媒用ガスは常温で圧力さえ与えれば液化する。ただし、海底は深海でも温度は1.5℃以上であるため、水圧でガスが液化することが考えられる。若し主浮力体内のガスが液化してしまうと、容積が減ずるため、浮力が得られず、水中移動構造体は永久に浮上できないので、浮力用媒質ガスの選択には臨界温度と臨界圧力を考慮しなければならない。
我が国の排他的経済水域内の海底や海底の地盤中にはマンガン団塊、マンガンクラスト、海底熱水鉱床などの未掘削の鉱物資源が豊富に存在すると言う調査結果が出ているが、水圧が高いことが原因で開発は全く進んでいないのが現状である。この原因は、掘削や集鉱に必要な電力と洋上までの輸送が困難なことが一因であると考えられる。そこで、本発明では、深海底における水圧と浮力を積極的に利用して、これら2つの課題を解決する手段を見出した。すなわち、深海底の鉱物資源を洋上まで輸送する手段として、水中移動構造体内のボンベに圧入した液化ガスを錘として海底に降下し、錘として用いた液化ガスを気化させて浮力剤として利用して浮上させることにより、外部から一切のエネルギー供給を無くし、重力と浮力と水圧のみで海底と海面間を往復することを可能にした。更に、降下及び浮上時に発生する流体エネルギーで水流発電を行い、水中移動構造体内での制御用電力、深海底での鉱物資源回収用電力、あるいは洋上や陸上での作業用電力として活用できる。 この浮力・重力発電は、自然環境の変化に左右されず、景観に悪影響もなく、建設工事も必要なく、しかも1年中24時間休むことなく発電できる発電システムである。これらの発電と輸送とを一度に解決する本発明は、世界的資源の枯渇と資源高騰あるいはこれに伴う資源供給国の新規台頭や国際社会に影響力を拡大させている現況を沈静化させることは勿論のこと、無尽蔵にある海洋資源及びクリーンで再生可能な自然エネルギーを使って、化石燃料の代替エネルギー源を確保することは、四面を海に囲まれた我が国の産業にとっても地球環境上、更には経済的にも重要な手段になり得ると考える。
1 水中移動構造体
2 主浮力体
3 主浮力体を伸縮・膨張させる駆動機構
4 フィン
5 スクリュー
6 牽引機構
7 フック(荷物牽引用)
8 荷揚げ容器(籠)
9 重量物
10 発電装置(発電機)
11 ボンベ室
12 油圧コンプレッサー室
13 液化ガス製造装置室
14 蓄電地室
15 モーター
16 配管
17 ガス出口
18 液化ガス又は圧縮ガス
19 密閉容器
20 流体回収物吸入口のバルブ
21 容器収縮・拡大用モーター
22 密閉容器収縮・拡張駆動機構
23 押さえ板
24 回転伸縮ネジ
25 ワイヤー
26 補助浮力体
27 ドライアイス
28 二酸化炭素(昇華したドライアイス)
29 浮力体
30 ロープ
31 封筒型浮力体(風船)
32 液化気体用耐圧ボンベ(バルブ付)
33 封筒型浮力体を巻き取りにより伸縮・膨張させる駆動機構
34 真空状態の封筒型浮力体
35 気体遮断用棒状バルブ
36 球主球状浮力体
37 球状浮力体
38 第1バルブ
39 第2バルブ
40 配管
41 増速ギアー
42 送電ケーブル
43 浮き輪
44 保護容器
45 二重反転スクリュー
46 固定子
47 回転子
48 円筒柱スライダー

Claims (5)

  1. 深海底又は深湖底から鉱物資源、埋没遺跡物、沈没船、堆積物、瓦礫、汚染物、湧出原油、深層水又は汚泥物である被採掘重量物を採掘若しくは回収し、かつ、該被採掘重量物を水面上に荷揚げさせる手段において、前記被採掘重量物を採掘するに必要とする機材の採掘地点への重力による搬送手段及び前記被採掘重量物の回収に必要とする動力源としての電力を獲得する発電手段及び/又は前記被採掘重量物を水面上に浮上させるに必要とする浮力を得る手段として、断面形状が中空円である主浮力体を具備させ、水面から水底方向に対し上下垂直方向に往復運動をすることを特徴とする水中移動構造体(潜水装置)において、浮力を生み出すために、前記発電手段で起電力を得る発電機の回転体の軸を発電機を収納させた保護装置上部の中心延長線上に垂直に固着された円筒柱を設けて前記主浮力体を支持させ、かつ、主浮力体の容積を増減させるために伸縮自在で断面形状が前記中空円状(ドーナツ形状)である複数個の蛇腹、折り畳み風船若しくは複数個の(浮き袋)を積層し、内部には浮力媒体ガスを予め封入した主浮力体若しくは非常時に稼動させる補助浮力体を具備し、かつ、該主浮力体を垂直方向に滑らかにガイドさせる機能を有する前記円筒柱内部には浮力媒体ガスを圧縮するためのコンプレッサー及び圧縮したガスや液化気体を貯蔵するためのボンベを内蔵させ、該主浮力体には浮力媒体ガスとして冷媒若しくは液化気体の中から好適に選ばれた浮力媒体ガス種を封入させ、封入されたガスの内圧を水圧と等圧に制御する機構により垂直方向に移動する推力を獲得し、かつ、前記発電機の回転体の軸に同軸回転軸機構を具備させ、夫々の同軸回転軸が相互に反対方向に回転することにより起電力を得ることを特徴とする水中移動構造体(潜水装置)。
  2. 請求項1記載の水中移動構造体において、起電力を得る発電機を球状体若しくは楕円球体からなる保護容器に内蔵させ、該保護容器の外周には等間隔に複数枚のフィンを取り付け、該保護容器の中心部から上下垂直方向に配設した同軸回転軸が二重構造からなり、夫々の回転軸が相互に反対方向に回転する同軸回転軸機構を有する発電機において、前記同軸回転軸の外筒の回転軸(固定子)と内筒の回転軸(回転子)が同軸であり、かつ、同軸回転軸が増速ギアーを介して二重反転スクリューと連動させ、前記水中移動構造体が垂直方向に移動する際に、浮力あるいは重力(自重)に伴って発生する水(流体)の流れで生じる水圧により夫々の回転軸を相互に反対方向に回転させるために、反対方向に回転するスクリューが任意の組合わせ対で、かつ、前記同軸回転軸の任意の位置の外筒の回転軸(固定子)と内筒の回転軸の回転子とに接続させた複数枚のブレードからなるスクリューの水圧を受けるブレード面の取り付け角度を回転軸に対して夫々45度及び135度にし、かつ、複数枚のブレードを等間隔に配設することにより、外筒の回転軸の固定子と内筒の回転軸の回転子とが夫々に反対方向に回転させる同軸回転軸により発電効率を上げ、かつ、水中移動構造体の動揺や回転を抑制することを特徴とする請求項1記載の水中移動構造体(潜水装置)における発電装置。
  3. 請求項1記載の水中移動構造体において、水面上に浮上若しくは前記被採掘重量物を採掘するのに必要とする機材の採掘地点へ潜行(降下)法による搬送をさせるに必要とする潜行力及び浮力を得る浮力体が蛇腹機構を有する2重管構造の浮き袋からなり、該浮き袋に充填されている浮力用ガスを潜行限界深度において重力と浮力が均衡を保てる状態にするために、水面上で予め浮上物質の総重量と浮上物質の全容積が排斥する水の重量とが等値になるように主浮力体に圧入するガスを減圧し、浮力が僅かに総重量を超えない状態を維持させる量のガスを残し、それ以外のガスは、前記コンプレッサーにより前記ボンベに移し、潜行限界深度に到達した時点で該浮力用ガスを該ボンベから該浮き袋に移して浮上を開始させ、前記水中移動構造体の潜行限界深度は、被採掘重量物の回収地点における水圧及び水温で前記浮力用媒体ガスが臨界状態にならないガス種を予め選択し、該浮き袋内の浮力用媒体ガスは水中では浮力体(浮き袋)の容積を潜行時に前記コンプレッサーによる減圧手段により減少させ、浮上時には前記コンプレッサーによる増圧手段により、潜行限界深度への重量物の潜行(降下)による搬送及び被採掘重量物を水面上に浮上させることを特徴とする請求項1記載の水中移動構造体における浮力体が潜行力及び浮力を獲得する方法。
  4. 請求項1及び請求項3記載の浮力体(浮き袋)内部に封入する浮力媒体物である浮力用ガス種を選択し、好適に用いる際に、海水面の温度が30℃を基準にし、水深が500m以内では、ガス種の臨界温度が水面温度以上の温度の場合は、気体であるアンモニアガス(NH3),二酸化炭素(CO2),亜硫酸ガス(SO2),SF6,プロパンガス、ブタンガス、フロン類のCFC(クロロ・フルオロ・カーボン)、HCFC(ハイドロ・クロロフルオロ・カーボン)、HFC(ハイドロ・フルオロ・カーボン)、又は四塩化炭素などから選ばれた1種を好適に選択し、水深が500m以上で用いる場合は、冷媒用ガスは水面下の任意の深度における水温で飽和蒸気圧に達する水中深度を潜行限界深度とし(水面近傍で該冷媒用ガスの一部を圧縮して液化させ又は圧縮ガスとしてボンベ室に格納)、深海底における臨界温度が1.5℃(2000m以上の海底温度は1.5℃と不変)以下の気体としては、水素、窒素、酸素、空気、メタン、一酸化炭素、アルゴン、ヘリウム、ネオン、キセノンなどから選ばれた1種を好適に選択することを特徴とする請求項1及び請求項3記載の浮力体に封入する浮力媒体物である浮力媒体ガスの選択方法。
  5. 前記水中移動構造体(潜水装置)を稼動するに際して、潜行開始時には、浮力体(浮き袋)内部に封入する浮力媒体物である浮力用ガスの一部をボンベに移行させ、浮力体内の容積を収縮させて潜行させ、潜行限界深度に到達した時点で水圧と浮力体の内圧を等値に設定して平衡状態を保持させ、浮上開始時には、浮力媒体物である浮力用ガスの一部をボンベから浮力体に移行させることにより、浮力体の内圧を水圧より増圧させることにより浮力体の容積を膨張させて浮上させることを特徴とする請求項1、請求項3及び請求項4記載の水中移動構造体(潜水装置)が推進力を得るための稼動方法。




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