JPH06344979A - 曳航式海中溶存物質観測ロボット - Google Patents

曳航式海中溶存物質観測ロボット

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JPH06344979A
JPH06344979A JP5134841A JP13484193A JPH06344979A JP H06344979 A JPH06344979 A JP H06344979A JP 5134841 A JP5134841 A JP 5134841A JP 13484193 A JP13484193 A JP 13484193A JP H06344979 A JPH06344979 A JP H06344979A
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observation robot
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亘 小寺山
Masahiko Nakamura
昌彦 中村
Masaki Takematsu
正樹 竹松
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    • G10MUSICAL INSTRUMENTS; ACOUSTICS
    • G10KSOUND-PRODUCING DEVICES; METHODS OR DEVICES FOR PROTECTING AGAINST, OR FOR DAMPING, NOISE OR OTHER ACOUSTIC WAVES IN GENERAL; ACOUSTICS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • G10K2210/00Details of active noise control [ANC] covered by G10K11/178 but not provided for in any of its subgroups
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Abstract

(57)【要約】 【目的】広い海域の海中溶存物質を時間的および空間的
に連続して計測することができる曳航式海中溶存物質観
測ロボットを提供する。 【構成】曳航ケーブル20を介して観測母船1により曳
航される観測ロボット本体11に超音波流速計60およ
び海中溶存物質分析装置50を搭載し、この観測ロボッ
ト本体に水平主翼12と、左右の水平尾翼13a,13
bを設け、深度指示装置30からの指令を受けて上記水
平尾翼を制御して観測ロボットの深度を維持し、ロボッ
ト本体の横傾斜および縦傾斜に応じて水平尾翼を制御し
て観測ロボット本体横傾斜および縦傾斜を制御するよう
にした。 【作用】ロボット本体の横傾斜や縦傾斜を水平主翼と左
右の水平尾翼とで制御するので、高速で曳航しても観測
ロボットの姿勢が安定し、超音波流速計や海中溶存物質
分析装置を搭載して高精度な測定が可能になる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、海洋の観測に必要な計
測器を観測ロボット本体に搭載し、この観測ロボット本
体を観測母船により曳航して海中を潜航させることによ
り上記計測器によって海洋の物理・化学特性を観測する
曳航式海中溶存物質観測ロボットに関する。
【0002】
【従来の技術】地球環境に及ぼす海洋の役割は一般に信
じられているよりもはるかに大きく、例えば地球温暖化
問題に大きな影響を持つ炭酸ガスは、現在大気中に炭素
換算で約7000億トン滞留していると言われているの
に対して、海洋中に大気中の炭酸ガスが溶け込んで生じ
た炭酸は、現在34兆5000億トン存在すると言われ
ており、海洋中の炭酸量は圧倒的な量である。また、人
類が石油・石炭などを燃やして発生させる炭酸ガスは、
年間70億トンと言われているが、約半分が大気中に残
留して炭酸ガス濃度を増加させており、残りの大部分は
海洋に吸収されていると考えられている。
【0003】よって、地球温暖化に対する今後の対策を
立てるに当たって地球温暖化の主要な原因物資である炭
酸ガス等の大気中濃度や、気候変動の長期予測を行うに
は、物質・熱・運動量の巨大な貯蔵庫である海洋、特に
大気・海洋相互干渉の主な場所である海洋混合層での変
動量を適確に把握することが不可欠であり、このために
は炭酸ガスが海洋に吸収される速度やメカニズムを正確
に把握することが重要である。このため、まず海洋の動
態を十分に把握する必要があり、かつ大気と海洋との間
のやり取りを知る必要がある。
【0004】このように海洋の果たす役割は極めて大き
いにも関わらず、大気に比較して海洋は良くわからない
ことが多い。これは大気中の現象は昔から天気・気象の
変化として、また最近では、大気汚染の問題と関連して
一般の関心を集めてきたのに対して、海洋は船舶の運航
や漁業に従事する、いわば専門家には注目されてきたけ
れども、調査研究はそれぞれの必要に応じてなされてき
たので、地球環境問題のような大局的視点から見ると調
査は偏っており、海洋の計測デ−タは大気に比べて極め
て不十分である。
【0005】海洋の計測デ−タが不足している原因は、
前述のように過去における必要性の問題に加えて、計測
手段が不足しているという問題もある。すなわち、人間
の生活している空間と深海底の圧力差は数百気圧にも及
び、また海水中では電波を通信手段として使えないと言
うハンディもある。よく言われるように、海洋調査は宇
宙調査よりも困難であると言う理由はここにある。
【0006】ところで、現在の地球環境問題の特徴は、
時間的にも空間的にもスケ−ルが極めて大きいことにあ
る。例えば異常気象・温暖化現象に見られるように、空
間的には全地球的な問題であり、時間的には少なくとも
数十年先を見越した対策が必要であり、したがって数十
年あるいは数百年先までの予測が可能でなければならな
い。
【0007】このようなことから、本発明者等は、海洋
の流れと、物質を同時に計測する事が重要であると考
え、海洋中における流速・水温などの物理計測に加え
て、海水中の化学物質も計測できるシステムを研究中で
ある。すなわち、海洋には大気中と同様に様々な時空間
的スケ−ルを持つ流れ、波動、前線、渦などの流体現象
が存在する。これらの物理的現象によって海水溶存物質
は輸送・拡散、時には凝縮されることがあり、海洋中の
物質の移動や、大気との交換過程を研究するためには、
海洋物質を計測するだけでなく、流れ等の物理現象を同
時に計測する必要がある。
【0008】海洋中の物質の計測は従来からも行われて
きた。従来の計測方法の1つは、(イ)観測母船を止め
て採水ボトルを降ろし、海水を汲み上げて採集し、これ
を観測母船上の研究室で分析する方法、および他の計測
方法は、(ロ)観測母船の採水孔を通じて海水を汲み上
げ、観測母船上の研究室でこれを分析する方法が採用さ
れていた。
【0009】しかし、上記(イ)および(ロ)のいづれ
の方法も、計測対象の場所と分析する場所では水圧、水
温に大きな差があるため、輸送途中に観測対象である溶
存物質の変質が懸念される。また、(イ)の場合、母船
を止めて採水ボトルを降ろすため、時間が掛かる。した
がって、時空間的に連続観測ができない。(ロ)の場合
は、海表面の計測に限られ、かつ船による汚染や攪乱に
よって計測値が影響を受ける等の不具合がある。このた
め、従来の方法では、海水溶存物質を物理現象と関連づ
けて、しかも空間的に連続観測することは極めて長時間
の観測となり、事実上不可能であった。
【0010】このようなことから、本発明者等は、海
洋、特に海中のデ−タ取得のための先端的な計測システ
ムの開発を目指して研究を続けており、中でも時間的お
よび空間的に連続計測が可能なシステムを研究中であ
る。このような研究過程で本発明者等は、「特開平2−
303993号公報」で提案したような曳航式海洋観測
ロボットを開発した。上記公報に記載の観測ロボットは
水平主翼および水平尾翼を備え、水平主翼の伏仰角を制
御することで曳航ロボットの深度を制御し、また左右の
水平尾翼の伏仰角をそれぞれ別個に制御することにより
曳航ロボットの横傾斜を制御するようにしたものであ
る。また、上記水平主翼や水平尾翼を制御するためには
駆動源が必要であるが、観測母船から曳航ケーブルを通
して電力を送るとケーブル径が大きくなるため、観測ロ
ボットの最後尾にプロペラを設け、このプロペラがロボ
ットの曳航に伴う海水の相対的な流れにより回転するの
を利用してこのプロペラで油圧ポンプを回し、この油圧
ポンプで発生した油圧エネルギーを利用して水平主翼お
よび水平尾翼の駆動源に用いるようにしたものである。
【0011】このような観測ロボットであれば、11ノ
ットの速度で曳航しても深度変化はわずか10数センチ
の範囲に規制することができ、かつ横揺れは1度以内に
収めることができることが確認されており、したがって
観測ロボット本体の姿勢が安定するので、観測ロボット
に搭載した計測器による測定誤差が少なくなり、測定の
ばらつきを低減することができる。
【0012】このことから、上記観測ロボットに超音波
ドップラー式流速計(ADCP)を搭載し、黒潮中を横
断して相対的な流速を測定することもできるようになっ
た。超音波ドップラ−式流速計は、米国で開発されたも
ので、鉛直方向400mを128層に分解して瞬時に各
層の3次元流速分布を計測することができる装置であ
り、精度が優れている。このようにして測定した流速
を、人工衛星を利用した汎地球測位システム(GPS)
によって計測した母船の対地速度で修正し、絶対流速を
算出することにより海流の実速度を計測することができ
る。
【0013】しかし、上記超音波ドップラー式流速計
は、元来が、定置式のブイに係留して使用するために開
発されたものであり、船舶等に搭載して海流を計測しよ
うとすると、気泡や船の動揺のために計測精度が低下す
ることが報告されており、よって、従来は定位置ブイシ
ステムの場合に限られていた。しかし、定位置ブイシス
テムの用い方であると、速度場の空間連続分布を得るこ
とはほとんど不可能であった。
【0014】これに対し、上記公報に記載された曳航式
海洋観測ロボットに超音波ドップラ−式流速計を搭載し
て使用すれば、ロボットの潜航姿勢が安定しているので
超音波ドップラ−式流速計による流速測定の精度が向上
し、このため時間的・空間的に連続観測ができるように
なり、黒潮等のように複雑に変動する海流を理解する上
で有力な計測法になると考えられる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公
報に記載された曳航式海洋観測ロボットは、水平主翼お
よび水平尾翼を制御して、深度と横傾斜を制御すること
に限られていたため縦傾斜が発生することがある。観測
ロボットに縦傾斜が発生すると、上記超音波ドップラ−
式流速計による鉛直方向の分解層に誤差を生じ、測定精
度が大幅に低下する。また、本発明者等が研究を進めて
いる海中溶存物質を測定するために用いる分析装置は、
傾斜して用いることを嫌う傾向にあり、よって観測ロボ
ット本体が縦傾斜すると、搭載する海中溶存物質分析装
置が作動不能になったり、誤作動したり、あるいは測定
精度が低下するなどの不具合がある。
【0016】本発明はこのような事情にもとづきなされ
たもので、その目的は、広い海域の海中溶存物質の時間
的および空間的計測を実時間で連続して計測できる曳航
式海中溶存物質観測ロボットを提供することであり、特
に、高速で曳航してもロボット本体の横傾斜と縦傾斜を
自動的に制御し、超音波流速計や海中溶存物質分析装置
のように傾斜を嫌う計測器であっても搭載することがで
き、測定精度の向上を可能とした曳航式海中溶存物質観
測ロボットを提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、曳航ケーブルを介して観測母船により曳航される観
測ロボット本体に、少なくとも超音波流速計および海中
溶存物質分析装置を搭載し、この観測ロボット本体に、
伏仰角を調節可能な水平主翼と、同じくそれぞれが伏仰
角を調節可能として左右に伸びる一対の水平尾翼を設
け、ロボット管制装置からの指令を受けて上記水平尾翼
を制御し、観測ロボット本体の深度を維持するととも
に、観測ロボット本体に設置した傾斜姿勢検出装置の検
出により水平尾翼を制御し、観測ロボット本体の横傾斜
および縦傾斜を制御するようにしたことを特徴とする。
【0018】請求項2に記載の発明は、上記観測ロボッ
ト本体に搭載される計測器は、超音波流速計および海中
溶存物質分析装置に加えて、水温センサ、塩分センサ、
深度センサ、溶存酸素量センサ、PHセンサ、濁度セン
サ、クロロフィルセンサの少なくとも1つを含む水質計
測装置を備えたことを特徴とする。
【0019】また、請求項3に記載の発明は、上記海中
溶存物質分析装置が、海水中の無機体炭素を測定する全
炭酸分析計と、この全炭酸分析計に海水を導入するため
の採水装置、この採水装置にキャリアガスを送るボン
ベ、および上記キャリアガスを外部へ放出させるための
圧力制御装置により構成されていることを特徴とする。
【0020】
【作用】請求項1に記載の発明によれば、観測ロボット
本体の深度は水平主翼の伏仰角を調節することにより所
望の深度で潜航させることができ、また観測ロボット本
体の横傾斜は左右の水平尾翼を相対的に調整してこれら
左右の水平尾翼の伏仰角の差で制御することができ、か
つ観測ロボット本体の縦傾斜は水平主翼に対する左右の
水平尾翼の伏仰角の和を調整することにより制御するこ
とができる。このため、観測ロボット本体の縦傾斜、横
傾斜を計測し、これらを常に0になるように制御するこ
とにより、観測ロボットの潜航姿勢を安定させることが
できる。よって、このような観測ロボットに音波流速計
および海中溶存物質分析装置を搭載して、流速等の物理
量と、海水溶存炭酸量などの化学量を、時間的および空
間的に連続して測定することができ、しかも高精度な観
測が可能になる。
【0021】また、請求項2の発明によれば、海流の流
速および海中溶存物質の分析に加えて、水温、塩分、深
度、溶存酸素量、PH、濁度およびクロロフィルの少な
くとも1つの水質を計測することができる。
【0022】さらに、請求項3の発明によれば、外部の
海水を採水装置によってでき得る限り計測対象の圧力・
温度を保って分析器のところに誘導することができるか
ら深度の大きな海中でも測定可能であり、また分析に使
用したキャリヤガスを自動的に観測ロボット本体の外へ
追い出すことができるので、観測ロボット本体内の圧力
上昇を防止することができ、長時間に亘り連続計測が可
能になる。
【0023】
【実施例】以下この発明について、図面に示す一実施例
にもとづき詳細に説明する。図1は曳航式海洋観測ロボ
ットシステムの全体の構成を示し、1は観測母船、10
は翼制御型曳航式海洋観測ロボット、20は観測ロボッ
ト10を曳航しかつ信号を伝送する曳航ケーブルであ
る。この観測母船1 には上記観測ロボット10の潜航深
度を指令する船上ロボット管制装置30および各種計測
器からの測定データを処理する船上モニタ−装置40が
積み込まれている。
【0024】観測ロボット10は、図2ないし図4に示
す通り、例えば水の抵抗を少なくした楕円型外殻形状の
胴体からなる観測ロボット本体11と、水平主翼12、
左右一対の水平尾翼13a、13b、垂直尾翼14およ
び台座15により構成されている。なお、観測ロボット
本体11には、上記曳航ケ−ブル20を取付ける為の取
付金具(図示しない)が設けられている。
【0025】この観測ロボット10は、次の条件下で使
用される。 曳航速度 4ノット〜12ノット 使用深度 200m以浅 周囲環境 大気温度 0〜40℃ 水 温 0〜30℃ 湿 度 最大90% 使用頻度等 約4回/年 連続使用時間 最大48H/回 。
【0026】上記胴体部を構成する観測ロボット本体1
1は、耐圧容器16と非耐圧部17とで構成されてお
り、耐圧容器16には後述する海中溶存炭酸計測装置5
0、システム制御装置51、電源装置52、テレメ−タ
装置53等が配置されており、また非耐圧部17には後
述する超音波ドップラ−式流速計60、多成分水質計測
装置61、キャリアガスボンベ62、浮力タンク63等
が設けられている。
【0027】耐圧容器16は、約1200mm×750mm
の大きさの円筒であり、前後端部は鏡板にて閉塞されて
いる。前部の鏡板には衝突緩衛用のゴム18が加硫接着
されている。この耐圧容器16は水深200mの圧力に
耐えられる強度に設計され、これらの材料は高張力鋼(
船級材36キロHT) とする。非耐圧部17は、パイプ
構造を強度メンバ−としたフレ−ムにFRPを張付けた
構造となっており、それらはタップボルトで結合される
が、その一部は上記ガスボンベ62や流速計60などを
取外しできるように着脱構造となっている。これらに使
われる材料は耐蝕アルミニウム(Al5052)を基本
とする。なお、観測ロボット本体11の全体の大きさ、
重量は次の通りで、正浮力を持たせるものとする。 長さ×巾×高さ=約3630×2260×1400 空中重量 =約630kg 。
【0028】上記観測ロボット本体11の前部上端には
潜航深度を制御するための上記水平主翼12が設けられ
ている。水平主翼12の断面形状は図3に示すように翼
形とされており、この水平主翼12は支持軸121によ
って水平面から±15゜の範囲で回動できるように支持
されている。水平主翼12の後端部には昇降駆動シャフ
ト122が連結されており、この昇降駆動シャフト12
2は非耐圧胴部17に設けられた主翼制御用減速機付モ
ータ123、傘歯車124などの駆動装置により昇降駆
動されるようになっている。この昇降駆動シャフト12
2の上下移動により水平主翼12は伏仰角を変化するこ
とができる。
【0029】観測ロボット本体11の後端部には、横お
よび縦傾斜を制御するための上記水平尾翼13a、13
bが左右に張り出して配置されており、これら水平尾翼
13a,13bはそれぞれ回動軸131a,131bに
連結されている。これら回動軸131a,131bはそ
れぞれ、左水平尾翼制御用減速機付モータ132a,右
水平尾翼制御用減速機付モータ132a、および傘歯車
133,133などの駆動装置により相互に独立して回
動されるようになっている。このため、左右の水平尾翼
13a,13bは互いに反対向きに対称的に回動するこ
とも可能であり、それぞれの伏仰角を自在に変えること
ができるようになっている。
【0030】観測ロボット本体11の後端部には、上下
に伸びる前記垂直尾翼14が設けられている。この垂直
尾翼14は観測ロボット本体11に固定されている。観
測ロボット本体11の下部には前記台座15,15が設
けられており、これら台座15は観測ロボット10を地
上や船上に置いた場合の支持脚となり、また潜航中には
ガ−ドの役目をする。
【0031】なお、上記水平主翼12、水平尾翼13
a,13b、垂直尾翼14および台座15には緩衝ゴム
19が貼着されている。そして、このような構成の観測
ロボット10は、全体の外表面を黄色をベ−スとした塗
装を施してあり、耐圧容器16、非耐圧部17および水
平主翼12や水平尾翼13a,13bの内面は、タ−ル
エポキシ塗装としてある。
【0032】ロボット本体11には、この本体11の横
傾斜、縦傾斜を検知する傾斜姿勢検知装置70(図1お
よび図4を参照)が設けられている。傾斜姿勢検知装置
70は、図4に示すように、横揺角センサ71、縦揺角
センサ72であり、これら横揺角センサ71および縦揺
角センサ72は、ロボット本体11に搭載したロボット
姿勢制御装置75に接続されている。ロボット姿勢制御
装置75は、曳航ケーブル20を介して観測母船1の船
上ロボット管制装置30に接続されている。曳航ケーブ
ル20は、観測母船1で観測ロボット10を曳航すると
ともに、観測母船1と観測ロボット10との間で信号の
やり取りをするためのものであり、この曳航ケーブル2
0は、曳航時の張力に耐える抗張力体と、多数本の信号
用電線と、複数の電子機器電力用電線とで構成された複
合ケーブル体である。この曳航ケーブル20の直径は流
体の抵抗を小さくするためできるだけ小さいことが望ま
しい。
【0033】船上ロボット管制装置30は観測ロボット
10の潜航深度を指定するものであり、オペレータが船
上ロボット管制装置30に潜航深度を指定すると、この
指定信号は曳航ケーブル20を介してロボット本体11
に搭載したロボット姿勢制御装置75に伝えられる。ロ
ボット姿勢制御装置75は観測ロボット10の潜航深度
を自動制御し、かつ横傾斜および縦傾斜を自動的に修正
して安定した潜航姿勢を維持するように機能する。すな
わち、図4に示す通り、上記船上ロボット管制装置30
から潜航深度が指示されると、ロボット姿勢制御装置7
5は後述する深度センサ613から得た実際の潜航深度
と指令深度を比較し、この比較に応じて水平主翼12の
伏仰角を計算し、主翼駆動用モータコントローラ77に
指令信号を送る。主翼駆動用モータコントローラ77は
主翼制御用減速機付モータ123を作動させて水平主翼
12を動かし、つまり水平主翼12の伏仰角を変化さ
せ、これにより観測ロボット10を指定された深度に潜
航させる。潜航深度は、深度センサ613により監視し
ているから、深度が目標深度から外れると、ロボット姿
勢制御装置75が主翼12の伏仰角を変えて目標深度を
維持するように作用する。
【0034】このような潜航中において、ロボット本体
11の横傾斜および縦傾斜は上記横揺角センサ71およ
び縦揺角センサ72が監視しており、ロボット本体11
が横傾斜および縦傾斜すると、それぞれ横揺角センサ7
1および縦揺角センサ72からの検出データに基づきロ
ボット姿勢制御装置75が右尾翼駆動用モータコントロ
ーラ78および左尾翼駆動用モータコントローラ79に
信号を送り、右尾翼駆動用モータ132bおよび左尾翼
駆動用モータ132aを作動させる。
【0035】この場合、観測ロボット10の横傾斜は左
右の水平尾翼13a、13bの伏仰角の差により観測ロ
ボット10の横揺れ(ローリング)をゼロに維持するよ
うに制御し、また観測ロボット10の縦傾斜は、左右の
水平尾翼13a、13bの伏仰角の和を調整し、水平主
翼12の伏仰角と共動して観測ロボット10の縦傾斜
(ピッチング)をゼロに保つように自動的に制御する。
これにより観測ロボット10を所定の潜航深度で、かつ
水平の姿勢で曳航することが可能になる。なお、上記ロ
ボット姿勢制御装置75は、後述するシステム制御装置
51に組み込まれている。
【0036】次に、上記観測ロボット10に搭載されて
いる各種計測器およびその他の備品について説明する。
【0037】1.非耐圧部に収容されている器材 観測ロボット本体11の非耐圧部17には、前記した超
音波ドップラ−式流速計60、多成分水質計測装置6
1、キャリアガスボンベ62、浮力タンク63等が設け
られている。これら搭載品について説明する。
【0038】1.1 超音波ドップラ−式流速計(6
0) 超音波ドップラ−式流速計(Accoustic Doppler C
urrent Profiler:ADCP) 60は、海中の流速の鉛
直分布を測定するものであり、流速計60の位置から4
00mの深さまでを128層に分解し、各層の流速を瞬
時に測定できる。また、海底がこの測定レンジ(400
m)以内にあれば流速計の対地速度を求めて、各層の絶
対流速を測定することもできる。この超音波ドップラ−
式流速計60は、観測ロボット本体11の非耐圧部17
の中心線上に位置し、下向きに配置されている。
【0039】1.2 多成分水質計測装置(61) 多成分水質計測装置61は多種の水質デ−タを測定する
ためのものであり、本例の場合は、海水の水温、塩分、
深度、DO(溶存酸素量)、PH、濁度、クロロフィル
(葉緑素)の7種類のデータを計測する。これらの計測
は図5に示すように水温センサ611、塩分センサ61
2、深度センサ613、DOセンサ614、PHセンサ
615、濁度センサ616、クロロフィルセンサ617
により測定する。
【0040】水温センサ611は白金抵抗体の抵抗変化
を利用した白金測温抵抗体からなり、−5℃〜45℃ま
での温度を測定可能である。塩分センサ612は電磁誘
導型電気伝導度センサで測定された電気伝導度を実用塩
分方程式により変換することにより塩分を測定するもの
であり、0℃〜40℃の測定機能をもつ。深度センサ6
13は、圧力による静電容量の変化を測定する静電容量
型水圧センサを用いており、このセンサの位置を0とし
て0〜200mまでの深さを測定可能である。DOセン
サ614は、酸素の酸化還元反応を利用した電気化学的
方程式を用い、隔膜を透過してカソ−ドに達した酸素の
還元反応およびアノ−ドでの酸化反応により生じる電流
変化を検知することによって測定するカプセル電極式の
センサであり、0〜20PPM の溶存酸素量を測定でき
る。PHセンサ615は複合ガラス電極式センサであ
り、4〜14の範囲でPHを検出する。濁度センサ61
6は、2個のトランスミッタ−から発射される赤外パル
スビ−ムが交差するゾ−ンに存在する懸濁粒子による散
乱光をレシ−バで受光することにより、その受光強度を
測定して計測する波長940nmの赤外後方散乱方式セン
サであり、0〜100PPM の濁度を測定可能である。ク
ロロフィルセンサ617は、葉緑素の蛍光波長に合わせ
た光度を計ることにより測定する蛍光測定法センサであ
り、励起光420〜510nm、蛍光677nm、0.5〜
60μg/リットルの測定が可能である。
【0041】これら各センサは、いづれも知られたセン
サであり、上記非耐圧部17に分散して配置されてお
り、それぞれ演算・補正処理がなされる。なお、これら
センサはこれ自体が耐圧構造であり水深200mまでの
圧力に耐えられる。
【0042】1.3 キャリアガスボンベ(62) キャリアガスボンベ62は、後述する全炭酸分析計に必
要とするための窒素ガスボンベであり、それぞれ容量1
0L、充填圧力150kg/cm2 の高純度窒素ガスを充
填したボンベを例えば2本用いている。
【0043】1.4 浮力タンク(63) 浮力タンク63は、観測ロボット本体11に浮力を与え
るためのエアータンクであり、例えば2本搭載されてい
る。
【0044】2.耐圧容器に収容されている器材 一方、観測ロボット本体11に形成した耐圧容器16に
は、海中溶存炭酸計測装置50、前記ロボット姿勢制御
装置75を含むシステム制御装置51、電源装置52、
テレメ−タ装置53、異常監視装置54等が配置されて
いる。
【0045】2.1 海中溶存炭酸計測装置(50) 海中溶存炭酸計測装置50は、海水を酸で分解し、ガス
化した炭酸ガスを非分散赤外方式で分析することによ
り、全炭酸物質量を測定する装置である。これは海水中
の炭酸ガス濃度CO2 を直接測定することが不可能であ
るので、全炭酸濃度の実測値から以下に説明する理論式
を用いて算出する。ここで炭酸ガス濃度は海水に接する
空気中の炭酸ガス分圧[PCO2 ]の値で最終的に表現す
る。[理論式]海水中には全炭素物質(ΣCO2 )が、
分子状炭酸ガス(CO2 )、遊離炭酸(H2 CO3 )、
炭酸水素イオン(HCO3 - )、炭酸イオン(C
3 --)の形態で溶け込んでいる。つまり、 ΣCO2 =(CO2 )+(H2 CO3 )+(HCO3 - )+(CO3 --) …(1) 相互の存在比率は、塩分、水温およびPHにて決まる。
【0046】CO2 とH2 CO3 とは区別して測定する
ことができないので、(CO2 )+(H2 CO3 )を
[H2 CO3 ]として表示すれば、ΣCO2 と[H2
3 ]との間には下記(2)式が成立する。 [H2 CO3 ] =ΣCO2 /{1+[K1 /(H)]+[K1 ・K2 /(H)]2 } …(2) ここで、K1 ,K2 は海水における見掛けの炭酸の第1
および第2解離定数と定義されており、次式で与えられ
る。
【0047】 −log K1 =−13.7201+0.031334・T+3235.76・T +1.300×10-5S・T−0.1032・S1/2 −log K2 =5371.9645+1.671221T+0.22913・S +18.3802・log S−128375.28・T −2194.3055・log T−8.0944×10-4S・T −5617.11・log S/T+2.136S/T なお、SおよびTはそれぞれ、塩分(0/00)および
絶対温度である。
【0048】海水に接する空気のCO2 平衡分圧[P
CO2 ]と、上記海水の[H2 CO3 ]との間には次の
(3)式が成立する。
【0049】 Patm ・[H2 CO3 ]=α・[PCO2 ] …(3) lnα=−58.0931+90.569(100/T) +22.2940ln(T/100) +S[0.027766−0.024888(T/100) +0.0050578(T/100)2 ] したがって、ΣCO2 を測定すれば、これにより[P
CO2 ]を知ることができる。海水中の全溶存炭酸物質量
(ΣCO2 )は、海水に強酸を加えれば二酸化炭素とな
って溶液より分離するのでこの二酸化炭素の量を測定す
ればよい。このようにして測定した二酸化炭素の量[P
CO2 ]から、多成分水質計測装置61の水温,塩分,P
Hセンサにて測定したデータをもとに、上記(3)式に
よて全溶存炭酸物質量(ΣCO2 )を計算することがで
き、この結果、海水中の全溶存炭酸物質量(ΣCO2
を測定することができる。
【0050】上記の原理から海中溶存炭酸計測装置50
は、図6に示す通り全炭酸分析計(TOC−5000)
510、この全炭酸分析計510へ海水を供給する為の
採水装置520、前記したキャリアガスボンベ62およ
び使用済みキャリアガスを耐圧容器16から外部へ放出
させる為の圧力制御装置530を備えている。
【0051】2.1.1 全炭酸分析計(510) 上記した通り、海水中の全溶存炭酸物質量(ΣCO2
は海水に強酸を加えれば二酸化炭素となって溶液より分
離するのでこの二酸化炭素の量を測定すればよく、この
原理を用いて全炭酸分析計(TOC−5000)510
は海水中の無機体炭素(IC)を測定するようになって
いる。すなわち、本実施例の全炭酸分析計510は、図
7に示す通り、ロボット本体11の外部から採水した海
水をIC反応器511に導入し、このIC反応器511
にリン酸を添加して二酸化炭素を発生させる。この二酸
化炭素はIC反応器511に供給した窒素などのキャリ
アガスにより追い出されて除湿・ガス処理部512に送
られ、ここで処理されたのち非分散形赤外線ガス分析器
(NDIR)513へ送られる。赤外線ガス分析器51
3では二酸化炭素の赤外線吸収作用によりその濃度を測
定することができる。このように測定した二酸化炭素の
量[PCO2 ]はデータ処理部514へ送られ、このデー
タ処理部514は、多成分水質計測装置61の水温,塩
分,PHセンサにて測定したデータをもとに、上記
(3)式にもとづき(ΣCO2 )を計算し、このデータ
を船上のモニター装置40へ送るようになっている。
【0052】2.1.2 採水装置(520) 採水装置520は、全炭酸分析計510へ海水を供給す
るためのものである。そもそも、全炭酸分析計(TOC
−5000)510は、本来実験室の大気圧で測定する
装置として製作されているため、耐圧仕様となっておら
ず、サンプルインジェクタ−で海水を採水した場合は大
気圧に解放される。これでは200mの海水中に溶解し
ているCO2 ガスは分析前に大気に放出されてしまい、
CO2 濃度を正確に測定できない。このため海中から海
水を採水し、全炭酸分析計510に注水する方法として
図8に示す方式を採用した。
【0053】すなわち、図8(A)に示すように、3ポ
ート切換えバルブ521と6ポ−トバルブ523とで海
水ラインを構成し、ポンプ522で外部の海水を吸い込
み、水の流れを作っておく。後述するシーケンサ511
からの指令で6ポ−トバルブ523の切換えを行うと、
図8の(B)に示すように、リング状パイプ523a内
の海水がキャリアガスによって全炭素分析計510のI
C反応器511(図7参照)へ注水される。また、シ−
ケンサ511からの指令で、3ポ−トバルブ521が標
準液ラインに切換えられると、海水に代りIC反応液5
24が6ポ−トバルブ523を経てIC反応器511に
供給される。
【0054】2.1.3 圧力制御装置(530) 全炭酸分析計510は、二酸化炭素を運ぶためにキャリ
アガス(N2 ガス150〜160cc/分,5Kg/cm2 )
を使用しており、連続計測を行なうと耐圧容器16内の
圧力が増加し、分析計510の測定誤差の要因となる。
このため耐圧容器16内の圧力を大気圧に保持する必要
があり、この圧力制御装置530を用いる。この圧力制
御装置530は1種の異常監視装置でもある。
【0055】図9に圧力制御装置530の構造を示す。
耐圧容器16内の圧力を圧力センサ531で監視してお
き、圧力が大気圧以上であれば、図9の(B)に示す通
り、3方弁532,533を開としてタンク534内に
海水を導入することにより、タンク534内のガスを放
出させる。それが済めば図9(C)に示す通り、3方弁
532,533を切換えてタンク534内の海水をポン
プ535で排出する。この過程で、耐圧容器16内のガ
スが再びタンク534内に流入する。圧力が大気圧以下
であれば、図9(D)に示す通り、3方弁532,53
3を切換えて外部の海水をポンプ535を通じて直接排
出する。なお、船上モニタ−装置40には、図9(E)
に示す通り耐圧容器16内の圧力及び上記圧力制御装置
530の作動状況を監視する為のランプ410を設けて
ある。
【0056】2.2 システム制御装置(51) 船上モニタ−装置40と観測ロボット10との信号、デ
−タの伝送信は耐圧容器16内のテレメ−タ装置53を
介して行うが、各計測装置,センサ,採水装置,圧力制
御装置の制御を行うため、図10に示すように、システ
ム制御装置51のシ−ケンサ511が司っている。な
お、前述した通り、図4に示す観測ロボット10の姿勢
の制御装置75は、このシステム制御装置51に組み込
まれている。
【0057】2.3 電源装置(52) 船上の発電装置から曳航ケ−ブル20を使って送電され
るが、船上では300Vに昇圧して送り、観測ロボット
10内の変圧器で100Vに降圧して各計測機器へ供給
するシステムとなっている。超音波ドップラー式流向流
速計(ADCP)60は超音波を発する時、瞬時に(1
00〜200msec) 50%程度の電圧降下をおこす。そ
の為、電圧安定化の為、無停電用の電源装置52を介し
て各計測器,センサ、シ−ケンサ等に電力を供給する。
なお、供給電流は10A程度である。
【0058】2.4 テレメ−タ装置(53) テレメ−タ装置53は、各計測から測定デ−タおよび警
報信号を曳航ケーブル20より船上のモニタ−装置40
に伝送する装置である。さらに、船上モニタ−装置40
にて入力される制御信号はこのテレメ−タ装置53を経
て観測ロボット10のシ−ケンサ511に伝送される。
【0059】2.5 異常監視センサ(54) 異常監視センサ54としては、先に説明した図9の圧力
制御装置530と、この他に漏水検知器541を設けて
ある。圧力制御装置530はすでに説明した通り、耐圧
容器16内の圧力を検出して異常圧力になればこの圧力
を逃がしてロボット本体11内を一定の圧力に保持す
る。一方、漏水検知器541は圧力容器16の底面付近
に導電性のワイヤを配線しておき、もし水が浸水で溜ま
れば、海水を介して電流が流れる。この電流を検知して
漏水を発見するもので、耐圧容器16内への海水の浸水
を監視するものである。
【0060】このように構成された観測ロボット10に
対し、観測母船1に設けられたモニタ−装置40は、上
記各計測器で検知された信号をテレメ−タ装置53のシ
−ケンサ511を介して導入し、これらの信号にもとず
きアナログデ−タをプラズマディスプレイにより表示す
る。表示するデ−タは、全炭酸量・炭酸ガス分圧・水温
・DO・PH・塩分・濁度・クロロフィル・深度・圧力
・ピッチ・ロ−ルなどである。
【0061】このような構成の観測システムについて、
作用を説明する。観測ロボット10は、水平主翼12の
翼角によって潜航深度を維持し、かつ上下揺れを規制す
ることができるとともに、左右の水平尾翼13a、13
bの伏仰角の差によってロ−リングを制御し、また左右
の水平尾翼13a、13bの伏仰角の和によってピッチ
ングを制御することができる。このため観測ロボット1
0の潜航中は、観測ロボット10の姿勢が安定し、例え
ば観測母船1が波高2mの海域を前進中であっても観測
ロボット10の運動は上下に数cm以内、ロ−リングお
よびピッチングは1度以内と言う極めて安定した性能に
なる。
【0062】したがって、傾斜して使用されると測定誤
差を発生し易い超音波ドップラ−式流速計(ADCP)
60や全炭酸分析計(TOC−5000)510を搭載
しても、観測ロボット10の傾斜が防止されるから、こ
れら超音波ドップラ−式流速計60や全炭酸分析計51
0が正常に機能するようになり、高精度な測定が可能に
なる。
【0063】そして、全炭酸分析計510は、本来大気
圧の雰囲気で測定する装置として製作されているので、
耐圧仕様となっておらず、200mの海水中に溶解して
いるCO2 ガスを測定しようとすると、分析前に大気に
放出されてしまってCO2 濃度を正確に測定できないこ
とが危惧されるが、本実施例では、図8に示す採水装置
520を用いるとともに、窒素などからなるキャリアガ
スを使用してリング状パイプ523内の海水をIC反応
器511に導入する方式を採用したため、高圧の海水か
らCO2 濃度を正確に測定することができる。
【0064】この場合、キャリアガスは、容量10リッ
トル、充填圧力150kg/cm2 の高純度窒素ガスを充
填したボンベを2本用いるので、毎分0.16リットル
使用すると仮定しても、60時間の連続測定が可能にな
る。
【0065】そして、このような連続測定を行うと、耐
圧容器16内の圧力がキャリアガスにより増加し、分析
計510の測定誤差の要因となるが、図9に示す圧力制
御装置530を設けたので、耐圧容器16内の圧力が大
気圧以上になれば、圧力センサ531がこれを検出して
3方弁532,533を開とし、タンク534内に海水
を流入させることによってタンク534内のガスを放出
させ、耐圧容器16内の圧力を大気圧に保持する。この
ため、連続観測が可能になる。
【0066】この結果、広い海域の海中溶存物質を連続
して計測することができ、時間的および空間的計測を可
能にし、精度の高いデータを得ることができる。
【0067】
【発明の効果】以上説明した通り本発明によれば、ロボ
ット本体の横傾斜や縦傾斜を水平主翼と左右一対の水平
尾翼とで制御するので、高速で曳航しても観測ロボット
の姿勢が安定し、このため超音波流速計や海中溶存物質
分析装置のように傾斜を嫌う計測器を搭載してもこれら
の測定精度が向上する。この結果、広い海域の海中溶存
物質を時間的および空間的に連続して計測することがで
き、良質のデータを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示し、曳航式海中溶存物質
観測ロボットのシステムを概略的に示す構成図。
【図2】同実施例における観測ロボットの平面図。
【図3】同実施例における観測ロボットの縦断面図。
【図4】同実施例の観測ロボットの姿勢制御装置の系統
図。
【図5】同実施例の図2におけるA〜Eに沿うそれぞれ
の断面図。
【図6】同実施例の無機炭酸分析システムを示す構成
図。
【図7】同実施例の無機炭酸分析システムに用いる全炭
酸分析計の原理説明図。
【図8】上記無機炭酸分析システムに用いる採水装置の
説明図。
【図9】上記無機炭酸分析システムに用いる圧力制御装
置の説明図。
【図10】同実施例の制御信号系統図。
【符号の説明】
1…観測母船 10…観測ロボット 11
…観測ロボット本体 12…水平主翼 13a、13b…水平尾翼 20…曳航ケーブル 30…船上ロボット管制装置 40…モニター装置 16…耐圧容器 17…非耐
圧部17 50…海中溶存炭酸計測装置 51…シス
テム制御装置 52…電源装置 53…テレ
メ−タ装置 54…異常監視装置 60…超音波ドップラ−式流速計 61…多成
分水質計測装置 62…キャリアガスボンベ 63…浮力
タンク 70…傾斜姿勢検知装置 71…横揺
角センサ 72…縦揺角センサ 75…ロボット姿勢制御装置 123…水平主翼駆動モータ 132a、132b…水平尾翼駆動モータ 510…全炭酸分析計(TOC−5000) 520…採水装置 530…圧
力制御装置 611…水温センサ 612…塩
分センサ612 613…深度センサ 614…D
Oセンサ 615…PHセンサ 616…濁
度センサ 617…クロロフィルセンサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G01N 33/18 102 7906−2J

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 観測母船により曳航ケーブルを介して曳
    航される観測ロボット本体と、 上記観測母船に積まれたロボット管制装置と、 上記観測ロボット本体に搭載され海水の観測に必要な少
    なくとも超音波流速計および海中溶存物質分析装置を含
    む計測器と、 上記観測ロボット本体に設けられ伏仰角を調節可能な水
    平主翼と、 上記ロボット管制装置からの指令を受けて上記水平主翼
    を制御し、観測ロボット本体の潜航深度を制御する駆動
    手段と、 同じく上記観測ロボット本体に設けられそれぞれが伏仰
    角を調節可能として左右に伸びる左右一対の水平尾翼
    と、 観測ロボット本体に設けられた傾斜姿勢検出装置の検出
    に応じて上記水平尾翼を制御し、観測ロボット本体の横
    傾斜および縦傾斜を制御する制御手段と、 を備えたことを特徴とする曳航式海中溶存物質観測ロボ
    ット。
  2. 【請求項2】 上記観測ロボット本体に搭載される計測
    器は、超音波流速計および海中溶存物質分析装置に加え
    て、水温センサ、塩分センサ、深度センサ、溶存酸素量
    センサ、PHセンサ、濁度センサ、クロロフィルセンサ
    の少なくとも1つを含む水質計測装置を備えたことを特
    徴とする請求項1に記載の曳航式海中溶存物質観測ロボ
    ット。
  3. 【請求項3】 上記海中溶存物質分析装置は、海水中の
    無機体炭素を測定する全炭酸分析計と、この全炭酸分析
    計に海水を導入するための採水装置、この採水装置にキ
    ャリアガスを送るボンベ、および上記キャリアガスを外
    部へ放出させて観測ロボット本体内の圧力上昇を規制す
    る圧力制御装置により構成されていることを特徴とする
    請求項1または請求項2に記載の曳航式海中溶存物質観
    測ロボット。
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