以下、一実施形態を添付図面を参照して説明する。
なお、添付図面は、特徴を分かりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、断面図では、各部材の断面構造を分かりやすくするために、一部の部材のハッチングを梨地模様に代えて示し、一部の部材のハッチングを省略している。
まず、図1及び図2に従って半導体装置10の構造について説明する。
図1に示すように、半導体装置10は、配線基板20と、配線基板20に実装された半導体チップ11と、配線基板20と半導体チップ11との隙間に形成されたアンダーフィル樹脂15とを有している。
配線基板20は、コア部21と、当該配線基板20に内蔵されたチップキャパシタ40と、コア部21の片面(ここでは、上面)を被覆する絶縁層45と、絶縁層45の第1面45A側に形成された配線構造22と、コア部21の第2面36B側に形成された配線構造23と、ソルダレジスト層24,25とを有している。
コア部21は、例えば多層プリント配線板である。このコア部21は、コア基板31と、内層の配線層32,33と、絶縁層35,36と、コア部21の外面に形成された配線層37,38と、貫通電極39とを有している。このように、コア部21は、コア部21の内層の配線層32,33と、コア部21の外面の配線層37,38とを合わせた4層の配線層を含む多層基板である。なお、コア部21の厚さ(絶縁層35の第1面35A(ここでは、上面)から絶縁層36の第2面36B(ここでは、下面)までの厚さ)は、例えば300〜800μm程度とすることができる。
コア基板31は、例えば補強材であるガラスクロス(ガラス織布)にエポキシ樹脂を主成分とする熱硬化性の絶縁性樹脂を含浸させ硬化させた、いわゆるガラスエポキシ基板を用いることができる。補強材としてはガラスクロスに限らず、例えばガラス不織布、アラミド織布、アラミド不織布、液晶ポリマ(Liquid Crystal Polymer:LCP)織布やLCP不織布を用いることができる。また、熱硬化性の絶縁性樹脂としてはエポキシ樹脂に限らず、例えばポリイミド樹脂やシアネート樹脂などの樹脂材を用いることができる。
コア基板31の第1面(ここでは、上面)には配線層32が形成され、コア基板31の第2面(ここでは、下面)には配線層33が形成されている。これら配線層32,33は、例えば電源配線やグランド配線を含む。また、コア基板31の第1面には配線層32を被覆する絶縁層35が積層され、コア基板31の第2面には配線層33を被覆する絶縁層36が積層されている。なお、配線層32,33の材料としては、例えば銅や銅合金を用いることができる。絶縁層35,36の材料としては、例えばエポキシ樹脂やポリイミド樹脂などの絶縁性樹脂、又はこれら樹脂にシリカやアルミナ等のフィラーを混入した樹脂材を用いることができる。
コア部21(コア基板31及び絶縁層35,36)には、所要の箇所(図1では、2箇所)に貫通孔21Xが形成されている。貫通孔21Xは、コア基板31及び絶縁層35,36を厚さ方向に貫通するように形成されている。この貫通孔21X内には、コア基板31及び絶縁層35,36を厚さ方向に貫通する貫通電極39が形成されている。貫通電極39は、貫通孔21X内に充填されている。貫通電極39及び貫通孔21Xは、例えば平面視略円形状に形成されている。それら貫通電極39及び貫通孔21Xの直径は、例えば50〜100μm程度とすることができる。貫通電極39の材料としては、例えば銅や銅合金を用いることができる。
絶縁層35の第1面35A(コア部21の第1面35A)には配線層37が形成され、絶縁層36の第2面36B(コア部21の第2面36B)には配線層38が形成されている。これら配線層37,38は上記貫通電極39を介して相互に電気的に接続されている。
図2に示すように、配線層37は、例えば平面視略円形状に形成されている。同様に、配線層38は、例えば平面視略円形状に形成されている。それら配線層37,38の直径は、例えば100〜150μm程度とすることができる。また、配線層37,38の厚さは、例えば10〜20μm程度とすることができる。配線層37,38の材料としては、例えば銅や銅合金を用いることができる。なお、図2は、コア部21、チップキャパシタ40及び絶縁層45を図1の上方から見た概略平面図である。
図1に示すように、コア部21(コア基板31及び絶縁層35,36)には、所要の箇所(ここでは、1箇所)に開口部21Yが形成されている。この開口部21Yは、コア部21の第1面35Aと第2面36Bとの間を貫通するように形成されている。すなわち、開口部21Yは、コア部21(コア基板31及び絶縁層35,36)を厚さ方向に貫通するように形成されている。
図2に示すように、開口部21Yは、コア部21の平面視中央部、具体的にはチップキャパシタ40と平面視で重なる位置に形成されている。この開口部21Yの平面形状は、チップキャパシタ40の平面形状と同様に矩形状に形成されている。さらに、開口部21Yの平面形状は、チップキャパシタ40の平面形状よりも大きく形成されている。このため、チップキャパシタ40は、開口部21Yの外周縁よりも内側の領域に設けられている。この開口部21Yの大きさは、例えば平面視で5mm×5mm〜15mm×15mm程度とすることができる。
図1に示すように、チップキャパシタ40は、その一部が上記開口部21Y内に配置され、残りの部分が上記絶縁層45内に配置されている。チップキャパシタ40は、直方体状のキャパシタ本体41と、そのキャパシタ本体41の長手方向の両端に形成された2つの接続端子42とを有している。接続端子42は、キャパシタ本体の長手方向端面を含む側面及び上下面の一部を被覆するように形成されている。
ここで、チップキャパシタ40の厚さは、例えば200〜500μm程度とすることができる。キャパシタ本体41は、例えば、主としてセラミックと銅等の電極により形成されている。また、接続端子42の材料としては、例えば銅や銅合金を用いることができる。
チップキャパシタ40は、その一部が上記開口部21Yよりも上方に突出するように配置されている。具体的には、チップキャパシタ40は、その一部が絶縁層35の第1面35A(コア部21の第1面35A)から第2面36Bとは反対側の方向(ここでは、上方)に突出するように配置されている。より具体的には、チップキャパシタ40は、キャパシタ本体41の一部、及びその一部のキャパシタ本体41の一部を被覆する接続端子42が開口部21Yよりも上方に突出されるように配置されている。このため、接続端子42の第1面42A(ここでは、上面)全面、及び接続端子42の側面の一部が開口部21Yよりも上方に突出されている。すなわち、チップキャパシタ40は、接続端子42の第1面42Aが絶縁層35の第1面35Aよりも上方に位置するように配置されている。なお、本例では、接続端子42の第1面42Aは、配線層37の第1面37Aと同一平面上に形成されている。また、これら接続端子42の第1面42A及び配線層37の第1面37Aは、絶縁層45の第1面45A(ここでは、上面)と略面一になるように形成されている。
また、絶縁層45から露出されたチップキャパシタ40の表面、つまり接続端子42の第1面42Aは粗化面である。具体的には、接続端子42の第1面42Aは、絶縁層45によって被覆されたチップキャパシタ40の表面よりも表面粗度が高くなっている。
開口部21Y内は、絶縁層45と層間絶縁層61との2層の絶縁層により充填されている。絶縁層45は、開口部21Y内の一部に形成されるとともに、コア部21の第1面35Aを被覆するように形成されている。例えば、絶縁層45は、開口部21Yの一部を埋めるように形成されるとともに、配線層37から露出されるコア部21の第1面35A全面を被覆するように形成されている。また、絶縁層45は、チップキャパシタ40の一部を被覆するように形成されている。例えば、絶縁層45は、接続端子42の第2面42Bと、接続端子42の側面と、接続端子42から露出されたキャパシタ本体41全面とを被覆するように形成されている。すなわち、本例のチップキャパシタ40は、接続端子42の第1面42A以外の部分が絶縁層45に埋設されている。換言すると、チップキャパシタ40のうち接続端子42の第1面42Aのみが絶縁層45から露出されている。絶縁層45の材料としては、例えばエポキシ樹脂やポリイミド樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。なお、絶縁層35の第1面35A(ここでは、上面)から絶縁層45の第1面45Aまでの厚さは、例えば15〜35μm程度とすることができる。
絶縁層45の第1面45A上には、配線構造22が積層されている。この配線構造22は、配線層と層間絶縁層とが交互に積層されてなる。配線層は任意の層数とすることができ、層間絶縁層は各配線層が互いに絶縁されるような膜厚とすることができる。本例の配線構造22は、層間絶縁層51と、配線層52と、層間絶縁層53と、配線層54と、層間絶縁層55と、配線層56とが交互に積層された構造を有している。
層間絶縁層51は、絶縁層45上に形成されている。層間絶縁層51は、接続端子42の第1面42A、配線層37の第1面37A、及び絶縁層45の第1面45Aを被覆するように形成されている。層間絶縁層51の材料としては、例えばエポキシ樹脂やポリイミド樹脂などの絶縁性樹脂、又はこれら樹脂にシリカやアルミナ等のフィラーを混入した樹脂材を用いることができる。なお、配線層37の第1面37Aから層間絶縁層51の第1面51A(ここでは、上面)までの厚さは、例えば15〜35μm程度とすることができる。
層間絶縁層51には、該層間絶縁層51を貫通して配線層37の第1面37A又は接続端子42の第1面42Aを露出するビアホールVH1が形成されている。
配線層52は、層間絶縁層51上に積層されている。配線層52は、ビアホールVH1内に充填されたビア配線57を介して配線層37又は接続端子42と電気的に接続されている。すなわち、配線層52は、層間絶縁層51を貫通するビア配線57を介して配線層37又は接続端子42と電気的に接続されている。
同様に、層間絶縁層53は、配線層52を被覆するように層間絶縁層51上に形成されている。配線層54は、層間絶縁層53上に形成され、その層間絶縁層53を貫通するビア配線58を介して配線層52と電気的に接続されている。最外層の層間絶縁層55は、配線層54を被覆するように層間絶縁層53上に形成されている。最外層の配線層56は、層間絶縁層55上に形成され、層間絶縁層55を貫通するビア配線59を介して配線層54と電気的に接続されている。
ここで、ビア配線57,58,59は、図1において下側(コア部21側)から上側(最外層の配線層56側)に向かうに連れて径が大きくなるテーパ状に形成されている。また、ビア配線57,58,59の平面形状は例えば円形であり、それらの直径は例えば50〜75μm程度とすることができる。配線層52,54,56の厚さは、例えば15〜35μm程度とすることができる。配線層52の第1面(ここでは、上面)から層間絶縁層53の第1面(ここでは、上面)までの厚さ、及び配線層54の第1面(ここでは、上面)から層間絶縁層55の第1面(ここでは、上面)までの厚さは、例えば15〜35μm程度とすることができる。なお、配線層52,54,56及びビア配線57,58,59の材料としては、例えば銅や銅合金を用いることができる。層間絶縁層53,55の材料としては、例えばエポキシ樹脂やポリイミド樹脂などの絶縁性樹脂、又はこれら樹脂にシリカやアルミナ等のフィラーを混入した樹脂材を用いることができる。
最外層(ここでは、最上層)の層間絶縁層55の第1面(ここでは、上面)には、ソルダレジスト層24が積層されている。ソルダレジスト層24の材料としては、例えばエポキシ樹脂やアクリル樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。このソルダレジスト層24には、最上層の配線層56の一部をパッドP1として露出させるための開口部24Xが形成されている。このパッドP1には、上記半導体チップ11のバンプ12がフリップチップ接続されている。すなわち、パッドP1が形成されている側の面がチップ搭載面になっている。
なお、必要に応じて、開口部24Xから露出する配線層56上にOSP(Organic Solderability Preservative)処理を施してOSP膜を形成し、そのOSP膜に上記半導体チップ11を接続するようにしてもよい。また、開口部24Xから露出する配線層56上に金属層を形成し、その金属層に半導体チップ11を接続するようにしてもよい。金属層の例としては、金(Au)層や、ニッケル(Ni)層/Au層(配線層56上にNi層とAu層をこの順番で積層した金属層)や、Ni層/パラジウム(Pd)層/Au層(配線層56上にNi層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)などを挙げることができる。これらNi層、Au層、Pd層としては、例えば無電解めっき法により形成された金属層(無電解めっき金属層)を用いることができる。また、上記Au層はAu又はAu合金からなる金属層、上記Ni層はNi又はNi合金からなる金属層、上記Pd層はPd又はPd合金からなる金属層である。
一方、上記絶縁層36の第2面36Bには、配線構造23が積層されている。この配線構造23は、配線層と層間絶縁層とが交互に積層されてなる。配線層は任意の層数とすることができ、層間絶縁層は各配線層が互いに絶縁されるような膜厚とすることができる。本例の配線構造23は、層間絶縁層61と、配線層62と、層間絶縁層63と、配線層64と、層間絶縁層65と、配線層66とが交互に積層された構造を有している。
層間絶縁層61は、上記絶縁層45と共に開口部21Yを充填するように形成されるとともに、絶縁層36の第2面36Bと、配線層38の第2面38B(ここでは、下面)及び側面とを被覆するように形成されている。層間絶縁層61は、絶縁層45から露出された開口部21Yを充填するように絶縁層45の第2面45B(ここでは、下面)上に形成されている。具体的には、層間絶縁層61は、絶縁層45の第2面45Bとその第2面45Bよりも下方に位置する開口部21Yの内壁面とによって形成された空間を充填するように形成されている。層間絶縁層61の材料としては、例えば層間絶縁層51よりも充填性の高い絶縁性樹脂を用いることができる。例えば、層間絶縁層61の材料としては、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。ここで、配線層38の第2面38Bから層間絶縁層61の第2面61Bまでの厚さは、上述した配線層37の第1面37Aから層間絶縁層51の第1面51Aまでの厚さと同じになるように設定されている。すなわち、配線層38上に形成された層間絶縁層61の厚さは、配線層37上に形成された層間絶縁層51の厚さと同じになるように設定されている。例えば、配線層38の第2面38Bから層間絶縁層61の第2面61Bまでの厚さは15〜35μm程度に設定されている。
層間絶縁層61には、その層間絶縁層61を厚さ方向に貫通して配線層38の第2面38Bを露出するビアホールVH2が形成されている。
配線層62は、層間絶縁層61の第2面61Bに積層されている。配線層62は、ビアホールVH2内に充填されたビア配線67を介して配線層38と電気的に接続されている。すなわち、配線層62は、層間絶縁層61及び絶縁層45を貫通するビア配線67を介して配線層38と電気的に接続されている。
同様に、層間絶縁層63は、配線層62を被覆するように層間絶縁層61の第2面61B上に形成されている。配線層64は、層間絶縁層63の第2面(ここでは、下面)に形成され、その層間絶縁層63を貫通するビア配線68を介して配線層62と電気的に接続されている。最外層の層間絶縁層65は、配線層64を被覆するように層間絶縁層63の第2面に形成されている。最外層の配線層66は、層間絶縁層65の第2面(ここでは、下面)に形成され、層間絶縁層65を貫通するビア配線69を介して配線層64と電気的に接続されている。
ここで、ビア配線67,68,69は、図1において上側(コア部21側)から下側(配線層66側)に向かうに連れて径が大きくなるテーパ状に形成されている。また、ビア配線67,68,69の平面形状は例えば円形であり、それらの直径は例えば50〜75μm程度とすることができる。配線層62,64,66の厚さは、例えば15〜35μm程度とすることができる。配線層62の第2面から層間絶縁層63の第2面までの厚さ、及び配線層64の第2面から層間絶縁層65の第2面までの厚さは、例えば15〜35μm程度とすることができる。なお、配線層62,64,66及びビア配線67,68,69の材料としては、例えば銅や銅合金を用いることができる。層間絶縁層63,65の材料としては、例えばエポキシ樹脂やポリイミド樹脂などの絶縁性樹脂、又はこれら樹脂にシリカやアルミナ等のフィラーを混入した樹脂材を用いることができる。
最外層(ここでは、最下層)の層間絶縁層65の第2面(ここでは、下面)には、ソルダレジスト層25が積層されている。ソルダレジスト層25の材料としては、例えばエポキシ樹脂やアクリル樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。このソルダレジスト層25には、最下層の配線層66の第2面(ここでは、下面)の一部を外部接続用パッドP2として露出させるための開口部25Xが形成されている。この外部接続用パッドP2には、当該半導体装置10をマザーボード等の実装基板に実装する際に使用されるはんだボールやリードピン等の外部接続端子16が接続されている。なお、必要に応じて、上記開口部25Xから露出する配線層66上にOSP処理を施してOSP膜を形成し、そのOSP膜に外部接続端子16を接続するようにしてもよい。また、開口部25Xから露出する配線層66上に金属層を形成し、その金属層に外部接続端子16を接続するようにしてもよい。金属層の例としては、Au層や、Ni層/Au層(配線層66の第2面にNi層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni層/Pd層/Au層(配線層66の第2面にNi層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)などを挙げることができる。なお、開口部25Xから露出する配線層66(あるいは、配線層66上にOSP膜や金属層が形成されている場合には、それらOSP膜又は金属層)自体を、外部接続端子としてもよい。
半導体チップ11は、以上説明した構造を有する配線基板20にフリップチップ実装されている。すなわち、半導体チップ11の回路形成面(図1では、下面)に配設されたバンプ12を配線基板20のパッドP1に接合することにより、半導体チップ11は、バンプ12を介して、配線基板20の配線層56と電気的に接続されている。
半導体チップ11としては、例えばCPU(Central Processing Unit)チップやGPU(Graphics Processing Unit)チップなどのロジックチップを用いることができる。また、半導体チップ11としては、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)チップ、SRAM(Static Random Access Memory)チップやフラッシュメモリチップなどのメモリチップを用いることもできる。この半導体チップ11の大きさは、例えば平面視で3mm×3mm〜12mm×12mm程度とすることができる。また、半導体チップ11の厚さは、例えば50〜100μm程度とすることができる。
また、上記バンプ12としては、例えば金バンプやはんだバンプを用いることができる。はんだバンプの材料としては、例えば鉛(Pb)を含む合金、錫(Sn)とAuの合金、SnとCuの合金、SnとAgの合金、SnとAgとCuの合金等を用いることができる。
アンダーフィル樹脂15は、配線基板20の第1面(ここでは、上面)と半導体チップ11の第2面(ここでは、下面)との隙間を充填するように設けられている。アンダーフィル樹脂15の材料としては、例えばエポキシ樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。
次に、上記半導体装置10の作用を説明する。
開口部21Y内を絶縁層45と層間絶縁層61との2層の絶縁層によって充填するようにした。これにより、例えば絶縁層45と層間絶縁層61とが別の工程で形成される場合には、後に形成される一方の絶縁層(例えば、層間絶縁層61)を形成する際に、他方の絶縁層(例えば、絶縁層45)が開口部21Y内の一部に形成されることになる。このため、開口部21Yの容積が大きくなった場合であっても、上記一方の絶縁層によって充填される空間の容積を小さくすることができる。したがって、開口部21Yの容積が大きくなった場合であっても、開口部21Y内を1層の絶縁層のみによって充填する従来技術と比べて、開口部21Y内を上記一方の絶縁層により好適に充填することができる。
次に、図3〜図5に従って上記配線基板20の製造方法について説明する。
まず、図3(a)に示すように、開口部21Yを有するコア部21を準備する。コア部21は、例えば以下のようにして製造することができる。すなわち、公知の技術を用いて、コア基板31と、コア基板31の第1面(ここでは、下面)及び第2面(ここでは、上面)にそれぞれ形成された配線層32,33及び絶縁層35,36と、絶縁層35,36の外面にそれぞれ形成された配線層37,38と、貫通電極39とを有するプリント配線板を形成する。続いて、上記形成したプリント配線板に、チップキャパシタ40(図1参照)の搭載位置に対応する位置を開口する開口部21Yを形成することにより、コア部21を製造する。なお、この開口部21Yは、例えばルータ加工、金型を用いた金型加工、レーザ加工や機械ドリル加工等によって形成することができる。
また、図3(a)に示す工程では、フィルム状のテープ基材71と、そのテープ基材71の上面71Aに塗布された粘着剤72とを有するテープ70を準備する。ここで、テープ70の材料としては、例えば耐薬品性や耐熱性に優れた材料を用いることができる。また、テープ基材71の材料としては、例えば作業性が良好な材料であることが好ましい。このようなテープ基材71の材料としては、例えばポリイミド樹脂やポリエステル樹脂を用いることができる。また、粘着剤72は、粘着性を有する絶縁層であり、後工程において絶縁層45となる部材である。このため、粘着剤72の材料としては、例えばエポキシ樹脂やポリイミド樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。粘着剤72は、B−ステージ状態(半硬化状態)のものが使用される。なお、テープ基材71の厚さは、例えば30〜50μm程度とすることができる。また、粘着剤72の厚さは、例えば30〜50μm程度とすることができる。
また、図3(a)に示す工程では、コア部21の第1面35A、つまり絶縁層35の第1面35A側にテープ70を配置する。このとき、テープ70は、粘着剤72がコア部21と対向するように粘着剤72を上側に向けた状態で配置される。
次に、図3(b)に示す工程では、コア部21の配線層37の第1面37A(ここでは、下面)にテープ70を貼着する。具体的には、テープ70の粘着剤72を配線層37の第1面37Aに貼り付ける。例えば、配線層37の第1面37Aにシート状のテープ70を熱圧着によりラミネートする。なお、このとき、粘着剤72はB−ステージ状態のままにしておく。
次いで、図3(c)に示す工程では、例えばマウンタを用いて、コア部21の開口部21Yに露出されたテープ70の粘着剤72上にチップキャパシタ40を搭載する。
続いて、図3(d)に示す工程では、図3(c)に示した構造体を110〜160℃程度の温度で加熱した状態で、チップキャパシタ40及びコア部21をテープ70(粘着剤72)に対して押圧する。すると、半硬化状態の粘着剤72は、コア部21の第1面35A、配線層37の第1面37A、キャパシタ本体41の第1面41Aや接続端子42の第1面42Aによって押圧されて平面方向に広がる。このように広がる粘着剤72は、チップキャパシタ40と開口部21Yの内壁面との間の空間を充填するように開口部21Y内に形成される。そして、本例では、このように広がる粘着剤72によってチップキャパシタ40が全体的に被覆される。換言すると、本工程では、チップキャパシタ40を粘着剤72に対して押圧することにより、半硬化状態の粘着剤72の中にチップキャパシタ40を全体的に埋設する。また、本工程では、接続端子42の第1面42A及び配線層37の第1面37Aがテープ基材71の上面71Aに接触するまで、チップキャパシタ40及びコア部21をテープ70に対して押圧する。
その後、例えば熱硬化処理により粘着剤72を熱硬化して、絶縁層45を形成する。このとき、絶縁層45は、チップキャパシタ40を全体的に被覆し、第2面45B(ここでは、上面)が接続端子42の第2面42Bよりも上方に位置するように形成される。また、上述のように粘着剤72が熱硬化されると、その硬化後の絶縁層45とコア部21及びチップキャパシタ40とが接着され、絶縁層45とコア部21とチップキャパシタ40とが一体化される。
続いて、図4(a)に示す工程では、テープ70の粘着剤72(絶縁層45)及びテープ基材71のうちテープ基材71のみを剥離する。すなわち、図3(d)に示した構造体からテープ基材71のみを除去し、絶縁層45をコア部21及びチップキャパシタ40に接着させたままの状態を維持する。このため、絶縁層35の第1面35A、開口部21Yの内壁面の一部、配線層37の側面、接続端子42の第2面42B及び側面、接続端子42から露出されたキャパシタ本体41の表面全面が絶縁層45によって被覆された状態となる。その一方で、先の図3(d)において接続端子42の第1面42A及び配線層37の第1面37Aにはテープ基材71の上面71Aが接触されており、絶縁層45が接触されていないため、テープ基材71が剥離されると、図4(b)に示すように、接続端子42の第1面42A及び配線層37の第1面37Aが露出される。
このとき、図4(a)に示すように、接続端子42の第1面42Aは、コア部21の第1面35Aよりも下方に突出された状態となる。また、先の図3(d)の工程においてテープ基材71の上面71Aと接する絶縁層45の第1面45A及び接続端子42の第1面42A及び配線層37の第1面37Aは、テープ基材71の上面71A(平坦面)に沿った形状に形成される。このため、絶縁層45、接続端子42及び配線層37の第1面45A,42A,37Aは平坦に形成され、それら第1面45Aと第1面42Aと第1面37Aとが略面一になるように形成される。したがって、上述したように接続端子42の第1面42A及び配線層37の第1面37Aは、絶縁層45から露出される。
このように、本製造方法では、テープ基材71上に形成されていた粘着剤72(絶縁層45)を剥離せずにそのまま利用するようにした。このため、絶縁層45の第1面45Aが接続端子42の第1面42Aと同一平面上に形成される、もしくは第1面45Aが第1面42Aよりも下方に形成される(本例では、第1面45Aが第1面42Aと同一平面上に形成される)。
次いで、絶縁層45から露出された接続端子42及び配線層37に対して粗化処理を施す。この粗化処理は、例えば接続端子42及び配線層37の第1面42A,37Aの粗度が、表面粗さRa値で0.5〜2μm程度となるように行われる。ここで、表面粗さRa値とは、表面粗さを表わす数値の一種であり、算術平均粗さと呼ばれるものであって、具体的には測定領域内で変化する高さの絶対値を平均ラインである表面から測定して算術平均したものである。本工程の処理により、接続端子42及び配線層37の第1面42A,37Aに微細な凹凸が形成され、それら接続端子42及び配線層37の第1面42A,37Aが粗面化される。この粗化処理は、図4(c)に示す次工程で、接続端子42及び配線層37に対して層間絶縁層51を密着させやすくするために行われる。上記粗化処理は、例えばエッチング処理、CZ処理、黒化処理(酸化処理)やサンドブラスト処理によって行うことができる。なお、上記粗化処理により、上記テープ基材71を剥離したときに接続端子42及び配線層37の第1面42A,37Aに残留した残留物についても除去することができる。
次に、図4(c)に示す工程では、絶縁層45の第1面45A上に、その絶縁層45の第1面45A、接続端子42の第1面42A及び配線層37の第1面37Aを被覆する層間絶縁層51を形成する。また、本工程では、絶縁層45から露出された開口部21Y(具体的には、絶縁層45の第2面45Bとその絶縁層45よりも上方に位置する開口部21Yの内壁面とによって形成された空間)を充填するとともに、絶縁層36の第2面36B及び配線層38を被覆する層間絶縁層61を形成する。このとき、開口部21Y内の一部に絶縁層45が形成されているため、開口部21Yの容積が大きくなった場合であっても、層間絶縁層61によって充填される空間の容積を小さくすることができる。このため、開口部21Yの容積が大きくなった場合であっても、従来に比べて、開口部21Y内を層間絶縁層61により好適に充填することができる。したがって、開口部21Yの上部に形成された層間絶縁層61に窪みが生じることを好適に抑制できる。換言すると、層間絶縁層61の第2面61Bを平坦に形成することができる。なお、層間絶縁層51,61は、例えば真空ラミネート法や真空プレスにより形成することができる。
また、本工程では、チップキャパシタ40が絶縁層45内に埋設されているため、開口部21Y内に充填される樹脂(層間絶縁層61となる樹脂)の流入圧力等によってチップキャパシタ40に位置ずれ等が発生することを防止することができる。さらに、本製造方法では、絶縁層45(粘着剤72)を剥離せずに、その絶縁層45をチップキャパシタ40及びコア部21に接着させた状態のまま、その絶縁層45の第1面45Aに別の絶縁層、つまり層間絶縁層51を積層するようにした。これにより、絶縁層45(粘着剤72)を剥離する工程が省略されるため、粘着剤72を剥離する際に生じるおそれのある糊残りの発生を未然に防止することができる。
また、本工程では、配線層37の第1面37Aから層間絶縁層51の第1面51A(ここでは、下面)までの厚さT1と、配線層38の第2面38Bから層間絶縁層61の第2面61B(ここでは、上面)までの厚さT2とが略等しくなるように、層間絶縁層51,61の厚さが設定されている。例えば、配線層37,38の厚さが10μmである場合には、層間絶縁層51の厚さが25μmに設定され、絶縁層36の第2面36Bから層間絶縁層61の第2面61Bまでの厚さが35μmに設定される。これにより、厚さT1及び厚さT2が共に25μm程度となる。このように厚さT1,T2を同じ厚さにすることにより、後工程で複数層の配線層を形成する際のハンドリング性を向上させることができる。
次に、図4(d)に示す工程では、配線層37の第1面37Aの一部が露出されるように層間絶縁層51の所定箇所にビアホールVH1を形成するとともに、接続端子42の第1面42Aの一部が露出されるように層間絶縁層51の所定箇所にビアホールVH1を形成する。また、配線層38の第2面38Bの一部が露出されるように層間絶縁層61の所定箇所にビアホールVH2を形成する。これらビアホールVH1,VH2は、例えばCO2レーザやUV−YAGレーザ等によるレーザ加工法によって形成することができる。なお、層間絶縁層51,61が感光性樹脂を用いて形成されている場合には、例えばフォトリソグラフィ法により所要のビアホールVH1,VH2を形成するようにしてもよい。
続いて、ビアホールVH1,VH2をレーザ加工法によって形成した場合には、デスミア処理を行って、ビアホールVH1,VH2の底部に露出する配線層37,38及び接続端子42の露出面に付着した樹脂スミアを除去する。
次いで、図5(a)に示す工程では、ビアホールVH1内にビア配線57を形成するとともに、そのビア配線57を介して配線層37又は接続端子42と電気的に接続される配線層52を層間絶縁層51の第1面51Aに積層する。また、ビアホールVH2内にビア配線67を形成し、そのビア配線67を介して配線層38と電気的に接続される配線層62を層間絶縁層61の第2面61Bに積層する。これらビア配線57,67及び配線層52,62は、例えばセミアディティブ法やサブトラクティブ法などの各種の配線形成方法を用いて形成することができる。
次に、図5(b)に示す工程では、図4(c)〜図5(a)に示した工程を繰り返すことにより、層間絶縁層51の第1面51A上に層間絶縁層53,55と配線層54,56とを交互に積層し、層間絶縁層61の第2面61B上に層間絶縁層63,65と配線層62,64とを交互に積層する。
続いて、配線層56の所要の箇所に画定されるパッドP1を露出させるための開口部24Xを有するソルダレジスト層24を層間絶縁層55の第1面55A(ここでは、下面)に積層する。また、配線層66の所要の箇所に画定される外部接続用パッドP2を露出させるための開口部25Xを有するソルダレジスト層25を層間絶縁層65の第2面65B(ここでは、上面)に積層する。これらソルダレジスト層24,25は、例えば感光性のソルダレジストフィルムをラミネートし、又は液状のソルダレジストを塗布し、当該レジストを所要の形状にパターニングすることにより形成することができる。これにより、ソルダレジスト層24の開口部24Xから配線層56の一部がパッドP1として露出され、ソルダレジスト層25の開口部25Xから配線層66の一部が外部接続用パッドP2として露出される。なお、必要に応じて、パッドP1上及び外部接続用パッドP2上に、例えばNi層とAu層をこの順番で積層した金属層を形成するようにしてもよい。この金属層は、例えば無電解めっき法により形成することができる。以上の製造工程により、図1に示した配線基板20を製造することができる。
次に、図5(c)に従って上記半導体装置10の製造方法について説明する。なお、図5(c)において、同図に示す構造体は図5(b)とは上下反転して描かれている。
図5(c)に示す工程では、まず、上述のように製造された配線基板20に半導体チップ11を実装する。具体的には、配線基板20のパッドP1上に、半導体チップ11のバンプ12をフリップチップ接合する。続いて、フリップチップ接合された配線基板20と半導体チップ11との間に、アンダーフィル樹脂15を充填し、そのアンダーフィル樹脂15を硬化する。そして、外部接続用パッドP2上に外部接続端子16を形成する。例えば外部接続用パッドP2上に、適宜フラックスを塗布した後、外部接続端子16(ここでは、はんだボール)を搭載し、240〜260℃程度の温度でリフローして固定する。その後、表面を洗浄してフラックスを除去する。
以上の製造工程により、図1に示した半導体装置10を製造することができる。
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)チップキャパシタ40の一部を粘着剤72に埋設する際に、開口部21Y内の一部を埋めるように粘着剤72(絶縁層45)を開口部21Y内に形成した後に、その絶縁層45から露出された開口部21Y内を層間絶縁層61で充填するようにした。これにより、開口部21Yを層間絶縁層61で充填する際に、開口部21Y内の一部に絶縁層45が形成された状態となるため、開口部21Yの容積が大きくなった場合であっても、層間絶縁層61によって充填される空間の容積を小さくすることができる。このため、開口部21Yの容積が大きくなった場合であっても、従来に比べて、開口部21Y内を層間絶縁層61により好適に充填することができる。したがって、開口部21Yの上部に形成された層間絶縁層61に窪みが生じることを好適に抑制できる。換言すると、層間絶縁層61の第2面61Bを平坦に形成することができる。この結果、層間絶縁層61の第2面61B上に、微細な配線層62を好適に形成することができる。
(2)配線層37の第1面37Aから層間絶縁層51の第1面51Aまでの厚さT1と、配線層38の第2面38Bから層間絶縁層61の第2面61Bまでの厚さT2とを略同じ厚さに設定した。これにより、製造途中における構造体のハンドリング性を向上させることができる。
(3)粘着剤72(絶縁層45)にチップキャパシタ40の一部を埋設した後に、開口部21Y内を層間絶縁層61で充填するようにした。これにより、開口部21Y内に充填される樹脂の流入圧力によるチップキャパシタ40の位置ずれ等の発生を抑制することができる。したがって、チップキャパシタ40とビア配線57との接続信頼性を向上させることができる。
(4)ところで、図12に示した従来の半導体装置の製造方法において、テープ91の粘着力(接着強度)を強くすることにより、開口部90Xに絶縁層93を充填する際の電子部品92の位置ずれ等を抑制することもできる。しかしながら、このような場合には、図12(c)に示すように、コア基板90からテープ91を剥離する際に、テープ91を固定するための粘着剤等が電子部品92の接続端子の下面に残ってしまう、所謂糊残りが発生する場合がある。このような糊残りが発生すると、図12(d)に示すように、電子部品92と配線層95との電気的接続に支障が生じる。
これに対し、本例では、粘着剤72(絶縁層45)を剥離せずに、その絶縁層45をコア部21及びチップキャパシタ40に接着させた状態のまま、その絶縁層45の第1面45Aに別の絶縁層、つまり層間絶縁層51を積層するようにした。これにより、粘着剤72を剥離する工程が省略されるため、上述した糊残りの発生を未然に防止することができる。このため、粘着剤72の接着強度を強くした場合であっても、糊残りが発生しない。したがって、粘着剤72の接着強度を強くすることにより、開口部21Yを層間絶縁層61で充填する際におけるチップキャパシタ40の位置ずれ等を好適に抑制することができる。
(5)さらに、接続端子42の第1面42Aをテープ基材71の上面71Aに接触させるようにした。このため、テープ70(テープ基材71及び粘着剤72)を剥離する際に、接続端子42の第1面42Aにはテープ基材71が接触されており、粘着剤72は接触されていない。したがって、テープ基材71を剥離した後に接続端子42の第1面42Aに粘着剤72(絶縁層45)が残ることを好適に抑制することができる。このため、チップキャパシタ40と配線層52(ビア配線57)との電気的接続を良好に行うことができる。
(6)ところで、図12に示した従来の半導体装置の製造方法では、開口部90Xを充填しコア基板90の上面90Bを被覆する絶縁層93と、テープ91を剥離した後のコア基板90の下面90Aを被覆する絶縁層94とでは熱履歴が異なることになる。すなわち、絶縁層93は熱硬化等の熱履歴に2回晒されるのに対し、絶縁層94は熱硬化等の熱履歴に1回晒される。このように絶縁層93,94で熱履歴が異なると、コア基板90の上下において絶縁層93,94の表面状態が異なることになるため、それら絶縁層93,94上に配線層を形成する際の形成条件にばらつきが生じる。
これに対し、本例では、テープ基材71を剥離した後に、コア部21の第1面35A側の層間絶縁層51と、コア部21の第2面36B側の層間絶縁層61とを同時に形成するようにした。これにより、コア部21の上下に形成された層間絶縁層51,61で熱履歴を等しくすることができる。このため、それら層間絶縁層51,61上に配線層52,62を形成する際の形成条件が均一化される。したがって、層間絶縁層51,61上に配線層52,62を好適に形成することができる。
(他の実施形態)
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の態様にて実施することもできる。
・上記実施形態では、チップキャパシタ40の接続端子42の第1面42Aを、配線層37の第1面37Aと同一平面上に形成するようにした。これに限らず、例えば接続端子42の第1面42Aを、配線層37の第1面37Aよりもコア部21の第2面36Bとは反対側の方向(図1における上方)に突出させるようにしてもよい。このような配線基板は、例えば以下のように形成することができる。
まず、図6(a)に示す工程では、図3(a)〜図3(c)に示した工程と同様の工程を実施することにより、テープ70の粘着剤72の上面72A上に、コア部21とチップキャパシタ40とを搭載する。
続いて、図6(b)に示す工程では、図6(a)に示した構造体を110〜160℃程度の温度で加熱した状態で、チップキャパシタ40及びコア部21をテープ70(粘着剤72)に対して押圧する。このとき、接続端子42の第1面42Aがテープ基材71の上面71Aに接触するまで、チップキャパシタ40をテープ70に対して押圧する。これにより、本例のチップキャパシタ40は全体的に粘着剤72に埋設される。その一方で、本工程では、配線層37の第1面37Aをテープ基材71の上面71Aに接触させない。すなわち、配線層37は、その第1面37Aが粘着剤72の厚さ方向の中途に位置するように粘着剤72内に埋設される。本工程により、接続端子42の第1面42Aが、配線層37の第1面37Aよりもコア部21の第2面36Bとは反対側の方向(ここでは、下方)に突出される。その後、例えば粘着剤72を熱硬化することにより、絶縁層45が形成される。
次に、図6(c)に示す工程では、図6(b)に示したテープ基材71を剥離する。すると、絶縁層35の第1面35A、開口部21Yの内壁面の一部、配線層37の第1面37A及び側面、接続端子42の第2面42B及び側面、接続端子42から露出されたキャパシタ本体41の表面全面が絶縁層45によって被覆された状態となる。その一方で、接続端子42の第1面42Aは絶縁層45から露出される。続いて、絶縁層45から露出された接続端子42に対して粗化処理を施す。
次いで、図6(d)に示す工程では、図4(c)に示した工程と同様に、絶縁層45の第1面45A上に層間絶縁層51を形成するとともに、絶縁層45から露出された開口部21Yを充填し、配線層38を被覆する層間絶縁層61を絶縁層36の第2面36B上に形成する。このとき、配線層37の第1面37Aから層間絶縁層51の第1面51Aまでの厚さと、配線層38の第2面38Bから層間絶縁層61の第2面61Bまでの厚さとが等しくなるように、層間絶縁層51,61の厚さが設定されることが好ましい。
次に、図7(a)に示す工程では、図4(d)に示した工程と同様に、例えばレーザ加工法により、配線層37の第1面37Aの一部が露出されるように絶縁層45及び層間絶縁層51の所要箇所に、それら絶縁層45及び層間絶縁層51を貫通するビアホールVH1を形成する。また、例えばレーザ加工法により、接続端子42の第1面42Aの一部が露出されるように層間絶縁層51の所要箇所に、その層間絶縁層51を貫通するビアホールVH1を形成する。さらに、例えばレーザ加工法により、配線層38の第2面38Bの一部が露出されるように層間絶縁層61の所要箇所に、その層間絶縁層61を貫通するビアホールVH2を形成する。
続いて、図7(b)に示す工程では、例えばセミアディティブ法により、ビアホールVH1内にビア配線57を形成するとともに、そのビア配線57を介して配線層37又は接続端子42と電気的に接続される配線層52を層間絶縁層51の第1面51A上に積層する。また、例えばセミアディティブ法により、ビアホールVH2内にビア配線67を形成し、そのビア配線67を介して配線層38と電気的に接続される配線層62を層間絶縁層61の第2面61B上に積層する。
その後、図5(b)及び図5(c)に示した工程と同様の工程を実施することにより、図7(c)に示すように、本変形例の配線基板20及び半導体装置10を製造することができる。
・上記実施形態及び上記変形例では、チップキャパシタ40を粘着剤72に埋設する際に、接続端子42の第1面42Aをテープ基材71の上面71Aに接触させるようにした。これに限らず、例えばチップキャパシタ40を粘着剤72に埋設する際に、接続端子42の第1面42Aをテープ基材71の上面71Aに接触させないようにしてもよい。このような配線基板は、例えば以下のように形成することができる。
まず、図8(a)に示す工程では、図3(a)〜図3(c)に示した工程と同様の工程を実施することにより、テープ70の粘着剤72の上面72A上に、コア部21とチップキャパシタ40とを搭載する。
続いて、図8(b)に示す工程では、図8(a)に示した構造体を110〜160℃程度の温度で加熱した状態で、チップキャパシタ40及びコア部21をテープ70(粘着剤72)に対して押圧する。このとき、接続端子42の第1面42Aをテープ基材71の上面71Aに接触させない。すなわち、接続端子42は、その第1面42Aが粘着剤72の厚さ方向の中途に位置するように粘着剤72内に埋設される。なお、本例の配線層37は、接続端子42と同様に、第1面37Aをテープ基材71の上面71Aに接触させない。本例では、接続端子42の第1面42Aと配線層37の第1面37Aとが同一平面上に位置するように、チップキャパシタ40及びコア部21が粘着剤72に埋設される。その後、例えば粘着剤72を熱硬化することにより、絶縁層45が形成される。
次に、図8(c)に示す工程では、図8(b)に示したテープ基材71を剥離する。すると、絶縁層35の第1面35A、開口部21Yの内壁面の一部、配線層37の第1面37A及び側面、チップキャパシタ40全面が絶縁層45によって被覆された状態となる。
次いで、図4(c)に示した工程と同様に、絶縁層45の第1面45A上に層間絶縁層51を形成するとともに、絶縁層45から露出された開口部21Yを充填し、配線層38を被覆する層間絶縁層61を絶縁層36の第2面36B上に形成する。
続いて、図8(d)に示した工程では、図7(a)及び図7(b)に示した工程と同様に、層間絶縁層51の第1面51A上に、絶縁層45及び層間絶縁層51を厚さ方向に貫通するビア配線57を介して配線層37又は接続端子42と接続される配線層52を形成する。また、層間絶縁層61の第2面61B上に、層間絶縁層61を厚さ方向に貫通するビア配線67を介して配線層38と接続される配線層62を形成する。
その後、図5(b)及び図5(c)に示した工程と同様の工程を実施することにより、本変形例の配線基板及び半導体装置を製造することができる。
・上記実施形態では、チップキャパシタ40を全体的に粘着剤72に埋設するようにした。これに限らず、チップキャパシタ40の一部のみを粘着剤72に埋設するようにしてもよい。換言すると、開口部21Y内において、チップキャパシタ40の一部を被覆する絶縁層45を形成するようにしてもよい。
例えば図9(a)に示すように、チップキャパシタ40の接続端子42の側面全面を被覆するように絶縁層45を形成するようにしてもよい。換言すると、開口部21Y内において、その開口部21Yの内壁面とチップキャパシタ40との間の空間を埋めるように絶縁層45を形成するようにしてもよい。本例では、絶縁層45の第2面45Bが接続端子42の第2面42Bと略面一になるように形成されている。この場合には、接続端子42の第2面42B及びキャパシタ本体41の第2面41Bは絶縁層45から露出される。また、この場合には、絶縁層45から露出された開口部21Y内は、接続端子42の第2面42B及びキャパシタ本体41の第2面41Bを被覆するように層間絶縁層61によって充填される。
また、例えば図9(b)に示すように、開口部21Y内に配置されたチップキャパシタ40の側面の一部のみを被覆するように絶縁層45を形成するようにしてもよい。換言すると、開口部21Y内において、その開口部21Yの内壁面とチップキャパシタ40との間の空間の一部のみを埋めるように絶縁層45を形成するようにしてもよい。この場合には、絶縁層45から露出された開口部21Y内は、絶縁層45から露出されたチップキャパシタ40(具体的には、接続端子42の側面の一部及び第2面42Bと、キャパシタ本体41の側面の一部及び第2面41B)を被覆するように層間絶縁層61によって充填される。
このように、開口部21Y内の一部、例えば開口部21Yの内壁面とチップキャパシタ40との間の空間の一部にでも絶縁層45を形成することにより、層間絶縁層61によって充填される空間を小さくすることができる。このため、上記実施形態の(1)の効果と同様の効果を奏することができる。
・上記実施形態及び上記各変形例では、接続端子42の第1面42A及び第2面42Bの一方の第1面42A側のみにビア配線57を形成するようにした。これに限らず、例えば接続端子42の第1面42A及び第2面42Bの両側にビア配線を形成するようにしてもよい。このような配線基板は、例えば以下のように形成することができる。
まず、図10(a)に示す工程では、図3(a)〜図4(c)に示した工程と同様の工程を実施することにより、図4(c)に示した構造体と同様の構造体を得る。すなわち、絶縁層45の第1面45Aと接続端子42の第1面42Aと配線層37の第1面37Aとを被覆する層間絶縁層51が形成され、絶縁層45から露出された開口部21Yを充填しコア部21の第2面36B及び配線層38を被覆する層間絶縁層61が形成された構造体を得る。
次に、図10(b)に示す工程では、例えばレーザ加工法により、配線層37の第1面37Aの一部又は接続端子42の第1面42Aの一部が露出されるように層間絶縁層51の所定箇所にビアホールVH1を形成する。また、例えばレーザ加工法により、配線層38の第2面38Bの一部が露出されるように層間絶縁層61の所定箇所にビアホールVH2を形成する。さらに、例えばレーザ加工法により、接続端子42の第2面42Bの一部が露出されるように層間絶縁層61及び絶縁層45の所定箇所に、それら層間絶縁層61及び絶縁層45を貫通するビアホールVH3を形成する。
次いで、図10(c)に示す工程では、例えばセミアディティブ法により、ビアホールVH1内にビア配線57を形成するとともに、そのビア配線57を介して配線層37又は接続端子42と電気的に接続される配線層52を層間絶縁層51の第1面51Aに形成する。また、例えばセミアディティブ法により、ビアホールVH2内にビア配線67を形成し、そのビア配線67を介して配線層38と電気的に接続される配線層62を層間絶縁層61の第2面61Bに積層する。さらに、例えばセミアディティブ法により、ビアホールVH3内にビア配線67Aを形成し、そのビア配線67Aを介して接続端子42と電気的に接続される配線層62を層間絶縁層61の第2面61Bに積層する。
その後、図5(b)及び図5(c)に示した工程と同様の工程を実施することにより、本変形例の配線基板及び半導体装置を製造することができる。
・上記実施形態及び上記各変形例における配線基板20では、コア部21の厚さよりも薄いチップキャパシタ40を内蔵するようにした。これに限らず、例えばコア部21の厚さよりも厚いチップキャパシタ40を配線基板20に内蔵するようにしてもよい。このような配線基板は、例えば以下のように形成することができる。
まず、図11(a)に示す工程では、コア部80を準備する。すなわち、公知の技術を用いて、コア基板81と、そのコア基板81を厚さ方向に貫通する貫通電極82と、コア基板81の第1面81Aに形成された配線層83と、コア基板81の第2面81Bに形成され、貫通電極82を介して配線層83と接続される配線層84とを有するコア部80を形成する。続いて、コア部80(コア基板81)に、チップキャパシタ40の搭載位置に対応する位置を開口する開口部80Yを形成する。なお、この開口部80Yは、例えばルータ加工、金型を用いた金型加工、レーザ加工や機械ドリル加工等によって形成することができる。
また、図11(a)に示す工程では、コア部80の第1面81A、つまりコア基板81の第1面81A側にテープ70を配置する。このとき、テープ70は、粘着剤72がコア基板81と対向するように粘着剤72を上側に向けた状態で配置される。
次に、図11(b)に示す工程では、図3(b)及び図3(c)に示した工程と同様に、配線層83の第1面83Aにテープ70を貼着し、コア部80の開口部80Yに露出された粘着剤72上にチップキャパシタ40を搭載した構造体を得る。続いて、図3(d)に示した工程と同様に、上記構造体を110〜160℃程度の温度で加熱した状態で、チップキャパシタ40及びコア部80をテープ70(粘着剤72)に対して押圧する。すると、半硬化状態の粘着剤72は、コア基板81の第1面81A、配線層83の第1面83A、キャパシタ本体41の第1面41Aや接続端子42の第1面42Aによって押圧されて平面方向に広がる。このように広がる粘着剤72は、チップキャパシタ40と開口部80Yの内壁面との間の空間の一部を充填するように開口部80Y内に形成される。そして、本例では、このように広がる粘着剤72によってチップキャパシタ40の側面の一部及びキャパシタ本体41の第1面41Aが被覆されるとともに、粘着剤72によって開口部21Yの内壁面の一部が被覆される。換言すると、本工程では、チップキャパシタ40を粘着剤72に対して押圧することにより、半硬化状態の粘着剤72の中にチップキャパシタ40の一部を埋設する。また、本工程では、接続端子42の第1面42A及び配線層83の第1面83Aがテープ基材71の上面71Aに接触するまで、チップキャパシタ40及びコア部80をテープ70に対して押圧する。その後、例えば熱硬化処理により粘着剤72を熱硬化して、絶縁層45を形成する。
このとき、本例のチップキャパシタ40は、接続端子42の第2面42B(ここでは、上面)側の一部が開口部80Yから上方に突出している。例えばチップキャパシタ40は、コア基板81の第2面81Bよりも上方に突出し、さらに配線層84の第2面84B(ここでは、上面)よりも上方に突出している。
続いて、図11(c)に示す工程では、図11(b)に示したテープ基材71を剥離する。すると、コア基板81の第1面81Aと、開口部80Yの内壁面の一部と、配線層83の側面と、チップキャパシタ40の側面の一部と、キャパシタ本体41の第1面41Aとが絶縁層45によって被覆された状態となる。
次いで、図4(c)に示した工程と同様に、絶縁層45の第1面45A上に層間絶縁層51を形成するとともに、絶縁層45から露出された開口部80Yを充填し、絶縁層45から露出されたチップキャパシタ40と配線層84とを被覆する層間絶縁層61をコア基板81の第2面81B上に形成する。この層間絶縁層61によって、絶縁層45から露出されたチップキャパシタ40が全体的に被覆される。すなわち、絶縁層45から露出されたチップキャパシタ40は、層間絶縁層61に埋設される。換言すると、コア基板81の第2面81Bよりも上方にチップキャパシタ40の一部が突出する場合であっても、その突出したチップキャパシタ40を層間絶縁層61に埋設することができ、その突出した分の厚さを層間絶縁層61によって吸収することができる。
続いて、図11(d)に示した工程では、図4(d)及び図5(a)に示した工程と同様に、例えばセミアディティブ法により、層間絶縁層51の第1面51A上に、層間絶縁層51を厚さ方向に貫通するビア配線57を介して配線層83又は接続端子42と接続される配線層52を形成する。また、例えばセミアディティブ法により、層間絶縁層61の第2面61B上に、層間絶縁層61を厚さ方向に貫通するビア配線67を介して配線層84と接続される配線層62を形成する。さらに、例えばセミアディティブ法により、層間絶縁層61の第2面61B上に、層間絶縁層61を厚さ方向に貫通するビア配線67Aを介して接続端子42と接続される配線層62を形成する。
その後、図5(b)及び図5(c)に示した工程と同様の工程を実施することにより、本変形例の配線基板及び半導体装置を製造することができる。
・上記実施形態及び上記各変形例では、配線基板20に、2つの接続端子42を有するチップキャパシタ40を内蔵するようにした。これに限らず、例えば3つ以上の接続端子42を有するキャパシタなどの電子部品を配線基板20に内蔵するようにしてもよい。
・上記実施形態及び上記各変形例では、配線基板20にチップキャパシタ40を内蔵したが、チップ抵抗、インダクタ、半導体装置(LSI)等の電子部品を内蔵するようにしてもよい。
・上記実施形態及び上記各変形例の配線基板20では、1つの電子部品(チップキャパシタ40)を内蔵するようにした。これに限らず、例えば2つ以上の電子部品を内蔵する配線基板に具体化してもよい。また、1つの配線基板に内蔵する電子部品は1種類に限らず、複数種類の電子部品を内蔵するようにしてもよい。
・上記実施形態及び上記各変形例のコア部21において、最外層の配線層37,38よりも内層の構造については特に限定されない。同様に、コア部80において、最外層の配線層83,84よりも内層の構造については特に限定されない。すなわち、コア部21,80は、少なくとも、最外層の配線層37,38(配線層83,84)が基板内部を通じて相互に電気的に接続された構造を有し、開口部21Y(開口部80Y)が形成された構造を有していれば十分であるため、最外層の配線層よりも内層の構造については特に限定されない。例えばコア基板31,81の構造及び材質は特に限定されない。また、コア部21,80の内層における配線層及び絶縁層の層数や配線の取り回しなどは様々に変形・変更することが可能である。あるいは、コア部21を、コア基板31を含まないコアレス基板としてもよい。
・上記実施形態及び上記各変形例では、貫通孔21Xを充填するように貫通電極39を形成するようにした。これに限らず、例えば貫通電極39をコンフォーマルビアとして形成してもよい。すなわち、貫通電極39は、貫通孔21Xの内壁面を被覆し、コア部21の第1面35A及び第2面36Bにそれぞれ形成された配線層37,38を電気的に接続する貫通電極であれば、その形状は特に限定されない。なお、貫通電極82についても同様に変更することができる。
・上記実施形態及び上記各変形例の配線構造22における配線層52,54,56及び層間絶縁層51,53,55の層数や配線の取り回しなどは様々に変形・変更することが可能である。
・上記実施形態及び上記各変形例の配線構造23における配線層62,64,66及び層間絶縁層61,63,65の層数や配線の取り回しなどは様々に変形・変更することが可能である。
・上記実施形態及び上記各変形例におけるコア部21,80の開口部21Y,80Yを断面視略矩形状に形成するようにした。これに限らず、例えば開口部21Y,80Yを、ビアホールVH1等と同様に、断面視略台形状に形成するようにしてもよいし、開口部21Y,80Yを断面視略鼓形状に形成するようにしてもよい。
・上記実施形態及び上記各変形例では、単数個取り(一個取り)の製造方法に具体化したが、多数個取りの製造方法に具体化してもよい。
・上記実施形態及び上記各変形例における半導体装置10の配線基板20に実装される半導体チップの数や、その半導体チップの実装の形態(例えば、フリップチップ実装、ワイヤボンディングによる実装、又はこれらの組み合わせ)などは様々に変形・変更することが可能である。