JP6342787B2 - 制御装置 - Google Patents
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Description
しかしながらトルクが要求トルクまで一度に上げられると、ベルトの伸びやテンショナの揺動に起因してモータの回転数が目標値に対して増加する方へ比較的大きくずれてしまう。モータの回転数はやがて目標値に収束するものの、回転数ずれ量が大きい分、モータが効率の比較的低い領域で作動する時間が長くなり、モータの効率が低下するおそれがある。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態による制御装置は、図1に示す内燃機関としてのエンジンに用いられる。エンジン11は、駆動軸としてのクランク軸31と、モータ13と、補機14、15との間でベルト伝動により動力伝達を行うベルト伝動システム12を備えている。
先ず、ベルト伝動システム12の構成について図1を参照して説明する。
図1に示すように、ベルト伝動システム12は、駆動軸プーリ21、補機プーリ22、23、モータ13、モータ軸プーリ25、ベルト26、アイドラプーリ27、第1テンショナ29および第2テンショナ28を備えている。
補機プーリ23は、補機15の入力軸33に固定されており、入力軸33と一体に回転可能である。本実施形態では補機15は空調用コンプレッサである。
モータ軸プーリ25は、モータ13のモータ軸16に固定されており、モータ軸16と一体に回転可能である。
アイドラプーリ27は、駆動軸プーリ21と補機プーリ22との間に設けられている。
また、ベルト伝動システム12は、モータ13の発電機能を発揮するとき、クランク軸31の出力トルク(エンジントルク)を駆動軸プーリ21およびベルト26を介してモータ軸プーリ25に伝達することによって、モータ軸16を回転駆動する。
次に、制御装置51について図1〜図7を参照して説明する。
図1に示す制御装置51は、マイクロコンピュータを主体として構成されており、エンジン11が有する各種電子制御機器および車両に設けられる各種センサと電気的に接続される。上記各種電子制御機器には、モータ13、図示しないスロットル弁、燃料噴射装置および点火装置などが含まれる。上記各種センサには、モータ軸16の回転数(モータ回転数)を検出可能な回転数センサ52が含まれる。回転数センサ52は、特許請求の範囲に記載の「モータ回転数検出部」に相当する。
ΔNmmax=60×{(L1−L2)/(t×10-3×Dm)}・・・(1)
ステップS7では、交点pに対応するモータトルクと現状のモータトルクとのトルク差ΔTmが算出される。ステップS7のあと、処理はステップS8に移行する。
ステップS10では、トルク差ΔTmが予め設定された下限値ΔTmminよりも小さいか否かが判定される。ステップS10の判定が肯定された場合(S10:Yes)、処理はステップS11に移行する。一方、ステップS10の判定が否定された場合(S10:No)、処理はステップS12に移行する。
ステップS12では、交点pに対応するモータトルクが目標モータトルクTmtに設定される。ステップS12のあと、処理はステップS13に移行する。
ステップS9、S11、S12で設定される目標モータトルクTmtは、現状のモータトルクよりも大きいモータトルクであり、かつ、モータ回転数ずれ量が発生しつつもモータ13の効率が現状の効率よりも高くなるモータトルクである。
ステップS15では、現状のモータ回転数と目標モータ回転数Nmtとの差であるモータ回転数ずれ量ΔNmが所定の第1許容量ΔNmp以下であるか否かが判定される。第1許容量ΔNmpは、例えば回転数検出誤差程度の極小さい値に設定される。ステップS15の判定が肯定された場合(S15:Yes)、処理はステップS6に移行する。一方、ステップS15の判定が否定される間(S15:No)、処理はステップS15を繰り返す。
ステップS17では、モータ回転数ずれ量ΔNmが第1許容量ΔNmp以下であるか否かが判定される。ステップS17の判定が肯定された場合(S17:Yes)、処理は図3および図4のルーチンを抜ける。一方、ステップS17の判定が否定される間(S17:No)、処理はステップS17を繰り返す。
図5に示すように初回モータトルクTm0が零であり、目標モータ回転数NmtがNmt1であり、要求モータトルクTmrがTmr1である場合、動作点は、A−p1−B−p2−C−D−E−F−Gのように移動する。
動作点がIであるとき、直線SL6と等効率曲線CL2との交点p6に対応するモータトルクTmt6’と現状のモータトルクTmt5とのトルク差ΔTm2は、下限値ΔTmminよりも小さい。そのため、目標モータトルクTmtは、現状のモータトルクTmt5に下限値ΔTmminを足した値Tmt6に設定される。
以上説明したように、第1実施形態では、制御装置51は、第1要求値算出部54、第1目標値設定部55、第1トルク判定部56、第1トルク制御部57および第1待機部58を有する。第1要求値算出部54は要求モータトルクTmrを算出する。第1目標値設定部55は、現状のモータトルクよりも大きいモータトルクであり、かつ、モータ回転数ずれ量が発生しつつもモータ13の効率が現状の効率よりも高くなるモータトルクを目標モータトルクTmtに設定する。第1トルク判定部56は、目標モータトルクTmtが要求モータトルクTmrよりも小さいか否かを判定する。第1トルク制御部57は、目標モータトルクTmtが要求モータトルクTmrよりも小さいと判定された場合にはモータトルクを目標モータトルクTmtまで上げ、目標モータトルクTmtが要求モータトルクTmr以上であると判定された場合にはモータトルクを要求モータトルクTmrまで上げる。第1待機部58は、第1トルク制御部57によるトルク制御の後、モータ回転数ずれ量ΔNmが所定の第1許容量ΔNmp以下になるまで第1目標値設定部55による目標モータトルクTmtの再設定を待機させる。
一つ目の方法として、テンショナ28、29の動きをロックするロック手段を設けてテンショナ28、29の揺動を防止する方法がある。しかしながら、この方法によると上記ロック手段が新たに必要になる欠点がある。
第1実施形態によれば、上記欠点が生じることなくモータ回転数ずれ量を小さくしてモータの効率低下を抑制することができる。
図8において、ベルト伝動システム12では、モータ13の回生作動中にエンジントルクを増加させるとき、エンジントルクを要求エンジントルクまで一度に上げる制御が行われると、ベルト26の伸びやテンショナ28、29の揺動に起因してエンジン回転数が目標エンジン回転数に対して増加する方へ比較的大きくずれてしまう。エンジン回転数はやがて目標エンジン回転数に収束するものの、エンジン回転数ずれ量が大きい分、エンジン11が効率の比較的低い領域で作動する時間が長くなり、エンジン11の効率が低下するおそれがある。
ΔNemax=60×{(L1−L2)/(t×10-3×De)}・・・(2)
ステップS27では、交点pに対応するエンジントルクと現状のエンジントルクとのトルク差ΔTeが算出される。ステップS27のあと、処理はステップS28に移行する。
ステップS30では、トルク差ΔTeが予め設定された下限値ΔTeminよりも小さいか否かが判定される。ステップS30の判定が肯定された場合(S30:Yes)、処理はステップS31に移行する。一方、ステップS30の判定が否定された場合(S30:No)、処理はステップS32に移行する。
ステップS32では、交点pに対応するエンジントルクが目標エンジントルクTetに設定される。ステップS32のあと、処理はステップS33に移行する。
ステップS29、S31、S32で設定される目標エンジントルクTetは、現状のエンジントルクよりも大きいエンジントルクであり、かつ、エンジン回転数ずれ量が発生しつつもエンジン11の効率が現状の効率よりも高くなるエンジントルクである。
ステップS35では、現状のエンジン回転数と目標エンジン回転数Netとの差であるエンジン回転数ずれ量ΔNeが所定の第2許容量ΔNep以下であるか否かが判定される。第2許容量ΔNepは、例えば回転数検出誤差程度の極小さい値に設定される。ステップS35の判定が肯定された場合(S35:Yes)、処理はステップS26に移行する。一方、ステップS35の判定が否定される間(S35:No)、処理はステップS35を繰り返す。
ステップS37では、エンジン回転数ずれ量ΔNeが第2許容量ΔNep以下であるか否かが判定される。ステップS37の判定が肯定された場合(S37:Yes)、処理は図9および図10のルーチンを抜ける。一方、ステップS37の判定が否定される間(S37:No)、処理はステップS37を繰り返す。
本発明の他の実施形態では、制御装置は、第1テンショナおよび第2テンショナの一方または両方を備えていないベルト伝動システムに用いられてもよい。
本発明の他の実施形態では、第1テンショナおよび第2テンショナは、振り子式に限らず、他の形式のテンショナであってもよい。
第1実施形態では、第1テンショナおよび第2テンショナは、共通の付勢部材を有していた。これに対して、本発明の他の実施形態では、第1テンショナの付勢部材および第2テンショナの付勢部材が個別に設けられてもよい。
本発明の他の実施形態では、第2テンショナは、駆動軸プーリと補機プーリとの間に設けられてもよい。要するに、ベルトの回転方向において駆動軸プーリからモータ軸プーリまでの間でベルトの張力を調整可能なよう設けられればよい。
第1実施形態では、モータ効率マップには、モータの効率5%毎の等効率曲線が含まれていた。これに対して、本発明の他の実施形態では、各等効率曲線の効率の間隔は、5%より小さくてもよいし、5%より大きくてもよい。また、各等効率曲線の効率の間隔は等間隔でなくてもよい。
本発明の他の実施形態では、ベルトは、ゴム製に限らず、例えば金属製等であってもよい。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施可能である。
13・・・モータ 16・・・モータ軸
21・・・駆動軸プーリ 25・・・モータ軸プーリ
26・・・ベルト 31・・・クランク軸(駆動軸)
51・・・制御装置 52・・・回転数センサ(モータ回転数検出部)
54・・・第1要求値算出部(第1要求値算出手段)
55・・・第1目標値設定部(第1目標値設定手段)
56・・・第1トルク判定部(第1トルク判定手段)
57・・・第1トルク制御部(第1トルク制御手段)
58・・・第1待機部(第1待機手段)
Claims (6)
- 内燃機関(11)の駆動軸(31)に取り付けられている駆動軸プーリ(21)と、電子制御可能なモータ(13)と、前記モータのモータ軸(16)に取り付けられているモータ軸プーリ(25)と、少なくとも前記駆動軸プーリと前記モータ軸プーリとに掛け回されているベルト(26)と、前記モータ軸の回転数であるモータ回転数を検出可能なモータ回転数検出部(52)と、を備える前記内燃機関を制御する制御装置(51)であって、
前記モータの出力トルクをモータトルクとし、現状のモータ回転数と目標モータ回転数(Nmt)との差をモータ回転数ずれ量(ΔNm)とすると、
要求モータトルク(Tmr)を算出する第1要求値算出手段(54)と、
現状のモータトルクよりも大きいモータトルクであり、かつ、モータ回転数ずれ量が発生しつつも前記モータの効率が現状の効率よりも高くなるモータトルクを目標モータトルク(Tmt)に設定する第1目標値設定手段(55)と、
目標モータトルクが要求モータトルクよりも小さいか否かを判定する第1トルク判定手段(56)と、
目標モータトルクが要求モータトルクよりも小さいと判定された場合にはモータトルクを目標モータトルクまで上げ、目標モータトルクが要求モータトルク以上であると判定された場合にはモータトルクを要求モータトルクまで上げる第1トルク制御手段(57)と、
前記第1トルク制御手段によるトルク制御の後、モータ回転数ずれ量が所定の第1許容量(ΔNmp)以下になるまで前記第1目標値設定手段による目標モータトルクの再設定を待機させる第1待機手段(58)と、
を有することを特徴とする制御装置。 - 一方の軸がモータ回転数を表し他方の軸がモータトルクを表す座標系において前記モータの効率が等しい点を結ぶ複数の等効率曲線(CL1〜CL5)を含むマップを予め記憶している記憶手段(53)をさらに備え、
要求モータトルクを算出する時点でのモータトルクを初回モータトルク(Tm0)とすると、
前記第1目標値設定手段は、モータトルクを初回モータトルクから要求モータトルクまで一度に上げるときのモータ回転数ずれ量である最大モータ回転数ずれ量(ΔNmmax)を算出し、要求モータトルクと初回モータトルクとの差を最大モータ回転数ずれ量で割った値であるトルク変化率(α)を算出し、前記マップ上で現状の動作点を通り且つ傾きがトルク変化率と一致する直線(SL1〜SL9)と等効率曲線との交点(p1〜p9)、に対応するモータトルクを目標モータトルクに設定することを特徴とする請求項1に記載の制御装置。 - 前記第1目標値設定手段は、前記交点に対応するモータトルクと現状のモータトルクとのトルク差(ΔTm)が予め設定された上限値(ΔTmmax)を超える場合、現状のモータトルクに前記上限値を足した値を目標モータトルクに設定することを特徴とする請求項2に記載の制御装置。
- 前記第1目標値設定手段は、前記交点に対応するモータトルクと現状のモータトルクとのトルク差が予め設定された下限値(ΔTmmin)よりも小さい場合、現状のモータトルクに前記下限値を足した値を目標モータトルクに設定することを特徴とする請求項2または3に記載の制御装置。
- 前記内燃機関の出力トルクをエンジントルクとし、前記駆動軸の回転数をエンジン回転数とし、現状のエンジン回転数と目標エンジン回転数(Net)との差をエンジン回転数ずれ量(ΔNe)とすると、
要求エンジントルク(Ter)を算出する第2要求値算出手段(64)と、
現状のエンジントルクよりも大きいエンジントルクであり、かつ、エンジン回転数ずれ量が発生しつつも前記内燃機関の効率が現状の効率よりも高くなるエンジントルクを目標エンジントルク(Tet)に設定する第2目標値設定手段(65)と、
目標エンジントルクが要求エンジントルクよりも小さいか否かを判定する第2トルク判定手段(66)と、
目標エンジントルクが要求エンジントルクよりも小さいと判定された場合にはエンジントルクを目標エンジントルクまで上げ、目標エンジントルクが要求エンジントルク以上であると判定された場合にはエンジントルクを要求エンジントルクまで上げる第2トルク制御手段(67)と、
前記第2トルク制御手段によるトルク制御の後、エンジン回転数ずれ量が所定の第2許容量(ΔNep)以下になるまで前記第2目標値設定手段による目標エンジントルクの再設定を待機させる第2待機手段(68)と、
を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の制御装置。 - 前記内燃機関は、
前記ベルトの回転方向において前記駆動軸プーリから前記モータ軸プーリまでの間で前記ベルトの張力を調整可能な第1テンショナ(29)と、
前記ベルトの回転方向において前記モータ軸プーリから前記駆動軸プーリまでの間で前記ベルトの張力を調整可能な第2テンショナ(28)と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の制御装置。
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