JP2020157995A - ハイブリッドシステムの制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】伝達ベルトにスリップを生じさせることなく、内燃機関及び補機の運転状態に応じて効率的にモータジェネレータを制御する。【解決手段】張力算出部は、モータジェネレータの出力トルクがゼロであると仮定して、内燃機関の運転状態及び補機の運転状態に応じて、伝達ベルトに作用する第1張力及び第2張力を算出し、それら第1張力と第2張力との比を仮張力比として算出する(ステップS15)。モータ制御部は、伝達ベルトにスリップが発生しない状態での第1張力と第2張力との比の限界値として予め定められた基準張力比と、仮張力比との差異に基づいて、モータジェネレータの出力トルクの制限値を設定する(ステップS40)。【選択図】図3

Description

この発明は、ハイブリッドシステムの制御装置に関する。
特許文献1に開示された車両は、当該車両の駆動源として内燃機関を備えている。内燃機関のクランクシャフトには、ベルトを介して発電機が駆動連結されている。この車両の制御装置は、ベルトの伝達トルクに関して、ベルトがスリップを生じない当該伝達トルクの上限値をクランクシャフトの回転数や車速から定める。そして、ベルトの伝達トルクが上限値を越えないように、発電機を制御する。
特開2003−193877号公報
特許文献1のような技術においては、クランクシャフトの回転数や車速に基づいて伝達トルクの上限値を定める際、ベルトにかかる負担が相応に大きい場合でもベルトのスリップが生じないことを見込んだ値として当該上限値を定めておく必要がある。したがって、伝達トルクの上限値は、比較的に低い値に定められがちで、実際にはさらに発電機のトルクを高められるにも拘わらず、上記の上限値に応じて見合わせているケースもある。このように、特許文献1のような技術では、必ずしも最適に発電機を制御できているとはいえず、ベルトのスリップを抑制しつつ、効率的に発電機を動作させるという点で、さらなる改善の余地がある。
上記課題を解決するためのハイブリッドシステムの制御装置は、内燃機関のクランクシャフトとモータジェネレータとが伝達ベルトを介して駆動連結されており、前記クランクシャフトと当該クランクシャフトの回転トルクを動力源とする補機とが前記伝達ベルトを介して駆動連結されているハイブリッドシステムに適用される制御装置であって、前記モータジェネレータの出力トルクを制御するモータ制御部と、前記伝達ベルトに作用する張力のうち、前記クランクシャフトのプーリと前記伝達ベルトの進行方向においてその次のプーリとの間に作用する第1張力と、前記クランクシャフトのプーリと前記伝達ベルトの進行方向においてその手前のプーリとの間に作用する第2張力を算出する張力算出部とを備え、前記張力算出部は、前記モータジェネレータの出力トルクがゼロであると仮定して、前記内燃機関の運転状態及び前記補機の運転状態に応じて前記第1張力及び前記第2張力を算出するとともに、前記第1張力と前記第2張力との比を仮張力比として算出し、前記モータ制御部は、前記伝達ベルトにスリップが発生しない状態での前記第1張力と前記第2張力との比の限界値として予め定められた基準張力比と、前記仮張力比との差異に基づいて、前記モータジェネレータの出力トルクの制限値を設定する。
上記構成によれば、モータジェネレータによる張力が生じていないと仮定した場合に伝達ベルトがスリップを生じる状況にあるか否かを、基準張力比と仮張力比との差異に基づいて判別できる。ここで、基準張力比と仮張力比との差異を相殺する張力から、ベルトにスリップを発生させない状態でさらにベルトに付加できる張力を把握できる。こうした張力を生じさせるようにモータジェネレータを制御することで、伝達ベルトの非スリップ状態を維持したままモータジェネレータの出力トルクを相応に大きくできる。すなわち、伝達ベルトにスリップを生じさせることなく、内燃機関及び補機の運転状態に応じて効率的にモータジェネレータを制御できる。
ハイブリッドシステムの概略構成図。 第1伝達ベルトのスリップを説明する図。 スリップ用トルク算出処理の処理手順を表したフローチャート。 モータ制御処理の処理手順を表したフローチャート。
以下、ハイブリッドシステムの制御装置の一実施形態を、図面を参照して説明する。
先ず、ハイブリッドシステムの概略構成を説明する。
図1に示すように、ハイブリッドシステムは、駆動源として内燃機関10を備えている。内燃機関10のクランクシャフト12には、ハイブリッドシステムにおける内燃機関10とは別の駆動源であるモータジェネレータ90が駆動連結されている。
モータジェネレータ90は、インバータ95を介してバッテリ97と接続されている。モータジェネレータ90は、クランクシャフト12からの動力に応じてバッテリ97を充電する発電機として機能する一方で、バッテリ97からの電力供給に応じて、クランクシャフト12の回転をアシストする電動機として機能する。モータジェネレータ90が発電機として機能する場合には、当該モータジェネレータ90は回生作動される。モータジェネレータ90が電動機として機能する場合には、当該モータジェネレータ90は力行作動される。この実施形態では、モータジェネレータ90が回生作動される場合の当該モータジェネレータ90の出力トルクを負とし、モータジェネレータ90が力行作動される場合の当該モータジェネレータ90の出力トルクを正とする。なお、モータジェネレータ90とバッテリ97との間で授受される電力は、インバータ95によって調整される。
詳しい図示は省略するが、内燃機関10には、クランクシャフト12の回転トルクを動力源とする各種の補機が取り付けられている。各種の補機のうち、一部の補機は、モータジェネレータ90とともに第1伝達ベルト70を介してクランクシャフト12に駆動連結されている。具体的には、クランクシャフト12には、クランクプーリ20が取り付けられている。また、モータジェネレータ90の駆動軸90aには、モータプーリ50が取り付けられている。また、補機であるエアコンディショナの圧縮機の駆動軸K1には、エアコンプーリ60が取り付けられている。補機であるウォータポンプの駆動軸K2には、ウォータポンププーリ40が取り付けられている。そして、クランクプーリ20、ウォータポンププーリ40、モータプーリ50、エアコンプーリ60の順に第1伝達ベルト70が巻き掛けられている。
この実施形態では、クランクシャフト12は図1において時計回り方向Cに回転する。クランクシャフト12が回転すると、第1伝達ベルト70は、クランクプーリ20からウォータポンププーリ40に向けて進行する。すなわち、第1伝達ベルト70の進行方向R1に関して、クランクプーリ20の次に、ウォータポンププーリ40が位置し、その次にモータプーリ50が位置し、その次にエアコンプーリ60が位置している。なお、第1伝達ベルト70は、クランクプーリ20とウォータポンププーリ40との間において、張力を調整するためのアイドラプーリ30に巻き掛けられている。また、第1伝達ベルト70は、ウォータポンププーリ40とモータプーリ50との間において、張力を調整するための第1テンショナプーリ310に巻き掛けられている。また、第1伝達ベルト70は、モータプーリ50とエアコンプーリ60との間においても、張力を調整するための第2テンショナプーリ320に巻き掛けられている。第1テンショナプーリ310と第2テンショナプーリ320は、スプリング等を介して互いに連結されている。
補機であるパワーステアリングの油圧ポンプは、第2伝達ベルト72を介してクランクシャフト12に駆動連結されている。具体的には、クランクシャフト12には、クランクプーリ20とは別のプーリとして、補助プーリ22が取り付けられている。また、パワーステアリングの油圧ポンプの駆動軸K3には、パワステプーリ80が取り付けられている。そして、補助プーリ22及びパワステプーリ80に第2伝達ベルト72が巻き掛けられている。クランクシャフト12が回転すると、第2伝達ベルト72は、クランクシャフト12が駆動する進行方向R2に進行する。
次に、ハイブリッドシステムの制御構成について説明する。内燃機関10及びモータジェネレータ90は、制御装置100で制御される。制御装置100は、各種のプログラムが格納された不揮発性の記憶部、各種のプログラムを実行するCPU、プログラムの実行に際してデータが一時的に記憶される揮発性のRAM等を備えたコンピュータである。
制御装置100には、車両の各種部位に取り付けられている各種のセンサからの検出信号が入力される。具体的には以下の検出信号が入力される。
・内燃機関10に取り付けられたクランク角センサ210が検出するクランクシャフト12の回転位置SC
・内燃機関10に取り付けられたエアフロメータ220が検出する当該内燃機関10への吸入空気量GA
・車両に取り付けられたアクセルポジションセンサ230が検出するアクセル操作量ACC
・内燃機関10に取り付けられた第1回転センサ240が検出するエアコンディショナの圧縮機の駆動軸K1の回転位置L1
・内燃機関10に取り付けられた第2回転センサ250が検出するウォータポンプの駆動軸K2の回転位置L2
・内燃機関10に取り付けられた第3回転センサ260が検出するパワーステアリングの油圧ポンプの駆動軸K3の回転位置L3
・バッテリ97に内蔵されている各種のセンサからの電圧値や電流値等の電池情報IF
制御装置100は、クランクシャフト12の回転位置SCに基づいて単位時間当たりのクランクシャフト12の回転数である機関回転数NEを算出する。また、制御装置100は、機関回転数NE及び吸入空気量GAに基づいて機関負荷率KLを算出する。そして、制御装置100は、機関回転数NEや機関負荷率KLに基づいて、内燃機関10の燃料噴射量を算出する。また、制御装置100は、電池情報IFに基づいて、バッテリ97の蓄電量、及びモータジェネレータ90に対する要求発電量を算出する。
また、制御装置100は、エアコンディショナの圧縮機の駆動軸K1の回転位置L1に基づいて、単位時間当たりの駆動軸K1の回転数であるエアコン回転数N1を算出する。制御装置100は、ウォータポンプの駆動軸K2の回転位置L2に基づいて、単位時間当たりの駆動軸K2の回転数であるウォータポンプ回転数N2を算出する。制御装置100は、パワーステアリングの油圧ポンプの駆動軸K3の回転位置L3に基づいて、単位時間当たりの駆動軸K3の回転数であるパワステ回転数N3を算出する。
制御装置100は、第1伝達ベルト70に作用する張力を算出する張力算出部104を備えている。張力算出部104は、クランクプーリ20と、第1伝達ベルト70の進行方向R1においてその次のプーリであるアイドラプーリ30と、の間に作用する第1張力T1を算出する。また、張力算出部104は、クランクプーリ20と、第1伝達ベルト70の進行方向R1においてその手前のプーリであるエアコンプーリ60と、の間に作用する第2張力T2を算出する。後で説明する通り、第1張力T1及び第2張力T2は、内燃機関10の運転状態、各種の補機の運転状態、及びモータジェネレータ90の駆動状態に応じて変化する。張力算出部104は、モータジェネレータ90の出力トルクがゼロであると仮定して、内燃機関10の運転状態及び各種の補機の運転状態に応じて第1張力T1と第2張力T2を算出するとともに、算出した第1張力T1と第2張力T2との比を仮張力比Qとして算出する。
制御装置100は、モータジェネレータ90を制御するモータ制御部102を備えている。モータ制御部102は、アクセル操作量ACCや要求発電量に基づいて、モータジェネレータ90の出力トルクの基本目標値Dbを算出する。また、モータ制御部102は、第1伝達ベルト70にスリップが発生しない状態での第1張力T1と第2張力T2との比の限界値として予め定められた基準張力比Zと、仮張力比Qとの差異に基づいて、モータジェネレータ90の出力トルクの制限値Drを設定する。そして、モータ制御部102は、制限値Drと基本目標値Dbとの兼ね合いから最終的な出力トルクの目標値である最終目標値Dfを算出する。
制御装置100は、上記制限値Drを設定する上で、ベルトのスリップと張力比との関係性を規定するオイラーの関係式を利用する。以下、オイラーの関係式及び当該関係式に対して適用される張力の算出方法について説明する。
先ず、前提として、第1伝達ベルト70のスリップに関して説明する。この実施形態では、第1伝達ベルト70のスリップとして、当該第1伝達ベルト70におけるクランクプーリ20との接触部分でのスリップを考える。ここで、第1伝達ベルト70においては、その進行方向に関してクランクプーリ20からモータプーリ50へと至る一方側部分70aと、モータプーリ50からクランクプーリ20へと至る他方側部分70bと、のうちの一方で当該第1伝達ベルト70が緩み、他方で当該第1伝達ベルト70が張る場合がある。具体的には、モータジェネレータ90が発電機として機能している場合、モータプーリ50は第1伝達ベルト70の動力を受けて回される。その反力として、図2の(a)に示すように、第1伝達ベルト70には進行方向R1とは逆向きの負荷Fmgがかかる。この負荷Fmgは、第1伝達ベルト70の進行を妨げる。一方で、クランクシャフト12の回転に伴って、クランクプーリ20は第1伝達ベルト70を進行方向R1へ送り出す。これらの結果として、第1伝達ベルト70の一方側部分70aにおけるモータプーリ50寄りに位置している部分と、クランクプーリ20寄りに位置している部分とが互いに近づこうとする。この結果、第1伝達ベルト70の一方側部分70aは緩む。一方、他方側部分70bは張る。第1伝達ベルト70の一方側部分70aが緩むと、それに付随して、第1伝達ベルト70におけるクランクプーリ20と接触している部分のうち、第1伝達ベルト70の進行方向R1に関して中央よりも下流寄りの部分70pが緩む。この結果、クランクプーリ20が第1伝達ベルト70を送り出そうとしたときに、第1伝達ベルトにクランクプーリ20の力が伝わり難くなり、第1伝達ベルト70にスリップが生じる。なお、図2の(a)では、第1伝達ベルト70の一方側部分70aが緩む様子を誇張して表している。
次に、オイラーの関係式について説明する。オイラーの関係式は、スリップの対象となっているプーリに対してベルトの進行方向の一方側が緩み、他方側が張っている場合に適用される。詳細には、オイラーの関係式は、ベルトにスリップが発生していない場合には、張り側の張力Ttを緩み側の張力Tsで除した値である張力比が規定値Za以下になる、という関係性を規定する。つまり、ベルトにスリップが発生していない場合、次の関係式(1)が満たされる。
Tt/Ts≦Za ・・・(1)
なお、張り側の張力Tt及び緩み側の張力Tsは、スリップの対象となっているプーリと、当該プーリに隣り合うプーリとの間に働く張力である。また、規定値Zaは、ベルトのプーリへの巻き付き角度やベルトとプーリとの摩擦係数等により予め定められる値であり、ベルトにスリップが発生しない状態での張力比の限界値となっている。この実施形態では、第1伝達ベルト70のスリップに対して上記オイラーの関係式を適用することで、当該第1伝達ベルト70のスリップの有無の判定等を行う。
次に、第1伝達ベルト70のスリップに対してオイラーの関係式を適用する場合の緩み側と張り側の張力の取り扱いについて説明する。上記のとおり、第1伝達ベルト70における、クランクプーリ20との接触部分でのスリップは、モータジェネレータ90が発電機として機能している状況で生じる。そのため、第1伝達ベルト70のスリップの有無の判別に際しては、モータジェネレータ90が発電機として機能している状況を前提とする。そして、この場合、第1伝達ベルト70における一方側部分70aが緩み側となり、他方側部分70bが張り側となっている。そのため、第1伝達ベルト70におけるクランクプーリ20との接触部分でのスリップに対してオイラーの関係式を適用する場合、クランクプーリ20とアイドラプーリ30との間に作用する第1張力T1を緩み側の張力として扱い、クランクプーリ20とエアコンプーリ60との間に作用する第2張力T2を張り側の張力として扱ってこれら第1張力T1及び第2張力T2から張力比を算出する。
次に、第1張力T1の算出方法について図1を参照して説明する。
先ず、前提として、各プーリに係る張力の扱いについて説明する。各補機のプーリに係る張力は、当該プーリが第1伝達ベルト70によって回されるときに、当該第1伝達ベルト70に負荷として作用する力であり、この実施形態ではいずれも正の値として扱う。また、クランクプーリ20に係る張力Tcpは、クランクプーリ20によって第1伝達ベルト70を送り出そうとするときに、当該第1伝達ベルト70に作用する張力であり、この実施形態では正の値として扱う。モータプーリ50に係る張力Tmgに関しては、モータジェネレータ90が発電機として機能している状態を基準とし、当該モータプーリ50が第1伝達ベルト70によって回されるときに、当該第1伝達ベルト70に負荷として作用する力を正として扱う。モータジェネレータ90が電動機として機能している場合、モータプーリ50は第1伝達ベルト70を動かす側となる。この場合の張力を、この実施形態では負として扱う。なお、この後説明する第1張力T1及び第2張力T2の算出においては、モータジェネレータ90が発電機として機能していることを前提としていることから、モータプーリ50に係る張力Tmgは正の値である。
さて、第1張力T1の算出方法について具体的に説明する。第1張力T1は、第1伝達ベルト70の進行方向R1においてクランクプーリ20からモータプーリ50に至る範囲、すなわち一方側部分70aに働く張力によって決定される。詳細には、第1張力T1には、クランクプーリ20に係る張力Tcp、ウォータポンププーリ40に係る張力Twp、及びモータプーリ50に係る張力Tmgが寄与する。また、第1張力T1には、パワステプーリ80に係る張力Tpsも間接的に寄与する。なお、図1に示す各張力の位置や大きさは、あくまでも張力の発生を概略的に描いたものであり、必ずしも実際の張力の位置や大きさとは一致しない。
第1張力T1は、第1伝達ベルト70が静止している場合においてクランクプーリ20及びアイドラプーリ30間に作用する張力である第1静止張力T1sに対して、上記の各プーリに係る張力を加算または減算して算出される。すなわち、第1張力T1は次の式(2)によって算出される。
T1=T1s−Tmg−Twp−Tcp+Tps ・・・(2)
第1張力T1の算出に係る基本的な考え方としては、第1伝達ベルト70におけるクランクプーリ20及びアイドラプーリ30間を緩めるように作用する張力を第1静止張力T1sに対して減算し、張るように作用する張力を第1静止張力T1sに対して加算する。ここで、第1伝達ベルト70には、モータプーリ50を回すことの反力として、第1伝達ベルト70の進行方向R1とは逆向きの負荷Fmgがかかる。同様にして、第1伝達ベルト70には、ウォータポンププーリ40を回すことの反力として、第1伝達ベルト70の進行方向R1とは逆方向の負荷Fwpがかかる。つまり、モータプーリ50及びウォータポンププーリ40は、第1伝達ベルト70におけるクランクプーリ20及びアイドラプーリ30間よりも第1伝達ベルト70の進行方向R1の下流側で、第1伝達ベルト70の進行を妨げるように作用する。このことは、第1伝達ベルト70におけるクランクプーリ20及びアイドラプーリ30間において進行方向R1に進もうとする第1伝達ベルト70を、緩めるように作用する。こうした事情を反映して、モータプーリ50に係る張力Tmg及びウォータポンププーリに40に係る張力Twpは、第1静止張力T1sに対して減算される。
一方で、クランクプーリ20は、上記のようにモータプーリ50及びウォータポンププーリ40が、第1伝達ベルト70におけるクランクプーリ20及びアイドラプーリ30間よりも第1伝達ベルト70の進行方向R1の下流側で第1伝達ベルト70の進行を妨げている状況下で、クランクプーリ20及びアイドラプーリ30間での第1伝達ベルト70の進行を促進する。この結果、第1伝達ベルト70におけるクランクプーリ20及びアイドラプーリ30間においては第1伝達ベルト70を緩める作用が助長される。つまり、クランクプーリ20も第1伝達ベルト70を緩めるように作用する。こうした事情を反映して、クランクプーリ20に係る張力Tcpも、第1静止張力T1sに対して減算される。
パワステプーリ80は、第2伝達ベルト72の動力によって回される。その反力として、第2伝達ベルト72には進行方向R2とは逆向きの負荷Fpsがかかる。この負荷Fpsは、第2伝達ベルト72の進行を妨げるように作用する。この結果、第2伝達ベルト72が巻き掛けられている補助プーリ22が回転し難くなり、クランクシャフト12の回転に負荷がかかる。すると、クランクプーリ20によって駆動される第1伝達ベルト70の進行方向R1への動作が抑制される。つまり、クランクプーリ20が第1伝達ベルト70を緩めようとする作用が弱められる。こうした事情を反映して、パワステプーリ80に係る張力Tpsは、第1静止張力T1sに対して加算される。
次に、第2張力T2の算出方法について説明する。
第2張力T2は、第1伝達ベルト70の進行方向R1においてモータプーリ50からクランクプーリ20に至る範囲、すなわち他方側部分70bに働く張力によって決定される。具体的には、第2張力T2には、モータプーリ50に係る張力Tmg、エアコンプーリ60に係る張力Tac、及びクランクプーリ20に係る張力Tcpが寄与する。また、第2張力T2には、パワステプーリ80に係る張力Tpsも間接的に寄与する。第2張力T2は、第1伝達ベルト70が静止している場合においてクランクプーリ20及びエアコンプーリ60間に作用する張力である第2静止張力T2sに対して、上記の各プーリに係る張力を加算または減算して算出される。すなわち、第2張力T2は次の式(3)によって算出される。
T2=T2s+Tmg+Tac+Tcp−Tps ・・・(3)
第2張力T2の算出に係る基本的な考え方は、第1張力T1の算出に係る考え方と同じである。すなわち、第1伝達ベルト70におけるクランクプーリ20及びエアコンプーリ60間を緩めるように作用する張力を第2静止張力T2sに対して減算し、張るように作用する張力を第2静止張力T2sに対して加算する。
上記のとおり、第1伝達ベルト70には、モータプーリ50から、第1伝達ベルト70の進行方向R1とは逆向きの負荷Fmgがかかる。また、第1伝達ベルト70には、エアコンプーリ60を回すことの反力として、第1伝達ベルト70の進行方向R1とは逆向きの負荷Facがかかる。つまり、モータプーリ50及びエアコンプーリ60は、第1伝達ベルト70におけるクランクプーリ20及びエアコンプーリ60間よりも第1伝達ベルト70の進行方向R1の上流側で、第1伝達ベルト70の進行を妨げるように作用する。このことは、第1伝達ベルト70におけるクランクプーリ20及びエアコンプーリ60間において進行方向R1に進もうとする第1伝達ベルト70を、張るように作用する。こうした事情を反映して、モータプーリ50に係る張力Tmg及びエアコンプーリに60に係る張力Tacは、第2静止張力T2sに対して加算される。
一方で、クランクプーリ20は、上記のようにモータプーリ50及びエアコンプーリ60が、第1伝達ベルト70におけるクランクプーリ20及びエアコンプーリ60間よりも第1伝達ベルト70の進行方向R1の上流側で第1伝達ベルト70の進行を妨げている状況下で、クランクプーリ20及びエアコンプーリ60間での第1伝達ベルト70の進行を促進する。この結果、第1伝達ベルト70におけるクランクプーリ20及びエアコンプーリ60間においては第1伝達ベルト70を張る作用が助長される。つまり、クランクプーリ20も第1伝達ベルト70を張るように作用する。こうした事情を反映して、クランクプーリ20に係る張力Tcpも、第2静止張力T2sに対して加算される。
パワステプーリ80は、第1張力T1との関連で説明したとおり、クランクプーリ20の回転を妨げるように作用して、第1伝達ベルト70の進行を抑制する。このことから、上記したクランクプーリ20が第1伝達ベルト70を張ろうとする作用が弱められる。こうした事情を反映して、パワステプーリ80に係る張力Tpsは、第2静止張力T2sに対して減算される。
次に、制御装置100が実行するスリップ用トルク算出処理について説明する。この処理は、第1伝達ベルト70のスリップ防止に係るモータジェネレータ90の出力トルクを算出する処理である。具体的には、この処理は、第1伝達ベルト70のスリップを防止するための出力トルクの制限値Drを算出する処理である。また、この処理は、第1伝達ベルト70がスリップし得る状況を解消するための出力トルクの要求値Dqを算出する処理でもある。第1伝達ベルト70がスリップし得る状況とは、第1伝達ベルト70における一方側部分70aが過度に緩んでいる状況である。制御装置100は、所定の制御周期毎にスリップ用トルク算出処理を実行する。
図3に示すように、制御装置100は、スリップ用トルク算出処理を開始すると、ステップS10に処理を進める。ステップS10において、制御装置100の張力算出部104は、モータプーリ50を除いた各プーリに係る張力を算出する。ここで、各補機のプーリに係る張力は、各補機の運転状態に応じて変化する。これは、第1伝達ベルト70が補機のプーリを回そうとしたときに、補機の運転状態に応じて、第1伝達ベルト70にかかる負荷が異なることに依る。例えば、ウォータポンプであれば、冷却水の吐出量が多くなるほど、第1伝達ベルト70にかかる負荷が大きくなる。補機と同様の理由により、クランクプーリ20に係る張力は、内燃機関10の運転状態に応じて変化する。ステップS10において、張力算出部104は、ステップS10を実行する時点での各補機や内燃機関10の運転状態に応じた各プーリに係る張力を、予め記憶しているマップであって実験等により定められたマップに基づいて算出する。
具体的には、張力算出部104は、エアコンディショナの圧縮機の運転状態を示すエアコン回転数N1と、エアコンプーリ60に係る張力Tacとの関係性を表したエアコン用マップを記憶している。また、張力算出部104は、ウォータポンプの運転状態を示すウォータポンプ回転数N2と、ウォータポンププーリ40に係る張力Twpとの関係性を表したウォータポンプ用マップを記憶している。また、張力算出部104は、パワーステアリングの油圧ポンプの運転状態を示すパワステ回転数N3と、パワステプーリ80に係る張力Tpsとの関係性を表したパワステ用マップを記憶している。また、張力算出部104は、内燃機関10の運転状態と、クランクプーリ20に係る張力Tcpとの関係性を表したクランクマップを記憶している。このクランクマップでは、機関回転数NEと燃料噴射量とクランクプーリ20に係る張力Tcpとの関係性が規定されている。張力算出部104は、上記の各マップを参照し、ステップS10を実行する時点での各補機及び内燃機関10の運転状態に対応する張力を算出する。張力算出部104は、各プーリに係る張力を算出すると、処理をステップS15に進める。
ステップS15において、張力算出部104は、仮張力比Qを算出する。具体的には、張力算出部104は、モータプーリ50に係る張力Tmgがゼロであると仮定して、つまりモータジェネレータ90の出力トルクがゼロであると仮定して、ステップS10で算出した各プーリに係る張力を式(2)に代入し、第1張力T1を算出する。なお、第1静止張力T1sは、実験や計測により予め定められている。また、張力算出部104は、モータプーリ50に係る張力Tmgがゼロであると仮定して、ステップS10で算出した各プーリに係る張力を式(3)に代入し、第2張力T2を算出する。なお、第1静止張力T1sと同様に、第2静止張力T2sは、実験や計測により予め定められている。そして、張力算出部104は、第2張力T2を第1張力T1で除した値として仮張力比Qを算出する。張力算出部104は、仮張力比Qを算出すると、処理をステップS20に進める。
ステップS20において、モータ制御部102は、モータジェネレータ90の出力トルクがゼロであると仮定した場合に、第1伝達ベルト70がスリップを生じる状況にあるか否かを判定する。具体的には、モータ制御部102は、仮張力比Qが、予め定められた基準張力比Z以下であるか否かを判定する。基準張力比Zは、第1伝達ベルト70にスリップが生じていない状態での張力比の限界値であり、第1伝達ベルト70のクランクプーリ20への巻き付き角度や、第1伝達ベルト70とクランクプーリ20との摩擦係数等に基づいて定められている。モータ制御部102は、仮張力比Qが基準張力比Z以下である場合(ステップS20:YES)、すなわち第1伝達ベルト70がスリップを生じない状況にある場合、処理をステップS25に進める。
ステップS25において、モータ制御部102は、発電許可フラグをオンにセットする。この発電許可フラグは、後述のモータ制御処理において、モータジェネレータ90による発電を許可するフラグである。この後、モータ制御部102は、処理をステップS30に進める。
ステップS30において、モータ制御部102は、調整用アシスト許可フラグをオフにセットする。調整用アシスト許可フラグは、後述のモータ制御処理において、第1伝達ベルト70の緩み解消を目的としてモータジェネレータ90を力行作動させるためのフラグである。モータ制御部102は、ステップS30の処理を実行すると、処理をステップS35に進める。
ステップS35において、モータ制御部102は、モータプーリ50に係る張力Tmgに関して、第1伝達ベルト70にスリップを発生させることのない当該張力Tmgの制限値である張力制限値Trを算出する。具体的には、モータ制御部102は、基準張力比Zと仮張力比Qとの差を相殺する張力を張力制限値Trとして算出する。こうした張力は、第1伝達ベルト70にスリップを発生させない状態で、現在の張力に対してさらに第1伝達ベルト70に付加できる張力であって、第1伝達ベルト70の一方側部分70aを緩める方向の張力に相当する。
張力制限値Trの実際の算出方法は以下のとおりである。先ず、式(2)に関して、モータプーリ50に係る張力Tmgを未知数Xとし、他の各張力についてはステップS10で算出した値を代入する。この結果、未知数Xを含んだ第1張力関数T1aが得られる。同様に、式(3)に関して、モータプーリ50に係る張力Tmgを未知数Xとし、他の各張力についてはステップS10で算出した値を代入する。この結果、未知数Xを含んだ第2張力関数T2aが得られる。この第2張力関数T2aを第1張力関数T1aで除した関数が、基準張力比Zに等しい、という方程式をたてる。そして、この方程式から未知数Xを算出することで、張力制限値Trを算出できる。式(2)及び式(3)の定義の都合上、張力制限値Trは正の値として定まる。モータ制御部102は、張力制限値Trを算出すると、ステップS40に処理を進める。
ステップS40において、モータ制御部102は、第1伝達ベルト70のスリップを防止するための出力トルクの制限値Drを算出する。ここで、モータジェネレータ90の出力トルクと、モータプーリ50に係る張力Tmgとには関係性がある。具体的には、モータジェネレータ90が発電機として機能している場合に、第1伝達ベルト70がモータプーリ50を回そうとしたとき、第1伝達ベルト70に作用する負荷は、モータジェネレータ90の出力トルクによって変化する。詳細には、モータジェネレータ90の出力トルクが負側に大きいほど、すなわち発電量が大きいほど、第1伝達ベルト70に作用する負荷は大きくなる。上記したモータプーリ50に係る張力Tmgの正負の扱いとの兼ね合いから、モータジェネレータ90の出力トルクが負側に大きいほど、モータプーリ50に係る張力Tmgが正側に大きいことになる。なお、出力トルクが負である場合に、モータプーリ50に係る張力Tmgが正である一方で、出力トルクが正である場合には、モータプーリ50に係る張力Tmgは負である。すなわち、出力トルクが正である場合には、第1伝達ベルト70はモータプーリ50によって動かされる側になることから、上記したモータプーリ50に係る張力Tmgの正負の扱いとの兼ね合いにより、モータプーリ50に係る張力Tmgは負になる。
モータ制御部102は、モータジェネレータ90の出力トルクと、モータプーリ50に係る張力Tmgとのこうした関係性を表したモータ用マップを記憶している。モータ用マップは、実験等により予め定められている。モータ制御部102は、このモータ用マップに基づいて、モータプーリ50に係る張力Tmgが張力制限値Trである場合の、モータジェネレータ90の出力トルクを算出する。そして、その値を、モータジェネレータ90の出力トルクの制限値Drとして記憶する。上記のとおり、張力制限値Trは、正の値になっている。そのため、モータジェネレータ90の出力トルクと、モータプーリ50に係る張力Tmgとの関係性から、制限値Drは負の値になる。制限値Drは、第1伝達ベルト70にスリップを発生させない状態で、モータジェネレータ90を最大限に回生作動させるためのトルクとなっている。モータジェネレータ90の出力トルクがこの制限値Drを下回ると、第1伝達ベルト70にスリップが発生することになる。
さて、モータ制御部102は、ステップS20の処理において、仮張力比Qが基準張力比Zよりも大きい場合(ステップS20:NO)、すなわちモータジェネレータ90の出力トルクがゼロであると仮定したときに第1伝達ベルト70がスリップを生じる状況にある場合、処理をステップS50に進める。
ステップS50において、モータ制御部102は、発電許可フラグをオフにセットする。この後、モータ制御部102は、処理をステップS55に進める。
ステップS55において、モータ制御部102は、調整用アシスト許可フラグをオンにセットする。この後、モータ制御部102は、処理をステップS60に進める。
ステップS60において、モータ制御部102は、モータプーリ50に係る張力Tmgに関して、第1伝達ベルト70がスリップを生じ得る状況を解消するための当該張力Tmgの要求値である張力要求値Tqを算出する。換言すると、モータ制御部102は、第1伝達ベルト70の一方側部分70aが過度に緩んでいる張力状態を解消するための当該張力Tmgの要求値を算出する。具体的には、モータ制御部102は、基準張力比Zと仮張力比Qとの差を相殺する張力を張力要求値Tqとして算出する。張力要求値Tqの具体的な算出方法は、張力制限値Trの算出方法と同じである。式(2)及び式(3)の定義の都合上、張力要求値Tqは負の値として定まる。モータ制御部102は、ステップS60の処理を実行すると、処理をステップS65に進める。
ステップS65において、モータ制御部102は、第1伝達ベルト70がスリップを生じ得る状況を解消するための出力トルクの要求値Dqを算出する。具体的には、モータ制御部102は、モータプーリ50に係る張力Tmgが張力要求値Tqである場合の、モータジェネレータ90の出力トルクを算出する。モータ制御部102は、モータ用マップに基づいて、張力要求値Tqに対応する出力トルクを算出する。そして、その値を、出力トルクの要求値Dqとして記憶する。上記のとおり、張力要求値Tqは、負の値になっている。そのため、モータジェネレータ90の出力トルクと、モータプーリ50に係る張力Tmgとの関係性から、要求値Dqは正の値になる。ここで、第1伝達ベルト70がスリップを生じ得る状況を解消する上では、第1伝達ベルト70の一方側部分70aでの緩みを解消する必要がある。そのためには、モータジェネレータ90を力行作動させればよい。モータジェネレータ90を力行動作させると、第1伝達ベルト70に対してその進行方向R1とは逆に向きにかかっていた負荷Fmgがなくなるとともに、モータプーリ50が第1伝達ベルト70を進行方向R1に送り出すように作用する。この結果として、第1伝達ベルト70の一方側部分70aの緩みが解消される。ステップS65で算出される要求値Dqは、第1伝達ベルト70がスリップを生じ得る状況を解消する上で必要な分だけモータジェネレータ90を力行作動させるためのトルクとなっている。
次に、制御装置100が実行するモータ制御処理について説明する。この処理は、モータジェネレータ90の出力トルクを制御する処理である。制御装置100は、所定の制御周期毎にモータ制御処理を実行する。
図4に示すように、制御装置100は、モータ制御処理を開始すると、ステップS100の処理を実行する。ステップS100において、モータ制御部102は、モータジェネレータ90の出力トルクの基本目標値Dbを算出する。具体的には、モータ制御部102は、アクセル操作量ACCや要求発電量に基づいて基本目標値Dbを算出する。この後、モータ制御部102は、処理をステップS110に進める。
ステップS110において、モータ制御部102は、発電要求があるか否かを判定する。モータ制御部102は、基本目標値Dbに基づいてこの判定を行う。具体的には、モータ制御部102は、基本目標値Dbが負の値である場合、発電要求があると判定し、そうでない場合、発電要求はないと判定する。モータ制御部102は、発電要求がある場合(ステップS110:YES)、処理をステップS115に処理を進める。
ステップS115において、モータ制御部102は、発電許可フラグがオンになっているか否かを判定する。モータ制御部102は、発電許可フラグがオンである場合(ステップS115:YES)、処理をステップS120に進める。
ステップS120において、モータ制御部102は、モータジェネレータ90の出力トルクの最終目標値Dfを算出する。具体的には、モータ制御部102は、基本目標値Dbと、スリップ防止用の制限値Drとの兼ね合いから最終目標値Dfとして算出する。ここで、基本目標値Db及び制限値Drはともに負の値である。モータ制御部102は、基本目標値Dbと制限値Drのうち、ゼロに近いほうの値を最終目標値Dfとして算出する。すなわち、モータ制御部102は、基本目標値Dbが制限値Drを下回っている場合、制限値Drを最終目標値Dfとして算出する。一方、モータ制御部102は、基本目標値Dbが制限値Dr以上である場合、基本目標値Dbを最終目標値Dfとして算出する。そして、モータ制御部102は、ステップS130に処理を進める。
ステップS130において、モータ制御部102は、最終目標値Dfに応じてモータジェネレータ90を制御する。モータ制御部102は、ステップS130の処理を実行すると、一連の処理を一旦終了する。そして、再度モータ制御処理を実行する。
一方、ステップS115において、モータ制御部102は、発電許可フラグがオフである場合(ステップS115:NO)、処理をステップS125に進め、最終目標値Dfをゼロに設定する。そして、モータ制御部102は、処理をステップS130に進めてモータジェネレータ90を制御する。
さて、モータ制御部102は、ステップS110において発電要求がない場合(ステップS110:NO)、処理をステップS200に進める。ステップS200において、モータ制御部102は、アシスト要求があるか否かを判定する。モータ制御部102は、基本目標値Dbに基づいてこの判定を行う。具体的には、モータ制御部102は、基本目標値Dbが正の値である場合、アシスト要求があると判定し、そうでない場合、アシスト要求はないと判定する。モータ制御部102は、アシスト要求がある場合(ステップS200:YES)、処理をステップS210に進める。
ステップS210において、モータ制御部102は、基本目標値Dbを最終目標値Dfとして算出する。そして、モータ制御部は、処理をステップS130に進めてモータジェネレータ90を制御する。
一方、ステップS200において、モータ制御部102は、アシスト要求がない場合(ステップS200:NO)、処理をステップS300に進める。処理がステップS300に進む状況は、基本目標値Dbがゼロであり、発電要求もアシスト要求もない状況である。
ステップS300において、モータ制御部102は、調整用アシスト許可フラグがオンであるか否かを判定する。モータ制御部102は、調整用アシスト許可フラグがオンである場合(ステップS300:YES)、処理をステップS310に進める。
ステップS310において、モータ制御部102は、スリップ解消用の要求値Dqを最終目標値Dfとして算出する。そして、モータ制御部102は、処理をステップS130に進めてモータジェネレータ90を制御する。
一方、ステップS300において、モータ制御部102は、調整用アシスト許可フラグがオフである場合(ステップS300:NO)、処理をステップS315に進める。ステップS315において、モータ制御部102は最終目標値Dfをゼロに設定する。そして、モータ制御部102は、処理をステップS130に進めてモータジェネレータ90を制御する。
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
(1)スリップ用トルク算出処理においては、第1伝達ベルト70がスリップを生じない状況にある場合、モータジェネレータ90による発電が許可されるとともに、第1伝達ベルト70のスリップを防止するための出力トルクの制限値Drが算出される。この制限値Drは、現在の内燃機関10の運転状態及び各補機の運転状態を維持し、且つ、第1伝達ベルト70にスリップを発生させない状態で発電を行う上でのモータジェネレータ90の出力トルクの限界値となっている。そして、モータ制御処理においては、発電要求があった際、上記制限値Drを越えないように、最終目標値Dfが算出される。したがって、現在の内燃機関10の運転状態及び各補機の運転状態を維持した状態で、且つ、第1伝達ベルト70にスリップを生じることなく相応に発電を行うことができる。
(2)スリップ用トルク算出処理においては、第1伝達ベルト70がスリップを生じ得る状況にある場合、その状況を解消するための出力トルクの要求値Dq、すなわち第1伝達ベルト70の一方側部分70aが過度に緩んでいる張力状態を解消するための出力トルクが算出される。そして、モータ制御処理においては、発電要求もアシスト要求もない場合、上記要求値Dqが最終目標値Dfとされる。これにより、第1伝達ベルト70にスリップが生じる張力状態が解消され、第1伝達ベルト70のスリップが未然に防がれる。
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・第1伝達ベルト70においては、モータプーリ50との接触部分にスリップが生じることがある。モータジェネレータ90が電動機として機能している場合、図2の(b)の矢印Sで示すように、モータプーリ50は第1伝達ベルト70の進行を駆動することから、第1伝達ベルト70の他方側部分70bにおけるモータプーリ50寄りに位置している部分が、クランクプーリ20寄りに位置している部分に対して相対的に互いに近づこうとする。この結果、第1伝達ベルト70の他方側部分70bが緩み、それに付随して、第1伝達ベルト70におけるモータプーリ50と接触している部分のうち、第1伝達ベルト70の進行方向R1に関して中央よりも下流寄りの部分70qが緩む。この結果、モータプーリ50が第1伝達ベルト70を送り出そうとしたときに、第1伝達ベルト70にモータプーリ50の力が伝わり難くなり、第1伝達ベルト70にスリップが生じる。すなわち、モータジェネレータ90が電動機として機能している場合には、第1伝達ベルト70の一方側部分70a及び他方側部分70bの張力状態が、モータジェネレータ90が発電機として機能している場合とは逆になる。このことに起因して、モータプーリ50で第1伝達ベルト70のスリップが生じ得る。
モータプーリ50を対象としたスリップの防止用に、上記実施形態における制限値Drや要求値Dqに相当する値を算出する処理を行ってもよい。こうした処理は、スリップ用トルク算出処理の内容を変更することで実現できる。上記のとおり、モータプーリ50を対象とした第1伝達ベルト70のスリップは、モータジェネレータ90が電動機として機能している状況で生じる。そのため、モータジェネレータ90が発電機として機能している状況を前提とした処理内容に、各処理を変更していくことになる。具体的には、モータプーリ50と第2テンショナプーリ320との間に作用する第3張力を緩み側の張力として扱い、モータプーリ50と第1テンショナプーリ310との間に作用する第4張力を張り側の張力として扱うことになる。そして、モータジェネレータ90の出力トルクがゼロであると仮定して第3張力及び第4張力を算出して、算出した第4張力を第3張力で除して仮張力を算出する。そして、この仮張力比と、モータプーリ50に対する第1伝達ベルト70の巻き付き角度等に基づいて定められる基準張力比との大小関係を比較して、第1伝達ベルト70がスリップを生じる状況にあるか否かを判定する。この判定の結果、第1伝達ベルト70がスリップを生じる状況にないのであれば、モータジェネレータ90の出力トルクの制限値を算出する。この場合の制限値は、現在の内燃機関10の運転状態及び各補機の運転状態を維持し、且つ、第1伝達ベルト70にスリップを発生させない状態でモータジェネレータ90を最大限に力行作動させるためのトルクである。一方、第1伝達ベルト70がスリップを生じ得る状況であれば、モータジェネレータ90の出力トルクの要求値を算出する。この場合の要求値は、第1伝達ベルト70がスリップし得る状況を解消する上で必要な分だけモータジェネレータ90を回生作動させるためのトルクである。なお、上記第3張力及び上記第4張力に寄与する張力の考え方は、第1張力T1及び第2張力T2の算出に係る基本的な考え方に則ればよい。
上記のような処理によってモータプーリ50を対象としたスリップ防止用に制限値や要求値を算出した場合、それらの値をモータ制御処理で活用できるようにモータ制御処理の処理内容を変更すればよい。具体的には、アシスト要求があった場合にステップS210で最終目標値Dfを算出する際、上記の制限値と基本目標値Dbとの兼ね合いから最終目標値Dfを決定すればよい。すなわち、上記の制限値と基本目標値Dbのうち、ゼロに近いほうの値を最終目標値Dfとして算出する。また、発電要求もアシスト要求もない場合には、モータプーリ50を対象としたスリップ解消用に算出した上記要求値と、クランクプーリ20を対象としたスリップ解消用に算出した要求値Dqとのいずれか一方を選択して、最終目標値Dfとして定めればよい。なお、モータプーリ50とクランクプーリ20とで同時にスリップ解消が要求されることはない。これは、第1伝達ベルト70における一方側部分70a及び他方側部分70bの張り緩みが、モータプーリ50を対象としたスリップと、クランクプーリ20を対象としたスリップとで反転することに依る。
・各プーリに係る張力を算出するためのマップに関して、各補機の運転状態や内燃機関の運転状態を表すパラメータは、上記実施形態の例に限定されない。例えば、エアコンディショナの圧縮機の運転状態を表すパラメータとして、当該圧縮機への電力供給量を採用してもよい。
・各プーリに係る張力を算出するためのマップは、各補機の運転状態や内燃機関の運転状態と、それぞれに対応するプーリに係る張力との関係性を表した関数でもよい。
・各プーリに係る張力を、テンションセンサによって直接計測してもよい。
・第1伝達ベルト70を介してクランクシャフト12に駆動連結される補機は、上記実施形態の例に限定されない。すなわち、補機の種類を変更してもよいし、新たな補機を上記実施形態の補機に対して追加してもよいし、上記実施形態の補機のうちの一部の補機を削除してもよい。少なくとも一つの補機が、第1伝達ベルト70を介してクランクシャフト12に駆動連結されていればよい。補機を追加または削除する場合、それに伴ってプーリの配置が変更されることから、第1張力T1及び第2張力T2に寄与する張力も変更される。この場合でも、上記実施形態で説明した第1張力T1や第2張力T2の算出に係る基本的な考え方に則って第1張力T1や第2張力T2を算出すればよい。
・第2伝達ベルト72を介してクランクシャフト12に駆動連結される補機は、上記実施形態の例に限定されない。すなわち、補機の種類を変更してもよいし、新たな補機を追加してもよい。また、第2伝達ベルト72を介してクランクシャフト12に駆動連結される補機を廃止してもよい。補機の数を増やしたり補機を廃止したりする場合、それに伴ってプーリの数が変更されることから、第1張力T1及び第2張力T2に寄与する張力も変更される。この場合でも、上記実施形態で説明した第1張力T1や第2張力T2の算出に係る基本的な考え方に則って第1張力T1や第2張力T2を算出すればよい。
10…内燃機関、12…クランクシャフト、20…クランクプーリ、50…モータプーリ、70…第1伝達ベルト、90…モータジェネレータ、100…制御装置、102…モータ制御部、104…張力算出部。

Claims (1)

  1. 内燃機関のクランクシャフトとモータジェネレータとが伝達ベルトを介して駆動連結されており、前記クランクシャフトと当該クランクシャフトの回転トルクを動力源とする補機とが前記伝達ベルトを介して駆動連結されているハイブリッドシステムに適用される制御装置であって、
    前記モータジェネレータの出力トルクを制御するモータ制御部と、
    前記伝達ベルトに作用する張力のうち、前記クランクシャフトのプーリと前記伝達ベルトの進行方向においてその次のプーリとの間に作用する第1張力と、前記クランクシャフトのプーリと前記伝達ベルトの進行方向においてその手前のプーリとの間に作用する第2張力を算出する張力算出部とを備え、
    前記張力算出部は、前記モータジェネレータの出力トルクがゼロであると仮定して、前記内燃機関の運転状態及び前記補機の運転状態に応じて前記第1張力及び前記第2張力を算出するとともに、前記第1張力と前記第2張力との比を仮張力比として算出し、
    前記モータ制御部は、前記伝達ベルトにスリップが発生しない状態での前記第1張力と前記第2張力との比の限界値として予め定められた基準張力比と、前記仮張力比との差異に基づいて、前記モータジェネレータの出力トルクの制限値を設定する
    ハイブリッドシステムの制御装置。
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