以下、図示する例に基づき本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明を適用した脱穀装置を備えたコンバインの全体側面図であり、図2は、本発明を適用した脱穀装置を示した全体側面図である。本コンバインは、走行部である左右一対のクローラ式走行装置1,1に支持された走行機体2と、該走行機体2の前部に昇降可能に連結されて圃場の穀稈の刈取作業等を行う刈取部3とを備え、走行機体2は、該刈取部3の後方にオペレータが乗込んで操向操作を行う操縦部4と、該操縦部4の後方左側であって前記刈取部3で刈取られた穀稈の脱穀作業を行う脱穀装置6と、走行機体後端側から藁屑等を排出する排出部7とを有している。
前記刈取部3は、刈取った穀稈を脱穀装置側に搬送する搬送コンベア8と、該搬送コンベア8の前端側に連結されて前方側に延びる刈取フレーム9と、該刈取フレーム9の前端側に設けたデバイダ11と、該刈取フレーム9の基端部となる後端側から前方に向って延出している左右一対の支持アーム12と、該左右の支持アーム12の延出端間に回転自在に架設支持された掻込リール13と、一対のデバイダ間に配置された左右方向のレシプロ式の刈刃とを備えている。
該構成の刈取部3により刈取られた穀稈は、刈取フレーム9側の搬送オーガ14によりフィーダ16の前端側へ送られ、該フィーダ16に搬送された穀稈がフィーダ16の内部に備えた搬送コンベア8によって後方側に搬送される。フィーダ16の後端側へ搬送された刈取穀稈は、前記脱穀装置6の上部前端側へと送られる。
前記脱穀装置6は、該脱穀装置6の上部側であって前記搬送コンベア8から搬送される刈取穀稈の脱穀作業を行う脱穀部17と、該脱穀装置6の下部側であって前記脱穀部17により刈取穀稈から脱穀処理された処理物を一番物である穀粒と二番物と藁屑等の排塵物とに選別する選別部18とから構成されている。
前記脱穀部17は、前記搬送コンベア8の後端側から刈取穀稈が投入される扱室21と、該扱室21の前後方向全体に亘って形成された前後方向の扱胴回転軸回りに回転駆動自在に設けられて、前端側が漏斗型となる円筒状の扱胴22と、該扱胴22の下方側であって扱胴22の形状に沿って中央側が窪んだ円弧状をしている受網23と、前記扱室21の天井側に前後複数配置された送塵ガイド24とを備えて構成されている。
前記扱室22の前方側に投入された刈取穀稈は、前記扱胴22の側面周面に螺旋状に設けた板状の扱歯26と、該扱歯26に沿って設けられた前記送塵弁24とによって扱室21の後方側へと案内される。すなわち、前記扱胴22が扱胴回転軸を軸として回転することによって、扱室21へ投入された刈取穀稈が扱室の後方側へと移送される。
これにより、扱室21へと送込まれた刈取穀稈は、前記扱歯26に所定の間隔で複数取り付けた突起部26aと、前記受網23とによって扱降ろされて脱穀処理される。すなわち、前記刈取部3によって刈取られた刈取穀稈全体が扱室21へ投入されるため、穀稈全体について脱穀作業が行われる。脱穀処理された処理物は、受網23を通過して下方側の選別部18に落下する。なお、脱穀部17(扱室21)と選別部18とは、受網23によって仕切られている。
前記選別室18は、前記受網23を通過した処理物を揺動選別する揺動選別体27と、該揺動選別体27を内装する選別ケース28と、選別風を送風する唐箕ファン29と、選別後の排塵物を機外に排出する二番選別ファン31と、選別された一番物を回収・搬送する一番ラセン32と、選別された二番物を回収・搬送する二番ラセン33と、を備えている。これにより、受網23から落下してきた処理物は、揺動選別体27のチャフシーブ34に投下され、該チャフシーブ34によって選別されつつさらに下方に漏下される。上記揺動選別体27の詳細な構成については後述する。
前記揺動選別体27から漏下した前記処理物は、前記唐箕ファン29による選別風によって、一番物である穀粒を選別できるとともに、前記二番選別ファン31による選別風によって、二番物と排塵物とを選別することができる。
前記一番ラセン32は、唐箕ファン29の後方で左右方向に延設されており、選別された一番物を脱穀装置6の左右側方側(図示する例では右側)に搬送し、前記二番ラセン33は、二番選別ファン31の後方で左右方向に延設されており、選別された二番物を脱穀装置6の右側に搬送する。
また、脱穀装置6の右側方には、一番ラセン32により搬送された一番物をグレンタンク側に搬送する穀粒搬送装置と、二番物を扱室21(扱胴22側)又は選別部18(揺動選別体27側)に還元搬送する還元搬送装置36(図7参照)とが設けられている。
なお、脱穀部17において、脱穀処理された後に残った受網23上の比較的大きな排藁等は、前記螺旋板状の扱歯26による移送作用及び前記送塵弁24による案内により扱室21の後端側まで移送され、受網23の後端部から前記排出部7へ落下し、機外に排出される。また、選別部18において、受網23から落下してきた揺動選別体27上の処理物のうち、前記選別部18によって選別された藁屑等の排塵物は、二番選別ファン31等からの選別風によって前記選別ケース28の後端側から機外へと排出される。
すなわち、前記排出部7からは、上記構成により脱穀部17の受網23の後端部から落下する比較的大きな排藁等と、選別部18の後端側から排出される細かい藁屑等である排塵物とが走行機体2の後方へ向けて排出される構成となっている。
図3及び図4に基づき前記操縦部の構成を説明する。図3は、操縦部の平面図であり、図4は、操作パネルを示した図である。操縦部4は、オペレータが着座する座席38と、座席38の側方に配置された変速レバー39と、座席38の前方に配置されたマルチステアリングレバー41と、変速レバー39の後方に配置された操作パネル42とを備えている。
前記変速レバー39は、走行HST(図示しない)をニュートラル状態とする前後中立位置から左右一方(左右内)側への揺動によって、該中立位置からの前方揺動が可能になる一方で、中立位置からの左右他方(左右外)側への揺動によって、該中立位置からの後方揺動が可能になる。これにより、前後進の増速操作を行う。
前記マルチステアリングレバー41は、前後揺動によって前記刈取部3の昇降作動を手動操作できるとともに、左右揺動によって車体の操向操作を行う。具体的には、マルチステアリングレバー41を前後中立位置から前方揺動させることにより、刈取部3の下降操作を行い、マルチステアリングレバー41を前後中立位置から後方揺動させることにより、刈取部3の上昇操作を行う一方で、マルチステアリングレバー41を左右中立位置から左側に揺動させることにより、左右のクローラ式走行装置1,1の右側を左側に対して高速走行駆動させて車体を左側に旋回させる左旋回操作を行い、マルチステアリングレバー41を中立位置から右側に揺動させることにより、左右のクローラ式走行装置1,1の左側を右側に対して高速走行駆動させて車体を右側に旋回させる右旋回操作を行う。
前記操作パネル42は、図4に示されるように、豆、菜種、蕎麦、麦、稲等の刈取物の種類を手動で選択可能な作物設定ダイヤル43と、揺動選別体27から落下する処理物量を手動で調整できる選別量調整ダイヤル44とが設けられている。
次に、図5乃至図9に基づき、揺動選別体の構成について説明する。図5は、稲・麦用の揺動選別体を適用した脱穀装置の側面図であり、図6は、大豆用の揺動選別体を適用した脱穀装置の側面図であり、図7は、揺動選別体を示した要部平面図であり、図8及び図9は、サイドカバーの開閉状態を示す脱穀装置の要部正面図である。
選別部17内に配置された前記揺動選別体27は、互いに平行に対応する左右一対のサイドフレーム46と、左右のサイドフレーム46間の前端側に配置されたグレンパン47と、左右のサイドフレーム46間において前記グレンパン47の後方に連続的に延設されたチャフシーブ34と、左右のサイドフレーム46間におけるチャフシーブ34の真下側に配置された選別網48と、左右のサイドフレーム46間における選別網48の後端側から前方斜め下方に延出された一番物ガイド49と、左右のサイドフレーム間の後端側から前方斜め下方に延出された二番物ガイド51とを備えている。
また、上記グレンパン47及びチャフシーブ34の上面側には、揺動選別体27上の処理物量を検出する層厚センサ52(検出センサ)と、揺動選別体27上の処理物を中央側へ寄せるガイド板53とが設けられている(図7参照)。
前記グレンパン47は、側面視で後方が切立った山と谷に相互に連続する波状に形成されている。前記選別風が起風され且つ揺動選別体27が前後動している最中、このグレンパン47は、扱室21から受網23を介して落下してくる処理物を受止めるともに、この処理物を前後揺動作用によって後方に流動させる。この後方への流動過程で、処理物は、比重差により上下に層分けされ、後方のチャフシーブ34に引き継がれる。
前記チャフシーブ34は、左右方向に延びる板状のフィン54を前後に複数並列配置することにより構成されている。該フィン54には、前後揺動可能に形成された可動フィン54aと、該可動フィン54bの後方側に設けた固定フィン54bとがある。
前後に並べられた複数の上記可動フィン54aは、その上端側が、サイドフレーム46間に軸回りに回動可能に架設された左右方向の支持軸に取付固定され、これによって、可動フィン54aは、自身の上端側の支持軸と一体で、前後揺動自在にサイドフレーム46間に取付支持されている。そして、この可動フィン54aの前後揺動によって、前後に隣接するフィン間の開度が変更され、これによって、チャフシーブ34の開度が調整される。
この複数の可動フィン54aは、隣接する複数のフィン54を前後方向の連結板57によって連結することで、複数のフィン群(図示する例では4グループ)を構成している。これにより、図示しない電動モータを介して連結板57を前後方向に揺動操作することによって、制御部60を介してフィン54の開度を調整することができるように構成されている。
該構成のチャフシーブ34は、グレンパン47側から引継がれた比重差により上下に層分けされた処理物について、比重の重い下層側の処理物である穀粒は、チャフシーブ34で下方に漏下する一方で、比重の軽い上層側の処理物である藁屑は、チャフシーブ34から漏下せず、チャフシーブ34の後方に移送されるか、吹き抜ける風で飛ばされるかすることで二番物或いは排出部からの排塵物となる。
なお、上記チャフシーブ34は、図5及び図6に示すように、ユニット化することによって、処理物の種類に応じて選別により適したユニットに変更することもできる。具体的には、前記選別網48の後方側に固定フィン54bを配置するとともに、上下に位置する可動フィン54aと固定フィン54bそれぞれの後端側にストローラック59を設けて構成された、稲や麦の選別により適したユニットと、可動フィン54aの後方に固定フィン54bを配置し、該固定フィン54bの後端側にストローラック59を設けて構成された、大豆等の豆類の選別により適したユニットとに変更できる。
前記層厚センサ52は、前記受網23の左右略中央下端側を支持する前後方向の支持フレーム(フレーム部材)61に設け、該受網23が揺動選別体27の略中央に位置することにより、層厚センサ52を、揺動選別体27の左右方向の略中央側に配置することができる。また、該層厚センサ52は、上記支持フレーム61に設けることで、前後方向の任意の位置で複数個所配置することができる。
図示する例では、層厚センサ52は、一つでも機能するが、図示するようにグレンパン47からチャフシーブ34に亘って前後方向に複数(図示する例では4箇所)設けても良い。層厚センサ52の配置位置は特に限定されないが、揺動選別体27の前側に配置することにより、処理物の増減をいち早く検出することができ(図5及び図6の52A,52B等参照)、揺動選別体27の後側に配置することにより、オーバーフローの発生を正確に検出することができる(図5及び図6の52C,52D等参照)ものであって、層厚センサ52を前後で配置することによって、揺動選別体27の選別状況を精度良く検出することができる。前記層厚センサ52の具体的構成については、後述する。
前記ガイド53板は、サイドフレーム46側から後方内側へ延設される左右一対の板状部材であって、揺動選別体27の前後方向に沿って複数組設けられている。該ガイド板53により、揺動選別体27上で左右に片寄った選別物を中央に寄せることで、処理物層の厚みが均一になるため、前記層厚センサ52による処理物量の検出精度を安定・向上させることができる。
また、図8及び図9に示されるように、脱穀装置6の左側面側をカバーするサイドカバー62は上下に開閉自在に構成されており、サイドカバー62を上方回動させることによって、前記層厚センサ52やガイド板53等のメンテナンスも容易に行うことができる。
また、上記揺動選別体27は、制御部60により、前記層厚センサ52によって検出された揺動選別体27上の処理物量に応じて、フィン54の開度を調整してチャフシーブ34の選別能力を自動的に調整する自動調整制御(調整制御)を実行することができる。制御部60については後述する。
以上のような、複数の可動フィン54aの前後動によってチャフシーブ34の開度を容易に変更できるとともに、このチャフシーブ34の開度変更によって、上記選別風が揺動選別体27の上方側へ吹き抜ける風量と、処理物の漏下量が調整される。具体的には、自動調整制御によって、連結板57を前方揺動操作されることにより、チャフシーブ34の開度が狭まって処理物が落下し難くなり、連結板57を後方揺動操作されることにより、チャフシーブ34の開度が広くなって処理物を落下し易くなる。
次に、図10乃至15に基づき、層厚センサの構成について説明する。図10及び図11は、層厚センサを示した要部正面図、要部斜視図であり、図12及び図13は、層厚センサの検出状態と非検出状態を示した要部側面図、要部斜視図であり、図14は、層厚センサの検出範囲を示した図であり、図15は、電線の配線を示した脱穀装置の後方斜視図である。
前記層厚センサ52は、回動軸63回りに上下回動可能に構成された検出体64と、該検出体64の回動位置を検出するポテンショメータ66と、検出体64の初期回動位置を設定する規制体71と、ボルト固定により前記支持フレーム61側に着脱可能な取付部材67と、該取付部材67の上部側に設けられてポテンショメータ66の上側をカバーするカバー体68と、ポテンショメータ66に接続される電線69とから構成されており、検出体64により揺動選別体27上を後方搬送される処理物の層の厚さを検出することにより、揺動選別体27上の処理物量を検出できる。
前記取付部材67は、クランク状に屈曲形成された前後方向に長い板状部材であって、該取付部材67の前部は、支持フレーム61側と当接し、穿設された取付孔と取付ボルト65により前記支持フレーム61側に着脱自在に取付固定可能に構成されている。
前記ポテンショメータ66は、上記取付部材67の中途部を屈曲形成したことにより後方側に形成された収容スペースに配置されており、取付部材67側に穿設された嵌合孔67aに嵌合された状態で上下一対の固定ボルト70により取付部材67側に取付固定されている。また、該ポテンショメータ66の回動軸63には、回動自在な状態で前記検出体64が取付けられており、該検出体64の自重によって下方回動されるように構成されている。
前記検出体64は、下端側が前後方向の後方側に向けて屈曲形成されたL字状に形成されており、上端側の回動軸63を軸に回動自在に構成され、上下回動自在な姿勢で処理物量の検出を行う検出状態と、上方回動させた格納位置に操作して処理物量の検出を行わない非検出状態とに切換えることができる。また、該検出体64は、下方に向けて処理物を受ける面積が広がるように幅広に形成されており、受網23の中心側に向けて左右幅方向が延設されて正面視で直角三角形状に形成されている。
該検出体64は、上記カバー体68側に上下回動自在であって、任意の位置で固定できるように設けた前記規制体71により、検出体64の前方回動を規制し、規制体71の固定位置によって、検出体64の回動が許容される範囲を変更することができる。
前記規制体71は、筒状部71aと、該筒状部から突出する一対のアーム部71b,71cとからなるねじりコイルばね(トーションバネ)で構成されている。該規制体71は、前記カバー体68を下方に屈曲形成した屈曲部に設けた支持ボルト45に筒状部が挿通された状態で、一方側のアーム部71bが前記カバー体68側に当接固定されるとともに、他方側のアーム71cは前記検出体64の前側と当接するようにクランク状の当接部が形成されている。
下方側に延設された上記アーム部71cは、バネ自体の弾性力によって後方に向けて付勢されており、前記取付部材67のポテンショメータ66設置箇所の下側に形成された切欠である係止部67bに係止可能に構成されている。その一方で、該アーム部71cと係止部67bとの係合を解除することにより、アーム部71cが付勢力に応じて前記検出体64ごと後方回動し、これによって検出体64が取付部材67の後方下側に当接する位置(略水平位置)である格納姿勢まで回動する。格納姿勢まで上方回動した検出体64は、上方側に付勢されたアーム部71cと取付部材67とに挟持されることによって該格納姿勢が保持される。
すなわち、該規制体71は、アーム部71cを係止部67bに係止することにより、検出体64が自重で下方位置まで回動してアーム部71cと当接することにより初期位置に保持され、該初期位置からの後方回動が許容された作用姿勢である検出状態に切換えられる。その一方で、アーム部71cと係止部67bとの係止を解除して、規制体71を検出体64とともに取付部材67と当接する水平位置まで回動作動させることによって、検出体64が格納姿勢である非検出状態に切換えられる(図12参照)。
上記検出体64の検出状態によれば、検出体64が選別作業中の揺動選別体27上の処理物と当接して、後方上側へと回動作動することによって、揺動選別体27上の処理物の層厚(処理物量)を検出できる。また、上記検出体64の非検出状態によれば、検出体64が揺動選別体27上の処理物と当接しないため、層厚センサ52が処理物量を検出しない状態となる(図12及び図13参照)。
なお、該検出体64の姿勢切換えは、脱穀装置6の前記サイドカバー62を上方回動させて開状態にすることによって容易に行うことができる。
前記カバー体68は、上記取付部材67に設けたポテンショメータ66の上方側を覆うとともに、左右方向の外側にも延設されて検出体64とその回動軸63の上方側も覆うように形成された板状部材であって、上記取付部材67に溶接されて一体形成されてる。該カバー体68により、受網23から漏下する処理物がポテンショメータ66や、上記検出体64の回動軸63等に接触することによる故障を効率的に防止することができる。
前記ポテンショメータ66は、図14に示すように、検出可能な検出体64の揺動角度である検出可能角度が、検出体64の揺動可能角度よりも上方回動側を短く設定されており、格納姿勢の検出体の角度をポテンショメータ66の検出可能角度から外れるように構成している。該構成によれば、制御部60は、検出体64がポテンショメータ66の検出範囲外であることが検出された場合に、検出体64が格納姿勢に操作された非検出状態であると判断する。
また、前記ポテンショメータ66は、取付部材67の収容スペースに設けられるとともに電線69が接続されており、該電線69は、前記支持フレーム61に穿設された接続孔61aに挿通されてパイプ状に形成された支持フレーム61内に配線されている(図10及び図13参照)。これにより、ポテンショメータ66への電線69の配線作業が容易になるとともに、該電線69がパイプ状の支持フレーム61内に挿通されて略露出しないため、受網23から落下してくる処理物と衝突することによる電線69の故障を効率的に防止できる。
上記構成の層厚センサ52が取付けられる支持フレーム61は、電線69が挿通される方形筒状に形成されて、受網23の下端側に沿って配置し、ボルト固定されている。具体的には、円弧状の受網23は、左右に分割されて左右方向中央部が下方に向けてL字状に屈曲されて屈曲面23aと、屈曲箇所を補強するアングル状の補強部23bとが形成されており、支持フレーム61を、屈曲面23aと補強部23bとに当接させた状態で、受網23側に一体的にボルト固定している。また、前記支持フレーム61内には、支持フレーム61側に受網23を取付固定するボルトが螺合されるナット部50と、取付部材67を支持フレーム61側に取付固定する前記取付ボルト65が螺合されるナット部55とが設けられるとともに、電線69が挿通されるスペースが確保されている。
該構成によれば、補強部23b等によって比較的処理物の漏下量の少ない受網23の中央部分に層厚センサ52を納めることができるため、層厚センサ52に落下する処理物が接触することをより効率的に防止できる。
該支持フレーム61内に配線された電線69は、後端側に向けて延設されており、受網23の後端側から制御系へと配線される(図15参照)。該支持フレーム61内の電線69は前方側へ延設した構成としても良い。
次に、図16及び図17に基づき、層厚センサの他実施例について上述と異なる点について説明する。図16(A)及び(B)は、層厚センサの他実施例を示した正面図及び斜視図である。前記層厚センサのカバー体75は、上記取付部材67に設けたポテンショメータ66の上方側を覆うとともに、左右方向の外側にも延設されて検出体とその回動軸63の上方側も覆うように形成された板状部材であって、特に、格納姿勢まで上方回動させた検出体64の全体をカバーする位置まで後方側に延設されている。
該構成のカバー体75によれば、非検出状態に切換えられた検出体64の上方側及び扱胴回転上手側の全体をカバーできるため、扱胴22側から落下する処理物の衝突することによる検出体64の故障をより効率的に防止することができる。
図17は、(A)乃至(D)は、支持フレームの他実施例を示した要部斜視図である。
前記支持フレーム61は、前記電線69を囲繞するように形成され、少なくとも上方側と扱胴回転上手側をカバーする構成であれば良い。例えば、方形筒状のパイプ部材(図17(A)参照)や、下方が開放されたコ字状部材を前後方向に延設した部材の中途部に電線69を載置する載置片61bを所定間隔で設けた構成(図17(B)参照)や、断面アングル状の部材61cと一部が開放された断面枠状の部材61dとを連結して電線69を囲繞するパイプ状に構成したしたもの(図17(C)参照)でも良い。また、前記支持フレーム61は、受網23下端側の屈曲部23aに取付けられるパイプ状部材と、該パイプ状部材の外周側に設けて前記電線69をカバーするカバー部材61eとから構成(図17(D)参照)されたものであっても良い。
次に、図18及び図19に基づき、制御部の構成について説明する。図18は、制御部のブロック図である。制御部60の出力側には、自動調整制御のON・OFFを報知する自動ランプ72と、報知ランプ若しくは報知ブザーからなる警報装置73と、該警報装置73と合わせて警報状態等をパネルに表示する表示パネル74とが接続される一方で、入力側には、制御部60による前記自動調整制御のON・OFFを操作する自動スイッチ(切換操作具)76と、前記ポテンショメータ66と、前記作物切替ダイヤル43とが接続されている。なお、前記自動スイッチ76は、モーメンタリスイッチであり、スイッチ操作があったことが検出されることにより、自動制御のON・OFFが切換えられるように構成されている。
前記制御部60は、前記自動スイッチ76を入操作(ON操作)すると、層厚センサ52によって検出される処理物量に応じて揺動選別体27のフィンの開度調整により選別能力を自動的に調整する自動調整制御が実行可能な状態になる一方で、自動スイッチ76を切操作(OFF操作)すると、該自動調整制御の実行を停止する。この場合、揺動選別体27の選別能力は、前記選別量調整ダイヤル44で調整することができる。
また、制御部60は、自動設定制御により、自動調整制御が実行されない状態において、層厚センサ52が検出体64が非検出状態に切換えられたことが検出された状態で、自動スイッチ76が入操作(ON操作)された場合には、オペレータに該状態が報知されるとともに、自動調整制御の実行が規制されるように構成されている。なお、非検出状態の検出に代えて着脱自在に構成された層厚センサ52が取外されたことが検出された場合に、オペレータに該状態が報知されるとともに、上記自動調整制御が規制されるように構成しても良い。
さらに、制御部60による自動設定制御によれば、層厚センサ52の検出状態が検出された状態で、作物切替ダイヤル43によって、揺動選別体27の自動調整制御が必要のない作物(例えば大豆等)が選択されている場合と、層厚センサ52の非検出状態が検出された状態で、作物切替ダイヤル43によって、揺動選別体27の自動調整制御が必要な作物(例えば稲・麦等)が選択されている場合とに、層厚センサ52の状態と、作物切替ダイヤル43の設定とが合っていない状態であることをオペレータに報知することができる。
図19は、自動設定制御を実行するための処理フロー図である。
制御部60による自動設定制御の処理が開始されると、ステップS11に進む。ステップS11では、層厚センサ52が検出状態か非検出状態であるかが判定され、層厚センサ52が検出状態に切換えられている場合には、ステップS12に進む。ステップS12では、前記自動ランプ72を点灯させるとともに、収納フラグを0にセットし、ステップS13に進む。
ステップS11において、層厚センサ52が非検出状態に切換えられている場合には、ステップS14に進む。ステップS14では、前記自動ランプ72を消灯させるとともに、収納フラグを1にセットし、ステップS13に進む。
ステップS13では、収納フラグの判定が行われ、収納フラグが0の場合には、ステップS15に進む。ステップS15では、層厚センサ52の状態が検出状態か非検出状態であるかが判定され、層厚センサ52が検出状態に切換えられている場合には、ステップS16に進む。
ステップS16では、前記自動調整制御が実行されているか否かが判定され、自動調整制御が実行されている場合には、ステップS17に進む。ステップS17では、自動スイッチ76の押操作の有無が検出され、自動スイッチ76の押操作が検出された場合には、ステップS19に進み、自動調整制御がOFFされるとともに、自動ランプ72を消灯させ、その後、ステップS13の直前に処理を戻す。
ステップS17において、自動スイッチ76の押操作が検出されなかった場合には、その後、ステップS13の直前に処理を戻す。
ステップS16において、自動調整制御が実行されていない場合には、ステップS19に進む。ステップS19では、自動スイッチ76の押操作の有無が検出され、自動スイッチ76の押操作が検出された場合には、ステップS20に進み、自動調整制御がONされるとともに、自動ランプ72を点灯させ、その後、ステップS13の直前に処理を戻す。
ステップS19において、自動スイッチ76の押操作が検出されなかった場合には、ステップS21に進む。ステップS21では、所定の成立条件を満たしているか否かが判断される。該所定の成立条件を満たしている場合には、ステップS22に進む。
該成立条件は、具体的に、層厚センサ52が検出状態であることが検出され、且つ自動調整制御が停止した状態が継続している場合(手動で選別量を調整できる状態)において、作物設定ダイヤル43によって、処理物の種類に大豆類が選択されていることが検出された場合が該当する。
ステップS22では、自動調整制御が停止した状態において、作物設定ダイヤル43により大豆等の処理物量の検出が必要ない作物が設定されているにも関わらず、検出体64が検出状態に切換えられている場合に、警報装置73及び表示パネル74を用いてオペレータにその旨を報知する。その後、ステップS13の直前に処理を戻す。
ステップS21において、所定の成立条件を満たしていない場合には、その後、ステップS13の直前に処理を戻す。
ステップS15において、層厚センサ52の状態が非検出状態であることが検出された場合には、ステップS23に進む。ステップS23では、収納フラグを1にセットし、その後、ステップS13の直前に処理を戻す。
ステップS13において、収納フラグが1にセットされている場合には、ステップS24に進む。ステップS24では、層厚センサ52の状態が検出状態か非検出状態であるかが判定され、層厚センサ52が非検出状態に切換えられている場合には、ステップS25に進む。
ステップS25では、自動スイッチ76の押操作の有無が検出され、自動スイッチ76の押操作が検出されなかった場合には、ステップS26に進む。ステップS26では、所定の成立条件を満たしているか否かが判断される。該所定の成立条件を満たしている場合には、ステップS27に進む。
該成立条件は、具体的に、層厚センサ52が非検出状態であることが検出され、且つ自動調整制御が停止した状態が継続している場合において、作物設定ダイヤル43によって、処理物の種類に稲・麦等が選択されていることが検出された場合が該当する。
ステップS27では、作物設定ダイヤル43により稲・麦等の処理物量の検出が必要な作物が設定されているにも関わらず、検出体64が非検出状態に切換えられている場合に、警報装置73及び表示パネル74を用いてオペレータにその旨を報知する。その後、ステップS13の直前に処理を戻す。
ステップS26において、所定の成立条件を満たしていない場合には、その後、ステップS13の直前に処理を戻す。
ステップS25において、自動スイッチ76の押操作が検出された場合には、ステップS28に進む。ステップS28では、警報装置73及び表示パネル74を用いて層厚センサ52が非検出状態で、自動スイッチ76がON操作されたことをオペレータに報知し、その後、ステップS13の直前に処理を戻す。
すなわち、ステップS28において、オペレータに層厚センサ52が非検出状態であるにもかかわらず、自動スイッチ76が押操作された場合には、その旨がオペレータに報知されるとともに、自動スイッチ76が押されていても、上述の自動調整制御が規制されるように構成されている。
ステップS24において、層厚センサ52の状態が検出状態であることが検出された場合には、ステップS29に進む。ステップS29では、収納フラグを0にセットし、その後、ステップS13の直前に処理を戻す。