JP6342439B2 - ゴムモールド部品、電力ケーブルの接続部、及びゴムモールド部品の施工方法 - Google Patents

ゴムモールド部品、電力ケーブルの接続部、及びゴムモールド部品の施工方法 Download PDF

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Description

本発明は、電力ケーブルの端末接続部や中間接続部の構築に利用される筒状のゴムモールド部品、そのゴムモールド部品を備える電力ケーブルの接続部、及びそのゴムモール部品の施工方法に関するものである。特に、電力ケーブルへの装着性に優れるゴムモールド部品に関する。
CVケーブルなどの電力ケーブルの端末接続部や中間接続部を構築する部品の一つに、ゴムモールド部品がある。このゴムモールド部品は、絶縁性を有する筒状の本体部と、その本体部の中間部の内周面に一体に形成され、半導電性を有する筒状の電界緩和層とを備える。ゴムモールド部品は、電力ケーブルの端末接続部や中間接続部を構築する際、予め端部を段剥ぎしておいたケーブルが挿入されてケーブルに装着される。その装着の際、ゴムモールド部品はケーブルに対して滑りが悪いため、ケーブルにゴムモールド部品をスムースに装着することが難しい。そのため、通常、ゴムモールド部品の内周面やケーブルの表面に潤滑剤を塗布した状態で、ケーブルにゴムモールド部品が装着される。
ゴムモールド部品の内径は、一般的にケーブルの外径よりも小さい。これは、ケーブルとゴムモールド部との界面に面圧が掛かるようにして、その界面の絶縁耐力を確保するためである。そのため、ケーブルのゴムモール部品への挿入時に、ケーブルやゴムモールド部品に塗布した潤滑剤が両者の摩擦で擦り取られる。そうすると、ケーブルとゴムモールド部品との滑りが悪化し、ケーブルにゴムモールド部品を円滑に装着することが難しくなる。
例えば、特許文献1のゴムモールド部品の電界緩和層は、ケーブル絶縁体との接触面の端部に形成された少なくとも1つの突起を有する。この電界緩和層に設けられた突起により、ケーブルへのゴムモールド部品の装着時、電界緩和層とケーブル絶縁体との間に隙間を形成して、潤滑剤がゴムモールド部品とケーブル絶縁体との間に侵入させ易くして、ゴムモールド部品の装着性を高めている。
特開平11−289650号公報
更なる、電力ケーブルへの装着性に優れるゴムモールド部品の開発が望まれている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的の一つは、電力ケーブルへの装着性に優れるゴムモールド部品を提供することにある。
本発明の別の目的は、ゴムモール部品を備える電力ケーブルの接続部を提供することにある。
本発明の他の目的は、ゴムモール部品を用いて電力ケーブルに装着するゴムモールド部品の施工方法を提供することにある。
本発明の一態様に係るゴムモールド部品は、電力ケーブルの端部に装着されるゴムモールド部品であって、潤滑剤を保持するための保持溝が形成された内周面を備え、保持溝は、ゴムモールド部品の軸方向を分断する複数の分断箇所を有する。
本発明の一態様に係る電力ケーブルの接続部は、電力ケーブルと、電力ケーブルの端部に装着されるゴムモールド部品とを備える電力ケーブルの接続部であって、ゴムモールド部品は、本発明の一態様に係るゴムモールド部品である。
本発明の一態様に係るゴムモールド部品の施工方法は、段剥ぎした端部を有する電力ケーブルと、本発明の一態様に係るゴムモールド部品とを準備する準備工程と、電力ケーブルの段剥ぎした端部にゴムモールド部品を装着する装着工程とを備える。
上記ゴムモールド部品は、電力ケーブルへの装着性に優れる。
上記電力ケーブルの接続部は、組立作業性に優れる。
上記ゴムモールド部品の施工方法は、電力ケーブルにゴムモールド部品を容易に装着できる。
実施形態1に係るゴムモールド部品の縦断面図である。 実施形態1に係る電力ケーブルの接続部の部分断面図である。 実施形態2に係るゴムモールド部品の縦断面図である。 実施形態2に係る電力ケーブルの接続部の部分断面図である。 実施形態4に係るゴムモールド部品に備わる電界緩和層の保持溝の横断面図である。 実施形態5に係るゴムモールド部品に備わる電界緩和層の保持溝の横断面図である。 実施形態6に係るゴムモールド部品に備わる電界緩和層の縦断面図である。
《本発明の実施形態の説明》
最初に本発明の実施態様の内容を列記して説明する。
(1)本発明の一態様に係るゴムモールド部品は、電力ケーブルの端部に装着されるゴムモールド部品であって、潤滑剤を保持するための保持溝が形成された内周面を備え、保持溝は、ゴムモールド部品の軸方向を分断する複数の分断箇所を有する。
上記の構成によれば、電力ケーブルへの装着性に優れる。ゴムモールド部品を電力ケーブルに装着する際、一般にケーブルの表面には潤滑剤を塗布する。保持溝が形成された内周面を備えることで、電力ケーブルのゴムモールド部品への挿入時、電力ケーブルの表面の潤滑剤は、保持溝に入り込む。そのため、内周面に保持溝が形成されていない場合に比較して、電力ケーブルの表面の潤滑剤が内周面により擦り取られ難い。その上、保持溝の分断箇所が電力ケーブルの挿入方向に交差しているため、保持溝が軸方向に沿うように電力ケーブルの挿入方向に沿っている場合に比較して、保持溝内の潤滑剤は電力ケーブルの挿入によって押し出されて流れ出て行くことがない。従って、電力ケーブルとゴムモールド部品との滑りが悪化し難く、電力ケーブルにゴムモールド部品を円滑に装着し易い。
保持溝に潤滑剤を保持させられるため、電力ケーブルをゴムモールド部品に挿入する際、電力ケーブルの端部に潤滑剤を塗布せず、保持溝が形成された内周面に潤滑剤を塗布する場合でも、電力ケーブルへの装着性に優れる。保持溝内の潤滑剤は、電力ケーブルのゴムモールド部品への挿入時、電力ケーブルの表面により擦り取られ難いからである。
電力ケーブルをゴムモールド部品に挿入する際、電力ケーブルの端部とゴムモールド部品の保持溝が形成された内周面との両方に潤滑剤が塗布されている場合には、電力ケーブルへの装着性により一層優れる。
(2)上記ゴムモールド部品の一形態として、ゴムモールド部品は、絶縁性を有する筒状の本体部と、本体部の中間部の内周面に一体に形成される筒状の電界緩和層とを備え、電界緩和層に保持溝が形成された内周面を備えることが挙げられる。
上記の構成によれば、上述したように電力ケーブルとゴムモールド部品との滑りが悪化し難いため、電力ケーブルへの装着性に優れる。
(3)本体部と電界緩和層を備える上記ゴムモールド部品の一形態として、電界緩和層の硬さは、本体部の硬さよりも硬いことが挙げられる。
上記の構成によれば、ゴムモールド部品の電力ケーブルへの装着時、電力ケーブルとの接触で電界緩和層が変形し難いので保持溝の変形を抑制し易い。それにより、保持溝に潤滑剤を保持させ易く、潤滑剤が保持溝間を乗り越え難い。そのため、ゴムモールド部品の電力ケーブルへの装着後、保持溝に空隙が形成され難い。従って、電力ケーブルに電圧が印加された際、電界緩和層で放電が生じることを低減できる。
(4)上記ゴムモールド部品の一形態として、保持溝は、内周面を1周以上連続する連続箇所を有することが挙げられる。
上記の構成によれば、連続箇所を備えることで、内周全周に亘って潤滑剤を保持させられるため、電力ケーブルへの装着性に優れる。
(5)上記ゴムモールド部品の一形態として、保持溝は、螺旋溝を有することが挙げられる。
上記の構成によれば、内周全周に亘って保持溝が形成されているため、内周全周に亘って潤滑剤を保持させられるので、電力ケーブルへの装着性に優れる。
(6)上記ゴムモールド部品の一形態として、保持溝は、軸方向に並列する複数のリング溝を有することが挙げられる。
上記の構成によれば、上述の螺旋溝の場合と同様、電力ケーブルへの装着性に優れる。
(7)上記ゴムモール部品の一形態として、保持溝の最大深さは、保持溝の開口幅以下であることが挙げられる。
上記の構成によれば、保持溝の最大深さが保持溝の開口幅超の場合に比較して、最大深さを同じとすると、開口幅が広いため保持溝に潤滑剤を保持させ易い上に、保持溝に保持させる潤滑剤を多くし易い。また、開口幅を同じとすると、最大深さが浅いため潤滑剤の量が過度に多くなりすぎ難い上に、電気的弱点となり難い。更に、保持溝の体積(横断面積)を同じとすると、開口幅が広く最大深さが浅いため潤滑剤を保持させ易い上に、電気的弱点となり難い。
(8)上記ゴムモールド部品の一形態として、保持溝の最大深さは、0.5mm以下であることが挙げられる。
保持溝の最大深さを0.5mm以下とすれば、保持溝が電気的弱点となることなく保持溝に潤滑剤を保持させられる。
(9)上記ゴムモールド部品の一形態として、保持溝の開口幅は、1mm以下であることが挙げられる。
保持溝の開口幅を1mm以下とすれば、開口幅が過度に大きくなりすぎないため、保持溝に保持させる潤滑剤の量が多くなり過ぎない。
(10)上記ゴムモールド部品の一形態として、保持溝のピッチは、2mm以下であることが挙げられる。
保持溝のピッチを2mm以下とすれば、隣り合う溝同士の間隔が過度に広くなりすぎない。そのため、電力ケーブルの表面に塗布する潤滑剤が、電力ケーブルをゴムモールド部品に挿入する際の電力ケーブルと電界緩和層の内周面との接触により擦り取られ難い。
(11)上記ゴムモールド部品の一形態として、保持溝の底面の幅は、保持溝の開口幅以下であることが挙げられる。
保持溝の底面の幅を保持溝の開口幅以下とすれば、溝を形成し易い上に、潤滑剤を保持させ易い。
(12)上記ゴムモールド部品の一形態として、保持溝に保持される潤滑剤を備えることが挙げられる。
上記の構成によれば、電力ケーブルの接続部を構築する施工現場において、潤滑剤を保持溝に塗布する作業を省略し易く、電力ケーブルの接続部の構築作業を簡略化し易い。
(13)本発明の一態様に係るゴムモールド部品は、電力ケーブルと、電力ケーブルの端部に装着されるゴムモールド部品とを備える電力ケーブルの接続部であって、ゴムモールド部品は、上記(1)から(12)のいずれか1つのゴムモールド部品である。
上記の構成によれば、電界緩和層に保持溝が形成されて電力ケーブルへの装着性に優れる上述のゴムモールド部品を備えるため、組立作業性に優れる。
(14)本発明の一態様に係るゴムモールド部品の施工方法は、段剥ぎした端部を有する電力ケーブルと、上記(1)から(12)のいずれか1つのゴムモールド部品とを準備する準備工程と、電力ケーブルの段剥ぎした端部にゴムモールド部品を装着する装着工程とを備える。
上記の構成によれば、電界緩和層に保持溝が形成された上述のゴムモールド部品を用いるため、電力ケーブルにゴムモールド部品を容易に装着できる。特に、準備工程で、電界緩和層の保持溝に潤滑剤が保持されているゴムモールド部品を準備する場合には、施工現場で電界緩和層の内周面に潤滑剤を塗布する作業を省略し易いため、電力ケーブルの接続部の構築作業を簡略化し易い。このように予め保持溝に潤滑剤が保持されていれば、電力ケーブルへの潤滑剤の塗布を省略してもよい。
《本発明の実施形態の詳細》
本発明の実施形態1から実施形態6の詳細を、以下に図面を参照しつつ説明する。図中の同一符号は、同一名称物を示す。実施形態1では、まず、ゴムモールド部品を説明し、その後、ゴムモールド部品を備える電力ケーブルの接続部、ゴムモールド部品の施工方法の順に説明する。実施形態2から実施形態6では、実施形態1との相違点を中心に説明し、同様の構成及び同様の効果については説明を省略する。
《実施形態1》
〔ゴムモールド部品〕
主として図1(適宜図2など)を参照して、実施形態1に係るゴムモールド部品1を説明する。ゴムモールド部品1は、電力ケーブル10(図2)の端部に装着される。このゴムモールド部品1の主たる特徴とするところは、本体部2に潤滑剤400を保持する特定の保持溝40が形成された内周面4を備える点にある。以下、各構成を詳細に説明する。
[本体部]
本体部2は、図1に示すように筒状であり、後述する電力ケーブル10(図2)の端部が挿入されて電力ケーブル10の端部の絶縁性を高める。本体部2の材質は、電気絶縁性に優れるゴム、例えば、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム(EPゴム)、及びクロロプレンゴムなどが挙げられる。本体部2の硬さは、本体部2の材質の配合によって種々選択できる。
本体部2の一方の開口端(図1上側、以下、先端という)は、電力ケーブル10の導体11(後述)に電気的に接続される金属端子200(後述)が設けられる(図2)。本体部2の他方の開口端側(図1下側、以下、後端という)は、電力ケーブル10の端部が挿入される。本体部2の内周面4には、保持溝40が形成されている。本体部2の内周面4をゴムモールド部品1の軸方向cから見たとき、保持溝40は本体部2の内周方向に突出しておらず、軸方向手前の内周面4の輪郭が軸方向奥の内周面4の輪郭と重複し、本体部2の内周面の輪郭は単一の円形に見える。
(保持溝)
保持溝40は、潤滑剤400(図1右下一点鎖線円内に二点鎖線で示す)が保持される。図1右下一点鎖線円内の図は、図1右上一点鎖線円内に示す本体部2の内周面の拡大図において、(A)−(A)切断線で切断した断面図を示し、保持溝40の横断面を示す図である。この潤滑剤400の保持とは、以下の二つの場合が挙げられる。
(1)本体部2の内周面4に直接潤滑剤400が塗布されず、潤滑剤が塗布された電力ケーブル10の端部のゴムモールド部品1への差し込みによって潤滑剤が保持溝40に入り込むことで、潤滑剤400が保持溝40に保持される。
(2)本体部2の内周面4に直接潤滑剤400が塗布されることで、潤滑剤400が保持溝40に保持される。
上記(2)の場合のように予め保持溝40が潤滑剤400を保持していれば、後述する電力ケーブルの接続部100を構築する施工現場において、潤滑剤400を保持溝40に塗布する作業を省略してもよく、電力ケーブルの接続部100の構築作業を簡略化し易い。このように予め保持溝40に潤滑剤400が保持されていれば、電力ケーブル10への潤滑剤の塗布を省略してもよい。
保持溝40は、ゴムモールド部品1の軸方向cと交差するように設けられている。より具体的には、ゴムモールド部品1の軸方向cを分断する複数の分断箇所を有する(図1右上一点鎖線円内)。複数の分断箇所を有することで、電力ケーブル10のゴムモールド部品1への挿入時、電力ケーブル10の表面の潤滑剤は、保持溝40に入り込んで保持溝40に保持される。そのため、保持溝40を備えていない場合に比較して、電力ケーブル10の表面の潤滑剤が本体部2の内周面4により擦り取られ難い。その上、保持溝40の分断箇所が電力ケーブル10の挿入方向に交差しているため、潤滑剤400は、保持溝40が軸方向cに沿っている場合に比較して、その軸方向cに沿って流れて出て行くことがない。従って、電力ケーブル10を挿入し易い。保持溝40は、本体部2の内周面の周方向のどの位置をその軸方向cに沿って見ても、複数の分断箇所が存在することが好ましい。
保持溝40は、本体部2の内周面を1周以上連続しない1周未満の箇所を有していてもよいし、本体部2の内周面を1周以上連続する連続箇所を有していてもよい。1周未満の箇所を有するとは、具体的には、溝の始端と終端とがゴムモールド部品1の軸方向c及び周方向にずれていて、始端から終端に亘って1周以上周回していない複数の曲線溝を有することが挙げられる。1周以上連続する連続箇所を有するとは、具体的には、螺旋溝やリング溝が挙げられる。螺旋溝は、本体部2の内周面を1周する毎に連続箇所が軸方向cにずれる。リング溝は、同一平面上で1周分の連続箇所が形成される。
保持溝40が螺旋溝を有する場合、保持溝40は、「複数のターンを有する1本の螺旋溝」、「一つのターンを有する複数本の螺旋溝」、「複数のターンを有する複数本の螺旋溝」の少なくとも一つを有することが好ましい。保持溝40がリング溝を有する場合、リング溝の数は複数とし、複数のリング溝は軸方向cに並列していることが好ましい。ここでは、保持溝40は、図1右上一点鎖線円に示すように、本体部2の内周面を複数周連続する1本の螺旋溝、即ち、複数のターンを有する1本の螺旋溝で構成している。保持溝40がリング溝を有する形態は、後述する実施形態6で説明する。
〈横断面形状〉
保持溝40の横断面形状は、特に限定されず適宜選択できるが、例えば、V字状やU字状、底面の幅よりも開口幅の広い台形状、開口幅と底面の幅とが同一な矩形状などが挙げられる。保持溝40の横断面形状をV字状とする場合、V字の角度の二等分線が、本体部2の径方向に沿って平行なV字(図1右下一点鎖線円内)でもよいし、本体部2の径方向に対して傾斜する変形V字(図3参照:後述)でもよい。即ち、V字の底を通って本体部2の径方向に沿った仮想線をとったとき、その仮想線と溝の先端側の側面及び後端側の側面のそれぞれとのなす角が、図1に示すように同一であってもよいし、後述する図5に示すように異なっていてもよい。保持溝40の横断面形状がV字状の場合、両方の側面の長さは同一であり、保持溝40の横断面形状が変形V字状の場合、両方の側面の長さは異なる。ここでは、保持溝40の横断面形状は、V字状である。保持溝40の横断面形状が変形V字状の形態は、後述する実施形態4で説明し、保持溝40の横断面形状が台形状の形態は、後述する実施形態5で説明する。
〈最大深さ〉
保持溝40の最大深さdpは、例えば、0.5mm以下が好ましい。最大深さdpを0.5mm以下とすれば、保持溝40が電気的弱点となり難い。最大深さdpとは、溝(V字)の底を通って本体部2の径方向に沿った長さとする。保持溝40の最大深さdpは、0.4mm以下が好ましく、特に0.2mm以下が好ましい。保持溝40の最大深さdpは、0.1mm以上が好ましい。最大深さdpを0.1mm以上とすれば、保持溝40に潤滑剤400を保持させ易い。
〈開口幅・ピッチ〉
保持溝40の開口幅woとピッチpは、適宜選択できる。開口幅woは、溝開口部の最短距離とする。ピッチpは、隣り合う溝同士の中心間の最短距離とする。溝開口部の最短距離と隣り合う溝同士の中心間の最短距離とは、保持溝40の長手(伸延)方向と直交方向の距離である。本例のように保持溝40が螺旋溝の場合、保持溝40の長手方向は、軸方向cに対して直交せず(非直交に)交差している。保持溝40の開口幅woとピッチpとは同じ長さとしてもよいし、保持溝40のピッチpは開口幅wo以上の長さとしてもよい。
保持溝40の開口幅woは、例えば、1mm以下が好ましい。保持溝40の開口幅woが1mm以下であれば、開口幅woが過度に広くなりすぎない。そのため、保持溝40に潤滑剤400を保持させ易い上に、保持溝40に保持させる潤滑剤400の量が多くなり難い。保持溝40の開口幅woは、0.8mm以下が好ましく、更に、0.5mm以下が好ましく、特に、0.3mm以下が好ましい。保持溝40の開口幅woは、例えば0.1mm以上が好ましい。保持溝40の開口幅woを0.1mm以上とすれば、潤滑剤400を保持させ易く、電力ケーブル10の挿入性を高め易い。
保持溝40のピッチpは、例えば、開口幅の2倍以下が好ましい。保持溝40のピッチpが開口幅の2倍以下であれば、隣り合う溝同士の間隔が過度に広くなりすぎない。そのため、電力ケーブル10の表面に塗布する潤滑剤が、電力ケーブル10をゴムモールド部品1に挿入する際の電力ケーブル10と本体部2の内周面4との接触により擦り取られ難い。保持溝40のピッチpは、2mm以下が好ましく、更に、1mm以下、0.8mm以下が好ましく、特に、0.5mm以下、0.3mm以下が好ましい。保持溝40のピッチpは、0.1mm以上が好ましい。
上述の保持溝40の形状やサイズ(最大深さdp、開口幅wo、及びピッチp)は、ゴムモールド部品1のサイズなどに関係なく適用できる。
〈形成領域〉
保持溝40における軸方向cに沿った形成領域は、長いほど好ましい。保持溝40の形成領域が長いと、軸方向cに沿って広範囲に亘って潤滑剤400を保持させられる。そのため、電力ケーブル10をゴムモールド部品1に挿入させる際に潤滑剤400が擦り取られ難く、電力ケーブル10をゴムモールド部品1に挿入させ易い。保持溝40の形成領域は、軸方向cの略全長に亘る領域であることが特に好ましい。
〈形成方法〉
保持溝40の本体部2の内周面4への形成は、本体部2を注型成形や射出成形する際の中子の表面性状の転写により行える。即ち、保持溝40の本体部2の内周面4への形成には、保持溝40と同じ溝が形成された中子を用いる。
〔ゴムモールド部品の作用効果〕
実施形態1のゴムモールド部品1は、以下の効果を奏することができる。
(1)電力ケーブル10への装着性に優れる。本体部2が上述の保持溝40が形成された内周面4を備えることで、保持溝40を備えていない場合に比較して、ゴムモールド部品1を電力ケーブル10の端部に装着する際、潤滑剤が電力ケーブル10の表面により擦り取られ難いからである。従って、電力ケーブル10とゴムモールド部品1との滑りが悪化し難く、電力ケーブル10にゴムモールド部品1を円滑に装着し易い。
(2)保持溝40に潤滑剤を塗布すれば潤滑剤を保持させられる。そのため、ゴムモールド部品1を用いて電力ケーブルの接続部100(後述)を構築する際、予めゴムモールド部品1の製造工場で保持溝40に潤滑剤を塗布して保持させてもよい。それにより、電力ケーブルの接続部の施工現場で本体部2の内周面4に潤滑剤を塗布する作業を省略してもよい。そうすれば、電力ケーブルの接続部の構築作業を簡略化し易い。予め保持溝40に潤滑剤が保持されていれば、電力ケーブル10への潤滑剤の塗布を省略してもよい。
〔電力ケーブルの接続部〕
図2を参照して実施形態1に係る電力ケーブルの接続部100を説明する。電力ケーブルの接続部100は、電力ケーブル10とゴムモールド部品1とを備える。ここでは、ゴムモールド部品1は、上述の本体部2の先端に金属端子200が一体化されている場合を例に説明する。この点は、後述する実施形態2から実施形態6においても同様である。
[電力ケーブル]
電力ケーブル10は、図2に示すように、内周から順に、導体11、内部半導電層(図示略)、絶縁体13、外部半導電層(図示略)、遮蔽層(図示略)、シース16を備える。この電力ケーブル10の端部は、段剥ぎされて、導体11、絶縁体13が露出している。導体11の先端には、金属端子200が電気的に接続されている。この金属端子200を介して、電力ケーブル10は、相手側機器(図示略)と電気的に接続される。
[ゴムモールド部品]
ゴムモールド部品1は、電力ケーブル10の端部に装着されている。ゴムモールド部品1は、上述したように本体部2に保持溝40が形成された内周面4を備える。本体部2は、電力ケーブル10の端部を覆っている。具体的には、本体部2は、絶縁体13から導体11の途中に亘って覆っている。導体11の先端は、本体部2に一体化された金属端子200により覆われている。
〔電力ケーブルの接続部の作用効果〕
上述した電力ケーブルの接続部100によれば,本体部2に保持溝40が形成されて電力ケーブル10への装着性に優れる上述のゴムモールド部品1を備えるため、組立作業性に優れる。
〔ゴムモールド部品の施工方法〕
ゴムモールド部品の施工方法は、上述のゴムモールド部品1を用いて、電力ケーブル10の端部に装着する。ゴムモールド部品の施工方法は、準備工程と装着工程とを備える。
[準備工程]
準備工程では、段剥ぎされた端部を有する電力ケーブル10と、ゴムモールド部品1とを準備する。ゴムモールド部品1は、本体部2に保持溝40が形成された内周面4を備える上述のゴムモールド部品1を準備する。本体部2の内周面4への潤滑剤の塗布が必要な場合に、予めゴムモールド部品1における本体部2の内周面4に潤滑剤400が塗布されていると、施工現場で潤滑剤を別途塗布する作業を省略することもできる。
[装着工程]
装着工程では、電力ケーブル10の段剥ぎした端部に本体部2(ゴムモールド部品1)を装着する。このとき、本体部2を導体11の先端から嵌め込む。ここでは、本体部2を絶縁体13から導体11の途中に亘るように嵌め込む。導体11の先端は、本体部2と金属端子200とが一体化されているため、本体部2の上記嵌め込みと共に金属端子200に覆われる。
〔ゴムモールド部品の施工方法の作用効果〕
上述したゴムモールド部品の施工方法によれば、本体部2に保持溝40が形成された内周面4を備える上述のゴムモールド部品1を用いるため、電力ケーブル10にゴムモールド部品1を容易に装着できる。
《実施形態2》
〔ゴムモールド部品〕
図3,4を参照して、実施形態2のゴムモールド部品1を説明する。実施形態2のゴムモールド部品1は、筒状の本体部2とその内側に設けられる筒状の電界緩和層3とを備え、電界緩和層3に保持溝40が形成された内周面4を備える点が、実施形態1のゴムモールド部品1と相違する。
[本体部]
本体部2は、実施形態1と同様、筒状であり、後述の電力ケーブル10(図4)の端部が挿入されて電力ケーブル10の端部の絶縁性を高める。この形態の本体部2は、公知のゴムモールド部品の本体部を利用できる。
[電界緩和層]
電界緩和層3は、図3に示すように筒状であり、内部に挿通された電力ケーブル10の遮蔽層の端部への電界の集中を緩和する。それにより、電力ケーブル10の絶縁体13の電気的ストレスによる劣化を低減して絶縁破壊を抑制する。ここで、遮蔽層の端部とは、後述する半導電性テープ層18における先端側の端部(図4)を含む。電界緩和層3は、ゴムモールド部品1の軸方向cの中間部の内周面に一体に形成されている。電界緩和層3の材質は、例えば、半導電性ゴムが挙げられる。
電界緩和層3の内周面4には、保持溝40が形成されている。電界緩和層3の内周面4をその軸方向cから見たとき、実施形態1の本体部2と同様、保持溝40は電界緩和層3の内周方向に突出しておらず、軸方向手前の内周面4の輪郭が軸方向奥の内周面4の輪郭と重複し、電界緩和層3の内周面4の輪郭は単一の円形に見える。保持溝40の形状、サイズなどは、実施形態1と同様とすることができる。保持溝40における軸方向cに沿った形成領域は、実施形態1と同様、長いほど好ましく、特に電界緩和層3の軸方向cの略全長に亘る領域であることが好ましい。電界緩和層3の内周面4への保持溝40の形成は、実施形態1の本体部2の内周面4への保持溝40の形成と同様に行える。
電界緩和層3の硬さは、電界緩和層3の材質の配合によって種々選択でき、本体部2の硬さよりも硬くしたり、柔らかくしたりすることができる。電界緩和層3の硬さは、本体部2の硬さよりも硬いことが好ましい。そうすれば、電界緩和層3の保持溝40は、ゴムモールド部品1の電力ケーブル10への装着時、電力ケーブル10との接触で変形し難い。それにより、保持溝40に潤滑剤400を保持させ易く、潤滑剤400の保持溝40間の乗り越えを抑制し易い。そのため、ゴムモールド部品1の電力ケーブル10への装着後に、保持溝40(電界緩和層3と電力ケーブル10との間)に空隙が形成され難く、電力ケーブル10に電圧が印加されたときに電界緩和層3で放電することを抑制できる。この硬さは、タイプAデュロメータ硬さを言う。タイプAデュロメータ硬さは、「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−硬さの求め方−第3部:デュロメータ硬さ JIS K 6253−3(2012)」に準拠した値である。
電界緩和層3の硬さが本体部2の硬さよりも硬い場合、電界緩和層3の硬さは、本体部2の硬さとの差が、例えば、5以上が好ましく、更には10以上が好ましい。この差の上限は、例えば、25以下とすることができる。電界緩和層3の硬さは、例えば35以上が好ましく、更には45以上が好ましい。電界緩和層3の硬さの上限は、電力ケーブル10を挿入できる硬さであれば特に限定されないが、例えば65以下とすることができる。
〔ゴムモールド部品の作用効果〕
実施形態2のゴムモールド部品1は、実施形態1と同様、電力ケーブル10への装着性に優れる。特に、電界緩和層3の硬さを本体部2の硬さよりも硬くすれば、保持溝40に潤滑剤400を保持させ易いため、電力ケーブル10への装着性により一層優れる。その上、電力ケーブル10への装着後、保持溝40(電力ケーブル10との間)に空隙が形成され難いため、電力ケーブル10に電圧が印加されたとき、電界緩和層3で放電が発生することを抑制できる。
〔電力ケーブルの接続部〕
図4を参照して実施形態2に係る電力ケーブルの接続部100を説明する。電力ケーブルの接続部100は、電力ケーブル10とゴムモールド部品1とを備える。このゴムモールド部品1には、上述のゴムモールド部品1を用いる。
[電力ケーブル]
電力ケーブル10は、図4に示すように、上述と同様、内周から順に、導体11、内部半導電層(図示略)、絶縁体13、外部半導電層(図示略)、遮蔽層(図示略)、シース16を備える。電力ケーブル10の端部は、段剥ぎされて、導体11、絶縁体13が露出している。導体11の先端には、金属端子200が電気的に接続されている。遮蔽層の外周と絶縁体13の外周の一部とには、遮蔽層から絶縁体13に亘って半導電性テープが巻回されて半導電性テープ層18が形成されている。
[ゴムモールド部品]
ゴムモールド部品1は、電力ケーブル10の端部に装着されている。ゴムモールド部品1は、上述したように本体部2と保持溝40が形成された内周面4を有する電界緩和層3とを備える。本体部2は、電界緩和層3が電力ケーブル10の半導電性テープ層18から絶縁体13に亘って覆うように、電力ケーブル10の端部を覆っている。本体部2は、シース16から導体11の途中に亘って覆っている。導体11の先端は、金属端子200により覆われている。
〔ゴムモールド部品の施工方法〕
ゴムモールド部品の施工方法は、上述のゴムモールド部品1を用いて、電力ケーブル10の端部に装着する。ゴムモールド部品の施工方法は、準備工程と装着工程とを備える。
[準備工程]
準備工程では、段剥ぎされた端部を有する電力ケーブル10と、ゴムモールド部品1とを準備する。ゴムモールド部品1は、本体部2と、保持溝40が形成された内周面4を有する電界緩和層3とを備える上述のゴムモールド部品1を準備する。
[装着工程]
装着工程では、電力ケーブル10の段剥ぎした端部にゴムモールド部品1を装着する。ゴムモールド部品1の電力ケーブル10の端部への装着は、次のようにして行う。ゴムモールド部品1の本体部2における後端側の端部を所定の位置まで外側に折り返す。後端側の端部を折り返した状態のゴムモールド部品1を電力ケーブル10の端部に嵌め込む。このとき、ゴムモールド部品1の折り返し箇所が電力ケーブル10のシース16の端部を覆うようにゴムモールド部品1を電力ケーブル10の端部に嵌め込む。折り返した部分を元に戻して電力ケーブル10の外周面に被せる。
《実施形態3》
実施形態3のゴムモールド部品は、実施形態2と同様、本体部2と電界緩和層3(図3を参照)とを備えるが、本体部2と電界緩和層3の両方に保持溝40が形成された内周面4を備える点が実施形態2と相違する。保持溝40の形状やサイズなどは、実施形態1,実施形態2と同様とすることができる。
《実施形態4》
〔ゴムモールド部品〕
図5上図及び下図を参照して、実施形態4のゴムモールド部品を説明する。図5上下の一点鎖線円内の図は、図1右下一点鎖線円内と同様、保持溝40の横断面を示す図である(この点は、後述の図6でも同じ)。実施形態4のゴムモールド部品は、保持溝40の横断面形状が変形V字状である点が、実施形態1から実施形態3のゴムモールド部品1と相違する。この形態では、電界緩和層3が変形V字状の保持溝40が形成された内周面4を備える場合を例に説明する。実施形態1のように電界緩和層を備えないゴムモールド部品1の本体部2に変形V字状の保持溝40が形成された内周面4を備える形態とすることもできる。実施形態3のように本体部2と電界緩和層3の両方に変形V字状の保持溝40が形成された内周面4を備える形態とすることもできる。これらの点は、後述の実施形態5,実施形態6でも同様である。
[電界緩和層]
(保持溝)
変形V字状の保持溝40は、上述したようにV字の角度の二等分線が電界緩和層3の径方向に対して傾斜する。即ち、変形V字状を構成する保持溝40の先端側側面と後端側側面の両方の長さは、互いに異なる。この保持溝40は、横断面において、V字の底を通って電界緩和層3の径方向に沿った仮想線を取ったとき、その仮想線と保持溝40の先端側側面と後端側側面のそれぞれとのなす角が異なっている。保持溝40の先端側側面と仮想線とのなす角を先端側角α、保持溝40の後端側側面と仮想線とのなす角を後端側角βとするとき、保持溝40は、図5上図に示すような「先端側角α<後端側角β」の関係を満たす箇所を有していてもよいし、図5下図に示すような「先端側角α>後端側角β」の関係を満たす箇所を有していてもよい。
保持溝40の全てが、「先端側角α<後端側角β」又は「先端側角α>後端側角β」の一方の関係を満たす変形V字状で構成されていてもよい。また、保持溝40の一部が、「先端側角α<後端側角β」の関係を満たす変形V字状で構成され、保持溝40の残部が「先端側角α>後端側角β」の関係を満たす変形V字状で構成されていてもよい。例えば、先端側の保持溝40を構成する変形V字状が「先端側角α<後端側角β」の関係(「先端側角α>後端側角β」の関係)を満たし、後端側の保持溝40を構成する変形V字状が「先端側角α>後端側角β」の関係(「先端側角α<後端側角β」の関係)を満たしていてもよい。
保持溝40の深さdp、開口幅wo、及びピッチpは、実施形態1と同様とすることができる。但し、ここでは保持溝40のピッチpは、隣り合う溝のV字の底同士間の最短距離とする。
《実施形態5》
〔ゴムモールド部品〕
図6を参照して、実施形態5のゴムモールド部品を説明する。実施形態5のゴムモールド部品は、保持溝40の横断面形状が台形状である点が実施形態1から実施形態4のゴムモールド部品と相違する。
[電界緩和層]
(保持溝)
保持溝40の横断面形状が台形状とは、等脚台形の他、直角台形などのように一対の脚の長さの異なる台形などとすることができる。ここでは、保持溝40の横断面形状は、等脚台形としている。
保持溝40の深さdp、開口幅wo、及びピッチpは、実施形態1と同様とすることができる。但し、ここでは保持溝40のピッチpは、隣り合う溝の底幅の中間同士の間の最短距離とする。保持溝40の底面の幅wdは、保持溝40の開口幅wo以下であることが好ましい。即ち、保持溝40の底面の幅wdと開口幅woとの比率(wd/wo)は、1以下とすることが好ましい。そうすれば、保持溝40を形成し易い上に、潤滑剤400を保持させ易い。この比率(wd/wo)は、更に0.5以下とすることができ、特に0.1以下とすることができる。この比率(wd/wo)は、0.01以上とすることができる。
保持溝40の底面の幅wdは、例えば、1mm以下とすることができる。保持溝40の底面の幅wdが1mm以下であれば、底面の幅wdが過度に広くなりすぎず、保持させる潤滑剤400の量が多くなり過ぎない。保持溝40の底面の幅wdは、更には0.5mm以下とすることができ、特に0.1mm以下とすることができる。保持溝40の底面の幅wdは、例えば、0.01mm以上とすることができる。底面の幅wdを0.01mm以上とすれば、保持溝40に潤滑剤400を保持させ易い。
《実施形態6》
〔ゴムモールド部品〕
図7を参照して、実施形態6のゴムモールド部品を説明する。実施形態6のゴムモールド部品は、保持溝40を複数のリング溝で構成する点が、実施形態1から実施形態5のゴムモールド部品と相違する。
[電界緩和層]
(保持溝)
保持溝40を構成する複数のリング溝は、ゴムモールド部品の軸方向cに並列している。各リング溝は、図7上図に示すように、電界緩和層3の径方向に平行に形成されていてもよいし、図7下図に示すように、電界緩和層3の径方向に対して傾斜するように形成されていてもよい。図7下図のように傾斜するリング溝は、電界緩和層3の両端部で、電界緩和層3の内周面の1周分形成されておらず、リングの途中が切れた円弧溝で形成されている。各リングの横断面形状は、上述したV字状、変形V字状、台形状、矩形状などとすることができる。各リング溝の深さdp及び開口幅woや、リング溝同士のピッチp、リング溝の形成領域は、実施形態1の螺旋溝と同様とすることができる。
《変形例》
変形例として、ゴムモールド部品の本体部と金属端子とを別体とすることもできる。その場合、電力ケーブルの接続部において、電力ケーブルの端部に装着される本体部の先端は、本体部と金属端子とが一体の場合とは相違し、導体の途中ではなく絶縁体の途中に位置する。電力ケーブルの端部における本体部の先端と導体の先端の金属端子との間は、絶縁テープが巻回される。
《試験例》
図3を参照して説明したゴムモールド部品1の電界緩和層3における保持溝40の各種パラメータを種々変更して、ゴムモールド部品1の電力ケーブル10への装着性の評価を行った。この試験例では、以下に示すように保持溝の開口幅wo、ピッチp、及び深さdpの異なる2種類の電界緩和層A、Bのそれぞれを備えるゴムモールド部品を用意した。
[電界緩和層A]
保持溝:複数のターンを有する1本の螺旋溝
保持溝の横断面形状:V字状
保持溝の開口幅wo:0.3mm
保持溝のピッチp:0.3mm
保持溝の深さdp:0.15mm
保持溝の形成領域:電界緩和層の軸方向の略全長
[電界緩和層B]
保持溝:複数のターンを有する1本の螺旋溝
保持溝の横断面形状:V字状
保持溝の開口幅:0.4mm
保持溝のピッチ:1mm
保持溝の深さ:0.4mm
保持溝の形成領域:電界緩和層の軸方向の略全長
[装着性の評価]
電力ケーブルの端部には潤滑剤を塗布せず、保持溝に潤滑剤を塗布して、ゴムモールド部品に電力ケーブルを挿入した。その結果、電界緩和層A、Bのそれぞれを備えるゴムモールド部品のどちらにも、電力ケーブルを円滑に挿入することができた。
本発明は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の一態様に係るゴムモールド部品は、電力ケーブルの端末接続部や中間接続部を構築するゴムモールド部品に好適に利用できる。本発明の一態様に係る電力ケーブルの接続部は、電力ケーブルの端末接続部や中間接続部に好適に利用できる。本発明の一態様に係るゴムモールド部品の施工方法は、電力ケーブルの端末接続部や中間接続部を構築する施工方法に好適に利用できる。
100 電力ケーブルの接続部
1 ゴムモールド部品
2 本体部
3 電界緩和層
4 内周面
40 保持溝
400 潤滑剤
10 電力ケーブル
11 導体
13 絶縁体
16 シース
18 半導電性テープ層
200 金属端子

Claims (14)

  1. 電力ケーブルの端部に装着されるゴムモールド部品であって、
    絶縁性を有する筒状の本体部と、
    前記本体部の中間部の内周面に一体に形成される筒状の電界緩和層と、
    前記電界緩和層に潤滑剤を保持するための保持溝が形成された内周面を備え、
    前記保持溝は、前記ゴムモールド部品の軸方向を分断すると共に、互いに隣接する複数の分断箇所を有するゴムモールド部品。
  2. 電力ケーブルの端部に装着されるゴムモールド部品であって、
    絶縁性を有する筒状の本体部と、
    前記本体部の中間部の内周面に一体に形成される筒状の電界緩和層と、
    前記電界緩和層に潤滑剤を保持するための保持溝が形成された内周面を備え、
    前記保持溝は、前記ゴムモールド部品の軸方向を分断する複数の分断箇所を有し、
    前記保持溝は、螺旋溝を有するゴムモールド部品。
  3. 前記保持溝は、螺旋溝を有する請求項1に記載のゴムモールド部品。
  4. 前記保持溝は、軸方向に並列する複数のリング溝を有する請求項1に記載のゴムモールド部品。
  5. 前記電界緩和層の硬さは、前記本体部の硬さよりも硬い請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のゴムモールド部品。
  6. 前記保持溝は、前記内周面を1周以上連続する連続箇所を有する請求項1から請求項のいずれか1項に記載のゴムモールド部品。
  7. 前記保持溝の最大深さは、前記保持溝の開口幅以下である請求項1から請求項のいずれか1項に記載のゴムモールド部品。
  8. 前記保持溝の最大深さは、0.5mm以下である請求項に記載のゴムモールド部品。
  9. 前記保持溝の開口幅は、1mm以下である請求項1から請求項のいずれか1項に記載のゴムモールド部品。
  10. 前記保持溝のピッチは、2mm以下である請求項1から請求項のいずれか1項に記載のゴムモールド部品。
  11. 前記保持溝の底面の幅は、前記保持溝の開口幅以下である請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のゴムモールド部品。
  12. 前記保持溝に保持される潤滑剤を備える請求項1から請求項11のいずれか1項に記載のゴムモールド部品。
  13. 電力ケーブルと、電力ケーブルの端部に装着されるゴムモールド部品とを備える電力ケーブルの接続部であって、
    前記ゴムモールド部品は、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載のゴムモールド部品である電力ケーブルの接続部。
  14. 段剥ぎした端部を有する電力ケーブルと、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載のゴムモールド部品とを準備する準備工程と、
    前記電力ケーブルの段剥ぎした端部に前記ゴムモールド部品を装着する装着工程とを備えるゴムモールド部品の施工方法。
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