JP6342349B2 - 血中尿酸低減剤および医薬品 - Google Patents

血中尿酸低減剤および医薬品 Download PDF

Info

Publication number
JP6342349B2
JP6342349B2 JP2015033945A JP2015033945A JP6342349B2 JP 6342349 B2 JP6342349 B2 JP 6342349B2 JP 2015033945 A JP2015033945 A JP 2015033945A JP 2015033945 A JP2015033945 A JP 2015033945A JP 6342349 B2 JP6342349 B2 JP 6342349B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
uric acid
dfcy
siderophore
reducing agent
blood
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015033945A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016155773A (ja
Inventor
新 大浦
新 大浦
浩子 堤
浩子 堤
秦 洋二
洋二 秦
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Gekkeikan Sake Co Ltd
Original Assignee
Gekkeikan Sake Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Gekkeikan Sake Co Ltd filed Critical Gekkeikan Sake Co Ltd
Priority to JP2015033945A priority Critical patent/JP6342349B2/ja
Publication of JP2016155773A publication Critical patent/JP2016155773A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6342349B2 publication Critical patent/JP6342349B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)

Description

本発明は、血中尿酸低減剤および医薬品に関する。
痛風の原因として、肝臓での過剰な尿酸合成による体内での尿酸の蓄積が知られている。これに対する治療薬として、尿酸合成酵素であるキサンチンオキシダーゼ(以下、「XOD」ともいう。)の阻害剤であるアロプリノール等が使用されている(特許文献1)。しかしながら、前記XOD阻害剤は、尿酸の合成過剰により痛風を発症した患者には有効であるが、それ以外の患者には、効果が低いという問題があった。
特開2009−263343号公報
そこで、本発明は、新たな血中尿酸低減剤および医薬品を提供することを目的とする。
本発明の血中尿酸低減剤は、シデロフォアおよびその鉄錯体の少なくとも一方を含むことを特徴とする。
本発明の医薬品は、前記本発明の血中尿酸低減剤を含むことを特徴とする。
本発明によれば、新たな血中尿酸低減剤および医薬品を提供できる。
図1は、本発明の実施例1における血清尿酸値を示すグラフである。 図2は、本発明の実施例1における血清中のキサンチンオキシダーゼ活性を示すグラフである。 図3は、本発明の実施例1における血清中のキサンチンオキシダーゼ活性を示すグラフである。
本発明の血中尿酸低減剤において、シデロフォアが、デフェリフェリクリシンであることが好ましい。
本発明の血中尿酸低減剤は、キサンチンオキシダーゼ活性を阻害しないことが好ましい。
本発明の医薬品は、例えば、高尿酸血症用、痛風用、痛風結節用、尿酸結石用、および腎臓結石用からなる群から選択された少なくとも一つである。
<血中尿酸低減剤>
本発明の血中尿酸低減剤は、前述のように、シデロフォアおよびその鉄錯体の少なくとも一方を含むことを特徴とする。本発明の血中尿酸低減剤は、シデロフォアおよびその鉄錯体の少なくとも一方を含むことが特徴であり、その他の構成および条件は、特に制限されない。
本発明者らは、鋭意研究の結果、天然物由来のシデロフォアおよびその鉄錯体が血中尿酸の低減作用を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。本発明の血中尿酸低減剤は、例えば、前記XOD活性を阻害せずに、血中尿酸の低減作用を発揮できる。このため、本発明の血中尿酸低減剤によれば、例えば、既存のXOD阻害剤が有効でない患者においても血中の尿酸を低減させることができる。また、本発明の血中尿酸低減剤によれば、例えば、前記XOD阻害剤と併用することで、より血中の尿酸値を低減できる。さらに、シデロフォアおよびその鉄錯体は、それぞれ、清酒等の米醸造物に含まれる物質であり、前記米醸造物の長年の使用履歴から、安全性に優れることは明らかである。このため、本発明の血中尿酸低減剤は、極めて有用である。
本発明において、「血中尿酸低減」とは、血液中の尿酸値の低下を意味し、そのメカニズムは、例えば、尿酸の合成抑制でもよいし、合成された尿酸の分解でもよいし、合成された尿酸の排出促進でもよい。本発明の血中尿酸低減剤は、尿酸の合成抑制、合成された尿酸の分解、および合成された尿酸の排出促進のいずれの作用を奏してもよく、これらの組合せの作用を奏してもよい。本発明の血中尿酸低減剤が、尿酸の合成抑制作用を奏する場合、前記血中尿酸低減剤は、キサンチンオキシダーゼ活性を阻害せず、前記尿酸の合成抑制作用を奏することが好ましい。前記血液は、例えば、全血、血清、血漿、白血球、血小板等があげられ、好ましくは、血清である。
前記血液中の尿酸値の測定方法は、特に制限されず、例えば、高速液体クロマトグラフ質量分析計(LC−MS、LC-MS/MS)等を使用した測定方法、ウリカーゼ・ペルオキシダーゼ法等の酵素法、リンタングステン法等があげられる。
本発明において、前記シデロフォアおよびその鉄錯体は、例えば、天然物でもよいし、合成物でもよいが、前記天然物が好ましい。シデロフォアおよびその鉄錯体の安全性は、前述のように、これまでの食の歴史によって証明されていることから、例えば、前記合成物であっても、同様である。シデロフォアおよびその鉄錯体は、例えば、精製品、他の成分を含む部分精製品、非精製品等でもよいが、医薬品等へ適用することから、精製品が好ましい。
(1)シデロフォア
シデロフォアは、3価鉄イオン(Fe3+)をキレートする化合物であり、その鉄錯体は、シデロフォアが3価鉄イオン(Fe3+)をキレート化した錯体である。シデロフォアおよびその鉄錯体は、例えば、120℃程度の高温処理および/または200kPa程度の高圧処理によっても、未変性または変性し難いため、非常に安定性に優れる。このため、例えば、製品化において、滅菌等の目的で、高温または高圧処理を施しても、品質の低下を防止できる。このため、本発明の血中尿酸低減剤は、例えば、製造が非常に容易である。
前記シデロフォアは、例えば、天然型のシデロフォアでもよいし、3価鉄イオンのキレート作用を有する限りにおいて、前記天然型のシデロフォアの誘導体でもよい。前記誘導体は、例えば、シデロフォアの官能基が置換された化合物があげられる。前記誘導体は、例えば、アセチル化誘導体、ニトロ化誘導体等があげられ、また、アミノ酸を含む場合は、アミノ酸が他のアミノ酸に置換されてもよい。また、シデロフォアの鉄錯体は、例えば、天然型の鉄錯体、すなわち、天然型のシデロフォアに3価鉄がキレートしたものでもよいし、前記シデロフォア誘導体に3価鉄がキレートしたものでもよい。
シデロフォアの種類は、特に制限されず、カテコール類、ヒドロキサメート類、ポリカルボキシレート類等があげられる。前記カテコール類は、例えば、エンテロバクチン、ビブリオバクチン、アグロバクチン、アングイバクチン等があげられる。前記ヒドロキサメート類は、コプロゲン、フェリクローム類、フェリオキサミン、N,N’,N’’−トリアセチルフザリニンC等があげられる。前記ポリカルボキシレート類は、リゾフェリン等があげられる。これらの中でも、キレート作用の点で、ヒドロキサム酸を含むシデロフォアである前記ヒドロキサメート類が好ましく、この中でも、環状の前記フェリクローム類がより好ましい。
前記フェリクローム類は、3個のヒドロキサム酸を含む環状ペプチドの総称であり、例えば、下記一般式(1)で表される化合物を含む。前記一般式(1)において、
は、水素原子またはヒドロキシメチル基であり、
は、水素原子、メチル基またはヒドロキシメチル基であり、
、RおよびRは、それぞれ、メチル基、N−(トランス−5−ヒドロキシ−3−メチルペント−2−エノイル)基、N−(シス−5−ヒドロキシ−3−メチルペント−2−エノイル)基またはN−(トランス−4−カルボキシ−3−メチルペント−2−エノイル)基であり、
、RおよびRは、互いに同一でも異なっていてもよい。
Figure 0006342349
前記一般式(1)の化合物は、例えば、フェリクローム、ジグリシルフェリクローム、デフェリフェリクリシン(以下、Dfcyという)、フェリクロームC、フェリクロシン、アスペルクロームD1、アスペルクロームB1、フェリルビン、フェリロジン、フェリクロームA、デス(ジセリルグリシル)フェリロジンが好ましく、これらの中でも、Dfcyが最も好ましい。前記ジグリシルフェリクロームは、前記フェリクローム中のGly 3分子がGly 4分子になった化合物である。デス(ジセリルグリシル)フェリロジンは、前記フェリロジンにおいて、Ser−Ser−Glyの3分子を除いた化合物である。
下記表1に、前述した化合物について、前記一般式(1)におけるR〜Rの官能基を示す。下記表1において、前記ジグリシルフェリクロームは、(Gly)フェリクロームで示し、前記デフェリフェリクリシンは、フェリクリシン(Dfcyの鉄錯体、以下、Fcyという)で示し、前記デス(ジセリルグリシル)フェリロジンは、DDFで示す。下記表1において、Aは、前記N−(トランス−5−ヒドロキシ−3−メチルペント−2−エノイル)基を示し、Bは、前記N−(シス−5−ヒドロキシ−3−メチルペント−2−エノイル)基を示し、Cは、前記N−(トランス−4−カルボキシ−3−メチルペント−2−エノイル)基を示す。
Figure 0006342349
シデロフォアは、前述のように、天然物でもよいし、合成品でもよいが、前者が好ましい。シデロフォアが天然物の場合、例えば、由来は制限されず、微生物等の生物があげられる。中でも、以下の理由から、微生物由来またはその培養物由来であることが好ましい。シデロフォアは、一般的に、自然界において、微生物が生産していることが知られている。例えば、外界の鉄濃度が低い場合、多くの微生物は、必須成分の鉄を効率的に体内取り込むために、シデロフォアを生産する。微生物は、培養によって、容易に増殖させることが可能であるため、微生物培養により、大量生産が可能である。前記微生物は、例えば、本来、シデロフォアを生産可能な微生物、または、遺伝子工学的手法により、後発的に、シデロフォアを生産可能となった微生物もしくはシデロフォアを大量生産可能となった微生物でもよい。前者の微生物は、例えば、アスペルギルス オリゼ(Aspergillus oryzae)等のアスペルギルス属(Aspergillus)属、ニューロスポラ(Neurospora)属、ウスティラゴ(Ustilago)属等があげられる。後者の微生物は、例えば、変異株、シデロフォア合成酵素群をコードする遺伝子の組換えにより得られた形質転換体等があげられる。前記変異株は、例えば、アスペルギルス属、ニューロスポラ属、ウスティラゴ属等の変異株があげられる。また、前記形質転換体となる宿主は、特に制限されず、例えば、アスペルギルス オリゼ等のアスペルギルス属、ニューロスポラ属、ウスティラゴ属等があげられる。
前記シデロフォアが前記フェリクローム類の場合、これを生産する微生物は、特に制限されず、例えば、糸状菌であるアスペルギルス属、ニューロスポラ属、ウスティラゴ属等の真菌等があげられる。前記アスペルギルス属は、例えば、アスペルギルス オリゼ等があげられる。前記アスペルギルス オリゼは、麹菌として、清酒、味噌、醤油等の米醸造物の生産に使用されており、ヒトは、古くから前記米醸造物を通じて、フェリクローム類を摂取してきた。したがって、前記フェリクローム類は、その安全性が歴史的に確認されているため、この点で好ましい。また、前記フェリクローム類は、例えば、前述のような米醸造物の醸造工程を経た後においても、清酒等に含まれていることから、安定性が高い。アスペルギルス オリゼが生産するフェリクローム類の中でも、前記デフェリフェリクリシンは、比較的多量に生産されるため、生産性が高い点で好ましい。
生物によってシデロフォアを生産する場合、例えば、生物の育種方法は、特に制限されない。生物に効率よくシデロフォアを生産させるには、例えば、鉄の量を制限した条件下で、生物を生育することが好ましい。具体例として、微生物を培養する場合、例えば、鉄の含有量を制限した培地を使用し、前記微生物にシデロフォアを生産させることが好ましい。前記培地は、例えば、鉄の含有量が低濃度の培地が好ましく、より好ましくは鉄未添加の培地が好ましい。このような培地を使用することによって、3価鉄がキレートしていないシデロフォア(デフェリ体)を効率良く得られる。前記培地は、例えば、液体培地でもよいし、固体培地でもよく、微生物の種類によって、適宜設定できる。
微生物の培養により生産されたシデロフォアは、例えば、微生物、微生物の抽出物(無細胞抽出物)、培養液、培養上清等から回収できる。シデロフォアは、前述のように精製品でも、非精製品でもよいが、前者が好ましい。シデロフォアの精製は、例えば、公知の方法によって行うことができる。例えば、まず、培養液を、微生物画分および液体画分(上清画分)に分離する。前記微生物画分は、例えば、超音波破砕等によって、微生物を破砕し、内容物を溶媒に抽出する。そして、抽出画分について、例えば、塩析法、透析法、限外ろ過法、等電点沈澱法、ゲルろ過法、電気泳動法、クロマトグラフィー等の精製処理を施す。前記クロマトグラフィーは、例えば、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー等のアフィニティークロマトグラフィー、分子ふるいクロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー等があげられる。これらの精製処理は、いずれか一種類でもよいし、二種類以上を組合せて行ってもよい。他方、前記液体画分は、例えば、これらの精製処理を施す。このようにして、シデロフォアを精製できる。また、シデロフォアは、例えば、市販品を使用することもできる。
シデロフォアの製造方法の具体例として、Dfcyを一例にあげて、以下に説明する。なお、本発明は、以下の例示によって、何ら制限されない。
Dfcyは、例えば、前述のように、アスペルギルス オリゼの培養によって生産できる。使用する培地は、特に制限されず、例えば、ポテトデキストロース培地(ニッスイ社製)、Czapek−Dox最少培地、米麹等が使用できる。前記Czapek−Dox最少培地(pH6.0)の組成は、例えば、2% グルコースまたはスターチ、0.3% NaNO、0.2% KCl、0.1% KHPO、0.05% MgSOである。前記培地は、例えば、固体培地でも液体培地でもよく、前記Dfcyの回収が容易な点で、前記液体培地が好ましい。培養条件は、特に制限されず、アスペルギルス オリゼの生育可能な範囲であればよい。具体例として、温度は、例えば、25〜42℃の範囲であり、培養時間は、例えば、その他の条件によって異なるが、例えば、通常、2〜7日間である。
培養終了後、例えば、ろ過によって、菌体と培養上清とを分離し、前記培養上清から、Dfcyを回収する。前記Dfcyは、例えば、前述のように、前記培養上清に前記精製処理を施すことによって、精製品を回収することもできる。
Dfcyは、例えば、特開2008−54580号公報に記載の方法によって製造することもできる。
(2)シデロフォアの鉄錯体
シデロフォアの鉄錯体は、前述のように、シデロフォアに3価鉄がキレートした化合物である。したがって、前記鉄錯体は、前述したシデロフォアに3価鉄がキレートした以外は、シデロフォアの記載を参照できる。
前記鉄錯体は、シデロフォアと同様に、例えば、高温処理および/または高圧処理によっても、未変性または変性し難いため、非常に安定性に優れる。このため、例えば、製品化において、滅菌等の目的で、高温または高圧処理を施しても、品質の低下を防止できる。このため、本発明の血中尿酸低減剤は、例えば、製造が非常に容易である。
前記鉄錯体は、例えば、溶媒の存在下で、前記シデロフォアと3価鉄とを共存させることによって得られる。前記溶媒は、特に制限されず、例えば、水、酸性緩衝液等の緩衝液があげられる。また、前記溶媒は、例えば、塩化鉄(III)水溶液または塩化鉄(III)を含む前記緩衝液等があげられる。
前記鉄錯体の中でも、例えば、前記ヒドロキサメート類の鉄錯体が好ましく、この中でも、前記フェリクローム類の鉄錯体がより好ましく、最も好ましくは、Dfcyの鉄錯体、すなわち、Fcyである。
本発明の血中尿酸低減剤は、前述のように、シデロフォアおよびその鉄錯体のうち、いずれか一方のみを含んでもよいし、両方を含んでもよい。本発明の血中尿酸低減剤において、シデロフォアは、例えば、一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を併用してもよく、シデロフォアの鉄錯体は、例えば、一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を併用してもよい。
シデロフォアおよびその鉄錯体の中でも、好ましくは、DfcyおよびFcyであり、より好ましくはDfcyである。このため、血中尿酸低減剤の製造において、DfcyおよびFcyは、例えば、コスト面、安全面等において、非常に優れている。
本発明の血中尿酸低減剤は、XOD活性を実質的に阻害しないことが好ましい。前記「実質的にXOD活性を阻害しない」とは、例えば、前記血中尿酸低減剤の存在下および非存在下で、前記XOD活性を測定した際に、両者の前記XOD活性に有意な差が無いことを意味する。
本発明の血中尿酸低減剤は、例えば、高尿酸血症、痛風、痛風結節、尿酸結石、腎臓結石等に対する、予防、改善、治療に有用である。
本発明の血中尿酸低減剤の投与方法は、特に制限されず、例えば、経口投与、非経口投与があげられる。非経口投与は、例えば、経皮投与、皮下投与、静脈注射、筋肉注射、直腸投与、腹腔内投与、局所投与等があげられる。中でも、経口投与が好ましい。本発明の血中尿酸低減剤の投与対象は、特に制限されず、例えば、ヒトおよび非ヒト動物等があげられる。前記非ヒト動物は、例えば、マウス、ラット等の哺乳類等があげられる。本発明の血中尿酸低減剤は、例えば、生体に投与してもよいし、生体から単離した組織、細胞、または培養組織もしくは培養細胞等に投与してもよい。
本発明の血中尿酸低減剤は、例えば、医薬品、医薬部外品等として使用できる。中でも、例えば、経口用の医薬品および医薬部外品であることが好ましい。
本発明の血中尿酸低減剤の形態は、特に制限されず、例えば、投与方法等によって適宜決定できる。前記形態は、例えば、液体、エマルジョン、クリーム、ゲル、粉末、固体等があげられる。前記液体状の場合、シデロフォアおよびその鉄錯体は、例えば、溶媒に溶解されてもよいし、分散されてもよい。前記溶媒は、例えば、水、生理食塩水、緩衝液、有機溶媒、これらの混合溶媒等があげられる。前記エマルジョンは、例えば、W/O型、O/W型、O/W/O型、W/O/W型等の複合体があげられる。前記粉末または固体は、例えば、使用時において、溶媒に、溶解または分散させて、使用することもできる。
具体例として、前記医薬品および医薬部外品の剤型は、経口投与の場合、例えば、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、シロップ剤等があげられ、非経口投与の場合、例えば、外用剤、注射剤、点滴剤、座剤、軟膏剤等があげられる。前記外用剤の剤型は、例えば、液体、エマルジョン、クリーム、ゲル、軟膏、シート、ムース、粉末、エアゾール、パック等があげられる。
本発明の血中尿酸低減剤の投与量は、特に制限されず、シデロフォアまたはその鉄錯体の種類、投与方法、投与対象の種類、年齢、体重および症状等により、適宜決定できる。本発明の血中尿酸低減剤において、シデロフォアおよびその鉄錯体の含有量は、特に制限されない。
本発明の血中尿酸低減剤を経口投与する場合、例えば、一日あたりのヒト成人に対する投与量は、例えば、10〜5000mgの範囲である。一日あたりの体重1kg当たりのヒト成人に対する投与量は、例えば、10〜2500mg/kg/日であり、好ましくは、100〜2200mg/kgであり、より好ましくは、200〜1000mg/kgである。また、本発明の血中尿酸低減剤を経口投与する場合、例えば、前記投与量となるように設定すればよい。具体例としては、内服用固形製剤の場合は、前記投与量は、例えば、5〜30重量%程度である。また、内服用液体製剤の場合、前記投与量は、例えば、0.01〜10重量%程度であり、好ましくは、0.1〜5重量%程度であり、より好ましくは、0.2〜1重量%程度である。注射剤または点滴剤の場合、前記投与量は、例えば、0.01〜2重量%程度であり、好ましくは、0.1〜2重量%程度であり、より好ましくは、0.2〜1.0重量%程度である。前記外用剤の場合前記投与量は、例えば、1〜10重量%程度であり、座剤の場合、例えば、2〜20重量%程度である。前記内服用固形製剤は、例えば、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤等の剤型があげられる。前記内服用液体製剤は、例えば、シロップ剤等の剤型があげられる。
本発明の血中尿酸低減剤を経皮投与する場合、例えば、一回あたりのヒト成人の皮膚面積に対する塗布量は、前記血中尿酸低減剤に含まれるシデロフォアおよび前記鉄錯体の合計量が、例えば、0.001〜0.5mg/cmの範囲であり、好ましくは0.05〜0.45mg/cmの範囲であり、さらに好ましくは0.05〜0.25mg/cmの範囲である。経皮投与の回数は、特に制限されず、例えば、一日あたり1〜8回であり、好ましくは1〜3回程度である。また、本発明の血中尿酸低減剤を経皮投与する場合、例えば、前記塗布量となるように、含有量を設定すればよい。具体例としては、例えば、0.01〜99質量%の範囲であり、好ましくは、0.01〜50質量%、さらに好ましくは0.1〜25質量%の範囲である。シデロフォアおよびその鉄錯体は、例えば、単独でも皮膚への浸透性を示し、血中尿酸の低減作用を発揮する。
本発明の血中尿酸低減剤は、シデロフォアおよびその鉄錯体の他に、例えば、その剤型に応じて、添加剤を含んでもよい。前記添加剤は、薬学上許容される添加剤であることが好ましく、シデロフォアおよびその鉄錯体の血中尿酸低減作用に、実質的に影響を与えないものが使用できる。前記添加剤は、例えば、医薬品、および医薬部外品の製造において、公知の添加剤が使用できる。
前記添加剤は、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、付湿剤、懸濁化剤、乳化剤、矯味剤、芳香剤、保存剤、緩衝剤等があげられる。前記賦形剤は、例えば、乳糖、ショ糖、ブドウ糖等の各種の糖類;バレイショデンプン、コムギデンプン、トウモロコシデンプン等の各種デンプン類;結晶セルロース等の各種セルロース類;無水リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム等の各種無機塩類;油剤等があげられる。前記結合剤は、例えば、結晶セルロース、プルラン、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、マクロゴール等があげられる。前記崩壊剤は、例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、デンプン、アルギン酸ナトリウム等があげられる。前記潤沢剤は、ステアリン酸マグネシウム、タルク、硬化油等があげられる。前記付湿剤は、例えば、ココナッツ油、オリーブ油、ゴマ油、落花生油、大豆リン脂質、グリセリン、ソルビトール等があげられる。前記懸濁化剤は、例えば、アラビアゴム、カンテン、カルメロース、ヒドロキシプロピルセルロース等があげられる。前記乳化剤は、例えば、ポリソルベート80、アラビアゴム等があげられる。前記矯味剤は、例えば、単シロップ、ハチミツ、白糖、酒石酸等があげられる。前記芳香剤は、例えば、サリチル酸メチル、ウイキョウ油、オレンジ油、メントール等があげられる。前記保存剤は、例えば、安息香酸、安息香酸ナトリウムがあげられる。前記緩衝剤は、例えば、クエン酸緩衝液、炭酸水素ナトリウム緩衝液等があげられる。この他にも、例えば、界面活性剤、増粘剤等が前記添加剤としてあげられる。
本発明の血中尿酸低減剤の投与対象は、特に制限されず、例えば、ヒトおよび非ヒト動物等があげられる。前記非ヒト動物は、例えば、マウス、ラット等の哺乳類等があげられる。
<医薬品>
本発明の医薬品は、前述のように、前記本発明の血中尿酸低減剤を含むことを特徴とする。本発明の医薬品は、前記本発明の血中尿酸低減剤を含むことが特徴であって、その他の構成および条件は、特に制限されない。本発明の医薬品は、例えば、前記本発明の血中尿酸低減剤の説明を援用できる。本発明の医薬品は、高尿酸血症用、痛風用、痛風結節用、尿酸結石用、腎臓結石用であることが好ましい。本発明の医薬品は、例えば、一種類の前記用途に使用してもよいし、二種類以上の前記用途に使用してもよい。
<血中尿酸の低減方法等>
本発明の血中尿酸の低減方法は、本発明の血中尿酸低減剤を投与する工程を含むことを特徴とする。本発明の血中尿酸の低減方法は、本発明の血中尿酸低減剤を使用することが特徴であって、その他の工程および条件は、特に制限されない。本発明において、「血中尿酸の低減」とは、前述のように、血液中の尿酸値が低減を意味し、そのメカニズムは、例えば、尿酸の合成抑制でもよいし、合成された尿酸の分解でもよいし、合成された尿酸の排出促進でもよい。本発明の血中尿酸の低減方法等は、例えば、前記本発明の血中尿酸低減剤等の説明を援用できる。
本発明において、投与方法および投与対象は、特に制限されず、例えば、前述の通りである。本発明の血中尿酸の低減方法は、例えば、生体に投与してもよいし、生体から単離した組織、細胞、または培養組織もしくは培養細胞等に投与してもよい。中でも、投与方法は、生体への経口投与が好ましい。
本発明は、血中尿酸の低減に使用するためのシデロフォアまたはその鉄錯体である。本発明は、血中尿酸低減用医薬の製造におけるシデロフォアまたはその鉄錯体の使用である。前記「血中尿酸の低減」は、前述のように、血液中の尿酸値が低減を意味し、そのメカニズムは、例えば、尿酸の合成抑制でもよいし、合成された尿酸の分解でもよいし、合成された尿酸の排出促進でもよい。本発明において、「血中尿酸の低減」は、尿酸合成による疾患の治療、改善または予防の意味でもよい。前記尿酸合成による疾患とは、尿酸が合成されることによる、高尿酸血症、痛風、痛風結節、尿酸結石、腎臓結石等の疾患があげられる。
つぎに、本発明の実施例について説明する。本発明は、以下の実施例により制限されない。
[実施例1]
本例では、Dfcyより、血清尿酸値が低減できることおよび血清中のキサンチンオキシダーゼ(XOD)活性が変化しないことを確認した。
(1)Dfcy溶液の調製
アスペルギルス オリゼを、Czapek−Dox最少培地を用いて、30℃で7日間振とう培養した。前記培地(pH6.0)の組成は、2% グルコース、0.3% NaNO、0.2% KCl、0.1% KHPO、0.05% MgSOとした。培養終了後、ろ過により菌体と培養上清とを分離した。得られた前記培養上清から、限外ろ過膜を用いて分子量5000以上のタンパク質等の高分子を除去した後、得られたろ液を、下記疎水性カラムクロマトグラフィーに供した。そして、100% エタノールで溶出された溶出液を、Dfcy含有画分として回収した。
カラム:商品名アンバーライト(登録商標)XAD、オルガノ社製
前記溶出液において、Dfcyが精製されていることは、以下の方法により確認した。Fcyは、波長430nmに極大吸収を示す(Agr.Biol.Chem.,Vol.31,No.12,p1482)。そこで、前記溶出液と、前記溶出液に塩化第二鉄溶液を添加したものとを、それぞれ、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用して分析した。この結果、前記塩化第二鉄溶液を添加した場合にのみ、波長430nmに極大吸収を示したことから、前記操作により、Dfcyが精製されていることを確認した。前記Dfcyの純度は、77.3%であった。
そして、前記溶出液を凍結乾燥して、Dfcyの粉末を得た。そして、前記Dfcyの粉末を、水に溶解し、0.2%Dfcy水および1.0%Dfcy水を調製した。水および前記Dfcy水を用いて、以下の試験を行った。
(2)血清尿酸値の測定
まず、5週齢の雄性ddyマウスに、通常食(CE−2、日本クレア社製)および水を自由摂取させ、6週間飼育した。そして、11週齢のマウスを、実施例1−1(n=6)および実施例1−2(n=6)に分け、実施例1−1には、前記水に代えて、0.2%Dfcy水を自由飲水させた以外は同様にして、5日間飼育した。また、実施例1−2には、前記水に代えて、1.0%Dfcy水を自由飲水させた以外は同様にして、12日間飼育した。さらに、実施例1−2は、前記飼育後、前記1.0%Dfcy水に代えて0.1%Dfcy水を自由飲水させた以外は同様にして、55日間飼育した。前記Dfcy水の飲水開始日(0日目)を基準として、5、12、61、67日目に、前記マウスの尾部から採血し、血清を取得した。そして、前記血清について、血清尿酸値を測定した。前記血清尿酸値の測定は、高速液体クロマトグラフ質量分析計(LC−MS、LC:Waters 2695 separations Modules、MS:Waters Micromass ZQ 4000 Mass Detector、Water社製)を用いて、下記のLCの実験条件およびMSの実験条件により行った。具体的に、血清を生理食塩水により20倍希釈し、血清サンプルを調製した。また、標準品には、1.0ppmの尿酸(和光純薬工業社製)水溶液を使用した。そして、血清サンプルおよび標準品に、1.0ppmとなるように内部標準部物質であるN-α-Carbamyl-L-arginine(SIGMA社製)を添加した。そして、解析ソフト(Waters Empower 2、Water社製)を使用し、LC−MSにより得られた尿酸のピーク面積を、内部標準物質のピーク面積で割った値を算出し、これを血清尿酸値とした。また、比較例1−1(n=6)は、前記Dfcy水に代えて、水を自由飲水させた以外は実施例1−2と同様にして、血清尿酸値を測定した。なお、各群の飲水量とDfcyの摂取量は、下記表2A〜2Cの通りである。
[LCの実験条件]
カラム:Unison UK-C18(インタクト株式会社製)
サイズ:75×4.6mm
溶媒:0.05%ギ酸水溶液
流速:1.0mL/分
[MSの実験条件]
(尿酸の検出)
ESマイナスイオンモード
MSスペクトル:m/z167.1
コーン電圧:20V
(内部標準物質の検出)
ESマイナスイオンモード
MSスペクトル:m/z218.2
コーン電圧:20V
Figure 0006342349
Figure 0006342349
Figure 0006342349
飲水量の結果を前記表2A〜Cに示す。前記表2Aは、前記Dfcy水を5日間自由飲水させたときの飲水量を示し、前記表2Bは、前記Dfcy水を12日間自由飲水させたときの飲水量を示し、前記表2Cは、前記Dfcy水を61日間自由飲水させたときの飲水量を示す。前記表2Aに示すように前記0.2%および1.0%Dfcy水を5日間自由飲水させた場合、マウスにおけるDfcyの摂取量は、それぞれ、347および1915mg/kg/日であった。前記表2Bに示すように前記0.2%および1.0%Dfcy水を12日間自由飲水させた場合、マウスにおけるDfcyの摂取量は、それぞれ、317および1661mg/kg/日であった。前記表2Cに示すように前記1.0%Dfcy水を12日間自由飲水させ、さらに、前記0.1%Dfcy水を49日間自由飲水させた場合、マウスにおけるDfcyの摂取量は、186mg/kg/日であった。
つぎに、前記血清尿酸値の測定結果を図1に示す。図1は、前記血清尿酸値を示すグラフである。図1において、(A)は、5日目の結果を示し、(B)は、12日目の結果を示し、(C)は、61日目の結果を示し、(D)は、67日目の結果を示す。図1において、横軸は、供した水の種類を示し、縦軸は、前記血清尿酸値を示す。図1に示すように、いずれの採血日においても、実施例1−2の前記血清尿酸値は、前記比較例1−1に比べ低かった。また、図1(A)に示すように、5日目において、実施例1−1の前記血清尿酸値は、前記比較例1−1に比べ低かった。これらの結果から、本発明の血中尿酸低減剤によれば、前記血中尿酸値を低減できることがわかった。
(3)XOD活性の測定
前記(2)で取得した血清について、XOD活性を測定した。前記XOD活性の測定は、SOD Activity Detection Kit(和光純薬工業株式会社製)を用い、キットに添付の酵素液に代えて、前記(2)の血清を使用した以外は添付のプロトコルと同様にして行った。具体的に、96穴マイクロプレートに、50μLのキサンチン(基質)、ニトロブルーテトラゾリウム(発色試薬)、およびリン酸緩衝液(PBS)を含む混合液を分注した。つぎに、前記マイクロプレートに、30μLの前記血清と20μLのPBSとを添加した。さらに、前記マイクロプレートを37℃で90分間反応させた。そして、反応前の前記マイクロプレートおよび反応後の前記マイクプレートについて、560nmにおける吸光度を、マイクロプレートリーダー(xMark(商標) Microplate Spectrophotometer、BIO-RAD社製)を用いて測定した。そして、反応後の吸光度から反応前の吸光度を引いた値をXOD活性として算出した。なお、前記血清中のXOD濃度と、測定で得られる前記XOD活性とが比例関係にあることは事前に確認済みである。
これらの結果を図2に示す。図2は、前記XOD活性を示すグラフである。図2において、(A)は、5日目の結果を示し、(B)は、12日目の結果を示し、(C)は、61日目の結果を示し、(D)は、67日目の結果を示す。図2において、横軸は、供した水の種類を示し、縦軸は、前記XOD活性(波長560nmにおける吸光度)を示す。図2に示すように、いずれの採血日においても、実施例1−1および実施例1−2の前記XOD活性は、前記比較例1−1と同程度であった。これらの結果と前記(2)の結果とから、本発明の血中尿酸低減剤によれば、前記XOD活性を阻害せずに、前記血中尿酸値を低減できることがわかった。
(4)公知物質との比較
次に、前記(3)の実施例1−1および前記実施例1−2(飲水開始から5日目)と、公知物質を含む水を飲水させた比較例について、XOD活性を比較した。具体的には、比較例1−2(n=6)は、前記Dfcy水に代えて水を、比較例1−3(n=3)は、前記Dfcy水に代えて1.0%重曹水溶液を、比較例1−4(n=3)は、前記Dfcy水に代えて1.0%フェルラ酸1.0%重曹水溶液を、比較例1−5(n=3)は、前記Dfcy水および水に代えて500ppmアロプリノール1.0%重曹水溶液を自由飲水させ、前記自由飲水開始日を基準として5日目に血清を取得した以外は、前記(3)と同様にして、XOD活性を測定した。なお、重曹およびアロプリノールは、和光純薬工業から、フェルラ酸(trans-4-Hydroxy-3-methoxycinnamic acid 99%)は、ALDRICHから入手した。また、前記公知物質において、アロプリノールが、XOD活性阻害剤である。
これらの結果を図3に示す。前記XOD活性の測定結果を図3に示す。図3は、前記XOD活性を示すグラフである。図3において、横軸は、供した水の種類を示し、縦軸は、前記XOD活性(波長560nmにおける吸光度)を示す。図3に示すように、公知のXOD活性阻害剤を飲水させた比較例1−5では、前記XOD活性は有意に低下していた。これに対して、比較例1−2、比較例1−3、比較例1−4、実施例1−1および実施例1−2では、前記XOD活性は変化していなかった。これらの結果から、本発明の血中尿酸低減剤は、前記XOD活性を阻害しないことがわかった。
[実施例2]
本例では、Dfcyが、尿酸分解以外の方法で、合成された血中の尿酸を低減させることを確認した。
(1)Dfcyの尿酸への作用
尿酸の飽和水溶液を調製し、さらに、前記飽和尿酸水溶液に、前記Dfcyの粉末が、1.0(w/w)%となるよう添加した。前記添加後、25℃で、1時間静置した。そして、前記静置後の飽和尿酸水溶液を下記条件で高速液体クロマトグラフィー(HPLC)(Waters 2695 separations Modules、Waters社)に供し、ピーク面積を測定した(Dfcy添加群)。また、コントロールは、前記Dfcyの粉末を未添加とした以外は同様にして、ピーク面積を測定した(Dfcy未添加群)。この結果、前記Dfcy添加群および前記Dfcy未添加群において、尿酸のピーク面積は同程度であった。
(HPLC条件)
カラム:Unison UK-C18(インタクト株式会社製)
カラムサイズ:75×4.6mm 粒子径3μm
カラム温度:30℃
サンプル注入量:10μL
溶離液:0.05%ギ酸水溶液
流速:1.0mL/分
検出器:Waters 2996 Photodide Array Detector(Waters社製品)
検出波長:254nm
(2)Dfcyの尿酸フェノール等価体への作用
10μLの1(w/w)%尿酸1規定水酸化カリウム水溶液に、100μLの1(w/w)%のDfcy粉末を含むDfcy水溶液および890μLの0.05(w/w)%ギ酸水溶液を添加した。前記添加後、25℃で、1時間静置した。そして、前記静置後の尿酸水溶液について、前記実施例2(1)と同様にして、ピーク面積を測定した(Dfcy添加群)。コントロールは、前記Dfcy水溶液に代えて、水を添加した以外は同様にして、ピーク面積を測定した(Dfcy未添加群)。この結果、前記Dfcy添加群および前記Dfcy未添加群において、尿酸のピーク面積は同程度であった。
(3)血清存在下でのDfcyの尿酸への作用
40μLの1(w/w)%のDfcy粉末を含む飽和尿酸水溶液を調製し、さらに、40μLのマウス血清を添加した。前記添加後、37℃で、16時間静置した。そして、前記静置後の飽和尿酸水溶液について、前記実施例2(1)と同様にして、ピーク面積を測定した(Dfcy添加群)。コントロールは、前記Dfcy水溶液に代えて、水を添加した以外は同様にして、ピーク面積を測定した(Dfcy未添加群)。この結果、前記Dfcy添加群および前記Dfcy未添加群において、尿酸のピーク面積は同程度であった。
これらの結果から、前記Dfcyは、尿酸分解以外の方法で、合成された血中の尿酸を低減させることがわかった。
以上のように、本発明によれば、新たな血中尿酸低減剤および医薬品を提供できる。本発明の血中尿酸低減剤は、例えば、前記XOD活性を阻害せずに、血中尿酸の低減作用を発揮できる。このため、本発明の血中尿酸低減剤によれば、例えば、既存のXOD阻害剤が有効でない患者においても血中の尿酸を低減させることができる。また、本発明の血中尿酸低減剤によれば、例えば、前記XOD阻害剤と併用することで、より血中の尿酸値を低減できる。さらに、シデロフォアおよびその鉄錯体は、それぞれ、清酒等の米醸造物に含まれる物質であり、前記米醸造物の長年の使用履歴から、安全性に優れることは明らかである。このため、本発明の血中尿酸低減剤は、極めて有用である。

Claims (3)

  1. デフェリフェリクリシンおよびその鉄錯体の少なくとも一方を含むことを特徴とする、血中尿酸低減剤。
  2. キサンチンオキシダーゼ活性を阻害しない、請求項記載の血中尿酸低減剤。
  3. 高尿酸血症、痛風、痛風結節、尿酸結石、および腎臓結石からなる群から選択された少なくとも一つの疾患の治療、改善または予防のための医薬品であって、
    請求項1または2記載の血中尿酸低減剤を含むことを特徴とする、医薬品。
JP2015033945A 2015-02-24 2015-02-24 血中尿酸低減剤および医薬品 Active JP6342349B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015033945A JP6342349B2 (ja) 2015-02-24 2015-02-24 血中尿酸低減剤および医薬品

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015033945A JP6342349B2 (ja) 2015-02-24 2015-02-24 血中尿酸低減剤および医薬品

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016155773A JP2016155773A (ja) 2016-09-01
JP6342349B2 true JP6342349B2 (ja) 2018-06-13

Family

ID=56825245

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015033945A Active JP6342349B2 (ja) 2015-02-24 2015-02-24 血中尿酸低減剤および医薬品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6342349B2 (ja)

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006016340A (ja) * 2004-07-02 2006-01-19 Kikkoman Corp ザクロ抽出物を有効成分とする、血中尿酸値低下剤
JP5128828B2 (ja) * 2007-02-16 2013-01-23 月桂冠株式会社 抗炎症剤及び抗酸化剤
JP2010037201A (ja) * 2008-07-31 2010-02-18 Nichinichi Seiyaku Kk 痛風治療薬
JP5940467B2 (ja) * 2012-02-29 2016-06-29 株式会社彩光コーポレーション キサンチンオキシダーゼ阻害剤

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016155773A (ja) 2016-09-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10575537B2 (en) Saury Maillard peptide and its preparation method and application
KR100697056B1 (ko) 리퀴리티게닌을 유효성분으로 포함하는 간질환의 예방 및치료용 조성물
AU2016275642B2 (en) Antihypertensive agent
EP2589382A1 (en) Pharmaceutical composition comprising levocarnitine and dobesilate
JP2009522257A (ja) ウイルス感染症治療用薬剤
JP2004323420A (ja) 新規なα−グルコシダーゼ阻害活性を有する物質およびこれを含有する食品
JP6342349B2 (ja) 血中尿酸低減剤および医薬品
WO2010027028A1 (ja) 脳機能低下の改善剤
WO2013039211A1 (ja) 固形状組成物
JP5943543B2 (ja) メラニン抑制剤およびその用途
JP2007246478A (ja) アセトアルデヒド代謝促進剤
JP4993969B2 (ja) 抗発癌プロモーター活性剤
KR100759468B1 (ko) 자색 고구마로부터 분리된 자색 색소를 함유하는 통풍 예방및 치료용 조성물
KR102078818B1 (ko) 지충이 유래 화합물을 유효성분으로 함유하는 간염의 예방 또는 치료용 약학 조성물
JPWO2013100136A1 (ja) クロロフィルc含有脱顆粒抑制剤
JP2006016340A (ja) ザクロ抽出物を有効成分とする、血中尿酸値低下剤
JP2009298702A (ja) 経口用組成物
KR20080091082A (ko) 당뇨병 치료제
KR100569244B1 (ko) 함초로부터 분리된 3-카페오일-4-다이하이드로카페오일퀴닉산을 함유하는 통풍 예방 및 치료용 조성물
JPS5936615A (ja) 発がん予防剤
JP2003073329A (ja) アルデヒドデヒドロゲナーゼ阻害剤
JP6077899B2 (ja) アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ阻害剤
CN111704622B (zh) 黄烷醇-薄荷烷杂合体及其药物组合物与其制备方法和应用
US20180250284A1 (en) Quinoline derivatives for use in treating leukodystrophy and treatment method
KR102624902B1 (ko) 노나펩타이드의 신규 용도

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170424

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180308

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20180403

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180417

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180502

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180516

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6342349

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250