(A)第1の実施形態
以下、本発明による露光装置、画像形成装置、及び露光装置の製造方法の第1の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。この実施形態では、本発明の露光装置をLEDヘッドに適用した例について説明する。またこの実施形態では、本発明の画像形成装置をプリンタに適用した例について説明する。
(A−1)第1の実施形態の構成
図2は本発明の画像形成装置としてのプリンタ100の概略断面図である。プリンタ100は、色材としての顔料を含む樹脂からなるトナーにより、画像データをもとに印字媒体上に画像を形成する。
そして、プリンタ100には、媒体としての用紙101を貯留する給紙カセット60が着脱自在に取り付けられている。そして、プリンタ100は、用紙101を給紙カセット60から取り出す給紙ローラ61と、用紙101を搬送する搬送ローラ62、63が配置されている。
この実施形態のプリンタ100は、カラー電子写真方式であり、プリンタ100内には、画像形成部として、イエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの各色の画像を形成する静電潜像担持体としての感光体ドラム41が用紙101の搬送経路に沿って配置されている。
また、プリンタ100では、各感光体ドラム41に対して、露光装置としてのLEDヘッド3、帯電ローラ42、クリーニングブレード43、及び現像器5が配置されている。帯電ローラ42は、感光体ドラム41に電荷を供給して帯電させるものである。LEDヘッド3は、帯電された各感光体ドラム41の表面に画像データをもとに選択的に光を照射して、静電潜像を形成するものである。現像器5は、感光体ドラム41の表面に形成された静電潜像をトナーにより現像し、トナー像(現像剤像)を形成するものである。トナーカートリッジ51は、現像器5にトナー(対応する感光体ドラム31に対応する色のトナー)を供給するものである。
また、プリンタ100には、用紙101を搬送する転写ベルト81と、各感光体ドラム41上に形成されたトナー像(トナーにより静電潜像を可視化した像)を用紙101上に転写する転写ローラ80が配置されている。感光体ドラム41と転写ローラ80は、転写ベルト81と共に用紙101を転写部で挟み込みながら、トナー像を用紙101に転写する。また、クリーニングブレード43は、トナー像が転写された後(上述の転写部を通過した後)の感光体ドラム41の表面に残留したトナーを除去するが配置されている。
さらに、プリンタ100には、用紙101上に形成されたトナー像を熱及び圧力で定着する定着器9が配置されている。さらにまた、プリンタ100には、定着器9を通過してトナー像が定着されたた用紙101を搬送する搬送ローラ64と、トナー像が形成された用紙101を貯留する排出部7(排出トレー)と、排出部7に用紙101を排出する排出ローラ65が配置されている。
また、帯電ローラ42及び転写ローラ80には図示しない電源により所定の電圧が印可される。そして、転写ベルト81、感光体ドラム41及び各ローラにはそれぞれ図示しないモータと図示しない駆動を伝えるギヤにより回転駆動される。さらに、現像器5、LEDヘッド3、定着器9及び図示しない各モータには、それぞれ電源及び制御装置が接続される。
さらに、プリンタ100は、全体の制御処理や外部装置から印刷データを受信する外部インターフェース機能に対応した制御部200を有する。
次に本発明に係るLEDヘッドの構成について説明する。
図3は、LEDヘッド3とその周辺の概略断面図である。図3では、LEDヘッド3が感光体ドラム41の表面に対向し、感光体ドラム41の表面を露光することが可能な位置に配置された状態について示している。
LEDヘッド3は複数のロッドレンズ11が並べて配置されたレンズアレイ1と、発光素子(発光部)としてのLED30が略直線状に複数並べて配列されたLEDアレイ300(発光素子アレイ)とを有している。また、ホルダ34によりレンズアレイ1及びLEDアレイ300が固定(支持)されている。
以下では、LEDアレイ300においてLED素子30が配列される方向(図3の左右方向、LEDアレイ300の長手方向)を「X方向」と呼ぶものとする。レンズアレイ1は長尺で、レンズアレイ1の長手方向が、LEDアレイ300(LED30が配列された方向)と平行になるように、X方向(図面水平方向)に配置される。
レンズアレイ1では、複数のロッドレンズ11(レンズ)がX方向に並べて配列されており、レンズアレイ1のロッドレンズ11の光線が入射及び出射する方向を光軸とすると、光軸がZ方向(図3では鉛直方向)となるように配置される。すなわち、LEDヘッド3では、LEDアレイ300の各LED素子30から発光した光が、レンズアレイ1を通過して感光体ドラム41の表面に照射されるように構成されている。
図3では、感光体ドラム41の回転軸をAXRと図示している。プリンタ100では、感光体ドラム41の回転軸AXRが、LEDアレイ300とレンズアレイ1の長手方向(X方向)と平行になるように、X方向(図面水平方向)に配置される。
図4は、図3のA−A’線断面図(LEDヘッド3の側断面図)である。
レンズアレイ1におけるロッドレンズ11の配列方向(X方向)は、図4では手前側から奥側(表側から裏側)へ向う方向となる。また、図4では、レンズアレイ1の各ロッドレンズ11の光軸方向が、Z方向(鉛直方向)となっている。なお、以下では、X方向の軸、及びZ方向の軸と直交する軸の方向(図4では左右方向)をY方向と呼ぶものとする
Y方向におけるレンズアレイ1の中心線をCLとすると、CLを外挿した直線上にLED素子30及び感光体ドラム41の回転軸AXRが位置することになる。
図4に示すように、LED素子30は、配線基板33上に配置されている。そして、配線基板33上に配置には、LED素子30を駆動するためのドライバIC31が配置されている。そして、LED素子30とドライバIC31との間は、複数のワイヤ32により結線されている。また、配線基板33には、ドライバIC31が処理に用いるデータが記録されたROM35が付けられている。なお、この実施形態では、ドライバIC31とROM35とは、別個の素子として説明するが、ドライバIC31の一部にROM35を構成するようにしてもよい。
この実施形態において、例として、LEDヘッド3(レンズアレイ1)は600dpiの解像度であり、LEDアレイ300のLED素子30は1インチ当たり(1インチは約25.4mm)600個配置されているものとする。すなわち、LED素子30の配列ピッチPDは0.04233mmであるものとする。また、LED素子30の発光波長の中心値は760nmであるものとする。
次に本発明に係るレンズアレイ1の構成について説明する。
図5は、レンズアレイ1を取り外した状態で示す斜視図である。
レンズアレイ1は2枚(一対)の側板17の間に、複数のロッドレンズ11が挟み込まれた構成となっている。ロッドレンズ11は円筒形で円筒の中心軸が略直線に配列される。ロッドレンズ11は2列に配列される。ロッドレンズ11の配列方向は図面のX方向で、ロッドレンズ11の中心軸はZ方向(図面の鉛直方向)になるように配置される。側板17は2列のロッドレンズ11を挟むように配置される。さらにロッドレンズ11と側板17の隙間には接着剤が充填されている。
次に、図6を用いてロッドレンズ11の構成について説明する。
図6は、ロッドレンズ11の一部を断面として図示した斜視図である。
図6では、ロッドレンズ11の中心軸の方向が、Z方向(図6では鉛直方向)となるように配置されている。図6では、ロッドレンズ11の光線の入出射面をレンズ面12として図示している。また、図6に示すように、ロッドレンズ11内部のレンズ部14は、中心軸から外周部に向かつて屈折率が連続的に低下する屈折率分布となるように構成されているものとする。さらに、図6に示すように、円柱形状のレンズ部14の外周面が光吸収層15で、外側とほぼ同じ屈折率である媒質中に染料や顔料など光線を吸収する素材が分散されるものとする。
(A−2)第1の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する第1の実施形態のプリンタ100の動作を説明する。
[プリンタ全体の動作について]
まず、プリンタ100全体の動作(印刷データを受信して印刷処理を行う際の動作)について、図2を用いて説明する。
感光体ドラム41表面は、電圧が印加された帯電ローラ42により帯電される。続いて、感光体ドラム41が回転することによって、帯電された感光体ドラム41表面がLEDヘッド3の付近に到達すると、LEDヘッド3によって露光され、感光体ドラム41表面に静電潜像が形成される。静電潜像は現像器5により現像され、感光体ドラム41の表面にトナー像が形成される。
一方、給紙カセット60にセットされた用紙101が給紙ローラ61によって給紙カセット60から取り出され、搬送ローラ62、63により、転写ローラ80及び転写ベルト81の付近に搬送される。
そして、感光体ドラム41が回転することによって、現像によって得られた感光体ドラム41表面上のトナー像が転写ローラ80及び転写ベルト81の付近に到達すると、電圧が印加されている転写ローラ80と転写ベルト81によって、感光体ドラム41表面上のトナー像は用紙101上に転写される。
続いて、表面にトナー像が形成された用紙101は、転写ベルト81の回転によって、定着器9に搬送される。用紙101上のトナー像は定着器9により、加圧しながら過熱することにより溶融し、用紙101上に固定される。
さらに、用紙101は、搬送ローラ26及び排出ローラ27により、排出部7に排出され、プリンタ100の動作が終了する。
[LEDヘッドの動作について]
次に、露光装置としてのLEDヘッド3の動作について図3を用いて説明する。
LEDヘッド3では、制御部200から画像データに基づいた制御信号を、ドライバIC31で受付ける。そして、ドライバIC31が供給された制御信号に従って、LEDアレイ300のLED素子30を駆動し、任意の光量で発光させる。
LED素子30からの光線はレンズユニット1に入射し、感光体41上に結像が形成される。
[LEDヘッドの製造方法]
図1は、この実施形態のLEDヘッドの製造方法(製造工程)を示すフローチャートである。
まず、所定の環境下でレンズアレイ1が作成されたものとする(S101)。
この実施形態のレンズアレイ1(ロッドレンズ11)は、吸湿率が飽和するまで、室温25℃湿度50%環境に静置した後に、25℃RH50%環境で作成されたものとする。なお、以下では、この実施形態のレンズアレイ1に対する比較例(以下では、このレンズアレイを「比較例のレンズアレイ」と呼ぶ)としてレンズアレイ1と同様の構造のレンズアレイ(ロッドレンズ)を、20℃RH30%環境に静置した後に、20℃RH30%環境で作成したものを適用するものとする。
次に、ステップS101で作成されたレンズアレイ1を構成するロッドレンズ11について吸湿率の値を飽和させるため、室温18〜27℃湿度40〜60%環境に、96時間以上静置したものとする(S102)。
次に、18〜27℃RH40〜60%の環境において、レンズアレイ1を構成するロッドレンズ11の焦点距離FCSを測定する(S103)。
次に、18〜27℃RH40〜60%の環境において、レンズアレイ1を梱包し(S104)、運搬・保存したものとする(S105)。
上述の梱包は、ポリエステルとアルミとポリエチレンを積層した梱包材を用い、レンズアレイ1を梱包材に入れた後、脱気し、ヒートシールして密封した。その後の運搬、保存については、18〜27℃RH40〜60%の環境下である必要はない。なお、運搬の必要がない場合は、ステップS104、S105の工程は省略するようにしてもよいのは当然である。
次に、18〜27℃RH40〜60%の環境下で、梱包されたレンズアレイ1を開梱して取り出し、レンズアレイ1をLEDヘッド3に実装(ホルダ34に装着)する(S106)。なお、レンズアレイ1作成工程(ステップS101)の途中で適宜吸収率の値を飽和させるステップS102の工程を行うこともできる。
次に、レンズアレイ1が実装されたLEDヘッド3のLED素子30について後述するスリットセンサーを用いた補正処理(以下、「スリット補正」とも呼ぶ)を、18〜27℃RH40〜60%の環境下で行う(S107)。なお、プリンタ100に、補正後のLEDヘッド3を実装する際の環境は、18〜27℃RH40〜60%である必要はない。
次に、ロッドレンズ11の吸湿率の変化について、図7、図8を用いて説明する。
以下では、ロッドレンズ11を室温10℃湿度(RH)20%の環境に1週間以上静置したときのロッドレンズ11の吸湿状態を「乾燥状態」と呼ぶものとする。また、以下では、ロッドレンズ11を23℃RH50%の環境に1週間以上静置したときのロッドレンズ11の吸湿状態を「標準状態」と呼ぶものとする。さらに、以下では、ロッドレンズ11を30℃RH80%の環境に1週間以上静置したときのロッドレンズ11の吸湿状態を「高湿状態」と呼ぶことにする。
図7は、ロッドレンズ11が乾燥状態から標準状態となる際の吸湿率の変化(実験結果)について示したグラフである。
図7において、吸湿率の変化は、乾燥状態のロッドレンズ11を23℃RH50%の環境に静置したときの重量変化率で示している。重量変化率は、ロッドレンズ11の重量を標準状態でのロッドレンズ11の重量で割り100をかけた値(単位:「%」)で示す。図7のグラフに示されるとおり、ロッドレンズ11の乾燥状態から標準状態への吸湿率の変化は、23℃RH50%の環境に36時間静置することで−0.05%となり、96時間静置することで、飽和している。
図8は、ロッドレンズ11が高湿状態から標準状態となる際の吸湿率の変化(実験結果)について示したグラフである。
図8において、吸湿率の変化は、高湿状態のロッドレンズ11を23℃RH50%の環境に静置したときの重量変化率で示している。図8のグラフに示されるとおり、ロッドレンズ11の高湿状態から標準状態への吸湿率の変化は、23℃RH50%の環境に36時間静置することで、0.05%となり、96時間静置することで、飽和している。
上述の図7、図8の実験結果から、この実施形態のロッドレンズ11の吸湿率は、乾燥状態と高湿状態いずれの状態であっても、室温23℃湿度(RH)50%の環境に36時間静置することで、0.05%以上+0.05%以下となり、96時間以上静置することで、吸湿率が飽和に達し、標準状態と同じ吸湿率となる。なお、ロッドレンズ11を「室温18℃から27℃」、「湿度(RH)40%から60%」のいずれの環境に静置しても、吸湿率は標準状態に比べて変化しなかった。また、吸水率変化が−0.05%以上+0.05%以下であれば、焦点距離FCSの変化はLEDヘッドの動作に問題ないほど微小であった。したがって、吸水率−0.05%以上+0.05%以下であれば飽和しているとみなすことができる。
次に、上述のステップS103で用いられる焦点距離測定装置700の構成例(測定方法)について、図9、図10、図11を用いて説明する。
図9は、焦点距離測定装置700が被検体としてのレンズアレイ1(ロッドレンズ11)の焦点距離を測定している状態について示す斜視図である。図10は、焦点距離測定装置700が被検体としてのレンズアレイ1(ロッドレンズ11)の焦点距離を測定している状態を、Y方向から見た場合の(図9の上方向から見た場合)の図(平面図)である。さらに、図11は、焦点距離測定装置700の制御系の構成について示したブロック図である。また、図11に示すように、焦点距離測定装置700は、制御系(制御機構)として測定制御手段705、デジタルカメラ移動手段706、及びレンズアレイ移動手段707を有している。
焦点距離測定装置700は、検査用の光(以下、「検査光」と呼ぶ)を発光するLEDアレイ702が搭載された回路基板701と、LEDアレイ702から発光され、レンズアレイ1を通過した結像を撮影(受光)するためのデジタルカメラ703を有している。LEDアレイ702では、複数のLED素子704がX方向にライン状に配列されている。
図9、図10では、被検体であるレンズアレイ1の長手方向がX方向となるように配置されている。また、図9、図10では、ロッドレンズ11の光軸方向がZ方向となるように配置されている。さらに、図9、図10に示すように、焦点距離測定装置700では、Z方向にLEDアレイ702、レンズアレイ1、デジタルカメラ703の順序で配置されている。これにより、LEDアレイ702から発光された検査光が、レンズアレイ1により結像され、デジタルカメラ703で受光することが可能となる。
デジタルカメラ移動手段706は、デジタルカメラ703をレンズアレイ1(ロッドレンズ11のレンズ面12)の方向を撮影した状態で支持すると共に、X方向及びZ方向に移動(走査)させることが可能な機構である。これにより、焦点距離測定装置700では、デジタルカメラ703の視野から外れた位置への移動、及び焦点距離測定装置700とレンズアレイ1との間の距離調整が可能となっている。デジタルカメラ移動手段706の具体的構成(レンズアレイ1をX方向及びZ方向に移動可能に支持する構成)については種々の支持機構と走査機構を組み合わせたものを適用可能である。例えば、X方向にデジタルカメラ703の移動を案内する第1のガイド(例えば、X方向と並行に配置された棒形状のガイド)と、Z方向にデジタルカメラ703の移動を案内する第2のガイド(例えば、Z方向と並行に配置された棒形状のガイド)とを組み合わせて、デジタルカメラ703をX方向及びY方向に移動可能な機構を構成するようにしてもよい。
レンズアレイ移動手段707は、レンズアレイ1を同じ姿勢で支持しつつ、Z方向に移動させることが可能な機構である。これにより、焦点距離測定装置700では、レンズアレイ1とLEDアレイ702(LED素子704)との間の距離調整が可能となっている。レンズアレイ移動手段707(レンズアレイ1をZ方向に移動可能に支持する構成)については種々の機構を適用可能である。例えば、Z方向にレンズアレイ1の移動を案内するガイド(例えば、Z方向と並行に配置された棒形状のガイド)を用いて、レンズアレイ1をZ方向に移動可能な機構を構成するようにしてもよい。
測定制御手段705は、焦点距離測定装置700の各構成要素を制御する手段である。測定制御手段705は、LEDアレイ702の発光制御を行う。また、測定制御手段705は、デジタルカメラ移動手段706及びレンズアレイ移動手段707の駆動制御を行う。さらに、測定制御手段705は、デジタルカメラ703を制御して撮影(受光)結果の処理を行う。測定制御手段705は、例えば、コンピュータに各構成要素を制御するプログラムをインストールして実現するようにしてもよい。また、この実施形態では、測定制御手段705が行う処理の一部を人間(作業者)の手動操作により行うようにしてもよい。
図10に示すように、焦点距離測定装置700では、被検体であるレンズアレイ1の長手方向とLEDアレイ702の方向(LED素子704の配列方向)は平行に配置される。
以下では、図10に示すように、LEDアレイ702とレンズアレイ1の距離(Z方向の距離)を距離LOと呼ぶ。また、以下では、図10に示すように、デジタノレカメラ703が撮影する位置を、焦点位置IMGと呼ぶ。さらに、以下では、図10に示すように、IMGのZ方向の位置とレンズアレイ1とのZ方向の距離を距離L1と呼ぶ。さらにまた、図10に示すように、被検体であるレンズアレイ1のZ方向の寸法をZ1と呼ぶものとする。Z1は、例えば、検査装置(例えば、ダイヤルゲージ等)を用いて測定し、保持(光量測定制御手段801で保持)しておくようにしてもよい。
次に、焦点距離測定装置700(測定制御手段705)の動作について図12のフローチャートを用いて説明する。
まず、焦点距離測定装置700(測定制御手段705)は、測定を開始すると、レンズアレイ1をX方向に移動させ、デジタルカメラ703の視野の外へ退避させる(S201)。
次に、焦点距離測定装置700(測定制御手段705)は、LEDアレイ702に点灯(発光を開始)させ、デジタルカメラ703の撮影結果によってLEDアレイ702のZ方向位置を測定(算出)する(S202)。
次に、焦点距離測定装置700(測定制御手段705)は、レンズアレイ1によってLEDアレイ702の像を結像させ、さらに、レンズアレイ1のレンズ面12がデジタルカメラ703によって撮影できる位置まで、レンズアレイ1をX方向に移動させる(S203)。
次に、焦点距離測定装置700(測定制御手段705)は、LOが所定の最小値ZMINとなるように(LO=ZMINとなるように)、レンズアレイ1をZ方向に移動させる。そして、焦点距離測定装置700(測定制御手段705)は、デジタルカメラ703を制御して、レンズアレイ1のデジタルカメラ703側の位置(レンズ面12のZ方向位置)を測定させる(S204)。
次に、焦点距離測定装置700(測定制御手段705)は、LI=ZMINとなるように、デジタルカメラ703をZ方向に移動させる(S205)。
次に、焦点距離測定装置700(測定制御手段705)は、LEDアレイ702を1ドット置きに点灯させ、レンズアレイ1によるLEDアレイの結像をデジタルカメラ703で撮影する。そして、焦点距離測定装置700(測定制御手段705)は、デジタルカメラ703の撮影結果(結像)に基づいてMTFを算出する(S206)。
次に、焦点距離測定装置700(測定制御手段705)は、L1の値を所定の最大値ZMAXと比較し(S207)、L1≧ZMAXの場合測定処理を終了し、そうでない場合には、後述するステップS208の処理を実行する。
L1≧ZMAXでない場合には、焦点距離測定装置700(測定制御手段705)は、レンズアレイ1を+Z方向へPS分移動させ、デジタルカメラ703を+Z方向へ2×PS分移動させ(S208)、上述のステップS206の処理から動作する。
この実施形態において、例として、ZMINはレンズアレイ1の焦点距離LOの凡その値の−0.25mmとする。また、この実施形態では、例として、ZMAXはレンズアレイ1の焦点距離L0の凡その値の+0.25mmとする。さらに、この実施形態では、例として、値PSは0.01mmとする。
次に、焦点距離測定装置700における、LEDアレイ702のZ方向位置の測定とレンズアレイ1のZ方向位置の測定について説明する。
図13(a)はデジタルカメラ703によるLEDアレイ702の撮影画像である。
上述の通り、焦点距離測定装置700(測定制御手段705)は、LEDアレイ702を点灯させ、さらにデジタルカメラ703をZ方向に移動しながらLEDアレイ702を撮影する。焦点距離測定装置700(測定制御手段705)は、撮影画像について、隣接する画素の輝度の引き算を算出しその絶対値の撮影画像の全画像の和を算出する。これにより、焦点距離測定装置700(測定制御手段705)は、隣接画素の輝度の差の絶対値の全画像の和が最も大きいデジタルカメラ703の結像位置IMGのZ座標を、LEDアレイ2のZ方向の位置として取得することができる。
図13(b)はデジタルカメラ703によるレンズアレイ1のレンズ面12の撮影画像である。測定制御手段705は、デジタルカメラ703をZ方向に移動させながらレンズ面12を撮影する。測定制御手段705は、撮影画像について、隣接する画素の輝度の引き算を算出しその絶対値の撮影画像の全画像の和を算出する。すると、隣接画素の輝度の差の絶対値の全画像の和が最も大きいデジタルカメラ703の結像位置IMGのZ座標がレンズ面12のZ方向の位置、すなわちレンズアレイ1のZ方向の位置となる。
次に、焦点距離測定装置700による焦点距離FCSの算出方法について図14、図15を用いて説明する。
図14は焦点距離測定装置700で測定した、LEDアレイのレンズアレイ1による結像の光量分布E(X)である。点灯しているLED素子の結像のピークに当る光量分布E(X)の極大値をEMAX、点灯しているLED素子に隣接する点灯していないLED素子の位置に当る光量分布E(X)の極小値をEMINとする。E(X)のMTFは、例えば、以下の(1)式を用いて求めることができる。
図15は焦点距離測定装置700によるレンズアレイ1の焦点距離FCSの算出方法を示すグラフである。グラフの縦軸は図14の光量分布E(X)から算出したMTFであり、グラフの横軸は、光量分布E(X)を測定したときのレンズアレイ1とLEDアレイ702とのZ方向の距離LOである。焦点距離FCSは光量分布E(X)から算出したMTFが最大値MAXとなるレンズアレイ1とLEDアレイ702とのZ方向の距離LOである。
図16は各温湿度環境とレンズアレイ1の焦点距離FCSとの関係(実験結果に基づく関係)を表形式で示す説明図である。
以下、図16に示す実験条件及び結果について説明する。室温23℃湿度(RH)50%環境と10℃RH20%環境での焦点距離FCSの測定においては、レンズアレイ1を当該環境に1週間保存した後測定し、その後さらに当該環境に保存して焦点距離FCSが変化しないことを確認した。さらに、30℃RH80%環境での焦点距離FCSの測定において、レンズアレイ1を当該環境に3週間保存した後測定し、その後さらに当該環境に保存して焦点距離FCSが変化しないことを確認した。
この実施形態では、23℃RH50%環境下に対する30℃RH80%環境下での、レンズアレイ1の焦点距離FCSの変化が0.020m以下となるように調整するものとする。また、この実施形態では、25℃RH50%環境下に対する10℃RH20%環境下での、レンズアレイ1の焦点距離FCSの変化が−0.020mm以下となるように調整するものとする。したがって、上述のロッドレンズ11の吸湿率の測定結果と合わせて考察すれば、30℃RH80%環境下にあったレンズアレイ1を23℃RH50%環境下に移動した後、ロッドレンズ11の吸湿率が飽和する36時間以上が経過すれば、焦点距離FCSは2.350mmとなる。また、移動後(環境の変化後)に36時間未満しか経過していなければ、焦点距離FCSは2.350mmより長くなる。同様に、10℃RH20%環境下にあったレンズアレイ1を23℃RH50%の環境に移動した後、ロッドレンズ11の吸湿率が飽和する36時間以上が経過すれば、焦点距離FCSは2.350mmとなっているが、36時間未満しか経過していなければ、焦点距離FCSは2.350mmより短くなる。
次に、上述のステップS107のスリット補正(光量補正)で用いられる光像測定機800の構成例(測定方法)について、図17、図18、図19を用いて説明する。
図19は、光像測定機800の制御系の構成について示したブロック図である。図19に示すように、光像測定機800は、フォトセンサー802及びスリットセンサー803を用いて、LEDヘッド3(LEDアレイ300)から発光される光を受光し、その受光結果に基づいた補正処理を行う。また、光像測定機800は、制御系(制御機構)として光像測定制御手段801、フォトセンサー移動手段804、及びスリットセンサー移動手段805も有している。
図17は、光像測定機800がフォトセンサー802を用いて、LEDヘッド3(LEDアレイ300)の光量(結像の光量)を測定している状態について示す斜視図である。図18は、光像測定機800がスリットセンサー803を用いて、LEDヘッド3(LEDアレイ300)の光量を測定している状態を示す斜視図である。
フォトセンサー移動手段804は、フォトセンサー802をレンズアレイ1(ロッドレンズ11のレンズ面12)の方向を撮影した状態で支持すると共に、X方向及びY方向に移動(走査)させることが可能な機構である。フォトセンサー移動手段804の具体的構成(フォトセンサー802をX方向及びY方向に移動可能に支持する構成)については種々の支持機構と走査機構(例えば、上述のデジタルカメラ移動手段706と同様の機構)を適用可能である。また、スリットセンサー移動手段805は、スリットセンサー803をレンズアレイ1(ロッドレンズ11のレンズ面12)の方向を撮影した状態で支持すると共に、X方向及びY方向に移動(走査)させることが可能な機構である。スリットセンサー803の具体的構成(スリットセンサー803をX方向及びY方向に移動可能に支持する構成)については種々の支持機構と走査機構(例えば、上述のデジタルカメラ移動手段706と同様の機構)を適用可能である。
光像測定制御手段801は、光像測定機800の各構成要素を制御する手段である。光像測定制御手段801は、LEDヘッド3(LEDアレイ300)の発光制御を行う。また、光像測定制御手段801は、デジタルカメラ移動手段706及びレンズアレイ移動手段707の駆動制御を行う。さらに、光像測定制御手段801は、フォトセンサー802及びスリットセンサー803を制御して受光結果の処理を行う。さらにまた、光像測定制御手段801は、受光結果に基づいた補正値を算出して、算出した補正値を、LEDアレイ300のROM35に書込む処理を行う。光量測定制御手段801は、例えば、コンピュータに各構成要素を制御するプログラムをインストールして実現するようにしてもよい。また、この実施形態では、光量測定制御手段801が行う処理の一部を人間(作業者)の手動操作により行うようにしてもよい。
図17に示すように、フォトセンサー802は、LEDヘッド3のレンズアレイ1の結像面上で、かつ、感光体ドラム41側のレンズ面12から距離LI離れた位置の結像の光量を全LED素子30について測定する。上述の通り、フォトセンサー移動手段804は、フォトセンサー802を、LEDヘッド3の長手方向(X方向)に沿って移動(走査)させる。また、フォトセンサー移動手段804は、フォトセンサー802のX方向における位置とLEDヘッド3の点灯するLED30の位置とが一致するように動作させる。
図18に示すように、スリット803b(貫通孔)が形成された遮光板803a、及びフォトセンサー803cを有している。スリットセンサー803を構成する遮光板803a(スリット803b)とフォトセンサー803cとは、スリットセンサー移動手段805により相対的な位置関係を保った状態で移動する。
スリット803bはLED素子30の配列方向であるX方向に対し90度(Y方向)に平行に形成されている。スリット803bを通過した光はフォトセンサー803cで電気信号に変換される。光像測定機800(光像測定制御手段801は)は、スリットセンサー800をX方向に移動(操作)させ、結像の光量分布を測定する。この実施形態では、例として、LED素子30の配列間隔がPD=0.04233mmであるLEDヘッドを用いるものとする。
次に、光像測定機800(光像測定制御手段801)の動作について図20のフローチャートを用いて説明する。
まず、光像測定機800(光像測定制御手段801)は、LEDアレイ300のLED素子30を1ドットずつ、同一電流値で点灯させ、光量(受光量)をフォトセンサー802で測定する(S301)。
次に、光像測定機800(光像測定制御手段801)は、ステップS301で測定した全てのLED素子30の光量値を元に、全てのLED素子30の光量が同じになるような、各LED素子30の電流値(以下、「光量補正値」と呼ぶ)を算出する。そして、光像測定機800(光像測定制御手段801)は、LEDヘッド1のLED素子30を1ドットずつ、光量補正値で点灯させ、各LED素子30の結像の波形(横軸がスリット803bのX方向の位置、縦軸をスリットセンサー803が受光した光量で示される波形、以下、「スリット波形」と呼ぶ)をスリットセンサー800で測定する(S302)。
さらに、光像測定機800(光像測定制御手段801)は、測定したスリット波形から、全てのLED素子30に係るスリット波形の断面積が同じになるような、各LED素子30の電流値を算出する(S303)。以下、この電流値を「スリット補正値」と呼ぶ。
そして、光像測定機800(光像測定制御手段801)は、各LED素子30に対応するスリット補正値のデータを、LEDヘッド3のROM35に書き込み(S304)処理を終了する。以後、LEDヘッド3のドライバIC31は、ROM35に書込まれたスリット補正値に従った電流値で、各LED素子30を点灯させることになる。
図21は、光像測定機800(光像測定制御手段801)におけるスリット補正値の算出例について示した説明図である。
図21(a)は、上述のステップS302で測定される、スリット波形である。図21(a)のスリット波形は、各LED素子30は同一の光量となるように光量補正値で駆動制御されている。各スリット波形で幅WSとなる波形の高さはまちまちである。図21(b)は、上述のステップS303で算出されるスリット補正値の算出方法について示している。各スリット波形で幅WSとなる波形の高さの平均に対する比をWHとするとWHが各スリット波形で同じとなるような、各LED素子30の電流値がスリット補正値である。本実施例のLEDヘッド3でスリット波形の幅WSは60μmの高さが等しくなるようにスリット補正値を算出した。WHの値とスリット補正値と補正後の光量比の関係を図26に示した。WHの値と補正後光量比は100を中心に大小逆転した値となっている。すなわち、補正後光量比=100−WH[%]となっている。また、スリット補正値=−WH[%]となっている。つまり、補正後光量比=スリット補正値[%]+100である。
この実施形態のLEDヘッド3を搭載したプリンタ100を用いた印刷画像の評価について、図22を用いて説明する。
印刷評価は600dpiの解像度であるLEDヘッド3を搭載したプリンタ100を用い、図22に示すようにLEDを1ドットおきに点灯させて形成した印刷画像を媒体(印刷用紙)印刷し、縦スジや濃度ムラがないものを良好と判断した。図22では、黒色に塗りつぶされた各領域(図22の901の各部分)は、LED素子30が点灯し媒体にトナーが付着した部分であることを示している。また、図22では、黒色にぬりつぶされていない各領域(図22の902の各部分)は、LED素子30が非点灯で媒体にトナーが付着しない部分であることを示している。図22のPDはLED素子30の配列間隔である。つまり、ドット901は2×PDの間隔で配列される。LEDヘッド3(LEDアレイ300)による結像のコントラストが低下すると、印刷画像の本来トナーが付着しないところにもトナーが付着し、縦スジや濃度ムラとして視認され、不良画像(画像品質の劣化)となる。
この実施形態のプリンタ100の23℃RH50%、30℃RH80%、10℃RH20%の各環境下での印刷画像はともに良好であった。しかしながら、20℃RH30%でLEDヘッド1の光像測定機800によるスリット補正を行ったLEDヘッド3(上述の比較例のLEDヘッド)においては、印刷画像の評価を行うと、30℃RH80%での印刷画像に、縦スジと濃度ムラが検出された。23℃RH50%環境と10℃RH20%環境での印刷画像の評価は、LEDヘッド3を当該環境に1週間保存した後印刷評価し、その後も当該環境で印刷評価を行い印刷画像の品質に変化がないことを確認した。さらに、30℃RH80%環境での印刷画像の評価は、LEDヘッド3を当該環境に3週間保存した後印刷評価し、その後も当該環境で印刷評価を行い印刷画像の品質に変化がないことを確認した。
(A−3)第1の実施形態の効果
第1の実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
第1の実施形態では、レンズアレイ1を構成するロッドレンズ11の吸湿率が飽和するまで、室温23℃湿度50%環境下で静置し、LEDヘッド3のスリット補正を室温23℃湿度50%環境下で行う。これにより、第1の実施形態では、室温23℃湿度50%の環境下でのレンズアレイ1の焦点距離と室温30度湿度80%の環境下でのレンズアレイ1焦点距離との変化量(差分)、及び室温23℃湿度50%の環境下でのレンズアレイ1の焦点距離と室温10℃湿度20%の環境下でのレンズアレイ1焦点距離との変化量(差分)を抑制(調整)することができる。したがって、第1の実施形態のプリンタ100では、光学特性の環境に伴う変化を、印刷画像に影響しない程度に抑える(印刷画像への影響を所定以下に抑える)ことが出来る。言い換えると、第1の実施形態のプリンタ100では、使用環境全般に亘って印刷画像にスジやムラなどの印刷不良が発生しにくくなる。
(B)第2の実施形態
以下、本発明による露光装置、画像形成装置、及び露光装置の製造方法の第2の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。この実施形態では、本発明の露光装置をLEDヘッドに適用した例について説明する。またこの実施形態では、本発明の画像形成装置をプリンタに適用した例について説明する。
(B−1)第2の実施形態の構成及び動作
第2の実施形態のプリンタ100では、LEDヘッド3を製造する工程の一部が第1の実施形態と異なっている。
第2の実施形態では、LEDヘッド3を製造する工程のうち、レンズアレイ1を作成後焦点距離FCS測定前に行う前に、レンズアレイ1に対して行う前処理(上述のS102の処理)が異なっている。
具体的には、第2の実施形態ではLEDヘッド3を製造する際に、レンズアレイ1の前処理(ステップS102の処理)が図23(図23(a)又は図23(b))に示すようにステップS102a又S102b変更されている。
まず、図23(a)に示されるレンズアレイ1の前処理(ステップS102a)について説明する。
図23(a)では、レンズアレイ1を作成した後(ステップS101の処理の後)、乾燥工程として温度50〜70℃環境に6時間以上静置する(S102a1)。次に、加湿工程として温度50〜70℃湿度(RH)70〜90%の環境に6〜12時間静置する(S102a2)。その後のステップS103〜S107の処理は第1の実施形態と同様であるため詳しい説明を省略する。
次に、上述のステップS102aの加湿工程における経過時間と焦点距離FCSの室温23℃湿度(RH)50%における焦点距離FCSの差について、図24を用いて説明する。図24は、あらかじめ乾燥炉を用いて70℃で12時間加熱したレンズアレイ1の、60℃RH90%とした恒温槽に静置した時間と焦点距離FCSの23℃RH50%における焦点距離FCSの差を示す。LEDヘッド3において、レンズアレイ1とLED素子30の距離LOが−0.010mm〜+0.010mm変化させても、印刷画像の品質に影響が見られないことから、レンズアレイ1は加湿工程に6〜12時間かけることによって、焦点距離FCSが23℃RH50%とほぼ等しくなる。また、加湿工程に16時間以上かけることによって、焦点距離FCSの変化は飽和する。このとき、加湿工程の温度を50℃湿度70%としても、加湿工程にかけた時間と焦点距離FCSの23℃RH50%における焦点距離FCSの差の関係に違いはなかった。また、加湿工程の温度を70℃湿度90%としても、加湿工程にかけた時間と焦点距離FCSの23℃RH50%における焦点距離FCSの差の関係に違いはなかった。なお、加湿工程と乾燥工程であるステップS102a及び102bを適宜レンズアレイ1を作成する工程(ステップS101の工程)の途中に実施することが可能である。
図23(b)では、レンズアレイ1を作成した後(ステップS101の処理の後)、加湿工程として温度50〜70℃湿度(RH)70〜90%の環境に16時間以上静置する(S102b1)。次に、乾燥工程として温度50〜70℃環境に2〜4時間静置する(S102b2)。その後のステップS103〜S107の処理は第1の実施形態と同様であるため詳しい説明を省略する。
次に、上述のステップS102bの乾燥工程における経過時間と焦点距離FCSの23℃RH50%における焦点距離FCSの差について、図25を用いて説明する。図25は、あらかじめ恒温槽を用いて60℃RH90%で36時間静置したレンズアレイ1の、70℃とした乾燥炉に静置した時聞と焦点距離FCSの23℃RH50%における焦点距離FCSの差を示す。レンズアレイ1は乾燥工程に2〜4時聞かけることによって、焦点距離FCSが23℃RH50%とほぼ等しくなる。また、乾燥工程に6時間以上かけることによって、焦点距離FCSの変化は飽和する。このとき、乾燥工程の温度を50℃としても、乾燥工程にかけた時間と焦点距離FCSの23℃RH50%における焦点距離FCSの差の関係に違いはなかった。
以上の通りに本実施例のLEDヘッド3を作成することで、レンズアレイ1のロッドレンズ11が23℃湿度50%環境下における吸湿率の飽和した状態と同じ状態となり、LEDヘッドのLEDの光量を補正することで、低湿環境においても高湿環境においても、画像形成装置の使用環境全般にわたって、良好な印刷画像を得ることができる。
(B−2)第2の実施形態の効果
第2の実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
第2の実施形態では、レンズアレイ1(ロッドレンズ11)の作成において乾燥工程と加湿工程とを経ることによって、レンズアレイ1(ロッドレンズ11)の吸湿率が室温23℃湿度50%環境下で飽和した状態とレンズアレイ1(ロッドレンズ11)が同じ状態となる。さらに、第2の実施形態では、LEDヘッド3のスリット補正を室温23℃湿度50%環境下で行っている。以上のように、第2の実施形態のプリンタ100では、環境に伴う光学特性の変化を、第1の実施形態よりも高精度で抑制し、印刷画像に影響させにくくすることができる。
(C)第3の実施形餓
以下、本発明による露光装置、画像形成装置、及び露光装置の製造方法の第3の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。この実施形態では、本発明の露光装置をLEDヘッドに適用した例について説明する。またこの実施形態では、本発明の画像形成装置をプリンタに適用した例について説明する。
(C−1)第3の実施形態の構成及び動作
第3の実施形態のプリンタ100では、LEDヘッド3を製造する工程の一部が第1の実施形能と異なっている。
図27は、第3の実施の形態のLEDヘッドの製造方法であり、上述の図1と同様の処理のステップには同一のステップ番号(符号)を付している。
図27に示す第3の実施の形態のLEDヘッドの製造方法では、第1の実施形態と比較してステップS101とステップS102の間にステップS102bの工程が挿入されている。具体的には、第3の実施形態では、レンズアレイ1を作成した後(ステップS101の後)、乾燥工程として温度50〜70℃環境に6時問以上静置する工程(S102bの工程)が追加されている。その後、第3の実施形態では、第1の実施形態と同様に、レンズアレイ1の吸湿飽和処理として、温度18〜27℃で、湿度40〜60%環境に36時問以上静置する工程(ステップS103の工程)が行われる。第3の実施形態では、その後の工程(ステップS104以後の工程)も第1の実施形態と同様であるため、詳しい説明を省略する。
(C−2)第3の実施形態の効果
第3の実施形態では、第1の実施形態の効果に加えて、以下のような効果を奏することができる。
図25に示したとおり、レンズアレイ1が十分に吸湿し飽和に至った状飽であっても、乾燥T程として温度50〜70℃環境に6時問以上静置することによって、乾燥状態で飽和する。すなわち、ステップS101の工程でレンズアレイ1を作成したとき、その環境が高湿状態であっても乾燥状態であっても、一律にレンズアレイ1は乾燥状態で飽和していることになる。
その後、レンズアレイ1の吸湿飽和処埋として、温度18〜27℃湿度40〜60%環境に36時間以上静置(S103)することによって、レンズアレイ1の吸湿率が室温23℃湿度50%環境下で飽和したのと同じ状態にすることができる。
(D)他の実施形態
本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するような変形実施形態も挙げることができる。
(D−1)上記の各実施形態では、本発明の露光装置(LEDヘッド)をプリンタに適用する構成について説明したが、その他の画像形成装置(例えば、FAX、複合機、複写機等)に適用するようにしてもよい。
(D−2)上記の各実施形態では、光量に係る補正を行う際、図20のフローチャートに示すように、ステップS301でフォトセンサー802を用いた光量補正を行った後、さらにスリット補正(スリットセンサー803を用いた光量補正)を行っているが、ステップS303のスリット補正を省略するようにしてもよい。この場合ステップS304において、ステップS301で補正された光量補正値が、ROM35に書込まれることになる。