JP6340382B2 - レーザーブランキング装置を用いた加工方法 - Google Patents
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かかるレーザー加工においては、一般に、加工対象物を固定し、コンピューターに格納されたデータに基づいて、レーザーヘッドを水平移動させると共に、当該レーザーヘッドからレーザー光を加工対象物に照射して切断することにより、所望の形状となるように加工が行われる。
例えば、対象物である板材を搬送させながら、レーザーノズルから照射されるレーザー光で切断し、ブランク材とするレーザーブランキング装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。かかるレーザーブランキング装置においては、板材を搬送させながら、レーザーブランキング加工が施されるので、連続した加工が可能であり、上述した加工対象物を固定して加工する方式に比べると生産性が優れる。
また、レーザーブランキング装置の加工能力を十分に発揮した状態で加工時間が設定されるので、生産性も極めて優れるものとなる。
なお、ノズル移動速度は、上記式(1)に基づいて定めることにより、レーザーブランキング装置を駆動させる動力源に過分な負荷がかかることを確実に防止することができる。
図1に示すように、レーザーブランキング装置10は、平板状の板材Xを搬送させながら、レーザーノズルNを前後左右に動かして、該レーザーノズルNから下方に照射されるレーザー光で板材Xを切断部Cで切断し、所望の形状の加工品Pとする装置である。
ここで、レーザー光の種類としては、特に限定されないが、例えば、固体レーザー、液体レーザー、ガスレーザー、半導体レーザー、自由電子レーザー、金属蒸気レーザー、化学レーザー等を用いることができる。
また、板材としては、鉄、アルミニウム、チタン、マグネシウム等の金属だけでなく、レーザー光で切断されるものであれば、ガラス、セラミックス、樹脂、これらの複合材等であってもよい。
図2に示すように、レーザーブランキング装置10は、加工情報が格納された制御部Sと、有線又は無線による通信が可能となるように接続されている。なお、制御部は、各情報が格納されたハードディスク等の外部記憶装置、各情報を記憶するメモリ(ROM,RAM)、該情報を実行する中央処理装置(CPU)等を備える汎用のものである。
したがって、レーザーブランキング装置は、制御部Sの加工情報に基づいて、レーザーブランキング装置10の動力源(モーター)が駆動し、加工が行われることになる。
図3は、本発明に係るレーザーブランキング装置を用いた加工方法の一実施形態を示すフローチャートである。
図3に示すように、本実施形態に係るレーザーブランキング装置の加工方法は、座標を設定する第1ステップS1と、加工時間を設定する第2ステップS2と、座標同士の間のノズル移動速度を調整する調整ステップ(以下便宜的に「第1調整ステップ」という。)S3と、板材の送り速度を設定する第3ステップS4と、シミュレーション加工を行うシミュレーションステップS5と、座標及びノズル移動速度を再設定する第4ステップS6と、再び、座標同士の間のノズル移動速度を調整する調整ステップ(以下便宜的に「第2調整ステップ」という。)S3と、加工を施す第5ステップS7とを備える。なお、本明細書において、レーザーノズルの移動速度を、便宜的に「ノズル移動速度」という。
なお、第1ステップS1、第2ステップS2、第1調整ステップS3、第3ステップS4、シミュレーションステップS5、第4ステップS6、第2調整ステップS3が遂行されることにより、上述した制御部Sの加工情報が作成されることになる。
(第1ステップ)
第1ステップS1は、止まった状態の板材を切断して加工品とするためにレーザーノズルが通過すべき軌跡上に複数の座標を設定するステップである。
なお、図4の(c)において、隣り合う座標同士の間隔は実際よりも大きく示している。
また、図4の(d)において、「加工軌跡」とは、レーザーノズルが通過すべき軌跡上の座標を示し、「加工速度上限」とは、その座標と、その直前の座標との間の速度の上限を示し、「レーザーI/O」は、その座標と、その直前の座標との間のレーザーの状態(ON/OFF)を示す。
次に、図4の(b)に示すように、止まった状態の板材を切断して加工品Pとする場合におけるレーザーノズルが通過すべき軌跡を設定する。
かかる軌跡は、自由に設定することが可能である。例えば、加工品Pの輪郭と、加工品P内部の模様部の輪郭とを連続して通過するようにすればよい。但し、軌跡の全体の長さが長くなると生産時間を要することになるため、軌跡の全体の長さは可及的短くなるように設定することが好ましい。
ここで、座標は、例えば、板材の幅方向をX軸とし、板材の長手方向をY軸として、X−Yの二次元の数値で表される(図4の(d)参照)。なお、原点の位置は任意に設定することができる。
このとき、隣り合う座標同士の間のピッチ(距離)は、一定であり、具体的には0.1〜2mmであることが好ましい。距離が0.1mm未満であると、距離が上記範囲内にある場合と比較して、データ量が膨大となるため、データの処理に時間を要するという欠点があり、距離が2mmを超えると、距離が上記範囲内にある場合と比較して、特に座標間に引いた線が滑らかに表現できない場合がある。
第2ステップS2は、隣り合う座標同士の間をレーザーノズルが最大のノズル移動速度で移動するとして、全体の加工時間を設定するステップである。
ここで、最大のノズル移動速度は、任意に設定することができる。例えば、板材の材質や厚み及びレーザー光の強さ等に応じて板材を確実に切断できる最大の移動速度に設定すればよい。
そして、当該距離と、第1ステップS1で設定された隣り合う座標同士の間のノズル移動速度(図4の(d)の「加工速度上限」参照)とにより、隣り合う座標同士の間の加工時間を算出する。なお、図4の(d)に示す表において、No.0における加工速度上限VLim0は、No.0〜No.1におけるノズル移動速度を意味し、No.1における加工速度上限VLim1は、No.1〜No.2におけるノズル移動速度を意味し、以下同様である。
次に、算出された各座標同士の間の加工時間を合計することにより、全体の加工時間を設定する。これにより、レーザーノズルが設定した軌跡を通過する時間、すなわち、板材を加工する時間が算出される。
第1調整ステップS3は、座標同士の間に引いた線の曲率半径に応じてノズル移動速度を変化させるステップである。すなわち、座標同士の間の加工速度を上限に設定したノズル移動速度を調整するステップである。
第1調整ステップS3を行うことにより、高精度で効率の良い加工が可能となる。
(式1)
なお、任意の係数cは、レーザーブランキング装置における動力源(モーター)の最大負荷能力に応じて適宜設定される。
また、曲率半径rとは、曲線の曲がり具合を表す量であり、例えば、半径rの円周の曲率半径は1/rとなる。
なお、このとき、ノズル移動速度を低速に修正することによって、第2ステップS2で設定された全体の加工時間も修正されることになる。
(式2)
なお、任意の係数Jは、モーターの応答速度に応じて適宜設定される。
したがって、上述したように、式(1)から算出した値と、式(2)から算出した値のうち、小さいほうをノズル移動速度に設定することにより、動力源に過剰な負荷がかかることを防止でき、且つ、曲線の加工精度をより向上させることができる。
例えば、図5の(a)に示すように、例えば、座標P0〜P12を設定した場合、P0からP2及びP10からP12はレーザーノズルの軌跡が直線状であるのに対し、P3からP10は曲線状となるため、曲率半径rが小さくなり、図5の(b)に示すように、ノズル移動速度vも小さくなる。
第3ステップS4は、加工品を加工するために必要な板材の送り距離と、第1調整ステップS3で修正されたレーザーノズルによる加工時間とから、板材の送り速度を設定するステップである。
ここで、「送り距離」とは、1枚の加工品を加工するために必要な板材の搬送距離、すなわち、加工品の長手方向の長さを意味し、「送り速度」とは、板材を連続搬送する速度を意味する。なお、送り速度は一定である。
したがって、第3ステップS4においては、加工品を加工するために必要な板材の送り距離が、上記加工時間内において、レーザーノズルの水平方向の可動範囲内となるように、板材の送り速度が設定される。
シミュレーションステップS5は、第1ステップで設定された座標、及び、第1調整ステップS3で修正されたノズル移動速度に基づいて、シミュレーション加工を行い、該ノズル移動速度を微修正して該ノズル移動速度を再設定するステップである。
第4ステップS6は、第3ステップS4で設定された送り速度を加味して、第1ステップS1で設定した座標を板材の長手方向に移動させると共にノズル移動速度を再設定するステップである。
図6に示すように、第4ステップS6においては、板材の送り速度と時間の経過とにより、加工時における板材上の任意の位置が板材の進行方向に進むため、その分だけ座標を板材の送り方向(Y軸方向)に移動させる。
こうして、再設定された座標に基づいて、実際の加工が行われることになる。
そして、第2調整ステップS3が行われる。
かかる第2調整ステップS3は、上述した第1調整ステップと同じであるので、説明を省略する。
第2調整ステップS3を行うことにより、座標同士の間のノズル移動速度が再設定される。
第5ステップS7は、第4ステップで再設定された座標、及び、第2調整ステップS3で再設定されたノズル移動速度に基づいて、加工が施されるステップである。
具体的には、第1ステップS1、第2ステップS2、第1調整ステップS3、第3ステップS4、シミュレーションステップS5、第4ステップS6、第2調整ステップS3が遂行されることにより作成された加工情報に基づいて、制御部Sが加工指令を発信することにより、板材が連続搬送されると共に、レーザーブランキング装置によるレーザーブランキング加工が行われる。
また、第2ステップS2、第4ステップS6でレーザーブランキング装置10の加工能力を十分に発揮した状態で加工時間が設定されるので、生産性が極めて優れるものとなる。
さらには、調整ステップを備えるので、高精度で効率の良い加工が可能となる。
また、第1調整ステップS3及び第2調整ステップS3も必ずしも必須の工程ではなく、何れか一方の調整ステップのみを行ってもよい。例えば、加工速度上限を始めから極めて低速に設定することにより、当該ステップを省くことも可能である。
10・・・レーザーブランキング装置
11・・・Y軸レール
12・・・X軸レール
N・・・レーザーノズル
P・・・加工品
S・・・制御部
S1・・・第1ステップ
S2・・・第2ステップ
S3・・・調整ステップ
S4・・・第3ステップ
S5・・・シミュレーションステップ
S6・・・第4ステップ
S7・・・第5ステップ
X・・・板材
Claims (6)
- 平板状の板材を搬送させながら、レーザーノズルを前後左右に動かして、該レーザーノズルから下方に照射されるレーザー光で切断し、加工品とするレーザーブランキング装置を用いた加工方法であって、
止まった状態の板材を切断して加工品とするためにレーザーノズルが通過すべき軌跡上に複数の座標を設定する第1ステップと、
隣り合う前記座標同士の間をレーザーノズルが最大のノズル移動速度で移動するとして、全体の加工時間を設定する第2ステップと、
前記加工品を加工するために必要な前記板材の送り距離と、前記加工時間とから、前記板材の送り速度を設定する第3ステップと、
設定された送り速度を加味して、前記座標を板材の長手方向に移動させると共に前記ノズル移動速度を再設定する第4ステップと、
再設定された座標及びノズル移動速度に基づいて、加工が施される第5ステップと、
を備え、
第1ステップ、第2ステップ、第3ステップ、第4ステップ及び第5ステップを順次遂行するレーザーブランキング装置を用いた加工方法。 - 隣り合う前記座標同士の間のピッチが、0.1〜2mmである請求項1記載のレーザーブランキング装置を用いた加工方法。
- 前記レーザーノズルの加工開始位置と加工終了位置とが一致する請求項1又は2に記載のレーザーブランキング装置を用いた加工方法。
- 前記第2ステップと前記第3ステップとの間、及び/又は、前記第4ステップと前記第5ステップとの間に行われ、
前記座標同士の間に引いた線の曲率半径に応じてノズル移動速度を変化させる調整ステップを更に備える請求項1〜3のいずれか1項に記載のレーザーブランキング装置を用いた加工方法。 - 前記第3ステップと前記第4ステップとの間に、設定された座標及びノズル移動速度に基づいて、シミュレーション加工を行い、該ノズル移動速度を微修正して該ノズル移動速度を再設定するシミュレーションステップを更に備える請求項1〜5のいずれか1項に記載のレーザーブランキング装置を用いた加工方法。
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